説明

画像診断装置及び画像データ表示方法

【課題】表示画面サイズの異なるモニタへの交換に伴いモニタ上にて同時表示される画像データの数を自動更新する。
【解決手段】撮影条件の異なる時系列的な複数種類の表示に際し、予め接続されていた標準的な第1のモニタ2(2a)を大きな表示画像サイズを有した第2のモニタ2(2b)に交換する。このとき、表示条件更新部5は、予め設定されていた表示条件(画像処理における画像パラメータ及び表示データ生成における表示パラメータ)を第2のモニタ2(2b)から供給される識別情報に基づいて更新する。次いで、画像処理部6は、画像データ生成部3によって生成された時系列的な複数種類の画像データを更新後の画像パラメータに基づいて画像処理し、表示データ生成部7は、画像処理後の画像データを更新後の表示パラメータに基づいて合成し表示データを生成する。そして、生成した表示データを第2のモニタ2(2b)にて動画像として表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像診断装置及び画像データ表示方法に係り、特に、モニタの表示画面サイズの変更に伴って画像データの表示条件の変更を行なう画像診断装置及び画像データ表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の医用診断においてX線CT装置、MRI装置、X線診断装置、超音波診断装置などの画像診断装置は不可欠なものとなっている。特にX線CT装置やMRI装置では、生体情報検出部及び再構成処理部の高速化及び高性能化に伴って画像データのリアルタイム表示が可能となり、更に、3次元的なデータ(ボリュームデータ)に基づく3次元画像データや任意断面におけるMPR(Multi Planar Reconstruction)画像データの生成や表示も容易に行なわれるようになった。
【0003】
一方、超音波診断装置では、超音波プローブを被検体の体表面に接触させるだけの簡単な操作でリアルタイムの2次元画像データが容易に観察でき、更に、最近では、振動素子が2次元配列された超音波プローブを用いることによりボリュームデータの短時間収集も可能となった。そして、前記ボリュームデータに基づいて生成された3次元画像データやMPR画像データ等は、上述の2次元画像データと同様に各種臓器の機能診断や形態診断において有効な診断情報を提供してくれる。
【0004】
このような画像診断装置を用いて時系列的に収集された複数の2次元画像データや3次元画像データは、通常、表示部のモニタにおいてリアルタイム表示されるが、例えば、超音波診断におけるストレスエコー法のように、薬物投与前後あるいは運動負荷前後の被検体から収集した画像データを比較表示する場合には、予め収集した薬物投与前あるいは運動負荷前の画像データと薬物投与後あるいは運動負荷後の画像データを時相合わせして表示(心拍同期表示)する方法が行なわれている。
【0005】
更に、心臓に対する超音波診断では、異なる量の薬物や運動が与えられた被検体から得られる時系列的な画像データや異なる方向あるいは異なる断面において収集された時系列的な画像データ(例えば、長軸画像データ、短軸画像データ、2腔画像データ及び4腔画像データ等)についても同様の心拍同期表示が行なわれている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
一方、被検体から収集されたボリュームデータに対して設定した複数スライス断面の各々におけるMPR画像データを観察することにより当該被検体の3次元情報を得る場合においても、これらのMPR画像データを表示部のモニタに並べて表示する方法がとられている。
【特許文献1】特開2006−197967号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように撮影条件の異なる複数の画像データを動画像あるいは静止画像としてモニタ上に同時表示する場合、有効な診断を行なうために、表示された各々の画像データはある程度の大きさ(表示画像サイズ)が要求される。このため、モニタ上に表示可能な画像データ数は、モニタの表示画面サイズによって制約される。
【0008】
一方、モニタ上に表示された画像データを観測することにより当該被検体に対する医療診断を行なう医師等(以下では、操作者と呼ぶ。)は、より多くの画像データを同一モニタ上に同時表示することにより診断精度や診断効率を向上させることが可能となるが、モニタの表示画面サイズの制約によりモニタ上に同時表示されていない画像データを新たに参照したい場合には、表示画面の更新を頻繁に繰り返す必要があった。
【0009】
又、従来の画像診断装置では、標準の表示画面サイズを有するモニタから大きな表示画面サイズを有するモニタへの交換を行なっても、新たなモニタにおいて同時表示される画像データの各々は表示画面サイズに比例して拡大表示されるのみで、同時表示される画像データの数を増加させることはできなかった。
【0010】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、表示画面サイズの異なるモニタへの交換に伴って同時表示される画像データの数を自動更新することにより診断精度と診断効率の向上をはかった画像診断装置及び画像データ表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1に係る本発明の画像診断装置は、異なる表示画面サイズを有する第1のモニタ及び第2のモニタの各々において、画像データ生成手段が生成した複数の画像データを同時表示する画像診断装置において、前記第1のモニタに対応させて予め設定された表示条件を、新たに接続された前記第2のモニタの識別情報に基づいて更新する表示条件更新手段と、更新された前記表示条件の表示パラメータに基づいて前記複数の画像データの1部あるいは全てを合成することにより、前記第2のモニタに対する表示データを生成する表示データ生成手段とを備えたことを特徴としている。
【0012】
又、請求項9に係る本発明の画像データ表示方法は、異なる表示画面サイズを有する第1のモニタ及び第2のモニタの各々において、画像データ生成手段が生成した複数の画像データを同時表示する画像診断装置の画像データ表示方法であって、表示条件更新手段が、予め接続されていた前記第1のモニタに代わって新たに接続された前記第2のモニタの識別情報を収集するステップと、前記、表示条件更新手段が、前記第2のモニタの識別情報に基づき、前記第1のモニタに対応させて予め設定されていた表示条件を更新するステップと、前記画像データ生成手段が、被検体から得られた受信信号に基づき複数の画像データを生成するステップと、表示データ生成手段が、更新された前記表示条件の表示パラメータに基づき、前記画像データ生成手段が生成した複数の画像データの1部あるいは全てを合成し表示データを生成するステップと、表示手段が、前記表示データを表示するステップとを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、表示画面サイズの異なるモニタへの交換に伴って同時表示される画像データの数を自動更新することができる。このため、診断精度と診断効率が大幅に向上するとともに操作者の負担を軽減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0015】
以下に述べる本発明の実施例では、薬物投与前及び薬物投与後の被検体から収集された長軸画像データ、短軸画像データ、2腔画像データ及び4腔画像データの表示に際し、予め接続されていた標準的なモニタ(第1のモニタ)を取り外し、上述の8種類の画像データの同時観察を可能とする大きな表示画像サイズを有したモニタ(第2のモニタ)を新たに接続する。このとき、第2のモニタの識別情報を受信した表示条件更新部は、自己の記憶回路に予め保管されている一覧データの中から前記識別情報に対応したディスプレイパラメータや表示画面サイズに関する情報を読み出し、予め設定されていた画像処理における画像パラメータ及び表示データ生成における表示パラメータを前記ディスプレイパラメータ及び表示画面サイズの情報に基づいて更新する。次いで、画像データ生成部によって生成された8種類の時系列的な画像データを更新後の画像パラメータに基づいて画像処理し、更に、画像処理された画像データを更新後の表示パラメータに基づいて合成し表示データを生成する。そして、生成された表示データを第2のモニタにおいて動画像として表示する。
【0016】
尚、以下の実施例では薬物投与前及び薬物投与後の被検体から収集された長軸画像データ、短軸画像データ、2腔画像データ及び4腔画像データの表示について述べるが、これらに限定されない。又、超音波Bモード法によって上述の画像データを生成する画像データ生成部について述べるが、超音波カラードプラ法等の他の方法によるものであってもよく、更には、MRI画像データやCT画像データの生成を可能とする画像データ生成部であっても構わない。
【0017】
(画像診断装置の構成)
本発明の実施例における画像診断装置の構成につき図1乃至図3を用いて説明する。尚、図1は、画像診断装置の全体構成を示すブロック図であり、図2は、この画像診断装置が備えた画像データ生成部の具体的な構成を示すブロック図である。
【0018】
図1に示す画像診断装置100は、診断装置本体1とこの診断装置本体1において生成された画像データを表示する第1のモニタ2(2a)あるいは第2のモニタ2(2b)を有している。そして、診断装置本体1は、当該被検体に対して画像データを生成する画像データ生成部3と、生成された画像データを保存する画像データ記憶部4と、交換後の第2のモニタ2(2b)から供給されるモニタの識別情報に基づき前記画像データに対する表示条件を更新する表示条件更新部5と、予め設定された表示条件あるいは表示条件更新部5によって更新された表示条件に基づき、画像データ記憶部4に保存された前記画像データに対し画像処理を行なう画像処理部6と、画像処理された前記画像データを上述の表示条件に基づいて合成し表示データを生成する表示データ生成部7と、画像データ収集条件の設定や各種コマンド信号の入力等を行なう入力部8と、画像診断装置100における各ユニットを統括的に制御するシステム制御部9を備えている。
【0019】
画像データ生成部3は、例えば、超音波画像データ、X線CT画像データ、X線画像データ、MRI画像データ、内視鏡画像データ及び核医学画像データの少なくとも何れかの画像データを生成する機能を有している。
【0020】
超音波Bモード法による画像データの生成を可能とする図2の画像データ生成部3は、当該被検体に対し超音波の送受信を行なう超音波プローブ31と、超音波プローブ31が有するM個の振動素子を駆動するための駆動パルスを生成する送信部32と、前記被検体の所定方向から得られる複数チャンネルの受信信号に対し整相加算を行なう受信部33と、整相加算された受信信号を信号処理して画像データ(Bモード画像データ)を生成する受信信号処理部34と、前記被検体の心電波形を計測する生体信号計測部35と、この心電波形に基づいて心拍同期信号を生成する同期信号生成部36を備えている。
【0021】
超音波プローブ31は、1次元配列された複数個(M個)の図示しない振動素子をその先端部に有し、当該被検体の体表面に前記先端部を接触させて超音波の送受信を行なう。又、前記振動素子の各々は、Mチャンネルからなる図示しない多芯ケーブルを介して送信部32及び受信部33に接続されている。振動素子は電気音響変換素子であり、送信時には電気パルス(駆動パルス)を超音波パルス(送信超音波)に変換し、又、受信時には超音波反射波(受信超音波)を電気的な受信信号に変換する機能を有している。この超音波プローブ31には、セクタ走査対応、リニア走査対応、コンベックス走査対応等があり、本実施例ではセクタ走査用の超音波プローブ31を用いた場合について述べるが、リニア走査やコンベックス走査等に対応した超音波プローブであっても構わない。
【0022】
送信部32は、送信超音波の繰り返し周期を決定するためのレートパルスを発生するレートパルス発生器321と、送信超音波を所定の深さに集束するための遅延時間と所定の方向に送信するための遅延時間を前記レートパルスに与える送信遅延回路322と、このレートパルスの遅延時間に基づいて駆動パルスを生成し超音波プローブ31に内蔵されたM個の振動素子を駆動する駆動回路323を有している。
【0023】
一方、受信部33は、振動素子から供給されたMチャンネルの受信信号をA/D変換するA/D変換器331と、所定の深さからの受信超音波を集束するための遅延時間と所定方向に対して受信指向性を設定するための遅延時間をA/D変換されたMチャンネルの受信信号の各々に与える受信遅延回路332と、受信遅延回路332から出力されたMチャンネルの受信信号を加算合成する加算器333を有し、受信遅延回路332と加算器333により、被検体の所定方向から得られた受信信号は整相加算される。
【0024】
次に、受信信号処理部34は、受信部33の加算器333から供給された受信信号を包絡線検波する包絡線検波器341と、包絡線検波された受信信号の振幅を対数変換してBモードデータを生成する対数変換器342と、Bモードデータを超音波の送受信方向に対応させて配置し、必要に応じて補間処理やフィルタリング処理等を行なって扇型の画像データ(Bモード画像データ)を生成する走査変換部(Digital Scan Converter)343を備えている。尚、走査変換部343において生成される時系列的な画像データの各々には、当該被検体から計測される心電波形に基づいて同期信号生成部36が生成した心拍同期信号が付帯情報として付加される。
【0025】
一方、生体信号計測部35は、被検体の心電波形を計測する機能を有し、心電波形の検出を目的として当該被検体の体表面に配置される計測用電極と、この計測用電極が検出した心電波形を所定の振幅に増幅する増幅回路と、増幅された心電波形をデジタル信号に変換するA/D変換器(何れも図示せず)を備えている。又、同期信号生成部36は、生体信号計測部35によって計測された心電波形の例えばR波に基づいて心拍同期信号を生成し、受信信号処理部34の走査変換部343に供給する。
【0026】
図1に戻って、画像データ記憶部4は、例えば、超音波プローブ31を被検体体表面の異なる4つの位置に順次配置して得られた受信信号に基づき受信信号処理部34が生成した薬物投与前及び薬物投与後の時系列的な長軸画像データ、短軸画像データ、2腔画像データ及び4腔画像データの各々をその付帯情報である心拍同期信号と共に保存する。
【0027】
表示条件更新部5は、システム制御部9を介して第2のモニタ2(2b)から供給されるモニタの識別情報に基づき、予め設定された画像データの表示条件、即ち、画像処理部6の画像処理に対する画像パラメータや表示データ生成部7の表示データ生成に対する表示パラメータの更新を行なう。この場合、表示条件更新部5は、各種モニタの識別情報(例えば、製品名や製品番号等)とこれらの識別情報に対応するモニタの表示画面サイズや好適なディスプレイパラメータ(Brightness、Sharpness、Transparency 等)に関する情報が一覧データとして予め保管されている記憶回路を有し、予め設定された上述の画像パラメータや表示パラメータを第2のモニタ2(2b)から供給されるモニタの識別情報に基づいて更新する。そして、更新後の画像パラメータを画像処理部6へ供給し、更新後の表示パラメータを表示データ生成部7へ供給する。
【0028】
尚、画像パラメータとして、画像データのゲイン、ダイナミックレンジ(階調性)及び輝度変換特性(ガンマカーブ特性)やフィルタリング処理における回路定数及びデータ数等があり、又、表示パラメータとして、モニタ2に同時表示される画像データの数やその配列方法、被検体情報や心電波形の重畳表示方法等がある。
【0029】
次に、画像処理部6は、画像データ記憶部4に一旦保存された上述の時系列的な画像データ(即ち、薬物投与前後の被検体に対する長軸画像データ、短軸画像データ、2腔画像データ及び4腔画像データ)の各々を順次読み出し、予め設定された表示条件の画像パラメータあるいは第2のモニタ2(2b)の識別情報に基づき表示条件更新部5が更新した表示条件の画像パラメータに基づいて各種画像処理を行なう。
【0030】
例えば、画像処理部6は、上述の画像パラメータに基づき、画像データの空間的な分解能/表示能(観測容易性)の改善を目的としたフィルタリング処理や時間的な分解能/表示能の改善を目的として時間方向に隣接した複数の画像データに対し行なわれるフィルタリング処理をFIR型あるいはIIR型のデジタルフィルタを用いて行ない、更に、画像データに対するゲイン、ダイナミックレンジ、輝度変換特性等を設定する。
【0031】
一方、表示データ生成部7は、図示しない記憶回路と変換回路を備えている。そして、予め設定された表示条件の表示パラメータあるいは表示条件更新部5によって更新された表示条件の表示パラメータに基づき、画像処理部6から供給された同一時相における複数の画像データ(即ち、薬物投与前後の被検体に対する長軸画像データ、短軸画像データ、2腔画像データ及び4腔画像データ)を前記記憶回路において所定表示フォーマットで合成し表示データを生成する。又、各々の画像データに付加されていた心拍同期信号や被検体情報等は必要に応じて前記表示データに重畳される。次いで、前記変換回路は、前記表示データに対しD/A変換とテレビフォーマット変換を行ない第2のモニタ2(2b)に表示する。
【0032】
次に、入力部8は、操作パネル上に表示パネルやキーボード、トラックボール、マウス、選択ボタン等の入力デバイスを備え、被検体情報の入力、画像データ収集条件の設定、画像モード(例えば、Bモードやカラードプラモード)の選択、画像データ生成開始コマンドや画像データ表示開始コマンド等の各種コマンド信号の入力等を行なう。
【0033】
システム制御部9は、図示しないCPUと記憶回路を備え、操作者によって入力部8から入力される上述の入力/設定/選択情報は前記記憶回路に保存される。そして、前記CPUは、入力部8から入力される上述の情報や表示条件更新部5にて更新された表示条件に基づいて、画像診断装置100の各ユニットの制御やシステム全体の制御を統括して行なう。
【0034】
次に、予め設定された表示条件の表示パラメータあるいは表示条件更新部5が更新した表示条件の表示パラメータに基づいて表示データ生成部7が生成する表示データの具体例につき図3を用いて説明する。
【0035】
図3は、第1のモニタ2(2a)及び第2のモニタ2(2b)に表示された薬物投与前及び薬物投与後の被検体における長軸画像データ、短軸画像データ、2腔画像データ及び4腔画像データを示したものであり、図3(a)は、標準的な表示画面サイズを有する第1のモニタ2(2a)に表示された第1の表示データQaを、又、図3(b)は、第1のモニタ2(2a)より大きな表示画面サイズを有する第2のモニタ2(2b)に表示された第2の画像データQbを示している。尚、ここでは、第2のモニタ2(2b)における表示データQbの高さhb及び幅wbは、第1のモニタ2(2a)における表示データQaの高さha及び幅waに対しhb/ha=wb/wa≒1.5の場合について示している。
【0036】
そして、第1のモニタ2(2a)に表示された第1の表示データQaは、図3(a)に示すように、例えば、薬物投与前の被検体に対して収集された同一心拍時相における長軸画像データP11及び短軸画像データP12と薬物投与後の被検体に対して収集された同一心拍時相における長軸画像データP21及び短軸画像データP22との合成によって生成される。この場合、第1のモニタ2(2a)に表示された画像データP11、P12、P21及びP22の各々は、診断用画像として許容される最小の高さhoと幅woを有している。このため、第1のモニタ2(2a)において同時表示可能な画像データの枚数は4となり、薬物投与前及び薬物投与後の被検体に対して収集された同一心拍時相における8種類の画像データ(長軸画像データP11及びP21、短軸画像データP12及びP22、2腔画像データP13及びP23、4腔画像データP14及び24)を第1のモニタ2(2a)において同時表示することはできない。
【0037】
従って、既に述べたように、薬物投与前後の長軸画像データP11及びP21と短軸画像データP12及びP22との合成によって生成した表示データと薬物投与前後の2腔画像データP13及びP23と4腔画像データP14及び24との合成によって生成した表示データを第1のモニタ2(2a)において切り替え表示する方法が従来行なわれてきた。
【0038】
これに対して、第2のモニタ2(2b)に表示された第2の表示データQbは、図3(b)に示すように、例えば、薬物投与前及び薬物投与後の被検体に対して収集された同一心拍時相における8種類の画像データ(長軸画像データP11及びP21、短軸画像データP12及びP22、2腔画像データP13及びP23,4腔画像データP14及びP24)の合成によって生成されている。即ち、第1のモニタ2(2a)から第2のモニタ2(2b)への切り替えに伴う表示画面サイズの増大に略比例して第2の表示データQbにおける画像データ枚数は増大する。尚、このとき、第2の表示データQbにおける画像データの各々は、第1の表示データQaにおける画像データと同様に高さho及び幅woの大きさに設定される。
【0039】
(画像データの表示手順)
次に、本実施例における画像データの表示手順につき、図4のフローチャートに沿って説明する。
【0040】
薬物投与前及び薬物投与後の当該被検体から収集される長軸画像データ、短軸画像データ、2腔画像データ及び4腔画像データの表示に先立ち、画像診断装置100の操作者は、診断装置本体1に予め接続されていた標準的な第1のモニタ2(2a)を取り外し、上述の8種類の画像データの同時表示を可能とする画像表示サイズを有した第2のモニタ2(2b)を新たに接続する(図4のステップS1)。
【0041】
このとき、診断装置本体1のシステム制御部9は、第2のモニタ2(2b)に対して識別情報の提供を要求し、この要求信号に従って第2のモニタ2(2b)から供給された識別情報を表示条件更新部5へ供給する(図4のステップS2)。
【0042】
システム制御部9より第2のモニタ2(2b)の識別情報を受信した表示条件更新部5は、自己の記憶回路に予め保管されている一覧データの中から前記識別情報に対応したBrightness、Sharpness、Transparency 等のディスプレイパラメータや表示画面サイズの情報を読み出し、予め設定されていた表示条件(即ち、画像処理に対する画像パラメータ及び表示データの生成に対する表示パラメータ)を前記ディスプレイパラメータ及び表示画面サイズの情報に基づいて更新する(図4のステップS3)。
【0043】
一方、第1のモニタ2(2a)から第2のモニタ2(2b)への交換を終了した操作者は、画像データ生成部3の生体信号計測部35に備えられた計測用電極を薬物投与前の被検体における所定位置に装着した後、長軸画像データの収集に好適な被検体体表位置に超音波プローブ31の先端部(超音波送受信面)を固定した状態で入力部8より画像データ生成開始コマンドを入力する(図4のステップS4)。そして、このコマンド信号がシステム制御部9に供給されたならば、薬物投与前における長軸画像データの収集を目的とした超音波送受信が被検体に対して開始される。
【0044】
即ち、図2に示した画像データ生成部3の送信部32におけるレートパルス発生器321は、システム制御部9から供給された基準信号を分周することにより、被検体に放射される超音波パルスの繰り返し周期を決定するレートパルスを生成し、このレートパルスを送信遅延回路322へ供給する。
【0045】
送信遅延回路322は、所定の深さに超音波を集束するための集束用遅延時間と最初の送受信方向θ1に超音波を送信するための偏向用遅延時間をレートパルスに与え、このレートパルスを駆動回路323へ供給する。そして、駆動回路323は、前記レートパルスに基づいて駆動パルスを生成し、この駆動パルスを超音波プローブ31におけるM個の振動素子に供給して被検体の送受信方向θ1に超音波パルスを放射する。
【0046】
次いで、音響インピーダンスの異なる被検体内の臓器境界面あるいは組織にて反射した超音波反射波(受信超音波)は、超音波プローブ31の前記振動素子によって受信され電気信号(受信信号)に変換される。そして、この受信信号は、受信部33におけるMチャンネルの独立なA/D変換器331にてデジタル信号に変換され、受信遅延回路332にて所定の遅延時間が与えられた後加算器333において加算合成(整相加算)され受信信号処理部34へ供給される。
【0047】
このとき、受信遅延回路332では、所定の深さからの超音波反射波を集束するための遅延時間と、送受信方向θ1からの超音波反射波に対し強い受信指向性をもたせるための遅延時間が、システム制御部9から供給される制御信号に基づいて設定される。
【0048】
加算器333の出力信号を受信した受信信号処理部34の包絡線検波器341及び対数変換器342は、前記出力信号に対し包絡線検波と対数変換を行なってBモードデータを生成し、このBモードデータを走査変換部343が有する記憶回路の送受信方向θ1に対応した記憶領域に保存する。
【0049】
次いで、システム制御部9は、図1に示す送受信方向θ2乃至θPに対しても同様な手順で超音波送受信を行ない、このとき生成されたBモードデータも前記記憶回路に保存される。即ち、走査変換部343の記憶回路には、送受信方向θ1乃至θPに対するBモードデータがその送受信方向に対応して順次保存され1枚の長軸画像データが生成される(図4のステップS5)。
【0050】
一方、生体信号計測部35は、計測用電極によって検出された心電波形をA/D変換して同期信号生成部36へ供給し、同期信号生成部36は、例えば、生体信号計測部35から時系列的に供給された心電波形のR波を検出して心拍同期信号を生成する(図4のステップS6)。次いで、前記心拍同期信号は受信信号処理部34の走査変換部343へ供給され、走査変換部343の記憶回路において生成された上述の長軸画像データに付加される。そして、心拍同期信号が付加された長軸画像データは、診断装置本体1の画像データ記憶部4に保存される(図4のステップS7)。
【0051】
次に、システム制御部9は、画像データ生成部3の送信部32、受信部33及び受信信号処理部34に対し同様の制御を繰り返し、予め設定された画像データ生成期間Tx(例えば、Tx=10秒乃至30秒)において時系列的な長軸画像データを生成し、同期信号生成部36から供給される心拍同期信号を前記長軸画像データに付加して画像データ記憶部4に保存する(図4のステップS5乃至ステップS7)。更に、同様の手順により短軸画像データ、2腔画像データ、4腔画像データの生成及び心拍同期信号の付加と画像データ記憶部4への保存を行なう(図4のステップS5乃至ステップS7)。
【0052】
薬物投与前の被検体に対する長軸画像データ、短軸画像データ、2腔画像データ及び4腔画像データの生成と保存が終了したならば、操作者は、被検体に対して薬物を投与し(図4のステップS8)、上述と同様の手順により画像データ生成期間Txにおける時系列的な長軸画像データ、短軸画像データ、2腔画像データ、4腔画像データの生成及び心拍同期信号の付加と画像データ記憶部4への保存を行なう(図4のステップS5乃至ステップS7)。
【0053】
そして、薬物投与前及び薬物投与後の被検体に対する長軸画像データ、短軸画像データ、2腔画像データ及び4腔画像データの収集が終了したならば、操作者は、入力部8において画像データ表示開始コマンドを入力し(図4のステップS9)、このコマンド信号を受信した画像処理部6は、画像データ記憶部4に保存された上述の8種類の画像データを順次読み出し、表示条件更新部5から既に供給されている更新後の画像パラメータに基づいて所定の画像処理を行なう(図4のステップS10)。
【0054】
次いで、表示データ生成部7は、画像処理部6から供給された画像処理後の画像データ(薬物投与前及び薬物投与後の当該被検体から得られた長軸画像データ、短軸画像データ、2腔画像データ及び4腔画像データ)を、表示条件更新部5から既に供給されている更新後の表示パラメータに基づき配列して表示データを生成し第2のモニタ2(2b)に表示する(図4のステップS11)。
【0055】
以上述べた本発明の実施例によれば、表示画面サイズの異なるモニタへの交換に伴って同時表示される画像データの数を自動更新することができるため、例えば、標準表示画面サイズのモニタを大きな表示画面サイズのモニタに交換した場合、より多くの画像データの同時表示を容易に行なうことが可能となる。
【0056】
又、画像処理における画像パラメータも交換されたモニタのディスプレイパラメータに基づいて好適な画像パラメータに更新されるため、ディスプレイパラメータの差異によって生ずる画質変化を低減することができる。従って、本実施例により診断精度と診断効率が大幅に向上するのみならず検査における操作者の負担を軽減することができる。
【0057】
以上、本発明の実施例について述べてきたが、本発明は上述の実施例に限定されるものでは無く、変形して実施することが可能である。例えば、上述の実施例では、超音波Bモード法によって画像データを生成する画像データ生成部3について述べたが、超音波カラードプラ法等の他の方法によるものであってもよく、MRI画像データやCT画像データ等の他の医用画像データを生成する画像データ生成部であっても構わない。
【0058】
又、薬物投与前及び薬物投与後の被検体から収集された長軸画像データ、短軸画像データ、2腔画像データ及び4腔画像データを例に、異なる種類の時系列的な画像データを動画像として同時表示する場合について述べたが静止画像であってもよく、ボリュームデータ等に基づいて生成した複数断面におけるMPR画像データや3次元画像データの同時表示であっても構わない。更に、リアルタイムの3次元走査あるいはマルチプレーン走査等によって収集された複数断面における画像データをリアルタイムで同時表示してもよい。
【0059】
一方、上述の実施例では、画像データ生成部3が生成した画像データに対して画像処理部6が行なう画像処理に更新後の画像パラメータを適用する場合について述べたが、超音波画像データの場合には、画像データ生成部3の走査変換部343におけるフィルタリング処理等に前記画像パラメータを適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施例における画像診断装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】同実施例の画像診断装置が備える画像データ生成部の具体的な構成を示すブロック図。
【図3】同実施例の表示データ生成部が生成する表示データの具体例を示す図。
【図4】同実施例における画像データの表示手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0061】
1…診断装置本体
2…モニタ
3…画像データ生成部
31…超音波プローブ
32…送信部
321…レートパルス発生器
322…送信遅延回路
323…駆動回路
33…受信部
331…A/D変換器
332…受信遅延回路
333…加算器
34…受信信号処理部
341…包絡線検波器
342…対数変換器
343…走査変換部
35…生体信号計測部
36…同期信号生成部
4…画像データ記憶部
5…表示条件更新部
6…画像処理部
7…表示データ生成部
8…入力部
9…システム制御部
100…画像診断装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる表示画面サイズを有する第1のモニタ及び第2のモニタの各々において、画像データ生成手段が生成した複数の画像データを同時表示する画像診断装置において、
前記第1のモニタに対応させて予め設定された表示条件を、新たに接続された前記第2のモニタの識別情報に基づいて更新する表示条件更新手段と、
更新された前記表示条件の表示パラメータに基づいて前記複数の画像データの1部あるいは全てを合成することにより、前記第2のモニタに対する表示データを生成する表示データ生成手段とを
備えたことを特徴とする画像診断装置。
【請求項2】
前記表示条件更新手段は、モニタ上に同時表示される画像データの数を含む前記表示パラメータを、前記第2のモニタの表示画面サイズに基づいて更新することを特徴とする請求項1記載の画像診断装置。
【請求項3】
前記表示条件更新手段は、前記第2のモニタにおいて同時表示される画像データの数を、前記第1のモニタと前記第2のモニタとの表示画面面積比に基づいて更新することを特徴とする請求項2記載の画像診断装置。
【請求項4】
前記表示条件更新手段は、前記第2のモニタにおいて表示される前記複数の画像データの各々のサイズが、前記第1のモニタに表示された画像データのサイズと略等しくなるように前記表示パラメータを更新することを特徴とする請求項2記載の画像診断装置。
【請求項5】
画像処理手段を備え、前記画像処理手段は、前記表示条件更新手段によって更新された前記表示条件の画像パラメータに基づき、前記画像データ生成手段が生成した前記複数の画像データの各々に対し所定の画像処理を行なうことを特徴とする請求項1記載の画像診断装置。
【請求項6】
前記表示条件更新手段は、前記第2のモニタのディスプレイパラメータに基づいて前記表示条件の画像パラメータを更新することを特徴とする請求項5記載の画像診断装置。
【請求項7】
前記表示データ生成手段は、前記画像データ生成手段によって生成された同一被検体の複数断面における前記複数の画像データを前記第2のモニタに動画像あるいは静止画像として表示するための前記表示データを生成することを特徴とする請求項1記載の画像診断装置。
【請求項8】
前記表示データ生成手段は、前記画像データ生成手段によって生成された同一被検体の複数断面における複数の時系列的な画像データを前記第2のモニタにおいてリアルタイム表示するための前記表示データを生成することを特徴とする請求項7記載の画像診断装置。
【請求項9】
異なる表示画面サイズを有する第1のモニタ及び第2のモニタの各々において、画像データ生成手段が生成した複数の画像データを同時表示する画像診断装置の画像データ表示方法であって、
表示条件更新手段が、予め接続されていた前記第1のモニタに代わって新たに接続された前記第2のモニタの識別情報を収集するステップと、
前記、表示条件更新手段が、前記第2のモニタの識別情報に基づき、前記第1のモニタに対応させて予め設定されていた表示条件を更新するステップと、
前記画像データ生成手段が、被検体から得られた受信信号に基づき複数の画像データを生成するステップと、
表示データ生成手段が、更新された前記表示条件の表示パラメータに基づき、前記画像データ生成手段が生成した複数の画像データの1部あるいは全てを合成し表示データを生成するステップと、
表示手段が、前記表示データを表示するステップとを
有することを特徴とする画像データ表示方法。
【請求項10】
画像処理手段が、前記表示条件更新手段によって更新された前記表示条件の画像パラメータに基づき、前記画像データ生成手段が生成した前記複数の画像データの各々に対し所定の画像処理を行なうステップを有することを特徴とする請求項9記載の画像データ表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−173173(P2008−173173A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−7251(P2007−7251)
【出願日】平成19年1月16日(2007.1.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】