説明

画像記録再生方法および画像記録再生装置および画像記録再生システム

【課題】連続した長時間の動画像をDICOM形式で記録する場合、複数のファイルに分割しなければならないことがあり、分割した場合はそれぞれが独立したコンテンツとして認識されるため、映像の再生がファイルの終端で終了してしまう。
【解決手段】操作部からの命令に従って、入力画像データをDICOM規格で規定された書式に変換してDICOM画像ファイルを生成するDICOM処理部と、一連の入力画像データから複数のDICOM画像ファイルを生成した場合、複数のDICOM画像ファイルを論理的に連結するためのファイル連結情報を生成し、複数のDICOM画像ファイルに記載する連結情報処理部とを備えることとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を記録再生する技術に関し、より詳細には、医療画像診断分野における記録再生装置および記録再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療現場において、患者を撮影した医療画像のデジタル化が実現されており、CR(Computed Radiography)、CT(Computed Tomography)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)、超音波診断装置、内視鏡診断装置などの医療画像生成装置(以降、モダリティと表記)が医療画像データを生成する。
【0003】
医療画像データはデジタルデータであるため、ネットワーク上のデータベースによる管理が容易であり、PACS(Picture Archiving and Communication System)という医療画像管理システムが知られている。
【0004】
PACSは、モダリティからの医療画像データを受信してデータベースに保存し、また画像ビューワなどのクライアントからの画像要求によって、特定の画像データをデータベースから検索しクライアントに送信することが可能である。このモダリティとPACS間の通信手順や、通信するデータ形式を取り決めた標準規格がDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)である。
【0005】
DICOMは、病院内外で、異なった製造業者(マルチベンダ)の、異なった種類(マルチモダリティ)の医療画像データを、ネットワーク、あるいは画像データの記録媒体で、相互に接続することを実現した業界標準規格であり、管理コストの低減、診断精度の向上に貢献し、今現在もその汎用性が拡大されつつある。
【0006】
DICOM規格では、医療画像データのファイルフォーマットが規定されている。DICOMのファイルフォーマットは、医療画像データと、患者情報や検査内容などの画像データを説明するパラメータから構成され、ファイル単独で成立したフォーマットとなっている(以降、DICOM画像ファイルと表記)。最新のDICOM規格のVersion3では、静止画データだけでなく動画像データも扱えるよう規格化されている(非特許文献1)。
【0007】
またMRIなどのモダリティによっては、一回の検査において、複数の画像データを生成する場合があり、各画像データの任意方向における画素の度数をヒストグラム化し、ヒストグラムの特徴から測定部位のグループわけを自動で行う方法が提案されている(例えば特許文献1)。
【非特許文献1】DICOM PS 3 2008
【特許文献1】特開2006−15125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来例における課題は、一連のデータであっても、1つのファイルサイズに制限があるため、その制限をこえたサイズの一連のデータを1つのファイルとして扱えないことであった。
【0009】
すなわち、上記従来例においては、DICOM規格に1つのファイルサイズの上限に制限を設けているので、相関のある一連のデータであっても、そのデータのサイズが前記ファイルサイズの上限を超えていた場合には、1つのファイルとして扱うことが出来なかったのである。
【0010】
そこで本発明は、一連のデータを1つのファイルとして扱うことを目的とするものである。
【0011】
例えば、医療分野においては、一回の検査において、長時間、大容量の医療画像データが生成された場合、ファイルを分割する必要があった。例えば、PACSによっては、データベースに登録可能なファイルサイズに制限があり、それら分割された医療画像を再生する場合は、DICOM規格ではひとつのファイルで情報が閉じているため、一回の検査において生成されたすべての画像を再生することはできない。この場合、続きの画像データを再検索して手動で再生する必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記従来の課題を解決するために、本発明の画像記録再生装置は、DICOM規格で規定されたフォーマットに従って入力された動画を記録し、再生する画像記録再生装置であって、ユーザからの操作命令を入力する操作部と、外部から撮影中の動画像を入力する画像入力部と、前記画像入力部に入力された入力画像データを表示する表示部と、前記操作部からの命令に従って、前記入力画像データをDICOM規格で規定された書式に変換してDICOM画像ファイルを生成するDICOM処理部と、を有し、さらに前記DICOM画像ファイルをネットワーク上の別の装置との間で送受信する通信部、もしくは、前記DICOM画像ファイルを着脱可能な記録媒体に記録する可搬媒体処理部、もしくは前記DICOM画像ファイルを内部の記録装置に保存する記録部、のいずれかひとつ以上を有し、前記DICOM処理部は、一連の入力画像データから複数のDICOM画像ファイルを生成した場合、前記複数のDICOM画像ファイルを論理的に連結するためのファイル連結情報を生成し、前記複数のDICOM画像ファイルに記載する連結情報処理部と、を有することを特徴としたものである。
【0013】
また本発明の画像記録再生方法は、DICOM規格で規定されたフォーマットに従って入力された動画を記録し、再生する画像記録再生方法であって、撮影中、もしくは撮影済みの動画像をDIOCM形式のフォーマットで記録しDICOM画像ファイルを生成するステップと、前記DICOM画像ファイルのサイズが特定の閾値に達した場合、前記DICOM画像ファイルへの記録を終了するステップと、前記DIOCM画像ファイルとは別のDIOCM画像ファイルへ前記動画像の続きを記録するステップと、前記複数のDICOM画像ファイルを論理的に連結するためのファイル連結情報を書き込むステップと、記録を開始した前記DICOM画像ファイルへ先頭を意味するファイル連結情報を書き込むステップと、記録が停止した前記DIOCM画像ファイルへ終端を意味するファイル連結情報を書き込むステップと、を有することを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0014】
以上のように本発明は、DICOM規格で規定されたフォーマットに従って入力された動画を記録し、再生する画像記録再生装置であって、ユーザからの操作命令を入力する操作部と、外部から撮影中の動画像を入力する画像入力部と、前記画像入力部に入力された入力画像データを表示する表示部と、前記操作部からの命令に従って、前記入力画像データをDICOM規格で規定された書式に変換してDICOM画像ファイルを生成するDICOM処理部と、を有し、さらに前記DICOM画像ファイルをネットワーク上の別の装置との間で送受信する通信部、もしくは、前記DICOM画像ファイルを着脱可能な記録媒体に記録する可搬媒体処理部、もしくは、前記DICOM画像ファイルを内部の記録装置に保存する記録部、のいずれかひとつ以上を有し、前記DICOM処理部は、一連の入力画像データから複数のDICOM画像ファイルを生成した場合、前記複数のDICOM画像ファイルを論理的に連結するためのファイル連結情報を生成し、前記複数のDICOM画像ファイルに記載する連結情報処理部と、を有するものであるので、従来は、ファイルサイズの制限によって分割されていた一連のデータを、連結して1つのファイルとして扱うことが可能となる。
【0015】
例えば、医療分野においては、一回の検査によって生成された複数の独立したDICOM画像ファイルを論理的に連結することで、ひとつのファイルであるかのように再生することが可能になり、医師による診断効率が向上する。さらに複数のDICOM画像ファイルをひとつのとして再結合することが可能になり、記録するメディアに応じた画像ファイルの管理方法をとることが可能になり、管理コストの低減を実現することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明の実施の形態の画像記録再生方法および画像記録再生装置の実施の形態を図面とともに詳細に説明する。以下に記述されている通常のアラビア数字(0、1から9)は、10進数で表記したものであり、16進数で表記(0、1から9、AからF)する場合、数字の接頭文字として“0x”を付与して数字を表記する(例えば10進数の10は、16進数では0xAと表記)。
【0017】
(実施の形態)
図1は、本実施の形態に係る画像記録再生装置の機能構成例を表したブロック図である。
【0018】
図1によれば、本実施の形態の画像記録再生装置100は、画像入力部101、表示部102、DICOM処理部103、操作部104、通信部105、可搬媒体処理部106、記録部107から構成されている。さらにDICOM情報処理部103には、連結情報処理部103(a)を備えている。
【0019】
また画像記録再生装置100と接続される外部装置として、カメラ110、モニター111、コマンドを入力するユーザ112、ネットワーク113、取り外し可能な記録媒体のDISC114が接続されている。
【0020】
画像入力部101は、画像記録再生装置100の外部の映像生成装置と接続され、外部装置から送られてくる映像を受け取り、表示部102へそのまま出力する、またアナログデジタル変換やデータ圧縮などの画像処理を行い、その処理データをDICOM処理部103へ出力する機能ブロックである。図1の画像入力部101は、ひとつ以上の外部の映像生成装置のカメラ110と接続され、カメラ110から出力されるアナログ映像信号を受信して、それを例えばMPEG2(Moving Picture Experts Group−2)規格のデジタルデータへ変換、圧縮する画像エンコード処理を行い、そのMPEG2画像データを表示部102やDICOM処理部103へ出力していることを表している。また出力先に応じてデジタル処理を行わずアナログ映像信号をそのままスルーしてもよい。本実施の形態の画像記録再生装置100の画像入力部101と接続され、映像信号を生成する外部装置は、アナログ映像信号を生成するカメラに限定したものではなく、アナログ映像信号やデジタル映像信号を生成して出力する映像生成装置であればどのようなものでもよく、例えば医療画像データを出力するモダリティであってもよい。
【0021】
表示部102は、画像記録再生装置100の外部のモニター111と接続され、画像入力部101やDICOM処理部103からの画像データを外部モニター111へ表示するための映像信号に変換して出力する機能ブロックである。本実施の形態では、画像入力部101とDICOM処理部103と接続されており、MPEG2規格で圧縮されたデジタルデータを伸張し、外部モニター111へ出力可能な映像信号に変換する画像デコード処理を行っているものとする。
【0022】
DICOM処理部103は、入力されたDICOM規格以外の任意の映像データを、DICOM規格で規定されたフォーマットに変換して任意の出力先に出力し、またその逆のDICOMフォーマットの画像データを、DICOM規格以外の任意の映像データに変換して任意の出力先に出力する機能ブロックである。
【0023】
図1では、DICOM処理部103は、画像記録再生装置100の機能ブロックすべてと接続されていることを示しており、本実施の形態では、DICOM処理部103と接続される通信部105、可搬媒体処理部106、記録部107との間で入出力される映像データはDICOM形式のフォーマットであり、また表示部102との間で入出力される映像データはMPEG2形式とする。従ってDICOM処理部103は、操作部104から入力されたユーザ112の命令によって、画像入力部101から入力されたMPEG2形式の画像データをDICOMフォーマットに変換し、通信部105、可搬媒体処理部106、記録部107の少なくともひとつ以上に出力し、また通信部105、可搬媒体処理部106、記録部107のいずれかひとつからDICOM形式の画像データを読み込んで、MPEG2形式に変換し、表示部102へ出力する機能ブロックである。ただし、本実施の形態では、DICOM処理部103と通信部105、可搬媒体処理部106、記録部107の間で交換されるデータ形式はDICOM形式として説明するが、その形式に限定されるものではなく、任意の画像フォーマットに対応できるものとし、例えばMPEG2やMotion−JPEG(Joint Photographic Experts Group)などの画像フォーマットであってもよい。
【0024】
またDICOM処理部103は物理的、もしくは論理的に連結情報処理部103(a)が組み込まれている。連結情報処理部103(a)は、DICOM処理部103によって処理されるDICOM形式の画像に対し、画像ファイルの連結情報を生成し、DICOM画像ファイルに追加し、また画像ファイルの連結情報を持つDICOM画像ファイルと連結する画像ファイルを特定する機能ブロックである。連結情報処理部103(a)の詳細な処理内容は後述する。
【0025】
操作部104は、ユーザ112が画像記録再生装置100を操作するためのインターフェースであり、ユーザ112からの命令がDICOM処理部103へ通知される。操作部104は、例えばタッチパネル式の操作パネルなどの画像記録再生装置100に備え付けられたものでも、また例えばキーボードのような、画像記録再生装置100とは別の操作装置からの信号を受信する装置でもよい。後者の場合には、例えばPS/2コネクタなどがある。操作部104は、ユーザ112の命令を受け取りDICOM処理部103へ出力できるものであればどのようなものでもよく、ここであげたものに限定されるものではない。
【0026】
通信部105は、ネットワークと接続され、ネットワーク上の通信装置と画像データの送受信を行う機能ブロックである。送受信手順である通信プロトコルはDICOM規格によって規定されているプロトコルを用いる。DICOM規格ではTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)を用いて通信を行うことが規定されている。従ってDICOM処理部103からの画像データや通信要求を受け取り、ネットワーク上の装置に画像データや命令を送信し、また画像データや通信応答を受信するブロックである。
【0027】
本実施の形態では、最大通信速度100Mbpsの100BASE−TXとして知られるIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)802.3u規格対応ネットワークインターフェースとして説明する。ただし画像記録再生装置100が接続するネットワークはTCP/IPを用いて画像データを送受信することが可能なものならどのような方式でもよく、ここで示したものに限定されるものではない。例えば最大通信速度10Mbps、10BASE−Tとして知られるIEEE802.3でもよい。
【0028】
可搬媒体処理部106は、画像記録再生装置100から取り外し可能な記録メディアを制御するブロックであり、このブロックに挿入されている記録媒体に対して画像データの読み書きを行う。つまり、DICOM処理部103から画像データを受け取り、画像記録再生装置100に接続されている記録メディアに記録し、また画像が記録されている記録メディアが接続された場合、その記録メディアから画像データを読み込み、DICOM処理部103へ送る処理を行う機能ブロックである。例えば、記録メディアを光Discとした場合、可搬媒体処理部106は光Discドライブである。
【0029】
本実施の形態では、記録メディアを片面4.7GバイトのDVD−RAM(Digital Versatile Disk Random Access Memory)に対して読み書きを行う装置として説明する。可搬媒体処理部106で扱う可搬可能なメディアとしては、デジタルデータを記録し読み込めるものであればどのようなものでもよく、ここで示したものに限定されるものではない。例えばDVD−R(Digital Versatile Disk Recordable)でも、またUSB(Universal Serial Bus)インターフェースのフラッシュメモリなどでもよい。
【0030】
記録部107は、画像記録再生装置100に内蔵されている取り出し不可能な記録メディアを制御するブロックであり、DICOM処理部103からの命令によって記録メディアへ画像データを書き込む処理や、読み込む処理を行う。本実施の形態では、HDD(Hard Disk Drive)として説明するが、画像データを記録し、読み込み可能な装置内蔵型の記録メディアであればどのようなものでもよく、ここで示したものに限定されるものではない。
【0031】
従って、入力された画像を記録し、再生する装置において、一連の入力画像データから複数のDICOM画像ファイルを生成し、それら物理的に分割されたファイルを論理的に結合することが可能になる。
【0032】
図2はDICOM規格で規定されているDICOM画像ファイルのフォーマットを図示したものである。図2の201はひとつのDICOM画像ファイルを表しており、DICOM画像ファイル201は、複数のエレメントと呼ばれる情報要素から構成される。各エレメントはひとつの情報を保持するため、図2ではN個(Nは1以上の整数)のエレメントでDICOM画像ファイルが構成されていることを表している(図中202から204)。従って、患者情報や検査情報、医療画像データの内容が、それぞれエレメントとして管理されひとつのDICOM画像ファイルを構成している。画像データにどのDICOM情報の情報エレメントが必要かはモダリティによってDICOM規格で決められている。医療画像データはモダリティによって生成された画像データであり、例えば静止画であればJPEGファイルの内容、動画であれば、Motion−JPEGやMPEG形式のファイル内容が保持されている。それぞれのエレメントは、IDを示すタグ部205、長さ部206、情報部207から構成されている。長さ部206は、情報部207の長さをバイト単位で保持しており、必要なら情報部207に水増し情報を追加するなどして、必ず偶数バイトになるようにDICOM規格で規定されている。
【0033】
タグ部205は、グループ番号208とエレメント番号209のそれぞれ2バイトのフィールドの二つの要素から構成され、情報のカテゴリ化を行うとともに、エレメントの内容を一意に特定することが可能な仕組みになっている。グループ番号208とエレメント番号209の番号とその内容はDICOM規格で規定されている。また製造会社が独自のプライベート情報を持たすことも可能であり、DICOM規格で規定された情報と利用者独自のプライベート情報を混在させることが可能になっている(以降、必要ならこのグループ番号208とエレメント番号209の組を数学の行列で表記する)。
【0034】
プライベート情報エレメントは、複数の製造会社やDICOM画像データ利用者によって重複しないように、プライベート情報エレメントを予約するための仕組みが取り入られている。DICOM規格では、グループ番号の偶数番号は予約済みとなっており、製造会社や利用者はプライベート情報の保存先として使用することができないが、9以上の奇数番号のグループは、プライベートな情報を保持するエレメントとして、製造会社や利用者が自由に使用することが可能であることが規定されている。
【0035】
9以上の奇数グループ番号をGとした場合、グループ番号Gのエレメント番号0x0010から0x00FFの間のエレメントは、特定の範囲のプライベート情報エレメントを予約するための予約用エレメントであり、そのエレメントに予約用文字列(利用者による任意の文字列)を設定することで、グループ番号Gの特定の範囲のエレメントを予約することが可能である。
【0036】
例えば、下記のプライベート情報予約用エレメントに任意の文字列を設定した場合、
(グループ番号、エレメント番号)=(G、0x0010)・・・・・・・(式1)
ただし、Gは9以上の奇数
以下の範囲のエレメントが予約されたことになりプライベート情報を設定可能である。
(G、0x1000)〜(G、0x10FF)・・・・・・・・・・・・・(式2)
ただし、Gは(式1)で指定された9以上の奇数
また、以下の予約用エレメントに任意の文字列を設定した場合、
(グループ番号、エレメント番号)=(G、0x00FF)・・・・・・・(式3)
ただし、Gは9以上の奇数
以下の範囲のエレメントが予約されたことになり使用可能となる。
(G、0xFF00)〜(G、0xFFFF)・・・・・・・・・・・・・(式4)
ただし、Gは(式3)で指定された9以上の奇数
また、すでに予約されている予約用エレメントは他の利用者は使用してはならない。
【0037】
本実施の形態では、ファイル連結情報を、プライベート情報エレメントを用いて設定することとする。予約用プライベート情報エレメントの初期のグループ番号、エレメント番号を以下のように決定する。
(グループ番号、エレメント番号)=(0x2001、0x0010)・・(式5)
従って、(0x2001、0x1000)から(0x2001、0x10FF)の範囲のエレメントを自由に使用することが可能になり、このうち先頭のエレメントを、ファイル連結情報を記録するエレメントとして使用することとする。ただし、プライベート情報として予約する範囲は未使用のエレメントであればどのエレメントでもよく、ここで示したものに限られるものではない。
【0038】
また予約用文字列は、“Panasonic File Connection Information”とすることとする。ただしここで示した予約用文字列は、この情報の利用者が識別可能なユニークなものを設定すればよく、ここで記述したものに限られるものではない。
【0039】
また予約しようとしたプライベート情報エレメントのグループ番号、エレメント番号がすでに予約済み(文字列が設定されている)の場合は、同一のグループ番号の違うエレメント番号が未使用かどうかを検索する。同一グループ番号内においてすべて予約済みの場合は、次のプライベートのグループ番号において未使用のエレメントを検索すればよい。従って、ファイル連結情報を検索する場合は、予約用プライベート情報エレメントの初期値のグループ番号、エレメント番号を検索し、そこから設定した予約用文字列を検索すればよい。
【0040】
図10は、DICOM画像ファイルのヘッダ部に含まれている情報の一例をあらわしている。左からタグ番号、長さ部、情報部を記述し、またそれぞれのタグの意味を説明の欄に記述している。長さ部は、情報部の具体的な長さをあらわしているので具体的な値は省略する。図10に示した例では、検査情報として、検査日が2000年3月14日、検査時間が16時15分30.000秒、モダリティがMR検査(Magnetic Resonance)、製造会社がPanasonic、また患者情報として、患者名が松下太郎、患者の体重が70kg、そして画像データから構成されていることを示している。
【0041】
図3はファイル連結情報の構成例と各フィールドの便宜上の長さを図示している。ファイル連結情報は、継続するファイル番号301、直前のファイル番号、直前のファイルの記録開始時間303、装置識別子304から構成される。本実施の形態では、記録開始をファイル番号1、連続する画像データを別のファイルに記録する場合にファイル番号を1だけ増分するとしているため、記録開始した先頭の画像ファイルの直前のファイル番号は0となる。また最後の画像ファイルの場合、継続するファイル番号301は0となる。従って、ファイル番号が連続しているDICOM画像ファイルは、連結が可能な場合がある。またファイル番号を1バイトでは表現できない場合や直前のファイル記録開始時間を8バイトでは表現できない場合は、各フィールドの長さを必要に応じて変更すればよく、ここで記述されたものに限定されるものではない。
【0042】
直前のファイルの記録開始時間303は、直前のファイル番号302で示される画像ファイルの記録が開始された時間である。従ってファイル番号1、2、3の直前のファイルの記録開始時間303はそれぞれ0、ファイル番号1の記録開始時間、ファイル番号2の記録開始時間である。またファイル連結情報を持つ任意のDICOM画像ファイルの記録開始時間にその画像の再生時間だけ進めた時間と、継続する画像ファイルの記録開始時間が一致しなければならない。
【0043】
本実施の形態では、基準とする記録時間を以下のエレメントとする。
(0x0008、0x0023)Content Date
(0x0008、0x0033)Content Time
また上記のエレメントがない場合は、下記のエレメントを基準とする。
(0x0008、0x0020)Study Date
(0x0008、0x0030)Study Time
また上記基準となる時間を保持しないDICOM画像ファイルの場合は、DICOM画像ファイルが生成された時間や、先頭のファイルを0とした相対時間でファイル連結情報を生成するようにしてもよい。
【0044】
装置識別子304は、記録装置固有のIDである。この装置固有のIDには、例えば、製造番号やシリアルナンバーがあり、このIDにより記録した装置を一意に特定することが可能になる。連続した映像を連結する際に、前のファイルの開始時間だけでは、同じ開始時間のファイルが存在した場合に、正しい選択/連結ができない。例えば、手術を複数のカメラで同期を取って、同時刻に撮影を行った場合には、同じ開始時間を持った複数のファイルが存在することになり、正しいファイルの連結ができなくなってしまう。このような状態を避けるために、連結情報にはファイル開始時間だけではなく、どの装置で撮影したのかという情報を付加することで、正しいファイルの選択/連結が可能となるのである。また装置識別子304を使用しない場合には、無効な装置識別子として0を設定すればよい。
【0045】
従って、図10で示したDICOM画像ファイルを3つのファイルに分割した場合(それぞれ先頭から分割ファイルA、B、Cと命名)、分割ファイルA、B、Cのファイル連結情報は図11で示したものになる。この場合、“Study Time”タグの“161530.000“を基準にして、それぞれの画像ファイルの再生時間を追加していくことで、記録開始時間を算出している。装置識別子は記録装置固有のID(ここでは装置A)を入力している。
【0046】
本実施の形態では、ファイル連結情報内の直前のファイル記録開始時間は、絶対時間で設定することとしたが、別の実装としてファイル番号1の開始時間を0とする相対時間としてもよい。この場合、ファイル番号1、2、3に含まれるファイル連結情報内の直前のファイル記録開始時間は、それぞれ0、0、ファイル番号1の再生時間、とし、以降の画像ファイル内のファイル連結情報に含まれる直前の記録開始時間は、ファイル番号1からの経過時間としてもよい。この方法は、画像データのタグ情報から記録時間の取得に失敗した場合に有効である。
【0047】
さらに本実施の形態では、記録中の画像ファイルに対し、ファイル分割情報を追加することとして説明しているが、記録済みの画像データに対しても応用可能である。記録済みの画像データを複数の画像データに分割する場合においても、ファイル連結情報を追加することで、物理的に複数のファイルに分割された画像ファイルを論理的に連結し再生することが可能になる。
【0048】
従って、ファイル連結情報を画像データのファイル番号と時間情報で構成することで、動画データで構成されるDICOM画像データを論理的に結合することが可能になる。さらに1から始まるファイル番号を用いているため、分割されたファイルにおいて先頭から何番目のファイルであるかということがファイル連結情報を参照するだけで判断可能という効果もある。
【0049】
図4は、図3で示したファイル連結情報が、DICOM規格で規定された任意の情報エレメントとして存在する場合のブロック図である。このとき、ファイル連結情報は、DICOMで規定されている独自のエレメントに保持するものとする。この状態のDICOM画像ファイルのフォーマットを図4に示す。任意のエレメント(グループ番号403、エレメント番号404は任意)にファイル連結情報が存在しており、その長さが14バイトであるため、長さのフィールド405には14が設定される。またこのDICOM画像ファイルと連結するためのファイル連結情報(継続ファイル番号406、直前ファイル番号407、直前ファイル記録開始時間408、装置識別子409)が情報部に設定される。
【0050】
次に図5、図6、図7、図8を用いて、図1の連結情報処理部103(a)の詳細な内容について説明する。
【0051】
図5は、記録中、もしくは記録済みの画像ファイルに対し、ファイル分割情報を生成してファイルを分割する処理のフローチャートである。
【0052】
まずは撮影を開始すると同時に、DICOM形式として必要なパラメータ、例えば患者情報や検査情報をファイルに出力する(ステップ501)。そしてそのファイルに撮影中の画像データを記録し、記録中の画像ファイルサイズが特定の閾値に達した場合(ステップ502)、記録中の画像ファイルへの記録を停止し(ステップ503)、継続する画像を新規の画像ファイルへ記録開始し(ステップ504)、ステップ503で記録を停止視したDICOM画像ファイルのファイル連結情報の継続ファイル番号に次のファイル番号を設定する。またステップ504で記録を開始したDICOM画像ファイルのファイル連結情報の直前のファイル番号と直前の記録開始時間に、ステップ503で記録を停止した直前のファイル番号と記録開始時間をそれぞれ記録する(ステップ505)。そして記録が停止された場合(ステップ506)、記録を開始したDICOM画像ファイルのファイル連結情報の直前のファイル番号と記録開始時間に0を設定し(ステップ507)、記録を停止したDICOM画像ファイルのファイル連結情報の継続するファイル番号に0を設定すればよい(ステップ508)。
【0053】
図5は、記録開始から停止までのフローを説明したが、すでにDICOM形式で記録されている記録済み画像ファイルに対しても図5の分割処理は有効である。この場合、分割元となるDICOM画像ファイルの先頭からファイル分割の閾値までを別ファイルとして順次生成し、DICOM形式として共通する患者情報や検査情報とともに、ファイル連結情報を生成することで分割処理が可能である。
【0054】
また分割元ファイルはDICOM形式である必要はなく、例えば図1の画像入力部101から出力された画像フォーマットで一時的に記録部107などに記録し、その画像ファイルにDICOM形式として必要なパラメータを追加することでDICOM形式として変換、分割してもよい。
【0055】
図6は、複数のDICOM画像ファイルの中から、ファイル連結情報を用いて連結すべき画像ファイルを特定するための検索手順を表したフローチャートである。
【0056】
ファイル連結情報を持つDICOM画像ファイルに対し、時間的に前後に接続されるDICOM画像ファイルを複数のDICOM画像ファイルの中から特定するために、まずファイル連結を持つDICOM画像ファイルに対し(ステップ601)、複数のDICOM画像ファイルの中から、DICOM情報の患者情報や検査情報を用いて、同一のDICOM情報を持つファイルを特定する(ステップ602)。これは検査情報と患者情報により特定の個人が、例えば同一時刻に別のモダリティによる検査を受けることは不可能であることから一意に特定することが可能である。DICOM画像ファイルを論理的に連結するために、患者情報や検査情報からなるDICOM情報を併用して用いることは、ファイル連結情報として必要とする情報の項目を少なくできるという効果がある。
【0057】
同一のDICOM情報をもつファイルを発見することができたら(ステップ603)、ステップ601で選択したDICOM画像ファイルのファイル連結情報を取得し(ステップ604)、そのファイル連結情報から時間的に直前の画像ファイルがあるかどうか判断する。これはファイル連結情報内の直前ファイル番号が0の場合は、直前のファイルがないことをあらわしており、0以外の場合、直前のファイルが存在することを表している。直前のファイルが存在する場合(ステップ605)、ファイル連結情報内の直前のファイル記録開始時間を、DICOM情報のContent Timeエレメント、もしくはこのエレメントが存在しない場合はStudy Timeエレメントから検索して、一致するDICOM画像ファイルを検索し、発見できた場合(ステップ609)、ステップ601で選択したDICOM画像ファイルのファイル連結情報の装置識別子と同じ識別子を持っているか、場合は、そのファイルが連結ファイルである(ステップ612)。このときステップ601で選択したDICOM画像ファイルが無効な識別子を保持していた場合は、ステップ612は省略してもよいし、同じ無効な識別子を持つかどうかを比較してもよい。
【0058】
またファイル連結情報から時間的に直後の画像ファイルが存在するかどうかを判定する(ステップ606)。これはファイル連結情報の継続ファイル番号が0の場合はファイルが存在しないことを表しており、0以外の場合、継続ファイルが存在することを表している。直後のファイルが存在する場合、ステップ601で選択したDICOM画像ファイルの記録開始時間にその再生時間を足した時間を持つ画像ファイルを検索し(ステップ608)、発見できた場合(ステップ609)、ステップ601で選択したDICOM画像ファイルのファイル連結情報の装置識別子と同じ識別子を持っている場合は、そのファイルが連結ファイルである(ステップ612)。このときステップ601で選択したDICOM画像ファイルが無効な識別子を保持していた場合は、ステップ612は省略してもよいし、同じ無効な識別子を持つかどうかを比較してもよい。このとき、DICOM画像ファイルの記録開始時間は、Content Timeエレメント、Content Timeエレメントがない場合はStudy Timeエレメントの値であり、検索するエレメントも同じである。
【0059】
ここで示した検索手順の結果においてDICOM画像ファイルが複数ファイル検索される場合がある(例えば、ひとつの記録済みのDICOM画像ファイルに対して、同一条件の分割処理を複数回行った場合)。それらはまったく同じ内容の画像ファイルであると判断可能であり、どのファイルを連結対象のファイルとしてもよいが、これらを完全に一意に特定するためには、図3で説明したファイル連結情報に加えて、分割処理時間や、ファイルごとの分割回数などのパラメータを追加する必要がある。
【0060】
また検索したが発見できなかった場合(ステップ603、ステップ605、ステップ606、ステップ609、ステップ610)は、連結ファイルがないことを意味している(ステップ611)。
【0061】
図7は、ファイル連結情報によって論理的に連続しているが、物理的には別々のDICOM画像ファイルを連続して再生する場合の処理を表したフローチャートである。
【0062】
まず任意のDICOM画像ファイルを再生制御情報に従って再生する(ステップ701)。この再生制御情報はDICOM画像ファイルを再生するために必要な情報であり、ここでは、再生位置、再生速度、再生方向から構成されるものとする。再生位置は動画像をどの位置から再生するかを意味しており、先頭から再生する場合は画像の先頭を、またスキップ再生のような再生方法の場合、画像の任意の再生位置を表している。再生方向は、時間的に順方向と逆方向があり、そして再生速度は通常再生を1倍速とした場合、早送り再生の場合はM倍速(Mは2以上の整数)となる。ここでは、再生制御情報として、再生位置、再生速度、再生方向はそれぞれ画像の先頭、1倍速、順方向とする。
【0063】
画像を再生位置から順次再生処理を行い、再生位置がDICOM画像ファイルの終端に達した場合(ステップ702)、現在再生しているDICOM画像ファイルにファイル連結情報が存在する場合(ステップ703)は、ファイル連結情報から時間的に再生する方向に連続して再生すべきDICOM画像ファイルが存在するかどうかを確認する(ステップ704)。このときの再生方向が時間的に順方向の場合は、ファイル連結情報の継続ファイル番号を参照すればよく、また再生方向が逆方向の場合は、ファイル連結情報の直前ファイル番号を参照すればよい。いずれの場合もファイル番号が0の場合は連続したファイルがないことを、また1以上の値の場合は連続したファイルが存在していることを意味している。
【0064】
再生方向に連続して再生すべきDICOM画像ファイルが存在する場合、DICOM画像ファイルのDICOM情報(例えば患者情報や検査情報)とファイル連結情報から、図6で示したフローに従ってファイルを特定し(ステップ705)、再生終了後に連続して続きのDICOM画像ファイルを再生すればよい(ステップ706)。
【0065】
また再生中のDICOM画像ファイルにファイル連結情報が存在しない場合(ステップ703)、またファイル連結情報は存在するDICOM画像ファイルだが再生中のDICOM画像ファイルが終端である場合(ステップ704)は再生処理を終了する(ステップ707)。
【0066】
図8は物理的には別のファイルだが、ファイル連結情報により論理的に連続している複数のDICOM画像ファイルを連結する処理を表したフローチャートである。
【0067】
複数のDICOM画像ファイルを物理的にひとつの画像ファイルとして結合する場合、まず任意のDICOM画像ファイルを選択し(ステップ801)、そのDICOM画像ファイル内にファイル連結情報が存在する場合(ステップ802)、選択中のDICOM画像ファイルと連結可能なファイルをDICOM画像ファイルのDICOM情報(例えば患者情報や検査情報)とファイル連結情報から、図6で示したフローに従ってファイルを特定し(ステップ803)、それらのDICOM画像ファイルを結合した新規のDICOM画像ファイルを生成する(ステップ804)。このとき新規作成したDICOMファイルのファイル連結情報のうち、直前ファイル番号と直前ファイル記録開始時間は、時間的に前のDICOM画像ファイルのファイル連結情報の値を設定し、また継続ファイル番号は時間的に後のDICOM画像ファイルのファイル連結情報の値を設定すればよい。
【0068】
連結完了したDICOM画像ファイルに対し、その前後に連結可能なDICOM画像ファイルが存在する場合(ステップ805)、ステップ803から繰り返すことで物理的に分割された一連のDICOM画像ファイルをひとつのDICOM画像ファイルとして結合することが可能になる。このとき結合に使用した分割されたDICOM画像ファイルは削除してもよいし、そのまま残すようにしてもよい。
【0069】
図9は二つの画像記録再生装置が存在し(装置識別子をそれぞれA、B)、それぞれの装置によって記録開始から記録停止までに生成されるDICOM画像ファイルのデータ量とそのファイル番号を示している。901は記録開始位置を示し、903は記録停止位置を示している。さらに902は分割するファイルサイズを論理的に表しており、一連の記録がこのサイズを超える場合は、ファイル連結情報を用いて、物理的に別ファイルに記録する。装置Aはファイル番号1から4まで、同じく装置Bもファイル番号1から4までを生成したことを表している。
【0070】
このとき、それぞれの装置は、同一内容のものを撮影し、さらに記録開始と記録停止もまったく同時である場合は、それぞれの装置から生成される画像のデータ量がまったく同じになり、結果として生成されるファイル連結情報を持つDICOM画像ファイルの構成がまったく同じになる。
【0071】
つまり同一の場面(例えば手術室内を別々の視点で撮影するなど)を複数の画像記録再生装置で同時に撮影するような場合は、DICOM画像ファイルのヘッダ部の情報が同じになり、それら複数の装置で撮影された画像ファイルを分割した場合、まったく同じファイル連結情報を持つDICOM画像ファイルが生成され、連結すべきDICOM画像ファイルを正しく特定できない可能性がある。本実施の形態では、画像記録再生装置固有のIDをファイル連結情報に設定することで、複数の装置により同時に記録され、分割されたDICOM画像ファイルの中からでも同一の装置による画像ファイルのみを識別可能にした。また画像記録再生装置ではなく、画像記録再生装置に接続される装置のIDを装置識別子としてファイル連結情報に設定してもよい。
【0072】
また本実施の形態では、画像記録再生装置にはカメラ装置は一台だけが接続されているものとして記載しているが、一台の画像記録再生装置に二台以上の複数のカメラ装置が接続される場合もあり、この場合は、画像記録再生装置の固有IDをファイル連結情報に入力しても、連結すべきDICOM画像ファイルを正しく特定できない可能性がある。この場合は、カメラ装置の固有IDをファイル連結情報に用いることで、連結すべきDICOM画像ファイルの特定が可能になる。
【0073】
また、複数のファイルに分割されたDICOM画像ファイルを連続して再生可能ということは、画像を視る人、例えば診断医による負荷を減少し、使い勝手を向上させるとともに診断精度を向上させるという効果がある。また任意のサイズにファイルを分割可能であり、そして再結合も可能であるため、記録する可搬媒体の大きさに合わせて分割することが可能になり、画像の管理コストを低減する効果もある。
【0074】
またDICOM画像ファイルをネットワーク上にあるDICOM画像サーバで管理している場合、従来の方法ではすべてのDICOM画像ファイルをダウンロードする必要があったが、ファイル連結情報によりダウンロードする画像を特定することが可能になり、ネットワーク上のトラフィックを減少させる効果もある。
【0075】
また、記録済みのDICOM画像ファイルに対して、ファイル連結情報を用いて任意のファイルサイズに分割する場合、同一ファイルに対して同一分割サイズで行った分割処理結果は常に同じになり、まったく同じ内容の分割DICOM画像ファイルが生成されることになる。従って記録済みDICOM画像ファイルに対して、同一条件で分割した場合は、連結する際にファイルを一意に特定することができない可能性があるが、本実施の形態で示した方法によって検索し、複数のICOM画像ファイルが検出された場合は、内容がまったく同じであることを意味しているため、どちらを使用しても結果は同じであり、一意に特定する必要はない。ただしこの場合はファイル連結情報に分割処理を決定した時刻や、同一ファイルに対する分割回数などを加えることで、一意に特定することも可能である。
【0076】
具体的には、例えば図10で示したDICOM画像ファイルを3つのファイルに分割する条件で(それぞれ先頭から分割ファイルA、B、Cと命名)、同一ファイルに対し、同一条件で、2回分割を行ったとすると(一回目の分割により生成された分割ファイルを先頭からA1、B1、C1、2回目の分割により生成された分割ファイル名を先頭からA2、AB2、C2と命名)、1回目と2回目の分割処理を行った時間は違うはずである。従って、1回目の分割処理時間をT1とした場合、分割ファイルA1、B1、C1のファイル連結情報に分割処理時間のT1をそれぞれ設定し、また2回目の分割処理時間をT2とした場合、分割ファイルA2、B2、C2のファイル連結情報に分割処理時間のT2をそれぞれ設定することで、同一ファイルに対する同一条件での分割処理結果を一意に区別することが可能になる。また分割処理時間ではなく、同一ファイルへの分割処理回数を設定してもよく、分割ファイルA1、B1、C1には分割回数1回目を示す1を、分割ファイルA2、B2、C2には分割回数2回目を示す2を、ファイル連結情報に設定してやればよい。従って、図6で示した検索結果において、複数のDICOM画像ファイルが発見された場合は、さらに分割処理時間や分割回数を区別することで一意に特定可能になる。
【0077】
このような、本発明の実施の形態による画像記録再生装置および画像記録再生方法は、連続した長時間の動画像をDICOM形式で記録する場合、複数のファイルに分割、またそれら結合することが可能になり、さらに既存のPACSとの互換性も維持しているため、画像ファイルの用途に合わせた画像記録再生を行うことが可能になる。
【0078】
前述した本実施の形態に係る画像記録再生装置を構成する機能要素や画像記録再生方法は、コンピュータで読み取り可能なプログラムで実現することも可能であるし、そのプログラムをDICOM処理部103が読み取り可能な状態に記録した記録媒体として、画像記録再生装置100から分離可能に構成することもできる。また記録媒体に記録されたプログラムを、DICOM処理部103が直接読み取ることが出来るように画像記録再生装置100に装着、あるいは画像記録再生装置100に存在する図示しないインターフェースを介して接続されたプログラム読み取り装置により読み取るように構成されてもよい。記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto Optical)、DVD(Digital Versatile Disk)、CD−R(Compact Disk Recordable)等の光ディスクを含むディスク系、ICカード、メモリーカードノカード系、あるいはマスクROM(Read−Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、UV−EPROM(Ultra−Violet EPROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0079】
画像ファイルを管理する分野に有効であり、特に医療関連の画像診断分野や長時間の手術を撮影するような撮影分野において有効である。具体的には、医師による画像診断の効率化や、ネットワークトラフィックの低減、PACSや記録媒体での保管などの画像管理におけるコスト削減に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明のの実施の形態の画像記録再生装置の構成要素のブロック図
【図2】DICOM画像ファイルを構成する情報エレメントのブロック図
【図3】ファイル連結情報のブロック図
【図4】DICOM情報エレメントにファイル連結情報を設定したときのブロック図
【図5】分割して記録するフローチャート
【図6】連結されるファイルの特定するフローチャート
【図7】物理的に分割された画像ファイルを連続再生するフローチャート
【図8】複数のファイルを1個に連結するフローチャート
【図9】記録開始から記録停止までに生成されるDICOM画像ファイルのデータ量とファイル番号の関係図
【図10】DICOM画像ファイルのヘッダ部に含まれている情報の一例の図
【図11】分割ファイルA、B、Cのファイル連結情報の図
【符号の説明】
【0081】
100 画像記録再生装置
101 画像入力部
102 表示部
103 DICOM処理部
103(a) 連結情報処理部
104 操作部
105 通信部
106 可搬媒体処理部
107 記録部
110 カメラ
111 モニター
112 ユーザ
113 外部のネットワーク
114 可搬媒体
201 DICOM画像ファイル
202 情報エレメント1
203 情報エレメント2
204 情報エレメントN
205 タグ部
206 長さ部
207 情報部
208 グループ番号
209 エレメント番号
301 継続ファイル番号
302 直前ファイル番号
303 直前ファイル記録開始時間
304 装置識別子
401 DICOM画像ファイル
402 任意の情報エレメント
403 グループ番号
404 エレメント番号
405 長さ
406 継続ファイル番号
407 直前ファイル番号
408 直前ファイル記録開始時間
409 装置識別子
901 記録開始位置
902 分割サイズ
903 記録停止位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された画像を記録し、再生する画像記録再生装置であって、
ユーザからの操作命令を入力する操作部と、
外部から撮影中の画像を入力する画像入力部と、
前記画像入力部に入力された入力画像データを表示する表示部と、
前記操作部からの命令に従って、前記入力画像データをDICOM規格で規定された書式に変換してDICOM画像ファイルを生成するDICOM処理部と、
を有し、
さらに、
前記DICOM画像ファイルをネットワーク上の別の装置との間で送受信する通信部、
もしくは、
前記DICOM画像ファイルを着脱可能な記録媒体に記録する可搬媒体処理部、
もしくは、
前記DICOM画像ファイルを内部の記録装置に保存する記録部、のいずれかひとつ以上
を有し、
前記DICOM処理部は、
一連の入力画像データから複数のDICOM画像ファイルを生成した場合、
前記複数のDICOM画像ファイルを論理的に連結するためのファイル連結情報を生成し、前記複数のDICOM画像ファイルに記載する連結情報処理部と、
を有することを特徴とする画像記録再生装置。
【請求項2】
前記ファイル連結情報は、
前記DICOM画像ファイルに対して、
時間的に後続の画像を示すファイル番号と、
時間的に直前の画像を示すファイル番号と、
時間的に直前の画像の記録開始時間から、
構成されること
を特徴とする請求項1に記載の画像記録再生装置。
【請求項3】
前記ファイル連結情報は、
請求項2に記載の内容に加えて、
カメラ装置もしくは前記画像記録再生装置の装置固有の識別子情報の
少なくとも一つ以上の情報を含むこと
を特徴とする請求項2に記載の画像記録再生装置。
【請求項4】
前記ファイル番号は、
記録開始を1とし、0は無効な番号とし、ファイルを切り替えるたびに1ずつ増える、
一連の記録中にシーケンシャルに増分する番号
であることを特徴とする請求項2に記載の画像記録再生装置。
【請求項5】
前記連結情報処理部は、
前記画像入力部、前記記録部、前記通信部、前記可搬媒体処理部のいずれかから、
前記ファイル連結情報を有する複数のDICOM画像ファイルを読み込んで前記表示部へ出力し再生する場合、
前記複数のDICOM画像ファイルの前記ファイル連結情報に従って、
前記複数のDICOM画像ファイルを連続して再生する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像記録再生装置。
【請求項6】
前記連結情報処理部は、
前記画像入力部、前記記録部、前記通信部、前記可搬媒体処理部のいずれかから、
前記ファイル連結情報を有する複数のDICOM画像ファイルを読み込み、
前記複数のDICOM画像ファイルの前記ファイル連結情報に従って、
前記複数のDICOM画像ファイルを連結した前記複数のDICOM画像ファイルとは別のDICOM画像ファイルを生成し、
前記記録部、前記通信部、前記可搬媒体処理部の少なくともひとつ以上の処理部へ出力することを特徴とする請求項1に記載の画像記録再生装置。
【請求項7】
請求項1に記載の画像記録再生装置とカメラ装置で構成される画像記録再生システムであって、
前記カメラ装置は撮影中の画像データとともにカメラ装置固有の識別子を前記画像記録再生装置へ送信し、
前記画像記録再生装置は前記画像データと前記装置識別子とを関連付けて記録し、
さらに前記ファイル連結情報に前記装置識別子を用いる
ことを特徴とする画像記録再生システム。
【請求項8】
入力された画像を記録し、再生する画像記録再生方法であって、
撮影中、もしくは撮影済みの画像をDIOCM形式のフォーマットで記録し
DICOM画像ファイルを生成するステップと、
前記DICOM画像ファイルのサイズが特定の閾値に達した場合、
前記DICOM画像ファイルへの記録を終了するステップと、
前記DIOCM画像ファイルとは別のDIOCM画像ファイルへ前記画像の続きを記録するステップと、
前記複数のDICOM画像ファイルを論理的に連結するためのファイル連結情報を書き込むステップと、
記録を開始した前記DICOM画像ファイルへ先頭を意味するファイル連結情報を書き込むステップと、
記録が停止した前記DIOCM画像ファイルへ終端を意味するファイル連結情報を書き込むステップと、
を有する画像記録再生方法。
【請求項9】
前記ファイル連結情報は、
前記DICOM画像ファイルに対して、
時間的に後続の画像を示すファイル番号と、
時間的に直前の画像を示すファイル番号と、
時間的に直前の画像の記録開始時間と、
カメラ装置もしくは前記画像記録再生装置の装置固有の識別子から
構成されること
を特徴とする請求項8に記載の画像記録再生方法。
【請求項10】
前記ファイル番号は、
記録開始を1とし、0は無効な番号とし、ファイルを切り替えるたびに1ずつ増える、
一連の記録中にシーケンシャルに増分する番号
であることを特徴とする請求項9に記載の画像記録再生方法。
【請求項11】
前記画像記録再生方法は、
前記ファイル連結情報を持つ複数のDIOCM画像ファイルから任意のひとつを選択するステップと、
前記ファイル連結情報から前記DICOM画像ファイルの時間的に前の画像が存在する場合、
前記DICOM画像ファイルのDICOM情報と、
前記ファイル連結情報内の前の画像の記録開始時間を用いて、
前記複数のDICOM画像ファイルから連結するDICOM画像ファイルを検索するステップと、
前記ファイル連結情報から前記DICOM画像ファイルの時間的に後の画像が存在する場合、
前記DICOM画像ファイルのDICOM情報と、
前記DICOM画像ファイルの記録開始時間に前記DICOM画像ファイルの再生時間を加えた記録開始時間を用いて、
前記複数のDICOM画像ファイルから連結するDICOM画像ファイルを検索するステップと、
を有することを特徴とする請求項8に記載の画像記録再生方法。
【請求項12】
前記DICOM情報は、
患者個人の情報である患者情報と、
検査の内容を示す検査情報から構成されること
を有することを特徴とする請求項11に記載の画像記録再生方法。
【請求項13】
前記画像記録再生方法は、
複数のDIOCM画像ファイルから任意のファイルを選択し、
再生位置、再生速度、再生方向から構成される再生制御情報に従って再生するステップと、
再生位置が前記DICOM画像ファイルの終端に達した場合で、
前記再生中のDICOM画像ファイルが前記ファイル連結情報を持つ場合、
前記複数のDICOM画像ファイルの中から、
前記再生中のDICOM画像ファイルの前記ファイル連結情報と
前記再生制御情報を用いて、連結するDICOM画像ファイルを特定するステップと、
前記再生中のDICOM画像ファイルの再生終了後、連続して前記連結するDICOM画像ファイルを再生するステップと、
を有することを特徴とする請求項8に記載の画像記録再生方法。
【請求項14】
前記画像記録再生方法は、
前記ファイル連結情報を持つ複数のDIOCM画像ファイルから任意のファイルを選択するステップと、
前記複数のDICOM画像ファイルの中から、
前記再生中のDICOM画像ファイルの前記ファイル連結情報を用いて、
連結するDICOM画像ファイルを特定するステップと、
前記連結可能な複数のDICOM画像ファイルを、
それぞれのファイル連結情報に従って連結し、
新規のDICOM画像ファイルを生成するステップと、
を有することを特徴とする請求項8に記載の画像記録再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−124350(P2010−124350A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297563(P2008−297563)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】