説明

画像形成装置

【課題】ブラックの感光体の外径を大きくしてモノクロ画像の生産性を高めると共に、モノクロ画像とカラー画像との色ずれを比較的簡単な制御で抑える。
【解決手段】カラー感光体15Y、15M、15Cを駆動する第1駆動手段42と、カラー感光体と径の異なるブラック感光体15Kを駆動する第2駆動手段43と、を備えた画像形成装置11において、カラー感光体15の回転速度変動を検出する第1検出手段49と、ブラック感光体15Kの回転速度変動を検出する第2検出手段52と、検出値をフーリエ変換して、周波数、振幅および位相を算出し、フーリエ変換後のカラー感光体15、およびブラック感光体15Kの周波数、振幅、および位相とから補正波データを演算し、補正波データに基づいて、カラー感光体15の位置ずれとブラック感光体15Kの位置ずれとが重なり合うように、カラー感光体15の回転速度を変える制御手段57と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー、モノクロを問わず、コピア、FAX、またはプリンタのような記録機器や表示装置など、特に電子写真方式を適用した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式によるフルカラーの画像形成装置で複数の感光体ドラムをタンデム形式で並置したものでは、各感光体ドラムの外径(外周長さ)を同一とし、各ドラムの回転駆動系も同一の歯車を使用し、この歯車の偏芯による回転ムラの位相を合わせるなどの制御を行って、副走査方向の色ずれを少なく抑えてきた。
【0003】
そして、近年のフルカラー画像形成装置では、モノクロ画像の生産性を重視する傾向にある。このため、モノクロ画像形成用の感光体ドラムの外径(外周長さ)を大きく設定している。
【0004】
しかし、図12に示すように、モノクロ画像形成用のブラックの感光体ドラム81の外径(外周長さ)を、カラー画像形成用の感光体ドラム82より大きくすると、ブラックの感光体ドラム81とカラーの感光体ドラム82の回転ムラの位相と振幅が合わなくなるので、モノクロとカラー間の色ずれを抑えることができない。
【0005】
以下、色ずれについて説明する。色ずれが生じるためにはまず、位置ずれが生じる。位置ずれとは、感光体を駆動するモータの回転速度のムラにより、感光体上に実際に書き込まれる静電潜像の位置が、本来の書き込み位置からずれることをいう。例えば、ブラックの感光体ドラム81への本来の書き込み位置83から、感光体ドラム81を駆動するモータ(図示せず)の回転速度のムラにより、矢印r1方向にずれた位置84に書き込まれることで位置ずれが生じる。このときの位置ずれ量を、図13のグラフaの振幅で表し、p点に示すように、約7μmであるとする。同様にカラーの感光体ドラム82への本来の書き込み位置85から、矢印r2方向にずれた位置86に書き込まれることで位置ずれが生じる。このときの位置ずれ量を、同様にグラフbの振幅で表し、p点に示すように、約−3μmであるとする。この位置ずれが生じることにより、中間転写ベルト87上には、ブラックが位置88に転写される一方で、カラーは位置89に転写され、この結果、色ずれが生じる。このときの色ずれ量は、グラフcの振幅で表し、p点に示すように、カラーの色ずれ量からブラックの色ずれ量を引いた値、すなわち−3μm−(7μm)=−10μmになる。色ずれが生じることにより、本来想定している色が創出されない。
【0006】
色ずれを防止するために、図14に示すように、例えばモノクロ駆動のみを回転ムラがなくなるように制御する。これによりブラックの位置ずれ(グラフd)を大幅に減少することができるが、カラー(グラフe)は位置ずれを生じるため、色ずれ(グラフf)を抑えることができない。
【0007】
次に、色ずれを防止するために、図15に示すように、ブラックとカラーとの両方の駆動を制御し、全色の回転ムラをなくすように制御する。これにより、ブラックの位置ずれ(グラフg)およびカラーの位置ずれ(グラフh)を大幅に減少し、色ずれ(グラフi)を抑えることができる。例えば、特許文献1および2には、各色の感光体ドラムを駆動するそれぞれの駆動部に回転速度を補正する信号を送信することで、各色の駆動部を制御する画像形成装置が記載されている。
【0008】
しかし、いずれの特許文献に記載の画像形成装置でも、各色の感光体ドラムの駆動部をそれぞれ制御するので、制御手段であるCPUやメモリへの負担が大きくなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−304558号公報
【特許文献2】特開2008−90278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたもので、ブラックの感光体の外径(外周長さ)を大きくしてモノクロ画像の生産性を高めると共に、モノクロ画像とカラー画像との色ずれを比較的簡単な制御で抑えることができる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するための手段として、本発明に係る画像形成装置は、カラー画像を形成する複数のカラー感光体と、該カラー感光体を駆動する第1駆動手段と、前記カラー感光体と径の異なる、モノクロ画像を形成する1つのブラック感光体と、該ブラック感光体を駆動する第2駆動手段と、を備えた画像形成装置において、
前記カラー感光体の回転速度変動を検出する第1検出手段と、
前記ブラック感光体の回転速度変動を検出する第2検出手段と、
前記検出値をフーリエ変換して、周波数、振幅および位相を算出し、前記フーリエ変換後のカラー感光体の周波数、振幅、および位相と、前記フーリエ変換後のブラック感光体の周波数、振幅、および位相とから補正波データを演算し、前記補正波データに基づいて、前記カラー感光体の位置ずれと前記ブラック感光体の位置ずれとが重なり合うように、前記カラー感光体の回転速度を変える制御手段と、
を備えたものである。
【0012】
制御手段が、前記カラー感光体の位置ずれと前記ブラック感光体の位置ずれとが重なり合うように、前記カラー感光体の回転速度を変えるので、カラー感光体の位置ずれとブラック感光体の位置ずれとが一致し、カラーとブラックの間の色ずれを減少することができる。
【0013】
また、カラー感光体の回転速度を変えるのみでカラーとブロックの間の色ずれを減少することができるので、簡単な制御で色ずれを減少することができる。
【0014】
前記補正波データは、フーリエ変換後の前記カラー感光体の位相と逆位相の波形と、フーリエ変換後の前記ブラック感光体の波形とを足し合わせたものであることが好ましい。
【0015】
他の手段として、カラー画像を形成する複数のカラー感光体と、該カラー感光体を駆動する第1駆動手段と、前記カラー感光体と径の異なる、モノクロ画像を形成する1つのブラック感光体と、該ブラック感光体を駆動する第2駆動手段と、を備えた画像形成装置において、
前記カラー感光体の回転速度変動を検出する第1検出手段と、
前記ブラック感光体の回転速度変動を検出する第2検出手段と、
前記検出値をフーリエ変換して、周波数、振幅および位相を算出し、前記フーリエ変換後のカラー感光体の周波数、振幅、および位相と、前記フーリエ変換後のブラック感光体の周波数、振幅、および位相とから補正波データを演算し、前記補正波データに基づいて、前記ブラック感光体の位置ずれと前記カラー感光体の位置ずれとが重なり合うように、前記ブラック感光体の回転速度を変える制御手段と、
を備えたことが好ましい。
【0016】
制御手段が、前記ブラック感光体の位置ずれと前記カラー感光体の位置ずれとが重なり合うように、前記ブラック感光体の回転速度を変えるので、ブラック感光体の位置ずれとカラー感光体の位置ずれとが一致し、ブラックとカラーの間の色ずれを減少することができる。
【0017】
また、ブラック感光体の回転速度を変えるのみでカラーとブロックの間の色ずれを減少することができるので、簡単な制御で色ずれを減少することができる。
【0018】
前記補正波データは、フーリエ変換後の前記ブラック感光体の位相と逆位相の波形と、フーリエ変換後の前記カラー感光体の波形とを足し合わせたものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
カラー感光体、またはブラック感光体のいずれか一方の回転速度を変えるのみで、カラーとブラックとの色ずれを減少することができる。また、これにより、簡単な制御で色ずれを減少することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態による画像形成装置の概略図である。
【図2】図1の感光体ドラム駆動機構の全体斜視図である。
【図3】図2の感光体ドラム駆動機構の背面図である。
【図4】図3の回転検出装置の拡大斜視図である。
【図5】図3の感光体ドラム駆動機構を制御するためのブロック図である
【図6】図3の感光体ドラム駆動機構を制御するためのフローチャートである。
【図7】図4のセンサが検出したギヤのパルス信号を示す図である。
【図8】パルス信号をフーリエ変換して得られるカラー感光体とブラック感光体との位置ずれ量および色ずれ量を示す図である。
【図9】主制御部が算出した補正波データの波形を示す図である。
【図10】図8のカラーの感光体ドラムの波形と図9の補正波データとを重ね合わせることで得られる補正後のカラーの感光体ドラムの波形を示す図である。
【図11】カラーの感光体ドラムを制御することにより色ずれが減少したことを示す図である。
【図12】感光体ドラムおよび2次転写ベルトに発生する位置ずれおよび色ずれを示す図である。
【図13】カラー感光体とブラック感光体との位置ずれ量および色ずれ量を示す図である。
【図14】従来の感光体ドラム駆動機構を制御した結果を示す図である。
【図15】従来の感光体ドラム駆動機構を制御した他の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0022】
図1に、本発明の実施形態に係る画像形成装置11を示す。まず、画像形成装置11の概略構成を説明する。画像形成装置11は、画像形成装置本体11aの内部のほぼ中央部に像担持体として中間転写ベルト12を備えている。中間転写ベルト12は、ローラ13a、13bの外周部に支持されて矢印A方向に回転駆動されるようになっている。中間転写ベルト12の下部水平部の下には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色にそれぞれ対応する4つのプリントユニット14Y、14M、14C、14Kが中間転写ベルト12に沿って並んで配置されている。各プリントユニット14Y、14M、14C、14Kは、感光体ドラム15Y、15M、15C、15K及び現像装置16Y、16M、16C、16K、および中間転写ベルト12を挟んで各感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kと対向する1次転写ローラ17Y、17M、17C、17Kをそれぞれ有している。現像装置16Y、16M、16C、16Kは、中間転写ベルト12を挟んで上方に配設されたトナーカートリッジ18Y、18M、18C、18Kと、それぞれ連通している。中間転写ベルト12の駆動ローラ13aで支持された部分には、2次転写ローラ19が圧接されており、2次転写ローラ19と中間転写ベルト12とのニップ部が、転写部21になっている。通紙路22aの更に下流には、定着ローラ駆動ユニット24と連結する加圧ローラ25と、加圧ローラ25と対向する定着ローラ26とが配設されており、この圧接部が定着ニップ領域27となっている。
【0023】
画像形成装置11の下部には、第1給紙部28aと第2給紙部28bとが上下に配置されている。各給紙部28a、28b内に積載収容された用紙Sは、最上部のものから1枚ずつ通紙路22bに送り出されることになる。また画像形成装置11の側部には循環路31が設けられている。排紙ローラ32でスイッチバックした片面印刷済みの用紙は、循環路31を介して下方に搬送され、未印刷面が中間転写ベルト12側に向いた状態で通紙路22cを再度上方に搬送されるようになっている。前記循環路31の下方には、手差し給紙装置33が設けられる。手差し給紙装置33と各給紙部28a、28bからの通紙路22bには、図1で代表的に示すように用紙Sを給紙するための給紙ローラ34が配設されている。また35は、プリントユニット14Y、14M、14C、14Kを画像信号に基づいて露光する露光部35を示す。
【0024】
次に、以上の構成からなる画像形成装置11の概略動作について説明する。画像読取部37で画像を読み取って得られたカラープリントデータ、又はパーソナルコンピュータ等から出力された画像データは、所定の信号処理が施された後、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像信号として、露光部35に供給される。各プリントユニット14Y、14M、14C、14Kでは、それぞれの感光体ドラム15Y、15M、15C、15K上に画像信号で変調されたレーザ光が投射されて静電潜像が形成される。各現像装置16Y、16M、16C、16Kで現像された各感光体ドラム15Y、15M、15C、15K上にはイエロー、マゼンタ、シアン、黒のトナー画像が形成される。形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、黒のトナー画像は、1次転写ローラ17Y、17M、17C、17Kの作用により、移動する中間転写ベルト12上に順次重ね合わせて1次転写される。このようにして中間転写ベルト12上に形成された重ね合わせトナー画像は、中間転写ベルト12の移動にしたがって転写部21に達する。この転写部21において、重ね合わされた各色トナー画像は2次転写ローラ19の作用により、給紙部28a、28bまたは手差し給紙装置33から供給された用紙Sに一括して2次転写される。次にトナー画像が2次転写された用紙Sは、定着ニップ領域27に達する。定着ニップ領域27においては、トナー画像は定着ローラ26及び加圧ローラ25の作用により用紙Sに定着される。トナー画像が定着された用紙Sは、排紙ローラ32を介して排紙トレイ38に排出される。
【0025】
図2に示すように、感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kは、感光体ドラム駆動機構41により駆動されるものである。感光体ドラム駆動機構41は、カラー画像を形成するイエロー、マゼンタ、シアンの各感光体ドラム15Y、15M、15Cを駆動する第1駆動手段である第1駆動部42と、モノクロ画像を形成するブラックの感光体ドラム15Kを駆動する第2駆動手段である第2駆動部43とから構成されている。
【0026】
図3を参照すると、第1駆動部42は、第1モータ45と噛合し、軸46C周りに回転するシアンの感光体ドラム15Cと連結するギヤ47Cと、第1モータ45を間に前記ギヤ47Cと対向する位置で前記第1モータ45と噛合し、軸46M周りに回転するマゼンタの感光体ドラム15Mと連結するギヤ47Mと、ギヤ47Mと噛合する中間ギヤ48と噛合し、イエローの感光体ドラム15Yと連結するギヤ47Yと、ギヤ47Cの回転速度、すなわちシアンの感光体ドラム15Cの回転速度を検出する第1検出手段である第1回転検出装置49とを備えている。第1モータ45が第1駆動部42を駆動するので、イエロー、マゼンタ、およびシアンの各感光体ドラム15Y、15M、15Cの回転速度は同じになり、これらの色の間では色ずれが生じない。また、カラー画像を形成する感光体ドラム15Y、15M、15Cの回転速度を検出するためには、イエローのギヤ47Y、マゼンタのギヤ47M、またはシアンのギヤ47Cのうちのいずれか1つのギヤに第1回転検出装置49を設ければよい。
【0027】
また、第2駆動部43は、第2モータ51と噛合し、軸46K周りに回転するブラックの感光体ドラム15Kと連結するギヤ47Kと、ギヤ47Kの回転速度、すなわちブラックの感光体ドラム15Kの回転速度を検出する第2検出手段である第2回転検出装置52とを備えている。
【0028】
ギヤ47C、47Kに設けられた第1および第2回転検出装置49、52は、図4に示すように、ギヤ47(47C、47K)の各感光体ドラム15(15C、15K)と反対側の表面に固定されており、ギヤ47と共に軸46(46C、46K)周りに回転する円盤状のエンコーダディスク54と、エンコーダディスク54に形成されたスリット55を透過する光を検知することでギヤ47の回転速度を検出する2つのセンサ56と、からなる。
【0029】
なお、センサ56の数に関しては、1つの場合には、エンコーダディスク54の回転中心が、ギヤ47の回転中心とずれてしまうと、ギヤ47に回転速度変動がなくても検出信号は、ずれに伴う1回転周期の変動を検出してしまう。従って、軸46を間に対称となるように2つのセンサ56を配置することで、前記ずれと逆位相の信号を検出することができるので、ずれによる偏心成分の変動を打ち消す補正をし、より正確にギヤ47の回転速度を検出することができる。
【0030】
図5に示すように、第1および第2回転検出装置49、52により検出されたギヤ47C、47Kの回転速度は、制御手段である主制御部57に入力されるようになっている。この主制御部57はモータ制御部58と接続し、モータ制御部58はドライバ59を介してモータ45、51と接続している。
【0031】
次に、前記構成からなる感光体ドラム駆動機構41における感光体ドラム15の駆動制御について、図6のフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0032】
ステップS1において、第2回転検出装置52が、例えば図7に示すブラックの感光体ドラム15Kのパルス信号を検出する。ステップS2において、第1回転検出装置49が、同様にシアンの感光体ドラム15Cのパルス信号を検出する。ステップS3において、主制御部57が前記ブラックの感光体ドラム15Kのパルス信号をフーリエ変換することで、図8に示すブラックの感光体ドラム15Kの周波数、振幅、位相が算出される(グラフA)。ステップS4において、主制御部57が同様に、前記シアンの感光体ドラム15Cのパルス信号をフーリエ変換することで、グラフBに示すカラーの感光体ドラム15(15Y、15M、15C)の周波数、振幅、位相が算出される。感光体ドラム駆動機構41のモータ45、51に回転速度のムラが発生すると、感光体ドラム15から検出したパルス信号が乱れ、これをフーリエ変換して得られる各周波数の振幅が変化する。この振幅が位置ずれ量を示し、ブラックの感光体ドラム15Kの振幅とカラーの感光体ドラム15の振幅との差が、グラフCの振幅に示す色ずれとなる。
【0033】
ステップS5において、主制御部57は補正波データを演算する。ここで補正波データとは、例えばカラーの感光体ドラム15の回転速度を補正する場合には、フーリエ変換後のカラーの感光体ドラム15の位相と逆位相の波形(図9のグラフE)と、フーリエ変換後のブラックの感光体ドラム15Kの波形(グラフA)とを足し合わせたもの(グラフD)である。また、図10に示すように、補正波データ(グラフD)は、カラーの感光体ドラム15の波形(グラフB)と重ね合わされることで、ブラックの感光体ドラム15Kの波形に略一致するグラフFに示す波形が得られる。
【0034】
ステップS6において、主制御部57が、補正波データをパルス信号に逆フーリエ変換する。ステップS7において、主制御部57が、逆フーリエ変換後のパルス信号を、カラーの感光体ドラム15のモータ制御部58に送信し、ドライバ59を介して、第1モータ45に出力するようになっている。これにより、第1モータ45は、補正波データのパルス信号に基づいてカラーの感光体ドラム15を駆動する。従って、カラーの感光体ドラム15の回転速度を、ブラックの感光体ドラム15Kの回転速度に近づけることで位置ずれ量を略一致させ、色ずれを削減するように制御する。具体的には、図11に示すように、ブラックの感光体ドラム15Kの位置ずれ量(グラフA)とカラーの感光体ドラム15の位置ずれ量(グラフF)とが略一致するので、ブラックとカラーとの色ずれ(グラフG)を抑えることができる。
【0035】
これにより、感光体ドラム駆動機構41における感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kの駆動制御が終了する。
【0036】
以上のように、本実施形態によれば、第1モータ45により、カラーの感光体ドラム15の回転速度を制御するのみでカラーとブラックの間の色ずれを減少することができるので、簡単な制御で色ずれを減少することができる。
【0037】
なお、前記実施形態では、カラーの感光体ドラム15の回転速度を制御したが、ブラックの感光体ドラム15Kの回転速度を制御しても同様の効果が得られる。ブラックの感光体ドラム15Kの回転速度を制御する場合には、ステップ5で補正波データを、フーリエ変換後のブラックの感光体ドラム15Kの位相と逆位相の波形と、フーリエ変換後のカラーの感光体ドラム15の波形とを足し合わせることで算出する。
【0038】
また、ステップS6において、主制御部57が、前記補正波データを、ブラックの感光体ドラム15Kのモータ制御部58に送信し、ドライバ59を介して、第2モータ45に出力する。
【符号の説明】
【0039】
11 画像形成装置
15 感光体ドラム
49 第1回転検出装置(第1検出手段)
52 第2回転検出装置(第2検出手段)
57 主制御部(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラー画像を形成する複数のカラー感光体と、該カラー感光体を駆動する第1駆動手段と、前記カラー感光体と径の異なる、モノクロ画像を形成する1つのブラック感光体と、該ブラック感光体を駆動する第2駆動手段と、を備えた画像形成装置において、
前記カラー感光体の回転速度変動を検出する第1検出手段と、
前記ブラック感光体の回転速度変動を検出する第2検出手段と、
前記検出値をフーリエ変換して、周波数、振幅および位相を算出し、前記フーリエ変換後のカラー感光体の周波数、振幅、および位相と、前記フーリエ変換後のブラック感光体の周波数、振幅、および位相とから補正波データを演算し、前記補正波データに基づいて、前記カラー感光体の位置ずれと前記ブラック感光体の位置ずれとが重なり合うように、前記カラー感光体の回転速度を変える制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記補正波データは、フーリエ変換後の前記カラー感光体の位相と逆位相の波形と、フーリエ変換後の前記ブラック感光体の波形とを足し合わせたものであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
カラー画像を形成する複数のカラー感光体と、該カラー感光体を駆動する第1駆動手段と、前記カラー感光体と径の異なる、モノクロ画像を形成する1つのブラック感光体と、該ブラック感光体を駆動する第2駆動手段と、を備えた画像形成装置において、
前記カラー感光体の回転速度変動を検出する第1検出手段と、
前記ブラック感光体の回転速度変動を検出する第2検出手段と、
前記検出値をフーリエ変換して、周波数、振幅および位相を算出し、前記フーリエ変換後のカラー感光体の周波数、振幅、および位相と、前記フーリエ変換後のブラック感光体の周波数、振幅、および位相とから補正波データを演算し、前記補正波データに基づいて、前記ブラック感光体の位置ずれと前記カラー感光体の位置ずれとが重なり合うように、前記ブラック感光体の回転速度を変える制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記補正波データは、フーリエ変換後の前記ブラック感光体の位相と逆位相の波形と、フーリエ変換後の前記カラー感光体の波形とを足し合わせたものであることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−191182(P2010−191182A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−35311(P2009−35311)
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】