説明

画像形成装置

【課題】 現像剤補給手段にかかる負荷トルクが異常に高くなる場合であっても現像剤補給手段の破損を防止し得る。
【解決手段】 複数のスクリュー3を駆動する単一のモータ29と、複数のスクリュー3にそれぞれ対応して設けられ、単一のモータ29から複数のスクリュー3への駆動力の伝達または遮断をそれぞれ切替え可能な複数のソレノイド1及びバネクラッチ2からなる切替え手段と、単一のモータ29に流れる電流を一定量に制限する電流リミッタ回路39と、該電流リミッタ回路39の電流制限値を選択するCPU300aとを備え、複数のソレノイド1を切替えて単一のモータ29から複数のスクリュー3へ駆動力を伝達する際に複数のスクリュー3のそれぞれに対応してCPU300aにより電流リミッタ回路39の電流制限値を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、カラーインライン方式の画像形成装置において、感光体ドラム等の像担持体や現像装置を有するプロセスカートリッジと、現像剤(以下、「トナー」という)を収容するためのトナーカートリッジとを有する画像形成装置が知られている。このような構成の画像形成装置においては、トナーカートリッジからプロセスカートリッジにトナーを補給するためのトナー補給手段の駆動源としてステーション毎にモータを有した構成がある。
【0003】
駆動源としてのモータは、画像形成装置の小型化やコストアップ防止、装置の消費電力削減のため、複数のステーションで共通化する構成を採ることがある。この場合、プロセスカートリッジへのトナー補給量を制限するために単一の駆動源であるモータと複数のトナー補給手段との間に駆動の伝達の可否を選択できる構成とすることで、単一のモータから複数のトナー補給手段を選択的に動作させる。
【0004】
トナーは、輸送時の振動等によりトナーカートリッジ内で固化することが知られており、この状態ではトナー補給用回転部材にかかるトルクが高くなる。そのため、画像形成装置に新品のトナーカートリッジを設置した際には、モータからの駆動力を当該新品のトナーカートリッジを設置したステーションのトナー補給用回転部材のみに伝達し、トナーが固化している状態を解消する制御が行われる。
【0005】
しかしながら、トナーカートリッジ輸送時の振動時間の長さ等によっては、トナーカートリッジ内でトナーが過度に固化し、トナー補給用回転部材に過度の負荷が作用するため、トナー補給用回転部材を破損させる可能性がある。
【0006】
そこで例えば、特許文献1では、モータからトナー補給用回転部材の作動部まで複数のギアを介して駆動する構成において、負荷トルクが所定の値を上回る場合には、トナー補給用回転部材への駆動伝達を遮断するトルクリミッタを有した構成となっている。これにより、トナー補給用回転部材に過度の負荷が作用した場合であってもモータからの駆動伝達を遮断するためトナー補給用回転部材が破損することを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−175984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前述の特許文献1の技術では、カラー画像形成装置のように複数のトナーカートリッジを有する構成においては、全てのステーションにトルクリミッタを配置しなければならず、コストアップとなる懸念があった。また、どのカートリッジでトルクが異常に高くなっているのかを判別するためにトルクリミッタを配置した周辺のギアに回転検知センサを配置する必要があった。
【0009】
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、現像剤補給手段にかかる負荷トルクが異常に高くなる場合であっても現像剤補給手段の破損を防止し得る画像形成装置を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、複数の現像手段にそれぞれ設けられ、現像剤を収容する複数の現像剤収容部と、前記複数の現像剤収容部にそれぞれ対応して設けられ、前記複数の現像剤収容部に補給するための現像剤をそれぞれ収容する複数の現像剤カートリッジと、前記複数の現像剤カートリッジ内の現像剤を、それぞれ対応する前記現像剤収容部に補給する複数の現像剤補給手段と、前記複数の現像剤補給手段を駆動する単一の駆動源と、前記複数の現像剤補給手段にそれぞれ対応して設けられ、前記単一の駆動源から前記複数の現像剤補給手段への駆動力の伝達または遮断をそれぞれ切替え可能な複数の切替え手段と、前記単一の駆動源に流れる電流を一定量に制限する電流制限手段と、前記電流制限手段の電流制限値を選択する選択手段とを備え、前記複数の切替え手段を切替えて前記単一の駆動源から前記複数の現像剤補給手段へ駆動力を伝達する際に前記複数の現像剤補給手段のそれぞれに対応して前記選択手段により前記電流制限手段の電流制限値を選択することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記構成によれば、単一の駆動源から複数の現像剤補給手段を選択的に動作させる構成において、複数の現像剤補給手段のそれぞれに対応して単一の駆動源に流れる電流の制限値を選択する。これにより、各々の現像剤補給手段を破損させずに現像剤が固まった状態を最大限解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】図1の画像形成装置が具備するカートリッジの概略構成図である。
【図3】現像剤補給手段の構成を示す図である。
【図4】図1の画像形成装置が具備する単一の駆動源から複数の現像剤補給手段に至る駆動ギア列の構成を示す斜視説明図である。
【図5】切替え手段の構成を示す説明図である。
【図6】制御系の構成を示すブロック図である。
【図7】単一の駆動源となる直流(DC)ブラシレスモータの駆動回路構成を説明する図である。
【図8】単一の駆動源となる直流(DC)ブラシレスモータの駆動制御を説明する図である。
【図9】単一の駆動源となる直流(DC)ブラシレスモータに流れる電流を一定量に制限する電流制限手段と、該電流制限手段の電流制限値を選択する選択手段を兼ねる電流リミッタ回路の構成を説明する図である。
【図10】記憶手段となるメモリタグに記憶された現像剤カートリッジの新品情報により切替え手段を制御する構成を示すブロック図である。
【図11】現像剤カートリッジの現像剤補給手段を破損させるモータ出力トルクと、定常トルクの一例を示す図である。
【図12】第1実施形態における単一の駆動源に流れる電流制限値と、現像剤カートリッジの現像剤補給手段を破損させるモータ出力トルクとの関係を示す図である。
【図13】第1実施形態において単一の駆動源に流れる電流制限値を設定する制御動作を説明するフローチャートである。
【図14】第2実施形態における単一の駆動源から現像剤補給手段へ駆動力を伝達する駆動ギア列の段数と、モータ出力トルクとの関係を説明する図である。
【図15】第2実施形態における単一の駆動源となる直流(DC)ブラシレスモータの出力トルク−電流特性の近似直線を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図により本発明に係る画像形成装置の一実施形態を具体的に説明する。
【実施例1】
【0014】
以下、図1〜図13を用いて本発明に係る画像形成装置の第1実施形態の構成について説明する。
【0015】
図1において、本実施形態に係る画像形成装置は、中間転写ベルト13に沿って、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の画像形成部19Y,19M,19C,19Kを配置したタンデム型フルカラー複写機の一例である。
【0016】
尚、図1では各色毎に画像形成部19Y,19M,19C,19Kのように示したが、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各画像形成ステーション(以下、単に「ステーション」という)17の画像形成部19は同様の構成である。以下の説明では、一つの画像形成ステーション17について説明を行い、Y,M,C,Kの符号を省略して単に画像形成部19を用いて説明する場合もある。他の各部品についても同様である。
【0017】
各色のステーション17毎に像担持体としての感光ドラム5Y,5M,5C,5Kと、帯電手段としての一次帯電器7Y,7M,7C,7Kを備えたプロセスカートリッジ22Y,22M,22C,22Kを有する。また、複数の現像手段としての現像装置8Y,8M,8C,8K、露光手段としてのスキャナ10Y,10M,10C,10Kを有する。また、画像形成装置本体に対して着脱可能な複数の現像剤カートリッジとしてのトナーカートリッジ11Y,11M,11C,11Kを有する。また、一次転写手段6Y,6M,6C,6K、給送手段となる給送ローラ12、二次転写手段となる二次転写ローラ18、及び定着手段となる定着装置15等を有する。
【0018】
各色毎の画像形成部19Y,19M,19C,19Kにより形成された各色毎のトナー画像が中間転写ベルト13に重畳して転写される。その後、給送ローラ12により給送された記録媒体となるシート材21が中間転写ベルト13と二次転写ローラ24とのニップ部に搬送され、中間転写ベルト13に転写されたトナー画像がシート材21に一括転写される。その後、定着装置15でトナー画像が定着された後、機外へ排出される。
【0019】
図2はプロセスカートリッジ22及びトナーカートリッジ11の概略構成を示す断面図である。図2において、トナーカートリッジ11は、現像剤となるトナーを補給するための現像剤補給手段としてのスクリュー3と、トナーカートリッジ11内(現像剤カートリッジ内)のトナーを攪拌するためのトナー攪拌部材14とを有して構成されている。トナーカートリッジ11とプロセスカートリッジ22との間には開閉可能なトナー補給シャッタ401が設けられる。
【0020】
プロセスカートリッジ22は、それぞれ現像装置8を有する。更に該現像装置8にそれぞれ設けられ、現像剤を収容する複数の現像剤収容部としてのトナー収容部26を有する。更に、バッファ部攪拌部材502、供給ローラ501、感光ドラム5、一次帯電器7を有して構成されている。ここで、バッファ部攪拌部材502は、トナーカートリッジ11から補給されたトナーを攪拌するものである。また、供給ローラ501は、現像ローラ23にトナーを供給するものである。トナーカートリッジ11はトナー収容部26にそれぞれ対応して設けられ、該トナー収容部26に補給するための現像剤となるトナーをそれぞれ収容する。
【0021】
スクリュー3は、トナーカートリッジ11内のトナーを、それぞれ対応するトナー収容部26に補給する。複数のスクリュー3を図4に示す画像形成装置に設けられた単一の駆動源となるモータ29よって駆動すると、トナーをトナーカートリッジ11からプロセスカートリッジ22のトナー収容部26に補給することができる。
【0022】
図3はトナーカートリッジ11の詳細を示したものである。スクリュー3の根元には、補給駆動ギア9を備えておりモータ29からの駆動が補給駆動ギア9に伝達されてスクリュー3が駆動する。スクリュー3は、トナーカートリッジ11内のトナーを図3の矢印a方向に向けて搬送し、トナー補給シャッタ401が開くとプロセスカートリッジ22のトナー収容部26内にトナーを補給する。
【0023】
図4は画像形成装置のトナー補給駆動伝達系を示す斜視図である。図4に示すように、単一の駆動源としてのモータ29に取り付けられたモータギア4から駆動ギア列となる駆動入力ギア25Mを介してステーション17Mのバネクラッチ2Mに駆動が伝達される。尚、ステーション17Mの駆動入力ギア25Mについても他のステーション17と同様に複数のギアからなる駆動ギア列を介してモータ29に取り付けられたモータギア4からステーション17Mのバネクラッチ2Mに駆動が伝達される構成であっても良い。
【0024】
また、駆動ギア列16Y及び駆動ギア列を構成する駆動入力ギア25Yを介してモータギア4からステーション17Yのバネクラッチ2Yに駆動が伝達される。また、駆動ギア列16C1,16C2及び駆動ギア列を構成する駆動入力ギア25Cを介してモータギア4からステーション17Cのバネクラッチ2Cに駆動が伝達される。また、駆動ギア列16C1,16K及び駆動ギア列を構成する駆動入力ギア25Kを介してモータギア4からステーション17Kのバネクラッチ2Kに駆動が伝達される。
【0025】
各ステーション17Y,17M,17C,17Kのバネクラッチ2Y,2M,2C,2Kの駆動伝達下流側には、図5に示すように、ソレノイド1Y,1M,1C,1K及び補給駆動ギア9Y,9M,9C,9Kが取り付けられている。各補給駆動ギア9は、単一の駆動源としてのモータ29からの駆動力をそれぞれのトナーカートリッジ11内に設けられたスクリュー3に伝達する。
【0026】
図5は複数のスクリュー3にそれぞれ対応して設けられ、単一の駆動源となるモータ29から各スクリュー3への駆動力の伝達または遮断をそれぞれ切替え可能な複数の切替え手段を構成するバネクラッチ2及びソレノイド1を示す。
【0027】
各バネクラッチ2は駆動入力ギア25Y,25M,25C,25Kにそれぞれ伝達された駆動力を補給駆動ギア9を介してスクリュー3へ伝達または遮断する。単一の駆動源としてのモータ29から図4に示すそれぞれの各駆動ギア列を介して各ステーション17Y,17M,17C,17Kの駆動入力ギア25Y,25M,25C,25Kに駆動力が伝達される。バネクラッチ2はその駆動力を補給駆動ギア9を介してスクリュー3へ伝達または遮断する切替えを行う。ソレノイド1は制御手段となる制御部300により制御されてバネクラッチ2による駆動力の伝達または遮断を切替制御する。
【0028】
図5に示すように、単一の駆動源としてのモータ29から図4に示すそれぞれの各駆動ギア列及び駆動入力ギア25を経て、バネクラッチ2の入力ギア2aに駆動が入力される。バネクラッチ2は、ソレノイド1のフラッパ1aがバネクラッチ2の爪部2cに係止されている間はバネクラッチ2の出力ギア2bに駆動が伝達されず、入力ギア2aのみが空転する。
【0029】
ソレノイド1のフラッパ1aが図5の矢印b方向に動作すると、フラッパ1aがバネクラッチ2の爪部2cの係止から解除されてバネクラッチ2の入力ギア2aから出力ギア2bに駆動が伝達されて図5の矢印d方向に回転する。そして、該出力ギア2bの駆動伝達下流側に噛合された補給駆動ギア9に駆動力が伝達される。補給駆動ギア9は補給駆動軸9aと固定されており、該補給駆動軸9aには補給カップリング9bが取り付けられている。補給カップリング9bは画像形成装置の駆動インターフェースである。
【0030】
図6は、画像形成装置全体の制御系の構成を示すブロック図である。図6に示すように、画像形成装置は、CPU(中央演算装置)300aと、RAM(ランダムアクセスメモリ)300b等から構成される制御部300を有しており、該制御部300は画像形成装置の各機器における全体的な制御を司っている。
【0031】
制御部300には、プロセスカートリッジ22Y,22M,22C,22K、スクリュー3への駆動切替えを行うソレノイド1Y,1M,1C,1K、単一の駆動源としてのモータ29が接続されている。単一の駆動源としてのモータ29から図4に示す各駆動ギア列を介してバネクラッチ2Y,2M,2C,2Kに駆動力が伝達される。
【0032】
また、制御部300には、画像形成装置の構成部材の異常状態を表示してユーザに報知する報知手段となる表示部700が接続されている。
【0033】
制御部300は、何れかのステーション17Y,17M,17C,17Kのプロセスカートリッジ22からトナー補給要求を受けると、トナー補給要求を受けたステーション17のソレノイド1の動作を行う信号を発信する。それによって、単一の駆動源としてのモータ29からの駆動がバネクラッチ2を経由してトナーカートリッジ11のスクリュー3に伝わり、トナー補給動作が開始されてプロセスカートリッジ22にトナーが補給される。
【0034】
単一の駆動源としてのモータ29は、直流(DC)ブラシレスモータで構成されている。図7はDCブラシレスモータの駆動回路構成であり、結線されたコイル45〜47と、ロータ48が備えられている。更にロータ48の位置検出手段としてホール素子49〜51を備えており、このホール素子49〜51は磁界を検知することにより半導体片の両端に電圧が表れる素子であり、その出力電圧を検知することによりロータ48の位置検出が可能となる。その出力電圧はアンプ52で増幅され、モータ駆動制御回路32に入力される。
【0035】
また、31はモータ29の駆動回路部である。駆動回路部31は、単一の駆動源となるモータ29に流れる電流を一定量に制限する電流制限手段と、該電流制限手段の電流制限値を選択する選択手段を構成する図9に示す電流リミッタ回路39を有する。更に、モータ駆動制御回路32と、ハイ側のFET(Field effect transistor;電界効果トランジスタ)33〜35と、ロー側のFET36〜38とを備えている。
【0036】
これらの各FET33〜38はそれぞれがコイル45〜47の各端子U,V,Wに接続されており、モータ駆動制御回路32から出力される相切り替え信号に従って各FET33〜38をON/OFF制御して順次励磁する相を切り替えてロータ48を回転させる。
【0037】
また前記相切り替え信号はCPU300aの出力ポートからの駆動信号及びホール素子49〜51から発生するロータ48の位置信号を検出してモータ駆動制御回路32により生成される。相切り替えに関するモータ29の回転に関してはコイル45〜47の各端子U,V,Wの電位を図8に示す(1)〜(12)の順序で切り替えることにより各相が順次励磁され、モータ29が回転する。尚、図8中の「H」はON状態が続く信号である。「L」はOFF状態が続く信号である。また、図8中の「PWM(Pulse Width Modulation;パルス幅変調)」はON/OFFが一定周期で繰り返される信号である。
【0038】
本実施形態のDCブラシレスモータには、図9に示す電流リミッタ回路39を備えている。図9に示す電流リミッタ回路39は、モータ駆動制御回路32の上流側に接続された電流検出抵抗67によってモータ29に流れる電流を検出する。そして、該電流検出抵抗67と、FET61のドレイン端子との間に接続されたオペアンプ70の反転入力端子70aにフィードバックをかけてオペアンプ70の出力電圧を制御している。オペアンプ70の出力端子70cとVccとの間に接続された抵抗68と、オペアンプ70の出力電圧を制御することによりFET61のゲート電圧を制御し、該FET61を介してモータ29を制御する。
【0039】
オペアンプ70の非反転入力端子70bには、基準電圧Vsを抵抗69、抵抗64〜66で分圧した電圧を入力する。この電圧は、トランジスタ62,63のON/OFFを切り替えることにより、3つの電圧値に切り替えることができる。尚、トランジスタ62,63のベース端子62a,63aには制御手段となるCPU300aにより制御電圧が印加されるようになっている。
【0040】
画像形成部19Y,19M,19C,19Kには、トナーカートリッジ11Y,11M,11C,11Kが着脱可能に装着される。トナーカートリッジ11Y,11M,11C,11Kには図10に示すようにそれぞれ各トナーカートリッジ11の新品情報を記憶する記憶手段となるメモリタグ40Y,40M,40C,40が貼付されている。各トナーカートリッジ11Y,11M,11C,11Kが製造された段階でメモリタグ40Y,40M,40C,40Kには新品か否かの情報が記憶されている。
【0041】
CPU300aは、メモリタグ40Y,40M,40C,40Kから各トナーカートリッジ11の新品情報を読み取る読み取り手段を兼ねる。CPU300aは、通信部41によりメモリタグ40Y,40M,40C,40Kと通信して、トナーカートリッジ11Y,11M,11C,11K内の現像剤の製造日からの経過日数に関連したトナー製造年月日などの情報の読み取りを行い、新品か否かを判断する。
【0042】
また、CPU300aは、演算機能を備えたハードウェアとその演算動作を規定するソフトウェアとを備えて画像形成部19Y,19M,19C,19Kを動作制御する。
【0043】
トナーは粉体状であるため、トナーカートリッジ11が輸送時等の振動を受けると該トナーカートリッジ11内の一部分に固化した状態となる。その状態で全てのステーション17に対してトナー補給動作を行うと、単一の駆動源となるモータ29にかかる負荷トルクが大きくなるためモータ29を回転することができない。従って、メモリタグ40との通信の結果、ステーション17に装着されたトナーカートリッジ11が新品であると検出した場合には、そのステーション17のソレノイド1のみをONしてトナー補給動作を行う。
【0044】
しかしながら、輸送時の振動時間が長くなりトナーが過度に固化した状態になると、トナーカートリッジ11内のスクリュー3にかかる負荷トルクが異常に大きくなるため、スクリュー3が破損する可能性がある。
【0045】
そこで、スクリュー3が破損しないようにするためには、画像形成装置を使用するユーザにトナーカートリッジ11内でトナーが固まっている状態を解消するように、例えばトナーカートリッジ11を振るように報知する必要がある。
【0046】
ユーザにトナーカートリッジ11を振るように報知する方法としては、メモリタグ40の新品情報から新品のトナーカートリッジ11であると検知し、更にモータ29の過負荷によるロック状態を検知する。その場合は、画像形成装置に設けられる表示部700にトナーカートリッジ11を振るようにメッセージを表示することにより、画像形成装置を使用するユーザがトナーカートリッジ11を振ってトナーが異常に固まった状態を解消するように促すことができる。
【0047】
図4に示すトナー補給の駆動伝達構成においては、各ステーション17の補給駆動ギア9に接続されるスクリュー3を破損させるトルクは同一である。しかし、モータギア4から各補給駆動ギア9までの駆動ギア列の段数が各ステーション17相互間で異なる。ギア同士の摩擦等の影響によりトルク伝達ロスの影響を受けるため、スクリュー3が破損するまでにモータ29が出力できるトルクは各ステーション17間で異なる。
【0048】
図11は、通常のトナー補給動作を行う際の定常トルク値と各トナーカートリッジ11のスクリュー3が破損するまでのモータ出力トルク値を示した図である。図4の駆動伝達構成においては、単一の駆動源となるモータ29が直近に設けられるステーション17Mにおいてトナーカートリッジ11Mのスクリュー3Mを破損させるモータ出力トルクを図11の「Mトナーカートリッジ破損トルク」で示す。図11の「Mトナーカートリッジ破損トルク」は最も小さい値(100mNm程度)となる。これは、モータギア4から補給駆動ギア9Mに至る駆動ギア列のギア段数が、駆動入力ギア25Mとバネクラッチ2Mのみからなり、最も少ないためギアの変形等による伝達ロスが最も小さいためである。
【0049】
一方、単一の駆動源となるモータ29が最も遠い位置に設けられるステーション17Kにおいてトナーカートリッジ11Kのスクリュー3Kを破損させるモータ出力トルクを図11の「Kトナーカートリッジ破損トルク」で示す。図11の「Kトナーカートリッジ破損トルク」は最も大きい値(160mNm程度)となる。これは、モータギア4から補給駆動ギア9Kに至る駆動ギア列のギア段数が、駆動ギア列16C1,16K、駆動入力ギア25K、バネクラッチ2Kからなり、最も多いためギアの変形等による伝達ロスが最も大きく影響を受けるからである。
【0050】
また、ステーション17Y,17Cでは単一の駆動源となるモータ29がステーション17M,17Kの略中間位置に設けられる。ステーション17Y,17Cにおいてトナーカートリッジ11Y,11Cのそれぞれのトナー搬送用のスクリュー3Y,3Cを破損させるモータ出力トルクを図11の「Y,Cトナーカートリッジ破損トルク」で示す。図11の「Y,Cトナーカートリッジ破損トルク」は上記ステーション17M,17Kの場合の略中間程度の値(140mNm程度)となる。
【0051】
モータギア4からそれぞれの補給駆動ギア9Y,9Cに至る駆動ギア列のギア段数が、補給駆動ギア9Yについては駆動ギア列16Y、駆動入力ギア25Y、バネクラッチ2Yからなる。また、補給駆動ギア9Cについては駆動ギア列16C1,16C2、駆動入力ギア25C、バネクラッチ2Cからなる。そして、ギアの変形等による伝達ロスもステーション17M,17Kの略中間程度である。図11に示す通常のトナー補給動作を行う際の定常トルク値は65mNm程度である。
【0052】
図12はDCブラシレスモータに流れる電流値と、モータ出力トルクとの関係を示したものである。DCブラシレスモータは、モータ29にかかる負荷トルクが増加するとモータ29に流れる電流も増加する。モータ29に流す電流は、図9に示す電流リミッタ回路39によって制限される。モータ29に流す電流は、図9に示すトランジスタ62,63のON/OFFを切り替えることで3段階に切り替えることが出来る。
【0053】
トランジスタ62,63のON/OFFは、どのステーション17に新品のトナーカートリッジ11が装着されたかによって決定される。
【0054】
例えば、ステーション17Mに新品のトナーカートリッジ11Mが装着された場合には、スクリュー3Mが破損するモータ出力トルクは図11に示すように最も小さくなる。このため図9に示すトランジスタ62,63の両方をONし、3つの抵抗64,65,66を並列接続した合成抵抗と、抵抗69とによる分圧電圧をオペアンプ70の非反転入力端子70bに印加する。これによりステーション17Mに新品のトナーカートリッジ11Mが装着された場合のモータ29に流れる電流制限値を図12の第1の電流制限値で示すように最も制限している。
【0055】
また、ステーション17Y,17Cに新品のトナーカートリッジ11Y,11Cがそれぞれ装着された場合には、スクリュー3Y,3Cが破損するモータ出力トルクは図11に示すように中間の値となる。このため図9に示すトランジスタ62のみONし、トランジスタ63をOFFとする。2つの抵抗64,65を並列接続した合成抵抗と、抵抗69とによる分圧電圧をオペアンプ70の非反転入力端子70bに印加する。これによりステーション17Y,17Cに新品のトナーカートリッジ11Y,11Cがそれぞれ装着された場合のモータ29に流れる電流制限値を図12の第2の電流制限値で示すように制限する。
【0056】
更に、ステーション17Kに新品のトナーカートリッジ11Kが装着された場合には、スクリュー3Kが破損するモータ出力トルクは図11に示すように最も大きくなる。このため図9に示すトランジスタ62,63の両方をOFFし、1つの抵抗64と、抵抗69とによる分圧電圧をオペアンプ70の非反転入力端子70bに印加する。これによりステーション17Kに新品のトナーカートリッジ11Kが装着された場合のモータ29に流れる電流制限値を図12の第3の電流制限値で示すように制限する。尚、図12に示すように、{第1の電流制限値}<{第2の電流制限値}<{第3の電流制限値}である。
【0057】
モータ29に流れる電流が、これらの第1〜第3の電流制限値に到達する。すると、電流検出抵抗67とFET61のドレイン端子との間に接続された反転入力端子70aに印加される電圧によりオペアンプ70の出力電圧が反転し、FET61がOFFとなってモータ29が回転しなくなる。そして、図7に示すホール素子49〜51でロータ48が停止していることを検出し、モータ駆動制御回路32がロック信号をCPU300aに出力する。
【0058】
図12に示すように、モータ29に流れる電流を制限するための電流制限値は、各トナーカートリッジ11のスクリュー3が破損するモータ出力トルクに対応する電流値よりも小さい値に設定されている。
【0059】
例えば、ステーション17Mに新品のトナーカートリッジ11Mが装着された場合には、図12の第1の電流制限値に設定する。これにより、トナーカートリッジ11Mのスクリュー3Mに異常なトルクがかかる状態であったとしてもスクリュー3Mが駆動する前にモータ29にロックがかかって停止するので、スクリュー3Mの破損を防止できる。
【0060】
同様に、ステーション17Y,17Cに新品のトナーカートリッジ11Y,11Cがそれぞれ装着された場合には、図12の第2の電流制限値に設定する。また、ステーション17Kに新品のトナーカートリッジ11Kが装着された場合には、図12の第3の電流制限値に設定する。
【0061】
即ち、複数の切替え手段となるソレノイド1を切替えて単一のモータ29から複数のスクリュー3へ駆動力を伝達する。その際に複数のスクリュー3のそれぞれに対応して選択手段となるCPU300a及び電流リミッタ回路39により電流制限手段となる電流リミッタ回路39の電流制限値を第1〜第3の電流制限値から選択する。
【0062】
次に図13を用いて、図9に示す電流制限手段となる電流リミッタ回路39により各トナーカートリッジ11に対応して単一のモータ29に流れる電流制限値を第1〜第3の電流制限値から選択する動作について説明する。先ず、ステップS101において、画像形成装置内部に設けられた読み取り手段を兼ねるCPU300aが各ステーション17に装着されたトナーカートリッジ11のメモリタグ40の新品情報を読み取る。
【0063】
次にステップS102でメモリタグ40の新品情報を読み取った結果、新品のトナーカートリッジ11ではないと判断した場合にはステップS104に進む。そして、ステップS104でモータ29に流れる電流制限値を図12に示す最小の第1の電流制限値に設定し、通常のトナー補給動作を行う。通常補給時においては、図11に示すようにトナーカートリッジ11Mのスクリュー3Mが破損するモータ出力トルク(100mNm程度)よりも小さいモータ出力トルク(65mNm程度)でモータ29を駆動することができる。このためモータ29に流れる電流制限値を図12に示す最小の第1の電流制限値に設定している。
【0064】
前記ステップS102でメモリタグ40の新品情報を読み取った結果、装着されたトナーカートリッジ11が新品であると判断する。その場合にはステップS103に進む。該ステップS103〜S107では、どのステーション17に新品のトナーカートリッジ11が装着されたかによってモータ29に流れる電流制限値が異なる制御を行う。
【0065】
前記ステップS103で新品のトナーカートリッジ11Mがステーション17Mに装着された場合にはステップS104に進む。ステップS104ではモータ29に流れる電流制限値を図12に示す最小の第1の電流制限値に設定する。図12に示す最小の第1の電流制限値は、図11に示すトナーカートリッジ11Mのスクリュー3Mが破損するモータ出力トルク(100mNm程度)よりも小さいモータ出力トルクとなる電流値に設定されている。これにより、トナーカートリッジ11Mのスクリュー3Mが破損しない電流値に設定されている。
【0066】
前記ステップS103で新品のトナーカートリッジ11Mがステーション17Mに装着されていない場合にはステップS105に進む。ステップS105で新品のトナーカートリッジ11Kがステーション17Kに装着された場合にはステップS106に進む。ステップS106ではモータ29に流れる電流制限値を図12に示す最大の第3の電流制限値に設定する。
【0067】
図12に示す最大の第3の電流制限値は、図11に示すトナーカートリッジ11Y,11Cのスクリュー3Y,3Cが破損するモータ出力トルク(140mNm程度)よりも大きい。且つ図11に示すトナーカートリッジ11Kのスクリュー3Kが破損するモータ出力トルク(160mNm程度)よりも小さい。このようなモータ出力トルクとなる電流制限値に設定されている。これにより、トナーカートリッジ11Kのスクリュー3Kが破損しない電流制限値に設定されている。
【0068】
前記ステップS105で新品のトナーカートリッジ11Kがステーション17Kに装着されていない場合には、その他の新品のトナーカートリッジ11Y,11Cがステーション17Y,17Cに装着されたと判断してステップS107に進む。ステップS107ではモータ29に流れる電流制限値を図12に示すように第1、第3の電流制限値の中間となる第2の電流制限値に設定する。
【0069】
図12に示す中間の第2の電流制限値は、図11に示すトナーカートリッジ11Mのスクリュー3Mが破損するモータ出力トルク(100mNm程度)よりも大きい。且つ図11に示すトナーカートリッジ11Kのスクリュー3Kが破損するモータ出力トルク(160mNm程度)よりも小さい。このようなモータ出力トルクとなる電流制限値に設定されている。これにより、トナーカートリッジ11Y,11Cのスクリュー3Y,3Cが破損しない電流制限値に設定されている。
【0070】
このように、各ステーション17に装着された新品のトナーカートリッジ11に貼着されたメモリタグ40の新品情報を読み取り手段を兼ねるCPU300aが読み取る。そして、選択手段を兼ねるCPU300aにより図9に示す電流制限手段となる電流リミッタ回路39を用いてモータ29に流れる電流制限値が選択される。
【0071】
その電流制限値は、新品のトナーカートリッジ11が装着された各ステーション17のスクリュー3に対応して図12に示す第1〜第3の電流制限値の3種類の電流制限値のうちから1つが選択される。単一の駆動源となるモータ29に流れる電流制限値は、図4に示すように、該モータ29から各スクリュー3へ駆動力を伝達させる駆動ギア列の段数の多さに応じて設定されている。
【0072】
上記構成によれば、新品のトナーカートリッジ11が装着された各ステーション17に応じてモータ29に流れる電流制限値を切り替えることができる。これにより、各トナーカートリッジ11においてスクリュー3を破損させずに各トナーカートリッジ11内でトナーが固まった状態を最大限解消することができる。
【0073】
モータ29に流れる電流がそれぞれの電流制限値に到達すると、図9に示す電流リミッタ回路39によりモータ29が停止する。電流リミッタ回路39は単一の駆動源となるモータ29の動作異常を検知する異常検知手段を兼ねている。モータ29に流れる電流がそれぞれの電流制限値に到達して電流リミッタ回路39によりモータ29が停止すると、図7に示すモータ駆動制御回路32からロック信号がCPU300aに送られる。
【0074】
新品のトナーカートリッジ11の装着時にCPU300aがモータ29のロック信号を検知した場合には、装着した新品のトナーカートリッジ11を一旦画像形成装置本体から脱離して振るように所定のメッセージを報知手段となる表示部700に表示させる。これにより画像形成装置を使用するユーザがトナーカートリッジ11を振ってトナーが異常に固まった状態を解消するように促すことができる。
【0075】
即ち、報知手段となる表示部700は、読み取り手段を兼ねるCPU300aによって読み取ったトナーカートリッジ11の新品情報により該トナーカートリッジ11が新品である。且つ異常検知手段となる電流リミッタ回路39により単一の駆動源となるモータ29に流れる電流がそれぞれの電流制限値に到達して該電流リミッタ回路39によりモータ29が停止する。そうすると、モータ29の動作異常として検知し、トナーカートリッジ11が異常状態であることをユーザに報知する。このように、どのトナーカートリッジ11に異常があるのかを低コストで簡易な方法で判別し、ユーザに報知することで、利便性を向上させることができる。
【実施例2】
【0076】
次に図14及び図15を用いて本発明に係る画像形成装置の第2実施形態の構成について説明する。尚、前記第1実施形態と同様に構成したものは同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態においても前記第1実施形態と同様に単一の駆動源となるモータ29に流れる電流制限値を3段階に切り替える点は同一である。本実施形態においても単一の駆動源となるモータ29に流れる電流制限値は、図4に示すように、該モータ29から各スクリュー3へ駆動力を伝達させる駆動ギア列の段数の多さに応じて設定されている。
【0077】
図14は本実施形態における図4に示すモータギア4から各補給駆動ギア9までの駆動ギア列の段数α、モータギア4から各補給駆動ギア9までの駆動伝達効率τ、各スクリュー3が破損する際のモータ出力トルクQを表にしたものである。
【0078】
本実施形態において、図3に示す補給駆動ギア9の補給駆動軸9a上でスクリュー3を破損させる回転トルクNは、図14に示すように、800mNmである。モータギア4と各補給駆動ギア9との減速比γは共通で3/25、各ギア毎の駆動伝達効率ηは95%としている。
【0079】
図4において、例えば、補給駆動ギア9Y,9Cはモータギア4からの駆動ギア列の段数αはそれぞれ8段になっている。モータギア4から補給駆動ギア9Y,9Cまでの駆動伝達効率τは、モータギア4からの駆動ギア列の段数α、各ギア毎の駆動伝達効率ηから以下の数1式を用いて66.34%(=0.95)と求めることができる。
【0080】
[数1]
τ=ηα
【0081】
従って、補給駆動ギア9Y,9Cの条件においてスクリュー3Y,3Cが破損する際のモータ出力トルクQは、以下の数2式を用いて144.7mNm{=(800/0.6634)×(3/25)}と求めることができる。ここで、補給駆動ギア9の補給駆動軸9a上でスクリュー3を破損させる回転トルクをN、モータギア4から補給駆動ギア9Y,9Cまでの駆動伝達効率をτ、減速比をγとする。
【0082】
[数2]
Q=(N/τ)×γ
【0083】
その他、各補給駆動ギア9M,9Kのそれぞれの条件においてスクリュー3M,3Kが破損する際のモータ出力トルクQも同様にして図14に示す各値を求めることが出来る。
【0084】
図15は、DCブラシレスモータの図15の実線で示すトルクT−電流I特性と、図15の破線で示すその近似直線を示す。その近似直線に重ねて新品のトナーカートリッジ11が装着された各ステーション17に応じて設定されるモータ29に流れる電流制限値と、各スクリュー3が破損する際のモータ出力トルクQとを示したものである。
【0085】
本実施形態における画像形成装置の制御部300に設けられた記憶手段となるメモリには、予め図15の点線で示すように、DCブラシレスモータのトルクT−電流I特性の近似直線の式が記憶されている。
【0086】
前述したように、図4に示すモータギア4から各補給駆動ギア9までの駆動ギア列の段数αが分かれば、前記数1式、数2式を用いて各補給駆動ギア9の条件においてスクリュー3が破損する際のモータ出力トルクQが求められる。そのモータ出力トルクQを図15の破線で示す近似直線の式に代入することにより、各ステーション17に新品のトナーカートリッジ11が装着された際のモータ29に流れる電流制限値を求めることができる。
【0087】
本実施形態におけるDCブラシレスモータでは、図15の破線で示す近似直線の式からモータ29に流れる電流IとトルクTとの関係を近似直線の傾きを0.015として以下の数3式で表すことができる。
【0088】
[数3]
I=0.015T
【0089】
例えば、補給駆動ギア9Y,9Cの条件においてスクリュー3Y,3Cが破損する際のモータ出力トルクQ=144.7mNmを前記数3式に代入すると、モータ29に流れる電流制限値は2.17A(=0.015×144.7)と求めることができる。
【0090】
その他、各補給駆動ギア9M,9Kの条件においてスクリュー3M,3Kが破損する際の図14に示すモータ出力トルクQも同様にして前記数3式に代入する。これにより、モータ29に流れる電流制限値はそれぞれ補給駆動ギア9Mの条件において1.59A(=0.015×106.4)が求められる。また、補給駆動ギア9Kの条件において2.53A(=0.015×168.8)が求められる。
【0091】
このようにモータ29から各スクリュー3へ駆動力を伝達させる駆動ギア列の段数の多さに応じてモータ29に流れる電流制限値を選択可能とする。これにより、新品のトナーカートリッジ11を装着した際にモータ29に流れる電流はモータ29から各スクリュー3へ駆動力を伝達させる駆動ギア列の段数の多さに応じて設定された電流制限値に制限される。そして、モータ29に流れる電流がそれぞれの電流制限値に到達するとモータ29が停止する。
【0092】
新品のトナーカートリッジ11の装着時にCPU300aがモータ29のロック信号を検知した場合には、装着した新品のトナーカートリッジ11を一旦画像形成装置本体から脱離して振るように所定のメッセージを報知手段となる表示部700に表示させる。これにより、画像形成装置を使用するユーザがトナーカートリッジ11を振ってトナーが異常に固まった状態を解消するように促すことができる。他の構成は、前記第1実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0093】
1,1Y,1M,1C,1K …ソレノイド(切替え手段)
2,2Y,2M,2C,2K …バネクラッチ(切替え手段)
3,3Y,3M,3C,3K …スクリュー(現像剤補給手段)
29 …モータ(単一の駆動源)
39 …電流リミッタ回路(電流制限手段;選択手段;異常検知手段)
300a …CPU(読み取り手段;選択手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、
複数の現像手段にそれぞれ設けられ、現像剤を収容する複数の現像剤収容部と、
前記複数の現像剤収容部にそれぞれ対応して設けられ、前記複数の現像剤収容部に補給するための現像剤をそれぞれ収容する複数の現像剤カートリッジと、
前記複数の現像剤カートリッジ内の現像剤を、それぞれ対応する前記現像剤収容部に補給する複数の現像剤補給手段と、
前記複数の現像剤補給手段を駆動する単一の駆動源と、
前記複数の現像剤補給手段にそれぞれ対応して設けられ、前記単一の駆動源から前記複数の現像剤補給手段への駆動力の伝達または遮断をそれぞれ切替え可能な複数の切替え手段と、
前記単一の駆動源に流れる電流を一定量に制限する電流制限手段と、
前記電流制限手段の電流制限値を選択する選択手段と、
を備え、
前記複数の切替え手段を切替えて前記単一の駆動源から前記複数の現像剤補給手段へ駆動力を伝達する際に前記複数の現像剤補給手段のそれぞれに対応して前記選択手段により前記電流制限手段の電流制限値を選択することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記現像剤カートリッジの新品情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段から前記現像剤カートリッジの新品情報を読み取る読み取り手段と、
前記単一の駆動源の動作異常を検知する異常検知手段と、
前記読み取り手段によって読み取った前記現像剤カートリッジの新品情報により前記現像剤カートリッジが新品であり、且つ前記異常検知手段により前記単一の駆動源の動作異常を検知した場合に前記現像剤カートリッジが異常状態であることを報知する報知手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記選択手段により選択される前記電流制限手段の電流制限値は、新品の現像剤カートリッジが装着された前記現像剤補給手段に対応して選択されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記選択手段により選択される前記電流制限手段の電流制限値は、前記単一の駆動源から前記現像剤補給手段へ駆動力を伝達させる駆動ギア列の段数の多さに応じて設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−247476(P2012−247476A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116735(P2011−116735)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】