説明

画像形成装置

【課題】トナーを無駄に消費することなく像担持体に付着した離型促進剤による白抜けの発生を確実に抑えることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】クリーニング部材の累積使用時間及び像担持体の累積使用時間の少なくとも一方に応じて、離型促進剤吸収用のトナー像の形成条件を変化させる。離型促進剤吸収用のトナー像の形成条件は離型促進剤吸収用のトナー像の形成に用いるトナー量であってもよい。例えば、クリーニング部材の累積使用時間及び像担持体の累積使用時間の少なくとも一方が長くなるほど離型促進剤吸収用のトナー像の形成に用いるトナー量を多くする。離型促進剤吸収用のトナー像の形成対象領域における全ドットの面積率を変化させることにより、離型促進剤吸収用のトナー像の形成に用いるトナー量を変化させてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録部材の両面に画像を形成可能な画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置として、中間転写ベルト等の像担持体に対して記録部材を密着させながら像担持体上のトナー像を記録部材の第1面に転写する転写手段と、記録部材に密着して加熱するための定着部材を用いて記録部材の第1面上のトナー像を定着する定着手段と、第1面のトナー像が定着された記録部材の第2面(裏面)にトナー像を転写するように記録部材を反転させながら転写手段に再送する再送手段と、定着部材に対するトナーの融着を抑えるため定着部材に離型促進剤としてのオイルを塗布するオイル塗布機構とを備えたものが知られている。
【0003】
しかしながら、上記再送手段とオイル塗布機構とを備えた画像形成装置では、記録部材の第1面上のトナー像を定着するときに定着部材の表面上のオイルが記録部材に転移する。そして、この記録部材を再送手段によって反転させながら転写手段に再送したときに、上記記録部材に転移したオイルが、像担持体やこれに当接する転写ローラ等の当接部材に転移する。この当接部材と像担持体とに挟まれて搬送されている記録部材が両者の当接箇所を通過し終わると、当接部材と像担持体とが接触するため、当接部材に転移したオイルは像担持体に転移する。このように像担持体にオイルが転移して付着すると、その像担持体のオイル付着箇所におけるトナー付着性が著しく低下し白抜けが発生するおそれがある。
【0004】
このような像担持体にオイルが付着することによる白抜けの発生を抑え得る画像形成装置として、特許文献1に記載の画像形成装置が知られている。この画像形成装置は、感光体の表面上にY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(黒)のトナー像を順次形成しながら、それらを像担持体としての中間転写ベルトの表面に順次転写して4色トナー像を得る。そして、その4色トナー像を転写装置によって記録紙の第1面に一括転写する。この第1面にカラー画像を転写した記録紙は、定着装置に送られて第1面上のカラー画像が定着された後、再送装置によって転写装置に再送される。そして、転写装置により記録紙の第2面に4色トナー像が転写される。このとき、先の第1面上のトナー像の定着処理時に記録紙に付着したオイルが記録紙から中間転写ベルトに転移してしまうが、この中間転写ベルトに付着したオイルはプリントジョブの終了後にベルト表面から除去される。具体的には、プリントジョブが終了すると、中間転写ベルト表面からオイルを除去するための除去動作が実施される。この除去動作では、プリントジョブ時に中間転写ベルトから離間させていたトナー塗布装置を中間転写ベルトに当接させる。このトナー塗布装置は、回転駆動する塗布ブラシをトナー収容部内のトナーと中間転写ベルトとの両方に接触させることにより、中間転写ベルトの表面にオイル吸収用のトナーを塗布する。中間転写ベルト表面に塗布されたトナーは、そのベルト表面上のオイルを吸収する。中間転写ベルトには、上述した転写装置を経由した後のベルト表面に残留している転写残トナーを除去するためのクリーニング装置が当接している。このクリーニング装置により、中間転写ベルト表面上のオイルを吸収したトナーが掻き取られる。このように中間転写ベルトの表面からオイルが除去されることにより白抜けの発生が抑えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、本発明者らが像担持体(中間転写ベルト)に付着したオイルをオイル吸収用のトナーで除去する画像形成装置を用い複数の記録部材について両面モードの画像形成を繰り返し行ったところ、上記オイル吸収用のトナーによるオイル除去能力が経時的に変化することがわかった。オイル除去能力が低下すると、上記離型促進剤による白抜けの発生を確実に抑えることが難しい。
また、オイル吸収用のトナーの量によってもオイル除去効果が変化し、例えばオイル吸収用のトナー量が多いほどオイル除去効果が高くトナー量が少ないほどオイル除去効果は小さくなると考えられる。常時十分なオイル除去能力を確保するために、像担持体に塗布するオイル吸収用のトナーの量を、オイル除去能力が小さい場合にあわせて設定しておくことが考えられる。しかしながら、オイル除去能力が高い状態にあるときにはトナーを無駄に消費することになる。
【0006】
本発明は以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、トナーを無駄に消費することなく像担持体に付着した離型促進剤による白抜けの発生を確実に抑えることができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、像担持体の移動する表面にトナー像を形成する像形成手段と、該表面に記録部材を密着させながら該表面上のトナー像を該記録部材に転写する転写手段と、該転写手段を経由した後の該記録部材に定着部材を密着させながら、該記録部材にトナー像を定着させる定着手段と、該定着部材の表面にトナーの離型促進剤を付与する付与手段と、該定着手段を経由して第1面にトナー像が定着された該記録部材に対してその第2面にトナー像の転写処理及び定着処理を施すために、該記録部材を反転させながら該転写手段に向けて再送する再送手段と、該像担持体の表面の移動方向における全領域のうち、該転写手段による転写位置を通過した後、該像形成手段による像形成位置に進入する前の領域、に対してクリーニング部材を当接させてトナーのクリーニング処理を施すクリーニング手段とを備え、記録部材の第1面に対してだけトナー像を形成する片面モードと、該再送手段による再送を実行することで記録部材の両面にそれぞれトナー像を形成する両面モードとを切り替えて実行することができ、該両面モードの実行命令を受けたことに基づいて、該像形成手段によって離型促進剤吸収用のトナー像を形成し、該離型促進剤吸収用のトナー像が形成された該像担持体表面の領域を該転写手段による転写位置に進入させているときには該転写手段による転写処理を中断する制御を実施する画像形成装置であって、上記クリーニング部材の累積使用時間及び上記像担持体の累積使用時間の少なくとも一方に応じて、上記離型促進剤吸収用のトナー像の形成条件を変化させることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記離型促進剤吸収用のトナー像の形成条件は、上記離型促進剤吸収用のトナー像の形成に用いるトナー量であり、上記クリーニング部材の累積使用時間及び上記像担持体の累積使用時間の少なくとも一方が長くなるほど、上記離型促進剤吸収用のトナー像の形成に用いるトナー量を多くすることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の画像形成装置において、上記離型促進剤吸収用のトナー像の形成対象領域における全ドットの面積率を変化させることにより、該離型促進剤吸収用のトナー像の形成に用いるトナー量を変化させることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかの画像形成装置において、上記離型促進剤吸収用のトナー像を形成する上記像担持体の表面の領域は、記録部材の第1面に密着する領域と該記録部材の第2面に密着する領域との間の記録面間領域、及び先行して搬送される記録部材の第2面に密着する領域と後続の記録部材の第1面に密着する領域との間の記録面間領域の少なくとも一方の記録面間領域であることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れかの画像形成装置において、上記離型促進剤吸収用のトナー像が形成された上記像担持体表面の領域を上記転写手段による転写位置に進入させているときには該転写手段による転写処理を中断することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明においては、オイル除去能力の変化に影響を及ぼすクリーニング部材の累積使用時間及び像担時体の累積使用時間の少なくとも一方に応じて、離型促進剤吸収用のトナー像の形成条件を変化させることにより、トナー像の形成に用いるトナー量を過不足なく、像担持体に付着した離型促進剤による白抜けの発生を抑制可能な適正量にすることができる。よって、無駄にトナーを消費することなく像担持体に付着した離型促進剤による白抜けの発生を確実に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。
【図2】同プリンタの定着装置を示す拡大構成図。
【図3】同プリンタのベルトクリーニング装置を中間転写ベルトとともに示す拡大構成図。
【図4】同プリンタのブレードクリーニング位置と、その周囲構成とを拡大して示す拡大構成図。
【図5】クリーニングブレードの累積使用時間とオイル除去能力の関係を表すグラフ。
【図6】クリーニングブレードの累積使用時間と磨耗量の関係を表すグラフ。
【図7】クリーニングブレードの磨耗量とオイル除去能力の関係を表すグラフ。
【図8】オイル吸収用トナー量とオイル除去能力の関係を表すグラフ。
【図9】クリーニングブレードの累積使用時間と必要オイル吸収用トナー量の関係を表すグラフ。
【図10】中間転写ベルト累積使用時間と必要オイル吸収用トナー量の関係を表すグラフ。
【図11】オイル吸収用のトナー像を形成する形成条件を変化させるための制御部及びその周辺の構成の一例を示す機能ブロック図。
【図12】オイル吸収用のトナー像を形成する手順の一例を示すフローチャート。
【図13】オイル吸収用のトナー像の網点のドットマトリクスの一例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を電子写真方式によって画像を形成する画像形成装置としてのプリンタに適用した実施形態について説明する。
まず、実施形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。図1は、実施形態に係るプリンタの一例を示す概略構成図である。このプリンタは、2つの光書込ユニット1YM、1CKと、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)のトナー像を形成するための4つのプロセスユニット2Y,M,C,Kとを備えている。また、給紙路30、転写前搬送路31、手差し給紙路32、手差しトレイ33、レジストローラ対34、搬送ベルトユニット35、定着装置40、搬送切替装置50、排紙路51、排紙ローラ対52、排紙トレイ53、第1給紙カセット101、第2給紙カセット102、再送装置等も備えている。
【0011】
第1給紙カセット101,第2給紙カセット102は、それぞれ内部に記録部材としての記録紙Pの束を収容している。そして、給紙ローラ101a,102aの回転駆動により、紙束における一番上の記録紙Pを給紙路30に向けて送り出す。この給紙路30には、後述する2次転写ニップの直前で記録紙を搬送するための転写前搬送路34が続いている。給紙カセット(101,102)から送り出された記録紙Pは、給紙路30を経て転写前搬送路34に進入する。
【0012】
プリンタ筺体における側面には、手差しトレイ33が筺体に対して開閉可能に配設されており、筺体に対して開いた状態でトレイ上面に紙束が手差しされる。手差しされた紙束における一番上の記録紙Pは、手差しトレイ33の送出ローラによって転写前搬送路34に向けて送り出される。
【0013】
2つの光書込ユニット1YM,1CKは、それぞれ、レーザーダイオード、ポリゴンミラー、各種レンズなどを有しており、プリンタ外部のスキャナによって読み取られた画像情報や、パーソナルコンピュータから送られてくる画像情報に基づいて、レーザーダイオードを駆動する。そして、プロセスユニット2Y,M,C,Kの感光体3Y,M,C,Kを光走査する。具体的には、プロセスユニット2Y,M,C,Kの感光体3Y,M,C,Kは、図示しない駆動手段によってそれぞれ図中反時計回り方向に回転駆動される。光書込ユニット1YMは、駆動中の感光体3Y,Mに対して、レーザー光をそれぞれ回転軸線方向に偏向させながら照射することで、光走査処理を行う。これにより、感光体3Y,Mには、Y,M画像情報に基づいた静電潜像が形成される。また、光書込ユニット1CKは、駆動中の感光体3C,Kに対して、レーザー光をそれぞれ回転軸線方向に偏向させながら照射することで、光走査処理を行う。これにより、感光体3C,Kには、C,K画像情報に基づいた静電潜像が形成される。
【0014】
プロセスユニット2Y,M,C,Kはそれぞれ、潜像担持体としてのドラム状の感光体3Y,M,C,Kを有している。また、プロセスユニット2Y,M,C,Kはそれぞれ、感光体3Y,M,C,Kの周囲に配設される各種機器とを1つのユニットとして共通の支持体に支持するものであり、それらがプリンタ部本体に対して着脱可能になっている。各プロセスユニット2Y,M,C,Kは、互いに使用するトナーの色が異なる点の他が同様の構成になっている。Y用のプロセスユニット2Yを例にすると、これは、感光体3Yの他、これの表面に形成された静電潜像をYトナー像に現像するための現像装置4Yを有している。また、回転駆動される感光体3Yの表面に対して一様帯電処理を施す帯電装置5Yや、後述するY用の1次転写ニップを通過した後の感光体3Y表面に付着している転写残トナーをクリーニングするドラムクリーニング装置6Yなども有している。
【0015】
図示のプリンタは、4つのプロセスユニット2Y,M,C,Kを、後述する中間転写ベルト61に対してその無端移動方向に沿って並べたいわゆるタンデム型の構成になっている。
【0016】
感光体3Yとしては、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材の塗布による感光層を形成したドラム状のものを用いている。但し、無端ベルト状のものを用いてもよい。
【0017】
現像装置4Yは、図示しない磁性キャリアと非磁性のYトナーとを含有する二成分現像剤(以下、単に「現像剤」という。)を用いて潜像を現像するものである。現像装置4Yとして、二成分現像剤の代わりに、磁性キャリアを含まない一成分現像剤によって現像を行うタイプのものを使用してもよい。現像装置4Yに対しては、図示しないYトナー補給装置により、Yトナーボトル103Y内のYトナーが適宜補給される。
【0018】
ドラムクリーニング装置6Yとしては、クリーニング部材であるポリウレタンゴム製のクリーニングブレードを感光体3Yに押し当てる方式のものを用いているが、他の方式のものを用いてもよい。クリーニング性を高める目的で、本プリンタでは、回転自在なファーブラシを感光体3Yに当接させる方式のものを採用している。このファーブラシは、図示しない固形潤滑剤から潤滑剤を掻き取って微粉末にしながら感光体3Y表面に塗布する役割も兼ねている。
【0019】
感光体3Yの上方には、図示しない除電ランプが配設されており、この除電ランプもプロセスユニット2Yの一部になっている。除電ランプは、ドラムクリーニング装置6Yを通過した後の感光体3Y表面を光照射によって除電する。除電された感光体3Yの表面は、帯電装置5Yによって一様に帯電された後、上述した光書込ユニット1YMによる光走査が施される。なお、帯電装置5Yは、図示しない電源から帯電バイアスの供給を受けながら回転駆動するものである。かかる方式に代えて、感光体3Yに対して非接触で帯電処理を行うスコロトロンチャージャ方式を採用してもよい。
【0020】
以上、Y用のプロセスユニット2Yについて説明したが、M,C,K用のプロセスユニット2M,C,Kも、Y用のものと同様の構成になっている。
【0021】
4つのプロセスユニット2Y,M,C,Kの下方には、転写ユニット60が配設されている。この転写ユニット60は、複数のローラによって張架している像担持体としての中間転写ベルト61を、感光体3Y,M,C,Kに当接させながら、何れか1つのローラの回転駆動によって図中時計回り方向に無端移動させる。これにより、感光体3Y,M,C,Kと中間転写ベルト61とが当接するY,M,C,K用の1次転写ニップが形成されている。
【0022】
Y,M,C,K用の1次転写ニップの近傍では、ベルトループ内側に配設された1次転写部材としての1次転写ローラ62Y,M,C,Kによって中間転写ベルト61を感光体3Y,M,C,Kに向けて押圧している。これら1次転写ローラ62Y,M,C,Kには、それぞれ図示しない電源によって1次転写バイアスが印加されている。これにより、Y,M,C,K用の1次転写ニップには、感光体3Y,M,C,K上のトナー像を中間転写ベルト61に向けて静電移動させる1次転写電界が形成されている。
【0023】
図中時計回り方向の無端移動に伴ってY,M,C,K用の1次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト61のおもて面には、各1次転写ニップでトナー像が順次重ね合わせて1次転写される。この重ね合わせの1次転写により、中間転写ベルト61のおもて面には4色重ね合わせトナー像(以下「4色トナー像」という。)が形成される。
【0024】
中間転写ベルト61の図中下方には、2次転写部材としての2次転写ローラ72が配設されている。この2次転写ローラ72は、中間転写ベルト61における2次転写バックアップローラ68に対する掛け回し箇所にベルトおもて面から当接して2次転写ニップを形成している。これにより、中間転写ベルト61のおもて面と2次転写ローラ72とが当接する2次転写ニップが形成されている。
【0025】
2次転写ローラ72には図示しない電源によって2次転写バイアスが印加されている。一方、ベルトループ内の2次転写バックアップローラ68は接地されている。これにより、2次転写ニップ内に2次転写電界が形成されている。
【0026】
2次転写ニップの図中右側方には、上述のレジストローラ対34が配設されており、ローラ間に挟み込んだ記録紙Pを中間転写ベルト61上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで2次転写ニップに送り出す。2次転写ニップ内では、中間転写ベルト61上の4色トナー像が2次転写電界やニップ圧の影響によって記録紙Pに一括2次転写され、記録紙Pの白色と相まってフルカラー画像となる。
【0027】
2次転写ニップを通過した中間転写ベルト61のおもて面には、2次転写ニップで記録紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、中間転写ベルト61に当接するベルトクリーニング装置75によってクリーニングされる。
【0028】
2次転写ニップを通過した記録紙Pは、中間転写ベルト61から離間して、搬送ベルトユニット35に受け渡される。この搬送ベルトユニット35は、無端状の搬送ベルト36を駆動ローラ37と従動ローラ38とによって張架しながら、駆動ローラ37の回転駆動によって図中反時計回り方向に無端移動させる。そして、2次転写ニップから受け渡された記録紙Pを搬送ベルト上部の張架面に保持しながら、搬送ベルト36の無端移動に伴って搬送して定着手段としての定着装置40に受け渡す。
【0029】
図2は、定着装置40の一例を示す拡大構成図である。定着装置40は、定着ローラ41、定着ベルト42、弾性駆動ローラ43、加熱ローラ44、トナー除去ユニット45、オイル塗布ローラ46、オイル供給ローラ47、オイル浸透フェルト48、オイル受け皿49等を有している。
【0030】
無端状の定着ベルト42は、弾性駆動ローラ43と、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する加熱ローラ44とに掛け回された状態で、弾性駆動ローラ43の図中時計回り方向の回転駆動に伴って、図中時計回り方向に無端移動する。そして、加熱ローラ44に対する掛け回し位置で、加熱ローラ44によって加熱される。加熱ローラ44の発熱源に対する電源供給のオン、オフは、図示しない定着温度制御部によって制御される。この定着温度制御部は、定着ベルト42の表面温度を検知する図示しない温度センサによる検知結果が所定値になるように、前述の電源供給をオン、オフ制御する。
【0031】
無端移動する定着ベルト42における弾性駆動ローラ43に対する掛け回し箇所には、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ41が当接して定着ニップが形成される。定着ローラ41は、上記定着ニップを形成しながら、図中反時計回り方向に回転駆動されている。定着ローラ41の発熱源に対する電源供給のオン、オフも、定着温度制御部によって制御される。定着温度制御部は、定着ローラ41の表面温度を検知する図示しない温度センサによる検知結果が所定値になるように、前述の電源供給をオン、オフ制御する。
【0032】
上述した2次転写ニップを通過した記録紙Pは、定着装置40内に送られて定着ニップに挟み込まれる。そして、加圧や加熱などの作用により、記録紙P上のトナー像の定着処理が施される。
【0033】
定着ニップを通過した後の定着ベルト42には、トナー除去ユニット45のクリーニングウェブが当接している。このクリーニングウェブにより、定着ベルト42の表面に付着してしまったトナーが拭き取られる。なお、トナー除去ユニット45は、帯状のウェブを巻き付けロールに巻き付けている。そして、この巻き付けロールから引き伸ばされたウェブを、巻き取りロールの回転によって巻き取ることができる。ウェブにおける巻き付けロールと、巻き取りロールとの間の箇所を定着ベルト42に当接させており、その箇所の汚れの度合い(拭き取り動作時間)が進行するのに応じて、適宜量のウェブを巻き取りロールで巻き取ることで、ウェブの汚れていない箇所を定着ベルト42に当接させる。
【0034】
定着ベルト42における加熱ローラ44に対する掛け回し箇所には、オイル塗布ローラ46が当接している。このオイル塗布ローラ46は、定着ベルト42の表面に当接しながら回転することで、離型促進剤としてのオイル(例えば、シリコーンオイル)を同表面に塗布する。
【0035】
オイル塗布ローラ46の近傍には、オイル受け皿49、オイル浸透フェルト48、及びオイル供給ローラ47が配設されている。オイル受け皿49内には、オイルが貯留されている。このオイル受け皿49には、所定の高さ位置でオイル受け皿49内のオイルをオーバーフローさせる図示しないオーバーフロー管が設けられている。オイル受け皿49に対しては、図示しないオイル補給装置によってオイルが定期的に補給されるが、このとき、余剰のオイルは前述のオーバーフロー管を経由してオイル補給装置に戻される。
【0036】
オイル受け皿49内のオイルには、オイル浸透フェルト48が部分的に浸かっている。このオイル浸透フェルト48は、オイルに対する非浸透箇所に対して、毛細管現象によってオイルを染み込ませる。
【0037】
オイル供給ローラ47は、オイル浸透フェルト48とオイル塗布ローラ46とに当接した状態で回転することにより、オイル浸透フェルト48から拭い取ったオイルを、オイル塗布ローラ46に塗布する。これにより、定着ベルト42に対するオイル塗布によってオイルを失ったオイル塗布ローラ46表面に、新たなオイルが供給される。
【0038】
定着装置40は、以上のようにして定着ベルト42にオイルを塗布することで、定着ベルト42に対するトナーのオフセットを抑えている。また、定着ベルト42に塗布したオイルを、記録紙Pが挟み込まれていない定着ニップで定着ローラ41に転移させることで、定着ローラ41に対するトナーのオフセットも抑えている。
【0039】
先に示した図1において、2次転写ニップで第1面にトナー像が転写され、且つ定着装置40でその第1面にトナー像が定着された記録紙Pは、搬送切替装置50に向けて送り出される。
【0040】
本プリンタにおいては、搬送切替装置50、再送路54、スイッチバック路55、スイッチバック後搬送路56等により、再送手段が構成されている。具体的には、搬送切替装置50は、定着装置40から受け取った記録紙Pのその後の搬送先を、排紙路51と再送路54とで切り替える。具体的には、記録紙Pの第1面だけに対して画像を形成する片面モードのプリントジョブの実行時には、記録紙Pの搬送先を排紙路51に設定する。これにより、第1面だけに画像が形成された記録紙Pを、排紙路51経由で排紙ローラ対52に送って、機外の排紙トレイ53上に排紙する。また、記録紙Pの両面に対してそれぞれ画像を形成する両面モードのプリントジョブの実行時において、両面にそれぞれ画像が定着された記録紙Pを定着装置40から受け取ったときにも、記録紙Pの搬送先を排紙路51に設定する。これにより、両面に画像が形成された記録紙Pを、機外の排紙トレイ53上に排紙する。一方、両面モードのプリントジョブの実行時において、第1面だけに画像が定着された記録紙Pを定着装置40から受け取ったときには、記録紙Pの搬送先を再送路54に設定する。
【0041】
再送路54には、スイッチバック路55が繋がっており、再送路54に送られた記録紙Pはこのスイッチバック路55に進入する。そして、記録紙Pの搬送方向の全領域がスイッチバック路55に進入すると、記録紙Pの搬送方向が逆転されて、記録紙Pがスイッチバックする。スイッチバック路55には、再送路54の他に、スイッチバック後搬送路56が繋がっており、スイッチバックした記録紙Pは、このスイッチバック後搬送路56に進入する。このとき、記録紙Pの上下が反転する。そして、上下反転した記録紙Pは、スイッチバック後搬送路56と給紙路30とを経由して2次転写ニップに再送される。2次転写ニップで第2面にもトナー像が転写された記録紙Pは、定着装置40を経由して第2面にトナー像が定着された後、搬送切替装置50と排紙路51と排紙ローラ対52とを経由して、排紙トレイ53上に排紙される。
【0042】
図3は、ベルトクリーニング装置75を中間転写ベルト61とともに示す拡大構成図である。ベルトクリーニング装置75は、クリーニングブラシローラ76、クリーニング部材としてのクリーニングブレード77、潤滑剤塗布ブラシローラ87、潤滑剤塊85、付勢コイルバネ86などを備えている。クリーニングブラシローラ76やクリーニングブレード77は、中間転写ベルト61の移動方向の全領域のうち、ベルトループ内に配設されたクリーニングバックアップローラ69に対する掛け回し箇所に当接している。また、潤滑剤塗布ブラシローラ87は、中間転写ベルト61の移動方向の全領域のうち、ベルトループ内に配設された塗布バックアップローラ70に対する掛け回し箇所に当接している。
【0043】
クリーニングブラシローラ76は、金属製の回転軸部材と、これの周面に立設された複数の起毛からなるブラシローラ部とを具備しており、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動されながら、ブラシ先端を中間転写ベルト61に接触させる。これにより、中間転写ベルト61に付着している転写残トナーをベルト表面から掻き取ったり、転写残トナーをベルト表面に均したりする。
【0044】
クリーニングブレード77は、ブレードホルダによって片持ち支持された状態で、自由端側を、クリーニングブラシローラ76との当接位置を通過したベルト表面箇所に当接させている。そして、前記当接位置を通過した後のベルト表面箇所に残っている転写残トナーを、ベルト表面から掻き落とす。
【0045】
クリーニングブラシローラ76及びクリーニングブレード77によるクリーニング処理が施されたベルト表面箇所は、潤滑剤塗布ブラシローラ87との接触位置に進入する。潤滑剤塗布ブラシローラ87は、金属製の回転軸部材と、これの周面に立設された複数の起毛からなるブラシローラ部とを具備しており、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動されながら、ブラシ先端を中間転写ベルト61や潤滑剤塊85に接触させる。この潤滑剤塊85は、付勢コイルバネ86によって潤滑剤塗布ブラシローラ87に向けて付勢されている。潤滑剤塗布ブラシローラ87は、回転に伴って潤滑剤塊85から潤滑剤を粉末として掻き取ってブラシ内に捕捉した後、中間転写ベルト61の表面に塗布する。このようにして潤滑剤を塗布することで、中間転写ベルト61から記録紙Pへのトナー転写性を向上させることができる。なお、潤滑剤塊85としては、ステアリン酸亜鉛塊を例示することができる。
【0046】
次に、本発明者らが行った中間転写ベルト61のオイル除去処理の実験について説明する。本発明者らは、図1に示した構成を有するプリンタ試験機を用意した。そして、このプリンタ試験機により、オイル除去処理を実施しながら、複数の記録紙Pの両面に対してそれぞれ所定のテスト画像を連続して出力するテストプリントを行い、クリーニングブレード77の累積使用時間とオイル除去能力との関係、およびオイル吸収用のトナーの量とオイル除去能力との関係を調べた。ここで、クリーニングブレード77の「累積使用時間」とは、無端移動している中間転写ベルト61にクリーニングブレード77が当接した状態でクリーニングに使用された時間を所定の使用開始時から累積した時間である。この累積使用時間の基準となる上記所定の使用開始時は、新品のクリーニングブレード77をプリンタに取り付け、その後、最初にクリーニングに使用された使用開始時である。
【0047】
上記オイル除去処理とは、次のような処理である。即ち、両面モードにおいて、中間転写ベルト61の記録面間領域としての紙間領域に対して、オイル吸収用(離型促進剤吸収用)のトナー像を形成する。ここで、「紙間領域」とは、中間転写ベルト61の表面移動方向の全領域のうち、記録紙Pの第1面に密着させられる領域と記録紙Pの第2面に密着させられる領域との間の領域や、先行して搬送される記録紙Pの第2面に密着させられる領域と後続の記録紙Pの第1面に密着させられる領域との間の領域、のことである。これらの紙間領域に対して、オイル吸収用のトナー像が形成される。そして、この中間転写ベルト61の紙間領域を、2次転写手段による転写位置に形成されている2次転写ニップに進入させているときには、2次転写ローラ72に対する2次転写バイアスの印加を中断する。これにより、2次転写転写処理を一時中断して、オイル吸収用のトナーからなるトナー像(以下「オイル吸収用のトナー像」という。)を2次転写ニップ通過後の紙間領域に残留させる。このオイル吸収用のトナー像を転写位置に進入させるときには転写処理を中断して、転写位置通過後の中間転写ベルト61の紙間領域に上記オイル吸収用のトナー像を残留させる。紙間領域に残留したオイル吸収用のトナー像は、クリーニングブレード77と中間転写ベルト61との当接位置であるブレードクリーニング位置に進入する。
【0048】
図4は、ブレードクリーニング位置と、その周囲構成とを拡大して示す拡大構成図である。クリーニングブレード77は、図示のように、中間転写ベルト61との当接箇所である自由端側エッジにおいて、中間転写ベルト61上のトナーを堰き止めながら、その自由端側エッジよりもベルト表面移動方向上流側の箇所である自由端面と中間転写ベルト61との間に、そのトナーを保持し得るクリーニング部材である。オイル吸収用のトナー像を2次転写ニップ通過後の紙間領域に残留させると、ブレードクリーニング位置では、オイル吸収用のトナー像を構成しているトナーの移動が、クリーニングブレード77によって堰き止められる。そして、堰き止められたトナーが、ブレードクリーニング位置よりも少しだけベルト表面移動方向の上流側の位置において、クリーニングブレード77の自由端面と中間転写ベルト61との間の領域に保持されながら、中間転写ベルト61の移動する表面と摺擦する。この摺擦により、トナーは、中間転写ベルト61の紙間領域に付着しているオイルのみならず、中間転写ベルト61における他の領域に付着しているオイルをも吸収した後、やがて中間転写ベルト61の表面から掻き落とされる。これにより、中間転写ベルト61の表面からオイルが除去される。以上のような、オイル吸収用のトナー像を形成したり、2次転写ニップ通過後の紙間領域にそのトナー像を残留させたり、そのトナー像中のトナーをブレードクリーニング位置の入口付近でベルト表面と摺擦させてトナーにベルト上のオイルを吸収させたり、オイル吸収後のトナーをベルト表面から掻き落としたりするオイル除去処理を、両面モードのテストプリントの実施中に実行した。
【0049】
次に、上記構成のプリンタを用いたテストプリントの実験の結果及びその結果に基づく中間転写ベルト61のオイル除去処理の制御について説明する。
【0050】
図5〜7は、上記構成のプリンタを用いたテストプリントで得られたクリーニングブレード77の累積使用時間と摩耗量とオイル除去能力との関係を示す特性曲線のグラフである。図5は、クリーニングブレード77の累積使用時間とオイル除去能力との関係を示すグラフである。また、図6は、クリーニングブレード77の累積使用時間と磨耗量との関係を示すグラフである。また、図7は、クリーニングブレード77の磨耗量とオイル除去能力との関係を示すグラフである。ここで、「オイル除去能力」とは、オイル除去処理を行いながら両面モードのテストプリントを実行したときの白抜けの発生状況から求めたものである。つまり、同じ条件でテストプリントを実行した時に白抜け発生レベルが悪ければオイル除去能力が低く、白抜け発生レベルが良ければオイル除去効果が高いといえる。また、上記クリーニングブレード77の累積使用時間は、クリーニングブレード77が中間転写ベルト61に当接した状態で中間転写ベルト61が駆動された時間を積算することによって求めることができる。また、上記クリーニングブレード77の摩耗量は、新品のクリーニングブレード77がプリンタに取り付けられた後、クリーニングブレード77が無端移動の中間転写ベルト61に当接した状態でクリーニングに使用されたことによってクリーニングブレード77の中間転写ベルト61に当接する部分が摩耗した量である。
【0051】
上記本発明者らによる実験の結果により、クリーニングブレード77の累積使用時間が上記オイル除去能力に影響し、クリーニングブレード77の累積使用時間が長くなるに従って摩耗量が大きくなり上記オイル除去能力が低下してくことがわかる。すなわち、図5に示すとおり、クリーニングブレードの累積使用時間が増えるにつれてオイル除去能力は低くなっていく。これは、クリーニングブレード77は移動する中間転写ベルト61に常に当接しているため累積使用時間が増えるにつれて磨耗が進み、磨耗が進むとクリーニングブレード77の角が削れ、中間転写ベルト61との接触圧が弱くなるためにオイル除去能力が小さくなるものである。つまり、図6に示すように、クリーニングブレード77の累積使用時間が増えるにつれてクリーニングブレード77の磨耗量が大きくなり、図7に示すように、クリーニングブレード77の磨耗量が大きくなるにつれてオイル除去能力が小さくなる。
【0052】
更に、本発明者らによる実験の結果により、図8に示すようなクリーニングブレード77に入力されるトナー量とオイル除去能力との関係が得られた。すなわち、図8に示すとおり、クリーニングブレード77に入力されるトナー量が多くなるほどオイル除去能力は高くなるが、ある一定のトナー量を超えるとオイル除去能力はそれ以上高くならなくなる。ここで、上記クリーニングブレード77に入力されるトナー量は、上記オイル吸収用のトナー像の形成条件(例えば、オイル吸収用のトナー像の面積率)によって変化させることができる。
【0053】
以上の結果から、本実施形態に係るプリンタでは、上記図5〜8の実験の結果に基づき、次の図9に示すようにクリーニングブレード77の累積使用時間に応じてオイル吸収用のトナー像の形成条件を変化させている。
【0054】
図9は、本実施形態に係るプリンタに用いたクリーニングブレード77の累積使用時間とオイル吸収用トナー量との関係を示すグラフ(図中の符号Aのグラフ)である。図9には、比較例として、従来例に係るクリーニングブレードの累積使用時間とオイル吸収用トナー量との関係(図中の符号Bのグラフ)も示している。本実施形態に係るプリンタにおいては、クリーニングブレード77の累積使用時間に応じてオイル吸収用のトナー像の形成条件を変化させている。より具体的には、図9中の符号Aのグラフに示すように、クリーニングブレード77の累積使用時間が所定の累積使用時間よりも短い場合、クリーニングブレード77の累積使用時間が長くなるに従ってオイル除去能力が次第に悪くなる。そこで、オイル吸収用のトナー像の形成に用いるトナー量を、従来例のトナー量よりも少なく且つクリーニングブレード77の累積使用時間が長くなるに従って次第に多くするように設定している。これにより、無駄にトナーを消費することなくトナーの消費量を低減しつつ中間転写ベルト61上のオイルを除去して白抜けの発生を確実に抑えることができる。
【0055】
一方、従来例では、オイル吸収用のトナー像の形成に用いるトナー量は、使用によりクリーニングブレード77が磨耗した場合においても十分なクリーニング性能が得られる量に設定されている。具体的には、図9中の符号Bのグラフに示すように、クリーニングブレード77の累積使用時間とは関係なく、オイル吸収用のトナー像の形成に用いるトナー量を、クリーニングブレード77の累積使用時間が十分に長い状態におけるオイル除去能力に合わせて高めの一定量に設定している。そのため、オイル除去能力が高い状態にあるクリーニングブレード77の累積使用時間が短い場合に無駄なトナーが消費されることになる。
【0056】
ここで、上記クリーニングブレード77の累積使用時間の値は、プリンタに設けられたメモリに格納され、制御部によって適宜読み出されて使用される。このメモリ内の累積使用時間の値は、クリーニングブレード77が中間転写ベルト61に当接してクリーニングに使用される時間をタイマで計測した計測値が加算されて更新される。本実施形態のプリンタのようにクリーニングブレード77は常に中間転写ベルト61に当接している場合は、中間転写ベルト61を駆動する駆動モータの駆動時間をタイマで計測し、その計測値を、クリーニングブレード77の使用時間とすることができる。クリーニングブレード77を新品に交換した場合には、上記メモリに記憶されたクリーニングブレードの累積使用時間をゼロリセットすればよい。
【0057】
なお、上記クリーニングブレード77の累積使用時間を用いずに、中間転写ベルト61の累積使用時間に応じてオイル吸収用のトナー像の形成条件を変化させてもよい。
図10は、中間転写ベルト61の累積使用時間とオイル吸収用のトナー量との関係を示すグラフ(図中の符号Aのグラフ)である。図10には、比較例として、従来例に係る中間転写ベルトの累積使用時間とオイル吸収用トナー量との関係(図中の符号Bのグラフ)も示している。中間転写ベルト61は、その累積使用時間が長くなるに従い、クリーニングブレード77や感光体3Y,M,C,Kとの接触により表面が粗くなっていく。中間転写ベルト61の表面が粗くなってくると、表面にオイルが蓄えやすくなるとともに、一度付着したオイルが除去されにくくなり、より多くのオイル吸収用トナーが必要となってくる。従って、本実施形態のプリンタでは、中間転写ベルト61の累積使用時間に応じてオイル吸収用のトナー像の形成条件を変化させてもよい。より具体的には、図10中の符号Aのグラフに示すように、中間転写ベルト61の累積使用時間が所定の累積使用時間よりも短い場合、中間転写ベルト61の累積使用時間が長くなるに従ってオイル除去能力が次第に悪くなる。そこで、オイル吸収用のトナー像の形成に用いるトナー量を、従来例のトナー量よりも少なく且つ中間転写ベルト61の累積使用時間が長くなるに従って次第に多くするように設定してもよい。この場合も、無駄にトナーを消費することなくトナーの消費量を低減しつつ中間転写ベルト61上のオイルを除去して白抜けの発生を確実に抑えることができる。
【0058】
一方、従来例では、オイル吸収用のトナー像の形成に用いるトナー量は、使用により中間転写ベルト61の表面が粗くなった場合においても十分なクリーニング性能が得られる量に設定されている。具体的には、図10中の符号Bのグラフに示すように、中間転写ベルト61の累積使用時間とは関係なく、オイル吸収用のトナー像の形成に用いるトナー量を、中間転写ベルト61の累積使用時間が十分に長い状態におけるオイル除去能力に合わせて高めの一定量に設定している。そのため、オイル除去能力が高い状態にある中間転写ベルト61の累積使用時間が短い場合に無駄なトナーが消費されることになる。
【0059】
ここで、中間転写ベルト61の累積使用時間の値についても、プリンタに設けられたメモリに格納され、制御部によって適宜読み出されて使用されるようにすることができる。このメモリ内の累積使用時間の値は、中間転写ベルト61の回転駆動時間をタイマで計測した計測値が加算され更新される。中間転写ベルト61を新品に交換した場合は、上記メモリに記憶された中間転写ベルト61の累積使用時間をゼロリセットすればよい。
【0060】
次に、本実施形態に係るプリンタにおけるオイル吸収用のトナー像を形成するための構成について説明する。
図11は、オイル吸収用のトナー像を形成する形成条件を変化させるための制御部及びその周辺の構成の一例を示す機能ブロック図である。図11において、本実施形態のプリンタは、制御手段としての制御部200、操作部に設けられた両面モード選択スイッチ201、クリーニングブレード77の使用時間を計測するタイマ202、クリーニングブレード77の累積使用時間を記憶することができるメモリ203、紙サイズ検知センサ204、温度若しくは湿度を計測する環境センサ205、オイル吸収用トナー像形成部206、2次転写バイアス印加部207、クリーニング部208を備えている。
【0061】
上記制御部200は、例えばCPU、キャッシュメモリ、システムバス等で構成され、所定の制御プログラムを実行することによりタイマ202やメモリ203等の各部との間でデータの送受信を行ったり各部を制御したりする。
【0062】
上記両面モード選択スイッチ201は、プリンタ本体の図示しない操作部に設けられており、操作者がこのスイッチを押すことによって、両面印刷モードとなり、同時にオイル除去処理が開始する。
【0063】
上記タイマ202は、クリーニングブレード77の使用時間を計測するものである。具体的には、クリーニングブレード77は常に中間転写ベルト61に当接しているので、中間転写ベルト61の図示しない駆動モータの駆動時間を計測する。そして計測した時間を制御部200に送る。
【0064】
上記メモリ203は、例えばRAMやROMなどの半導体メモリで構成され、制御部200で実行する制御プログラムやクリーニングブレード77の累積使用時間を記憶するものである。このクリーニングブレード77の累積使用時間は、例えば、プリントジョブの終了毎に、制御部200において、タイマ202から送られてきた時間と、メモリ203から読み出した累積使用時間とを加算し、再度メモリ203に記憶する。
【0065】
また、上記紙サイズ検知部204は、給紙カセット101、102に設けられた図示しない紙サイズ検知センサにより、プリントされる画像のサイズを検知する。
【0066】
上記環境センサ205は、プリンタ内部の温度や湿度を測定する温度センサ若しくは湿度センサである。
【0067】
また、上記オイル吸収用トナー像形成部206は、上記光書込ユニット1Y,M,C,K、プロセスユニット2Y,M,C,K、転写ユニット60等で構成され、中間転写ベルト61上にオイル吸収用トナー像を形成するものである。
【0068】
上記2次転写バイアス印加部207は、図示しない電源を制御して2次転写ローラ72に2次転写バイアスを印加するものである。
【0069】
上記クリーニング部208は、上記クリーニング装置75で構成され、中間転写ベルト61上のオイル吸収用トナー像をクリーニングする。
【0070】
次に、本実施形態に係るプリンタにおけるオイル吸収用のトナー像の形成について説明する。
図12は、オイル吸収用のトナー像を形成する手順を示すフローチャートである。主制御部200は、ユーザー操作に基づいて生成されたプリント命令の信号を受信すると、そのプリント命令が両面モードのプリント命令であるか否かを判定する(ステップ1。以下、ステップを「S」と記す)。そして、両面モードのプリント命令でない場合には(S1でN)、図示のフローを終了させて、オイル除去処理を実施しないままに、そのプリント命令に応じたプリントジョブを実施する。
【0071】
一方、上記ユーザー操作によるプリント命令が両面モードのプリント命令である場合には(S1でY)、機内の環境を検知する(S2)。具体的には、本プリンタは、機内の相対湿度を検知する環境検知手段としての図示しない湿度センサや、機内の温度を検知する環境検知手段としての図示しない温度センサを有している。制御部200は、それらのセンサからの出力に基づいて、機内の相対湿度及び温度を把握する。制御部200は、RAMやROM等のデータ記憶手段としてのメモリ203に、絶対湿度特定用のデータテーブルを記憶している。このデータテーブルは、相対湿度[%]と温度[°C]とに基づいて、絶対湿度[g/m]を特定するためのものである。制御部200は、相対湿度[%]及び温度[°C]の把握結果を、そのデータテーブルに照らし合わせることで、絶対湿度を特定する。このようにして絶対湿度を特定する工程が、図12のS2の工程である。
【0072】
次に、制御部200は、両面モードのプリント命令に対応する記録紙の紙サイズを取得する(S3)。具体的には、本プリンタにおいては、各給紙カセットにおいて、記録紙Pの束を側方から押さえる押さえ板の位置に基づいて、紙サイズを検知する紙サイズ検知手段が各給紙カセットに設けられている。制御部は、それら紙サイズ検知手段による検知結果により、両面モードのプリント命令に対応する記録紙の紙サイズを取得するのである。
【0073】
次に、制御部200は、メモリ203からクリーニングブレード77の累積使用時間を読み出して取得する(S4)。
【0074】
絶対湿度の特定、紙サイズの取得及びクリーニングブレード77の累積使用時間の取得が終わると、制御部200は、絶対湿度(環境)、紙サイズ及びクリーニングブレード77の累積使用時間に基づくオイル除去処理を実行しながら、両面モードのプリントジョブを行う(S5)。
【0075】
なお、本実施形態のプリンタにおいては、上述した紙間領域を2次転写ニップに進入させるときに、2次転写ローラ72に対する2次転写バイアスの印加を一時中断することで、2次転写処理を一時中断するようになっているが、次のようにして2次転写処理を一時中断させてもよい。即ち、2次転写ローラ72を中間転写ベルト25に対して接離させる接離機構を設け、2次転写ローラ72を中間転写ベルト25から一時的に離間させることで、2次転写処理を一時中断させてもよい。
【0076】
上記オイル吸収用のトナー像として、ベルト幅方向(主走査方向)に延在する矩形状のものを形成する。このオイル吸収用のトナー像のベルト幅方向における長さについては、例えば、紙サイズに基づいて特定した記録紙Pのベルト幅方向のサイズ(以下「紙幅サイズ」という。)に対して、ベルト幅方向の両端にそれぞれ5[mm]ずつ加算した寸法とする。また、紙幅サイズの上限は、例えば、ベルト幅よりも少し小さい330[mm]とする。
【0077】
上記紙幅サイズに応じて、オイル吸収用のトナー像のベルト幅方向における長さを決定するのは、次に説明する理由からである。即ち、中間転写ベルト61に対しては、ベルト幅方向において、記録紙Pの紙幅に対応する領域にのみ、記録紙Pのオイルが付着する。記録紙Pの紙幅に対応していない領域に、オイル吸収用のトナー像を形成しても、その領域に担持されたトナーはオイル除去に殆ど寄与しない。このようなオイル除去に寄与しないトナーの発生を抑える目的から、紙幅サイズに応じて、オイル吸収用のトナー像のベルト幅方向における長さを決定しているのである。
【0078】
上記オイル吸収用のトナー像のベルト移動方向における長さ(以下「紙間方向長さ」という。)については、例えば、絶対湿度[g/m]の検知結果と紙サイズの取得結果とに応じて決定する。具体的には、デフォルトの紙間方向長さを40[mm]とし、これに環境補正係数を乗じ且つ紙サイズ補正係数を除算した結果をオイル吸収用のトナー像の紙間方向長さとする。つまり、「トナー像の紙間方向長さ=40×環境補正係数×紙種補正係数/紙サイズ補正係数」という数式に基づいて求めた紙間方向長さを採用するのである。
【0079】
各給紙カセットに設けられた上述した紙サイズ検知手段は、記録紙Pの面積情報を取得する面積情報取得手段でもある。記録紙Pの搬送方向サイズやベルト幅方向サイズをそれぞれ検知することで面積情報を得ることが可能だからである。制御部200は、紙サイズ検知手段による記録紙Pの搬送方向サイズ及びベルト幅方向サイズの検知結果に基づいて、表1に示すように、記録紙Pの面積(紙面積)が大きくなるほど小さな値になるように、紙サイズ補正係数を決定する。このサイズ補正係数の範囲は、例えば1〜4.13である。このようにして特定されたサイズ補正係数は、オイル吸収用のトナー像の紙間方向長さデフォルト値に除算されるものであるため、記録紙Pの面積(紙面積)が大きくなるほど、トナー像の紙間方向長さが大きくなる。
【0080】
【表1】

【0081】
2次転写ニップにおいて、記録紙Pから中間転写ベルト61へのオイル転移量は、記録紙Pの面積に比例する。このため、記録紙Pの面積(紙面積)が大きくなるほどトナー像の紙間方向長さを大きくすることで、記録紙Pからベルトへのオイル転移量に応じたトナー量でオイル吸収用のトナー像を形成することが可能になる。これにより、無駄なトナーを消費することなく、中間転写ベルト61からオイルを効率良く除去することができる。
【0082】
なお、表1の紙サイズ補正係数データテーブルにおける紙サイズ補正係数は、例えば、次の(1)式に基づいて求められたものである。
「(Ts×Ys×(Y+10))/(T×Y×(Ys+10)) ・・・(1)
但し、上記(1)式で求めた値が1.0未満である場合には、紙サイズ補正係数を1.0としている。また、上記(1)式において、Tsは、A3Tサイズ紙の搬送方向長さである420[mm]を示し、Ysは、A3Tサイズ紙のベルト幅方向長さである297[mm]を示している。TsやYsにA3Tサイズ紙の長さを採用しているのは、A3Tサイズ紙を基準にしているからである。また、上記(1)において、T、Yはそれぞれ、使用される記録紙Pの搬送方向長さ[mm]、ベルト幅方向長さ[mm]を示している。
【0083】
制御部200は、上記オイル吸収用のトナー像として、例えば、網点によるハーフトーン像を形成するように制御する。「網点」とは、所定サイズのトッドマトリクスにおける一部のドット領域だけにドットを出力して、画像濃度を調整する技術である。
【0084】
図13は、網点のドットマトリクスの一例を示す模式図である。例えば、この図13に示すように、4×4のドットマトリクスにおいて、4つのドット領域だけにドットを出力する4/16網点をトナー像形成対象領域の全面に形成すると、ベタ状のハーフトーン像が得られる。このようにして、上記オイル吸収用のトナー像として、トナー像形成対象領域における全ドットの面積率を10〜50[%]に調整したハーフトーン像を形成することができる。なお、全ドットの面積率を10〜50[%]に調整すると、白色の記録紙P上では、画像濃度IDで0.2〜0.7程度のハーフトーン像が得られる。白色の記録紙P上における画像濃度IDについては、例えば、次のようにようにして測定することができる。即ち、記録紙Pとして、フルカラーPPC用紙(株式会社リコー製、タイプ6000<70W>)を使用し、この用紙に対して中間転写ベルト61上の上記オイル吸収用のトナー像を転写する。そして、このトナー像が転写された用紙を、上記フルカラーPPC用紙タイプ(タイプ6000<70W>)の紙を10枚重ねした紙束の上に載せたものを(画像面を上にして載せる)、被検対象とする。この被検対象の画像面における上記オイル吸収用のトナー像の画像濃度を、分光測定器(日本平版機材株式会社製の分光測色計濃度計:X−Rite 939)を用いて測定する。このとき、視野角を2[°]に設定し、光源としてイルミナントD50を選択する。
【0085】
上述のようにオイル吸収用のトナー像に用いるトナー量を変化させるには、オイル吸収用のトナー像の中間転写ベルト61のベルト幅方向、およびベルト移動方向の長さはそのままに、ドットの面積率を変化させることで実現できる。そして、クリーニングブレード77の累積使用時間又は中間転写ベルト61の累積使用時間が所定の累積使用時間よりも少なく当該累積使用時間が長くなるに従って上記オイル除去能力が低下する領域では、クリーニングブレード77の累積使用時間が長くなるに従い上記ドットの面積率を大きくするように制御する。このように、ドットの面積率を変化させてオイル吸収用トナー像の画像濃度を調整することで、オイル吸収用のトナー量を容易に変化させることができる。
【0086】
なお、上記実施形態では、両面モードにおけるプリント中にオイル吸収用のトナー像を形成して中間転写ベルト61のオイル除去処理を行う場合について説明したが、両面モードのプリント終了後にオイル除去処理を行ってもよい。
【0087】
以上、実施形態に係るプリンタにおいては、オイル吸収用のトナー像を形成する際に、クリーニングブレード77の累積使用時間又は中間転写ベルト61の累積使用時間に応じてオイル吸収用トナー像の形成に用いるトナー量を多くしている。このようにクリーニングブレード77の累積使用時間又は中間転写ベルト61の累積使用時間に応じてオイル吸収用トナー像の形成に用いるトナー量を適正に制御することにより、無駄にトナーを消費することなく白抜けの発生を確実に抑えることができる。特に、クリーニングブレード77や中間転写ベルト61の累積使用時間が所定の量より少ない時に、無駄にトナーを消費することなく白抜けの発生を確実に抑えることができる。
【0088】
また、本実施形態に係るプリンタにおいては、オイル吸収用のトナー像の形成対象領域における全ドットの面積率を変化させることにより、画像濃度を変化させて、トナー量を容易に調整することができる。
【0089】
また、本実施形態に係るプリンタにおいては、両面モードにおいて、中間転写ベルト61の紙間領域に対して、オイル吸収用のトナー像を形成するので、両面モードでの連続プリント枚数が比較的多くなる場合であっても、例えば両面モードの終了後にオイル除去処理を行う場合に比べ、白抜けの発生をより確実に抑えることができる。
【0090】
また、本実施形態に係るプリンタにおいては、上記オイル吸収用のトナー像が形成された中間転写ベルト表面の領域を上記2次転写位置(2次転写ニップ)に進入させているときには2次転写処理を中断することにより、オイル吸収用のトナー像を2次転写位置通過後の当該領域に確実に残留させることができる。
【0091】
なお、上記実施形態においては、オイル吸収用のトナー像の面積率を変化させているが、オイル吸収用のトナー像のベルト幅方向の長さやベルト移動方向の長さを変化させることにより、オイル吸収用のトナー量を変化させてもよい。また、上記実施形態において、クリーニングブレード77の累積使用時間又は中間転写ベルト61の累積使用時間に応じて上記オイル除去能力を変化させることができるものであれば、他のオイル吸収用トナー像の形成条件を変化させてもよい。
また、上記実施形態において、クリーニングブレード77の累積使用時間及び中間転写ベルト61の累積使用時間の両方に応じてオイル吸収用トナー像の形成に用いるトナー量を変化させるようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、電子写真方式のプリンタに付いて説明したが、本発明は、複写機等の他の電子写真方式の画像形成装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0092】
2Y,M,C,K:プロセスユニット(像形成手段の一部)
40:定着装置(定着手段)
41:定着ローラ(定着部材)
42:定着ベルト(定着部材)
46:オイル塗布ローラ(付与手段)
50:搬送切替装置(再送手段の一部)
54:再送路(再送手段の一部)
55:スイッチバック路(再送手段の一部)
56:スイッチバック後搬送路(再送手段の一部)
60:転写ユニット(像形成手段の一部、転写手段)
61:中間転写ベルト(像担持体)
75:ベルトクリーニング装置(クリーニング手段)
77:クリーニングブレード(クリーニング部材)
P:記録紙(記録部材)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0093】
【特許文献1】特開2004−93999号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体の移動する表面にトナー像を形成する像形成手段と、
該表面に記録部材を密着させながら該表面上のトナー像を該記録部材に転写する転写手段と、
該転写手段を経由した後の該記録部材に定着部材を密着させながら、該記録部材にトナー像を定着させる定着手段と、
該定着部材の表面にトナーの離型促進剤を付与する付与手段と、
該定着手段を経由して第1面にトナー像が定着された該記録部材に対してその第2面にトナー像の転写処理及び定着処理を施すために、該記録部材を反転させながら該転写手段に向けて再送する再送手段と、
該像担持体の表面の移動方向における全領域のうち、該転写手段による転写位置を通過した後、該像形成手段による像形成位置に進入する前の領域、に対してクリーニング部材を当接させてトナーのクリーニング処理を施すクリーニング手段とを備え、
記録部材の第1面に対してだけトナー像を形成する片面モードと、該再送手段による再送を実行することで記録部材の両面にそれぞれトナー像を形成する両面モードとを切り替えて実行することができ、該両面モードの実行命令を受けたことに基づいて、該像形成手段によって離型促進剤吸収用のトナー像を形成し、該離型促進剤吸収用のトナー像が形成された該像担持体表面の領域を該転写手段による転写位置に進入させているときには該転写手段による転写処理を中断する制御を実施する画像形成装置であって、
上記クリーニング部材の累積使用時間及び上記像担持体の累積使用時間の少なくとも一方に応じて、上記離型促進剤吸収用のトナー像の形成条件を変化させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
上記離型促進剤吸収用のトナー像の形成条件は、上記離型促進剤吸収用のトナー像の形成に用いるトナー量であり、
上記クリーニング部材の累積使用時間及び上記像担持体の累積使用時間の少なくとも一方が長くなるほど、上記離型促進剤吸収用のトナー像の形成に用いるトナー量を多くすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2の画像形成装置において、
上記離型促進剤吸収用のトナー像の形成対象領域における全ドットの面積率を変化させることにより、該離型促進剤吸収用のトナー像の形成に用いるトナー量を変化させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかの画像形成装置において、
上記離型促進剤吸収用のトナー像を形成する上記像担持体の表面の領域は、記録部材の第1面に密着する領域と該記録部材の第2面に密着する領域との間の記録面間領域、及び先行して搬送される記録部材の第2面に密着する領域と後続の記録部材の第1面に密着する領域との間の記録面間領域の少なくとも一方の記録面間領域であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかの画像形成装置において、
上記離型促進剤吸収用のトナー像が形成された上記像担持体表面の領域を上記転写手段による転写位置に進入させているときには該転写手段による転写処理を中断することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2011−59366(P2011−59366A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208830(P2009−208830)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】