説明

画像形成装置

【課題】単色及び複数色の画像形成が可能な画像形成装置において、過度な大型化、重量増加、製造コストの上昇を防ぎつつ、定着安定性、色再現性、像担持体のクリーニング性、及び省エネルギー性に優れた画像形成装置を提供する。
【解決手段】モノクロ画像を形成する際に使用するブラックのトナーに、圧力相転移樹脂トナーBkを用いるとともに、定着手段の記録媒体搬送方向上流側に熱定着ニップ部を設け、下流側に圧力定着ニップ部を設けている。また、中間転写体4の上部の面に沿って中間転写体4の移動方向上流側から、熱可塑性樹脂トナーを作像する作像ユニット8Y、8M、8Cを連ねて設けている。さらに、中間転写体4の移動方向最下流側には、圧力相転移樹脂トナーを作像する作像ユニット8Bkを連ねて設けている。そして、作像ユニット8Bkに設けた感光体クリーニング装置Bkには、クリーニングブラシを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、及びこれらのうち少なくとも1つを備えた複合機等の電子写真方式の画像形成装置おいて、単色及び複数色の画像形成が可能な画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境を配慮した画像形成装置への要望として、より一層の省エネルギー性の向上が求められている。また、文書等のカラー化の普及にともない、一般的なオフィス等においても、単色及び複数色の画像形成が可能な画像形成装置(以下、フルカラー画像形成装置という)の利用も拡大してきている。
【0003】
従来から、複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、及びこれらのうち少なくとも1つを備えた複合機等の電子写真方式の画像形成装置で、記録媒体上に転写されたトナー画像を定着する定着装置を備えた構成が知られている。また、定着装置による記録媒体上へのトナー画像の定着不良の発生を抑制するために、多くの定着方式が提案されている。そして、現在は、加熱源により加熱される加熱ローラを定着ローラとし、これに対向する加圧ローラを設け、定着ローラと加圧ローラとで形成する定着ニップ部で記録媒体上の未定着のトナー画像を定着する方式のものが普及している。つまり、ヒートローラ方式に代表される熱定着方式が普及している。
【0004】
ヒートローラ方式の定着装置の構成例としては、記録媒体上の熱可塑性樹脂を含むトナー(以下、熱可塑性樹脂トナーという)を熱溶解する定着ローラと、定着ローラに圧接して記録媒体を挟持する加圧ローラとを備えたものが挙げられる。定着ローラは、円筒状に形成され、その内部の中心軸上には加熱源として発熱体が保持手段により保持されている。発熱体は、例えばハロゲンランプ等により構成され、所定の電圧を印加されることにより発熱するものである。この発熱体は定着ローラの中心軸に位置しているため、発熱体から発せられた熱は定着ローラ内壁に均一に輻射され、定着ローラ外壁の温度分布は円周方向において均一となる。定着ローラの外壁は、その温度が定着に適した温度、例えば130〜200℃になるまで加熱される。このように加熱された状態で、定着ローラと加圧ローラは圧接しながら互いに逆向きに回転し、熱可塑性樹脂トナーが付着した記録媒体を挟持する。そして、定着ローラと加圧ローラのニップ部において、記録媒体上の熱可塑性樹脂トナーは定着ローラの熱により溶解し、記録媒体に定着される。
【0005】
しかし、ヒートローラ方式に代表されるように、加熱した定着ローラを用いる熱定着方式の定着装置では、定着に要するエネルギーの大部分を熱に依存するため、非常に多くのエネルギーを消費するという欠点がある。また、画像形成装置の電源投入後など、定着ローラが定着に適した温度まで昇温させるまでに比較的長い時間を要するといった欠点もある。さらに、線速が大きい高速通紙を行なう画像形成装置(以下、高速機という)に適用するには、次のような欠点がある。第一に、定着ニップ部において記録材上の熱可塑性樹脂トナーに熱と圧力を同時に作用させる構成であるため、定着不良を発生させないような十分なニップ時間を確保することが困難であることが挙げられる。そのため、線速が大きい高速機に熱定着方式を適用する場合には、定着ローラの定着温度を高く設定するとともに加圧力を大きくする等の対策が必要となり、消費電力が多大となる問題があった。また、ニップ時間を確保する等の理由により高速機では定着ローラの径が大きくなるため、熱容量も大きくなり、消費電力が一層増大してしまう。また、記録媒体の非画像部にも熱を加えるため、画像部であるトナー画像の定着には不要な熱により、記録媒体のカール等の好ましくない現象を発生させるといった不具合があった。
【0006】
これらの課題に対して、定着ニップ部での加熱温度を下げるか、全く加熱させないで定着させる定着方式が種々提案されている。例えば特許文献1には、熱エネルギーを使用せず圧力のみで定着させる、圧力定着方式が記載されている。また、特許文献2には、ビス脂肪酸アミド類を30〜70重量部とポリエチレンワックス30〜70重一部とからなる組成物を結着剤成分として含むことを特徴とする圧力定着性トナーが記載されている。しかし、ワックス類を用いたトナーは定着後の画像強度が十分でなく、いわゆるひっかき耐性が、熱定着方式によるトナー画像より劣るという問題がある。
【0007】
また、特許文献3には、圧力定着方式において、定着性や画像光沢を得るために、事前に記録媒体上のトナーを事前に予備加熱して軟化させた後に、圧力定着を行うことで定着画像を平滑化させる画像形成装置が記載されている。しかし、熱可塑性樹脂を軟化させるだけの熱エネルギーが必要なために省エネルギー性に乏しい。また、トナーが事前の予備加熱にて軟化した時点では記録媒体に定着していない。このように定着していないため、圧力定着時に、圧力定着の定着ローラとして代表的な金属ローラ等に移る可能性があり、このように移ってしまうと軟化したトナーを除去することが困難であるという問題がある。
【0008】
また、特許文献4には、シリコーンオイルに溶解する溶媒にてトナーを溶解させる方法が記載されている。また、特許文献5には、次のような湿式定着方法が記載されている。トナーを溶解または膨潤可能で、水に不溶または難溶である有機化合物が水に分散混合された水中油滴型の定着液剤を調合する。そして、調合した液体を記録媒体の表面に噴霧または滴下して未定着のトナーを溶解または膨潤させた後、記録媒体を乾燥させるものである。特許文献4、5に記載された方法により、トナーを非加熱にて定着させることができるものと考えられる。しかし、これらの方法では定着液を塗布あるいは噴霧する際や、塗布後の液体の表面張力の影響により未定着トナーが移動してしまい画像が大幅に乱れてしまう不具合が生じたり、水分除去が必要になったりする。
【0009】
そこで、上述した問題を解決する定着手段として、圧力によって流動化する樹脂、いわゆるバロプラスチック(以下、圧力相転移樹脂という)を含むトナー(以下、圧力相転移樹脂トナーという)を用いた画像形成装置が提案されている。圧力相転移樹脂としては、例えば、エチレン性不飽和化合物の場合、ミニエマルション法やリビングラジカル重合等が、一般に知られている。また、ポリエステル系の場合には結晶性ブロックと非結晶性ブロックを含むポリエステルブロック共重合体等が、一般に知られている。
【0010】
このような圧力相転移樹脂トナーを用いる画像形成装置が記載された特許文献としては、例えば、次のような特許文献が挙げられる。特許文献6には、定着温度15℃以上50℃以下において、圧力相転移樹脂としてポリエステルブロック共重合体を用いた圧力相転移樹脂トナーを用い、定着圧力が0.1Mpa以上5.0Mpa以下である画像形成方法が記載されている。また、特許文献7には、特許文献6とほぼ同様な処方の圧力相転移樹脂トナーを用いて、最大定着圧力が5.0Mpaとなるように2ロール型の定着機を改造して定着ローラを加熱することなく圧力定着する画像形成装置が記載されている。また、特許文献8には、圧力相転移樹脂トナーを用いた画像形成装置において、像担持体(感光体)上の転写残トナーをクリーニングブラシで除去する構成が記載されている。また、特許文献9には、それぞれ色の異なる圧力相転移樹脂トナーを用いた複数の作像部をタンデム方式に備えるカラー画像形成装置が記載されている。そして、このカラー画像形成装置では、中間転写ベルト上のフィルム化したトナー画像の、記録媒体への二次転写と定着とを同時に行なう構成が記載されている。これら特許文献6乃至9に記載された、圧力によって流動化する圧力相転移樹脂トナーは、従来の熱可塑性樹脂トナーに比べて、記録媒体に定着する際の熱エネルギーが少なく、省エネルギー性が非常にすぐれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献9に記載されているような、それぞれ色の異なる圧力相転移樹脂トナーを用いる複数の作像部を備えたフルカラー画像形成装置には、次のような課題があった。
【0012】
(定着安定性)
圧力相転移樹脂トナーを用いる複数の作像部を持つ画像形成装置では、中間転写体または記録媒体に直接複数のトナー像を転写させるプロセスがあり、その後高い圧力によって未定着トナー像を記録媒体上に定着するプロセスが必要である。高圧が必要な定着プロセスでは、特許文献1に記載してあるように、対となる金属ローラで押しつぶすことが一般的である。定着されるトナー像は記録媒体上の画像位置によらず均一な定着圧力をうけて定着性を均一化することが望ましい。
【0013】
ところが、カラー画像など、複数のトナー像を重ねて得られる画像の場合、定着ニップ部におけるトナー層高さ(パイルハイト)が画像位置によって異なる。このようにトナー層高さが異なることで、定着ニップ部で圧力の不均一が生じてしまい、記録媒体とトナーの定着強度にムラが生じることで定着画像が乱れてしまう。例えば、図16に示すようにフルカラー画像の場合は、複数色トナーが重なるトナー層のようにパイルハイトが高い部分と単色トナーのみからなるトナー層のようにパイルハイトが低い部分とが隣り合う画像領域があり得る。現在、広く使用されている一般的な熱可塑性樹脂からなるトナーを用いる画像形成装置では、定着ローラ又は定着ベルト等の定着体が弾性層を有する。このように弾性層を有することにより、図16の定着前のように隣り合う画像領域のパイルハイトが異なる場合でも、定着体の表面は、定着ニップ部のパイルハイト段差に追従し、定着に必要な熱と圧力をトナーへ与えることができる。
【0014】
しかし、高い圧力が必要な圧力相転移樹脂トナーを用いる画像形成装置では、上述したように対となる金属ローラ等を用いることが一般的であり、定着体に十分な弾性層を設けていない。そして、定着体の表面は、トナー層パイルハイト段差に追従することができない。このように追従することができないため、図16のように、低パイルハイトのトナー層の画像領域には、十分な圧力を与えることができず、圧力相転移樹脂トナーは十分な流動性が得られない。そして、圧力相転移樹脂トナーの記録媒体へのアンカリングが不足して定着性が悪化してしまう。特許文献9では、全色圧力相転移樹脂トナーで作像し、中間転写体にて圧力によりフィルム化し、記録媒体に転写後に圧力定着を施しているが、同様にフィルム化の工程でトナー像にかかる圧に不均一が生じる。これでは、トナー像がフィルム化されたり、フィルム化されず粒子のままでいたりと完全にフィルム化することが難しい。定着安定性が悪いと、手や衣服が汚れることや色再現域が狭くなるといったユーザーのデメリットにつながる。一方、これを解決するためには、圧力定着時の圧またはフィルム化の際の圧を高圧にする必要があり、定着装置又はフィルム化するための装置が大掛かりになり、画像形成装置の大型化や重量増加の点で好ましくない。
【0015】
(色再現性)
上述したように圧力の不均一性が生じてしまうと、十分な流動性が得られないためトナー同士が凝集せずに、局所的にトナーの粒塊と空隙(トナーとトナーの隙間)が残ってしまう画像部が生じる。このような画像部が生じると単色画像においては、画像濃度が低下してしまう。さらに、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローを用いたフルカラー画像においては、記録媒体とトナーとの定着性が低下するだけではなく、色再現性が低下しガマット体積の減少を招いてしてしまう。また、局所的にトナーの粒塊と空隙が残ってしまう画像部が生じるため、トナー層の表面の平滑性が出せずフルカラー画像に求められる光沢度も得られない。
【0016】
(クリーニング性)
一般的に感光体上や中間転写体などの像担持体上のトナー除去の方法としては、ウレタンゴム等のクリーニングブレードを像担持体に当接させ、像担持体とブレードがなすニップに一定の応力をかけてトナーを除去する方法が一般的である。ところが、圧力相転移樹脂トナーを除去する際は、クリーニングブレードからの応力によってトナーが流動化して像担持体に付着してしまい、フィルミングとなってトナー像へ影響を与えしてしまう場合がある。また、クリーニング部で流動化したトナーは、もとのトナーの形から異形化または他のトナーと凝集(一体化)して、巨大化することで、トナー回収部から廃トナータンクへの搬送が困難になる場合がある。このような理由により、圧力相転移樹脂トナーの場合は、トナーへ機械的ストレスをかけずにクリーニングされることが好ましい。例えば、上述したように特許文献8には、クリーニングブラシによって圧力相転移樹脂トナーへの応力をかけずに、圧力相転移樹脂トナーをブラシクリーニングする構成が記載されている。
【0017】
ところが、近年、カラー画像の高生産性、画像形成装置の簡略化、コンパクト化のための複数の作像部(例えば、K、C、M、Y)を有する画像形成装置として、複数の作像部が直列に並ぶタンデム方式が主流となっている。しかし、複数の作像部を連ねるタンデム方式では上流の作像部から中間転写体または記録媒体に転写されたトナーが下流の像担持体である感光体へ転写してしまう、いわゆる逆転写トナーが生じてしまう。また、最終的に記録媒体上に所望の質量のトナーを得るため、タンデム方式の上流にある作像部にはより多くのトナー量を現像する必要性がある。そのため、転写しきれないトナー、いわゆる転写残トナーが生じてしまう。このように複数の作像部が直列に並ぶタンデム方式の画像形成装置では、ひとつの感光体クリーニング部あたりに突入してくるトナー量が単色(モノクロ)画像形成装置よりも多い。そして、タンデム方式の最下流にある作像部では、転写後に像担持体上から除去するトナー量が、ブラシクリーニングのトナー除去能力を超えてしまいクリーニング不良が起きる可能性が高くなる。転写後の感光体等の像担持体で、クリーニング不良が起きると、その後の画像形成に不具合を生じてしまう。
【0018】
複数色の圧力相転移樹脂トナーを用いる画像形成装置は、省エネルギー性に非常に優れるという利点かあるが、上述したように、定着安定性、色再現性、及びクリーニング性といった課題を持つ。このような課題は、フルカラー画像形成装置として致命的な欠陥となる。定着安定性、色再現性、及びクリーニング性の課題を解決するには、例えば図17に示すように本定着前にプレ定着を行い、パイルハイトが高い部分のトナー層をプレ定着し、本定着の際に圧力の不均一性が生じないようにする必要がある。例えば、図18に示すように記録媒体P上に直接転写された各色の圧力相転移樹脂トナー画像に対し、転写直後にそれぞれ圧力定着を行う圧力定着装置40を有することで常に圧力定着ニップ部でトナー層パイルハイトを低い状態にできる。このように低い状態にすることで、上述した圧力の不均一性、色再現性、及びクリーニング性の課題が解決できる。しかしながら、各色ごとに圧力定着装置を設けると、画像形成装置の大型化、重量増加、製造コスト増等の技術的課題が多く、非常に大掛かりな装置になってしまう。
【0019】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、次のような画像形成装置を提供することである。単色及び複数色の画像形成が可能な画像形成装置において、過度な大型化、重量増加、製造コストの上昇を防ぎつつ、定着安定性、色再現性、像担持体のクリーニング性、及び省エネルギー性に優れた画像形成装置である。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、像担持体と、該像担持体上に形成された静電潜像をトナーを用いて現像する現像手段と、前記像担持体上に現像されたトナー画像を、中間転写体又は記録媒体上に転写する転写手段と、前記像担持体上に転写されずに残った転写残トナーを除去する像担持体クリーニング手段とを有した複数の作像部と、前記記録媒体上に転写されたトナー画像を、前記記録媒体上に定着する定着手段と、を備えた画像形成装置において、前記複数の作像部にそれぞれ有する現像手段で用いるトナーは、圧力相転移樹脂を含む圧力相転移樹脂トナー、又は熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂トナーであり、前記圧力相転移樹脂トナー及び前記熱可塑性樹脂トナーは、いずれも少なくとも1つ以上の作像部に有した現像手段で用いられ、前記記録媒体上に転写されたトナー画像を形成する前記圧力相転移樹脂トナーを、前記記録媒体に定着させる定着手段の定着ニップが形成される圧力定着ニップ部と、前記記録媒体上に転写されたトナー画像を形成する前記熱可塑性樹脂トナーを、前記記録媒体に定着させる定着手段の定着ニップが形成される熱定着ニップ部とを別に備え、前記圧力定着ニップ部における定着条件の温度Tb及び圧力Pbと、前記熱定着ニップ部における定着条件の温度Ta及び圧力Paとの大小関係が、Tb<TaかつPb>Paであることを特徴とする。
本発明は、圧力定着ニップ部と熱定着ニップ部の定着条件が、互いに比較して低温・高圧と高温・低圧の関係にある圧力定着ニップ部と熱定着ニップ部とを別に備えている。このように各定着ニップ部を備えることで、それぞれの定着条件に適合した圧力相転移樹脂トナーと熱可塑性樹脂トナーとを用いて、次のように圧力相転移樹脂トナーの圧力定着と熱可塑性樹脂トナーの熱定着とを行うことが可能となる。未定着の圧力相転移樹脂トナーは、熱定着ニップ部を通過しても記録媒体への定着は行われず、圧力定着ニップ部を通過することで記録媒体への定着が行われる。また、未定着の熱可塑性樹脂トナーも、圧力定着ニップ部を通過しても記録媒体への定着は行われず、熱定着ニップ部を通過することで記録媒体への定着が行われる。つまり、圧力相転移樹脂トナー専用の圧力定着ニップ部と、熱可塑性樹脂トナー専用の熱定着ニップ部とを別に備えることができ、圧力相転移樹脂トナーの圧力定着と熱可塑性樹脂トナーの熱定着とを分けて行なうことが可能となる。このように分けることで、例えば、熱定着を行った後に圧力定着を行ったり、圧力相転移樹脂トナーの圧力定着を行った後に熱可塑性樹脂トナーの2次転写及び熱定着を行ったりできる。このように圧力定着及び熱定着を行うことで、圧力定着ニップ部でのトナー層のパイルハイトの段差を少なくできる。したがって、圧力相転移樹脂トナーに対する圧力の不均一性を、従来の圧力相転移樹脂トナーしか用いず、熱可塑性樹脂トナーの定着ニップ部を別に備えていない構成よりも抑制し定着安定性を高めることができる。また、圧力定着する際の圧力の不均一性を抑制するのに圧力定着ニップ部と熱定着ニップ部とを別に備えるだけなので、各作像部毎に定着手段を設けたり、圧力定着時の圧を高圧にするために定着装置が大掛かりなものになったりしない。したがって、画像形成装置の過度な大型化、重量増加、製造コストの上昇を防ぐことができる。
また、上記のように圧力相転移樹脂トナーに対する圧力の不均一性を抑制できるので、圧力定着する際に圧力相転移樹脂トナーは十分な流動性を得てトナー同士が凝集し、局所的なトナーの粒塊と空隙が残る画像部は生じない。したがって、単色画像においては、圧力の不均一性に起因した画像濃度の低下が生じることはない。さらに、複数色のトナーを用いたフルカラー画像においても、記録媒体とトナーとの定着性が低下することもなく、色再現性が低下しガマット体積の減少を招くこともない。また、局所的にトナーの粒塊と空隙が残ってしまう画像部が生じないため、トナー層の表面の平滑性が出せてフルカラー画像に求められる光沢度も得られる。
また、圧力相転移樹脂トナーと熱可塑性樹脂トナーは、いずれも少なくとも1つ以上の作像部に有する現像手段で用いられる。したがって、従来のフルカラー画像形成装置のように、全ての作像部に有する現像手段で圧力相転移樹脂トナーを用いる構成よりも、圧力相転移樹脂トナーで現像される像担持体上の転写残トナーに加わる圧力相転移樹脂トナーの逆転写トナーの量を少なくできる。このように、圧力相転移樹脂トナーで現像される像担持体上で除去する圧力相転移樹脂トナーのトナー量を、従来のフルカラー画像形成装置の構成よりも少なくできる。したがって、除去するトナーに過度な圧力を加えないブラシクリーニングだけでも良好な像担持体のクリーニング性を発揮できる。
以上のように、本発明は、画像形成装の過度な大型化、重量増加、製造コストの上昇を招くことなく、定着安定性、色再現性、及びクリーニング性といった圧力相転移樹脂トナーを用いるフルカラー画像形成装置の課題を解決できる。そして、フルカラー画像形成装置の利用頻度の高い色のトナー(例えば、黒)に圧力相転移樹脂トナーを用いることで、圧力相転移樹脂トナーの省エネルギー性を活かすことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、従来のように画像形成装の過度な大型化、重量増加、製造コストの上昇を招くことなく、定着安定性、色再現性、及びクリーニング性と、圧力相転移樹脂トナーを用いることによる省エネルギー性とを両立することができる。
よって、単色及び複数色の画像形成が可能な画像形成装置において、過度な大型化、重量増加、製造コストの上昇を防ぎつつ、定着安定性、色再現性、像担持体のクリーニング性、及び省エネルギー性に優れた画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態に係る、画像形成装置の全体説明図。
【図2】定着装置の当接離間機構の例の説明図。
【図3】実施例1における具体例1の画像形成部及び定着手段の説明図。
【図4】実施例1の定着手段の構成例の説明図。
【図5】実施例1における具体例1の感光体の当接離間機構の例の説明図。
【図6】実施例1における具体例2の画像形成部及び定着手段の説明図。
【図7】実施例1における具体例3の画像形成部及び定着手段の説明図。
【図8】実施例1における具体例4の画像形成部及び定着手段の説明図。
【図9】実施例1における具体例5の画像形成部及び定着手段の説明図。
【図10】実施例1における具体例6の画像形成部及び定着手段の説明図。
【図11】実施例2の画像形成部及び定着手段の説明図。
【図12】実施例3の画像形成部及び定着手段の説明図。
【図13】実施例4の画像形成部及び定着手段の説明図。
【図14】実施例5の画像形成部及び定着手段の説明図。
【図15】実施例6の画像形成部及び定着手段の説明図。
【図16】従来の定着する際のトナー層パイルハイトの説明図。
【図17】従来のプレ定着を行う際のトナー層パイルハイトの説明図
【図18】従来のプレ定着を行う画像形成部及び定着装置の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を、電写真方式の画像形成装置である複数の作像部(以下、作像ユニットという)をタンデム方式で備えたフルカラー複写機に適用した実施形態の一例について、複数の実施例及び具体例を挙げて図を用いて説明する。まず、各実施例及び具体例を適用する画像形成装置の概要から説明する。ここで、各実施例及び具体例は、画像形成部及び定着部である定着装置の構成に特徴があるが、この概要説明では後述する実施例1における具体例1の構成に基づいて概略を説明し、異なる点はそれそれの実施例及び具体例で説明する。図1は、本実施形態に係る、画像形成装置の全体説明図、図2は、定着装置の当接離間機構の例の説明図である。
【0024】
本実施形態のフルカラー複写機の構成の概要から説明する。この複写機は、複写機本体100と、この複合機本体を載置する給紙テーブル200と、その複合機本体上に取り付けるスキャナ300と、このスキャナの上部に取り付けられる原稿自動搬送装置(ADF)400とから構成されている。そして、本実施形態の複写機は、中間転写体であるベルト状の中間転写体4とイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックに対応した4つの作像ユニットを備えた、いわゆるタンデム方式のフルカラー画像形成装置である。そして、各作像ユニットの現像手段である現像装置3には、熱可塑性樹脂トナー又は圧力相転移樹脂トナーが収納されている。以下、各色の表記として、熱可塑性樹脂トナーの作像に関する部分はそれぞれイエローをY、マゼンタをM、シアンをC、ブラックをKと表記し、圧力相転移樹脂トナーの作像に関するブラックをBkと表記する。
【0025】
複写機本体100には、中間転写手段として、第2の像担持体であるベルト状の中間転写体4を、駆動ローラ21、従動ローラ22、2次転写対向ローラ23、に掛けまわして、図中時計まわりに走行可能に備えている。この中間転写体4の駆動ローラ21、従動ローラ22で張架された面には、中間転写体4の移動方向上流側から熱可塑性樹脂トナーを作像する、Y、C、Mの3つの作像部である作像ユニット8Y、8M、8Cを備えている。熱可塑性樹脂トナーを作像する作像ユニット8Y、8M、8Cは、用いる熱可塑性樹脂トナーの色が異なるのみで、それぞれ同一構成をしている。いずれも図1中、時計まわり回転する第1の像担持体であるドラム状の感光体1Y、1M、1Cを平行に並べて設置している。各感光体1のまわりには感光体を静電的に帯電させる帯電装置2Y、2C、2Mと、各感光体上の静電潜像にトナー像を現像させることができる、つまり、Y、C、M各色の熱可塑性樹脂トナーを収容している現像装置3Y、3C、3Mとを配置している。さらに感光体1上のトナーを除去する像担持体クリーニング手段である感光体リーニング装置6Y、6C、6Mもそれぞれ配置している。
【0026】
感光体クリーニング装置6Y、6C、6Mの構成としては、例えばウレタンゴムに代表されるゴム材料からなるブレードを感光体に押し当てることでトナーを除去できる構成にしている。また、クリーニングブレードによって回収されたトナーは不図示の廃トナータンクへ回収される機構を有する。また、クリーニング性の向上または各感光体1の保護のために、ステアリン酸亜鉛やステアリン酸カルシウムに代表される金属脂肪酸からなる潤滑剤塗布機構を設けても良い。
【0027】
また、Y、M、Cの作像部の他に、圧力相転移樹脂トナーを作像するBkの作像部である作像ユニット8Bkを備える。この作像ユニット8Bkは、作像ユニット8Y、8M、8Cと並んで4連タンデムとなるように中間転写体4の移動方向最下流に配置されている。つまり、本実施例の複写機の画像形成部は、圧力相転移樹脂トナーと熱可塑性樹脂トナーとを用いるいわゆるハイブリッド作像エンジンを構成している。そして、この作像ユニット8Bkは、作像ユニット8Y、8M、8Cと同じく、図1中、時計まわり回転する第1の像担持体であるドラム状の感光体1Bkを設置している。感光体1Bkのまわりには感光体を静電的に帯電させる帯電装置2Bkと、静電潜像にトナー像を現像させる、つまり、ブラックの圧力相転移樹脂トナーを収容している現像装置3Bkとを配置している。さらに感光体1Bk上のトナーを除去する感光体クリーニング装置6Bkが配置している。
【0028】
Bkトナーつまり圧力相転移樹脂トナーの像担持体クリーニング手段である感光体クリーニング装置6Bkとしては、トナークリーニング部にてトナーへの応力が小さくなるような構成が好ましい。たとえば、回転するクリーニングブラシを用いた方法である。ブラシ繊維の材料としては、ナイロン、ポリエステル、アクリル等の絶縁材料が一般的である。また、ブラシにトナーと同極性または逆極性の電圧を印加してクリーニング機能を付与しても良い。感光体クリーニング装置6Bkによって回収されたトナーはY、M、Cと同様に、不図示の廃トナータンクへ回収される機構を有する。またY、M、Cと同様に、クリーニング性の向上または感光体1Bkの保護のために、潤滑剤塗布機構を設けても良い。
【0029】
図1では、最も使用頻度が高いBkのファーストプリントスピードが速くなるように、Bkの作像ユニットBkは最下流位置に設置されているが、特にY、M、C、Bkの並び順はこれに限定されるものではない。例えば、Bkを最上流に設置することで、特別な当接離間機構を設けずとも他色トナーがBkユニットへ逆転写することを防ぐことができるために、クリーニング余裕度の向上およびBkトナーのリサイクル使用が可能となる。そして、各作像ユニット8の感光体1には、1次転写位置でそれぞれ中間転写体4を挟んで、1次転写バイアスが印加される1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bkを不図示の付勢部材によって押し当て、1次転写手段としている。
【0030】
また、従動ローラ22の対向には、中間転写体4の表面をクリーニングする中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置25を設けている。ベルトクリーニング装置25に関しては、従動ローラ22に掛けまわされた中間転写体4の移動方向上流側にクリーニングブラシを設け、その下流側にウレタンゴム等のゴム材料からなるクリーニングブレードを押し当てている。このように構成することでトナーを除去できる構成にしている。これは、ベルトクリーニング装置25に圧力相転移樹脂トナーが回り込んでくるため、専用のクリーニングブラシを設け、圧力を加えずに圧力相転移樹脂トナーを除去し、その後クリーニングブレードで熱可塑性樹脂トナーを除去するためである。また、各感光体1の感光体クリーニング装置と同様に、ベルトクリーニング装置25によって回収されたトナーは不図示の廃トナータンクへ回収される機構を有する。また同様に、クリーニング性の向上または中間転写体4の保護のために、金属脂肪酸などの潤滑剤塗布機構を設けても良い。
【0031】
各作像ユニットの上部には、各感光体1に静電潜像を形成させるための書込み装置11Y、11M、11C、11Bkを設けている。また、2次転写対向ローラ23の対向位置には、中間転写体4及び記録媒体搬送ベルト7を介して、2次転写バイアスが印加される2次転写ローラ24を備え、2次転写手段を構成している。例えば、中間転写体4に順次転写された複数色のトナー画像は、2次転写対向ローラ23と2次転写ローラ24とが対向する2次転写ニップ部で、搬送手段である記録媒体搬送ベルト7で運ばれてきた記録媒体P上に静電的に転写される。この記録媒体搬送ベルト7は、未定着のトナー画像の、2次転写される記録媒体Pの2次転写部への進入挙動、及び定着装置30への進入挙動を制御するため、張架ローラ26対及び2次転写ローラ24に張架されて記録媒体Pを搬送する。
【0032】
また、本実施形態の定着手段は、熱可塑性樹脂トナーを定着させる熱定着ニップ部と、圧力相転移樹脂トナーを定着させる圧力定着ニップ部とが異なる。図1の構成では、記録媒体P搬送方向上流側に熱定着ニップ部を構成する定着手段である熱定着装置30を設け、搬送方向下流側に圧力定着ニップ部を構成する定着手段である圧力定着装置40を設けている。次にそれぞれの定着手段について説明する。
【0033】
(熱可塑性樹脂トナーの定着手段)
本実施形態の複写機において、熱可塑性樹脂トナーを定着する定着手段である熱定着装置30は、ローラ状の定着体(定着回転体)である定着ローラ31に加圧手段である加圧ローラ32を不図示の付勢部材で押し当てる構成としている。また、この熱定着装置30は、記録媒体P上のトナー画像を定着する熱定着ニップが形成される当接状態と、熱定着ニップが形成されない離間状態とを選択可能な不図示の構成および制御を有した当接離間機構を備えている。定着ローラ31、加圧ローラ32は、アルミニウムやSUS等よりなる金属パイプ製の芯金と、その表面に設けるシリコーンゴム等からなる弾性層とを有する。そして、弾性層の表面にフッ素樹脂系材料であるPFAやPTFEなどをコーティングして形成する離型層も有する。さらに、定着ローラ31の中には、熱源となるハロゲンヒータ33を有する。また、他の熱源としては、電磁誘導により転写定着ローラ31を加熱するようにしても良い。具体的な構成としては、例えばIHコイルを定着ローラ31の外周面と所定の間隙を介して対向するよう配置し、定着ローラ31の芯金を磁性材料としたり、磁性材料を含有した磁性層を設けたりして、電磁誘導加熱することが考えられる。
【0034】
記録媒体P上に未定着の熱可塑性樹脂トナー像が存在する場合、つまりカラー印刷時には、定着ローラ31と加圧ローラ32は当接状態であり、熱可塑性樹脂トナーは熱と圧力を受けて記録媒体Pに定着される。熱定着ニップ部における温度Taは100℃〜200℃が好ましく、定着ニップにおける圧力Paは0.2kgf/cm〜2kgf/cmが好ましい。
【0035】
(圧力相転移樹脂トナーの定着手段)
本実施形態の複写機において、圧力相転移樹脂トナーを定着する定着手段である圧力定着装置40は、表面が滑らかな金属製の加圧ローラ対41、42で構成されている。そして、それぞれの回転軸の両端部を圧縮スプリングによって付勢する構成としている。また、この定着装置40は、記録媒体P上のトナー画像を定着する圧力定着ニップが形成される当接状態と、圧力定着ニップが形成されない離間状態とを選択可能な不図示の構成および制御を有した当接離間機構を備えている。記録媒体P上に未定着の圧力相転移樹脂トナー像が存在する場合は、加圧ローラ対41、42は当接状態であり、圧力相転移樹脂トナーは圧力もしくは圧力と熱を受けて記録媒体Pに定着される。圧力定着ニップ部における温度Tbは15℃〜100℃が好ましい。圧力定着ニップ部における圧力Pbは5kgf/cm〜500kgf/cmが好ましい。この値は実施の温度や圧力の値を限定するものではなく、トナー特性や定着装置の構成によって、次の関係を満たす適切な値に設定してよい。圧力定着ニップ部での圧力相転移樹脂トナーの定着条件における温度Tb及び圧力Pbと、熱定着ニップ部での熱可塑性樹脂トナーの定着条件における温度Ta及び圧力Paとの大小関係が、Tb<TaかつPb>Paである。
【0036】
また、定着時には、加圧ローラ対41、42の間隔(定着ニップ部におけるギャップ)Gは、完全に当接している状態ではなく記録媒体Pの厚さより小さい値でもよい。このようにすることで、圧力定着ニップ部に異物が挟まること等が原因となって発生する各加圧ローラ表面の傷を防止することができるため、各加圧ローラの長寿命化につながる。また、加圧ローラ対が接触し高い圧力がかかっていると剛性の低い記録材の場合はシワが発生しやすく、さらに、シワに添って破断することもある。しかし、本実施形態の構成では、記録媒体Pにかかる圧力が比較的低く記録媒体に与える力が小さいため、記録媒体に与えるダメージが少ない。このため、シワの発生や、これに起因する記録媒体Pの破断などの不具合を防止することができる。逆に、記録媒体P上に未定着の圧力相転移樹脂トナー像が存在しない場合は、加圧ローラ対41、42の間隔Gは記録媒体Pの厚さより所定距離だけ大きくし、定着ニップが形成されない離間状態に制御される。
【0037】
また、圧力相転移樹脂トナーは消費エネルギーの観点から完全に非加熱で定着されることが望ましいが、補助的に熱を加えても良い。例えば、図1に示すように加圧ローラ41に対抗するように熱源であるハロゲンヒータ43および輻射板を設けることで輻射熱によって定着ニップ上流位置で加圧ローラ41を加熱することができる。
【0038】
このように圧力定着ニップ部での圧力相転移樹脂トナーの定着条件における温度Tb及び圧力Pbと、熱定着ニップ部での熱可塑性樹脂トナーの定着条件における温度Ta及び圧力Paの大小関係は、Tb<TaかつPb>Paである。つまり、本実施形態では、圧力相転移樹脂トナーの記録媒体P上への圧力定着は、低温・高圧の定着条件で行い、熱可塑性樹脂トナーの記録媒体P上への圧力定着は、高温・低圧の定着条件で行う。このような定着条件で圧力定着ニップ部と熱定着ニップ部を分けることで、未定着の圧力相転移樹脂トナーが当接状態の熱定着ニップ部を通過する場合であっても定着ローラ31への圧力相転移樹脂トナーのホットオフセットを抑制できる。
【0039】
また、圧力定着装置40の圧力定着ニップ部を当接状態と離間状態とが選択可能な当接離間機構の構成としては、例えば図2に示す圧力定着装置40のように構成することができる。圧力定着装置40は、当接状態と離間状態とが選択可能であるとともに、加圧ローラ対41、42におけるそれぞれの両端部をスプリング48の押圧力によって付勢するが、記録媒体Pの通紙部は接触しない構成である。具体的には、圧力定着装置40の筐体の支点47に一端側を回転自在に支持され、他端側をスプリング48で支持された下ローラ端支持部材42aを設け、この下ローラ端支持部材42aの略中央で加圧ローラ42の軸受け42aを支持する。また、圧力定着装置40の筐体の支点47に一端側を回転自在に支持され、他端側を後述するカム49で支持される上ローラ端支持部材41aを設け、この上ローラ端支持部材42aの略中央で加圧ローラ41の軸受け41aを支持する。そして、カム49は、下ローラ端支持部材42aのスプリング48側の上端部近傍に楕円状のカム部材であり、このカム部材49が上ローラ端支持部材42aに押圧されて接触し、加圧ローラ対の間隔(ギャップ)Gを所定の幅に保つ。
【0040】
さらに、このカム49は不図示の駆動手段により回転駆動され、加圧ローラ対の上記所定の間隔Gを保った当接状態と、通紙される記録媒体Pのトナー付着面に加圧ローラ41の周面が接触しない離間状態まで間隔を広げることができる。また、熱定着装置30の滅定着ニップ部を当接状態と離間状態とが選択可能な当接離間機構の構成も同様に、加圧ローラ32を定着ローラ31に押し当てる付勢部材の押圧位置を、カム部材等で変化させる構成にできる。このように各定着装置の定着ニップ部の当接状態と離間状態とを選択可能にでき、記録媒体Pの不必要な定着ニップ部の通過を回避することで、定着突入時の音、衝撃や速度変動による異常画像の発生を防止、又は低減することができる。
【0041】
次に、本実施形態における複合機のコピー動作について説明する。上述したような構成をもつ複合機を用いて原稿のコピーをとる場合、まず、原稿自動搬送装置400の原稿台401に原稿をセットする。又は、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス301上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで押さえる。その後、ユーザーがスタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときには、原稿がコンタクトガラス301上に搬送される。そして、スキャナ300が駆動して第1走行体302および第2走行体303が走行を開始する。これにより、第1走行体302からの光がコンタクトガラス301上の原稿で反射し、その反射光が第2走行体303のミラーで反射されて、結像レンズ304を通じて読取センサ305に案内される。このようにしいて原稿の画像情報を読み取る。
【0042】
また、ユーザーによりスタートスイッチが押されると、駆動モータ(不図示)が駆動し、駆動ローラ21が回転駆動して中間転写体4が回転駆動する。また、これと同時に、各作像ユニット8の感光体1Y、1M、1C、1Bk、及び2次転手段を構成する2次転写ローラ24に張架された記録媒体搬送ベルト7も回転駆動する。これら中間転写体4、感光体1Y、1M、1C、1Bk及び記録媒体搬送ベルト7は、これらの間で一定の相対速度が維持されるように制御がなされている。その後、スキャナ300の読取センサ305で読み取った画像情報に基づき、書込み装置11Y、11M、11C、11Bkから、各帯電装置2により一様帯電された感光体1Y、1M、1C、1Bkに書込光がそれぞれ照射される。
【0043】
これにより、感光体1Y、1M、1C、1Bkには、それぞれ静電潜像が形成され、現像装置3Y、3M、3C、3Bkにより可視像化される。そして、感光体1Y、1M、1C、1Bk上には、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像が形成される。このようにして形成された各色トナー画像は、1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bkに印加された電荷により、順次中間転写体4上に重なり合うようにそれぞれ1次転写される。これにより、中間転写体4上には、各色トナー画像が重なり合った合成トナー像が形成される。そして、2次転写後の中間転写体4上に残留した転写残トナーは、ベルトクリーニング装置25により除去される。
【0044】
また、ユーザーによりスタートスイッチが押されると、ユーザーが選択した記録媒体Pに応じた給紙テーブル200の給紙ローラ202が回転し、給紙カセット201の1つから記録媒体Pが送り出される。送り出された記録媒体Pは、分離ローラ203で1枚に分離して給紙路204に入り込み、搬送ローラ205により複合機本体100内の給紙路101まで搬送される。このようにして搬送された記録媒体Pは、レジストローラ102に突き当たったところで止められる。ここで、給紙カセット201にセットしていない記録媒体Pを使用する場合、手差しトレイ105にセットした記録媒体Pを給紙ローラ104により送り出し、分離ローラ108で1枚に分離した後、手差し給紙路103から搬送する。そして、同じくレジストローラ102に突き当たったところで止められる。
【0045】
レジストローラ102は、上述のようにして中間転写体4上に形成された合成トナー画像が2次転写部に搬送されるタイミングに合わせて回転を開始する。ここで、レジストローラ102は、一般的には接地されて使用されることが多いが、記録媒体Pの紙粉除去のためにバイアスを印加するようにしてもよい。その印加バイアスには、DC電圧が用いられるが、転写紙をより均一に帯電させるためにDCオフセット成分をもったAC電圧を用いてもよい。このようにバイアスが印加されたレジストローラ102を通過した後の記録媒体P表面は、若干ながら負極性に帯電する。よって、この場合、中間転写体4から記録媒体Pへの2次転写時にはレジストローラ102にバイアスが印加されなかった記録媒体Pとは転写条件が変わるため、適宜転写条件を変更する必要が生じる。
【0046】
レジストローラ102により送り出された記録媒体Pは、記録媒体搬送ベルト7を介して、2次転写ローラ24と中間転写体4との間に形成される2次転写ニップ部に送り込まれる。そして、2次転写ローラ24に印加される2次転写バイアスにより、中間転写体4上の合成トナー画像が記録媒体P上に2次転写される。そして、合成トナー画像が転写された記録媒体Pは熱定着装置30に送られ、所定の圧力のもと熱によって合成トナー画像の熱可塑性樹脂トナーが記録媒体P上に熱定着される。その後、記録媒体Pは、後続の圧力定着装置40に送られ、加圧ローラ対41、42により所定の温度のもと所定の圧力で加圧されて合成トナー画像の圧力相転移樹脂トナーが記録媒体P上に圧力定着される。そして、圧力定着装置40を通過した記録媒体Pは、排紙ローラ106まで搬送され、排紙トレイ107に排出されスタックされる。
【0047】
次に、本実施形態で用いる圧力相転移樹脂トナーについて説明する。本実施形態で用いるトナー用樹脂としては、ミクロ相分離構造を有するものが好ましく、ブロック共重合体あるいはコアシェル構造の樹脂がより好ましい。ブロック共重合体の場合には、次のように構成されていることがさらに好ましい。ブロック共重合体を構成する樹脂の高分子のどちらか一方がガラス転移温度の高いハードセグメントの高分子からなり、もう一方はガラス転移温度あるいは融点が低いソフトセグメントの高分子で構成されていることである。また、コアシェル構造の樹脂の場合にも、同様に次のように構成されていることがさらに好ましい。コアかシェルのどちらかがガラス転移温度の高いハードセグメントの高分子からなり、もう一方はガラス転移温度あるいは融点が低いソフトセグメントの高分子から構成されていることである。このような構造の樹脂を用いると、圧力刺激により樹脂の流動性が発現し、加圧定着をおこなう加圧定着手段に必要な所望の樹脂流動性を得ることができる。
【0048】
このような構造の樹脂としては、重縮合機構により重合した樹脂あるいはエチレン性不飽和単量体をラジカル重合機構により重合した樹脂を用いることができる。重縮合機構により重合した樹脂としては、例えば、非特許文献1、非特許文献2等に記載の従来公知の方法を用いて合成することができる。また、エステル交換法や直接重縮合法等を単独で、又は、組み合わせて用いて合成することができ、ポリエステル樹脂を好ましく挙げることができる。エチレン性不飽和単量体を重合する場合には、リビングアニオン重合法によりブロック共重合体を得ることができる。また、コアシェル粒子の場合には2ステージフィード法と呼ばれる単量体を段階的に重合系へ供給する方法にてコア成分高分子とシェル成分高分子のガラス転移温度の異なるナノサイズのコアシェル樹脂粒子を合成することができ好ましい。ここで、ガラス転移温度Tgの測定は、示差走査熱量計(DSC)を用いて−80から140℃まで、毎分10℃の昇温速度で測定を行った時のASTM D3418−82に規定された方法で測定した値を意味する。ハードセグメント成分相のTgは、45〜120℃であることが好ましく、50〜110℃の範囲にあることがより好ましい。ソフトセグメント成分相Tgは、前記ハードセグメント成分相のTgより20℃以上低いことが好ましく、圧力刺激による樹脂の流動性を効率よく出願させる為には、30℃以上低いことより好ましい。
【0049】
ブロック共重合体や重縮重合したポリエステル樹脂については、次に挙げる既存の分散法等を利用してナノサイズコアシェル粒子の場合と同様に、樹脂粒子分散液にすることができる。回転剪断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル、圧力吐出型分散機(ゴーリンホモジナイザー、ゴーリン社製)など各種機械的高剪断力により水系媒体に分散させる剪断乳化法。樹脂を有機溶剤に溶解した後、水系媒体を添加し転相させる転相乳化法。ブロック共重合体又はその前駆体(リビング末端低分子量体又はブロック)を少量のエチレン性不飽和化合物と混合し、剪断乳化や転相乳化後、ミニエマルション重合、懸濁重合によりブロック共重合体の樹脂粒子分散液に調合する手法等である。例えば、得られた樹脂分散液を用い、着色剤含有分散液、必要に応じて離型剤含有分散液をそれぞれ適量配合し、乳化凝集法により静電荷像現像用トナーを製造することができる。
【0050】
静電荷像現像用トナーの製造方法においては、前記分散液中の前記樹脂粒子、離型剤粒子及びその他の添加した粒子を凝集(会合)させる既知の凝集法を用いて凝集させることで、トナー粒径及び粒径分布を調整することが可能である。具体的には、樹脂粒子分散液及び離型剤粒子分散液を、着色剤粒子分散液等と混合し、さらに凝集剤を添加しヘテロ凝集を生じさせることによりトナー径の凝集粒子を形成する。その後、配合した分散液の系を樹脂粒子のガラス転移温度以上、又は、融点以上の温度に加熱して前記凝集粒子を融合合一し、洗浄、乾燥することにより静電荷像現像用トナーが得られる。この時、加熱温度条件を選択することでトナー形状を不定形から球形まで制御することができる。
【0051】
(ポリエステル樹脂)
重縮合樹脂としては、非結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。そして、ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸や、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸等の重縮合性単量体を用いた直接エステル化反応、エステル交換反応等により重縮合を行い、作製することができる。また、重縮合の際には、重縮合を促進するために、重縮合触媒を併用することが好ましい。
【0052】
本実施形態において、多価カルボン酸は、脂肪族、脂環族、芳香族の多価カルボン酸、それらのアルキルエステル、酸無水物及び酸ハロゲン化物を含む。また多価アルコールは、多価アルコール、それらのエステル化合物を含む。ここで、多価カルボン酸のアルキルエステルは、低級アルキルエステルであることが好ましい。前記低級アルキルエステルとは、エステルのアルコキシ部分の炭素数が1〜8であるアルキルエステルを表す。具体的には、メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエステル及びイソブチルエステル等を挙げることができる。
【0053】
本実施形態に用いることができる多価カルボン酸は、1分子中にカルボキシ基を2個以上含有する化合物である。このうち、ジカルボン酸は1分子中にカルボキシ基を2個含有する化合物であり、例えば、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、β−メチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸を挙げることができる。また、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、ドデカンジカルボン酸、フマル酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサンジカルボン酸も挙げることができる。また、シクロヘキサン−3,5−ジエン−1,2−ジカルボン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、リンゴ酸、クエン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、マロン酸、ピメリン酸、酒石酸、粘液酸、フタル酸、イソフタル酸も挙げることができる。また、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸も挙げることができる。また、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸も挙げることができる。そして、アントラセンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸等も挙げることができる。
【0054】
また、ジカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸等を挙げることができる。これらの多価カルボン酸は、1種単独で使用することもでき、また、2種以上を併用することもできる。
【0055】
多価アルコール(ポリオール)は、1分子中に水酸基を2個以上含有する化合物である。このうち、ジオールは1分子中に水酸基を2個含有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキサンジオールを挙げることができる。また、シクロヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物も挙げることができる。そして、ビスフェノキシアルコールフルオレン(ビスフェノキシエタノールフルオレン)等も挙げることができる。また、ジオール以外のポリオールとしては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロールメラミンを挙げることができる。また、テトラメチロールベンゾグアナミン、テトラエチロールベンゾグアナミン等も挙げることができる。これらの多価アルコール(ポリオール)は、1種単独で使用することもでき、また、2種以上を併用することもできる。
【0056】
(エチレン性不飽和化合物重合体からなる樹脂)
本実施形態においてエチレン性不飽和化合物は、少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、親水性基及びエチレン性不飽和結合を有する単量体であってもよい。例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のエチレン性不飽和ニトリル類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;イソプレン、ブテン、ブタジエンなどのオレフィン類などや、β−カルボキシエチルアクリレートが好ましく例示できる。これらの単量体からなる単独重合体、又はこれらを2種以上共重合して得られる共重合体、さらにはこれらの混合物を使用することができる。
【0057】
親水性基としては、極性基が挙げられ、例えば、カルボキシ基、スルホ基、ホスホニル基等の酸性極性基:アミノ基等の塩基性極性基、アミド基、ヒドロキシ基、シアノ基、ホルミル基等の中性極性基等を挙げることができる。しかし、これらに限定されるものではない。これらの中で、特に本実施形態の静電荷像現像用トナーに好ましく用いられるのは、酸性極性基である。この酸性極性基及びエチレン性不飽和結合を有する単量体が、樹脂粒子表面にある特定の範囲で存在することにより、樹脂粒子に凝集性を付与し、樹脂粒子のトナー化が可能となり、さらにトナーに十分な帯電性を与えることができる。好ましく用いられる酸性極性基としては、カルボキシ基、スルホ基が挙げられる。この酸性極性基を有する単量体としては、例えば、カルボキシ基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物及びスルホ基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物を挙げることができる。上記カルボキシ基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸を挙げることができる。また、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸モノオクチルエステルも挙げることができる。これらの単量体は、1種を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0058】
Tgが40℃以上の樹脂は、エチレン性不飽和化合物の重合体である場合には、ランダム共重合体であることが好ましい。また、親水性基を有するエチレン性不飽和化合物をモノマー単位として含有する樹脂が好ましく、親水性基を有するエチレン性不飽和化合物を共重合比で0.1〜10mol%含有することが好ましい。上記範囲内であると、水系媒体中での静電荷像現像用トナーの製造工程において、Tgが40℃以上の樹脂がトナーのシェル層を容易に形成するため好ましい。Tgが40℃以上のエチレン性不飽和化合物の重合体、ポリエステル樹脂などの重縮合樹脂は、トナーに含まれる全結着樹脂の50重量%以下が好ましく、5〜20重量%がより好ましい。上記範囲内であると、現像機内でのトナー耐久性が向上し、安定した画質特性を得ることができる。
【0059】
(色材、ワックなどのトナー材料)
本実施形態に用いることができる着色剤としては、例えば、次のようなものが挙げられる。黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、マグネタイト等が挙げられる。黄色顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、クロムイエロー、ハンザイエロー、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGRが挙げられる。また、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントイエローNCG等も挙げられる。橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジGが挙げられる。また、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK等も挙げられる。
【0060】
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッドが挙げられる。また、ピラゾロンレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、エオキシンレッド、アリザリンレーキ等も挙げられる。青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルーが挙げられる。また、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレート等も挙げられる。紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等が挙げられる。緑色顔料としては、酸化クロム、クロムグリーン、ピグメントグリーン、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等が挙げられる。白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等が挙げられる。また、これらの着色剤は単独又は混合して使用される。
【0061】
これらの着色剤は、次のような任意の分散方法を使用することにより、着色剤粒子の分散液が調製される。例えば、回転せん断型ホモジナイザーやメディアを有するボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機等や、ダイノミル等の一般的な分散方法を使用することができる。また、これらの着色剤は極性を有する界面活性剤を用いて、ホモジナイザーによって水系に分散され、また、その他の粒子成分と共に混合溶媒中に一度に添加してもよいし、分割して多段回で添加してもよい。本実施形態の着色剤は、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透過性、トナー中での分散性の観点から選択される。そして、着色剤は、トナー構成固体分総重量に対して4〜15重量%の範囲で添加される。黒色着色剤として磁性体を用いる場合は、他の着色剤とは異なり、12〜240重量%添加される。前記の着色剤の配合量は、定着時の発色性を確保するために好ましい量である。また、トナー中の着色剤粒子の中心径(メジアン径)を100〜330nmにすることにより、OHP透明性及び発色性が確保される。ここで、着色剤粒子の中心径は、例えばレーザー回析式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、LA−920)で測定される。
【0062】
本実施形態で用いられる離型剤の具体例としては、次ぎのようなものが挙げられる。例えば、各種エステルワックス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類や、加熱により軟化点を示すシリコーン類が挙げられる。また、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪酸アミド類も挙げられる。また、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのような動物系ワックスも挙げられる。また、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物系・石油系ワックス、及びそれらの変性物なども挙げられる。これらのワックス類は、室温付近では、トルエンなど溶剤にはほとんど溶解しないか、溶解しても極めて微量である。
【0063】
これらのワックス類を、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散する。そして、融点以上に加熱するとともに、強い剪断付与能力を有するホモジナイザーや圧力吐出型分散機(ゴーリンホモジナイザー、ゴーリン社製)で粒子状に分散させ、サブミクロン以下の粒子の分散液が作製される。これらの離型剤は、トナー構成固体分総重量に対して5〜25重量%の範囲で添加することが、オイルレス定着システムにおける定着画像の剥離性を確保する上で好ましい。また、得られた離型剤粒子分散液の粒径は、例えばレーザー回析式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、LA−920)で測定することができる。また、離型剤を使用するときには、樹脂粒子、着色剤粒子及び離型剤粒子を凝集した後に、さらに樹脂粒子分散液を追加して凝集粒子表面に樹脂粒子を付着することが帯電性、耐久性を確保する観点から好ましい。
【0064】
磁性体としては、具体的には、磁場中で磁化される物質を用いるが、鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性の粉末、若しくはフェライト、マグネタイト等の化合物が使用される。本実施形態において水系媒体中でトナーを得るときには、磁性体の水相移行性に注意を払う必要があり、好ましくは予め磁性体の表面を改質し、例えば疎水化処理等を施しておくことが好ましい。
帯電制御剤として4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料やトリフェニルメタン系顔料など通常使用される種々の帯電制御剤を使用することができる。しかし、凝集や合一時の安定性に影響するイオン強度の制御と廃水汚染減少の点から水に溶解しにくい材料が好適である。
【0065】
重合、顔料分散、樹脂粒子製造や分散、離型剤分散、凝集、又はその安定化などに用いる界面活性剤の例としては、次のようなものが挙げられる。例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤、アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン系界面活性剤が挙げられる。また、ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤を併用することも効果的である。そして、分散のため手段としては回転せん断型ホモジナイザーやメデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的なものが使用される。
【0066】
次に、本実施形態の圧力相転移樹脂トナーを含む現像剤の作成方法をさらに詳しく説明する。まず、本実施形態の圧力相転移樹脂トナーを作成する際に使用した測定方法について説明する。その後、エチレン性不飽和化合物重合体からなる樹脂粒子分散液(1)を作成する場合と、ポリエステス樹脂からなる樹脂粒子分散液(2)を作成する場合との圧力相転移樹脂トナーを含む現像剤を説明する。
【0067】
(樹脂粒子分子量の測定)
樹脂粒子分子量の測定には、ゲル・パーミュエーション・クロマトグラフィ(GPC)によって以下に記す条件で重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnを測定した。温度40℃において、溶媒(テトラヒドロフラン)を毎分1.2mlの流速で流し、濃度0.2g/20mlのテトラヒドロフラン試料溶液を試料重量として3mg注入し測定を行う。試料の分子量測定にあたっては、当該試料の有する分子量が数種の単分散ポリスチレン標準試料により、作製された検量線の分子量の対数とカウント数が直線となる範囲内に包含される測定条件を選択する。ここで、測定結果の信頼性は、上述の測定条件で行ったNBS706ポリスチレン標準試料が、重量平均分子量Mw=28.8×104数平均分子量Mn=13.7×104となることにより確認することができる。また、GPCのカラムとしては、前記条件を満足するTSK−GEL、GMH(東ソー(株)製)等を用いた。
【0068】
(樹脂のガラス転移温度Tgの測定)
樹脂のガラス転移温度Tgの測定には、示差走査熱量計DSC/RDC220(セイコーインスツルメント社製)を用いた。樹脂粒子分散液中における樹脂粒子の粒子径は、レーザー回析式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、LA−920)を使用して、測定した。トナー粒子、キャリア粒子、及び、現像剤の粒子径は、コールターマルチサイザーII型(ベックマン・コールター社製)を使用して測定した。
【0069】
(樹脂粒子分散液(1)の作成)
エチレン性不飽和化合物重合体からなる樹脂粒子分散液(1)の作成は次の様にして行った。まず、セパラブルフラスコ中に、イオン交換水 300重量部とTTAB(テトラデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、シグマ社製) 1.5重量部を仕込み、20分間、窒素置換を行った後、撹拌しながら65℃まで昇温した。その後、n−ブチルアクリレートモノマー 40重量部を加え、さらに20分間撹拌を行った。そして、重合開始剤V−50(2,2’ −アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、和光純薬工業(株)製) 0.5重量部を予め、10重量部のイオン交換水に溶解後、セパラブルフラスコ中に投入した。65℃で、3時間保持し、スチレンモノマー61 重量部と、n−ブチルアクリレートモノマー 9重量部、アクリル酸 2重量部及び0.8重量部のドデカンチオールを0.5重量部のTTABを溶解したイオン交換水 100重量部に乳化した乳化液を2時間かけて定量ポンプを用いてフラスコ中に連続的に投入した。その後、温度を70℃に昇温、さらに2時間保持して、重合を完了させた。
【0070】
この重合で、重量平均分子量Mwは25,000、平均粒子径は150nm、固形分量が25重量%のコアシェル型樹脂粒子分散液(1)を得た。樹脂粒子を40℃で風乾後、−80℃から140℃の温度範囲のDSC解析を行ったところ、−50℃付近にポリブチルアクリレートによるガラス転移が観測された。また、60℃付近にスチレン−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体からなると考えられる共重合体による樹脂のガラス転移が観測された。
【0071】
(着色剤粒子分散液(C1)の調合)
着色剤粒子分散液の調合は次の様にして行った。ここで、着色剤粒子分散液は、シアンに対応した着色剤粒子分散液(C1)の調合の例について説明する。シアン顔料 100重量部(大日精化工業(株)製、銅フタロシアニン C.I.Pigment Blue15:3)、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンR) 10重量部、イオン交換水 400重量部の成分を混合溶解する。そして、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)により15分間分散した後、超音波バスにより10分間分散し、中心径210nm、固形分量21.5%のシアン着色剤粒子分散液を得た。
【0072】
(離型剤粒子分散液(R1)の調合)
離型剤粒子分散液(R1)の調合は次の様にして行った。イオン交換水 800重量部にアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンR) 2重量部とカルナバワックス 215重量部上記成分を混合し、100℃に加熱し融解した。その後、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)で15分間乳化した後、さらにゴーリンホモジナイザーを用いて100℃にて乳化を行った。これにより粒子の中心径が230nm、融点が83℃、固形分量が21.5%の離型剤粒子分散液を得た。
【0073】
(トナー(1)の調合)
トナー(1)の調合は、調合した各種分散液を用い、以下のようにしてトナーを作成した。樹脂粒子分散液(1) 168部(樹脂 42部)、着色剤粒子分散液(C1) 40部(顔料 8.6部)、離型剤粒子分散液(R1) 80部(離型剤 17.2部)、ポリ塩化アルミニウム 0.15部、イオン交換水 300重量部の成分を丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した。その後、加熱用オイルバスでこのフラスコを撹拌しながら42℃まで加熱し、42℃で60分間保持した後、樹脂粒子分散液(1)を84重量部(樹脂21重量部)追加して緩やかに撹拌した。撹拌後、0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを6.0に調整した後、撹拌を継続しながら95℃まで加熱した。
【0074】
ここでは水酸化ナトリウム水溶液を追加滴下し、pHが5.5以下とならない様に95℃で3時間保持した。反応終了後、冷却し、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離した。そして、40℃のイオン交換水中に再分散し、15分、300rpmで撹拌、洗浄した。この洗浄操作を5回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離し、次いで、真空乾燥を12時間行いシアントナー粒子(1)を得た。このトナー粒子の粒径をコールターカウンターで測定したところ、体積平均粒径は5.8μmであった。
【0075】
(現像剤(1)の調合)
現像剤(1)の調合は、次のように行った。上記調合したトナー 50重量部に対し、疎水性シリカ(キャボット社製、TS720) 1.5重量部を添加し、サンプルミルで混合してシアン色の静電荷像現像用トナー(1)を得た。また、シリコン樹脂溶液(KR50、信越化学社製) 100重量部、カーボンブラック(BP2000、キャボット社製) 3重量部およびトルエン 100重量部をホモミキサーで30分間分散させ被覆層形成溶液を調製した。そして、この被覆層形成液および平均粒子径50μmの球状フェライトキャリア 1000重量部を用い、流動床型塗布装置により、球状フェライトキャリア表面に被覆層を形成したキャリアを製造した。次に、上記トナー 90重量部及び上記キャリア 910重量部をボールミルに入れ30分間攪拌して、シアンに対応した静電荷像現像用の現像剤(1)を作成した。
【0076】
そして、シアン顔料の代わりにマゼンタマゼンタ顔料(C.I.ピグメントレッド57:2)、イエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー97)、ブラック顔料(カーボンブラック R330)を用いて各色に対応した現像剤(1)を作成した。このように各色に対応した顔料を用いた以外は、シアンに対応した静電荷像現像用の現像剤(1)と同様にして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色の静電荷像現像用の現像剤(1)を作成した。
【0077】
(樹脂粒子分散液(2)の作成)
ポリエステス樹脂からなる樹脂粒子分散液(2)の作成は次の様にして行った。1,4−シクロヘキサンジカルボン酸 175重量部、ビスフェノールA 2モルエチレンオキサイド付加物 320重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸 0.5重量部の材料を混合した。そして、この混合した材料を、撹拌機を備えたリアクターに投入し、窒素雰囲気下120℃で12時間重縮合を実施したところ、均一透明なポリエステル樹脂(1)を得た。この均一透明なポリエステル樹脂(1)のGPCによる重量平均分子量は14,000、DSCによるTgは54℃であった。
また、ドデシルベンゼンスルホン酸 0.36重量部、1,6−ヘキサンジオール 80重量部、セバシン酸 115重量部の材料を混合し、撹拌機を備えたリアクターに投入した。そして、窒素雰囲気下90℃で5時間重縮合を実施したところ、均一白色のポリエステル樹脂(2)を得た。この均一白色のポリエステル樹脂(2)のGPCによる重量平均分子量は8,000、DSCによるTgは−52℃であった。
【0078】
上記の重縮合で得られたポリエステル樹脂(1) 100重量部とポリエステル樹脂(2) 100重量部を撹拌機を備えたリアクターに投入し、120℃で30分溶解、混合した。その後、95℃に加熱したイオン交換水800重量部に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 1.0重量部、1N NaOH水溶液を1.0重量部溶解した中和用水溶液をフラスコ中に投入した。そして、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)で5分間乳化した後、さらに超音波バス内で10分振とうした後、室温水にてフラスコを冷却した。このようにして、固形分量が20重量%の樹脂粒子分散液(2)を得た樹脂粒子の中心径は、250nmであった。
【0079】
(トナー(2)の調合)
トナー(2)の調合は、調合した各種分散液を用い、以下のようにしてトナーを作成した。樹脂粒子分散液(2) 210重量部(樹脂 42重量部)、着色剤粒子分散液(C1) 40重量部(着色剤 8.6重量部)、離型剤粒子分散液(R1) 40重量部(離型剤 8.6重量部)、ポリ塩化アルミニウム 0.15重量部、イオン交換水 300重量部の成分を丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した。その後、加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら42℃まで加熱し、42℃で60分間保持した後、樹脂粒子分散液(2)を105重量部(樹脂21重量部)追加して緩やかに撹拌した。
【0080】
その後、0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを6.0に調整した後、撹拌を継続しながら95℃まで加熱した。95℃までのあいだ、水酸化ナトリウム水溶液を追加滴下し、pHが5.0以下とならない様にした。95℃で、3時間保持した。反応終了後、冷却し、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離した。そして、40℃のイオン交換水3リットル中に再分散し、15分、300rpmで撹拌、洗浄した。この洗浄操作を5回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離し、次いで、真空乾燥を12時間行いトナー粒子を得た。このトナー粒子の粒径をコールターカウンターで測定したところ、体積平均粒径は4.9μmであった。
【0081】
(現像剤(2)の調合)
現像剤(2)の調合は、次のように行った。上記調合したトナー50重量部に対し、疎水性シリカ(キャボット社製、TS720) 1.5重量部を添加し、サンプルミルで混合してシアン色の静電荷像現像用トナー(2)を得た。また、シリコン樹脂溶液(KR50、信越化学社製) 100重量部、カーボンブラック(BP2000、キャボット社製) 3重量部およびトルエン 100重量部をホモミキサーで30分間分散させ被覆層形成溶液を調製した。そして、この被覆層形成液および平均粒子径50μmの球状フェライトキャリア 1000重量部を用い、流動床型塗布装置により、球状フェライトキャリア表面に被覆層を形成したキャリアを製造した。次に、上記トナー90 重量部および上記キャリア 910重量部をボールミルに入れ30分間攪拌して静電荷像現像用(2)を作成した。
【0082】
そして、シアン顔料の代わりにマゼンタマゼンタ顔料(C.I.ピグメントレッド57:2)、イエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー97)、ブラック顔料(カーボンブラック R330)を用いて各色に対応した現像剤(2)を作成した。このように各色に対応した以外は、シアンに対応した静電荷像現像用の現像剤トナー(2)と同様にして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色の静電荷像現像用の現像剤(2)を作成した。
なお、後述する各実施例で用いる圧力相転移樹脂トナーを含む現像剤は、いずれの作成方法で作成した現像剤も利用可能であるが、上述した樹脂粒子分散液(1)を作成し、調合した現像剤(1)を用いた。
【0083】
(実施例1)
次に、本実施形態の特徴である画像形成部、及び定着手段の第1の実施例である実施例1について、さらに具体例を挙げ、図を用いて説明する。図3は、具体例1の画像形成部及び定着手段の説明図、図4は、本実施例の定着手段の構成例の説明図、図5は、具体例1の感光体の当接離間機構の例の説明図、図6は、具体例2の画像形成部及び定着手段の説明図である。図7は、具体例3の画像形成部及び定着手段の説明図、図8は、具体例4の画像形成部及び定着手段の説明図、図9は、具体例5の画像形成部及び定着手段の説明図、図10は、具体例6の画像形成部及び定着手段の説明図である。
【0084】
本実施例の特徴は、モノクロ画像を形成する際に使用するブラックのトナーに、圧力相転移樹脂トナーBkを用いるとともに、定着手段の記録媒体搬送方向上流側に熱定着ニップ部を設け、下流側に圧力定着ニップ部を設けている点である。つまり、モノクロ画像を形成する際に使用するブラックのトナーに圧力相転移樹脂トナーBkを用いるとともに、記録媒体P搬送方向上流側に熱定着装置30を設け、その搬送方向下流側に圧力定着装置40を設けている点である。このように熱可塑性樹脂トナー専用の熱定着ニップ部と、圧力相転移樹脂トナー専用の圧力定着ニップ部とのデュアル定着ニップを有することで、本実施例の複写機は、次の(ア)乃至(カ)の作用・効果を奏することができる。
(ア):省エネルギー性
単色又は複数色の画像形成が可能な複写機において、一般に利用頻度が高いモノクロ画像の形成に用いるブラックのトナーを、圧力相転移樹脂トナーBkとしている。このため、圧力相転移樹脂トナーの省エネルギー性を活かして、非常に省エネルギー効率を高めることができる。
(イ):定着安定性
熱可塑性樹脂トナーの記録媒体P上への熱定着と、圧力相転移樹脂トナーの記録媒体P上への圧力定着とを分けて行なうことができる。このように分けてトナー画像の定着を行うことで、圧力定着ニップ部でのトナー層のパイルハイトの段差を少なくできる。したがって、圧力相転移樹脂トナーに対する圧力の不均一性を、従来の定着ニップ部を分けていない構成よりも抑制し定着安定性を高めることができる。また、圧力定着する際の圧力の不均一性を抑制するのにニップ部熱定着ニップ部と圧力定着とを異ならせるだけなので、各作像部毎に定着手段を設けたり、圧力定着時の圧を高圧にするために定着装置が大掛かりなものならない。したがって、画像形成装置である複写機の過度な大型化、重量増加、製造コストの上昇を防ぐことができる。
【0085】
(ウ):色再現性
圧力相転移樹脂トナーに対する圧力の不均一性を抑制できるので、圧力定着する際に圧力相転移樹脂トナーは十分な流動性が得ることができ、トナー同士が凝集せずに局所的にトナーの粒塊と空隙が残る画像部が生じることもない。したがって、圧力相転移樹脂トナーBkだけを用いるモノクロ画像(単色画像)においては、圧力の不均一性に起因した画像濃度の低下が生じることはない。
さらに、複数色のトナーを用いたフルカラー画像においても、記録媒体Pと各トナーとの定着性が低下することもなく、色再現性が低下しガマット体積の減少を招くこともない。また、局所的に各トナーの粒塊と空隙が残ってしまう画像部が生じないため、トナー層の表面の平滑性が出せてフルカラー画像に求められる光沢度も得られる。
【0086】
(エ):加圧定着装置の巨大化等の防止
後述する本実施例の各具体例のように圧力相転移樹脂トナーが単色である場合には、複数色に比べて、加圧定着に必要な圧力が小さく、加圧定着装置の巨大化、重量大、を防ぐことができる。
(オ):定着突入時に生じる発生音、速度変動伝達の低減
記録媒体P搬送方向上流側に熱定着ニップ部を設け、その搬送方向下流側に圧力定着ニップ部を設けており、記録媒体Pは、熱定着装置30の熱定着ニップ部を通過後、圧力定着装置40の圧力定着ニップ部を通過するように搬送される。このように記録媒体Pが搬送されることで、高い圧力が加わる圧力定着装置40の圧力定着ニップ部に突入する際の、トナー層のパイルハイトを低くできる。したがって、特に厚い記録媒体Pを使用する場合に、定着突入時の発生音や、突入時に生じる記録媒体Pの速度変動が各感光体1や中間転写体4へ伝達することを低減することもできる。
【0087】
(カ):クリーニング性
複数の作像部を備え、単色及び複数色の画像形成が可能な画像形成装置において、圧力相転移樹脂トナーを用いる作像部を作像ユニット8Bkのみとしている。このように画像形成部を構成することで、全ての作像ユニット8に有する現像手段で圧力相転移樹脂トナーを用いる構成よりも、この作像ユニット8Bkの感光体クリーニング装置6Bkで除去する圧力相転移樹脂トナーの量を少なくできる。したがって、除去するトナーに過度な圧力を加えないブラシクリーニングだけでも良好な像担持体のクリーニング性を発揮できる。よって、複数の作像部を備え、単色及び複数色の画像形成が可能な画像形成装置に、圧力相転移樹脂トナーを用いた場合のクリーニング性の課題を解決できる。
加えて、本実施例では、後述する各具体例のように画像形成部を構成することで、圧力相転移樹脂トナーを用いた場合のクリーニング性を、さらに向上させることもできる。つまり、各作像ユニット8を、圧力相転移樹脂トナーBkで現像される感光体1Bkへの熱可塑性樹脂トナーの逆転写を抑制するよう構成して、各感光体1及び中間転写体4のクリーニング性をさらに向上させることができる。
以下に、定着手段のより詳細な説明とともに、圧力相転移樹脂トナーを用いた本実施例の複写機でクリーニング性をさらに向上させる構成について、複数の具体例を挙げて説明する。
【0088】
(具体例1)
本具体例は、上述した本実施形態の画像形成装置である複写機の概要説明で用いた図1に示した画像形成部、及び定着手段の構成と同様な構成、つまり、図3に示す画像形成部、及び定着手段の構成である。ここで、図1を用いて説明した構成、又は動作と共通するものについては、適宜省略して説明する。
【0089】
本具体例の複写機の画像形成部には、図3に示すように中間転写体4の上部の面に沿って中間転写体4の移動方向上流側から、熱可塑性樹脂トナーを作像する作像ユニット8Y、8M、8Cを連ねて設けている。さらに、中間転写体4の移動方向最下流側には、圧力相転移樹脂トナーを作像する作像ユニット8Bkを連ねて設けている。このようにして本具体例の画像形成部は、いわゆる4連タンデム式の画像形成部を構成している。また、熱可塑性樹脂トナーを用いる各作像ユニット8に設けた感光体クリーニング装置6Y、6M、6Cは、クリーニングブレードにより各感光体1上の残トナーを除去できる。そして、作像ユニット8Bkに設けた感光体クリーニング装置Bkでは、クリーニングブラシにより感光体1Bk上の残トナーへ機械的ストレスを加えることなく除去できる。
【0090】
また、中間転写体4を介して従動ローラ22に対向する位置に、中間転写体移動方向上流側にクリニングブラシを有し、その下流側にクリーニングブレードを有したベルトクリーニング装置25を設けている。このベルトクリーニング装置25では、転写されずに中間転写体4上に残った圧力相転移樹脂トナーをクリニングブラシで機械的ストレスを加えることなく除去し、熱可塑性樹脂トナーをクリーニングブレードで良好に除去できる。したがって、本実施例の(カ)の作用・効果、つまり各感光体1及び中間転写体4のクリーニング性をさらに向上させることができる。
【0091】
また、記録媒体P上の未定着トナーを定着する定着手段は、熱可塑性樹脂トナーを定着する熱定着装置30と、圧力相転移樹脂トナーを定着する圧力定着装置40とに独立して設けている。したがって、別々の装置(ユニット)寿命に応じて独立して交換可能となっている。しかし、定着手段の構成は、各定着装置を独立に設ける構成に限定されるものではなく、例えば、図4(a)に示すように、補助熱源であるハロゲンヒータ43を金属ローラである加圧ローラ41の加熱ではなく、記録媒体P上の圧力相転移樹脂トナーの加熱に用いる構成としても良い。また、図4(b)乃至(d)に示すように、一体化した構成としても良い。ここで、ハロゲンヒータ43が消費する電力はあくまでも補助的な熱付与のため、熱定着装置30に設けるハロゲンヒータ33に比べると小さい。
【0092】
図4(b)に示した定着装置70では、搬送される記録媒体Pに下方から当接する熱可塑性樹脂トナーの定着に用いる加圧ローラ32と、圧力相転移樹脂トナーの定着に用いる金属ローラである加圧ローラ42とに記録媒体搬送ベルト73を張架している。このように張架することで、各定着ニップ間の記録媒体Pの挙動を安定化することができる。また、図4(c)に示した定着装置71では、上記定着装置70とほぼ同様な構成において、補助熱源であるハロゲンヒータ43を加圧ローラ41の加熱ではなく、記録媒体P上の圧力相転移樹脂トナーの加熱に用いている。また、図4(d)に示した定着装置72では、上記定着装置71とほぼ同様な構成において、次のように構成している。搬送される記録媒体Pに下方から当接する熱可塑性樹脂トナーの定着に用いる加圧ローラ31と、圧力相転移樹脂トナーの定着に用いる加圧ローラ41とに定着ベルト74を張架している。そして、補助熱源であるハロゲンヒータ43を定着ベルト74の加熱に用いる構成である。
【0093】
本具体例の複写機では、圧力相転移樹脂トナーBkのみを用いるモノクロモードと、熱可塑性樹脂トナーY、M、Cのみを用いるカラーモードで印刷可能である。
(モノクロモード)
モノクロモードの時は、圧力相転移樹脂トナーBkを用いる感光体1Bkのみで、黒画像(モノクロ)を形成する。そして、熱可塑性樹脂トナーY、M、Cで、担持した静電潜像が現像される感光体1Y、1M、1Cは中間転写体4から不図示の当接離間機構によって離間させる。このように離間することで、感光体1Bk上に熱可塑性樹脂トナーY、M、Cが逆転写することを防止できる。したがって、感光体クリーニング装置6Bkに突入する残トナーが圧力相転移樹脂トナーBkの1次転写残トナーになり、感光体クリーニング装置6Bkのクリーニング余裕度が増して感光体1Bkのクリーニング不良を防ぐことができる。
また、ベルトクリーニング装置25に突入する中間転写体4上に残る転写残トナーも、感光体1Bkから中間転写体4上に1次転写された圧力相転移樹脂トナーBkのトナー画像の2次転写残トナーのみになる。したがって、ベルトクリーニング装置25に有したクリーニングブラシのクリーニング余裕度が増して、中間転写体4のクリーニング不良を防ぐことができる。
【0094】
また、作像ユニット8Y、8M、8Cの不必要な稼動を抑えることで、各作像ユニット8の寿命を向上させることができる。また、定着装置30についても、不図示の当接離間機構によって、定着ローラ31と加圧ローラ32を離間させることで定着装置30の不必要な稼動を抑えることでユニット寿命を向上させることができる。圧力相転移樹脂トナーBkは中間転写体4より記録媒体へ転写された後、補助熱源のハロゲンヒータ43と定着装置40によって記録媒体P上へ定着される。また、このモノクロモードで、定着装置30を、圧力相転移樹脂トナーを予備加熱する補助熱源の代替手段として用いても良い。
【0095】
(カラーモード)
カラーモードの時は、感光体1Bkは中間転写体4から不図示の当接離間機構によって離間して、熱可塑性樹脂トナーY、M、Cのみを用いてカラー画像を作像する。したがって、感光体1Bkに熱可塑性樹脂トナーY、M、Cが中間転写体4を介して逆転写することを防止でき、感光体1Bkのクリーニング不良を防ぐことができる。
また、ベルトクリーニング装置25に突入する中間転写体4上に残る転写残トナーも、感光体1Y、1M、1Cから中間転写体4上に1次転写された熱可塑性樹脂トナーY、M、Cのトナー画像の2次転写残トナーのみになる。したがって、ベルトクリーニング装置25に有したクリーニンブレードで良好な転写残トナーの除去ができ、中間転写体4のクリーニング不良を防ぐことができる。
また、圧力定着装置40の加圧ローラ対の加圧ローラ41、42を、不図示の当接離間機構を用いて離間させる。このように離間させることで、不必要な圧力定着装置40の稼動や、熱可塑性樹脂トナーによるカラー定着画像の画像劣化や定着突入音等を妨げることができる。
【0096】
ここで、感光体1Bk、又は感光体1Y、1M、1Cを中間転写体4から離間する当接離間機構については、各作像ユニット8側に当接離間機構を設ける構成でも、中間転写体4側に当接離間機構を設ける構成でも良い。各作像ユニット8側に当接離間機構を設ける構成としては、例えば、各作像ユニット8内にそれぞれ当接離間機構を設けることができる。また、カラーモードで使用する作像ユニット8Y、8M、8Cと、モノクロモードで使用する作像ユニット8Bkとを、それぞれ作像ユニットごと離間させる構成とすることもできる。
【0097】
中間転写体4側に当接離間機構を設ける構成としては、例えば、図5(a)に示すように構成できる。感光体1Yと従動ローラ22との間に張架ローラ27a、感光体1Cと感光体1Bkとの間に張架ローラ27b、感光体1Bkと駆動ローラ21との間に張架ローラ27cを設ける。また、従動ローラ22と二次転写対向ローラとの間にテンションローラ28を設ける。そして、張架ローラ27bの回転中心を中心として回動可能なフレーム29aに1次転写ローラ5Y、5M、5Cと張架ローラ27aとを支持させる。また、張架ローラ27bの回転中心を中心として回動可能なフレーム29bに、1次転写ローラ5Bkと張架ローラ27cとを支持させる。ここで、各フレーム29が水平な場合、各張架ローラ27が中間転写体4に下方から当接する高さ、及び各1次転写ローラ5が中間転写体4に下方から当接する高さが略同一になり、各1次転写ローラ5が1次転写位置なるように構成する。
【0098】
そして、感光体1Y、1M、1Cを離間させる場合には、図5(b)に示すように、フレーム29aを張架ローラ27bの回転中心を回動中心として、不図示の回動手段により張架ローラ27a側を下方に回動させて離間させる。また、感光体1Bkを離間させる場合には、図5(c)に示すように、フレーム29bを張架ローラ27bの回転中心を回動中心として、不図示の回動手段により張架ローラ27c側を下方に回動させて離間させる。また、従動ローラ22と駆動ローラ21との高さは、各フレーム29が回動して各感光体1が中間転写体4から離間した状態で、各張架ローラ27及びテンションローラ29が中間転写体4から離間しない高さに設定する。このような当接離間機構を中間転写体4側に設けることで、各作像ユニット8側に当接離間機構を設けるよりも、シンプルな構成とすることができるとともに、その製造コストも低減できる。
【0099】
このように本具体例の複写機では、本実施例の上述した(ア)乃至(オ)の作用・効果に加え、(カ)の圧力相転移樹脂トナーのクリーニング性をさらに向上させることができる。また、具体例の画像形成部は、一般的なフルカラー画像形成装置の作像ユニット数である4つの作像ユニット8を備える構成なので、後述する具体例3、6と比べ作像ユニットの数を少なくできる。
【0100】
(具体例2)
本具体例は、上述した具体例1と、フルカラーモードで画像形成を行なう際も、圧力相転移樹脂トナーで現像を行う作像ユニットBkを用いることに関わる点が異なる。したがって、上述した具体例1と共通する構成・動作については適宜、省略して説明する。
【0101】
本具体例の画像形成部では、図6に示すように中間転写体4の上部の面の中間転写体4の移動方向最上流側に、圧力相転移樹脂トナーを用いて作像する作像ユニット8Bkを備えている。そして、中間転写体4の上部の面に沿って、作像ユニット8Bkの下流側に、熱可塑性樹脂トナーを用いて作像する作像ユニット8Y、8M、8Cを備えている。このように各作像ユニット8を配置することで、最上流側の作像ユニット8Bkに有した感光体1Bkに、作像ユニット8Y、8M、8Cで中間転写体4上に転写した熱可塑性樹脂トナーY、M、Cが逆転写することを防止できる。したがって、作像ユニット8Bkに有した感光体1Bkを中間転写体4から離間させずにフルカラーモードの画像形成に用いても、感光体1Bk上でクリーニング不良を抑制できる。
【0102】
また、上述したように作像ユニット8Bkに用いる感光体クリーニング装置6Bkはクリーニングブラシを有したものである。そして、作像ユニット8Y、8M、8Cで用いる感光体クリーニング装置6Y、6M、6Cが、クリーニングブレードの感光体回転方向上流側に、クリーニングブラシを有している。これは、最上流側に配置した作像ユニット8Bkで中間転写体4上に転写した圧力相転移樹脂トナーが、下流側に配置した作像ユニット8Y、8M、8Cの各感光体1上に逆転写しても、クリーニング不良を抑制するためである。つまり、作像ユニット8Y、8M、8Cの各感光体1上に逆転写された圧力相転移樹脂トナーBkをクリーニングブラシにより除去した後、熱可塑性樹脂トナーをクリーニングブレードで除去する良好な感光体クリーニングが行える。
【0103】
また、ベルトクリーニング装置25には上述したように、上流側にクリーニングブラシを有し、下流側にクリーニングブレードを有している。そして、ベルトクリーニング装置25に突入する中間転写体4上に残る圧力相転移樹脂トナーBkの転写残トナーは、クリーニングブラシで機械的ストレスを加えずに除去できる。また、熱可塑性樹脂トナーY、M、Cの転写残トナーは、クリーニングブレードで良好に除去できる。したがって、中間転写体4の良好なクリーニングが行える。
【0104】
また、カラーモードの時は、圧力相転移樹脂トナーBkと熱可塑性樹脂トナーY、M、Cが中間転写体4へ順次転写され、さらに記録媒体P上へ転写されたトナー画像は、その後、熱定着装置30及び圧力定着装置40を通過する。つまり、本具体例では、未定着の圧力相転移樹脂トナーBkが熱定着装置30の熱定着ニップ部を通過するプロセスが発生する。そして、熱定着装置30によって熱定着(高温・低圧)し、圧力相転移樹脂トナー周りの熱可塑性樹脂トナー層の高さ(パイルハイト)を平滑化させた後、定着装置40にて圧力相転移樹脂トナーBkを圧力定着(低温・高圧)させる。
【0105】
ここで、熱定着装置30では、圧力相転移樹脂トナーBkにとって十分低圧なために圧力による定着に必要な流動化は起きず、熱定着装置30の加熱によって温度のみで多少流動化(軟化)する。また、加熱によって流動化した圧力相転移樹脂トナーBkは熱定着装置30の熱定着ニップ部にて記録媒体Pへの定着が完了される必要性はないが、熱定着装置30の定着ローラ31に移るホットオフセットを起こさない必要がある。つまり、熱定着装置30の熱定着ニップ部における熱可塑性樹脂トナーY、M、Cの定着条件(圧力および定着温度領域)で、圧力相転移樹脂トナーBkがホットオフセットしないような温度特性をもつ必要がある。しかし、熱可塑性樹脂トナーY、M、Cの定着条件で圧力相転移樹脂トナーが定着ローラ31にホットオフセットしてしまう温度特性にせざるを得ない場合には、カラー画像は熱可塑性樹脂トナーC、M、Yのトナーのみで形成しても良い。
【0106】
このように本具体例の複写機では、具体例1と同様な作用・効果を奏することができるとともに、具体例1や後述する具体例4のように熱可塑性樹脂トナーY、M、Cの3色でブラックの画像形成を行うよりも各熱可塑性樹脂トナー量を少なくできる。
【0107】
(具体例3)
本具体例は、上述した具体例1とは、次の構成・動作に関わる点のみが異なる。感光体1Y、1M、1C、1K上に熱可塑性樹脂トナーY、M、C、Kでトナー画像で形成された中間転写体4上に転写する1次転写手段と、中間転写体4上に転写されたトナー画像を記録媒体P上に転写する2次転写手段を有している。また、感光体1Bk上に現像された圧力相転移樹脂トナーで形成されたトナー画像を記録媒体P上に転写する直接転写手段を有している。さらに、中間転写体4上のトナー画像が記録媒体P上に2次転写される2次転写ニップ部の記録媒体搬送方向下流側の記録媒体搬送ベルト7上に、単独で圧力相転移樹脂トナーBkを用いる作像ユニット8Bkを配置している。そして、カラーモードでは作像ユニット8Y、8M、8C、8Kのみで画像形成を行うとともに、モノクロモードでは作像ユニット8Bkのみで画像形成を行うことに関わる点である。したがって、上述した具体例1と共通する構成・動作については適宜、省略して説明する。
【0108】
本具体例の画像形成部では、図7に示すように、圧力相転移樹脂トナーBkを用いる作像ユニットBkを、他の熱可塑性樹脂トナーY、M、C、Kを用いる作像ユニット8Y、8M、8C、8Kとは独立して設けている。そして、中間転写体4にブラック色の熱可塑性樹脂トナーKを用いる作像ユニット8Kを、熱可塑性樹脂トナーY、M、Cを用いる作像ユニット8Y、8M、8Cの中間転写体移動方向下流側に連ねた4連タンデムとして設けている。つまり、具体例1の説明で用いた図3における作像ユニット8Bkの位置を作像ユニット8Kに置き換え、二次転写手段の2次転写ニップ部の下流に位置する記録媒体搬送ベルト7上に、作像ユニット8Bkを単独で設けている。
【0109】
そして、この画像形成部では作像ユニット8Y、8M、8C、8Kの各感光体1上に熱可塑性樹脂トナーY、M、C、Kで、それぞれ現像されたトナー画像を中間転写体4上に重ね合わせるように順次転写する1次転写手段を備えている。この1次転写手段は、感光体1Y、1M、1C、1Kに、中間転写体4を介してそれぞれ対向する1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kにより構成され、それぞれ1次転写ニップ部を形成している。そして、中間転写体4上に重ね合わせるように転写されたトナー画像を、記録媒体搬送ベルト7上を搬送される記録媒体P上に一括して記録媒体上に転写する2次転写手段を備えている。この2次転写手段は、中間転写体4及び記録媒体搬送ベルト7を介して設けられた2次転写対向ローラ23と2次転写ローラとで構成され、2次転写ニップ部を形成している。また、作像ユニット8Bkの感光体1Bk上に圧力相転移樹脂トナーBkで現像されたトナー画像を、記録媒体搬送ベルト7上を搬送される記録媒体P上に直接転写する直接転写手段を備えている。この直接転写手段は、感光体1Bkに、記録媒体搬送ベルト7を介して対向する1次転写ローラ9Bkにより構成され直接転写ニップ部を形成している。
【0110】
このように各熱可塑性樹脂トナーで形成されたトナー画像が記録媒体P上へ2次転写される2次転写ニップ部と、圧力相転移樹脂トナーBkで形成されたトナー画像が記録媒体P上へ直接転写される直接転写ニップ部とを分けている。したがって、作像ユニット8Bkに有した感光体1Bkから記録媒体搬送ベルト7上に、圧力相転移樹脂トナーBkで形成されたトナー画像を直接転写できる。
【0111】
また、作像ユニット8Kに設ける感光体クリーニング装置6Kは、作像ユニット8Y、8M、8Cに設ける感光体クリーニング装置6Y、6M、6Cと同様に、クリーニングブレードを有したものである。しかし、中間転写体4上の残トナーを除去するベルトクリーニング装置25は、具体例1、2及び後述する具体例5と異なりクリーニングブラシは有しておらず、クリーニングブレードのみ有している。そして、次のようにして圧力相転移樹脂トナーBkのみを用いるモノクロモードと、熱可塑性樹脂トナーY、M、C、Kを用いるカラーモードの画像形成を行う。
【0112】
(モノクロモード)
モノクロモードの時は、中間転写体4を記録媒体搬送ベルト7から不図示の当接離間機構によって離間し、作像ユニットBkのみを用いてモノクロ(ブラック)の画像を作像する。このように離間することで、感光体1Bk上に熱可塑性樹脂トナーY、M、C、Kが逆転写することを防止できる。したがって、具体例1と同様に、感光体クリーニング装置6Bkのクリーニング余裕度が増して感光体1Bkのクリーニング不良を防ぐことができる。
また、中間転写体4に圧力相転移樹脂トナーBkが回り込むことも無いので、ベルトクリーニング装置25にクリーニングブラシを設ける必要もない。
【0113】
中間転写体4を記録媒体搬送ベルト7から離間させる当接離間機構としては、例えば、2次転写対向ローラ23を上方に移動させる当接離間機構を用いることができる。また、2次転写対向ローラ23を移動させた際には、具体例1の当接離間機構と同様にテンションローラ28を設け、待機時における所定張力を中間転写体4に生じさせることができる。そして、熱定着装置30の離間については、上述したようにカム部材等を用いて行うことができる。
このようにモノクロモードで画像形成を行うことで、カラー画像を作像する作像ユニット8Y、8M、8C、8K、及び中間転写体4の寿命を向上させることができる。
【0114】
(カラーモード)
カラーモードの時は、感光体1Bkは記録媒体搬送ベルト7から不図示の当接離間機構によって離間して、中間転写体4上に配置した作像ユニット8Y、8M、8C、8Kのみを用いてカラー画像を作像する。したがって、感光体1Bkに熱可塑性樹脂トナーY、M、C、Kが、中間転写体4及び記録媒体Pを介して逆転写することを防止でき、感光体1Bkのクリーニング不良を防ぐことができる。
また、ベルトクリーニング装置25に突入する中間転写体4上に残る転写残トナーも、感光体1Y、1M、1C、1Kから中間転写体4上に1次転写された熱可塑性樹脂トナーY、M、C、Kのトナー画像の2次転写残トナーのみになる。したがって、ベルトクリーニング装置25に有したクリーニンブレードで良好な転写残トナーの除去ができ、中間転写体4のクリーニング不良を防ぐことができる。
【0115】
ここで、感光体1Bkを記録媒体搬送ベルト7から離間させる当接離間機構としては、例えば、感光体1Bkを有した作像ユニット8Bk自体を上方に移動させる当接離間機構を用いることができる。また、作像ユニット8Bk内に当接離間機構を設ける構成でも良い。そして、熱定着装置40も、図2を用いて説明したようにカム49等を用いて離間させることができる。このようにカラーモードで画像形成を行うことで、黒画像は熱可塑性樹脂トナーである熱可塑性樹脂トナーKで形成されるため、他の色に対応した熱可塑性樹脂トナーY、M、Cのトナー消費量が少なくて済む。また、黒画像を熱可塑性樹脂トナーKで形成するため、熱定着装置30の熱定着ニップ部を圧力相転移樹脂トナーが通過することがなく、圧力相転移樹脂トナーの温度特性に基づいて熱定着装置30の定着条件を設定する必要もない。
【0116】
このように、本具体例の圧力相転移樹脂トナーと熱可塑性樹脂トナーとを用いる複写機では、具体例1と同様に、本実施例の(ア)乃至(カ)の作用・効果に加え、(カ)の圧力相転移樹脂トナーのクリーニング性をさらに向上させることができる。そして、具体例1、2、及び後述する具体例4、5と比べて作像ユニットの数は増えてしまうが、次のような作用・効果を奏することができる。モノクロモードとカラーモードとを切換える際に、感光体1Y、1M、1C、1Kを中間転写体4から接離させるのではなく、中間転写体4、又は作像ユニットBkの記録媒体搬送ベルト7からの接離で良い。したがって、上述した具体例1、2よりも、画像形成部に設ける当接離間機構をシンプルにできる。また、モノクロの画像形成を行う際には、中間転写体4は記録媒体搬送ベルト7から離間させるので、具体例1、2に比べ中間転写体4の寿命を長くできる。また、具体例2と同様に、具体例1や後述する具体例4のように熱可塑性樹脂トナーY、M、Cの3色でブラックの画像形成を行うよりも各熱可塑性樹脂トナー量を少なくできる。また、具体例1、2のように、圧力相転移樹脂トナーBkが中間転写体4に回り込むことがないためベルトクリーニング装置25に圧力相転移樹脂トナーのクリーニング用のクリーニングブラシを設ける必要がない。
【0117】
(具体例4)
本具体例は、上述した具体例3とは、次の構成・動作に関わる点のみが異なる。中間転写体4の上部の面に作像ユニット8Y、8M、8Cを配置し、2次転写手段の2次転写ニップ部の記録媒体搬送方向下流側に単独で圧力相転移樹脂トナーBkを用いる作像ユニット8Bkを配置している。そして、カラーモードでは熱可塑性樹脂トナーY、M、Cを用いる作像ユニット8Y、8M、8Cのみで画像形成を行うとともに、モノクロモードでは作像ユニット8Bkのみで画像形成を行うことに関わる点である。したがって、上述した具体例3と共通する構成・動作については適宜、省略して説明する。
【0118】
本具体例の画像形成部では、図8に示すように、圧力相転移樹脂トナーBkを用いる作像ユニット8Bkを、他の熱可塑性樹脂トナーY、M、Cを用いる作像ユニット8Y、8M、8Cとは独立して設けている。つまり、具体例3の画像形成部における、作像ユニット8Kをなくし、中間転写体4の上部の面に、作像ユニット8Y、8M、8Cを連ねた3連タンデムとしたものである。
【0119】
このように、本具体例の圧力相転移樹脂トナーと熱可塑性樹脂トナーとを用いる複写機では、具体例3と同様に、本実施例の(ア)乃至(カ)の作用・効果に加え、(カ)の圧力相転移樹脂トナーのクリーニング性をさらに向上させることができる。そして、具体例3よりも作像ユニット数を少なくできるとともに、具体例3と同様な次の作用・効果を奏することができる。モノクロモードとカラーモードとを切換える際に、感光体1Y、1M、1Cを中間転写体4から接離させるのではなく、中間転写体4、又は作像ユニットBkの記録媒体搬送ベルト7からの接離で良い。したがって、上述した具体例1、2よりも、画像形成部に設ける当接離間機構をシンプルにできる。また、モノクロの画像形成を行う際には、中間転写体4は記録媒体搬送ベルト7から離間させるので、具体例1、2に比べ中間転写体4の寿命を長くできる。また、具体例1、2のように、圧力相転移樹脂トナーBkが中間転写体4に回り込むことがないためベルトクリーニング装置25に圧力相転移樹脂トナーのクリーニング用のクリーニングブラシを設ける必要がない。
【0120】
(具体例5)
本具体例は、上述した具体例4とは、次の構成・動作に関わる点のみが異なる。2次転写手段の2次転写ニップ部の記録媒体搬送方向上流側に単独で圧力相転移樹脂トナーBkを用いる作像ユニット8Bkを配置している。そして、カラーモードで、熱可塑性樹脂トナーY、M、Cを用いる作像ユニット8Y、8M、8Cと作像ユニット8Bkを用いて画像形成を行うことに関わる点である。したがって、上述した具体例4と共通する構成・動作については適宜、省略して説明する。
【0121】
本具体例の画像形成部では、図9に示すように、圧力相転移樹脂トナーBkを用いる作像ユニット8Bkを、他の熱可塑性樹脂トナーY、M、Cを用いる作像ユニット8Y、8M、8Cとは独立して設けている。そして、作像ユニット8Bkを記録媒体搬送ベルト7の上部の面の2次転写ニップ部の記録媒体搬送方向上流側に設けている。このように各作像ユニット8を配置することで、作像ユニット8Bkに有した感光体1Bkに、作像ユニット8Y、8M、8Cで中間転写体4上に転写した熱可塑性樹脂トナーY、M、Cが逆転写することを防止できる。したがって、作像ユニット8Bkに有した感光体1Bkを記録媒体搬送ベルト7から離間させずにフルカラーモードの画像形成に用いても、感光体1Bk上でクリーニング不良を抑制できる。
【0122】
また、ベルトクリーニング装置25には上述した具体例1、2と同様に、上流側にクリーニングブラシを有し、下流側にクリーニングブレードを有している。そして、ベルトクリーニング装置25に突入する中間転写体4上に2次転写ニップ部で逆転写した圧力相転移樹脂トナーBkは、クリーニングブラシで機械的ストレスを加えずに除去できる。また、熱可塑性樹脂トナーY、M、Cの転写残トナーは、クリーニングブレードで良好に除去できる。したがって、中間転写体4の良好なクリーニングが行える。また、この良好なクリーニングにより、熱可塑性樹脂トナーY、M、Cを用いる作像ユニット8Y、8M、8Cの感光体1Y、1M、1Cへの圧力相転移樹脂トナーBkが逆転写することもない。したがって、感光体1Y、1M、1Cは、クリーニングブレードを有し、クリーニングブラシを有していない各感光体クリーニング装置6でも、圧力相転移樹脂トナーBkによるフレミング等が無い良好なクリーニングが行える。
【0123】
そして、モノクロモードで画像形成を行う時は、具体例3、4と同様に、転写体4を記録媒体搬送ベルト7から不図示の当接離間機構によって離間し、作像ユニット8Bkのみを用いてモノクロ(ブラック)の画像形成を行う。また、カラーモードで画像形成を行う時は、転写体4を記録媒体搬送ベルト7から離間させずに作像ユニット8Bk及び作像ユニット8Y、8M、8Cを用いてカラーの画像形成を行う。つまり、カラーモードで画像形成を行う時は、不図示の当接離間機構によって転写体4を記録媒体搬送ベルト7に当接させた状態で、全ての作像ユニットを用いてカラーの画像形成を行う。
【0124】
このように、本具体例の圧力相転移樹脂トナーと熱可塑性樹脂トナーとを用いる複写機では、具体例4と同様に、本実施例の(ア)乃至(カ)の作用・効果に加え、(カ)の圧力相転移樹脂トナーのクリーニング性をさらに向上させることができる。そして、次の作用・効果も奏することができる。モノクロモードとカラーモードとを切換える際に、感光体1Y、1M、1Cを中間転写体4から接離させるのではなく、中間転写体4、又は作像ユニットBkの記録媒体搬送ベルト7からの接離で良い。したがって、上述した具体例1、2よりも、画像形成部に設ける当接離間機構をシンプルにできる。また、モノクロの画像形成を行う際には、中間転写体4は記録媒体搬送ベルト7から離間させるので、具体例1、2に比べ中間転写体4の寿命を長くできる。また、上述した具体例3や後述する具体例6に比べ作像ユニット数を少なくできる。また、具体例2のように、圧力相転移樹脂トナーBkが感光体1Y、1M、1Cに回り込むことがないため感光体クリーニング装置6Y、6M、6Cに圧力相転移樹脂トナーのクリーニング用のクリーニングブラシを設ける必要がない。
【0125】
(具体例6)
本具体例は、上述した具体例3とは、次の構成・動作に関わる点のみが異なる。本具体例では、具体例3の熱可塑性樹脂トナーY、C、M、Kを用いる中間転写方式の画像形成部を、直接転写方式の画像形成部に変更したことに関わる点のみことなる。したがって、上述した具体例3と共通する構成・動作については適宜、省略して説明する。
【0126】
本具体例の画像形成部では、図10に示すように、記録媒体搬送ベルト10の上部の面に熱可塑性樹脂トナーY、C、M、Kを用いる作像ユニット8Y、8C、8M、8Kを配置している。この作像ユニット8Y、8C、8M、8Kは、不図示の接触離間機構により支持されており、記録媒体搬送ベルト10から離間された離間状態と、記録媒体搬送ベルト10に当接した当接状態とが選択できる。また、感光体1Y、1C、1M、1Kに記録媒体搬送ベルト10を介して対向する位置には、各感光体1上に形成した各色のトナー画像を、搬送される記録媒体P上に転写する、1次転写ローラ9Y、9C、9M、9Kを設けている。この1次転写ローラ9Y、9C、9M、9Kには、それぞれ対向する感光体1上に形成されたトナー画像を、記録媒体搬送ベルト10上を搬送される記録媒体Pに直接転写する転写バイアスが印加される。また、記録媒体搬送ベルト10は、記録媒体搬送方向上流側に設けられた従動ローラ22と下流側に設けられた駆動ローラ21に架けまわされ図中時計回りに走行可能に備えられている。
【0127】
また、記録媒体搬送ベルト10を介して従動ローラ22に対向する位置には、画像濃度調整等を行うために記録媒体搬送ベルト10上に形成したテストパターンや飛散したトナーを除去するベルトクリーニング装置25が設けられている。このベルトクリーニング装置25で除去するトナーは、通常、熱可塑性樹脂トナーY、C、M、Kなので、ベルトクリーニング装置25はクリーニングブレードから構成されており、クリーニングブラシは有していない。
【0128】
また、記録媒体搬送ベルト10の記録媒体搬送方向下流側には、圧力相転移樹脂トナーBkを用いる作像ユニット8Bkがその上部の面に配置された記録媒体搬送ベルト7、熱定着装置30、及び圧力定着装置40が設けられている。ここで、記録媒体搬送ベルト10、記録媒体搬送ベルト7、熱定着装置30、及び圧力定着装置40の記録媒体搬送面の高さは略同一となるように構成されている。そして、次のようにして圧力相転移樹脂トナーBkのみを用いるモノクロモードと、熱可塑性樹脂トナーY、M、C、Kを用いるカラーモードの画像形成を行う。
【0129】
(モノクロモード)
モノクロモードの時は、作像ユニット8Y、8C、8M、8Kを記録媒体搬送ベルト10から不図示の当接離間機構によって離間し、作像ユニットBkのみを用いてモノクロ(ブラック)の画像を作像する。このように離間することで、感光体1Bk上に熱可塑性樹脂トナーY、M、C、Kが逆転写することを防止できる。したがって、具体例1と同様に、感光体クリーニング装置6Bkのクリーニング余裕度が増して感光体1Bkのクリーニング不良を防ぐことができる。また、熱定着装置30も、不図示の当接離間機構により離間させる。
このようにモノクロモードで画像形成を行うことで、カラー画像を作像する作像ユニット8Y、8M、8C、8K、及び中間転写体4の寿命を向上させることができる。
【0130】
(カラーモード)
カラーモードの時は、感光体1Bkは記録媒体搬送ベルト7から不図示の当接離間機構によって離間して、記録媒体搬送ベルト10上に配置した作像ユニット8Y、8M、8C、8Kのみを用いてカラー画像を作像する。したがって、感光体1Bkに熱可塑性樹脂トナーY、M、C、Kが、記録媒体Pを介して逆転写することを防止でき、感光体1Bkのクリーニング不良を防ぐことができる。
【0131】
このように、本具体例の圧力相転移樹脂トナーと熱可塑性樹脂トナーとを用いる複写機では、具体例3と同様に、本実施例の(ア)乃至(カ)の作用・効果に加え、(カ)の圧力相転移樹脂トナーのクリーニング性をさらに向上させることができる。そして、具体例1、2、及び後述する具体例4、5と比べて作像ユニットの数は増えてしまうが、次のような作用・効果を奏することができる。また、具体例2と同様に、具体例1や後述する具体例4のように熱可塑性樹脂トナーY、M、Cの3色でブラックの画像形成を行うよりも各熱可塑性樹脂トナー量を少なくできる。
【0132】
(実施例2)
次に本実施形態の特徴である画像形成部、及び定着手段の第2の実施例である実施例2について、図を用いて説明する。図11は、本実施例の画像形成部及び定着手段の説明図であり、(a)は、中間転写方式の画像形成部が3連タンデムの場合、(b)は、中間転写方式の画像形成部が4連タンデムの場合の説明図である。本実施例は、上述した実施例1と次の点のみが異なる。熱可塑性樹脂トナーを記録媒体Pに定着する熱転写ニップ部と、圧力相転移樹脂トナーを記録媒体Pに定着する圧力定着ニップ部との間に、圧力相転移樹脂トナーを記録媒体Pに直接転写する直接転写ニップ部を設けていることに関わる点である。したがって、上述した実施例1と共通する構成・動作については適宜、省略して説明する。
【0133】
本実施例は、実施例1と同様にモノクロ画像を形成する際に使用するブラックのトナーに、圧力相転移樹脂トナーBkを用いるとともに、熱転写ニップ部の記録媒体搬送方向下流側に圧力定着ニップ部を設けている。しかし、本実施例では、実施例1と異なり熱転写ニップ部と圧力定着ニップ部との間に、圧力相転移樹脂トナーを記録媒体Pに転写する転写ニップ部を設けている。つまり、熱可塑性樹脂トナーで形成されたトナー画像を記録媒体Pに熱定着した後に、圧力相転移樹脂トナーBkで形成されたトナー画像の記録媒体P上への転写と、圧力定着とを行うことを可能にしている。
【0134】
図11(a)に示すように、熱可塑性樹脂トナーY、M、Cを用いる作像ユニット8Y、8M、8Cを中間転写体4の上部の面に配置している。そして、中間転写体4上に重ね合わされて転写されたトナー画像を、記録媒体搬送ベルト7上を搬送される記録媒体P上に転写する2次転写手段と、転写されたトナー画像を熱定着する熱定着装置30とを設けている。この熱定着装置30の記録媒体搬送方向下流側には、その上部の面に圧力相転移樹脂トナーBkを用いる作像ユニット8Bkを配置した記録媒体搬送ベルト10と、圧力定着装置40とを設けている。このように構成することで、本実施例の複写機は、次のようにモノクロモード及びカラーモードの画像形成を行なうことができる。
【0135】
(モノクロモード)
モノクロモードの時は、中間転写体4を記録媒体搬送ベルト7から不図示の当接離間機構によって離間し、作像ユニットBkのみを用いてモノクロ(ブラック)の画像を作像する。このように離間することで、感光体1Bk上に熱可塑性樹脂トナーY、M、C、Kが逆転写することを防止できる。したがって、実施例1の具体例3、4と同様に、感光体クリーニング装置6Bkのクリーニング余裕度が増して感光体1Bkのクリーニング不良を防ぐことができる。
また、記録媒体P上への圧力相転移樹脂トナーBk画像の直接転写ニップ部は、熱定着装置30の記録媒体搬送方向の下流側であるので、中間転写体4に圧力相転移樹脂トナーBkが回り込むことも無い。したがって、ベルトクリーニング装置25にクリーニングブラシを設ける必要もない。
また、このようにモノクロモードで画像形成を行うことで、カラー画像を作像する作像ユニット8Y、8M、8C、及び中間転写体4の寿命を向上させることもできる。
【0136】
(カラーモード)
カラーモードの時は、中間転写体4上に配置された各作像ユニット8で作像した熱可塑性樹脂トナーY、M、Cから形成されたトナー画像を記録媒体搬送ベルト7上を搬送される記録媒体P上に転写し、熱定着装置30で熱定着を行う。その後、この熱可塑性樹脂トナーが定着された記録媒体Pが、記録媒体搬送ベルト10上を搬送される際に、作像ユニット8Bkから圧力相転移樹脂トナーBkで形成されたトナー画像を直接転写して圧力定着装置40で圧力定着する。したがって、作像ユニット8Bkの感光体1Bkに熱可塑性樹脂トナーY、M、Cが、記録媒体Pを介して逆転写することを防止でき、感光体1Bkのクリーニング不良を防ぐことができる。つまり、フルカラーモードで作像ユニットBkを離間させなくとも、感光体1Bkのクリーニング不良を防ぐことができる。
また、モノクロモードと同様に、ベルトクリーニング装置25にクリーニングブラシを設ける必要もない。
【0137】
また、圧力相転移樹脂トナーBkの画像形成部及び定着手段のオプション化も可能である。このオプションン化は、圧力相転移樹脂トナーBkの作像(帯電、露光、現像、転写、クリーニング、記録媒体搬送)、定着手段が、1つの画像形成装置として、熱可塑性樹脂トナーの画像形成装置から脱着可能で、単独でも画像形成可能。つまり、熱可塑性樹脂トナーと圧力相転移樹脂トナーBkのハイブリッド作像エンジンを有するフルカラー画像形成装置を、熱可塑性樹脂トナーのみのフルカラー画像形成装置と、圧力相転移樹脂トナーBkのみのモノクロ画像形成装置として分離可能能である。ここで、作像ユニット8Y、8M、8Cのみを備えたフルカラー画像形成装置では、モノクロモード及びカラーモードにおける黒画像を上記3色の熱可塑性樹脂トナーで形成する。
【0138】
このように、本実施例の圧力相転移樹脂トナーと熱可塑性樹脂トナーとを用いる複写機では、実施例1と同様に、実施例1の(ア)乃至(カ)の作用・効果に加え、(カ)の圧力相転移樹脂トナーのクリーニング性をさらに向上させることができる。さらに、実施例1の具体例2、5と同様に、カラーモードで作像ユニットBkを離間させなくても、(カ)の圧力相転移樹脂トナーのクリーニング性をさらに向上させることができる。また、実施例1の具体例3、4と同様に、中間転写体4のベルトクリーニング装置25に圧力相転移樹脂Bkトナークリーニング用のブラシを設ける必要がない。そして、圧力相転移樹脂トナーBkの画像形成部及び定着手段のオプション化も可能である。
【0139】
また、上記本実施例の説明では、中間転写体4の上部の面に配置する作像ユニットを、作像ユニット8Y、8M、8C、つまり3連タンデム式とした例について説明したが、本発明は、このような構成に限定されるものではない。例えば、図11(b)に示すように、中間転写体4の上部の面に、作像ユニット8Y、8M、8C、8Kを配置した4連タンデム式の構成としてもよい。ここで、図11(b)の構成では、モノクロモードの画像形成時のみ作像ユニット8Bkを用いるように構成している。
【0140】
(実施例3)
次に本実施形態の特徴である画像形成部、及び定着手段の第3の実施例である実施例3について、図を用いて説明する。図12は、本実施例の画像形成部及び定着手段の説明図であり、(a)は、中間転写方式の画像形成部が3連タンデムの場合、(b)は、中間転写方式の画像形成部が4連タンデムの場合の説明図である。本実施例は、上述した実施例2と次の点のみが異なる。熱可塑性樹脂トナーを記録媒体Pに定着する熱転写ニップ部と、圧力相転移樹脂トナーを記録媒体Pに定着する圧力定着ニップ部との間に、熱可塑性樹脂トナーを記録媒体Pに2次転写する2次転写ニップ部を設けていることに関わる点である。したがって、上述した実施例2と共通する構成・動作については適宜、省略して説明する。
【0141】
本実施例は、実施例2と同様にモノクロ画像を形成する際に使用するブラックのトナーに、圧力相転移樹脂トナーBkを用いるとともに、熱転写ニップ部と圧力定着ニップ部を別に設け、作像ユニットBkを独立して設けている。しかし、本実施例では、実施例2と異なり熱転写ニップ部と圧力定着ニップ部との間に、熱可塑性樹脂トナーを記録媒体Pに2次転写する2次転写ニップ部を設けている。つまり、圧力相転移樹脂トナーBkで形成されたトナー画像を記録媒体Pに圧力定着した後に、熱可塑性樹脂トナーで形成されたトナー画像の記録媒体P上への転写と、圧力定着とを行うことを可能にしている。
【0142】
図12(a)に示すように、画像形成部の記録媒体搬送方向上流側に、その上部の面に圧力相転移樹脂トナーBkを用いる作像ユニット8Bkを配置した記録媒体搬送ベルト10と、圧力定着装置40とを設けている。そして、圧力定着装置40の記録媒体搬送方向下流側に、中間転写体4上に重ね合わされて転写されたトナー画像を、記録媒体搬送ベルト7上を搬送される記録媒体P上に転写する2次転写手段を設けている。ここで、中間転写体4上の上部の面には、熱可塑性樹脂トナーY、M、Cを用いる作像ユニット8Y、8M、8Cを中間転写体4の上部の面に配置している。さらに、2次転写手段の下流側には、転写されたトナー画像を熱定着する熱定着装置30とを設けている。このように構成することで、本実施例の複写機は、次のようにモノクロモード及びカラーモードの画像形成を行なうことができる。
【0143】
(モノクロモード)
モノクロモードの時は、中間転写体4を記録媒体搬送ベルト7から不図示の当接離間機構によって離間し、作像ユニットBkのみを用いてモノクロ(ブラック)の画像を作像する。このように離間することで、中間転写体4に圧力相転移樹脂トナーBkが回り込むことも無い。したがって、ベルトクリーニング装置25にクリーニングブラシを設ける必要もない。
また、圧力相転移樹脂トナーBk画像の直接転写ニップ部は、熱可塑性樹脂トナー画像の2次転写手段の記録媒体搬送方向上流側であるので、感光体1Bk上に熱可塑性樹脂トナー画像が逆転写することを防止できる。したがって、実施例1の具体例5と同様に、感光体クリーニング装置6Bkのクリーニング余裕度が増して感光体1Bkのクリーニング不良を防ぐことができる。
また、このようにモノクロモードで画像形成を行うことで、カラー画像を作像する作像ユニット8Y、8M、8C、及び中間転写体4の寿命を向上させることもできる。
【0144】
(カラーモード)
カラーモードの時は、記録媒体搬送ベルト10上を記録媒体Pが搬送される際に、作像ユニット8Bkから圧力相転移樹脂トナーBkで形成されたトナー画像を記録媒体P上に直接転写して圧力定着装置40で圧力定着する。その後、中間転写体4上に配置された各作像ユニット8で作像した熱可塑性樹脂トナーY、M、Cから形成されたトナー画像を記録媒体搬送ベルト7上を搬送される圧力定着された記録媒体P上に転写し、熱定着装置30で熱定着を行う。したがって、作像ユニット8Bkの感光体1Bkに熱可塑性樹脂トナーY、M、Cが、記録媒体Pを介して逆転写することを防止でき、感光体1Bkのクリーニング不良を防ぐことができる。
また、中間転写体4上に圧力相転移樹脂トナーBkが逆転写することも防止できる。つまり、実施例2と同様に、フルカラーモードで作像ユニットBkを離間させなくとも、感光体1Bkのクリーニング不良を防ぐことができる。
また、モノクロモードと同様に、ベルトクリーニング装置25にクリーニングブラシを設ける必要もない。
また、実施例2と同様に、圧力相転移樹脂トナーBkの画像形成部及び定着手段のオプション化も可能である。
【0145】
しかし、本実施例は、カラーモードにおいて、圧力相転移樹脂トナーを直接転写して圧力定着させた後に、熱可塑性樹脂トナーを2次転写して熱定着する。このカラーモードでは、記録媒体Pに圧力定着された圧力相転移樹脂トナーBkは、熱定着装置30の熱定着ニップ部にて加熱されるため、定着ローラ31に移ってホットオフセットしないようにする必要がある。つまり、熱定着装置30の熱定着ニップ部における熱可塑性樹脂トナーY、M、Cの定着条件(圧力および定着温度領域)で、圧力相転移樹脂トナーBkがホットオフセットしないような温度特性をもつ必要がある。しかし、熱可塑性樹脂トナーY、M、Cの定着条件で圧力相転移樹脂トナーBkが定着ローラ31にホットオフセットしてしまう温度特性にせざるを得ない場合には、カラー画像は熱可塑性樹脂トナーC、M、Yのみで形成しても良い。このような場合には、カラーモードの時に感光体1Bkを搬送ベルト7から離間し、加圧ローラ対41、42を離間することも可能であり、作像ユニットBk、圧力定着装置40の高寿命化を図ることができる。
【0146】
このように、本実施例の圧力相転移樹脂トナーと熱可塑性樹脂トナーとを用いる複写機では、実施例2と同様に、実施例1の(ア)乃至(カ)の作用・効果に加え、(カ)の圧力相転移樹脂トナーのクリーニング性をさらに向上させることができる。また、実施例1の具体例2、5と同様に、カラーモードで作像ユニットBkを離間させなくても、(カ)の圧力相転移樹脂トナーのクリーニング性をさらに向上させることができる。また、実施例1の具体例3、4と同様に、中間転写体4のベルトクリーニング装置25に圧力相転移樹脂Bkトナークリーニング用のブラシを設ける必要がない。そして、圧力相転移樹脂トナーBkの画像形成部及び定着手段のオプション化も可能である。そして、カラーモードにおいて、熱可塑性樹脂トナーの定着条件で圧力相転移樹脂トナーBkが定着ローラ31にホットオフセットしてしまう温度特性にせざるを得ない場合には、カラー画像は熱可塑性樹脂トナーのみで形成しても良い。
【0147】
また、上記本実施例の説明では、中間転写体4の上部の面に配置する作像ユニットを、作像ユニット8Y、8M、8C、つまり3連タンデム式とした例について説明したが、本発明は、このような構成に限定されるものではない。例えば、図12(b)に示すように、中間転写体4の上部の面に、作像ユニット8Y、8M、8C、8Kを配置した4連タンデム式の構成としてもよい。ここで、図12(b)の構成では、モノクロモードの画像形成時のみ作像ユニット8Bkを用いるように構成している。
【0148】
(実施例4)
次に本実施形態の特徴である画像形成部、及び定着手段の第4の実施例である実施例4について、図を用いて説明する。図13は、本実施例の画像形成部及び定着手段の説明図であり、(a)は、中間転写方式の画像形成部が3連タンデムの場合、(b)は、中間転写方式の画像形成部が4連タンデムの場合の説明図である。本実施例は、上述した実施例2と次の点のみが異なる。熱可塑性樹脂トナーを記録媒体Pに定着する熱転写ニップ部の記録媒体搬送方向下流側に設ける、圧力相転移樹脂トナーの記録媒体Pへの、転写と圧力定着とを同時に行うこと(以下、転写同時定着という)に関わる点である。したがって、上述した実施例2と共通する構成・動作については適宜、省略して説明する。
【0149】
本実施例は、図13(a)に示すように、実施例2における図11(a)の圧力相転移樹脂トナーBkの記録媒体Pへの直接転写手段及び圧力定着手段を、転写同時定着としている。具体的には、上方から作像ユニット8Bkの感光体1Bk、1次転写ローラ5Bk、加圧ローラ対41、42を略鉛直線上に配置し、1次転写ローラ5Bkと加圧ローラ41に転写定着ベルト44を張架している。この転写定着ベルト44は、図13(a)図中、時計回りに回転する感光体1Bk、及び加圧ローラ42に、それぞれ対向する位置で1次転写転写ニップ部、及び転写同時定着ニップ部を形成するように張架され、反時計回りに回転する。また、この転写定着ベルト44における加圧ローラ41の回転中心と略同一の高さの回転方向上流側に、補助加熱源であるハロゲンヒータ43が配置され、下流側に転写定着ベルト44のベルトクリーニング装置45が配置されている。
【0150】
そして、感光体1Bk上に現像されたトナー画像は、1次転写ローラ5Bkに所定の1次転写バイアスが印加されて、転写定着ベルト44上に1次転写される。その後、ハロゲンヒータ43の位置まで搬送されて所定温度まで加熱される。このように加熱された転写媒体P上のトナー画像は、加圧ローラ41に掛け回された転写定着ベルト44と加圧ローラ42とが形成する転写同時定着ニップ部に搬送される。この転写同時定着ニップ部に搬送されたトナー画像は、加圧ローラ対41、42により所定の圧力が加えられて記録媒体Pに転写同時定着される。ここで、転写定着ベルト44には、圧力相転移樹脂トナーBkを離型しやすいように、PFAやPTFEなどのフッ素高分子樹脂を表層にコーティングしてもよい。また、本実施例では、実施例1と同様に熱定着装置30と圧力定着装置40とを接近して設けることができる。このように設けることで、ハロゲンヒータ43による補助加熱を、熱定着装置30による低温・低圧での記録媒体Pの補助加熱に替えることもでき、ハロゲンヒータ43を設けるためのコストを削減できる。
【0151】
このように構成することで、本実施例の複写機では、実施例2と同様にモノクロモード及びカラーモードの画像形成を行なうことができ、同様な作用・効果を奏することができる。加えて、実施例2、3の構成に比べ、熱定着装置30と圧力定着装置との間、又は記録媒体搬送方向上流側に設け、作像ユニット8Bkを配置していた記録媒体搬送ベルト10を省略でき、記録媒体搬送方向のサイズを小型化できる。また、記録媒体搬送ベルト10、この記録媒体搬送ベルト10の張架ローラ対26、及び直接転写バイアスが印加される1次転写ローラ5Bkを省略でき、そのコストを削減できる。さらに、熱定着装置30を低温・低圧の補助加熱装置として利用する場合には、ハロゲンヒータ43を設けるためのコストを削減できる。
【0152】
また、上記本実施例の説明では、中間転写体4の上部の面に配置する作像ユニットを、作像ユニット8Y、8M、8C、つまり3連タンデム式とした例について説明したが、本発明は、このような構成に限定されるものではない。例えば、図13(b)に示すように、中間転写体4の上部の面に、作像ユニット8Y、8M、8C、8Kを配置した4連タンデム式の構成としてもよい。ここで、図13(b)の構成では、モノクロモードの画像形成時のみ作像ユニット8Bkを用いるように構成している。
【0153】
(実施例5)
次に本実施形態の特徴である画像形成部、及び定着手段の第5の実施例である実施例5について、図を用いて説明する。図14は、本実施例の画像形成部及び定着手段の説明図であり、(a)は、中間転写方式の画像形成部が3連タンデムの場合、(b)は、中間転写方式の画像形成部が4連タンデムの場合の説明図である。本実施例は、上述した実施例4と次の点のみが異なる。熱可塑性樹脂トナーを記録媒体P上に2次転写する2次転写手段、及び熱可塑性樹脂トナーを記録媒体Pに定着する熱転写手段も、転写同時定着としたことに関わる点である。したがって、上述した実施例4と共通する構成・動作については適宜、省略して説明する。
【0154】
本実施例では、図14(a)に示すように、実施例4における図13(a)の中間転写体4上の熱可塑性樹脂トナーY、M、Cから形成されるトナー画像の、記録媒体Pへの2次転写手段及び熱定着手段を、転写同時定着としている。具体的には、中間転写体4を架け渡すローラを、従動ローラ22、駆動ローラ21、及び定着ローラ31とし、この定着ローラ31と従動ローラ22とに掛け渡される部分が略鉛直となるように定着ローラ31が配置されている。
【0155】
そして、感光体1Y、1M、1C上に現像されたトナー画像は、各1次転写ローラ5に所定の1次転写バイアスが印加されて、中間転写体4上に順次重ね合わされるようにして1次転写される。その後、重ねあわされたトナー画像は、定着ローラ31に架け渡された加圧ローラ32に対向する位置まで、駆動ローラ21の回転駆動により搬送される。この転写同時定着ニップ部に搬送されたトナー画像は、定着ローラ31、及び加圧ローラ32により所定の圧力が加えられて転写同時定着される。このように構成することで、実施例4よりも、少なくとも2次転写対向ローラを省略することができ、そのコストを削減できる。
【0156】
このように構成することで、本実施例の複写機では、実施例4と同様にモノクロモード及びカラーモードの画像形成を行なうことができ、同様な作用・効果を奏することができる。加えて、実施例4よりも、少なくとも2次転写対向ローラを省略することができ、そのコストを削減できる。
【0157】
また、上記本実施例の説明では、中間転写体4の上部の面に配置する作像ユニットを、作像ユニット8Y、8M、8C、つまり3連タンデム式とした例について説明したが、本発明は、このような構成に限定されるものではない。例えば、図14(b)に示すように、中間転写体4の上部の面に、作像ユニット8Y、8M、8C、8Kを配置した4連タンデム式の構成としてもよい。ここで、図14(b)の構成では、モノクロモードの画像形成時のみ作像ユニット8Bkを用いるように構成している。
【0158】
(実施例6)
次に本実施形態の特徴である画像形成部、及び定着手段の第6の実施例である実施例6について、図を用いて説明する。図15は、本実施例の画像形成部及び定着手段の説明図であり、(a)は、中間転写方式の画像形成部が3連タンデムの場合、(b)は、中間転写方式の画像形成部が4連タンデムの場合の説明図である。また、図15(c)は、定着手段を一体交換可能に構成した場合の説明図である。本実施例は、上述した実施例5と、各感光体1上に現像された熱可塑性樹脂トナー及び圧力相転移樹脂トナーのトナー画像を、それぞれ記録媒体P上に転写同時定着する手段を、次のように構成したことに関わる点の異なる。熱可塑性樹脂トナー及び圧力相転移樹脂トナーのトナー画像は、いずれも各感光体1から中間転写体4に1次転写し、この1次転写したトナー画像を、それぞれの定着体(定着ローラ31、加圧ローラ41)に2次転写する。そして、各定着体が形成するそれぞれの転写定着ニップ部で、記録媒体Pに転写同時定着するように構成したことである。したがって、上述した実施例4と共通する構成・動作については適宜、省略して説明する。
【0159】
本実施例では、実施例5と同様に、熱可塑性樹脂トナーY、M、Cから形成されるトナー画像、及び圧力相転移樹脂トナーBkから形成されるトナー画像を、いずれも記録媒体Pに転写同時定着している。しかし、図15(a)に示すように、実施例5とは異なり、中間転写体4上に転写された熱可塑性樹脂トナーからなるトナー画像は、一旦、定着体である定着ローラ31に2次転写し、その後、記録媒体Pに転写同時定着している。また、中間転写体46上に転写された圧力相転移樹脂トナーからなるトナー画像も、一旦、定着体である加圧ローラ41に2次転写し、その後、記録媒体Pに転写同時定着している。
【0160】
ここで、感光体1Y、1M、1C上に各熱可塑性樹脂トナーで現像されたトナー画像は、各1次転写ローラ5に所定の1次転写バイアスが印加されて、中間転写体4上に順次重ね合わされるようにして1次転写される。その後、重ねあわされたトナー画像は、2次転写対向ローラ23に架け渡され、定着体である定着ローラ31に対向する2次転写ニップ部の位置まで、駆動ローラ21の回転駆動により搬送される。ここで、重ねあわされたトナー画像は、2次転写対向ローラ23に印加される2次転写バイアス(AC、パルス等の重畳を含む)により、定着ローラ31上に転写される。そして、ハロゲンヒータ33の熱で加熱されながら定着ローラ31上を搬送されたトナー画像は、定着ローラ31と加圧ローラ32とで形成する転写同時定着ニップ部に搬送されて記録媒体Pに所定の圧力及び熱で転写同時定着される。
【0161】
また、感光体1Bk上に圧力相転移樹脂トナーBkで現像されたトナー画像は、1次転写ローラ5Bkに所定の1次転写バイアスが印加されて、中間転写体46上に1次転写される。その後、1次転写されたトナー画像は、2次転写ローラ50に架け渡され、定着体である加圧ローラ41に対向する2次転写ニップ部の位置まで、回転駆動される2次転写ローラ50の回転駆動により搬送される。ここで、中間転写体46上のトナー画像は、2次転写ローラ50に印加される2次転写バイアス(AC、パルス等の重畳を含む)により、加圧ローラ41上に転写される。そして、ハロゲンヒータ43の熱で加熱されながら加圧ローラ41上を搬送されたトナー画像は、加圧ローラ41と加圧ローラ42とで形成する転写同時定着ニップ部に搬送されて記録媒体Pに所定の圧力及び熱で転写同時定着される。
【0162】
また、中間転写体46から静電的に、加圧ローラ41上に圧力相転移樹脂トナーBkを転写する場合は、金属ローラである加圧ローラ41に次のようなコーティングしても良い。加圧ローラ41の表面の電気抵抗が10〜1012(Ω・cm)の中抵抗領域になるように、その表層にカーボンやイオン導電性の抵抗調整剤を含む薄層をコーティングする。
【0163】
また、上記本実施例の説明では、中間転写体4の上部の面に配置する作像ユニットを、作像ユニット8Y、8M、8C、つまり3連タンデム式とした例について説明したが、本発明は、このような構成に限定されるものではない。例えば、図15(b)に示すように、中間転写体4の上部の面に、作像ユニット8Y、8M、8C、8Kを配置した4連タンデム式の構成としてもよい。ここで、図15(b)の構成では、モノクロモードの画像形成時のみ作像ユニット8Bkを用いるように構成している。
【0164】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
本態様の複写機などの画像形成装置は、感光体1などの像担持体と、前記像担持体上に形成された静電潜像をトナーを用いて現像する現像装置3などの現像手段と、前記像担持体上に現像されたトナー画像を、中間転写体4などの中間転写体又は記録媒体Pなどの記録媒体上に転写する転写ローラなどの転写手段と、前記像担持体上に転写されずに残った転写残トナーを除去する感光体クリーニング装置6などの像担持体クリーニング手段とを有した複数の作像ユニット8などの作像部と、前記記録媒体上に転写されたトナー画像を、前記記録媒体上に定着する定着装置などの定着手段と、を備えた画像形成装置において、前記複数の作像部にそれぞれ有する現像手段で用いるトナーは、圧力相転移樹脂を含む圧力相転移樹脂トナーBkなどの圧力相転移樹脂トナー、又は熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂トナーY、M、Cなどの熱可塑性樹脂トナーであり、前記圧力相転移樹脂トナー及び前記熱可塑性樹脂トナーは、いずれも少なくとも1つ以上の作像部に有した現像手段で用いられ、前記記録媒体上に転写されたトナー画像を形成する前記圧力相転移樹脂トナーを、前記記録媒体に定着させる圧力定着装置40などの定着手段の定着ニップが形成される圧力定着ニップ部と、前記記録媒体上に転写されたトナー画像を形成する前記熱可塑性樹脂トナーを、前記記録媒体に定着させる熱定着装置30などの定着手段の定着ニップが形成される熱定着ニップ部とを別に備え、前記圧力定着ニップ部での圧力相転移樹脂トナーの定着条件における温度Tb及び圧力Pbと、前記熱定着ニップ部での熱可塑性樹脂トナーの定着条件における温度Ta及び圧力Paとの大小関係が、Tb<TaかつPb>Paであることを特徴としている。
これによれば、例えば、上記実施例1について説明したように、上記実施例1の具体例1の(ア)乃至(カ)に記載の作用・効果を奏することができる。よって、単色及び複数色の画像形成が可能な複写機などの画像形成装置において、過度な大型化、重量増加、製造コストの上昇を防ぎつつ、定着安定性、色再現性、像担持体のクリーニング性、及び省エネルギー性に優れた画像形成装置を提供できる。
(態様B)
(態様A)において、前記圧力相転移樹脂トナーに調合した着色材が黒色(ブラック)に対応したものであることを特徴としている。
これによれば、例えば、上記実施例1について説明したように、一般的に利用頻度の高いモノクロの画像形成を行なうモノクロモードで印刷されることが多い。そのため、黒色(ブラック)に対応したトナーに圧力相転移樹脂トナーBkなどの圧力相転移樹脂トナーを用いることで、非常に省エネルギー効果が高い複写機などの画像形成装置を提供できる。
(態様C)
(態様A)又は(態様B)において、熱可塑性樹脂トナーY、M、Cなどの前記熱可塑性樹脂トナーで形成されたトナー画像を、中間転写体4などの前記中間転写体上に転写する転写手段である1次転写ローラ5などの1次転写手段と、前記中間転写体上のトナー画像を、記録媒体Pなどの前記記録媒体上に転写する転写手段である2次転写ローラ24などの2次転写手段と、圧力相転移樹脂トナーBkなどの前記圧力相転移樹脂トナーで形成されたトナー画像を、前記記録媒体上に転写する転写手段である1次転写ローラ9Bkなどの直接転写手段と、を備えたことを特徴とする。
これによれば、例えば、上記実施例1の具体例3について説明したように、作像ユニット8Bkなどの作像部に有した感光体1Bkなどの像担持体から記録媒体搬送ベルト7などの中間転写体上に、圧力相転移樹脂トナーBkなどの圧力相転移樹脂トナーで形成されたトナー画像を直接転写できる複写機などの画像形成装置を提供できる。
(態様D)
(態様A)乃至(態様C)のいずれか一において、記録媒体Pなどの前記記録媒体上に転写されたトナー画像を形成する圧力相転移樹脂トナーBkなどの前記圧力相転移樹脂トナーを、前記記録媒体上に定着させる圧力定着装置40などの定着手段と、熱可塑性樹脂トナーY、M、Cなどの前記熱可塑性樹脂トナーで形成されたトナー画像を定着させる熱定着装置30などの定着手段とは、いずれか又はその両方が前記記録媒体へのトナー画像の転写と定着とを同時に行うことが可能なことを特徴とする。
これによれば、例えば、実施例4について説明したような作用・効果を奏することができる複写機を提供できる。
(態様E)
(態様A)乃至(態様D)のいずれか一において、記録媒体Pなどの前記記録媒体は、前記熱定着ニップ部を通過後、前記圧力定着ニップ部を通過するように搬送されることを特徴とする。
これによれば、例えば、実施例1について説明したような複写機を提供できる。
(態様F)
(態様A)乃至(態様E)のいずれか一において、それぞれの定着手段は、記録媒体Pなどの前記記録媒体上のトナー画像を定着する定着ニップが形成される当接状態と、定着ニップが形成されない離間状態とを選択可能なことを特徴とする。
これによれば、本実施形態について説明したように、不必要な定着ニップの通過を回避することで、熱定着装置30などの熱可塑性樹脂トナーの定着手段や圧力定着装置40などの圧力相転移樹脂トナーの定着手段の高寿命化、定着突入による音、衝撃による異常画像を低減できる複写機を提供できる。
(態様G)
(態様A)乃至(態様C)のいずれか一において、圧力相転移樹脂トナーBkなどの前記圧力相転移樹脂トナーで現像された感光体1Bkなどの像担持体上のトナー画像を記録媒体Pなどの記録媒体上に転写される転写ニップ部は、前記熱定着ニップ部と、前記圧力定着ニップ部との間に位置することを特徴とする。
これによれば、実施例2について説明したような作用・効果を奏することができる複写機を提供できる。
(態様H)
(態様A)乃至(態様C)のいずれか一において、中間転写体4などの前記中間転写体上に熱可塑性樹脂トナーY、M、Cなどの前記熱可塑性樹脂トナーで形成されたトナー画像を、記録媒体Pなどの記録媒体上に転写させる2次転写ニップ部は、前記熱定着ニップ部と、前記圧力定着ニップ部との間に位置することを特徴とする。
これによれば、実施例3について説明したような作用・効果を奏することができる複写機を提供できる。
(態様I)
(態様A)乃至(態様C)、(態様G)、(態様H)のいずれか一において、圧力相転移樹脂トナーBkなどの前記圧力相転移樹脂トナーを用いて記録媒体Pなどの記録媒体上に画像形成を行う複写機などの画像形成装置は、熱可塑性樹脂トナーY、M、Cなどの前記熱可塑性樹脂トナーを用いて記録媒体上に画像形成を行う画像形成装置から脱着可能であることを特徴とする。
これによれば、例えば実施例2について説明したように、圧力相転移樹脂トナーBkなどの圧力相転移樹脂トナーの画像形成部及び定着手段のオプション化が可能となる作用・効果を奏することができる複写機などの画像形成装置を提供できる。
【0165】
(参考:バロプラッチック)
エンジニアリングプラスチックやバイオプラスチック分野では、樹脂のミクロ相分離構造由来の特性を利用した低温での圧力成形用樹脂材用の研究がなされており、当該樹脂を用いた電子写真方式の画像形成に応用する試みも行われている。性質の異なる二種以上の高分子が共有結合でつながって構成されているブロック共重合体(樹脂)は、性質の異なる各高分子鎖が独立して凝集し、ミクロ相分離構造を形成する。ブロック共重合体(樹脂)の構造は、各高分子鎖の組成に比例し、海島構造、シリンダー構造、ラメラ構造へと変化することは既に広く知られていたが、非特許文献3(1998年論文)の小核中性子散乱によるブロック共重合体(樹脂)の構造研究において、当該樹脂に圧力刺激を加えると流動性が発生するという現象が近年新たに発見された。
【0166】
その後、非特許文献4(2001年論文)に記載されているように、ブロック共重合体の他、ナノサイズのコアシェル樹脂粒子においても同様の圧力刺激に対する樹脂の流動性発現が確認されている。さらに非特許文献4では、この現象の解釈としてフローリー・ハギンズ理論を見直し、最終的に樹脂を構成する高分子成分の質量密度、溶解度パラメーター、膨張係数から圧力刺激にて当該樹脂を構成する高分子が秩序状態(Ordered State固体)から無秩序状態(Disordered State相溶)に変化するため、樹脂に流動性が発現することを理論および実験の両側面から証明し、ここに当該樹脂を同文献にてバロプラスチック(baroplastic)と命名した。
【0167】
このように、非特許文献3の当該樹脂の圧力刺激による流動性の発現は、非特許文献3に記載された内容の如く、圧力刺激による樹脂の相転移現象により生じることが明らかにされた。また、当該樹脂を構成する高分子の一方はソフトセグメント(ガラス転移温度または融点が低い(−30℃以下))で、もう一方はハードセグメント(ガラス転移温度が高い(50℃以上))から成るミクロ相分離構造を有する樹脂であると圧力による相転移が起こりやすいこと(流動性が発現する)はその後の多数の研究からも示唆されている(例えば非特許文献5(2003年論文))。このようにして1998年に発見された圧力刺激にて樹脂に流動性が出現する現象は2003年以降に広く認められるようになってきた。
【0168】
しかしながら、ミクロ相分離構造を有する共重合体(樹脂)の設計は流動性現象の発見以前に既に古くから行われており、上述したソフトセグメントとハードセグメントからなる樹脂設計含め、様々な文献にも製造方法が記載されている。例えば、エチレン性不飽和化合物の場合、ミニエマルション法やリビングラジカル重合など、ポリエステル系の場合には結晶性ブロックと非結晶性ブロックを含むポリエステルブロック共重合体(例えば非特許文献6)などは、一般によく知られている。
【符号の説明】
【0169】
1 感光体
2 帯電装置
3 現像装置
4 中間転写体
5 1次転写ローラ5
6 感光体クリーニング装置
7 記録媒体搬送ベルト
8 作像ユニット
9 1次転写ローラ
10 記録媒体搬送ベルト
11 書込み装置
21 駆動ローラ
22 従動ローラ
23 2次転写対向ローラ
24 2次転写ローラ
25 ベルトクリーニング装置
26 張架ローラ
30 熱定着装置
31 加圧ローラ
32 加圧ローラ
33 ハロゲンヒータ
40 圧力定着装置
40 熱定着装置
41、42 加圧ローラ
43 ハロゲンヒータ
44 転写定着ベルト
45 ベルトクリーニング装置
46 中間転写体
50 2次転写ローラ
70、71、72 定着装置例
73 記録媒体搬送ベルト
74 定着ベルト
100 複合機本体
P 記録媒体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0170】
【特許文献1】特開昭58−126561号公報
【特許文献2】特開昭58−086557号公報
【特許文献3】特開2009−251021号公報
【特許文献4】特開昭59−119364号公報
【特許文献5】特許第3290513号公報
【特許文献6】特許第4582227号公報
【特許文献7】特許第4525828号公報
【特許文献8】特開2009−053318号公報
【特許文献9】特開2010−191197号公報
【非特許文献】
【0171】
【非特許文献1】「重縮合」(化学同人、1971年刊)
【非特許文献2】「ポリエステル樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社編、1988年刊)
【非特許文献3】Pollard, M., Russell, T. P., Ruzette, A.-V. G., Mayes, A. M. and Gallot, Y. "The effect of hydrostatic pressure on the lower critical ordering transition on diblock copolymers": Macromolecules, 31, 6493 (1998)
【非特許文献4】Ruzette, A.-V. G., Banerjee, P., Mayes, A. M. and Russell, T. P. "A simple model for baroplastic behavior in block copolymer melts": J. Chem. Phys., 114, 8205 (2001)
【非特許文献5】Gonzalez-Leon, J. A., Metin, H. A., Ryu, S.-W., Ruzette, A.-V. G. and Mayes, A. M. "Low temperature processing of baroplastics by pressure-induced flow": Nature, 426, 424 (2003)
【非特許文献6】Doi, Y. and Steinbuchel, A.: Biopolymers, Polyester II-Properties and Chemical Synthesis, (2002), Wiley-VCH

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、該像担持体上に形成された静電潜像をトナーを用いて現像する現像手段と、前記像担持体上に現像されたトナー画像を、中間転写体又は記録媒体上に転写する転写手段と、前記像担持体上に転写されずに残った転写残トナーを除去する像担持体クリーニング手段とを有した複数の作像部と、前記記録媒体上に転写されたトナー画像を、前記記録媒体上に定着する定着手段と、を備えた画像形成装置において、
前記複数の作像部にそれぞれ有する現像手段で用いるトナーは、圧力相転移樹脂を含む圧力相転移樹脂トナー、又は熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂トナーであり、
前記圧力相転移樹脂トナー及び前記熱可塑性樹脂トナーは、いずれも少なくとも1つ以上の作像部に有した現像手段で用いられ、
前記記録媒体上に転写されたトナー画像を形成する前記圧力相転移樹脂トナーを、前記記録媒体に定着させる定着手段の定着ニップが形成される圧力定着ニップ部と、前記記録媒体上に転写されたトナー画像を形成する前記熱可塑性樹脂トナーを、前記記録媒体に定着させる定着手段の定着ニップが形成される熱定着ニップ部とを別に備え、
前記圧力定着ニップ部での圧力相転移樹脂トナーの定着条件における温度Tb及び圧力Pbと、前記熱定着ニップ部での熱可塑性樹脂トナーの定着条件における温度Ta及び圧力Paとの大小関係が、Tb<TaかつPb>Paであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記圧力相転移樹脂トナーに調合した着色材が黒色(ブラック)に対応したものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記熱可塑性樹脂トナーで形成されたトナー画像を、前記中間転写体上に転写する転写手段である1次転写手段と、
前記中間転写体上のトナー画像を、前記記録媒体上に転写する転写手段である2次転写手段と、
前記圧力相転移樹脂トナーで形成されたトナー画像を、前記記録媒体上に転写する転写手段である直接転写手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一に記載の画像形成装置において、
前記記録媒体上に転写されたトナー画像を形成する前記圧力相転移樹脂トナーを、前記記録媒体上に定着させる定着手段と、前記熱可塑性樹脂トナーで形成されたトナー画像を定着させる定着手段とは、いずれか又はその両方が前記記録媒体へのトナー画像の転写と定着とを同時に行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一に記載の画像形成装置において、
前記記録媒体は、前記熱定着ニップ部を通過後、前記圧力定着ニップ部を通過するように搬送されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一に記載の画像形成装置において、
それぞれの定着手段は、前記記録媒体上のトナー画像を定着する定着ニップが形成される当接状態と、定着ニップが形成されない離間状態とを選択可能なことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1乃至3のいずれか一に記載の画像形成装置において、
前記圧力相転移樹脂トナーで現像された像担持体上のトナー画像を記録媒体上に転写される転写ニップ部は、前記熱定着ニップ部と、前記圧力定着ニップ部との間に位置することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1乃至3のいずれか一に記載の画像形成装置おいて、
前記中間転写体上に前記熱可塑性樹脂トナーで形成されたトナー画像を、記録媒体上に転写させる2次転写ニップ部は、前記熱定着ニップ部と、前記圧力定着ニップ部との間に位置することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1乃至3、7、8のいずれか一に記載の画像形成装置おいて、
前記圧力相転移樹脂トナーを用いて記録媒体上に画像形成を行う画像形成装置は、前記熱可塑性樹脂トナーを用いて記録媒体上に画像形成を行う画像形成装置から脱着可能であることを特徴とする。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2013−15664(P2013−15664A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148206(P2011−148206)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】