説明

画像形成装置

【課題】滞留トナー量を推定して適切なトナー補給を実行することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像モータを駆動しているかどうかを判断する(ステップS2)。現像モータを駆動していると判断した場合には、トナー補給制御を実行する可能性があるためトナー滞留量を算出する(ステップS4)。トナーレベルセンサがオフ(OFF)であるかどうかを判断する(ステップS6)。トナーレベルセンサがオフであると判断した場合には、トナーの補給を判断する必要があるとして、次に、カートリッジ内トナー量を算出する(ステップS8)。そして、次に、算出したカートリッジ内トナー量がトナー補給閾値未満であるかどうかを判断する(ステップS10)。ステップS10において、カートリッジ内トナー量がトナー補給閾値未満であると判断した場合には、トナー補給を実施する(ステップS12)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式により画像を形成する画像形成装置における現像装置に対するトナーの補給制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置に設けられた現像装置は、その内部にトナーを収容しており、そのトナーを攪拌、搬送して、現像ローラに供給する構成が知られている。
【0003】
現像装置内のトナー濃度を一定に維持するために、現像剤濃度検知が行われている。一例として、トナー液面の高さを検出する光学式センサを用いて現像装置内のトナー量を推測し、液面高さが所定値以下の場合には、トナー補給を実施する。
【0004】
一方で、画像形成をする際には各種モードが設けられており、モードに従って記録用紙の搬送速度が変更される。
【0005】
現像装置は、当該モードに従う記録用紙の搬送速度に従ってトナーの攪拌速度も変更する。例えば、記録用紙の搬送速度(システム速度)が減速することにより現像装置におけるトナーの攪拌速度も減速する。
【0006】
この攪拌速度の変化によりトナー液面の高さが影響を受け正確に現像装置内に滞留しているトナー量を推測することが難しいという状況が生じていた。
【0007】
これに対処するために特開2000−227708号公報においては、攪拌速度が変化した場合には、補給を停止したり、あるいは、センサの出力を補正することにより対処する方式が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−227708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に示される方式は、センサの出力を補正するものであり、正確に現像装置内の滞留トナー量を推測するものではない。
【0010】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、滞留トナー量を推定して適切なトナー補給を実行することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のある局面に従う画像形成装置は、現像装置と、現像装置にトナーを供給するトナー補給部と、全体を制御するコントローラとを備える。現像装置は、現像装置内のトナーをシステム速度に応じた複数の攪拌速度で攪拌することが可能なトナー攪拌機構と、現像装置内のトナー量をトナー液面から検出してトナー補給が必要な場合に検出信号を出力するトナー検出器とを含み、コントローラは、トナー検出器からの検出信号の入力に応答して、トナー攪拌機構の攪拌速度に従う現像装置内に滞留しているトナー滞留量を予測して現像装置内のトナー量を算出し、算出結果に応じてトナー補給部に現像装置に対する補給を指示する。
【0012】
好ましくは、トナー攪拌機構の複数の攪拌速度に応じた駆動時間に従うトナー滞留量の変化を示す特性テーブルを記憶する記憶手段を備える。コントローラは、記憶手段に記憶されている特性テーブルに基づいて現像装置の駆動時間に従って予測されるトナー滞留量を算出し、環境状態およびトナー劣化状態に応じて、算出されたトナー滞留量を補正する。
【0013】
好ましくは、コントローラは、トナー検出器からの検出信号の入力があってから所定期間、トナー補給部に対して現像装置に対する補給を指示していない場合には、トナー攪拌機構を駆動する。
【発明の効果】
【0014】
本発明に従う画像形成装置によれば、トナー検出器からの検出信号の入力に応答して、トナー攪拌機構の攪拌速度に従う現像装置内に滞留しているトナー滞留量を予測して現像装置内のトナー量を算出し、算出結果に応じてトナー補給部に現像装置に対する補給を指示する。したがって、予測したトナー量に基づいて補給が実施されるため適切なトナー補給を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に従う画像形成装置1の概観を説明する図である。
【図2】本発明の実施の形態に従う画像形成装置1のプリンタ14の構成を説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態に従う画像形成装置1の主な機能ブロックを説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態に従うカートリッジ28の内部構成を説明する図である。
【図5】本発明の実施の形態に従うカートリッジ28の現像装置4の断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に従うトナー補給制御を説明する図である。
【図7】本発明の実施の形態に従うトナー滞留量算出のフロー図である。
【図8】本発明の実施の形態に従う現像モータの駆動時間とトナー滞留量について説明する図である。
【図9】本発明の実施の形態に従う現像モータの速度に応じたトナー滞留量の特性を説明する図である。
【図10】本発明の実施の形態に従う環境状況テーブルを説明する図である。
【図11】本発明の実施の形態に従う環境状況に従う補正係数テーブルを説明する図である。
【図12】本発明の実施の形態に従うトナー劣化レベルに従う補正係数テーブルを説明する図である。
【図13】本発明の実施の形態に従う強制攪拌処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。以下の説明において同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一であるものとする。
【0017】
(画像形成装置1の概観)
図1は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置1の概観を説明する図である。
【0018】
図1を参照して、画像形成装置の一例である複合器であるMFP(Mutli Function Peripheral)について説明する。なお、複写機、プリンタ、またはファクシミリ等についても同様に適用可能である。
【0019】
画像形成装置1は、本体の上部に位置する操作パネル10内に、操作部11および操作ディスプレイ12を有している。操作部11は、キー11aを通して入力されたユーザからの各種の指示等を受ける。操作ディスプレイ12は、ユーザに対する指示メニュー等を表示する。
【0020】
本体の上面には、スキャナ13およびフィーダ17が設けられている。フィーダ17は原稿をスキャナ13に送る。本体の側部には、プリンタ14が設けられている。本体の下部には、トレイ19および給紙部18が設けられている。
【0021】
トレイ19には、プリンタ14によって画像を印刷された記録媒体としての用紙が排出される。給紙部18は、プリンタ14に用紙を供給する。本体の内部には複数の画像形成ユニットが設けられている。現像装置で現像された現像パターンに対して、インクが塗布されることにより画像パターンが形成され、そのインクによる画像パターンが記録媒体に印刷される。
【0022】
図2は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置1のプリンタ14の構成を説明する図である。
【0023】
図2を参照して、画像形成装置1は、タンデム方式の転写部を持ち、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のトナーを順次重ね合わせることによってカラー画像を形成するものである。なお、図2においては、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)に対応した各構成部をそれぞれa、b、c、dで識別している。
【0024】
画像形成装置1は、図1に示すように、露光装置6による露光によって感光体3上に形成される静電潜像を、現像装置4によって現像し、得られたトナー像を一次転写ローラ(図示せず)によって中間転写ベルト2に転写し、さらに記録紙に転写するように構成されている。
【0025】
すなわち、画像形成装置1には、Y、M、C、Kの4色のカートリッジ(イメージングユニット)28が、タンデム配列で配置されており、これらのカートリッジ28で形成された各色のトナー像(トナー画像)が、中間転写ベルト2上に重ねられて転写され合成される。
【0026】
各カートリッジ28は、ドラム形状の感光体3の近傍に、現像装置4、帯電装置5および露光装置6等が配置されて構成されている。感光体3の表面は、帯電装置5によって所定の電圧(帯電電位)V0に帯電され、露光装置6からの露光によって静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像バイアス電圧Vdcが印加された現像ローラにより、静電潜像の電位と現像バイアス電圧Vdcとの電位ギャップΔVに現像ローラから帯電したトナーが供給されることによってトナー像となり、顕像化される。
【0027】
感光体3の表面に顕像化されたトナー像は、一次転写ローラによって中間転写ベルト2に1次転写される。中間転写ベルト2上のトナー像は、二次転写ローラ31によって、記録媒体が収納されている給紙部18からカセット給紙ローラ8により搬送された記録紙に2次転写される。なお、カセット給紙ローラ8により搬送された記録紙はタイミングローラ38によって、必要に応じて一旦停止される。さらに、手差しによって記録紙を供給する場合に、当該記録紙をタイミングローラ38へ搬送する手差し給紙ローラ9が設けられている。なお、タイミングローラ38の上流側に用紙検知センサ29が設けられ、当該センサの検知出力に従ってタイミング制御が行われる。また、用紙材質検知センサ22も設けられており、厚紙、普通紙等が判断される。当該用紙材質検知センサ22の検知出力が後述するエンジン制御部52に出力されて、エンジン制御部52は、用紙材質検知センサ22の検知出力に従って、記録用紙の搬送速度(システム速度)を設定する。具体的には、厚紙が検知された場合には、普通紙よりも定着に時間がかかる等の理由で記録用紙の搬送速度(システム速度)は通常の半分に減速される。すなわち、普通紙を全速とした場合に、厚紙の場合には半速となる。なお、本例においては、一例として、普通紙、厚紙との場合に記録用紙の搬送速度(システム速度)が変更される場合について説明したが、特にこれに限られず、各種のモードにより記録用紙の搬送速度が変更される場合もある。
【0028】
記録紙上に二次転写されたトナー像は定着ローラ32aによって定着される。定着ローラ32aに対向し接触するように加圧ローラ32bが設けられている。また、定着ローラ32aの近傍には、当該定着ローラ32aの表面温度を検出する温度センサが設けられ、定着ローラ32aの内部には当該定着ローラ32aを加熱する定着ヒータが設けられている。なお、定着ローラ32aの上流側には定着ループセンサ27が設けられている。
【0029】
定着後の記録紙は、排紙ローラ33によって排紙トレー上に排出されるか、両面搬送経路35へ搬送される。両面搬送経路35は上記のタイミングローラ38に通じる経路につながっている。両面搬送経路35には、両面搬送ローラ34a、34bが設けられており、両面搬送モータ45がこれらの両面搬送ローラ34a、34bを駆動することで、両面搬送経路35上の記録紙がタイミングローラ38へ搬送される。
【0030】
上で述べた2次転写で転写しきれずに中間転写ベルト2上に残留しているトナー(転写残トナー)は、中間転写ベルトクリーナ7によって除去され回収される。つまり、2次転写の後で、中間転写ベルトクリーナ7によって中間転写ベルト2の表面が清掃される。なお、中間転写ベルトクリーナ7として、本実施形態では、中間転写ベルト2に対して圧接と離間との間を移動可能に設けられたクリーニングブレード方式のものを用いるが、これ以外に、中間転写ベルト2に対して印加される電圧がオンオフ制御されるブラシ方式のもの等、種々の方式または機構のものを用いることが可能である。転写残トナーは、廃トナーボックス36に回収される。
【0031】
カートリッジ28の上方には、攪拌羽26を動作させることでトナーを補給するトナーボトル25が設けられている。また、攪拌羽26a、26b,26c,26dをそれぞれ動作させるトナー補給モータ24a,24b,24c,24dが設けられている。
【0032】
また、カラーPCモータ48、メインモータ44、定着モータ46、カラー用現像モータ40、および現像モータ42が設けられている。
【0033】
図3は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置1の主な機能ブロックを説明する図である。
【0034】
図3を参照して、画像形成装置1全体を制御するコントローラ部50と、エンジン制御部52とが設けられる。エンジン制御部52は、プリンタ14の制御を実行するためのCPU(Center Processing Unit)54と、各種プログラムが格納された不揮発性メモリ56とを含む。CPU54は、不揮発性メモリ56に格納されているプログラムを読み込むことにより各種動作を実行する。本例においては、特にトナー補給制御を実行する。
【0035】
また、ここでは、上記制御を実行する際に用いられる部品として、トナーレベルセンサ281、温度、湿度等を計測するための環境センサ57、駆動時間等を計測するためのタイマ58、攪拌カウンタ59が設けられている場合が示されており、それぞれCPU54にデータを出力するものとする。なお、ここでは、上記部品を一例として説明したが、他のセンサ等についても同様である。
【0036】
図4は、本発明の実施の形態に従うカートリッジ28(カートリッジ28a,28b,28c,28d)の内部構成を説明する図である。
【0037】
図4を参照して、カートリッジ28の上面には、トナーボトル25から供給されるトナーの導入口となるトナー補給口280が設けられている。トナー補給口280を介してカートリッジ28に供給されたトナーは、一旦格納部285に溜められる。そして、補給ローラ282によってその長手方向に搬送され、順次バッファ部286に補給される。バッファ部286に補給されたトナーは、攪拌ローラ283によって攪拌される。攪拌ローラ283の羽根283Aは、攪拌ローラ283の長手方向に対して斜めに取付けられているので、回転軸283Xの回転により長軸方向の両端部が交互に上下し、トナーをジグザグに攪拌する。これにより、トナーは斜め方向に攪拌されるので、長手方向に搬送されるとともに、深さ方向にも攪拌される。
【0038】
そして、攪拌されたトナーは、後述する供給ローラの回転によって現像ローラの表面に供給される。
【0039】
格納部285には、当該格納部285内のトナー濃度を検出するためのトナーレベルセンサ281が設けられている。トナーレベルセンサ281は、たとえば光学的に、つまり、発光素子と受光素子を備え、受光素子が検出する光の強度に基づいてトナー量を検出する。トナーレベルセンサ281における受光素子の受光量検出窓の清掃は、清掃部材284によって行なわれる。清掃部材284は、たとえば現像モータ42を駆動源として、上記検出窓の清掃を行なう。
【0040】
画像形成装置1において、画像形成の指示を受けて画像形成動作を実行する場合、当該画像形成動作におけるトナーの液面高さをトナーレベルセンサ281で検出し、トナーが少なくなってきた場合には、検出信号に従ってトナーがカートリッジ28に補給される。なお、トナーレベルセンサ281の検出信号は、エンジン制御部52のCPU54に出力されるものとする。なお、本例においては、トナーレベルセンサ281がオフの検出信号とオンの検出信号を出力し、トナーが十分にカートリッジにあると判断される場合には、オンの検出信号を出力しているものとする。一方、トナーがカートリッジに十分にないと判断されるような場合には、オフの検出信号を出力するものとする。
【0041】
図5は、本発明の実施の形態に従うカートリッジ28の現像装置4の断面図である。
図5を参照して、現像装置4は、ハウジング60、現像ローラ61、供給ローラ62、攪拌ローラ283、補給ローラ282、規制ブレード64などを備える。現像装置4の一例としてのハウジング60には、現像剤としてのトナーが充填されている。
【0042】
現像ローラ61、供給ローラ62、攪拌ローラ283は、ハウジング60に回転自在に保持されており、各色の現像装置4についてはカラー用現像モータ40の駆動力を受けて、同図の矢印方向に回転する。
【0043】
現像ローラ61は、感光体3に対向配置され、トナーを担持して現像位置69に搬送する。現像ローラ61上のトナーは、現像位置69において感光体3上の露光された部分に移動し、これにより感光体3上にトナー像が現像される(静電潜像が顕像化される)。
【0044】
現像ローラ61としては、例えば金属製芯金上に所定の抵抗値を有する薄膜状の樹脂層を配したものを用いることができる。この薄膜状の樹脂層は、主にトナーを現像ローラ61表面に担持させるために設けられる。
【0045】
供給ローラ62は、現像ローラ61と対向配置され、現像ローラ61の表面に当接すると共に現像ローラ61に対しカウンター方向に回転して、ハウジング60内のトナーを現像ローラ61に供給する。供給ローラ62としては、例えば金属製のローラ表面に発泡性弾性部材を被着したものを用いることができる。
【0046】
規制ブレード64は、その先端が現像ローラ61表面との間に所定の間隙を有するように配置され、その間隙を通るトナー量を規制して、現像ローラ61上にトナーによる均一な薄層を形成させる。
【0047】
攪拌ローラ283は、ハウジング60内のトナーを攪拌してトナーの固化を防ぐと共に流動性を保持する。
【0048】
ハウジング60の上部には、トナーボトル25から供給されるトナーを受け入れるためのトナー補給口280が設けられており、現像によりハウジング60内のトナーが消費されると、トナー補給口280を介してトナーが補給される。
【0049】
ハウジング60内では、トナー補給口280から供給されたトナーを上述したように補給ローラ282が長手方向に搬送する。
【0050】
画像形成動作中に現像ローラ61、供給ローラ62、攪拌ローラ283が同時に回転することにより、トナーが同図の矢印(太線)に沿って、攪拌ローラ283から供給ローラ62を介して現像ローラ61に搬送され、現像後には、現像ローラ61から供給ローラ62を介して攪拌ローラ63に戻るといったルートで循環搬送される。
【0051】
一方で、ハウジング60の、供給ローラ62に沿う外側の部分68は、供給ローラ62への供給用に、ある程度の量のトナーを溜めるためのバッファ部として機能する。すなわち、トナーが滞留する領域となる。このバッファ部に滞留しているトナー量が現像ローラ等の回転速度により影響を受ける。具体的には、全速の場合には後述するがある一定量が維持されるが、半速の場合にはトナー量が増加することになる。
【0052】
図6は、本発明の実施の形態に従うトナー補給制御を説明する図である。当該制御は、主にエンジン制御部52のCPU54で行われる。
【0053】
図6を参照して、まず、CPU54は、現像モータを駆動しているかどうかを判断する(ステップS2)。
【0054】
CPU54は、現像モータを駆動していないと判断した場合(ステップS2においてNO)には、トナー補給制御を実行する必要がないため処理を終了する(エンド)。
【0055】
一方、CPU54は、現像モータを駆動している場合と判断した場合(ステップS2においてYES)には、トナー補給制御を実行する可能性があるためトナー滞留量を算出する(ステップS4)。
【0056】
図7は、本発明の実施の形態に従うトナー滞留量算出のフロー図である。当該制御は、主にエンジン制御部52のCPU54で行われる。
【0057】
図7を参照して、まず、CPU54は、現像モータを全速駆動しているかどうかを判断する(ステップS20)。
【0058】
ステップS20において、CPU54は、現像モータを全速駆動していると判断した場合(ステップS20においてYES)には、全速トナー滞留量を決定する(ステップS22)。全速トナー滞留量の決定については後述する。
【0059】
そして、次に、CPU54は、トナー滞留量について環境状況に従って補正する(ステップS24)。環境状況によってもトナー滞留量は変化する。具体的には、高温高湿環境の場合、特に湿度が高いと水分を多く含むためトナーの流動性が悪化してトナー滞留量が増加することになる。したがって、温度、湿度を環境センサにより取得して環境状況テーブルから環境状況を把握し、環境状況に従って予測されるトナー滞留量を補正する。
【0060】
さらに、CPU54は、トナー滞留量の劣化状況に従って補正する(ステップS26)。トナー劣化状況によってもトナー滞留量は変化する。具体的には、長時間、滞留しているトナーは電気的特性等が変動して劣化した状態となり、流動性が悪化してトナー滞留量が増加することになる。したがって、現像ローラが駆動されていない期間を計測して、その期間が長い場合には、劣化と判断して予測されるトナー滞留量を補正する。
【0061】
具体的には、平均トナー消費量を算出して、平均トナー消費量が所定規定値以上である場合には、トナー劣化レベルが「0」すなわち良好状態と判断する。一方、平均トナー消費量が所定規定値未満である場合には、トナー劣化レベルが「1」すなわち劣化状態と判断する。トナー消費量は、画像形成において使用したトナー量であり、トナー消費量(mg)は、カバレッジ(%)×T1(mg)で算出することが可能である。T1は、カバレッジ1%当たりのトナー消費量(mg)である。カバレッジは、記録用紙に対するトナー画像としての割合であり、コントローラ部50からエンジン制御部52に対して印字指示を与える際に、印字情報の中に含まれるデータである。まず、累積トナー消費量(mg)を算出する。累積トナー消費量(mg)は、前回トナー消費量(mg)+トナー消費量(mg)である。そして、平均トナー消費量(mg/枚)を算出する。具体的には、累積トナー消費量(mg)/累積印字枚数(枚)を計算する。すなわち、累積したトナー消費量を算出して、累積した印字枚数を除算することにより平均トナー消費量を算出する。そして、当該算出結果に基づいて、トナーの劣化状況を判断し、トナー滞留量を補正する。一例として、累積印字枚数として50枚に設定して、当該枚数に到達した場合に平均トナー消費量を判断するようにしても良い。
【0062】
そして、処理を終了する(リターン)。
一方、ステップS20において、CPU54は、現像モータを全速駆動していないと判断した場合(ステップS20においてNO)には、半速トナー滞留量を決定する(ステップS28)。半速トナー滞留量の決定については後述する。
【0063】
そして、ステップS24に進む。以降の処理については上述したのと同様であるのでその詳細な説明は繰り返さない。
【0064】
図8は、本発明の実施の形態に従う現像モータの駆動時間とトナー滞留量について説明する図である。なお、現像モータの駆動に伴い、カートリッジ内の攪拌ローラ等も同様に駆動するものとする。
【0065】
図8を参照して、ここでは、一例として、現像モータを半速で駆動した場合のトナー滞留量の変化と、現像モータを半速で駆動した後、現像モータを全速で駆動した場合のトナー滞留量の変化が経時的に示されている。
【0066】
具体的には、全速で現像モータを駆動している場合のトナー滞留量はほぼ一定値を維持し9gとなる。
【0067】
この場合において、現像モータを半速で駆動した場合には、トナー滞留量は9gから徐々に増加して12g程度にまで増加する。
【0068】
一方、逆に、12g程度にまで増加したトナー滞留量について、今度は、現像モータを全速で駆動した場合には徐々に9gまで減少することになる。
【0069】
図9は、本発明の実施の形態に従う現像モータの速度に応じたトナー滞留量の特性を説明する図である。
【0070】
図9(A)を参照して、ここでは、現像モータを半速で駆動した場合のトナー滞留の特性が示されている。上述したように駆動時間とともにトナー滞留量が徐々に増加する。
【0071】
図9(B)は、現像モータを全速で駆動している場合のトナー滞留の特性である。上述したようにトナー滞留量は一定状態を維持している。
【0072】
図9(C)は、現像モータを半速で駆動したことによりトナー滞留量が増加した場合において、逆に現像モータを全速で駆動した場合のトナー滞留の特性が示されている。上述したように一定状態となるまで徐々に減少する。
【0073】
本例においては、このトナー滞留量の特性を用いて上記の半速トナー滞留量、全速トナー滞留量を決定する。
【0074】
具体的には、現像モータの駆動時間を計測して、当該駆動時間に従って、現像モータの速度に応じた図9(A)〜(C)のいずれかのトナー滞留量の特性からトナー滞留量を決定する。
【0075】
例えば、半速で現像モータを駆動させる場合には、図9(A)のトナー滞留量の特性を用いることによって、駆動時間に従うトナー滞留量を決定することが可能である。他の場合についても同様に適用可能である。
【0076】
図10は、本発明の実施の形態に従う環境状況テーブルを説明する図である。
図10を参照して、ここでは、温度と湿度とが示されており、低温低湿環境(LL環境)、高温高湿環境(HH環境)、中温中湿環境(NN環境)の3つの場合が示されている。
【0077】
環境センサにより環境情報(温度、湿度)を取得して、当該テーブルを参照することにより環境状況として、LL環境、HH環境、NN環境のいずれであるかを決定することが可能となる。
【0078】
図11は、本発明の実施の形態に従う環境状況に従う補正係数テーブルを説明する図である。
【0079】
図11を参照して、ここでは、環境状況に従って補正係数が設けられている場合が示されている。
【0080】
具体的には、HH環境の場合には、補正係数「1.05」、NN環境の場合には、補正係数「1.00」、LL環境の場合には、補正係数「0.95」とする場合が示されている。
【0081】
したがって、決定されたトナー滞留量に補正係数を乗算して、環境状況に従うトナー滞留量を補正することが可能となる。
【0082】
図12は、本発明の実施の形態に従うトナー劣化レベルに従う補正係数テーブルを説明する図である。
【0083】
図12を参照して、トナー劣化レベルが「0」と「1」とに分類されている場合が示されている。具体的には、劣化している場合には「1」、劣化していない場合に「0」である。
【0084】
そして、劣化している場合には、補正係数「1.05」とし、劣化していない場合には、補正係数「1.00」とする場合が示されている。
【0085】
したがって、上記の環境状況に従うトナー滞留量の補正の後、さらに、劣化状況に従う補正係数を乗算して劣化状況に従うトナー滞留量を補正することが可能である。
【0086】
再び、図6を参照して、次に、CPU54は、トナーレベルセンサ281がオフ(OFF)であるかどうかを判断する(ステップS6)。すなわち、カートリッジ内に十分トナーが無いとの検出信号を受けたかどうかを判断する。
【0087】
CPU54は、トナーレベルセンサ281がオフでないと判断した場合(ステップS6においてNO)には、トナーが十分に充填されている場合であるためトナー補給制御を実行する必要がない。したがって、処理を終了する(エンド)。
【0088】
一方、CPU54は、トナーレベルセンサ281がオフであると判断した場合(ステップS6においてYES)には、トナーの補給を判断する必要があるとして、次に、カートリッジ内トナー量を算出する(ステップS8)。
【0089】
カートリッジ内現像トナー量の算出は、トナーデフォルト値+トナー滞留量−トナー消費量により計算する。
【0090】
トナーデフォルト値は、現像モータを全速で駆動した場合にトナーレベルセンサ281がオフした場合のカートリッジ内のトナー量にトナー滞留量を差し引いた値である。当該デフォルト値は予め実験等により設定されている値である。
【0091】
そして、次に、CPU54は、算出したカートリッジ内トナー量がトナー補給閾値未満であるかどうかを判断する(ステップS10)。トナー補給閾値は予め設定されているものとする。
【0092】
ステップS10において、CPU54は、カートリッジ内トナー量がトナー補給閾値未満であると判断した場合(ステップS10においてYES)には、トナー補給を実施する(ステップS12)。
【0093】
そして、処理を終了する(エンド)。
一方、CPU54は、カートリッジ内トナー量がトナー補給閾値未満でないと判断した場合(ステップS10においてNO)には、トナー補給を実施する必要がないため処理を終了する(エンド)。
【0094】
なお、ステップS4の処理をステップS6の後に処理するようにしてもよい。
従来の方式においては、トナーレベルセンサ281がオフであると判断した場合に、カートリッジに対してトナー補給を実施していたためトナー滞留量が多い場合には過補給となる可能性があり、トナーこぼれや、トナー自体の劣化を促進させてしまう結果となっていた。
【0095】
本実施の形態に従う方式によりトナーレベルセンサ281がオフとなった場合においても、トナー滞留量を推定して、真にトナー補給が必要であるかどうかを判断して、必要であると判断される場合にトナー補給が実施されるため精度の高いトナー補給を実行することが可能である。これにより、トナーこぼれやトナー自体の劣化も抑制することが可能である。
【0096】
なお、上記においては、トナー滞留量の補正として、環境状況に従う補正および劣化状況に従う補正について説明したが、特にこれらをしない方式とすることも可能であるし、いずれか一方の補正のみを実行するようにしても良い。
【0097】
次に、強制攪拌処理について説明する。
上記の方式においては、トナーレベルセンサ281がオフである場合に、所定条件を満たした場合にはトナー補給を実施する場合について説明した。逆に所定条件を満たさない場合にはトナー補給が実施されない。すなわち、上記方式は、トナーの過補給を防止する方式であるがトナーが補給されない状態が長期間続けばカートリッジ内においてトナーが攪拌されない状況である滞留状態が長くなり、当該状態はトナーの劣化を促進してしまう可能性がある。
【0098】
したがって、ある程度の期間以上トナーが補給されない場合には強制的に攪拌させる方式について以下に説明する。
【0099】
図13は、本発明の実施の形態に従う強制攪拌処理を説明する図である。当該制御は、主にエンジン制御部52のCPU54で行われる。
【0100】
図13を参照して、まず、CPU54は、トナーレベルセンサがオフであり、かつ、トナー補給が停止しているかどうかを判断する(ステップS30)。すなわち、上記のフローにおいて所定条件が満たされていないためトナー補給が停止しているか否かを判断する。
【0101】
ステップS30においてCPU54は、トナーレベルセンサがオフであり、かつ、トナー補給が停止している場合(ステップS30においてYES)には、攪拌カウンタをカウントアップする(ステップS32)。具体的には、攪拌カウンタ59のカウンタ値に1を加える。
【0102】
そして、次に、CPU54は、攪拌カウンタが所定値を超えるかどうかを判断する(ステップS34)。所定値として一例として60が設定されているものとする。
【0103】
ステップS34において、攪拌カウンタが所定値を超えないと判断した場合(ステップS34においてNO)には、ステップS30に戻る。そして、再び同様の処理を繰り返す。
【0104】
本例においては、CPU54は、1秒毎にステップS30〜ステップS34の処理を繰り返すものとする。
【0105】
ステップS34において、CPU54は、攪拌カウンタが所定値を超えると判断した場合(ステップS34においてYES)には、攪拌処理を実行する(ステップS36)。すなわち、60秒たってもトナーレベルセンサがオフであり、かつ、トナー補給が停止している場合が維持されていると判断した場合には攪拌処理を実行する。具体的には、カートリッジ内の攪拌ローラ283等を全速で所定期間駆動する。
【0106】
次に、攪拌カウンタをリセットする(ステップS38)。すなわち、0とする。
次に、トナー滞留量をトナー滞留量最小値に設定する(ステップS40)。例えば、9gに設定する。
【0107】
そして、処理を終了する(エンド)。
一方、ステップS30において、トナーレベルセンサがOFFでなく、あるいは、トナー補給が停止していないと判断した場合(ステップS30においてNO)には、通常処理が行われているため攪拌カウンタをリセットする(ステップS42)。すなわち、0とする。そして、ステップS34に進み、以降同様の処理を繰り返す。
【0108】
当該方式により、攪拌カウンタの値が60となった場合には、強制的に攪拌ローラ283等を全速で駆動することにより滞留状態であるトナーを攪拌させてトナーの劣化を抑制することが可能となる。
【0109】
なお、本発明にかかる画像形成装置は、MFPに限定されない。なお、コンピュータ(CPU)を機能させて、上述のフローで説明したような制御を実行させるプログラムを提供することもできる。このようなプログラムは、コンピュータに付属するフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびメモリカードなどの一時的でないコンピュータ読取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピュータに内蔵するハードディスクなどの記録媒体にて記録させて、プログラムを提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
【0110】
なお、プログラムは、コンピュータのオペレーションシステム(OS)の一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の配列で所定のタイミングで呼出して処理を実行させるものであってもよい。その場合、プログラム自体には上記モジュールが含まれずOSと協働して処理が実行される。このようなモジュールを含まないプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
【0111】
また、本発明にかかるプログラムは他のプログラムの一部に組込まれて提供されるものであってもよい。その場合にも、プログラム自体には上記他のプログラムに含まれるモジュールが含まれず、他のプログラムと協働して処理が実行される。このような他のプログラムに組込まれたプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
【0112】
提供されるプログラム製品は、ハードディスクなどのプログラム格納部にインストールされて実行される。なお、プログラム製品は、プログラム自体と、プログラムが記録された記録媒体とを含む。
【0113】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0114】
1 画像形成装置、2 中間転写ベルト、3 感光体、4 現像装置、5 帯電装置、6 露光装置、7 中間転写ベルトクリーナ、8 カセット給紙ローラ、9 手差し給紙ローラ、10 操作パネル、11 操作部、11a キー、12 操作ディスプレイ、13 スキャナ、14 プリンタ、17 フィーダ、18 給紙部、19 トレイ、22 用紙材質検知センサ、24a,24b,24c,24d トナー補給モータ、25 トナーボトル、26 攪拌羽、27 定着ループセンサ、28 カートリッジ、29 用紙検知センサ、31 二次転写ローラ、32a 定着ローラ、32b 加圧ローラ、33 排紙ローラ、34a 両面搬送ローラ、35 両面搬送経路、36 廃トナーボックス、38 タイミングローラ、40 カラー用現像モータ、42 現像モータ、44 メインモータ、45 両面搬送モータ、46 定着モータ、50 コントローラ部、52 エンジン制御部、56 不揮発性メモリ、57 環境センサ、58 タイマ、59 攪拌カウンタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像装置と、
前記現像装置にトナーを供給するトナー補給部と、
全体を制御するコントローラとを備え、
前記現像装置は、
前記現像装置内のトナーをシステム速度に応じた複数の攪拌速度で攪拌することが可能なトナー攪拌機構と、
前記現像装置内のトナー量をトナー液面から検出してトナー補給が必要な場合に検出信号を出力するトナー検出器とを含み、
前記コントローラは、
前記トナー検出器からの検出信号の入力に応答して、前記トナー攪拌機構の攪拌速度に従う前記現像装置内に滞留しているトナー滞留量を予測して前記現像装置内のトナー量を算出し、
算出結果に応じて前記トナー補給部に前記現像装置に対する補給を指示する、画像形成装置。
【請求項2】
前記トナー攪拌機構の前記複数の攪拌速度に応じた駆動時間に従うトナー滞留量の変化を示す特性テーブルを記憶する記憶手段を備え、
前記コントローラは、
前記記憶手段に記憶されている前記特性テーブルに基づいて前記現像装置の駆動時間に従って予測されるトナー滞留量を算出し、
環境状態およびトナー劣化状態に応じて、前記算出されたトナー滞留量を補正する、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記トナー検出器からの検出信号の入力があってから所定期間、前記トナー補給部に対して前記現像装置に対する補給を指示していない場合には、前記トナー攪拌機構を駆動する、請求項1または2記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−88665(P2012−88665A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237710(P2010−237710)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】