説明

画像形成装置

【課題】電力消費量のピーク時間帯等における利用者の利用を控えさせることで、消費電力の削減による節電を実現できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置100は、サーバコンピュータ200と通信し、サーバコンピュータ200から電力の供給状況に関する情報を取得する。画像形成装置100は、取得した情報に基づいて、電力消費量のピーク時間帯であるか否かを判定(ステップS2020)する。電力消費量のピーク時間帯であると判定された場合(ステップS2020においてYES)、出力枚数のカウント方式を通常のカウント方式よりも重みを付けた重み付けカウント方式に切換える(ステップS2040)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、ネットワークに接続される画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ノートPC、ディジタルスチルカメラ等の携帯型端末に保存されている画像データをその場で印刷するための画像形成装置として、持ち運び可能な携帯型の画像形成装置が知られている。後掲の特許文献1は、そのような携帯型の画像形成装置(印刷制御装置)を開示している。携帯型の画像形成装置は、一般的にバッテリーを電源としているため、印刷処理中に電源からの供給電力が不足すると、印刷途中で突然印刷が停止するという不都合が生じる。このような不都合を回避するために、特許文献1の印刷制御装置は、印刷処理中の電源の残容量が低下していると判断された場合に色材層及びオーバーコート層の印刷処理を省略する。
【0003】
また近年、情報機器の1種として、多くの事業所(会社、事務所等)に画像形成装置(代表的にはコピー機)が導入されている。このような事業所において、プリント機能又はコピー機能等を備えた画像形成装置をネットワークに接続し、これらを複数のユーザで利用するケースが多くなっている。また、このような画像形成装置の1つである複合機(MFP(Multifunction Peripheral))のように、コピーモード、画像通信モード(代表的にはファクシミリモード)、ネットワーク対応のプリントモード、及びスキャナモードのように複数のモードを有するものも多くなってきている。
【0004】
このような画像形成装置は、一般商用電源により電力供給が行なわれるため、携帯型の画像形成装置、及び、ノートPC等のバッテリーを備えた携帯型端末のように、バッテリー残量が少なくなるといったことを考える必要はない。また、我が国においては、商用電源による電力供給は、突発的な停電が発生する場合を除き、ほとんど安定して行なわれてきた。そのため、画像形成装置への電力供給は安定して行なわれることが前提であり、画像形成装置においては、バッテリー残量が少なくなる、或いは、間もなく停電が発生する時間帯となる、といったことへの配慮は特段考える必要はなかった。
【0005】
しかし、昨今の電力供給事情を鑑みると、従来までの安定した電力供給が行なわれる(補償される)という前提は崩れ、電力の供給停止による停電及び緊急停止等がいつ発生してもおかしくない状況にある。そのため、限られた供給電力のなかで画像形成装置を管理、制御することが求められるようになってきた。そこで、消費電力を低減するための方法として、特許文献1に記載の省エネ技術を複合機等の画像形成装置に適用することも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−205421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の技術では、一部の印刷処理を省略することによって1回の印刷に消費される電力は削減されるものの、印刷枚数が多くなると消費電力の削減効果が小さくなる。特に、複数のユーザで利用される画像形成装置は、一度に多くのジョブが与えられる場合があるため、電力使用量がピークの時間帯に多くのジョブが実行された場合、消費電力のピーク値が高くなり電力不足を招く要因となる。特許文献1に記載の技術は、このような状況を回避することができないという問題点がある。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、消費電力量のピーク時間帯等における利用者の利用を控えさせることで、消費電力の削減による節電を実現できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の一の局面に係る画像形成装置は、ネットワークを介して外部機器と通信するための通信手段と、通信手段を介して外部機器から電力の供給状況に関する情報を取得するための情報取得手段と、記録用紙に画像を形成するための画像形成手段と、画像形成手段により画像が形成された記録用紙の出力枚数をカウントし、その出力枚数を管理するための出力枚数管理手段と、情報取得手段により取得された電力の供給状況に関する情報に基づいて、出力枚数管理手段による出力枚数のカウント方式を切換えるためのカウント方式切換手段とを含む。
【0010】
外部機器から取得した電力の供給状況に関する情報によって、電力使用量のピーク時間帯等であるか否かがわかる。電力使用量のピーク時間帯等においては、極力、ジョブを控えさせるようにするのが好ましい。上記のように、出力枚数が管理されている環境下において、取得した電力の供給状況に関する情報に基づき出力枚数のカウント方式を切換えることにより、電力使用量のピーク時間帯等でのジョブの実行(利用者による利用)を抑制させる(控えさせる)ことができる。その結果、このような時間帯において、消費電力の削減による節電(省エネ)が実現される。
【0011】
一方、利用者は、電力使用量の少ない時間帯を狙ってジョブを実行することで、与えられた権限内でより多くのジョブを実行できる。
【0012】
このように、上記構成によって、電力使用量のピーク時間帯等において、極力ジョブを控える(控えたくなる)仕組みを構築できるので、ピーク電力を抑え電力不足による突発的な停電、及び計画停電を未然に防ぐことに貢献できる。
【0013】
カウント方式切換手段は、情報取得手段により取得された情報に基づき、供給電力が不足する状況であるか否かを判定するための判定手段と、判定手段により供給電力が不足する状況ではないと判定された場合には、出力枚数のカウント方式を供給電力が満たされている場合の通常のカウント方式とし、判定手段により供給電力が不足する状況であると判定された場合には、出力枚数のカウント方式を供給電力が満たされている場合のカウント方式よりも重みを付けてカウントする方式に切換えるための手段とを含むように構成すると好ましい。
【0014】
カウント方式切換手段は、情報取得手段により取得された情報に基づき、現時刻が、電力制限の実施を必要とする電力制限時間帯となっているか否かを判定するための判定手段と、判定手段により現時刻が電力制限時間帯ではないと判定された場合には、出力枚数のカウント方式を供給電力が満たされている場合の通常のカウント方式とし、判定手段により現時刻が電力制限時間帯であると判定された場合には、出力枚数のカウント方式を供給電力が満たされている場合のカウント方式よりも重みを付けてカウントする方式に切換えるための手段とを含む構成とすることもできる。
【0015】
上記一の局面に係る画像形成装置において、好ましくは、カウント方式切換手段は、情報取得手段により取得された情報に基づき、電力制限の実施を必要とする電力制限時間帯となったか否かを判定するための判定手段と、判定手段により電力制限時間帯になっていないと判定された場合には、出力枚数のカウント方式を供給電力が満たされている場合の通常のカウント方式とし、判定手段により電力制限時間帯になったと判定された場合には、出力枚数のカウント方式を供給電力が満たされている場合のカウント方式よりも重みを付けてカウントする方式に切換えるための切換手段とを含み、判定手段は、ジョブ開始時に電力制限時間帯となっているか否かを判定するための手段を含む。
【0016】
この場合において、好ましくは、判定手段は、情報取得手段により取得された情報に基づき、ジョブ実行途中に、電力制限時間帯となったか否かを判定するための手段をさらに含み、切換手段は、ジョブ実行途中に電力制限時間帯になっていないと判定された場合には、出力枚数のカウント方式を供給電力が満たされている場合の通常のカウント方式とし、ジョブ実行途中に電力制限時間帯になったと判定された場合には、出力枚数のカウント方式を供給電力が満たされている場合のカウント方式よりも重みを付けてカウントする方式に切換えるための手段を含む。これにより、ジョブ実行途中に電力制限時間帯となりそうな時間帯での利用者の利用を控えさせることができるので、これによっても、消費電力の削減による節電(省エネ)を実現できる。
【0017】
判定手段は、情報取得手段により取得された情報に基づき、ジョブ実行途中に、電力制限時間帯となったか否かを判定するための手段をさらに含み、画像形成装置は、ジョブ実行途中に電力制限時間帯となったと判定された場合に、ジョブの実行を中断するための実行中断手段と、実行中断手段によりジョブの実行が中断された場合に、利用者に対して、出力枚数のカウント方式を、供給電力が満たされている場合の通常のカウント方式とするか、供給電力が満たされている場合のカウント方式よりも重みを付けてカウントする方式に切換えるのかを確認するためのカウント方式切換確認手段と、カウント方式切換確認手段による利用者への確認の後に、ジョブの実行を再開するための実行再開手段とをさらに含む構成とするのも好ましい。
【0018】
判定手段は、情報取得手段により取得された情報に基づき、ジョブ実行途中に、電力制限時間帯が終了したか否かをさらに判定し、画像形成装置は、判定手段によりジョブ実行途中に電力制限時間帯が終了していないと判定された場合には、出力枚数のカウント方式を重みを付けてカウントする方式とし、ジョブ実行途中に電力制限時間帯が終了したと判定された場合には、出力枚数のカウント方式を供給電力が満たされている場合の通常のカウント方式に切換えるための手段をさらに含む構成とされているとより好ましい。
【0019】
さらに好ましくは、出力枚数管理手段は、利用者毎に出力枚数をカウントし、その出力枚数を管理する。これにより、電力使用量のピーク時間帯等でのジョブの実行(利用者による利用)をより効果的に抑制させることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上より、本発明によれば、消費電力量のピーク時間帯等における利用者の利用を控えさせることで、消費電力の削減による節電を実現できる画像形成装置を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置を含んで構成されるネットワークシステムの全体構成を示す図である。
【図2】図1のサーバコンピュータのハードウェア構成を示す制御ブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の操作部に表示される画面例(管理者用の設定画面例)を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の操作部に表示される画面例(管理者用の重み付け係数設定画面例)を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の操作部に表示される画面例(警告画面例)を示す図である。
【図6】図1の画像形成装置で実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図7】図6のステップS1010の詳細なフローである。
【図8】図6のステップS1030の詳細なフローである。
【図9】図6のステップS1030の詳細なフローである。
【図10】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の操作部に表示される画面例(カウント方式の切換え確認画面例)を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の操作部に表示される画面例(初期画面例)を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の操作部に表示される画面例(カウンタ画面例)を示す図である。
【図13】重み付けカウント方式に設定されている場合の出力枚数のカウントを説明するための図である。
【図14】通常のカウント方式に設定されている場合の出力枚数のカウントを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の実施の形態では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。それらの機能及び名称も同一である。従って、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0023】
[全体システム構成]
図1を参照して、本発明の実施の形態に係るネットワークシステムの全体構成について説明する。このネットワークシステムは、MFPである画像形成装置100と、電力の供給状況に関する情報を保有し、画像形成装置100からの要求に応じて、要求時における電力の供給状況に関する情報を画像形成装置100に送信するサーバコンピュータ200とを含む。これらの画像形成装置100及びサーバコンピュータ200は、ネットワーク回線140により通信可能に接続されている。
【0024】
本実施の形態に係る画像形成装置100は、ユーザ(利用者)毎に出力枚数をカウントし、その出力枚数を管理する機能を有する。画像形成装置100は、サーバコンピュータ200から電力の供給状況に関する情報を取得し、取得した情報に基づいて、出力枚数のカウント方式を切換える。
【0025】
[ハードウェア構成]
<画像形成装置100>
図1を参照して、ネットワークシステムを構成する画像形成装置100は、画像データを入力するための画像入力部110と、ネットワーク回線140に接続され、ネットワーク回線140を介してサーバコンピュータ200と通信を行なう通信部112と、ユーザが画像形成装置100を操作する際に使用する、表示部及び操作パネルからなるタッチパネル方式の操作部114と、操作部114に表示するための表示画面を生成する表示画面生成部116と、通信部112を介して取得した情報、画像入力部110から入力された画像データ等の種々の情報を記憶する記憶部118とを含む。
【0026】
画像形成装置100はまた、入力された画像データに対して種々の画像処理を施す画像処理部120と、画像データによって示される画像を記録用紙に印刷する画像形成部122と、印刷された記録用紙を排出する画像排出部124と、画像入力部110、通信部112、操作部114、表示画面生成部116、記憶部118、画像処理部120及び画像形成部122に接続され、画像形成装置としての一般的機能を実現するための制御部126とを含む。
【0027】
画像入力部110は、原稿画像を読取り、RGB(R:Red、G:Green、B:Blue)アナログ画像信号を出力する原稿読取部を含む。通信部112は、ネットワーク回線140を介してサーバコンピュータ200と通信を行なうことにより、電力の供給状況に関する情報を取得する。
【0028】
制御部126は、画像形成装置100の全体の制御を司るものであり、画像形成装置100において、プリント処理、FAX送受信処理、スキャナ処理及びコピー処理並びにアプリケーションによる処理等を実現する。なお、これらの処理は、図1においては図示していない画像形成装置100を構成する各部品が制御部126により制御されて実行される。
【0029】
画像形成装置100はさらに、ユーザを認証するユーザ認証部(図示せず)を含む。本実施の形態では、画像形成装置100の起動時に、操作部114にログイン画面が表示される。ログイン画面において、ユーザはログイン名及びパスワードを入力することで、ログインを実行する。
【0030】
記憶部118は、ユーザ情報記憶部118a、使用履歴記憶部118b、及び設定条件記憶部118cを含む。ユーザ情報記憶部118aは、ログイン名及びパスワードを記憶する。記憶された、ログイン名とパスワードとは互いに対応付けられている。上記ログイン操作をユーザが行なうと、ユーザ認証部はユーザ情報記憶部118a内のデータに基づき当該ユーザを認証するか否かを判定する。使用履歴記憶部118bは、ユーザ毎の使用履歴に関する情報を記憶する。
【0031】
画像形成装置100は、ユーザ毎に出力枚数をカウントするカウンタ機能を有しており、カウントした出力枚数を管理する。上記ユーザ情報記憶部118aは、ユーザ毎の合計出力枚数をさらに記憶する。設定条件記憶部118cは、管理者によって設定された画像形成装置100の各種設定を記憶する。管理者による画像形成装置100の各種設定は、管理者がログインした後に表示される設定画面300(図3参照)にて行なわれる。
【0032】
画像形成装置100においては、画像入力部110から入力された画像データに対して、画像処理部120により各種の画像処理が施され、この画像データが画像形成部122へと出力される。なお、この画像形成装置100は、レーザー光を露光に利用する、所謂レーザー方式(電子写真方式)の印刷機能を備える。しかしながら、他の形式の印刷機能を備えたものであってもよい。
【0033】
画像形成部122は、画像データによって示される画像を記録用紙に印刷するものであって、例えば、感光体ドラム、帯電装置、レーザースキャンユニット、現像装置、転写装置、クリーニング装置、定着装置、及び除電装置等を備えている。画像形成部122には、例えば、搬送路が設けられており、図示しない給紙部から給紙されてきた記録用紙が搬送路に沿って搬送される。給紙部は、用紙カセットに収納された記録用紙、又は手差トレイに載置された記録用紙を1枚ずつ引出して記録用紙を画像形成部122の搬送路へと送り出す。
【0034】
画像形成部122の搬送路に沿って記録用紙が搬送されている途中で、記録用紙が感光体ドラムと転写装置との間を通過し、更に定着装置を通過して、記録用紙に対する印刷が行なわれる。
【0035】
感光体ドラムは、一方向に回転し、その表面は、クリーニング装置と除電装置によりクリーニングされた後、帯電装置により均一に帯電される。レーザースキャンユニットは、印刷対象の画像データに基づいてレーザー光を変調し、このレーザー光によって感光体ドラムの表面を主走査方向に繰返し走査して、静電潜像を感光体ドラムの表面に形成する。現像装置は、トナーを感光体ドラムの表面に供給して静電潜像を現像し、トナー像を感光体ドラムの表面に形成する。
【0036】
転写装置は、転写装置と感光体ドラムとの間を通過していく記録用紙に感光体ドラムの表面のトナー像を転写する。定着装置は、記録用紙を加熱するための加熱ローラと、記録用紙を加圧するための加圧ローラとを含む。記録用紙は、加熱ローラによって加熱され、かつ、加圧ローラによって加圧されることによって、記録用紙上に転写されたトナー像が記録用紙に定着される。定着装置から排出された(印刷された)記録用紙は、画像排出部124から排出される。
【0037】
本実施の形態では、画像形成装置100は、サーバコンピュータ200から取得した電力の供給状況に関する情報に基づいて、出力枚数のカウント方式を切換える。具体的には、電力の供給状況に関する情報に基づいて、制御部126が、現時刻が電力使用量のピーク時間帯(電力制限を実施する必要がある時間帯)であるか否かを判定し、電力使用量のピーク時間帯と判定された場合には、出力枚数のカウント方式を供給電力が満たされている場合(通常のカウントアップ(カウント方式)の場合)よりも重みを付けてカウントする方式に切換えて出力枚数をカウントする。
【0038】
このようなカウンタの設定も、管理者用の設定画面300から管理者によって設定される。図3を参照して、管理者用の設定画面300には、カウンタ設定を行なうためのカウンタ設定タブ310が設けられている。カウンタ設定タブ310には、設定項目として「利用者毎の出力枚数制限機能」、「電力の供給状況に応じた出力枚数制限機能」、「カウント方式の切換の確認」及び「重み付け係数の設定」が表示されている。
【0039】
さらにカウンタ設定タブ310には、「利用者毎の出力枚数制限機能」を有効とするための「有効」キー312及び無効とするための「無効」キー314、「電力の供給状況に応じた出力枚数制限機能」を有効とするための「有効」キー316及び無効とするための「無効」キー318、「カウント方式の切換の確認」を行なう設定にする「有り」キー320及び行なわない設定にする「無し」キー322、並びに、「重み付け係数の設定」を行なうために別画面を表示させる「設定」キー324が設けられている。
【0040】
「利用者毎の出力枚数制限機能」は、例えばユーザ毎にカラージョブの使用枚数を制限又は禁止する、或いは、印字ジョブは禁止するが送信ジョブは許可する等、ユーザ毎の権限及び出力枚数を管理する機能であり、「有効」キー312が押下されると、「利用者毎の出力枚数制限機能」が有効となる。「無効」キー314が押下されると「利用者毎の出力枚数制限機能」が無効となる。「利用者毎の出力枚数制限機能」が無効の場合は、ユーザ毎の出力枚数(使用枚数)の管理はされず、出力枚数のカウントもされない。「有効」キー312及び「無効」キー314は、どちらか一方のみを選択可能である。
【0041】
「電力の供給状況に応じた出力枚数制限機能」を有効とする「有効」キー316及び無効とする「無効」キー318は「利用者毎の出力枚数制限機能」が有効に設定されているときにアクティブになり、いずれか一方を選択することが可能となる。「有効」キー316が押下されると「電力の供給状況に応じた出力枚数制限機能」が有効になる。この機能が有効とされていると、サーバコンピュータ200から取得した電力の供給状況に関する情報に基づいて、出力枚数のカウント方式を切換える処理を実行する。一方、「無効」キー318が押下されると「電力の供給状況に応じた出力枚数制限機能」が無効とされる。
【0042】
「カウント方式の切換の確認」を行なう設定にする「有り」キー320及び行なわない設定にする「無し」キー322は、「利用者毎の出力枚数制限機能」が有効に設定されているときにアクティブになり、いずれか一方を選択することが可能となる。「有り」キー320が押下されると「カウント方式の切換の確認」を行なう設定とされる。この設定にされていると、ジョブ実行途中に電力使用量のピーク時間帯となった場合、出力枚数のカウント方式を、重みを付けてカウントする方式(以下、重み付けカウント方式と記す場合がある。)に切換えるか否かをユーザに確認する確認画面600(図10参照)を操作部114に表示する。ユーザは、出力枚数のカウント方式を重み付けカウント方式に切換えるか否かを自己の判断で決定できる。一方、「無し」キー322が押下されると「カウント方式の切換の確認」を行なわない設定とされる。
【0043】
「設定」キー324が押下されると、図4に示す重み付け係数設定画面400が操作部114に表示される。管理者は、この画面から重み付け係数を任意に設定できる。図4を参照して、係数設定画面400は、一般ユーザ用の重み付け係数を設定するためのテキストフィールド410、管理者用の重み付け係数を設定するためのテキストフィールド412、「OK」キー414及び「キャンセル」キー416を含む。「OK」キー414が押下されると、重み付け係数が設定されて画面表示が終了する。「キャンセル」キー416が押下されると、設定した重み付け係数がキャンセルされて画面表示が終了する。重み付け係数は、一般ユーザと管理者とを同じ係数とすることも可能である。図4では、管理者よりも一般ユーザの重み付け係数を大きくした例が示されている。
【0044】
管理者用の設定画面300により設定された設定条件は、設定条件記憶部118cに記憶される。
【0045】
画像形成装置100は、サーバコンピュータ200と定期的(例えば1分〜5分間隔)に通信して、サーバコンピュータ200から電力の供給状況に関する情報を取得する。取得した情報に基づいて、現時刻が電力使用量のピーク時間帯となっている場合には、それをユーザに知らせるために、画像形成装置100は図5に示す警告画面500を操作部114にポップアップ表示する。図5を参照して、警告画面500には、「現在、電力使用量のピーク時間帯です。」との警告文、及び、警告画面500の表示を終了させるための「キャンセル」キー510が表示されている。
【0046】
<サーバコンピュータ200>
図2を参照して、本実施の形態に係る画像形成装置100と通信するサーバコンピュータ200は、バス290と、バス290に接続されたCPU210と、バス290に接続されたROM220と、バス290に接続されたRAM230と、バス290に接続されたHDD240と、バス290に接続され、マウス252及びキーボード254との間の接続に関するインターフェイスを提供するための入力I/F250と、バス290に接続され、ディスプレイ262との間の接続に関するインターフェイスを提供するためのディスプレイI/F260と、有線又は無線(本実施の形態においては有線)によりネットワーク回線140への接続を提供するネットワークI/F270とを含む。
【0047】
ハードディスク240は、種々のデータに加えて、電力の供給状況に関する情報を記憶する。この情報は、現時刻の電力の供給状況を示すために、比較的短い所定の時間間隔で更新される。サーバコンピュータ200は、画像形成装置100からの問合せに応じて、現時刻における電力の供給状況に関する最新の情報を画像形成装置100に送信する。
【0048】
バス290、ROM220、RAM230、ハードディスク240、入力I/F250、ディスプレイI/F260及びネットワークI/F270は、いずれもCPU210の制御のもとに協調して動作し、本実施の形態に係るサーバコンピュータとしてサーバコンピュータ200は種々のアプリケーションによる処理を実現する。
【0049】
[ソフトウェア構成]
本実施の形態に係る画像形成装置100は、サーバコンピュータ200から取得した電力の供給状況に関する情報に基づいて、出力枚数のカウント方式を切換える処理を実行する。このような処理は、上述したハードウェア構成を用いて実行されるソフトウェアにより実現される。以下において、原稿のコピー操作を例にして、このソフトウェア構成(コンピュータプログラムの制御構造)について説明する。
【0050】
図6を参照して、このプログラムは、ログイン処理を実行するステップS1000と、ステップS1000の後、カウント方式の切換処理を実行するステップS1010と、ステップS1010の後、コピーを開始するためのスタートキーが押下されたか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS1020と、ステップS1020の後、ジョブを実行するステップS1030と、ステップS1020において、スタートキーが押下されず、ジョブの実行がキャンセルされた場合、及びステップS1030の後に、ログアウト処理を実行するステップS1040とを含む。
【0051】
図7は、図6のステップS1010の詳細なフローである。図7を参照して、このルーチンは、出力枚数制限機能が有効か否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS2000と、ステップS2000において、出力枚数制限機能が有効であると判定された場合に、出力枚数制限機能が有効であるか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS2010と、ステップS2010において、出力枚数制限機能が有効であると判定された場合に、サーバコンピュータ200から取得した電力の供給状況に関する情報に基づいて、現時刻が電力使用量のピーク時間帯であるか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS2020とを含む。
【0052】
図3に示す設定画面300において、「利用者毎の出力枚数制限機能」が有効に設定されていると、ステップS2000において出力枚数制限機能が有効であると判定され、「利用者毎の出力枚数制限機能」が無効に設定されていると、ステップS2000において出力枚数制限機能が有効ではない(無効である)と判定される。ステップS2000において出力枚数制限機能が有効ではない(無効である)と判定されるとこのルーチンは終了する。この場合、ユーザ毎の出力枚数(使用枚数)の管理はされず、出力枚数のカウントもされない。
【0053】
設定画面300において、「電力の供給状況に応じた出力枚数制限機能」が有効に設定されていると、ステップS2010において出力枚数制限機能が有効であると判定され、「電力の供給状況に応じた出力枚数制限機能」が無効に設定されていると、ステップS2010において出力枚数制限機能が有効ではない(無効である)と判定される。
【0054】
再び図7を参照して、このルーチンはさらに、ステップS2020において、現時刻が電力使用量のピーク時間帯であると判定された場合に、設定条件記憶部118cに記憶された重み付けの係数情報を設定条件記憶部118cから取得する(読出す)ステップS2030と、取得した重み付けの係数情報に応じたカウント方式(重み付けカウント方式)に切換えてこのルーチンを終了するステップS2040と、ステップS2010において、出力枚数制限機能が有効ではないと判定された場合、及び、ステップS2020において、現時刻が電力使用量のピーク時間帯ではないと判定された場合に、通常のカウント方式(供給電力が満たされている場合のカウントアップ方式)に設定してこのルーチンを終了するステップS2050とを含む。
【0055】
図8及び図9は、図6のステップS1030の詳細なフローである。図8及び図9を参照して、このルーチンは、ジョブを開始するステップS3000と、ステップS3000の後、出力枚数制限機能が有効であって、カウント方式が通常のカウント方式に設定されているか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS3010と、ステップS3010において、出力枚数制限機能が有効であって、カウント方式が通常のカウント方式に設定されていると判定された場合に、現時刻が電力使用量のピーク時間帯であるか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS3020と、ステップS3020において、現時刻が電力使用量のピーク時間帯であると判定された場合に、カウント方式の切換の確認が「有り」に設定されているか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS3030とを含む。
【0056】
ステップS3010の判定が肯定(YES)の場合、ジョブの開始前は電力使用量のピーク時間帯ではなく、さらにステップS3020の判定が肯定(YES)の場合、ジョブ実行途中に電力使用量のピーク時間帯となっている。
【0057】
また、図3に示す設定画面300において、カウント方式の切換の確認が「有り」に設定されている場合には、ステップS3030において肯定(YES)と判定し、カウント方式の切換の確認が「無し」に設定されている場合には、ステップS3030において否定(NO)と判定する。なお、ステップS3010において、出力枚数制限機能が有効であり、かつ、通常のカウント方式に設定されていると判定された場合には、実行中のジョブの出力枚数は通常のカウント方式でカウント(カウントアップ)される。
【0058】
このルーチンはさらに、ステップS3030において、カウント方式の切換の確認が「有り」に設定されていると判定された場合に、ジョブを一時的に中断するステップS3040と、ステップS3040の後、図10に示すカウント方式の切換え確認画面600を操作部114に表示するステップS3050と、ステップS3050の後、カウント方式を切換える指示があったか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS3060と、ステップS3060において、カウント方式を切換える指示があったと判定された場合に、出力枚数のカウント方式を重み付けカウント方式に切換えるステップS3070と、ステップS3070の後、及びステップS3060においてカウント方式を切換える指示がなかったと判定された場合に、ジョブを再開するステップS3080とを含む。
【0059】
図10を参照して、切換え確認画面600には、「現在、電力使用量のピーク時間帯です。」との警告文とともに、「カウンタのカウント方式を切換えますか?」との問いかけに対して、出力枚数のカウント方式を重み付けカウント方式に切換えるための「はい」キー610と、切換えない「いいえ」キー612とが表示される。ユーザにより「はい」キー610が押下されると、図8に示すステップS3060において、カウント方式を切換える指示があったと判定され、ステップS3070において、重み付けカウント方式に切換えられる。一方、ユーザにより「いいえ」キー612が押下されると、ステップS3060において、カウント方式を切換える指示がなかった(切換えない指示があった)と判定され、通常のカウント方式の状態のままとなる。
【0060】
再び図8を参照して、ステップS3080において、ジョブが再開されると、重み付けカウント方式に切換えられている場合は、実行中のジョブの出力枚数は通常のカウント方式よりも重みをつけてカウントされる。通常のカウント方式の状態のままの場合は、実行中のジョブの出力枚数は通常のカウント方式でカウントされる。
【0061】
このルーチンはさらに、ステップS3030において、カウント方式の切換の確認が「有り」に設定されていないと判定された場合に、設定条件記憶部118cに記憶された重み付けの係数情報を設定条件記憶部118cから取得するステップS3090と、ステップS3090の後、取得した重み付けに応じたカウント方式(重み付けカウント方式)に切換えるステップS3100と、ステップS3080及びステップS3100の後、並びに、ステップS3020において、現時刻が電力使用量のピーク時間帯ではないと判定された場合に、ジョブが終了したか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS3110とを含む。
【0062】
ステップS3020において、現時刻が電力使用量のピーク時間帯ではないと判定された場合は、実行中のジョブの出力枚数は通常のカウント方式でカウントされる。一方、ステップS3100において、カウント方式が重み付けカウント方式に切換えられると、実行中のジョブの出力枚数は通常のカウント方式よりも重みをつけてカウントされる。ステップS3110において、ジョブは終了したと判定されるとこのルーチンは終了し、ジョブは終了していないと判定されると制御はステップS3010に戻る。
【0063】
図8及び図9を参照して、このルーチンはさらに、ステップS3010において、電力の供給状況に応じた出力枚数制限機能が有効という条件、及びカウント方式が通常のカウント方式に設定されているという条件の少なくとも一方を満たしていないと判定された場合に、カウント方式が重み付けカウント方式に設定されているか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS3120と、ステップS3120において、重み付けカウント方式に設定されていると判定された場合に、現時刻が電力使用量のピーク時間帯であるか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS3130と、ステップS3130において、現時刻が電力使用量のピーク時間帯ではないと判定された場合に、カウント方式を通常のカウント方式に切換えるステップS3140と、ステップS3120において、カウント方式が重み付けカウント方式に設定されていないと判定された場合、ステップS3130において、現時刻が電力使用量のピーク時間帯であると判定された場合、及び、ステップS3140の後に実行され、ジョブが終了したか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS3150とを含む。
【0064】
ステップS3120の判定が否定(NO)の場合は、図7に示すステップS2000において、出力枚数制限機能が無効に設定されていると判定され、ユーザ毎の出力枚数がカウントされない場合と、図7に示すステップS2010において電力の供給状況に応じた出力枚数制限機能が無効に設定されていると判定され、カウント方式が通常のカウント方式に設定されている場合とを含む。出力枚数制限機能が無効に設定されている場合は、実行中のジョブの出力枚数はユーザ毎にはカウントされず、電力の供給状況に応じた出力枚数制限機能が無効に設定されている場合は、実行中のジョブの出力枚数は通常のカウント方式でカウントされる。ステップS3140において、カウント方式が通常のカウント方式に切換えられると、実行中のジョブの出力枚数は通常のカウント方式でカウントされる。またステップS3150において、ジョブは終了したと判定されるとこのルーチンは終了し、ジョブは終了していないと判定されると制御は図8に示すステップS3010に戻る。
【0065】
ユーザ毎の出力枚数の合計カウントは操作部114に表示される。図11を参照して、操作部114に表示される初期画面700には、「カウンタ確認」キー710が設けられており、このキーを押下すると、図12に示すカウンタ画面800が操作部114に表示される。図12を参照して、カウンタ画面800には、カウンタA及びカウンタBの2つのカウンタが表示されている。カウンタAには、電力使用量が通常の時間(ピーク時間帯以外の時間)に実行されたジョブの出力枚数(総出力枚数)が表示されており、カウンタBには、電力使用量のピーク時間帯に実行されたジョブの出力枚数(総出力枚数)が表示されている。この2つのカウンタにより、電力使用量のピーク時間帯にどの程度のジョブを実行したかがわかる。
【0066】
[動作]
図1、図3〜図10、図13及び図14を参照して、以上のような構造及びフローチャートに基づく、本実施の形態に係る画像形成装置100の動作について説明する。なお、以下の説明では、管理者によって画像形成装置100の設定が予め行なわれているものとする。
【0067】
画像形成装置100に電源が投入されると、画像形成装置100は、サーバコンピュータ200と通信する。画像形成装置100はサーバコンピュータ200と定期的に通信し、サーバコンピュータ200から電力の供給状況に関する最新の情報を取得し続ける。
【0068】
画像形成装置100の制御部126は、ログイン処理を実行する。このとき、制御部126は、この画像形成装置100を使用するユーザがログイン要求してログインしたか否かを判定する。制御部126は、ユーザID及びパスワード入力画面(図示せず)を操作部114に表示しておいて、ユーザID及びパスワードが入力されると、この画像形成装置100を使用するユーザがログインしてきたと判定する。制御部126は、入力されたユーザID及びパスワードが、ユーザ情報記憶部118a(図1参照)に記憶されたユーザID及びパスワードに合致すると、ログインを許可する。制御部126によりログインが許可されると、入力されたユーザIDを、記憶部118に、現在のログインユーザとして記憶する。
【0069】
画像形成装置100は、設定条件記憶部118cに記憶された設定を読出すことにより、出力枚数制限機能が有効であるか否かを判定する(図7のステップS2000)。有効である場合(ステップS2000においてYES)は、電力の供給状況に応じた出力枚数制限機能が有効であるか否かを判定する(図7のステップS2010)。電力の供給状況に応じた出力枚数制限機能が有効である場合(ステップS2010においてYES)は、サーバコンピュータ200から取得した電力の供給状況に関する情報に基づいて、現時刻が電力使用量のピーク時間帯であるか否かを判定する(図7のステップS2020)。
【0070】
現時刻が電力使用量のピーク時間帯であれば(ステップS2020においてYES)、図5に示すように、操作部114に警告画面500を表示して、ユーザに電力使用量のピーク時間帯であることを知らせる。加えて、出力枚数のカウント方式を重み付けカウント方式に切換える。
【0071】
ユーザは、電力使用量のピーク時間帯にジョブを実行すると出力枚数のカウントが通常よりも多くカウントされることを知っている(管理者から聞かされている)。そのため、出力枚数がユーザ毎に管理されている環境下において、この時間にジョブを実行した場合、このユーザの実行できるジョブの数が少なくなる。そのため、ユーザはこの時間帯でのジョブの実行をできる限り控えようとする。その結果、電力使用量のピーク時間帯において、消費電力の削減による節電(省エネ)が実現される。
【0072】
ユーザによって、ジョブの実行がキャンセルされると(図6のステップS1020においてNO)、制御部126はログアウト処理(図6のステップS1040)を実行する。このとき、制御部126は、この画像形成装置100の使用が終了したユーザがログアウト要求したか否かを判定する。制御部126は、ログアウト要求ボタンを操作部114に表示しておいて、このボタンが押下されると、この画像形成装置100を使用したユーザがログアウトしたと判定する。ログアウトが要求されると、現在のログインユーザとして記憶されていた情報が消去される。
【0073】
なお、ログイン処理(図6のステップS1040)の前に、現時刻が電力使用量のピーク時間帯であれば、図5に示す警告画面500が操作部114に表示されるため、ユーザは、電力使用量のピーク時間帯であることがわかる。そのため、この場合にも、ユーザにジョブの実行を控えさせることが可能となる。
【0074】
一方、現時刻が電力使用量のピーク時間帯であるにも関わらず、ユーザがジョブを実行した場合は、出力枚数が通常よりも重みを付けてカウントされる。
【0075】
図13を参照して、電力使用量のピーク時間帯であるために、カウント方式が重み付けカウント方式に設定されている場合、画像形成装置100は、実行中のジョブの出力枚数を通常のカウント方式よりも重みをつけてカウントする。図4に示したように、例えば、一般ユーザの重み付け係数が「2」に設定されており、管理者の重み付け係数が「1.5」に設定されている場合を想定する。一般ユーザがコピーを2枚出力した場合、4カウント(=2×2)される。管理者がコピーを2枚出力した場合、3カウント(=2×1.5)される。
【0076】
上記のように、電力使用量のピーク時間帯にジョブを実行した場合、画像形成装置100は出力枚数を通常よりも重みを付けてカウントする。しかし、ジョブの実行途中に電力使用量のピーク時間帯が終了する場合(図9のステップS3130においてNO)も起こり得る。このような場合は、カウント方式を通常のカウント方式に切換え(図9のステップS3140)、出力枚数を通常のカウント方式でカウントする。
【0077】
他方、現時刻が電力使用量のピーク時間帯でなければ、カウント方式は切換わらず、通常のカウント方式で出力枚数がカウントされる(図7のステップS2050)。
【0078】
図14を参照して、カウント方式が通常のカウント方式に設定されている場合、実行中のジョブの出力枚数は、通常通りにカウントされる。例えば、一般ユーザがコピーを2枚出力した場合、2カウントされる。同様に、管理者がコピーを2枚出力した場合、2カウントされる。
【0079】
ここで、電力使用量のピーク時間帯ではない時刻にジョブを実行したが、ジョブの実行途中に電力使用量のピーク時間帯になることも起こり得る(図8のステップS3020においてYES)。この場合、管理者によって、カウント方式の切換の確認が「有り」に設定されているか否かを判定(図8のステップS3030)し、「有り」に設定されている場合(ステップS3030においてYES)には、画像形成装置100は実行中のジョブを中断する(図8のステップS3040)。そして、図10に示すカウント方式の切換え確認画面600を操作部114に表示する。画像形成装置100は、ユーザによる確認画面600の操作に応じて、カウント方式を切換えるか否かを判定する。ユーザが「はい」キー610を押下すると、カウント方式を重み付けカウント方式に切換え、「いいえ」キー612を押下すると、カウント方式を切換えずに通常のカウント方式のままとする。
【0080】
なお、カウント方式の切換えをユーザに委ねると、「いいえ」キー612を押下して通常のカウント方式の状態でジョブを実行する場合も想定される。このような場合、管理者は図3に示す設定画面300において、カウント方式の切換の確認を行なわないように設定することもできる。
【0081】
ジョブの実行途中に電力使用量のピーク時間帯になり、カウント方式の切換の確認が「無し」に設定されている場合(図8のステップS3030においてNO)には、画像形成装置100は、カウント方式を重み付けカウント方式に切換える(図8のステップS3100)。
【0082】
ジョブが終了すると(ステップS3110及びステップS3150においてYES)、制御部126はログアウト処理(図6のステップS1040)を実行する。
【0083】
[本実施の形態の効果]
以上の説明から明らかなように、本実施の形態に係る画像形成装置100(ネットワークシステム)を利用することにより、以下に述べる効果を奏する。
【0084】
サーバコンピュータ200から取得した電力の供給状況に関する情報によって、電力使用量のピーク時間帯であるか否かがわかる。電力使用量のピーク時間帯においては、極力、ジョブを控えさせるようにするのが好ましい。本実施の形態に係る画像形成装置100では、出力枚数が管理されている環境下において、取得した電力の供給状況に関する情報に基づき出力枚数のカウント方式を切換えることにより、電力使用量のピーク時間帯等でのジョブの実行を抑制させることができる。その結果、このような時間帯において、消費電力の削減による節電(省エネ)が実現される。
【0085】
一方、ユーザは、電力使用量の少ない時間帯を狙ってジョブを実行することで、与えられた権限内でより多くのジョブを実行できる。
【0086】
このように、上記構成によって、電力使用量のピーク時間帯等において、極力ジョブを控える(控えたくなる)仕組みを構築できるので、ピーク電力を抑え電力不足による突発的な停電、及び計画停電を未然に防ぐことに貢献できる。
【0087】
また、ジョブの実行途中に電力使用量のピーク時間帯になった場合に、出力枚数のカウント方式を重み付けカウント方式に切換えることによって、ジョブ実行途中に電力制限時間帯となりそうな時間帯でのユーザの利用を控えさせることができるので、これによっても、消費電力の削減による節電(省エネ)を実現できる。
【0088】
なお、少人数の管理者よりも、多人数の一般ユーザで重み付け係数を大きく(厳しく)することにより、より高い消費電力の削減効果が期待できる。
【0089】
本実施の形態によれば、限られた供給電力のなかで画像形成装置100を管理、制御できる。
【0090】
[変形例]
上記実施の形態では、画像形成装置の一例であるMFPに本発明を適用した例を示したが、本発明はそのような実施の形態には限定されない。画像形成装置はMFP以外であってもよい。例えば、コピー機、プリンタ等の画像形成装置であってもよい。
【0091】
画像形成装置を含むネットワークシステムには、画像形成装置に対して印刷要求を行なうクライアントコンピュータが接続されていてもよい。なお、MFP、プリンタ等の画像形成装置に対して、クライアントコンピュータから印刷要求を行なう場合、プリンタドライバのユーザインターフェイス(UI)上でユーザID等を入力することにより、ユーザ毎の出力枚数を管理できる。その場合、クライアントコンピュータのディスプレイに、電力の供給状況に関する情報を表示するようにしてもよい。
【0092】
上記実施の形態では、画像形成装置の操作部にカウンタ確認画面を表示して、そのカウンタ確認画面でユーザ毎の出力枚数を確認できる構成を示した、本発明はそのような実施の形態には限定されない。例えば、WEBページからの確認、及び、ネットワークを通じた集計システムを参照することで出力枚数を確認するようにしてもよい。
【0093】
上記実施の形態では、ジョブの実行途中に電力使用量のピーク時間帯が終了した場合にカウント方式を通常のカウント方式に切換える例について示したが、本発明はそのような実施の形態には限定されない。ジョブの実行途中に電力使用量のピーク時間帯が終了した場合でも、通常のカウント方式に切換えずに、重み付けカウント方式でカウントするようにしてもよい。
【0094】
また上記実施の形態では、ユーザ毎に出力枚数をカウントする例について示したが、本発明はそのような実施の形態には限定されない。例えば、グループ毎に出力枚数をカウントするようにしてもよい。
【0095】
また上記実施の形態では、ログイン画面を用いてユーザ認証を行なう例について示したが、本発明はそのような実施の形態には限定されない。ログインのためのユーザ認証は、ログイン画面を用いずに行なってもよい。例えば、予めユーザIDが付加された認証カードを各ユーザに配布しておき、画像形成装置に取付けられたカードリーダに認証カードを読込ませることで、ユーザ認証が実行されてもよい。この認証方法によれば、ユーザはカードリーダに認証カードをかざすだけで、ログインを実行できる。
【0096】
また上記実施の形態では、電力消費量のピーク時間帯(電力制限を実施する必要がある時間帯)に出力枚数のカウント方式を切換える例について示したが、本発明はそのような実施の形態には限定されない。例えば、電力消費量のピーク時間帯よりもより緊急度の高い状況(供給電力が不足すると判断される状況(電力使用量が上限値に近い状況))の場合に、出力枚数のカウント方式を切換えるようにしてもよい。さらに、重み付け係数の設定を複数種類の設定ができるように構成してもよい。この場合、サーバコンピュータから取得した電力の供給状況に関する情報に基づいて、例えば、現時刻が電力消費量のピーク時間帯である場合は、第1の重み付け係数の設定を適用し、供給電力が不足すると判断される状況の場合は、第1の重み付け係数よりも大きい(厳しい)係数が設定された第2の重み付け係数の設定を適用するのが好ましい。
【0097】
また上記実施の形態において、電力の供給状況に関する情報に基づいて、現時刻が電力使用量のピーク時間帯となっている否かの判定は、制御部以外に例えば操作部で行なってもよい。
【0098】
また上記実施の形態において、ジョブ実行途中に電力消費量のピーク時間帯になった際に、カウント方式の切換え確認画面を操作部に表示しない設定にしている場合に、切換え確認画面に代えて、電力消費量のピーク時間帯に入ったことをユーザに知らせるポップアップ画面等を操作部に表示するようにしてもよい。
【0099】
さらに上記実施の形態において、サーバコンピュータから取得する電力の供給状況に関する情報については、現時刻における電力の供給状況がわかる情報であれば特に制限されない。
【0100】
今回開示された実施の形態は単に例示であって、本発明が上記した実施の形態のみに限定されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0101】
100 画像形成装置
110 画像入力部
112 通信部
114 操作部
116 表示画面生成部
118 記憶部
120 画像処理部
122 画像形成部
124 画像排出部
126 制御部
200 サーバコンピュータ






【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して外部機器と通信するための通信手段と、
前記通信手段を介して、前記外部機器から電力の供給状況に関する情報を取得するための情報取得手段と、
記録用紙に画像を形成するための画像形成手段と、
前記画像形成手段により画像が形成された記録用紙の出力枚数をカウントし、その出力枚数を管理するための出力枚数管理手段と、
前記情報取得手段により取得された電力の供給状況に関する情報に基づいて、前記出力枚数管理手段による出力枚数のカウント方式を切換えるためのカウント方式切換手段とを含む、画像形成装置。
【請求項2】
前記カウント方式切換手段は、
前記情報取得手段により取得された前記情報に基づき、供給電力が不足する状況であるか否かを判定するための判定手段と、
前記判定手段により供給電力が不足する状況ではないと判定された場合には、出力枚数のカウント方式を供給電力が満たされている場合の通常のカウント方式とし、前記判定手段により供給電力が不足する状況であると判定された場合には、出力枚数のカウント方式を供給電力が満たされている場合のカウント方式よりも重みを付けてカウントする方式に切換えるための手段とを含む、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記カウント方式切換手段は、
前記情報取得手段により取得された前記情報に基づき、現時刻が、電力制限の実施を必要とする電力制限時間帯となっているか否かを判定するための判定手段と、
前記判定手段により現時刻が前記電力制限時間帯ではないと判定された場合には、出力枚数のカウント方式を供給電力が満たされている場合の通常のカウント方式とし、前記判定手段により現時刻が前記電力制限時間帯であると判定された場合には、出力枚数のカウント方式を供給電力が満たされている場合のカウント方式よりも重みを付けてカウントする方式に切換えるための手段とを含む、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記カウント方式切換手段は、
前記情報取得手段により取得された前記情報に基づき、電力制限の実施を必要とする電力制限時間帯となったか否かを判定するための判定手段と、
前記判定手段により前記電力制限時間帯になっていないと判定された場合には、出力枚数のカウント方式を供給電力が満たされている場合の通常のカウント方式とし、前記判定手段により前記電力制限時間帯になったと判定された場合には、出力枚数のカウント方式を供給電力が満たされている場合のカウント方式よりも重みを付けてカウントする方式に切換えるための切換手段とを含み、
前記判定手段は、ジョブ開始時に前記電力制限時間帯となっているか否かを判定するための手段を含む、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記情報取得手段により取得された前記情報に基づき、ジョブ実行途中に、前記電力制限時間帯となったか否かを判定するための手段をさらに含み、
前記切換手段は、ジョブ実行途中に前記電力制限時間帯になっていない判定された場合には、出力枚数のカウント方式を供給電力が満たされている場合の通常のカウント方式とし、ジョブ実行途中に前記電力制限時間帯になったと判定された場合には、出力枚数のカウント方式を供給電力が満たされている場合のカウント方式よりも重みを付けてカウントする方式に切換えるための手段を含む、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記判定手段は、前記情報取得手段により取得された前記情報に基づき、ジョブ実行途中に、前記電力制限時間帯となったか否かを判定するための手段をさらに含み、
前記画像形成装置は、
ジョブ実行途中に前記電力制限時間帯となったと判定された場合に、ジョブの実行を中断するための実行中断手段と、
前記実行中断手段によりジョブの実行が中断された場合に、利用者に対して、出力枚数のカウント方式を、供給電力が満たされている場合の通常のカウント方式とするか、供給電力が満たされている場合のカウント方式よりも重みを付けてカウントする方式に切換えるのかを確認するためのカウント方式切換確認手段と、
前記カウント方式切換確認手段による利用者への確認の後に、ジョブの実行を再開するための実行再開手段とをさらに含む、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記判定手段は、前記情報取得手段により取得された前記情報に基づき、ジョブ実行途中に、前記電力制限時間帯が終了したか否かをさらに判定し、
前記判定手段によりジョブ実行途中に前記電力制限時間帯が終了していないと判定された場合には、出力枚数のカウント方式を、前記重みを付けてカウントする方式とし、ジョブ実行途中に前記電力制限時間帯が終了したと判定された場合には、出力枚数のカウント方式を供給電力が満たされている場合の通常のカウント方式に切換えるための手段をさらに含む、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項8】
出力枚数管理手段は、利用者毎に出力枚数をカウントし、その出力枚数を管理する、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の画像形成装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−91293(P2013−91293A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235874(P2011−235874)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】