説明

画素ずれ測定装置、画像表示装置及び画素ずれ測定方法

【課題】簡易な手法で、表示画素の位置のずれ量を求める画素ずれ測定装置、画像表示装置及び画素ずれ測定方法を提供する。
【解決手段】表示画素のずれ量を測定する画素ずれ測定装置200は、画素のずれ量が互いに異なる複数のパターン画像を構成する各パターン画像の表示画素のずれ量に対応した測定値を取得する測定部と、前記各パターン画像に対応する測定値に基づいて前記複数のパターン画像の1つを選択し、選択したパターン画像に対応したずれ量を求める画素ずれ量決定部とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画素ずれ測定装置、画像表示装置及び画素ずれ測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタ(広義には画像投影装置)に代表される画像表示装置として、1画素を構成する複数の色成分のサブ画素に対応した表示画素の位置を揃えることで多階調の画像を表示する画像表示装置がある。この種の画像表示装置では、光学系の誤差(例えば色収差の影響)や構成部材の調整精度等に起因して、各色成分のサブ画素に対応した表示画素の位置のずれが生じ得る。表示画素の位置のずれは、表示画素のエッジ部分において解像感の低下や偽色の発生を招き、表示画像の画質の劣化に至る。近年の高解像度化により、サブ画素に対応した表示画素の位置のずれ量は、相対的に大きくなる傾向にある。
【0003】
このような表示画素の位置のずれに伴う画質の劣化を抑えるために、画素ずれを補正するプロジェクタが知られている。このプロジェクタでは、使用者がプロジェクタの表示画像を観察して、プロジェクタに搭載された画素位置調整機能を用いることで表示画素の位置の調整が行われる。
【0004】
この種の画素位置調整機能を用いる場合、画素ずれの量を精密に測定できる必要がある。ところが、プロジェクタのフォーカスやフレアに起因して表示画素の形状が矩形でない場合が多く、単純に表示画素の位置を測定しようとすると、精密に表示画素の位置を測定することが困難である。そのため、このような測定装置による測定結果を用いて画素ずれ量を求め、該画素ずれ量に対応した表示画素の位置調整を行ったとしても、表示画素のエッジ部分における偽色の発生を抑えることができない。
【0005】
このような画素ずれを精度良く測定する技術については、例えば特許文献1に開示されている。この特許文献1には、明度が中心で一番高く同心円状に低下していく山形波形状明度分布をもつ画像を投影し、この画像をカメラで撮影してヒストグラムから山形波形の中心位置を求める技術が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2001−356005号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、複雑な測定処理が必要となる上に、特許文献1に開示された技術を用いて表示画素の位置のずれ量を精密に測定できたとしても、依然として、測定された画素ずれ量に対応した精密な位置調整を行う必要がある。
【0008】
本発明は、以上のような技術的課題に鑑みてなされたものであり、その目的の1つは、簡易な手法で、表示画素の位置のずれを求める画素ずれ測定装置、画像表示装置及び画素ずれ測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明は、表示画素のずれ量を測定するための画素ずれ測定装置であって、画素のずれ量が互いに異なる複数のパターン画像を構成する各パターン画像の表示画素のずれ量に対応した測定値を取得する測定部と、前記各パターン画像に対応する測定値に基づいて前記複数のパターン画像の1つを選択し、選択したパターン画像に対応したずれ量を求める画素ずれ量決定部とを含む画素ずれ測定装置に関係する。
【0010】
本発明によれば、画素のずれ量が互いに異なる複数のパターン画像を構成する各パターン画像について測定部で測定し、その測定値に基づいて1つのパターン画像を選択することで、選択したパターン画像に対応したずれ量を決定することができるので、簡易な手法で、画素のずれ量を求めることができるようになる。
【0011】
また本発明に係る画素ずれ測定装置では、前記測定部が、偽色が増えるほどその値が大きくなる測定値、又は前記偽色が増えるほどその値が小さくなる測定値を取得し、前記画素ずれ量決定部が、前記測定値が最大値又は最小値となるパターン画像を選択することができる。
【0012】
本発明によれば、測定部において測定値を取得できれば、画素ずれ量決定部における処理負荷をかけることなく、画素のずれ量を求めることができる。
【0013】
また本発明に係る画素ずれ測定装置では、前記測定部が、前記各パターン画像の色成分に対応した測定値を取得し、前記画素ずれ量決定部が、前記複数のパターン画像のうち、画面全体の前記測定値の平均値が最小となるパターン画像を選択することができる。
【0014】
本発明によれば、パターン画像の色成分に対応した測定値を取得し、画面全体の測定値の平均値に基づいてパターン画像を選択するようにしたので、公知の測定手段を用いた簡素な構成で、画素のずれ量を求めることができる。
【0015】
また本発明に係る画素ずれ測定装置では、前記パターン画像の水平方向又は垂直方向に画素のずれ量が互いに異なる前記複数のパターン画像を記憶するパターン画像記憶部を含むことができる。
【0016】
本発明によれば、パターン画像の水平方向又は垂直方向に画素のずれ量が互いに異なる複数のパターン画像を用意しておき、複数のパターン画像の中からパターン画像を選択するようにしたので、簡易な手法で、画像の水平方向又は垂直方向の画素のずれ量を求めることができる。
【0017】
また本発明に係る画素ずれ測定装置では、前記複数のパターン画像が、1画素分の線幅の直線を格子状に有する2値画像に対して、画素のずれ量が互いに異なるように生成された画像であってもよい。
【0018】
本発明によれば、1画素分の線幅の直線を格子状に有する2値画像を基準に複数のパターン画像を生成するようにしたので、簡易な手法で、画像の水平方向又は垂直方向の画素のずれ量をより高精度に求めることができる。
【0019】
また本発明に係る画素ずれ測定装置では、前記複数のパターン画像が、1画素を構成する複数の色成分のうち基準色成分を除く残りの色成分毎に設けられ、該残りの色成分の各色成分のサブ画素のずれ量が互いに異なるパターン画像であってもよい。
【0020】
本発明によれば、基準色成分を除く色成分毎にパターン画像を設けたので、基準色成分を基準に、色成分毎に各色成分のサブ画素に対応した表示画素のずれ量を正確に求めることができるようになる。
【0021】
また本発明は、上記のいずれか記載の画素ずれ測定装置と、前記各パターン画像を表示すると共に前記ずれ量に基づいて画像を表示する画像表示部とを含み、前記画像表示部が、前記ずれ量に対応して補正された画像信号に基づいて画像を表示する画像表示装置に関係する。
【0022】
本発明によれば、画素ずれ測定装置により求められた画素のずれ量を正確に表示画像に反映させることができるので、測定した画素のずれ量を正確に反映できずに偽色が見えてしまうという事態を確実に回避できるようになる。
【0023】
また本発明は、表示画素のずれ量を測定するための画素ずれ測定方法であって、画素のずれ量が互いに異なる複数のパターン画像を構成する各パターン画像の表示画素のずれ量に対応した測定値を取得する測定ステップと、前記各パターン画像に対応する測定値に基づいて前記複数のパターン画像の1つを選択し、選択したパターン画像に対応したずれ量を求める画素ずれ量決定ステップとを含む画素ずれ測定方法に関係する。
【0024】
本発明によれば、画素のずれ量が互いに異なる複数のパターン画像を構成する各パターン画像について測定部で測定し、その測定値に基づいて1つのパターン画像を選択することで、選択したパターン画像に対応したずれ量を決定することができるので、簡易な手法で、画素のずれ量を求めることができる画素ずれ測定方法を提供できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成のすべてが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0026】
以下の実施形態では、本発明に係る画素ずれ測定装置が画像表示装置に含まれるものとして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、本発明に係る画像表示装置としてプロジェクタを例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、表示画素の位置のずれに起因した偽色の発生を伴う種々の画像表示装置に対し、本発明を適用できることは言うまでもない。
【0027】
1. 画像表示装置
図1に、本実施形態における画素ずれ測定装置が適用された画像表示装置の構成例のブロック図を示す。
画像表示装置10は、画像表示部100と、画素ずれ測定装置200とを含む。画像表示部100は、光源(図示せず)を含み、画像信号に応じて光源からの光を変調し、変調後の光を用いてスクリーンSCRに投射する。このとき、画像表示部100は、1画素を構成する複数の色成分のサブ画素に対応した表示画素の位置をスクリーンSCR上で揃えることで多階調の画像を表示する。この場合、画像表示部100が有する光学系の誤差等に起因して、スクリーンSCRのサブ画素に対応する表示画素の画素位置が一致せずに、表示画素のエッジ部分において偽色が発生することがある。ここで、偽色は、本来的に意図しない画像の色(表示させたい画像には存在しない色)をいう。
【0028】
そこで、本実施形態では、画像表示部100のコンテンツ画像の投影に先立って、画素ずれ測定装置200が、画像表示部100によって投影されたパターン画像の表示画素の画素ずれ量(ずれ量)を測定する。パターン画像は、画素ずれ量に対応して生成されたものである。画像表示部100は、画素ずれ量が異なるパターン画像を順番に表示し、画素ずれ測定装置200は、各パターン画像の測定値を取得する。こうすることで、所望の測定値に対応したパターン画像を選択することで、該パターン画像の画素ずれ量を決定することができる。
【0029】
即ち、画像表示部100には、画素ずれ測定装置200からの画素ずれ量測定用のパターン画像の画像信号とコンテンツ画像の画像信号とが入力される。そして、画像表示部100は、まず、パターン画像の画像信号に基づいて、スクリーンSCRに複数のパターン画像を順番に投影する。画素ずれ測定装置200は、パターン画像毎に、投影画像(表示画像)の表示画素の画素ずれ量に対応した測定値を取得する。その後、画像表示部100は、画素ずれ測定装置200による測定値に対応した画素ずれ量に基づいてコンテンツ画像の画像信号(入力画像信号)を補正して、コンテンツ画像をスクリーンSCRに投影する。
【0030】
このとき、画素ずれ測定装置200により取得された測定値のうち所望の測定値に対応したパターン画像を選択する。そして、選択したパターン画像に対応した画素ずれ量を決定する。例えば、所望の測定値として偽色が最も目立たないような測定値を定めることができる。こうすることで、非常に簡素な構成で、画素ずれ量を決定できる。
【0031】
また、パターン画像は、画像表示部100によるコンテンツ画像の画像信号の補正処理と同様の処理で生成される。従って、画素ずれ測定装置200によって測定された画素ずれ量がそのままコンテンツ画像の画像信号の補正処理に用いることができるため、測定した画素ずれ量と画素ずれ量に対応した補正処理とが一致せずに、偽色の発生が抑えられない事態を確実に回避できるようになる。しかも、該画素ずれ量に対応した画像信号の補正処理を行えばよいので、精密な画素位置の調整機能を有していなくても画素ずれ量を正確に反映させて、表示画素のエッジ部分の偽色の発生を抑えることができるようになる。
【0032】
2. 画素ずれ測定装置
図1に示すように、本実施形態における画素ずれ測定装置200は、色測定部(測定部)210と、画素ずれ量決定部220とを含む。色測定部210は、画素のずれ量が互いに異なる複数のパターン画像を構成する各パターン画像の表示画素のずれ量に対応した測定値を取得する。このような色測定部210の機能は、例えば色彩計や測色計により実現される。画素ずれ量決定部220は、各パターン画像に対応する測定値に基づいて複数のパターン画像の1つを選択し、選択したパターン画像に対応したずれ量を求める。これにより、簡素な構成及び処理で画素ずれ量を求めることができ、色測定部210が高い解像度のものでなくても、用意したパターン画像の精度に応じて画素ずれ量を求めることができる。
【0033】
より具体的には、色測定部210は、偽色が増えるほどその値が大きくなる測定値、又は偽色が増えるほどその値が小さくなる測定値を取得し、画素ずれ量決定部220は、測定値が最大値又は最小値となるパターン画像を選択してもよい。例えば、色測定部210は、各パターン画像の色成分に対応した測定値を取得し、画素ずれ量決定部220は、パターン画像の画面全体の色成分の平均値が最小となるパターン画像を選択することができる。これにより、色測定部210において測定値を取得できれば、画素ずれ量決定部220における処理負荷をかけることなく、画素ずれ量を求めることができる。
【0034】
また、画素ずれ測定装置200は、パターン画像生成部230と、パターン画像記憶部240とを含むことができる。パターン画像生成部230は、所与のオリジナルパターン画像に対し、画像の水平方向又は垂直方向に画素のずれ量が互いに異なる複数のパターン画像を生成する。パターン画像記憶部240は、パターン画像生成部230によって生成された、パターン画像の水平方向又は垂直方向に画素のずれ量が互いに異なる複数のパターン画像を記憶する。
【0035】
図2に、本実施形態におけるパターン画像の説明図を示す。図2において、横軸は画像の水平方向の画素ずれ量を表し、縦軸は画像の垂直方向の画素ずれ量を表す。
【0036】
図2において、水平方向の画素ずれ量が「0.0」、垂直方向の画素ずれ量が「0.0」のパターン画像をオリジナルパターン画像PAT0とする。ここで、オリジナルパターン画像PAT0は、1画素分の線幅の直線を格子状に有する2値画像である。図2では、「黒」の背景に1画素分の線幅の「白」の直線が格子状に設けられている。
【0037】
パターン画像生成部230は、オリジナルパターン画像PAT0に対して、画像の水平方向及び垂直方向の少なくとも1つの方向に画素の位置がずれたパターン画像を生成する。オリジナルパターン画像PAT0の各画素の位置を基準に、所与の第1の水平方向を負方向、第1の水平方向と反対方向を正方向とすると、パターン画像生成部230は、オリジナルパターン画像PAT0に対して、「−1.0」画素から「+1.0」画素の範囲を例えば「0.1」画素刻みで水平方向に画素位置がずれたパターン画像を生成する。また、オリジナルパターン画像PAT0の各画素の位置を基準に、所与の第1の垂直方向を負方向、第1の垂直方向と反対方向を正方向とすると、パターン画像生成部230は、オリジナルパターン画像PAT0に対して、「−1.0」画素から「+1.0」画素の範囲を例えば「0.1」画素刻みで垂直方向に画素位置がずれたパターン画像を生成する。こうして、パターン画像生成部230は、オリジナルパターン画像PAT0の水平方向又は垂直方向に画素のずれ量が互いに異なる21×21種類のパターン画像を生成することができる。
【0038】
図3に、本実施形態における表示画素のずれ量の単位の説明図を示す。図3は、パターン画像の水平方向のずれ量の単位を表すが、パターン画像の垂直方向のずれ量の単位も同様である。
【0039】
図3において、スクリーンSCRの表示画像(投射画像)の水平方向の画素数をY、スクリーンSCR上の表示画像の水平方向の長さをDとすると、パターン画像生成部230は、D/Yを「1.0」画素として、水平方向にD/(10×Y)(=「0.1」画素)刻みで画素ずれ量が異なるパターン画像を生成する。
【0040】
同様に、パターン画像生成部230は、スクリーンSCRへの表示画像(投射画像)の垂直方向の画素数をYV(図示せず)、スクリーンSCR上の表示画像の垂直方向の長さをDV(図示せず)とすると、パターン画像生成部230は、DV/YVを「1.0」画素として、垂直方向にDV/(10×YV)(=「0.1」画素)刻みで画素ずれ量が異なるパターン画像を生成する。
【0041】
以上のように、本実施形態では、画像の水平方向や垂直方向に、画像の直線部分のエッジが判別しやすいオリジナルパターン画像PAT0に対して、画素位置をずらしたパターン画像が生成される。そのため、パターン画像では、画像の直線部分のエッジが急峻でなくなり、画像を表示したときに最も直線部分のエッジが判別しやすくなるように画像信号を補正するための画素ずれ量が求められる。
【0042】
なお、図2に示す21×21種類のパターン画像は、1画素を構成する複数の色成分のうち基準色成分を除く残りの色成分毎に設けられる。1画素がRGBの3色成分のサブ画素で構成され、基準色成分をG成分とすると、パターン画像記憶部240は、例えば21×21×2種類(R成分用とB成分用)のパターン画像を記憶する。この場合、パターン画像は、G成分のサブ画素位置に対してその画素位置を画像の水平方向や垂直方向にずらしたR成分のパターン画像と、G成分のサブ画素位置に対してその画素位置を画像の水平方向や垂直方向にずらしたB成分のパターン画像からなる。そして、本実施形態では、基準色成分の画素を基準に、色成分ごとに設けられた画素ずれ量を用いて、各色成分の画像信号毎に補正処理が行われる。このように、基準色成分を除く色成分毎にパターン画像を設けたので、基準色成分を基準に、色成分毎に各色成分のサブ画素に対応した表示画素のずれ量を正確に求めることができるようになる。
【0043】
図4に、本実施形態におけるパターン画像生成部230の動作原理の説明図を示す。
【0044】
図4は、オリジナルパターン画像PAT0の画素P1(画素値p1)に対して水平方向にα(0≦α≦1)画素、垂直方向にβ(0≦β≦1)画素だけずれた画素Q1を表す。パターン画像生成部230は、このような画素Q1の画素値q1を、画素位置がずれた画素Q1の周辺のオリジナルパターン画像PAT0の画素P1を含む4画素(図4では、P1(画素値p1)、P2(画素値p2)、P3(画素値p3)、P4(画素値p4))を以下の式のように補間することで求める。
q1=((1-α)×p1+α×p2)×(1-β)+((1-α)×p3+α×p4)×β
【0045】
パターン画像生成部230は、同様に他のパターン画像の画素の画素値も、オリジナルパターン画像PAT0の該当する画素の画素値を補間して求める。
【0046】
図5に、本実施形態におけるオリジナルパターン画像PAT0の例を示す。図5は、画像の水平方向に並ぶ3画素、垂直方向に並ぶ3画素のみを示すが、オリジナルパターン画像PAT0は、水平方向又は垂直方向に並ぶ画素数に限定されるものではない。
【0047】
図6に、本実施形態におけるR成分のパターン画像の例を示す。図6は、オリジナルパターン画像PAT0に対し、水平方向に「0.6」画素、垂直方向に「0.0」画素だけずれたパターン画像を表す。
【0048】
図7に、本実施形態におけるG成分のパターン画像の例を示す。図7は、オリジナルパターン画像PAT0に対し、水平方向に「0.0」画素、垂直方向に「0.0」画素だけずれたパターン画像を表す。
【0049】
図8に、本実施形態におけるB成分のパターン画像の例を示す。図8は、オリジナルパターン画像PAT0に対し、水平方向に「0.0」画素、垂直方向に「0.0」画素だけずれたパターン画像を表す。
【0050】
図5は、オリジナルパターン画像PAT0の上段の水平方向に並ぶ3画素のR成分の画素値がRin00、Rin10、Rin20、G成分の画素値がGin00、Gin10、Gin20、B成分の画素値がBin00、Bin10、Bin20であることを示している。同様に、オリジナルパターン画像PAT0の中段の水平方向に並ぶ3画素のR成分の画素値がRin01、Rin11、Rin21、G成分の画素値がGin01、Gin11、Gin21、B成分の画素値がBin01、Bin11、Bin21であることを示している。また、オリジナルパターン画像PAT0の下段の水平方向に並ぶ3画素のR成分の画素値がRin02、Rin12、Rin22、G成分の画素値がGin02、Gin12、Gin22、B成分の画素値がBin02、Bin12、Bin22であることを示している。
【0051】
このようなオリジナルパターン画像PAT0に対し、図6に示すように、水平方向に「0.6」画素、垂直方向に「0.0」画素だけずれたパターン画像を生成する場合、パターン画像生成部230は、各画素に対して、オリジナルパターン画像PAT0のR成分の画素値と上述の式を用いて、上段の水平方向に並ぶ3画素の画素値Rout00、Rout10、Rout20、中段の水平方向に並ぶ3画素の画素値Rout01、Rout11、Rout21、下段の水平方向に並ぶ3画素の画素値Rout02、Rout12、Rout22を求める。
【0052】
例えば、上述の式において、q1をRout00、p1をRin00、p2をRin10、p3をRin01、p4をRin11、αを「0.6」、βを「0.0」とすると、画素値Rout00は以下のように求められる。
Rout00=(1-0.6)×Rin00+0.6×Rin10=Rin00×0.4+Rin10×0.6
【0053】
同様に、オリジナルパターン画像PAT0に対し、図7に示すように、水平方向に「0.0」画素、垂直方向に「0.0」画素だけずれたパターン画像を生成する場合、パターン画像生成部230は、各画素に対して、オリジナルパターン画像PAT0のG成分の画素値と上述の式を用いて、上段の水平方向に並ぶ3画素の画素値Gout00、Gout10、Gout20、中段の水平方向に並ぶ3画素の画素値Gout01、Gout11、Gout21、下段の水平方向に並ぶ3画素の画素値Gout02、Gout12、Gout22を求める。
【0054】
例えば、上述の式において、q1をGout00、p1をGin00、p2をGin10、p3をGin01、p4をGin11、αを「0.0」、βを「0.0」とすると、画素値Gout00は以下のように求められる。
Gout00=(1-0.0)×Gin00+0.0×Gin10=Gin00
【0055】
また、オリジナルパターン画像PAT0に対し、図8に示すように、水平方向に「0.0」画素、垂直方向に「0.0」画素だけずれたパターン画像を生成する場合、パターン画像生成部230は、各画素に対して、オリジナルパターン画像PAT0のB成分の画素値と上述の式を用いて、上段の水平方向に並ぶ3画素の画素値Bout00、Bout10、Bout20、中段の水平方向に並ぶ3画素の画素値Bout01、Bout11、Bout21、下段の水平方向に並ぶ3画素の画素値Bout02、Bout12、Bout22を求める。
【0056】
図9に、本実施形態におけるR成分のパターン画像の他の例を示す。図9は、オリジナルパターン画像PAT0に対し、水平方向に「0.8」画素、垂直方向に「0.8」画素だけずれたパターン画像を表す。
【0057】
パターン画像生成部230は、各画素に対して、オリジナルパターン画像PAT0のR成分の画素値と上述の式を用いて、上段の水平方向に並ぶ3画素の画素値Rout00、Rout10、Rout20、中段の水平方向に並ぶ3画素の画素値Rout01、Rout11、Rout21、下段の水平方向に並ぶ3画素の画素値Rout02、Rout12、Rout22を求める。
【0058】
例えば、上述の式において、q1をRout00、p1をRin00、p2をRin10、p3をRin01、p4をRin11、αを「0.8」、βを「0.8」とすると、画素値Rout00は以下のように求められる。
Rout00=((1-0.8)×Rin00+0.8×Rin01)×(1-0.8)+((1-0.8)×Rin10+0.8×Rin11)×0.8
=Rin00×0.2×0.2+Rin01×0.8×0.2+Rin10×0.2×0.8+Rin11×0.8×0.8
【0059】
なお、図4〜図9では、バイリニア法によりパターン画像の画素の画素値を求める例について説明したが、ニアレストネイバー法やバイキュービック法等の公知の補間処理方法でパターン画像の画素の画素値を求めてもよい。
【0060】
以上のようなパターン画像に基づいて画素ずれ量を求める画素ずれ測定装置200は、図示しない中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)及びメモリを有し、図10に示す処理内容が指定されたプログラムがメモリに記憶されている。そして、メモリに記憶されたプログラムを読み込んだCPUが該プログラムにより指定された処理を実行することで、図1の画素ずれ測定装置200の各部の機能を実現したり、各部の制御を行ったりすることができるようになっている。
【0061】
図10に、本実施形態における画素ずれ測定装置200の処理例のフロー図を示す。
【0062】
図10に示す処理に先立って、パターン画像生成部230は、上述のように、色成分毎に、21×21種類のパターン画像を生成する。そして、画素ずれ測定装置200は、パターン画像投射指示ステップとして、画像表示部100によるパターン画像の投射を指示する(ステップS10)。即ち、パターン画像記憶部240に記憶された複数のパターン画像のうちの1つのパターン画像の画像データが読み出され、該画像データに対応した画像信号を画像表示部100に供給し、画像表示部100によりスクリーンSCRに投射させる。
【0063】
次に、画素ずれ測定装置200は、色測定ステップ(測定ステップ)として、色測定部210において、スクリーンSCRの投射画像の色成分を測定する(ステップS12)。例えば、色測定部210は、投射画像の画面全体について画素毎に色成分を測定する。色測定部210により取得された測定値は、画素ずれ量決定部220に供給される。画素ずれ量決定部220は、測定対象のパターン画像に関連づけて、色測定部210からの測定値を管理する。
【0064】
画素ずれ測定装置200は、パターン画像記憶部240に記憶されたパターン画像のすべてについて色測定が終了したか否かを判別し(ステップS14)、すべてのパターン画像について色測定が終了していないと判別されたとき(ステップS14:N)、ステップS10に戻る。
【0065】
一方、すべてのパターン画像について色測定が終了したと判別されたとき(ステップS14:Y)、画素ずれ量決定部220は、画素ずれ量決定ステップとして、測定対象のパターン画像に関連づけられた測定値に基づいて1つのパターン画像を選択する(ステップS16)。続いて、画素ずれ量決定部220は、ステップS16で選択したパターン画像に対応した画素ずれ量を求め(ステップS18)、一連の処理を終了する(エンド)。
【0066】
ステップS16において、どのようなパターン画像を選択するかは、色測定部210が取得する測定値の種類に依存する。
【0067】
図11(A)、図11(B)に、本実施形態における画素ずれ量決定部の動作説明図を示す。図11(A)は、偽色が増えるほどその値が大きくなる測定値と画素ずれ量との関係の一例を表す。図11(B)は、偽色が増えるほどその値が小さくなる測定値と画素ずれ量との関係の一例を表す。
【0068】
図11(A)、図11(B)に示すように、画素ずれ量が変化すると、色測定部210によって取得される測定値又は画面全体の該測定値の平均値が変化する。そこで、図11(A)では、測定値(又は画面全体の測定値の平均値)が最小となる画素ずれ量を求めることで、偽色を最小に抑えることが可能となる。また、図11(B)では、測定値(又は画面全体の測定値の平均値)が最大となる画素ずれ量を求めることで、偽色を最小に抑えることが可能となる。
【0069】
従って、画素ずれ量決定部220は、複数のパターン画像を構成する各パターン画像に関連付けられた測定値(又は画面全体の測定値の平均値)が最大値又は最小値となるパターン画像を選択する。これにより、当該パターン画像に対応した画素ずれ量が判明するので、この判明した画素ずれ量に基づいて、コンテンツ画像の画像信号を補正処理することで、偽色が最も見えにくくなるようにスクリーンSCRに画像を表示できるようになる。
【0070】
図12に、本実施形態における画素ずれ量決定部220の動作例の説明図を示す。図12では、縦軸に画面全体の色成分の平均値として彩度Cabを示し、横軸にR成分の水平方向の画素ずれ量を示す。
【0071】
このように色測定部210は、パターン画像を投射したスクリーンSCRの表示画像の画素毎に色成分の測定値を取得する。例えば、測定値として、CIELAB(CIE 1976 L)色空間の彩度Cabを取得する。ここで、彩度Cabは、CIELAB色空間の色座標a、bと色空間の原点との距離として、以下の式により求められる。
Cab={(a+(b1/2
【0072】
そして、画素ずれ量決定部220は、パターン画像毎に、画面全体のCabの平均値を求めた上で、求めた平均値の最小値を算出する。そして、画素ずれ量決定部220は、画面全体のCabの平均値の最小値となるパターン画像を選択する。この選択したパターン画像に対応した画素ずれ量を、求める画素ずれ量として決定する。即ち、図12では、画面全体のCabの平均値の最小値となるパターン画像を選択した結果、該パターン画像の画素ずれ量である「−0.5」画素(水平方向)が求められる。
【0073】
3. 画像表示部
本実施形態では、画像表示部100が、上述により求められた画素ずれ量に基づいて、コンテンツ画像の画像信号を補正処理することができる。こうすることで、求めた画素ずれ量を正確にコンテンツの表示画像に反映させることができるので、測定した画素ずれ量を正確に反映できずに偽色が見えてしまうという事態を確実に回避できるようになる。
【0074】
図13に、本実施形態における画像表示部100の構成例のブロック図を示す。図13において、図1と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0075】
画像表示部100は、投射部180と、画像処理部190とを含む。画像処理部190は、画素ずれ測定装置200によって求められた画素ずれ量に対応して、コンテンツの画像信号を補正する。投射部180は、画像処理部190によって補正された画像信号に基づいて、光源からの光を変調して、スクリーンSCRに画像を投射する。
【0076】
画像処理部190は、画素ずれ量記憶部192と、画像信号補正部194とを含む。画素ずれ量記憶部192には、画素ずれ測定装置200によって測定された画素ずれ量が記憶される。より具体的には、画素ずれ量記憶部192は、画素ずれ測定装置200によって測定された画素ずれ量を、スクリーンSCRへの表示画像のサブ画素に対応した表示画素毎に記憶する。画像信号補正部194は、表示画像の画素位置に対応して読み出された画素ずれ量に基づいて、当該画素位置の表示画素の画像信号を色成分毎に補正して投射部180に出力する。
【0077】
図14に、図13の画像処理部190のハードウェア構成例のブロック図を示す。
【0078】
画像処理部190は、CPU300、I/F回路310、読み出し専用メモリ(Read Only Memory:ROM)320、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)330、バス340を有し、バス340を介して、CPU300、I/F回路310、ROM320、RAM330は電気的に接続されている。
【0079】
例えばROM320には、画像処理部190の機能を実現するプログラムや、画素ずれ測定装置200によって取得された画素ずれ量データが記憶される。CPU300は、ROM320に記憶されたプログラムを読み出し、該プログラムに対応した処理を実行することで、上述の画像処理部190の機能をソフトウェア処理で実現できる。なお、RAM330は、CPU300による処理の作業エリアとして用いられたり、I/F回路310やROM320のバッファエリアとして用いられたりする。I/F回路310は、図示しない画像信号生成装置からの画像信号の入力インタフェース処理や、画素ずれ測定装置200からの制御信号の入出力インタフェース処理を行う。
【0080】
図15に、図13の画像処理部190の処理例のフロー図を示す。
【0081】
図14のROM320において、予め図15に示す処理を実現するためのプログラムが格納されており、CPU300がROM320に格納されたプログラムを読み出して該プログラムに対応した処理を実行することで、図15に示す処理をソフトウェア処理により実現できる。
【0082】
ここでは、図15に示す処理に先立って、画素ずれ測定装置200により、上述のように、スクリーンSCRの表示画像のサブ画素毎に、画素ずれ量が求められているものとする。なお、図15では、基準色成分がG成分であるものとして説明するが、本発明がこれに限定されるものではなく、基準色成分がR成分又はB成分であってもよい。
【0083】
まず、画像信号補正部194は、コンテンツの画像信号の有無を判別する(ステップS30)。ステップS30において、画像信号がないと判別されたとき(ステップS30:N)、画像信号補正部194は、画像信号の入力を待つ。
【0084】
ステップS30において、画像信号があると判別されたとき(ステップS30:Y)、画像信号補正部194は、画素の色成分の画像信号毎に、当該画素位置の画素ずれ量を用いた補正処理を行う。即ち、画像信号補正部194は、コンテンツのR成分の画像信号に対して、R成分のサブ画素の当該画素位置に対応して記憶された画素ずれ量(水平方向の画素ずれ量及び垂直方向の画素ずれ量)を用いて補正処理を行う(ステップS32)。
【0085】
続いて、画像信号補正部194は、コンテンツのB成分の画像信号に対して、B成分のサブ画素の当該画素位置に対応して記憶された画素ずれ量(水平方向の画素ずれ量及び垂直方向の画素ずれ量)を用いて補正処理を行う(ステップS34)。
【0086】
ここで、画像信号補正部194は、上述のようにパターン画像生成部230がパターン画像を生成するときに用いた画素値の補正処理と同じ処理(図4〜図9参照)で、画像信号を補正する。例えば、R成分のサブ画素の画素値Rout00を求める際に、当該サブ画素の周辺の画素の画素値Rin00、Rin10、Rin01、Rin11を求めて、以下の式で画素値Rout00を求める。
Rout00=((1-α)×Rout00+α×Rout10)×(1-β)+((1-α)×Rout01+α×Rout11)×β
【0087】
上記の式において、画素値Rin00のサブ画素に対して、水平方向に画素ずれ量がα画素分、垂直方向に画素ずれ量がβ画素分であるものとする。ステップS34におけるB成分も同様に求められる。
【0088】
以上のように、表示画像内の全サブ画素について補正処理が終了するまで(ステップS36:N)、ステップS32に戻って画像内の各サブ画素の補正処理を行う。一方、表示画像内の全サブ画素について補正処理が終了したとき(ステップS36:Y)、画素ずれ量に応じた補正処理を終了しないときは(ステップS38:N)、ステップS30に戻って処理を継続し、画素ずれ量に応じた補正処理を終了するとき(ステップS38:Y)、一連の処理を終了する(エンド)。
【0089】
なお図15では、表示画像の全サブ画素について、水平方向及び垂直方向の画素ずれ量が記憶されているものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。表示画像内の複数の代表点における画素ずれ量のみを保存しておき、図15の処理に先立って、公知の補間処理方法で代表点における画素ずれ量を用いて表示画像の全サブ画素について水平方向及び垂直方向の画素ずれ量が求めるようにしてもよい。
【0090】
以上のように、本実施形態によれば、パターン画像に対応した画素ずれ量を用いて、該パターン画像の生成処理方法と同じ方法でコンテンツの画像信号を補正するようにしたので、画素ずれ測定装置200からの画素ずれ量を、画像信号の補正に正確に反映できるようになる。そのため、画素ずれ量を精密に測定できなくても、偽色が最も見えにくくなるように画像を表示させることができるようになる。
【0091】
図16に、本実施形態における投射部180の構成例を示す。図16では、本実施形態における投射部180が、いわゆる3板式の液晶プロジェクタにより構成されるものとして説明するが、本発明に係る画像表示装置の投射部がいわゆる3板式の液晶プロジェクタにより構成されるものに限定されるものではない。
【0092】
投射部180は、光源110、インテグレータレンズ112、114、偏光変換素子116、重畳レンズ118、R用ダイクロイックミラー120R、G用ダイクロイックミラー120G、反射ミラー122、R用フィールドレンズ124R、G用フィールドレンズ124G、R用液晶パネル130R(第1の光変調部)、G用液晶パネル130G(第2の光変調部)、B用液晶パネル130B(第3の光変調部)、リレー光学系140、クロスダイクロイックプリズム160、投射レンズ170を含む。R用液晶パネル130R、G用液晶パネル130G及びB用液晶パネル130Bとして用いられる液晶パネルは、透過型の液晶表示装置である。リレー光学系140は、リレーレンズ142、144、146、反射ミラー148、150を含む。
【0093】
光源110は、例えば超高圧水銀ランプにより構成され、少なくともR成分の光、G成分の光、B成分の光を含む光を射出する。インテグレータレンズ112は、光源110からの光を複数の部分光に分割するための複数の小レンズを有する。インテグレータレンズ114は、インテグレータレンズ112の複数の小レンズに対応する複数の小レンズを有する。重畳レンズ118は、インテグレータレンズ112の複数の小レンズから射出される部分光を重畳する。
【0094】
また偏光変換素子116は、偏光分離膜とλ/2板とを有し、p偏光を透過させると共にs偏光を反射させ、p偏光をs偏光に変換する。この偏光変換素子116からのs偏光が、重畳レンズ118に照射される。
【0095】
重畳レンズ118によって重畳された光は、R用ダイクロイックミラー120Rに入射される。R用ダイクロイックミラー120Rは、R成分の光を反射して、G成分及びB成分の光を透過させる機能を有する。R用ダイクロイックミラー120Rを透過した光は、G用ダイクロイックミラー120Gに照射され、R用ダイクロイックミラー120Rにより反射した光は反射ミラー122により反射されてR用フィールドレンズ124Rに導かれる。
【0096】
G用ダイクロイックミラー120Gは、G成分の光を反射して、B成分の光を透過させる機能を有する。G用ダイクロイックミラー120Gを透過した光は、リレー光学系140に入射され、G用ダイクロイックミラー120Gにより反射した光はG用フィールドレンズ124Gに導かれる。
【0097】
リレー光学系140では、G用ダイクロイックミラー120Gを透過したB成分の光の光路長と他のR成分及びG成分の光の光路長との違いをできるだけ小さくするために、リレーレンズ142、144、146を用いて光路長の違いを補正する。リレーレンズ142を透過した光は、反射ミラー148によりリレーレンズ144に導かれる。リレーレンズ144を透過した光は、反射ミラー150によりリレーレンズ146に導かれる。リレーレンズ146を透過した光は、B用液晶パネル130Bに照射される。
【0098】
R用フィールドレンズ124Rに照射された光は、平行光に変換されてR用液晶パネル130Rに入射される。R用液晶パネル130Rは、光変調素子(光変調部)として機能し、R用画像信号に基づいて透過率(通過率、変調率)が変化するようになっている。従って、R用液晶パネル130Rに入射された光(第1の色成分の光)は、R用画像信号に基づいて変調され、変調後の光がクロスダイクロイックプリズム160に入射される。
【0099】
G用フィールドレンズ124Gに照射された光は、平行光に変換されてG用液晶パネル130Gに入射される。G用液晶パネル130Gは、光変調素子(光変調部)として機能し、G用画像信号に基づいて透過率(通過率、変調率)が変化するようになっている。従って、G用液晶パネル130Gに入射された光(第2の色成分の光)は、G用画像信号に基づいて変調され、変調後の光がクロスダイクロイックプリズム160に入射される。
【0100】
リレーレンズ142、144、146で平行光に変換された光が照射されるB用液晶パネル130Bは、光変調素子(光変調部)として機能し、B用画像信号に基づいて透過率(通過率、変調率)が変化するようになっている。従って、B用液晶パネル130Bに入射された光(第3の色成分の光)は、B用画像信号に基づいて変調され、変調後の光がクロスダイクロイックプリズム160に入射される。
【0101】
R用液晶パネル130R、G用液晶パネル130G、B用液晶パネル130Bは、それぞれ同様の構成を有している。各液晶パネルは、電気光学物質である液晶を一対の透明なガラス基板に密閉封入したものであり、例えばポリシリコン薄膜トランジスタをスイッチング素子として、各サブ画素の画像信号に対応して各色光の通過率を変調する。
【0102】
本実施形態の画像処理部190において色成分毎に画素ずれ量に基づいて補正された画像信号は、それぞれR用液晶パネル130R、G用液晶パネル130G、B用液晶パネル130Bの透過率(通過率、変調率)の制御に用いられる。
【0103】
クロスダイクロイックプリズム160は、R用液晶パネル130R、G用液晶パネル130G及びB用液晶パネル130Bからの入射光を合成した合成光を出射光として出力する機能を有する。投射レンズ170は、出力画像をスクリーンSCR上に拡大して結像させるレンズであり、ズーム倍率に応じて画像を拡大又は縮小させる機能を有する。
【0104】
以上のような構成を有する本実施形態における投射部180は、上述のように画素ずれ量に応じて補正された画像信号に基づいて変調された光をスクリーンSCRに投射することができる。そして、このような投射部180を含む画像表示部100は、各パターン画像を表示すると共に画素ずれ測定装置200によって求められた画素ずれ量に基づいて画像を表示することができる。このとき、画像表示部100は、画素ずれ量に対応して補正された画像信号に基づいて画像を表示することができる。
【0105】
以上、本発明に係る画素ずれ測定装置、画像表示装置及び画素ずれ測定方法を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0106】
(1)上記の実施形態では、1画素を3つの色成分のサブ画素で構成されるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。1画素を構成する色成分数が2、又は4以上であってもよい。
【0107】
(2)上記の実施形態では、基準色成分としてG成分の画素位置を基準にR成分の画素やB成分の画素のずれ量を定義していたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、基準色成分としてR成分やB成分を採用してもよい。また、1画素を構成する複数の色成分の中から基準色成分を選択することなく、所与の基準画素の画素位置を基準に各色成分の画素のずれ量を定義してもよい。
【0108】
(3)上記の実施形態では、光変調部としてライトバルブを用いるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。光変調部として、例えばDLP(Digital Light Processing)(登録商標)、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)等を採用してもよい。
【0109】
(4)上記の実施形態では、光変調部として、いわゆる3板式の透過型の液晶パネルを用いたライトバルブを例に説明したが、4板式以上の透過型の液晶パネルを用いたライトバルブを採用してもよい。
【0110】
(5)上記の実施形態において、本発明を、画素ずれ測定装置、画像表示装置及び画素ずれ測定方法として説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明を実現するための画素ずれ測定方法の処理手順が記述されたプログラムや、該プログラムが記録された記録媒体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本実施形態における画素ずれ測定装置が適用された画像表示装置の構成例のブロック図。
【図2】本実施形態におけるパターン画像の説明図。
【図3】本実施形態における表示画素のずれ量の単位の説明図。
【図4】本実施形態におけるパターン画像生成部の動作原理の説明図。
【図5】本実施形態におけるオリジナルパターン画像の説明図。
【図6】本実施形態におけるR成分のパターン画像の一例の説明図。
【図7】本実施形態におけるG成分のパターン画像の一例の説明図。
【図8】本実施形態におけるB成分のパターン画像の一例の説明図。
【図9】本実施形態におけるR成分のパターン画像の他の例の説明図。
【図10】本実施形態における画素ずれ測定装置の処理例のフロー図。
【図11】図11(A)、図11(B)は本実施形態における画素ずれ量決定部の動作説明図。
【図12】本実施形態における画素ずれ量決定部の動作例の説明図。
【図13】本実施形態における画像表示部の構成例のブロック図。
【図14】図13の画像処理部のハードウェア構成例のブロック図。
【図15】本実施形態における画像処理部の動作例のフロー図。
【図16】本実施形態における投射部の構成例を示す図。
【符号の説明】
【0112】
10…画像表示装置、 100…画像表示部、 110…光源、
112,114…インテグレータレンズ、 116…偏光変換素子、
118…重畳レンズ、 120R…R用ダイクロイックミラー、
120G…G用ダイクロイックミラー、 122,148,150…反射ミラー、
124R…R用フィールドレンズ、 124G…G用フィールドレンズ、
130R…R用液晶パネル、 130G…G用液晶パネル、
130B…B用液晶パネル、 140…リレー光学系、
142,144,146…リレーレンズ、 160…クロスダイクロイックプリズム、
170…投射レンズ、180…投射部、 190…画像処理部、
192…画素ずれ量記憶部、 194…画像信号補正部、 200…画素ずれ測定装置、
210…色測定部、 220…画素ずれ量決定部、 230…パターン画像生成部、
240…パターン画像記憶部、 300…CPU、 310…I/F回路、
320…ROM、 330…RAM、 340…バス、 SCR…スクリーン、
PAT0…オリジナルパターン画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画素のずれ量を測定する画素ずれ測定装置であって、
画素のずれ量が互いに異なる複数のパターン画像を構成する各パターン画像の表示画素のずれ量に対応した測定値を取得する測定部と、
前記各パターン画像に対応する測定値に基づいて前記複数のパターン画像の1つを選択し、選択したパターン画像に対応したずれ量を求める画素ずれ量決定部とを含むことを特徴とする画素ずれ測定装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記測定部が、
偽色が増えるほどその値が大きくなる測定値、又は前記偽色が増えるほどその値が小さくなる測定値を取得し、
前記画素ずれ量決定部が、
前記測定値が最大値又は最小値となるパターン画像を選択することを特徴とする画素ずれ測定装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記測定部が、
前記各パターン画像の色成分に対応した測定値を取得し、
前記画素ずれ量決定部が、
前記複数のパターン画像のうち、画面全体の前記測定値の平均値が最小となるパターン画像を選択することを特徴とする画素ずれ測定装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記パターン画像の水平方向又は垂直方向に画素のずれ量が互いに異なる前記複数のパターン画像を記憶するパターン画像記憶部を含むことを特徴とする画素ずれ測定装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記複数のパターン画像が、
1画素分の線幅の直線を格子状に有する2値画像に対して、画素のずれ量が互いに異なるように生成された画像であることを特徴とする画素ずれ測定装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、
前記複数のパターン画像が、
1画素を構成する複数の色成分のうち基準色成分を除く残りの色成分毎に設けられ、該残りの色成分の各色成分のサブ画素のずれ量が互いに異なるパターン画像であることを特徴とする画素ずれ測定装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか記載の画素ずれ測定装置と、
前記各パターン画像を表示すると共に前記ずれ量に基づいて画像を表示する画像表示部とを含み、
前記画像表示部が、
前記ずれ量に対応して補正された画像信号に基づいて画像を表示することを特徴とする画像表示装置。
【請求項8】
表示画素のずれ量を測定する画素ずれ測定方法であって、
画素のずれ量が互いに異なる複数のパターン画像を構成する各パターン画像の表示画素のずれ量に対応した測定値を取得する測定ステップと、
前記各パターン画像に対応する測定値に基づいて前記複数のパターン画像の1つを選択し、選択したパターン画像に対応したずれ量を求める画素ずれ量決定ステップとを含むことを特徴とする画素ずれ測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−194420(P2009−194420A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−30048(P2008−30048)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】