画像情報伝送装置、画像情報伝送方法、プログラム及び記憶媒体
【課題】既存の復号器によって復号可能な形態で、特殊再生用のディジタルデータをディジタルインターフェースを通じて出力する。
【解決手段】特殊再生モードを指示する指示手段と、指示手段による指示に応じて、再生手段により再生された符号化画像ストリームにおける各フレームの表示タイミングを規定するタイミング制御データを変更する手段と、直前の画像データと同一の画像データの表示を指示するデータであるコピーピクチャデータを生成する手段と、符号化画像ストリームを復号する復号器の仮想入力バッファの蓄積量を制御ためのスタッフィングデータを生成する手段と、指示手段による指示に応じて、変更手段より出力された符号化画像ストリームに対し、コピーピクチャデータとスタッフィングデータとを挿入する出力手段と、を備える画像情報伝送装置。
【解決手段】特殊再生モードを指示する指示手段と、指示手段による指示に応じて、再生手段により再生された符号化画像ストリームにおける各フレームの表示タイミングを規定するタイミング制御データを変更する手段と、直前の画像データと同一の画像データの表示を指示するデータであるコピーピクチャデータを生成する手段と、符号化画像ストリームを復号する復号器の仮想入力バッファの蓄積量を制御ためのスタッフィングデータを生成する手段と、指示手段による指示に応じて、変更手段より出力された符号化画像ストリームに対し、コピーピクチャデータとスタッフィングデータとを挿入する出力手段と、を備える画像情報伝送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に記録されたMPEG(Moving Picture Experts Group)ビデオ信号を読出したあとで、再び記録する場合に適用される画像情報伝送装置、画像情報伝送システム、画像情報伝送方法、プログラム及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IEEE1394等のデジタルインターフェースを介して記録媒体に記録されたMPEGストリームを読出して出力し、外部の他の記録装置に記録、あるいは再生装置によって復号して表示することが行われている。
【0003】
MPEGストリームに対し、スロー、スチル、コマ送り等の特殊再生をして伝送する場合、ISO/IEC13818−1 システムストリームのヘッダ情報を送ることで実現可能とされている。具体的には、PES(Packetized Elementary Stream) パケットのヘッダ情報内の DSM_trick_mode フィールド(DSM:Digital Storage Media)に特殊再生に関する情報を記述する。
【0004】
しかし、PESパケットのヘッダ情報の DSM_trick_mode に対応していないデコーダが多数存在する。このため、既存のデコーダでも対応可能なMPEGストリームの特殊再生をデジタルインターフェースに出力する方法が提案されている。例えば、コピーピクチャを生成して出力するとともに、復号器の仮想入力バッファの蓄積量を示すデータを無効化する方法(特許文献1、特許文献2)が提案されている。さらに、符号化データを一旦復号後、再符号化して送出を行う方法(特許文献3)も提案されている。
【特許文献1】特開2002−77815号公報
【特許文献2】特開2003−101961号公報
【特許文献3】特開2001−28748号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1及び特許文献2に開示された装置では、復号器の仮想入力バッファの蓄積量を示すデータを無効化するため、出力先の復号器を破綻させる恐れがある。また、伝送する符号化データが画像データと音声データとの多重化されたデータであった場合、コピーピクチャの挿入により受信装置側で音声データの途切れが発生する。
【0006】
また、特許文献3に開示された再生伝送装置では、再生伝送装置にさらに別の符号器が必要となり、コスト及び消費電力が増大する。
【0007】
さらにまた、特許文献3に開示された再生伝送装置では、Bピクチャ及びPピクチャの置き換えが発生するため、再生伝送装置と受信装置でフレームの切替え頻度が著しく異なり、受信装置で良好な特殊再生画像を得ることができない。また、伝送する符号化データが画像データと音声データとが多重化されたものでる場合、特許文献1及び特許文献2に開示された装置と同様に、受信装置で音声データの不当な途切れが発生する。
【0008】
さらにまた、特許文献3に開示された再生伝送装置では、ダミーパケット情報またはDIT情報を受け取った場合の復号動作、及び記録媒体への記録動作に明確な規定がなく、受信装置毎に動作が異なるため、特殊再生画像を受信装置が得られる保証がない。また、伝送する符号化データが画像データと音声データとが多重化されたものである場合、特許文献1の装置と同様に、受信装置で音声データの途切れが発生する。
【0009】
したがって本発明の目的は、既存の復号器によって復号可能な形態で、特殊再生用のデータを出力することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明における実施形態の画像情報伝送装置は、フレーム毎に、フレーム内符号化またはフレーム間予測符号化により符号化された符号化画像ストリームを記録媒体から再生する再生手段と、
前記符号化画像ストリームを通常再生速度よりも遅い速度にて再生する特殊再生モードを指示する指示手段と、
前記指示手段による指示に応じて、前記再生手段により再生された符号化画像ストリームにおける各フレームの表示タイミングを規定するタイミング制御データを変更する変更手段と、
直前の画像データと同一の画像データの表示を指示するデータであるコピーピクチャデータを生成するコピーピクチャ生成手段と、
前記符号化画像ストリームを復号する復号器の仮想入力バッファの蓄積量を制御ためのスタッフィングデータを生成するスタッフィング生成手段と、
前記指示手段による指示に応じて、前記変更手段より出力された符号化画像ストリームに対し、前記コピーピクチャデータと前記スタッフィングデータとを挿入して出力する出力制御手段と、を備える、ことを特徴とする。
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明における他の実施形態の画像情報伝送方法は、
フレーム毎に、フレーム内符号化またはフレーム間予測符号化により符号化された符号化画像ストリームを記録媒体から再生する再生工程と、
前記符号化画像ストリームを通常再生速度よりも遅い速度にて再生する特殊再生モードを指示する指示工程と、
前記指示工程による指示に応じて、前記再生工程で再生された符号化画像ストリームにおける各フレームの表示タイミングを規定するタイミング制御データを変更する変更工程と、
直前の画像データと同一の画像データの表示を指示するデータであるコピーピクチャデータを生成するコピーピクチャ生成工程と、
前記符号化画像ストリームを復号する復号器の仮想入力バッファの蓄積量を制御ためのスタッフィングデータを生成するスタッフィング生成工程と、
前記指示工程における指示に応じて、前記変更工程で出力された符号化画像ストリームに対し、前記コピーピクチャデータと前記スタッフィングデータとを挿入して出力する出力制御工程と、を備える、ことを特徴とする。
【0012】
上記の目的を達成するため、本発明におけるさらに他の実施形態の画像情報伝送方法は、フレーム内符号化ピクチャと、順方向予測符号化ピクチャ及び両方向予測符号化ピクチャの少なくともいずれか1つを含む符号化ビットストリームを蓄積する蓄積工程と、
指定された特殊再生動作に対応する出力モードで前記符号化ビットストリームを出力するように制御する出力制御工程と、
前記符号化ビットストリームの符号化ビデオビットストリームのピクチャの表示タイミングを規定する制御データを書き換える第1書き換え工程と、
直前の画像データと同一の画像データの表示を指示するデータであるコピーピクチャを生成するコピーピクチャ生成工程と、
前記符号化ビットストリームの符号化オーディオビットストリームの出音を規定する制御データを、前記コピーピクチャの出力枚数に基づいて書き換える第2書き換え工程と、を備え、
それぞれの前記制御データが書き換えられた符号化ビットストリームおよびコピーピクチャを前記出力制御工程の制御に従って出力する、ことを特徴とする。
【0013】
上記の目的を達成するため、本発明におけるさらに他の実施形態の画像情報伝送方法は、フレーム内符号化ピクチャであるIピクチャ、順方向予測符号化ピクチャであるPピクチャ、及び両方向予測符号化ピクチャであるBピクチャのすくなくともいずれか1つを含む符号化ビットストリームを蓄積する蓄積工程と、
指定された特殊再生動作に対応する出力モードで前記符号化ビットストリームを出力するように制御する出力制御工程と、
前記符号化ビットストリームに関して、ピクチャの表示タイミングを規定する制御データを書き換える書き換え工程と、
直前の画像データと同一の画像データを表示することを指示するデータであるコピーピクチャを生成するコピーピクチャ生成工程と、を備え、
前記制御データが書き換えられた前記符号化ビットストリームのピクチャと、前記コピーピクチャを前記出力制御工程の制御に従って出力するとともに、
前記符号化ビットストリームが、音声データと画像データを多重化したものであった場合、前記音声データ及び前記音声データに関する制御用の情報を破棄し、画像データのみの符号化ビットストリームとして出力する、ことを特徴とする。
【0014】
上記の目的を達成するため、本発明におけるさらに他の実施形態のプログラムは、前記実施形態に記載された画像情報伝送方法の手順をコンピュータに実行させる。
【0015】
上記の目的を達成するため、本発明におけるさらに他の実施形態の記憶媒体は、前記実施形態に記載された画像情報伝送方法の手順をコンピュータに実行させるためのプログラムを記憶する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の装置によれば、既存の復号器によって復号可能な形態で、特殊再生用のデータを出力することが可能となる。具体的には、スチル再生、スロー再生、コマ送り再生等の特殊再生用のビットストリームを出力することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
<実施形態1>
以下、この発明の実施形態1について説明する。本発明の第1の実施形態においては、MPEG規格に従って符号化された画像データを記録媒体から再生する。そして再生されたMPEGストリームをIEEE1394等のディジタルインターフェースで伝送可能な形態に変換して出力する。なお、IEEE1394上のMPEGストリームの形式は、トランスポートストリーム(以下TSとする)とする。また、本実施形態で実装する特殊再生動作モードは、スチル再生、スロー再生の2つである。また、MPEGストリームは、Repeat_Frist_Field (以下、RFとする) /Top_Field_First (以下、TFとする)が全フレーム共通な60i形式であるものとする。尚、60i形式は、フレームレート:30/1.001Hz、およびインターレスの形式を意味する。
【0018】
図1は、第1の実施形態における画像情報伝送装置の構成を全体的に示す。伝送装置120と表示装置121はIEEE1394インターフェースを介して接続されている。そして、伝送装置120からTS形式で送信されたMPEGデータを、表示装置121で受信し、再生し、表示できるよう構成される。
【0019】
伝送装置120は、再生対象となるMPEGデータを保存している記憶媒体100と、記憶媒体から取得したMPEGデータを一時保存するメモリ101を有する。さらに、取得したMPEGデータが多重化されていた場合、エレメンタリ−ストリーム(以下ESとする)に変換するデマルチプレクサ102を有する。さらに、ビデオESを復号するビデオデコーダ103と、復号されたビデオ信号を表示するモニタ104とを有する。
【0020】
また、オーディオESを復号するオーディオデコーダ105と、復号されたオーディオ信号を出力するスピーカ106を有する。さらに、ビデオESのヘッダ解析を及び書換えを行うビデオ解析・書換部107と、オーディオESのヘッダ解析を及び書換えを行うオーディオ解析・書換部108を有する。また、直前の画像データと同一の画像データを表示することを指示するデータであるコピーピクチャを発生するコピーピクチャ発生部109と、Nullデータであるスタッフィングを発生するスタッフィング発生部110とを有する。さらに、無音オーディオデータを発生するミュート発生部111と、ビデオES及びオーディオESを多重化してTSパケットを生成するTSマルチプレクサ112を有する。また、IEEE1394インターフェース制御部である113と、図示しないプログラム用のメモリ、プロセッサ、ユーザインターフェース等も有している。
【0021】
一方表示装置121は、IEEE1394インターフェース制御部である114と、TSパケットからビデオおよびオーデイオESを生成するTSデマルチプレクサ115と、ビデオESを復号するビデオデコーダ116を有する。さらに、復号されたビデオ信号を表示するモニタ117と、オーディオESを復号するオーディオデコーダ118と、復号されたオーディオ信号を出力するスピーカ119を有する。また、図示しないプログラム用のメモリ、プロセッサ、ユーザインターフェース等も含まれる。
【0022】
伝送装置120に再生動作を要求すると、記憶媒体100から出力されるMPEG形式で符号化されたビデオ信号及びオーディオ信号を、一旦メモリ101に蓄積する。メモリ101に蓄積されるMPEGビデオ信号はTS形式やPS形式、あるいは多重化されていないES形式のいずれでも良い。
【0023】
メモリ101に蓄積された符号化データを取り出す際、符号化データが多重化されていた場合は、デマルチプレクサ102によりビデオES及びオーディオESへ分離して変換される。そして、ビデオデコーダ103及びオーディオデコーダ105により復号され、モニタ104及びスピーカ106へ出力される。
【0024】
IEEE1394上のストリーム形式はTS形式なので、メモリ101に記録されていたMPEGストリームをIEEE1394で出力する場合には、デマルチプレクサ102でES形式にしたビデオES及びオーディオESの情報の書き換えを行う。
【0025】
すなわち、必要に応じて、ビデオヘッダ解析・書換部107及びオーディオヘッダ解析・書換部108を用いて Decoding Time Stamp(以下、DTSとする)や、Presentation Time Stamp(以下、PTSとする)、TF、RF等の情報の書換えを行う。
【0026】
特殊再生動作中であれば、ビデオESに対し、コピーピクチャ発生部109及びスタッフィング発生部110で発生させたコピーピクチャ及びスタッフィングを、ビデオESの各ピクチャ間に挿入する。次にTSマルチプレクサ112でTS形式に多重化し、TSマルチプレクサ112の結果を外部インターフェース113を介して出力する。
【0027】
表示装置121は、伝送装置120からインターフェース制御部114を介してTSパケットを受け取ると、TSデマルチプレクサ115によりビデオES及びオーディオESへ分離し変換する。そして、得られたビデオES及びオーディオは、ESビデオデコーダ116及びオーディオデコーダ118により復号され、モニタ117及びスピーカ119へ出力される。以上が通常の動作となる。
【0028】
次に特殊再生MPEGストリームに用いるコピーピクチャについて説明する。コピーピクチャの例として、以下の2つを挙げる。
【0029】
第一の例は、図2に示す構造をもったPピクチャである。図2の一つのブロックがマクロブロック(以下MBとする)を示している。スライスの両端のマクロブロックは、MPEGの規定により省略できない。そのため、macroblock_type を MC、NotCoded(MBアドレス情報と、(0、0)の動きベクトルを伝送し、DCT係数を伝送しないMB)としたマクロブロックにし、他は全てスキップドマクロブロック(以下SMBとする)とする。コピーピクチャであるこのPピクチャを受け取ったデコーダは、直前のピクチャと同じピクチャであるビデオ信号を出力する。コピーピクチャであるこのPピクチャは、大部分が固定的なデータである。そのため、予めROM等に保存しておいたデータを読み出し、利用しても良いし、ビットストリーム中にあるシーケンスヘッダを解析して画枠を調べ、その画枠にあったPピクチャを生成して利用してもよい。
【0030】
第二の例は、直前のピクチャがBピクチャであった場合、直前のBピクチャを複製したものとする。直前のBピクチャを複数回送ることによって、外部の表示装置121において同じビデオ信号を何度も表示することができる。
【0031】
実際のコピーピクチャの生成においては、IピクチャおよびPピクチャに対しては第一の例を用いる必要があるが、Bピクチャについては第一及び第二の例のいずれを用いても構わない。本実施形態では、Bピクチャに対し、第二の例のコピーピクチャを用いる場合で説明する。
【0032】
次に特殊再生動作の一つであるスチル再生について図3を用いて説明する。通常再生の場合、ステップS301において、記憶媒体100から読み出したMPEGデータのピクチャをバッファ上に一枚読み出す。ステップS302において、スチル再生が選択されていない場合、ステップS303へ進む。ステップS303において、バッファ上のピクチャのシステム情報であるDTSやPTSを、最後に送出したピクチャとの整合性がとれるように変更し、ステップS304で表示装置121に送出する。送出後はステップS301へと戻り、これを繰り返すことで、表示装置121で通常再生を得ることができる。
【0033】
ユーザからの指示でスチル再生を要求された場合、ステップS302の判定からステップS305へと進む。ステップS305において、最後に送出したピクチャがI、BまたはPのいずれのピクチャであったかを判定する。そして、Bピクチャであった場合はステップS306へ進む。しかし、Bピクチャ以外であった場合はステップS307へ進み、図2で説明したBピクチャ、またはPピクチャ形式のコピーピクチャを用意する。ステップS306及びステップS307で用意したコピーピクチャに対し、ステップS308において、最後に送出したピクチャと整合性のとれるようDTSやPTS等のヘッダ情報の変更を行い、ステップS309で表示装置121に送出する。次に、ステップS310において、送出したコピーピクチャに対するスタッフィングのサイズを計算する。スタッフィングのサイズは、スタッフィングが挿入されるまでにコピーピクチャ挿入により発生した、仮想入力バッファ(VBVバッファ)の蓄積量のずれを調整するサイズとなる。これは、次式で求められる。
(スタッフィングデータサイズ)=
(ビデオESのビットレート)×(フレームレート)×
(挿入したコピーピクチャの枚数)−
(挿入したコピーピクチャのデータサイズの総和)
図4はスタッフィングのサイズを示す図である。図4の(A)は通常の再生時、(B)は、コピーピクチャとスタッフィングが1:1の場合、(C)はコピーピクチャとスタッフィングが2:1の場合、(D)はコピーピクチャとスタッフィングが4:1の場合をそれぞれ示す。
【0034】
したがって、ステップS311において、ステップS310で計算したサイズに基づいたスタッフィングを生成し、ステップS312において表示装置121に送出する。さらに、ステップS313において、スチル再生の要求が解除されたかを判定する。そして、解除されていればステップS301へ戻り、通常再生動作へ移る。しかしながら、解除されていなければ、ステップS305へと戻り、スチル再生動作を続けることになる。
【0035】
図3に示すフローチャートでは、1フレームのコピーピクチャを挿入する度にスタッフィングデータを挿入していた。しかし、nフレームのコピーピクチャを挿入する度にスタッフィングデータを挿入する構成でも構わない。この場合、一般に、nの値が増えるほど、1回に挿入するスタッフィングデータのサイズが増えることになる。また、あまりnの値が大きくなると、コピーピクチャの蓄積による仮想バッファのデータ量と目標値との差が大きくなるため、nの値はスチル再生開始時における加増バッファの蓄積データ量によって適宜決めることが好ましい。
【0036】
スチル再生から通常再生への移行する場合、再生画像が乱れないよう、復号器の仮想入力バッファの蓄積量をスタッフィングで調整する必要がある。そのため、nフレームを単位としてスチル再生から通常再生に移行するとする。したがって、nフレームより短い期間にユーザからスチル再生解除を要求されても、内部的に解除時間を遅延して、スタッフィングの入るnフレームまでは解除しない。n対1で行う場合は、ステップS305乃至ステップS309をn回ループした後、ステップS310へ進む。以上を繰り返すことで、表示装置121はスチル再生画像を得ることができる。
【0037】
次にスロー再生の一例として、1/3倍速スロー再生(通常ピクチャ1枚送出につき、コピーピクチャを2枚送出)について図5のフローチャートを用いて説明する。通常再生の場合、ステップS501において記憶媒体100から読み出したMPEGデータのピクチャをバッファ上に一枚読み出す。ステップS502において、バッファ上のピクチャのヘッダ情報であるDTSやPTSを、最後に送出したピクチャとの整合性がとれるように変更を行い、ステップS503で表示装置121に送出する。ステップS504においてスロー再生が選択されていない場合、送出後はステップS501へと戻り、これを繰り返すことで、表示装置121で通常再生を得ることができる。
【0038】
ユーザからの指示でスロー再生を要求された場合、ステップS504の判定からステップS505へと進む。先ずステップS505において、コピーピクチャを何枚送出したかを示すカウンタmを初期化する。ステップS506において、MPEGの実ビデオデータ1ピクチャの送出につき、コピーピクチャを2枚送出済であるかを判定する。そして、送出済であればステップS501へと戻り、送出していなければステップS507へ進む。
【0039】
ステップS507は、図3で説明したスチル再生のフローチャートにおけるステップS305乃至S312までと同じであるので、説明は省略する。コピーピクチャとスタッフィングの挿入比率nはm(=3)未満の自然数であるので、mが3の場合、1または2である。ステップS508において、コピーピクチャの挿入枚数カウンタであるmに、コピーピクチャとスタッフィングの挿入比率nを加えて、コピーピクチャの挿入枚数カウンタを更新し、ステップS506へ戻る。以上を繰り返すことで、表示装置121でスロー再生を得ることができる。
【0040】
また、スロー再生時においても、スタッフィングデータのサイズの算出方法は前述のスチル再生時と同様である。なお、スロー再生時においては、コピーピクチャの挿入フレーム数mはスロー再生時における再生速度によって決まる。従って、スタッフィングデータを挿入するフレーム数nはm以下となる。
【0041】
次に、コマ送り再生についてであるが、コマ送り再生は、内部的には通常再生で1フレーム送る毎に、スチル再生を繰り返すことで実現する。詳細はスチル再生と同じなので省略する。
【0042】
オーディオのミュート化は実施しても、しなくても良い。オーディオのミュート化を実施する場合のミュート方法については後述(実施形態4以降)で説明する。
【0043】
<実施形態2>
実施形態1では、MPEGデータが60iなどRF/TFが同じフレームが連続するものについて説明したが、実施形態2ではRF/TFがフレーム毎に異なる、2−3プルダウンされたものについて説明する。
【0044】
図6に2−3プルダウンされたビデオストリームの一例を示す。2−3プルダウンされたビデオストリームは、RF/TFが表示順で{RF,TF} = {1,1}、{0,0}、{0,1}、{1,0}の4種類のフレームを繰り返す構成である。以下、説明のため、上記4種類のフレームを順に Frame 1、Frame 2、Frame 3、Frame 4 と記述する。
【0045】
特殊再生動作時、この4種類のフレームのシーケンスを守る為、コピーピクチャの挿入は4枚単位で行い、特殊再生動作から通常再生動作への移行も、この4枚単位出力が終わるまで内部的に遅延する。
【0046】
具体的なコピーピクチャの生成および挿入は、表示順で最後に出力したピクチャが
Frame 0 であった場合、Frame 1 → Frame 2 → Frame 3 → Frame 0
Frame 1 であった場合、Frame 2 → Frame 3 → Frame 0 → Frame 1
Frame 2 であった場合、Frame 3 → Frame 0 → Frame 1 → Frame 2
Frame 3 であった場合、Frame 0 → Frame 1 → Frame 2 → Frame 3
の順でコピーピクチャを4枚単位で挿入する。
【0047】
特殊再生から通常再生への移行が(4×x)毎単位の移行であるため、コピーピクチャとスタッフィングの挿入関係nは、4×xの約数であれば、いずれでもあっても構わない。(x=1[コピーピクチャ挿入単位=4毎]の場合、スタッフィングの挿入はコピーピクチャ1、2、4毎である。)
図7は、x=1である場合の、コピーピクチャの挿入の一例を示したものである。
【0048】
特殊再生動作時の具体的な動作は、実施形態1と同じであるため省略するが、スロー再生に対応する場合の再生速度は1/(4×x+1)倍速である。
【0049】
<実施形態3>
実施形態2では、2−3プルダウンされたものについて説明したが、実施形態3では2−3−3−2プルダウンされたものについて説明する。
【0050】
図8に2−3−3−2プルダウンされたビデオストリームの一例を示す。2−3−3−2プルダウンされたビデオストリームは、RF/TFが表示順で {RF,TF} = {0,1}、{1,1}、{1,0}、{0,1}の4種類のフレームを繰り返す構成である。以下、説明のため、上記4種類のフレームを順に Frame 0、Frame 1、Frame 2、Frame 3 と記述する。
【0051】
特殊再生動作時、この4種類のフレームのシーケンスを守る為、コピーピクチャの挿入は4枚単位で行い、特殊再生動作から通常再生動作への移行も、この4枚単位出力が終わるまで内部的に遅延する。
【0052】
具体的なコピーピクチャの生成・挿入は、表示順で最後に出力したピクチャが
Frame 0 であった場合、Frame 1 → Frame 2 → Frame 3 → Frame 0
Frame 1 であった場合、Frame 2 → Frame 3 → Frame 0 → Frame 1
Frame 2 であった場合、Frame 3 → Frame 0 → Frame 1 → Frame 2
Frame 3 であった場合、Frame 0 → Frame 1 → Frame 2 → Frame 3
の順でコピーピクチャを4枚単位で挿入する。
【0053】
特殊再生から通常再生への移行が(4×x)毎単位の移行であるため、コピーピクチャとスタッフィングの挿入関係nは、4×xの約数であれば、いずれでもあっても構わない。(x=1[コピーピクチャ挿入単位=4毎]の場合、スタッフィングの挿入はコピーピクチャ1、2、4毎である。)
図9は、x=1である場合の、コピーピクチャの挿入の一例を示したものである。特殊再生動作時の具体的な動作は、実施形態1および実施形態2と同じであるため省略するが、スロー再生に対応する場合の再生速度は1/(4×x+1)倍速である。
【0054】
<実施形態4>
実施形態1、2および3では、ビデオストリームについて説明してきたが、実施形態4ではオーディオのミュート化について説明する。なお、ビデオストリームに対する処理は、実施形態1、2および3と同じであるため、省略する。
【0055】
オーディオミュート化動作について図10の処理フローチャート及び、図11の出力ストリームイメージを用いて説明する。通常再生の場合、(図11のA)ステップS1001において、PTS等のヘッダ情報の変更を行う。PTSの変更については、ビデオストリームのPTSの変更により得られる、実ストリームのPTSと出力ストリームのPTSの差分値を、オーディオストリームのPTSへ加算することで実行される。(図11の(B))次にステップS1002において特殊再生中のオーディオデータであるか否かの判定を行う。具体的な判定方法は、特殊再生中のビデオストリームのPTSを取得し、
(1)特殊再生開始ビデオストリームのPTS以降のPTSを持つオーディオデータ
(2)特殊再生終了ビデオストリームのPTS以前のPTSを持つオーディオデータ
の2つを満たすものを特殊再生中のオーディオデータと判断する(図11のB)。通常再生の場合は、該当するオーディオデータがないため、ステップS1004へ進む。次にステップS1004でオーディオの出力を行う。これを繰り返し行うことで、通常再生時のオーディオの出力を行う。
【0056】
次に、スチル再生、コマ送り再生、スロー再生等の特殊再生時動作について説明する。ステップS1002で特殊再生中のオーディオデータと判断された場合、ステップS1003でミュートデータと置換する(図11のC)。ミュートデータは、無音をサンプリング周波数でサンプリングし、所定の形式で符号化したものである。サンプリング周波数が不定であれば、その都度生成しても良いが、サンプリング周波数が特定可能であれば、ミュートデータは固定的なデータとなるため、予めROM等に用意したものを利用しても良い。ミュートデータ置換後の動作はステップS1004から通常再生時と同じなので省略する。以上を繰り返し行うことで、ミュート化を実現する。
【0057】
<実施形態5>
実施形態4では、ビデオストリームについて説明してきたが、実施形態5ではオーディオのミュートデータの簡易的な挿入について説明する。ビデオストリームに対する処理は、実施形態1乃至3と同じであるため、省略する。また、オーディオのミュート化については実施形態4と同じであるため、省略する。
【0058】
オーディオミュートデータ挿入動作について図12の処理フローチャート及び、図13の出力ストリームイメージを用いて説明する。まずステップS1201で、オーディオのPTSを、実施形態4で説明した、コピーピクチャ挿入に基づく差分値の変更を行う。次にステップS1202においてオーディオの不足を確認する。オーディオの不足を確認する具体的な方法は次の通りである。オーディオESから当該オーディオ符号化単位であるオーディオアクセスユニット(以下、AAUと記述)のPTS間隔を得る。AAUから前述のPTS間隔を隔てた範囲以内のPTSを持つAAUがなければ、不足と判断し、ステップS1203へ進む。そうでない場合はステップS1205へ進む。ステップS1203において、ミュートデータを挿入する(図13のB)。実施形態4と同様に、ミュートデータは、無音をサンプリング周波数でサンプリングし、所定の形式で符号化したものである。サンプリング周波数が不定であれば、その都度生成しても良いが、サンプリング周波数が特定可能であれば、予めROM等に用意しておいても良い。ミュートデータを挿入するとステップS1204へ進む。そして、前述のオーディオAAUのPTSから、AAU分PTSを加算した値でPTSを変更し(図13のC)、ステップS1205へ進む。ステップS1205においてオーディオの出力を行う。以上を繰り返し行うことで、1AAU未満の不連続を含むミュートオーディオの生成を行う。
【0059】
<実施形態6>
実施形態5では、簡易的なミュートデータの挿入について説明したが、実施形態6ではミュートデータ挿入とシステム情報更新による連続的なミュートオーディオ生成について説明する。ビデオストリームに対する処理は及びオーディオのミュート化については実施形態5と同じであるため、省略する。
【0060】
オーディオミュート挿入動作について図14の処理フローチャート及び、図15の出力ストリームイメージを用いて説明する。まずステップS1401でオーディオのPTSを、実施形態4および5と同様に、コピーピクチャ挿入に基づく差分値の変更を行う(図15のA)。次にステップS1402においてオーディオの連続性を確認する。オーディオの連続性を確認する具体的な方法は次の通りである。オーディオESから当該オーディオ符号化単位であるAAUのPTS間隔を得る。AAUから前述のPTS間隔を隔てた位置のPTSを持つAAUがなければ、連続性なしと判断し、ステップS1403へ進む。連続性がありと判断される場合は、S1408へ進み、オーディオデータの出力を行う。
【0061】
ステップS1402で連続性なしと判断し、ステップS1403において、ミュートデータを挿入する。ミュートデータの挿入については実施形態5と同じなので省略する。次にステップS1404において、挿入したPTSから1AAU以内のPTSを持つAAUがあるかないかを判定し、ない場合はステップS1403に戻り、再度ミュートを挿入する。しかしある場合は、そこでミュートの挿入をやめ、ステップS1405へ進む(図15のB)。次にステップS1405において、ミュートデータ挿入によるPTSの変更を行うが、ステップS1406において、変更の範囲が1AAUの範囲を超えた場合、ミュートデータ挿入オーバーによるオーディオとビデオの同期ズレが発生する。したがって、ステップS1407において直前のミュートデータを削除し、再度S1406においてPTSの変更を行う(図15のC)。以上を繰り返し行うことで、連続的なミュートオーディオの生成を行う(図15のD)。
【0062】
<実施形態7>
実施形態4乃至6では、オーディオのミュート化に関する説明を行ってきたが、実施形態7では、特殊再生動作におけるオーディオの破棄について説明する。ビデオストリームに対する処理は、実施形態1乃至3と同じであるため、省略する。
【0063】
オーディオ破棄について次にオーディオミュート挿入動作について図16の処理フローチャート及び、図17の出力ストリームイメージを用いて説明する。ステップS1601において特殊再生が選択されていない場合、ステップS1603へ進む。ステップS1603において、PTS等のヘッダ情報の変更を行う。PTSの変更については、ビデオストリームのPTSの変更で得られる、実ストリームのPTSと出力ストリームのPTSの差分値を、オーディオストリームのPTSへ加算することで実施する。次にステップS1604でオーディオの出力を行う。これを繰り返し行うことで、通常再生時のオーディオの出力を行う。
【0064】
次に、スチル再生、コマ送り再生、スロー再生などの特殊再生時動作について説明する。ステップS1601で特殊再生と判断された場合、ステップS1602へ進む。ステップS1602において、特殊再生動作中のオーディオを破棄する(図17のB)。特殊動作中のオーディオデータを判断する具体的な方法は次の通りである。バッファ中に入っているビデオストリームに対し、特殊再生動作時に出力するフレームを確認する。次に、前記フレームのPTSに相当する区間のPTSを持つAAUを選択し、これを破棄の対象とする(図17のC)。以上を繰り返し行うことで、オーディオ破棄を実現する。
【0065】
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給しても達成可能である。すなわち、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0066】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性の半導体メモリカード、ROMなどを用いることができる。また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現される場合もある。
【0067】
しかし、さらにそのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0068】
さらに、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれる場合もあり得る。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態におけるコピーピクチャを説明する図である。
【図3】本発明の実施形態におけるスチル再生の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態におけるスタッフィングのサイズを示す図である。
【図5】本発明の実施形態におけるスロー再生の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態における2−3プルダウンのビットストリームを示す図である。
【図7】同じく、2−3プルダウンのビットストリームへのコピーピクチャ挿入を示す図である。
【図8】同じく、2−3−3−2プルダウンのビットストリームを示す図である。
【図9】同じく、2−3−3−2プルダウンのビットストリームへのコピーピクチャ挿入を示す図である。
【図10】本発明の実施形態におけるミュートデータ置換の動作を示すフローチャートである。
【図11】同じく、ミュートデータ置換の出力イメージを示す図である。
【図12】同じく、ミュートデータ挿入の動作を示すフローチャートである。
【図13】同じく、ミュートデータ置換とミュートデータ挿入の出力イメージを示す図である。
【図14】同じく、ミュートデータ挿入の動作を示すフローチャートである。
【図15】同じく、ミュートデータ置換とミュートデータ挿入の出力イメージを示す図である。
【図16】本発明の実施形態におけるオーディオ破棄の動作を示すフローチャートである。
【図17】同じく、オーディオ破棄の出力イメージを示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に記録されたMPEG(Moving Picture Experts Group)ビデオ信号を読出したあとで、再び記録する場合に適用される画像情報伝送装置、画像情報伝送システム、画像情報伝送方法、プログラム及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IEEE1394等のデジタルインターフェースを介して記録媒体に記録されたMPEGストリームを読出して出力し、外部の他の記録装置に記録、あるいは再生装置によって復号して表示することが行われている。
【0003】
MPEGストリームに対し、スロー、スチル、コマ送り等の特殊再生をして伝送する場合、ISO/IEC13818−1 システムストリームのヘッダ情報を送ることで実現可能とされている。具体的には、PES(Packetized Elementary Stream) パケットのヘッダ情報内の DSM_trick_mode フィールド(DSM:Digital Storage Media)に特殊再生に関する情報を記述する。
【0004】
しかし、PESパケットのヘッダ情報の DSM_trick_mode に対応していないデコーダが多数存在する。このため、既存のデコーダでも対応可能なMPEGストリームの特殊再生をデジタルインターフェースに出力する方法が提案されている。例えば、コピーピクチャを生成して出力するとともに、復号器の仮想入力バッファの蓄積量を示すデータを無効化する方法(特許文献1、特許文献2)が提案されている。さらに、符号化データを一旦復号後、再符号化して送出を行う方法(特許文献3)も提案されている。
【特許文献1】特開2002−77815号公報
【特許文献2】特開2003−101961号公報
【特許文献3】特開2001−28748号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1及び特許文献2に開示された装置では、復号器の仮想入力バッファの蓄積量を示すデータを無効化するため、出力先の復号器を破綻させる恐れがある。また、伝送する符号化データが画像データと音声データとの多重化されたデータであった場合、コピーピクチャの挿入により受信装置側で音声データの途切れが発生する。
【0006】
また、特許文献3に開示された再生伝送装置では、再生伝送装置にさらに別の符号器が必要となり、コスト及び消費電力が増大する。
【0007】
さらにまた、特許文献3に開示された再生伝送装置では、Bピクチャ及びPピクチャの置き換えが発生するため、再生伝送装置と受信装置でフレームの切替え頻度が著しく異なり、受信装置で良好な特殊再生画像を得ることができない。また、伝送する符号化データが画像データと音声データとが多重化されたものでる場合、特許文献1及び特許文献2に開示された装置と同様に、受信装置で音声データの不当な途切れが発生する。
【0008】
さらにまた、特許文献3に開示された再生伝送装置では、ダミーパケット情報またはDIT情報を受け取った場合の復号動作、及び記録媒体への記録動作に明確な規定がなく、受信装置毎に動作が異なるため、特殊再生画像を受信装置が得られる保証がない。また、伝送する符号化データが画像データと音声データとが多重化されたものである場合、特許文献1の装置と同様に、受信装置で音声データの途切れが発生する。
【0009】
したがって本発明の目的は、既存の復号器によって復号可能な形態で、特殊再生用のデータを出力することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明における実施形態の画像情報伝送装置は、フレーム毎に、フレーム内符号化またはフレーム間予測符号化により符号化された符号化画像ストリームを記録媒体から再生する再生手段と、
前記符号化画像ストリームを通常再生速度よりも遅い速度にて再生する特殊再生モードを指示する指示手段と、
前記指示手段による指示に応じて、前記再生手段により再生された符号化画像ストリームにおける各フレームの表示タイミングを規定するタイミング制御データを変更する変更手段と、
直前の画像データと同一の画像データの表示を指示するデータであるコピーピクチャデータを生成するコピーピクチャ生成手段と、
前記符号化画像ストリームを復号する復号器の仮想入力バッファの蓄積量を制御ためのスタッフィングデータを生成するスタッフィング生成手段と、
前記指示手段による指示に応じて、前記変更手段より出力された符号化画像ストリームに対し、前記コピーピクチャデータと前記スタッフィングデータとを挿入して出力する出力制御手段と、を備える、ことを特徴とする。
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明における他の実施形態の画像情報伝送方法は、
フレーム毎に、フレーム内符号化またはフレーム間予測符号化により符号化された符号化画像ストリームを記録媒体から再生する再生工程と、
前記符号化画像ストリームを通常再生速度よりも遅い速度にて再生する特殊再生モードを指示する指示工程と、
前記指示工程による指示に応じて、前記再生工程で再生された符号化画像ストリームにおける各フレームの表示タイミングを規定するタイミング制御データを変更する変更工程と、
直前の画像データと同一の画像データの表示を指示するデータであるコピーピクチャデータを生成するコピーピクチャ生成工程と、
前記符号化画像ストリームを復号する復号器の仮想入力バッファの蓄積量を制御ためのスタッフィングデータを生成するスタッフィング生成工程と、
前記指示工程における指示に応じて、前記変更工程で出力された符号化画像ストリームに対し、前記コピーピクチャデータと前記スタッフィングデータとを挿入して出力する出力制御工程と、を備える、ことを特徴とする。
【0012】
上記の目的を達成するため、本発明におけるさらに他の実施形態の画像情報伝送方法は、フレーム内符号化ピクチャと、順方向予測符号化ピクチャ及び両方向予測符号化ピクチャの少なくともいずれか1つを含む符号化ビットストリームを蓄積する蓄積工程と、
指定された特殊再生動作に対応する出力モードで前記符号化ビットストリームを出力するように制御する出力制御工程と、
前記符号化ビットストリームの符号化ビデオビットストリームのピクチャの表示タイミングを規定する制御データを書き換える第1書き換え工程と、
直前の画像データと同一の画像データの表示を指示するデータであるコピーピクチャを生成するコピーピクチャ生成工程と、
前記符号化ビットストリームの符号化オーディオビットストリームの出音を規定する制御データを、前記コピーピクチャの出力枚数に基づいて書き換える第2書き換え工程と、を備え、
それぞれの前記制御データが書き換えられた符号化ビットストリームおよびコピーピクチャを前記出力制御工程の制御に従って出力する、ことを特徴とする。
【0013】
上記の目的を達成するため、本発明におけるさらに他の実施形態の画像情報伝送方法は、フレーム内符号化ピクチャであるIピクチャ、順方向予測符号化ピクチャであるPピクチャ、及び両方向予測符号化ピクチャであるBピクチャのすくなくともいずれか1つを含む符号化ビットストリームを蓄積する蓄積工程と、
指定された特殊再生動作に対応する出力モードで前記符号化ビットストリームを出力するように制御する出力制御工程と、
前記符号化ビットストリームに関して、ピクチャの表示タイミングを規定する制御データを書き換える書き換え工程と、
直前の画像データと同一の画像データを表示することを指示するデータであるコピーピクチャを生成するコピーピクチャ生成工程と、を備え、
前記制御データが書き換えられた前記符号化ビットストリームのピクチャと、前記コピーピクチャを前記出力制御工程の制御に従って出力するとともに、
前記符号化ビットストリームが、音声データと画像データを多重化したものであった場合、前記音声データ及び前記音声データに関する制御用の情報を破棄し、画像データのみの符号化ビットストリームとして出力する、ことを特徴とする。
【0014】
上記の目的を達成するため、本発明におけるさらに他の実施形態のプログラムは、前記実施形態に記載された画像情報伝送方法の手順をコンピュータに実行させる。
【0015】
上記の目的を達成するため、本発明におけるさらに他の実施形態の記憶媒体は、前記実施形態に記載された画像情報伝送方法の手順をコンピュータに実行させるためのプログラムを記憶する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の装置によれば、既存の復号器によって復号可能な形態で、特殊再生用のデータを出力することが可能となる。具体的には、スチル再生、スロー再生、コマ送り再生等の特殊再生用のビットストリームを出力することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
<実施形態1>
以下、この発明の実施形態1について説明する。本発明の第1の実施形態においては、MPEG規格に従って符号化された画像データを記録媒体から再生する。そして再生されたMPEGストリームをIEEE1394等のディジタルインターフェースで伝送可能な形態に変換して出力する。なお、IEEE1394上のMPEGストリームの形式は、トランスポートストリーム(以下TSとする)とする。また、本実施形態で実装する特殊再生動作モードは、スチル再生、スロー再生の2つである。また、MPEGストリームは、Repeat_Frist_Field (以下、RFとする) /Top_Field_First (以下、TFとする)が全フレーム共通な60i形式であるものとする。尚、60i形式は、フレームレート:30/1.001Hz、およびインターレスの形式を意味する。
【0018】
図1は、第1の実施形態における画像情報伝送装置の構成を全体的に示す。伝送装置120と表示装置121はIEEE1394インターフェースを介して接続されている。そして、伝送装置120からTS形式で送信されたMPEGデータを、表示装置121で受信し、再生し、表示できるよう構成される。
【0019】
伝送装置120は、再生対象となるMPEGデータを保存している記憶媒体100と、記憶媒体から取得したMPEGデータを一時保存するメモリ101を有する。さらに、取得したMPEGデータが多重化されていた場合、エレメンタリ−ストリーム(以下ESとする)に変換するデマルチプレクサ102を有する。さらに、ビデオESを復号するビデオデコーダ103と、復号されたビデオ信号を表示するモニタ104とを有する。
【0020】
また、オーディオESを復号するオーディオデコーダ105と、復号されたオーディオ信号を出力するスピーカ106を有する。さらに、ビデオESのヘッダ解析を及び書換えを行うビデオ解析・書換部107と、オーディオESのヘッダ解析を及び書換えを行うオーディオ解析・書換部108を有する。また、直前の画像データと同一の画像データを表示することを指示するデータであるコピーピクチャを発生するコピーピクチャ発生部109と、Nullデータであるスタッフィングを発生するスタッフィング発生部110とを有する。さらに、無音オーディオデータを発生するミュート発生部111と、ビデオES及びオーディオESを多重化してTSパケットを生成するTSマルチプレクサ112を有する。また、IEEE1394インターフェース制御部である113と、図示しないプログラム用のメモリ、プロセッサ、ユーザインターフェース等も有している。
【0021】
一方表示装置121は、IEEE1394インターフェース制御部である114と、TSパケットからビデオおよびオーデイオESを生成するTSデマルチプレクサ115と、ビデオESを復号するビデオデコーダ116を有する。さらに、復号されたビデオ信号を表示するモニタ117と、オーディオESを復号するオーディオデコーダ118と、復号されたオーディオ信号を出力するスピーカ119を有する。また、図示しないプログラム用のメモリ、プロセッサ、ユーザインターフェース等も含まれる。
【0022】
伝送装置120に再生動作を要求すると、記憶媒体100から出力されるMPEG形式で符号化されたビデオ信号及びオーディオ信号を、一旦メモリ101に蓄積する。メモリ101に蓄積されるMPEGビデオ信号はTS形式やPS形式、あるいは多重化されていないES形式のいずれでも良い。
【0023】
メモリ101に蓄積された符号化データを取り出す際、符号化データが多重化されていた場合は、デマルチプレクサ102によりビデオES及びオーディオESへ分離して変換される。そして、ビデオデコーダ103及びオーディオデコーダ105により復号され、モニタ104及びスピーカ106へ出力される。
【0024】
IEEE1394上のストリーム形式はTS形式なので、メモリ101に記録されていたMPEGストリームをIEEE1394で出力する場合には、デマルチプレクサ102でES形式にしたビデオES及びオーディオESの情報の書き換えを行う。
【0025】
すなわち、必要に応じて、ビデオヘッダ解析・書換部107及びオーディオヘッダ解析・書換部108を用いて Decoding Time Stamp(以下、DTSとする)や、Presentation Time Stamp(以下、PTSとする)、TF、RF等の情報の書換えを行う。
【0026】
特殊再生動作中であれば、ビデオESに対し、コピーピクチャ発生部109及びスタッフィング発生部110で発生させたコピーピクチャ及びスタッフィングを、ビデオESの各ピクチャ間に挿入する。次にTSマルチプレクサ112でTS形式に多重化し、TSマルチプレクサ112の結果を外部インターフェース113を介して出力する。
【0027】
表示装置121は、伝送装置120からインターフェース制御部114を介してTSパケットを受け取ると、TSデマルチプレクサ115によりビデオES及びオーディオESへ分離し変換する。そして、得られたビデオES及びオーディオは、ESビデオデコーダ116及びオーディオデコーダ118により復号され、モニタ117及びスピーカ119へ出力される。以上が通常の動作となる。
【0028】
次に特殊再生MPEGストリームに用いるコピーピクチャについて説明する。コピーピクチャの例として、以下の2つを挙げる。
【0029】
第一の例は、図2に示す構造をもったPピクチャである。図2の一つのブロックがマクロブロック(以下MBとする)を示している。スライスの両端のマクロブロックは、MPEGの規定により省略できない。そのため、macroblock_type を MC、NotCoded(MBアドレス情報と、(0、0)の動きベクトルを伝送し、DCT係数を伝送しないMB)としたマクロブロックにし、他は全てスキップドマクロブロック(以下SMBとする)とする。コピーピクチャであるこのPピクチャを受け取ったデコーダは、直前のピクチャと同じピクチャであるビデオ信号を出力する。コピーピクチャであるこのPピクチャは、大部分が固定的なデータである。そのため、予めROM等に保存しておいたデータを読み出し、利用しても良いし、ビットストリーム中にあるシーケンスヘッダを解析して画枠を調べ、その画枠にあったPピクチャを生成して利用してもよい。
【0030】
第二の例は、直前のピクチャがBピクチャであった場合、直前のBピクチャを複製したものとする。直前のBピクチャを複数回送ることによって、外部の表示装置121において同じビデオ信号を何度も表示することができる。
【0031】
実際のコピーピクチャの生成においては、IピクチャおよびPピクチャに対しては第一の例を用いる必要があるが、Bピクチャについては第一及び第二の例のいずれを用いても構わない。本実施形態では、Bピクチャに対し、第二の例のコピーピクチャを用いる場合で説明する。
【0032】
次に特殊再生動作の一つであるスチル再生について図3を用いて説明する。通常再生の場合、ステップS301において、記憶媒体100から読み出したMPEGデータのピクチャをバッファ上に一枚読み出す。ステップS302において、スチル再生が選択されていない場合、ステップS303へ進む。ステップS303において、バッファ上のピクチャのシステム情報であるDTSやPTSを、最後に送出したピクチャとの整合性がとれるように変更し、ステップS304で表示装置121に送出する。送出後はステップS301へと戻り、これを繰り返すことで、表示装置121で通常再生を得ることができる。
【0033】
ユーザからの指示でスチル再生を要求された場合、ステップS302の判定からステップS305へと進む。ステップS305において、最後に送出したピクチャがI、BまたはPのいずれのピクチャであったかを判定する。そして、Bピクチャであった場合はステップS306へ進む。しかし、Bピクチャ以外であった場合はステップS307へ進み、図2で説明したBピクチャ、またはPピクチャ形式のコピーピクチャを用意する。ステップS306及びステップS307で用意したコピーピクチャに対し、ステップS308において、最後に送出したピクチャと整合性のとれるようDTSやPTS等のヘッダ情報の変更を行い、ステップS309で表示装置121に送出する。次に、ステップS310において、送出したコピーピクチャに対するスタッフィングのサイズを計算する。スタッフィングのサイズは、スタッフィングが挿入されるまでにコピーピクチャ挿入により発生した、仮想入力バッファ(VBVバッファ)の蓄積量のずれを調整するサイズとなる。これは、次式で求められる。
(スタッフィングデータサイズ)=
(ビデオESのビットレート)×(フレームレート)×
(挿入したコピーピクチャの枚数)−
(挿入したコピーピクチャのデータサイズの総和)
図4はスタッフィングのサイズを示す図である。図4の(A)は通常の再生時、(B)は、コピーピクチャとスタッフィングが1:1の場合、(C)はコピーピクチャとスタッフィングが2:1の場合、(D)はコピーピクチャとスタッフィングが4:1の場合をそれぞれ示す。
【0034】
したがって、ステップS311において、ステップS310で計算したサイズに基づいたスタッフィングを生成し、ステップS312において表示装置121に送出する。さらに、ステップS313において、スチル再生の要求が解除されたかを判定する。そして、解除されていればステップS301へ戻り、通常再生動作へ移る。しかしながら、解除されていなければ、ステップS305へと戻り、スチル再生動作を続けることになる。
【0035】
図3に示すフローチャートでは、1フレームのコピーピクチャを挿入する度にスタッフィングデータを挿入していた。しかし、nフレームのコピーピクチャを挿入する度にスタッフィングデータを挿入する構成でも構わない。この場合、一般に、nの値が増えるほど、1回に挿入するスタッフィングデータのサイズが増えることになる。また、あまりnの値が大きくなると、コピーピクチャの蓄積による仮想バッファのデータ量と目標値との差が大きくなるため、nの値はスチル再生開始時における加増バッファの蓄積データ量によって適宜決めることが好ましい。
【0036】
スチル再生から通常再生への移行する場合、再生画像が乱れないよう、復号器の仮想入力バッファの蓄積量をスタッフィングで調整する必要がある。そのため、nフレームを単位としてスチル再生から通常再生に移行するとする。したがって、nフレームより短い期間にユーザからスチル再生解除を要求されても、内部的に解除時間を遅延して、スタッフィングの入るnフレームまでは解除しない。n対1で行う場合は、ステップS305乃至ステップS309をn回ループした後、ステップS310へ進む。以上を繰り返すことで、表示装置121はスチル再生画像を得ることができる。
【0037】
次にスロー再生の一例として、1/3倍速スロー再生(通常ピクチャ1枚送出につき、コピーピクチャを2枚送出)について図5のフローチャートを用いて説明する。通常再生の場合、ステップS501において記憶媒体100から読み出したMPEGデータのピクチャをバッファ上に一枚読み出す。ステップS502において、バッファ上のピクチャのヘッダ情報であるDTSやPTSを、最後に送出したピクチャとの整合性がとれるように変更を行い、ステップS503で表示装置121に送出する。ステップS504においてスロー再生が選択されていない場合、送出後はステップS501へと戻り、これを繰り返すことで、表示装置121で通常再生を得ることができる。
【0038】
ユーザからの指示でスロー再生を要求された場合、ステップS504の判定からステップS505へと進む。先ずステップS505において、コピーピクチャを何枚送出したかを示すカウンタmを初期化する。ステップS506において、MPEGの実ビデオデータ1ピクチャの送出につき、コピーピクチャを2枚送出済であるかを判定する。そして、送出済であればステップS501へと戻り、送出していなければステップS507へ進む。
【0039】
ステップS507は、図3で説明したスチル再生のフローチャートにおけるステップS305乃至S312までと同じであるので、説明は省略する。コピーピクチャとスタッフィングの挿入比率nはm(=3)未満の自然数であるので、mが3の場合、1または2である。ステップS508において、コピーピクチャの挿入枚数カウンタであるmに、コピーピクチャとスタッフィングの挿入比率nを加えて、コピーピクチャの挿入枚数カウンタを更新し、ステップS506へ戻る。以上を繰り返すことで、表示装置121でスロー再生を得ることができる。
【0040】
また、スロー再生時においても、スタッフィングデータのサイズの算出方法は前述のスチル再生時と同様である。なお、スロー再生時においては、コピーピクチャの挿入フレーム数mはスロー再生時における再生速度によって決まる。従って、スタッフィングデータを挿入するフレーム数nはm以下となる。
【0041】
次に、コマ送り再生についてであるが、コマ送り再生は、内部的には通常再生で1フレーム送る毎に、スチル再生を繰り返すことで実現する。詳細はスチル再生と同じなので省略する。
【0042】
オーディオのミュート化は実施しても、しなくても良い。オーディオのミュート化を実施する場合のミュート方法については後述(実施形態4以降)で説明する。
【0043】
<実施形態2>
実施形態1では、MPEGデータが60iなどRF/TFが同じフレームが連続するものについて説明したが、実施形態2ではRF/TFがフレーム毎に異なる、2−3プルダウンされたものについて説明する。
【0044】
図6に2−3プルダウンされたビデオストリームの一例を示す。2−3プルダウンされたビデオストリームは、RF/TFが表示順で{RF,TF} = {1,1}、{0,0}、{0,1}、{1,0}の4種類のフレームを繰り返す構成である。以下、説明のため、上記4種類のフレームを順に Frame 1、Frame 2、Frame 3、Frame 4 と記述する。
【0045】
特殊再生動作時、この4種類のフレームのシーケンスを守る為、コピーピクチャの挿入は4枚単位で行い、特殊再生動作から通常再生動作への移行も、この4枚単位出力が終わるまで内部的に遅延する。
【0046】
具体的なコピーピクチャの生成および挿入は、表示順で最後に出力したピクチャが
Frame 0 であった場合、Frame 1 → Frame 2 → Frame 3 → Frame 0
Frame 1 であった場合、Frame 2 → Frame 3 → Frame 0 → Frame 1
Frame 2 であった場合、Frame 3 → Frame 0 → Frame 1 → Frame 2
Frame 3 であった場合、Frame 0 → Frame 1 → Frame 2 → Frame 3
の順でコピーピクチャを4枚単位で挿入する。
【0047】
特殊再生から通常再生への移行が(4×x)毎単位の移行であるため、コピーピクチャとスタッフィングの挿入関係nは、4×xの約数であれば、いずれでもあっても構わない。(x=1[コピーピクチャ挿入単位=4毎]の場合、スタッフィングの挿入はコピーピクチャ1、2、4毎である。)
図7は、x=1である場合の、コピーピクチャの挿入の一例を示したものである。
【0048】
特殊再生動作時の具体的な動作は、実施形態1と同じであるため省略するが、スロー再生に対応する場合の再生速度は1/(4×x+1)倍速である。
【0049】
<実施形態3>
実施形態2では、2−3プルダウンされたものについて説明したが、実施形態3では2−3−3−2プルダウンされたものについて説明する。
【0050】
図8に2−3−3−2プルダウンされたビデオストリームの一例を示す。2−3−3−2プルダウンされたビデオストリームは、RF/TFが表示順で {RF,TF} = {0,1}、{1,1}、{1,0}、{0,1}の4種類のフレームを繰り返す構成である。以下、説明のため、上記4種類のフレームを順に Frame 0、Frame 1、Frame 2、Frame 3 と記述する。
【0051】
特殊再生動作時、この4種類のフレームのシーケンスを守る為、コピーピクチャの挿入は4枚単位で行い、特殊再生動作から通常再生動作への移行も、この4枚単位出力が終わるまで内部的に遅延する。
【0052】
具体的なコピーピクチャの生成・挿入は、表示順で最後に出力したピクチャが
Frame 0 であった場合、Frame 1 → Frame 2 → Frame 3 → Frame 0
Frame 1 であった場合、Frame 2 → Frame 3 → Frame 0 → Frame 1
Frame 2 であった場合、Frame 3 → Frame 0 → Frame 1 → Frame 2
Frame 3 であった場合、Frame 0 → Frame 1 → Frame 2 → Frame 3
の順でコピーピクチャを4枚単位で挿入する。
【0053】
特殊再生から通常再生への移行が(4×x)毎単位の移行であるため、コピーピクチャとスタッフィングの挿入関係nは、4×xの約数であれば、いずれでもあっても構わない。(x=1[コピーピクチャ挿入単位=4毎]の場合、スタッフィングの挿入はコピーピクチャ1、2、4毎である。)
図9は、x=1である場合の、コピーピクチャの挿入の一例を示したものである。特殊再生動作時の具体的な動作は、実施形態1および実施形態2と同じであるため省略するが、スロー再生に対応する場合の再生速度は1/(4×x+1)倍速である。
【0054】
<実施形態4>
実施形態1、2および3では、ビデオストリームについて説明してきたが、実施形態4ではオーディオのミュート化について説明する。なお、ビデオストリームに対する処理は、実施形態1、2および3と同じであるため、省略する。
【0055】
オーディオミュート化動作について図10の処理フローチャート及び、図11の出力ストリームイメージを用いて説明する。通常再生の場合、(図11のA)ステップS1001において、PTS等のヘッダ情報の変更を行う。PTSの変更については、ビデオストリームのPTSの変更により得られる、実ストリームのPTSと出力ストリームのPTSの差分値を、オーディオストリームのPTSへ加算することで実行される。(図11の(B))次にステップS1002において特殊再生中のオーディオデータであるか否かの判定を行う。具体的な判定方法は、特殊再生中のビデオストリームのPTSを取得し、
(1)特殊再生開始ビデオストリームのPTS以降のPTSを持つオーディオデータ
(2)特殊再生終了ビデオストリームのPTS以前のPTSを持つオーディオデータ
の2つを満たすものを特殊再生中のオーディオデータと判断する(図11のB)。通常再生の場合は、該当するオーディオデータがないため、ステップS1004へ進む。次にステップS1004でオーディオの出力を行う。これを繰り返し行うことで、通常再生時のオーディオの出力を行う。
【0056】
次に、スチル再生、コマ送り再生、スロー再生等の特殊再生時動作について説明する。ステップS1002で特殊再生中のオーディオデータと判断された場合、ステップS1003でミュートデータと置換する(図11のC)。ミュートデータは、無音をサンプリング周波数でサンプリングし、所定の形式で符号化したものである。サンプリング周波数が不定であれば、その都度生成しても良いが、サンプリング周波数が特定可能であれば、ミュートデータは固定的なデータとなるため、予めROM等に用意したものを利用しても良い。ミュートデータ置換後の動作はステップS1004から通常再生時と同じなので省略する。以上を繰り返し行うことで、ミュート化を実現する。
【0057】
<実施形態5>
実施形態4では、ビデオストリームについて説明してきたが、実施形態5ではオーディオのミュートデータの簡易的な挿入について説明する。ビデオストリームに対する処理は、実施形態1乃至3と同じであるため、省略する。また、オーディオのミュート化については実施形態4と同じであるため、省略する。
【0058】
オーディオミュートデータ挿入動作について図12の処理フローチャート及び、図13の出力ストリームイメージを用いて説明する。まずステップS1201で、オーディオのPTSを、実施形態4で説明した、コピーピクチャ挿入に基づく差分値の変更を行う。次にステップS1202においてオーディオの不足を確認する。オーディオの不足を確認する具体的な方法は次の通りである。オーディオESから当該オーディオ符号化単位であるオーディオアクセスユニット(以下、AAUと記述)のPTS間隔を得る。AAUから前述のPTS間隔を隔てた範囲以内のPTSを持つAAUがなければ、不足と判断し、ステップS1203へ進む。そうでない場合はステップS1205へ進む。ステップS1203において、ミュートデータを挿入する(図13のB)。実施形態4と同様に、ミュートデータは、無音をサンプリング周波数でサンプリングし、所定の形式で符号化したものである。サンプリング周波数が不定であれば、その都度生成しても良いが、サンプリング周波数が特定可能であれば、予めROM等に用意しておいても良い。ミュートデータを挿入するとステップS1204へ進む。そして、前述のオーディオAAUのPTSから、AAU分PTSを加算した値でPTSを変更し(図13のC)、ステップS1205へ進む。ステップS1205においてオーディオの出力を行う。以上を繰り返し行うことで、1AAU未満の不連続を含むミュートオーディオの生成を行う。
【0059】
<実施形態6>
実施形態5では、簡易的なミュートデータの挿入について説明したが、実施形態6ではミュートデータ挿入とシステム情報更新による連続的なミュートオーディオ生成について説明する。ビデオストリームに対する処理は及びオーディオのミュート化については実施形態5と同じであるため、省略する。
【0060】
オーディオミュート挿入動作について図14の処理フローチャート及び、図15の出力ストリームイメージを用いて説明する。まずステップS1401でオーディオのPTSを、実施形態4および5と同様に、コピーピクチャ挿入に基づく差分値の変更を行う(図15のA)。次にステップS1402においてオーディオの連続性を確認する。オーディオの連続性を確認する具体的な方法は次の通りである。オーディオESから当該オーディオ符号化単位であるAAUのPTS間隔を得る。AAUから前述のPTS間隔を隔てた位置のPTSを持つAAUがなければ、連続性なしと判断し、ステップS1403へ進む。連続性がありと判断される場合は、S1408へ進み、オーディオデータの出力を行う。
【0061】
ステップS1402で連続性なしと判断し、ステップS1403において、ミュートデータを挿入する。ミュートデータの挿入については実施形態5と同じなので省略する。次にステップS1404において、挿入したPTSから1AAU以内のPTSを持つAAUがあるかないかを判定し、ない場合はステップS1403に戻り、再度ミュートを挿入する。しかしある場合は、そこでミュートの挿入をやめ、ステップS1405へ進む(図15のB)。次にステップS1405において、ミュートデータ挿入によるPTSの変更を行うが、ステップS1406において、変更の範囲が1AAUの範囲を超えた場合、ミュートデータ挿入オーバーによるオーディオとビデオの同期ズレが発生する。したがって、ステップS1407において直前のミュートデータを削除し、再度S1406においてPTSの変更を行う(図15のC)。以上を繰り返し行うことで、連続的なミュートオーディオの生成を行う(図15のD)。
【0062】
<実施形態7>
実施形態4乃至6では、オーディオのミュート化に関する説明を行ってきたが、実施形態7では、特殊再生動作におけるオーディオの破棄について説明する。ビデオストリームに対する処理は、実施形態1乃至3と同じであるため、省略する。
【0063】
オーディオ破棄について次にオーディオミュート挿入動作について図16の処理フローチャート及び、図17の出力ストリームイメージを用いて説明する。ステップS1601において特殊再生が選択されていない場合、ステップS1603へ進む。ステップS1603において、PTS等のヘッダ情報の変更を行う。PTSの変更については、ビデオストリームのPTSの変更で得られる、実ストリームのPTSと出力ストリームのPTSの差分値を、オーディオストリームのPTSへ加算することで実施する。次にステップS1604でオーディオの出力を行う。これを繰り返し行うことで、通常再生時のオーディオの出力を行う。
【0064】
次に、スチル再生、コマ送り再生、スロー再生などの特殊再生時動作について説明する。ステップS1601で特殊再生と判断された場合、ステップS1602へ進む。ステップS1602において、特殊再生動作中のオーディオを破棄する(図17のB)。特殊動作中のオーディオデータを判断する具体的な方法は次の通りである。バッファ中に入っているビデオストリームに対し、特殊再生動作時に出力するフレームを確認する。次に、前記フレームのPTSに相当する区間のPTSを持つAAUを選択し、これを破棄の対象とする(図17のC)。以上を繰り返し行うことで、オーディオ破棄を実現する。
【0065】
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給しても達成可能である。すなわち、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0066】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性の半導体メモリカード、ROMなどを用いることができる。また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現される場合もある。
【0067】
しかし、さらにそのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0068】
さらに、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれる場合もあり得る。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態におけるコピーピクチャを説明する図である。
【図3】本発明の実施形態におけるスチル再生の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態におけるスタッフィングのサイズを示す図である。
【図5】本発明の実施形態におけるスロー再生の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態における2−3プルダウンのビットストリームを示す図である。
【図7】同じく、2−3プルダウンのビットストリームへのコピーピクチャ挿入を示す図である。
【図8】同じく、2−3−3−2プルダウンのビットストリームを示す図である。
【図9】同じく、2−3−3−2プルダウンのビットストリームへのコピーピクチャ挿入を示す図である。
【図10】本発明の実施形態におけるミュートデータ置換の動作を示すフローチャートである。
【図11】同じく、ミュートデータ置換の出力イメージを示す図である。
【図12】同じく、ミュートデータ挿入の動作を示すフローチャートである。
【図13】同じく、ミュートデータ置換とミュートデータ挿入の出力イメージを示す図である。
【図14】同じく、ミュートデータ挿入の動作を示すフローチャートである。
【図15】同じく、ミュートデータ置換とミュートデータ挿入の出力イメージを示す図である。
【図16】本発明の実施形態におけるオーディオ破棄の動作を示すフローチャートである。
【図17】同じく、オーディオ破棄の出力イメージを示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム毎に、フレーム内符号化またはフレーム間予測符号化により符号化された符号化画像ストリームを記録媒体から再生する再生手段と、
前記符号化画像ストリームを通常再生速度よりも遅い速度にて再生する特殊再生モードを指示する指示手段と、
前記指示手段による指示に応じて、前記再生手段により再生された符号化画像ストリームにおける各フレームの表示タイミングを規定するタイミング制御データを変更する変更手段と、
直前の画像データと同一の画像データの表示を指示するデータであるコピーピクチャデータを生成するコピーピクチャ生成手段と、
前記符号化画像ストリームを復号する復号器の仮想入力バッファの蓄積量を制御ためのスタッフィングデータを生成するスタッフィング生成手段と、
前記指示手段による指示に応じて、前記変更手段より出力された符号化画像ストリームに対し、前記コピーピクチャデータと前記スタッフィングデータとを挿入して出力する出力制御手段と、を備える、ことを特徴とする画像情報伝送装置。
【請求項2】
前記出力手段は、前記コピーピクチャデータをn(nは1以上の整数)フレーム分挿入する毎に前記スタッフィングデータを出力し、
前記スタッフィング生成手段は、前記符号化画像ストリームのデータレートと前記nの値、及び、前記nフレーム分のコピーピクチャデータのデータ量に応じて前記スタッフィングデータのサイズを決定する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像情報伝送装置。
【請求項3】
前記特殊再生モードは、スチル再生モード及びスロー再生モードのうちの少なくとも一つを含む、ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像情報伝送装置。
【請求項4】
前記特殊再生モードはスロー再生モードであり、前記nの値は前記スロー再生モードにおける再生速度に応じて決定される、ことを特徴とする請求項2に記載の画像情報伝送装置。
【請求項5】
前記符号化画像ストリームは、2−3プルダウンまたは2−3−3−2プルダウンされた30フレーム/秒のインタレース形式であり、
前記出力制御手段は、前記コピーピクチャデータを2フレーム挿入する毎に前記スタッフィングデータを挿入する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像情報伝送装置。
【請求項6】
前記符号化画像ストリームは、2−3プルダウンまたは2−3−3−2プルダウンされた30フレーム/秒のインタレース形式であり、
前記出力制御手段は、前記コピーピクチャを4フレーム挿入する毎に前記スタッフィングデータを挿入する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像情報伝送装置。
【請求項7】
前記符号化画像ストリームは、2−3プルダウンされた30フレーム/秒のインタレース形式であり、
前記コピーピクチャ生成手段は、前記コピーピクチャの Top_Field_First 及び Repeat_ First_ Field の値が、直前に出力したフレームの Top_Field_First 及び Repeat_ First_ Field の値に対し、2−3プルダウンの関係を維持するように生成する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像情報伝送装置。
【請求項8】
前記符号化画像ストリームは、2−3−3−2プルダウンされた30フレーム/秒のインタレース形式であり、
前記コピーピクチャ生成手段は、前記コピーピクチャの Top_Field_First 及び Repeat_ First_ Field の値が、直前に出力したフレームの Top_Field_First 及び Repeat_ First_ Field の値に対し、2−3−3−2プルダウンの関係を維持するように生成して出力する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像情報伝送装置。
【請求項9】
前記符号化画像ストリームは、2−3プルダウンまたは2−3−3−2プルダウンされた30フレーム/秒のインタレース形式であり、
前記nが4の倍数である、ことを特徴とする請求項1に記載の画像情報伝送装置。
【請求項10】
前記符号化画像ストリームは符号化音声データを含み、
前記書き換え手段は更に、前記指示手段による指示に応じて、前記符号化画像ストリームにおける前記符号化音声データの出音を規定する音声制御データを書き換える、ことを特徴とする請求項1記載の画像情報伝送装置。
【請求項11】
前記の符号化ビットストリーム内の符号化音声データを符号化無音音声データと置換して出力する、ことを特徴とする請求項10に記載の画像情報伝送装置。
【請求項12】
前記符号化オーディオビットストリームの不連続個所に符号化無音音声データを挿入して出力する、ことを特徴とする請求項10に記載の画像情報伝送装置。
【請求項13】
前記符号化オーディオビットストリームの不連続個所への前記符号化無音音声データの挿入に対応させて、前記符号化オーディオビットストリームの出音を規定する前記制御データを書き換える、ことを特徴とする請求項12に記載の画像情報伝送装置。
【請求項14】
前記符号化画像ストリームは符号化された音声データを含み、
前記出力制御手段は、前記指示手段による指示に応じて、前記変更手段より出力された符号化画像ストリーム中の前記符号化音声データ及び前記符号化音声データに関する制御用の情報を破棄すると共に、前記符号化音声データ及び前記符号化音声データに関する制御用の情報が破棄された符号化画像ストリームに対し、前記コピーピクチャデータと前記スタッフィングデータとを挿入して出力する、ことを特徴とする請求項1記載の画像情報伝送装置。
【請求項15】
フレーム毎に、フレーム内符号化またはフレーム間予測符号化により符号化された符号化画像ストリームを記録媒体から再生する再生工程と、
前記符号化画像ストリームを通常再生速度よりも遅い速度にて再生する特殊再生モードを指示する指示工程と、
前記指示工程による指示に応じて、前記再生工程で再生された符号化画像ストリームにおける各フレームの表示タイミングを規定するタイミング制御データを変更する変更工程と、
直前の画像データと同一の画像データの表示を指示するデータであるコピーピクチャデータを生成するコピーピクチャ生成工程と、
前記符号化画像ストリームを復号する復号器の仮想入力バッファの蓄積量を制御ためのスタッフィングデータを生成するスタッフィング生成工程と、
前記指示工程における指示に応じて、前記変更工程で出力された符号化画像ストリームに対し、前記コピーピクチャデータと前記スタッフィングデータとを挿入して出力する出力制御工程と、を備える、ことを特徴とする画像情報伝送方法。
【請求項16】
フレーム内符号化ピクチャ、順方向予測符号化ピクチャ、及び両方向予測符号化ピクチャの少なくともいずれか1つを含む符号化ビットストリームを蓄積する蓄積工程と、
指定された特殊再生動作に対応する出力モードで前記符号化ビットストリームを出力するように制御する出力制御工程と、
前記符号化ビットストリームのピクチャの表示タイミングを規定する制御データを書き換える書き換え工程と、
直前の画像データと同一の画像データの表示を指示するデータであるコピーピクチャを生成するコピーピクチャ生成工程と、
復号器の仮想入力バッファの蓄積量を制御する Null データであるスタッフィングを生成するスタッフィング生成工程と、を備え、
前記制御データが書き換えられた前記符号化ビットストリームのピクチャ、前記コピーピクチャ、および前記スタッフィングを前記出力制御工程の制御に従って出力する、ことを特徴とする画像情報伝送方法。
【請求項17】
前記指定された特殊再生動作に対応する出力モードにおいて、
前記コピーピクチャをn枚出力する毎に前記スタッフィングを出力し、
前記スタッフィングのサイズが、前記コピーピクチャをn(n=1、2、・・・)枚挿入することによって発生する仮想入力バッファの蓄積量の増加量を減少させるサイズである、ことを特徴とする請求項16に記載の画像情報伝送方法。
【請求項18】
フレーム内符号化ピクチャと、順方向予測符号化ピクチャ及び両方向予測符号化ピクチャの少なくともいずれか1つを含む符号化ビットストリームを蓄積する蓄積工程と、
指定された特殊再生動作に対応する出力モードで前記符号化ビットストリームを出力するように制御する出力制御工程と、
前記符号化ビットストリームの符号化ビデオビットストリームのピクチャの表示タイミングを規定する制御データを書き換える第1書き換え工程と、
直前の画像データと同一の画像データの表示を指示するデータであるコピーピクチャを生成するコピーピクチャ生成工程と、
前記符号化ビットストリームの符号化オーディオビットストリームの出音を規定する制御データを、前記コピーピクチャの出力枚数に基づいて書き換える第2書き換え工程と、を備え、
それぞれの前記制御データが書き換えられた符号化ビットストリームおよびコピーピクチャを前記出力制御工程の制御に従って出力する、ことを特徴とする画像情報伝送方法。
【請求項19】
フレーム内符号化ピクチャであるIピクチャ、順方向予測符号化ピクチャであるPピクチャ、及び両方向予測符号化ピクチャであるBピクチャのすくなくともいずれか1つを含む符号化ビットストリームを蓄積する蓄積工程と、
指定された特殊再生動作に対応する出力モードで前記符号化ビットストリームを出力するように制御する出力制御工程と、
前記符号化ビットストリームに関して、ピクチャの表示タイミングを規定する制御データを書き換える書き換え工程と、
直前の画像データと同一の画像データを表示することを指示するデータであるコピーピクチャを生成するコピーピクチャ生成工程と、を備え、
前記制御データが書き換えられた前記符号化ビットストリームのピクチャと、前記コピーピクチャを前記出力制御工程の制御に従って出力するとともに、
前記符号化ビットストリームが、音声データと画像データを多重化したものであった場合、前記音声データ及び前記音声データに関する制御用の情報を破棄し、画像データのみの符号化ビットストリームとして出力する、ことを特徴とする画像情報伝送方法。
【請求項20】
請求項15乃至19のいずれか1項に記載された画像情報伝送方法の手順をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項21】
請求項15乃至19のいずれか1項に記載された画像情報伝送方法の手順をコンピュータに実行させるためのプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記憶媒体。
【請求項1】
フレーム毎に、フレーム内符号化またはフレーム間予測符号化により符号化された符号化画像ストリームを記録媒体から再生する再生手段と、
前記符号化画像ストリームを通常再生速度よりも遅い速度にて再生する特殊再生モードを指示する指示手段と、
前記指示手段による指示に応じて、前記再生手段により再生された符号化画像ストリームにおける各フレームの表示タイミングを規定するタイミング制御データを変更する変更手段と、
直前の画像データと同一の画像データの表示を指示するデータであるコピーピクチャデータを生成するコピーピクチャ生成手段と、
前記符号化画像ストリームを復号する復号器の仮想入力バッファの蓄積量を制御ためのスタッフィングデータを生成するスタッフィング生成手段と、
前記指示手段による指示に応じて、前記変更手段より出力された符号化画像ストリームに対し、前記コピーピクチャデータと前記スタッフィングデータとを挿入して出力する出力制御手段と、を備える、ことを特徴とする画像情報伝送装置。
【請求項2】
前記出力手段は、前記コピーピクチャデータをn(nは1以上の整数)フレーム分挿入する毎に前記スタッフィングデータを出力し、
前記スタッフィング生成手段は、前記符号化画像ストリームのデータレートと前記nの値、及び、前記nフレーム分のコピーピクチャデータのデータ量に応じて前記スタッフィングデータのサイズを決定する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像情報伝送装置。
【請求項3】
前記特殊再生モードは、スチル再生モード及びスロー再生モードのうちの少なくとも一つを含む、ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像情報伝送装置。
【請求項4】
前記特殊再生モードはスロー再生モードであり、前記nの値は前記スロー再生モードにおける再生速度に応じて決定される、ことを特徴とする請求項2に記載の画像情報伝送装置。
【請求項5】
前記符号化画像ストリームは、2−3プルダウンまたは2−3−3−2プルダウンされた30フレーム/秒のインタレース形式であり、
前記出力制御手段は、前記コピーピクチャデータを2フレーム挿入する毎に前記スタッフィングデータを挿入する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像情報伝送装置。
【請求項6】
前記符号化画像ストリームは、2−3プルダウンまたは2−3−3−2プルダウンされた30フレーム/秒のインタレース形式であり、
前記出力制御手段は、前記コピーピクチャを4フレーム挿入する毎に前記スタッフィングデータを挿入する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像情報伝送装置。
【請求項7】
前記符号化画像ストリームは、2−3プルダウンされた30フレーム/秒のインタレース形式であり、
前記コピーピクチャ生成手段は、前記コピーピクチャの Top_Field_First 及び Repeat_ First_ Field の値が、直前に出力したフレームの Top_Field_First 及び Repeat_ First_ Field の値に対し、2−3プルダウンの関係を維持するように生成する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像情報伝送装置。
【請求項8】
前記符号化画像ストリームは、2−3−3−2プルダウンされた30フレーム/秒のインタレース形式であり、
前記コピーピクチャ生成手段は、前記コピーピクチャの Top_Field_First 及び Repeat_ First_ Field の値が、直前に出力したフレームの Top_Field_First 及び Repeat_ First_ Field の値に対し、2−3−3−2プルダウンの関係を維持するように生成して出力する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像情報伝送装置。
【請求項9】
前記符号化画像ストリームは、2−3プルダウンまたは2−3−3−2プルダウンされた30フレーム/秒のインタレース形式であり、
前記nが4の倍数である、ことを特徴とする請求項1に記載の画像情報伝送装置。
【請求項10】
前記符号化画像ストリームは符号化音声データを含み、
前記書き換え手段は更に、前記指示手段による指示に応じて、前記符号化画像ストリームにおける前記符号化音声データの出音を規定する音声制御データを書き換える、ことを特徴とする請求項1記載の画像情報伝送装置。
【請求項11】
前記の符号化ビットストリーム内の符号化音声データを符号化無音音声データと置換して出力する、ことを特徴とする請求項10に記載の画像情報伝送装置。
【請求項12】
前記符号化オーディオビットストリームの不連続個所に符号化無音音声データを挿入して出力する、ことを特徴とする請求項10に記載の画像情報伝送装置。
【請求項13】
前記符号化オーディオビットストリームの不連続個所への前記符号化無音音声データの挿入に対応させて、前記符号化オーディオビットストリームの出音を規定する前記制御データを書き換える、ことを特徴とする請求項12に記載の画像情報伝送装置。
【請求項14】
前記符号化画像ストリームは符号化された音声データを含み、
前記出力制御手段は、前記指示手段による指示に応じて、前記変更手段より出力された符号化画像ストリーム中の前記符号化音声データ及び前記符号化音声データに関する制御用の情報を破棄すると共に、前記符号化音声データ及び前記符号化音声データに関する制御用の情報が破棄された符号化画像ストリームに対し、前記コピーピクチャデータと前記スタッフィングデータとを挿入して出力する、ことを特徴とする請求項1記載の画像情報伝送装置。
【請求項15】
フレーム毎に、フレーム内符号化またはフレーム間予測符号化により符号化された符号化画像ストリームを記録媒体から再生する再生工程と、
前記符号化画像ストリームを通常再生速度よりも遅い速度にて再生する特殊再生モードを指示する指示工程と、
前記指示工程による指示に応じて、前記再生工程で再生された符号化画像ストリームにおける各フレームの表示タイミングを規定するタイミング制御データを変更する変更工程と、
直前の画像データと同一の画像データの表示を指示するデータであるコピーピクチャデータを生成するコピーピクチャ生成工程と、
前記符号化画像ストリームを復号する復号器の仮想入力バッファの蓄積量を制御ためのスタッフィングデータを生成するスタッフィング生成工程と、
前記指示工程における指示に応じて、前記変更工程で出力された符号化画像ストリームに対し、前記コピーピクチャデータと前記スタッフィングデータとを挿入して出力する出力制御工程と、を備える、ことを特徴とする画像情報伝送方法。
【請求項16】
フレーム内符号化ピクチャ、順方向予測符号化ピクチャ、及び両方向予測符号化ピクチャの少なくともいずれか1つを含む符号化ビットストリームを蓄積する蓄積工程と、
指定された特殊再生動作に対応する出力モードで前記符号化ビットストリームを出力するように制御する出力制御工程と、
前記符号化ビットストリームのピクチャの表示タイミングを規定する制御データを書き換える書き換え工程と、
直前の画像データと同一の画像データの表示を指示するデータであるコピーピクチャを生成するコピーピクチャ生成工程と、
復号器の仮想入力バッファの蓄積量を制御する Null データであるスタッフィングを生成するスタッフィング生成工程と、を備え、
前記制御データが書き換えられた前記符号化ビットストリームのピクチャ、前記コピーピクチャ、および前記スタッフィングを前記出力制御工程の制御に従って出力する、ことを特徴とする画像情報伝送方法。
【請求項17】
前記指定された特殊再生動作に対応する出力モードにおいて、
前記コピーピクチャをn枚出力する毎に前記スタッフィングを出力し、
前記スタッフィングのサイズが、前記コピーピクチャをn(n=1、2、・・・)枚挿入することによって発生する仮想入力バッファの蓄積量の増加量を減少させるサイズである、ことを特徴とする請求項16に記載の画像情報伝送方法。
【請求項18】
フレーム内符号化ピクチャと、順方向予測符号化ピクチャ及び両方向予測符号化ピクチャの少なくともいずれか1つを含む符号化ビットストリームを蓄積する蓄積工程と、
指定された特殊再生動作に対応する出力モードで前記符号化ビットストリームを出力するように制御する出力制御工程と、
前記符号化ビットストリームの符号化ビデオビットストリームのピクチャの表示タイミングを規定する制御データを書き換える第1書き換え工程と、
直前の画像データと同一の画像データの表示を指示するデータであるコピーピクチャを生成するコピーピクチャ生成工程と、
前記符号化ビットストリームの符号化オーディオビットストリームの出音を規定する制御データを、前記コピーピクチャの出力枚数に基づいて書き換える第2書き換え工程と、を備え、
それぞれの前記制御データが書き換えられた符号化ビットストリームおよびコピーピクチャを前記出力制御工程の制御に従って出力する、ことを特徴とする画像情報伝送方法。
【請求項19】
フレーム内符号化ピクチャであるIピクチャ、順方向予測符号化ピクチャであるPピクチャ、及び両方向予測符号化ピクチャであるBピクチャのすくなくともいずれか1つを含む符号化ビットストリームを蓄積する蓄積工程と、
指定された特殊再生動作に対応する出力モードで前記符号化ビットストリームを出力するように制御する出力制御工程と、
前記符号化ビットストリームに関して、ピクチャの表示タイミングを規定する制御データを書き換える書き換え工程と、
直前の画像データと同一の画像データを表示することを指示するデータであるコピーピクチャを生成するコピーピクチャ生成工程と、を備え、
前記制御データが書き換えられた前記符号化ビットストリームのピクチャと、前記コピーピクチャを前記出力制御工程の制御に従って出力するとともに、
前記符号化ビットストリームが、音声データと画像データを多重化したものであった場合、前記音声データ及び前記音声データに関する制御用の情報を破棄し、画像データのみの符号化ビットストリームとして出力する、ことを特徴とする画像情報伝送方法。
【請求項20】
請求項15乃至19のいずれか1項に記載された画像情報伝送方法の手順をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項21】
請求項15乃至19のいずれか1項に記載された画像情報伝送方法の手順をコンピュータに実行させるためのプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
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【図4】
【図5】
【図6】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2007−195064(P2007−195064A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−13087(P2006−13087)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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