説明

画像形成装置

【課題】コスト増加を伴うことなく高セキュリティを確保した上で、メンテナンスモードに移行することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナーカートリッジ413に設けられた無線タグ7から属性情報を読み出す無線タグインタフェース44と、前記無線タグインタフェース44を介して読み出された前記属性情報に基づいて画像形成プロセスを制御する制御部23と、画像形成処理を実行可能な画像形成モードから所定のメンテナンス動作を実行可能なメンテナンスモードに切り替えるモード切替部25を備えた画像形成装置1で、前記無線タグインタフェース44を介して読み出された属性情報からメンテナンスモード起動情報を検出したときに前記画像形成モードから前記メンテナンスモードへの切替を許容するように前記モード切替部25を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーカートリッジに設けられた無線タグから属性情報を読み出す無線タグインタフェースと、前記無線タグインタフェースを介して読み出された前記属性情報に基づいて画像形成プロセスを制御する制御部と、画像形成処理を実行可能な画像形成モードから所定のメンテナンス動作を実行可能なメンテナンスモードに切り替えるモード切替部を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、装置に搭載された機能を制限または解除する設定、高圧の出力レベル調整などの設定、及び、課金カウンタのカウント値などの課金に関連する設定を行なうことができる所謂メンテナンスモードを備えている。
【0003】
従来、画像形成装置の保守要員は、特殊なキーを操作したり、専用パスワードを入力したり、専用のハードウェアキーを使用して、画像形成処理を実行可能な画像形成モードからメンテナンスモードに画像形成装置を移行し、これらの特殊な設定を行っていた。
【0004】
例えば、特許文献1には、操作パネルの端部に設けられた隠し板の下の内蓋の内側に配設されたメカニカルスイッチのオンオフ状態に基づいてメンテナンスモードに移行する複写機が開示されている。
【0005】
特許文献2には、実行する処理内容が割り当てられた割当部が表示されたコントロールパネルの押された位置を検出する位置検出手段と、押された位置が割当部以外の位置であると判断した場合にはその押された位置と同じ場所が一定時間以上、押されたかを判断する判断手段と、一定時間以上押されたと判断されたら、所定のモードに移行することを特徴とする情報処理装置が開示されている。
【0006】
特許文献3には、装置ごとに設定されている装置IDを記憶する記憶手段と、装置に備えられた画像処理機能を特定する情報が記憶されると共に前記装置IDの記憶が可能なハードウェアモジュールを装着可能とする入出力ポートと、前記入出力ポートに装着された前記ハードウェアモジュールに装置IDが記録されているか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって装置IDが記録されていないと判定されたときに前記ハードウェアモジュールに記録されている機能情報に基づいた機能を使用可能とすると共に、前記記憶手段に記憶している装置IDを前記ハードウェアモジュールに記録するように制御する制御手段と、を含むことを特徴とする画像形成装置が開示されている。
【0007】
さらに特許文献3では従来の画像形成装置は、パスワードを入力することによってメンテナンスモードに入り、機能制限/解除の設定を行なうように構成されている旨が開示されている。
【特許文献1】特開平5−35029公報
【特許文献2】特開2001−184166号公報
【特許文献3】特開2005−39322号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特殊なキー操作や専用パスワードの入力を要求する画像形成装置では、保守要員が行なうメンテナンスモード移行時の操作を見て、当該操作を比較的容易に第三者が知得することができるため、セキュリティ上の問題があった。
【0009】
また、専用のハードウェアキーを使用する画像形成装置には、当該ハードウェアキーに情報を読み書きする装置を搭載する必要があり、コスト上での問題があった。
【0010】
本発明の目的は、上述の問題に鑑み、コスト増加を伴うことなく高セキュリティを確保した上で、メンテナンスモードに移行することができる画像形成装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するため、本発明による画像形成装置の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、トナーカートリッジに設けられた無線タグから属性情報を読み出す無線タグインタフェースと、前記無線タグインタフェースを介して読み出された前記属性情報に基づいて画像形成プロセスを制御する制御部と、画像形成処理を実行可能な画像形成モードから所定のメンテナンス動作を実行可能なメンテナンスモードに切り替えるモード切替部を備えた画像形成装置であって、前記モード切替部は、前記無線タグインタフェースを介して読み出された属性情報からメンテナンスモード起動情報を検出したときに前記画像形成モードから前記メンテナンスモードへの切替を許容する点にある。
【0012】
モード切替部は、既存の無線タグインタフェースを用いて無線タグから読み出した属性情報からメンテナンスモード起動情報を検出するため、新たなハードウェアを画像形成装置に搭載する必要がなく、専用ハードウェア増設のコスト増加は発生しない。また、画像形成装置をメンテナンスモードへ移行するには、メンテナンスモード起動情報が記憶された無線タグを無線タグインタフェースで読み取らせればよく、当該操作を見た第三者がメンテナンスモード起動情報を知得することはできないため、セキュリティも確保される。
【0013】
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一特徴構成に加えて、前記制御部は、前記属性情報に基づいて新たなカートリッジが装着されたことを検出すると所定の初期化処理を実行するように構成され、前記属性情報からメンテナンスモード起動情報を検出すると、前記初期化処理の実行を中止する点にある。
【0014】
上述の構成によれば、メンテナンス動作の実行に不要な初期化処理は行われないので、メンテナンスモードに切り替えられたとき、メンテナンス動作を直ちに実行することができる。
【0015】
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第一または第二の特徴構成に加えて、前記メンテナンスモード起動情報に識別情報が付加され、前記モード切替部により許容されたメンテナンスモードでの処理内容を前記識別情報とともに記憶する記憶部を備えている点にある。
【0016】
上述の構成によれば、記憶部を参照して、メンテナンスモードでの処理内容と当該処理を行った操作者を識別情報に基づいて認識することができるため、セキュリティ上、好ましい。
【発明の効果】
【0017】
以上説明した通り、本発明によれば、コスト増加を伴うことなく高セキュリティを確保した上で、メンテナンスモードに移行することができる画像形成装置を提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明を適用した画像形成装置の一例として、モノクロプリンタ(以下、単に「プリンタ」と記す。)について説明する。
【0019】
図1(a)に示すように、プリンタ1は、コンピュータ端末(不図示)などから入力された画像データを画像処理して出力画像データを生成する画像処理回路20と、電子写真方式を採用したプリントエンジン4と、プリンタ1の稼動状況などを表示する液晶表示部とメンテナンス時の入力操作用のハードキー群を備えた操作パネル3を備えて構成されている。
【0020】
プリントエンジン4は、画像処理回路20で生成された出力画像データに基づいて用紙Dにトナー画像を転写する画像形成部41と、画像形成部41で転写されたトナー画像を用紙Dに融着する定着部42と、用紙カセット430に格納した用紙Dを搬送する用紙搬送部43を備えている。
【0021】
画像形成部41は、感光体410と、感光体410の周方向に沿って配置され、感光体410を一様に帯電する帯電器411と、出力用画像データに基づいて感光体410を露光走査して静電潜像を生成する露光装置412と、露光装置412が生成した静電潜像をトナーで顕像化してトナー画像を生成する現像装置414と、トナー画像を転写ローラ415で用紙Dに転写した後、感光体410に残存するトナーを除去するクリーナ416と、感光体410の電位を除電する除電ランプ417を備えている。
【0022】
現像装置414の上部に、現像装置414にトナーを補充する着脱可能なトナーカートリッジ413が設置されている。図1(b)に示すように、トナーカートリッジ413は、トナーカートリッジ413に充填されているトナーの種類・容量・残量などのトナー情報やトナーカートリッジ413の製造時期・製造番号などの管理情報、及び、トナーカートリッジ413を装着した際の初期化処理情報(例えば、トナーカートリッジ内に備えられた不図示の撹拌部材によるトナーの撹拌回数や撹拌時間など)などが規定された属性情報を記憶した無線タグとしてのRFID(Radio Frequency Identification)タグ7を底部に備えている。
【0023】
RFIDタグ7と無線通信が可能な位置(例えば、対向する位置など)に、RFIDタグ7から属性情報を読み出す無線タグインタフェースであるRFIDインタフェース44が設けられている。RFIDインタフェース44の横に、トナーカートリッジ413の底部からの押圧力に基づいて、トナーカートリッジ413が正しく装着されているか否かを検出するセットスイッチ6が備えられている。なお、図1(b)は、図1(a)の長鎖線で囲まれた部分Aを拡大したものである。
【0024】
プリンタ1には、トナーカートリッジ413の取り替え時に開く着脱カバー50がプリンタ1の上部に設けられ、着脱カバー50の開閉を検出するカバースイッチ5が設けられている。カバースイッチ5は、着脱カバー50が閉じられたときに着脱カバー50に押圧される位置に設けられ、着脱カバー50からの押圧力に基づいて着脱カバー50の開閉を検出する。
【0025】
用紙搬送部43は、用紙カセット430に格納された用紙Dをピックアップするピックアップローラ431と、当該用紙Dを画像形成部41及び定着部42に搬送する搬送ローラ432とレジストローラ433と搬送ベルト434と、トナー画像が融着した用紙Dを排紙部436に排紙する排紙ローラ435を備えている。
【0026】
定着部42は、ヒータを内挿した定着ローラと、当該定着ローラに圧接してニップを形成し、当該ニップで用紙Dを挟持搬送する加圧ローラを備えている。
【0027】
図2に示すように、操作パネル3を制御する操作制御部30とプリントエンジン4を制御するエンジン制御部40は、通信ラインを介して、プリンタ1を統括制御するシステム制御部2と接続されている。各制御部2、30、40は、CPUとCPUの動作プログラムが格納されたROMとCPUの作業領域であるRAMと周辺回路などが配置された基板でなる。システム制御部2は、画像処理回路20である画像処理用ASICと、不揮発性メモリでなるEEPROM21を備えている。EEPROM21は本発明の記憶部である。なお、本発明の記憶部は、不揮発性のメモリであればよく、EEPROMに限定するものではない。
【0028】
図3に示すように、システム制御部2は、RFIDインタフェース44を介して読み出された属性情報に基づいて画像形成プロセスを制御する画像形成プロセス制御部23と、画像形成処理を実行可能な画像形成モードから所定のメンテナンス動作を実行可能なメンテナンスモードに切り替えるモード切替部25と、メンテナンスモードでメンテナンス動作を実行するメンテナンス制御部24を備えている。画像形成プロセス制御部23は本発明の制御部である。
【0029】
画像形成プロセス制御部23とメンテナンス制御部24とモード切替部25は、ROMに格納された動作プログラムがCPUにより実行されてシステム制御部2に具現化された機能ブロックである。
【0030】
画像形成プロセス制御部23は、IF回路22を介してシステム制御部2に画像データが入力されると、画像処理回路20で当該画像データを画像処理して出力用画像データを生成する。また、エンジン制御部40に画像形成処理の開始を要求するとともに、エンジン制御部40からの要求タイミングに合わせて当該出力用画像データをエンジン制御部40に出力する。
【0031】
エンジン制御部40は、ピックアップローラ431と搬送ローラ432とレジストローラ433と搬送ベルト434を制御して用紙Dを画像出力部40に搬送し、EEPROM21に記憶された属性情報に基づいて画像形成部41を制御して用紙Dにトナー画像を転写する。搬送ベルト434を制御して定着部42にトナー画像が転写された用紙を搬送し、定着部42を制御して当該トナー画像を用紙Dに融着する。排紙ローラ435を制御してトナー画像が融着された用紙Dを排紙部436に排紙する。
【0032】
以下に、新たなトナーカートリッジ413が装着された際の画像形成プロセス制御部23の初期化処理動作について説明する。
【0033】
図3に示すように、RFIDタグ7は、RFIDインタフェース44との間で電波を送受信するアンテナ部70と、発振回路73と、属性情報を記憶したメモリ74と、RFIDインタフェース44から送信された電波をアンテナ部70で受信して、当該電波から要求を読み取り、メモリ74にデータ(例えば、トナー残量など)を読み込むとともに、メモリ74から読み出したデータ(例えば、初期化処理情報など)に基づいて発振回路73が出力する搬送波を変調した電波をアンテナ部70から送信する信号処理部72と、RFIDインタフェース44から送信される搬送波をアンテナ部70で受信して、電磁誘導力により、発振回路73やメモリ74や信号処理部72の駆動に必要な電力を供給する(以下、「プリチャージ」と記載する。)受電部71を備えている。メモリ74は、不揮発性であり、例えば、EEPROM、フラッシュメモリ、FeRAMなどで構成されている。
【0034】
エンジン制御部40は、着脱カバー50が閉じられたとカバースイッチ5により検出されたときに、トナーカートリッジ413が正しく装着されているとセットスイッチ6により検出されると、RFIDインタフェース44を介して、プリチャージ用の搬送波をRFIDタグ7に送信すると共に、プリチャージが完了する所定時間経過後にRFIDタグ7から属性情報を読み出し、システム制御部2に出力する。
【0035】
エンジン制御部40は、着脱カバー50が閉じられたとカバースイッチ5により検出されたときに、トナーカートリッジ413が正しく装着されているとセットスイッチ6で検出されないときには、システム制御部2にトナーカートリッジ413が正しく装着されていない旨を出力する。画像形成プロセス制御部23は、トナーカートリッジ413を正しく装着するように促すメッセージを操作パネル3の液晶表示部に表示するように操作制御部30に要求し、操作制御部30は当該メッセージを表示する。
【0036】
画像形成プロセス制御部23は、エンジン制御部40から入力された属性情報に基づいて新たなトナーカートリッジ413が装着されたことを検出すると所定の初期化処理を実行するように構成されている。以下に詳述する。
【0037】
画像形成プロセス制御部23は、属性情報に規定されたトナーカートリッジ413の製造番号と、EEPROM21に記憶した属性情報に規定されたトナーカートリッジ413の製造番号を照合して新たなトナーカートリッジ413が装着されたか否かを検出する。
【0038】
画像形成プロセス制御部23は、これらの製造番号が一致しないとき、または、EEPROM21に属性情報が記憶されていないとき、新たなトナーカートリッジ413が装着されたと検出し、入力された属性情報をEEPROM21に記憶し、当該属性情報に規定された初期化処理情報に基づいて、用紙搬送部43を制御してトナーカートリッジ413のトナーを撹拌するなどの所定の初期化処理を実行する。初期化処理が完了した後、プリンタ1で画像形成が可能となる。
【0039】
一方、画像形成プロセス制御部23は、これらの製造番号が一致したとき、現在装着されているトナーカートリッジ413は新たなトナーカートリッジ413でないと検出し、当該初期化処理を行なわない。また、EEPROM21に記憶した属性情報を更新しない。従って、着脱カバー50を閉じてから間もなく、プリンタ1で画像形成が可能となる。
【0040】
以下に、プリンタ1のメンテナンスモードへの移行動作について説明する。
【0041】
プリンタ1をメンテナンスモードに移行するには、着脱カバー50を開いてトナーカートリッジ413を取り外し、専用のカードキー(以下、単に「カードキー」と記載する。)をカード載置部(不図示)にセットする。セットスイッチ6は、カードキーがカード載置部にセットされると、当該カードキーから押圧されてトナーカートリッジ413が正しく装着されたと判断する。
【0042】
カードキーには属性情報の一つとして、プリンタ1がメンテナンスモードに移行することを許容するメンテナンスモード起動情報が記憶されたRFIDタグ7が備えられている、当該RFIDタグ7は、カードキーがカード載置部にセットされたときに、RFIDインタフェース44と無線通信可能な位置に備えられている。
【0043】
エンジン制御部40は、カードキーがセットされた状態で着脱カバー50が閉じられると、RFIDインタフェース44を介して、カードキーのRFIDタグ7から属性情報を読み出し、システム制御部2に出力する。
【0044】
画像形成プロセス制御部23は、エンジン制御部40から入力された属性情報からメンテナンスモード起動情報を検出すると初期化処理の実行を中止するように構成されている。
【0045】
また、モード切替部25は、RFIDインタフェース44を介して読み出された属性情報からメンテナンス起動情報を検出したときに画像形成モードからメンテナンスモードへの切替を許容するように構成されている。以下に詳述する。
【0046】
モード切替部25は、属性情報からメンテナンス起動情報を検出すると、メンテナンスモードに対応するメンテナンス用画面を呼び出すボタンやタグ(以下、単に「ボタンなど」と記載する。)を表示するように操作制御部30に要求し、操作制御部30は、操作部3に設けられた液晶表示部に表示された画面の所定位置に当該ボタンなどを表示する。
【0047】
モード切替部25は、当該ボタンなどに対する操作でメンテナンスモードへの移行が選択されると、画像形成プロセス制御部23を停止するとともに、メンテナンス制御部24を起動してプリンタ1をメンテナンスモードに設定する。メンテナンス制御部24は、操作制御部30を介してメンテナンス用画面を液晶表示部に表示する。
【0048】
メンテナンス制御部24は、メンテナンス用画面に対する操作に応じてメンテナンス動作を実行する、例えば、用紙搬送部43を構成する各ローラを駆動するモータなどのアクチュエータを個別駆動し、各アクチュエータの故障判定を行なう。帯電器411への印加電圧や感光体410と現像装置414間の現像バイアス値や感光体410と転写ローラ415間の転写バイアスなどの高圧レベルを計測する。システム制御部2に設けられたEEPROM21に記憶されたトータルカウンタや課金カウンタのカウント値を再設定する。
【0049】
メンテナンスモード起動情報に識別情報が付加されている。識別情報は、例えばカードキーの所有者情報(所有者名や所有者ID)でなる。メンテナンス制御部24は、モード切替部25により許容されたメンテナンスモードでの処理内容を当該識別情報とともにEEPROM21に記憶する。
【0050】
メンテナンス制御部24は、メンテナンス用画面でメンテナンス終了の操作が行われると停止し、モード切替部25は画像形成プロセス制御部23を起動してプリンタ1を画像形成モードに設定する。操作制御部30は、メンテナンス用画面を消去して、通常の画面を表示する。
【0051】
図4に示すフローチャートを用いて、プリンタ1のメンテナンス動作について説明する。
【0052】
画像形成モードに設定されたプリンタ1の着脱カバー50が開かれたことがカバーセンサ5で検出された後、着脱カバー50が閉じられたとき(S1)、トナーカートリッジ413の装着状態が正しくないことをセットスイッチ6が検出(このときセットスイッチ6はオフしている)すると(S2)、画像形成プロセス制御部23は、トナーカートリッジ413を正しく装着するように促すメッセージを表示するように操作制御部30に要求する。操作制御部30は当該メッセージを表示する(S10)。
【0053】
トナーカートリッジ413の装着状態が正しいとセットスイッチ6が検出(このときセットスイッチ6はオンしている)すると(S2)、RFIDインタフェース44でトナーカートリッジ413に設けられたRFIDタグ7から属性情報が読み出される(S3)。
【0054】
モード切替部25は、当該属性情報からメンテナンスモード起動情報を検出しなければ(S4)、メンテナンス制御部24を起動せず、プリンタ1でメンテナンス動作は実行されない。
【0055】
画像形成プロセス制御部23は、メンテナンスモード起動情報を検出すると(S4)初期化処理を中止する(S5)。また、モード切替部25は、画像形成モードからメンテナンスモードへの切替を許容する(S6)。操作制御部30は、メンテナンス用画面呼び出し用のボタンなどを画面に表示する。
【0056】
ボタンなどが操作されると(S7)、モード切替部25はメンテナンス制御部24を起動して、プリンタ1の動作モードを画像形成モードからメンテナンスモードに移行させる(S8)。操作制御部30はメンテナンス用画面を表示する。
【0057】
メンテナンス制御部24は、メンテナンス用画面でメンテナンスに関する操作が行われると(S9)、当該操作に応じてメンテナンス動作を実行し(S10、S13、S15)、夫々のメンテナンス動作に対応する処理内容を識別情報とともにEEPROM21に記憶する(S11、S14、S16)。
【0058】
メンテナンス制御部24は、メンテナンス用画面でメンテナンス終了操作が行われると(S17)、停止する。操作制御部30は、メンテナンス用画面を消去して、通常の画面を表示する。モード切替部25は画像形成プロセス制御部23を起動してプリンタ1を画像形成モードに設定する(S18)。
【0059】
以下、別実施形態について説明する。上述の実施形態では、制御部は、属性情報からメンテナンスモード起動情報を検出すると初期化処理の実行を中止するものとしたが、例えば、メンテナンスモード起動情報の検出の有無に関わらず、画像形成装置の動作モードがメンテナンスモードに移行したときに、初期化処理の実行を中止するものであってもよい。
【0060】
上述の実施形態では、本発明が適用された画像形成装置は、モード切替部により許容されたメンテナンスモードでの処理内容を、メンテナンスモード起動情報に付加された識別情報とともに記憶する記憶部を備えているものとしたが、当該記憶部を備えていないものであってもよい。
【0061】
この場合、例えば、処理内容と識別情報を用紙にプリントして出力してもよく、画像形成装置がメール機能を備えていれば、当該識別情報に対応する送信先にメールで当該処理内容を送信するものであってもよい。また、メンテナンスモード起動情報に識別情報が付加されていなくてもよく、この場合、例えば、無線タグインタフェースを介して、無線タグのメモリに当該処理内容を書き込むものであってもよく、当該メモリの容量が足りないときには処理内容をプリント出力してもよい。
【0062】
上述の実施形態で、属性情報の一つとして無線タグのメモリに記憶するメンテナンスモード起動情報は、当該メモリの予め設定した任意のアドレスの領域に記憶するものであってもよい。この場合、当該メンテナンスモード起動情報を優先的に読み取るように無線タグインタフェースを構成することで、モード切替部の動作モード切替を許容するか否かを判定するのに要する時間が短縮され、また、制御部の初期化処理実行中止判定に要する時間が短縮される。
【0063】
上述の実施形態では、本発明を適用した画像形成装置として、モノクロプリンタについて説明したが、着脱可能なトナーカートリッジを使用する装置であり、無線タグとの無線通信が可能なように無線タグインタフェースを備えているものであれば、モノクロプリンタ以外のモノクロ複写機、カラー複写機、ファクシミリ、または、プリンタ機能や複写機能などの複数の機能を備えた所謂複合機などであってもよい。
【0064】
また、例えば、各色のトナーカートリッジ毎に無線タグインタフェースが備えられているカラー複写機に本発明を適用するとき、モード切替部は、全ての無線タグインタフェースで読み出された無線タグに記憶された属性情報からメンテナンスモード起動情報を検出するものであってもよく、所定の、または、任意の無線タグインタフェースで読み出された無線タグに記憶された属性情報からのみ、メンテナンスモード起動情報を検出するものであってもよい。
【0065】
上述した実施形態は何れも本発明の一実施例に過ぎず、当該記載により本発明の範囲が限定されるものではなく、各部の具体的構成は本発明による作用効果を奏する範囲において適宜変更することができることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】(a)はプリンタの説明図、(b)はRFIDタグとRFIDインタフェースの説明図
【図2】プリンタに搭載された各制御部の説明図
【図3】プリンタの本発明に関する主要機能ブロック図
【図4】プリンタのメンテナンス動作を説明するフローチャート
【符号の説明】
【0067】
1:プリンタ(画像形成装置)
2:システム制御部
7:無線タグ(RFIDタグ)
21:記憶部(EEPROM)
23:制御部(画像形成プロセス制御部)
24:メンテナンス制御部
25:モード切替部
40:エンジン制御部
44:無線タグインタフェース(RFIDインタフェース)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーカートリッジに設けられた無線タグから属性情報を読み出す無線タグインタフェースと、前記無線タグインタフェースを介して読み出された前記属性情報に基づいて画像形成プロセスを制御する制御部と、画像形成処理を実行可能な画像形成モードから所定のメンテナンス動作を実行可能なメンテナンスモードに切り替えるモード切替部を備えた画像形成装置であって、
前記モード切替部は、前記無線タグインタフェースを介して読み出された属性情報からメンテナンスモード起動情報を検出したときに前記画像形成モードから前記メンテナンスモードへの切替を許容する画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記属性情報に基づいて新たなカートリッジが装着されたことを検出すると所定の初期化処理を実行するように構成され、前記属性情報からメンテナンスモード起動情報を検出すると、前記初期化処理の実行を中止する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記メンテナンスモード起動情報に識別情報が付加され、前記モード切替部により許容されたメンテナンスモードでの処理内容を前記識別情報とともに記憶する記憶部を備えている請求項1または2記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−8774(P2010−8774A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−168743(P2008−168743)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】