説明

画像形成装置

【課題】対象物の投影面の位置や形状が不明であっても、観測者が観測点から投影面を見たときに、観測者に観測させたい観測画像が視認されるように、投影面に画像を描画することのできる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】画像形成装置1は、対象物の表面に設定された投影面に光を走査することにより画像を描画するよう構成され、光出射部と、光走査部5と、前記投影面の位置および形状を特定する特定手段9と、観測者が観測点から前記投影面を見たときに、前記観測者に観測させたい観測画像が視認されるように、前記特定手段9により特定された形状において、前記投影面の非平面形状に起因した前記画像の歪みを相殺するような前記光出射部の駆動パターンを生成する駆動パターン生成手段7と、前記駆動パターン生成手段7により生成された前記駆動パターンに対応させて、前記光出射部の作動を制御する制御手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、光を投影して画像を表示する画像形成装置として、特許文献1のような投射型プロジェクタが知られている。
特許文献1の投射型プロジェクタは、プロジェクタ本体をスクリーンに対して傾斜して配置した場合に、スクリーン上に映し出される画像(映像)の上側と下側とで、スクリーン横方向の長さが異なる「台形歪み」と呼ばれる歪みを補正する台形歪み補正手段を有している。
【0003】
しかしながら、特許文献1の投射型プロジェクタでは、スクリーンの位置および形状が既知であり、その形状が略平面形状の場合は、スクリーンに映し出される画像の歪みを補正し、自然な画像を形成することができるが、スクリーンの形状が非平面形状の場合は、スクリーンに映し出される画像の、スクリーンの非平面形状に起因して発生する歪みを補正することができない。特に、スクリーンの位置や形状が不明である場合や、それが経時的に変化する場合は、対応することができない。すなわち、特許文献1の投射型プロジェクタでは、スクリーンの位置や形状が不明である場合や、それが経時的に変化する場合は、スクリーンから画像がはみ出してしまったり、また、スクリーン上の画像が歪んでしまい、観測者に自然な画像を視認させることができない。
【0004】
【特許文献1】特開2001−249401号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、対象物の投影面の位置や形状が不明であっても、観測者が観測点から投影面を見たときに、観測者に観測させたい観測画像が視認されるように、投影面に画像を描画することのできる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の画像形成装置は、対象物の表面に設定された投影面に光を走査することにより画像を描画するよう構成され、
光を出射する光出射部と、
前記光出射部から出射された光を反射する光反射部を備えた可動板が少なくとも一方向または互いに直交する二方向へ回動可能に設けられ、当該回動によって前記光反射部で反射した光を前記投影面に走査するアクチュエータを有する光走査部と、
前記投影面の位置および形状を特定する特定手段と、
観測者が観測点から前記投影面を見たときに、前記観測者に観測させたい観測画像が視認されるように、前記特定手段により特定された形状において、前記投影面の非平面形状に起因した前記画像の歪みを相殺するような前記光出射部の駆動パターンを生成する駆動パターン生成手段と、
前記駆動パターン生成手段により生成された前記駆動パターンに対応させて、前記光出射部の作動を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0007】
これにより、対象物の投影面の位置や形状が不明であっても、その投影面の位置や形状に応じて、観測者が観測点から投影面を見たときに、観測者に観測(視認)させたい観測画像(以下、単に「観測画像」と言う)が視認されるように、投影面に画像を描画することができる。すなわち、投影面の形状が略平面形状である場合は、もちろんのこと、非平面形状であっても、また、投影面の位置や形状が経時的に変化する場合であっても、観測者に観測画像を視認させることができる。
【0008】
本発明の画像形成装置では、互いに直交するx軸、y軸およびz軸を有する座標系を想定し、
前記特定手段は、基準位置からの前記投影面の各部位の距離を光学的に検出する距離検出手段を有し、前記投影面を複数の多角形の集合体として定義し、該各多角形の頂点と前記投影面の各部位とをそれぞれ対応させ、前記距離検出手段の検出結果に基づいて、前記座標系における前記投影面の各部位の3次元座標を求め、前記投影面の位置および形状を特定するよう構成されていることが好ましい。
これにより、より確実に、対象物の投影面の位置および形状を特定することができる。
【0009】
本発明の画像形成装置では、前記距離検出手段は、測定光を出射する測定光出射部を有し、前記投影面に向けて測定光を照射する照射部と、前記測定光の前記投影面での反射光を検出する検出部とを備え、該検出部の検出結果に基づいて、基準位置からの前記投影面の各部位の距離を求めることが好ましい。
これにより、より確実に、対象物の投影面の位置および形状を特定することができる。
本発明の画像形成装置では、前記光出射部および前記光走査部は、前記照射部の機能を有することが好ましい。
これにより、構成を簡素化することができる。
【0010】
本発明の画像形成装置では、前記投影面は、経時的にその位置または形状が変化するよう構成されており、
前記投影面に画像を描画する際、前記特定手段は、前記変化に対応して、随時、前記投影面の位置および形状を特定し、前記駆動パターン生成手段は、観測者が観測点から前記投影面を見たときに、前記観測者に観測させたい観測画像が視認されるように、前記特定手段により特定された形状において、前記投影面の非平面形状に起因した前記画像の歪みを相殺するような前記光出射部の駆動パターンを生成するよう構成されていることが好ましい。
これにより、対象物の投影面の位置や形状が経時的に変化した場合に、より確実に、観測者に観測画像を視認させることができる。
【0011】
本発明の画像形成装置では、前記投影面は、経時的にその位置または形状が変化するよう構成されており、
前記投影面に画像を描画する際、前記特定手段は、前記光走査部による光の走査に先行し、該光の走査とともに、前記測定光を走査し、前記3次元座標を求め、前記駆動パターン生成手段は、観測者が観測点から前記投影面を見たときに、前記観測者に観測させたい観測画像が視認されるように、前記特定手段により特定された形状において、前記投影面の非平面形状に起因した前記画像の歪みを相殺するような前記光出射部の駆動パターンを生成するよう構成されていることが好ましい。
これにより、対象物の投影面の位置や形状が経時的に変化した場合に、より確実に、観測者に観測画像を視認させることができる。
【0012】
本発明の画像形成装置では、前記照射部は、前記測定光出射部から出射され測定光を反射する光反射部を備えた可動板が少なくとも一方向または互いに直交する二方向へ回動可能に設けられ、当該回動によって前記光反射部で反射した測定光を前記投影面に照射するアクチュエータを有することが好ましい。
これにより、より確実に、対象物の投影面の各部位に測定光を照射することができ、その投影面の位置および形状を特定することができる。
【0013】
本発明の画像形成装置では、前記測定光は、前記画像に影響を与えないものであることが好ましい。
これにより、画像の視認性の劣化を防止することができる。
本発明の画像形成装置では、前記駆動パターン生成手段は、前記観測点と前記投影面との間に仮想的な観測者用仮想スクリーンを設定し、前記観測者用仮想スクリーン上に設定された観測者用の多数の点を特定し、前記観測点から見たときの、前記観測者用仮想スクリーン上に設定された前記観測者用の多数の点を、それぞれ、前記投影面上の位置に対応付け、その対応付けられた前記投影面上の位置に前記光出射部から出射された光が照射されるような駆動パターンを生成することが好ましい。
これにより、より確実に、対象物の投影面の位置や形状に応じた駆動パターンを生成することができ、観測者が観測点から投影面を見たときに観測画像が視認されるように投影面に画像を描画することができる。
【0014】
本発明の画像形成装置では、前記駆動パターン生成手段は、前記観測者用の多数の点について、それぞれ、その点および前記観測点を通る線分と前記投影面との交点の3次元座標を求めることにより、前記観測者用の多数の点と前記投影面の各部位とをそれぞれ対応付け、前記対応付けられた前記投影面上の位置を求めることが好ましい。
これにより、比較的簡単にかつ正確に、仮想スクリーン上に設定された多数の点と、対象物の投影面の各部位とをそれぞれ対応付けることができる。
【0015】
本発明の画像形成装置では、前記駆動パターン生成手段は、前記投影面の各部位について、それぞれ、その部位および前記観測点を通る線分と前記観測者用仮想スクリーンとの交点の3次元座標を求めることにより、前記観測者用の多数の点と前記投影面の各部位とをそれぞれ対応付け、前記対応付けられた前記投影面上の位置を求めることが好ましい。
これにより、比較的簡単にかつ正確に、仮想スクリーン上に設定された多数の点と、対象物の投影面の各部位とをそれぞれ対応付けることができる。
【0016】
本発明の画像形成装置では、複数の前記観測点が設置されており、
前記観測者の位置を検出する位置検出手段を有し、
前記駆動パターン生成手段は、前記位置検出手段により検出された前記観測者の位置に基づいて、前記複数の観測点のうちからいずれかを選択することが好ましい。
これにより、画像形成装置を使用する前に、観測点の3次元座標を入力する必要がなくなり、操作性が向上する。また、観測点を複数記憶(格納)することにより、観測者の位置に応じて最も適した観測点を選択することができ、画像形成装置の画像描画特性が向上する。
【0017】
本発明の画像形成装置では、前記複数の観測点のうち、前記観測者の位置から最も近位に位置する観測点を選択することが好ましい。
これにより、観測者の位置に応じて最も適した観測点が自動的に選択され、画像形成装置の画像描画特性が向上する。
本発明の画像形成装置では、前記光走査部は、1対の前記アクチュエータを備え、
前記1対のアクチュエータは、それぞれ、前記可動板と、該可動板を回動可能に支持する支持部と、前記可動板と前記支持部とを連結する連結部と、前記可動板を回動させる駆動手段とを有しており、互いに、前記可動板の回動中心軸が直交するように設けられていることが好ましい。
これにより、比較的簡単な構成で対象物の投影面に2次元画像を描画することができる。
【0018】
本発明の画像形成装置では、前記光走査部は、前記アクチュエータの前記可動板の挙動を検知する挙動検知手段を有し、前記制御手段は、前記挙動検知手段の検知結果および前記駆動パターンに基づいて、前記光出射部の作動を制御することが好ましい。
これにより、より確実に、観測者が観測点から投影面を見たときに観測画像が視認されるような画像を投影面に描画することができる。
本発明の画像形成装置では、前記対象物としてのスクリーンを有することが好ましい。
これにより、画像の視認性が向上する。
【0019】
本発明の画像形成装置では、前記駆動パターン生成手段は、前記光出射部と前記対象物の表面との間に仮想的な画像描画装置用仮想スクリーンを設定し、前記画像描画装置用仮想スクリーン上に設定された画像描画装置用の多数の点を特定し、前記対象物の表面上の位置に対応付けられた前記観測者用の多数の点を、それぞれ、前記画像描画装置用仮想スクリーン上に設定された前記画像描画装置用の多数の点に対応付け、その対応付けられた前記表面上の位置に前記光出射部から出射された光が照射されるような駆動パターンを生成するのが好ましい。
本発明の画像形成装置では、前記駆動パターン生成手段は、前記対象物の表面との交点について、それぞれ、その点および前記光出射部を通る線分と前記画像描画装置用多数の点との交点の3次元座標を求めることにより、前記対応付けられた位置を求めるのが好ましい。
【0020】
本発明の画像形成装置では、前記駆動パターン生成手段は、前記画像描画装置用仮想スクリーン上の光の軌跡上に沿って、前記画像描画装置用の多数の点を対応付けるのが好ましい。。
本発明の画像形成装置では、前記駆動パターン生成手段は、前記画像描画装置用仮想スクリーン上の設定された前記画像描画装置用の多数の点と、前記観測者用仮想スクリーン上に設定された前記観測者用の多数の点とを対応付け、その対応付けられた前記前記観測者用仮想スクリーン上の前記点に前記光出射部から出射された光が照射されるような駆動パターンを生成するのが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の画像形成装置の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の画像形成装置の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の画像形成装置の第1実施形態を示す構成図、図2は、図1のスクリーンを示す模式的斜視図、図3は、図1の画像描画装置本体を示すブロック図、図4は、図3のアクチュエータを示す模式的斜視図、図5は、図4に示すアクチュエータの駆動を示す模式的断面図、図6は、図3の位置検出手段を示すブロック図、図7は、図3の駆動パターン生成部を示すブロック図、図8は、図7に示す駆動パターン生成部が備えるLUT記録部のLUTを作成する方法を示す図、図9は、図7のLUT記録部のLUTの作成方法を示す図、図10は、図9の画像描画装置用仮想スクリーンの設定例を示す図、図11は、図8の光走査面形状ポリゴンの設定例を示す図、図12は、図8の光走査面形状ポリゴンと交点の例を示す図、図13は、図9のLUTの例を示す図、図14は、スクリーンに描画された画像を観測点以外の場所から観測したときの模式図、図15は、スクリーンに描画された画像を観測点から観測したときの模式図、図24は表示する映像データのデータ配置の例を示す図である。なお、以下では、説明の便宜上、図4、図5中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。
【0022】
図1に示すように、画像形成装置1は、スクリーン(対象物)2と、スクリーン2上に光を走査し画像を形成する画像形成装置本体3とを有している。このような画像形成装置1は、図示しない観測者が、観測点(図1に示す観測点P1またはP2)からスクリーン2を見たときに、観測者に観測(視認)させたい観測画像(歪やずれのない自然な画像)(以下、単に「観測画像」と言う)が視認されるように、スクリーン2上に画像を描画するものである。以下、これらについて、順次説明する。
スクリーン2の画像形成装置本体3側の表面は、画像形成装置本体3によって光が走査される光走査面(投影面)21を構成している。この光走査面21には、画像形成装置本体3により光が走査されることで、静止画や動画等の所定の画像が描画される。このようなスクリーン2を用いることにより、画像の視認性が向上する。
【0023】
本実施形態では、スクリーン2として、光走査面21が実質的に一定の形状を保ち、光走査面21の位置も変位しない場合を想定する。また、図2に示すように、光走査面21の形状は、非平面である場合を想定する。図2に示す構成例では、光走査面21には、2つの鋸歯状の凸部を有する第1の凹凸領域21aと、3つの球面状の凸部を有する第2の凹凸領域21bと、不均一に波打った凹凸を有する第3の凹凸領域21cとが形成されているが、この形状に限定されないことは、言うまでもない。
【0024】
このようなスクリーン2の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、アクリル系樹脂、ABS樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
次に、画像形成装置本体3について説明する。
図3に示すように、画像形成装置本体3は、光を出射する光源ユニット(光出射部)4と、光源ユニット4から出射した光を光走査面21に走査する光走査部5と、観測者の位置を検出する位置検出手段6と、光源ユニット4の駆動パターンを生成する駆動パターン生成手段7と、光源ユニット4および光走査部5の作動を制御する作動制御装置(制御手段)8と、スクリーン2の光走査面21の位置および形状を特定する特定手段9とを有している。以下、これらについて順次説明する。
【0026】
図3に示すように、光源ユニット4は、各色のレーザ光源41r、41g、41bと、各レーザ光源41r、41g、41bに対応して設けられたコリメータレンズ42r、42g、42bおよびダイクロイックミラー43r、43g、43bとを備えている。
各色のレーザ光源41r、41g、41bは、それぞれ赤色、緑色および青色のレーザ光RR、GG、BBを射出する。レーザ光RR、GG、BBは、それぞれ、作動制御装置8から送信される駆動信号(後述する駆動パターン)に対応して変調された状態で射出され、コリメート光学素子であるコリメータレンズ42r、42g、42bによって平行化されて細いビームとされる。
【0027】
ダイクロイックミラー43r、43g、43bは、それぞれ、赤色レーザ光RR、緑色レーザ光GG、青色レーザ光BBを反射する特性を有し、各色のレーザ光RR、GG、BBを結合して1つのレーザ光LLを射出する。
なお、コリメータレンズ42r、42g、42bに代えてコリメータミラーを用いることができ、この場合も、平行光束の細いビームを形成することができる。また、各色のレーザ光源41r、41g、41bから平行光束が射出される場合、コリメータレンズ42r、42g、42bは、省略することができる。さらに、レーザ光源41r、41g、41bについては、同様の光束を発生する発光ダイオード等の光源に置換することができる。
【0028】
次いで、光走査部5について説明する。
図3に示すように、光走査部5は、一対のアクチュエータ51、51と、各アクチュエータ51の挙動を検知する挙動検知手段52とを有している。なお、以下では、一対のアクチュエータ51、51は、互いに同様の構成であるため、一方のアクチュエータ51について代表して説明し、他方のアクチュエータ51については、その説明を省略する。
【0029】
図4に示すように、アクチュエータ51は、基体511と、基体511の下面に対向するよう設けられた対向基板513と、基体511と対向基板513との間に設けられたスペーサ部材512とを有している。
基体511は、可動板511aと、可動板511aを回動可能に支持する支持部511bと、可動板511aと支持部511bとを連結する1対の連結部511c、511dとを有している。
【0030】
可動板511aは、その平面視にて、略長方形状をなしている。このような可動板511aの上面には、光反射性を有する光反射部511eが設けられている。光反射部511eは、例えば、Al、Ni等の金属膜で構成されている。また、可動板511aの下面には、永久磁石514が設けられている。
支持部511bは、可動板511aの平面視にて、可動板511aの外周を囲むように設けられている。すなわち、支持部511bは、枠状をなしていて、その内側に可動板511aが位置している。
【0031】
連結部511cは、可動板511aの左側にて、可動板511aと支持部511bとを連結し、連結部511dは、可動板511aの右側にて、可動板511aと支持部511bとを連結している。
連結部511c、511dは、それぞれ、長手形状をなしている。また、連結部511c、511dは、それぞれ、弾性変形可能である。このような1対の連結部511c、511dは、互いに同軸的に設けられており、この軸(以下「回動中心軸J」と言う)を中心として、可動板511aが支持部511bに対して回動する。
【0032】
このような基体511は、例えば、シリコンを主材料として構成されていて、可動板511aと支持部511bと連結部511c、511dとが一体的に形成されている。このように、シリコンを主材料とすることにより、優れた回動特性を実現できるとともに、優れた耐久性を発揮することができる。また、微細な処理(加工)が可能であり、アクチュエータ51の小型化を図ることができる。
【0033】
スペーサ部材512は、枠状をなしていて、その上面が基体511の下面と接合している。また、スペーサ部材512は、可動板511aの平面視にて、支持部511bの形状とほぼ等しくなっている。このようなスペーサ部材512は、例えば、各種ガラス、各種セラミックス、シリコン、SiOなどで構成されている。
なお、スペーサ部材512と基体511との接合方法としては、特に限定されず、例えば、接着剤等の別部材を介して接合してもよいし、スペーサ部材512の構成材料などによっては陽極接合などを用いてもよい。
【0034】
対向基板513は、スペーサ部材512と同様に、例えば、各種ガラス、シリコン、SiOなどで構成されている。このような対向基板513の上面であって、可動板511aと対向する部位には、コイル515が設けられている。
永久磁石514は、板棒状をなしていて、可動板511aの下面に沿って設けられている。このような永久磁石514は、可動板511aの平面視にて、回動中心軸Jに対して直交する方向に磁化(着磁)されている。すなわち、永久磁石514は、両極(S極、N極)を結んだ線分が、回動中心軸Jに対して直交するよう設けられている。図5に示すように、本実施形態では、回動中心軸Jの左側がN極、右側がS極となっている。
【0035】
このような永久磁石514としては、特に限定されず、例えば、ネオジウム磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、アルニコ磁石などを用いることができる。
コイル515は、可動板511aの平面視にて、永久磁石514の外周を囲むように設けられている。このようなコイル515には、作動制御装置8により、所定の電圧が印加される。
【0036】
例えば、作動制御装置8によりコイル515に交番電圧を印加すると、可動板511aの厚さ方向(図5中上下方向)の磁界が発生し、かつ、その磁界の向きが周期的に切り換わる。すなわち、コイル515の上側付近がS極、下側付近がN極となる状態Aと、コイル515の上側付近がN極、下側付近がS極となる状態Bとが交互に切り換わる。
状態Aでは、図5(a)に示すように、永久磁石514の右側が、コイル515への通電により発生する磁界との反発力により上側へ変位するとともに、永久磁石514の左側が、前記磁界との吸引力により下側へ変位する。これにより、可動板511aが反時計回りに傾斜する。
【0037】
反対に、状態Bでは、図5(b)に示すように、永久磁石514の右側が下側へ変位するとともに、永久磁石514の左側が上側へ変位する。これにより、可動板511aが時計回りに傾斜する。
このような状態Aと状態Bとを交互に繰り返すことにより、連結部511c、511dを捩り変形させながら、可動板511aが回動中心軸Jまわりに回動する。
【0038】
なお、このようなアクチュエータ51の構成としては、可動板511aを回動させることができれば、特に限定されず、いわゆる2自由度振動系のアクチュエータであってもよいし、コイル515と永久磁石514とを用いた電磁駆動にかえて、圧電素子を用いた圧電駆動や静電引力を用いた静電駆動としてもよい。
ここで、図3に示すように、一対のアクチュエータ51、51は、互いの回動中心軸Jが直交するように設けられている。一対のアクチュエータ51、51をこのように設けることにより、光源ユニット4から出射したレーザ光LLを光走査面21に2次元的に走査することができる。これにより、比較的簡単な構成で、光走査面21に2次元画像を描画することができる。
【0039】
次に、挙動検知手段52について説明する。
なお、一対のアクチュエータ51、51のうちの一方のアクチュエータ51の可動板511aの挙動を検知する手段と、他方のアクチュエータ51の可動板511aの挙動を検知する手段とは、互いに同様の構成であるため、一方のアクチュエータ51の可動板511aの挙動を検知する手段について代表して説明し、他方のアクチュエータ他方のアクチュエータ51の可動板511aの挙動を検知する手段については、その説明を省略する。
【0040】
図4に示すように、挙動検知手段52は、アクチュエータ51の連結部321c上に設けられた圧電素子521と、圧電素子521から発生する起電力を検出する起電力検出部522と、起電力検出部522の検出結果に基づいて可動板511aの挙動を検知する挙動検知部523とを有している。
圧電素子521は、可動板511aの回動に伴って連結部511cが捩り変形すると、それに伴って変形する。圧電素子521は、外力が付与されていない自然状態から変形すると、その変形量に応じた大きさの起電力を発生する性質を有しているため、挙動検知部523は、起電力検出部522で検出された起電力の大きさに基づいて、連結部511cの捩れの程度を求め、さらに、その捩れの程度から可動板511aの挙動(回動角)を検知する。このようにして検知された可動板511aの挙動に関する信号(情報)は、作動制御装置8に送信される。
【0041】
このような挙動検知手段52は、可動板511aの挙動をリアルタイムで検知していてもよいし、例えば、所定のタイミング(時刻)で可動板511aの挙動を検知した後は、その検知タイミングと、コイル515に印加する交番電圧(波形や周波数)とに基づいて可動板511aの挙動を予測してもよい。
なお、挙動検知手段52としては、可動板511aの挙動を検知することができれば、本実施形態のような圧電素子を用いたものに限定されず、例えば、フォトダイオードを用いてもよい。この場合には、例えば、可動板511aが所定の傾き(回動角)となった時に、フォトダイオードが光を受光する(または、受光が遮られる)よう構成されていて、このフォトダイオードでの受光タイミングから可動板511aの挙動を検知するよう構成してもよい。
【0042】
次に、特定手段9について説明する。
まず、画像形成装置1についての共通の3次元の座標系として、互いに直交するx軸、y軸およびz軸を有する座標系を想定する(図示せず)。
特定手段9は、前記座標系におけるスクリーン2の光走査面21の各部位(微小領域)の3次元座標をそれぞれ求め、これにより光走査面21の位置および形状を特定するものであり、特定部91と、検出部92と、ハーフミラー93とを有している。
【0043】
特定部91は、スクリーン2の光走査面21の形状を図11で示されるような複数のポリゴン(多角形)の集合体として定義し、各ポリゴンの頂点G1、G2…Gi、…Gn(ただし、i、nはともに自然数である)と、スクリーン2の光走査面21の各部位とをそれぞれ対応させ、各頂点G1〜Gnの3次元座標をそれぞれ求める。これにより、光走査面21の各部位の3次元座標がそれぞれ特定される。すなわち、光走査面21の位置および形状が特定される。
【0044】
各頂点G1〜Gnの3次元座標のデータ(情報)は、それぞれ特定部91から後述する駆動パターン生成手段7の形状特定部72に送信され、格納(記憶)される。なお、以下の説明では、3次元座標のデータを、単に、「3次元座標」とも言う。
各頂点G1〜Gnの3次元座標を求める方法は、特に限定されないが、本実施形態では、後段側(図3中上側)のアクチュエータ51の可動板511a(光反射部511e)の位置を基準位置として設定し、特定手段9は、この基準位置からの光走査面21の各部位の距離をそれぞれ光学的に検出し、その検出結果に基づいて、各頂点G1〜Gnの3次元座標を求めるよう構成されている。
【0045】
具体的には、光源ユニット4および光走査部5は、特定手段9の照射部の機能を有している(照射部を兼ねている)。この場合、光源ユニット4が、照射部の測定光出射部の機能を有している(測定光出射部を兼ねている)。
ハーフミラー93は、光源ユニット4と光走査部5との間、すなわち、光源ユニット4から出射され、前段側(図3中下側)のアクチュエータ51に到達するまでのレーザ光LL(測定光)の光路上に配置されている。
【0046】
なお、ハーフミラー93を移動可能に設置し、前記光路上と、その光路から離間(退避)した位置との間で、ハーフミラー93を移動させる図示しない移動機構を設けてもよい。この場合は、例えば、光走査面21の位置および形状を特定する際は、ハーフミラー93を前記光路上に移動させ、光走査面21に画像を描画する際は、ハーフミラー93を前記光路から退避させることができる。
また、検出部92は、光走査面21でのレーザ光LLの反射光を検出するものであり、例えば、受光素子等を用いることができる。
なお、光源ユニット4、光走査部5、ハーフミラー93、検出部93および特定部91により、距離検出手段の主要部が構成される。
【0047】
各頂点G1〜Gnの3次元座標を求める際は、光源ユニット4により、レーザ光LL(測定光)を間欠的に出射しつつ、一対のアクチュエータ51、51を作動させ、レーザ光LLを2次元的に走査する。この際、各アクチュエータ51、51の可動板511aの挙動に関する信号(情報)は、挙動検知手段52から特定部91に送信される。なお、レーザ光源41r、41g、41bのうち、いずれか1つを駆動するのが好ましく、以下の説明では、代表的に、レーザ光源41rのみを駆動する場合について説明する。
【0048】
レーザ光源41rから出射したレーザ光RRは、ダイクロイックミラー43rで反射し、その一部(約50%)がハーフミラー93を透過し、一対のアクチュエータ51、51の可動板511aの光反射部511eで順次反射し、所定方向に向けて出射する(照射される)。
ここで、後段側のアクチュエータ51の光反射部511eから出射したレーザ光RRの光路(光軸)上に、光走査面21がある場合は、そのレーザ光RRは、光走査面21の所定部位に当り、光走査面21で反射し、その反射光の一部は、前記と同様の経路を前記と反対側に進み、一対のアクチュエータ51、51の可動板511aの光反射部511eで順次反射し、ハーフミラー93でその一部(約50%)が反射し、検出部92に入射する。この場合は、検出部92でレーザ光RRが検出される。
【0049】
一方、後段側のアクチュエータ51の光反射部511eから出射したレーザ光RRの光路上に、光走査面21がない場合は、そのレーザ光RRは、光走査面21に当らず、検出部92でレーザ光RRは検出されない。
基準位置である後段側のアクチュエータ51の可動板511a(光反射部511e)の3次元座標(位置)は、既知であるので、後段側のアクチュエータ51の光反射部511eからの光走査面21のレーザ光RRの当った部位までの距離Lと、その光反射部511eから出射したレーザ光RRの方向とが判れば、これらから、前記光走査面21のレーザ光RRの当った部位の3次元座標を求めることができる。
【0050】
特定部91は、挙動検知手段52から送信された一対の可動板511a、511aの挙動に関する信号を受信しているので、この情報と、各アクチュエータ51の光反射部511eの3次元座標と、レーザ光源41r(光源ユニット4)から出射され、前段側のアクチュエータ51に到達するまでのレーザ光RRの光路に関する情報とにより、後段側のアクチュエータ51の光反射部511eから出射したレーザ光RRの方向を求めることができる。
【0051】
なお、各アクチュエータ51の光反射部511eの3次元座標、レーザ光源41rから出射され、前段側のアクチュエータ51に到達するまでのレーザ光RRの光路に関する情報、後述する式1等、各頂点G1〜Gnの3次元座標を求めるために必要な情報は、予め、特定部91の図示しない格納部に格納されている。
また、レーザ光源41rからレーザ光RRが出射したときから、光走査面21でのレーザ光RRの反射光が検出部92で検出されたときまでの時間tを、光速cで除した値が、それに対応する光路長であるので、前記時間tを計測することにより、前記光路長を求めることができる。
【0052】
したがって、レーザ光源41rからレーザ光RRが出射したときから、光走査面21でのレーザ光RRの反射光が検出部92で検出されたときまでの時間をt、レーザ光源41rから後段側のアクチュエータ51の光反射部511eまでの光路長をL1、後段側のアクチュエータ51の光反射部511eから検出部92までの光路長をL2、光速をcとしたとき、前記距離Lは、下記式1により求めることができる。
L={(t/c)−L1−L2}/2 ・・・(式1)
【0053】
また、前記時間tの計測は、下記のようにして行う。
まず、作動制御装置8は、レーザ光源41rからレーザ光RRを出射する際、それに同期して、特定部91にトリガ信号を送信する。特定部91は、時間を計測する計測部の機能も有しており、そのトリガ信号を受信すると、時間の計測を開始する。
そして、光走査面21でのレーザ光RRの反射光が検出部92に入射すると、検出部92から特定部91に検出信号が送信され、特定部91は、その検出信号を受信すると、時間の計測を終了する。
以上のようにして、各頂点G1〜Gnの3次元座標をそれぞれ求めることができる。
【0054】
次に、位置検出手段6について説明する。
図6に示すように、本実施形態の位置検出手段6は、直交コイル式(直交コイル型)の位置センサ61と、位置センサ61に作用する磁界を発生させる磁界発生部62と、位置センサ61で検出された信号を処理する信号処理部63と、情報処理部64とを有している。
【0055】
位置センサ61は、観測者に装着したり、観測者に把持させたりして用いられるものである。ここで、位置センサ61は、なるべく観測者の目付近に位置していることが好ましい。例えば、位置センサ61が観測者の耳に装着可能な装着部に固定されていたり、頭に装着可能な帽子に固定されていたりしてもよい。
このような位置センサ61は、図6に示すように、中心軸が互いに直交するX方向検出コイル(第1のコイル)611と、Y方向検出コイル(第2のコイル)612と、Z方向検出コイル(第3のコイル)613とで構成される。
【0056】
磁界発生部62としては、例えば、位置センサ61とほぼ同じ構成のもの、すなわち、直交コイル式(直交コイル型)の磁界発生器(X方向コイル、Y方向コイル、Z方向コイル)を用いることができる。このような磁界発生部62は、作動制御装置8と接続されており、作動制御装置8により電圧が印加されることで磁界を発生する。
磁界発生部62で発生した磁界は、位置センサ61で検出される。この場合、磁界発生部62のX方向コイル、Y方向コイルおよびZ方向コイルから、順次、磁界を発生し、それぞれを、位置センサ61のX方向検出コイル611、Y方向検出コイル612およびZ方向検出コイル613の3つのコイルで検出する。
【0057】
位置センサ61によってXYZ各方向について検出された各信号(検出データ)は、それぞれ、信号処理部63の増幅部631にて増幅され、A/D変換部632にてデジタル信号に変換された後、情報処理部64に送信される。
情報処理部64では、前記信号を受信し、その信号(情報)に基づいて、観測者の位置(すなわち、3次元座標)を導出する。このように位置検出手段6を設けることにより、観測者の位置を正確かつ確実に求めることができる。
【0058】
次に、駆動パターン生成手段7について説明する。
図7に示すように、駆動パターン生成手段7は、観測点P1、P2の3次元座標及びその観測方向を格納する観測点情報用格納部711と、画像形成装置本体3の3次元座標及びその方向を格納する画像描画装置情報用格納部712、光走査面21の形状を定義する形状特定部72と、観測者用仮想スクリーンを設定する観測者用仮想スクリーン設定部731と、画像描画装置用仮想スクリーンを設定する画像描画装置用仮想スクリーン設定部732と、観測者用仮想スクリーンと画像描画装置用仮想スクリーンSS1とを対応付けたルックアップテーブル(以下、単に「LUT」と言う)を記録するLUT記録部74と、LUT記録部74から所定のLUTを選択するLUT選択部75と、画像描画装置用仮想スクリーン上に変換した画像を表示させる事で、観測者用仮想スクリーン上に観測画像を仮想的に形成する画像形成部76と、光源ユニット4の駆動パターンを生成する生成部77とを有している。
【0059】
観測点情報用格納部711には、観測点P1、P2の3次元座標とその観測方向がそれぞれ格納されている。このように複数の観測点の3次元座標を格納することにより、その中から観測者の位置に応じて最も適した観測点を選択でき、画像形成装置1の画像描画特性が向上する。なお、本実施形態では、観測点として観測点P1、P2の2箇所を設定したものについて説明しているが、設定する観測点の数としては、これに限定されず、1箇所のみであってもよいし、3箇所以上であってもよい。言うまでもないが、設定された観測点の数が多ければ多いほど、前記効果が顕著となる。
【0060】
画像描画装置情報用格納部712には、画像形成装置本体3の3次元座標及びその向きが格納されている。
観測点P1、P2の3次元座標、その観測方向は、それぞれ、例えば画像形成装置1の製造時や出荷時に、予め観測点情報用格納部711に格納しておくことが好ましい。これにより、画像形成装置1を使用する前に、その3次元座標を入力(設定)する必要がなくなり、画像形成装置1の操作の煩雑化を防止できる。
【0061】
形状特定部72は、前記特定部91と同様に、スクリーン2の光走査面21の形状を図11で示されるような複数のポリゴンの集合体として定義し、前述したように、特定部91から送信された各頂点G1〜Gnの3次元座標のデータをそれぞれ格納する。
観測者用仮想スクリーン設定部731は、観測点P1とスクリーン2との間および観測点P2とスクリーン2との間に、それぞれ、観測者用仮想スクリーンS1および観測者用仮想スクリーンS2を仮想的に設定する。また、観測者用仮想スクリーン設定部731は、各観測者用仮想スクリーンS1上に、多数の点(微小領域)Q1、Q2…Qm(ただし、mは自然数である)を設定し、各点Q1〜Qmの3次元座標をそれぞれ格納する。観測者用仮想スクリーン設定部731は、観測者用仮想スクリーンS2についても同様の3次元座標を格納する。
【0062】
図1に示すように、観測者用仮想スクリーンS1は平面状をなし、観測点P1と光走査面21のほぼ中央とを通る線分に対して直交するよう設定される。また、観測点P1から見た平面視にて、観測者用仮想スクリーンS1の領域内に、光走査面21の全域が含まれていることが好ましい。
なお、点Q1〜Qmは、観測者用仮想スクリーンS1上に規則的に設定されていてもよいし、不規則に設定されていてもよいが、配置は表示する映像のデータと一致させるのが好ましい。例えば、図24に示すように、表示する映像データSDが、v行×u列(v、uはともに自然数)のデータ配置で、左上の画像データから格子状に規則正しく並んだ状態であれば、点Q1〜Qmも観測者用仮想スクリーンS1の一番左上の点から規則正しく並べて設定する。また、設定する点Qの数が多いほど、より鮮明な画像を光走査面21に描画することができる。この点の数としては、光走査面21の大きさ(面積)などによっても異なるが、1万〜1000万個(例えば、横640個×縦480個)であることが好ましい。
【0063】
同様に、画像描画装置用仮想スクリーン設定部732は、画像形成装置本体3とスクリーン2との間に、画像描画装置用仮想スクリーンSS1を仮想的に設定する。
図1に示すように、画像描画装置用仮想スクリーンSS1も観測者用仮想スクリーンS1、観測者用仮想スクリーンS2と同様に平面状をなし、画像形成装置本体3と光走査面21のほぼ中央とを通る線分に対して直交するよう設定される。また、画像形成装置本体3から見た平面視にて、画像描画装置用仮想スクリーンSS1の領域内に、光走査面21の全域が含まれていることが好ましい。
【0064】
図10に示すように、画像描画装置用仮想スクリーン設定部732は、画像描画装置用仮想スクリーンSS1上に、画像描画装置から出射される光の軌跡78上の多数の点(以下描画点という)D1、D2・・・Dk(ただしkは自然数である)を設定し、各描画点D1〜Dkの3次元座標をそれぞれ格納する。このように、軌跡78上に描画点D1〜Dkを設定することにより、すべての描画点にレーザ光LLを照射し得るため、描画特性が向上する。
これらの描画点D1〜Dkの隣り合う間隔は、画像形成装置本体3の最大分解能力に設定するのが好ましい。
なお、この点の数としては、画像形成装置本体3の最大解像度と同等(例えば、横1280×縦960)である事が望ましい。
【0065】
LUT記録部74には、観測点P1からスクリーン2を見た場合に、点Q1〜Qmが、それぞれ、描画点D1〜Dk中どの描画点と対応するかを対応付けたLUT741と、これと同様に、観測点P2からスクリーン2を見た場合に、点Q1〜Qmが、それぞれ、描画点D1〜Dk中どの描画点と対応するかを対応付けたLUT742とが記録されている。
【0066】
以下、前記対応付けの方法について、第1の方法および第2の方法を説明する。なお、言うまでもないが、対応付けの方法は、以下に説明する方法に限定されるものではない。また、対応付けの方法としては、観測者用仮想スクリーンS1(観測点P1)、S2(P2)で互いに同様であり、さらに、点Q1〜Qmで互いに同様であるため、以下では、説明の便宜上、観測者用仮想スクリーンS1の点Q1について代表して説明し、その他については、その説明を省略する。
第1の方法では、まず、LUT記録部74は、観測点情報用格納部711および観測者用仮想スクリーン設定部731から、それぞれ、観測点P1の3次元座標、観測方向および観測者用仮想スクリーンS1上の点Q1の3次元座標を読み出し、双方の3次元座標に基づいて、観測点P1と点Q1とを通る線分(以下、「線分L」と言う)を求める。
【0067】
次いで、LUT記録部74は、形状特定部72に格納された各頂点G1〜Gnの3次元座標を読み出し、線分Lが図11で示すように、頂点G1〜Gm中中の近接する3点で決定されるポリゴンとどの座標で交わるかを求める。図8に示すように、線分Lは、交点T1で交わっている。
更に、LUT記録部74は、画像描画装置情報用格納部712、および画像描画装置用仮想スクリーン設定部732から、それぞれ、画像形成装置本体3の3次元座標、向き、および画像描画装置用仮想スクリーンSS1上の座標情報を読み出し、双方の3次元座標に基づいて、交点T1と画像形成装置本体3とを通る線分(以下、「線分L1」と言う)を求め、画像描画装置用仮想スクリーンSS1とこのL1との交点の座標(画像描画装置用仮想スクリーンSS1上での座標)を求め、更に描画点D1〜Dkの中から、この交点にもっとも距離が近い描画点を実際の交点とする。図9では、D1が一番近かったため、交点を描画点D1としている。
【0068】
また、LUT記録部74は、描画点D1の座標と点Q1とを対応付け、その情報をLUT741に記録する。このようにして、描画点D1が点Q1に対応付けられ、描画点D1が対応する光走査面21の部位(微小領域)の3次元座標(位置)を求めることができる。このような方法によれば、比較的簡単にかつ正確に、前記対応付けをすることができる。なお、線分Lが頂点G1〜Gnの近接する3点で決定されるポリゴンのいずれとも交わらない場合、もしくは線分L1が画像描画装置用仮想スクリーンSS1とも交わらない場合には、スクリーンの範囲外という事であり、非表示として、0を対応付けする。
【0069】
最後に、画像描画装置用仮想スクリーンSS1上の座標全てをチェック対応付けが無い座標に関しては、上下左右の座標で対応付けが行われている座標から線形補間等の手法で対応付けを行い、図13に示すようなLUTを生成する。
図13のLUTでは、交点Q1〜Qm(ただしrやsは1からmまでの自然数である)を線形補間して描画点D1〜Dkに対応付けている。
【0070】
次に、前記対応付けの第2の方法について説明するが、以下では、説明の便宜上、画像描画装置用仮想スクリーンSS1上に設定された描画点D1(点Q1)について代表して説明し、その他については、その説明を省略する。
第2の方法では、まず、光走査面21の形状を特定する際に使用するレーザ光LLのタイミングを、描画点D1〜Dkに一致させて測定し、各頂点G1〜Gnの3次元座標のデータと対応する描画点を形状特定部72に収納する。つまり描画点D1〜Dkに対して、頂点G1〜Gnをあらかじめ対応づけて形状特定部72に格納しておく。この事により、交点T1〜Tnは頂点G1〜Gnと必ず一致するため、第一の方法のようにT1〜Tnを求める必要は無く、計算が簡略化され、以後は頂点G1〜Gnを用いて計算を行えばよい。
【0071】
LUT記録部74は、観測点情報格納部711および形状特定部72から、それぞれ、観測点P1の3次元座標および光走査面21上に設定された頂点G1の3次元座標、対応する描画点の番号(この場合はD1)を読み出し、双方の3次元座標に基づいて、観測点P1と点G1とを通る線分(以下、「線分L’」と言う)を求める。
次いで、LUT記録部74は、観測者用仮想スクリーン設定部731に格納された各点Q1〜Qmの3次元座標を読み出し、線分L’が点Q1〜Qm中いずれの点と交わるかを求める。図8に示すように、線分L’は、点Q1と交わっているため、LUT記録部74は、頂点G1と対応づけられた描画点D1を、点Q1と対応付け、その情報をLUT741に記録する。このようにして、画像描画装置用仮想スクリーンSS1上の描画点D1に対して観測者用仮想スクリーンS1上の点Q1を対応づけることができる。
【0072】
なお、線分L’が点Q1〜Qmのいずれの点とも交わらない場合の処理の方法としては、例えば、線分L’と観測者用仮想スクリーンS1との交点がS1上にある場合には、その交点に対して最も近位に位置する点を描画点D1と対応付け、前記交点が前記S1上に存在しない場合は、描画点D1を非表示として、0を対応付け、前記図13に示すようなLUTを生成する。
【0073】
LUT選択部75は、前述した位置検出手段6によって検出された観測者の位置と、観測点情報用格納部711に格納された観測点P1、P2の3次元座標に基づいて、LUT741、742から一方のLUTを選択する。これにより、LUT741、742のうちから最適なLUTを選択することができ、観測者がスクリーン2を見たときに、観測画像として認識される画像を光走査面21上に描画することができる。すなわち、光走査面21の非平面形状に起因する画像の歪みが相殺された画像を光走査面21上に描画することができる。
【0074】
LUT741、742から一方を選択する方法としては、例えば、観測点P1、P2のうち、観測者の位置から近い方の観測点を選択し、その観測点に対応するLUTを選択する方法が挙げられる。これにより、前記効果が顕著となる。
また、観測者とスクリーン2のほぼ中央部とを結ぶ直線上または当該直線から最も近位に位置する観測点を選択し、その観測点に対応するLUTを選択するように構成してもよい。なお、前記直線上に複数の観測点が位置する場合には、それらの中で最も観測者に近位に位置する観測点を選択するのが好ましい。
【0075】
なお、以下では、説明の便宜上、LUT741を選択した場合について代表して説明する。
画像形成部76は、図示しない外部装置から入力された観測画像信号に基づいて、観測者用仮想スクリーンS1上に観測画像を仮想的に形成する。また、画像形成部76は、観測者用仮想スクリーンS1上に形成された観測画像に基づいて、観測者用仮想スクリーンS1上に設定された各点Q1〜Qmについて、その点に対応する領域に表示されている色を特定する。
【0076】
生成部77は、画像形成部76で特定された各点Q1〜Qmの色情報と、LUT選択部75で選択されたLUT741とに基づいて、光源ユニット4の駆動パターンを生成する。
具体的に説明すれば、生成部77は、各点Q1〜Qmの色情報に基づいて、LUT741によって各点Q1〜Qmと対応付けされている描画点D1〜Dkに、それぞれ、その描画点と対応付けされた点(例えば描画点D1であれば点Q1)と同色のレーザ光LLが投射されるような駆動パターンを生成する。すなわち、生成部77は、画像描画装置用仮想スクリーンSS1上の描画点D1〜Dk中どの描画点に何色のレーザ光LLを投射すればよいかを決定する。このように生成された駆動パターンによれば、観測者が観測点P1からスクリーン2を見たとき、観測者に観測画像を視認させることができる。このようにして生成された駆動パターンに関する信号(情報)は、作動制御装置8へ送信される。
【0077】
作動制御装置8は、挙動検知手段52から送信された一対の可動板511a、511aの挙動に関する信号を受信している。そのため、生成部77で生成された駆動パターンに対応させて、例えば、一対の可動板511a、511aのそれぞれの傾きが描画点D1に対応するものとなるとほぼ同時に、点Q1と同色のレーザ光LLを出射するよう光源ユニット4を作動することにより、観測者がスクリーン2を見たときに、観測画像として認識される画像を光走査面21上に描画することができる。
【0078】
以上説明したように、この画像形成装置1によれば、スクリーン2の光走査面21の位置や形状が不明であっても、光走査面21の位置および形状を特定することができ、これにより、その光走査面21の位置および形状に応じて、観測者が観測点から光走査面21を見たときに、観測者に観測させたい観測画像が視認されるように、光走査面21に画像を描画することができる。
【0079】
また、光走査面21の形状が非平面であっても、光走査面21の非平面形状に起因して発生する画像の歪みが相殺され、これにより、観測者に観測画像を視認させることができる。すなわち、画像形成装置1により光走査面21に画像を描画したとき、例えば、画像形成装置本体3付近(観測点P1以外の位置)からスクリーン2を見ると、図14のように光走査面21の非平面形状に起因して画像が歪んで見えるが、観測点P1からスクリーン2を見ると、光走査面21の非平面形状に起因する画像の歪みが相殺された図15のような観測画像を視認することができる。
【0080】
なお、本実施形態では、予め、観測点P1、P2に対応するLUT741、742をそれぞれ作成し、LUT記録部74に記録しておくように構成されているが、これに限らず、例えば、観測点が選択された後に、その観測点に対応するLUTを作成するように構成してもよい。
また、基準位置からの光走査面21の各部位の距離を検出する方法は、前述した方法には限定されず、例えば、カメラの分野等で用いられている外光三角方式や、TTL方式等を用いることもできる。さらには、光学的に検出する方法に限らず、例えば、超音波等を用いる方法を採用してもよい。
【0081】
また、本実施形態では、スクリーン2の光走査面21の形状が非平面である場合を想定したが、これに限らず、光走査面21の形状は、略平面であってもよい。
また、本実施形態では、スクリーン2として、光走査面21が実質的に一定の形状を保ち、光走査面21の位置も変位しない場合を想定したが、これに限らず、例えば、光走査面21の位置と形状とのいずれか一方または両方が、経時的に変化してもよい。光走査面21の位置と形状とのいずれか一方または両方が経時的に変化する場合は、光走査面21に画像を描画する際、その変化に対応して、随時、光走査面21の位置および形状を特定し、光源ユニット4の駆動パターンを生成するよう構成する。
【0082】
<第2実施形態>
次に、本発明の画像形成装置の第2実施形態について説明する。
図16は、本発明の画像形成装置の第2実施形態における画像描画装置本体を示すブロック図である。
以下、第2実施形態の画像表示装置について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0083】
第2実施形態では、スクリーン2として、光走査面21の位置と形状の少なくとも一方が経時的に変化する(変化し得る)場合を想定する。なお、光走査面21が実質的に一定の形状を保ち、光走査面21の位置も変位しない場合にも適用することができることは、言うまでもない。
図16に示すように、第2実施形態の画像形成装置1では、特定手段9は、測定光を出射する測定光出射部としてレーザ光源94およびコリメータレンズ95と、特定部91と、検出部92と、ハーフミラー93とを備えている。
【0084】
レーザ光源94としては、例えば、赤外光(赤外線)等の可視光以外の光を出射するものを用いるのが好ましい。これにより、スクリーン2の光走査面21に描画される画像の視認性の劣化を防止することができる。この場合、ハーフミラー93は、レーザー光源94の周波数のみの光の一部を反射するようにすれば、描画用のレーザー光源41r、41g、41bに影響を与えることなく検出する事が可能となり画像描画特性が向上する。
【0085】
また、レーザ光源94として、可視光を出射するものを用いてもよく、この場合は、測定用のレーザ光源94が、描画用のレーザー光源41r、41g、41bと異なる周波数の光源を用い、かつ測定光が、光走査面21に描画される画像に影響を与えないように、すなわち、観測者が測定光を視認できないように、レーザ光源94等を駆動するのが好ましい。
レーザ光源94から射出したレーザ光(測定光)96は、コリメータレンズ95によって平行化されて細いビームとされる。
【0086】
この画像形成装置1では、スクリーン2の光走査面21の位置および形状を特定しつつ(各頂点G1〜Gnの3次元座標を求めつつ)、同時に、その情報を利用して、画像描画装置用仮想スクリーンSS1上の描画点D1〜Dkと観測者用仮想スクリーンS1上の点Q1〜Qmとの対応付けを行い、光源ユニット4の駆動パターンを生成し、光走査面21に画像を描画する。すなわち、光走査面21に画像を描画する際、特定手段9は、検出用レーザ光を同時に走査する事で、順次、各頂点G1〜Gnの3次元座標を求める。この際、レーザ光96は、レーザ光源94から間欠的に出射される。
【0087】
代表的に、頂点G1の3次元座標を求めた場合のその後の動作を説明すると、その頂点G1は、画像描画装置用仮想スクリーンSS1上の描画点D1に相当するため、この描画点D1と観測者用仮想スクリーンS1上の点Q1〜Qmに対する対応付けを行い、その対応付けされた点に対応する領域に表示されている色を特定しLUT記録部74に次フレーム用LUTとして保持する。ここで、描画用レーザと検出用レーザは同じ位置を照射しているため、描画用として使用するLUTは1フレーム前のものを用いる。その結果に応じて、対応する色のレーザ光LLが、描画点D1に投射されるように、レーザ光源41r、41g、41bを駆動する。例えば、点Q1と描画点D1とが対応し、点Q1と描画点D1とを対応付けた場合、点Q1に対応する領域に表示されている色が赤色であれば、赤色のレーザ光RRのみが描画点D1に投射されるようにレーザ光源41r、41g、41bを駆動する。
【0088】
以降、Q2〜Qmについても、順次、同様の動作を行う。
対応付けの方法としては、前述した第1の方法と第2の方法のいずれも用いることができるが、第2の方法が、処理を迅速に行うことができるため、好ましい。
この画像形成装置1によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
そして、この画像形成装置1では、対象物の投影面の形状の変化に予測の付く場合は、もちろんのこと、予測の付かない場合でも、観測者が観測点から投影面を見たときに、観測者に観測させたい観測画像が視認されるように、投影面に画像を描画することができる。例えば、対象物として旗を用い、その旗に静止画像を描画した場合、その旗の形状が風等によって不規則に変化しても、歪のない同一の画像が表示された状態が持続する。
【0089】
<第3実施形態>
次に、本発明の画像形成装置の第3実施形態について説明する。
図17は、本発明の画像形成装置の第3実施形態における画像描画装置本体を示すブロック図である。なお、図17におけるアクチュエータ51と測定光出射部97、98の位置関係は、厳密なものではない。また、図17の測定光出射部98は、測定光出射部97と同じ構成であるため省略してある。
【0090】
以下、第3実施形態の画像表示装置について、前述した第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第3実施形態では、スクリーン2として、光走査面21の位置と形状の少なくとも一方が経時的に高速に変化する(変化し得る)場合を想定する。
図17に示すように、第3実施形態の画像形成装置1では、1組の測定光出射部97、98を備えている。測定光出射部97からはレーザ光96が、測定光出射部98からはレーザ光99が出力される。出力された検出用のレーザ光96、99は、描画用のレーザ光LLに対して、それぞれのα0、α1入射角でアクチュエータ51上の同じ位置に照射される。なおこれら検出用のレーザ光96、99は、アクチュエータ51の回転軸Jに対して垂直に入射される。
【0091】
一方アクチュエータ51は、往復運動を行っており、画像描画装置用仮想スクリーンSS1上の描画点D1〜Dkは、図10で示すように、左から右に描画した後は、右から左に描画するというように描画方向を入れ替えて動作する。測定光出射部97、98は常にこの描画方向の少し先(これから描画する先)のスクリーン2の光走査面21の位置および形状を特定するため、それぞれの測定光出射部は、描画方向を切り替えるのと同時に切り替えて動作する。
【0092】
例えば、図18に示すように、左から右に描画している時、描画点Ddを描画する場合には、測定光出射部97のみを動作させ(測定光出射部98は停止)、この測定光出射部97を使用し、現在の描画点Ddの先の点Dsのスクリーン2の光走査面21の位置および形状を特定する。逆に、右から左に描画している時、描画点Dd‘を描画する場合には、測定光出射部98のみを動作させ(測定光出射部97は停止)、現在の描画点Dd’の先の点Ds‘のスクリーン2の光走査面21の位置および形状を特定する。
【0093】
このようにして、この画像形成装置1では、第2実施形態と同様に、光走査面21に画像を描画する。
また、描画用のレーザ光LLに対する検出用のレーザ光96、99それぞれの入射角α0、α1は等しいことが望ましい。更に、この角度を小さくすれば、測定点を描画点により近づける事が可能となり、測定してから実際にその測定点に描画するまでの時間を短縮でき、高速で変化するスクリーンに対応できるようになるため、好ましい。また、この角度を小さくすることにより測定点と実際に描画する点の誤差が小さくなるため、スクリーン2の光走査面21の位置および形状を特定する精度も向上する。
この画像形成装置1によれば、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
そして、この画像形成装置1では、対象物の投影面の形状の変化が高速な場合でも、観測者が観測点から投影面を見たときに、観測者に観測させたい観測画像が視認されるように、投影面に画像を描画することができる。
【0094】
<第4実施形態>
次に、本発明の画像形成装置の第4実施形態について説明する。
図19は、本発明の画像形成装置の第4実施形態における画像描画装置本体を示すブロック図である。なお、図19におけるスクリーン2と光走査部50の位置関係は、厳密なものではない。
【0095】
以下、第4実施形態の画像表示装置について、前述した第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第4実施形態では、スクリーン2として、光走査面21の位置と形状の少なくとも一方が経時的に変化する(変化し得る)場合を想定する。なお、光走査面21が実質的に一定の形状を保ち、光走査面21の位置も変位しない場合にも適用することができることは、言うまでもない。
【0096】
図19に示すように、第4実施形態の画像形成装置1では、特定手段9は、測定光を出射する測定光出射部としてレーザ光源94およびコリメータレンズ95と、前述した光走査部5と同様の一対のアクチュエータ51、51および各アクチュエータ51の挙動を検知する挙動検知手段52とを有する光走査部(測定光走査部)50と、特定部91と、検出部92と、ハーフミラー93とを備えている。なお、レーザ光源94、コリメータレンズ95および光走査部50により、照射部が構成される。
【0097】
この画像形成装置1では、第2実施形態と同様に、スクリーン2の光走査面21の位置および形状を特定しつつ(各頂点G1〜Gnの3次元座標および交点T1〜Tnを求めつつ)、同時に、その情報を利用して、画像描画装置用仮想スクリーンSS1上の描画点D1〜Dkと観測者用仮想スクリーンS1上の点Q1〜Qmとの対応付けを行い、光源ユニット4の駆動パターンを生成し、光走査面21に画像を描画する。すなわち、光走査面21に画像を描画する際、特定手段9は、第3実施形態と同様に、光走査部5によるレーザ光LLの走査に先行し、そのレーザ光LLの走査とともに、光走査部50により、レーザ光96を走査し、順次、各頂点G1〜Gnの3次元座標を求める。この際、レーザ光96は、レーザ光源94から間欠的に出射される。
【0098】
対応付けの方法としては、前述した第1の方法が好ましい。
この画像形成装置1によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
そして、この画像形成装置1では、対象物の投影面の形状の変化に予測の付く場合は、もちろんのこと、予測の付かない場合でも、観測者が観測点から投影面を見たときに、観測者に観測させたい観測画像が視認されるように、投影面に画像を描画することができる。
【0099】
<第5実施形態>
次に、本発明の画像形成装置の第5実施形態について説明する。
図20は、本発明の第5実施形態に係る画像描画装置が備えるアクチュエータを示す模式的平面図、図21は、図20中のB−B線断面図、図22は、図20に示すアクチュエータが備える駆動手段を示すブロック図、図23は、図22に示す第1の電圧発生部および第2の電圧発生部での発生電圧の一例を示す図である。なお、以下では、説明の便宜上、図20中の紙面手前側を「上」、紙面奥側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言い、図21中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。
【0100】
以下、第5実施形態の画像表示装置について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第5実施形態の画像形成装置は、光走査部が備えるアクチュエータの構成が異なる以外は、第1実施形態とほぼ同様である。
光走査部5は、1つのアクチュエータ53を有している。
【0101】
アクチュエータ53は、図20に示すような第1の振動系54aと第2の振動系54bと支持部54cとを備える基体54と、基体54と対向配置された対向基板56と、基体54と対向基板56との間に設けられたスペーサ部材55と、永久磁石57と、コイル58とを備えている。
第1の振動系54aは、枠状の支持部54cの内側に設けられた枠状の駆動部541aと、駆動部541aを支持部54cに両持ち支持する1対の第1の連結部542a、543aとで構成されている。
【0102】
第2の振動系54bは、駆動部541aの内側に設けられた可動板541bと、可動板541bを駆動部541aに両持ち支持する1対の第2の連結部542b、543bとで構成されている。
駆動部541aは、図20の平面視にて、円環状をなしている。なお、駆動部541aの形状は、枠状をなしていれば特に限定されず、例えば、図20の平面視にて、四角環状をなしていてもよい。このような駆動部541aの下面には、永久磁石57が接合されている。
【0103】
第1の連結部542a、543aは、それぞれ、長手形状をなしており、弾性変形可能である。第1の連結部542a、543aは、それぞれ、駆動部541aを支持部54cに対して回動可能とするように、駆動部541aと支持部54cとを連結している。このような、第1の連結部542a、543aは、互いに同軸的に設けられており、この軸(以下、「回動中心軸J1」という)を中心として、駆動部541aが支持部54cに対して回動するように構成されている。
【0104】
第1の連結部542aには、可動板541bの挙動(回動中心軸J1まわりの回動角)を検知するための圧電素子521が設けられている。
可動板541bは、図20の平面視にて、円形状をなしている。だたし、可動板541bの形状は、駆動部541aの内側に形成することができれば特に限定されず、例えば、図14の平面視にて、楕円形状をなしていてもよいし、四角形状をなしていてもよい。このような可動板541bの上面には、光反射性を有する光反射部544bが形成されている。
【0105】
第2の連結部542b、543bは、それぞれ、長手形状をなしており、弾性変形可能である。第2の連結部542b、543bは、それぞれ、可動板541bを駆動部541aに対して回動可能とするように、可動板541bと駆動部541aとを連結している。このような第2の連結部542b、543bは、互いに同軸的に設けられており、この軸(以下、「回動中心軸J2」という)を中心として、可動板541bが駆動部541aに対して回動するように構成されている。
第2の連結部542bには、可動板541bの挙動(回動中心軸J2まわりの回動角)を検知するための圧電素子521が設けられている。
【0106】
図20に示すように、回動中心軸J1と回動中心軸J2とは、互いに直交している。また、駆動部541aおよび可動板541bの中心は、それぞれ、図14の平面視にて、回動中心軸J1と回動中心軸J2との交点上に位置している。なお、以下、説明の便宜上、回動中心軸J1と回動中心軸J2との交点を「交点G」ともいう。
図21に示すように、以上のような基体54は、スペーサ部材55を介して対向基板56と接合している。対向基板56の上面には、永久磁石57に作用する磁界を発生させるコイル58が設けられている。
【0107】
永久磁石57は、図20の平面視にて、交点Gを通り、回動中心軸J1および回動中心軸J2のそれぞれの軸に対して傾斜した線分(以下、この線分を「線分M」と言う)に沿って設けられている。
このような永久磁石57は、交点Gに対して長手方向の一方側がS極、他方側がN極となっている。図21では、永久磁石57の長手方向の左側がS極、右側がN極となっている。
【0108】
図20の平面視にて、線分Mの回動中心軸Xに対する傾斜角θは、30〜60度であるのが好ましく、40〜50度であるのがより好ましく、ほぼ45度であるのがさらに好ましい。このように永久磁石57を設けることで、円滑に、可動板541bを回動中心軸J1および回動中心軸J2のそれぞれの軸まわりに回動させることができる。本実施形態では、線分Mは、回動中心軸Xおよび回動中心軸Yのそれぞれの軸に対して約45度傾斜している。
また、図21に示すように、永久磁石57の上面には、凹部57aが形成されている。この凹部57aは、永久磁石57と可動板541bとの接触を防止するための逃げ部である。このような凹部57aを形成することで、可動板541bが回動中心軸J2まわりに回動する際、永久磁石57と接触してしまうことを防止することができる。
【0109】
コイル58は、図20の平面視にて、駆動部541aの外周を囲むように形成されている。これにより、アクチュエータ53の駆動の際、駆動部541aとコイル58との接触を確実に防止することができる。その結果、コイル58と永久磁石57との離間距離を比較的短くすることができ、コイル58から発生する磁界を効率的に永久磁石57に作用させることができる。
コイル58は、電圧印加手段59と電気的に接続されていて、電圧印加手段59によりコイル58に電圧が印加されると、コイル58から回動中心軸J1および回動中心軸J2のそれぞれの軸に直交する軸方向の磁界が発生する。
【0110】
図22に示すように、電圧印加手段59は、可動板541bを回動中心軸J1まわりに回動させるための第1の電圧V1を発生させる第1の電圧発生部591と、可動板541bを回動中心軸J2まわりに回動させるための第2の電圧V2を発生させる第2の電圧発生部592と、第1の電圧V1と第2の電圧V2とを重畳し、その電圧をコイル58に印加する電圧重畳部593とを備えている。
【0111】
第1の電圧発生部591は、図23(a)に示すように、周期T1で周期的に変化する第1の電圧V1(垂直走査用電圧)を発生させるものである。
第1の電圧V1は、鋸波のような波形をなしている。そのため、アクチュエータ53は、効果的に光を垂直走査(副走査)することができる。なお、第1の電圧V1の波形は、これに限定されない。ここで、第1の電圧V1の周波数(1/T1)は、垂直走査に適した周波数であれば、特に限定されないが、30〜80Hz(60Hz程度)であるのが好ましい。
本実施形態では、第1の電圧V1の周波数は、駆動部541aと1対の第1の連結部542a、543aとで構成された第1の振動系54aのねじり共振周波数と異なる周波数となるように調整されている。
【0112】
一方、第2の電圧発生部592は、図23(b)に示すように、周期T1と異なる周期T2で周期的に変化する第2の電圧V2(水平走査用電圧)を発生させるものである。
第2の電圧V2は、正弦波のような波形をなしている。そのため、アクチュエータ53は効果的に光を主走査することができる。なお、第2の電圧V2の波形は、これに限定されない。
【0113】
このような第2の電圧V2の周波数は、第1の電圧V1の周波数よりも高いのが好ましい。これにより、より確実かつより円滑に、可動板541bを回動中心軸J1まわりに第1の電圧V1の周波数で回動させつつ、回動中心軸J2まわりに第2の電圧V2の周波数で回動させることができる。
また、第2の電圧V2の周波数は、第1の電圧V1の周波数と異なり、かつ、水平走査に適した周波数であれば、特に限定されないが、10〜40kHzであるのが好ましい。このように、第2の電圧V2の周波数を10〜40kHzとし、前述したように第1の電圧V1の周波数を60Hz程度とすることで、スクリーンでの描画に適した周波数で、可動板541bを回動中心軸J1および回動中心軸J2のそれぞれの軸まわりに回動させることができる。ただし、可動板541bを回動中心軸J1および回動中心軸J2のそれぞれの軸まわりに回動させることができれば、第1の電圧V1の周波数と第2の電圧V2の周波数との組み合わせなどは、特に限定されない。
【0114】
本実施形態では、第2の電圧V2の周波数は、可動板541bと1対の第2の連結部542b、543bとで構成された第2の振動系54bのねじり共振周波数と等しくなるように調整されている。これにより、可動板541bの回動中心軸J2まわりの回動角を大きくすることができる。
また、第1の振動系54aの共振周波数をf[Hz]とし、第2の振動系54bの共振周波数をf[Hz]としたとき、fとfとが、f>fの関係を満たすことが好ましく、f≧10fの関係を満たすことがより好ましい。これにより、より円滑に、可動板541bを回動中心軸J1まわりに第1の電圧V1の周波数で回動させつつ、回動中心軸J2まわりに第2の電圧V2の周波数で回動させることができる。
【0115】
第1の電圧発生部591および第2の電圧発生部592は、それぞれ、作動制御装置8に接続され、この作動制御装置8からの信号に基づき駆動する。このような第1の電圧発生部591および第2の電圧発生部592には、電圧重畳部593が接続されている。
電圧重畳部593は、コイル58に電圧を印加するための加算器593aを備えている。加算器593aは、第1の電圧発生部591から第1の電圧V1を受けるとともに、第2の電圧発生部592から第2の電圧V2を受け、これらの電圧を重畳しコイル58に印加するようになっている。
【0116】
以上のような構成のアクチュエータ53は、次のようにして駆動する。
例えば、図23(a)に示すような第1の電圧V1と、図23(b)に示すような電圧V2とを電圧重畳部593にて重畳し、重畳した電圧をコイル58に印加する(この重畳された電圧を「電圧V3」ともいう)。
すると、電圧V3中の第1の電圧V1に対応する電圧によって、永久磁石57のS極側をコイル58に引き付けようとするとともに、N極側をコイル58から離間させようとする磁界と、永久磁石57のS極側をコイル58から離間させようとするとともに、N極側をコイル58に引き付けようとする磁界とが交互に切り換わる。これにより、第1の連結部542a、543aを捩れ変形させつつ、駆動部541aが可動板541bとともに、第1の電圧V1の周波数で回動中心軸J1まわりに回動する。
【0117】
なお、第1の電圧V1の周波数は、第2の電圧V2の周波数に比べて極めて低く設定されており、また、第1の振動系54aの共振周波数は、第2の振動系54bの共振周波数よりも低く設計されている。そのため、第1の振動系54aは、第2の振動系54bよりも振動しやすくなっており、第1の電圧V1によって、可動板541bが回動中心軸J2まわりに回動してしまうことを防止することができる。
【0118】
一方、電圧V3中の第2の電圧V2に対応する電圧によって、永久磁石57のS極側をコイル58に引き付けようとするとともに、N極側をコイル58から離間させようとする磁界と、永久磁石57のS極側をコイル58から離間させようとするとともに、N極側をコイル58に引き付けようとする磁界とが交互に切り換わる。これにより、第2の連結部542b、543bを捩れ変形させつつ、可動板541bが第2の電圧V2の周波数で回動中心軸J2まわりに回動する。
【0119】
なお、第2の電圧V2の周波数が第2の振動系54bのねじり共振周波数と等しいため、第2の電圧V2によって、支配的に、可動板541bを回動中心軸J2まわりに回動させることができる。そのため、第2の電圧V2によって、可動板541bが回動中心軸J1まわりに回動してしまうことを防止することができる。
以上のようなアクチュエータ53によれば、1つのアクチュエータで2次元的に光を走査でき、光走査部5の省スペース化を図ることができる。また、例えば、第1実施形態のように一対のアクチュエータを用いる場合には、アクチュエータ同士の相対的位置関係を高精度に設定しなければならないが、本実施形態ではその必要がないため、製造の容易化を図ることができる。
【0120】
このような第5実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
なお、この第5実施形態は、第4実施形態にも適用することができる。すなわち、第4実施形態における光走査部5および50のアクチュエータとして、それぞれ、第5実施形態におけるアクチュエータ53を用いることができる。
【0121】
以上、本発明の画像形成装置について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明の画像形成装置では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
また、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0122】
また、前述した実施形態では、画像形成装置本体がスクリーン上に画像を描画するものについて説明したが、これに限定されず、例えば、岩、壁などに画像を描画してもよい。
また、前述した実施形態では、予め設定された複数の観測点から最適な観測点を選択するよう構成されているものについて説明したが、これに限定されず、例えば、観測点が1箇所しか設定されていないものであってもよい。これによれば、予め設定された観測点からスクリーンを見なければ、スクリーンに映し出された画像を正確に認識することができない。すなわち、観測点に立つ観測者には、画像を認識できるが、その周りにいる人々には、画像が歪んで見え、認識することができない。
【0123】
このような性質を利用すれば、例えば、遊園地におけるアトラクションの待ち時間中に、所定の位置に来たときだけマスコットの画像が認識できるよう構成することで、待人の気分を高め、待ち時間をより快適とすることができる。この場合、画像形成装置によって、予め配置されているスクリーンに画像を描画してもよいし、例えば、付近にある岩や壁に画像を描画してもよい。
また、前述した実施形態では、観測者の位置を検出して、その検出結果に基づいて、複数の観測点から最適な観測点を選択するよう構成されているものについて説明したが、これに限定されず、例えば、観測者が複数の観測点のうちからいずれかを選択するものであってもよい。すなわち、観測者の位置を検出する位置検出手段を省略してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明の画像形成装置の第1実施形態を示す構成図である。
【図2】図1に示すスクリーンを示す模式的斜視図である。
【図3】図1の画像描画装置を示すブロック図である。
【図4】図3のアクチュエータを示す模式的斜視図である。
【図5】図4に示すアクチュエータの駆動を示す模式的断面図である。
【図6】図3の位置検出手段を示すブロック図である。
【図7】図3の駆動パターン生成部を示すブロック図である。
【図8】図7のLUT記録部のLUTの作成方法を示す図である。
【図9】図7のLUT記録部のLUTの作成方法を示す図である。
【図10】図9の画像描画装置用仮想スクリーンの設定例を示す図である。
【図11】図8の光走査面形状ポリゴンの設定例を示す図である。
【図12】図8の光走査面形状ポリゴンと交点の例を示す図である。
【図13】図9のLUTの例を示す図である。
【図14】図1に示すスクリーンに描画された画像を観測点以外の場所から観測したときの模式図である。
【図15】図1に示すスクリーンに描画された画像を観測点から観測したときの模式図である。
【図16】本発明の画像形成装置の第2実施形態における画像描画装置本体を示すブロック図である。
【図17】本発明の画像形成装置の第3実施形態における画像描画装置本体を示すブロック図である。
【図18】本発明の画像形成装置の第3実施形態における画像描画装置用仮想スクリーン上の描画点と測定点の関係を示す図である。
【図19】本発明の画像形成装置の第4実施形態における画像描画装置本体を示すブロック図である
【図20】本発明の第5実施形態に係る画像描画装置が備えるアクチュエータを示す模式的平面図である。
【図21】図20中のB−B線断面図である。
【図22】図20に示すアクチュエータが備える駆動手段を示すブロック図である。
【図23】図22に示す第1の電圧発生部および第2の電圧発生部での発生電圧の一例を示す図である。
【図24】表示する映像データのデータ配置の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0125】
1……画像形成装置 2……スクリーン 21……光走査面 21a……第1凹凸領域 21b……第2凹凸領域 21c……第3凹凸領域 3……画像形成装置本体 4……光源ユニット(光出射部) 41r、41g、41b……レーザ光源 42r、42g、42b……コリメータレンズ 43r、43g、43b……ダイクロイックミラー 5、50……光走査部 51……アクチュエータ 511……基体 511a……可動板 511b……支持部 511c、511d……連結部 511e……光反射部 512……スペーサ部材 513……対向基板 514……永久磁石 515……コイル 52……挙動検知手段 521……圧電素子 522……起電力検出部 523……挙動検知部 53……アクチュエータ 54……基体 54a……第1の振動系 541a……駆動部 542a、543a……第1の連結部 54b……第2の振動系 541b……可動板 542b、543b……第2の連結部 544b……光反射部 54c……支持部 55……スペーサ部材 56……対向基板 57……永久磁石 57a……凹部 58……コイル 59……電圧印加手段 591……第1の電圧発生部 592……第2の電圧発生部 593……電圧重畳部 593a……加算器 6……位置検出手段 61……位置センサ 611……X方向検出コイル(第1のコイル) 612……Y方向検出コイル(第2のコイル) 613……Z方向検出コイル(第3のコイル) 62……磁界発生部 63……信号処理部 631……増幅部 632……A/D変換部 64……情報処理部 7……駆動パターン生成手段 711……観測点情報用格納部 712……画像描画装置情報用格納部 72……形状特定部 731……観測者用仮想スクリーン設定部 732……画像描画装置用仮想スクリーン設定部 74……LUT記録部 741、742……LUT 75……LUT選択部 76……画像形成部 77……生成部 78……画像描画装置から出射される光の軌跡 8……作動制御装置 9……特定手段 91……特定部 92……検出部 93……ハーフミラー 94……レーザ光源 95……コリメータレンズ 96、99……レーザ光 97、98……測定光出射部 α0、α1……角度 G1〜Gi〜Gn……ポリゴンの頂点 S1、S2……観測者用仮想スクリーン SS1……画像描画装置用仮想スクリーン Q1〜Qm……点 T1〜Tn……交点 D1〜Dk……描画点 P1、P2……観測点 LL、RR、GG、BB……レーザ光 L、L’……線分 Dd、Dd’……描画点 Ds、Ds’……測定点 SD……表示する映像データのデータ配置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の表面に設定された投影面に光を走査することにより画像を描画するよう構成され、
光を出射する光出射部と、
前記光出射部から出射された光を反射する光反射部を備えた可動板が少なくとも一方向または互いに直交する二方向へ回動可能に設けられ、当該回動によって前記光反射部で反射した光を前記投影面に走査するアクチュエータを有する光走査部と、
前記投影面の位置および形状を特定する特定手段と、
観測者が観測点から前記投影面を見たときに、前記観測者に観測させたい観測画像が視認されるように、前記特定手段により特定された形状において、前記投影面の非平面形状に起因した前記画像の歪みを相殺するような前記光出射部の駆動パターンを生成する駆動パターン生成手段と、
前記駆動パターン生成手段により生成された前記駆動パターンに対応させて、前記光出射部の作動を制御する制御手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
互いに直交するx軸、y軸およびz軸を有する座標系を想定し、
前記特定手段は、基準位置からの前記投影面の各部位の距離を光学的に検出する距離検出手段を有し、前記投影面を複数の多角形の集合体として定義し、該各多角形の頂点と前記投影面の各部位とをそれぞれ対応させ、前記距離検出手段の検出結果に基づいて、前記座標系における前記投影面の各部位の3次元座標を求め、前記投影面の位置および形状を特定するよう構成されている請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記距離検出手段は、測定光を出射する測定光出射部を有し、前記投影面に向けて測定光を照射する照射部と、前記測定光の前記投影面での反射光を検出する検出部とを備え、該検出部の検出結果に基づいて、基準位置からの前記投影面の各部位の距離を求める請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記光出射部および前記光走査部は、前記照射部の機能を有する請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記投影面は、経時的にその位置または形状が変化するよう構成されており、
前記投影面に画像を描画する際、前記特定手段は、前記変化に対応して、随時、前記投影面の位置および形状を特定し、前記駆動パターン生成手段は、観測者が観測点から前記投影面を見たときに、前記観測者に観測させたい観測画像が視認されるように、前記特定手段により特定された形状において、前記投影面の非平面形状に起因した前記画像の歪みを相殺するような前記光出射部の駆動パターンを生成するよう構成されている請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記投影面は、経時的にその位置または形状が変化するよう構成されており、
前記投影面に画像を描画する際、前記特定手段は、前記光走査部による光の走査に先行し、該光の走査とともに、前記測定光を走査し、前記3次元座標を求め、前記駆動パターン生成手段は、観測者が観測点から前記投影面を見たときに、前記観測者に観測させたい観測画像が視認されるように、前記特定手段により特定された形状において、前記投影面の非平面形状に起因した前記画像の歪みを相殺するような前記光出射部の駆動パターンを生成するよう構成されている請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記照射部は、前記測定光出射部から出射され測定光を反射する光反射部を備えた可動板が少なくとも一方向または互いに直交する二方向へ回動可能に設けられ、当該回動によって前記光反射部で反射した測定光を前記投影面に照射するアクチュエータを有する請求項3または6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記測定光は、前記画像に影響を与えないものである請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記駆動パターン生成手段は、前記観測点と前記投影面との間に仮想的な観測者用仮想スクリーンを設定し、前記観測者用仮想スクリーン上に設定された観測者用の多数の点を特定し、前記観測点から見たときの、前記観測者用仮想スクリーン上に設定された前記観測者用の多数の点を、それぞれ、前記投影面上の位置に対応付け、その対応付けられた前記投影面上の位置に前記光出射部から出射された光が照射されるような駆動パターンを生成する請求項1ないし8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記駆動パターン生成手段は、前記観測者用の多数の点について、それぞれ、その点および前記観測点を通る線分と前記投影面との交点の3次元座標を求めることにより、前記観測者用の多数の点と前記投影面の各部位とをそれぞれ対応付け、前記対応付けられた前記投影面上の位置を求める請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記駆動パターン生成手段は、前記投影面の各部位について、それぞれ、その部位および前記観測点を通る線分と前記観測者用仮想スクリーンとの交点の3次元座標を求めることにより、前記観測者用の多数の点と前記投影面の各部位とをそれぞれ対応付け、前記対応付けられた前記投影面上の位置を求める請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項12】
複数の前記観測点が設置されており、
前記観測者の位置を検出する位置検出手段を有し、
前記駆動パターン生成手段は、前記位置検出手段により検出された前記観測者の位置に基づいて、前記複数の観測点のうちからいずれかを選択する請求項1ないし11のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記複数の観測点のうち、前記観測者の位置から最も近位に位置する観測点を選択する請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記光走査部は、1対の前記アクチュエータを備え、
前記1対のアクチュエータは、それぞれ、前記可動板と、該可動板を回動可能に支持する支持部と、前記可動板と前記支持部とを連結する連結部と、前記可動板を回動させる駆動手段とを有しており、互いに、前記可動板の回動中心軸が直交するように設けられている請求項1ないし13のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記光走査部は、前記アクチュエータの前記可動板の挙動を検知する挙動検知手段を有し、前記制御手段は、前記挙動検知手段の検知結果および前記駆動パターンに基づいて、前記光出射部の作動を制御する請求項1ないし14のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記対象物としてのスクリーンを有する請求項1ないし15のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2009−180966(P2009−180966A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−20346(P2008−20346)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】