説明

画像形成装置

【課題】用紙などのシートに濃淡むらなどの不良を生じていない現像剤像(画像)を形成することができる、画像形成装置を提供する。
【解決手段】感光ドラム5の表面に形成されるトナー像は、転写ローラ12に転写電流が供給されることにより、感光ドラム5と転写ローラ12との間を通過する用紙Pに転写される。感光ドラム5の表面には、クリーニングローラ8が対向して配置されている。クリーニングローラ8には、クリーニングバイアス回路24により、第1回収電圧または第2回収電圧が印加される。第2回収電圧は、感光ドラム5の表面の帯電極性と逆極性で第1回収電圧よりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザプリンタなどの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用したレーザプリンタでは、感光ドラムの周囲に、帯電器、現像器および転写ローラなどが配置されている。
画像形成動作時には、感光ドラムが回転される。この回転に伴って、感光ドラムの表面が帯電器からの放電により正極性に帯電されていく。そして、その帯電した部分にレーザビームが選択的に照射され、その照射された部分の電荷が抜けることにより、感光ドラムの表面に静電潜像が形成される。
【0003】
感光ドラムの回転に伴って、静電潜像が現像器に対向すると、現像バイアスが印加された現像器と静電潜像との間の電位差により、現像器から静電潜像にトナーが供給される。これにより、静電潜像がトナー像に現像されて、感光ドラムの表面にトナー像が担持される。
転写ローラは、感光ドラムの所定幅で接触(ニップ)するように設けられている。感光ドラムの回転に伴って、トナー像が転写ローラに対向する位置まで移動すると、そのタイミングに合わせて、感光ドラムと転写ローラとの接触部分に向けて用紙が送られる。そして、転写ローラに負の転写電流が供給されることにより、感光ドラムと転写ローラとの間を通過する用紙に感光ドラムの表面からトナー像が転写され、用紙への画像の形成が達成される(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−139703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
用紙の先端部分が感光ドラムと転写ローラとの接触部分に突入したときに、転写ローラから用紙に転写電流が流れる場合がある。
感光ドラムの表面において、帯電器によって正極性に帯電された部分が転写ローラと対向すると、負の転写電流が供給されている転写ローラの影響を受けて、感光ドラムの表面の電位が低下する。しかしながら、転写電流が用紙に流れると、転写電流が用紙に流れている期間、転写ローラにより感光ドラムの表面が受ける影響が小さくなり、感光ドラムの表面の用紙と接触している部分の電位の低下の度合いが小さくなる。その結果、感光ドラムの表面に、局所的に高電位を維持する部分が生じてしまう。
【0006】
感光ドラムの表面に高電位を維持した部分があると、その部分は、帯電器からの放電を受けた後も高電位を維持する。そのため、その高電位を維持した部分がレーザビームによって露光されても、電位を十分に低下させることができず、その部分に正帯電のトナーが付着しにくくなる。その結果、当該部分に形成されるトナー像が他の部分に形成されるトナー像よりも薄くなり、用紙に形成される画像に濃淡むらを生じるおそれがある。また、場合によっては、感光ドラムの表面の高電位を維持した部分に現像剤がほとんど供給されず、いわゆる画像の白抜けを発生するおそれがある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、用紙などのシートに濃淡むらなどの不良を生じていない現像剤像(画像)を形成することができる、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、請求項1記載の発明は、画像形成装置において、表面が所定方向に移動可能に設けられた感光体と、前記感光体の表面に現像剤像を形成するための所定の作用を与える作用手段と、前記感光体の表面に対向して配置され、転写電流の供給により、前記感光体の表面に形成された現像剤像を前記感光体との間を通過するシートに転写する転写手段と、前記感光体の表面における前記シートの先端部分と接触した接触部分を含む調整対象部分に前記作用手段が前記所定の作用を与える期間と、前記感光体の表面における前記調整対象部分以外の非対象部分に前記作用手段が前記所定の作用を与える期間とで、当該作用の大きさが異なるように、前記作用手段を制御する制御手段とを備えることを特徴としている。
【0009】
前記所定の作用には、現像剤像の形成に直接的に関係する作用のみならず、現像剤像の形成に間接的に関係する作用も含まれる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記作用手段は、前記感光体の表面に対向して配置され、前記感光体から前記シートへの現像剤像の転写後に、前記感光体の表面に残留している現像剤を回収する回収手段と、前記回収手段に電圧を印加する回収電圧印加手段とを含み、前記制御手段は、前記非対象部分が前記回収手段に対向しているときに、前記感光体の表面の帯電極性と逆極性の第1回収電圧が前記回収手段に印加され、前記調整対象部分が前記回収手段に対向しているときには、前記第1回収電圧と同極性で前記第1回収電圧よりも大きい第2回収電圧が印加されるように、前記回収電圧印加手段を制御することを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、湿度を検知するための湿度検知手段をさらに備え、前記制御手段は、前記湿度検知手段により検知される湿度に基づいて、前記第2回収電圧の値を設定することを特徴としている。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記制御手段は、前記湿度検知手段により検知される湿度が予め定める閾値以上のときには、前記第2回収電圧の値を相対的に大きい値に設定し、前記湿度検知手段により検知される湿度が前記閾値未満のときには、前記第2回収電圧の値を相対的に小さい値に設定することを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4のいずれか一項に記載の発明において、前記制御手段は、前記感光体の表面に前記シートの先端縁が接触してから前記第2回収電圧が印加されるまでの期間、前記回収手段に電圧が印加されないように、前記回収電圧印加手段を制御することを特徴としている。
請求項6に記載の発明は、請求項2〜5のいずれか一項に記載の発明において、前記感光体は、前記シートの搬送方向に沿って並列に複数配置され、前記転写手段および前記回収手段は、各感光体に対応して設けられ、前記制御手段は、前記転写手段に供給される転写電流の値に応じて、当該転写手段とともに前記感光体に対応して設けられている前記回収手段に印加される前記第2回収電圧の値を設定することを特徴としている。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記制御手段は、前記シートの搬送方向の最上流側に配置される前記感光体に対応して設けられている前記回収手段に印加される前記第2回収電圧の値を最も小さい値に設定し、前記シートの搬送方向の最下流側に配置される前記感光体に対応して設けられている前記回収手段に印加される前記第2回収電圧の値を最も大きい値に設定することを特徴としている。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項2〜7のいずれか一項に記載の発明において、前記回収手段は、その周面が前記感光体に接触して配置される回収ローラであることを特徴としている。
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の発明において、前記作用手段は、前記感光体の表面に対向して配置され、現像剤像の形成前に前記感光体の表面を帯電させる帯電手段と、前記帯電手段に電圧を印加する帯電電圧印加手段とを含み、前記制御手段は、前記非対象部分が前記帯電手段に対向しているときに、第1帯電電圧が前記帯電手段に印加され、前記調整対象部分が前記帯電手段に対向しているときには、前記第1帯電電圧と同極性で前記第1帯電電圧よりも小さい第2帯電電圧が印加されるように、前記帯電電圧印加手段を制御することを特徴としている。
【0014】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の発明において、前記帯電手段は、放電電極およびグリッドを備えるスコロトロン帯電器であり、前記帯電電圧印加手段は、前記グリッドに電圧を印加することを特徴としている。なお、放電電極は、ワイヤ状のものであってもよいし、のこぎり歯状のものであってもよい。
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の発明において、湿度を検知するための湿度検知手段をさらに備え、前記制御手段は、前記湿度検知手段により検知される湿度に基づいて、前記第2帯電電圧の値および/または前記グリッドに前記第2帯電電圧を印加する時間を設定することを特徴としている。
【0015】
請求項12に記載の発明は、請求項1〜11のいずれか一項に記載の発明において、前記作用手段は、前記感光体の表面を露光し、前記感光体の表面に現像剤像に対応する静電潜像を形成する露光手段を含み、前記制御手段は、前記非対象部分が第1露光量で露光され、前記調整対象部分が前記第1露光量よりも大きい第2露光量で露光されるように、前記露光手段を制御することを特徴としている。
【0016】
請求項13に記載の発明は、請求項1〜12のいずれか一項に記載の発明において、前記作用手段は、前記感光体の表面に対向して配置され、前記感光体の表面に現像剤を供給し、前記感光体の表面の静電潜像を現像する現像手段と、前記現像手段に電圧を印加する現像電圧印加手段とを含み、前記制御手段は、前記非対象部分が前記現像手段と対向しているときに、第1現像電圧が前記現像手段に印加され、前記調整対象部分が前記現像手段と対向しているときに、前記第1現像電圧よりも大きい第2現像電圧が前記現像手段に印加されるように、前記現像電圧印加手段を制御することを特徴としている。
【0017】
請求項14に記載の発明は、請求項1〜13のいずれか一項に記載の発明において、前記転写手段は、前記感光体の表面との間に前記所定方向の幅が所定幅であるニップ部を形成する転写ローラであり、前記調整対象部分は、前記シートの先端縁を含む前記所定幅の部分であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、感光体の表面に形成される現像剤像は、転写手段に転写電流が供給されることにより、感光体と転写手段との間を通過するシートに転写される。感光体の表面には、作用手段により、現像剤像を形成するための所定の作用が与えられる。そして、感光体の表面におけるシートの先端部分と接触した接触部分を含む調整対象部分に与えられる作用の大きさと、感光体の表面における調整対象部分以外の非対象部分に与えられる作用の大きさとが異なるように、制御手段により、作用手段が制御される。
【0019】
シートの先端部分が感光体の表面に接触したときに、転写手段からシートに転写電流が流れると、感光体の表面の接触部分の電位と接触部分以外の部分の電位との間に、それに起因する偏差が生じる。シートへの現像剤像の形成に対する電位偏差による影響が打ち消されるように、接触部分を含む調整対象部分に与えられる作用の大きさが設定されることにより、接触部分からシートに転写される現像剤像と接触部分以外の部分からシートに転写される現像剤像との間に、所望しない濃度の偏差(むら)が生じるのを防止することができる。よって、シートに濃淡むらなどの不良を生じていない現像剤像(画像)を形成することができる。
【0020】
請求項2に記載の発明によれば、作用手段は、回収手段を含む。回収手段は、感光体の表面に対向して配置されている。回収手段には、回収電圧印加手段により、第1回収電圧または第2回収電圧が印加される。感光体からシートへの現像剤像の転写後に感光体の表面に残留する現像剤は、回収手段と感光体の表面との間の電位差により、回収手段と対向したときに、回収手段に回収される。
【0021】
感光体の表面から残留現像剤が回収手段に回収されることにより、感光体の表面に形成される現像剤像に残留現像剤が及ぼす影響(濃度むら)をなくすことができる。したがって、回収手段により残留現像剤を回収するクリーニング作用は、感光体の表面への現像剤の形成に間接的に関係し、その現像剤を形成するための作用に含まれる。
感光体の表面における調整対象部分が回収手段に対向しているときには、回収手段に感光体の表面の帯電極性と逆極性で第1回収電圧よりも大きい第2回収電圧が印加される。これにより、現像剤像の転写後に接触部分付近に電荷が多く残留していても、その残留電荷を除去することができる。その結果、接触部分と接触部分以外の部分との間の電位の偏差を小さくすることができ、感光体の表面の電位のばらつきを低減することができる。よって、感光体の表面に良好な濃度の現像剤像を形成することができる。
【0022】
請求項3に記載の発明によれば、画像形成装置は、湿度を検知するための湿度検出手段を備えている。第2回収電圧の値は、湿度検知手段により検知される湿度に基づいて設定される。
感光体からシートへの現像剤像の良好な転写を確保するために、転写手段に供給される転写電流の値が湿度の変化に応じて変更される場合がある。転写電流が変更されると、これに伴って、接触部分近傍に残留する電荷の量が変化する。第2回収電圧の値が湿度検知手段により検知される湿度に基づいて設定されるので、転写電流の値および湿度の変化に応じて調整対象部分の残留電荷を良好に除去することができる。その結果、湿度にかかわらず、感光体の表面の電位のばらつきを低減することができ、シートに良好な濃度の現像剤像を形成することができる。
【0023】
請求項4に記載の発明によれば、湿度検知手段により検知される湿度が予め定める閾値以上のときには、第2回収電圧の値が相対的に大きい値に設定される。また、湿度検知手段により検知される湿度が予め定める閾値未満のときには、第2回収電圧の値が相対的に小さい値に設定される。すなわち、湿度が閾値以上であるか閾値未満であるかによって、第2回収電圧が湿度に応じた値に変更される。そのため、湿度の変化が著しい場合に、第2回収電圧の値が頻繁に変更されるのを抑制することができる。その結果、制御手段にかかる負荷を軽減することができる。
【0024】
請求項5に記載の発明によれば、シートの先端縁が感光体の表面に接触してから第2回収電圧が印加されるまでの期間は、回収部材に電圧が印加されない。これにより、当該期間における消費電力を低減することができる。そのため、画像形成装置の省エネルギー化を図ることができる。
請求項6に記載の発明によれば、感光体は、シートの搬送方向に沿って並列に複数配置されている。転写手段および回収手段は、各感光体に対応して設けられている。また、各転写手段に供給される転写電流の値に応じて、当該転写手段とともに感光体に対応して設けられる回収手段に印加される第2回収電圧の値が設定される。これにより、各感光体の表面の接触部分近傍の電位が転写電流の相違により異なっていても、各接触部分の残留電荷を良好に除去することができる。その結果、各感光体の表面電位のばらつきを低減することができる。
【0025】
請求項7に記載の発明によれば、各回収手段に印加される第2回収電圧のうち、シートの搬送方向の最上流側の感光体に対応して設けられている回収手段に印加される第2回収電圧が最も小さい値に設定される。また、シートの搬送方向の最下流側の感光体に対応して設けられている回収手段に印加される第2回収電圧が最も大きい値に設定される。
複数の感光体が並列に配置される画像形成装置では、感光体の表面に接触しながら搬送されるシートの搬送が進むにつれて、シート上の現像剤の帯電量が増加(チャージアップ)するため、シートの表面の電位が上昇する。シートの表面の電位が上昇するにつれて、感光体とシートとの間の電位差が小さくなるので、感光体からシートへのトナーの転移効率が下がる。そこで、各感光体からシートへの現像剤の良好な転写を確保するために、最上流側の感光体に対応して設けられている転写手段に供給される転写電流が最も小さい値に設定され、最下流側の感光体に対応して設けられている転写手段に供給される転写電流が最も大きい値に設定される場合がある。
【0026】
この場合に、シートの先端部分が感光体の表面に接触したときに、転写手段からシートに転写電流が流れると、各感光体の表面の接触部分近傍に残留する電荷の量は、シートとの間の電位差が最も小さい最下流側の感光体で最も多くなり、シートとの間の電位差が最も大きい最上流側の感光体で最も少なくなる。これに応じて、最上流側の感光体に対応する回収部材への第2回収電圧が最も小さい値に設定され、最下流側に配置される感光体に対応する回収部材への第2回収電圧が最も大きい値に設定されるので、各感光体の接触部分の残留電荷を良好に除去することができる。その結果、各感光体の表面の電位のばらつきを良好に低減することができる。
【0027】
請求項8に記載の発明によれば、回収手段は、その周面が感光体に接触して配置される回収ローラである。回収ローラの周面と感光体の表面とが接触しているので、回収ローラによる残留トナーの回収および感光体の表面の接触部分からの残留電荷の除去を安定して行うことができる。
請求項9に記載の発明によれば、作用手段は、感光体の表面に帯電という作用を与える帯電手段を含む。帯電手段は、感光体の表面に対向して配置されている。帯電手段には、帯電電圧印加手段により、第1帯電電圧または第2帯電電圧が印加される。帯電手段に電圧が印加されると、帯電手段から感光体の表面に電荷が供給され、感光体の表面が帯電する。
【0028】
感光体の表面における調整対象部分以外の非対象部分が帯電手段に対向しているときには、帯電手段に第1帯電電圧が印加され、接触部分を含む調整対象部分が帯電手段に対向しているときには、帯電手段に第1帯電電圧よりも小さい第2帯電電圧が印加される。そのため、帯電手段から調整対象部分に供給される電荷の量は、帯電手段から非対象部分に供給される電荷の量よりも少ない。接触部分には電荷が残留しているので、調整対象部分に供給される電荷の量が少なくされることにより、接触部分の帯電量と接触部分以外の帯電量の偏差を小さくすることができる。その結果、感光体の表面の電位のばらつきを低減することができる。よって、感光体の表面に良好な濃度の現像剤像を形成することができる。
【0029】
請求項10に記載の発明によれば、帯電手段は、放電電極およびグリッドを備えるスコロトロン帯電器である。そのため、グリッドに印加される電圧により、感光体の表面に供給される電荷の量を調節することができる。すなわち、調整対象部分が回収手段に対向しているときに、グリッドに第1回収電圧よりも小さい第2回収電圧が印加されることにより、調整対象部分に供給される電荷の量を非対象部分に供給される電荷の量よりも少なくすることができる。
【0030】
請求項11に記載の発明によれば、画像形成装置は、湿度を検知するための湿度検出手段を備えている。第2帯電電圧の値および/またはグリッドに第2帯電電圧が印加される時間は、湿度検知手段により検知される湿度に基づいて設定される。
感光体の表面の単位面積(たとえば、1画素)あたりの帯電手段による帯電量は、帯電手段からその単位面積部分に供給される電荷の量の時間積分値である。したがって、第2帯電電圧の値および第2帯電電圧がグリッドに印加される時間の少なくとも一方を変更することにより、調整対象部分の帯電量を変更することができる。
【0031】
感光体からシートへの現像剤像の良好な転写を確保するために、転写手段に供給される転写電流の値が湿度の変化に応じて変更される場合がある。転写電流が変更されると、これに伴って、接触部分に残留する電荷の量が変化する。また、温度が変化すると接触部分の残留する電荷量が変化する。第2帯電電圧の値および第2帯電電圧がグリッドに印加される時間が湿度検知手段により検知される湿度に基づいて設定されるので、転写電流の値および湿度の変化に応じて、接触部分近傍の帯電量と接触部分以外の帯電量の偏差を小さくすることができる。その結果、湿度にかかわらず、感光体の表面の電位のばらつきを低減することができ、シートに良好な濃度の現像剤像を形成することができる。
【0032】
請求項12に記載の発明によれば、作用手段は、感光体の表面に露光という作用を与える露光手段を含む。感光体の表面が露光手段により露光されると、その露光された部分から電荷が除去される。
非対象部分は第1露光量で露光され、調整対象部分は第1露光量よりも大きい第2露光量で露光される。そのため、調整対象部分から除去される電荷の量は、非対象部分から除去される電荷の量よりも多い。接触部分近傍には転写手段からシートに転写電流が流れたことによる残留電荷が存在しているので、調整対象部分から除去される電荷の量が多くされることにより、露光後の接触部分の帯電量と接触部分以外の帯電量の偏差を小さくすることができる。その結果、感光体の表面の電位のばらつきによる濃度ムラを低減することができる。よって、感光体の表面に良好な濃度の現像剤像を形成することができる。
【0033】
請求項13に記載の発明によれば、作用手段は、感光体の表面に現像という作用を与える現像手段を含む。現像手段は、感光体の表面に対向して配置されている。現像手段には、現像電圧印加手段により、第1現像電圧または第2現像電圧が印加される。現像手段と感光体の表面との間の電位差により、現像手段から感光体の表面に現像剤が供給される。
非対象部分が現像手段に対向しているときには、現像手段に第1現像電圧が印加され、調整対象部分が現像手段に対向しているときには、現像手段に第1現像電圧よりも大きい第2現像電圧が印加される。接触部分には残留電荷が多く存在しているので、調整対象部分が現像手段に対向しているときに現像手段に印加される電圧が大きくされることにより、接触部分と現像手段との間の電位差と接触部分以外の部分と現像手段との間の電位差の間の偏差を小さくすることができる。その結果、現像手段から感光体に供給される現像剤の量のばらつき(むら)を低減することができる。よって、感光体の表面に良好な濃度の現像剤像を形成することができる。
【0034】
請求項14に記載の発明によれば、転写手段は、感光体の表面との間に所定幅のニップ部を形成する転写ローラである。この場合、調整対象部分とは、シートの先端縁を含む所定幅(ニップ部の幅と同じ幅)の部分をいう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係るプリンタの断面図である。
【図2】図2は、プリンタの電気的構成の要部を示すブロック図である。
【図3】図3は、クリーニングバイアステーブルの一例を示す図である。
【図4】図4は、画像形成動作時のバイアス制御を説明するためのタイミングチャートである。
【図5】図5は、回収物搬送動作中のバイアス制御を説明するためのタイミングチャートである。
【図6】図6は、本発明の第2の実施形態に係るバイアステーブルの一例を示す図である。
【図7】図7は、本発明の第3の実施形態に係るグリッドバイアステーブルの一例を示す図である。
【図8】図8は、画像形成動作時のグリッドバイアス制御を説明するためのタイミングチャートである。
【図9】図9は、用紙として厚紙が採用された場合のグリッドバイアステーブルの一例を示す図である。
【図10】図10は、グリッドに第2帯電電圧が印加される時間が変更される場合のグリッド時間テーブルの一例を示す図である。
【図11】図11は、用紙として厚紙が採用され、グリッドに第2帯電電圧が印加される時間が変更される場合のグリッド時間テーブルの一例を示す図である。
【図12】図12は、画像形成動作時のLED駆動制御を説明するためのタイミングチャートである。
【図13】図13は、画像形成動作時の現像バイアス制御を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下では、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
1.プリンタの全体構成
図1は、本発明の実施形態に係るプリンタの断面図である。
画像形成装置の一例としてのプリンタ1は、ダイレクトタンデムタイプのカラープリンタである。
【0037】
プリンタ1は、本体ケーシング2を備えている。本体ケーシング2内には、プロセスカートリッジ3が備えられている。4つのプロセスカートリッジ3(3K,3Y,3M,3C)は、ブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンの各色に対応して設けられ、後述する搬送ベルト11による用紙Pの搬送方向において、その上流側からブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンの順に等間隔に並べて配置されている。各プロセスカートリッジ3は、本体ケーシング2の上面に設けられたトップカバー4を開放した状態で、本体ケーシング2内に対して上方から装着することができる。
【0038】
各プロセスカートリッジ3は、感光体の一例としての感光ドラム5、帯電手段の一例としてのスコロトロン帯電器6、現像手段の一例としての現像ローラ7および回収手段である回収ローラの一例としてのクリーニングローラ8を備えている。
スコロトロン帯電器6、現像ローラ7およびクリーニングローラ8は、感光ドラム5の周囲に配置されている。スコロトロン帯電器6は、感光ドラム5の表面と間隔を空けて対向配置された放電電極の一例としてのチャージワイヤ61と、チャージワイヤ61と感光ドラム5との間に配置されたグリッド62とを備えている。現像ローラ7およびクリーニングローラ8は、それらの周面が感光ドラム5の表面に接触した状態に設けられている。
【0039】
また、本体ケーシング2内には、4つのLEDユニット9が各プロセスカートリッジ5に対応して設けられている。各LEDユニット9の先端部は、感光ドラム5の周面に対向配置されている。
画像形成動作時には、感光ドラム5が図1における反時計回りに一定速度で回転される。また、スコロトロン帯電器6のチャージワイヤ61に正のワイヤバイアスが印加され、チャージワイヤ61がコロナ放電する。その一方で、スコロトロン帯電器6のグリッド62に正のグリッドバイアスが印加されることにより、チャージワイヤ61から感光ドラム5の表面に供給される電荷の量が制御される。これにより、感光ドラム5の表面は、正極性に帯電する。
【0040】
感光ドラム5の回転に伴って、感光ドラム5の表面の帯電した部分がLEDユニット9に対向すると、LEDユニット9の先端部に設けられたLED(図示せず)により、その帯電した部分が選択的に露光される。感光ドラム5の表面の露光された部分からは電荷が除去され、感光ドラム5の表面には、電位差による静電潜像が形成される。
また、現像ローラ7には、正の現像バイアスが印加される。感光ドラム5の回転に伴って、静電潜像が現像ローラ7に対向すると、現像ローラ7と感光ドラム5の表面との間の電位差により、現像ローラ7から静電潜像に正極性に帯電したトナーが供給される。これにより、静電潜像がトナー像に現像されて、感光ドラム5の表面にトナー像が担持される。
【0041】
本体ケーシング2の底部には、シートの一例としての用紙Pを収容する給紙カセット10が配置されている。給紙カセット10に収容されている用紙Pは、各種ローラにより、搬送ベルト11上に搬送される。
搬送ベルト11は、4つの感光ドラム5に下方から対向して配置されている。各感光ドラム5に対して搬送ベルト11の上側部分を挟んで対向する各位置には、転写ローラ12が配置されている。各転写ローラ12は、搬送ベルト11を挟んで感光ドラム5の表面と接触し、感光ドラム5の表面と搬送ベルト11との間には、所定幅D(図2参照)で互いに接触することによるニップ部が形成されている。搬送ベルト11上に搬送された用紙Pは、搬送ベルト11の走行により、各感光ドラム5と搬送ベルト11との間を順次に通過する。各転写ローラ12には、感光ドラム5の表面の帯電極性と逆極性である負の転写電流が供給される。感光ドラム5の表面上のトナー像は、転写ローラ12に引きつけられ、感光ドラム5と搬送ベルト11との間を通過する用紙Pに転写される。
【0042】
搬送ベルト11に対して用紙Pの搬送方向における下流側には、定着器13が設けられている。トナー像が転写された用紙Pは、定着器13に搬送される。定着器13では、加熱および加圧により、トナー像が用紙Pに定着される。トナー像が定着した用紙Pは、各種ローラにより、本体ケーシング2の上面の排紙トレイ14に排出される。
画像形成動作時には、クリーニングローラ8に負の回収バイアスが印加される。感光ドラム5から用紙Pへのトナー像の転写後、感光ドラム5の表面に残留しているトナーや用紙Pの紙粉などの付着物は、感光ドラム5の回転に伴ってクリーニングローラ8に対向したときに、クリーニングローラ8に回収される。
【0043】
また、搬送ベルト11の下方には、クリーニングローラ8に回収されたトナーなどの回収物を貯留するための廃トナーボックス15が設けられている。
2.プリンタの電気的構成
図2は、プリンタの電気的構成の要部を示すブロック図である。
プリンタ1は、スコロトロン帯電器6のチャージワイヤ61にワイヤバイアスを印加するワイヤバイアス回路21と、スコロトロン帯電器6のグリッド62にグリッドバイアスを印加するグリッドバイアス回路22と、現像ローラ7に現像バイアスを印加する現像バイアス回路23と、クリーニングローラ8にクリーニングバイアスを印加するクリーニングバイアス回路24と、LEDユニット9の先端部に設けられたLED(図示せず)を駆動するLED駆動回路25と、各転写ローラ12に転写電流を供給する転写電流回路26と、本体ケーシング2内の相対湿度を検知する湿度検知手段の一例としての湿度センサ27とを備えている。
【0044】
また、プリンタ1は、マイクロコンピュータ28を備えている。マイクロコンピュータ28は、CPUおよびメモリなどにより構成される。
マイクロコンピュータ28は、CPUによるプログラム処理によってソフトウェア的に実現される構成として、ワイヤバイアス回路21を制御するワイヤバイアス制御部29と、グリッドバイアス回路22を制御するグリッドバイアス制御部30と、現像バイアス回路23を制御する現像バイアス制御部31と、クリーニングバイアス回路24を制御するクリーニングバイアス制御部32と、LED駆動回路25を制御するLED制御部33と、転写電流回路26を制御する転写電流制御部34とを実質的に備えている。
【0045】
マイクロコンピュータ28のメモリには、クリーニングバイアス制御部32によりクリーニングバイアスが設定される際に参照されるクリーニングバイアステーブル35が格納されている。
3.クリーニングバイアステーブル
図3は、クリーニングバイアステーブルの一例を示す図である。
【0046】
クリーニングバイアステーブル35には、相対湿度0〜20%、20〜30%、30〜40%、40〜50%、50〜60%、60〜70%、70〜80%および80〜100%の各範囲と、転写電流0〜5μA、5〜10μA、10〜15μAおよび15〜20μAの各範囲との各組合せに対応づけて、クリーニングバイアスの補正値が記憶されている。なお、相対湿度および転写電流の各範囲には、当該範囲の下限値は含まれず、上限値は含まれる。
【0047】
相対湿度0〜20%の範囲および転写電流0〜5μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−100V」が記憶されている。
相対湿度0〜20%の範囲および転写電流5〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−200V」が記憶されている。
相対湿度0〜20%の範囲および転写電流10〜15μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−200V」が記憶されている。
【0048】
相対湿度0〜20%の範囲および転写電流15〜20μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−200V」が記憶されている。
相対湿度20%〜30%の範囲および転写電流0〜5μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−200V」が記憶されている。
相対湿度20%〜30%の範囲および転写電流5〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−200V」が記憶されている。
【0049】
相対湿度20%〜30%の範囲および転写電流10〜15μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−200V」が記憶されている。
相対湿度20%〜30%の範囲および転写電流15〜20μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−300V」が記憶されている。
相対湿度30%〜40%の範囲および転写電流0〜5μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−200V」が記憶されている。
【0050】
相対湿度30%〜40%の範囲および転写電流5〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−200V」が記憶されている。
相対湿度30%〜40%の範囲および転写電流10〜15μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−300V」が記憶されている。
相対湿度30%〜40%の範囲および転写電流15〜20μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−300V」が記憶されている。
【0051】
相対湿度40%〜50%の範囲および転写電流0〜5μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−300V」が記憶されている。
相対湿度40%〜50%の範囲および転写電流5〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−300V」が記憶されている。
相対湿度40%〜50%の範囲および転写電流10〜15μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−300V」が記憶されている。
【0052】
相対湿度40%〜50%の範囲および転写電流15〜20μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−300V」が記憶されている。
相対湿度50%〜60%の範囲および転写電流0〜5μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−300V」が記憶されている。
相対湿度50%〜60%の範囲および転写電流5〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−300V」が記憶されている。
【0053】
相対湿度50%〜60%の範囲および転写電流10〜15μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−300V」が記憶されている。
相対湿度50%〜60%の範囲および転写電流15〜20μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−400V」が記憶されている。
相対湿度60%〜70%の範囲および転写電流0〜5μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−300V」が記憶されている。
【0054】
相対湿度60%〜70%の範囲および転写電流5〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−300V」が記憶されている。
相対湿度60%〜70%の範囲および転写電流10〜15μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−300V」が記憶されている。
相対湿度60%〜70%の範囲および転写電流15〜20μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−400V」が記憶されている。
【0055】
相対湿度70%〜80%の範囲および転写電流0〜5μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−400V」が記憶されている。
相対湿度70%〜80%の範囲および転写電流5〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−400V」が記憶されている。
相対湿度70%〜80%の範囲および転写電流10〜15μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−400V」が記憶されている。
【0056】
相対湿度70%〜80%の範囲および転写電流15〜20μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−400V」が記憶されている。
相対湿度80%〜100%の範囲および転写電流0〜5μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−400V」が記憶されている。
相対湿度80%〜100%の範囲および転写電流5〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−400V」が記憶されている。
【0057】
相対湿度80%〜100%の範囲および転写電流10〜15μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−400V」が記憶されている。
相対湿度80%〜100%の範囲および転写電流15〜20μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−400V」が記憶されている。
4.バイアス制御
(1)クリーニングバイアス
クリーニングバイアスは、クリーニングバイアス制御部32により設定される。クリーニングバイアス制御部32によりクリーニングバイアス回路24が制御されることにより、その設定されたクリーニングバイアスがクリーニングバイアス回路24からクリーニングローラ8に印加される。
【0058】
画像形成動作時には、クリーニングバイアスが第1回収電圧と第2回収電圧とに切り換えられる。第1回収電圧は、感光ドラム5の表面の帯電極性(正極性)と逆極性の負電圧であり、たとえば、−500Vに設定されている。第2回収電圧は、一定の基準値(たとえば、−800V)にクリーニングバイアステーブル35から読み出された補正値を加えた値に設定される。第2回収電圧は、常に、第1回収電圧と同極性で第1回収電圧よりも絶対値が大きい値に設定される。
【0059】
プリンタ1では、画像形成動作の終了後に、クリーニングローラ8に回収されたトナーなどの回収物を廃トナーボックス15に搬送するための回収物搬送動作が行われる。回収物搬送動作時には、クリーニングバイアスが第3回収電圧に設定される。第3回収電圧は、感光ドラム5の表面の帯電極性と同極性の正電圧であり、たとえば、800Vに設定される。
(2)画像形成動作時のバイアス制御
図4は、画像形成動作時のバイアス制御を説明するためのタイミングチャートである。
【0060】
画像形成動作時には、感光ドラム5は、その周面が図2に示す矢印A方向(図2における反時計回り)に移動するように回転される。
時刻T1において、ワイヤバイアス制御部29、グリッドバイアス制御部30および現像バイアス制御部31により、それぞれワイヤバイアス回路21、グリッドバイアス回路22および現像バイアス回路23が制御され、チャージワイヤ61へのワイヤバイアスの印加、グリッド62へのグリッドバイアスの印加および現像ローラ7への現像バイアスの印加が開始される。このとき、ワイヤバイアスは定電流、たとえば250μA(5〜7kV程度)、グリッドバイアスおよび現像バイアスは、たとえば、それぞれ750Vおよび400Vに設定される。また、クリーニングバイアス制御部32により、クリーニングバイアス回路24が制御され、クリーニングローラ8へのクリーニングバイアスの印加が開始される。このとき、クリーニングバイアスは、第1回収電圧に設定される。
【0061】
感光ドラム5の回転に伴って、感光ドラム5の表面は、スコロトロン帯電器6からの放電により、正極性に帯電されていく。そして、LED制御部33によりLED駆動回路25が制御され、LEDユニット9のLEDが発光し、感光ドラム5の表面の正極性に帯電した部分が選択的に露光される。これにより、感光ドラム5の表面に静電潜像が形成される。
【0062】
その後、感光ドラム5の回転に伴って、静電潜像が現像ローラ7に対向すると、現像ローラ7と感光ドラム5との電位差により、現像ローラ7から感光ドラム5の表面に形成された静電潜像にトナーが供給される。これにより、感光ドラム5の表面の静電潜像がトナー像に現像される。
一方、画像形成動作が開始されると、給紙トレイ10から搬送ベルト11上に向けて、用紙Pが送り出される。
【0063】
画像形成動作が開始された時刻T1から一定時間が経過し、時刻T2になると、転写電流制御部34により、転写電流回路26が制御され、転写ローラ12への転写電流の供給が開始される。転写ローラ12に供給される転写電流は、湿度センサ27により検出される相対湿度に応じて設定され、たとえば、用紙Pの搬送方向上流側から順に、10μA、11μA、12μA、13μAに設定される。
【0064】
転写電流の供給が開始された時刻T2から一定時間が経過し、時刻T3になると、用紙Pの先端縁が感光ドラム5の表面に当接する。その後、搬送ベルト11の周回走行により用紙Pが搬送され、用紙Pが感光ドラム5の表面と搬送ベルト11との間の所定幅D(図2参照)のニップ部を通過する。感光ドラム5の表面上のトナー像は、転写ローラ12に引きつけられ、用紙Pのニップ部を通過する用紙Pに転写される。
【0065】
用紙Pの先端縁が感光ドラム5の表面に当接した時刻T3から一定時間が経過し、時刻T4になると、感光ドラム5の表面における用紙Pの先端縁およびその近傍と接触していた部分(以下「接触部分」という。)を含む所定幅D(以下、「調整対象部分」という。)の先頭がクリーニングローラ8と対向する。つまり、時刻T4は、時刻T3から、調整対象部分の先頭が転写ローラ12と対向する位置からクリーニングローラ8と対向する位置まで移動するのに要する時間が経過したときの時刻である。時刻T4になると、クリーニングバイアス回路24が制御されることにより、クリーニングローラ8に印加されるクリーニングバイアスが、第1回収電圧から第2回収電圧へ切り替えられる。
【0066】
第2回収電圧を設定するために、まず、クリーニングバイアス制御部32により、湿度センサ27の出力が参照され、本体ケーシング2内の相対湿度が検知される。その後、クリーニングバイアステーブル35が参照される。そして、クリーニングバイアステーブル35から相対湿度および各転写電流に応じた補正値が読み出される。
たとえば、相対湿度が35%であり、用紙Pの搬送方向上流側の転写ローラ12から順に、10μA、11μA、12μA、13μAの転写電流が供給される場合、用紙Pの搬送方向最上流側のクリーニングローラ8に対する第2回収電圧を設定するための補正値として、「−200V」がクリーニングバイアステーブル35から読み出され、その他のクリーニングローラ8に対する第2回収電圧を設定するための補正値として、「−300V」がクリーニングバイアス35から読み出される。そして、基準値にクリーニングバイアステーブル35から読み出された補正値を加えた値が第2回収電圧に設定される。たとえば、基準値が−500Vである場合、用紙Pの搬送方向最上流側のクリーニングローラ8に対する第2回収電圧は、−700Vに設定され、その他のクリーニングローラ8に対する第2回収電圧は、−800Vに設定される。
【0067】
第2回収電圧の供給が開始された時刻T4から感光ドラム5の表面が所定幅Dと等しい距離を移動するのに要する時間が経過し、時刻T5になると、クリーニングバイアス回路24が制御されて、クリーニングローラ8に対して供給されるクリーニングバイアスが第2回収電圧から第1回収電圧へ戻される。これにより、トナー像が用紙Pに転写された後、感光ドラム5の表面に残留したトナーなどの付着物は、感光ドラム5の回転に伴って、クリーニングローラ8と対向したときに、クリーニングローラ8に回収される。
【0068】
その後、用紙Pの後端が感光ドラム5の表面から離れ、そのときの時刻T6から一定時間が経過した時刻T7になると、転写ローラ12への転写電流の供給が停止される。
そして、転写ローラ12への転写電流の供給が停止された時刻T7から一定時間が経過し、時刻T8になると、チャージワイヤ61へのワイヤバイアスの印加、グリッド62へのグリッドバイアスの印加、現像ローラ7への現像バイアスの印加およびクリーニングローラ8へのクリーニングバイアスの印加が停止される。これにより、画像形成動作が終了となる。画像形成動作が終了した後は、クリーニングローラ8に回収されたトナーなどの回収物を廃トナーボックス15に搬送するための回収物搬送動作が行われる。
(3)回収物搬送動作
図5は、回収物搬送動作中のバイアス制御を説明するためのタイミングチャートである。
【0069】
回収物搬送動作時には、感光ドラム5は、その周面が図2に示す矢印A方向(図2における反時計回り)に移動するように回転される。
時刻T11において、ワイヤバイアス制御部29およびグリッドバイアス制御部30により、それぞれワイヤバイアス回路21およびグリッドバイアス回路22が制御され、チャージワイヤ61へのワイヤバイアスの印加およびグリッド62へのグリッドバイアスの印加が開始される。また、クリーニングバイアス制御部32により、クリーニングバイアス回路24が制御され、クリーニングローラ8への第3回収バイアスの印加が開始される。このとき、ワイヤバイアスおよびグリッドバイアスは、たとえば、それぞれ250μAおよび750Vに設定される。さらに、現像ローラ7が感光ドラム5から離間される。
【0070】
時刻T11から一定時間が経過し、時刻T12になると、転写電流制御部34により、転写電流回路26が制御され、転写ローラ12への転写電流の供給が開始される。転写ローラ12に供給される転写電流は、湿度センサ27により検出される相対湿度に応じて設定され、たとえば、用紙Pの搬送方向上流側から順に、10μA、11μA、12μA、13μAに設定される。
【0071】
感光ドラム5の表面は、感光ドラム5の回転に伴って、転写電流によって第3回収電圧よりも低い電位に帯電されていく。これにより、感光ドラム5の表面の電位とクリーニングローラ8との間に電位差が生じ、この電位差により、画像形成動作中にクリーニングローラ8に回収されたトナーなどの回収物が感光ドラム5の表面に戻される。
そして、感光ドラム5の回転に伴って、感光ドラム5の表面に戻されたトナーは、転写ローラ12と対向したときに、感光ドラム5の表面電位と転写ローラ12との間の電位差により、感光ドラム5の表面から搬送ベルト11の周面に転移する。搬送ベルト11の周面に転移されたトナーは、搬送ベルト11の周回走行により廃トナーボックス15(図1参照)に対向すると、各種ローラなどを介して、廃トナーボックス15内に回収される。
【0072】
転写電流の供給が開始された時刻T12から一定時間が経過し、時刻T13になると、転写ローラ12への転写電流の印加が停止される。
また、転写ローラ12への転写電流の印加が停止された時刻T13から一定時間が経過し、時刻T14になると、チャージワイヤ61へのワイヤバイアスの印加、グリッド62へのグリッドバイアスの印加およびクリーニングローラ8へのクリーニングバイアスの印加が停止される。これにより、回収物搬送動作が終了となる。
【0073】
回収物搬送動作の終了後、プリンタ1は、待機状態となる。
5.作用効果
以上のように、感光ドラム5の表面に形成されるトナー像は、転写ローラ12に転写電流が供給されることにより、感光ドラム5と転写ローラ12との間を通過する用紙Pに転写される。感光ドラム5の表面には、クリーニングローラ8が対向して配置されている。クリーニングローラ8には、クリーニングバイアス回路24により、第1回収電圧または第2回収電圧が印加される。感光ドラム5から用紙Pへのトナー像の転写後に感光ドラム5の表面に残留するトナーは、クリーニングローラ8と感光ドラム5の表面との間の電位差により、クリーニングローラ8と対向したときに、クリーニングローラ8に回収される。
【0074】
用紙Pの先端部分が感光ドラム5の表面に接触したときに、転写ローラ12から用紙Pに転写電流が流れると、感光ドラム5の表面の接触部分の電位と接触部分以外の部分の電位との間に、それに起因する偏差が生じる。用紙Pへのトナー像の形成に対する電位偏差による影響が打ち消されるように、接触部分に印加されるクリーニングバイアスが設定されることにより、接触部分から用紙Pに転写されるトナー像と接触部分以外の部分から用紙Pに転写されるトナー像との間に、所望しない濃度の偏差(むら)が生じるのを防止することができる。よって、用紙Pに濃淡むらなどの不良を生じていないトナー像(画像)を形成することができる。
【0075】
具体的には、感光ドラム5の表面における接触部分がクリーニングローラ8に対向しているときには、クリーニングローラ8に感光ドラム5の表面の帯電極性と逆極性で第1回収電圧よりも大きい第2回収電圧が印加される。これにより、トナー像の転写後に接触部分に電荷が残留していても、その残留電荷を除去することができる。その結果、接触部分と接触部分以外の部分との間の電位の偏差を小さくすることができ、感光ドラム5の表面の電位のばらつきを低減することができる。よって、感光ドラム5の表面に良好な濃度のトナー像を形成することができる。
【0076】
また、プリンタ1では、感光ドラム5の表面から残留トナーがクリーニングローラ8に回収される。そのため、感光ドラム5の表面に形成されるトナー像に残留トナーが及ぼす影響(濃度むら)をなくすことができる。したがって、クリーニングローラ8により残留トナーを回収するクリーニング作用は、感光ドラム5の表面へのトナー剤の形成に間接的に関係するので、そのトナー像を形成するための作用に含まれ、クリーニングローラ8は、作用手段の一例である。
【0077】
また、プリンタ1は、湿度を検知するための湿度センサ27を備えている。湿度に応じて接触部分の残留電荷が変化するため、第2回収電圧の値は、湿度センサ27により検知される湿度に基づいて設定される。
感光ドラム5から用紙Pへのトナー像の良好な転写を確保するために、転写ローラ12に供給される転写電流の値が湿度の変化に応じて変更される。転写電流が変更されると、これに伴って、接触部分に残留する電荷の量が変化する。第2回収電圧の値が湿度センサ27により検知される湿度に基づいて設定されるので、転写電流の値および湿度の変化に応じて、接触部分の残留電荷を良好に除去することができる。その結果、湿度にかかわらず、感光ドラム5の表面の電位のばらつきを低減することができ、用紙Pに良好な濃度のトナー像を形成することができる。
【0078】
また、感光ドラム5は、用紙Pの搬送方向に沿って並列に複数配置されている。転写ローラ12およびクリーニングローラ8は、各感光ドラム5に対応して設けられている。また、各転写ローラ12に供給される転写電流の値に応じて、当該転写ローラ12とともに感光ドラム5に対応して設けられるクリーニングローラ8に印加される第2回収電圧の値が設定される。これにより、各感光ドラム5の表面の接触部分の電位が転写電流の相違により異なっていても、各接触部分の残留電荷を良好に除去することができる。その結果、各感光ドラム5の表面の電位のばらつきを低減することができる。
【0079】
また、各クリーニングローラ8に印加される第2回収電圧のうち、用紙Pの搬送方向の最上流側の感光ドラム5に対応して設けられているクリーニングローラ8に印加される第2回収電圧が最も小さい値に設定される。また、用紙Pの搬送方向の最下流側の感光ドラム5に対応して設けられているクリーニングローラ8に印加される第2回収電圧が最も大きい値に設定される。
【0080】
複数の感光ドラム5が並列に配置されるプリンタ1では、感光ドラム5の表面に接触しながら搬送される用紙Pの搬送が進むにつれて、用紙P上のトナーの帯電量が増加(チャージアップ)するため、用紙Pの表面の電位が上昇する。用紙Pの表面の電位が上昇するにつれて、感光ドラム5と用紙Pとの間の電位差が小さくなるので、感光ドラム5から用紙P上のトナーに重ねて転写する場合、転移効率が下がる。そこで、各感光ドラム5から用紙Pへのトナーの良好な転写を確保するために、最上流側の感光ドラム5に対応して設けられている転写ローラ12に供給される転写電流が最も小さい値に設定され、最下流側の感光ドラム5に対応して設けられている転写ローラ12に供給される転写電流が最も大きい値に設定される。
【0081】
これにより、用紙Pの先端部分が感光ドラム5の表面に接触したときに、転写ローラ12から用紙Pに転写電流が流れると、各感光ドラム5の表面の接触部分に残留する電荷の量は、用紙Pとの間の電位差が最も小さい最下流側の感光ドラム5で最も多くなり、用紙Pとの間の電位差が最も大きい最上流側の感光ドラム5で最も少なくなる。これに応じて、最上流側の感光ドラム5に対応するクリーニングローラ8への第2回収電圧が最も小さい値に設定され、最下流側に配置される感光ドラム5に対応するクリーニングローラ8への第2回収電圧が最も大きい値に設定されるので、各感光ドラム5の接触部分の残留電荷を良好に除去することができる。その結果、各感光ドラム5の表面の電位のばらつきを良好に低減することができる。
【0082】
また、クリーニングローラ8の周面と感光ドラム5の表面とが接触しているので、クリーニングローラ8による残留トナーの回収および感光ドラム5の表面の接触部分からの残留電荷の除去を安定して行うことができる。
6.第2の実施形態
図6は、本発明の第2の実施形態に係るバイアステーブルの一例を示す図である。
【0083】
第2の実施形態に係るバイアステーブル50は、湿度センサ27により検出される相対湿度が50%以上の場合に参照される。バイアステーブル50では、転写電流0〜5μA、5〜10μA、10〜15μAおよび15〜20μAの範囲に対応づけて、クリーニングバイアスの補正値として、それぞれ「−200V」、「−200V」、「−300V」および「−300V」が記憶されている。なお、転写バイアスの各範囲には、当該範囲の下限値は含まれず、上限値は含まれる。
【0084】
そして、湿度センサ27により検出される相対湿度が50%未満である場合には、クリーニングバイアス制御部32により、予め定められた基準値がそのまま第2回収電圧に設定される。一方、相対湿度が50%以上である場合には、クリーニングバイアス制御部32により、バイアステーブル50が参照されて、バイアステーブル50から相対湿度および転写電流に応じた補正値が読み出される。たとえば、相対湿度が55%であり、転写電流7μAである場合、バイアステーブル50から補正値「−200V」が読み出される。そして、基準値にバイアステーブル50から読み出された補正値を加えた値が第2回収電圧に設定される。たとえば、基準値が−800Vであり、補正値が−200Vである場合、第2回収電圧は、−1000Vに設定される。
【0085】
このように、相対湿度が50%以上であるか否かの2つの場合にわけられて、相対湿度が50%よりも高い場合にのみ、第2回収電圧の値が基準値から変更される。そのため、相対湿度の変化が著しい場合に、第2回収電圧の値が頻繁に変更されるのを抑制することができる。その結果、クリーニングバイアス制御部32にかかる負荷を軽減することができる。
7.第3の実施形態
第3の実施形態は、作用手段の一例として、スコロトロン帯電器6のグリッド62が採用された場合の形態である。
(1)グリッドバイアステーブル
図7は、本発明の第3の実施形態に係るグリッドバイアステーブルの一例を示す図である。
【0086】
グリッドバイアステーブル71には、相対湿度0〜20%、20〜30%、30〜40%、40〜50%、50〜60%、60〜70%、70〜80%および80〜100%の各範囲と、転写電流0〜8μA、8〜10μA、10〜12μAおよび12〜14μAの各範囲との各組合せに対応づけて、グリッドバイアスの補正値が記憶されている。なお、相対湿度および転写電流の各範囲には、当該範囲の下限値は含まれず、上限値は含まれる。
【0087】
相対湿度0〜20%の範囲および転写電流0〜8μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「0V」が記憶されている。
相対湿度0〜20%の範囲および転写電流8〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−20V」が記憶されている。
相対湿度0〜20%の範囲および転写電流10〜12μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−30V」が記憶されている。
【0088】
相対湿度0〜20%の範囲および転写電流12〜14μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−50V」が記憶されている。
相対湿度20%〜30%の範囲および転写電流0〜8μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「0V」が記憶されている。
相対湿度20%〜30%の範囲および転写電流8〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−20V」が記憶されている。
【0089】
相対湿度20%〜30%の範囲および転写電流10〜12μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−30V」が記憶されている。
相対湿度20%〜30%の範囲および転写電流12〜14μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−50V」が記憶されている。
相対湿度30%〜40%の範囲および転写電流0〜8μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「0V」が記憶されている。
【0090】
相対湿度30%〜40%の範囲および転写電流8〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−20V」が記憶されている。
相対湿度30%〜40%の範囲および転写電流10〜12μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−30V」が記憶されている。
相対湿度30%〜40%の範囲および転写電流12〜14μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−60V」が記憶されている。
【0091】
相対湿度40%〜50%の範囲および転写電流0〜8μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「0V」が記憶されている。
相対湿度40%〜50%の範囲および転写電流8〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−30V」が記憶されている。
相対湿度40%〜50%の範囲および転写電流10〜12μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−40V」が記憶されている。
【0092】
相対湿度40%〜50%の範囲および転写電流12〜14μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−60V」が記憶されている。
相対湿度50%〜60%の範囲および転写電流0〜8μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「0V」が記憶されている。
相対湿度50%〜60%の範囲および転写電流8〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−30V」が記憶されている。
【0093】
相対湿度50%〜60%の範囲および転写電流10〜12μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−40V」が記憶されている。
相対湿度50%〜60%の範囲および転写電流12〜14μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−60V」が記憶されている。
相対湿度60%〜70%の範囲および転写電流0〜8μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−10V」が記憶されている。
【0094】
相対湿度60%〜70%の範囲および転写電流8〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−30V」が記憶されている。
相対湿度60%〜70%の範囲および転写電流10〜12μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−40V」が記憶されている。
相対湿度60%〜70%の範囲および転写電流12〜14μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−60V」が記憶されている。
【0095】
相対湿度70%〜80%の範囲および転写電流0〜8μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−10V」が記憶されている。
相対湿度70%〜80%の範囲および転写電流8〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−30V」が記憶されている。
相対湿度70%〜80%の範囲および転写電流10〜12μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−40V」が記憶されている。
【0096】
相対湿度70%〜80%の範囲および転写電流12〜14μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−70V」が記憶されている。
相対湿度80%〜100%の範囲および転写電流0〜8μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−20V」が記憶されている。
相対湿度80%〜100%の範囲および転写電流8〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−30V」が記憶されている。
【0097】
相対湿度80%〜100%の範囲および転写電流10〜12μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−50V」が記憶されている。
相対湿度80%〜100%の範囲および転写電流12〜14μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−70V」が記憶されている。
(2)グリッドバイアス制御
図2に示すように、グリッドバイアスは、グリッドバイアス制御部30により設定される。グリッドバイアス制御部30によりグリッドバイアス回路22が制御されることにより、その設定されたグリッドバイアスがグリッドバイアス回路22からスコロトロン帯電器6のグリッド62に印加される。
【0098】
画像形成動作時には、グリッドバイアスが第1帯電電圧と第2帯電電圧とに切り換えられる。第1帯電電圧は、感光ドラム5の表面の帯電極性(正極性)と同極性の正電圧であり、たとえば、750Vに設定されている。第2帯電電圧は、一定の基準値(たとえば、750V)にグリッドバイアステーブル71から読み出された補正値を加えた値に設定される。第2帯電電圧は、常に、第1帯電電圧と同極性で第1帯電電圧よりも絶対値が小さい値に設定される。
【0099】
図8は、画像形成動作時のグリッドバイアス制御を説明するためのタイミングチャートである。
画像形成動作時には、感光ドラム5は、その周面が図2に示す矢印A方向(図2における反時計回り)に移動するように回転される。
時刻T21において、ワイヤバイアス制御部29および現像バイアス制御部31により、それぞれワイヤバイアス回路21および現像バイアス回路23が制御され、チャージワイヤ61へのワイヤバイアスの印加および現像ローラ7への現像バイアスの印加が開始される。このとき、ワイヤバイアスおよび現像バイアスは、たとえば、それぞれ250μAおよび400Vに設定される。また、グリッドバイアス制御部30により、グリッドバイアス回路22が制御され、グリッド62へのグリッドバイアスの印加が開始される。このとき、グリッドバイアスは、第1帯電電圧に設定される。
【0100】
感光ドラム5の回転に伴って、感光ドラム5の表面は、スコロトロン帯電器6からの放電により、正極性に帯電されていく。そして、LED制御部33によりLED駆動回路25が制御され、LEDユニット9のLEDが発光し、感光ドラム5の表面の正極性に帯電した部分が選択的に露光される。これにより、感光ドラム5の表面に静電潜像が形成される。
【0101】
その後、感光ドラム5の回転に伴って、静電潜像が現像ローラ7に対向すると、現像ローラ7と感光ドラム5との電位差により、現像ローラ7から感光ドラム5の表面に形成された静電潜像にトナーが供給される。これにより、感光ドラム5の表面の静電潜像がトナー像に現像される。
一方、画像形成動作が開始されると、給紙トレイ10から搬送ベルト11上に向けて、用紙Pが送り出される。
【0102】
画像形成動作が開始された時刻T21から一定時間が経過し、時刻T22になると、転写電流制御部34により、転写電流回路26が制御され、転写ローラ12への転写電流の供給が開始される。転写ローラ12に供給される転写電流は、湿度センサ27により検出される相対湿度に応じて設定され、たとえば、用紙Pの搬送方向上流側から順に、10μA、11μA、12μA、13μAに設定される。
【0103】
転写電流の供給が開始された時刻T22から一定時間が経過し、時刻T23になると、用紙Pの先端縁が感光ドラム5の表面に当接する。その後、搬送ベルト11の周回走行により用紙Pが搬送され、用紙Pが感光ドラム5の表面と搬送ベルト11との間の所定幅D(図2参照)のニップ部を通過する。感光ドラム5の表面上のトナー像は、転写ローラ12に引きつけられ、用紙Pのニップ部を通過する用紙Pに転写される。
【0104】
用紙Pの先端縁が感光ドラム5の表面に当接した時刻T23から一定時間が経過し、時刻T24になると、感光ドラム5の表面における接触部分を含む調整対象部分の先頭がスコロトロン帯電器6のグリッド62と対向する。つまり、時刻T24は、時刻T23から、調整対象部分の先頭が転写ローラ12と対向する位置からグリッド62と対向する位置まで移動するのに要する時間が経過したときの時刻である。時刻T24になると、グリッドバイアス回路22が制御されることにより、グリッド62に印加されるグリッドバイアスが、第1帯電電圧から第2帯電電圧へ切り替えられる。
【0105】
第2帯電電圧を設定するために、まず、グリッドバイアス制御部30により、湿度センサ27の出力が参照され、本体ケーシング2内の相対湿度が検知される。その後、グリッドバイアステーブル71が参照される。そして、グリッドバイアステーブル71から相対湿度および各転写電流に応じた補正値が読み出される。
たとえば、相対湿度が35%であり、用紙Pの搬送方向上流側の転写ローラ12から順に、10μA、11μA、12μA、13μAの転写電流が供給される場合、用紙Pの搬送方向最上流側のスコロトロン帯電器6のグリッド62に対する第2帯電電圧を設定するための補正値として、「−20V」がグリッドバイアステーブル71から読み出される。また、用紙Pの搬送方向最下流側のスコロトロン帯電器6のグリッド62に対する第2帯電電圧を設定するための補正値として、「−60V」がグリッドバイアステーブル71から読み出される。さらに、その他のスコロトロン帯電器6のグリッド62に対する第2帯電電圧を設定するための補正値として、「−30V」がグリッドバイアステーブル71から読み出される。そして、基準値にグリッドバイアステーブル71から読み出された補正値を加えた値が第2帯電電圧に設定される。たとえば、基準値が750Vである場合、用紙Pの搬送方向上流側から順に並ぶスコロトロン帯電器6のグリッド62に対して、それぞれ第2帯電電圧が730V、720V、720Vおよび690Vに設定される。
【0106】
第2帯電電圧の供給が開始された時刻T24から感光ドラム5の表面が所定幅Dと等しい距離を移動するのに要する時間(たとえば、15msec)が経過し、時刻T25になると、グリッドバイアス回路22が制御されて、グリッド62に対して供給されるグリッドバイアスが第2帯電電圧から第1帯電電圧へ戻される。
その後、用紙Pの後端が感光ドラム5の表面から離れ、そのときの時刻T26から一定時間が経過した時刻T27になると、転写ローラ12への転写電流の供給が停止される。
【0107】
そして、転写ローラ12への転写電流の供給が停止された時刻T27から一定時間が経過し、時刻T28になると、チャージワイヤ61へのワイヤバイアスの印加、グリッド62へのグリッドバイアスの印加および現像ローラ7への現像バイアスの印加が停止される。これにより、画像形成動作が終了となる。
(3)作用効果
以上のように、グリッド62は、感光ドラム5の表面に対向して配置されている。グリッド62には、グリッドバイアス回路22により、第1帯電電圧または第2帯電電圧が印加される。グリッド62の電位によってチャージワイヤ61から感光ドラム5の表面に供給される電荷が制御され、感光ドラム5の表面の電位が制御される。
【0108】
感光ドラム5の表面における調整対象部分以外の非対象部分がグリッド62に対向しているときには、グリッド62に第1帯電電圧が印加され、調整対象部分がグリッド62に対向しているときには、グリッド62に第1帯電電圧よりも小さい第2帯電電圧が印加される。そのため、グリッド62から調整対象部分に供給される電荷の量は、グリッド62から非対象部分に供給される電荷の量よりも少ない。接触部分には電荷がより多く残留しているので、調整対象部分に供給される電荷の量が少なくされることにより、接触部分の帯電量と接触部分以外の帯電量の偏差を小さくすることができる。その結果、感光ドラム5の表面の電位のばらつきを低減することができる。よって、感光ドラム5の表面に良好な濃度のトナー像を形成することができる。
【0109】
また、プリンタ1は、湿度を検知するための湿度センサ27を備えている。第2帯電電圧の値は、湿度センサ27により検知される湿度に基づいて設定される。
感光ドラム5の表面の単位面積(たとえば、1画素)あたりのスコロトロン帯電器6による帯電量の増加分は、スコロトロン帯電器6からその単位面積部分に供給される電荷の量の時間積分値である。したがって、第2帯電電圧の値を変更することにより、接触部分の帯電量を変更することができる。
【0110】
感光ドラム5から用紙Pへのトナー像の良好な転写を確保するために、転写ローラ12に供給される転写電流の値が湿度の変化に応じて変更される。転写電流が変更されると、これに伴って、調整対象部分に残留する電荷の量が変化する。また、湿度によっても残留する電化は変化する。第2帯電電圧の値が湿度センサ27により検知される湿度に基づいて設定されるので、転写電流の値が湿度の変化に応じて、接触部分の帯電量と接触部分以外の帯電量の偏差を小さくすることができる。その結果、湿度にかかわらず、感光ドラム5の表面の電位のばらつきを低減することができ、用紙Pに良好な濃度のトナー像を形成することができる。
(4)第1変形例
用紙Pとして普通紙が使用される場合と用紙Pとして厚紙が使用される場合とで、転写ローラ12に供給される転写電流の値が変更される場合、第2帯電電圧を設定するための補正値を記憶したグリッドバイアステーブルとして、普通紙用のグリッドバイアステーブルと厚紙用のグリッドバイアステーブルとが用意されてもよい。この場合、図7に示すグリッドバイアステーブル71は、用紙Pが普通紙である場合に使用される。
(4−1)グリッドバイアステーブル
図9は、厚紙用のグリッドバイアステーブルの一例を示す図である。
【0111】
図9に示すグリッドバイアステーブル91には、相対湿度0〜20%、20〜30%、30〜40%、40〜50%、50〜60%、60〜70%、70〜80%および80〜100%の各範囲と、転写電流0〜4μA、4〜6μA、6〜8μAおよび8〜10μAの各範囲との各組合せに対応づけて、グリッドバイアスの補正値が記憶されている。なお、相対湿度および転写電流の各範囲には、当該範囲の下限値は含まれず、上限値は含まれる。
【0112】
相対湿度0〜20%の範囲および転写電流0〜4μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「0V」が記憶されている。
相対湿度0〜20%の範囲および転写電流4〜6μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−20V」が記憶されている。
相対湿度0〜20%の範囲および転写電流6〜8μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−30V」が記憶されている。
【0113】
相対湿度0〜20%の範囲および転写電流8〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−50V」が記憶されている。
相対湿度20%〜30%の範囲および転写電流0〜4μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「0V」が記憶されている。
相対湿度20%〜30%の範囲および転写電流4〜6μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−20V」が記憶されている。
【0114】
相対湿度20%〜30%の範囲および転写電流6〜8μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−30V」が記憶されている。
相対湿度20%〜30%の範囲および転写電流8〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−50V」が記憶されている。
相対湿度30%〜40%の範囲および転写電流0〜4μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「0V」が記憶されている。
【0115】
相対湿度30%〜40%の範囲および転写電流4〜6μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−20V」が記憶されている。
相対湿度30%〜40%の範囲および転写電流6〜8μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−30V」が記憶されている。
相対湿度30%〜40%の範囲および転写電流8〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−60V」が記憶されている。
【0116】
相対湿度40%〜50%の範囲および転写電流0〜4μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「0V」が記憶されている。
相対湿度40%〜50%の範囲および転写電流4〜6μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−30V」が記憶されている。
相対湿度40%〜50%の範囲および転写電流6〜8μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−40V」が記憶されている。
【0117】
相対湿度40%〜50%の範囲および転写電流8〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−60V」が記憶されている。
相対湿度50%〜60%の範囲および転写電流0〜4μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「0V」が記憶されている。
相対湿度50%〜60%の範囲および転写電流4〜6μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−30V」が記憶されている。
【0118】
相対湿度50%〜60%の範囲および転写電流6〜8μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−40V」が記憶されている。
相対湿度50%〜60%の範囲および転写電流8〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−60V」が記憶されている。
相対湿度60%〜70%の範囲および転写電流0〜4μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−10V」が記憶されている。
【0119】
相対湿度60%〜70%の範囲および転写電流4〜6μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−30V」が記憶されている。
相対湿度60%〜70%の範囲および転写電流6〜8μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−40V」が記憶されている。
相対湿度60%〜70%の範囲および転写電流8〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−60V」が記憶されている。
【0120】
相対湿度70%〜80%の範囲および転写電流0〜4μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−10V」が記憶されている。
相対湿度70%〜80%の範囲および転写電流4〜6μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−30V」が記憶されている。
相対湿度70%〜80%の範囲および転写電流6〜8μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−40V」が記憶されている。
【0121】
相対湿度70%〜80%の範囲および転写電流8〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−70V」が記憶されている。
相対湿度80%〜100%の範囲および転写電流0〜4μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−20V」が記憶されている。
相対湿度80%〜100%の範囲および転写電流4〜6μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−30V」が記憶されている。
【0122】
相対湿度80%〜100%の範囲および転写電流6〜8μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−50V」が記憶されている。
相対湿度80%〜100%の範囲および転写電流8〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「−70V」が記憶されている。
(4−2)効果
感光ドラム5から用紙Pへのトナー像の良好な転写を確保するために、転写ローラ12に供給される転写電流の値が用紙Pの種類に応じて変更されても、その種類に応じたグリッドバイアステーブル71,91が参照されて第2帯電電圧が設定されることにより、接触部分の帯電量と接触部分以外の帯電量の偏差を小さくすることができる。その結果、用紙Pの種類にかかわらず、感光ドラム5の表面の電位のばらつきを低減することができ、用紙Pに良好な濃度のトナー像を形成することができる。
【0123】
なお、グリッドバイアスを変更する方法として、チャージワイヤ61に流す電流を変化させる方法もある。
(5)第2変形例
チャージワイヤ61からの放電による感光ドラム5の表面の単位面積(たとえば、1画素)あたりの帯電量は、チャージワイヤ61からその単位面積部分に供給される電荷の量の時間積分値である。したがって、第2帯電電圧がグリッド62に印加される時間を変更することにより、接触部分の帯電量を変更することも可能である。
(5−1)グリッドバイアステーブル
図10は、グリッドに第2帯電電圧が印加される時間が変更される場合のグリッド時間テーブルの一例を示す図である。
【0124】
第2帯電電圧の補正値(低下量)を一定(たとえば、−30V)とし、グリッド62に第2帯電電圧が印加される時間を可変とする場合では、図7に示すグリッドバイアステーブル71に代えて、図10に示すグリッド時間テーブル101が参照され、グリッド62に第2帯電電圧が印加される時間が一定の基準値(たとえば、15ms)にグリッド時間テーブル101から読み出された補正値を加えた値に設定される。
【0125】
グリッド時間テーブル101には、相対湿度0〜20%、20〜30%、30〜40%、40〜50%、50〜60%、60〜70%、70〜80%および80〜100%の各範囲と、転写電流0〜8μA、8〜10μA、10〜12μAおよび12〜14μAの各範囲との各組合せに対応づけて、グリッド62に第2帯電電圧が印加される時間の補正値が記憶されている。なお、相対湿度および転写電流の各範囲には、当該範囲の下限値は含まれず、上限値は含まれる。
【0126】
相対湿度0〜20%の範囲および転写電流0〜8μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「0ms」が記憶されている。
相対湿度0〜20%の範囲および転写電流8〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「10ms」が記憶されている。
相対湿度0〜20%の範囲および転写電流10〜12μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「15ms」が記憶されている。
【0127】
相対湿度0〜20%の範囲および転写電流12〜14μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「25ms」が記憶されている。
相対湿度20%〜30%の範囲および転写電流0〜8μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「0ms」が記憶されている。
相対湿度20%〜30%の範囲および転写電流8〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「10ms」が記憶されている。
【0128】
相対湿度20%〜30%の範囲および転写電流10〜12μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「15ms」が記憶されている。
相対湿度20%〜30%の範囲および転写電流12〜14μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「25ms」が記憶されている。
相対湿度30%〜40%の範囲および転写電流0〜8μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「0ms」が記憶されている。
【0129】
相対湿度30%〜40%の範囲および転写電流8〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「10ms」が記憶されている。
相対湿度30%〜40%の範囲および転写電流10〜12μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「15ms」が記憶されている。
相対湿度30%〜40%の範囲および転写電流12〜14μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「25ms」が記憶されている。
【0130】
相対湿度40%〜50%の範囲および転写電流0〜8μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「0ms」が記憶されている。
相対湿度40%〜50%の範囲および転写電流8〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「15ms」が記憶されている。
相対湿度40%〜50%の範囲および転写電流10〜12μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「20ms」が記憶されている。
【0131】
相対湿度40%〜50%の範囲および転写電流12〜14μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「30ms」が記憶されている。
相対湿度50%〜60%の範囲および転写電流0〜8μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「0ms」が記憶されている。
相対湿度50%〜60%の範囲および転写電流8〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「15ms」が記憶されている。
【0132】
相対湿度50%〜60%の範囲および転写電流10〜12μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「20ms」が記憶されている。
相対湿度50%〜60%の範囲および転写電流12〜14μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「30ms」が記憶されている。
相対湿度60%〜70%の範囲および転写電流0〜8μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「5ms」が記憶されている。
【0133】
相対湿度60%〜70%の範囲および転写電流8〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「15ms」が記憶されている。
相対湿度60%〜70%の範囲および転写電流10〜12μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「20ms」が記憶されている。
相対湿度60%〜70%の範囲および転写電流12〜14μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「30ms」が記憶されている。
【0134】
相対湿度70%〜80%の範囲および転写電流0〜8μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「5ms」が記憶されている。
相対湿度70%〜80%の範囲および転写電流8〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「15ms」が記憶されている。
相対湿度70%〜80%の範囲および転写電流10〜12μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「20ms」が記憶されている。
【0135】
相対湿度70%〜80%の範囲および転写電流12〜14μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「35ms」が記憶されている。
相対湿度80%〜100%の範囲および転写電流0〜8μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「5ms」が記憶されている。
相対湿度80%〜100%の範囲および転写電流8〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「15ms」が記憶されている。
【0136】
相対湿度80%〜100%の範囲および転写電流10〜12μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「25ms」が記憶されている。
相対湿度80%〜100%の範囲および転写電流12〜14μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「35ms」が記憶されている。
たとえば、相対湿度が35%であり、転写電流が11μAである場合、グリッド時間テーブル101から補正値として15msecが読み出される。グリッド62に第2帯電電圧が印加される時間T24−T25は、15msecに設定される。
(6)第3変形例
用紙Pとして普通紙が使用される場合と用紙Pとして厚紙が使用される場合とで、転写ローラ12に供給される転写電流の値が変更される場合、第2帯電電圧の印加時間を設定するための補正値を記憶したグリッド時間テーブルとして、普通紙用のグリッド時間テーブルと厚紙用のグリッド時間テーブルとが用意されてもよい。この場合、図10に示すグリッド時間テーブル101は、用紙Pが普通紙である場合に使用される。
(6−1)グリッド時間テーブル
図11は、厚紙用のグリッド時間テーブルの一例を示す図である。
【0137】
プリンタ1には、図示しない用紙検出部が設けられている。この用紙検出部により、用紙Pが厚紙であると検出された場合には、図10に示すグリッド時間テーブル101に代えて、図11に示すグリッド時間テーブル111が参照され、グリッド62に第2帯電電圧が印加される時間がグリッド時間テーブル111から読み出された値に設定される。
グリッド時間テーブル101には、相対湿度0〜20%、20〜30%、30〜40%、40〜50%、50〜60%、60〜70%、70〜80%および80〜100%の各範囲と、転写電流0〜8μA、8〜10μA、10〜12μAおよび12〜14μAの各範囲との各組合せに対応づけて、グリッド62に第2帯電電圧が印加される時間の補正値が記憶されている。なお、相対湿度および転写電流の各範囲には、当該範囲の下限値は含まれず、上限値は含まれる。
【0138】
相対湿度0〜20%の範囲および転写電流0〜4μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「0ms」が記憶されている。
相対湿度0〜20%の範囲および転写電流4〜6μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「10ms」が記憶されている。
相対湿度0〜20%の範囲および転写電流6〜8μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「15ms」が記憶されている。
【0139】
相対湿度0〜20%の範囲および転写電流8〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「25ms」が記憶されている。
相対湿度20%〜30%の範囲および転写電流0〜4μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「0ms」が記憶されている。
相対湿度20%〜30%の範囲および転写電流4〜6μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「10ms」が記憶されている。
【0140】
相対湿度20%〜30%の範囲および転写電流6〜8μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「15ms」が記憶されている。
相対湿度20%〜30%の範囲および転写電流8〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「25ms」が記憶されている。
相対湿度30%〜40%の範囲および転写電流0〜4μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「0ms」が記憶されている。
【0141】
相対湿度30%〜40%の範囲および転写電流4〜6μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「10ms」が記憶されている。
相対湿度30%〜40%の範囲および転写電流6〜8μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「15ms」が記憶されている。
相対湿度30%〜40%の範囲および転写電流8〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「25ms」が記憶されている。
【0142】
相対湿度40%〜50%の範囲および転写電流0〜4μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「0ms」が記憶されている。
相対湿度40%〜50%の範囲および転写電流4〜6μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「15ms」が記憶されている。
相対湿度40%〜50%の範囲および転写電流6〜8μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「20ms」が記憶されている。
【0143】
相対湿度40%〜50%の範囲および転写電流8〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「30ms」が記憶されている。
相対湿度50%〜60%の範囲および転写電流0〜4μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「0ms」が記憶されている。
相対湿度50%〜60%の範囲および転写電流4〜6μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「15ms」が記憶されている。
【0144】
相対湿度50%〜60%の範囲および転写電流6〜8μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「20ms」が記憶されている。
相対湿度50%〜60%の範囲および転写電流8〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「30ms」が記憶されている。
相対湿度60%〜70%の範囲および転写電流0〜4μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「5ms」が記憶されている。
【0145】
相対湿度60%〜70%の範囲および転写電流4〜6μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「15ms」が記憶されている。
相対湿度60%〜70%の範囲および転写電流6〜8μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「20ms」が記憶されている。
相対湿度60%〜70%の範囲および転写電流8〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「30ms」が記憶されている。
【0146】
相対湿度70%〜80%の範囲および転写電流0〜4μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「5ms」が記憶されている。
相対湿度70%〜80%の範囲および転写電流4〜6μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「15ms」が記憶されている。
相対湿度70%〜80%の範囲および転写電流6〜8μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「20ms」が記憶されている。
【0147】
相対湿度70%〜80%の範囲および転写電流8〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「35ms」が記憶されている。
相対湿度80%〜100%の範囲および転写電流0〜4μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「5ms」が記憶されている。
相対湿度80%〜100%の範囲および転写電流4〜6μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「15ms」が記憶されている。
【0148】
相対湿度80%〜100%の範囲および転写電流6〜8μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「25ms」が記憶されている。
相対湿度80%〜100%の範囲および転写電流8〜10μAの範囲の組合せに対応づけて、補正値「35ms」が記憶されている。
(6−2)効果
感光ドラム5から用紙Pへのトナー像の良好な転写を確保するために、転写ローラ12に供給される転写電流の値が用紙Pの種類に応じて変更されても、その種類に応じたグリッド時間テーブル101,111が参照されて第2帯電電圧の印加時間が設定されることにより、接触部分の帯電量と接触部分以外の帯電量の偏差を小さくすることができる。その結果、用紙Pの種類にかかわらず、感光ドラム5の表面の電位のばらつきを低減することができ、用紙Pに良好な濃度のトナー像を形成することができる。
8.第4の実施形態
第4の実施形態は、作用手段の一例として、LEDユニット9が採用された場合の形態である。
(1)LED駆動制御
図12は、画像形成動作時のLED駆動制御を説明するためのタイミングチャートである。
【0149】
画像形成動作時には、感光ドラム5は、その周面が図2に示す矢印A方向(図2における反時計回り)に移動するように回転される。
時刻T31において、ワイヤバイアス制御部29、グリッドバイアス制御部30および現像バイアス制御部31により、それぞれワイヤバイアス回路21、グリッドバイアス回路22および現像バイアス回路23が制御され、チャージワイヤ61へのワイヤバイアスの印加、グリッド62へのグリッドバイアスの印加および現像ローラ7への現像バイアスの印加が開始される。このとき、ワイヤバイアス、グリッドバイアスおよび現像バイアスは、たとえば、それぞれ250μA、750Vおよび400Vに設定される。
【0150】
感光ドラム5の回転に伴って、感光ドラム5の表面は、スコロトロン帯電器6からの放電により、正極性に帯電されていく。そして、LED制御部33によりLED駆動回路25が制御され、LEDユニット9のLEDが第1露光量(たとえば、0.7μJ/cm)で発光し、感光ドラム5の表面の正極性に帯電した部分が選択的に露光される。これにより、感光ドラム5の表面に静電潜像が形成される。
【0151】
その後、感光ドラム5の回転に伴って、静電潜像が現像ローラ7に対向すると、現像ローラ7と感光ドラム5との電位差により、現像ローラ7から感光ドラム5の表面に形成された静電潜像にトナーが供給される。これにより、感光ドラム5の表面の静電潜像がトナー像に現像される。
一方、画像形成動作が開始されると、給紙トレイ10から搬送ベルト11上に向けて、用紙Pが送り出される。
【0152】
画像形成動作が開始された時刻T31から一定時間が経過し、時刻T32になると、転写電流制御部34により、転写電流回路26が制御され、転写ローラ12への転写電流の供給が開始される。転写ローラ12に供給される転写電流は、湿度センサ27により検出される相対湿度に応じて設定され、たとえば、用紙Pの搬送方向上流側から順に、10μA、11μA、12μA、13μAに設定される。
【0153】
転写電流の供給が開始された時刻T32から一定時間が経過し、時刻T33になると、用紙Pの先端縁が感光ドラム5の表面に当接する。その後、搬送ベルト11の周回走行により用紙Pが搬送され、用紙Pが感光ドラム5の表面と搬送ベルト11との間の所定幅D(図2参照)のニップ部を通過する。感光ドラム5の表面上のトナー像は、転写ローラ12に引きつけられ、用紙Pのニップ部を通過する用紙Pに転写される。
【0154】
用紙Pの先端縁が感光ドラム5の表面に当接した時刻T33から一定時間が経過し、時刻T34になると、LED駆動回路25が制御されることにより、LEDユニット9の露光強度が上昇される。具体的には、露光強度は、第1露光量から第2露光量(たとえば、0.8μJ/cm)まで経過時間に比例して上昇し、その後、第2露光量から経過時間に比例して低下し、時刻T34から一定時間が経過した時刻T35に第1露光量となるように制御される。時刻T34から時刻T35までの時間は、その間に感光ドラム5の表面における接触部分を含む調整対象部分がLEDユニット9と対向する位置を通過するような時間に設定されている。
【0155】
その後、用紙Pの後端が感光ドラム5の表面から離れ、そのときの時刻T36から一定時間が経過した時刻T37になると、転写ローラ12への転写電流の供給が停止される。
そして、転写ローラ12への転写電流の供給が停止された時刻T37から一定時間が経過し、時刻T38になると、チャージワイヤ61へのワイヤバイアスの印加、グリッド62へのグリッドバイアスの印加、現像ローラ7への現像バイアスの印加およびクリーニングローラ8へのクリーニングバイアスの印加が停止される。これにより、画像形成動作が終了となる。
(2)作用効果
以上のように、感光ドラム5の表面がLEDユニット9により露光されると、その露光された部分から電荷が除去される。
【0156】
非対象部分は第1露光量で露光され、調整対象部分は第1露光量よりも大きい第2露光量で露光される。そのため、調整対象部分に含まれる接触部分から除去される電荷の量は、非対象部分から除去される電荷の量よりも多い。接触部分は帯電電位が高くなっているので、調整対象部分から除去される電荷の量が多くされることにより、露光後の接触部分の帯電量と接触部分以外の帯電量の偏差を小さくすることができる。その結果、感光ドラム5の表面の電位のばらつきを低減し、現像されるトナー濃度のばらつきを抑えることができる。よって、感光ドラム5の表面に良好な濃度のトナー像を形成することができる。
9.第5の実施形態
第3の実施形態は、作用手段の一例として、現像ローラ7が採用された場合の形態である。
(1)現像バイアス制御
図13は、画像形成動作時の現像バイアス制御を説明するためのタイミングチャートである。
【0157】
画像形成動作時には、感光ドラム5は、その周面が図2に示す矢印A方向(図2における反時計回り)に移動するように回転される。
時刻T41において、ワイヤバイアス制御部29およびグリッドバイアス制御部30により、それぞれワイヤバイアス回路21およびグリッドバイアス回路22が制御され、チャージワイヤ61へのワイヤバイアスの印加およびグリッド62へのグリッドバイアスの印加が開始される。このとき、ワイヤバイアスおよびグリッドバイアス、たとえば、それぞれ250μAおよび750Vに設定される。また、現像バイアス制御部31により、クリーニングバイアス回路23が制御され、現像ローラ7への現像バイアスの印加が開始される。このとき、現像バイアスは、感光ドラム5の表面の帯電極性(正極性)と同極性の第1現像電圧(たとえば、400V)に設定される。
【0158】
感光ドラム5の回転に伴って、感光ドラム5の表面は、スコロトロン帯電器6からの放電により、正極性に帯電されていく。そして、LED制御部33によりLED駆動回路25が制御され、LEDユニット9のLEDが発光し、感光ドラム5の表面の正極性に帯電した部分が選択的に露光される。これにより、感光ドラム5の表面に静電潜像が形成される。
【0159】
その後、感光ドラム5の回転に伴って、静電潜像が現像ローラ7に対向すると、現像ローラ7と感光ドラム5との電位差により、現像ローラ7から感光ドラム5の表面に形成された静電潜像にトナーが供給される。これにより、感光ドラム5の表面の静電潜像がトナー像に現像される。
一方、画像形成動作が開始されると、給紙トレイ10から搬送ベルト11上に向けて、用紙Pが送り出される。
【0160】
画像形成動作が開始された時刻T41から一定時間が経過し、時刻T42になると、転写電流制御部34により、転写電流回路26が制御され、転写ローラ12への転写電流の供給が開始される。転写ローラ12に供給される転写電流は、湿度センサ27により検出される相対湿度に応じて設定され、たとえば、用紙Pの搬送方向上流側から順に、10μA、11μA、12μA、13μAに設定される。
【0161】
転写電流の供給が開始された時刻T42から一定時間が経過し、時刻T43になると、用紙Pの先端縁が感光ドラム5の表面に当接する。その後、搬送ベルト11の周回走行により用紙Pが搬送され、用紙Pが感光ドラム5の表面と搬送ベルト11との間の所定幅D(図2参照)のニップ部を通過する。感光ドラム5の表面上のトナー像は、転写ローラ12に引きつけられ、用紙Pのニップ部を通過する用紙Pに転写される。
【0162】
用紙Pの先端縁が感光ドラム5の表面に当接した時刻T43から一定時間が経過し、時刻T44になると、感光ドラム5の表面における接触部分を含む調整対象部分の先頭が現像ローラ7と対向する。つまり、時刻T44は、時刻T43から、調整対象部分の先頭が転写ローラ12と対向する位置から現像ローラ7と対向する位置まで移動するのに要する時間が経過したときの時刻である。
【0163】
時刻T44になると、現像バイアス回路23が制御されることにより、現像ローラ7に印加される現像バイアスが、第1現像電圧から上げられる。具体的には、現像バイアスは、第1現像電圧から第1現像電圧と同極性で絶対値が大きい第2現像電圧(たとえば、480V)まで経過時間に比例して上昇し、その後、第2現像電圧から経過時間に比例して低下し、時刻T44からら感光ドラム5の表面が所定幅Dと等しい距離を移動するのに要する時間が経過した時刻T45に第1現像電圧に戻されるように制御される。
【0164】
その後、用紙Pの後端が感光ドラム5の表面から離れ、そのときの時刻T46から一定時間が経過した時刻T47になると、転写ローラ12への転写電流の供給が停止される。
そして、転写ローラ12への転写電流の供給が停止された時刻T47から一定時間が経過し、時刻T48になると、チャージワイヤ61へのワイヤバイアスの印加、グリッド62へのグリッドバイアスの印加および現像ローラ7への現像バイアスの印加が停止される。これにより、画像形成動作が終了となる。
(2)作用効果
以上のように、現像ローラ7は、感光ドラム5の表面に対向して配置されている。現像ローラ7には、現像バイアス回路23により、第1現像電圧または第2現像電圧が印加される。現像ローラ7と感光ドラム5の表面との間の電位差により、現像ローラ7から感光ドラム5の表面にトナーが供給される。
【0165】
非対象部分が現像ローラ7に対向しているときには、現像ローラ7に第1現像電圧が印加され、調整対象部分(接触部分)が現像ローラ7に対向しているときには、現像ローラ7に第1現像電圧よりも大きい第2現像電圧が印加される。接触部分には転写ローラ12から用紙Pに転写電流が流れたことによる残留電荷がより多く存在しているので、接触部分を含む調整対象部分が現像ローラ7に対向しているときに現像ローラ7に印加される電圧が大きくされることにより、接触部分と現像ローラ7との間の電位差と接触部分以外の部分と現像手段との間の電位差の間の偏差を小さくすることができる。その結果、現像ローラ7から感光ドラム5に供給されるトナーの量のばらつき(むら)を低減することができる。よって、感光ドラム5の表面に良好な濃度のトナー像を形成することができる。
10.変形例
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、さらに他の形態で実施することもできる。
【0166】
たとえば、第1および第2の実施形態において、画像形成動作の開始から、第2回収電圧が開始されるまでの期間は、第1回収電圧が印加されているとしたが、用紙Pの先端が感光ドラム5の表面に当接した時刻T3から、第2回収電圧が印加される時刻T4までの期間は、クリーニングローラ8に印加されるクリーニングバイアスが零となるようにクリーニングバイアス回路24が制御されてもよい。
【0167】
これにより、当該期間におけるクリーニングバイアス回路24の消費電力を低減することができるので、プリンタ1の省エネルギー化を図ることができる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0168】
1 プリンタ
5 感光ドラム
6 スコロトロン帯電器
7 現像ローラ
8 クリーニングローラ
9 LEDユニット
12 転写ローラ
22 グリッドバイアス回路
23 現像バイアス回路
24 クリーニングバイアス回路
25 LED駆動回路
27 湿度検知手段
30 グリッドバイアス制御部
31 現像バイアス制御部
32 クリーニングバイアス制御部
33 LED制御部
61 チャージワイヤ
62 グリッド
D 所定幅
P 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面が所定方向に移動可能に設けられた感光体と、
前記感光体の表面に現像剤像を形成するための所定の作用を与える作用手段と、
前記感光体の表面に対向して配置され、転写電流の供給により、前記感光体の表面に形成された現像剤像を前記感光体との間を通過するシートに転写する転写手段と、
前記感光体の表面における前記シートの先端部分と接触した接触部分を含む調整対象部分に前記作用手段が前記所定の作用を与える期間と、前記感光体の表面における前記調整対象部分以外の非対象部分に前記作用手段が前記所定の作用を与える期間とで、当該作用の大きさが異なるように、前記作用手段を制御する制御手段とを備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記作用手段は、
前記感光体の表面に対向して配置され、前記感光体から前記シートへの現像剤像の転写後に、前記感光体の表面に残留している現像剤を回収する回収手段と、
前記回収手段に電圧を印加する回収電圧印加手段とを含み、
前記制御手段は、前記非対象部分が前記回収手段に対向しているときに、前記感光体の表面の帯電極性と逆極性の第1回収電圧が前記回収手段に印加され、前記調整対象部分が前記回収手段に対向しているときには、前記第1回収電圧と同極性で前記第1回収電圧よりも大きい第2回収電圧が印加されるように、前記回収電圧印加手段を制御する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
湿度を検知するための湿度検知手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記湿度検知手段により検知される湿度に基づいて、前記第2回収電圧の値を設定する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記湿度検知手段により検知される湿度が予め定める閾値以上のときには、前記第2回収電圧の値を相対的に大きい値に設定し、前記湿度検知手段により検知される湿度が前記閾値未満のときには、前記第2回収電圧の値を相対的に小さい値に設定する、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記感光体の表面に前記シートの先端縁が接触してから前記第2回収電圧が印加されるまでの期間、前記回収手段に電圧が印加されないように、前記回収電圧印加手段を制御する、請求項2〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記感光体は、前記シートの搬送方向に沿って並列に複数配置され、
前記転写手段および前記回収手段は、各感光体に対応して設けられ、
前記制御手段は、前記転写手段に供給される転写電流の値に応じて、当該転写手段とともに前記感光体に対応して設けられている前記回収手段に印加される前記第2回収電圧の値を設定する、請求項2〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記シートの搬送方向の最上流側に配置される前記感光体に対応して設けられている前記回収手段に印加される前記第2回収電圧の値を最も小さい値に設定し、前記シートの搬送方向の最下流側に配置される前記感光体に対応して設けられている前記回収手段に印加される前記第2回収電圧の値を最も大きい値に設定する、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記回収手段は、その周面が前記感光体に接触して配置される回収ローラである、請求項2〜7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記作用手段は、
前記感光体の表面に対向して配置され、現像剤像の形成前に前記感光体の表面を帯電させる帯電手段と、
前記帯電手段に電圧を印加する帯電電圧印加手段とを含み、
前記制御手段は、前記非対象部分が前記帯電手段に対向しているときに、第1帯電電圧が前記帯電手段に印加され、前記調整対象部分が前記帯電手段に対向しているときには、前記第1帯電電圧と同極性で前記第1帯電電圧よりも小さい第2帯電電圧が印加されるように、前記帯電電圧印加手段を制御する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記帯電手段は、放電電極およびグリッドを備えるスコロトロン帯電器であり、
前記帯電電圧印加手段は、前記グリッドに電圧を印加する、請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
湿度を検知するための湿度検知手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記湿度検知手段により検知される湿度に基づいて、前記第2帯電電圧の値および/または前記グリッドに前記第2帯電電圧を印加する時間を設定する、請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記作用手段は、前記感光体の表面を露光し、前記感光体の表面に現像剤像に対応する静電潜像を形成する露光手段を含み、
前記制御手段は、前記非対象部分が第1露光量で露光され、前記調整対象部分が前記第1露光量よりも大きい第2露光量で露光されるように、前記露光手段を制御する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記作用手段は、
前記感光体の表面に対向して配置され、前記感光体の表面に現像剤を供給し、前記感光体の表面の静電潜像を現像する現像手段と、
前記現像手段に電圧を印加する現像電圧印加手段とを含み、
前記制御手段は、前記非対象部分が前記現像手段と対向しているときに、第1現像電圧が前記現像手段に印加され、前記調整対象部分が前記現像手段と対向しているときに、前記第1現像電圧よりも大きい第2現像電圧が前記現像手段に印加されるように、前記現像電圧印加手段を制御する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記転写手段は、前記感光体の表面との間に前記所定方向の幅が所定幅であるニップ部を形成する転写ローラであり、
前記調整対象部分は、前記シートの先端縁を含む前記所定幅の部分である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−256836(P2010−256836A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−111410(P2009−111410)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】