画像表示装置
【課題】簡素な構成であるにも拘わらず、色ムラの発生を効果的に防止し得る画像表示装置を提供する。
【解決手段】画像表示装置は、画像形成装置11、コリメート光学系12及び光学装置20を備え、光学装置20は、導光板21、反射型体積ホログラム回折格子から成る第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40を備えており、画像形成装置11の中心の画素から出射され、コリメート光学系12の中心を通過する中心光は、第2回折格子部材40に近い側から角度をもって導光板21に入射する。
【解決手段】画像表示装置は、画像形成装置11、コリメート光学系12及び光学装置20を備え、光学装置20は、導光板21、反射型体積ホログラム回折格子から成る第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40を備えており、画像形成装置11の中心の画素から出射され、コリメート光学系12の中心を通過する中心光は、第2回折格子部材40に近い側から角度をもって導光板21に入射する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置等によって形成された2次元画像を観察者に観察させるために使用される画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置によって形成された2次元画像を虚像光学系により拡大虚像として観察者に観察させるために、ホログラム回折格子を用いた虚像表示装置(画像表示装置)が、例えば、特開2007−94175から周知である。
【0003】
この画像表示装置1010は、基本的には、図25の(A)に示すように、画像を表示する画像形成装置1011と、コリメート光学系1012と、画像形成装置1011に表示された光が入射され、観察者の瞳50へと導く虚像光学系(光学装置20)とを備えている。ここで、光学装置20は、導光板21と、導光板21に設けられた反射型体積ホログラム回折格子から成る第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40を備えている。そして、コリメート光学系1012には画像形成装置1011の各画素から出射された光が入射され、コリメート光学系1012によって導光板21へ入射する角度の異なる複数の平行光が生成され、導光板21に入射される。導光板21の一方の光学面(第1面)22から、平行光が入射され、出射される。一方、導光板21の第1面22と平行である導光板21の他方の光学面(第2面)23に、第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40が取り付けられている。
【0004】
ここで、第1回折格子部材30の中心を原点Oiとし、原点Oiを通る第1回折格子部材30の法線であって、コリメート光学系側に向かう方向を正方向とする法線をXi軸、原点Oiを通り、Xi軸と直交し、第2回折格子部材側に向かう方向を正方向とする導光板の軸線をYi軸としたとき、コリメート光学系1012の光軸はXi軸と一致しており、しかも、コリメート光学系1012の光軸は画像形成装置1011の中心を通過する。
【0005】
導光板21の第1面22から入射した導光板21へ入射した角度の異なる複数の平行光は、第1回折格子部材30に入射され、それぞれの平行光は、平行光のまま、回折反射される。そして、回折反射された平行光は、導光板21の第1面22と第2面23との間で全反射を繰り返しながら進行し、第2回折格子部材40に入射する。第2回折格子部材40に入射した平行光は、回折反射されることで全反射条件から外れ、導光板21から出射され、観察者の瞳50に導かれる。第2回折格子部材40においては複数回に亙って回折反射されるが、各回折反射に基づき導光板21から出射される光の光量は、回折反射の回数が多くなる程、減少する。
【0006】
第2回折格子部材40の内部に形成された干渉縞の形状と、第1回折格子部材30の内部に形成された干渉縞の形状とは、導光板21の軸線に垂直な仮想面に対して対称な関係にある。従って、第2回折格子部材40で回折反射される平行光は、第1回折格子部材30へ入射する角度と等しい角度で回折反射されるので、表示画像がぼけることなく、高い解像度で瞳50において表示される。尚、第1回折格子部材30は、第2回折格子部材40と同じ諸元(例えば、厚さや最大回折効率)を有する。
【0007】
【特許文献1】特開2007−94175
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、この画像表示装置1010における第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40の内部に形成された干渉縞は多重化されており、あるいは、回折格子が多層化されている。そして、例えば第1回折格子部材30の拡大した模式的な一部断面図を図25の(B)に示すように、干渉縞の傾斜角φ(第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40の表面と干渉縞の成す角度)を一定としたとき、以下の問題が発生する。
【0009】
即ち、画像形成装置1011からの出射位置に依存して、複数の平行光の第1回折格子部材30へ入射する角度が異なるため、第1回折格子部材30の種々の領域でブラッグ条件を満たす回折波長(ブラッグ波長)が異なる。また、第2回折格子部材40へ入射する角度も異なるため、第2回折格子部材40の種々の領域でブラッグ条件を満たす回折波長も異なる。そして、以上の結果として、第2回折格子部材40にて回折反射され、導光板21から出射される光によって形成される画像に色ムラが発生してしまう。
【0010】
ここで、ブラッグ条件とは、以下の式(A)を満足する条件を指す。式(A)中、mは正の整数、λは波長、dは格子面のピッチ(干渉縞を含む仮想平面の法線方向の間隔)、Θは干渉縞へ入射する角度の補角を意味する。尚、干渉縞の傾斜角φとは、回折格子部材の表面と干渉縞の成す角度を意味する。干渉縞は、回折格子部材の内部から表面に亙り、形成されている。以下においても同様である。また、入射角ψにて回折格子部材に光が侵入した場合の、Θ、傾斜角φ、入射角ψの関係は、式(B)のとおりであり、図25の(B)に図示する。
【0011】
m・λ=2・d・sin(Θ) (A)
Θ=90°−(φ+ψ) (B)
【0012】
以下の説明において、第2回折格子部材40の中心を第2の原点Ooとし、第2の原点Ooを通る第2回折格子部材40の法線であって、光の出射方向を正方向とする法線をXo軸、第2の原点Ooを通り、Xo軸と直交し、第1回折格子部材から離れる方向を正方向とする導光板21の軸線をYo軸とする。また、XoYo平面において、導光板21から出射される光とXo軸上の瞳50との成す角度を画角θと呼び、第2の原点Ooより第1回折格子部材側の導光板21から出射された光の画角θの値を正の値とする。尚、図25の(A)は、XoYo平面にて導光板21を切断したときの模式的な断面図である。
【0013】
図21に、画角θを−6度から+6度としたときの波長480nm乃至560nmの光の回折効率分布を示す。図21からも明らかなように、画角に対応して回折スペクトルが決まっている。例えば、画角θ=+6度の場合、回折スペクトルの中心波長(ブラッグ波長)は495nm付近に存在しているが(図22の(A)参照)、画角θ=0度の場合、回折スペクトルの中心波長(ブラッグ波長)は522nm付近に存在し(図22の(B)参照)、画角θ=−6度の場合、回折スペクトルの中心波長(ブラッグ波長)は543nm付近に存在する(図23参照)。即ち、ブラッグ波長は、48nm程度変化する。ここで、シミュレーションの条件は、導光板21の屈折率を1.527、波長522nmの光が、第1回折格子部材30の中心において回折反射され、導光板21内を伝播していくときの全反射角を68度、回折格子部材30,40の屈折率変調度Δnを0.045、回折格子部材30,40の厚さを15μmとした。このような結果を、画角θの違いによる回折効率と回折スペクトルの中心波長との関係を描いたグラフを、図24の(A)に模式的に示す。
【0014】
また、光源を例えば発光ダイオード(LED)から構成する場合の発光スペクトル分布を、図24の(A)に模式的に示す。各画角における出射光は、光源の発光スペクトル分布と回折効率の積によって決まる。従って、各画角における出射光の色や輝度が異なることになる。それ故、得られた画像に色ムラが発生してしまう。
【0015】
特開2007−94175においては、このような現象の発生を抑制するために、回折格子部材に形成された干渉縞の傾斜角を、回折格子部材の位置に応じて変化させている。このような対処方法は、色ムラの発生防止に極めて有効であるが、回折格子部材に形成された干渉縞の傾斜角を、回折格子部材の位置に応じて変化させるが故に、回折格子部材の製造が困難であるといった問題がある。
【0016】
また、この画像表示装置1010にあっては、第2回折格子部材40において、複数回に亙って、各画角の平行光を回折反射し、導光板21から出射する。そして、このような構成を採用することによって、導光板21の板厚を薄く保ちながら、Yo軸方向の瞳径を大きく取ることが可能となる。しかしながら、このような構成にあっては、Yo軸方向の瞳位置によって表示画像の明るさが著しく変化してしまうという問題がある。
【0017】
従って、本発明の目的は、簡素な構成であるにも拘わらず、色ムラの発生、瞳位置に依存した表示画像の明るさの変化を効果的に防止し得る画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様、第3の態様、あるいは、第5の態様に係る画像表示装置は、
(A)2次元マトリクス状に配列された複数の画素を備えた画像形成装置、
(B)画像形成装置の画素から出射された光を平行光とするコリメート光学系、及び、
(C)コリメート光学系にて進行方位の異なる複数の平行光とされた光が入射され、導光され、出射される光学装置、
を備えており、
光学装置は、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
(b)導光板に入射された光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された光を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第1回折格子部材、及び、
(c)導光板の内部を全反射により伝播した光を回折反射し、導光板から出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第2回折格子部材、
を備えている。
【0019】
また、上記の目的を達成するための本発明の第2の態様、第4の態様、あるいは、第6の態様に係る画像表示装置は、
(A)光源、
(B)光源から出射された光を走査して、2次元マトリクス状に配列された仮想の画素を形成する走査光学系、及び、
(C)走査光学系からの平行光が入射され、導光され、出射される光学装置、
を備えており、
光学装置は、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
(b)導光板に入射された光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された光を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第1回折格子部材、及び、
(c)導光板の内部を全反射により伝播した光を回折反射し、導光板から出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第2回折格子部材、
を備えている。
【0020】
尚、走査光学系から光学装置へと入射する光は上記のとおり平行光であるが、
(1)光源から出射された光が平行光とされており、そのままの状態で走査光学系を通過して光学装置に入射する形態、
(2)光源から出射された光が、走査光学系の手前で平行光とされ、そのままの状態で走査光学系を通過して光学装置に入射する形態、及び、
(3)光源から出射され、走査光学系を通過した光が、光学装置の手前でコリメート光学系にて平行光とされ、光学装置に入射する形態、
の3つの形態が包含される。
【0021】
ここで、本発明の第1の態様〜第6の態様に係る画像表示装置において、第1回折格子部材の中心を原点とし、原点を通る第1回折格子部材の法線であって、コリメート光学系側あるいは走査光学系側に向かう方向を正方向とする法線をXi軸、原点を通り、Xi軸と直交し、第2回折格子部材側に向かう方向を正方向とする導光板の軸線をYi軸とする。また、第2回折格子部材の中心を第2の原点とし、第2の原点を通る第2回折格子部材の法線であって、光の出射方向を正方向とする法線をXo軸、第2の原点を通り、Xo軸と直交し、第1回折格子部材から離れる方向を正方向とする導光板の軸線をYo軸とする。更には、XoYo平面において、導光板から出射される光と観察者の瞳との成す角度を画角θと呼び、第2の原点Ooより第1回折格子部材側に向かって導光板から出射された光の画角θの値を正の値とする。また、後述する中心光が導光板に入射する直前の導光板の法線との成す角度を中心光・入射角θi-Cと呼び、係る中心光に相当する光が導光板から出射した直後の導光板の法線との成す角度を中心光・出射角θo-Cと呼ぶ。更には、係る中心光に相当する光が導光板から出射し、観察者の瞳に入射するときの画角を画角0度とする。
【0022】
そして、本発明の第1の態様に係る画像表示装置においては、画像形成装置の中心の画素から出射され、コリメート光学系の中心を通過する中心光は、XiYi平面に対して光学的に平行であり、且つ、XiZi平面に対して鋭角にて交わっていることを特徴とする。また、本発明の第2の態様に係る画像表示装置においては、光源の中心から出射され、走査光学系の中心の仮想の画素を通過する中心光は、XiYi平面に対して光学的に平行であり、且つ、XiZi平面に対して鋭角にて交わっていることを特徴とする。云い替えれば、中心光・入射角θi-Cは、XiYiZi座標系において90度未満の正の値を有する。即ち、中心光は、第2回折格子部材に近い側から角度をもって導光板に入射する。
【0023】
本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る画像表示装置にあっては、Yi軸は、第1回折格子部材に形成された干渉縞と光学的に直交する構成とすることが好ましい。尚、本発明の第3の態様〜第6の態様に係る画像表示装置にあっても同様とすることが望ましい。
【0024】
上記の好ましい構成を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る画像表示装置にあっては、コリメート光学系の光軸あるいは走査光学系の中心軸は、XiYi平面に対して平行であり、且つ、XiZi平面に対して鋭角にて交わっている構成とすることが好ましい。尚、このような構成の画像表示装置を、便宜上、『第1/2−Aの構成の画像表示装置』と呼ぶ。そして、この第1/2−Aの構成の画像表示装置にあっては、コリメート光学系の光軸あるいは走査光学系の中心軸は、光学的に、画像形成装置あるいは光源の中心を通過する形態とすることが望ましい。この第1/2−Aの構成の画像表示装置にあっては、より具体的には、中心光が導光板に入射する直前における係る中心光とYi軸との成す角度は正の値(90゜−θi-C)を有する。尚、コリメート光学系の光軸あるいは走査光学系の中心軸の延長線上に、画像形成装置あるいは光源の中心が位置する場合もあるし、コリメート光学系の光軸あるいは走査光学系の中心軸の延長線上に、画像形成装置あるいは光源の中心が位置しない場合もあるが、後者の場合にあっても、種々の光学系を介して、コリメート光学系の光軸あるいは走査光学系の中心軸は、画像形成装置あるいは光源の中心を通過する形態とすることができる。従って、「光学的に」、画像形成装置あるいは光源の中心を通過すると表現した。以下においても同様である。
【0025】
本発明の第2の態様に係る画像表示装置にあっては、走査光学系から出射された光を平行光とするコリメート光学系を更に備えており、係る本発明の第2の態様に係る画像表示装置にあっては、あるいは、上記の好ましい構成を含む本発明の第1の態様に係る画像表示装置にあっては、
コリメート光学系の光軸あるいは走査光学系の中心軸は、Xi軸と平行であり、
コリメート光学系の光軸は、光学的に、画像形成装置の中心から外れた位置を通過し、また、走査光学系の中心軸は、Xi軸と一致していない構成とすることが好ましい。尚、このような構成の画像表示装置を、便宜上、『第1/2−Bの構成の画像表示装置』と呼ぶ。この第1/2−Bの構成の画像表示装置にあっても、より具体的には、中心光が導光板に入射する直前における係る中心光とYi軸との成す角度は正の値(90゜−θi-C)を有する。
【0026】
以上に説明した各種の好ましい構成、形態を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る画像表示装置にあっては、中心光に相当する導光板から出射された光は、XoYo平面に対して光学的に平行であり、且つ、XoZo平面に対して鈍角にて交わっている構成とすることが望ましい。即ち、中心光・出射角θo-Cの値は、XoYoZo座標系において90度を超える値であることが望ましい。尚、中心光・入射角θi-Cの絶対値と中心光・出射角θo-Cの絶対値とは等しいことが一層好ましい。
【0027】
更には、以上に説明した各種の好ましい構成、形態を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る画像表示装置にあっては、中心光に相当する導光板から出射された光は、観察者の2つの瞳中心を結ぶ直線に直交する構成とすることが好ましい。
【0028】
中心光・入射角θi-Cを0度とした従来の画像表示装置に備えられた第1回折格子部材における干渉縞にて回折反射され、導光板内を伝播していく光が導光板の内面と衝突するときの角度(導光板の法線と成す角度であり、中心光・全反射角と呼ぶ)をθRefとする。以上に説明した各種の好ましい構成、形態を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る画像表示装置にあっては、第1回折格子部材には干渉縞が形成されており、係る干渉縞によって第1回折格子部材に入射した光が回折反射される。ここで、限定するものではないが、導光板内を伝播していく中心光が導光板の内面と衝突するときの角度がθRefとなるように、第1回折格子部材における干渉縞を設計することが好ましく、第2回折格子部材においても、同種の干渉縞を設けることが好ましい。
【0029】
本発明の第3の態様あるいは第4の態様に係る画像表示装置においては、第2回折格子部材の厚さは、第1回折格子部材の厚さよりも薄いことを特徴とする。
【0030】
そして、本発明の第3の態様あるいは第4の態様に係る画像表示装置にあっては、第2回折格子部材の厚さは5μm未満であり、第1回折格子部材の厚さは5μm以上である構成とすることが好ましい。
【0031】
尚、上記の好ましい構成を含む本発明の第3の態様あるいは第4の態様に係る画像表示装置を、以上に説明した各種の好ましい構成、形態を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る画像表示装置に適用することができる。
【0032】
本発明の第5の態様あるいは第6の態様に係る画像表示装置においては、第2回折格子部材の最大回折効率の値は、第1回折格子部材の最大回折効率の値よりも小さいことを特徴とする。
【0033】
そして、本発明の第5の態様あるいは第6の態様に係る画像表示装置にあっては、第2回折格子部材の最大回折効率は50%未満、より好ましくは、25%±10%であり、第1回折格子部材の最大回折効率は50%以上、より好ましくは、90%±10%である構成とすることが好ましい。尚、例えば、第1回折格子部材や第2回折格子部材における干渉縞を形成する際の屈折率変調度Δnを変化させることで、異なる最大回折効率の値を有する回折格子部材を得ることができるし、第1回折格子部材や第2回折格子部材の厚さを変化させることで、異なる最大回折効率の値を有する回折格子部材を得ることができる。
【0034】
尚、上記の好ましい構成を含む本発明の第5の態様あるいは第6の態様に係る画像表示装置を、以上に説明した各種の好ましい構成、形態を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る画像表示装置に適用することができる。
【0035】
あるいは又、本発明の第3の態様、第4の態様、第5の態様あるいは第6の態様に係る画像形成装置にあっては、コリメート光学系の光軸あるいは走査光学系の中心軸は、光学的に、Xi軸と一致しており、しかも、コリメート光学系の光軸あるいは走査光学系の中心軸は、光学的に、画像形成装置の中心あるいは光源の中心を通過する構成、構造とすることができる。即ち、中心光・入射角θi-Cを0度とする構成とすることができる。尚、コリメート光学系の光軸あるいは走査光学系の中心軸の延長線上に、Xi軸が存在し、あるいは又、画像形成装置あるいは光源の中心が位置する場合もあるし、コリメート光学系の光軸あるいは走査光学系の中心軸の延長線上に、Xi軸が存在せず、画像形成装置あるいは光源の中心が位置しない場合もあるが、後者の場合にあっても、種々の光学系を介して、コリメート光学系の光軸あるいは走査光学系の中心軸は、光学的に、Xi軸と一致し、あるいは又、画像形成装置あるいは光源の中心を通過する形態とすることができる。
【0036】
本発明の第2の態様、第4の態様、第6の態様に係る画像表示装置において、光源には、光源から出射された光を平行光とするコリメート光学系(光源コリメート光学系と呼ぶ)が備えられていてもよい。また、光源を、フィールドシーケンシャル方式に基づき作動させる形態とすることができる。
【0037】
本発明の第1の態様〜第6の態様に係る画像表示装置(以下、これらを総称して、単に、『本発明の画像表示装置』と呼ぶ場合がある)において、第1回折格子部材あるいは第2回折格子部材を、異なるP種類(例えば、P=3であり、赤色、緑色、青色の3種類)の波長帯域(あるいは、波長)を有するP種類の光の回折反射に対応させるために、反射型体積ホログラム回折格子から成るP層の回折格子層が積層されて成る構成とすることができる。尚、各回折格子層には1種類の波長帯域(あるいは、波長)に対応する干渉縞が形成されている。あるいは又、異なるP種類の波長帯域(あるいは、波長)を有するP種類の光の回折反射に対応するために、1層の回折格子層から成る第1回折格子部材あるいは第2回折格子部材にP種類の干渉縞が形成されている構成とすることもできる。あるいは又、画角を例えば三等分して、第1回折格子部材あるいは第2回折格子部材を、各画角に対応する回折格子層が積層されて成る構成とすることができる。そして、これらの構成を採用することで、各波長帯域(あるいは、波長)を有する光が第1回折格子部材あるいは第2回折格子部材において回折反射されるときの回折効率の増加、回折受容角の増加、回折角の最適化を図ることができる。
【0038】
尚、以下の説明における画角θとは、より厳密には、光学系の物体範囲を光学系の像空間から見たときの視角であると定義される。また、全反射という用語は、内部全反射、あるいは、導光板内部における全反射を意味する。更には、干渉縞の傾斜角とは、回折格子部材(あるいは回折格子層)の表面と干渉縞の成す角度を意味する。
【0039】
本発明の画像表示装置においては、コリメート光学系にて進行方位の異なる複数の平行光とされた光を導光板に入射させるが、このような、平行光であることの要請は、これらの光が導光板へ入射したときの光波面情報が、第1回折格子部材と第2回折格子部材を介して導光板から出射された後も保存される必要があることに基づく。尚、具体的には、進行方位の異なる複数の平行光を生成させるためには、コリメート光学系における焦点距離の所(位置)に、画像形成装置を位置させればよい。ここで、コリメート光学系は、画像形成装置から出射された平行光の画像形成装置における画素の位置情報を、光学装置の光学系における角度情報に変換する機能を有する。また、コリメート光学系にて進行方位の異なる複数の平行光とされるので、導光板においては、進行方位の異なる複数の平行光が入射され、内部を全反射により伝播した後、出射される。第1回折格子部材においては、導光板に入射された平行光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された平行光が回折反射される。更には、第2回折格子部材においては、導光板の内部を全反射により伝播した平行光が回折反射され、導光板から平行光の状態で出射される。
【0040】
本発明の画像表示装置において、導光板は、導光板の軸線(Yi軸,Yo軸方向)と平行に延びる2つの平行面(第1面及び第2面)を有している。ここで、光が入射する導光板の面を導光板入射面、光が出射する導光板の面を導光板出射面としたとき、第1面によって導光板入射面及び導光板出射面が構成されていてもよいし、第1面によって導光板入射面が構成され、第2面によって導光板出射面が構成されていてもよい。前者の場合、第2面に第1回折格子部材及び第2回折格子部材が配置されている。一方、後者の場合、第2面に第1回折格子部材が配置され、第1面に第2回折格子部材が配置されている。
【0041】
第1回折格子部材及び第2回折格子部材を構成する材料として、フォトポリマー材料を挙げることができる。反射型体積ホログラム回折格子から成る第1回折格子部材及び第2回折格子部材の構成材料や基本的な構造は、従来の反射型体積ホログラム回折格子の構成材料や構造と同じとすればよい。ここで、反射型体積ホログラム回折格子とは、+1次の回折光のみを回折反射するホログラム回折格子を意味する。
【0042】
回折格子部材には、その内部から表面に亙り干渉縞が形成されているが、係る干渉縞それ自体の形成方法は、従来の形成方法と同じとすればよい。具体的には、例えば、回折格子部材を構成する部材(例えば、フォトポリマー材料)に対して一方の側の第1の所定の方向から物体光を照射し、同時に、回折格子部材を構成する部材に対して他方の側の第2の所定の方向から参照光を照射し、物体光と参照光とによって形成される干渉縞を回折格子部材を構成する部材の内部に記録すればよい。第1の所定の方向、第2の所定の方向、物体光及び参照光の波長を適切に選択することで、回折格子部材の表面における干渉縞の所望のピッチ、干渉縞の所望の傾斜角を得ることができる。
【0043】
第1回折格子部材及び第2回折格子部材を、反射型体積ホログラム回折格子から成るP層の回折格子層の積層構造から構成する場合、このような回折格子層の積層は、P層の回折格子層をそれぞれ別個に作製した後、P層の回折格子層を、例えば、紫外線硬化型接着剤を使用して積層(接着)すればよい。また、粘着性を有するフォトポリマー材料を用いて1層の回折格子層を作製した後、その上に順次粘着性を有するフォトポリマー材料を貼り付けて回折格子層を作製することで、P層の回折格子層を作製してもよい。
【0044】
導光板を構成する材料として、石英ガラスやBK7等の光学ガラスを含むガラスや、プラスチック材料(例えば、PMMA、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、非晶性のポリプロピレン系樹脂、AS樹脂を含むスチレン系樹脂)を挙げることができる。導光板の形状は、平板に限定するものではなく、湾曲した形状を有していてもよい。前者の場合、Yi軸とYo軸とは一致し、あるいは平行となるが、後者の場合、Yi軸とYo軸とは一致することがないし、平行となることもない。
【0045】
本発明の第1の態様、第3の態様あるいは第5の態様に係る画像表示装置を構成する画像形成装置として、例えば、有機EL(Electro Luminescence)、無機EL、発光ダイオード(LED)等の発光素子から構成された画像形成装置;発光素子とライト・バルブ[例えば、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)等の透過型あるいは反射型の液晶表示装置、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)]との組合せから成る画像形成装置を挙げることができる。また、本発明の第2の態様、第4の態様あるいは第6の態様に係る画像表示装置における走査光学系として、光源から出射された光を水平走査及び垂直走査する走査光学系[例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、ガルバノ・ミラー]を挙げることができ、光源を構成する発光素子として、赤色発光素子、緑色発光素子、青色発光素子を挙げることができる。ここで、発光素子として、例えば、半導体レーザ素子やLEDを例示することができる。画素(仮想の画素)の数は、画像表示装置に要求される仕様に基づき決定すればよく、画素(仮想の画素)の数の具体的な値として、320×240、432×240、640×480、1024×768、1920×1080を例示することができる。
【0046】
例えば、発光素子とライト・バルブとから構成された画像形成装置あるいは光源として、全体として白色光を発光するバックライトと、赤色発光画素、緑色発光画素、及び、青色発光画素を有する液晶表示装置との組合せ以外にも、以下の構成を例示することができる。
【0047】
[画像形成装置−A]
画像形成装置−Aは、
(α)青色を発光する第1発光素子が2次元マトリクス状に配列された第1発光パネルから成る第1画像形成装置、
(β)緑色を発光する第2発光素子が2次元マトリクス状に配列された第2発光パネルから成る第2画像形成装置、及び、
(γ)赤色を発光する第3発光素子が2次元マトリクス状に配列された第3発光パネルから成る第3画像形成装置、並びに、
(δ)第1画像形成装置、第2画像形成装置及び第3画像形成装置から出射された光を1本の光路に纏めるための手段(例えば、ダイクロイック・プリズムであり、以下の説明においても同様である)、
を備えており、
第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子のそれぞれの発光/非発光状態を制御する。
【0048】
[画像形成装置−B]
画像形成装置−Bは、
(α)青色を発光する第1発光素子、及び、青色を発光する第1発光素子から出射された出射光の通過/非通過を制御するための第1光通過制御装置[一種のライト・バルブであり、例えば、液晶表示装置やデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、LCOSから構成され、以下の説明においても同様である]から成る第1画像形成装置、
(β)緑色を発光する第2発光素子、及び、緑色を発光する第2発光素子から出射された出射光の通過/非通過を制御するための第2光通過制御装置(ライト・バルブ)から成る第2画像形成装置、及び、
(γ)赤色を発光する第3発光素子、及び、赤色を発光する第3発光素子から出射された出射光の通過/非通過を制御するための第3光通過制御装置(ライト・バルブ)から成る第3画像形成装置、並びに、
(δ)第1光通過制御装置、第2光通過制御装置及び第3光通過制御装置を通過した光を1本の光路に纏めるための手段、
を備えており、
光通過制御装置によってこれらの発光素子から出射された出射光の通過/非通過を制御することで画像を表示する。第1発光素子、第2発光素子、第3発光素子から出射された出射光を光通過制御装置へと案内するための手段(光案内部材)として、導光部材、マイクロレンズアレイ、ミラーや反射板、集光レンズを例示することができる。
【0049】
[画像形成装置−C]
画像形成装置−Cは、
(α)青色を発光する第1発光素子が2次元マトリクス状に配列された第1発光パネル、及び、第1発光パネルから出射された出射光の通過/非通過を制御するための青色光通過制御装置(ライト・バルブ)から成る第1画像形成装置、
(β)緑色を発光する第2発光素子が2次元マトリクス状に配列された第2発光パネル、及び、第2発光パネルから出射された出射光の通過/非通過を制御するための緑色光通過制御装置(ライト・バルブ)から成る第2画像形成装置、
(γ)赤色を発光する第3発光素子が2次元マトリクス状に配列された第3発光パネル、及び、第3発光パネルから出射された出射光の通過/非通過を制御するための赤色光通過制御装置(ライト・バルブ)から成る第3画像形成装置、並びに、
(δ)青色光通過制御装置、緑色光通過制御装置及び赤色光通過制御装置を通過した光を1本の光路に纏めるための手段を備えており、
光通過制御装置(ライト・バルブ)によってこれらの第1発光パネル、第2発光パネル及び第3発光パネルから出射された出射光の通過/非通過を制御することで画像を表示する。
【0050】
[画像形成装置−D]
画像形成装置−Dは、フィールドシーケンシャル方式のカラー表示の画像形成装置であり、
(α)青色を発光する第1発光素子を備えた第1画像形成装置、
(β)緑色を発光する第2発光素子を備えた第2画像形成装置、及び、
(γ)赤色を発光する第3発光素子を備えた第3画像形成装置、並びに、
(δ)第1画像形成装置、第2画像形成装置及び第3画像形成装置から出射された光を1本の光路に纏めるための手段、更には、
(ε)1本の光路に纏めるための手段から出射された光の通過/非通過を制御するための光通過制御装置(ライト・バルブ)、
を備えており、
光通過制御装置によってこれらの発光素子から出射された出射光の通過/非通過を制御することで画像を表示する。
【0051】
[画像形成装置−E]
画像形成装置−Eも、フィールドシーケンシャル方式のカラー表示の画像形成装置であり、
(α)青色を発光する第1発光素子が2次元マトリクス状に配列された第1発光パネルから成る第1画像形成装置、
(β)緑色を発光する第2発光素子が2次元マトリクス状に配列された第2発光パネルから成る第2画像形成装置、及び、
(γ)赤色を発光する第3発光素子が2次元マトリクス状に配列された第3発光パネルから成る第3画像形成装置、並びに、
(δ)第1画像形成装置、第2画像形成装置及び第3画像形成装置のそれぞれから出射された光を1本の光路に纏めるための手段、更には、
(ε)1本の光路に纏めるための手段から出射された光の通過/非通過を制御するための光通過制御装置(ライト・バルブ)、
を備えており、
光通過制御装置によってこれらの発光パネルから出射された出射光の通過/非通過を制御することで画像を表示する。
【0052】
[画像形成装置−F]
画像形成装置−Fは、第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子のそれぞれの発光/非発光状態を制御することで画像を表示する、パッシブマトリックスタイプあるいはアクティブマトリックスタイプのカラー表示の画像形成装置である。
【0053】
[画像形成装置−G]
画像形成装置−Gは、2次元マトリクス状に配列された発光素子ユニットからの出射光の通過/非通過を制御するための光通過制御装置(ライト・バルブ)を備えており、発光素子ユニットにおける第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子のそれぞれの発光/非発光状態を時分割制御し、更に、光通過制御装置によって第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子から出射された出射光の通過/非通過を制御することで画像を表示する、フィールドシーケンシャル方式のカラー表示の画像形成装置である。
【0054】
本発明の画像表示装置を構成するコリメート光学系として、凸レンズ、凹レンズ、自由曲面プリズム、ホログラムレンズを、単独、若しくは、組み合わせた、全体として正の光学的パワーを持つ光学系を例示することができる。
【0055】
本発明の画像表示装置によって、例えば、HMD(Head Mounted Display)を構成することができ、装置の軽量化、小型化を図ることができ、装置装着時の不快感を大幅に軽減させることが可能となるし、更には、製造コストダウンを図ることも可能となる。
【発明の効果】
【0056】
本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る画像表示装置にあっては、中心光は、XiYi平面に対して光学的に平行であり、且つ、XiZi平面に対して鋭角にて交わっている。それ故、導光板に入射し、第1回折格子部材内に形成された干渉縞と衝突する光にあっては、干渉縞への単位入射角当たりのブラッグ波長の変化量を小さくすることができる結果、色ムラの発生を効果的に防止することができ、高い表示品質を有する画像表示装置を提供することができる。
【0057】
本発明の第3の態様あるいは第4の態様に係る画像表示装置にあっては、第2回折格子部材の厚さは、第1回折格子部材の厚さよりも薄い。また、本発明の第5の態様あるいは第6の態様に係る画像表示装置にあっては、第2回折格子部材の最大回折効率の値は、第1回折格子部材の最大回折効率の値よりも小さい。それ故、導光板の軸線方向の瞳径を大きくとることができ、しかも、導光板の軸線方向の瞳位置によって表示画像の明るさが著しく変化してしまうという課題を解決することができ、光利用効率を著しく低下させることなく、輝度の均一性の高い画像表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。
【実施例1】
【0059】
実施例1は、本発明の第1の態様に係る画像表示装置、より具体的には、第1−Aの構成の画像表示装置に関する。実施例1の画像表示装置は、概念図を図1に示すように、
(A)2次元マトリクス状に配列された複数の画素を備えた画像形成装置11、
(B)画像形成装置11の画素から出射された光を平行光とするコリメート光学系12、及び、
(C)コリメート光学系12にて進行方位の異なる複数の平行光とされた光が入射され、導光され、出射される光学装置20、
を備えている。そして、光学装置20は、
(a)入射された光(より具体的には、進行方位の異なる複数の平行光束から成る平行光束群)が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板21、
(b)導光板21に入射された光(平行光束群)が導光板21の内部で全反射されるように、導光板21に入射された光(平行光束群)を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板21に配設された第1回折格子部材30、及び、
(c)導光板21の内部を全反射により伝播した光(平行光束群)を回折反射し、導光板21から出射する(より具体的には、平行光束群のまま出射する)、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板21に配設された第2回折格子部材40、
を備えている。尚、導光板21から出射された光は、観察者(画像観察者)の瞳50の位置(瞳位置)に入射する。
【0060】
ここで、実施例1、あるいは、後述する実施例2〜実施例6にあっては、第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40を、異なるP種類(具体的には、P=3であり、赤色、緑色、青色の3種類)の波長帯域(あるいは、波長)を有するP種類の光の回折反射に対応させるために、反射型体積ホログラム回折格子から成るP層の回折格子層が積層されて成る構成としている。尚、フォトポリマー材料から成る各回折格子層には、1種類の波長帯域(あるいは、波長)に対応する干渉縞が形成されており、従来の方法で作製されている。より具体的には、赤色の光を回折反射する回折格子層と、緑色の光を回折反射する回折格子層と、青色の光を回折反射する回折格子層とが積層された構造を、第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40は有する。回折格子層(回折光学素子)に形成された干渉縞のピッチは一定であり、干渉縞は直線状であり、Z軸方向に平行である。尚、図1においては、第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40を1層で示した。このような構成を採用することで、各波長帯域(あるいは、波長)を有する光が第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40において回折反射されるときの回折効率の増加、回折受容角の増加、回折角の最適化を図ることができる。
【0061】
実施例1において、画像形成装置11は、例えば、2次元マトリクス状に配列された複数(例えば、Yi軸方向に沿ってJ個、Zi軸方向に沿ってK個、即ち、J×K=320×240個)の画素(液晶セル)を備えた液晶表示装置(LCD)から構成され、コリメート光学系12は、例えば、凸レンズから構成され、進行方位の異なる複数の平行光を生成させるために、コリメート光学系12における焦点距離の所(位置)に画像形成装置11が配置されている。また、1画素は、赤色を出射する赤色発光副画素、緑色を出射する緑色発光副画素、及び、青色を出射する青色発光副画素から構成されている。後述する実施例2、実施例5においても同様である。
【0062】
ここで、導光板21は、導光板21の軸線と平行に延びる2つの平行面(第1面22及び第2面23)を有している。尚、Yi軸とYo軸とは一致しており、Xi軸とXo軸(これらを2点鎖線で図示する)とは平行であり、Zi軸とZo軸とは平行である。尚、Xi軸は、第1回折格子部材30の中心を原点Oiとし、原点Oiを通る第1回折格子部材30の法線であって、コリメート光学系側に向かう方向を正方向とする法線であり、Xo軸は、第2回折格子部材40の中心を第2の原点Ooとし、第2の原点Ooを通る第2回折格子部材40の法線であって、光の出射方向を正方向とする法線である。ここで、第1面22と第2面23とは対向している。そして、第1面22から平行光が入射され、内部を全反射により伝播した後、第1面22から出射される。第1回折格子部材30は、導光板21の第2面23に配設されており、第1面22から導光板21に入射されたこの平行光が導光板21の内部で全反射されるように、導光板21に入射されたこの平行光を回折反射する。更には、第2回折格子部材40は、導光板21の第2面23に配設されており、導光板21の内部を全反射により伝播したこの平行光を、複数回、回折反射し、導光板21から平行光のまま第1面22から出射する。但し、これに限定するものではなく、第2面23によって導光板入射面が構成され、第1面22によって導光板出射面が構成されていてもよい。
【0063】
そして、実施例1において、導光板21にあっては、赤色、緑色及び青色の3色の平行光が内部を全反射により伝播した後、出射される。このとき、導光板21が薄く導光板21の内部を進行する光路が長いため、各画角によって第2回折格子部材40に至るまでの全反射回数は異なっている。より詳細に述べれば、導光板21に入射する平行光のうち、第2回折格子部材40に近づく方向の角度をもって入射する平行光の反射回数は、第2回折格子部材40から離れる方向の角度をもって導光板21に入射する平行光の反射回数よりも少ない。これは、第1回折格子部材30において回折反射される平行光であって、第2回折格子部材40に近づく方向の角度をもって導光板21に入射する平行光の方が、これと逆方向の角度をもって導光板21に入射する平行光よりも、導光板21の内部を伝播していく光が導光板21の内面と衝突するときの導光板21の法線と成す角度が小さくなるからである。また、第2回折格子部材40の内部に形成された干渉縞の形状と、第1回折格子部材30の内部に形成された干渉縞の形状とは、導光板21の軸線に垂直な仮想面に対して対称な関係にある。
【0064】
後述する実施例2〜実施例6における導光板21も、基本的には、以上に説明した導光板21の構成、構造と同じ構成、構造を有する。
【0065】
実施例1の画像表示装置にあっては、画像形成装置11の中心の画素から出射され、コリメート光学系12の中心を通過する中心光CLは、XiYi平面に対して光学的に平行であり、且つ、XiZi平面に対して鋭角にて交わっている。即ち、実施例1にあっては、中心光・入射角θi-Cは、XiYiZi座標系において90度未満の正の値(より具体的には90度−70度=20度)を有する。また、中心光CLは、導光板21内で全反射され(中心光・全反射角:をθRef)、第2回折格子部材40において回折反射され、中心光・出射角θo-Cにて導光板21から出射する。
【0066】
このように、実施例1にあっては、コリメート光学系12の光軸は、XiYi平面に対して平行であり(より具体的には、XiYi平面内に位置し)、且つ、XiZi平面に対して鋭角(具体的には、90度−θi-C=70度)にて交わっている。そして、コリメート光学系12の光軸は、光学的に、画像形成装置11の中心を通過する。尚、実施例1にあっては、コリメート光学系12の光軸の延長線上に、画像形成装置11の中心が位置するが、これに限定するものではなく、種々の光学系を介して、コリメート光学系12の光軸が、光学的に、画像形成装置11の中心を通過する形態としてもよい。また、コリメート光学系12の光軸上を伝播する光は、第1回折格子部材30の中心である原点Oiに入射するが、係る光は、コリメート光学系12から導光板21に直接入射してもよいし、コリメート光学系12から各種の光学系を介して導光板21に入射してもよい。
【0067】
更には、中心光CLに相当する導光板21から出射された光は、XoYo平面に対して光学的に平行であり、且つ、XoZo平面に対して鈍角にて交わっている。そして、上述したとおり、第2回折格子部材40の内部に形成された干渉縞の形状と、第1回折格子部材30の内部に形成された干渉縞の形状とは、導光板21の軸線に垂直な仮想面に対して対称な関係にあるので、中心光・出射角θo-Cの値は、XoYoZo座標系において90度を超える値(具体的には、−20度)であり、中心光・入射角θi-Cの絶対値と中心光・出射角θo-Cの絶対値とは等しい。後述する実施例2〜実施例6においても同様である。
【0068】
Yi軸は、第1回折格子部材30に形成された干渉縞と光学的に直交している。更には、Yo軸は、第2回折格子部材40に形成された干渉縞と光学的に直交している。後述する実施例2〜実施例6においても同様である。
【0069】
そして、図2に概念図を示すように、中心光CLに相当する導光板21から出射された光は、観察者の2つの瞳50の中心を結ぶ直線に直交している。尚、微調整のため、例えば90度±2度とする場合があり得るので、「直交している」という概念には、「90度±2度」の範囲が包含される。後述する実施例2〜実施例4においても同様である。尚、図2においては、2組の画像表示装置を表示しており、一方の画像表示装置は右目用であり、他方の画像表示装置は左目用である。右目用の画像表示装置と左目用の画像表示装置とは、同じ画像を表示してもよいし、異なる画像(例えば、立体像を表示し得る画像)を表示してもよい。但し、片側の目にのみ装着してもよいことは勿論である。ここで、画像表示装置はHMDとして機能する。
【0070】
尚、実施例1においては、導光板21内を伝播していく中心光CLが導光板21の内面と衝突するときの角度が、中心光・入射角θi-Cを0度とした従来の画像表示装置に備えられた第1回折格子部材における干渉縞にて回折反射され、導光板内を伝播していく光が導光板の内面と衝突するときの角度θRefと同じ角度となるように、第1回折格子部材30における干渉縞を設計している。第2回折格子部材40においても、同じ干渉縞が設けられている。後述する実施例2〜実施例6においても、特段の断りがない限り、同様である。
【0071】
図3に、画角θを−6度から+6度としたときの波長480nm乃至560nmの光の回折効率分布を示す。ここで、シミュレーションの条件を、導光板21の屈折率を1.527、中心光(波長522nm)が導光板21内を伝播していくときの全反射角を68度としている。図3からも明らかなように、画角に対応して回折スペクトルが決まっている。例えば、画角θ=+6度の場合、回折スペクトルの中心波長(ブラッグ波長)は502nm付近に存在しているが(図4の(A)参照)、画角θ=0度の場合、回折スペクトルの中心波長(ブラッグ波長)は522nm付近に存在し(図4の(B)参照)、画角θ=−6度の場合、回折スペクトルの中心波長(ブラッグ波長)は536nm付近に存在する(図5参照)。即ち、ブラッグ波長は、34nm程度変化する。この変化量は、従来の技術において説明した変化量(48nm)よりも格段に小さな値である。そして、このように、干渉縞への単位入射角当たりのブラッグ波長の変化量を小さくすることができる結果、色ムラの発生を効果的に防止することができ、高い表示品質を有する画像表示装置を提供することができる。
【実施例2】
【0072】
実施例2は、実施例1の変形であり、具体的には、第1−Bの構成の画像表示装置210に関する。即ち、図6に概念図を示すように、実施例2にあっては、コリメート光学系212の光軸はXi軸と平行である。そして、コリメート光学系212の光軸は、光学的に、画像形成装置211の中心から外れた位置を通過する。このような構成とすることで、中心光CLは、XiYi平面に対して光学的に平行であり、且つ、XiZi平面に対して鋭角にて交わるようになる。具体的には、実施例2にあっても、中心光・入射角θi-Cは20度である。
【0073】
ここで、コリメート光学系212の焦点距離をfとし、コリメート光学系212の焦点の所に画像形成装置211が位置しているとする。また、コリメート光学系212の光軸は、光学的に、画像形成装置211の中心から外れた位置を通過するが、コリメート光学系212の光軸から画像形成装置211の中心までの距離(実施例2にあっては、Yi軸に沿った距離)をOsとする。ここで、中心光・入射角θi-Cの光が導光板21に入射したときの入射角をθ’i-C(この角度は、図25の(B)に図示した角度ψと等しい)、導光板21の屈折率をnとすると、以下の関係式が成立する。
【0074】
sin(θi-C)=n・sin(θ’i-C)
tan(θi-C)=Os/f
【0075】
従って、
arctan(Os/f)=arcsin(n・sin(θ’i-C)) (1)
が成立する。それ故、所望のθ’i-Cを得るためには、上記の式(1)を満足するように、Os及びfの値を設計すればよい。
【0076】
以上の点を除き、実施例2の画像表示装置の構成、構造は、実施例1の画像表示装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【実施例3】
【0077】
実施例3は、本発明の第2の態様、より具体的には、第2−Aの構成の画像表示装置に関する。実施例3の画像表示装置310は、光源及び走査光学系の部分を図7に示し、画像表示装置の一部分の概念図を図8に示すように、
(A)光源300、
(B)光源300から出射された光を走査して、2次元マトリクス状に配列された仮想の画素を形成する走査光学系305、及び、
(C)走査光学系305からの光が入射され、導光され、出射される光学装置20、
を備えている。
【0078】
尚、光源300及び走査光学系305の部分を除いた画像表示装置310の他の構成要素は、実質的に、実施例1において説明した画像表示装置10と同様とすることができる。即ち、光学装置20は、実施例1と同様に、
(a)入射された光(より具体的には、進行方位の異なる複数の平行光束から成る平行光束群)が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板21、
(b)導光板21に入射された光(平行光束群)が導光板21の内部で全反射されるように、導光板21に入射された光(平行光束群)を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板21に配設された第1回折格子部材30、及び、
(c)導光板21の内部を全反射により伝播した光(平行光束群)を回折反射し、導光板21から出射する(より具体的には、平行光束群のまま出射する)、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板21に配設された第2回折格子部材40、
を備えている。尚、導光板21から出射された光は、観察者の瞳50の位置(瞳位置)に入射する。
【0079】
光源300は、フィールドシーケンシャル方式に基づき、作動させられる。具体的には、実施例3の光源300は、図7に模式図を示すように、
(α)赤色を発光する赤色素子301R(例えば、AlGaInP系半導体発光素子やGaN系半導体発光素子。以下においても同じ)、
(β)緑色を発光する緑色発光素子301G(GaN系半導体から成る。以下においても同じ)、及び、
(γ)青色を発光する青色発光素子301B(GaN系半導体から成る。以下においても同じ)、並びに、
(δ)赤色発光素子301R、緑色発光素子301G及び青色発光素子301Bのそれぞれから出射された光を1本の光路に纏めるための手段(例えば、ダイクロイック・プリズム303)、更には、
(ε)1本の光路に纏めるための手段(ダイクロイック・プリズム303)から出射された光の通過/非通過を制御するための光通過制御装置(液晶表示装置)304、
を備えている。発光素子301R,301G,301Bから出射された光は、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂といった透光性物質による導光部材やミラー等の反射体から成る光案内部材302によって案内され、光通過制御装置304に入射する。
【0080】
そして、光通過制御装置304によってこれらの発光素子から出射された出射光の通過/非通過を制御することで画像を表示する、フィールドシーケンシャル方式のカラー表示を行うことができる。光通過制御装置304からは、1画素分の光が出射される。そして、この光は、図示しない光源コリメート光学系を通過し、例えば、Z軸と平行な回転軸307(図面の紙面垂直方向に延びる)の周りを回転する水平走査用ガルバノ・ミラー306、及び、例えば、XY平面に含まれる回転軸309(図面の紙面と平行な方向に延びる)の周りを回転する垂直走査用ガルバノ・ミラー308から成る走査光学系305によって走査され、2次元マトリクス状に配列された仮想の画素が形成される。そして、走査光学系305から出射された光(平行光)は、導光板21の第1面22に入射する。
【0081】
実施例3の画像表示装置にあっては、光源300の中心から出射され、走査光学系305の中心の仮想の画素を通過する中心光は、XiYi平面に対して光学的に平行であり、且つ、XiZi平面に対して鋭角にて交わっている。即ち、実施例3にあっても、中心光・入射角θi-Cは、XiYiZi座標系において90度未満の正の値(より具体的には20度)を有する。
【0082】
ここで、実施例3にあっては、走査光学系305の中心軸は、XiYi平面に対して平行であり(より具体的には、XiYi平面内に位置し)、且つ、XiZi平面に対して鋭角(具体的には、70度)にて交わっている。そして、中心光CLが導光板21に入射する直前における係る中心光CLとYi軸との成す角度は正の値(90゜−θi-C)を有する。ここで、θi-Cの値は、上述したとおり、20度である。尚、実施例3にあっては、走査光学系305の中心軸の延長線上に、光源300の中心が位置している場合もあるし、走査光学系305の中心軸の延長線上に、光源300の中心が位置しない場合もあるが、後者の場合にあっては、種々の光学系を介して、走査光学系305の中心軸が、光学的に、光源300の中心を通過する形態とすればよい。
【0083】
実施例3あるいは次に述べる実施例4の画像表示装置にあっても、実施例1と同様に、干渉縞への単位入射角当たりのブラッグ波長の変化量を小さくすることができる結果、色ムラの発生を効果的に防止することができ、高い表示品質を有する画像表示装置を提供することができる。
【実施例4】
【0084】
実施例4は、実施例3の変形であり、具体的には、第2−Bの構成の画像表示装置に関する。即ち、図9に画像表示装置の一部分の概念図を示すように、実施例4の画像表示装置410にあっては、走査光学系305から出射された光を平行光とするコリメート光学系412を更に備えており、走査光学系305の中心軸は、Xi軸と平行であるが、Xi軸と一致していない。このような構成とすることで、中心光CLが導光板21に入射する直前における係る中心光CLとYi軸との成す角度は正の値(90゜−θi-C)を有するようになる。具体的には、実施例4にあっても、中心光・入射角θi-Cは20度である。
【0085】
以上の点を除き、実施例4の画像表示装置410の構成、構造は、実施例3の画像表示装置310の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。また、前述した式(1)を満足するように、更には、式(A)及び式(B)を考慮して、実施例4の画像表示装置410を設計すればよい。
【実施例5】
【0086】
実施例5は、本発明の第3の態様及び第5の態様に係る画像表示装置に関する。図10に概念図を示す実施例5の画像表示装置510の基本的な構成、構造は、実施例1において説明した画像表示装置10の構成、構造と同様である。そして、実施例5の画像表示装置510において、第2回折格子部材540の厚さは、第1回折格子部材530の厚さよりも薄い。具体的には、第2回折格子部材540の厚さは5μm未満であり、第1回折格子部材530の厚さは5μm以上であり、より具体的には、第2回折格子部材540の厚さは1.7μmであり、第1回折格子部材530の厚さは7μmである。あるいは又、実施例5の画像表示装置において、第2回折格子部材540の最大回折効率の値は、第1回折格子部材530の最大回折効率の値よりも小さい。具体的には、第2回折格子部材540の最大回折効率は50%未満であり、第1回折格子部材530の最大回折効率は50%以上であり、より具体的には、第2回折格子部材540の最大回折効率は30%であり、第1回折格子部材530の最大回折効率は90%である。そして、より一層具体的には、第2回折格子部材540の屈折率変調度Δnは0.04であり、厚さは1.7μmである。また、第1回折格子部材530の屈折率変調度Δnは0.04であり、厚さは7μmである。
【0087】
尚、後述する実施例6においても、第1回折格子部材530及び第2回折格子部材540の仕様は同様である。
【0088】
ここで、実施例5の画像表示装置にあっては、実施例1の画像表示装置と異なり、コリメート光学系512の光軸は、光学的に、Xi軸と一致しており、しかも、コリメート光学系512の光軸は、画像形成装置511の中心を通過する。即ち、中心光・入射角θi-Cは0度である。尚、コリメート光学系512の光軸の延長線上に、Xi軸が存在し、画像形成装置511の中心が位置しているが、これに限定されず、コリメート光学系512の光軸の延長線上に、Xi軸が存在せず、画像形成装置511の中心が位置しない構成とすることもできる。尚、この場合には、種々の光学系を介して、コリメート光学系512の光軸が、光学的に、Xi軸と一致し、あるいは又、画像形成装置511の中心を通過する形態とすればよい。
【0089】
実施例5の画像表示装置の特徴である第2回折格子部材540の厚さと第1回折格子部材530の厚さとの関係を、実施例1において説明した画像表示装置に適用することができるし、実施例2において説明した画像表示装置に適用することもできる。また、実施例5の画像表示装置の特徴である第2回折格子部材の最大回折効率の値と第1回折格子部材の最大回折効率の値との関係を、実施例1において説明した画像表示装置に適用することができるし、実施例2において説明した画像表示装置に適用することもできる。
【0090】
ところで、画像表示装置においては、導光板の厚さを増やすことなく、Yi軸方向に沿った瞳径を大きくするため、同じ全反射角を有する平行光を、第2回折格子部材にて複数回に亙って回折反射し、導光板から出射している。このとき、第2回折格子部材を構成している各々の回折格子の回折効率が高いと、導光板内で全反射を繰り返しながら伝播してきた大分部の光は、第2回折格子部材への第1回目の入射において導光板から出射されてしまい、第2回折格子部材へ第2回目、第3回目に入射し、回折反射される光が著しく少なくなってしまう。これでは、実質的な瞳径の拡大はできない。例えば、第2回折格子部材の最大回折効率が90%であると仮定すると、第1回目の回折反射で90%の光が導光板から出射され、第2回目の回折反射では9%[=(1−0.9)×0.9×100]、第3回目の回折反射では0.9%[=(1−0.9−0.09)×0.9×100]の光が出射され、画像は急激に暗くなっていく。
【0091】
そこで、実施例5においては、第2回折格子部材540の最大回折効率を30%とした。このようにすることで、導光板21を伝播してきた光は、第2回折格子部材540における第1回目の回折反射で30%の光が導光板から出射され、第2回目の回折反射では21%[=(1−0.3)×0.3×100]、第3回目の回折反射では14.7%[=(1−0.3−0.21)×0.3×100]の光が出射される。従って、画像は穏やかに暗くなっていく。
【0092】
逆に、第1回折格子部材530においては、各画角の光は1回の回折反射で導光板21内を伝播していくので、最大回折効率は、一般的に高い方が、光利用効率の点で有利となる。従って、実施例5においては、第1回折格子部材530における最大回折効率を90%に設定している。
【0093】
決められた波長、入射角、回折角で定義された回折格子部材において、回折格子部材の厚さと回折格子部材の屈折率変調度Δnの2つのパラメータの組合せを変えたとき、最大回折効率として30%を得るための、回折格子部材の屈折率変調度Δnと厚さとの関係を図12に示す。シミュレーションの条件を、以下のとおりとした。尚、図12、図13、図14において、括弧内の数字は、左側が回折格子部材の屈折率変調度Δnを表し、右側が回折格子部材の厚さ(単位:μm)を表す。
【0094】
波長 :522nm
中心光・入射角θi-C :0度
中心光・全反射角θRef:68度
導光板の屈折率 :1.527
【0095】
また、回折格子部材の屈折率変調度Δnを一定(0.045)とし、回折格子部材の厚さを変化させたときの回折効率の変化を図13に示し、回折格子部材の厚さを一定(4μm)とし、回折格子部材の屈折率変調度Δnを変化させたときの回折効率の変化を図14に示す。図13から、回折格子部材の厚さが薄いほど、回折効率は低下することが判る。また、図14から、回折格子部材の屈折率変調度Δnが低いほど、回折効率は低下することが判る。
【0096】
更には、最大回折効率30%を得るための回折格子部材の屈折率変調度Δnと厚さとの関係を図15の(A)に示し、最大回折効率30%を得るための回折格子部材の回折スペクトルにおける半値幅(単位:nm)と回折格子部材の厚さとの関係を図15の(B)に示す。回折格子部材の厚さと屈折率変調度Δnとの組合せは、回折格子部材を構成する材料の特性で決まるΔnの最大値以下であれば、任意に選ぶことが可能である。ところで、図15の(A)から、回折格子部材の厚さが薄くなるほど、回折格子部材の屈折率変調度Δnの値は大きくなる。一方、図15の(B)から、回折格子部材の厚さが薄くなるほど(即ち、屈折率変調度Δnが大きくなるほど)、回折効率の回折スペクトル幅は広くなる。
【0097】
以上の結果として、回折格子部材の厚さが薄くなるほど、また、屈折率変調度Δnが大きくなるほど、回折効率は低下し、第2回折格子部材540において、第1回目、第2回目、第3回目・・・に回折反射され、導光板21から出射される光の変化割合を小さくすることができ、画像は穏やかに暗くなっていく。それ故、導光板の軸線方向の瞳径を大きくとることができ、しかも、導光板の軸線方向の瞳位置によって表示画像の明るさが著しく変化してしまうという課題を解決することができ、光利用効率を著しく低下させることなく、輝度の均一性の高い画像表示装置を提供することができる。
【0098】
図24の(A)を参照して説明した問題を低減するための1つの有効な手段として、第2回折格子部材における回折効率の回折スペクトル幅を広げることを挙げることができる。図24の(B)に示すように、回折効率の回折スペクトル幅を広げることにより、光源の発光スペクトル分布と回折効率の積によって決まる主波長の変化を低減することが可能となる。従って、実施例5の画像表示装置を採用することで、画角によるブラッグ波長の変化を低減し、表示画像の色ムラを低減することができる。
【0099】
尚、以上の議論は、次に説明する実施例6の画像表示装置にも当てはまる。
【実施例6】
【0100】
実施例6は、本発明の第4の態様及び第6の態様に係る画像表示装置に関する。実施例6の画像表示装置の基本的な構成、構造は、実施例3において説明した画像表示装置の構成、構造と同様である。そして、実施例6の画像表示装置において、第2回折格子部材540の厚さは、第1回折格子部材530の厚さよりも薄い。また、実施例6の画像表示装置において、第2回折格子部材540の最大回折効率の値は、第1回折格子部材530の最大回折効率の値よりも小さい。
【0101】
ここで、実施例6の画像表示装置にあっては、図11に概念図を示すように、実施例3の画像表示装置と異なり、走査光学系の中心軸は、光学的に、Xi軸と一致している。即ち、中心光・入射角θi-Cは0度である。尚、走査光学系の中心軸の延長線上に、Xi軸が存在している場合もあるし、走査光学系の中心軸の延長線上に、Xi軸が存在しない場合もあるが、後者の場合には、種々の光学系を介して、走査光学系の中心軸が、光学的に、Xi軸と一致する形態とすればよい。
【0102】
実施例6の画像表示装置の特徴である第2回折格子部材540の厚さと第1回折格子部材530の厚さとの関係、あるいは又、第2回折格子部材540の最大回折効率の値と第1回折格子部材530の最大回折効率の値との関係を、実施例3において説明した画像表示装置に適用することができるし、実施例4において説明した画像表示装置に適用することもできる。
【0103】
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定するものではない。実施例において説明した画像表示装置の構成、構造は例示であり、適宜変更することができる。例えば、実施例1〜実施例6において、第1回折格子部材30,530や第2回折格子部材40,540には、各平行光束を構成する異なる波長帯域(あるいは、波長)を有するP種類の光束の回折反射の角度を略同一とするために、P種類の干渉縞が形成されている構成とすることができる。導光板21において、第1回折格子部材30と第2回折格子部材40の上方に空気層を挟んで透明基板(例えば、ガラス基板)を配設してもよく、これによって、導光板21の第2面23、第1回折格子部材30,530及び第2回折格子部材40,540を保護することができる。
【0104】
実施例1、実施例2、実施例5での使用に適した画像形成装置として、例えば、図16に概念図を示したような、半導体発光素子から成る発光素子301が2次元マトリクス状に配列された発光パネルから成り、発光素子301のそれぞれの発光/非発光状態を制御することで、発光素子301の発光状態を直接的に視認させることで画像を表示する、アクティブマトリックスタイプの画像形成装置とすることもできる。この画像形成装置から出射された光は、コリメート光学系12,212,512を介して導光板21に入射される。
【0105】
あるいは又、図17に概念図を示すように、
(α)赤色を発光する赤色発光素子301Rが2次元マトリクス状に配列された赤色発光パネル311R、
(β)緑色を発光する緑色発光素子301Gが2次元マトリクス状に配列された緑色発光パネル311G、及び、
(γ)青色を発光する青色発光素子301Bが2次元マトリクス状に配列された青色発光パネル311B、並びに、
(δ)赤色発光パネル311R、緑色発光パネル311G及び青色発光パネル311Bから出射された光を1本の光路に纏めるための手段(例えば、ダイクロイック・プリズム303)、
を備えており、
赤色発光素子301R、緑色発光素子301G及び青色発光素子301Bのそれぞれの発光/非発光状態を制御するカラー表示の画像形成装置とすることもできる。この画像形成装置から出射された光も、コリメート光学系12,212,512を介して導光板21に入射される。尚、参照番号312は、発光素子から出射された光を集光するためのマイクロレンズである。
【0106】
あるいは又、発光素子301R,301G,301Bが2次元マトリクス状に配列された発光パネル311R,311G,311B等から成る画像形成装置の概念図を図18に示すが、発光パネル311R,311G,311Bから出射された光は、光通過制御装置304R,304G,304Bによって通過/非通過が制御され、ダイクロイック・プリズム303に入射し、これらの光の光路は1本の光路に纏められ、コリメート光学系12,212,512を介して導光板21に入射される。
【0107】
あるいは又、発光素子301R,301G,301Bが2次元マトリクス状に配列された発光パネル311R,311G,311B等から成る画像形成装置の概念図を図19に示すが、発光パネル311R,311G,311Bから出射された光は、ダイクロイック・プリズム303に入射し、これらの光の光路は1本の光路に纏められ、ダイクロイック・プリズム303から出射したこれらの光は光通過制御装置304によって通過/非通過が制御され、コリメート光学系12,212,512を介して導光板21に入射される。
【0108】
あるいは又、図20に示すように、赤色を発光する発光素子301R、及び、赤色を発光する発光素子301Rから出射された出射光の通過/非通過を制御するための一種のライト・バルブである光通過制御装置(例えば、液晶表示装置304R)、緑色を発光する発光素子301G、及び、緑色を発光する発光素子301Gから出射された出射光の通過/非通過を制御するための一種のライト・バルブである光通過制御装置(例えば、液晶表示装置304G)、青色を発光する発光素子301B、及び、青色を発光する発光素子301Bから出射された出射光の通過/非通過を制御するための一種のライト・バルブである光通過制御装置(例えば、液晶表示装置304B)、並びに、これらのGaN系半導体から成る発光素子301R,301G,301Bから出射された光を案内する光案内部材302、及び、1本の光路に纏めるための手段(例えば、ダイクロイック・プリズム303)を備えた画像形成装置とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】図1は、実施例1の画像表示装置の概念図である。
【図2】図2は、実施例1の画像表示装置を2組、観察者が装着した状態を示す概念図である。
【図3】図3は、実施例1の画像表示装置において、画角θを−6度から+6度としたときの波長480nm乃至560nmの光の回折効率分布を示すグラフである。
【図4】図4の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例1の画像表示装置において、画角θ=+6度及び画角θ=0度の場合の回折スペクトルを示すグラフである。
【図5】図5は、実施例1の画像表示装置において、画角θ=−6度の場合の回折スペクトルを示すグラフである。
【図6】図6は、実施例2の画像表示装置の概念図である。
【図7】図7は、実施例3の画像表示装置を構成する光源及び走査光学系を示す概念図である。
【図8】図8は、実施例3の画像表示装置の一部分の概念図である。
【図9】図9は、実施例4の画像表示装置の一部分の概念図である。
【図10】図10は、実施例5の画像表示装置の概念図である。
【図11】図11は、実施例6の画像表示装置の一部分の概念図である。
【図12】図12は、実施例5において、回折格子部材の厚さと回折格子部材の屈折率変調度Δnの2つのパラメータの組合せを変えたとき、最大回折効率として30%を得るための、回折格子部材の屈折率変調度Δnと厚さとの関係を示すグラフである。
【図13】図13は、実施例5において、回折格子部材の屈折率変調度Δnを一定(0.045)とし、回折格子部材の厚さを変化させたときの回折効率の変化を示すグラフである。
【図14】図14は、実施例5において、回折格子部材の厚さを一定(4μm)とし、回折格子部材の屈折率変調度Δnを変化させたときの回折効率の変化を示すグラフである。
【図15】図15の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例5において、最大回折効率30%を得るための回折格子部材の屈折率変調度Δnと厚さとの関係、及び、最大回折効率30%を得るための回折格子部材の回折スペクトルにおける半値幅(単位:nm)と回折格子部材の厚さとの関係を示すグラフである。
【図16】図16は、実施例1、実施例2、実施例5での使用に適した画像形成装置の変形例の概念図である。
【図17】図17は、画像形成装置の別の変形例を示す概念図である。
【図18】図18は、画像形成装置の更に別の変形例を示す概念図である。
【図19】図19は、画像形成装置の更に別の変形例を示す概念図である。
【図20】図20は、画像形成装置の更に別の変形例を示す概念図である。
【図21】図21は、従来の画像表示装置において、画角θを−6度から+6度としたときの波長480nm乃至560nmの光の回折効率分布を示すグラフである。
【図22】図22の(A)及び(B)は、それぞれ、従来の画像表示装置において、画角θ=+6度及び画角θ=0度の場合の回折スペクトルを示すグラフである。
【図23】図23は、従来の画像表示装置において、画角θ=−6度の場合の回折スペクトルを示すグラフである。
【図24】図24の(A)及び(B)は、画角θの違いによる回折効率と回折スペクトルの中心波長との関係を描いたグラフ、及び、光源から出射される光の発光スペクトルを模式的に示すグラフである。
【図25】図25の(A)は、従来の画像表示装置の概念図であり、図25の(B)は、第1回折格子部材の拡大した模式的な一部断面図である。
【符号の説明】
【0110】
10,210,310,410,510,610・・・画像表示装置、11,211,511・・・画像形成装置、12,212,412,520・・・コリメート光学系、20,520・・・光学装置、21・・・導光板、22・・・導光板の第1面、23・・・導光板の第2面、30,530・・・第1回折格子部材、40,540・・・第2回折格子部材、50・・・瞳、300・・・光源、301,301R,301G,301B・・・発光素子、302・・・光案内部材、303・・・ダイクロイック・プリズム、304,304R,304G,304B・・・光通過制御装置、305・・・走査光学系、306・・・水平走査用ガルバノ・ミラー、308・・・垂直走査用ガルバノ・ミラー、307,309・・・回転軸、311R,311G,311B・・・発光パネル、312・・・マイクロレンズ
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置等によって形成された2次元画像を観察者に観察させるために使用される画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置によって形成された2次元画像を虚像光学系により拡大虚像として観察者に観察させるために、ホログラム回折格子を用いた虚像表示装置(画像表示装置)が、例えば、特開2007−94175から周知である。
【0003】
この画像表示装置1010は、基本的には、図25の(A)に示すように、画像を表示する画像形成装置1011と、コリメート光学系1012と、画像形成装置1011に表示された光が入射され、観察者の瞳50へと導く虚像光学系(光学装置20)とを備えている。ここで、光学装置20は、導光板21と、導光板21に設けられた反射型体積ホログラム回折格子から成る第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40を備えている。そして、コリメート光学系1012には画像形成装置1011の各画素から出射された光が入射され、コリメート光学系1012によって導光板21へ入射する角度の異なる複数の平行光が生成され、導光板21に入射される。導光板21の一方の光学面(第1面)22から、平行光が入射され、出射される。一方、導光板21の第1面22と平行である導光板21の他方の光学面(第2面)23に、第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40が取り付けられている。
【0004】
ここで、第1回折格子部材30の中心を原点Oiとし、原点Oiを通る第1回折格子部材30の法線であって、コリメート光学系側に向かう方向を正方向とする法線をXi軸、原点Oiを通り、Xi軸と直交し、第2回折格子部材側に向かう方向を正方向とする導光板の軸線をYi軸としたとき、コリメート光学系1012の光軸はXi軸と一致しており、しかも、コリメート光学系1012の光軸は画像形成装置1011の中心を通過する。
【0005】
導光板21の第1面22から入射した導光板21へ入射した角度の異なる複数の平行光は、第1回折格子部材30に入射され、それぞれの平行光は、平行光のまま、回折反射される。そして、回折反射された平行光は、導光板21の第1面22と第2面23との間で全反射を繰り返しながら進行し、第2回折格子部材40に入射する。第2回折格子部材40に入射した平行光は、回折反射されることで全反射条件から外れ、導光板21から出射され、観察者の瞳50に導かれる。第2回折格子部材40においては複数回に亙って回折反射されるが、各回折反射に基づき導光板21から出射される光の光量は、回折反射の回数が多くなる程、減少する。
【0006】
第2回折格子部材40の内部に形成された干渉縞の形状と、第1回折格子部材30の内部に形成された干渉縞の形状とは、導光板21の軸線に垂直な仮想面に対して対称な関係にある。従って、第2回折格子部材40で回折反射される平行光は、第1回折格子部材30へ入射する角度と等しい角度で回折反射されるので、表示画像がぼけることなく、高い解像度で瞳50において表示される。尚、第1回折格子部材30は、第2回折格子部材40と同じ諸元(例えば、厚さや最大回折効率)を有する。
【0007】
【特許文献1】特開2007−94175
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、この画像表示装置1010における第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40の内部に形成された干渉縞は多重化されており、あるいは、回折格子が多層化されている。そして、例えば第1回折格子部材30の拡大した模式的な一部断面図を図25の(B)に示すように、干渉縞の傾斜角φ(第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40の表面と干渉縞の成す角度)を一定としたとき、以下の問題が発生する。
【0009】
即ち、画像形成装置1011からの出射位置に依存して、複数の平行光の第1回折格子部材30へ入射する角度が異なるため、第1回折格子部材30の種々の領域でブラッグ条件を満たす回折波長(ブラッグ波長)が異なる。また、第2回折格子部材40へ入射する角度も異なるため、第2回折格子部材40の種々の領域でブラッグ条件を満たす回折波長も異なる。そして、以上の結果として、第2回折格子部材40にて回折反射され、導光板21から出射される光によって形成される画像に色ムラが発生してしまう。
【0010】
ここで、ブラッグ条件とは、以下の式(A)を満足する条件を指す。式(A)中、mは正の整数、λは波長、dは格子面のピッチ(干渉縞を含む仮想平面の法線方向の間隔)、Θは干渉縞へ入射する角度の補角を意味する。尚、干渉縞の傾斜角φとは、回折格子部材の表面と干渉縞の成す角度を意味する。干渉縞は、回折格子部材の内部から表面に亙り、形成されている。以下においても同様である。また、入射角ψにて回折格子部材に光が侵入した場合の、Θ、傾斜角φ、入射角ψの関係は、式(B)のとおりであり、図25の(B)に図示する。
【0011】
m・λ=2・d・sin(Θ) (A)
Θ=90°−(φ+ψ) (B)
【0012】
以下の説明において、第2回折格子部材40の中心を第2の原点Ooとし、第2の原点Ooを通る第2回折格子部材40の法線であって、光の出射方向を正方向とする法線をXo軸、第2の原点Ooを通り、Xo軸と直交し、第1回折格子部材から離れる方向を正方向とする導光板21の軸線をYo軸とする。また、XoYo平面において、導光板21から出射される光とXo軸上の瞳50との成す角度を画角θと呼び、第2の原点Ooより第1回折格子部材側の導光板21から出射された光の画角θの値を正の値とする。尚、図25の(A)は、XoYo平面にて導光板21を切断したときの模式的な断面図である。
【0013】
図21に、画角θを−6度から+6度としたときの波長480nm乃至560nmの光の回折効率分布を示す。図21からも明らかなように、画角に対応して回折スペクトルが決まっている。例えば、画角θ=+6度の場合、回折スペクトルの中心波長(ブラッグ波長)は495nm付近に存在しているが(図22の(A)参照)、画角θ=0度の場合、回折スペクトルの中心波長(ブラッグ波長)は522nm付近に存在し(図22の(B)参照)、画角θ=−6度の場合、回折スペクトルの中心波長(ブラッグ波長)は543nm付近に存在する(図23参照)。即ち、ブラッグ波長は、48nm程度変化する。ここで、シミュレーションの条件は、導光板21の屈折率を1.527、波長522nmの光が、第1回折格子部材30の中心において回折反射され、導光板21内を伝播していくときの全反射角を68度、回折格子部材30,40の屈折率変調度Δnを0.045、回折格子部材30,40の厚さを15μmとした。このような結果を、画角θの違いによる回折効率と回折スペクトルの中心波長との関係を描いたグラフを、図24の(A)に模式的に示す。
【0014】
また、光源を例えば発光ダイオード(LED)から構成する場合の発光スペクトル分布を、図24の(A)に模式的に示す。各画角における出射光は、光源の発光スペクトル分布と回折効率の積によって決まる。従って、各画角における出射光の色や輝度が異なることになる。それ故、得られた画像に色ムラが発生してしまう。
【0015】
特開2007−94175においては、このような現象の発生を抑制するために、回折格子部材に形成された干渉縞の傾斜角を、回折格子部材の位置に応じて変化させている。このような対処方法は、色ムラの発生防止に極めて有効であるが、回折格子部材に形成された干渉縞の傾斜角を、回折格子部材の位置に応じて変化させるが故に、回折格子部材の製造が困難であるといった問題がある。
【0016】
また、この画像表示装置1010にあっては、第2回折格子部材40において、複数回に亙って、各画角の平行光を回折反射し、導光板21から出射する。そして、このような構成を採用することによって、導光板21の板厚を薄く保ちながら、Yo軸方向の瞳径を大きく取ることが可能となる。しかしながら、このような構成にあっては、Yo軸方向の瞳位置によって表示画像の明るさが著しく変化してしまうという問題がある。
【0017】
従って、本発明の目的は、簡素な構成であるにも拘わらず、色ムラの発生、瞳位置に依存した表示画像の明るさの変化を効果的に防止し得る画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様、第3の態様、あるいは、第5の態様に係る画像表示装置は、
(A)2次元マトリクス状に配列された複数の画素を備えた画像形成装置、
(B)画像形成装置の画素から出射された光を平行光とするコリメート光学系、及び、
(C)コリメート光学系にて進行方位の異なる複数の平行光とされた光が入射され、導光され、出射される光学装置、
を備えており、
光学装置は、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
(b)導光板に入射された光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された光を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第1回折格子部材、及び、
(c)導光板の内部を全反射により伝播した光を回折反射し、導光板から出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第2回折格子部材、
を備えている。
【0019】
また、上記の目的を達成するための本発明の第2の態様、第4の態様、あるいは、第6の態様に係る画像表示装置は、
(A)光源、
(B)光源から出射された光を走査して、2次元マトリクス状に配列された仮想の画素を形成する走査光学系、及び、
(C)走査光学系からの平行光が入射され、導光され、出射される光学装置、
を備えており、
光学装置は、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
(b)導光板に入射された光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された光を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第1回折格子部材、及び、
(c)導光板の内部を全反射により伝播した光を回折反射し、導光板から出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第2回折格子部材、
を備えている。
【0020】
尚、走査光学系から光学装置へと入射する光は上記のとおり平行光であるが、
(1)光源から出射された光が平行光とされており、そのままの状態で走査光学系を通過して光学装置に入射する形態、
(2)光源から出射された光が、走査光学系の手前で平行光とされ、そのままの状態で走査光学系を通過して光学装置に入射する形態、及び、
(3)光源から出射され、走査光学系を通過した光が、光学装置の手前でコリメート光学系にて平行光とされ、光学装置に入射する形態、
の3つの形態が包含される。
【0021】
ここで、本発明の第1の態様〜第6の態様に係る画像表示装置において、第1回折格子部材の中心を原点とし、原点を通る第1回折格子部材の法線であって、コリメート光学系側あるいは走査光学系側に向かう方向を正方向とする法線をXi軸、原点を通り、Xi軸と直交し、第2回折格子部材側に向かう方向を正方向とする導光板の軸線をYi軸とする。また、第2回折格子部材の中心を第2の原点とし、第2の原点を通る第2回折格子部材の法線であって、光の出射方向を正方向とする法線をXo軸、第2の原点を通り、Xo軸と直交し、第1回折格子部材から離れる方向を正方向とする導光板の軸線をYo軸とする。更には、XoYo平面において、導光板から出射される光と観察者の瞳との成す角度を画角θと呼び、第2の原点Ooより第1回折格子部材側に向かって導光板から出射された光の画角θの値を正の値とする。また、後述する中心光が導光板に入射する直前の導光板の法線との成す角度を中心光・入射角θi-Cと呼び、係る中心光に相当する光が導光板から出射した直後の導光板の法線との成す角度を中心光・出射角θo-Cと呼ぶ。更には、係る中心光に相当する光が導光板から出射し、観察者の瞳に入射するときの画角を画角0度とする。
【0022】
そして、本発明の第1の態様に係る画像表示装置においては、画像形成装置の中心の画素から出射され、コリメート光学系の中心を通過する中心光は、XiYi平面に対して光学的に平行であり、且つ、XiZi平面に対して鋭角にて交わっていることを特徴とする。また、本発明の第2の態様に係る画像表示装置においては、光源の中心から出射され、走査光学系の中心の仮想の画素を通過する中心光は、XiYi平面に対して光学的に平行であり、且つ、XiZi平面に対して鋭角にて交わっていることを特徴とする。云い替えれば、中心光・入射角θi-Cは、XiYiZi座標系において90度未満の正の値を有する。即ち、中心光は、第2回折格子部材に近い側から角度をもって導光板に入射する。
【0023】
本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る画像表示装置にあっては、Yi軸は、第1回折格子部材に形成された干渉縞と光学的に直交する構成とすることが好ましい。尚、本発明の第3の態様〜第6の態様に係る画像表示装置にあっても同様とすることが望ましい。
【0024】
上記の好ましい構成を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る画像表示装置にあっては、コリメート光学系の光軸あるいは走査光学系の中心軸は、XiYi平面に対して平行であり、且つ、XiZi平面に対して鋭角にて交わっている構成とすることが好ましい。尚、このような構成の画像表示装置を、便宜上、『第1/2−Aの構成の画像表示装置』と呼ぶ。そして、この第1/2−Aの構成の画像表示装置にあっては、コリメート光学系の光軸あるいは走査光学系の中心軸は、光学的に、画像形成装置あるいは光源の中心を通過する形態とすることが望ましい。この第1/2−Aの構成の画像表示装置にあっては、より具体的には、中心光が導光板に入射する直前における係る中心光とYi軸との成す角度は正の値(90゜−θi-C)を有する。尚、コリメート光学系の光軸あるいは走査光学系の中心軸の延長線上に、画像形成装置あるいは光源の中心が位置する場合もあるし、コリメート光学系の光軸あるいは走査光学系の中心軸の延長線上に、画像形成装置あるいは光源の中心が位置しない場合もあるが、後者の場合にあっても、種々の光学系を介して、コリメート光学系の光軸あるいは走査光学系の中心軸は、画像形成装置あるいは光源の中心を通過する形態とすることができる。従って、「光学的に」、画像形成装置あるいは光源の中心を通過すると表現した。以下においても同様である。
【0025】
本発明の第2の態様に係る画像表示装置にあっては、走査光学系から出射された光を平行光とするコリメート光学系を更に備えており、係る本発明の第2の態様に係る画像表示装置にあっては、あるいは、上記の好ましい構成を含む本発明の第1の態様に係る画像表示装置にあっては、
コリメート光学系の光軸あるいは走査光学系の中心軸は、Xi軸と平行であり、
コリメート光学系の光軸は、光学的に、画像形成装置の中心から外れた位置を通過し、また、走査光学系の中心軸は、Xi軸と一致していない構成とすることが好ましい。尚、このような構成の画像表示装置を、便宜上、『第1/2−Bの構成の画像表示装置』と呼ぶ。この第1/2−Bの構成の画像表示装置にあっても、より具体的には、中心光が導光板に入射する直前における係る中心光とYi軸との成す角度は正の値(90゜−θi-C)を有する。
【0026】
以上に説明した各種の好ましい構成、形態を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る画像表示装置にあっては、中心光に相当する導光板から出射された光は、XoYo平面に対して光学的に平行であり、且つ、XoZo平面に対して鈍角にて交わっている構成とすることが望ましい。即ち、中心光・出射角θo-Cの値は、XoYoZo座標系において90度を超える値であることが望ましい。尚、中心光・入射角θi-Cの絶対値と中心光・出射角θo-Cの絶対値とは等しいことが一層好ましい。
【0027】
更には、以上に説明した各種の好ましい構成、形態を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る画像表示装置にあっては、中心光に相当する導光板から出射された光は、観察者の2つの瞳中心を結ぶ直線に直交する構成とすることが好ましい。
【0028】
中心光・入射角θi-Cを0度とした従来の画像表示装置に備えられた第1回折格子部材における干渉縞にて回折反射され、導光板内を伝播していく光が導光板の内面と衝突するときの角度(導光板の法線と成す角度であり、中心光・全反射角と呼ぶ)をθRefとする。以上に説明した各種の好ましい構成、形態を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る画像表示装置にあっては、第1回折格子部材には干渉縞が形成されており、係る干渉縞によって第1回折格子部材に入射した光が回折反射される。ここで、限定するものではないが、導光板内を伝播していく中心光が導光板の内面と衝突するときの角度がθRefとなるように、第1回折格子部材における干渉縞を設計することが好ましく、第2回折格子部材においても、同種の干渉縞を設けることが好ましい。
【0029】
本発明の第3の態様あるいは第4の態様に係る画像表示装置においては、第2回折格子部材の厚さは、第1回折格子部材の厚さよりも薄いことを特徴とする。
【0030】
そして、本発明の第3の態様あるいは第4の態様に係る画像表示装置にあっては、第2回折格子部材の厚さは5μm未満であり、第1回折格子部材の厚さは5μm以上である構成とすることが好ましい。
【0031】
尚、上記の好ましい構成を含む本発明の第3の態様あるいは第4の態様に係る画像表示装置を、以上に説明した各種の好ましい構成、形態を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る画像表示装置に適用することができる。
【0032】
本発明の第5の態様あるいは第6の態様に係る画像表示装置においては、第2回折格子部材の最大回折効率の値は、第1回折格子部材の最大回折効率の値よりも小さいことを特徴とする。
【0033】
そして、本発明の第5の態様あるいは第6の態様に係る画像表示装置にあっては、第2回折格子部材の最大回折効率は50%未満、より好ましくは、25%±10%であり、第1回折格子部材の最大回折効率は50%以上、より好ましくは、90%±10%である構成とすることが好ましい。尚、例えば、第1回折格子部材や第2回折格子部材における干渉縞を形成する際の屈折率変調度Δnを変化させることで、異なる最大回折効率の値を有する回折格子部材を得ることができるし、第1回折格子部材や第2回折格子部材の厚さを変化させることで、異なる最大回折効率の値を有する回折格子部材を得ることができる。
【0034】
尚、上記の好ましい構成を含む本発明の第5の態様あるいは第6の態様に係る画像表示装置を、以上に説明した各種の好ましい構成、形態を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る画像表示装置に適用することができる。
【0035】
あるいは又、本発明の第3の態様、第4の態様、第5の態様あるいは第6の態様に係る画像形成装置にあっては、コリメート光学系の光軸あるいは走査光学系の中心軸は、光学的に、Xi軸と一致しており、しかも、コリメート光学系の光軸あるいは走査光学系の中心軸は、光学的に、画像形成装置の中心あるいは光源の中心を通過する構成、構造とすることができる。即ち、中心光・入射角θi-Cを0度とする構成とすることができる。尚、コリメート光学系の光軸あるいは走査光学系の中心軸の延長線上に、Xi軸が存在し、あるいは又、画像形成装置あるいは光源の中心が位置する場合もあるし、コリメート光学系の光軸あるいは走査光学系の中心軸の延長線上に、Xi軸が存在せず、画像形成装置あるいは光源の中心が位置しない場合もあるが、後者の場合にあっても、種々の光学系を介して、コリメート光学系の光軸あるいは走査光学系の中心軸は、光学的に、Xi軸と一致し、あるいは又、画像形成装置あるいは光源の中心を通過する形態とすることができる。
【0036】
本発明の第2の態様、第4の態様、第6の態様に係る画像表示装置において、光源には、光源から出射された光を平行光とするコリメート光学系(光源コリメート光学系と呼ぶ)が備えられていてもよい。また、光源を、フィールドシーケンシャル方式に基づき作動させる形態とすることができる。
【0037】
本発明の第1の態様〜第6の態様に係る画像表示装置(以下、これらを総称して、単に、『本発明の画像表示装置』と呼ぶ場合がある)において、第1回折格子部材あるいは第2回折格子部材を、異なるP種類(例えば、P=3であり、赤色、緑色、青色の3種類)の波長帯域(あるいは、波長)を有するP種類の光の回折反射に対応させるために、反射型体積ホログラム回折格子から成るP層の回折格子層が積層されて成る構成とすることができる。尚、各回折格子層には1種類の波長帯域(あるいは、波長)に対応する干渉縞が形成されている。あるいは又、異なるP種類の波長帯域(あるいは、波長)を有するP種類の光の回折反射に対応するために、1層の回折格子層から成る第1回折格子部材あるいは第2回折格子部材にP種類の干渉縞が形成されている構成とすることもできる。あるいは又、画角を例えば三等分して、第1回折格子部材あるいは第2回折格子部材を、各画角に対応する回折格子層が積層されて成る構成とすることができる。そして、これらの構成を採用することで、各波長帯域(あるいは、波長)を有する光が第1回折格子部材あるいは第2回折格子部材において回折反射されるときの回折効率の増加、回折受容角の増加、回折角の最適化を図ることができる。
【0038】
尚、以下の説明における画角θとは、より厳密には、光学系の物体範囲を光学系の像空間から見たときの視角であると定義される。また、全反射という用語は、内部全反射、あるいは、導光板内部における全反射を意味する。更には、干渉縞の傾斜角とは、回折格子部材(あるいは回折格子層)の表面と干渉縞の成す角度を意味する。
【0039】
本発明の画像表示装置においては、コリメート光学系にて進行方位の異なる複数の平行光とされた光を導光板に入射させるが、このような、平行光であることの要請は、これらの光が導光板へ入射したときの光波面情報が、第1回折格子部材と第2回折格子部材を介して導光板から出射された後も保存される必要があることに基づく。尚、具体的には、進行方位の異なる複数の平行光を生成させるためには、コリメート光学系における焦点距離の所(位置)に、画像形成装置を位置させればよい。ここで、コリメート光学系は、画像形成装置から出射された平行光の画像形成装置における画素の位置情報を、光学装置の光学系における角度情報に変換する機能を有する。また、コリメート光学系にて進行方位の異なる複数の平行光とされるので、導光板においては、進行方位の異なる複数の平行光が入射され、内部を全反射により伝播した後、出射される。第1回折格子部材においては、導光板に入射された平行光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された平行光が回折反射される。更には、第2回折格子部材においては、導光板の内部を全反射により伝播した平行光が回折反射され、導光板から平行光の状態で出射される。
【0040】
本発明の画像表示装置において、導光板は、導光板の軸線(Yi軸,Yo軸方向)と平行に延びる2つの平行面(第1面及び第2面)を有している。ここで、光が入射する導光板の面を導光板入射面、光が出射する導光板の面を導光板出射面としたとき、第1面によって導光板入射面及び導光板出射面が構成されていてもよいし、第1面によって導光板入射面が構成され、第2面によって導光板出射面が構成されていてもよい。前者の場合、第2面に第1回折格子部材及び第2回折格子部材が配置されている。一方、後者の場合、第2面に第1回折格子部材が配置され、第1面に第2回折格子部材が配置されている。
【0041】
第1回折格子部材及び第2回折格子部材を構成する材料として、フォトポリマー材料を挙げることができる。反射型体積ホログラム回折格子から成る第1回折格子部材及び第2回折格子部材の構成材料や基本的な構造は、従来の反射型体積ホログラム回折格子の構成材料や構造と同じとすればよい。ここで、反射型体積ホログラム回折格子とは、+1次の回折光のみを回折反射するホログラム回折格子を意味する。
【0042】
回折格子部材には、その内部から表面に亙り干渉縞が形成されているが、係る干渉縞それ自体の形成方法は、従来の形成方法と同じとすればよい。具体的には、例えば、回折格子部材を構成する部材(例えば、フォトポリマー材料)に対して一方の側の第1の所定の方向から物体光を照射し、同時に、回折格子部材を構成する部材に対して他方の側の第2の所定の方向から参照光を照射し、物体光と参照光とによって形成される干渉縞を回折格子部材を構成する部材の内部に記録すればよい。第1の所定の方向、第2の所定の方向、物体光及び参照光の波長を適切に選択することで、回折格子部材の表面における干渉縞の所望のピッチ、干渉縞の所望の傾斜角を得ることができる。
【0043】
第1回折格子部材及び第2回折格子部材を、反射型体積ホログラム回折格子から成るP層の回折格子層の積層構造から構成する場合、このような回折格子層の積層は、P層の回折格子層をそれぞれ別個に作製した後、P層の回折格子層を、例えば、紫外線硬化型接着剤を使用して積層(接着)すればよい。また、粘着性を有するフォトポリマー材料を用いて1層の回折格子層を作製した後、その上に順次粘着性を有するフォトポリマー材料を貼り付けて回折格子層を作製することで、P層の回折格子層を作製してもよい。
【0044】
導光板を構成する材料として、石英ガラスやBK7等の光学ガラスを含むガラスや、プラスチック材料(例えば、PMMA、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、非晶性のポリプロピレン系樹脂、AS樹脂を含むスチレン系樹脂)を挙げることができる。導光板の形状は、平板に限定するものではなく、湾曲した形状を有していてもよい。前者の場合、Yi軸とYo軸とは一致し、あるいは平行となるが、後者の場合、Yi軸とYo軸とは一致することがないし、平行となることもない。
【0045】
本発明の第1の態様、第3の態様あるいは第5の態様に係る画像表示装置を構成する画像形成装置として、例えば、有機EL(Electro Luminescence)、無機EL、発光ダイオード(LED)等の発光素子から構成された画像形成装置;発光素子とライト・バルブ[例えば、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)等の透過型あるいは反射型の液晶表示装置、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)]との組合せから成る画像形成装置を挙げることができる。また、本発明の第2の態様、第4の態様あるいは第6の態様に係る画像表示装置における走査光学系として、光源から出射された光を水平走査及び垂直走査する走査光学系[例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、ガルバノ・ミラー]を挙げることができ、光源を構成する発光素子として、赤色発光素子、緑色発光素子、青色発光素子を挙げることができる。ここで、発光素子として、例えば、半導体レーザ素子やLEDを例示することができる。画素(仮想の画素)の数は、画像表示装置に要求される仕様に基づき決定すればよく、画素(仮想の画素)の数の具体的な値として、320×240、432×240、640×480、1024×768、1920×1080を例示することができる。
【0046】
例えば、発光素子とライト・バルブとから構成された画像形成装置あるいは光源として、全体として白色光を発光するバックライトと、赤色発光画素、緑色発光画素、及び、青色発光画素を有する液晶表示装置との組合せ以外にも、以下の構成を例示することができる。
【0047】
[画像形成装置−A]
画像形成装置−Aは、
(α)青色を発光する第1発光素子が2次元マトリクス状に配列された第1発光パネルから成る第1画像形成装置、
(β)緑色を発光する第2発光素子が2次元マトリクス状に配列された第2発光パネルから成る第2画像形成装置、及び、
(γ)赤色を発光する第3発光素子が2次元マトリクス状に配列された第3発光パネルから成る第3画像形成装置、並びに、
(δ)第1画像形成装置、第2画像形成装置及び第3画像形成装置から出射された光を1本の光路に纏めるための手段(例えば、ダイクロイック・プリズムであり、以下の説明においても同様である)、
を備えており、
第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子のそれぞれの発光/非発光状態を制御する。
【0048】
[画像形成装置−B]
画像形成装置−Bは、
(α)青色を発光する第1発光素子、及び、青色を発光する第1発光素子から出射された出射光の通過/非通過を制御するための第1光通過制御装置[一種のライト・バルブであり、例えば、液晶表示装置やデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、LCOSから構成され、以下の説明においても同様である]から成る第1画像形成装置、
(β)緑色を発光する第2発光素子、及び、緑色を発光する第2発光素子から出射された出射光の通過/非通過を制御するための第2光通過制御装置(ライト・バルブ)から成る第2画像形成装置、及び、
(γ)赤色を発光する第3発光素子、及び、赤色を発光する第3発光素子から出射された出射光の通過/非通過を制御するための第3光通過制御装置(ライト・バルブ)から成る第3画像形成装置、並びに、
(δ)第1光通過制御装置、第2光通過制御装置及び第3光通過制御装置を通過した光を1本の光路に纏めるための手段、
を備えており、
光通過制御装置によってこれらの発光素子から出射された出射光の通過/非通過を制御することで画像を表示する。第1発光素子、第2発光素子、第3発光素子から出射された出射光を光通過制御装置へと案内するための手段(光案内部材)として、導光部材、マイクロレンズアレイ、ミラーや反射板、集光レンズを例示することができる。
【0049】
[画像形成装置−C]
画像形成装置−Cは、
(α)青色を発光する第1発光素子が2次元マトリクス状に配列された第1発光パネル、及び、第1発光パネルから出射された出射光の通過/非通過を制御するための青色光通過制御装置(ライト・バルブ)から成る第1画像形成装置、
(β)緑色を発光する第2発光素子が2次元マトリクス状に配列された第2発光パネル、及び、第2発光パネルから出射された出射光の通過/非通過を制御するための緑色光通過制御装置(ライト・バルブ)から成る第2画像形成装置、
(γ)赤色を発光する第3発光素子が2次元マトリクス状に配列された第3発光パネル、及び、第3発光パネルから出射された出射光の通過/非通過を制御するための赤色光通過制御装置(ライト・バルブ)から成る第3画像形成装置、並びに、
(δ)青色光通過制御装置、緑色光通過制御装置及び赤色光通過制御装置を通過した光を1本の光路に纏めるための手段を備えており、
光通過制御装置(ライト・バルブ)によってこれらの第1発光パネル、第2発光パネル及び第3発光パネルから出射された出射光の通過/非通過を制御することで画像を表示する。
【0050】
[画像形成装置−D]
画像形成装置−Dは、フィールドシーケンシャル方式のカラー表示の画像形成装置であり、
(α)青色を発光する第1発光素子を備えた第1画像形成装置、
(β)緑色を発光する第2発光素子を備えた第2画像形成装置、及び、
(γ)赤色を発光する第3発光素子を備えた第3画像形成装置、並びに、
(δ)第1画像形成装置、第2画像形成装置及び第3画像形成装置から出射された光を1本の光路に纏めるための手段、更には、
(ε)1本の光路に纏めるための手段から出射された光の通過/非通過を制御するための光通過制御装置(ライト・バルブ)、
を備えており、
光通過制御装置によってこれらの発光素子から出射された出射光の通過/非通過を制御することで画像を表示する。
【0051】
[画像形成装置−E]
画像形成装置−Eも、フィールドシーケンシャル方式のカラー表示の画像形成装置であり、
(α)青色を発光する第1発光素子が2次元マトリクス状に配列された第1発光パネルから成る第1画像形成装置、
(β)緑色を発光する第2発光素子が2次元マトリクス状に配列された第2発光パネルから成る第2画像形成装置、及び、
(γ)赤色を発光する第3発光素子が2次元マトリクス状に配列された第3発光パネルから成る第3画像形成装置、並びに、
(δ)第1画像形成装置、第2画像形成装置及び第3画像形成装置のそれぞれから出射された光を1本の光路に纏めるための手段、更には、
(ε)1本の光路に纏めるための手段から出射された光の通過/非通過を制御するための光通過制御装置(ライト・バルブ)、
を備えており、
光通過制御装置によってこれらの発光パネルから出射された出射光の通過/非通過を制御することで画像を表示する。
【0052】
[画像形成装置−F]
画像形成装置−Fは、第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子のそれぞれの発光/非発光状態を制御することで画像を表示する、パッシブマトリックスタイプあるいはアクティブマトリックスタイプのカラー表示の画像形成装置である。
【0053】
[画像形成装置−G]
画像形成装置−Gは、2次元マトリクス状に配列された発光素子ユニットからの出射光の通過/非通過を制御するための光通過制御装置(ライト・バルブ)を備えており、発光素子ユニットにおける第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子のそれぞれの発光/非発光状態を時分割制御し、更に、光通過制御装置によって第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子から出射された出射光の通過/非通過を制御することで画像を表示する、フィールドシーケンシャル方式のカラー表示の画像形成装置である。
【0054】
本発明の画像表示装置を構成するコリメート光学系として、凸レンズ、凹レンズ、自由曲面プリズム、ホログラムレンズを、単独、若しくは、組み合わせた、全体として正の光学的パワーを持つ光学系を例示することができる。
【0055】
本発明の画像表示装置によって、例えば、HMD(Head Mounted Display)を構成することができ、装置の軽量化、小型化を図ることができ、装置装着時の不快感を大幅に軽減させることが可能となるし、更には、製造コストダウンを図ることも可能となる。
【発明の効果】
【0056】
本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る画像表示装置にあっては、中心光は、XiYi平面に対して光学的に平行であり、且つ、XiZi平面に対して鋭角にて交わっている。それ故、導光板に入射し、第1回折格子部材内に形成された干渉縞と衝突する光にあっては、干渉縞への単位入射角当たりのブラッグ波長の変化量を小さくすることができる結果、色ムラの発生を効果的に防止することができ、高い表示品質を有する画像表示装置を提供することができる。
【0057】
本発明の第3の態様あるいは第4の態様に係る画像表示装置にあっては、第2回折格子部材の厚さは、第1回折格子部材の厚さよりも薄い。また、本発明の第5の態様あるいは第6の態様に係る画像表示装置にあっては、第2回折格子部材の最大回折効率の値は、第1回折格子部材の最大回折効率の値よりも小さい。それ故、導光板の軸線方向の瞳径を大きくとることができ、しかも、導光板の軸線方向の瞳位置によって表示画像の明るさが著しく変化してしまうという課題を解決することができ、光利用効率を著しく低下させることなく、輝度の均一性の高い画像表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。
【実施例1】
【0059】
実施例1は、本発明の第1の態様に係る画像表示装置、より具体的には、第1−Aの構成の画像表示装置に関する。実施例1の画像表示装置は、概念図を図1に示すように、
(A)2次元マトリクス状に配列された複数の画素を備えた画像形成装置11、
(B)画像形成装置11の画素から出射された光を平行光とするコリメート光学系12、及び、
(C)コリメート光学系12にて進行方位の異なる複数の平行光とされた光が入射され、導光され、出射される光学装置20、
を備えている。そして、光学装置20は、
(a)入射された光(より具体的には、進行方位の異なる複数の平行光束から成る平行光束群)が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板21、
(b)導光板21に入射された光(平行光束群)が導光板21の内部で全反射されるように、導光板21に入射された光(平行光束群)を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板21に配設された第1回折格子部材30、及び、
(c)導光板21の内部を全反射により伝播した光(平行光束群)を回折反射し、導光板21から出射する(より具体的には、平行光束群のまま出射する)、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板21に配設された第2回折格子部材40、
を備えている。尚、導光板21から出射された光は、観察者(画像観察者)の瞳50の位置(瞳位置)に入射する。
【0060】
ここで、実施例1、あるいは、後述する実施例2〜実施例6にあっては、第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40を、異なるP種類(具体的には、P=3であり、赤色、緑色、青色の3種類)の波長帯域(あるいは、波長)を有するP種類の光の回折反射に対応させるために、反射型体積ホログラム回折格子から成るP層の回折格子層が積層されて成る構成としている。尚、フォトポリマー材料から成る各回折格子層には、1種類の波長帯域(あるいは、波長)に対応する干渉縞が形成されており、従来の方法で作製されている。より具体的には、赤色の光を回折反射する回折格子層と、緑色の光を回折反射する回折格子層と、青色の光を回折反射する回折格子層とが積層された構造を、第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40は有する。回折格子層(回折光学素子)に形成された干渉縞のピッチは一定であり、干渉縞は直線状であり、Z軸方向に平行である。尚、図1においては、第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40を1層で示した。このような構成を採用することで、各波長帯域(あるいは、波長)を有する光が第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40において回折反射されるときの回折効率の増加、回折受容角の増加、回折角の最適化を図ることができる。
【0061】
実施例1において、画像形成装置11は、例えば、2次元マトリクス状に配列された複数(例えば、Yi軸方向に沿ってJ個、Zi軸方向に沿ってK個、即ち、J×K=320×240個)の画素(液晶セル)を備えた液晶表示装置(LCD)から構成され、コリメート光学系12は、例えば、凸レンズから構成され、進行方位の異なる複数の平行光を生成させるために、コリメート光学系12における焦点距離の所(位置)に画像形成装置11が配置されている。また、1画素は、赤色を出射する赤色発光副画素、緑色を出射する緑色発光副画素、及び、青色を出射する青色発光副画素から構成されている。後述する実施例2、実施例5においても同様である。
【0062】
ここで、導光板21は、導光板21の軸線と平行に延びる2つの平行面(第1面22及び第2面23)を有している。尚、Yi軸とYo軸とは一致しており、Xi軸とXo軸(これらを2点鎖線で図示する)とは平行であり、Zi軸とZo軸とは平行である。尚、Xi軸は、第1回折格子部材30の中心を原点Oiとし、原点Oiを通る第1回折格子部材30の法線であって、コリメート光学系側に向かう方向を正方向とする法線であり、Xo軸は、第2回折格子部材40の中心を第2の原点Ooとし、第2の原点Ooを通る第2回折格子部材40の法線であって、光の出射方向を正方向とする法線である。ここで、第1面22と第2面23とは対向している。そして、第1面22から平行光が入射され、内部を全反射により伝播した後、第1面22から出射される。第1回折格子部材30は、導光板21の第2面23に配設されており、第1面22から導光板21に入射されたこの平行光が導光板21の内部で全反射されるように、導光板21に入射されたこの平行光を回折反射する。更には、第2回折格子部材40は、導光板21の第2面23に配設されており、導光板21の内部を全反射により伝播したこの平行光を、複数回、回折反射し、導光板21から平行光のまま第1面22から出射する。但し、これに限定するものではなく、第2面23によって導光板入射面が構成され、第1面22によって導光板出射面が構成されていてもよい。
【0063】
そして、実施例1において、導光板21にあっては、赤色、緑色及び青色の3色の平行光が内部を全反射により伝播した後、出射される。このとき、導光板21が薄く導光板21の内部を進行する光路が長いため、各画角によって第2回折格子部材40に至るまでの全反射回数は異なっている。より詳細に述べれば、導光板21に入射する平行光のうち、第2回折格子部材40に近づく方向の角度をもって入射する平行光の反射回数は、第2回折格子部材40から離れる方向の角度をもって導光板21に入射する平行光の反射回数よりも少ない。これは、第1回折格子部材30において回折反射される平行光であって、第2回折格子部材40に近づく方向の角度をもって導光板21に入射する平行光の方が、これと逆方向の角度をもって導光板21に入射する平行光よりも、導光板21の内部を伝播していく光が導光板21の内面と衝突するときの導光板21の法線と成す角度が小さくなるからである。また、第2回折格子部材40の内部に形成された干渉縞の形状と、第1回折格子部材30の内部に形成された干渉縞の形状とは、導光板21の軸線に垂直な仮想面に対して対称な関係にある。
【0064】
後述する実施例2〜実施例6における導光板21も、基本的には、以上に説明した導光板21の構成、構造と同じ構成、構造を有する。
【0065】
実施例1の画像表示装置にあっては、画像形成装置11の中心の画素から出射され、コリメート光学系12の中心を通過する中心光CLは、XiYi平面に対して光学的に平行であり、且つ、XiZi平面に対して鋭角にて交わっている。即ち、実施例1にあっては、中心光・入射角θi-Cは、XiYiZi座標系において90度未満の正の値(より具体的には90度−70度=20度)を有する。また、中心光CLは、導光板21内で全反射され(中心光・全反射角:をθRef)、第2回折格子部材40において回折反射され、中心光・出射角θo-Cにて導光板21から出射する。
【0066】
このように、実施例1にあっては、コリメート光学系12の光軸は、XiYi平面に対して平行であり(より具体的には、XiYi平面内に位置し)、且つ、XiZi平面に対して鋭角(具体的には、90度−θi-C=70度)にて交わっている。そして、コリメート光学系12の光軸は、光学的に、画像形成装置11の中心を通過する。尚、実施例1にあっては、コリメート光学系12の光軸の延長線上に、画像形成装置11の中心が位置するが、これに限定するものではなく、種々の光学系を介して、コリメート光学系12の光軸が、光学的に、画像形成装置11の中心を通過する形態としてもよい。また、コリメート光学系12の光軸上を伝播する光は、第1回折格子部材30の中心である原点Oiに入射するが、係る光は、コリメート光学系12から導光板21に直接入射してもよいし、コリメート光学系12から各種の光学系を介して導光板21に入射してもよい。
【0067】
更には、中心光CLに相当する導光板21から出射された光は、XoYo平面に対して光学的に平行であり、且つ、XoZo平面に対して鈍角にて交わっている。そして、上述したとおり、第2回折格子部材40の内部に形成された干渉縞の形状と、第1回折格子部材30の内部に形成された干渉縞の形状とは、導光板21の軸線に垂直な仮想面に対して対称な関係にあるので、中心光・出射角θo-Cの値は、XoYoZo座標系において90度を超える値(具体的には、−20度)であり、中心光・入射角θi-Cの絶対値と中心光・出射角θo-Cの絶対値とは等しい。後述する実施例2〜実施例6においても同様である。
【0068】
Yi軸は、第1回折格子部材30に形成された干渉縞と光学的に直交している。更には、Yo軸は、第2回折格子部材40に形成された干渉縞と光学的に直交している。後述する実施例2〜実施例6においても同様である。
【0069】
そして、図2に概念図を示すように、中心光CLに相当する導光板21から出射された光は、観察者の2つの瞳50の中心を結ぶ直線に直交している。尚、微調整のため、例えば90度±2度とする場合があり得るので、「直交している」という概念には、「90度±2度」の範囲が包含される。後述する実施例2〜実施例4においても同様である。尚、図2においては、2組の画像表示装置を表示しており、一方の画像表示装置は右目用であり、他方の画像表示装置は左目用である。右目用の画像表示装置と左目用の画像表示装置とは、同じ画像を表示してもよいし、異なる画像(例えば、立体像を表示し得る画像)を表示してもよい。但し、片側の目にのみ装着してもよいことは勿論である。ここで、画像表示装置はHMDとして機能する。
【0070】
尚、実施例1においては、導光板21内を伝播していく中心光CLが導光板21の内面と衝突するときの角度が、中心光・入射角θi-Cを0度とした従来の画像表示装置に備えられた第1回折格子部材における干渉縞にて回折反射され、導光板内を伝播していく光が導光板の内面と衝突するときの角度θRefと同じ角度となるように、第1回折格子部材30における干渉縞を設計している。第2回折格子部材40においても、同じ干渉縞が設けられている。後述する実施例2〜実施例6においても、特段の断りがない限り、同様である。
【0071】
図3に、画角θを−6度から+6度としたときの波長480nm乃至560nmの光の回折効率分布を示す。ここで、シミュレーションの条件を、導光板21の屈折率を1.527、中心光(波長522nm)が導光板21内を伝播していくときの全反射角を68度としている。図3からも明らかなように、画角に対応して回折スペクトルが決まっている。例えば、画角θ=+6度の場合、回折スペクトルの中心波長(ブラッグ波長)は502nm付近に存在しているが(図4の(A)参照)、画角θ=0度の場合、回折スペクトルの中心波長(ブラッグ波長)は522nm付近に存在し(図4の(B)参照)、画角θ=−6度の場合、回折スペクトルの中心波長(ブラッグ波長)は536nm付近に存在する(図5参照)。即ち、ブラッグ波長は、34nm程度変化する。この変化量は、従来の技術において説明した変化量(48nm)よりも格段に小さな値である。そして、このように、干渉縞への単位入射角当たりのブラッグ波長の変化量を小さくすることができる結果、色ムラの発生を効果的に防止することができ、高い表示品質を有する画像表示装置を提供することができる。
【実施例2】
【0072】
実施例2は、実施例1の変形であり、具体的には、第1−Bの構成の画像表示装置210に関する。即ち、図6に概念図を示すように、実施例2にあっては、コリメート光学系212の光軸はXi軸と平行である。そして、コリメート光学系212の光軸は、光学的に、画像形成装置211の中心から外れた位置を通過する。このような構成とすることで、中心光CLは、XiYi平面に対して光学的に平行であり、且つ、XiZi平面に対して鋭角にて交わるようになる。具体的には、実施例2にあっても、中心光・入射角θi-Cは20度である。
【0073】
ここで、コリメート光学系212の焦点距離をfとし、コリメート光学系212の焦点の所に画像形成装置211が位置しているとする。また、コリメート光学系212の光軸は、光学的に、画像形成装置211の中心から外れた位置を通過するが、コリメート光学系212の光軸から画像形成装置211の中心までの距離(実施例2にあっては、Yi軸に沿った距離)をOsとする。ここで、中心光・入射角θi-Cの光が導光板21に入射したときの入射角をθ’i-C(この角度は、図25の(B)に図示した角度ψと等しい)、導光板21の屈折率をnとすると、以下の関係式が成立する。
【0074】
sin(θi-C)=n・sin(θ’i-C)
tan(θi-C)=Os/f
【0075】
従って、
arctan(Os/f)=arcsin(n・sin(θ’i-C)) (1)
が成立する。それ故、所望のθ’i-Cを得るためには、上記の式(1)を満足するように、Os及びfの値を設計すればよい。
【0076】
以上の点を除き、実施例2の画像表示装置の構成、構造は、実施例1の画像表示装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【実施例3】
【0077】
実施例3は、本発明の第2の態様、より具体的には、第2−Aの構成の画像表示装置に関する。実施例3の画像表示装置310は、光源及び走査光学系の部分を図7に示し、画像表示装置の一部分の概念図を図8に示すように、
(A)光源300、
(B)光源300から出射された光を走査して、2次元マトリクス状に配列された仮想の画素を形成する走査光学系305、及び、
(C)走査光学系305からの光が入射され、導光され、出射される光学装置20、
を備えている。
【0078】
尚、光源300及び走査光学系305の部分を除いた画像表示装置310の他の構成要素は、実質的に、実施例1において説明した画像表示装置10と同様とすることができる。即ち、光学装置20は、実施例1と同様に、
(a)入射された光(より具体的には、進行方位の異なる複数の平行光束から成る平行光束群)が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板21、
(b)導光板21に入射された光(平行光束群)が導光板21の内部で全反射されるように、導光板21に入射された光(平行光束群)を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板21に配設された第1回折格子部材30、及び、
(c)導光板21の内部を全反射により伝播した光(平行光束群)を回折反射し、導光板21から出射する(より具体的には、平行光束群のまま出射する)、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板21に配設された第2回折格子部材40、
を備えている。尚、導光板21から出射された光は、観察者の瞳50の位置(瞳位置)に入射する。
【0079】
光源300は、フィールドシーケンシャル方式に基づき、作動させられる。具体的には、実施例3の光源300は、図7に模式図を示すように、
(α)赤色を発光する赤色素子301R(例えば、AlGaInP系半導体発光素子やGaN系半導体発光素子。以下においても同じ)、
(β)緑色を発光する緑色発光素子301G(GaN系半導体から成る。以下においても同じ)、及び、
(γ)青色を発光する青色発光素子301B(GaN系半導体から成る。以下においても同じ)、並びに、
(δ)赤色発光素子301R、緑色発光素子301G及び青色発光素子301Bのそれぞれから出射された光を1本の光路に纏めるための手段(例えば、ダイクロイック・プリズム303)、更には、
(ε)1本の光路に纏めるための手段(ダイクロイック・プリズム303)から出射された光の通過/非通過を制御するための光通過制御装置(液晶表示装置)304、
を備えている。発光素子301R,301G,301Bから出射された光は、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂といった透光性物質による導光部材やミラー等の反射体から成る光案内部材302によって案内され、光通過制御装置304に入射する。
【0080】
そして、光通過制御装置304によってこれらの発光素子から出射された出射光の通過/非通過を制御することで画像を表示する、フィールドシーケンシャル方式のカラー表示を行うことができる。光通過制御装置304からは、1画素分の光が出射される。そして、この光は、図示しない光源コリメート光学系を通過し、例えば、Z軸と平行な回転軸307(図面の紙面垂直方向に延びる)の周りを回転する水平走査用ガルバノ・ミラー306、及び、例えば、XY平面に含まれる回転軸309(図面の紙面と平行な方向に延びる)の周りを回転する垂直走査用ガルバノ・ミラー308から成る走査光学系305によって走査され、2次元マトリクス状に配列された仮想の画素が形成される。そして、走査光学系305から出射された光(平行光)は、導光板21の第1面22に入射する。
【0081】
実施例3の画像表示装置にあっては、光源300の中心から出射され、走査光学系305の中心の仮想の画素を通過する中心光は、XiYi平面に対して光学的に平行であり、且つ、XiZi平面に対して鋭角にて交わっている。即ち、実施例3にあっても、中心光・入射角θi-Cは、XiYiZi座標系において90度未満の正の値(より具体的には20度)を有する。
【0082】
ここで、実施例3にあっては、走査光学系305の中心軸は、XiYi平面に対して平行であり(より具体的には、XiYi平面内に位置し)、且つ、XiZi平面に対して鋭角(具体的には、70度)にて交わっている。そして、中心光CLが導光板21に入射する直前における係る中心光CLとYi軸との成す角度は正の値(90゜−θi-C)を有する。ここで、θi-Cの値は、上述したとおり、20度である。尚、実施例3にあっては、走査光学系305の中心軸の延長線上に、光源300の中心が位置している場合もあるし、走査光学系305の中心軸の延長線上に、光源300の中心が位置しない場合もあるが、後者の場合にあっては、種々の光学系を介して、走査光学系305の中心軸が、光学的に、光源300の中心を通過する形態とすればよい。
【0083】
実施例3あるいは次に述べる実施例4の画像表示装置にあっても、実施例1と同様に、干渉縞への単位入射角当たりのブラッグ波長の変化量を小さくすることができる結果、色ムラの発生を効果的に防止することができ、高い表示品質を有する画像表示装置を提供することができる。
【実施例4】
【0084】
実施例4は、実施例3の変形であり、具体的には、第2−Bの構成の画像表示装置に関する。即ち、図9に画像表示装置の一部分の概念図を示すように、実施例4の画像表示装置410にあっては、走査光学系305から出射された光を平行光とするコリメート光学系412を更に備えており、走査光学系305の中心軸は、Xi軸と平行であるが、Xi軸と一致していない。このような構成とすることで、中心光CLが導光板21に入射する直前における係る中心光CLとYi軸との成す角度は正の値(90゜−θi-C)を有するようになる。具体的には、実施例4にあっても、中心光・入射角θi-Cは20度である。
【0085】
以上の点を除き、実施例4の画像表示装置410の構成、構造は、実施例3の画像表示装置310の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。また、前述した式(1)を満足するように、更には、式(A)及び式(B)を考慮して、実施例4の画像表示装置410を設計すればよい。
【実施例5】
【0086】
実施例5は、本発明の第3の態様及び第5の態様に係る画像表示装置に関する。図10に概念図を示す実施例5の画像表示装置510の基本的な構成、構造は、実施例1において説明した画像表示装置10の構成、構造と同様である。そして、実施例5の画像表示装置510において、第2回折格子部材540の厚さは、第1回折格子部材530の厚さよりも薄い。具体的には、第2回折格子部材540の厚さは5μm未満であり、第1回折格子部材530の厚さは5μm以上であり、より具体的には、第2回折格子部材540の厚さは1.7μmであり、第1回折格子部材530の厚さは7μmである。あるいは又、実施例5の画像表示装置において、第2回折格子部材540の最大回折効率の値は、第1回折格子部材530の最大回折効率の値よりも小さい。具体的には、第2回折格子部材540の最大回折効率は50%未満であり、第1回折格子部材530の最大回折効率は50%以上であり、より具体的には、第2回折格子部材540の最大回折効率は30%であり、第1回折格子部材530の最大回折効率は90%である。そして、より一層具体的には、第2回折格子部材540の屈折率変調度Δnは0.04であり、厚さは1.7μmである。また、第1回折格子部材530の屈折率変調度Δnは0.04であり、厚さは7μmである。
【0087】
尚、後述する実施例6においても、第1回折格子部材530及び第2回折格子部材540の仕様は同様である。
【0088】
ここで、実施例5の画像表示装置にあっては、実施例1の画像表示装置と異なり、コリメート光学系512の光軸は、光学的に、Xi軸と一致しており、しかも、コリメート光学系512の光軸は、画像形成装置511の中心を通過する。即ち、中心光・入射角θi-Cは0度である。尚、コリメート光学系512の光軸の延長線上に、Xi軸が存在し、画像形成装置511の中心が位置しているが、これに限定されず、コリメート光学系512の光軸の延長線上に、Xi軸が存在せず、画像形成装置511の中心が位置しない構成とすることもできる。尚、この場合には、種々の光学系を介して、コリメート光学系512の光軸が、光学的に、Xi軸と一致し、あるいは又、画像形成装置511の中心を通過する形態とすればよい。
【0089】
実施例5の画像表示装置の特徴である第2回折格子部材540の厚さと第1回折格子部材530の厚さとの関係を、実施例1において説明した画像表示装置に適用することができるし、実施例2において説明した画像表示装置に適用することもできる。また、実施例5の画像表示装置の特徴である第2回折格子部材の最大回折効率の値と第1回折格子部材の最大回折効率の値との関係を、実施例1において説明した画像表示装置に適用することができるし、実施例2において説明した画像表示装置に適用することもできる。
【0090】
ところで、画像表示装置においては、導光板の厚さを増やすことなく、Yi軸方向に沿った瞳径を大きくするため、同じ全反射角を有する平行光を、第2回折格子部材にて複数回に亙って回折反射し、導光板から出射している。このとき、第2回折格子部材を構成している各々の回折格子の回折効率が高いと、導光板内で全反射を繰り返しながら伝播してきた大分部の光は、第2回折格子部材への第1回目の入射において導光板から出射されてしまい、第2回折格子部材へ第2回目、第3回目に入射し、回折反射される光が著しく少なくなってしまう。これでは、実質的な瞳径の拡大はできない。例えば、第2回折格子部材の最大回折効率が90%であると仮定すると、第1回目の回折反射で90%の光が導光板から出射され、第2回目の回折反射では9%[=(1−0.9)×0.9×100]、第3回目の回折反射では0.9%[=(1−0.9−0.09)×0.9×100]の光が出射され、画像は急激に暗くなっていく。
【0091】
そこで、実施例5においては、第2回折格子部材540の最大回折効率を30%とした。このようにすることで、導光板21を伝播してきた光は、第2回折格子部材540における第1回目の回折反射で30%の光が導光板から出射され、第2回目の回折反射では21%[=(1−0.3)×0.3×100]、第3回目の回折反射では14.7%[=(1−0.3−0.21)×0.3×100]の光が出射される。従って、画像は穏やかに暗くなっていく。
【0092】
逆に、第1回折格子部材530においては、各画角の光は1回の回折反射で導光板21内を伝播していくので、最大回折効率は、一般的に高い方が、光利用効率の点で有利となる。従って、実施例5においては、第1回折格子部材530における最大回折効率を90%に設定している。
【0093】
決められた波長、入射角、回折角で定義された回折格子部材において、回折格子部材の厚さと回折格子部材の屈折率変調度Δnの2つのパラメータの組合せを変えたとき、最大回折効率として30%を得るための、回折格子部材の屈折率変調度Δnと厚さとの関係を図12に示す。シミュレーションの条件を、以下のとおりとした。尚、図12、図13、図14において、括弧内の数字は、左側が回折格子部材の屈折率変調度Δnを表し、右側が回折格子部材の厚さ(単位:μm)を表す。
【0094】
波長 :522nm
中心光・入射角θi-C :0度
中心光・全反射角θRef:68度
導光板の屈折率 :1.527
【0095】
また、回折格子部材の屈折率変調度Δnを一定(0.045)とし、回折格子部材の厚さを変化させたときの回折効率の変化を図13に示し、回折格子部材の厚さを一定(4μm)とし、回折格子部材の屈折率変調度Δnを変化させたときの回折効率の変化を図14に示す。図13から、回折格子部材の厚さが薄いほど、回折効率は低下することが判る。また、図14から、回折格子部材の屈折率変調度Δnが低いほど、回折効率は低下することが判る。
【0096】
更には、最大回折効率30%を得るための回折格子部材の屈折率変調度Δnと厚さとの関係を図15の(A)に示し、最大回折効率30%を得るための回折格子部材の回折スペクトルにおける半値幅(単位:nm)と回折格子部材の厚さとの関係を図15の(B)に示す。回折格子部材の厚さと屈折率変調度Δnとの組合せは、回折格子部材を構成する材料の特性で決まるΔnの最大値以下であれば、任意に選ぶことが可能である。ところで、図15の(A)から、回折格子部材の厚さが薄くなるほど、回折格子部材の屈折率変調度Δnの値は大きくなる。一方、図15の(B)から、回折格子部材の厚さが薄くなるほど(即ち、屈折率変調度Δnが大きくなるほど)、回折効率の回折スペクトル幅は広くなる。
【0097】
以上の結果として、回折格子部材の厚さが薄くなるほど、また、屈折率変調度Δnが大きくなるほど、回折効率は低下し、第2回折格子部材540において、第1回目、第2回目、第3回目・・・に回折反射され、導光板21から出射される光の変化割合を小さくすることができ、画像は穏やかに暗くなっていく。それ故、導光板の軸線方向の瞳径を大きくとることができ、しかも、導光板の軸線方向の瞳位置によって表示画像の明るさが著しく変化してしまうという課題を解決することができ、光利用効率を著しく低下させることなく、輝度の均一性の高い画像表示装置を提供することができる。
【0098】
図24の(A)を参照して説明した問題を低減するための1つの有効な手段として、第2回折格子部材における回折効率の回折スペクトル幅を広げることを挙げることができる。図24の(B)に示すように、回折効率の回折スペクトル幅を広げることにより、光源の発光スペクトル分布と回折効率の積によって決まる主波長の変化を低減することが可能となる。従って、実施例5の画像表示装置を採用することで、画角によるブラッグ波長の変化を低減し、表示画像の色ムラを低減することができる。
【0099】
尚、以上の議論は、次に説明する実施例6の画像表示装置にも当てはまる。
【実施例6】
【0100】
実施例6は、本発明の第4の態様及び第6の態様に係る画像表示装置に関する。実施例6の画像表示装置の基本的な構成、構造は、実施例3において説明した画像表示装置の構成、構造と同様である。そして、実施例6の画像表示装置において、第2回折格子部材540の厚さは、第1回折格子部材530の厚さよりも薄い。また、実施例6の画像表示装置において、第2回折格子部材540の最大回折効率の値は、第1回折格子部材530の最大回折効率の値よりも小さい。
【0101】
ここで、実施例6の画像表示装置にあっては、図11に概念図を示すように、実施例3の画像表示装置と異なり、走査光学系の中心軸は、光学的に、Xi軸と一致している。即ち、中心光・入射角θi-Cは0度である。尚、走査光学系の中心軸の延長線上に、Xi軸が存在している場合もあるし、走査光学系の中心軸の延長線上に、Xi軸が存在しない場合もあるが、後者の場合には、種々の光学系を介して、走査光学系の中心軸が、光学的に、Xi軸と一致する形態とすればよい。
【0102】
実施例6の画像表示装置の特徴である第2回折格子部材540の厚さと第1回折格子部材530の厚さとの関係、あるいは又、第2回折格子部材540の最大回折効率の値と第1回折格子部材530の最大回折効率の値との関係を、実施例3において説明した画像表示装置に適用することができるし、実施例4において説明した画像表示装置に適用することもできる。
【0103】
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定するものではない。実施例において説明した画像表示装置の構成、構造は例示であり、適宜変更することができる。例えば、実施例1〜実施例6において、第1回折格子部材30,530や第2回折格子部材40,540には、各平行光束を構成する異なる波長帯域(あるいは、波長)を有するP種類の光束の回折反射の角度を略同一とするために、P種類の干渉縞が形成されている構成とすることができる。導光板21において、第1回折格子部材30と第2回折格子部材40の上方に空気層を挟んで透明基板(例えば、ガラス基板)を配設してもよく、これによって、導光板21の第2面23、第1回折格子部材30,530及び第2回折格子部材40,540を保護することができる。
【0104】
実施例1、実施例2、実施例5での使用に適した画像形成装置として、例えば、図16に概念図を示したような、半導体発光素子から成る発光素子301が2次元マトリクス状に配列された発光パネルから成り、発光素子301のそれぞれの発光/非発光状態を制御することで、発光素子301の発光状態を直接的に視認させることで画像を表示する、アクティブマトリックスタイプの画像形成装置とすることもできる。この画像形成装置から出射された光は、コリメート光学系12,212,512を介して導光板21に入射される。
【0105】
あるいは又、図17に概念図を示すように、
(α)赤色を発光する赤色発光素子301Rが2次元マトリクス状に配列された赤色発光パネル311R、
(β)緑色を発光する緑色発光素子301Gが2次元マトリクス状に配列された緑色発光パネル311G、及び、
(γ)青色を発光する青色発光素子301Bが2次元マトリクス状に配列された青色発光パネル311B、並びに、
(δ)赤色発光パネル311R、緑色発光パネル311G及び青色発光パネル311Bから出射された光を1本の光路に纏めるための手段(例えば、ダイクロイック・プリズム303)、
を備えており、
赤色発光素子301R、緑色発光素子301G及び青色発光素子301Bのそれぞれの発光/非発光状態を制御するカラー表示の画像形成装置とすることもできる。この画像形成装置から出射された光も、コリメート光学系12,212,512を介して導光板21に入射される。尚、参照番号312は、発光素子から出射された光を集光するためのマイクロレンズである。
【0106】
あるいは又、発光素子301R,301G,301Bが2次元マトリクス状に配列された発光パネル311R,311G,311B等から成る画像形成装置の概念図を図18に示すが、発光パネル311R,311G,311Bから出射された光は、光通過制御装置304R,304G,304Bによって通過/非通過が制御され、ダイクロイック・プリズム303に入射し、これらの光の光路は1本の光路に纏められ、コリメート光学系12,212,512を介して導光板21に入射される。
【0107】
あるいは又、発光素子301R,301G,301Bが2次元マトリクス状に配列された発光パネル311R,311G,311B等から成る画像形成装置の概念図を図19に示すが、発光パネル311R,311G,311Bから出射された光は、ダイクロイック・プリズム303に入射し、これらの光の光路は1本の光路に纏められ、ダイクロイック・プリズム303から出射したこれらの光は光通過制御装置304によって通過/非通過が制御され、コリメート光学系12,212,512を介して導光板21に入射される。
【0108】
あるいは又、図20に示すように、赤色を発光する発光素子301R、及び、赤色を発光する発光素子301Rから出射された出射光の通過/非通過を制御するための一種のライト・バルブである光通過制御装置(例えば、液晶表示装置304R)、緑色を発光する発光素子301G、及び、緑色を発光する発光素子301Gから出射された出射光の通過/非通過を制御するための一種のライト・バルブである光通過制御装置(例えば、液晶表示装置304G)、青色を発光する発光素子301B、及び、青色を発光する発光素子301Bから出射された出射光の通過/非通過を制御するための一種のライト・バルブである光通過制御装置(例えば、液晶表示装置304B)、並びに、これらのGaN系半導体から成る発光素子301R,301G,301Bから出射された光を案内する光案内部材302、及び、1本の光路に纏めるための手段(例えば、ダイクロイック・プリズム303)を備えた画像形成装置とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】図1は、実施例1の画像表示装置の概念図である。
【図2】図2は、実施例1の画像表示装置を2組、観察者が装着した状態を示す概念図である。
【図3】図3は、実施例1の画像表示装置において、画角θを−6度から+6度としたときの波長480nm乃至560nmの光の回折効率分布を示すグラフである。
【図4】図4の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例1の画像表示装置において、画角θ=+6度及び画角θ=0度の場合の回折スペクトルを示すグラフである。
【図5】図5は、実施例1の画像表示装置において、画角θ=−6度の場合の回折スペクトルを示すグラフである。
【図6】図6は、実施例2の画像表示装置の概念図である。
【図7】図7は、実施例3の画像表示装置を構成する光源及び走査光学系を示す概念図である。
【図8】図8は、実施例3の画像表示装置の一部分の概念図である。
【図9】図9は、実施例4の画像表示装置の一部分の概念図である。
【図10】図10は、実施例5の画像表示装置の概念図である。
【図11】図11は、実施例6の画像表示装置の一部分の概念図である。
【図12】図12は、実施例5において、回折格子部材の厚さと回折格子部材の屈折率変調度Δnの2つのパラメータの組合せを変えたとき、最大回折効率として30%を得るための、回折格子部材の屈折率変調度Δnと厚さとの関係を示すグラフである。
【図13】図13は、実施例5において、回折格子部材の屈折率変調度Δnを一定(0.045)とし、回折格子部材の厚さを変化させたときの回折効率の変化を示すグラフである。
【図14】図14は、実施例5において、回折格子部材の厚さを一定(4μm)とし、回折格子部材の屈折率変調度Δnを変化させたときの回折効率の変化を示すグラフである。
【図15】図15の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例5において、最大回折効率30%を得るための回折格子部材の屈折率変調度Δnと厚さとの関係、及び、最大回折効率30%を得るための回折格子部材の回折スペクトルにおける半値幅(単位:nm)と回折格子部材の厚さとの関係を示すグラフである。
【図16】図16は、実施例1、実施例2、実施例5での使用に適した画像形成装置の変形例の概念図である。
【図17】図17は、画像形成装置の別の変形例を示す概念図である。
【図18】図18は、画像形成装置の更に別の変形例を示す概念図である。
【図19】図19は、画像形成装置の更に別の変形例を示す概念図である。
【図20】図20は、画像形成装置の更に別の変形例を示す概念図である。
【図21】図21は、従来の画像表示装置において、画角θを−6度から+6度としたときの波長480nm乃至560nmの光の回折効率分布を示すグラフである。
【図22】図22の(A)及び(B)は、それぞれ、従来の画像表示装置において、画角θ=+6度及び画角θ=0度の場合の回折スペクトルを示すグラフである。
【図23】図23は、従来の画像表示装置において、画角θ=−6度の場合の回折スペクトルを示すグラフである。
【図24】図24の(A)及び(B)は、画角θの違いによる回折効率と回折スペクトルの中心波長との関係を描いたグラフ、及び、光源から出射される光の発光スペクトルを模式的に示すグラフである。
【図25】図25の(A)は、従来の画像表示装置の概念図であり、図25の(B)は、第1回折格子部材の拡大した模式的な一部断面図である。
【符号の説明】
【0110】
10,210,310,410,510,610・・・画像表示装置、11,211,511・・・画像形成装置、12,212,412,520・・・コリメート光学系、20,520・・・光学装置、21・・・導光板、22・・・導光板の第1面、23・・・導光板の第2面、30,530・・・第1回折格子部材、40,540・・・第2回折格子部材、50・・・瞳、300・・・光源、301,301R,301G,301B・・・発光素子、302・・・光案内部材、303・・・ダイクロイック・プリズム、304,304R,304G,304B・・・光通過制御装置、305・・・走査光学系、306・・・水平走査用ガルバノ・ミラー、308・・・垂直走査用ガルバノ・ミラー、307,309・・・回転軸、311R,311G,311B・・・発光パネル、312・・・マイクロレンズ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)2次元マトリクス状に配列された複数の画素を備えた画像形成装置、
(B)画像形成装置の画素から出射された光を平行光とするコリメート光学系、及び、
(C)コリメート光学系にて進行方位の異なる複数の平行光とされた光が入射され、導光され、出射される光学装置、
を備えた画像表示装置であって、
光学装置は、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
(b)導光板に入射された光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された光を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第1回折格子部材、及び、
(c)導光板の内部を全反射により伝播した光を回折反射し、導光板から出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第2回折格子部材、
を備えており、
第1回折格子部材の中心を原点とし、原点を通る第1回折格子部材の法線であって、コリメート光学系側に向かう方向を正方向とする法線をXi軸、原点を通り、Xi軸と直交し、第2回折格子部材側に向かう方向を正方向とする導光板の軸線をYi軸としたとき、
画像形成装置の中心の画素から出射され、コリメート光学系の中心を通過する中心光は、XiYi平面に対して光学的に平行であり、且つ、XiZi平面に対して鋭角にて交わっていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
Yi軸は、第1回折格子部材に形成された干渉縞と光学的に直交することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
コリメート光学系の光軸は、XiYi平面に対して平行であり、且つ、XiZi平面に対して鋭角にて交わっていることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項4】
コリメート光学系の光軸は、光学的に、画像形成装置の中心を通過することを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置。
【請求項5】
コリメート光学系の光軸は、Xi軸と平行であり、
コリメート光学系の光軸は、光学的に、画像形成装置の中心から外れた位置を通過することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項6】
第2回折格子部材の中心を第2の原点とし、第2の原点を通る第2回折格子部材の法線であって、光の出射方向を正方向とする法線をXo軸、第2の原点を通り、Xo軸と直交し、第1回折格子部材から離れる方向を正方向とする導光板の軸線をYo軸としたとき、
中心光に相当する導光板から出射された光は、XoYo平面に対して光学的に平行であり、且つ、XoZo平面に対して鈍角にて交わっていることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項7】
中心光に相当する導光板から出射された光は、観察者の2つの瞳中心を結ぶ直線に直交することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項8】
第2回折格子部材の厚さは、第1回折格子部材の厚さよりも薄いことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項9】
第2回折格子部材の最大回折効率の値は、第1回折格子部材の最大回折効率の値よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項10】
(A)光源、
(B)光源から出射された光を走査して、2次元マトリクス状に配列された仮想の画素を形成する走査光学系、及び、
(C)走査光学系からの平行光が入射され、導光され、出射される光学装置、
を備えた画像表示装置であって、
光学装置は、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
(b)導光板に入射された光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された光を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第1回折格子部材、及び、
(c)導光板の内部を全反射により伝播した光を回折反射し、導光板から出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第2回折格子部材、
を備えており、
第1回折格子部材の中心を原点とし、原点を通る第1回折格子部材の法線であって、走査光学系側に向かう方向を正方向とする法線をXi軸、原点を通り、Xi軸と直交し、第2回折格子部材側に向かう方向を正方向とする導光板の軸線をYi軸としたとき、
光源の中心から出射され、走査光学系の中心の仮想の画素を通過する中心光は、XiYi平面に対して光学的に平行であり、且つ、XiZi平面に対して鋭角にて交わっていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項11】
(A)2次元マトリクス状に配列された複数の画素を備えた画像形成装置、
(B)画像形成装置の画素から出射された光を平行光とするコリメート光学系、及び、
(C)コリメート光学系にて進行方位の異なる複数の平行光とされた光が入射され、導光され、出射される光学装置、
を備えた画像表示装置であって、
光学装置は、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
(b)導光板に入射された光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された光を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第1回折格子部材、及び、
(c)導光板の内部を全反射により伝播した光を回折反射し、導光板から出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第2回折格子部材、
を備えており、
第2回折格子部材の厚さは、第1回折格子部材の厚さよりも薄いことを特徴とする画像表示装置。
【請求項12】
第2回折格子部材の厚さは5μm未満であり、第1回折格子部材の厚さは5μm以上であることを特徴とする請求項11に記載の画像表示装置。
【請求項13】
(A)光源、
(B)光源から出射された光を走査して、2次元マトリクス状に配列された仮想の画素を形成する走査光学系、及び、
(C)走査光学系からの平行光が入射され、導光され、出射される光学装置、
を備えた画像表示装置であって、
光学装置は、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
(b)導光板に入射された光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された光を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第1回折格子部材、及び、
(c)導光板の内部を全反射により伝播した光を回折反射し、導光板から出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第2回折格子部材、
を備えており、
第2回折格子部材の厚さは、第1回折格子部材の厚さよりも薄いことを特徴とする画像表示装置。
【請求項14】
(A)2次元マトリクス状に配列された複数の画素を備えた画像形成装置、
(B)画像形成装置の画素から出射された光を平行光とするコリメート光学系、及び、
(C)コリメート光学系にて進行方位の異なる複数の平行光とされた光が入射され、導光され、出射される光学装置、
を備えた画像表示装置であって、
光学装置は、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
(b)導光板に入射された光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された光を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第1回折格子部材、及び、
(c)導光板の内部を全反射により伝播した光を回折反射し、導光板から出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第2回折格子部材、
を備えており、
第2回折格子部材の最大回折効率の値は、第1回折格子部材の最大回折効率の値よりも小さいことを特徴とする画像表示装置。
【請求項15】
第2回折格子部材の最大回折効率は50%未満であり、第1回折格子部材の最大回折効率は50%以上であることを特徴とする請求項14に記載の画像表示装置。
【請求項16】
(A)光源、
(B)光源から出射された光を走査して、2次元マトリクス状に配列された仮想の画素を形成する走査光学系、及び、
(C)走査光学系からの平行光が入射され、導光され、出射される光学装置、
を備えた画像表示装置であって、
光学装置は、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
(b)導光板に入射された光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された光を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第1回折格子部材、及び、
(c)導光板の内部を全反射により伝播した光を回折反射し、導光板から出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第2回折格子部材、
を備えており、
第2回折格子部材の最大回折効率の値は、第1回折格子部材の最大回折効率の値よりも小さいことを特徴とする画像表示装置。
【請求項1】
(A)2次元マトリクス状に配列された複数の画素を備えた画像形成装置、
(B)画像形成装置の画素から出射された光を平行光とするコリメート光学系、及び、
(C)コリメート光学系にて進行方位の異なる複数の平行光とされた光が入射され、導光され、出射される光学装置、
を備えた画像表示装置であって、
光学装置は、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
(b)導光板に入射された光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された光を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第1回折格子部材、及び、
(c)導光板の内部を全反射により伝播した光を回折反射し、導光板から出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第2回折格子部材、
を備えており、
第1回折格子部材の中心を原点とし、原点を通る第1回折格子部材の法線であって、コリメート光学系側に向かう方向を正方向とする法線をXi軸、原点を通り、Xi軸と直交し、第2回折格子部材側に向かう方向を正方向とする導光板の軸線をYi軸としたとき、
画像形成装置の中心の画素から出射され、コリメート光学系の中心を通過する中心光は、XiYi平面に対して光学的に平行であり、且つ、XiZi平面に対して鋭角にて交わっていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
Yi軸は、第1回折格子部材に形成された干渉縞と光学的に直交することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
コリメート光学系の光軸は、XiYi平面に対して平行であり、且つ、XiZi平面に対して鋭角にて交わっていることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項4】
コリメート光学系の光軸は、光学的に、画像形成装置の中心を通過することを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置。
【請求項5】
コリメート光学系の光軸は、Xi軸と平行であり、
コリメート光学系の光軸は、光学的に、画像形成装置の中心から外れた位置を通過することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項6】
第2回折格子部材の中心を第2の原点とし、第2の原点を通る第2回折格子部材の法線であって、光の出射方向を正方向とする法線をXo軸、第2の原点を通り、Xo軸と直交し、第1回折格子部材から離れる方向を正方向とする導光板の軸線をYo軸としたとき、
中心光に相当する導光板から出射された光は、XoYo平面に対して光学的に平行であり、且つ、XoZo平面に対して鈍角にて交わっていることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項7】
中心光に相当する導光板から出射された光は、観察者の2つの瞳中心を結ぶ直線に直交することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項8】
第2回折格子部材の厚さは、第1回折格子部材の厚さよりも薄いことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項9】
第2回折格子部材の最大回折効率の値は、第1回折格子部材の最大回折効率の値よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項10】
(A)光源、
(B)光源から出射された光を走査して、2次元マトリクス状に配列された仮想の画素を形成する走査光学系、及び、
(C)走査光学系からの平行光が入射され、導光され、出射される光学装置、
を備えた画像表示装置であって、
光学装置は、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
(b)導光板に入射された光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された光を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第1回折格子部材、及び、
(c)導光板の内部を全反射により伝播した光を回折反射し、導光板から出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第2回折格子部材、
を備えており、
第1回折格子部材の中心を原点とし、原点を通る第1回折格子部材の法線であって、走査光学系側に向かう方向を正方向とする法線をXi軸、原点を通り、Xi軸と直交し、第2回折格子部材側に向かう方向を正方向とする導光板の軸線をYi軸としたとき、
光源の中心から出射され、走査光学系の中心の仮想の画素を通過する中心光は、XiYi平面に対して光学的に平行であり、且つ、XiZi平面に対して鋭角にて交わっていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項11】
(A)2次元マトリクス状に配列された複数の画素を備えた画像形成装置、
(B)画像形成装置の画素から出射された光を平行光とするコリメート光学系、及び、
(C)コリメート光学系にて進行方位の異なる複数の平行光とされた光が入射され、導光され、出射される光学装置、
を備えた画像表示装置であって、
光学装置は、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
(b)導光板に入射された光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された光を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第1回折格子部材、及び、
(c)導光板の内部を全反射により伝播した光を回折反射し、導光板から出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第2回折格子部材、
を備えており、
第2回折格子部材の厚さは、第1回折格子部材の厚さよりも薄いことを特徴とする画像表示装置。
【請求項12】
第2回折格子部材の厚さは5μm未満であり、第1回折格子部材の厚さは5μm以上であることを特徴とする請求項11に記載の画像表示装置。
【請求項13】
(A)光源、
(B)光源から出射された光を走査して、2次元マトリクス状に配列された仮想の画素を形成する走査光学系、及び、
(C)走査光学系からの平行光が入射され、導光され、出射される光学装置、
を備えた画像表示装置であって、
光学装置は、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
(b)導光板に入射された光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された光を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第1回折格子部材、及び、
(c)導光板の内部を全反射により伝播した光を回折反射し、導光板から出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第2回折格子部材、
を備えており、
第2回折格子部材の厚さは、第1回折格子部材の厚さよりも薄いことを特徴とする画像表示装置。
【請求項14】
(A)2次元マトリクス状に配列された複数の画素を備えた画像形成装置、
(B)画像形成装置の画素から出射された光を平行光とするコリメート光学系、及び、
(C)コリメート光学系にて進行方位の異なる複数の平行光とされた光が入射され、導光され、出射される光学装置、
を備えた画像表示装置であって、
光学装置は、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
(b)導光板に入射された光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された光を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第1回折格子部材、及び、
(c)導光板の内部を全反射により伝播した光を回折反射し、導光板から出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第2回折格子部材、
を備えており、
第2回折格子部材の最大回折効率の値は、第1回折格子部材の最大回折効率の値よりも小さいことを特徴とする画像表示装置。
【請求項15】
第2回折格子部材の最大回折効率は50%未満であり、第1回折格子部材の最大回折効率は50%以上であることを特徴とする請求項14に記載の画像表示装置。
【請求項16】
(A)光源、
(B)光源から出射された光を走査して、2次元マトリクス状に配列された仮想の画素を形成する走査光学系、及び、
(C)走査光学系からの平行光が入射され、導光され、出射される光学装置、
を備えた画像表示装置であって、
光学装置は、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
(b)導光板に入射された光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された光を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第1回折格子部材、及び、
(c)導光板の内部を全反射により伝播した光を回折反射し、導光板から出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第2回折格子部材、
を備えており、
第2回折格子部材の最大回折効率の値は、第1回折格子部材の最大回折効率の値よりも小さいことを特徴とする画像表示装置。
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図22】
【図23】
【図25】
【図3】
【図21】
【図24】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図22】
【図23】
【図25】
【図3】
【図21】
【図24】
【公開番号】特開2009−133998(P2009−133998A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−309044(P2007−309044)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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