説明

画像形成装置

【課題】高印字率の画像を連続して印字した場合においても現像装置内の濃度むらやトナー飛散、カブリ現象等の画質低下を効果的に抑制するとともに、キャリアの劣化も極力抑制可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】印字命令が入力されると、装置各部を駆動して印字動作を開始すると同時に、現像装置3a〜3d内のトナー濃度が高濃度設定(ここでは10%)であるか否かを判断する。トナー濃度が10%である場合は、演算部97において出力画像中の各色の印字率Aを算出する。次に、算出された各色の印字率Aが5%以上であるか否かが判断され、印字率5%以上の色がある場合は、RAM93(又はROM92)に記憶されている後駆動時間設定テーブルを用いて5%以上の色に対応する現像装置3a〜3dの後駆動時間を延長する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に関し、特に、画像形成装置に搭載され、磁性キャリアとトナーとから成る二成分現像剤を使用する現像装置の駆動制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真プロセスを用いた画像形成装置における乾式トナーを用いた現像方式としては、キャリアを用いない一成分現像方式と、磁性キャリアを用いて非磁性のトナーを帯電させる二成分現像剤を使用し、現像ローラ上に形成されたトナー及びキャリアから成る磁気ブラシにより像担持体(感光体)上の静電潜像を現像する二成分現像方式とが知られている。
【0003】
一成分現像方式は、磁気ブラシによって像担持体上の静電潜像が乱されることがなく高画質化に適している反面、トナーをチャージローラで帯電させ、弾性規制ブレードで現像ローラ上の層厚を規制するため、トナーの添加剤がチャージローラに付着して帯電能力が低下し、トナーの帯電量を安定して維持することが困難であった。また、規制ブレードにトナーが付着し、層形成が不均一になって画像欠陥をきたすことがあった。
【0004】
また、色重ねを行うカラー印刷の場合、カラートナーに透過性が要求されるため、非磁性トナーである必要がある。そこで、フルカラー画像形成装置においてはキャリアを用いてトナーを帯電及び搬送する二成分現像方式を採用する場合が多い。
【0005】
ところで、二成分現像方式においては、印字動作の繰り返しによりキャリア表面にコーティングされた樹脂が摩擦によって剥離し、キャリアの導電率が高くなるためにトナーへの帯電付与性能が低下する。そのため、トナーの帯電量が所定値を下回り、画像濃度が必要以上に濃くなったり、カブリ現象が発生したりして画像品質を低下させるという問題点があった。
【0006】
更に、使用環境や累積印字枚数に応じて現像装置内のトナー濃度(キャリアに対するトナーの割合)の設定値を変更する場合がある。この場合、トナー濃度が低く設定される場合はキャリア粒子1個が帯電させるトナー粒子の個数が減少するため、トナー濃度が高く設定される場合に比べてトナーの帯電が安定し易くなる傾向にあった。
【0007】
例えば特許文献1には、印字率または画像密度に基づいて現像剤の攪拌継続時間を変更することで、トナー補給量に応じた攪拌時間を確保してトナーの帯電の安定化を図る方法が記載されている。この方法によれば、印字率が低くトナー補給量が少ない場合は攪拌時間を短くしてキャリアの劣化を抑制するとともに、印字率が高くトナー補給量が多い場合は攪拌時間を長くしてトナーの帯電不足を解消できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−151375号公報(請求項6、段落[0036]、[0113]〜[0117])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の制御を適用すると、トナー濃度が低く設定され、トナーの帯電が安定し易いときでも高印字率の画像が出力されると攪拌時間が延長され、現像剤が不必要に攪拌されてしまうため、機械的ストレスによりキャリアの劣化が促進されるおそれがあった。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑み、高印字率の画像を連続して印字した場合においても現像装置内の濃度むらやトナー飛散、カブリ現象等の画質低下を効果的に抑制するとともに、キャリアの劣化も極力抑制可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明は、キャリアとトナーとを含む二成分現像剤を収容する現像容器と、該現像容器内に回転自在に支持され表面に現像剤を担持する現像剤担持体と、前記現像容器内の現像剤を撹拌搬送する撹拌搬送部材と、を有し、印字終了毎に所定の後駆動時間だけ駆動を継続する現像装置と、該現像装置に補給するトナーを貯留するトナー貯留手段と、該トナー貯留手段内のトナーを前記現像装置に補給する補給手段と、前記現像装置により現像される画像1枚毎の印字率を算出する演算手段と、前記現像容器内のトナー濃度を複数の濃度段階に設定するとともに、設定されたトナー濃度が所定値以上である場合は前記演算手段により算出された印字率の増加に伴い前記後駆動時間を基準値から延長する制御手段と、を備えた画像形成装置である。
【0012】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記制御手段は、前記演算手段により算出された印字率が所定値以上のとき前記後駆動時間を基準値から延長することを特徴としている。
【0013】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、装置本体外部の環境温度を検知する温度検知手段を備え、前記制御手段は、前記温度検知手段により検知された環境温度に基づいて前記現像容器内のトナー濃度を設定することを特徴としている。
【0014】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記制御手段は、前記演算手段により算出される画像1枚毎の印字率を積算した積算印字率、前記補給手段の積算駆動時間、前記補給手段の積算駆動回数のいずれかに基づいて前記現像容器内のトナー濃度を設定することを特徴としている。
【0015】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記トナー貯留手段は装置本体に対し着脱可能に設けられており、前記制御手段は、前記トナー貯留手段の交換回数に基づいて前記現像容器内のトナー濃度を設定することを特徴としている。
【0016】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記制御手段は、前記演算手段により算出される画像1枚毎の印字率を積算した積算印字率、前記補給手段の積算駆動時間、前記補給手段の積算駆動回数のいずれかが所定値に到達した時点から前記後駆動時間を基準値から延長する制御を実行することを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明の第1の構成によれば、現像容器内のトナー濃度の設定値に基づいて印字終了後における現像装置の後駆動時間を延長するか否かを判断し、トナー濃度が所定値以上の場合のみ印字率の増加に基づいて後駆動時間が適正値に延長されるため、高印字率画像の出力直後における画像濃度の上昇やカブリ現象を効果的に抑制可能となる。また、トナー濃度が所定値よりも低い場合は後駆動時間を延長しないため、現像剤が不必要に長時間攪拌されずキャリアの劣化も極力抑制される。
【0018】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の画像形成装置において、演算手段により算出された印字率が所定値以上のとき後駆動時間を基準値から延長することにより、トナー補給量が少ない低印字率の画像出力後に不必要な後駆動時間の延長が行われないため、キャリアの劣化を更に抑制することができる。
【0019】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1又は第2の構成の画像形成装置において、温度検知手段により検知された装置本体外部の環境温度に基づいて現像容器内のトナー濃度を設定することにより、キャリアの帯電付与性能と相関性の高い環境温度に応じて現像容器内のトナー濃度を適切に設定することができる。
【0020】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1又は第2の構成の画像形成装置において、画像1枚毎の印字率を積算した積算印字率、補給手段の積算駆動時間、積算駆動回数のいずれかに基づいて現像容器内のトナー濃度を設定することにより、キャリアの帯電付与性能と相関性の高い積算印字率、補給手段の積算駆動時間、積算駆動回数に応じて現像容器内のトナー濃度を適切に設定することができる。
【0021】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第1又は第2の構成の画像形成装置において、装置本体に対し着脱可能に設けられたトナー貯留手段の交換回数に基づいて現像容器内のトナー濃度を設定することにより、キャリアの帯電付与性能と相関性の高いトナー貯留手段の交換回数に応じて現像容器内のトナー濃度を適切に設定することができる。
【0022】
また、本発明の第6の構成によれば、上記第1乃至第5のいずれかの構成の画像形成装置において、積算印字率、補給手段の積算駆動時間、積算駆動回数のいずれかが所定値に到達した時点から後駆動時間を基準値から延長する制御を実行することにより、キャリアのトナーに対する帯電付与性能が高く後駆動時間を延長する必要のない装置の使用初期において不必要な後駆動時間の延長が行われないため、キャリアの劣化をより一層抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の画像形成装置の全体構成を示す概略図
【図2】本発明の画像形成装置に搭載される現像装置の構成を示す側面断面図
【図3】現像装置の構成を示す平面断面図
【図4】現像ローラ及び磁気ローラに印加されるバイアス波形の一例を示す図
【図5】本発明の画像形成装置の制御経路を示すブロック図
【図6】トナー濃度8%における現像装置の後駆動時間とトナー帯電量との関係を示すグラフ
【図7】トナー濃度10%における現像装置の後駆動時間とトナー帯電量との関係を示すグラフ
【図8】トナー濃度を8%に設定し、現像装置の後駆動時間を3秒に固定した場合の印字枚数とカブリ濃度との関係を示すグラフ
【図9】トナー濃度を10%に設定し、現像装置の後駆動時間を3秒に固定した場合の印字枚数とカブリ濃度との関係を示すグラフ
【図10】トナー濃度を10%に設定し、現像装置の後駆動時間を印字率の増加に応じて延長した場合の印字枚数とカブリ濃度との関係を示すグラフ
【図11】本発明の画像形成装置における現像装置の後駆動制御手順の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の現像装置が搭載された画像形成装置の概略断面図であり、ここではタンデム方式のカラー画像形成装置について示している。カラープリンタ100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、Pc及びPdが、搬送方向上流側(図1では右側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの画像を順次形成する。
【0025】
この画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1c及び1dが配設されており、さらに駆動手段(図示せず)により図1において時計回りに回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa〜Pdに隣接して設けられている。これらの感光体ドラム1a〜1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a〜1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次一次転写されて重畳された後、二次転写ローラ9の作用によって記録媒体の一例としての転写紙P上に二次転写され、さらに、定着部13において転写紙P上に定着された後、装置本体より排出される。感光体ドラム1a〜1dを図1において反時計回りに回転させながら、各感光体ドラム1a〜1dに対する画像形成プロセスが実行される。
【0026】
トナー像が転写される転写紙Pは、装置下部の用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラ12a及びレジストローラ対12bを介して二次転写ローラ9と後述する中間転写ベルト8の駆動ローラ11とのニップ部へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが主に用いられる。また、中間転写ベルト8の回転方向において二次転写ローラ9の下流側には、中間転写ベルト8表面に残存するトナー等を除去するためのブレード状のベルトクリーナ19が配置されている。
【0027】
次に、画像形成部Pa〜Pdについて説明する。回転自在に配設された感光体ドラム1a〜1dの周囲及び下方には、感光体ドラム1a〜1dを帯電させる帯電器2a、2b、2c及び2dと、各感光体ドラム1a〜1dに画像情報を露光する露光装置5と、感光体ドラム1a〜1d上にトナー像を形成する現像装置3a、3b、3c及び3dと、感光体ドラム1a〜1d上に残留した現像剤(トナー)等を除去するクリーニング部7a、7b、7c及び7dが設けられている。
【0028】
パソコン等の上位装置から画像データが入力されると、先ず、帯電器2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させ、次いで露光装置5によって画像データに応じて光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置3a〜3dには、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のトナーを含む二成分現像剤が所定量充填されている。なお、後述のトナー像の形成によって各現像装置3a〜3d内に充填された二成分現像剤中のトナーの割合が規定値を下回った場合にはトナーコンテナ4a〜4dから各現像装置3a〜3dにトナーが補給される。この現像剤中のトナーは、現像装置3a〜3dにより感光体ドラム1a〜1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光装置5からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0029】
そして、一次転写ローラ6a〜6dに所定の転写電圧を付与することにより、感光体ドラム1a〜1d上のイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナー等がクリーニング部7a〜7dにより除去される。
【0030】
中間転写ベルト8は、上流側の搬送ローラ10と、下流側の駆動ローラ11とに掛け渡されており、駆動モータ(図示せず)による駆動ローラ11の回転に伴い中間転写ベルト8が時計回りに回転を開始すると、転写紙Pがレジストローラ12bから所定のタイミングで駆動ローラ11とこれに隣接して設けられた二次転写ローラ9とのニップ部(二次転写ニップ部)へ搬送され、中間転写ベルト8上のフルカラー画像が転写紙P上に転写される。トナー像が転写された転写紙Pは定着部13へと搬送される。
【0031】
定着部13に搬送された転写紙Pは、定着ローラ対13aにより加熱及び加圧されてトナー像が転写紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写紙Pは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられる。転写紙Pの片面のみに画像を形成する場合は、そのまま排出ローラ15によって排出トレイ17に排出される。
【0032】
一方、転写紙Pの両面に画像を形成する場合は、定着部13を通過した転写紙Pは分岐部14で用紙搬送路18に振り分けられ、画像面を反転させた状態で二次転写ニップ部に再搬送される。そして、中間転写ベルト8上に形成された次の画像が二次転写ローラ9により転写紙Pの画像が形成されていない面に転写され、定着部13に搬送されてトナー像が定着された後、排出トレイ17に排出される。
【0033】
図2は、本発明の現像装置の構成を示す側面断面図であり、図3は、現像装置の平面断面図(図2におけるAA′矢視断面図)である。なお、ここでは図1の画像形成部Paに配置される現像装置3aについて説明するが、画像形成部Pb〜Pdに配置される現像装置3b〜3dの構成についても基本的に同様であるため説明を省略する。
【0034】
図2及び図3に示すように、現像装置3aは、二成分現像剤(以下、単に現像剤と呼ぶ)が収納される現像容器20を備えており、現像容器20は仕切壁20aによって第1及び第2攪拌室20b、20cに区画されている。第1及び第2攪拌室20b、20cにはトナーコンテナ4a(図1参照)から供給されるトナー(正帯電トナー)をキャリアと混合して撹拌し、帯電させるための第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bが回転可能に配設されている。
【0035】
そして、第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bによって現像剤が攪拌されつつ軸方向(図3の矢印B、C方向)に搬送され、仕切壁20aの両端部に形成された現像剤通過路30a、30bを介して第1及び第2攪拌室20b、20c間を循環する。即ち、第1及び第2攪拌室20b、20c、現像剤通過路30a、30bによって現像容器20内に現像剤の循環経路が形成されている。
【0036】
現像容器20は図2の左斜め上方に延在しており、現像容器20内において第1攪拌スクリュー21aの上方には磁気ローラ22が配置され、磁気ローラ22の左斜め上方には現像ローラ23が対向配置されている。そして、現像ローラ23は現像容器20の開口側(図2の左側)において感光体ドラム1aに対向しており、磁気ローラ22及び現像ローラ23はそれぞれの回転軸周りに関して図中時計回りに回転する。
【0037】
第2攪拌室20cには第2攪拌スクリュー21bと対面してトナー濃度センサ31が配置されており、トナー補給口20dの近傍にはトナーコンテナ4a(図1参照)からトナーを所定の速度で補給するためのトナー補給モータ27が配設されている。図3に示すように、トナー補給口20dは平面的に見て第2攪拌室20cの端部に配置されている。
【0038】
トナー濃度センサ31としては、現像容器20内におけるトナーと磁性キャリアからなる二成分現像剤の透磁率を検出する透磁率センサが用いられる。ここで、トナー濃度とは現像剤中の磁性キャリアに対するトナーの比率(T/C)のことであり、本実施形態においては、トナー濃度センサ31により現像剤の透磁率を検出し、その検出結果に相当する電圧値を後述する制御部90(図5参照)に出力するよう構成されており、制御部90によってトナー濃度センサ31の出力値からトナー濃度が決定されるようになっている。制御部90は、決定されたトナー濃度に応じてトナー補給モータ27に制御信号を送信し、トナー補給口20dから現像容器20内に所定量のトナーを補給する。
【0039】
センサ出力値はトナー濃度に応じて変化し、トナー濃度が高くなるほど磁性キャリアに対するトナーの比率が高くなり、磁気を通さないトナーの割合が増加するため出力値が低くなる。一方、トナー濃度が低くなるほどキャリアに対するトナーの比率が低くなり、磁気を通すキャリアの割合が増加するため出力値が高くなる。
【0040】
磁気ローラ22は、非磁性の回転スリーブ22aと、回転スリーブに内包される複数の磁極(ここでは5極)を有する固定マグネットローラ体22bで構成されている。本実施形態では、固定マグネット体22bの磁極は、主極35、規制極(穂切り用磁極)36、搬送極37、剥離極38、及び汲上極39の5極構成である。
【0041】
現像ローラ23は、円筒状の現像スリーブ23aと、現像スリーブ23a内に固定された現像ローラ側磁極23bで構成されており、磁気ローラ22と現像ローラ23とはその対面位置(対向位置)において所定のギャップをもって対向している。現像ローラ側磁極23bは、固定マグネット体22bの対向する磁極(主極)35と異極性である。
【0042】
また、現像容器20には穂切りブレード25が磁気ローラ22の長手方向(図2の紙面表裏方向)に沿って取り付けられており、穂切りブレード25は、磁気ローラ22の回転方向(図中時計回り)において、現像ローラ23と磁気ローラ22との対向位置よりも上流側に位置付けられている。そして、穂切りブレード25の先端部と磁気ローラ22表面との間には僅かな隙間(ギャップ)が形成されている。
【0043】
現像ローラ23には、直流電圧(以下、Vslv(DC)という)及び交流電圧(以下、Vslv(AC)という)が印加され、磁気ローラ22には、直流電圧(以下、Vmag(DC)という)及び交流電圧(以下、Vmag(AC)という)が印加されている。これらの直流電圧及び交流電圧は、現像バイアス電源43からバイアス制御回路41(いずれも図5参照)を経由して現像ローラ23及び磁気ローラ22に印加される。制御部90は、バイアス制御回路41に制御信号を送信して現像バイアス電源43から印加されるVslv(DC)、Vslv(AC)及びVmag(DC)、Vmag(AC)を制御する。
【0044】
前述のように、第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bによって、現像剤が攪拌されつつ現像容器20内を循環してトナーを帯電させ、第1攪拌スクリュー21aによって現像剤が磁気ローラ22に搬送される。そして、磁気ローラ22上に磁気ブラシ(図示せず)を形成し、磁気ローラ22上の磁気ブラシは穂切りブレード25によって層厚規制された後、磁気ローラ22と現像ローラ23との対向部分に搬送され、磁気ローラ22に印加されるVmag(DC)と現像ローラ23に印加されるVslv(DC)との電位差ΔV、及び磁界によって現像ローラ23上にトナー薄層を形成する。
【0045】
現像ローラ23上のトナー層厚は現像剤の抵抗や磁気ローラ22と現像ローラ23との回転速度差等によっても変化するが、ΔVによって制御することができる。ΔVを大きくすると現像ローラ23上のトナー層は厚くなり、ΔVを小さくすると薄くなる。現像時におけるΔVの範囲は一般的に100V〜350V程度が適切である。
【0046】
図4は、現像ローラ23及び磁気ローラ22に印加されるバイアス波形の一例を示す図である。図4(a)に示すように、現像ローラ23には、Vslv(DC)にピークツーピーク値がVpp1である矩形波のVslv(AC)を重畳した合成波形Vslv(実線)が印加される。また、磁気ローラ22には、Vmag(DC)にピークツーピーク値がVpp2であり、且つVslv(AC)と位相の異なる矩形波のVmag(AC)を重畳した合成波形Vmag(破線)が印加される。
【0047】
従って、磁気ローラ22及び現像ローラ23間に印加される電圧は、図4(b)に示すようなVpp(max)とVpp(min)を有する合成波形Vmag−Vslvとなる。なお、Vmag(AC)はVslv(AC)よりもDuty比が大きくなるように設定される。実際には図4で示すような完全な矩形波ではなく、一部が歪んだ形状の交流電圧が印加される。
【0048】
磁気ブラシによって現像ローラ23上に形成されたトナー薄層は、現像ローラ23の回転によって感光体ドラム1a現像ローラ23との対向部分に搬送される。現像ローラ23にはVslv(DC)及びVslv(AC)が印加されているため、感光体ドラム1aとの間の電位差によってトナーが飛翔し、感光体ドラム1a上の静電潜像が現像される。
【0049】
現像に用いられずに残ったトナーは、再度現像ローラ23と磁気ローラ22との対向部分に搬送され、磁気ローラ22上の磁気ブラシによって回収される。そして、磁気ブラシは固定マグネットローラ体22bの同極部分で磁気ローラ22から引き剥がされた後、再び適正なトナー濃度で均一に帯電された二成分現像剤として磁気ローラ22上に磁気ブラシを形成し、穂切りブレード25へ搬送される。
【0050】
次に、本発明の画像形成装置の制御経路について説明する。図5は、本発明の画像形成装置に用いられる制御経路の一例を示すブロック図である。なお、カラープリンタ100を使用する上で装置各部の様々な制御がなされるため、カラープリンタ100全体の制御経路は複雑なものとなる。そこで、ここでは制御経路のうち、本発明の実施に必要となる部分を重点的に説明する。
【0051】
画像入力部40は、カラープリンタ100にパーソナルコンピュータ等から送信される画像データを受信する受信部である。画像入力部40より入力された画像信号はデジタル信号に変換された後、一時記憶部94に送出される。
【0052】
バイアス制御回路41は、帯電バイアス電源42、現像バイアス電源43、及び転写バイアス電源44と接続され、制御部90からの出力信号によりこれらの各電源を作動させるものであり、これらの各電源はバイアス制御回路41からの制御信号によって、帯電器2a〜2d、磁気ローラ22、現像ローラ23、一次転写ローラ6a〜6d、二次転写ローラ9に所定のバイアスを印加する。
【0053】
現像剤攪拌モータ45はギヤ列を介して現像装置3a〜3d内の第1及び第2攪拌スクリュー21a、21bに連結されており、制御部90からの制御信号に基づいて第1及び第2攪拌スクリュー21a、21bを駆動させる。なお、ギヤ列を介して現像剤攪拌モータ45を磁気ローラ22及び現像ローラ23にも連結しておくことで、磁気ローラ22及び現像ローラ23の駆動源と兼用することもできる。
【0054】
操作部50には、液晶表示部51、LED52が設けられており、液晶表示部51及びLED52は、カラープリンタ100の状態を示したり、画像形成状況や印刷部数を表示したりするようになっている。カラープリンタ100の各種設定はパーソナルコンピュータのプリンタドライバから行われる。
【0055】
その他、操作部50には、画像形成を中止する際等に使用するストップ/クリアボタン、カラープリンタ100の各種設定をデフォルト状態にする際に使用するリセットボタン等が設けられている。
【0056】
制御部90は、中央演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)91、読み出し専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)92、読み書き自在の記憶部であるRAM(Random Access Memory)93、一時的に画像データ等を記憶する一時記憶部94、カウンタ95、カラープリンタ100内の各装置に制御信号を送信したり操作部50からの入力信号を受信したりする複数(ここでは2つ)のI/F(インターフェイス)96、制御に必要な数値の演算処理を行う演算部97を少なくとも備えている。また、制御部90は、装置本体内部の任意の場所に配置可能である。
【0057】
また、制御部90は、カラープリンタ100における各部分、装置に対し、CPU91からI/F96を通じて制御信号を送信する。また、各部分、装置からその状態を示す信号や入力信号がI/F96を通じてCPU91に送信される。制御部90が制御する各部分、装置としては、例えば、画像形成部Pa〜Pd、露光装置5、定着部13、中間転写ベルト8、二次転写ローラ9、トナー補給モータ27、画像入力部40、バイアス制御回路41、現像剤攪拌モータ45、操作部50等が挙げられる。
【0058】
ROM92には、カラープリンタ100の制御用プログラムや、制御上の必要な数値等、カラープリンタ100の使用中に変更されることがないようなデータ等が収められている。RAM93には、カラープリンタ100の制御途中で発生した必要なデータや、カラープリンタ100の制御に一時的に必要となるデータ等が記憶される。また、RAM93(或いはROM92)には、トナー濃度センサ31の出力値や現像容器20内の現像剤循環速度等の、トナー補給制御に必要となるデータや、印字率と印字終了後における現像装置3a〜3dの駆動時間との関係を規定した後駆動時間設定テーブル(後述)も格納されている。カウンタ95は、印字枚数を積算してカウントする。
【0059】
演算部97は、トナー濃度センサ31の出力値から現像装置3a〜3d内のトナー濃度を算出して現像装置3a〜3dへのトナー補給量(トナー補給モータ27の駆動時間)を決定する。決定されたトナー補給量はCPU91に送信され、CPU91はトナー補給モータ27に制御信号を送信して所定時間(或いは所定回転数)だけ駆動させる。また、CPU91はトナー補給後のトナー濃度センサ31の出力値に基づいてトナーコンテナ4a〜4dの交換の要否を判定する。即ち、トナー補給後にトナー濃度センサ31の出力値が低下しない場合はトナーコンテナ4a〜4dが空であると判断してコンテナの交換を促す通知を行う。
【0060】
機外温度センサ60は、装置外部の温度を常に検出するものであり、例えば図1に示すように、発熱部分の影響を受けにくいトナーコンテナ4a側方の吸気ダクト(図示せず)近辺に設置されるが、装置外部の温度を正確に検出可能な他の場所に設置することもできる。
【0061】
上述したように、画像出力に応じて現像装置3a〜3d内のトナー濃度が検知され、トナー濃度が一定となるようにトナーが補給される。そして、新たに補給されたトナーを装置内の現像剤と十分に混合するために、画像出力が終了した後も現像装置3a〜3dの駆動を所定時間(以下、後駆動時間という)だけ継続させる。これにより、トナーの帯電性を安定させて直後の画像出力における濃度むらやトナー飛散、カブリ等の画像不良の発生を防止する。
【0062】
また、高印字率の画像を連続して出力した場合、現像装置内のトナーが多量に消費されてトナー濃度が急速に低下するため、一度に多量のトナーが現像容器20内に補給されることになる。そのため、印字率の高い色に対応する現像装置(例えばシアンの印字率が高い場合は現像装置3a)の後駆動時間を所定時間だけ延長する。これにより、補給されたトナーは現像容器20内のキャリアと混合されて十分に帯電されるため、直後の出力画像におけるカブリ等の画像不良の発生を防止することができる。
【0063】
一方、キャリアのトナーに対する帯電付与性能は環境温度に大きく依存する。そこで、本発明の画像形成装置では、環境温度に応じて現像装置3a〜3d内のトナー濃度の設定値を段階的に変更することとしている。具体的には、キャリアの帯電付与性能が低下する高温環境下ではトナー濃度を低く(例えば8%)設定し、キャリアの帯電付与性能が高くなる低温環境下ではトナー濃度を高く(例えば10%)設定する。
【0064】
図6及び図7は、現像装置内のトナー濃度の設定値を変化させたときの現像装置の後駆動時間とトナー帯電量との関係を示すグラフである。試験方法としては、図1に示した画像形成装置を用い、現像装置内のトナー濃度を8%及び10%に設定した。そして、それぞれ印字率5%、20%、30%、及び50%のテスト画像を印字して印字率に応じて消費される量のトナーを補給し、後駆動時間を段階的に変化させたときのトナー帯電量を測定した。トナー濃度8%での結果を図6に、トナー濃度10%での結果を図7に示す。なお、ここでは現像装置3a内のシアンの現像剤について調査した結果を示している。
【0065】
図6に示すように、トナー濃度が8%に設定されている場合、印字率5%(図の○で表示)、20%(図の△で表示)、30%(図の□で表示)、50%(図の◇で表示)のいずれにおいても後駆動時間3秒でトナー帯電量が15μC/g(図の破線で表示)に達した。一方、図7に示すように、トナー濃度が10%に設定されている場合、印字率5%では後駆動時間3秒で15μC/g(図の破線で表示)に達したのに対し、印字率20%(図の△で表示)では6秒、印字率30%(図の□で表示)では8秒、印字率50%(図の◇で表示)では9秒を要した。
【0066】
つまり、現像装置内のトナー濃度が高くなると、トナーの帯電量が所定値(ここでは15μC/g)に立ち上がるまでの後駆動時間も長くなっていることがわかる。この理由としては、トナー濃度が高くなるとキャリア粒子1個が帯電させるトナーの粒子数が増加し、トナーの帯電に要する時間も長くなるためであると考えられる。
【0067】
次に、印字率を段階的に変化させて連続印字を行ったときの印字枚数とカブリの発生との関係を調査した。試験方法としては、印字率5%、20%、30%、及び50%のテスト画像を連続して印字し、白紙(白ベタ)部分のFD(Fog Density;1000μm3当たりのかぶり粒子数×1000)を測定した。
【0068】
トナー濃度を8%に設定し、現像装置の後駆動時間を3秒に固定した場合の結果を図8に示す。また、トナー濃度を10%に設定し、現像装置の後駆動時間を3秒に固定した場合の結果を図9に示す。また、後駆動時間を印字率5%のとき3秒とし、20%のとき6秒、30%のとき8秒、50%のとき9秒に延長した場合、即ち、印字率の増加に応じてトナー帯電量が所定値(15μC/g)以上まで上がるのに必要な時間(図7参照)まで延長した場合の結果を図10に示す。
【0069】
さらに、トナー濃度を10%に設定した現像装置内10箇所の現像剤を50枚印字後にサンプリングし、トナー濃度を測定した結果を表1及び表2に示す。
【0070】
【表1】

【0071】
【表2】

【0072】
トナー濃度を8%に設定した場合は、図8に示すように、後駆動時間を延長しなくても、印字率5%〜50%の全てにおいて50枚連続印字後のFD値は許容値である10を下回った。これは、図6に示したようにトナー濃度が低い場合はトナーが帯電され易く、帯電の立ち上がりが早いためである。
【0073】
一方、トナー濃度を10%に設定し、後駆動時間を印字率に係わらず3秒とした場合は、図9に示すように、印字率が50%(図の◇で表示)のとき25枚連続印字後に、30%(図の□で表示)のとき30枚連続印字後に、20%(図の△で表示)のとき40枚連続印字後に、それぞれFD値が許容値である10を超えた。これに対し、印字率の増加に応じて後駆動時間を延長した場合は、図10に示すように、50枚連続印字後においても印字率5%〜50%の全てにおいてFD値は許容値である10を下回った。
【0074】
また、表1及び表2の比較から、印字率に応じて後駆動時間を延長した場合は、後駆動時間を延長しなかった場合に比べて現像装置内のトナー濃度のバラツキ及び標準偏差が小さくなっており、トナーが十分に混合されていることが確認された。
【0075】
以上の結果より、現像装置内のトナー濃度が高く、且つ高印字率の画像を出力した場合は、トナー消費量に合わせて補給されたトナーが十分に混合されず、トナーの帯電量低下によるカブリ現象や現像装置内のトナー濃度むらが発生することが明らかとなり、トナー帯電量低下は現像装置の後駆動時間を延長することで補償できることが確認された。なお、ここではシアンの現像剤についての結果のみ示したが、マゼンタ、イエロー、及びブラックの現像剤についても全く同様の結果が確認されている。
【0076】
そこで、本発明においては、現像装置内のトナー濃度及び印字率に基づいて、現像装置の後駆動時間を制御することとした。具体的には、機外温度センサ60により検知される環境温度に基づいて設定された現像装置3a〜3d内のトナー濃度の設定を確認し、トナー濃度の設定値が所定値以上であるときは、一時記憶部94内のデジタル信号(画像データ)に基づいて演算部97で画像毎の印字率Aを算出する。そして、出力される画像の印字率Aから現像装置3a〜3dの後駆動時間を決定する。
【0077】
後駆動時間設定テーブルの一例を表3に示す。後駆動時間設定テーブルはRAM93(又はROM92)に記憶されている。
【0078】
【表3】

【0079】
カブリ現象やトナー濃度むらを防止するために必要な現像装置の後駆動時間は印字率に比例して大きくなるため、表1に示すように、印字率が5%以下の場合は後駆動時間を基準値である3秒とし、印字率が高くなるほど現像装置の後駆動時間を長くする。これにより、印字率が高く、現像装置内に多量のトナーが一度に補給される場合にもトナーを十分に帯電させることができ、直後の印字における濃度上昇や濃度むら、トナー飛散、カブリ等の発生を効果的に抑制することができる。また、印字率が低い場合や、印字率が高くても現像装置内のトナー濃度の設定値が低い場合は後駆動時間が延長されないため、現像剤の不必要な攪拌をなくしてキャリアの劣化を抑制することができる。
【0080】
なお、ここでは環境温度に応じて現像装置内のトナー濃度の設定値を変更しているが、キャリアのトナーに対する帯電付与性能は、キャリアの使用開始時からの総トナー消費量にも依存しており、総トナー消費量は、画像1枚毎の印字率を積算した積算印字率、トナー補給モータ27の積算駆動時間(または積算回転数)やトナーコンテナ4a〜4dの交換回数から推定できる。従って、環境温度に代えて、或いは環境温度と共に積算印字率やトナーコンテナ交換時におけるトナー補給モータ27の積算駆動時間(または積算回転数)、トナーコンテナ4a〜4dの交換回数に基づいて現像装置内のトナー濃度設定を変更しても良い。
【0081】
また、キャリアの使用初期においてはトナーに対する帯電付与性能が高いため、高印字率の画像を出力した後も濃度上昇やカブリの発生は認められないが、印字動作の繰り返しによりキャリアに機械的なストレスが長期間加えられるとキャリアが劣化するため、キャリアの耐用期間の末期に近づくにつれて帯電付与性能が低下し、画像濃度の上昇やカブリ現象が発生し易くなる。上述の通り、キャリアの劣化度合いは使用開始時からの総トナー使用量に比例する。
【0082】
そこで、総トナー使用量に相関する積算印字率、トナー補給モータ27の積算駆動時間(または積算回転数)、トナーコンテナ4a〜4dの交換回数のいずれかが所定値を上回った時点で後駆動時間の延長制御を入れるようにしても良い。このようにすれば、キャリアの使用初期における不必要な現像剤の攪拌が回避されるため、キャリアの劣化をより効果的に抑制することができる。
【0083】
図11は、本発明の画像形成装置における現像装置の後駆動制御手順の一例を示すフローチャートである。図1〜図5を参照しながら、図11のステップに沿って現像装置の予備駆動を実行する手順について説明する。
【0084】
パソコン等から制御部90に印字命令が入力されると、CPU91から装置各部に制御信号を送信し、感光体ドラム1a〜1d、現像装置3a〜3d、クリーニング部7a〜7d、中間転写ベルト8等を駆動して印字動作を開始する(ステップS1)。同時に、現像装置3a〜3d内のトナー濃度の設定値を確認し、トナー濃度が高濃度設定(ここでは10%)であるか否かを判断する(ステップS2)。
【0085】
トナー濃度が10%である場合は、画像入力部40から入力され一時記憶部94に保管された画像データを読み出し、演算部97において出力画像中の各色の印字率Aを算出する(ステップS3)。次に、算出された各色の印字率が所定値(ここでは5%)以上であるか否かが判断され(ステップS4)、印字率5%以上の色がある場合は、CPU91はRAM93(又はROM92)に記憶されている後駆動時間設定テーブル(表3参照)を用いて5%以上の色に対応する現像装置3a〜3dの後駆動時間を延長する(ステップS5)。
【0086】
例えば、出力画像中のシアン、マゼンタ、イエローの印字率が3%、ブラックの印字率が15%である場合、現像装置3a〜3cの後駆動時間は基準値(ここでは3秒)から変更せず、現像装置3dの後駆動時間を6秒に延長する。また、ステップS4において印字率5%以上の色がない場合は、現像装置3a〜3dの後駆動時間を3秒として次のステップに進む。
【0087】
その後、感光体ドラム1a〜1d上にトナー像を形成し、形成されたトナー像を中間転写ベルト8、転写紙Pに順次転写する画像出力動作を開始する(ステップS6)。画像出力が終了した後、現像装置3a〜3dの後駆動を行う(ステップS7)。その後、各現像装置3a〜3dにおいて、ステップS5で決定された所定の後駆動時間が経過するまで駆動が継続される(ステップS8)。一方、ステップS2においてトナー濃度が低濃度設定(ここでは8%)である場合は、印字率に係わらず現像装置3a〜3dの後駆動時間を基準値の3秒から延長せず、画像出力及び現像装置3a〜3dの後駆動を行う(ステップS6〜S8)。
【0088】
上記の制御により、現像装置内のトナー濃度の設定値、及び出力される画像の印字率に基づいて、現像装置の予備駆動時間を基準値(3秒)から所定時間延長した適正な後駆動時間が決定されるため、現像装置内のキャリアの劣化を極力抑えつつ、濃度上昇やカブリ現象が抑制された高画質な画像を形成することができる。
【0089】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、本発明は図2に示したような磁気ローラ22と現像ローラ23を備えた現像装置に限定されるものではなく、トナー成分と磁性キャリアとから成る二成分現像剤を用いた種々の現像装置のトナーコンテナ交換時における予備駆動時間の設定に適用可能である。
【0090】
また、本発明は図1に示したタンデム式のカラープリンタに限らず、デジタル或いはアナログ方式のモノクロ複写機、モノクロプリンタ、カラー複写機、ファクシミリ等、二成分現像方式を用いた種々の画像形成装置に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、二成分現像剤を用いる現像装置の駆動制御に利用可能であり、現像容器内のトナー濃度を複数の濃度段階に設定するとともに、設定されたトナー濃度が所定値以上である場合は出力画像の印字率の増加に伴い印字終了後における現像装置の後駆動時間を基準値から延長する画像形成装置である。
【0092】
これにより、トナー補給量に関係する出力画像の印字率に応じて現像装置の後駆動時間を適正に設定できるため、高印字率画像の出力直後における画像濃度の上昇やカブリ現象を効果的に抑制可能であり、且つトナー濃度の設定値が低く短時間でトナーの帯電が可能な場合は不必要な後駆動を制限してキャリアの劣化も抑制できる画像形成装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0093】
Pa〜Pd 画像形成部
1a〜1d 感光体ドラム
3a〜3d 現像装置
4a〜4d トナーコンテナ(トナー貯留手段)
20 現像容器
21a 第1攪拌スクリュー(攪拌搬送部材)
21b 第2攪拌スクリュー(攪拌搬送部材)
22 磁気ローラ(現像剤担持体)
23 現像ローラ
25 穂切りブレード
27 トナー補給モータ(補給手段)
31 トナー濃度センサ
45 現像剤攪拌モータ
60 機外温度センサ(温度検知手段)
90 制御部
91 CPU(制御手段)
97 演算部(演算手段)
100 カラープリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアとトナーとを含む二成分現像剤を収容する現像容器と、該現像容器内に回転自在に支持され表面に現像剤を担持する現像剤担持体と、前記現像容器内の現像剤を撹拌搬送する撹拌搬送部材と、を有し、印字終了毎に所定の後駆動時間だけ駆動を継続する現像装置と、
該現像装置に補給するトナーを貯留するトナー貯留手段と、
該トナー貯留手段内のトナーを前記現像装置に補給する補給手段と、
前記現像装置により現像される画像1枚毎の印字率を算出する演算手段と、
前記現像容器内のトナー濃度を複数の濃度段階に設定するとともに、設定されたトナー濃度が所定値以上である場合は前記演算手段により算出された印字率の増加に伴い前記後駆動時間を基準値から延長する制御手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記演算手段により算出された印字率が所定値以上のとき前記後駆動時間を基準値から延長することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
装置本体外部の環境温度を検知する温度検知手段を備え、前記制御手段は、前記温度検知手段により検知された環境温度に基づいて前記現像容器内のトナー濃度を設定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記演算手段により算出される画像1枚毎の印字率を積算した積算印字率、前記補給手段の積算駆動時間、前記補給手段の積算駆動回数のいずれかに基づいて前記現像容器内のトナー濃度を設定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記トナー貯留手段は装置本体に対し着脱可能に設けられており、前記制御手段は、前記トナー貯留手段の交換回数に基づいて前記現像容器内のトナー濃度を設定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記演算手段により算出される画像1枚毎の印字率を積算した積算印字率、前記補給手段の積算駆動時間、前記補給手段の積算駆動回数のいずれかが所定値に到達した時点から前記後駆動時間を基準値から延長する制御を実行することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−112657(P2011−112657A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265853(P2009−265853)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】