説明

画像形成装置

【課題】簡単な構成で、画像劣化やファン等による騒音の発生がなく、感光体、転写ローラまたは搬送ローラ等の被回転体が高温になることを抑制する画像形成装置を提供する。
【解決手段】感光体の静電潜像を現像する現像部と、感光体に形成されたトナー像を用紙に転写する転写部と、用紙を転写部に搬送する搬送路と、トナー像の形成された用紙を加熱及び加圧する定着部と、現像部、転写部、搬送路または定着部に設けられ、回転して画像形成または用紙の搬送を行う被回転体体60と、この被回転体60を回転させる回転軸61とを備えた画像形成装置において、回転部軸61に熱放射塗料を施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、用紙上に画像を形成する方法としてインクジェット方式では、複数個のノズルを有するインクジェット記録ヘッドを転写ドラムに向けて配置して、インクジェット記録ヘッドによって転写ドラムにインク像を書き込み、用紙を転写ドラムに当接させ、用紙の背後から転写ローラによって用紙を転写ドラムに押圧することによって、用紙上にインク像を転写している。ここで、転写ドラム内部にヒータを設けて、転写ドラムを高温に保ち、転写ドラム上のインク像から用紙への転写に先立って、インク像から溶媒分を除去するように構成されている。
【0003】
しかしながら、インクジェット記録ヘッドは転写ドラムと対峙してその近傍に配置され、転写ドラムの温度の影響を受ける。この近傍に配置されたインクジェット記録ヘッドのノズル部でインクが高粘度化、さらに固化して、ノズル部からインク滴が吐出できなくなり動作不良に至るという不都合があった。
【0004】
そこで、特許文献1では、転写ドラムの周面層をシリコーンゴムなどの耐熱性ゴムを積層したもので構成して、このシリコーンゴムに黒色の顔料を練り込むことにより、転写ドラム周面に黒色の放熱面を形成し、転写ドラムが高温に加熱されても、非加熱時は速やかに放熱し温度低下するようにしている。
【0005】
しかしながら、上述した従来技術では、転写ドラムの周面を黒色に形成するために、転写ドラムに顔料を練り込んでいるので、転写ドラムから用紙にインク像を転写する転写効率が低下して、用紙への転写像が劣化するという不都合があった。
【0006】
また、特許文献2では、電子写真方式において、現像器から感光体にトナーを供給して、感光体の静電潜像からトナー像を形成し、このトナー像を用紙に転写して、転写したトナー像を用紙に定着させている。現像器内では、撹拌スクリューによるトナーの撹拌や、撹拌スクリューと現像ローラの摺動部等において熱が発生して、感光体に供給するトナーが温度上昇する。このトナーの温度上昇を抑制するために、現像器と、装置外の空気を取り込むファンとをチューブで連結して、ファンから取り込んだ空気が現像器の外面に沿って流れるようにして、現像器を冷却している。
【0007】
しかしながら、上述した従来技術では、装置にファンを取り付け、ファンと現像器をチューブで連結しているので、装置が複雑な構成になり、またファンの駆動音が騒音になるという不都合があった。
【0008】
【特許文献1】特開平6−166177号公報(段落[0015]−[0017]、図1)
【特許文献2】特開2007−41562号公報公報(段落[0026]〜[0029]、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、簡単な構成で、画像劣化やファン等による騒音の発生がなく、感光体、転写ローラまたは搬送ローラ等の被回転体が高温になることを抑制する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、感光体の静電潜像を現像する現像部と、前記感光体に形成されたトナー像を用紙に転写する転写部と、用紙を前記転写部に搬送する搬送部と、前記トナー像の形成された用紙を加熱及び加圧する定着部と、前記現像部、前記転写部、前記搬送部または前記定着部に設けられ、回転して画像形成または用紙の搬送を行う被回転体と、前記被回転体を回転させる回転部材とを備えた画像形成装置において、
前記回転部材に熱放射塗料を施したことを特徴としている。
【0011】
この構成によれば、現像部及び転写部では画像形成時に発生する熱によって、画像形成を行う被回転体が高温になる。また、転写部でトナー像を用紙に転写する時、また定着部でトナー像を用紙に定着させる時に発生する熱によって用紙が加熱されると、この用紙から熱が搬送部の被回転体に伝導される。これらの被回転体の熱が被回転体から熱放射塗料を施した回転部材に伝導して、被回転体の温度が低下する。
【0012】
また、請求項2に記載の発明では、前記回転部材は、被回転体を保持する回転軸を備えて、前記熱放射塗料は、前記回転軸の端部に施されたことを特徴としている。この構成によれば、回転軸が回転すると、回転軸の熱は、回転軸周面から発散し、回転軸の回転力によって、回転軸と同方向に回転する回転流となり、さらに回転軸の遠心力によって、軸の放射方向に向かう放射流となり、その風に沿って被回転体の熱が伝導して、熱放射塗料を施した回転軸の端部から放熱される。
【0013】
また、請求項3に記載の発明では、前記回転軸の端部には放熱部材を備えて、前記熱放射塗料は、前記回転軸の端部と前記放熱部材とに施されたことを特徴としている。この構成によれば、回転軸の端部に設けた放射部材によって、回転軸の端部から放熱する効率が向上する。
【0014】
また、請求項4に記載の発明では、前記放熱部材は、前記回転軸の周面に形成されたフィンであることを特徴としている。この構成によれば、回転軸が回転すると、フィンによって回転軸の周囲に風の流れが発生し、その風の流れとともに被回転体の熱が伝導して、熱放射塗料を施した回転軸の端部から放熱される。
【0015】
また、請求項5に記載の発明では、前記放熱部材は、前記回転軸の周面に螺旋状に形成されたフィンであることを特徴としている。この構成によれば、回転軸が回転すると、フィンの螺旋形状によって回転軸の周囲で軸方向に沿った風の流れが発生し、その風の流れとともに被回転体の熱が伝導して、熱放射塗料を施した回転軸の端部から放熱される。
【0016】
また、請求項6に記載の発明では、前記放熱部材は、前記回転軸の周面に周方向に並べて形成されたフィンであることを特徴としている。この構成によれば、回転軸が回転すると、回転軸の周囲には、回転するフィンによって回転軸の周方向に向く風の流れが発生し、その風の流れとともに被回転体の熱が伝導して、熱放射塗料を施した回転軸の端部から放熱される。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、現像部及び転写部では画像形成時に発生する熱によって、画像形成を行う被回転体が高温になる。また、転写部でトナー像を用紙に転写する時、また定着部でトナー像を用紙に定着させる時に発生する熱によって用紙が加熱されると、この用紙から熱が搬送部の被回転体に伝導される。これらの被回転体の熱が被回転体から熱放射塗料を施した回転部材に伝導して、被回転体の温度が低下する。これによって、ファン等の部材を設けることなく、簡単な構成で、騒音の発生や画像の劣化がなく、感光体や現像ローラ等を備えた現像部、転写ローラ等を備えた転写部、また搬送ローラ等を備えた搬送部の被回転体が高温になることを抑制することができる。
【0018】
また、請求項2に記載の発明によれば、回転軸が回転すると、回転軸の熱は、回転軸周面から発散し、回転軸の回転力によって、回転軸と同方向に回転する回転流となり、さらに回転軸の遠心力によって、放射方向に向かう放射流となり、その風に沿って被回転体の熱が伝導して、熱放射塗料を施した回転軸の端部から放熱されるので、被回転体が高温になることを抑制することができる。
【0019】
また、請求項3に記載の発明によれば、回転軸の端部に設けた放射部材によって、回転軸の端部から放熱する効率が向上して、被回転体が高温になることを一層抑制することができる。
【0020】
また、請求項4に記載の発明によれば、回転軸が回転すると、フィンによって回転軸の周囲に風の流れが発生し、その風の流れとともに被回転体の熱が伝導して、熱放射塗料を施した回転軸の端部から放熱されるので、被回転体が高温になることを抑制することができる。
【0021】
また、請求項5に記載の発明によれば、回転軸が回転すると、フィンの螺旋形状によって回転軸の周囲で軸方向に沿った風の流れが発生し、その風の流れとともに被回転体の熱が伝導して、熱放射塗料を施した回転軸の端部から放熱されるので、被回転体が高温になることを抑制することができる。
【0022】
また、請求項6に記載の発明によれば、回転軸が回転すると、回転軸の周囲には、回転するフィンによって回転軸の周方向に向く風の流れが発生し、その風の流れとともに被回転体の熱が伝導して、熱放射塗料を施した回転軸の端部から放熱されるので、被回転体が高温になることを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、この実施形態に限定されない。本発明の実施形態は発明の最も好ましい形態を示すものであり、また発明の用途やここで示す用語等はこれに限定されるものではない。
【0024】
(第1実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の内部構成を概略的に示す断面正面図である。画像形成装置1はタンデム型のカラープリンタであり、回転自在である感光体11a〜11dは、感光層を形成する感光材料として、有機感光体(OPC感光体)が用いられ、ブラック(B)、イエロー(Y)、シアン(C)及びマゼンタ(M)の各色に対応させて配される。感光層はアモルファスシリコンでもよい。各感光体11a〜11dの周囲に、現像部2a〜2d、露光ユニット12、帯電器13a〜13d及び除電器14a〜14dが配設される。
【0025】
現像部2a〜2dは、感光体11a〜11dにトナーを供給するものであり、感光体11a〜11dの右斜め下方に対向して配置される。現像部2a〜2dには、現像ローラ、磁気ローラ、撹拌ローラが設けられる。撹拌ローラによって撹拌された現像剤は、磁気ローラの回転により、磁気ブラシとして、現像ローラに向けて搬送され、現像ローラに接触すると、磁気ブラシのトナーのみが現像ローラに供給される。現像ローラに現像バイアスが印加されると、回転する現像ローラ上に供給されたトナーが感光体11a〜11dに飛翔して、感光体11a〜11d上の潜像が現像される。
【0026】
帯電器13a〜13dは、現像部2a〜2dの感光体回転方向上流側であって感光体11a〜11dの表面に対向して配置され、現像に先立って、感光体11a〜11d表面を一様に帯電させ、また、除電器14a〜14dは、現像部2a〜2dの感光体回転方向下流側であって感光体11a〜11dの表面に対向して配置され、感光体11a〜11d表面に現像後に残った電荷を除電する。
【0027】
露光ユニット12は、パーソナルコンピュータ等から画像入力部(図略)に入力された文字や絵柄などの画像データに基づいて、各感光体11a〜11dを走査露光するためのものであり、現像部2a〜2dの下方で帯電器13a〜13dの感光体回転方向下流側に設けられる。露光ユニット12には、レーザ光源、ポリゴンミラーが設けられ、各感光体11a〜11dに対応して反射ミラー及びレンズが設けられる。レーザ光源から出射されたレーザ光が、ポリゴンミラー、反射ミラー及びレンズを介して各感光体11a〜11dの表面に照射され、照射されたレーザ光により、各感光体11a〜11d表面には静電潜像が形成される。この静電潜像が各現像部2a〜2dによりトナー像に現像される。
【0028】
中間転写ベルト17は、テンションローラ6、駆動ローラ25及び従動ローラ27に張架されている。この中間転写ベルト17に接触するように各感光体11a〜11dが中間転写ベルト17の下方で搬送方向(図1の矢印方向)に沿って上流側から隣り合うように対向して配列されている。各1次転写ローラ26a〜26dは、中間転写ベルト17を挟んで各感光体11a〜11dと対向して中間転写ベルト17に接触するよう配置され、図1における上下方向に移動可能であって、必要に応じて中間転写ベルト17を介して各感光体11a〜11dに圧接して1次転写ニップ部を形成し、また離間する。この1次転写ニップ部において、各感光体11a〜11dで形成されたトナー像が中間転写ベルト17表面に転写される。そして、中間転写ベルト17の回転とともに所定のタイミングで各感光体11a〜11dのトナー像が中間転写ベルト17に順次転写されることにより、中間転写ベルト17表面にはシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のトナー像が重ね合わされたフルカラートナー像が形成される。ベルトクリーニング31が転写後に中間転写ベルト17に残存するトナーを清掃する。
【0029】
2次転写ローラ34は、中間転写ベルト17を挟んで駆動ローラ25と対向し、中間転写ベルト17に圧接して2次転写ニップ部を形成して、この2次転写ニップ部において、中間転写ベルト17表面のトナー像を用紙Pに転写する。
【0030】
画像形成装置1内の下方には、用紙Pを収納する給紙カセット32が配設され、画像形成装置1の中間部には、手差しの用紙を供給するスタックトレイ35が配設される。画像形成装置1の左部には、給紙カセット32から繰り出された用紙Pを中間転写ベルト17で形成される2次転写ニップ部に搬送する第1搬送路33が配設され、図2の右部から左部にかけては、スタックトレイ35から繰り出された用紙を2次転写ニップ部に搬送する第2搬送路36が配設される。また、画像形成装置1の左上部には、画像が形成された用紙Pに対して定着処理を行う定着部18と、定着処理の行われた用紙Pを用紙排出部37に搬送する第3搬送路39とが配設される。定着部18よりも用紙搬送方向下流側における第3搬送路39の途中から第1搬送路33の途中をつなぎ、用紙の裏面にもトナー像が2次転写可能であるように用紙を搬送する反転搬送路40が配設される。
【0031】
給紙カセット32は、装置の外部(図1において手前側)に引き出すことにより用紙の補充を可能にしたもので、収納されている用紙Pがピックアップローラ33b及び捌きローラ33aにより1枚ずつ第1搬送路33側に繰り出される。
【0032】
第1搬送路33と第2搬送路36とはレジストローラ33cの手前で合流しており、レジストローラ33cにより、中間転写ベルト17における画像形成動作と給紙動作とのタイミングを取って、用紙Pが2次転写ニップ部に搬送される。2次転写ニップ部に搬送された用紙Pは、バイアス電位(トナーの帯電極性と逆極性)が印加された2次転写ローラ34によって、中間転写ベルト17上のフルカラーのトナー像を2次転写されて、定着部18に搬送される。
【0033】
定着部18は、ヒータにより加熱される定着ベルトと、定着ベルトに圧接して配設された加圧ローラ等とを備え、トナー像が転写された用紙Pを加熱及び加圧することにより定着処理を行う。用紙Pは、定着部18で定着された後、必要に応じて反転搬送路40で反転されて用紙の裏面にも2次転写ローラ34でフルカラーのトナー像が2次転写され、定着部18で定着されて、第3搬送路39を通って、排出ローラ19aにより用紙排出部37に排出される。
【0034】
図2(a)は、本発明の第1実施形態に係る感光体11aを示す斜視図であり、図2(b)は、図2(a)を矢印Aから見た図である。他の感光体11b〜11dも同じ構成であるので、感光体11aを代表させて説明する。
【0035】
図2(a)に示すように、感光体11aは、被回転体として感光体ドラム60と、感光体ドラム60の内周で3箇のフランジ60aで感光体ドラム60を保持する回転軸61とを備える。
【0036】
感光体ドラム60はアルミニウム製の円筒形ドラムであり、その周面には感光層が積層される。図2(a)の矢印方向Sに感光体ドラム60が回転すると、帯電部13a(図1参照)により、感光体ドラム60周面が帯電させられ、そして、露光ユニット12(図1参照)からのレーザビームによって、その周面に潜像が形成されて、現像部2a(図1参照)からトナーが供給されると、潜像が現像される。
【0037】
回転軸61は、その軸方向の中央部で感光体ドラム60を保持し、装置本体に回転可能に軸止され、モータ等の駆動手段(図略)によって回転させられる。また、回転軸61の両端部61aの周面及び端面には、図2(a)のハッチングで示す熱放射塗料63が塗装されている。
【0038】
熱放射塗料63は、シリコン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、またはアルキド樹脂にセラミックスと金属酸化物を混合したものを用いることができるが、本実施形態では、シリコン樹脂にセラミックスと金属酸化物を混合した熱放射塗料を用い、この熱放射塗料63をエアースプレー塗装により両端部61aに塗装している。この塗装を施すことによって、画像形成時に感光体ドラム60に発生した熱が、フランジ60a、回転軸61に伝導していき、両端部61aから放熱される。
【0039】
図2(b)に示すように、回転軸61が回転しているときには、回転軸61の熱は、回転軸61周面から発散し、回転軸61の回転力によって、回転軸61と同方向に回転する回転流Hとなり、さらに回転軸61の遠心力によって、放射方向に向かう放射流Rとなり、回転軸61の全周から放熱され、熱放射塗料とともに両端部61aから一層良好に放熱される。
【0040】
(第2実施形態)
図3(a)は、本発明の第2実施形態に係る放熱部材を設けた回転軸の要部を示す斜視図であり、図3(b)は、図3(a)を矢印Aから見た図である。図3(a)、図3(b)では、図2(a)における回転軸61の左側の端部61aを示しているが、図2(a)の右側の端部61aにも放熱部材が設けられている。尚、第1実施形態と異なる、放熱部材について説明し、以降、第1実施形態と同じ部分の説明を省略する。
【0041】
回転軸61の端部61aには、放熱部材としての複数の放熱板64が互いに平行に、かつ回転軸61の軸方向に対して傾斜(傾斜角αは略85度)して設けられ、図3(b)に示すように、この傾斜によって、回転軸61が回転すると、回転軸61の周囲には回転軸61の端面側に向かう風の流れWが発生する。複数の放熱板64には、端部61aとともに熱放射塗料が施されている。
【0042】
図3(b)に示すように、回転軸61が回転しているときには、第2実施形態と同様に、回転軸61の熱は、回転軸61周面から発散し、回転軸61の回転力によって、回転軸61と同方向に回転する回転流となり、さらに回転軸61の遠心力によって、放射方向に向かう放射流となり、回転軸61の全周から放熱される。回転軸61全周から放熱された熱は、回転する放熱板64の発生させる風の流れWに沿って、回転軸61の端面に向かって流れる。
【0043】
また、放熱板64は、銅、アルミニウム、ステンレス等の熱伝導率の大きい金属を、表面積を大きくするように半円形の板状に形成されるので、感光体ドラム60から回転軸61に伝導された熱が、端部61aとともに放熱板64から放熱される。
【0044】
(第3実施形態)
図4は、本発明の第3実施形態に係る放熱部材を設けた回転軸の要部を示す斜視図である。図4では、図2における回転軸61の左側の端部61aを示しているが、図2の右側の端部61aにも放熱部材が設けられている。
【0045】
回転軸61の端部61a周面には、放熱部材としてのフィン65が設けられ、熱放射塗料が端部61aとフィン65に施されている。フィン65は、銅、アルミニウム、ステンレス等の熱伝導率の大きい金属を、端部61a周面に螺旋の板状に形成されている。感光体ドラム60から回転軸61に伝導された熱が、端部61aとともにフィン65から放熱され、さらに、回転軸61が回転しているときには、フィン65の螺旋形状によって回転軸61の周面で回りながら軸方向に向かう風の流れが発生し、感光体ドラム60から回転軸61に伝導された熱が、その風に沿って端部61aから放熱される。
【0046】
(第4実施形態)
図5(a)は、本発明の第4実施形態に係る放熱部材を設けた回転軸の要部を示す斜視図であり、図5(b)は、図5(a)を矢印Aから見た図である。図5(a)、図5(b)では、図2(a)における回転軸61の左側の端部61aを示しているが、図2(a)の右側の端部61aにも放熱部材が設けられている。
【0047】
回転軸61の端部61a周面には、放熱部材としてのフィン66が設けられ、熱放射塗料が端部61aとフィン66に施されている。フィン66は、銅、アルミニウム、ステンレス等の熱伝導率の大きい金属からなり、回転軸61の周面に周方向に4個の矩形板を等角度に配設されている。感光体ドラム60から回転軸61に伝導された熱が、端部61aとともにフィン66から放熱される。
【0048】
図5(b)に示すように、回転軸61が回転しているときには、第2実施形態と同様に、回転軸61の熱は、回転軸61周面から発散し、回転軸61の回転力によって、回転軸61と同方向に回転する回転流となり、さらに回転軸61の遠心力によって、放射方向に向かう放射流となり、回転軸61の全周から放熱される。回転軸61全周から放熱された熱は、回転するフィン66の発生させる風の流れWに沿って、回転軸61の周方向に流れる。
【0049】
尚、上記第1〜第4実施形態では、被回転体としての感光体ドラム60を回転させる回転軸61に熱放射塗料を塗布した構成を示したが、本発明はこれに限らず、現像ローラ、1次転写ローラ26a〜26d、2次転写ローラ34等の画像形成に関わる被回転体を回転させる回転軸に、第1〜第4実施形態の如く熱放射塗料を塗布しても、上記同様の効果を奏する。
【0050】
また、上記第1〜第4実施形態では、被回転体としての感光体ドラム60を回転させる回転軸61に熱放射塗料を塗布した構成を示したが、本発明はこれに限らず、定着部18の直近の用紙搬送下流側に配置される搬送ローラの回転軸に熱放射塗料を塗布してもよい。この場合には、定着後に高温になった用紙Pが上記の搬送ローラを通過することによって、用紙Pの熱が搬送ローラから回転軸に伝導され、回転軸から放熱されて、定着後の用紙Pの温度を低下させることができて、反転搬送路40で反転させて用紙Pの裏面にも2次転写するときに、安定したトナー像が用紙Pに形成される。
【0051】
また、上記第1〜第4実施形態では、画像形成装置としてタンデム型のカラープリンタに適用した例を示したが、本発明はこれに限らず、モノクロプリンタ、モノクロ型複写機において、感光体ドラム、現像ローラ、用紙搬送ローラ等の被回転体を回転させる回転軸に、第1〜第4実施形態の如く熱放射塗料を塗布しても、上記同様の効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の概略の構成を示す断面正面図である。
【図2】は、本発明の第1実施形態に係る感光体を示す図である。
【図3】は、本発明の第2実施形態に係る放熱部材を示す図である。
【図4】は、本発明の第3実施形態に係る放熱部材を示す斜視図である。
【図5】は、本発明の第4実施形態に係る放熱部材を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1 画像形成装置
2a〜2d 現像部
11a〜11d 感光体
17 中間転写ベルト
18 定着部
60 感光体ドラム(被回転体)
61 回転軸
61a 端部
63 熱放射塗料
64 放熱板(放熱部材)
65、66 フィン(放熱部材)
P 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体の静電潜像を現像する現像部と、前記感光体に形成されたトナー像を用紙に転写する転写部と、用紙を前記転写部に搬送する搬送部と、前記トナー像の形成された用紙を加熱及び加圧する定着部と、前記現像部、前記転写部、前記搬送部または前記定着部に設けられ、回転して画像形成または用紙の搬送を行う被回転体と、前記被回転体を回転させる回転部材とを備えた画像形成装置において、
前記回転部材に熱放射塗料を施したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記回転部材は、被回転体を保持する回転軸を備えて、前記熱放射塗料は、前記回転軸の端部に施されたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記回転軸の端部には放熱部材を備えて、前記熱放射塗料は、前記回転軸の端部と前記放熱部材とに施されたことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記放熱部材は、前記回転軸の周面に形成されたフィンであることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記放熱部材は、前記回転軸の周面に螺旋状に形成されたフィンであることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記放熱部材は、前記回転軸の周面に周方向に並べて形成されたフィンであることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−198623(P2009−198623A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−38197(P2008−38197)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】