説明

画像形成装置

【課題】省スペース化を図りつつ、現像器及びトナーコンテナの交換を容易とすることが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】像担持体31と、現像ローラー331を含む現像装置33と、現像装置33に組み付けられ、現像装置33にトナーを補給するトナーコンテナ50と、用紙を搬送するための用紙搬送路22Fと、像担持体31、現像装置33、及びトナーコンテナ50を収容する筐体10と、を備え、筐体10は、第1面、及び第1面とは異なる第2面と、第1面に設けられ、トナーコンテナ50を筐体内部から筐体外部に取り出すための第1カバー11と、第2面に設けられ、現像装置33を筐体内部から筐体外部に取り出すための第2カバー12と、を備え、第2カバー12には、用紙搬送路22Fの片面を形成する搬送ガイド面が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、静電潜像が形成された感光ドラム周面に予め準備されたトナーを供給することにより、感光ドラム周面にトナー像を形成させる画像形成装置が知られている。画像形成装置は、内部に予めトナーが貯留された現像器を備える。現像器には耐用年数があるので、当該現像器は定期的に交換する必要がある。そのため、例えば特許文献1の画像形成装置では、使用者に対向する前面に、現像器を内部から取り出すための開閉カバーが設けられている。
【0003】
また、前記画像形成装置は、感光ドラム周面のトナー像を用紙に転写させた後に生じる廃トナーを回収する廃トナーコンテナを収容している。この廃トナーコンテナは、廃トナーで一杯になると交換する必要がある。そのため、上記の画像形成装置では、その側面に、廃トナーコンテナを内部から取り出すための開閉カバーが設けられている。
【0004】
さらに、上記の画像形成装置の上面には、感光ドラムを含むドラムユニットを交換するための開閉カバーが、その背面には、用紙を搬送する用紙搬送路を露出させるための開閉カバーが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−31673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記した画像形成装置では、現像器、廃トナーコンテナ、ドラムユニットを、それぞれ、前面、側面、上面で取り出し、用紙搬送路を背面で露出させるよう構成されている。そのため、前記画像形成装置を設置するに当たり、前面、側面、上面、背面のそれぞれの開閉カバーを開閉させる余分なスペースが必要となるから、前記画像形成装置の設置場所が制限される。
【0007】
また、小型の画像形成装置では、現像器と感光体ドラムとをユニット化し、現像器内のトナーが消費されると、ユニットごと交換する場合がある。しかしながら、一般には、現像器の部品(例えば現像ローラー)の耐用年数が比較的長く、トナーを補給するのに現像器ごと交換していては、まだ使える部品が廃棄されることとなり、不経済である。
【0008】
そこで、トナーを収納したトナーコンテナを現像器に組み付けて収容し、トナーコンテナと現像器とを別々に交換する画像形成装置が提案されている。この種の画像形成装置において、トナーコンテナ、現像器の交換方法としては、例えば、以下の方法が存在する。
【0009】
第1の方法は、トナーコンテナと現像器とを一旦装置から取り出して、トナーコンテナ及び現像器のいずれか一方を交換して他方に組み付け、装置内に戻す方法である。ところが、この方法では、重量が大きな現像器を必ず装置内から取り出すことが求められるので、落下や衝突により現像器が損傷してしまうおそれがある。また、現像器とトナーコンテナとを分離したときに、現像器内部にトナーを補給するためのトナー補給口からゴミなどの異物が混入するおそれもある。
【0010】
第2の方法は、トナーコンテナを現像器よりも先に装置内から取り出す方法である。この方法では、現像器をトナーコンテナよりも先に取り出すことができず、不便である。さらに、現像器とトナーコンテナとの間にトナー搬送路を介在させ、トナーコンテナをトナー搬送路から取り外す方法もあるが、トナー搬送路を設ける分だけ画像形成装置が大型化してしまう。
【0011】
本発明は、上記の問題を解決するために、省スペース化を図りつつ、現像器及びトナーコンテナの交換を容易とすることが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一局面に係る画像形成装置は、周面にトナー像を担持する像担持体と、前記像担持体の周面にトナーを供給する現像ローラーを含む現像装置と、前記現像装置に組み付けられ、前記現像装置に前記トナーを補給するトナーコンテナと、用紙を搬送するための用紙搬送路と、前記像担持体、前記現像装置、及び前記トナーコンテナを収容する筐体と、を備え、前記筐体は、第1面と、前記第1面とは異なる第2面とを備え、前記トナーコンテナは、前記第1面を通して前記筐体内部から前記筐体外部に取り出され、前記現像装置は、前記第2面を通して、前記筐体内部から前記筐体外部に取り出される。
【0013】
この構成によれば、筐体には、第1面及び第1面とは異なる第2面が設けられている。第1面には、トナーコンテナを筐体外部に取り出すための第1カバーが設けられており、第2面には、現像装置を筐体外部に取り出すための第2カバーが設けられている。これにより、現像装置及びトナーコンテナを、それぞれ別々の面のカバーを開けることにより交換できるので、現像装置及びトナーコンテナの一方を交換する際に他方と誤って交換するおそれを低減させることができる。
【0014】
また、第2カバーを開くことによりトナーコンテナが取り出せるので、現像装置を取り出さずにトナーコンテナを交換できる。これにより、トナーコンテナの交換に当たり現像装置をも取り出す場合に比べて、現像装置の損傷を防止することが可能となる。さらに、筐体では、第1面及び第1面とは異なる第2面にカバーが設けられているので、筐体の前面、両側面、背面に開閉カバーが設けられた場合とは異なり、画像形成装置の設置場所の自由度が高まる。以上により、省スペース化を図りつつ、現像器及びトナーコンテナの交換を容易とすることが可能となる。
【0015】
上記構成において、前記第1面に設けられ、前記トナーコンテナを前記筐体内部から前記筐体外部に取り出す際に開放される第1カバーと、前記第2面に設けられ、前記現像装置を前記筐体内部から前記筐体外部に取り出す際に開放される第2カバーと、を更に備え、前記第2カバーには、前記用紙搬送路の片面を形成する搬送ガイド面が設けられていることが望ましい。
【0016】
上記構成において、前記筐体は、使用者が対向する前面を備えるとともに、前記前面とは反対側の後面、側面、上面、及び底面を備え、前記第1面は、前記前面或いは前記上面に配置され、前記第2面は、前記側面或いは前記後面に配置されていることが望ましい。
【0017】
この構成によれば、交換頻度が現像器よりも高いトナーコンテナについては前面或いは上面の第1カバーを開けることにより交換し、交換頻度がトナーコンテナよりも低い現像器については側面或いは後面の第2カバーを開けることにより交換する。このように、現像器及びトナーコンテナそれぞれの交換頻度の高低に応じて、現像器及びトナーコンテナそれぞれを交換する際に開けるべきカバーを決めることができるので、使用者にとっての利便性が高まる。
【0018】
この場合、前記第1面が前記前面であり、前記第2面は、前記後面であることが特に好ましい。
【0019】
上記構成において、前記現像装置は、前記現像ローラーの軸方向に沿う第1方向に長い形状の現像ハウジングを備え、前記トナーコンテナは、前記第1方向と直交する第2方向に沿う方向で、前記現像装置に組み付けられていることが望ましい。
【0020】
この構成によれば、トナーコンテナは、現像ハウジングの長手方向と直交する方向に沿う方向で、現像装置に組み付けられている。例えば、筐体前面の第1カバーを開けたときに、トナーコンテナが、当該トナーコンテナの長手方向が筐体前面に向かう方向である状態で露出する場合には、現像ハウジングは、筐体背面の第2カバーを開けたときに、当該現像ハウジングの長手方向が水平方向である状態で露出する。これにより、第1面の第1カバーを開けてトナーコンテナを取り出し、第2面の第2カバーを空けて現像装置を取り出すことが容易となる。
【0021】
上記構成において、前記現像装置は、前記現像ハウジングに設けられトナーを受け入れるトナー補給口と、該トナー補給口を塞ぐ状態と開放する状態との間でスライド移動するシャッター板と、該シャッター板が前記トナー補給口を塞ぐ方向に付勢する付勢バネとを備え、前記トナーコンテナは、トナー排出口と、該トナー排出口の近傍に配置された押圧板とを備え、前記トナーコンテナが前記現像装置に組み付けられている状態では、前記押圧板が前記シャッター板を押圧し、前記トナー補給口が開放された状態となると共に、前記トナー補給口及び前記トナー排出口が上下に重なった状態となり、前記トナーコンテナが前記筐体から取り外されるとき、若しくは、前記現像装置が前記筐体から取り外されるときには、前記押圧板による前記シャッター板の押圧が解除される。
【0022】
また、前記用紙搬送路が、用紙に片面印刷を行う際に用いられる主搬送路と、用紙に両面印刷を行う際に用いられる反転搬送路とを含み、前記第2カバーは、前記筐体に回動可能に取り付けられ、前記第2面を開放するカバー部材と、前記カバー部材よりも前記筐体の内側において前記筐体に回動可能に取り付けられ、前記主搬送路及び前記反転搬送路の、各々の片方の搬送ガイド面を形成する反転ユニットと、を含み、前記カバー部材及び反転ユニットが前記筐体に対して開放されることで、前記主搬送路が開放されることが望ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、省スペース化を図りつつ、現像器及びトナーコンテナの交換を容易とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構造を示す断面図である。
【図2】現像装置とトナーコンテナとの組み付け状態を示す平面図である。
【図3】現像装置とトナーコンテナとの組み付け状態を示す斜視図である。
【図4】現像装置単体の斜視図である。
【図5】現像装置の内部構造を示す平面図である。
【図6】トナーコンテナ単体の斜視図である。
【図7】後カバーが開けられた状態の画像形成装置の外観を示す斜視図である。
【図8】前カバーが閉じられた状態の画像形成装置の外観を示す斜視図である。
【図9】前カバーが開けられた状態の画像形成装置の外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部構造を示す断面図である。ここでは、画像形成装置1としてモノクロプリンターを例示するが、画像形成装置は、複写機、ファクシミリ装置、或いは、これらの機能を備える複合機であってもよく、またカラー画像を形成する画像形成装置であっても良い。
【0026】
画像形成装置1は、略直方体形状の筐体構造を有する本体ハウジング10(筐体)と、この本体ハウジング10内に収容される給紙部20、画像形成部30、定着部40及びトナーコンテナ50とを含む。
【0027】
本体ハウジング10は、筐体構造を備え、使用者が対向する前面(第1面)、前面とは反対側の後面(第2面)、左面及び右面の4つの側面と、底面及び上面とを有する。本体ハウジング10の前面側(図1の右側)には前カバー11(第1カバー)が、後面側には後カバー12(第2カバーの一部)が各々備えられている。ユーザーは、前カバー11を開放することで、トナー切れの際にトナーコンテナ50を本体ハウジング10の前面側から取り出すことができる。後カバー12は、シートジャムやメンテナンスの際に開放されるカバーである。画像形成部30及び定着部40の各ユニットは、後カバー12が開放されることで、本体ハウジング10の後面側から取り出し可能となる。また、本体ハウジング10の上面には、画像形成後のシートが排出される排紙部13が備えられている。
【0028】
給紙部20は、画像形成処理が施されるシートを収容する給紙カセット21を含む。この給紙カセット21は、本体ハウジング10の前方側から手前方向に引出可能である。給紙カセット21には、前記シートの束が収容されるシート収容空間、前記シートの束を給紙のためにリフトアップするリフト板等が備えられている。給紙カセット21の後端側の上部にはシート繰出部21Aが設けられている。このシート繰出部21Aには、給紙カセット21内のシート束の最上層のシートを1枚ずつ繰り出すためのピックアップローラー(図略)が配置されている。
【0029】
画像形成部30は、給紙部20から送り出されるシートにトナー画像を形成する画像形成処理を行う。画像形成部30は、感光体ドラム31(像担持体)と、この感光体ドラム31の周囲に配置された、帯電装置32、露光装置(図1には表れていない)、現像装置33、転写ローラー34及びクリーニング装置35とを含む。
【0030】
感光体ドラム31は、その軸回りに回転し、その周面に静電潜像及びトナー像が形成される。感光体ドラム31としては、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムを用いることができる。帯電装置32は、感光体ドラム31の表面を均一に帯電するものであって、感光体ドラム31に当接する帯電ローラーを含む。露光装置は、レーザー光源とミラーやレンズ等の光学系機器とを有し、感光体ドラム31の周面に、パーソナルコンピューター等の外部装置から与えられる画像データに基づいて変調された光を照射して、静電潜像を形成する。
【0031】
現像装置33は、感光体ドラム31上の前記静電潜像を現像してトナー像を形成するために、感光体ドラム31の周面にトナーを供給する。現像装置33は、感光体ドラム31に供給するトナーを担持する現像ローラー331と、現像ハウジング60(図2〜図5参照)の内部で現像剤(トナー)を攪拌しながら循環搬送する第1搬送スクリュー332及び第2搬送スクリュー333とを含む。この現像装置33については後記で詳述する。
【0032】
転写ローラー34は、感光体ドラム31の周面に形成されたトナー像をシート上に転写させるためのローラーであって、感光体ドラム31との間で転写ニップ部を形成している。この転写ローラー34には、トナーとは逆極性の転写バイアスが与えられる。クリーニング装置35は、クリーニングローラー等を有し、トナー像転写後の感光体ドラム31の周面を清掃する。
【0033】
定着部40は、転写されたトナー像をシート上に定着する定着処理を行う。定着部40は、加熱源を内部に備えた定着ローラー41と、この定着ローラー41に対して圧接され、定着ローラー41との間で定着ニップ部を形成する加圧ローラー42とを含む。トナー像が転写されたシートが前記定着ニップ部に通紙されると、トナー像は、定着ローラー41による加熱および加圧ローラー42による押圧により、シート上に定着される。
【0034】
トナーコンテナ50(図6参照)は、現像装置33に補給するトナーを貯留する。トナーコンテナ50は、トナーの主な貯留箇所となるコンテナ本体51と、コンテナ本体51の一側面(図1では後面)の下部から突設された筒状部52と、コンテナ本体51の他の側面を覆う蓋部材53と、コンテナ内部に収容されトナーを搬送する回転部材54とを含む。トナーコンテナ50内に貯留されたトナーは、回転部材54が回転駆動されることによって、筒状部52の先端下面に設けられたトナー排出口521から現像装置33内に供給される。なお、このトナー排出口521は、図略のバネ部材で付勢されたコンテナシャッター523により常時塞がれている。コンテナシャッター523は、現像装置33に組み付けられたときに、現像装置33の一部と干渉して、トナー排出口521を開放するように移動する。
【0035】
本体ハウジング10内には、シートを搬送するために、主搬送路22F(用紙搬送路)及び反転搬送路22Bと、これらの搬送路22F、22Bを形成するための搬送ガイド面を備えた反転ユニット25(第2カバーの一部)とが備えられている。主搬送路22Fは、給紙部20のシート繰出部21Aから画像形成部30及び定着部40を経由して、本体ハウジング10上面の排紙部13に対向して設けられている排紙口14まで延びている。反転搬送路22Bは、シートに対して両面印刷を行う場合に、片面印刷されたシートを主搬送路22Fにおける画像形成部30の上流側に戻すための搬送路である。
【0036】
主搬送路22Fの、感光体ドラム31と転写ローラー34との転写ニップ部よりも上流側には、レジストローラー対23が配置されている。シートは、レジストローラー対23にて一旦停止され、スキュー矯正が行われた後、画像転写のための所定のタイミングで、前記転写ニップ部に送り出される。主搬送路22F及び反転搬送路22Bの適所には、シートを搬送するための搬送ローラー対が複数配置されており、例えば排紙口14の近傍には排紙ローラー対24が配置されている。
【0037】
反転搬送路22Bは、反転ユニット25の外側面と、本体ハウジング10の後カバー12の内面との間に形成されている。つまり、反転ユニット25の外側面は、反転搬送路22Bの片方の搬送ガイド面として用いられている。反転搬送路22Bの他方の搬送ガイド面は、後カバー12の内側面である。一方、反転ユニット25の内側面は、主搬送路22Fの片方の搬送ガイド面として用いられている。主搬送路22Fの他方の搬送ガイド面は、本体ハウジング10側に備えられた搬送ガイド面である。
【0038】
反転ユニット25には、転写ローラー34及びレジストローラー対23の一方のローラーが搭載されている。後カバー12はその下端に設けられた支点部121の軸回りに回動可能である。また、反転ユニット25は、その下端に設けられた支点部250(図7参照)の軸回りに回動可能である。反転搬送路22Bにおいてシートジャムが発生した場合、後カバー12が開放される。主搬送路22Fでシートジャムが発生した場合、或いは感光体ドラム31のユニットや現像装置33が外部に取り出される場合には、後カバー12に加えて反転ユニット25も開放される。
【0039】
続いて、図2〜図6を参照して、現像装置33及びトナーコンテナ50の構造、並びにこれらの配置関係について説明する。図2は、現像装置33とトナーコンテナ50との組み付け状態を示す平面図、図3はその斜視図、図4は、現像装置33単体の斜視図、図5は、現像装置33の内部構造を示す平面図、図6は、トナーコンテナ50単体の斜視図をそれぞれ示している。
【0040】
現像装置33は、一方向(現像ローラー331の軸方向)に長尺の箱形形状を有する現像ハウジング60を備える。現像ハウジング60は、その長手方向に延びる開口部が形成され、該開口部から現像ローラー331の周面の一部が露呈している。本実施形態において現像ハウジング60は、その長手方向が本体ハウジング10の左右方向(第1方向)と一致するよう、本体ハウジング10に組み付けられている。
【0041】
現像ハウジング60の左端付近の天板60Tには、トナーコンテナ50から供給されるトナーを当該ハウジング内に受け入れるためのトナー補給口60Hが穿孔されている。このトナー補給口60Hと、トナーコンテナ50のトナー排出口521とが上下方向に重なるように、現像装置33とトナーコンテナ50とが組み付けられる。トナーコンテナ50は、図2に矢印Aで示すように、現像ハウジング60の長手方向と直交する方向(前後方向/第2方向)において、現像装置33に対して着脱される。トナーコンテナ50は上面視で一方向に長いハウジング形状を備えるので、現像装置33にトナーコンテナ50が装着された状態では、上面視で略L字型の構造体を形成することになる(図2参照)。
【0042】
天板60Tの上面には、左右方向にスライド移動が可能な現像シャッター板61が配置されている。現像シャッター板61は、付勢バネ62で常時左方向に付勢されている。付勢バネ62はコイルバネであって、現像シャッター板61の右端縁と、該現像シャッター板61に隣接するリブとに各々設けられたバネ座621、622に各端部が取り付けられている。図4ではトナー補給口60Hが開放されている状態を示しているが、トナーコンテナ50が未装着の状態では、現像シャッター板61は付勢バネ62に付勢されて左方に位置し、トナー補給口60Hを塞ぐ。
【0043】
トナーコンテナ50の筒状部52の先端縁下部には、押圧板522が取り付けられている。また、筒状部52の先端面には、回転部材54に回転駆動力を入力するためのコンテナギア54Gが露出して配置されている。現像ハウジング60のトナー補給口60Hの左奥部には、入力ギア631とカップリング632とを備えるギアホルダー63が配置されている。カップリング632は、本体ハウジング10に備えられた図略のモーターからの回転駆動力が与えられる。入力ギア631は、トナーコンテナ50が現像装置33に装着された状態でコンテナギア54Gと歯合され、前記回転駆動力をコンテナギア54Gに伝達する。
【0044】
トナーコンテナ50が現像装置33に装着される際、トナー補給口60Hに対してトナーコンテナ50の筒状部52が前方から後方に進入する。この際、トナーコンテナ50の押圧板522が、トナー補給口60Hを塞いでいる状態の現像シャッター板61と干渉し、当該現像シャッター板61を右方へ移動させる。具体的には、現像シャッター板61の上面に突設されている斜行凸条623と押圧板522とが干渉し、付勢バネ62の付勢力に抗して現像シャッター板61が右方へ押し遣られる。トナーコンテナ50の筒状部52が所定位置まで進入すると、トナー補給口60Hは完全に開放されると共に、入力ギア631にコンテナギア54Gが歯合することになる。
【0045】
この際、コンテナシャッター523も、現像ハウジング60の一部と干渉してトナー排出口521を開放する。これにより、トナー補給口60Hとトナー排出口521とが上下に重なった状態となり、トナーコンテナ50から現像ハウジング60へのトナー補給が可能となる。トナーコンテナ50が本体ハウジング10から取り外されるとき、若しくは、現像装置33が本体ハウジング10から取り外されるときには、押圧板522による現像シャッター板61の押圧が解除される。これにより、現像シャッター板61はトナー補給口60Hを塞ぎ、コンテナシャッター523はトナー排出口521を塞ぐ。従って、現像装置33若しくはトナーコンテナ50が、各々単独で本体ハウジング10から取り出されても、トナーが本体ハウジング10内に漏洩することはない。
【0046】
図5を参照して、現像ハウジング60は内部空間600を備える。二成分現像方式の場合、この内部空間600には、トナーとキャリアとからなる現像剤が充填される。キャリアは、内部空間600においてトナーと攪拌混合されトナーを帯電させると共に、トナーを現像ローラー331まで搬送する。トナーは、逐次現像ローラー331に供給されて消費され、その消費分はトナーコンテナ50から適宜供給される。
【0047】
現像ハウジング60の内部空間600は、左右方向に延びる仕切り板601によって、左右方向に長尺の第1通路602と第2通路603とに区画されている。仕切り板601は、現像ハウジング60の左右方向幅よりも短く、仕切り板601の右端及び左端には、第1通路602と第2通路603とをそれぞれ連通させる第1連通部604及び第2連通部605が備えられている。これにより、現像ハウジング60の内部には、第1通路602、第1連通部604、第2通路603及び第2連通部605に至る循環経路が形成されている。
【0048】
上述のトナー補給口60Hは、第1通路602の左端付近の上方に配置されている。第1通路602には第1搬送スクリュー332が収容され、第2通路603には第2搬送スクリュー333が収容されている。第1、第2搬送スクリュー332、333は、それぞれシャフトと、このシャフトの周上にスパイラル状に突設された羽根部材とを含む。第1搬送スクリュー332は、シャフト回りに回転駆動されることで、図5の矢印a方向に現像剤を搬送する。一方、第2搬送スクリュー333は、シャフト回りに回転駆動されることで、矢印b方向に現像剤を搬送する。
【0049】
第1、第2搬送スクリュー332、333が回転駆動されることで、上述の循環経路に沿って現像剤が循環搬送される。トナー補給口60Hから新たに補給されたトナーについて説明すると、当該トナーは第1通路602に落下して既存の現像剤と混合され、第1搬送スクリュー332により矢印a方向に搬送される。この際、トナーはキャリアと攪拌され、帯電される。次いでトナーは、第1通路602の下流端から第1連通部604を経て第2通路603に入り、第2搬送スクリュー333によって矢印b方向に搬送される。この搬送の際、トナーは同様に帯電される一方で、一部が現像ローラー331の周面に供給される。そして、残部のトナーとキャリアとは、第2連通部605を経て、第1通路602の上流端に戻される。
【0050】
以下、現像装置33及びトナーコンテナ50の本体ハウジング10に対する着脱について説明する。図7は、後カバー12が開けられた状態の画像形成装置1の外観を示す斜視図である。図7において、符号Uは本体ハウジング10の上面を示す。また、符号Sは本体ハウジング10の左右の側面を、符号Rは後面を、符号Bは底面をそれぞれ示す。
【0051】
本体ハウジング10の後面R側の後カバー12を、支点部121を支点として本体ハウジング10の後方に向けて回動させ、且つ、反転ユニット25を、支点部250を支点として本体ハウジング10の後方に向けて回動させると、本体ハウジング10の内部が露出する。図7は、この内部が露出した状態を図示している。本実施形態では、後カバー12(カバー部材)と、該後カバーよりも本体ハウジングの内側に配置されている反転ユニット25との組み合わせのカバー体が、「第2カバー」に相当する。
【0052】
本体ハウジング10の内部が露出すると、クリーニング装置35、感光体ドラム31、現像装置33の現像ハウジング60、及び、レジストローラー対23の一方のローラー23Aが露出する。尚、現像装置33は、現像ハウジング60の長手方向が水平方向となるように、本体ハウジング10内に収容されている。
【0053】
反転ユニット25の本体ハウジング10内部に向かう面(内側面)には、主搬送路22Fの片面を形成する搬送ガイド面Gが設けられている。搬送ガイド面Gには、上述の通りレジストローラー対23の他方のローラー23B、及び転写ローラー34が設けられている。反転ユニット25が、支点部250を支点として、画像形成装置1の内部に向かって回動することにより、ローラー23B、転写ローラー34は、それぞれ、ローラー23A、感光体ドラム31に当接する。
【0054】
本実施形態に係る画像形成装置1では、使用者は、後カバー12及び反転ユニット25を開けた状態にして、本体ハウジング10から現像装置33を引き抜く、或いは、本体ハウジング10に装着することが可能である。つまり、現像装置33の本体ハウジング10に対する着脱に際し、トナーコンテナ50やその他の部材の着脱を要さない。使用者は、本体ハウジング10から現像装置33を取り出すに当たり、後カバー12及び反転ユニット25を開放し、現像ハウジング60の水平状態を維持させたまま本体ハウジング10から引き抜けば良い。また、使用者は、現像装置33を装着するに際しては、現像ハウジング60の水平状態を維持させたまま、後カバー12及び反転ユニット25が開放された状態の本体ハウジング10の内部に向けて挿入すれば良い。
【0055】
後カバー12及び反転ユニット25を開放することは、主搬送路22Fを開放することになる。つまり、ジャム処理等の際に開放すべきカバーと、現像装置33を着脱する際に開放するカバーとが兼用されている。このことは、本体ハウジング10に対して設けるカバー類の数を減少させることに貢献する。
【0056】
図8は、前カバー11が閉じられた状態の画像形成装置1の外観を示す斜視図である。図9は、前カバー11が開けられた状態の画像形成装置1の外観を示す斜視図である。本体ハウジング10の前面F側の前カバー11は、第1前カバー11Aと、第1前カバー11Aよりも下方の第2前カバー11Bとを備える。第1前カバー11Aは、ヒンジ係合部110により、第2前カバー11Bに係合されている。第2前カバー11Bは、ヒンジ係合部110よりも下方の回動軸111により、本体ハウジング10に対して回動自在に軸支されている。
【0057】
第1前カバー11Aと第2前カバー11Bとは、ヒンジ係合部110において折り曲げ可能な状態で、本体ハウジング10に対して一体的に回動する。使用者が第1前カバー11Aの上部を持って手前に引くと、前カバー11が本体ハウジング10に対して開いた状態となる。この状態を、図9に示す。
【0058】
図9に示すように、前カバー11が本体ハウジング10に対して開いた状態であるときには、本体ハウジング10の内部において、トナーコンテナ50が露出する。トナーコンテナ50は、筒状部52の側において、現像装置33の現像ハウジング60の長手方向と直交するように現像装置33に組み付けられている。このため、トナーコンテナ50の蓋部材53が、本体ハウジング10の前面方向を向く状態となり、従って蓋部材53の側が露出することになる。
【0059】
本実施形態に係る画像形成装置1では、使用者は、前カバー11を開けた状態にして、トナーコンテナ50を単体で本体ハウジング10から引き抜く、或いは本体ハウジング10に装着することが可能である。つまり、トナーコンテナ50の本体ハウジング10に対する着脱に際し、現像装置33やその他の部材の着脱を要さない。使用者は、本体ハウジング10からトナーコンテナ50を取り出すに当たり、単に前カバー11を開放し、トナーコンテナ50の蓋部材53を持って、トナーコンテナ50だけを本体ハウジング10の前面側から引き抜けば良い。
【0060】
トナーコンテナ50を本体ハウジング10に装着する場合も、前カバー11を開放し、所定位置に挿入すれば良い。なお、トナーコンテナ50を前カバー11の側から着脱させるようにしたのは、トナーコンテナ50の方が現像装置33よりも交換頻度が高く、使用者にとってアクセスの容易な前カバー11の側から着脱させる方が望ましいからである。
【0061】
現像装置33が本体ハウジング10内に収容されている状態では、図7に示すように、現像装置33が、現像ハウジング60の長手方向が左右方向となるように収容されている。一方、使用者は、トナーコンテナ50を装着するに際しては、トナーコンテナ50の蓋部材53を持って、トナーコンテナ50を前後方向から本体ハウジング10内に挿入する。そして、現像ハウジング60のトナー補給口60Hの位置と筒状部52のトナー排出口521とが上下方向に重なる所定位置までトナーコンテナ50が挿入されると、現像装置33に対するトナーコンテナ50の組み付けが完了する。
【0062】
本実施形態では、現像ハウジング60の長手方向(現像ローラー331の軸方向)に対して、トナーコンテナ50の装着方向(回転部材54の軸方向に沿った方向)が直交する装着態様である。このことが、現像装置33とトナーコンテナ50とを、本体ハウジング10の互いに異なる面からの取り出しを可能とすることに貢献している。
【0063】
仮に、現像ハウジング60の長手方向とトナーコンテナ50の装着方向とが同一方向であると、現像ハウジング60の天面に沿ってトナーコンテナ50をスライド装着することになる。このような装着態様では、自ずとトナーコンテナ50及び現像装置33の装着順序が決まってしまう。すなわち、現像装置33が本体ハウジング10に装着されていないと、トナーコンテナ50は装着できない。また、トナーコンテナ50を取り外さないと、現像装置33を本体ハウジング10から取り外すことができない。従って、両者を本体ハウジング10の互いに異なる面から取り出すようにすることの意義が乏しくなる。
【0064】
以上、本発明の一実施形態につき説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、後カバー12及び反転ユニット25を開けたときに、現像装置33が、現像ハウジング60の長手方向が左右方向である状態で露出し、前カバー11を開けたときに、トナーコンテナ50の蓋部材53が露出する例を示した。これに代えて、トナーコンテナ50を現像装置33に対して上方から組み付けて、トナーコンテナ50を取り出すためのカバーを画像形成装置1の上面U(第1面)に設けてもよい。また、現像装置33を取り出すためのカバーを画像形成装置1の側面S(第2面)に設けてもよい。
【0065】
また、「第2カバー」の一例として、後カバー12と反転ユニット25との組み合わせのカバー体を例示した。第2カバーは、片面に搬送ガイド面を備えた単純なカバー体であっても良い。
【0066】
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置1によれば、本体ハウジング10には、トナーコンテナ50を外部に取り出すための前カバー11と、現像装置33を外部に取り出すための後カバー12が設けられている。
【0067】
これにより、現像装置33及びトナーコンテナ50を、それぞれ別々の面のカバーを開けることにより交換できる。従って、現像装置33及びトナーコンテナ50の一方を交換する際に、他方と誤って交換するおそれを低減させることができる。
【0068】
また、前カバー11及び反転ユニット25を開くことによりトナーコンテナ50が取り出せるから、現像装置33を取り出さずにトナーコンテナ50を交換できる。これにより、トナーコンテナ50の交換に当たり現像装置33をも取り出す場合とは異なり、現像装置33の損傷を防止することができる。
【0069】
さらに、本体ハウジング10では、前面Fに前カバー11が設けられ、後面Rに後カバー12が設けられている。つまり、互いに対向する面を通して、トナーコンテナ50及び現像装置33が各々着脱される。このため、本体ハウジング10の前面、両側面及び背面にカバーが設けられた場合とは異なり、画像形成装置1の設置場所の自由度が高まる。
【0070】
さらに、後カバー12及び反転ユニット25を開けたときには、主搬送路22Fの片面を形成する搬送ガイド面Gが露出する。つまり、ジャム処理等の際に開放すべきカバーと、現像装置33を着脱する際に開放するカバーとが兼用されているので、本体ハウジング10に設けるカバー類の数を減少させることができる。
【符号の説明】
【0071】
G 搬送ガイド面
B 底面
F 前面
S 側面
U 上面
1 画像形成装置
10 本体ハウジング
11 前カバー
12 後カバー
22F 主搬送路
31 感光体ドラム
33 現像装置
50 トナーコンテナ
60 現像ハウジング
331 現像ローラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周面にトナー像を担持する像担持体と、
前記像担持体の周面にトナーを供給する現像ローラーを含む現像装置と、
前記現像装置に組み付けられ、前記現像装置に前記トナーを補給するトナーコンテナと、
用紙を搬送するための用紙搬送路と、
前記像担持体、前記現像装置、及び前記トナーコンテナを収容する筐体と、を備え、
前記筐体は、第1面と、前記第1面とは異なる第2面とを備え、
前記トナーコンテナは、前記第1面を通して前記筐体内部から前記筐体外部に取り出され、
前記現像装置は、前記第2面を通して、前記筐体内部から前記筐体外部に取り出される、画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記第1面に設けられ、前記トナーコンテナを前記筐体内部から前記筐体外部に取り出す際に開放される第1カバーと、
前記第2面に設けられ、前記現像装置を前記筐体内部から前記筐体外部に取り出す際に開放される第2カバーと、を更に備え、
前記第2カバーには、前記用紙搬送路の片面を形成する搬送ガイド面が設けられている、画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記筐体は、使用者が対向する前面を備えるとともに、前記前面とは反対側の後面、側面、上面、及び底面を備え、
前記第1面は、前記前面或いは前記上面に配置され、
前記第2面は、前記側面或いは前記後面に配置されている、画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置において、
前記第1面が前記前面であり、前記第2面は、前記後面である、画像形成装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記現像装置は、前記現像ローラーの軸方向に沿う第1方向に長い形状の現像ハウジングを備え、
前記トナーコンテナは、前記第1方向と直交する第2方向に沿う方向で、前記現像装置に組み付けられている、画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置において、
前記現像装置は、前記現像ハウジングに設けられトナーを受け入れるトナー補給口と、該トナー補給口を塞ぐ状態と開放する状態との間でスライド移動するシャッター板と、該シャッター板が前記トナー補給口を塞ぐ方向に付勢する付勢バネとを備え、
前記トナーコンテナは、トナー排出口と、該トナー排出口の近傍に配置された押圧板とを備え、
前記トナーコンテナが前記現像装置に組み付けられている状態では、前記押圧板が前記シャッター板を押圧し、前記トナー補給口が開放された状態となると共に、前記トナー補給口及び前記トナー排出口が上下に重なった状態となり、
前記トナーコンテナが前記筐体から取り外されるとき、若しくは、前記現像装置が前記筐体から取り外されるときには、前記押圧板による前記シャッター板の押圧が解除される、画像形成装置。
【請求項7】
請求項2〜6のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記用紙搬送路が、用紙に片面印刷を行う際に用いられる主搬送路と、用紙に両面印刷を行う際に用いられる反転搬送路とを含み、
前記第2カバーは、
前記筐体に回動可能に取り付けられ、前記第2面を開放するカバー部材と、
前記カバー部材よりも前記筐体の内側において前記筐体に回動可能に取り付けられ、前記主搬送路及び前記反転搬送路の、各々の片方の搬送ガイド面を形成する反転ユニットと、を含み、
前記カバー部材及び反転ユニットが前記筐体に対して開放されることで、前記主搬送路が開放される、画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−230372(P2012−230372A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−90338(P2012−90338)
【出願日】平成24年4月11日(2012.4.11)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】