説明

画像形成装置

【課題】記録紙Pを媒体として、定着装置40内で使用される離型促進用のオイルを、中間転写ベルト25に転移させてしまうことによる白抜けの発生を従来よりも抑える。
【解決手段】操作者から両面モードの実行命令を受けたことと、絶対湿度の検知結果とに基づいて、中間転写ベルト25の表面の記録面間領域に対して、オイル吸収用のトナー像を形成し、その記録面間領域をベルトと2次転写ローラ72との当接による2次転写ニップに進入させているときには2次転写処理を一時中断して、オイル吸収用のトナー像を2次転写ニップ通過後のベルト表面に残留させて、ベルトクリーニング装置75まで到達させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、次のような再送手段を用いて、記録部材の両面に対してそれぞれ画像を形成する画像形成装置に関するものである。即ち、中間転写ベルト等の像担持体に対して記録部材を密着させながら像担持体上のトナー像を記録部材に転写する転写手段と、定着手段とを経由して第1面にトナー像が定着せしめられた記録部材を、上下反転させながら転写手段に再送する再送手段とを備える画像形成装置である。また、かかる画像形成装置の動作を制御するための制御プログラムを記録した機械読み取り可能な記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置においては、記録紙等の記録部材が媒体となって、離型促進剤としてのオイルを定着手段から像担持体に転移させて、白抜けと呼ばれる異常画像を引き起こすことがある。具体的には、近年の定着手段においては、記録部材に密着せしめて記録部材を加熱するための定着部材に対するトナーの融着を抑えるために、定着部材にオイルを塗布する機構を設けることが多い。定着部材にオイルを塗布することで、定着部材に対するトナーの融着を抑えるのである。しかしながら、上述のような再送手段を設けた画像形成装置では、第1面に対するトナー像の定着処理を施すために定着装置に送り込んだ記録部材に対して、定着部材の表面上のオイルを転移させる。そして、その記録部材を、第2面に対するトナー像の転写処理のために再送手段によって上下反転させながら転写手段に再送したときに、オイルが、記録部材から、像担持体やこれに当接する転写ローラ等の当接部材に転移する。当接部材に転移したオイルは、定着ニップから記録部材が排出されると、当接部材から像担持体に転移する。このようにして像担持体にオイルが付着すると、その付着箇所におけるトナー付着性が著しく低下して、付着箇所に白抜けが発生するのである。
【0003】
このような白抜けの発生を抑え得る画像形成装置として、特許文献1に記載のものが知られている。この画像形成装置は、感光体の表面上にY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(黒)のトナー像を順次形成しながら、それらを像担持体としての中間転写ベルトの表面に順次転写して4色トナー像を得る。そして、その4色トナー像を転写装置によって記録紙に一括転写する。このようにして、第1面にカラー画像を転写した記録紙を定着装置に送り込んでその第1面にカラー画像を定着させると、その記録紙を再送装置によって転写装置に再送する。そして、転写装置により、記録紙の第2面にも4色トナー像を転写する。このとき、先の定着処理時に記録紙に付着したオイルが、記録紙から中間転写ベルトに転移してしまうが、そのオイルはプリントジョブの終了後にベルト表面から除去される。具体的には、プリントジョブが終了すると、ベルト表面からオイルを除去するための除去動作が実施される。この除去動作では、プリントジョブ時に中間転写ベルトから離間させていたトナー塗布装置を中間転写ベルトに当接させる。このトナー塗布装置は、回転駆動する塗布ブラシをトナー収容部内のトナーと、中間転写ベルトとの両方に接触しながら回転することで、中間転写ベルトの表面にトナーを塗布する。中間転写ベルト表面に塗布されたトナーは、ベルト表面上のオイルを吸収する。中間転写ベルトには、上述した転写装置を経由した後のベルト表面に残留している転写残トナーを除去するためのクリーニング装置が当接しており、ベルト表面上のオイルを吸収したトナーは、このクリーニング装置によってベルト表面から掻き取られる。これにより、中間転写ベルトの表面からオイルが除去されて、白抜けの発生が抑えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この画像形成装置においても、両面モードでの連続プリント枚数が比較的多くなる場合には、白抜けを引き起こし易くなる。具体的には、両面モードのプリントジョブの実施中には、トナー像を形成している中間転写ベルトに対して塗布ブラシを当接させることができないことから、除去動作を行うことができない。このため、両面モードにおいて、プリント枚数が比較的多くなる場合には、中間転写ベルトの表面にオイル量が蓄積して白抜けを引き起こし易くなるのである。
【0005】
本発明は以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、像担持体に離型促進剤を付着させることによる白抜けの発生を従来よりも抑えることができる画像形成装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、画像形成装置であって、像担持体の移動する表面にトナー像を形成する像形成手段と、前記表面に記録部材を密着させながら前記表面上のトナー像を記録部材に転写する転写手段と、前記転写手段を経由した後の記録部材に定着部材を密着させながら、該記録部材にトナー像を定着せしめる定着手段と、前記定着部材の表面にトナーの離型促進剤を付与する付与手段と、前記定着手段を経由して第1面にトナー像が定着された記録部材に対してその第2面にトナー像の転写処理及び定着処理を施すために、前記記録部材を上下反転させながら前記転写手段に向けて再送する再送手段と、前記像担持体の表面の移動方向における全領域のうち、前記転写手段による転写位置を通過した後、前記像形成手段による像形成位置に進入する前の領域、に対してクリーニング部材を当接させてトナーのクリーニング処理を施すクリーニング手段と、温度及び湿度のうちの少なくとも何れか一方を検知する環境センサと、操作者からの命令に基づいて、記録部材の第1面に対してだけトナー像を形成する片面モードと、前記再送手段による再送を実行することで記録部材の両面にそれぞれトナー像を形成する両面モードとを切り替えて実行し、操作者から前記両面モードの実行命令を受けたことと、前記環境センサによる検知結果とに基づいて、前記像担持体の表面の移動方向における全領域のうち、記録部材の第1面に密着せしめられる領域と、前記記録部材の第2面に密着せしめられる領域との間の領域や、先行して搬送される記録部材の第2面に密着せしめられる領域と、後続の記録部材の第1面に密着せしめられる領域との間の領域、である記録面間領域に対して、前記像形成手段によって離型促進剤吸収用のトナー像を形成し、前記記録面間領域を前記転写手段による転写位置に進入させているときには該転写手段による転写処理を中断して、前記離型促進剤吸収用のトナー像を転写位置通過後の前記記録面間領域に残留させる制御を実施する制御部とを備えることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、前記クリーニング部材として、前記像担持体との当接箇所で前記像担持体上のトナーを堰き止めながら、自らにおける前記当接箇所よりも像担持体表面移動方向上流側の箇所と、像担持体との間に、そのトナーを保持するものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の画像形成装置であって、前記両面モードの実行命令を受け、且つ、前記環境検知手段による検知結果、又は前記転写位置に送り込まれる記録部材の種類情報を取得する種類情報取得手段による取得結果が、所定の条件を満足した場合にのみ、前記制御を実施することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1又は2の画像形成装置であって、操作者から前記両面モードの実行命令を受けたことと、両面モード印刷量とに基づいて、前記記録部材の搬送を停止した後に、前記像担持体の表面の移動方向における全領域に対して前記像形成手段によって離型促進剤吸収用のトナー像を形成し、該離型促進剤吸収用のトナー像を転写位置通過後の該像担持体の全領域に残留させる制御を実施することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至3の何れかの画像形成装置であって、前記環境検知手段による検知結果、又は前記転写位置に送り込まれる記録部材の種類情報を取得する種類情報取得手段による取得結果、に応じて、前記離型促進剤吸収用のトナー像の形成条件を変化させることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5の画像形成装置であって、前記形成条件として、記録部材の搬送方向における前記離型促進剤吸収用のトナー像のサイズ条件を変化させることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項5の画像形成装置であって、前記形成条件として、複数の記録部材に対してそれぞれ両面画像形成を連続的に施す連続両面モードの実行時に、それら複数の記録部材に対応して発生する複数の前記記録面間領域に対する前記離型促進剤吸収用のトナー像の形成頻度の条件を変化させることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項3乃至7の何れかの画像形成装置であって、前記クリーニング部材の累積使用量を積算する積算手段を備え、前記形成条件として、複数の記録部材に対してそれぞれ両面画像形成を連続的に施す連続両面モードの実行時に、前記累積使用量が比較的少ない場合には、それら複数の記録部材に対応して発生する複数の前記記録面間領域に対する前記離型促進剤吸収用のトナー像の形成頻度を比較的低くする一方で、前記累積使用量が比較的多い場合には、複数の前記記録面間領域に対応する前記離型促進剤吸収用のトナー像の形成頻度を比較的高くすることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項3乃至8の何れかの画像形成装置であって、前記転写位置に送り込まれる記録部材の搬送方向に直交する方向のサイズ情報である幅情報を取得する幅情報取得手段を備え、該幅情報の取得結果に応じて、前記離型促進剤吸収用のトナー像における該搬送方向に直交する方向のサイズを変化させることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項3乃至9の何れかの画像形成装置であって、前記転写位置に送り込まれる記録部材のサイズ情報として面積情報を取得する面積情報取得手段を備え、該面積情報の取得結果に応じて、前記離型促進剤吸収用のトナー像における該搬送方向のサイズを変化させることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項3乃至10の何れかの画像形成装置であって、前記転写位置に送り込まれる記録部材のサイズ情報として面積情報を取得する面積情報取得手段を備え、複数の記録部材に対してそれぞれ両面画像形成を連続的に施す連続両面モードの実行時に、該面積情報の取得結果に応じて、それら複数の記録部材に対応して発生する複数の前記記録面間領域に対する前記離型促進剤吸収用のトナー像の形成頻度の条件を変化させることを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項1乃至11の何れかの画像形成装置であって、前記離型促進剤吸収用のトナー像として、ハーフトーンのトナー像を形成することを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項1乃至12の何れかの画像形成装置において、前記クリーニング部材として、支持手段によって片持ち支持されながら、自由端側を前記像担持体に当接させるクリーニングブレードを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、画像形成装置であって、像担持体の移動する表面にトナー像を形成する像形成手段と、前記表面に記録部材を密着させながら前記表面上のトナー像を記録部材に転写する転写手段と、前記転写手段を経由した後の記録部材に定着部材を密着させながら、該記録部材にトナー像を定着せしめる定着手段と、前記定着部材の表面にトナーの離型促進剤を付与する付与手段と、前記定着手段を経由して第1面にトナー像が定着された記録部材に対してその第2面にトナー像の転写処理及び定着処理を施すために、前記記録部材を上下反転させながら前記転写手段に向けて再送する再送手段と、前記像担持体の表面の移動方向における全領域のうち、前記転写手段による転写位置を通過した後、前記像形成手段による像形成位置に進入する前の領域、に対してクリーニング部材を当接させてトナーのクリーニング処理を施すクリーニング手段と、操作者からの命令に基づいて、記録部材の第1面に対してだけトナー像を形成する片面モードと、前記再送手段による再送を実行することで記録部材の両面にそれぞれトナー像を形成する両面モードとを切り替えて実行し、操作者から前記両面モードの実行命令を受けたことに基づいて、前記像担持体の表面の移動方向における全領域のうち、記録部材の第1面に密着せしめられる領域と、前記記録部材の第2面に密着せしめられる領域との間の領域や、先行して搬送される記録部材の第2面に密着せしめられる領域と、後続の記録部材の第1面に密着せしめられる領域との間の領域、である記録面間領域に対して、前記像形成手段によって離型促進剤吸収用のトナー像を形成し、前記記録面間領域を前記転写手段による転写位置に進入させているときには該転写手段による転写処理を中断して、前記離型促進剤吸収用のトナー像を転写位置通過後の前記記録面間領域に残留させる制御を実施する制御部とを備えることを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、像担持体の移動する表面にトナー像を形成する像形成手段と、前記表面に記録部材を密着させながら前記表面上のトナー像を記録部材に転写する転写手段と、前記転写手段を経由した後の記録部材に定着部材を密着させながら、該記録部材にトナー像を定着せしめる定着手段と、前記定着部材の表面にトナーの離型促進剤を付与する付与手段と、前記定着手段を経由して第1面にトナー像が定着された記録部材に対してその第2面にトナー像の転写処理及び定着処理を施すために、前記記録部材を上下反転させながら前記転写手段に向けて再送する再送手段と、前記像担持体の表面の移動方向における全領域のうち、前記転写手段による転写位置を通過した後、前記像形成手段による像形成位置に進入する前の領域、に対してクリーニング部材を当接させてトナーのクリーニング処理を施すクリーニング手段と、温度及び湿度のうちの少なくとも何れか一方を検知する環境センサとを備える画像形成装置に用いられる、制御プログラムを記録した機械読み取り可能な記録媒体において、操作者からの命令に基づいて、記録部材の第1面に対してだけトナー像を形成する片面モードと、前記再送手段による再送を実行することで記録部材の両面にそれぞれトナー像を形成する両面モードとを切り替えて実行し、操作者から前記両面モードの実行命令を受けたことと、前記環境センサによる検知結果とに基づいて、前記像担持体の表面の移動方向における全領域のうち、記録部材の第1面に密着せしめられる領域と、前記記録部材の第2面に密着せしめられる領域との間の領域や、先行して搬送される記録部材の第2面に密着せしめられる領域と、後続の記録部材の第1面に密着せしめられる領域との間の領域、である記録面間領域に対して、前記像形成手段によって離型促進剤吸収用のトナー像を形成し、前記記録面間領域を前記転写手段による転写位置に進入させているときには該転写手段による転写処理を中断して、前記離型促進剤吸収用のトナー像を転写位置通過後の前記記録面間領域に残留させる制御を実施する制御部ととして、コンピュータを機能させるための制御プログラムを記録していることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
これらの発明においては、像担持体に離型促進剤を付着させることによる白抜けの発生を従来よりも抑えることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。
【図2】同プリンタの定着装置を示す拡大構成図。
【図3】同プリンタのベルトクリーニング装置を中間転写ベルトとともに示す拡大構成図。
【図4】同プリンタのブレードクリーニング位置と、その周囲構成とを拡大して示す拡大構成図。
【図5】実施形態に係るプリンタの主制御部によって実施される制御の一部フローを示すフローチャート。
【図6】網点のドットマトリクスを示す模式図。
【図7】同主制御部によって実施される他の制御の一部フローを示すフローチャート。
【図8】同プリンタにおける電気回路の一部を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式によって画像を形成するプリンタの実施形態について説明する。
まず、実施形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。図1は、実施形態に係るプリンタを示す概略構成図である。このプリンタは、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)のトナー像を形成するための4つのプロセスユニット2Y,M,C,Kを備えている。また、給紙路30、転写前搬送路31、手差し給紙路32、手差しトレイ33、レジストローラ対34、搬送ベルトユニット35、定着装置40、搬送切替装置50、排紙路51、排紙ローラ対52、排紙トレイ53、第1給紙カセット101、第2給紙カセット102、再送装置等も備えている。また、2つの光書込ユニット1YM、1CKも備えている。なお、プロセスユニット2Y,M,C,Kは、潜像担持体たるドラム状の感光体3Y,M,C,Kを有している。
【0010】
第1給紙カセット101,第2給紙カセット102は、それぞれ内部に記録紙Pの束を収容している。そして、給紙ローラ101a,102aの回転駆動により、紙束における一番上の記録紙Pを給紙路30に向けて送り出す。この給紙路30には、後述する2次転写ニップの直前で記録紙を搬送するための転写前搬送路31が続いている。給紙カセット(101,102)から送り出された記録部材としての記録紙Pは、給紙路30を経へて転写前搬送路31に進入する。
【0011】
プリンタ筺体における側面には、手差しトレイ33が筺体に対して開閉可能に配設されており、筺体に対して開いた状態でトレイ上面に紙束が手差しされる。手差しされた紙束における一番上の記録紙Pは、手差しトレイ33の送出ローラによって転写前搬送路31に向けて送り出される。
【0012】
2つの光書込ユニット1YM,1CKは、それぞれ、レーザーダイオード、ポリゴンミラー、各種レンズなどを有しており、プリンタ外部のスキャナによって読み取られた画像情報や、パーソナルコンピュータから送られてくる画像情報に基づいて、レーザーダイオードを駆動する。そして、プロセスユニット2Y,M,C,Kの感光体3Y,M,C,Kを光走査する。具体的には、プロセスユニット2Y,M,C,Kの感光体3Y,M,C,Kは、図示しない駆動手段によってそれぞれ図中反時計回り方向に回転駆動せしめられる。光書込ユニット1YMは、駆動中の感光体3Y,Mに対して、レーザー光をそれぞれ回転軸線方向に偏向せしめながら照射することで、光走査処理を行う。これにより、感光体3Y,Mには、Y,M画像情報に基づいた静電潜像が形成される。また、光書込ユニット1CKは、駆動中の感光体3C,Kに対して、レーザー光をそれぞれ回転軸線方向に偏向せしめながら照射することで、光走査処理を行う。これにより、感光体3C,Kには、C,K画像情報に基づいた静電潜像が形成される。
【0013】
プロセスユニット2Y,M,C,Kは、それぞれ、潜像担持体たる感光体と、その周囲に配設される各種機器とを1つのユニットとして共通の支持体に支持するものであり、それらがプリンタ部本体に対して着脱可能になっている。そして、互いに使用するトナーの色が異なる点の他が同様の構成になっている。Y用のプロセスユニット2Yを例にすると、これは、感光体3Yの他、これの表面に形成された静電潜像をYトナー像に現像するための現像装置4Yを有している。また、回転駆動される感光体3Yの表面に対して一様帯電処理を施す帯電装置5Yや、後述するY用の1次転写ニップを通過した後の感光体3Y表面に付着している転写残トナーをクリーニングするドラムクリーニング装置6Yなども有している。
【0014】
図示のプリンタは、4つのプロセスユニット2Y,M,C,Kを、後述する中間転写ベルト25に対してその無端移動方向に沿って並べたいわゆるタンデム型の構成になっている。
【0015】
感光体3Yとしては、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材の塗布による感光層を形成したドラム状のものを用いている。但し、無端ベルト状のものを用いても良い。
【0016】
現像装置4Yは、図示しない磁性キャリアと非磁性のYトナーとを含有する二成分現像剤(以下、単に現像剤という)を用いて潜像を現像するものである。現像装置4Yとして、二成分現像剤の代わりに、磁性キャリアを含まない一成分現像剤によって現像を行うタイプのものを使用していもよい。現像装置4Yに対しては、図示しないYトナー補給装置により、Yトナーボトル103Y内のYトナーが適宜補給される。
【0017】
ドラムクリーニング装置6Yとしては、ポリウレタンゴム製のクリーニングブレードを感光体3Yに押し当てる方式のものを用いているが、他の方式のものを用いてもよい。クリーニング性を高める目的で、本プリンタでは、回転自在なファーブラシを感光体3Yに当接させる方式のものを採用している。このファーブラシは、図示しない固形潤滑剤から潤滑剤を掻き取って微粉末にしながら感光体3Y表面に塗布する役割も兼ねている。
【0018】
感光体3Yの上方には、図示しない除電ランプが配設されており、この除電ランプもプロセスユニット2Yの一部になっている。除電ランプは、ドラムクリーニング装置6Yを通過した後の感光体3Y表面を光照射によって除電する。除電された感光体3Yの表面は、帯電装置5Yによって一様に帯電せしめられた後、上述した光書込ユニット1YMによる光走査が施される。なお、帯電装置5Yは、図示しない電源から帯電バイアスの供給を受けながら回転駆動するものである。かかる方式に代えて、感光体3Yに対して非接触で帯電処理を行うスコロトロンチャージャ方式を採用してもよい。
【0019】
Y用のプロセスユニット2Yについて説明したが、M,C,K用のプロセスユニット2M,C,Kも、Y用のものと同様の構成になっている。
【0020】
4つのプロセスユニット2Y,M,C,Kの下方には、転写ユニット60が配設されている。この転写ユニット60は、複数のローラによって張架している像担持体たる中間転写ベルト25を、感光体3Y,M,C,Kに当接させながら、何れか1つのローラの回転駆動によって図中時計回り方向に無端移動させる。これにより、感光体3Y,M,C,Kと中間転写ベルト25とが当接するY,M,C,K用の1次転写ニップが形成されている。
【0021】
Y,M,C,K用の1次転写ニップの近傍では、ベルトループ内側に配設された1次転写ローラ62Y,M,C,Kによって中間転写ベルト25を感光体3Y,M,C,Kに向けて押圧している。これら1次転写ローラ62Y,M,C,Kには、それぞれ図示しない電源によって1次転写バイアスが印加されている。これにより、Y,M,C,K用の1次転写ニップには、感光体3Y,M,C,K上のトナー像を中間転写ベルト25に向けて静電移動させる1次転写電界が形成されている。
【0022】
図中時計回り方向の無端移動に伴ってY,M,C,K用の1次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト25のおもて面には、各1次転写ニップでトナー像が順次重ね合わせて1次転写される。この重ね合わせの1次転写により、中間転写ベルト25のおもて面には4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
【0023】
中間転写ベルト25の図中下方には、2次転写ローラ72が配設されており、これは中間転写ベルト25における2次転写バックアップローラ68に対する掛け回し箇所にベルトおもて面から当接して2次転写ニップを形成している。これにより、中間転写ベルト25のおもて面と、2次転写ローラ72とが当接する2次転写ニップが形成されている。
【0024】
2次転写ローラ72には図示しない電源によって2次転写バイアスが印加されている。一方、ベルトループ内の2次転写バックアップローラ68は接地されている。これにより、2次転写ニップ内に2次転写電界が形成されている。
【0025】
2次転写ニップの図中右側方には、上述のレジストローラ対34が配設されており、ローラ間に挟み込んだ記録紙Pを中間転写ベルト25上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで2次転写ニップに送り出す。2次転写ニップ内では、中間転写ベルト25上の4色トナー像が2次転写電界やニップ圧の影響によって記録紙に一括2次転写され、記録紙の白色と相まってフルカラー画像となる。
【0026】
2次転写ニップを通過した中間転写ベルト25のおもて面には、2次転写ニップで記録紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、中間転写ベルト25に当接するベルトクリーニング装置75によってクリーニングされる。
【0027】
2次転写ニップを通過した記録紙Pは、中間転写ベルト25から離間して、搬送ベルトユニット35に受け渡される。この搬送ベルトユニット35は、無端状の搬送ベルト36を駆動ローラ37と従動ローラ38とによって張架しながら、駆動ローラ37の回転駆動によって図中反時計回り方向に無端移動せしめる。そして、2次転写ニップから受け渡された記録紙をベルト上部張架面に保持しながら、ベルトの無端移動に伴って搬送して定着装置40に受け渡す。
【0028】
図2は、定着装置40を示す拡大構成図である。定着装置40は、定着ローラ41、定着ベルト42、弾性駆動ローラ43、加熱ローラ44、トナー除去ユニット45、オイル塗布ローラ46、オイル供給ローラ47、オイル浸透フェルト48、オイル受け皿49等を有している。
【0029】
無端状の定着ベルト42は、弾性駆動ローラ43と、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する加熱ローラ44とに掛け回された状態で、弾性駆動ローラ43の図中時計回り方向の回転駆動に伴って、図中時計回り方向に無端移動する。そして、加熱ローラ44に対する掛け回し位置で、加熱ローラ44によって加熱される。加熱ローラ44の発熱源に対する電源供給のオン、オフは、図示しない定着温度制御部によって制御される。この定着温度制御部は、定着ベルト42の表面温度を検知する図示しない温度センサによる検知結果が所定値になるように、前述の電源供給をオン、オフ制御する。
【0030】
無端移動する定着ベルト42における弾性駆動ローラ43に対する掛け回し箇所には、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ41が当接して定着ニップを形成しながら、図中反時計回り方向に回転駆動している。定着ローラ41の発熱源に対する電源供給のオン、オフも、定着温度制御部によって制御される。定着温度制御部は、定着ローラ41の表面温度を検知する図示しない温度センサによる検知結果が所定値になるように、前述の電源供給をオン、オフ制御する。
【0031】
上述した2次転写ニップを通過した記録紙Pは、定着装置40内に送られて、定着ニップに挟み込まれる。そして、加圧や加熱などの作用により、トナー像の定着処理が施される。
【0032】
定着ニップを通過した後の定着ベルト42には、トナー除去ユニット45のクリーニングウェブが当接している。このクリーニングウェブにより、定着ベルト42の表面に付着してしまったトナーが拭き取られる。なお、トナー除去ユニット45は、帯状のウェブを巻き付けロールに巻き付けている。そして、この巻き付けロールから引き伸ばされたウェブを、巻き取りロールの回転によって巻き取ることができる。ウェブにおける巻き付けロールと、巻き取りロールとの間の箇所を定着ベルト42に当接させており、その箇所の汚れの度合い(拭き取り動作時間)が進行するのに応じて、適宜量のウェブを巻き取りロールで巻き取ることで、ウェブの汚れていない箇所を定着ベルト42に当接させる。
【0033】
定着ベルト42における加熱ローラ44に対する掛け回し箇所には、オイル塗布ローラ46が当接している。このオイル塗布ローラ46は、定着ベルト42の表面に当接しながら回転することで、離型促進剤としてのオイルを同表面に塗布する。
【0034】
オイル塗布ローラ46の近傍には、オイル受け皿49、オイル浸透フェルト48、及びオイル供給ローラ47が配設されている。オイル受け皿49内には、オイルが貯留されている。このオイル受け皿49には、所定の高さ位置でオイル受け皿49内のオイルをオーバーフローさせる図示しないオーバーフロー管が設けられている。オイル受け皿49に対しては、図示しないオイル補給装置によってオイルが定期的に補給されるが、このとき、余剰のオイルは前述のオーバーフロー管を経由してオイル補給装置に戻される。
【0035】
オイル受け皿49内のオイルには、オイル浸透フェルト48が部分的に浸かっている。このオイル浸透フェルト48は、オイルに対する非浸透箇所に対して、毛細管現象によってオイルを染み込ませる。
【0036】
オイル供給ローラ47は、オイル浸透フェルト48と、オイル塗布ローラ46とに当接した状態で回転することにより、オイル浸透フェルト48から拭い取ったオイルを、オイル塗布ローラ46に塗布する。これにより、定着ベルト42に対するオイル塗布によってオイルを失ったオイル塗布ローラ46表面に、新たなオイルが供給される。
【0037】
定着装置40は、以上のようにして定着ベルト42にオイルを塗布することで、定着ベルト42に対するトナーのオフセットを抑えている。また、定着ベルト42に塗布したオイルを、記録紙Pが挟み込まれていない定着ニップで定着ローラ41に転移させることで、定着ローラ41に対するトナーのオフセットも抑えている。
【0038】
先に示した図1において、2次転写ニップで第1面にトナー像が転写され、且つ定着装置40でその第1面にトナー像が定着せしめられた記録紙Pは、搬送切替装置50に向けて送り出される。
【0039】
本プリンタにおいては、搬送切替装置50、再送路54、スイッチバック路55、スイッチバック後搬送路56等により、再送手段が構成されている。具体的には、搬送切替装置50は、定着装置40から受け取った記録紙Pのその後の搬送先を、排紙路51と、再送路54とで切り替える。具体的には、記録紙Pの第1面だけに対して画像を形成する片面モードのプリントジョブの実行時には、搬送先を排紙路51に設定する。これにより、第1面だけに画像が形成された記録紙Pを、排紙路51経由で排紙ローラ対52に送って、機外の排紙トレイ53上に排紙する。また、記録紙Pの両面に対してそれぞれ画像を形成する両面モードのプリントジョブの実行時において、両面にそれぞれ画像が定着された記録紙Pを定着装置40から受け取ったときにも、搬送先を排紙路51に設定する。これにより、両面に画像が形成された記録紙Pを、機外の排紙トレイ53上に排紙する。一方、両面モードのプリントジョブの実行時において、第1面だけに画像が定着された記録紙Pを定着装置40から受け取ったときには、搬送先を再送路54に設定する。
【0040】
再送路54には、スイッチバック路55が繋がっており、再送路54に送られた記録紙Pはこのスイッチバック路55に進入する。そして、記録紙Pの搬送方向の全領域がスイッチバック路55に進入すると、記録紙Pの搬送方向が逆転されて、記録紙Pがスイッチバックする。スイッチバック路55には、再送路54の他に、スイッチバック後搬送路56が繋がっており、スイッチバックした記録紙Pは、このスイッチバック後搬送路56に進入する。このとき、記録紙Pの上下が反転する。そして、上下反転した記録紙Pは、スイッチバック後搬送路56と、上述した給紙路30とを経由して、2次転写ニップに再送される。2次転写ニップで第2面にもトナー像が転写された記録紙Pは、定着装置40を経由して第2面にトナー像が定着せしめられた後、搬送切替装置50と、排紙路51と排紙ローラ対52とを経由して、排紙トレイ53上に排紙される。
【0041】
図3は、ベルトクリーニング装置75を中間転写ベルト25とともに示す拡大構成図である。ベルトクリーニング装置75は、クリーニングブラシローラ76、クリーニング部材たるクリーニングブレード77、潤滑剤塗布ブラシローラ87、潤滑剤塊85、付勢コイルバネ86などを備えている。潤滑剤塗布ブラシローラ76や、クリーニングブレード77は、中間転写ベルト25の移動方向の全領域のうち、ベルトループ内に配設されたクリーニングバックアップローラ69に対する掛け回し箇所に当接している。また、潤滑剤塗布ブラシローラ87は、中間転写ベルト25の移動方向の全領域のうち、ベルトループ内に配設された塗布バックアップローラ70に対する掛け回し箇所に当接している。
【0042】
クリーニングブラシローラ76は、金属製の回転軸部材と、これの周面に立設せしめられた複数の起毛からなるブラシローラ部とを具備しており、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動されながら、ブラシ先端を中間転写ベルト25に接触させる。これにより、中間転写ベルト25に付着している転写残トナーをベルト表面から掻き取ったり、転写残トナーをベルト表面に均したりする。
【0043】
クリーニングブレード77は、ブレードホルダによって片持ち支持された状態で、自由端側を、クリーニングブラシローラ76との当接位置を通過したベルト表面箇所に当接させている。そして、前記当接位置を通過した後のベルト表面箇所に残っている転写残トナーを、ベルト表面から掻き落とす。
【0044】
クリーニングブラシローラ76及びクリーニングブレード77によるクリーニング処理が施されたベルト表面箇所は、塗布ブラシローラ87との接触位置に進入する。塗布ブラシローラ87は、金属製の回転軸部材と、これの周面に立設せしめられた複数の起毛からなるブラシローラ部とを具備しており、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動されながら、ブラシ先端を中間転写ベルト25や潤滑剤塊85に接触させる。この潤滑剤塊85は、付勢コイルバネ86によって塗布ブラシローラ87に向けて付勢されている。塗布ブラシローラ87は、回転に伴って潤滑剤塊85から潤滑剤を粉末として掻き取ってブラシ内に捕捉した後、中間転写ベルト25の表面に塗布する。このようにして潤滑剤を塗布することで、ベルトから記録紙Pへのトナー転写性を向上させることができる。なお、潤滑剤塊85としては、ステアリン酸亜鉛塊を例示することができる。
【0045】
次に、本発明者らが行った実験について説明する。
本発明者らは、図1に示した構成を有するプリンタ試験機を用意した。そして、このプリンタ試験機により、複数の記録紙Pの両面に対してそれぞれ所定のテスト画像を連続して出力するテストプリントを行った。そして、テストプリントで最後に出力したプリント紙における白抜けランクを評価した。白抜けランクは、全く無なしという結果を表す「5」から、容易に視認可能な白抜けが顕著に認められるという結果を示す「1」までの範囲で、白抜けの度合いを評価したものである。数値が5に近づくほど、白抜けの発生度合いが低いことを示している。この実験の結果を表1に示す。なお、テストプリントにおける白抜けは、第1面に対する画像形成時に定着装置40を通過してオイルを付着させた記録紙Pが、2次転写ニップに再送されたときに、中間転写ベルト25に対して直接、あるいは2次転写ローラ72を介してオイルを付着させることに起因して発生したものである。また、テストプリントにおいて、記録紙Pとしては、表面処理が施されていないA3サイズの非コート紙(普通紙)を用いた。この非コート紙を縦搬送(長手方向に沿って搬送)しながら、その両面にそれぞれテスト画像を形成した。また、表1の環境という項目において、括弧内に示されている数値は、絶対湿度である。
【表1】

【0046】
表1に示すように、両面モードでの連続のプリント枚数が多くなるほど、白抜けランクが低くなる(白抜けが発生し易くなる)。また、同じプリント枚数であれば、環境が高温多湿化するほど、白抜けランクが低くなる。即ち、白抜けは、環境が高温多湿化するほど発生し易くなる。逆に、10[℃]、15[%]という低温低湿の環境下では、800枚という多量の枚数の記録紙(A3サイズの非コート紙)に対して連続で両面モードを実行しても、白抜けは全く発生しないことがわかる。このことから、環境は、ベルトに対するオイル付着に起因する白抜けの発生度合いに大きな影響を与えることが判明した。
【0047】
次に、本発明者らは、27[℃]、80[%]の環境下において、複数種類の記録紙Pを用いて、先のテストプリントと同様にして白抜けランクを調べた。この結果を次の表2に示す。なお、何れの種類の記録紙Pも、A3サイズのものを使用し、それを縦搬送した。
【表2】

【0048】
表2に示すように、同じプリント枚数で且つ同じ環境条件であれば、表面処理が施されたマットコート紙やグロスコート紙よりも、非コート紙の方が白抜けを発生させ易いことがわかる。これは、非コート紙の方が、コート紙に比べて定着ベルトのオイルを吸収し易いからである。
【0049】
次に、オイル除去処理を実施しながらテストプリントを行って白抜けランクを調べた。このオイル除去処理とは、次のような処理である。即ち、両面モードにおいて、中間転写ベルト25の記録面間領域に対して、オイル吸収用(離型促進剤吸収用)のトナー像を形成する。記録面間領域とは、中間転写ベルト25の表面移動方向の全領域のうち、記録紙Pの第1面に密着せしめられる領域と、その記録紙Pの第2面に密着せしめられる領域との間の領域や、先行して搬送される記録紙Pの第2面に密着せしめられる領域と、後続の記録紙Pの第1面に密着せしめられる領域との間の領域、のことである。それら記録面間領域に対して、オイル吸収用のトナー像を形成するのである。そして、記録面間領域を、転写手段による転写位置としての2次転写ニップに進入させているときには、2次転写ローラ72に対する2次転写バイアスの印加を中断する。これにより、2次転写処理を一時中断して、オイル吸収用のトナー像を2次転写ニップ通過後の記録面間領域に残留させる。このトナー像を転写位置に進入させるときには転写処理を中断して、転写位置通過後の像担持体の記録面間領域に、そのトナー像を残留させる。記録面間領域に残留したオイル吸収用のトナー像は、クリーニング部材としてのクリーニングブレード77と、中間転写ベルト25との当接位置であるブレードクリーニング位置に進入する。
【0050】
図4は、ブレードクリーニング位置と、その周囲構成とを拡大して示す拡大構成図である。クリーニングブレード77は、図示のように、中間転写ベルト25との当接箇所である自由端側エッジにおいて、ベルト上のトナーを堰き止めながら、その自由端側エッジよりもベルト表面移動方向上流側の箇所である自由端面と、中間転写ベルト25との間に、そのトナーを保持し得るクリーニング部材である。オイル吸収用のトナー像を2次転写ニップ通過後の記録面間領域に残留させると、ブレードクリーニング位置では、オイル吸収用のトナー像を構成しているトナーの移動が、クリーニングブレード77によって堰き止められる。そして、堰き止められたトナーが、ブレードクリーニング位置よりも少しだけベルト表面移動方向の上流側の位置において、クリーニングブレード77の自由端面とベルトとの間に保持されながら、中間転写ベルト25の移動する表面と摺擦する。この摺擦により、トナーは、中間転写ベルト25の記録面間領域に付着しているオイルのみならず、中間転写ベルト25における他の領域に付着しているオイルをも吸収した後、やがて中間転写ベルト25の表面から掻き落とされる。これにより、中間転写ベルト25の表面からオイルが除去される。以上のような、オイル吸収用のトナー像を形成したり、2次転写ニップ通過後の記録面間領域にそのトナー像を残留させたり、そのトナー像中のトナーをブレードクリーニング位置の入口付近でベルト表面と摺擦させてトナーにベルト上のオイルを吸収させたり、オイル吸収後のトナーをベルト表面から掻き落としたりするオイル除去処理を、両面モードのテストプリントの実施中に実行するのである。
【0051】
記録紙Pとしては、A3サイズの非コート紙を用い、27[℃]、80[%]の環境下において、オイル除去処理を実行しながら、テストプリントを行った。この結果を、オイル除去処理を実行しない場合の結果とともに、次の表3に示す。
【表3】

【0052】
表3より、オイル除去処理を実施することで、白抜けの発生を有効に抑え得ることがわかる。
【0053】
次に、実施形態に係るプリンタの特徴的な構成について説明する。
図8は、実施形態に係るプリンタにおける電気回路の一部を示すブロック図である。同図において、駆動制御部201は、感光体モータ、駆動ローラモータ、レジストローラモータなどといった各種のモータの駆動をそれぞれ制御するものである。また、主制御部202は、駆動制御部201に対して制御信号を送ることで各種のモータの駆動を間接的に制御したり、光書込ユニットなどの機器の駆動を制御したり、各種センサからの出力に基づいて所定の演算処理をしたりするものである。CPU(Central Processing Unit)202a、データ一時記憶手段たるRAM(Random Access Memory)202b、データ記憶手段たるROM(Read Only Memory)202cなどを有している。
【0054】
図5は、主制御部202によって実施される制御の一部フローを示すフローチャートである。主制御部202は、ユーザーからのプリント命令信号を受信すると、両面モードのプリント命令であるか否かを判定する(ステップ1:以下、ステップをSと記す)。そして、両面モードでない場合には(S1でN)、図示のフローを終了させて、オイル除去処理を実施しないままに、そのプリント命令に応じたプリントジョブを実施する。
【0055】
一方、両面モードである場合には(S1でY)、環境を検知する(S2)。具体的には、本プリンタは、機内の相対湿度を検知する環境検知手段としての図示しない湿度センサや、機内の温度を検知する環境検知手段としての図示しない温度センサを有している。主制御部202は、それらセンサからの出力に基づいて、機内の相対湿度及び温度を把握する。主制御部202は、ROM202cに、絶対湿度特定用のデータテーブルを記憶している。このデータテーブルは、相対湿度[%]と温度[℃]とに基づいて、絶対湿度[g/m]を特定するためのものである。主制御部202は、相対湿度[%]及び温度[℃]の把握結果を、そのデータテーブルに照らし合わせることで、絶対湿度を特定する。このようにして絶対湿度を特定する工程が、図5のS2の工程である。
【0056】
絶対湿度を特定すると、主制御部202は、紙種情報を取得する(S3)。具体的には、本プリンタは、第1給紙カセット101や第2給紙カセット102に収容されている記録紙Pについて、ユーザーがテンキー等の入力操作部203を操作して、非コート紙、マットコート紙、グロスコート紙などといった紙種の情報をデータ記憶手段(RAM202bなど)に記憶させることができる。主制御部202は、両面モードのプリント命令に対応する給紙カセット内に収容されている記録紙Pの紙種情報をデータ記録手段から読み込んで取得するのである。
【0057】
次に、主制御部202は、両面モードのプリント命令に対応する記録紙の紙サイズを取得する(S4)。具体的には、本プリンタにおいては、各給紙カセットにおいて、記録紙Pの束を側方から押さえる押さえ板の位置に基づいて、紙サイズを検知する紙サイズ検知手段が各給紙カセットに設けられている。主制御部202は、それら紙サイズ検知手段による検知結果により、両面モードのプリント命令に対応する記録紙の紙サイズを取得するのである。
【0058】
絶対湿度の特定、紙種情報の取得、及び紙サイズの取得が終わると、主制御部202は、絶対湿度(環境)、紙種、及び紙サイズに基づくオイル除去処理を実行しながら、両面モードのプリントジョブを行う。
【0059】
なお、本プリンタにおいては、上述した記録面間領域を2次転写ニップに進入させるときに、2次転写ローラ72に対する2次転写バイアスの印加を一時中断することで、2次転写処理を一時中断するようになっているが、次のようにして2次転写処理を一時中断させてもよい。即ち、2次転写ローラ72を中間転写ベルト25に対して接離させる接離機構を設け、2次転写ローラ72を中間転写ベルト25から一時的に離間させることで、2次転写処理を一時中断させるのである。
【0060】
オイル吸収用のトナー像としては、ベルト幅方向に延在する矩形状のものを形成する。このオイル吸収用のトナー像のベルト幅方向(主走査方向)における長さについては、紙サイズに基づいて特定した記録紙Pのベルト幅方向のサイズ(以下、紙幅サイズという)に対して、ベルト幅方向の両端にそれぞれ5[mm]ずつ加算した寸法とする。紙幅サイズの上限は、ベルト幅よりも少し小さい330[mm]とする。
【0061】
紙幅サイズに応じて、オイル吸収用のトナー像のベルト幅方向における長さを決定するのは、次に説明する理由からである。即ち、中間転写ベルト25に対しては、ベルト幅方向において、記録紙Pの紙幅に対応する領域にのみ、記録紙Pのオイルが付着する。記録紙Pの紙幅に対応していない領域に、オイル吸収用のトナー像を形成しても、その領域に担持されたトナーはオイル除去に殆ど寄与しない。このようなオイル除去に寄与しないトナーの発生を抑える目的から、紙幅サイズに応じて、オイル吸収用のトナー像のベルト幅方向における長さを決定しているのである。
【0062】
オイル吸収用のトナー像のベルト移動方向における長さ(以下、記録面間方向長さという)については、絶対湿度[g/m]の検知結果と、紙サイズの取得結果とに応じて決定する。具体的には、デフォルトの記録面間方向長さを40[mm]とし、これに環境補正係数を乗じ且つ紙サイズ補正係数を除算した結果をオイル吸収用のトナー像の記録面間方向長さとする。つまり、「トナー像の記録面間方向長さ=40×環境補正係数×紙種補正係数/紙サイズ補正係数」という数式に基づいて求めた記録面間方向長さを採用するのである。
【0063】
その数式における環境補正係数については、上述したS2の工程で特定しておいた絶対湿度[g/m]と、予めデータ記憶手段に記憶している環境補正係数データテーブルとに基づいて特定する。この環境補正係数データテーブルを、次の表4に示す。
【表4】

【0064】
この環境補正係数データテーブルにより、絶対湿度が15.0[g/m]未満である場合には、環境補正係数として「0」が特定される。この特定結果が上述した数式に代入されると、オイル吸収用のトナー像の記録面間方向長さは、「0」になる。よって、絶対湿度が15.0[g/m]未満である場合には、両面モードであっても、記録面間領域にオイル吸収用のトナー像が形成されない、即ち、オイル除去処理が実行されないことになる。これに対し、絶対湿度が15.0[g/m]以上である場合には、環境補正係数として「1.0」が特定される。この特定結果が上述した数式に他移入されると、オイル吸収用のトナー像の記録面間方向長さは、「0」よりも大きくなる。よって、両面モードの実行命令がなされ、且つ絶対湿度が15.0[g/m]以上である場合には、記録面間領域にオイル吸収用のトナー像が形成されてオイル除去処理が実行されることになる。換言すると、両面モードの実行命令を受け、且つ、環境検知手段による検知結果としての絶対湿度が15.0[g/m]以上であるという所定の条件が満足された場合にのみ、オイル除去処理用の制御が実施されることになる。
【0065】
なお、表4に示した環境補正係数データテーブルでは、環境補正係数として、「0」又は「1.0]の2つだけを使用したが、絶対湿度が高くなるほど、大きな値の環境補正係数が特定されるように、「0」〜「1.0」の間において、より細かい数値を採用してもよい。
【0066】
主制御部202は、モノクロモードでの両面モードの実行の場合には、オイル吸収用のトナー像として、Kトナー像を形成するのに対し、カラーモードでの両面モードの実行の場合には、オイル吸収用のトナー像として記録面間方向に順に並ぶY画像部、M画像部、C画像部、及びK画像部からなるものを形成する。それぞれの画像部の記録面間方向のサイズは同じであり、モノクロモードで形成されるオイル除去用のKトナー像における記録面間方向のサイズの1/4である。Y,M,C,Kトナーを均等に消費するという観点からすれば、モノクロモードにおいても、オイル吸収用のトナー像として、カラーモードと同様のものを形成することが望ましいが、モノクロモードではY,M,C感光体を中間転写ベルト25から離間させているため、Y画像部、M画像部、C画像部を形成することができない。このため、モノクロモードでは、オイル吸収用のトナー像としてKトナー像を形成するのである。
【0067】
上述した紙種補正係数については、紙種が非コートである場合には「1.0」とし、それ以外の場合には「0.8」とする。これにより、オイルを吸収し易い非コート紙が使用される場合には、オイルを吸収し難いコート紙が使用される場合に比べて、オイル吸収用のトナー像の記録面間方向長さを大きくする。
【0068】
上述した紙サイズ補正係数については、上述したS3の工程で取得しておいた紙種情報と、予めデータ記憶手段に記憶している紙サイズ補正係数データテーブルとに基づいて特定する。この紙サイズ補正係数データテーブルを、次の表5に示す。
【表5】

【0069】
各給紙カセットに設けられた上述した紙サイズ検知手段は、記録紙Pの面積情報を取得する面積情報取得手段でもある。記録紙Pの搬送方向サイズやベルト幅方向サイズをそれぞれ検知することで面積情報を得ることが可能だからである。主制御部202は、紙サイズ検知手段による記録紙Pの搬送方向サイズ及びベルト幅方向サイズの検知結果に基づいて、表5に示すように、紙面積が大きくなるほど、小さな値の紙サイズ補正係数を特定する。このサイズ補正係数の範囲は、1〜4.13である。このようにして特定されたサイズ補正係数は、オイル吸収用のトナー像の記録面間方向長さデフォルト値に除算されるものであるため、紙面積が大きくなるほど、トナー像の記録面間方向長さが大きくなる。
【0070】
2次転写ニップにおいて、記録紙Pから中間転写ベルト25へのオイル転移量は、記録紙Pの面積に比例する。このため、紙面積が大きくなるほどトナー像の記録面間方向長さを大きくすることで、記録紙Pからベルトへのオイル転移量に応じたトナー量でオイル吸収用のトナー像を形成することが可能になる。これにより、無駄なトナーを消費することなく、ベルトからオイルを効率良く除去することができる。
【0071】
なお、表5の紙サイズ補正係数データテーブルにおける紙サイズ補正係数は、「(Ts×Ys×(Y+10))/(T×Y×(Ys+10))」という数式に基づいて求められたものである。但し、この数式の解が1.0未満である場合には、紙サイズ補正係数を1.0としている。また、その数式において、Tsは、A3Tサイズ紙の搬送方向長さである420[mm]を示している。また、Ysは、A3Tサイズ紙のベルト幅方向長さである297[mm]を示している。TsやYsにA3Tサイズ紙の長さを採用しているのは、A3Tサイズ紙を基準にしているからである。また、先の数式において、T、Yはそれぞれ、使用される記録紙Pの搬送方向長さ[mm]、ベルト幅方向長さ[mm]を示している。
【0072】
主制御部202は、オイル吸収用のトナー像として、網点によるハーフトーン像を形成するようになっている。網点とは、所定サイズのトッドマトリクスにおける一部のドット領域だけにドットを出力して、画像濃度を調整する技術である。例えば、図6に示すように、4×4のドットマトリクスにおいて、4つのドット領域だけにドットを出力する4/16網点をトナー像形成対象領域の全面に形成すると、ベタ状のハーフトーン像が得られる。このようにして、オイル吸収用のトナー像として、トナー像形成対象領域における全ドットの面積率を10〜50[%]に調整したハーフトーン像を形成するのである。なお、全ドットの面積率を10〜50[%]に調整すると、白色の記録紙P上では、画像濃度IDで0.2〜0.7程度のハーフトーン像が得られる。白色の記録紙P上における画像濃度IDについては、次のようにようにして測定することが可能である。即ち、記録紙Pとして、type6000_70Wの紙を使用して、この紙に対して中間転写ベルト25上のトナー像を転写する。そして、この紙を、type6000_70Wの紙を10枚重ねした紙束の上に載せたものを(画像面を上にして載せる)、被検対象とする。この被検対象の画像面を、分光測定器(日本平版機材株式会社製のx−rite 939)で測定する。このとき、視野角を2[°]に設定する。また、光源として、イルミナントD50を選択する。
【0073】
図7は、実施形態に係るプリンタによって実施される他の制御の一部フローを示すフローチャートである。また、この制御を上述した制御に合わせて行うと良い。主制御部202は、ユーザーからのプリント命令信号を受信すると、両面モードのプリント命令であるか否かを判定する(ステップ1´:以下、ステップをSと記す)。そして、両面モードでない場合には(S1´でN)、図示のフローを終了させて、中間転写ベルト全領域のオイル除去処理を実施しないままに、そのプリント命令に応じたプリントジョブを実施する。
【0074】
一方、両面モードである場合には(S1´でY)、両面モード印刷量確認のための、両面モード印刷量カウンタを更新する(S2´)。具体的には、本プリンタにおいては、各給紙カセットにおいて、記録紙Pの束を側方から押さえる押さえ板の位置に基づいて、紙サイズを検知する紙サイズ検知手段が各給紙カセットに設けられている。主制御部202は、それら紙サイズ検知手段による検知結果により、両面モードのプリント命令に対応する記録紙の紙サイズを取得し、その用紙サイズの内、用紙の搬送方向サイズによって、シングルカウント又はダブルカウントを行う処理である。
【0075】
次に、主制御部202は、中間転写ベルト全領域のオイル除去処理が有効か否かを判断する(S3´)。そして、中間転写ベルト全領域のオイル除去処理が無効(S3´でN)の場合は、図示のフローを終了させて、中間転写ベルト全領域のオイル除去処理を実施しないままに、そのプリント命令に応じたプリントジョブを実施する。
【0076】
中間転写ベルト全領域のオイル除去処理が有効(S3´でY)の場合には、上記S2´で求めた両面モード印刷量カウンタと中間転写ベルト全領域のオイル除去処理の実行しきい値を比較し、中間転写ベルト全領域のオイル除去処理を実行か否かを判断する(S4´)。そして、中間転写ベルト全領域のオイル除去処理の実行しない(S4´でN)の場合は、図示のフローを終了させて、中間転写ベルト全領域のオイル除去処理を実施しないままに、そのプリント命令に応じたプリントジョブを実施する。
【0077】
一方、中間転写ベルト全領域のオイル除去処理を実行(S4´でY)の場合には、中間転写ベルト全領域にオイル吸収用トナー像形成準備のため、印刷動作の一時中止を行う(S5´)。具体的には、新たな両面モード印刷のトナー像の形成を中止し、既に両面モード印刷のトナー像の形成が終了している面についての印刷動作を行い、その印刷動作の完了を待って用紙搬送を中止する処理である。
【0078】
次に、主制御部202は、オイル除去処理を実行する(S6´)。具体的には、中間転写ベルト全領域に、4色のトナーを均等に消費させるための、ベルト移動方向に順次並ぶY画像部、M画像部、C画像部、及びK画像部によるオイル吸収用トナー像の形成を行い、2次転写ローラ72に対する2次転写バイアスの印加を行わない状態、即ち、2次転写処理を行わない状態で、中間転写ベルト25を駆動して、ベルト全領域のオイル吸収用トナー像を、ブレードクリーニング位置に進入させる。その後、クリーニングブレード77の自由端面に保持されたトナーが十分に掻き落とされるまで中間転写ベルト25を移動させる処理である。
【0079】
上記S6´の処理を終了すると、主制御部202は、両面モード印刷量確認のための、両面モード印刷量カウンタを初期化する(S7´)。そして、印刷動作の再開を行う(S8´)。具体的には両面モード印刷のトナー像の形成を開始し、用紙搬送を再開する処理である。
【0080】
以上の処理により、両面モードの連続印刷実行中に、プリンタを停止しないで、中間転写ベルト25の全領域の表面からオイルを除去するために、オイル吸収用のトナー像を形成したり、2次転写ニップ通過後にそのトナー像を残留させたり、そのトナー像中のトナーをブレードクリーニング位置の入口付近でベルト表面と摺擦させてトナーにベルト上のオイルを吸収させたり、オイル吸収後のトナーをベルト表面から掻き落としたりする制御を行うことにより、白抜けの発生しない画像形成装置を提供できる。
【0081】
主制御部202は、これまで説明してきたオイル除去処理の他に、マニュアルオイル除去処理も行うようになっている。このマニュアルオイル除去処理については、ユーザーからの命令に基づいて、プリントジョブを行っていないときに行う。中間転写ベルト25の表面劣化の進行などにより、通常のオイル除去処理を行っていても、長期間の使用によってベルト表面にオイルが残ってしまうようになる場合がある。そのオイル残留に起因して白抜けが発生した場合、ユーザーは、操作表示部を操作してマニュアルオイル除去処理の実行命令を入力する。すると、主制御部202が、中間転写ベルト25の全周に渡って延在するマニュアル時専用オイル吸収トナー像を形成する。このとき、2次転写ローラ72に対する2次転写バイアスの印加を行わない状態、即ち、2次転写処理を行わない状態で、中間転写ベルト25を駆動して、ベルト全周に渡って延在するマニュアル時専用オイル吸収トナー像のほぼ全てを、ブレードクリーニング位置に進入させる。このマニュアル時専用オイル吸収トナー像としては、互いにベルト移動方向の長さが等しく、且つベルト移動方向に順次並ぶY画像部、M画像部、C画像部、及びK画像部からなるものを形成して、4色のトナーを均等に消費させる。
【0082】
マニュアルオイル除去処理では、ベルト全周に渡る長さのマニュアル時専用オイル吸収トナー像の形成を開始してから、マニュアルオイル除去処理を終了するまでの間に、中間転写ベルト25を約5周させる。マニュアル時専用オイル吸収トナー像の後端をブレードクリーニング位置に進入させるには、ベルトを1.5周ほどさせればよいが、ブレードの自由端面に保持されたトナーが十分に掻き落とされるまでベルトを移動させるためである。
【0083】
また、これまで説明してきたオイル除去処理に加えて、クリーニングブレード77の累積使用量に応じて、複数の記録面間領域に対するオイル吸収用のトナー像の形成頻度を変化させる処理を実施するように、主制御部202を構成してもよい。クリーニングブレード77の累積使用量としては、例えば中間転写ベルト25の累積駆動時間や、中間転写ベルト25の累積走行距離を利用しても良いし、それらよりも簡易なパラメータを用いてもよい。簡易なパラメータからなる累積使用量としては、出力した記録紙の紙サイズに応じたカウント値を例示することができる。具体的には、記録紙Pの紙サイズに応じてA4やLT等の小サイズの紙ではシングルカウントし、A3やDLTなどの大サイズの紙ではダブルカウントしたカウント値である。累積使用量については、クリーニングブレード77の交換を検知した際にリセットする。
【0084】
クリーニングブレード77の累積使用量に応じてオイル吸収用トナー像の形成頻度(以下、オイル吸収用トナー像形成頻度という)を変化させる具体態様は次の通りである。即ち、クリーニングブレード77の累積使用量が比較的少ない場合には、中間転写ベルト25における複数の記録面間領域のうち、オイル吸収用のトナー像を形成する領域とする記録間領域の割合を比較的低くする。これに対し、クリーニングブレード77の累積使用量が比較的多い場合には、中間転写ベルト25における複数の記録面間領域のうち、オイル吸収用のトナー像を形成する領域とする記録間領域の割合を比較的高くする。
【0085】
本発明者らは、温度23[℃]、湿度50[%]の環境下において、紙面面積に対して画像面積率5[%]となるテストチャート画像を、A3サイズの非コート紙の両面に形成する処理を繰り返す連続両面モードのテストプリントを行った。オイル吸収用トナー像形成頻度を3段階に変更しながら、それぞれの頻度条件で40万頁のテストプリントを行った。なお、このテストプリントにおいて、奇数頁目の出力はA3サイズ非コート紙の第1面に対して行われるのに対し、偶数頁目の出力はA3サイズ非コート紙の第2面に対して行われる。このテストプリントの結果を次の表6に示す。
【表6】

【0086】
表6における条件1では、クリーニングブレード77の累積使用量に応じてオイル吸収用トナー像形成頻度を変化させる処理を実施しているのに対し、条件2、3では、何れも同処理を実施していない。より詳しくは、条件1では、0〜200000[頁]の出力においては、4つの頁を出力する毎に、記録面間領域に対するオイル吸収用のトナー像の形成を1回行っている。また、200001〜300000[頁]の出力においては、2つの頁を出力する毎に、記録面間領域に対するオイル吸収用のトナー像の形成を1回行っている。また、300001〜400000[頁]の出力においては、1つの頁を出力する毎に、記録面間領域に対するオイル吸収用のトナー像の形成を1回行っている。これに対し、条件2では、0〜400000[頁]の出力において、4つの頁を出力する毎に、記録面間領域に対するオイル吸収用のトナー像の形成を1回行っている。また、条件3では、0〜400000[頁]の出力において、1つの頁を出力する毎に、記録面間領域に対するオイル吸収用のトナー像の形成を1回行っている。
【0087】
何れの条件においても、50000[頁]、150000[頁]、250000[頁]、350000[頁]を出力した時点で、それぞれ、白抜けの有無を確認するための黒のハーフトーン画像をA3サイズの非コート紙の片面に出力した。そして、そのハーフトーン画像を目視して、白抜けのランクを、先の実験と同様にランク5からランク1までの5段階で評価した。なお、表6におけるトナー消費量は、条件1における消費量を基準の1とした場合の理論値である。
【0088】
条件2のように、累積使用量にかかわらず、オイル吸収用トナー像形成頻度を一律に比較的低く設定すると、トナーの消費量を比較的低く抑えることができるものの、クリーニングブレード77の累積使用量が高くなってくると白抜けランクが下がってしまう。また、条件3のように、累積使用量にかかわらず、オイル吸収用トナー像形成頻度を一律に比較的高く設定すると、白抜けランクを最高ランクのまま維持することができるものの、トナーの消費量が非常に多くなってしまう。これらに対し、条件1のように、累積使用量に応じてオイル吸収用トナー像形成頻度を変化させると、白抜けランクを最高ランクのまま維持するとともに、トナー消費量もある程度の量に留めることができる。なお、条件1におけるオイル吸収用トナー像形成頻度については、紙サイズに応じて変化させることが望ましい。例えばA4サイズやLTサイズ等の小サイズの紙であれば、A3サイズの半分の頻度にするなどといった具合である。
【0089】
主制御部202は、汎用のマイクロコンピュータからなり、このマイクロコンピュータには、図7に示した制御を実施する主制御手段202として、マイクロコンピュータを機能させるための制御プログラムを記憶させている。そして、本実施形態では、かかる制御プログラムを機械読み取り可能に記録した記録媒体により、前述の制御プログラムをマイクロコンピュータにインストールしている。この記録媒体は、制御プログラムの電子データを電磁的技術や光学的技術などによって記録しているものであり、その電子データを機械読み取りすることが可能である。かかる記録媒体としては、磁気ディスク(ハードディスクを含む)、光学ディスク(CD−ROM等)、各種ICカード(SDカード等)、メモリー(USBメモリー等)などを例示することができる。
【0090】
次に、実施形態に係るプリンタの変形例について説明する。なお、以下に特筆しない限り、変形例に係るプリンタの構成は、実施形態と同様である。
変形例に係るプリンタは、記録紙Pの紙種や面積に応じて、オイル吸収用のトナー像の記録面間方向における長さを変化させる代わりに、複数の記録面間領域に対するトナー像の形成頻度を変化させる。詳しくは、オイル除去量を比較的多くする場合には、両面モード実行時のベルトに発生する複数の記録面間領域の全てに対してオイル吸収用のトナー像を形成するのに対し、オイル除去量を比較的少なくする場合には、複数の記録面間領域のうち、一部の記録面間領域に対してだけオイル吸収用のトナー像を形成する。
【0091】
以上、実施形態に係るプリンタにおいては、両面モードの実行命令を受けたことに基づいて、次のような制御を実行する。即ち、像担持体たる中間転写ベルト25の記録面間領域に、離型促進剤たるオイルを吸収するためのトナー像を形成する。このトナー像を転写位置としての2次転写ニップに進入させるときには、2次転写バイアスのオフによって2次転写処理を中断して、2次転写ニップ通過後の中間転写ベルト25の記録面間領域に、そのトナー像を残留させる。このような制御によって2次転写ニップ通過後の記録面間領域に残留したオイル吸収用のトナー像は、クリーニング部材としてのクリーニングブレード77と、中間転写ベルト25との当接位置であるクリーニング位置に進入する。クリーニング位置では、オイル吸収用のトナー像を構成しているトナーの移動が、クリーニングブレード77によって堰き止められる。そして、堰き止められたトナーが、クリーニング位置よりも少しだけベルト表面移動方向の上流側の位置において、クリーニングブレード77と中間転写ベルト25との間に保持されながら、中間転写ベルト25の移動する表面と摺擦する。この摺擦により、トナーは、中間転写ベルト25の記録面間領域に付着しているオイルのみならず、中間転写ベルト25における他の領域に付着しているオイルをも吸収した後、やがて中間転写ベルト25の表面から掻き落とされる。これにより、中間転写ベルト25の表面からオイルが除去される。以上のような、オイル吸収用のトナー像を形成したり、2次転写ニップ通過後の中間転写ベルト25の記録面間領域にそのトナー像を残留させたり、そのトナー像中のトナーをクリーニング位置の入口付近でベルト表面と摺擦させてトナーにベルト上のオイルを吸収させたり、オイル吸収後のトナーをベルト表面から掻き落としたりする一連の動作を、両面モードの実行中に行うので、両面モードの実施中にオイルの除去処理を行っていなかった従来に比べて、白抜けの発生を抑えることができる。
【0092】
また、実施形態に係るプリンタにおいては、両面モードの実行命令を受け、且つ、環境検知手段による検知結果である絶対湿度について15.0[g/m]以上であるという所定の条件が満足された場合にのみ、オイル除去処理用の制御を実施するようになっている。かかる構成では、絶対湿度がそれほど白抜けを誘発しない比較的低いときに、オイル除去処理用の制御を実行することによるトナーの無駄な消費の発生を回避することができる。なお、環境検知手段による検知結果として、相対湿度や温度を用いてもよい。また、種類情報取得手段による取得結果である紙種情報について非コート紙であるという所定の条件を満足した場合にのみ、オイル除去処理用の制御を実行させるようにしてもよい。この場合、記録紙Pがそれほど白抜けを誘発しないコート紙であるときに、オイル除去処理用の制御を実行することによるトナーの無駄な消費の発生を回避することができる。
【0093】
また、実施形態に係るプリンタにおいては、紙種情報の取得結果に応じて、オイル吸収用のトナー像の形成条件を変化させるようになっている。かかる構成では、記録紙Pの紙種に適したオイル吸収用のトナー像を形成することができる。なお、絶対湿度の検知結果に応じて、オイル吸収用のトナー像の形成条件を変化させるようにしてもよい。この場合、そのときの絶対湿度に適したオイル吸収用のトナー像を形成することができる。
【0094】
また、実施形態に係るプリンタにおいては、紙種情報の取得結果に応じて、オイル吸収用のトナー像の形成条件として、記録紙Pの搬送方向におけるオイル吸収用のトナー像のサイズ条件を変化させるようになっている。かかる構成では、記録紙Pの紙種(あるいはそのときの絶対湿度)に適した前記サイズ条件のオイル吸収用のトナー像を形成することができる。
【0095】
また、変形例に係るプリンタにおいては、紙種情報の取得結果に応じて、オイル吸収用のトナー像の形成条件として、複数の記録紙Pに対してそれぞれ両面画像形成を連続的に施す連続両面モードの実行時に、それら複数の記録紙Pに対応して発生する複数の記録面間領域である複数の記録面間領域に対するオイル吸収用のトナー像の形成頻度を変化させるようにしている。かかる構成では、記録紙Pの紙種(あるいはそのときの絶対湿度)に適した前記形成頻度で、オイル吸収用のトナー像を形成することができる。
【0096】
また、実施形態に係るプリンタにおいては、クリーニングブレード77の累積使用量を積算する積算手段としての主制御部202を備え、積算結果に応じてオイル吸収用トナー像の形成条件として、複数の記録紙Pに対してそれぞれ両面画像形成を連続的に施す連続両面モードの実行時に、それら複数の記録紙Pに対応して発生する複数の記録面領域である複数の記録面間領域に対するオイル吸収用トナー像形成頻度を変化させるようにしている。かかる構成では、クリーニングブレード77の累積使用量に応じたオイル吸収量トナー像形成頻度でトナー像を形成することで、トナー消費量を抑えつつ白抜けの発生を抑えることができる。
【0097】
また、実施形態に係るプリンタにおいては、幅情報取得手段としての紙サイズ検知手段を備え、記録紙Pの幅情報の取得結果に応じて、オイル吸収用のトナー像における幅方向のサイズを変化させるようにしている。かかる構成では、既に説明したように、オイル除去に寄与しないトナーの発生を抑えることができる。
【0098】
また、実施形態に係るプリンタにおいては、面積情報取得手段としての紙サイズ検知手段を備え、記録紙Pの面積情報の取得結果に応じて、オイル吸収用のトナー像における搬送方向のサイズを変化させるようにしている。かかる構成では、記録紙Pから定着ベルトや定着ローラへのオイル転移量に応じたトナー量の前記トナー像を形成することができる。
【0099】
また、変形例に係るプリンタにおいては、面積情報取得手段としての紙サイズ検知手段を備え、連続両面モードの実行時に、記録紙Pの面積情報の取得結果に応じて、複数の記録紙Pに対応して発生する複数の記録面間領域に対するオイル吸収用のトナー像の形成頻度の条件を変化させるようにしている。かかる構成では、記録紙Pから定着ベルトや定着ローラへのオイル転移量に応じた前記形成頻度で、オイル吸収用のトナー像を形成することができる。
【符号の説明】
【0100】
2Y,M,C,K:プロセスユニット(像形成手段の一部)
25:中間転写ベルト(像担持体)
40:定着装置(定着手段)
41:定着ローラ(定着部材)
42:定着ベルト(定着部材)
46:オイル塗布ローラ(付与手段)
50:搬送切替装置(再送手段の一部)
54:再送路(再送手段の一部)
55:スイッチバック路(再送手段の一部)
56:スイッチバック後搬送路(再送手段の一部)
60:転写ユニット(像形成手段の一部、転写手段)
75:ベルトクリーニング装置(クリーニング手段)
77:クリーニングブレード(クリーニング部材)
202:主制御部(制御部)
P:記録紙(記録部材)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0101】
【特許文献1】特開2004−93999号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体の移動する表面にトナー像を形成する像形成手段と、
前記表面に記録部材を密着させながら前記表面上のトナー像を記録部材に転写する転写手段と、
前記転写手段を経由した後の記録部材に定着部材を密着させながら、該記録部材にトナー像を定着せしめる定着手段と、
前記定着部材の表面にトナーの離型促進剤を付与する付与手段と、
前記定着手段を経由して第1面にトナー像が定着された記録部材に対してその第2面にトナー像の転写処理及び定着処理を施すために、前記記録部材を上下反転させながら前記転写手段に向けて再送する再送手段と、
前記像担持体の表面の移動方向における全領域のうち、前記転写手段による転写位置を通過した後、前記像形成手段による像形成位置に進入する前の領域、に対してクリーニング部材を当接させてトナーのクリーニング処理を施すクリーニング手段と、
温度及び湿度のうちの少なくとも何れか一方を検知する環境センサと、
操作者からの命令に基づいて、記録部材の第1面に対してだけトナー像を形成する片面モードと、前記再送手段による再送を実行することで記録部材の両面にそれぞれトナー像を形成する両面モードとを切り替えて実行し、操作者から前記両面モードの実行命令を受けたことと、前記環境センサによる検知結果とに基づいて、前記像担持体の表面の移動方向における全領域のうち、記録部材の第1面に密着せしめられる領域と、前記記録部材の第2面に密着せしめられる領域との間の領域や、先行して搬送される記録部材の第2面に密着せしめられる領域と、後続の記録部材の第1面に密着せしめられる領域との間の領域、である記録面間領域に対して、前記像形成手段によって離型促進剤吸収用のトナー像を形成し、前記記録面間領域を前記転写手段による転写位置に進入させているときには該転写手段による転写処理を中断して、前記離型促進剤吸収用のトナー像を転写位置通過後の前記記録面間領域に残留させる制御を実施する制御部とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
前記クリーニング部材として、前記像担持体との当接箇所で前記像担持体上のトナーを堰き止めながら、自らにおける前記当接箇所よりも像担持体表面移動方向上流側の箇所と、像担持体との間に、そのトナーを保持するものを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2の画像形成装置であって、
前記両面モードの実行命令を受け、且つ、前記環境検知手段による検知結果、又は前記転写位置に送り込まれる記録部材の種類情報を取得する種類情報取得手段による取得結果が、所定の条件を満足した場合にのみ、前記制御を実施することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1又は2の画像形成装置であって、
操作者から前記両面モードの実行命令を受けたことと、両面モード印刷量とに基づいて、前記記録部材の搬送を停止した後に、前記像担持体の表面の移動方向における全領域に対して前記像形成手段によって離型促進剤吸収用のトナー像を形成し、該離型促進剤吸収用のトナー像を転写位置通過後の該像担持体の全領域に残留させる制御を実施することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れかの画像形成装置であって、
前記環境検知手段による検知結果、又は前記転写位置に送り込まれる記録部材の種類情報を取得する種類情報取得手段による取得結果、に応じて、前記離型促進剤吸収用のトナー像の形成条件を変化させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5の画像形成装置であって、
前記形成条件として、記録部材の搬送方向における前記離型促進剤吸収用のトナー像のサイズ条件を変化させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項5の画像形成装置であって、
前記形成条件として、複数の記録部材に対してそれぞれ両面画像形成を連続的に施す連続両面モードの実行時に、それら複数の記録部材に対応して発生する複数の前記記録面間領域に対する前記離型促進剤吸収用のトナー像の形成頻度の条件を変化させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項3乃至7の何れかの画像形成装置であって、
前記クリーニング部材の累積使用量を積算する積算手段を備え、
前記形成条件として、複数の記録部材に対してそれぞれ両面画像形成を連続的に施す連続両面モードの実行時に、前記累積使用量が比較的少ない場合には、それら複数の記録部材に対応して発生する複数の前記記録面間領域に対する前記離型促進剤吸収用のトナー像の形成頻度を比較的低くする一方で、前記累積使用量が比較的多い場合には、複数の前記記録面間領域に対応する前記離型促進剤吸収用のトナー像の形成頻度を比較的高くすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項3乃至8の何れかの画像形成装置であって、
前記転写位置に送り込まれる記録部材の搬送方向に直交する方向のサイズ情報である幅情報を取得する幅情報取得手段を備え、該幅情報の取得結果に応じて、前記離型促進剤吸収用のトナー像における該搬送方向に直交する方向のサイズを変化させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項3乃至9の何れかの画像形成装置であって、
前記転写位置に送り込まれる記録部材のサイズ情報として面積情報を取得する面積情報取得手段を備え、該面積情報の取得結果に応じて、前記離型促進剤吸収用のトナー像における該搬送方向のサイズを変化させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項3乃至10の何れかの画像形成装置であって、
前記転写位置に送り込まれる記録部材のサイズ情報として面積情報を取得する面積情報取得手段を備え、複数の記録部材に対してそれぞれ両面画像形成を連続的に施す連続両面モードの実行時に、該面積情報の取得結果に応じて、それら複数の記録部材に対応して発生する複数の前記記録面間領域に対する前記離型促進剤吸収用のトナー像の形成頻度の条件を変化させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れかの画像形成装置であって、
前記離型促進剤吸収用のトナー像として、ハーフトーンのトナー像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れかの画像形成装置において、
前記クリーニング部材として、支持手段によって片持ち支持されながら、自由端側を前記像担持体に当接させるクリーニングブレードを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
像担持体の移動する表面にトナー像を形成する像形成手段と、
前記表面に記録部材を密着させながら前記表面上のトナー像を記録部材に転写する転写手段と、
前記転写手段を経由した後の記録部材に定着部材を密着させながら、該記録部材にトナー像を定着せしめる定着手段と、
前記定着部材の表面にトナーの離型促進剤を付与する付与手段と、
前記定着手段を経由して第1面にトナー像が定着された記録部材に対してその第2面にトナー像の転写処理及び定着処理を施すために、前記記録部材を上下反転させながら前記転写手段に向けて再送する再送手段と、
前記像担持体の表面の移動方向における全領域のうち、前記転写手段による転写位置を通過した後、前記像形成手段による像形成位置に進入する前の領域、に対してクリーニング部材を当接させてトナーのクリーニング処理を施すクリーニング手段と、
操作者からの命令に基づいて、記録部材の第1面に対してだけトナー像を形成する片面モードと、前記再送手段による再送を実行することで記録部材の両面にそれぞれトナー像を形成する両面モードとを切り替えて実行し、操作者から前記両面モードの実行命令を受けたことに基づいて、前記像担持体の表面の移動方向における全領域のうち、記録部材の第1面に密着せしめられる領域と、前記記録部材の第2面に密着せしめられる領域との間の領域や、先行して搬送される記録部材の第2面に密着せしめられる領域と、後続の記録部材の第1面に密着せしめられる領域との間の領域、である記録面間領域に対して、前記像形成手段によって離型促進剤吸収用のトナー像を形成し、前記記録面間領域を前記転写手段による転写位置に進入させているときには該転写手段による転写処理を中断して、前記離型促進剤吸収用のトナー像を転写位置通過後の前記記録面間領域に残留させる制御を実施する制御部とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
像担持体の移動する表面にトナー像を形成する像形成手段と、前記表面に記録部材を密着させながら前記表面上のトナー像を記録部材に転写する転写手段と、前記転写手段を経由した後の記録部材に定着部材を密着させながら、該記録部材にトナー像を定着せしめる定着手段と、前記定着部材の表面にトナーの離型促進剤を付与する付与手段と、前記定着手段を経由して第1面にトナー像が定着された記録部材に対してその第2面にトナー像の転写処理及び定着処理を施すために、前記記録部材を上下反転させながら前記転写手段に向けて再送する再送手段と、前記像担持体の表面の移動方向における全領域のうち、前記転写手段による転写位置を通過した後、前記像形成手段による像形成位置に進入する前の領域、に対してクリーニング部材を当接させてトナーのクリーニング処理を施すクリーニング手段と、温度及び湿度のうちの少なくとも何れか一方を検知する環境センサとを備える画像形成装置に用いられる、制御プログラムを記録した機械読み取り可能な記録媒体において、
操作者からの命令に基づいて、記録部材の第1面に対してだけトナー像を形成する片面モードと、前記再送手段による再送を実行することで記録部材の両面にそれぞれトナー像を形成する両面モードとを切り替えて実行し、操作者から前記両面モードの実行命令を受けたことと、前記環境センサによる検知結果とに基づいて、前記像担持体の表面の移動方向における全領域のうち、記録部材の第1面に密着せしめられる領域と、前記記録部材の第2面に密着せしめられる領域との間の領域や、先行して搬送される記録部材の第2面に密着せしめられる領域と、後続の記録部材の第1面に密着せしめられる領域との間の領域、である記録面間領域に対して、前記像形成手段によって離型促進剤吸収用のトナー像を形成し、前記記録面間領域を前記転写手段による転写位置に進入させているときには該転写手段による転写処理を中断して、前記離型促進剤吸収用のトナー像を転写位置通過後の前記記録面間領域に残留させる制御を実施する制御部ととして、コンピュータを機能させるための制御プログラムを記録していることを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−181855(P2010−181855A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−183029(P2009−183029)
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】