説明

画像表示装置

【課題】 光学センサを搭載したとしても額縁部分の大型化を防止することのできる画像表示装置を提供する。
【解決手段】 画像表示装置は、画像を表示する画像表示領域を有する表示パネルと、画像表示領域を覆うように設けられた透明絶縁性基板と、を備えている。透明な導電性部材からなる第一電極と、第一電極上に成膜され所定の波長の光を吸収することにより導電性が変化する光導電性膜と、第一電極と重なるように前記光導電性膜上に成膜された透明な導電性部材からなる第二電極と、を有する光学センサが、画像表示領域の内側に設けられた所定の領域に重なるように透明絶縁性基板上に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置に係り、特にデジタル画像を順次切り替えながら表示することのできる画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル画像を順次切り替えて表示させる画像表示装置としてデジタルフォトフレーム(デジタル写真立て)が知られている。このデジタルフォトフレームでは、複数の画像データをメモリや記憶装置に入力すると、所定の間隔で順番に、又は、ランダムにこれらの画像をデジタルフォトフレームのディスプレイ上に表示させることができる。
近年、このようなデジタルフォトフレームにおいては、画像の表示されない額縁部分に光学センサを設け、その光学センサによってデジタルフォトフレーム前に人物が存在しているか否かを判断し、存在しているときだけデジタル画像を表示できるデジタルフォトフレームが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−224715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、光学センサが額縁部分に搭載される構成であると、光学センサの設置面積を確保する必要があるため額縁部分がどうしても大きくなってしまっていた。額縁部分が大型になってしまうと、デジタルフォトフレームの外形サイズを保つ場合には画像表示領域が狭くなってしまうし、画像表示領域の外形サイズを保つ場合にはデジタルフォトフレームの外形サイズが大きくなってしまう。
このため、本発明の課題は、光学センサを搭載したとしても額縁部分の大型化を防止することのできる画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するため、本発明の一の態様によれば、
画像を表示する画像表示領域を有する表示パネルと、
前記画像表示領域を覆うように設けられた透明絶縁性基板と、を備え、
透明な導電性部材からなる第一電極と、
前記第一電極上に成膜され所定の波長の光を吸収することにより導電性が変化する光導電性膜と、
前記第一電極と重なるように前記光導電性膜上に成膜された透明な導電性部材からなる第二電極と、を有する光学センサが、前記画像表示領域の内側に設けられた所定の領域に重なるように前記透明絶縁性基板上に配置されていることを特徴とする画像表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、光学センサを搭載したとしても額縁部分の大型化を防止することのできる画像表示装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態に係る画像表示装置としてのデジタルフォトフレームの概略構成を示す正面図である。
【図2】図1のII-II切断線から見た模式断面図である。
【図3】図1のデジタルフォトフレームに備わる光学センサの概略構成を示す模式断面図である。
【図4】図3の光学センサを製造する際の一工程を示す断面図である。
【図5】図3の光学センサを製造する際の一工程を示す断面図である。
【図6】図3の光学センサを製造する際の一工程を示す断面図である。
【図7】図3の光学センサを製造する際の一工程を示す断面図である。
【図8】図3の光学センサを製造する際の一工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0009】
図1は、本実施形態に係る画像表示装置としてのデジタルフォトフレーム1の概略構成を示す正面図である。また、図2は、図1のII−II切断線から見た模式断面図である。図1及び図2に示すように、デジタルフォトフレーム1は、画像を表示する表示部2と、表示部2の表示面を覆う透明絶縁性基板である保護ガラス3と、表示部2及び保護ガラス3を収容するカバー4とを備えている。
【0010】
表示部2は、画像表示領域21を有した例えば液晶パネルや有機ELパネルなどの表示パネル22と、表示パネル22の各種制御を行う制御装置23とを備えている。
保護ガラス3は、表示パネル22の画像表示領域21を上側から覆うように、表示パネル22上に重ねられている。なお、使用者は上側から表示パネル22を観察する。
カバー4は、表示部2及び保護ガラス3の側方を囲む額縁部41と、表示部2の背面を覆う背面板42とを備えている。
【0011】
そして、表示パネル22の画像表示領域21の内側に設けられた所定の領域に重なるように、保護ガラス3上に光学センサ5が設けられている。
図3は光学センサ5の概略構成を示す模式断面図である。図3に示すように、光学センサ5は、電極板51と、光導電性膜52と、透明電極膜53と、第一透明絶縁性保護膜54と、引き出し線55,56と、第二透明絶縁性保護膜57と、平坦化膜58とを備える。なお、図3では便宜上、光学センサ3を誇張して標記している。
電極板51は、第一の引き出し線である引き出し線55と導通しており、光学センサ5の一方の電極(第一電極)となる。電極板51には、例えば透明な導電性部材を用いることができる。
【0012】
本実施形態の光導電性膜52は可視光は透過するが、紫外光は吸収する透明な物質からなり、電極板51の表面に形成されている。また、光導電性膜52には、電極板51の引き出し線55との接続部を露出させるコンタクトホール52aが設けられている。なお、本実施形態では、可視光は波長380nm超750nm以下の光のことを指し、紫外光は波長380nm以下の光のことを指す。
光導電性膜52は光が当たらない状態では絶縁性であるが、光が当たると所定の波長領域の光を吸収し内部光電効果により導電性が増す。このような性質の光導電性膜52として、例えば、ZnO、MgZn1−xO(0<x<1)、TiO、Al、Ga、MgO、In、Ga、β−Ga、(Ga1−xIn(0<x<1)、AlN、AlGa1―xN(0<x<1)、GaN、C(ダイヤモンド)等からなる非結晶性の薄膜を用いることができる。光導電性膜52の材料は、検出する光の波長によって適宜選択することができる。例として記載すると、紫外領域を検出するためには例えば、ZnOを用いればよく、深紫外領域を検出するためには例えば、GaやAlGa1−xN(0<x<1)等を用いればよい。
【0013】
非結晶性の薄膜の成膜方法としては、例えば、スプレー法(Ga)、スパッタ法(ZnO、MgZn1−xO(0<x<1)、TiO、Al)、ミストCVD(Chemical vapor deposition)法(ZnO、Ga、MgZn1−xO(0<x<1)、MgO、CdO、TiO、Al)、減圧CVD法(ZnO)、常圧CVD法(ZnO)、ゾルゲル法(Ga、(Ga1−xIn(0<x<1)、ZnO)、MOVPE(Metalorganic vapor phase epitaxy;有機金属化学気相エピタキシー)法(AlGa1−xN(0<x<1)、AlN、GaN、ZnO)、HVPE法(Hydride vapar phase epitaxy:ハイドライド気相エピタキシー)法(AlGa1−xN(0<x<1)、AlN、GaN、ZnO)、MBE法(Molecular beam epitaxy;分子線エピタキシー)法(AlGa1−xN(0<x<1)、AlN、GaN、ZnO)、マイクロ波プラズマCVD法(C;ダイヤモンド)等の低温堆積法を適用することができる。また、上述の各材料を非結晶性の薄膜に形成することができる場合は、上述した成膜方法以外の成膜方法を当該材料に適用してもよい。
【0014】
例えば、ZnOを成膜する場合には、酢酸亜鉛を酸化雰囲気で分解して成膜する。同様に、GaやMgZn1−xO(0<x<1)を成膜する場合には、それぞれの金属の硝酸化合物、酢酸化合物等を水に溶解させて原料として、ミストCVD法等で生成することができる。
【0015】
透明電極膜53は、光導電性膜52上に形成されている。透明電極膜53は、第二の引き出し線である引き出し線56と導通しており、光学センサ5の他方の電極(第二電極)となる。また、透明電極膜53には、コンタクトホール52aと同じ位置に電極板51の引き出し線55との接続部を露出させるコンタクトホール53aが設けられている。
【0016】
透明電極膜53は光導電性膜52の導電性を変化させる波長の光を透過させる、導電性をもった透明な導電部材からなる。透明電極膜53として、例えばPt、Al、Au等の金属薄膜を用いることができる。金属薄膜の厚さが充分に薄ければ、光学センサ5を所望の感度に維持できる程度に上記の波長の光を透過させることができ、これによって、上記の波長の光に対する透明電極膜53の透明性を確保することができる。金属薄膜は、例えば光導電性膜52が形成された電極板51を自転または公転させながらスパッタリングすることで形成することができる。
【0017】
あるいは、PEDOT−PSS等の導電性ポリマーからなる薄膜を透明電極膜53としてもよい。
あるいは、光導電性膜52の表面に不純物を導入することで、光導電性膜52の表面を透明電極膜53にしてもよい。あるいは、GaまたはMgZn1−xO(0<x<1)等からなる非結晶性の薄膜を減圧CVD法やミストCVD法により形成して透明電極膜53としてもよい。
あるいは、透明電極膜53としてITOをスパッタ法などで光導電性膜52上に成膜してもよい。
【0018】
光導電性膜52と透明電極膜53の材料の組み合わせにより、所望の波長に対する感度を得ることができる。ここで、光導電性膜52と透明電極膜53の材料の組み合わせと、検出されるピーク波長について例示する。
光導電性膜52にMg0.35Zn0.65O、透明電極膜53にPtを用いた場合の検出ピーク波長は、250nmである。
光導電性膜52にZnO、透明電極膜53にPtを用いた場合の検出ピーク波長は、380nmである。
光導電性膜52にC(ダイヤモンド)、透明電極膜53にPtまたはAlを用いた場合の検出ピーク波長は、190nmである。
光導電性膜52にGa、透明電極膜53にPEDOT−PSSを用いた場合の検出ピーク波長は、250nmである。
光導電性膜52にAl0.43Ga0.57N、透明電極膜53にPt、Auを用いた場合の検出ピーク波長は、270nmである。
光導電性膜52にβ−Ga、透明電極膜53にAuを用いた場合の検出ピーク波長は、210〜250nmである。
【0019】
第一透明絶縁性保護膜54は、電極板51の光導電性膜52及び透明電極膜53が形成された面全体を被覆するように成膜されている。第一透明絶縁性保護膜54は静電気など光以外の原因により光導電性膜52の導電性が変化することを防止する。
なお、第一透明絶縁性保護膜54には、コンタクトホール52a,53aと同じ位置に、電極板51の引き出し線55との接続部を露出させるコンタクトホール54aが形成されている。コンタクトホール54aはコンタクトホール52a,53aよりも小さい。このため、光導電性膜52及び透明電極膜53はコンタクトホール54aにおいて露出せず、第一透明絶縁性保護膜54により被覆されている。
また、第一透明絶縁性保護膜54には、透明電極膜53の引き出し線56との接続部を露出させるコンタクトホール54bが形成されている。
第一透明絶縁性保護膜54には、例えば透明な窒化珪素(SiN)を用いることができ、例えば減圧CVD法により成膜することができる。
【0020】
第二透明絶縁性保護膜57は、第一透明絶縁性保護膜54及び引き出し線55,56の表面全体を被覆するように形成されている。第二透明絶縁性保護膜57には、例えば透明な窒化珪素(SiN)を用いることができ、例えば減圧CVD法により成膜することができる。
電極板51の上部において、光導電性膜52、透明電極膜53、第一透明絶縁性保護膜54、第二透明絶縁性保護膜57が積層された部分が、光学センサ5の受光部となる。
【0021】
引き出し線55はコンタクトホール54aより電極板51と接続され、引き出し線56はコンタクトホール54bより透明電極膜53と接続されている。引き出し線55、56は例えばITO等のような透明導電膜により形成されている。引き出し線55,56は、例えば透明導電膜により電極板51や透明電極膜53と接続された状態で固定される。なお、電極板51と引き出し線55、透明電極膜53と引き出し線56との導通が取れるのであれば、単に接触させるだけでもよい。
この引き出し線55,56を設けることで、配線の引き回しが容易になる。なお、本実施形態ではこの配線も例えばITOなどのような透明導電膜により形成されている。
【0022】
平坦化膜58は、保護ガラス3と電極板51との間に介在されている。平坦化膜58には、例えば透明な窒化珪素(SiN)を用いることができ、例えば減圧CVD法により成膜することができる。この平坦化膜58が予め保護ガラス3に形成されていることで、電極板51若しくは保護ガラス3の互いに対向する面に微小な凹凸があったとしても、保護ガラス3及び電極板51の両者間に隙間が形成されることを防止することができる。
【0023】
制御装置23は、表示パネル22の奥側に配置されている。制御装置23は、表示パネル22の表示ドライバ231と、画像データを記憶する画像データ記憶部232と、インピーダンス測定器233と、これらを制御する制御部234とを備えている。
インピーダンス測定器233は引き出し線55と引き出し線56とに電気的に接続されている。すなわち、インピーダンス測定器233は電極板51と透明電極膜53とに接続されており、電極板51と透明電極膜53との間のインピーダンスを測定する。また、インピーダンス測定器233は、ADコンバータ235を介して制御部234に電気的に接続されている。
制御部234は、CPU(中央演算装置)と、メモリとを有して構成され、デジタルフォトフレーム1の各構成要素を制御する。メモリは、デジタルフォトフレーム1の各構成要素を制御するためのプログラムを記憶している。CPUは、メモリ内のプログラムに基づいて演算を行ない、この演算結果に基づいて各構成要素に制御信号を送信する。
例えば、CPUは、画像データ記憶部232に格納された画像データを読み出し、メモリ内のプログラムに基づいて演算を行ない、この演算結果に基づいて表示ドライバ231を制御することで表示パネル22に画像データに基づいた画像を表示させる。
また、引き出し線55,56の間に交流電圧が印加されている状態で、光学センサ5の受光部に光が入射すると、光導電性膜52の導電性が増すため、インピーダンス測定器233によりインピーダンスの変化が検出される。この検出結果は、常に制御部234に送られており、制御部234は検出結果が所定値以上、すなわちインピーダンスの変化量が事前に設定してあった設定値以上であるか否かを判断している。検出結果が所定値以上である場合、制御部234は表示ドライバ231を制御して、検出結果に基づく情報を表示パネル22に表示し、報知する。具体的に、光学センサ5で検出する所定の光が例えば太陽が発する紫外光であると、制御部234は、紫外線警報が表現された警告画像を表示パネル22に表示する。警告画像としては文字で警告を示した画像でもよいし、現在表示中の画像を変化させた画像であってもよい。現在表示中の画像を変化させるものとしては、表示色を変化させることが挙げられる。例えば、背景色を変化させてもいいし、表示中の画像の人物像に対し皮膚の色を濃くして日焼けを表現してもいい。
【0024】
次に、光学センサ5の製造方法について説明する。
まず、図4に示すように、電極板51の一方の面に、光導電性膜52をべた一面に形成する。
次に、図5に示すように、光導電性膜52の表面に透明電極膜53をべた一面に形成する。
次に、図6に示すように、光導電性膜52及び透明電極膜53をエッチングし、コンタクトホール52a,53aを形成する。
【0025】
次に、図7に示すように、電極板51、光導電性膜52及び透明電極膜53を被覆する第一透明絶縁性保護膜54を形成する。
次に、図8に示すように、第一透明絶縁性保護膜54をエッチングし、コンタクトホール54a、コンタクトホール54bを形成する。
その後、コンタクトホール54aより引き出し線55を電極板51と接続し、コンタクトホール54bより引き出し線56を透明電極膜53と接続し、第二透明絶縁性保護膜57を成膜する。
その後、平坦化膜58を保護ガラス3の所定位置に成膜してから、その平坦化膜58上に電極板51が重なるように光学センサ5を設置する。そして、引き出し線55,56にインピーダンス測定器233を接続する。以上により、図3に示す光学センサ5が完成する。
【0026】
次に、本実施形態の作用について説明する。
電源がONになると、引き出し線55,56の間に交流電圧が印加され、インピーダンス測定器233の検出結果が制御部234に常に送られている。制御部234は、インピーダンス測定器233の検出結果からインピーダンスの変化量を読み取って、検知したい波長の光が光導電性膜52に入射し、光導電性膜52の導電性が変化したか否かを常に判断している。
また、制御部234は、画像データ記憶部232から画像データを読み出し、当該画像データを基に表示ドライバ231を制御することで、表示パネル22に画像を表示させる。制御部234は、所定時間が経過すると、別の画像データを画像データ記憶部232から読み出し、当該画像データを基に表示ドライバ231を制御することで、表示パネル22に表示される画像を切り替える。
インピーダンス測定器233の検出結果からインピーダンスの変化量が所定値未満である場合は、上述した画像の表示が行われている。
インピーダンス測定器233の検出結果からインピーダンスの変化量が所定値以上になると、制御部234は表示ドライバ231を制御して、その旨を表示パネル22に表示し報知する。
【0027】
以上のように、本実施形態によれば、透明な光学センサ5が表示パネル22の画像表示領域21上に配置されているので、表示パネル22の表示を阻害することなく、光を検出することができる。したがって、光学センサ5を搭載したとしても額縁部41の大型化を防止することが可能となる。
特に、透明な電極板51の上に透明な光導電性膜52を形成し、さらに光導電性膜52の導電性を変化させる波長の光を透過させる透明電極膜53を光導電性膜52に積層しているため、光学センサ5のほぼ全面を受光部とすることができる。したがって、受光面積が大きくなり、感度を向上させることができる。
【0028】
なお、本発明は上記実施形態に限らず適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態では、表示パネル22が報知部として機能する場合を例示して説明したが、報知部としてスピーカを設け、このスピーカにより音で報知を行うことや、報知部として振動素子を設け、この振動素子により振動で報知を行うことも可能である。
【0029】
また、上記実施形態では、光学センサ5が検出する光として、太陽から発せられた紫外光である場合を例示して説明したが、炎が発する紫外光を検出してもよい。この場合、制御部234は、インピーダンス測定器233の検出結果が所定値を超えると、火災警報を報知部から報知させる。このように、デジタルフォトフレーム1を火災報知器として用いることも可能である。
ここで、炎が発する紫外光は、波長280nm程度の炎特有の紫外線が照射されるため、当該波長に対する感度が得られるように光導電性膜52と透明電極膜53との材料を組み合わせる必要がある。
【0030】
また、上記実施形態では光学センサ5を先に作成してから保護ガラス3に設置する場合について説明したが、保護ガラス3に直接光学センサ5を製造することも可能である。上述したように光導電性膜52が非結晶であるので、製造時に保護ガラス3を高温に晒す必要もなくなり、保護ガラス3の軟化点温度よりも低い温度で、保護ガラス3の変質を考慮しなくとも直接保護ガラス3上に光学センサ5を製造することができる。なお、ガラスの軟化点温度はそのガラスにどのような不純物がどれくらい入っているかにより変化するが、600度から700度程度である。これにより、保護ガラス3上に光学センサ5が一体化した基板を用いることができるので、保護ガラス3と光学センサ5とを別々な部品として扱って保護ガラス3上に光学センサ5を配置するという煩雑な工程を省略することができ、デジタルフォトフレーム1を製造する際の製造工程を簡略化することができる。
また、保護ガラス3上に直接光学センサ5を製造できるのであれば平坦化膜58も省略することも可能である。
【0031】
また、本実施形態では光センサ5を画像表示領域21の所定領域に形成したが、表示パネル22の画像表示領域21の全面に形成してもよく、その場合は光学センサ5の受光面積を表示パネル22の画像表示領域21の全面にとれるので感度をさらに向上させることができる。
【0032】
また、本実施形態においては、インピーダンス測定器233によりインピーダンスの変化量を検出することで光の入射を検出したが、これに限らず、光導電性膜52の受光部に光が入射した際に生じる導電性変化を検出することができれば、例えば、直流電圧を印加して抵抗値を測定することで導電性変化を検出する方法、またはパルス波(例えば矩形波、三角波など)を印加し、光が光導電性膜に入射して光導電性膜の導電性が変化した時のそのパルス波形変化を測定することにより導電性変化を検出する方法等、他の方法を用いてもよい。
【0033】
また、本実施形態の光学センサ5は透明電極膜53や第一透明絶縁性保護54にコンタクトホールを形成して、電極板51と透明電極膜53とから配線を引き回したが、導電性部材から電極板51を形成する際に電極板51と共に、電極板51の縁部から延出した配線部も一括して形成し、導電性部材から透明電極膜53を形成する際に、透明電極膜53の縁部から延出した配線部も一括して形成してもよい。このようにすれば、コンタクトホールを形成する必要が無くなる。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の技術的範囲には特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲が含まれる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0035】
〔付記〕
[請求項1]
画像を表示する画像表示領域を有する表示パネルと、
前記画像表示領域を覆うように設けられた透明絶縁性基板と、を備え、
透明な導電性部材からなる第一電極と、
前記第一電極上に成膜され所定の波長の光を吸収することにより導電性が変化する光導電性膜と、
前記第一電極と重なるように前記光導電性膜上に成膜された透明な導電性部材からなる第二電極と、を有する光学センサが、前記画像表示領域の内側に設けられた所定の領域に重なるように前記透明絶縁性基板上に配置されていることを特徴とする画像表示装置。
[請求項2]
請求項1記載の画像表示装置において、
前記光導電性膜は、可視光を透過し、紫外光を吸収して導電性が変化する透明な物質からなることを特徴とする画像表示装置。
[請求項3]
請求項1又は2記載の画像表示装置において、
前記第一電極、前記光導電性膜及び前記第二電極を覆うように成膜された透明絶縁性保護膜をさらに備えることを特徴とする画像表示装置。
[請求項4]
請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像表示装置において、
前記第一電極と前記第二電極とに接続され、前記第一電極と前記第二電極との間のインピーダンスを測定するインピーダンス測定器と、
報知を行う報知部と、
前記報知部を制御して、前記インピーダンス測定器の検出結果に基づく情報を前記報知部から報知させる制御部とを備えることを特徴とする画像表示装置。
[請求項5]
請求項4記載の画像表示装置において、
前記所定の光は炎が発する紫外光であり、
前記制御部は、前記インピーダンス測定器の検出結果によって得られるインピーダンスの変化量が事前に設定した設定値を超えると、火災警報を前記報知部から報知させることを特徴とする画像表示装置。
[請求項6]
請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像表示装置において、
前記光導電性膜は非結晶であることを特徴とする画像表示装置。
【符号の説明】
【0036】
1 デジタルフォトフレーム(画像表示装置)
2 表示部
3 保護ガラス(透明絶縁性基板)
4 カバー
5 光学センサ
21 画像表示領域
22 表示パネル
23 制御装置
41 額縁部
42 背面板
51 電極板(第一電極)
52 光導電性膜
53 透明電極膜(第二電極)
54 第一透明絶縁性保護膜
55 引き出し線(第一の引き出し線)
56 引き出し線(第二の引き出し線)
57 第二透明絶縁性保護膜
58 平坦化膜
231 表示ドライバ
232 画像データ記憶部
233 インピーダンス測定器
234 制御部
235 ADコンバータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する画像表示領域を有する表示パネルと、
前記画像表示領域を覆うように設けられた透明絶縁性基板と、を備え、
透明な導電性部材からなる第一電極と、
前記第一電極上に成膜され所定の波長の光を吸収することにより導電性が変化する光導電性膜と、
前記第一電極と重なるように前記光導電性膜上に成膜された透明な導電性部材からなる第二電極と、を有する光学センサが、前記画像表示領域の内側に設けられた所定の領域に重なるように前記透明絶縁性基板上に配置されていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像表示装置において、
前記光導電性膜は、可視光を透過し、紫外光を吸収して導電性が変化する透明な物質からなることを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の画像表示装置において、
前記第一電極、前記光導電性膜及び前記第二電極を覆うように成膜された透明絶縁性保護膜をさらに備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像表示装置において、
前記第一電極と前記第二電極とに接続され、前記第一電極と前記第二電極との間のインピーダンスを測定するインピーダンス測定器と、
報知を行う報知部と、
前記報知部を制御して、前記インピーダンス測定器の検出結果に基づく情報を前記報知部から報知させる制御部とを備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項5】
請求項4記載の画像表示装置において、
前記所定の光は炎が発する紫外光であり、
前記制御部は、前記インピーダンス測定器の検出結果によって得られるインピーダンスの変化量が事前に設定した設定値を超えると、火災警報を前記報知部から報知させることを特徴とする画像表示装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像表示装置において、
前記光導電性膜は非結晶であることを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−185334(P2012−185334A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48450(P2011−48450)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】