説明

画像形成装置

【課題】全ページ数が奇数のときに、より効率的に両面印刷を行うことが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、タイマ101によって設定時間を計測している間に次の両面印刷用の印刷データ受信したか否かを判定する。その結果、特に印刷データを受信しなかった場合、記憶部104に記憶させた印刷条件や機種情報、構成情報に基づいて印刷時間の短縮が可能か否かを判定する(ステップS305)。実際に時間の短縮が可能である場合、搬送パス切替部103により最終ページの印刷の際に用紙Pの搬送パスを両面用から片面用に切り替える。これにより用紙Pは、両面印刷用ユニットを介さずにそのまま排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルコンピュータ等の外部機器から送信された印刷データに基づいて両面印刷を行う画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置に関する先行技術として、用紙を片面ずつ給紙(第1給紙、第2給紙)して、その両面に印刷を行うシーケンスを採用するものがある(例えば、特許文献1参照。)。この先行技術は、印刷部数が予め定めた部数未満であり、かつ、ジョブ内の総ページ数が奇数である場合、プリンタコントローラにより最終の用紙を第1給紙により給紙してまず第1面を印刷し、その後引き続き、第2給紙により給紙して用紙の第2面を白ページデータに基づいて印刷するものである。
【特許文献1】特開平8−262814号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、先行技術のように両面印刷をシーケンス処理する場合、印刷用紙は給紙カセットに収容された状態から両面印刷用ユニット、そして排出トレイの順番で搬送パスを経由して装置外部に排出されており、この搬送パスは印刷面が片面のみの場合でも例外ではない。上記の先行技術でいえば、第1給紙で第1面を印刷し、次に第2給紙によって第2面を空白のまま通過させるという搬送パスが採用されている。
【0004】
両面印刷のシーケンスで印刷面が片面だけとなる例として、両面指定で1ページ印刷を行った場合や、総ページ数が奇数である場合の最終ページ等が挙げられる。このように、印刷面が片面のみの場合にも両面の場合と同様の搬送パスを経由すると、印刷用紙は、再度の印刷が行われないにもかかわらず、両面印刷用ユニット内の無駄な搬送パスを搬送されることになる。その結果として装置外部に排出されるまで時間がかかり、印刷時間全体が長くなるという問題がある。
【0005】
実際、先行技術(特許文献1)の印刷装置では、両面印刷シーケンスを選択すると最終の用紙の第1面をまず印刷した後、引き続き用紙の第2面を白ページデータに基づいて印刷(ただし画像は無転写)している。この間、印刷用紙は、第2面を印刷するためにスイッチング機構や、転写部、定着部等を経由して搬送されており、その結果として印刷用紙が装置外部に排出されるまでの時間が無駄に長くなっている問題がある。
【0006】
また、このように印刷用紙が両面印刷用ユニットや転写部内の無駄な搬送路を搬送されると、その過程でパスエラーや紙詰まり(JAM)が発生する危険性が大きくなるという問題もある。
【0007】
そこで本発明は、全ページ数が奇数のときに、より効率的に両面印刷を行うことが可能な画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置では、ジョブ単位で送信される印刷データを受信すると、この受信した印刷データに基づいて画像を形成する。このとき、ジョブで両面印刷が指定されていた場合、片方の面を画像形成部に相対させる態様で用紙を搬送した後、この用紙を反転させて反対の面を画像形成部に相対させる態様で用紙を搬送する。これは両面印刷用の搬送パス(第1の搬送手段)であり、この場合は通常の両面印刷が行われる。一方、ジョブで両面印刷が指定されていない場合、片方の面だけを画像形成部に相対させる態様で用紙を搬送する。これは片面印刷用の搬送パス(第2の搬送手段)であり、この場合は片面印刷が実行されることになる。
【0009】
その上で本発明の画像形成装置は、両面印刷が指定されたジョブの印刷データについて、全ページ数が奇数である場合にその最終ページの印刷データを受信すると、そこから経過時間の計測を開始する。そして、所定時間が計測されるまでの間に新たに両面印刷を指定したジョブの印刷データを受信した場合、引き続き両面印刷用の搬送パスを用いて両面印刷を実行する一方、新たに両面印刷を指定したジョブの印刷データを受信しないまま所定時間が計測された場合、搬送パスを切り替えて印刷を行う。
【0010】
これにより、最終ページの用紙が両面印刷用の搬送パスを経由せずに、片面印刷用の搬送パスを通って印刷が行われる。したがって、最終ページの用紙が無駄な搬送経路を経由して搬送されるのを防止することができる。また用紙は、最終ページで片面のみの印刷が行われた後、そのまま排出トレイに排出されるため、最終的に全ての用紙が排出されるまでの所要時間が短縮されることになり、それだけトータルの印刷時間を短縮することができる。
【0011】
また本発明では、印刷データから得られる印刷条件、機種に関する機種情報のうちの少なくとも1つを記憶しておき、この記憶情報に基づいて、実際に搬送パスを切り替えることで印刷時間が短縮できるか否かを判断する。その結果、印刷時間が短縮できると判断した場合にのみ搬送パスの切り替え制御を実行することもできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る画像形成装置によれば、全ページ数が奇数のときに、より効率的に両面印刷を行うことが可能となるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の画像形成装置の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の画像形成装置1を概略的に示した垂直断面正面図である。なお、図中の実線矢印は用紙の搬送経路及びその搬送方向を示している。
【0014】
図1に示されるように、画像形成装置1は、本体2の下部にカセット式給紙部3、右側面上部に右側方に張り出すようにして手差し給紙部5、上面には原稿送り部8、本体2の上部位置に原稿送り部8の下方に位置して光学部9がそれぞれ配置されている。また、その本体2の内部に用紙搬送部6を備えている。
【0015】
カセット式給紙部3には、3段の給紙カセット4が備えられている。給紙カセット4はいわゆるフロントローディング式であり、個々の給紙カセット4は、いずれも本体2に対して前面側(図1でみて手前側)にスライドして引き出すことが可能である。また、各給紙カセット4内には印刷前のカットペーパー等の用紙Pが積載して収容されている。カセット式給紙部3からは、給紙カセット4内に積載された用紙Pが1枚ずつ分離して送り出される。
【0016】
上・中・下段の給紙カセット4には、それぞれの位置で異なる用紙サイズや用紙タイプを設定することができる。例えば、最上段の給紙カセット4を多目的用途とし、ここにはOHPシートや厚紙、薄紙等を収容することができる。また、中段の給紙カセット4には使用頻度が比較的高いA4普通紙を収容し、最下段の給紙カセット4にはA4より大型サイズの用紙を収容することができる。各段の給紙カセット4に収容される用紙サイズや用紙タイプ等は、予め画像形成装置1に設定しておくことができる。
【0017】
手差し給紙部5には、カセット式給紙部3に入っていないサイズの用紙Pや、OHPシートのように1枚ずつ送り込みたいものが載置される。なお手差し給紙部5は、本体2の右側面にたたみ込んで収納できる形態であってもよい。
【0018】
用紙搬送部6は、カセット式給紙部3との関係でみると、その給紙方向である右方に位置し、手差し給紙部5との関係でみると、その左方に位置する。カセット式給紙部3から送り出された用紙Pは、用紙搬送部6により本体2の側面に沿って垂直上方に搬送され、また手差し給紙部5から送り出された用紙Pは水平に搬送されてそれぞれ転写部11に至る。
【0019】
原稿送り部8は、ユーザが原稿を複写して印刷する際に使用される。ユーザが原稿の複写を行う場合には、原稿送り部8に文字や図形、模様等の画像が描かれた原稿を積載する。原稿が複数枚ある場合、原稿送り部8では1枚ずつ原稿が分離して搬送され、光学部9によってその画像が読み取られる。
【0020】
また画像形成装置1は、ネットワークプリンタやネットワークスキャナとしての機能を備えており、例えば図示しないパーソナルコンピュータ(クライアント端末)から送信された印刷データを、インターフェース部によって受信することができる。なお、インターフェース部等の構成については後述する。
【0021】
本体2内には、用紙搬送部6からの用紙搬送方向でみて下流位置に画像形成部としてのプリントエンジン10及び転写部11が備えられている。このうちプリントエンジン10では、読み取り画像、又は、クライアント端末から受信した印刷データを処理した画像データに基づいて原稿画像の静電潜像が形成され、さらにこの静電潜像からトナー像が形成される。
【0022】
用紙搬送部6よりも用紙搬送方向の下流側で、転写部11のすぐ上流側には、レジストローラ7が備えられている。レジストローラ7は、用紙Pの斜め送りを矯正するとともに、プリントエンジン10で形成されるトナー像との同期をとりながら転写部11に向けて用紙Pを送り出す。転写部11では、レジストローラ7によって同期をとりつつ送られてきた用紙Pの表裏面のうち、いずれか一方の表面を先印字面としてトナー像が転写される。
【0023】
用紙搬送方向でみて転写部11の下流側には、定着部12が備えられている。転写部11にて未定着トナー像を担持した用紙Pは定着部12へと送られ、ここで加熱・加圧されてトナー像が定着される。
【0024】
また、用紙搬送方向でみて定着部12の下流側であって、本体2の左側面の近傍に排出・分岐部13が備えられている。両面印刷を行わない場合(片面印刷の場合)、定着部12から排出された用紙Pは排出・分岐部13からそのまま排出トレイ14に排出される。このようにして用紙Pは、定着部12から排出・分岐部13、排出トレイ14を経由した搬送パスBを経て装置外部に排出される。
【0025】
プリントエンジン10から排出・分岐部13にかけての部分の下方であって、カセット式給紙部3の上方には、両面印刷用ユニット20が備えられている。両面印刷を行う場合、定着部12から排出された用紙Pは排出・分岐部13を通って両面印刷用ユニット20へと送られる。両面印刷用ユニット20へ送られた用紙Pは、続いて両面印刷用ユニット20に備えられた用紙反転装置30により搬送方向が切り替えられ、ここから再度、用紙搬送部6及びレジストローラ7を介して転写部11へと送られる。
【0026】
用紙反転装置30は、スイッチバック機構60及びシフト機構70を備えている。スイッチバック機構60は、用紙Pの搬送方向を反転させるためのものである。またシフト機構70は、用紙の幅方向への位置ずれを補正するためのものである。シフト機構70よりも用紙搬送方向でみて上流位置には、用紙Pの幅方向への位置ずれを検知するためのセンサ31が設けられている。
【0027】
用紙反転装置30への進入方向でみて、スイッチバック機構60のさらに下流側には中間トレイ21が設置されている。この中間トレイ21には、一方の面に印刷がされた用紙Pが一時的に収容される。スイッチバック機構60は、用紙Pを中間トレイ21に一旦収容した後、これをスイッチバックさせてその搬送方向を切り替えるものである。
【0028】
スイッチバックされた用紙Pは、シフト機構70により位置補正がなされた後、これよりも搬送方向下流位置で下方へ潜り込むようにして反転される。そして用紙Pは、転写部11及びプリントエンジン10の下方で複数の搬送ローラ53により右方へ送られた後、僅かに斜めに上昇しつつ用紙搬送部6に合流する。
【0029】
このようにして用紙Pは、排出・分岐部13、スイッチバック機構60、中間トレイ21、シフト機構70、搬送ローラ53を経由した搬送パスAを経て搬送部6に再び送られると、先に印刷がされた先印字面を下向きにした状態でプリントエンジン10に送られ、他方の面、即ち先印字面の裏面を後印字面として両面印刷が行われる。両面印刷がされた用紙Pは排出・分岐部13を通って排出トレイ14に排出される。あるいは、用紙Pは再度、用紙反転装置30により反転された後、本体2の左側部分に沿って上方へ搬送され、排出トレイ14に排出される(フェイスダウン)。
【0030】
本実施形態の画像形成装置1には、両面印刷を行う場合に通常両面印刷モードと高速両面印刷モードの2種類のモードが用意されている。このうち通常両面印刷モードは、用紙Pに対して1枚ずつ用紙反転装置30により搬送方向が切り替えられ、ここから再度、転写部11へと送られることにより両面印刷が行われる。通常両面印刷モードでは、このようにして1枚両面印刷された後、次の1枚を順次両面印刷する。
【0031】
これに対して高速両面印刷モードは、用紙Pに対して所定枚数ずつ並行して両面印刷するモードである。このモードでは、転写部11での用紙Pへのトナー像の転写や、中間トレイ21での別の用紙Pの収容、搬送ローラ53による別の用紙Pの搬送等の動作が並行して行われることにより、所定枚数の用紙Pの両面印刷が並行して行われ、通常両面印刷モードよりも高速で印刷プロセスが進行する。これらの2種類のモードは、印刷条件や画像データの容量に応じて切り替えられる。
【0032】
図2は、画像形成装置1の制御構成を概略的に示したブロック図である。画像形成装置1は、その動作を制御するため制御部100を備えている。制御部100は、例えば中央演算処理装置(CPU)を備えた電子回路から構成されており、この電子回路が回路基板上に形成された状態で画像形成装置1に内蔵されている。
【0033】
上述した原稿送り部8による原稿送り動作や、これに伴う光学部9での画像読取動作、カセット式給紙部3からの給紙動作等は、制御部100により制御されている。また、上記のプリントエンジン10による画像形成や転写部11、定着部12、排出・分岐部13及び両面印刷用ユニット20における各動作は、いずれも制御部100により制御されている。
【0034】
また制御部100には、その他の構成要素としてタイマ101、操作・表示部102、搬送パス切替部103、記憶部104、インターフェース部105がそれぞれ接続されている。このうち操作・表示部102は、図1には示されていないが、例えば本体2の上面で、ユーザからみて原稿送り部8の手前側の位置に設けられている。操作・表示部102は操作キーの他にタッチ式パネルを有しており、その操作キーに対する操作の他、表示画面を通じてユーザのタッチ操作を受け付けることができる。また記憶部104は、例えば記憶装置(ROM,RAM)や大容量記憶装置(ハードディスク)等を有しており、光学部9にて読み取られた画像は、所定のデータ形式で記憶部104に一時的に記憶される。
【0035】
画像形成装置1では、例えばジョブごとに操作・表示部102の操作を通じて設定されたデータ、あるいは外部のパーソナルコンピュータから受信したジョブで設定されたデータが制御部100を介して記憶部104に格納される。この設定には、用紙のサイズ、タイプ及び送り方向、両面又は片面の印刷形式、原稿濃度、枠消去、綴じ代、4in1の集約処理等があり、それぞれの設定に応じて制御部100により画像処理が行われる。制御部100が画像処理に要する時間は、この設定の内容に依存する。記憶部104には、例えばマルチスレッド処理を行う複合機用アプリケーションプログラムが格納されている。
【0036】
例えば、原稿の複写を伴う画像処理では、原稿送り部8に原稿を載置した状態で、操作・表示部102のスタートボタン(図示されていない)をユーザが押下すると、この操作に応じて以下の処理が行われる。先ず、原稿送り部8に内蔵された用紙センサ(図示されていない)が原稿用紙を検知している場合、原稿送り部8により原稿が一枚ずつ搬送され、その途中で光学部9により原稿画像が走査される。このとき読み取られた画像データは、制御部100を介して記憶部104に1つのジョブ単位で格納される。
【0037】
また、記憶部104には、画像形成装置1の機種情報(「PR−1234」,「LP−C2007」等のコード)や、画像形成装置1の構成情報が記憶されている。構成情報には、画像形成装置1内の両面印刷用ユニット20や排出・分岐部13、用紙搬送部6の構造上の寸法から得られる搬送パスA、搬送パスBの搬送距離の情報が含まれている。
【0038】
タイマ101は、予め画像形成装置1内で設定された設定時間(例えば数秒〜数十秒)の計測を行う。具体的には、クライアント端末から送信された全ページ数が奇数となっている両面印刷用の最終ページの印刷データを受信したタイミングから計測を開始する。設定時間としては、例えば、両面印刷の実行時に用紙Pの先印字面に転写した後、後印字面にトナー像を転写するまでのタイミング間の時間が挙げられる。なお、具体的な制御の内容については、別のフローチャートを用いて後述する。
【0039】
また、搬送パス切替部103は、両面印刷が指定されていても用紙Pの一方の面のみに印刷する場合、制御部100の制御を受けて用紙Pが搬送される経路を搬送パスAから搬送パスBに変更するように排出・分岐部13を切り替える機能を有している。搬送パス切替部103が搬送パスBに切り替えると、用紙Pは、両面印刷用ユニット20を介さずにそのまま排出・分岐部13、排出トレイ14を経由して装置外部に排出される。
【0040】
ここで、両面印刷が指定されて用紙Pの一方の面のみに印刷する場合としては、全ページ数が奇数となっている両面印刷用の最終ページや、両面印刷が指定された1ページのみの印刷等が挙げられる。
【0041】
インターフェース部105は、画像形成装置1の一部に設けられた接続端子に接続されたケーブルによりネットワークを介して印刷データを受信する機能を有している。インターフェース部105は、ユーザによって操作されるクライアント端末からこのネットワークを介して送信された印刷データを受信する。
【0042】
また、インターフェース部105がクライアント端末から送信された印刷データを受信すると、制御部100は、この印刷データを解析して印刷条件を抽出する。そして制御部100は、この印刷条件を記憶部104に記憶させる。印刷条件には、例えば両面印刷の指定、用紙Pのサイズ、フェイスアップ/フェイスダウン(FU/FD)等の印刷に関する条件や設定が含まれている。
【0043】
制御部100は、外部のクライアント端末から受信した印刷データを処理して画像データを生成すると、これをプリントエンジン10に供給する。また制御部100は、光学部9で読み取った画像データについては、画像のノイズ除去などの前処理を行った後、さらに各種の設定に応じた画像処理を行い、そのデータをページごとにプリントエンジン10へ供給する。これにより、プリントエンジン10の感光ドラム表面に静電潜像が形成され、これがトナーで現像される。
【0044】
その一方で、画像形成装置1の内部では、カセット式給紙部3から取り出された用紙がレジストローラ7へ送られ、ここで一旦停止されている。プリントエンジン10の感光ドラムが所定回転角まで到達すると、このタイミングでレジストローラ7により用紙が再び搬送され、これによりトナー像が用紙に転写される。
【0045】
今回のジョブで両面印刷が設定(指定)されていた場合、トナー像が転写された用紙は定着部12を通って加熱・加圧された後、その搬送方向が排出・分岐部13内で下方へ分岐され、両面印刷用ユニット20に向けて送り出される。
【0046】
以上が画像形成装置1の基本的な構成及び動作であるが、加えて本実施形態では、例えばクライアント端末から送信された印刷データで両面印刷が指定されている場合において、用紙Pの一方の面のみに印刷するときの処理で以下の特徴を有している。
【0047】
図3は、制御部100による両面印刷制御処理のフローチャートである。以下、各手順に沿って説明する。
【0048】
両面印刷の前提として、例えばクライアント端末において文書や画像を両面印刷するための印刷データが作成される。このとき印刷データは、全ページ数が1であるか、もしくは3,5,7・・・等の奇数であるとする。ユーザによって両面印刷を指定して印刷指示がされると、クライアント端末は、ネットワークを介して印刷指示がされた印刷ジョブの印刷データを1枚毎に順々に送信する。
【0049】
制御部100は、インターフェース部105を介して1枚毎の印刷データを順々に受信していき、それぞれ印刷データに基づいて両面印刷を行う。
ステップS301:やがて制御部100は、最終ページの印刷データを受信する。このとき両面印刷は、高速両面印刷モードで実行される。また、両面印刷を指定した印刷データが1ページのみの場合には、制御部100は、この1ページのみの印刷データを最終ページとして受信する。なお、1ページだけの文書で両面印刷が指定されるのは、例えばプリンタドライバの設定が両面印刷を標準としている場合や、ユーザが敢えて両面印刷の形式を指定し手いる場合である。
【0050】
ステップS302:次に制御部100はタイマ101を起動し、この最終ページの印刷データを受信したタイミングで設定時間の計測を開始させる。
【0051】
ステップS303:制御部100は、ステップS301においてクライアント端末から送信された印刷データを解析し、両面印刷の指定や用紙Pのサイズを含む印刷条件を抽出する。そして制御部100は、抽出した印刷条件を記憶部104に記憶させる。
【0052】
ステップS304:制御部100は、タイマ101によって設定時間を計測している間に、クライアント端末から次の両面印刷用の印刷データ、即ち新規の印刷ジョブの印刷データを受信したか否かを判断する。
【0053】
ステップS305:その結果、次の両面印刷用の印刷データを設定時間内に受信しなかった場合(ステップS304:NO)、制御部100は、ステップS303で記憶部104に記憶させた印刷条件や機種情報、構成情報を読み出す。さらに、これらの読み出した情報に基づいて、搬送パスA、搬送パスBの搬送距離や搬送パスA、搬送パスBで用紙Pを搬送させるために必要となる時間を算出し、これらの算出した時間を比較する処理を行って、最終ページの印刷で搬送パスAから搬送パスBに切り替えたときに印刷時間の短縮が可能であるか否かを判断する。
【0054】
ステップS306:印刷時間の短縮が可能であると判断した場合(ステップS305:YES)、制御部100は、搬送パス切替部103を制御して、最終ページの印刷の際に用紙Pの搬送パスを搬送パスAから搬送パスBへ切り替える。
【0055】
ステップS307:制御部100は、最終ページについて印刷を実行させる。このときステップS306において、用紙Pの搬送パスを搬送パスAから搬送パスBへ切り替えている場合には、用紙Pは、定着部12でトナー画像が定着された後、両面印刷用ユニット20を介さずにそのまま排出・分岐部13、排出トレイ14を経由して装置外部に排出される。
【0056】
これに対し、ステップS304において次の両面印刷用の印刷データを設定時間内に受信した場合(ステップS304:YES)、又はステップS306において印刷時間の短縮が可能であると判断した場合(ステップS305:NO)、制御部100は、搬送パス切替部103で搬送パスAから搬送パスBへの切り替えを行わずに、次の印刷データでも高速両面印刷モードで通常通り印刷を行う。
【0057】
このようにして、全ページ数が奇数となっている両面印刷用の最終ページに対する印刷において、搬送パスの切り替えが適切であると判断した際には、両面印刷用ユニット20を介さないで排出するように搬送パスを切り替えることによって、無駄な搬送パスを経由することを防止することができる。この場合、用紙Pは印刷後に直接排出トレイ14から排出されるため、それだけトータルの印刷時間が短縮され、より効率的にジョブを完了させることができる。
【0058】
なお、上記の一実施形態では用紙タイプに普通紙を使用する場合を想定しているが、用紙タイプが例えば、パンチ孔付き用紙(Prepunched)、印刷済み用紙(Preprinted)、レターヘッド(Letterhead)等の場合、上記の制御は基本的にキャンセルされるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】画像形成装置の構成を概略的に示した垂直断面正面図である。
【図2】画像形成装置の制御構成を示したブロック図である。
【図3】画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0060】
1 画像形成装置
2 本体
10 プリントエンジン
11 転写部
12 定着部
13 排出・分岐部
20 両面印刷用ユニット
100 制御部
101 タイマ
103 搬送パス切換部
105 インターフェース部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジョブ単位で送信される印刷データを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した印刷データに基づいて画像を形成する画像形成部と、
前記ジョブで両面印刷が指定された場合、片方の面を前記画像形成部に相対させる態様で用紙を搬送した後、この用紙を反転させて反対の面を前記画像形成部に相対させる態様で用紙を搬送する第1の搬送手段と、
前記ジョブで両面印刷が指定されていない場合、片方の面だけを前記画像形成部に相対させる態様で用紙を搬送する第2の搬送手段と、
前記第1又は第2の搬送手段により搬送された用紙に対し、前記画像形成部により形成された画像を転写して印刷を実行する印刷実行手段と、
両面印刷が指定されたジョブの印刷データについて、全ページ数が奇数である場合にその最終ページの印刷データを受信すると、所定のタイマを起動して時間の計測を開始する計測手段と、
前記計測手段により所定時間が計測されるまでの間に、前記受信手段が新たに両面印刷を指定したジョブの印刷データを受信した場合、引き続き前記第1の搬送手段により用紙を搬送させて前記印刷実行手段により両面印刷を実行させる一方、前記受信手段が新たに両面印刷を指定したジョブの印刷データを受信しないまま前記計測手段により所定時間が計測された場合、前記第1の搬送手段から前記第2の搬送手段に切り替えて用紙を搬送させる切替手段と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記受信手段により受信された印刷データから得られる印刷条件、機種に関する機種情報のうちの少なくとも1つを記憶する記憶手段をさらに備え、
前記切替手段は、
前記受信手段が新たに両面印刷を指定したジョブの印刷データを受信しないまま前記計測手段により所定時間が計測された場合、前記記憶手段に記憶された情報に基づいて、前記第1の搬送手段から前記第2の搬送手段に切り替えることで印刷時間が短縮できるか否かを判断し、その結果、印刷時間が短縮できると判断した場合に前記第1の搬送手段から前記第2の搬送手段への切り替えを行うことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−98470(P2009−98470A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−270834(P2007−270834)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】