説明

画素クロック生成装置、画像形成装置

【課題】1つの光源が2つ以上の複数の光走査位置を時間的にずらして光走査する画像形成装置において、各々の光走査位置で走査速度に異なる誤差が生じても、それぞれ高精度に補正できる画素クロックを生成する画素クロック生成装置を提供すること。
【解決手段】画素の処理タイミングとなる画素クロックを生成する画素クロック生成装置111であって、タイミング検出手段108,109が周期的に検出する信号の時間間隔を検出する時間間隔検出手段2,3と、N個(≧2)の目標値を循環して変更し、時間間隔と該目標値とを比較して、目標値との誤差を出力する比較手段5と、比較手段が出力するN個の目標値毎に、誤差を抑制する画素クロック周波数の周波数指示信号を、循環して演算する周波数演算手段7と、高周波クロックを生成する高周波クロック生成手段1と、 高周波クロックを基準に周波数指示信号に応じた画素クロックを生成する画素クロック生成手段4と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画素クロック生成装置及び画像形成装置に関し、特に、各種の誤差を補正して画素クロックを高精度に生成できる画素クロック生成装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図26は、従来の画像形成装置の概略構成図である。図26に示す画像形成装置は例えば電子写真方式にて画像形成を行う、レーザプリンタ、デジタル複写機等である。図26に示すように、半導体レーザユニット1009から照射されたレーザ光は、回転するポリゴンミラー1003によりスキャンされ、走査レンズ1002を介して被走査媒体である感光体1001上に光スポットを形成し、感光体1001を露光させて静電潜像を形成する。このとき、ライン毎に、フォトディテクタ1004が走査ビームを検出する。
【0003】
位相同期回路1006は、クロック生成回路1005からのクロックの供給を受け、フォトディテクタ1004の出力信号に基づいて、1ライン毎に、位相同期のとれた画像クロック(画素クロック)を生成して、画像処理ユニット1007とレーザ駆動回路1008へ供給する。また、半導体レーザユニット1009は、画像処理ユニット1007により生成された画像データと位相同期回路1006により1ライン毎に位相が設定された画像クロックに従い、半導体レーザの発光時間をコントロールすることにより、感光体1001上の静電潜像の形成をコントロールする。
【0004】
このような走査光学系において、走査速度のムラは画像の揺らぎとなり画像品質の劣化を招く。特にカラー画像においては、各色の主走査でドットの位置ずれが生じるため色ずれを生じ、色再現性の劣化、解像度の劣化を招く。従って高品位の画質を得るためには走査速度ムラの補正は不可欠である。
【0005】
この走査速度ムラ(誤差)は大別すると以下のものが挙げられる。それぞれについて主な要因を述べる。
(1)ポリゴンミラーの面毎(走査ライン毎)の誤差 (以下、適宜、面毎の誤差と称する)
このような走査速度ムラを引き起こす要因としては、ポリゴンミラー等の偏向器の偏向反射面の回転軸からの距離のばらつき(すなわちポリゴンミラーの偏芯)や、ポリゴンミラーの各面の面精度などがある。この種の誤差は数ライン(例えばポリゴンミラーの面数分のライン数)の周期性を持った誤差となる。
(2)走査平均速度変動による誤差
走査平均速度とはポリゴンミラーの各面の走査速度の平均を示し、このような走査速度ムラを引き起こす要因としては、ポリゴンミラーの回転速度の変動や、温度、湿度や振動等の種々の環境変動による走査光学系の変動によるものがある。また温度変動等により光源である半導体レーザの発振波長が変化するため走査光学系の色収差により走査速度が変動するものなどがある。この種の誤差は比較的緩やかな変動となる。
【0006】
また、例えば半導体レーザアレイ等の複数の光源を備え、共通の走査光学系で複数の光ビームを同時に走査するマルチビーム光学系の場合、次のような走査速度ムラも発生する。
(3)光源毎の誤差
この誤差の主な要因としては、各光源の発振波長に差があり、走査光学系の色収差により走査速度が変動する。なお発振波長の変動は光源毎に異なるので、(2)の誤差は光源毎に異なることもある。また複数の光源の組み付け精度によっても複数ビームの走査速度に差を生じる。
【0007】
さらには、複数の感光体・走査光学系を備えて多色対応とした(タンデム方式と称される)画像形成装置の場合、次に示す各走査光学系の走査速度差が、画像品質に大きく影響する。
(4)走査光学系毎の誤差
この誤差の主な要因としては、走査光学系の各部品の製造精度や組付け精度、経時変化などによる変形などがあり、光源も異なるので前述の(3)の誤差も生じる。この誤差は、走査平均速度そのものが異なり、さらに上記誤差(1)、(2)が個別に生じる。
なお、このような画像形成装置の中には走査光学系の一部ユニットを共通に用いるものもあるが、それぞれの光源から被走査媒体(感光体)への光路は異なるので、これも(4)に含まれる。
【0008】
これらの走査速度の誤差を補正する方法として、画素クロックの周波数を走査速度に応じて変化させる方法がある。これは走査の開始から終了までの画素クロックのカウント数が所定値になるよう画素クロックを発生させる発振器の周波数を制御(いわゆるPLL(Phase Locked Loop)制御)するものである。
【0009】
しかしながら、従来のような画素クロック周波数の制御方法では次のような問題があった。すなわち、位相比較を行う基準クロックの周波数が1ラインの周波数であるので、発振する画素クロックに対して極めて低く(数千〜数万分の1)、充分なPLLのオープンループゲインが確保できず、充分な制御精度を得ることができない。また、外乱にも弱くクロック周波数が変動してしまい精度の良いクロックが生成できない。さらには、面毎の誤差を補正する場合は、1走査毎に発振器であるVCOの制御電圧を変化させるため、クロック周波数が安定して発振するまでに時間を要してしまう。
【0010】
また、走査速度の誤差を補正する別の方法として、生成した高周波クロックを基に画素クロックの位相制御を行う方法がある。これは走査の開始から終了までの高周波クロックのカウント数が所定値になるよう画素クロックの位相を制御する技術である。
【0011】
この高周波クロックは、例えば水晶発振器のような精度のよいクロックを基準クロックとして生成できるので、精度のよいクロックが得られ、これを基準に画素クロックの位相制御を行うので、画素クロックの制御精度もよいものが生成できる。しかしながら、画素クロックの位相制御を適宜行うことにより、走査速度の誤差を補正しているため、この1走査ライン分の位相制御データを生成する必要があり、さらに画素クロックの位相変化による局所的な偏差を低減するためには、すなわち高精度な画素クロックを生成するためには、高分解能な位相制御を行う必要があるので位相制御データが増大する。よって、この位相制御データを高速かつ高精度に生成することは容易ではなく、リアルタイム制御を行うには非常に高速な制御回路が必要となり容易に実現できるものではなかった。また、面毎の誤差を補正する装置に適用する場合には、面毎に位相制御データを生成する必要があり、高精度な補正をするためには膨大な位相制御データの生成と格納が必要になり、容易に実現できるものではなかった。さらに、走査光学系の各ユニットの精度誤差や組付け誤差により、1ラインの走査中にも走査速度の変動が生じる。
【0012】
(5)非線形性誤差
図27(a)は1ライン中の走査速度の非線形性誤差の一例を示すものである。横軸xは走査ラインの位置であり、縦軸は位置xに対する走査速度V(x)である。一点鎖線Vavgは1ライン中の走査速度の平均値である。このような走査速度の変動を生じた時、一定速度で走査した理想値からのずれΔは同図(b)のようになる。これはすなわちドット位置ずれを意味し、画像劣化を招く。なお、図27において位置X2からX1の方向に走査する場合は、理想値からのずれΔは点線のようになる。従って、特にこのように走査中心に対して非対称な位置ずれが生じる走査光学系において、走査を双方向に行う場合、色ずれが大きくなり、画像劣化は大きくなるおそれがある。
【0013】
さらにはポリゴンミラーの各面の面精度により、この非線形性誤差の誤差量及び分布は面毎に異なることもある。また、この誤差は走査光学系毎にも異なる。
【0014】
このような走査速度の非線形性誤差を補正する方法として、走査ライン中の位置に対応して画素クロックの周波数を変調し補正する方法がある。しかしながら、画素クロックの中心周波数の生成が従来と同様のため、前述したように精度よいクロックが生成できず、十分な補正ができないため、高画質化の要求に対しては不十分であった。
【0015】
これらの問題を解決するものとして、上記(1)〜(5)による走査速度の誤差及び非線形性誤差が生じても高精度に補正できる画素クロックを生成する技術がある(例えば特許文献1参照。)。
【0016】
特許文献1に開示された画素クロック生成装置は、高周波クロック生成部が高周波クロックを生成し、第1エッジ検出部2が入力する第1の同期信号を検出し、第2エッジ検出部が第2の同期信号を検出し、比較部が検出された第1の同期信号および第2の同期信号間の時間間隔と目標値とを比較して誤差を出力する。分周器は、高周波クロック生成部によって生成される高周波クロックを分周して画素クロックを生成する。周波数演算部は、比較部によって出力された誤差に基づいては、画素クロック周波数を指定する周波数指示信号を出力して、画素クロックを補正し、走査速度の誤差を補正する。
一方で、タンデム方式の画像形成装置において、光源数を減らしながらも高速な画像出力を可能にする画像形成装置も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
図28は、この特許文献2で提示されている画像形成装置における光走査装置である。光源901、901'から照射される光ビームが、それぞれ2つの感光体911a及び911bを時間的にずらして交互に走査しており、2つの静電潜像画像を形成する。また、特許文献2では、1つの光源に対しては1つのレーザ駆動回路が備えられ、1ライン毎交互に、2つの感光体に形成する画像を1つのレーザ駆動回路が変調している。
【0018】
このとき、1つの光源から照射される光ビームが感光体ドラム157a、bを走査する走査速度は、上述した要因で誤差を生じる可能性がある。すなわち、感光体ドラム157aを走査する光ビームは多面鏡式光偏向器907の上ポリゴンミラー907aにより偏向され、感光体ドラム157bを走査する光ビームは下ポリゴンミラー907bにより偏向されるため、それぞれのポリゴンミラーの精度により(1)ポリゴンミラーの面毎(走査ライン毎)の誤差を生じ、それぞれこの誤差が異なる。また、各々の感光体を走査するまでに経由する光学部品が異なるため(4)走査光学系毎の誤差も異なる。同様に(5)非線形性誤差も異なる。したがってそれぞれの感光体で形成される画像において主走査ドット位置ずれが生じるため色ずれを生じ、色再現性の劣化、解像度の劣化といった画像品質の劣化を招く可能性がないわけではない。
【0019】
引用文献1の画素クロックをタンデム方式の画像形成装置に適用することも考えられる。しかしながら、このように1つの光源が2つ以上の複数の光走査位置を時間的にずらして光走査する場合、この1つの光源を駆動するのに基準となる画素クロックも1つである(つまり制御対象は1つである)。しかし、それぞれの光走査位置においては走査速度の誤差および非線形性誤差が異なるため(制御目標値自体も異なるため)、1つの画素クロックでこれらの誤差を高精度に補正するには不十分であった。
【0020】
上記課題に鑑み、本発明は、1つの光源が2つ以上の複数の光走査位置を時間的にずらして光走査する画像形成装置において、各々の光走査位置で走査速度に異なる誤差が生じても、それぞれ高精度に補正できる画素クロックを生成する画素クロック生成装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、画素の処理タイミングとなる画素クロックを生成する画素クロック生成装置であって、第1の信号と第2の信号の時間間隔を検出する時間間隔検出手段と、N個の目標値を循環して変更し、該目標値に対応した前記時間間隔と前記目標値との誤差をそれぞれ出力する比較手段と、N(≧2)個の前記目標値毎に、前記誤差を補正した画素クロックの周波数指示信号を、循環して演算する周波数演算手段と、高周波クロックを生成する高周波クロック生成手段と、 前記高周波クロックを基準にして、前記周波数指示信号に応じた前記画素クロックを生成する画素クロック生成手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
1つの光源が2つ以上の複数の光走査位置を時間的にずらして光走査する画像形成装置において、各々の光走査位置で走査速度に異なる誤差が生じても、それぞれ高精度に補正できる画素クロックを生成する画素クロック生成装置及び画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】画像形成装置の全体構成の一例を示す図である。
【図2】タンデム方式の画像形成装置の光学系の側面図を模式的に示す図の一例である。
【図3】信号のタイミング図の一例である。
【図4】画素クロック生成部の構成図の一例である。
【図5】比較部の詳細な構成図の一例である。
【図6】周波数演算部の詳細な構成図の一例である。
【図7】周波数設定値変換部の詳細構成図の一例である。
【図8】周波数演算部による周波数設定値算出動作を示すフローチャート図の一例である。
【図9】変調データ生成部の動作を説明するためのタイミング図の一例である。
【図10】画素クロック生成部の構成図の一例である(第2の実施形態)。
【図11】高周波クロック生成部で生成される各クロックのタイミングを示す図の一例である。
【図12】高周波クロック生成部の構成例を示す図の一例である。
【図13】計数部の構成例を示す図である。
【図14】画素クロック出力部の構成例を示す図の一例である。
【図15】計数部及び画素クロック出力部の各信号のタイミングの一例を示す図である。
【図16】比較部の詳細な構成図の一例である。
【図17】比較部の動作を説明するためのタイミング図の一例である。
【図18】変調データ生成部の構成例を示す図である。
【図19】変調データ生成部の動作を説明するためのタイミング図の一例である。
【図20】画素クロック生成部の構成図の一例である(第3の実施形態)。
【図21】走査位置nに対する走査速度V(n)等の関係を示す図の一例である。
【図22】周波数変調データ生成部の概略構成図の一例である。
【図23】周波数変調部の概略構成図の一例である。
【図24】画素クロック生成部の構成図の一例である(第4の実施形態)。
【図25】画像形成装置全体構成図の一例である。
【図26】従来の画像形成装置の概略構成図である。
【図27】1ライン中の走査速度の非線形性誤差の一例を示すものである。
【図28】従来の画像形成装置における光走査装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
【0025】
〔第1の実施形態〕
図1は、第1の実施形態としての画像形成装置の全体構成の一例を示す。この画像形成装置は、タンデム方式と称される複数の感光体を有する多色対応の画像形成装置である。図2は、このタンデム方式の画像形成装置の光学系の側面図を模式的に示す図の一例である。なお、図示の簡単のため、図1では多面鏡式光偏向器907(上段ポリゴンミラー907a、下段ポリゴンミラー907b)から光走査位置に至る光路上のミラー909等の一部の光学部品の図示を省略し、光路が直線となるように描く等、図1と図2は図面構成上、各部の位置は完全には一致しない部分がある。
【0026】
タンデム方式の画像形成装置500は、シアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの各色に対応した別々の感光体を備え、走査光学系もそれぞれの感光体に対応して備えられ、各色に対応した画像(静電潜像)をそれぞれの感光体上に形成するようになっている。したがって本実施形態としての画像形成装置500は、1枚の画像形成媒体(例えば、紙)に各色の画像を転写することにより、カラー画像を形成する。小型化のため走査光学系の一部を共通化した形態も採られるが、それぞれの光路は異なるので、異なる画像形成装置500を複数個備えたものと考えてよい。
【0027】
図1,2において、多面鏡式光偏向器907は2段構成のポリゴンミラーを有し、点線を軸として反時計回りに回転している。1つの半導体レーザ901cが上下に分割され、それぞれ上段と下段のポリゴンミラーで反射され、1つの半導体レーザ901aが上下に分割され、それぞれ上段と下段のポリゴンミラーで反射される。この構成により、4つのレーザ光が4つの感光体をほぼ同時に走査することができる。
【0028】
まず、図1に示すように、光源としての半導体レーザ901aから出射される1本のレーザ光は、カップリングレンズ(未図示)により平行光束化され、アパーチャ(未図示)を通過してビーム整形されたのち、ハーフミラープリズム904aに入射して、副走査方向に分離した2本の光ビームにビーム分割される。図1ではこの2本の光ビームの光路は紙面と平行に配されるため、上下に重なっている。
【0029】
副走査方向に分割された2本の光ビームは、副走査方向に配列されたシリンドリカルレンズ905a,b(紙面の上下に重なり合うように配置されている。)により、それぞれ副走査方向へ集光され、多面鏡式光偏向器907に入射する。 多面鏡式光偏向器907は、4面の偏向反射面を持つポリゴンミラーを回転軸方向へ2段に積設し、ポリゴンミラー相互の偏向反射面を回転方向へずらして(例えば、45度。ポリゴンミラーの面数に依存する。)一体化したものである。
【0030】
多面鏡式光偏向器907により偏向される光ビームは、それぞれ上下の第1走査レンズ908aと908b、それぞれが第2走査レンズ910a,bを透過する。2つの光ビームは、折り返しミラー153a〜d、155a〜d、ミラー170a〜dを経由して、2つのレンズの作用により光走査位置911a,bに光スポットを形成し、これら光走査位置を図1の矢印方向に光走査する。 つまりシリンドリカルレンズ905aを透過した光ビームはこのうち上段のポリゴンミラー907aで偏向され、光走査位置911aを走査する。シリンドリカルレンズ905bを透過した光ビームはこのうち下段のポリゴンミラー907bで偏向され、光走査位置911bを走査する。
【0031】
同様に、半導体レーザ901cから出射される1本のレーザ光は、(未図示)により平行光束化され、アパーチャ(未図示)を通過してビーム整形されたのち、ハーフミラープリズム904cを経由して、副走査方向に分離した2本の光ビームにビーム分割される。副走査方向に分割された2本の光ビームは、副走査方向(上下方向)に配列されたシリンドリカルレンズ905c、905dにより、それぞれ副走査方向へ集光され、多面鏡式光偏向器907に入射して偏向される。多面鏡式光偏向器907により偏向される光ビームは、それぞれ第1走査レンズ908c,d、第2走査レンズ910c,dを透過する。2つの光ビームは、これら2つのレンズの作用により光走査位置911c,dに光スポットを形成し、それぞれの光走査位置を矢印方向に光走査する。
図2に示すように、この4つの光走査位置911a,b,c,dには、それぞれ感光体ドラム157a、b、c、dが配置され、これら4個の感光体ドラム157a、b、c、dに形成される静電潜像をマゼンタ、イエロー、シアン、黒のトナーで個別に可視化し、中間転写ベルト158上にカラー画像を形成する。なお、光走査位置911の点線矢印の示す領域がそれぞれの主走査方向の画像領域を示す。
【0032】
また光走査位置911a、b、c、dの画像領域外の両端には、それぞれフォトディテクタ(以下、適宜PDと略する)108a、bと109a、及び、PD108c、dと109c、dが配置されており、PD108a、b、c、dにより走査の開始が、PD109a、b、c、dにより走査の終了が検出される。光学系の各部品の添え字a〜dは、それぞれ光走査位置911の添え字a〜dと対応している。
【0033】
PD108a、bは、入射されたレーザ光をそれぞれ第1の同期信号SPSYNCa、SPSYNCbに、PD109a、bは、入射されたレーザ光をそれぞれ第2の同期信号EPSYNCa、EPSYNCbに変換し、画素クロック生成部111aに供給する。同様に、PD108c、dは、入射されたレーザ光をそれぞれ第1の同期信号SPSYNCc、SPSYNCdに、PD109c、dは、入射されたレーザ光をそれぞれ第2の同期信号EPSYNCc、EPSYNCdに変換し、画素クロック生成部111aに供給する。
【0034】
画素クロック生成部111aは、対となる同期信号SPSYNCa及びEPSYNCaと、SPSYNCb及びEPSYNCbから、2つのPD間をレーザ光が走査する時間間隔を測定し、その時間間隔に予め定められた所定数のクロックが収まるように求められた周波数の画素クロックPCLKを生成する。なお、画素クロック生成部111aには2つの同期信号の組(SPSYNCa及びEPSYNCa)または(SPSYNCb及びEPSYNCb)が、時間差を持って交互に供給されるので、画素クロック生成部111aはそれぞれの時間間隔を測定し、それに応じて画素クロックPCLKを生成する。この画素クロック生成部111の構成については後述する。画素クロックPCLKは画像処理部112aと変調データ生成部113aに供給される。
【0035】
PD108a,bの出力信号である第1の同期信号SPSYNCa,bは、ライン同期信号として画像処理部112aにも与えられる。画像処理部112aは、画素クロックPCLKを基準に2色分の画像データを生成し、この2色分の画像データを第1の同期信号SPSYNCa,bに応じて1ラインずつ交互に出力する。変調データ生成部113aは、画素クロックPCLKを基準として、入力された画像データから変調データを生成し、レーザ駆動部114aを介して半導体レーザ901aを駆動する。
【0036】
同様にして、画素クロック生成部111cにより画素クロックPCLKを生成し、画像処理部112c、変調データ生成部113cにより画像データに応じたら変調データを生成し、レーザ駆動部114cを介して半導体レーザ901cを駆動する。なお、画素クロック生成部111aと111cは、同様の機能・動作を果たすので適宜説明は省略する。
【0037】
〔SelULについて〕
図3は、図1、2における一部の信号のタイミング図の一例を示す。図3は画素クロック生成部111aのタイミング図であるが、画素クロック生成部111cのタイミング図も同様に説明できる。
【0038】
図3において、横軸は時間である。(a)の信号は、レーザ駆動部114aにより駆動される半導体レーザ901aの光強度波形を示し、(b)〜(e)の信号は、それぞれPD108a、bとPD109a、109bで検出される同期信号SPSYNCa、EPSYNCa、SPSYNCb及びEPSYNCbを示す。
【0039】
多面鏡式光偏向器907は、2段に積設された2つのポリゴンミラーが相互の偏向反射面を回転方向へずらして一体化されており、2つのビーム光がそれぞれの上下段のポリゴンミラーで偏向され、2つの光走査位置を互いに時間的にずれて走査している。図3においては、光走査位置911aを走査している期間を期間A、光走査位置911bを走査している期間を期間Bとして示した。期間A、Bを合わせて走査1周期であり、これが繰り返される。
【0040】
期間A中、斜線部Twaが光走査位置911aにおける画像領域に対応しており、感光体ドラム157aで形成する画像が1ライン毎変調データとして生成され、これに応じて半導体レーザ901aが駆動されている。矩形で示されたTsa、Teaはそれぞれ第1の同期信号SPSYNCa及び第2の同期信号EPSYNCaを検出するために、対応するPD108a、bとPD109a、bの走査位置近傍で半導体レーザ901aを強制点灯させるための期間である。
【0041】
同様にして期間Bでは点線部Twbが光走査位置911bにおける画像領域に対応しており、感光体ドラム157bで形成する画像が1ライン毎変調データとして生成され、これに応じて半導体レーザ901aが駆動されている。また同期信号検知のためTsb、Tebの期間強制点灯される。
【0042】
信号(h)のSelULは、期間Aか期間Bかを示すための信号であり、後述するように画素クロック生成部111aは、SelULに基づき処理を行う。期間AがSelULの「H」、期間BがSelULの「L」に対応すると決めた場合、例えばEPSYNCaの検出で「L」に、EPSYNCbの検出で「H」に、SelULが変化するよう生成する。
【0043】
また、図1の実施形態ではPD108、109はそれぞれの光走査位置に配置したが、一方の光走査位置にのみ配置し、他方の走査位置での検出はミラーにより光路を変え配置した不図示のPDに入射するようにして共有しても良い。この構成の場合、第1の同期信号は、信号(f)のようにSPSYNCaとSPSYNCbとを論理和した第1の同期信号SPSYNCabとなる。同様に第2の同期信号は信号(g)のように、EPSYNCaとEPSYNCbとの論理和した第2の同期信号EPSYNCabとなる。この場合はSelULによりどちらの光走査位置に対応した同期信号であるかが判別できる。また、この場合は例えばEPSYNCabの検出の度にSelULを「H」と「L」を切り替えるようにに生成すればよい。また、共有するPDはPD108又はPD109のどちらか一方でもよい。
【0044】
〔画素クロック生成部111〕
次に上述の画像形成装置における画素クロック生成部111の詳細な実施形態を図面に基づき説明する。
【0045】
図4は、画素クロック生成部111の構成図の一例を示す。図4の画素クロック生成部111は画素クロック生成部111aを例に説明するが、画素クロック生成部111cにおいても同様である。
【0046】
図4の画素クロック生成部111において、高周波クロック生成部1は基準クロックRefCLKを基に、逓倍した高周波クロックVCLKを生成するものであり、一般的なPLL(Phase Locked Loop)回路により構成される。
【0047】
基準クロックRefCLKを供給する素子に、例えば精度のよい水晶発振器出力を用いることにより精度のよい高周波クロックVCLKが得られる。この高周波クロックVCLKを基準に画素クロックPCLKを生成する。分周器4は、高周波クロックVCLKをM分周した画素クロックPCLKを生成し、画素クロック生成手段としての機能を果たす。分周器4は、例えばM進カウンタにより構成され、カウント値countMを出力する。ここで第1の同期信号SPSYNCabの立ち上がりで分周器4がカウントを開始するようにすれば、走査開始時点に位相同期した画素クロックを生成できる。
【0048】
また、分周比Mは周波数演算部7からの画素クロック周波数指示信号Mnowに従って変更される。このように画素クロックPCLKの生成は安定かつ高精度に発振させた高周波クロックVCLKを分周することにより生成されるので、この分周比を変更することにより瞬時にかつ安定に画素クロック周波数を変更することが可能となる。よって、ライン毎周波数を変更しても瞬時に移行できる。
【0049】
第1エッジ検出部2は、第1の同期信号SPSYNCabの立ち上がりエッジを、高周波クロックVCLKを基準として検出するものであり、同期信号SPSYNCの立ち上がりを検出すると画素クロックPCLKに同期した検出パルスSPplsを出力する。図4では第1エッジ検出部2に、第1の同期信号SPSYNCaとSPSYNCbとの論理和した信号SPSYNCaを供給しているが、両方を供給しそれぞれ立ち上がりを検出するようにしてもよい。
【0050】
第2エッジ検出部3は、第2の同期信号EPSYNCabの立ち上がりエッジを高周波クロックVCLKを基準として検出し、検出パルスEPplsを出力する。また、第2エッジ検出部3は、画素クロックPCLKに至らない高周波クロックVCLKを分周器4が途中までカウントしたカウント値EPmをカウントし、比較部5に出力する。第2エッジ検出部3に対しても、EPSYNCaとEPSYNCbの両方を供給するようにしてもよい。
【0051】
判別信号生成部8は、2つの走査期間A,Bのうちどちらの走査期間を走査しているかを示す判別信号SelULを生成する。判別信号生成部8は、第2の同期信号EPSYNCabの立ち上がりが検知される度に、「H」と「L」とが交互に繰り返すように生成される。なお、第2の同期信号EPSYNCabの立ち上がりが検知されてから、所定時間後(EPSYNC検出からSPSYNC検出までの時間に入るよう適宜定めた時間。例えば、第2の同期信号EPSYNCabの直後)に判別信号SelULは「H」又は「L」に切り替わる。もちろん判別信号生成部8への入力はSPSYNCabであってもよい。
【0052】
比較部5は、入力される判別信号SelULの極性「H」又は「L」に応じて動作が変わる。期間Aにおいて比較部5は、2つの同期信号SPSYNCa、EPSYNCa間の時間Tlineを検出し、書き込み周波数とPD108aとPD109aとの距離に応じて予め定められた基準時間と、計測した時間Tlineとの差を当該ラインの誤差Lerrとして算出する。つまり適正な走査時間(基準時間)と当該ラインの走査時間Tlineとの差が走査速度の誤差である。
【0053】
この誤差Lerrは高周波クロックVCLKを基準としてカウントし演算を行っても良いが、高周波クロックVCLKは非常に高周波であり、またカウントするビット数も非常に大きくなるので、回路規模、消費電力の点で不利である。そこで本実施形態では、時間Tlineを、M分周された画素クロックPCLKを基準としてカウントし、走査時間(基準時間)である基準値RefNaと比較をし、最後に高周波クロック基準の当該ラインの誤差Lerrとして変換している。
【0054】
また期間Bにおいては、比較器5は、2つの同期信号SPSYNCb、EPSYNCb間の計測時間と、PD108bとPD109bとの距離に応じて予め定められた基準時間(同様に基準値RefNbで表される)との差を当該ラインの誤差Lerrとして算出する。なお、図4では第1エッジ検出部2により、同期信号SPSYNCaとSPSYNCbとを論理和した信号SPSYNCabの立ち上がりを検知しSPplsを供給しているので、判別信号SelULの極性によりSPplsが同期信号SPSYNCaに対する立ち上がりか、同期信号SPSYNCbに対する立ち上がりかが判別できる。同様にEPSYNCaとEPSYNCbとの判別もできる。
【0055】
<比較部5>
図5は比較部5の詳細な構成図の一例である。カウンタ11は、画素クロックPCLKを基準にカウントするカウンタであり、第1エッジ検出部2から入力されるSPplsで0にリセットされ、第2エッジ検出部3から入力されるEPplsでカウントを停止する。セレクタ14は判別信号SelULに応じて基準値RefNaかRefNbかを選択していずれかの基準値RefNを出力する。減算器12はカウント停止後のカウンタ11の値Nから基準値RefNの減算を行い、減算結果diffNを出力する。誤差演算部13は、減算部12から出力されたdiffNと、対象ラインの周波数設定値Kと(VCKLを基準にしたカウント値に戻す)、第2エッジ検出部3から出力されたカウント値EPmとを用いて、以下の(式1)に示す演算を行い、高周波クロックVCLKの周期Tvを単位とする誤差Lerrを出力するようになっている。なお、周波数設定値Kは、分周器4に設定された分周比Mの1ラインの平均を表す実数であり、周波数演算部7の後述する設定値保持部42から取得することができる。
Lerr = diffN・K+EPm (式1)
ここで、diffN = n - RefN, Tp = K・Tv, Tp:PCLKの周期である。
なお、基準時間が目標とする画素クロック周期の整数倍でない場合、RefNを固定小数とするか、又は、その端数を高周波クロックVCLKのサイクル数に換算し、これをRefMとして誤差演算部13に入力し、
Lerr = diffN・K + EPm-RefM (式1')
と演算するようにすると、より正確な画素クロック周波数の制御が行えるようになる。
【0056】
(式1')を採用する場合、誤差演算部13の演算の前に、セレクタ15は判別信号SelULに応じて、基準値RefMaかRefMbかを選択して基準値RefMを誤差演算部13に出力している。
【0057】
〔周波数演算部7〕
図4に戻り、周波数演算部7は、誤差Lerrを平滑化して平均誤差データErrを求め、これに従って適正な画素クロック周波数を算出し、これを画素クロック周波数指示信号Mnowに変換して出力する。
【0058】
図6は周波数演算部7の詳細な構成図の一例を示す。図6に示すように、周波数演算部7は、面平均誤差平滑部20、面間誤差平滑部27、面平均周波数演算部34、面間オフセット保持部38、加算部41、設定値保持部42、周波数設定値変換部43及び演算制御部44を備えている。
【0059】
面平均誤差平滑部20は、多面鏡式光偏向器907を構成する上段ポリゴンミラー907a、下段ポリゴンミラー907bの各面に対して、算出された誤差Lerrをポリゴンミラーごとに平滑化した面平均誤差データErr(all)を出力するようになっている。誤差Lerrは、上下段ポリゴンミラー907a、bで交互に走査された当該ラインの誤差Lerrであり、判別信号SelULにより何れのポリゴンミラー907a、bに対応するものか判別できる。つまり、SelUL=「H」であれば期間A(上段ポリゴンミラー907aでの走査期間)に対応し、「L」であれば期間B(下段ポリゴンミラー907bでの走査期間)に対応する。
【0060】
面平均誤差平滑部20は、誤差LerrにゲインKpを乗ずる乗算器と、誤差Lerrを判別信号SelULに従って期間AまたはB毎に積算し、その積算値を選択出力する積算部22と、積算部22の出力する誤差積算値にゲインKiを乗じる乗算部23と、乗算部21及び乗算部23の出力を加算する加算部24とを有する、PI(比例+積算)型の構成である。面平均誤差平滑部20は、加算部24による加算結果を面平均誤差データErr(all)として出力する。
【0061】
期間Aにおいては、誤差Lerrが上段ポリゴンミラー907aでの走査による誤差であり、誤差積算値も上段ポリゴンミラー907aでの走査による誤差が積算されたものが選択出力されているので、面平均誤差データErr(all)も上段ポリゴンミラー907aでの面平均誤差が算出されている。ここで期間Aでの面平均誤差データErr(all)、つまり上段ポリゴンミラー907aでの面平均誤差をErra(all)、期間Bでの面平均誤差データ(つまり下段ポリゴンミラー907bでの面平均誤差)をErrb(all)と称することとする。
【0062】
また、積算部22は、加算部25と判別信号SelULに従って切り替えられる2つの積算値保持部26とを有する。加算部25は、対象ラインの誤差Lerrと、積算値保持部26により保持された前ラインまでの積算値が判別信号SelULに従って選択出力されており、これらを加算し、期間に対応した積算値保持部26の保持値を加算結果で更新するようになっている。
【0063】
面間誤差平滑部27は、上下段ポリゴンミラー907a、bのそれぞれ特定の基準面(任意の面でよい)の誤差Lerr(0)あるいはLerr(1)と各面(i面)の誤差Lerr(i)との差分e(i)を平滑化した面間誤差データErr(i)を算出し、出力する。
【0064】
面間誤差平滑部27は、上下段ポリゴンミラー907a、bのそれぞれ特定の基準面に対する誤差Lerrを基準面誤差として保持し、対応する基準面誤差をe(ref)として選択出力する基準面誤差保持部28と、対象ラインの誤差Lerrから基準面誤差保持部28に保持された基準面誤差をe(ref)を減算し、減算結果e(i)を出力する減算部29と、ポリゴンミラー907a、bの面毎に減算部29の減算結果を積算し、ポリゴンミラーの測定対象面(以下「対称面」という)に対応する積算値を出力する積算部30と、積算部30の出力にゲインKoを乗じる乗算部31とから構成され、乗算部31の出力を各面の面間誤差データErr(i)として出力するようになっている。
【0065】
ここで積算部30は、後述する演算制御部44から供給される面選択信号FNoに従って対象面を選択するようになっている。例えば本実施形態のように4面のポリゴンミラーが2段構成となっており、上下交互に対象面が変わっていく場合には、面選択信号FNoが表す値iは0〜7の範囲でライン毎に循環するようにインクリメントされていく。そしてi=0,2,4,6が上段ポリゴンミラーの各面に、i=1,3,5,7が下段ポリゴンミラーの各面に対応するよう割り当てられる。
【0066】
ここで、例えばi=0のときの面を上段の基準面と、i=1のときの面を下段の基準面とする。基準面誤差保持部28は、i=0または1のときの誤差Lerrをそれぞれ保持し、次にi=0または1となったときに保持している誤差Lerrを更新するようになっており、iが偶数のときは基準面i=0で保持した誤差Lerrを、iが奇数のときは基準面i=1で保持した誤差Lerrを選択出力するようになっている。判別信号SelULに従って、基準面i=0で保持した誤差Lerr又は基準面i=1で保持した誤差Lerrを選択的に出力してもよい。
【0067】
積算部30は、加算部32及び積算値保持部33を備えている。積算値保持部33は、上下段ポリゴンミラー907a、bの各面の基準面に対する面間誤差の積算値をそれぞれ保持する保持部を面毎に(本実施形態においては、8個)有し、面選択信号FNoに対応する面の面間誤差の積算値を出力するようになっている。加算部32は、減算部29の減算結果e(i)と、面選択信号FNoにしたがって出力されている面間誤差の積算値とを加算し、積算値保持部33に保持されている対象面の面間誤差の積算値を加算結果で更新するようになっている。なお、対象面が基準面(0または1面)であるときの差分は、常に0となるため、0または1面に対応する保持部を省略し、積算値保持部33は、i=0、1のときは、面間誤差の積算値として0を出力するようにしてもよい。
【0068】
演算制御部44は、検出パルスEPplsの入力毎に周波数演算部7の各部に供給する面選択信号FNoと、周波数演算部7の各保持部に保持値の更新を指示する更新信号(それぞれの保持部に対する更新タイミングは異なるが一括して図示している)とを生成するようになっている。
【0069】
面平均周波数演算部34は、乗算部35、加算部36及び面平均周波数設定値保持部37を備えている。乗算部35は、判別信号SelULに従って、基準値RefNaまたはRefNbの逆数を面平均誤差データErr(all)に乗じるようになっている。面平均周波数設定値保持部37は、上下段ポリゴンミラー907a、bの各面に対して設定する周波数設定値Kの上下段それぞれの平均を表す面平均周波数設定値Kavga及びKavgbを保持するようになっており、判別信号SelULに従って対応する面平均周波数設定値Kavgを選択出力するようになっている。加算部36は、乗算部35の乗算結果と、面平均周波数設定値保持部37に保持され判別信号SelULに従って選択出力されている面平均周波数設定値Kavgと加算し、面平均周波数設定値保持部37に保持された面平均周波数設定値Kavgを加算結果で更新するようになっている。
このように、面平均周波数演算部34は、ポリゴンミラー毎に平滑化した面平均誤差データErr(all)と現在の面平均周波数設定値Kavg(n)とから、以下の(式3)に示す演算を行い、次の設定値kavg(n+1)を算出するようになっており、判別信号SelULに従って、上下段それぞれの面平均周波数設定値を算出している。
【0070】
Kavga(n+1)=Kavga(n)+Erra(all)/RefNa
Kavgb(n+1)=Kavgb(n)+Errb(all)/RefNb (式3)
面間オフセット周波数演算部38は、乗算部39及び面間オフセット保持部40を備えている。面間オフセット保持部40は、上下段ポリゴンミラー907a、bの各面の基準面に対する周波数設定値Kの差を表す面間オフセット値Kofs(i)をそれぞれ保持する保持部を面毎に有し、面選択信号FNoに対応する面の面間オフセット値Kofs(i)を出力するようになっている。
【0071】
乗算部39は、判別信号SelULに従って基準値RefNaまたはRefNbの逆数を面間誤差データErr(i)に乗じ、1画素あたりの面間オフセット値Kofs(i)を算出し、面間オフセット保持部40に保持されている対象面の面間オフセット値Kofs(i)を乗算結果で更新するようになっている。
【0072】
ここで、面間オフセット値Kofs(i)の取り得る範囲は、画素クロックの周波数設定範囲に比べ、通常は極めて小さな値であるので、ポリゴンミラーの面毎に画素クロックの周波数設定値Kを保持するより、面平均周波数設定値Kavgと面間オフセット値Kofs(i)とを保持するようにした方が、保持する値のビット数を大きく削減することができるので、回路規模が削減でき、消費電力も削減できるという効果も得られる
前述したように、面間誤差データErr(i)は、上下段ポリゴンミラー907a、bの基準面と各面の誤差Lerrの差分を平滑化したものであり、ポリゴンミラーの面毎に生じる誤差成分を基準面に対して抽出したものである。面間誤差データErr(i)は、同一装置で同一条件であれば(例えば、ポリゴンミラーの回転速度が同一であれば)ほぼ同一の値となる。
【0073】
加算部41は、面平均周波数演算部34によって算出された面平均周波数設定値Kavga及びKavgbと、面間オフセット周波数演算部38から出力された面間オフセット値Kofs(i)とを加算し、対象面の周波数設定値K(i)として出力するようになっている。設定値保持部42は、加算部41から出力された周波数設定値K(i)を面毎に保持するようになっている。このように、設定値保持部42には、面間誤差が補正された対象面の周波数設定値K(i)が保持され、対象面に対する周波数設定値K(i)を出力するようになっている。
【0074】
したがって、各面の周波数設定値K(i)は、基準面である0または1面に対してはKavgaまたはKavgbとなり、その他の面に対してはKavg+Kofs(i)となる。ここでKavgはiに対応したKavgaまたはKavgbの一方を示す。つまりiが偶数のときはKavgaを、iが奇数のときはKavgbを示す。
【0075】
分周器4に設定する分周比Mnowは自然数であるのに対し、周波数設定値Kは、実数であるため、周波数設定値Kを整数部Mとa桁(2進数表記)の小数部Fとに分け、Na=2^aとすると、K=M+F/Naと表すことができる。周波数設定値変換部43は、周波数設定値Kを分周器4に設定する分周比Mnowに変換する。ここで、分周比MnowをNaサイクルにF回、M+1とし、他のサイクルでMとすることにより、分周器4に設定する分周比を平均してKに近づけるようになっている。周波数設定値Kの丸め誤差は、最大でRefN/Na又はRefN/Nb又はとなるので、小数部の桁数aは、所望の誤差許容値に収まるように予め決定される。
【0076】
図7は、周波数設定値変換部43の詳細構成図の一例である。図7に示すように周波数設定値変換部43は、加算部47、カウンタ45、変換部46とを有する。加算部47には、周波数設定値Kの整数部Mに対応するビット列が入力され、変換部46には、周波数設定値Kの小数部Fに対応するビット列が入力されるようになっている。カウンタ45は、画素クロックPCLKを基準にカウントするaビットカウンタであり、そのカウント値countAを出力するようになっている。変換部46は、カウント値countAにしたがって、Naサイクル中、Fサイクルは「1」を、残りのNa−Fサイクルは「0」を加算部47に出力するようになっている。特に、変換部46は、Naサイクル中、均等にF回「1」を出力するために、カウント値countA[a-1:0]のビット並びを逆転させたArev[0:a-1]がFより小さい場合に「1」を出力し、Arev[0:a-1]がFより小さくない場合に「0」を出力するようになっている。
【0077】
加算部47は、周波数設定値Kの整数部Mと変換部46の出力とを加算した、分周比の設定値を表すMnowを分周器4に設定する。
【0078】
図8は周波数演算部7による周波数設定値算出動作を示すフローチャート図の一例である。
【0079】
まず、演算制御部44は、面選択信号FNoとして0(ゼロ)を選択し、周波数演算部7の各保持部に保持されている値を初期化する(ステップS201)。よって、積算値保持部26、33及び面間オフセット保持部40に保持されている値は「0」に初期化され、設定値保持部37、42に保持されている値は、予め定められた目標周波数設定値に初期化される。目標周波数設定値をなるべく高精度に定めておくことにより、引き込み時間を短縮でき、画素クロックPCLKを基準として、各信号(例えば、同期信号SPSYNC、EPSYNCを検出するために光源を点灯させるための同期点灯信号等)を生成しても、ほぼ目標のタイミングで生成することができるので、これまでのように周波数設定値Kとのずれを加味して生成タイミングに大幅な余裕を持たせる必要がなくなる。
【0080】
次に、周波数演算部7の各部は、1ラインの走査が終了するまで待機する(ステップS202)。すなわち、パルスEPplsに基づく走査終了が演算制御部44によって検知されるまで待機する。なお、待機時間には、比較部5による誤差Lerrの演算が確定するまでにかかる時間も含まれる。
【0081】
走査終了が演算制御部44によって検知されると、判別信号SelULに従って上下段ポリゴンミラー907a、b毎に、積算部22が前ラインまでの誤差積算値に誤差Lerrを加算し、誤差積算値を更新する(ステップS203)。
【0082】
次に、面平均誤差平滑部20は、以下の(式4)に示す演算を行い、面平均誤差データErr(all)を算出する。(式4)で、ΣLerrは判別信号SelULに従って抽出される対応ポリゴンミラー907a又は907bでのLerrの積算値を表す。
【0083】
Err(all)=Kp・Lerr+Ki・ΣLerr (式4)
この演算結果に基づいて、面平均周波数演算部34が、次の面平均周波数設定値Kavg(n+1)を算出し、面平均周波数設定値KavgがKavg(n+1)で更新される(ステップS204)。
【0084】
一方、ステップS203及びS204と並行して、以下のように、面間オフセット値KOfs(i)が更新される。
【0085】
走査終了が演算制御部44によって検知されると、基準面を表すFNo=0又はFNo=1の場合(2021のYes)、基準面誤差保持部28が、保持する基準面誤差e(refa)を誤差Lerrで、FNo=1である場合には保持する基準面誤差e(refb)を誤差Lerrで、更新する(ステップS205)。なお、e(refa)またはe(refb)は、判別信号SelULに従って対象面に対する基準面誤差e(ref)として選択出力される。
【0086】
一方、FNo=0又はFNo=1である場合には、周波数設定値算出動作はステップS205を行わない。なお、基準面誤差保持部28に保持された基準面誤差e(ref)は、最初のライン走査後に更新されるため、初期値は任意の値でもよい、つまり初期化しておく必要はない。
【0087】
次に、面間誤差平滑部27は、(式5)に示す演算を行い、対象面の面間誤差データErr(i)(ここで、iはFNoが示す面番号)を算出し、対象面(i)に対応する積算値を更新する(ステップS206)。ここで、Σe(i)は、対象ラインの誤差Lerrと基準面誤差e(ref)との差分e(i)の積算値を表す。
Err(i)=Ko・Σe(i) (式5)
次に、面間オフセット周波数演算部38は、面間誤差データErr(i)に基づいて、面間オフセット値Kofs(i)を演算し、面間オフセット値Kofs(i)を更新する(ステップS207)。
【0088】
ステップS204とS207との双方が実行されると、演算制御部44はFNoをイクリメント(+1)する(FNo=7の場合は、FNo=0に戻る)(ステップS208)。
【0089】
また、判別信号SelULはこのタイミング(インクリメントのタイミング)で変化するようEPSYNC立ち上がりからの所定時間が設定されている。または、判別信号生成部8から供給される判別信号SelULを一旦、演算制御部44に入力し、ステップS208において変化するように、変化タイミングを変更した判別信号SelUL'を生成し、これを周波数演算部7の各部に供給するようにしても良い。
【0090】
FNoがインクリメントされ、判別信号SelULが変化すると、次ラインに対する面間オフセット値Kofs(i)が面間オフセット周波数演算部38から出力され、次ラインに対する面平均周波数設定値Kavgが面平均周波数演算部34から出力される。加算部41がこの面間オフセット値Kofs(i)と面平均周波数設定値Kavgとを加算し、次ライン用の周波数設定値Kを更新する(ステップS209)。
【0091】
なお、ここまでのステップは、次ラインの走査開始(SPSYNCabが検知される)まで(すなわち有効走査期間外)に実行される。
【0092】
その後、図8の周波数設定値算出動作はステップS202に戻り、周波数演算部7はステップS202からS209の各処理を繰り返し実行する。
【0093】
〔変調データ生成部113〕
図9は、変調データ生成部113の動作を説明するためのタイミング図である。ここでは画像データPDataに従い8値のパルス幅変調を行った変調データMDataを生成する場合について説明する。
【0094】
図9において、(a)は、周期Tvの高周波クロックVCLKの立ち上がりを示し、(b)は、分周器4のカウント値countMを示している。ここで、分周器4の分周比は、16に設定されているものとする。
【0095】
(c)は、画素クロックPCLKを示し、画素クロックPCLKの周期は16Tvとする。(d)は、画素クロックPCLKに同期して入力される画像データPDataを示し、(e)は、画像データPDataの値Dmにしたがって、パルス幅Twが変調された変調データMDataを示している。
【0096】
変調データMDataは、高周波クロックVCLKを基準にして生成され、Dm≠0であれば、countM=0のとき「H」となる。また、変調データMDataは、countM=Dm/Nm・Mnow(Nmは階調数であり、ここでは8とする)の時「L」となる。
【0097】
(e')は、countM=(Nm−Dm)/Nm・Mnowのとき「H」とし、Dm≠8であれば、countM=0のとき「L」となるようにした変調データMDataを示している。これら2つの生成モードを切り替えられるようにし、ドット毎に変更できるようにしてもよい。
【0098】
以上説明したように、本実施形態の画素クロック生成部111は、様々な誤差要因の特性に着目して、誤差要因の特性の補正に好適な制御系を複数備え、これを並列動作させて様々な誤差を補正しているので、高速かつ高精度な制御が行える。
【0099】
また、制御対象(画素クロックの周波数)が同じで目標値が周期的に変わるような制御系に対しても、目標値を切替えて制御値との偏差(誤差Lerr)を求めこの偏差(誤差Lerr)を抑制するように複数の制御系を並列動作させて様々な誤差を補正しているので、高精度な制御が行える。
【0100】
また、タンデム型の画像形成装置では、光走査位置911a〜dの計4つの画素クロックの周波数が制御対象になるが、本実施形態では判別信号SelULを生成することで、4つの画素クロックの周波数を、本来であれば4つ必要な2つの画素クロック生成部111a、cにより制御することができる。したがって、部品数や搭載スペースを抑制できる。
【0101】
〔第2の実施形態〕
図10は、第2の実施形態の画素クロック生成部111の構成図の一例を示す。第2の実施形態は、図10に示すように、本発明の第1の実施の形態における画素クロック生成部111に代えて、画素クロック生成部118を設け、変調データ生成部113に対して変調データ生成部119を設けた点が相違する。なお、本実施の形態においては、第1の実施の形態を構成する構成要素と同一な構成要素については、同一の符号を付して、説明を省略する。
【0102】
画素クロック生成部118は、高周波クロック生成部51、第1エッジ検出部52、第2エッジ検出部53、判別信号生成部8、計数部54、比較部55、周波数演算部7及び画素クロック出力部59を備えている。
【0103】
なお、計数部54は、画素クロック生成部の機能を有し、比較部55は、誤差算出部の機能を有する。
【0104】
高周波クロック生成部51は、基準クロックRefCLKを逓倍し、位相差が等間隔の多相クロックを生成するようになっている。本実施の形態において、高周波クロック生成部51は、16位相の多相クロックVCLK0〜15を生成するものとする。また、高周波クロック生成部51は、多相クロックのうちの1つをQ分周(ここではQ=4とする)した内部動作用クロックGCLKを生成し、画素クロック生成部118の各部へ供給するようになっている(供給線は省略した)。高周波クロック生成部51については後述する。
【0105】
図11は、高周波クロック生成部51で生成される各クロックのタイミングを示している。ここで、(a-0)〜(a-15)は、各多相クロックVCLK0〜15を示している。各多相クロックVCLK0〜15は、互いに等間隔の位相差を有しており、この時間間隔をTvとする。また、信号(b)は、(a-0)VCLK0を4分周した内部動作用クロックGCLKを示している。
【0106】
画素クロック生成部118は、この内部動作用クロックGCLKを主に基準として動作するようになっている。ここで、GCLKを4分割した期間を順にQT0、QT1、QT2、QT3と称する。また、4分割した期間において、各多相クロックVCLK0〜15の立ち上がりにそれぞれ対応した時刻をPH0〜PH15といい、この期間QTと位相PHとによってGCLK中の時間情報QPを表す。
【0107】
したがって、時間情報QPは、16(PH0〜PH15)×4(QT0、QT1、QT2、QT3)=64値(0〜63)をとり、本実施の形態においては、多相クロックVCLK0〜15の位相差Tvを基準として画素クロックPCLKが生成される。つまり、画素クロックPCLKの周波数の制御演算は、内部動作用クロックGCLKを基準に時間情報QP(QT,PH)を用いて行われる。
【0108】
図10に戻り、第1エッジ検出部52は、多相クロックVCLK0〜15を基準として第1の同期信号SPSYNCabの立ち上がりを検出するようになっており、同期信号SPSYNCabの立ち上がりを検出すると、内部動作用クロックGCLKに同期した検出パルスSPplsと、立ち上がり検出時の期間QT及び位相PHを表す時間情報SPqpとを出力するようになっている。
【0109】
第2エッジ検出部53は、多相クロックVCLK0〜15を基準として第2の同期信号EPSYNCabの立ち上がりを検出するようになっており、同期信号EPSYNCabの立ち上がりを検出すると、内部動作用クロックGCLKに同期した検出パルスEPplsと、立ち上がり検出時の期間QT及び位相PHを表す時間情報EPqpを出力するようになっている。
【0110】
計数部54は、周波数演算部7から出力される画素クロック周波数指示信号Mnowにしたがって時間を計るようになっている。計数部54は、画素クロック周波数指示信号Mnowが表す時間に達する度にSet信号を生成し、Set信号を生成してから画素クロック周波数指示信号Mnowが表す時間の1/2にあたる時間にRst信号を生成するようになっている。ここで、Set信号は、内部動作用クロックGCLKに同期したSETpls信号と時間情報SETqpとからなり、Rst信号は、内部動作用クロックGCLKに同期したRSTpls信号と時間情報RSTqpとからなる。また、計数部54は、多相クロックVCLK0〜15の位相差Tv単位で時間を計るようになっている。計数部54の詳細は後述する。
【0111】
画素クロック出力部59は、計数部54より供給されるSet信号及びRst信号にしたがって「H」と「L」とを切り替えた画素クロックPCLKを生成し、出力するようになっている。
【0112】
このようにして生成される画素クロックPCLKは、多相クロックの位相差Tvを周期とする(高周波)クロックを、周波数指示信号Mnowを分周比として分周して生成したことに相当する。
【0113】
比較部55は、比較部5と同様に、選択信号生成部8から入力される判別信号SelULの極性に応じて動作が変わる。比較部55は、期間Aにおいては、2つの同期信号SPSYNCa、EPSYNCa間の時間Tlineを検出し、書き込み周波数とPD108a、109a間の距離に応じて予め定められた基準時間RefNaと、計測した時間Tlineとの差を対象ラインの誤差Lerrとして算出するようになっている。
【0114】
また期間Bにおいては、比較部55は、2つの同期信号SPSYNCb、EPSYNCb間の計測時間と、PD108bとPD109bとの距離に応じて予め定められた基準時間(同様に基準値RefNbで表される)との差を、当該ラインの誤差Lerrとして算出する。すなわち、比較部55は、適正な走査時間(基準時間RefN)と対象ラインの走査時間Tlineとの差に基づいて走査速度の誤差を得るようになっている。
【0115】
ここで、比較部55は、SPplsが入力されてからEPplsが入力されるまでの期間中に入力されるSETplsの数をカウントし、この値と基準値RefNaまたはRefNbとを比較し、さらに各パルスの時間情報とから対象ラインの誤差Lerrを位相差Tv単位で算出するようになっている。
【0116】
〔高周波クロック生成部51〕
図12は高周波クロック生成部51の構成例を示す図である。この高周波クロック生成部は、基準クロックRefCLKから、多相クロックVCLK0〜15と内部動作用クロックGCLKを生成する。
【0117】
電圧制御発振器VCO63は、8段の差動バッファ64a〜hを接続したリングオシレータで構成され、16位相のクロックVCLK0〜15を生成する。分周器60はこの多相クロックのうちの1つ(ここではVCLK8)をNv分周する。位相周波比較器PFD61は基準クロックRefCLKと分周器60出力との位相比較を行い、この位相差情報に基づき内在するチャージポンプを駆動する。
【0118】
ローパスフィルタLPF62はチャージポンプ出力を平滑化し制御電圧VcをVCO63に供給する。VCO63内の差動バッファ64a〜hはこの制御電圧Vcに従って遅延量が変化し、位相同期制御が行われる。例えば基準クロックRefCLKとして100MHzのクロックを供給し、分周比Nvを20とすると、多相クロックVCLK0〜15は2GHzで互いに等間隔の位相差を有するクロックが生成できる。
【0119】
また、分周器65は多相クロックVCLK0〜15のうちの1つ(ここではVCLK0)をQ分周(ここではQ=4とする)してクロックGCLKを生成する。なお、適用しうる多相クロックの相数は本実施例の16に限らないが、演算の簡便性より2のべき乗がもっとも望ましい。同様に内部動作用クロックGCLKを生成するための分周比Qも2のべき乗がもっとも望ましい。
【0120】
〔計数部54、画素クロック出力部59〕
図13は、計数部54の構成例を示す図である。また図14は画素クロック出力部59の構成例を示す図である。これらの図に基づき、画素クロック周波数指示信号Mnowに従って画素クロックPCLKを生成する詳細構成、動作を説明する。
【0121】
計数部54は、SET時間演算部70、RST時間演算部71、カウンタ72、F/F73、F/F74、カウンタ75、及び、F/F76を有する。
【0122】
図13において、各部は内部動作用クロックGCLKに同期して動作する。SET時間演算部70は、現在の画素クロックPCLK立ち上がり時間情報に画素クロック周波数指示信号Mnowを加算し、次の画素クロックPCLKの立ち上がり時間を表すセット時間情報nextSを演算する。セット時間情報nextSの演算の更新はpSet信号により行う。
【0123】
なお、セット時間情報nextSを64で割った商をnextSc、余りをnextSqpとする。つまりnextSc=nextS[MSB:6]、nextSqp=nextS[5:0]とする。また、SPSYNCの立ち上がりに位相同期して画素クロックPCLKの生成を始めるので(正確には所定の信号処理時間後でここでは2GCLK後)、最初の画素クロックPCLK立ち上がり時間情報はSPqpとする。
【0124】
同様に、RST時間演算部71は、現在の画素クロックPCLK立ち上がり時間情報に画素クロック周波数指示信号Mnowの1/2を加算し、次の画素クロックPCLKの立ち下がり時間を表すリセット時間情報nextRを演算する。この演算の更新はpSet信号により行う。また、同様に、nextRc=nextR[MSB:6]、nextRqp=nextR[5:0]とする。なお、Mnow/2を加算するのは画素クロックPCLKのデューティをほぼ50%にするためであり、デューティ50%でなくてもよい場合はこの演算を簡略化できるような値を加算するようにしても良い。
【0125】
カウンタ72は、内部動作用クロックGCLKを基準としてnextScサイクルだけカウントし、pSet信号を生成する。カウント値がnextScと一致する時、カウンタ72は、pSet信号を「H」とし、このpSet信号が「H」の時、カウンタ72は「1」にクリアされる。
【0126】
F/F73はpSet信号及びSPpls信号を1GCLK遅延させてSETpls信号を生成するフリップフロップである。F/F74は、pSet信号をイネーブルとしてnextSqpを、SPplsをイネーブルとしてSPqpをラッチし、SETqp信号を生成するフリップフロップである。このSETpls信号は画素クロックPCLKの立ち上がりをGCLK単位で指定し、これに同期したSETqp信号によりそのGCLKサイクル内での立ち上がり時間情報を指定する。これらをSet信号と称し、画素クロック出力部59に供給する。
【0127】
カウンタ75は、クロックGCLKを基準としてnextRcサイクルだけカウントを行い、RSTpls信号を生成する。SETplsが「H」の時カウンタを「1」にクリアし、カウント値がnextRcに一致する時、RSTpls信号を「H」とする。F/F76は、SETplsをイネーブルとしてnextRqpをラッチし、RSTqp信号を生成するフリップフロップである。このRSTpls信号は画素クロックPCLKの立ち下がりをGCLK単位で指定し、RSTqp信号によりそのGCLKサイクル内での立ち下がり時間情報を指定する。これらをRst信号と称し、画素クロック出力部59に供給する。
【0128】
なお、SETqp信号及びRSTqp信号は、それぞれSETpls及びRSTpls信号が「H」の時有効となってればよいので、各部の制御タイミングはこの実施形態のみに限定されるものではない。
【0129】
図14に移り、画素クロック出力部59は、遅延部77、78と、SR-F/F79とを有する。遅延部77は、多相クロックVCLK0〜15を基準として、計数部54から供給されるSETplsを時間情報SETqpに従って遅延させたパルスSを出力するものであり、また、GCLKサイクル中の期間QTを特定するためクロックGCLKも入力する。または、期間を示す期間信号QTを入力してもよい(この場合、高周波クロック生成部51でこのQT信号を生成する)。つまり、パルスSはSETplsをSETqp・Tvだけ遅延させたパルスとなる。
【0130】
遅延部78は、同様に、多相クロックVCLK0〜15を基準として、計数部54から供給されるRSTplsを時間情報RSTqpに従って遅延させたパルスRを出力するものであり、パルスRはRSTplsをRSTqp・Tvだけ遅延させたパルスとなる。
【0131】
SR-F/F79は、パルスSの立ち上がりで「H」をセットし、パルスRの立ち上がりで「L」にリセットする画素クロックPCLKを出力するSet-Resetフリップフロップである。
【0132】
図15は、計数部54及び画素クロック出力部59の各信号のタイミングの一例を示している。図14において、(a)は、クロックGCLKを示し、(b)は、SPSYNCabを示し、(c−1)は、SPpls信号を示し、(c−2)は、SPqp信号を示している。
【0133】
このように、SPSYNCabの立ち上がりが第1エッジ検出部52によって検出されると、その次のGCLKの1サイクル期間で「H」となるSPpls信号と、GCLKサイクル内のどの時刻で立ち上がったかを示すSPqp信号(ここでは、10とする)が第1エッジ検出部52から出力される。
【0134】
(d)は、周波数演算部7から供給される画素クロック周波数指示信号を示し、(e−1)は、SET時間演算部70で演算される次の画素クロックPCLKの立ち上がり時間を表すnextSを示している。
【0135】
SPSYNCabの立ち上がりに同期して画素クロックPCLKが立ち上がるようになっているので、次の画素クロックPCLKの立ち上がりは、SPqp+Mnow=250Tv後となる。(e−1)に示すnextSにおいて、右辺のカンマの前の数値はnextScを示し、カンマの後の数値はnextSqpを示している。また。その次のnextSは、nextSqp+Mnow=298となる。
【0136】
(e−2)は、RST時間演算部71で演算される次の画素クロックPCLKの立ち下がり時間を表すnextRを示している。SPSYNCabの立ち上がりにMnow/2を加算した値(=130)が画素クロックPCLKの立ち下がり時間となり、(e−1)に示すnextSと同様に右辺のカンマの前の数値はnextRcを示し、カンマの後の数値はnextRqpを示している。
【0137】
(f)は、SETqp信号を更新するためにSETplsの1GCLK前に出力するパルスpSetを示している。pSetは、カウンタ72のカウント値がnextScと一致した時「H」となる。なお、図中示した丸数字はnextScのカウント値を示している。
【0138】
(g−1)は、SPplsとpSet信号を1GCLK遅延させたパルスSETplsを示している。SETplsは、画素クロックPCLKの立ち上がりをGCLK単位で指定する。(g−2)は、このSETplsの遅延値を示す画素クロックPCLKの立ち上がり時間情報SETqpを示している。SETqpは、pSetが「H」のときのnextSqpの値に更新されていく。
【0139】
(h−1)は、画素クロックPCLKの立ち下がりをGCLK単位で指定したパルスRSTplsを示している。RSTplsは、カウンタ75のカウント値がnextRcと一致したときに「H」となる。(h−2)は、RSTplsの遅延値を示す画素クロックPCLKの立ち下がり時間情報RSTqpを示している。
【0140】
(i−1)は、(g−1)に示すSETplsを(g−2)に示すSETqpが表す値だけ遅延させたパルスSを示している。この遅延値の単位は、多相クロックVCLK0〜15の位相差Tvである。
【0141】
(i−2)は、(h−1)に示すRSTplsを(h−2)に示すRSTqpが表す値だけ遅延させたパルスRを示している。(j)は、(i−1)Sの立ち上がりで「H」になり、(i−2)Rの立ち上がりで「L」になるよう生成される画素クロックPCLKを示している。
【0142】
〔比較部55〕
図16は、比較部55の詳細な構成図の一例を示す。比較部55は、カウンタ81減算部82、誤差演算部83、誤差検出部84、セレクタ85、及び、セレクタ85を有する。
【0143】
カウンタ81は、SPplsで0にクリアし、pSetによりインクリメントするカウンタであり、そのカウント値countNを出力する。セレクタ85は判別信号SelULに応じて基準値RefNaかRefNbかを選択して基準値RefNを出力する。
【0144】
減算部82は、EPdetが「H」の時のカウンタ81の値countN(nとする)から基準値RefNの減算を行い、減算結果diffN(=n-RefN)を出力する。
【0145】
誤差検出部84は、EPdetが「H」の時のSETqp及びSETcntをそれぞれEndqp、Endcntとすると、次式の演算を行い位相差diffMを算出する。
diffM = Endcnt・Mp+(EPqp-Endqp)
ここでMpはGCLKの時間情報分割数であり、本実施例では64である。
誤差演算部83は、下記の演算を行い多相クロックVCLK0〜15の位相差Tvを単位とする誤差Lerrを出力する。
Lerr = diffN・K+diffM
ここで、Tp = K・Tv, Tp:PCLKの周期である。
【0146】
なお、第1の実施形態における比較部5の誤差演算部13と同様に、判別信号SelULに応じて基準値RefMaかRefMbかを選択して基準値RefMを出力するセレクタ86を備え、Lerr = diffN・K+diffM-RefM と演算し、基準時間の設定値をより細かく設定するようにして、より正確な画素クロック周波数の制御を行うようにしても良い。
【0147】
図17は、比較部55の動作を説明するためのタイミング図の一例である。図17において、(a)は、GCLK、(b−1)は、同期信号SPSYNCab、(b−2)は、同期信号EPSYNCabをそれぞれ示している。この2つの同期信号SPSYNCab及びEPSYNCabの立ち上がりの時間間隔が対象ラインの走査時間Tlineとなる。
【0148】
(c−1)はSPpls、(c−2)はEPpls、(d−2)は同期信号EPSYNCabの時間情報EPqp、(e−1)はSETpls、(e−2)は画素クロックPCLKの立ち上がりを表す時間情報SETqpをそれぞれ示している。
【0149】
(e−3)は、カウンタ72のカウント値SETcntを示し、本実施の形態においては、Mnow=192で一定とする。(f)は、画素クロックPCLKを示している。画素クロックPCLKは、SPSYNCabの丁度2GCLK後に同期して生成されるので、走査終了時点EPもEPSYNCから2GCLK遅らせた時点で検出される。
【0150】
したがって、(c−2)に示すEPplsを1GCLK遅延させた(d−1)に示すEPdetが「H」のときの各信号値から誤差Lerrが検出される。
【0151】
(g)はpSetを示し、(h)は(c−1)に示すSPplsで「0」にクリアされ、(g)に示すpSetによりインクリメントされるカウンタ81のカウント値countNを示している。このように、走査開始から走査終了時点EPまでの画素クロックPCLKのサイクル数nと位相誤差m2が検出される。
【0152】
誤差Lerrは図10の周波数演算部7に出力される。周波数演算部7の動作は第1の実施形態の同様である。
【0153】
〔変調データ生成部119〕
図18は、変調データ生成部119の構成例を示している。ここで、変調データ生成部119の各部は、クロックGCLKに同期して動作するようになっている。変調データ生成部119は、クロックパターン生成部90、画像データデコード部91、変調パターン生成部92及びシリアライザ93を備えている。
【0154】
クロックパターン生成部90は、計数部54から供給されるSet信号と、周波数演算部7から供給される画素クロック周波数指示信号Mnowとから、画素クロックPCLKの所定の位相差を持ったクロックに相当するクロックパターン信号CKPを生成するようになっている。
【0155】
本実施の形態において、クロックパターン信号CKPは、CKP0〜3からなり、CKP0〜3は、画素クロックPCLKとそれぞれ、位相が0、π/8、π/4、3π/8だけ遅れている。
【0156】
このクロックパターン信号CKPは、GCLKを基準に変化する信号で、GCLKサイクルを時間情報QPで区切った64の期間Tqpにそれぞれ対応する64ビットのデータであり、期間Tqpが「H」の場合は対応するビットが「1」となり、「L」の場合は「0」となる。
【0157】
クロックパターン生成部90は、まず、各クロックパターンの立ち上がりを示すオフセットデータsofs0〜3及び立ち下がりオフセットデータrofs0〜3を求めるようになっている。
【0158】
ここで、sofs0=SETqp、sofs1=SETofs+Mnow/8、sofs2=SETofs+Mnow/4、sofs3=SETofs+3Mnow/8であり、rofs0〜3は、それぞれsofs0〜3にMnow/2が加算されたものとなる。 クロックパターン生成部90は、次に、GCLKのサイクル毎クロックパターンCKPのMSBから順にsofsまでは「0」に、sofsからrofsまでは「1」に、rofsからは「0」に変換するようになっている。なお、クロックパターン生成部90は、各オフセットデータが64以上であれば、64毎に1GCLK遅らせて、この変換を行うようになっている。
【0159】
例えば、Mnow=192、SETqp=16の場合には、CKP1は、sofs=40、rofs=136(=2GCLK+8)であるので、第1のGCLKサイクルのパターンはMSB(=63)〜24ビット目までは「0」、23〜0ビットは「1」に、第2のGCLKサイクルのパターンは全て「1」に、第3のGCLKサイクルのパターンは63〜56ビットは「1」、55〜0ビットは「0」になる。
【0160】
画像データデコード部91は、画像データPDataを8値のパルス幅変調データDecData(8ビット)に変換するようになっている。このパルス幅変調データDecDataは、画素クロックPCLKの1サイクルを8つに時分割した期間の時間順に、MSBからLSBの順で各ビットが対応する。
【0161】
例えば、画像データデコード部91は、PData=3であれば、DecData='b11100000と変換する('bはバイナリ表記であることを示す)。なお、画像データデコード部91は、DecData='b00000111と変換するようにしてもよいし、モード切換信号を付加して双方のモードを切り換えられるようにしてもよい。なお、この変換方式は、本発明の要旨に反しない範囲で自由に選択できる。
【0162】
変調パターン生成部92は、パルス幅変調データDecDataとクロックパターン信号CKP0〜3とから、変調パターン信号MDPを生成するようになっている。この変調パターン信号MDPは、クロックパターン信号CKPと同様に、GCLKを基準に変化する信号で、GCLKサイクルを時間情報QPで区切った64の期間Tqpにそれぞれ対応する64ビットのデータである。
【0163】
シリアライザ93は、変調パターン信号MDPを多相クロックVCLK0〜15を基準として、MSBから順に(つまり時間順に)Tv時間ずつシリアル出力した変調データMDataを生成するようになっている。
【0164】
図19は、変調データ生成部119の動作を説明するためのタイミング図である。図19において、(a)は、基準クロックとなるGCLKを示し、(b−1)は、SETplsを示し、(b−2)は、SETqpを示し、(c−1)は、画素クロックPCLKを示している。ここで、画素クロック周波数指示信号Mnowは、192であるとする。
【0165】
また、(c−2)、(c−3)及び(c−4)は、実際には生成されないが、画素クロックPCLKをπ/8、π/4、3π/8だけ位相を遅らせた各クロックPCLK1、PCLK2、PCLK3を示している。
【0166】
(d−1)〜(d−4)は、それぞれPCLK、PCLK1〜3を表す各クロックパターンCKP0〜3を示している。各クロックパターンCKP0〜3は、それぞれ64ビットのデータでMSBからLSBに時間順であり、HEX表記されている。
【0167】
したがって、これらのクロックパターンCKP0~3から、画素クロックPCLKを8つに時分割した期間(tp0〜tp7)を示すパターン(それぞれ時間順にPT0〜7という)が生成できる。
【0168】
すなわち、PT0=CKP0&~CKP1、PT1=CKP1&~CKP2、・・・、PT7=~CKP3&~CKP0となる。ここで、&は、論理積を、〜は、否定論理を表す。
【0169】
(e)は、パルス幅変調データDecDataを示し、(f)は、変調パターン信号MDPを示している。まず、変調パターン信号MDPは、iを0〜7まで変化させたときの({64{DecData[7−i]}}&PTi)によって算出され、次に、これらの論理和をとることにより得られる。ここで、{64{DecData[i]}}はDecData[i]を64ビット分連接させたデータである。
【0170】
(g)は、変調データMDataを示している。変調データMDataは、(f)に示す変調パターン信号MDataをシリアライズすることにより生成される。図19においては、PCLK周期Tpのうち最初の3/8の期間が「H」で、残りが「L」となるようにパルス幅変調されたパルスが変調データMDataとして生成される。
【0171】
以上のように、第2の実施形態の画素クロック生成装置118は、多相クロックVCLK0〜15から画素クロックPCLKを生成し、光走査位置毎に目標値を切替えて走査時間の変動による誤差Lerrを算出する。そして誤差Lerrを抑制するように画素クロックPCLKの周波数の平均値Kavgと画素クロック周波数のオフセット値Kofs(i)とを並列に制御し、これを加算した周波数設定値Kに基づいて画素クロックPCLKの周波数を設定しているので、各々の光走査位置で生じる走査速度の誤差および非線形性誤差が異なっていても、それぞれ高精度に補正でき、なおかつ装置を高速化しても制御帯域を高くすることができ、高周波ジッタを十分に抑制することができる。
【0172】
また、画素クロックの生成は多相クロックVCLK0〜15の位相差Tvの単位で正確に制御できるので、多相クロックの発振周波数を高くしないでもよいので、回路の設計が容易となり消費電流も低減できる。例えば、前述の第1の実施形態と同等の分解能で画素クロックを生成する場合は、多相クロックの発振周波数は1/16でよい。逆にいえば、同等の発振周波数とした場合、画素クロック生成分解能を16倍に向上できる。つまり高精度な画素クロックが生成できる。さらには、画素クロック生成部の大部分は多相クロックの1つをさらに分周したクロックGCLKで動作するようにしているので、動作周波数がさらに低下され、消費電流の低減ができる。
【0173】
〔第3の実施形態〕
図20は、第3の実施形態の画素クロック生成部111の構成図の一例を示す。第3の実施形態は、第1の実施形態における画素クロック生成部111に代えて、画素クロック生成部200を設けた点が相違する。また、画素クロック生成部200は、第1の実施形態における画素クロック生成部111に対して、周波数演算部7に代えて、周波数演算部7'を設け、周波数変調部201と周波数変調データ生成部202とをさらに設けた点が相違する。なお、本実施の形態において、第1の実施の形態を構成する構成要素と同一な構成要素については、同一の符号を付して、説明を省略する。
【0174】
周波数演算部7'は、図6の周波数演算部7において、周波数設定値変換部43を省き、周波数設定値Kを出力するようになっている。その他は第1の実施形態と同じである。
【0175】
図20において、周波数変調データ生成部202は、判別信号SelULに従って判別される期間A及び期間Bにおいて、それぞれ同期信号SPSYNCabを原点とした走査位置(ここでは、画素クロックPCLK数nで表す)に対応した周波数変調データFMDataを生成する。
【0176】
この周波数変調データFMDataは、走査位置nにおける走査速度V(n)に対応した画素クロック周波数、ここでは、高周波クロックVCLKの分周値で表したM(n)と画素クロックの平均周波数を示す周波数設定値Kとの差を表している。
【0177】
図21(a)は、走査位置nに対する走査速度V(n)の一例を示し、図21(b)は、走査位置nの理想位置に対するずれΔ(n)の一例を示し、図21(c)は、周波数変調データFMData(n)の一例を示している。
【0178】
走査位置nの理想位置に対するずれΔは、V(n)−Vavgを積分した値となる。走査速度の非線形性誤差は、走査光学系の精度や組付け誤差が主因となるため、2つの光走査位置つまり期間AとBとで異なり、例えば、装置の製造時に予め周波数変調データFMDataをそれぞれ取得しておき、これを周波数変調データ生成部202に格納しておけばよい。
【0179】
ここで、周波数変調データFMDataの取得方法の一例を説明する。まず、一定の画素クロック周波数で走査を行い、各走査位置における理想位置からのずれΔを測定する。このずれΔの微分値が走査速度Vであるので、これより画素クロック周波数に換算し画素クロック平均周波数信号Kとの差分を求める。簡単には所定の走査位置間(図21のΔn)の傾きを走査速度V'と近似し、この領域内ではその値からの換算値を周波数変調データとして用いる(図21の各破線)。このようにすれば、周波数変調データFMDataを簡便に求めることができ、かつ、その領域間は同一データを用いるため、データを格納するメモリ量も低減できる。 なお、走査速度補正をより高精度に行いたい場合には領域Δnを短くすればよい。
【0180】
周波数変調データFMDataを簡単に求めるには、分周比Mの差分データΔMを求めればよい。画素クロック周波数指示信号Mnowへの変換は、画素クロック平均周波数信号Kに差分データΔMを加算することにより行える。
【0181】
また、画素クロックの周波数変調をより高精度に行うため、周波数変調データは、分周比Mだけでなく、その小数部も含むようにするとよい。 この小数部に対する処理は、分周比Mと同様にすればよい。以下の説明においては、周波数変調データFMDataを整数部ΔM及びa桁の小数部ΔFで扱う場合について説明する。
【0182】
図22は、周波数変調データ生成部202の概略構成図の一例を示す。図22に示すように、周波数変調データ生成部202は、周波数変調データ格納部204及び周波数変調制御部205を備えている。周波数変調データ格納部204は、メモリによって構成され、期間Aまたは期間Bにおける走査ライン中の各領域に対応する周波数変調データFMDataが、各領域番号をアドレスとした格納領域に予め格納されている。なお、周波数変調データFMDataを装置内の他の格納部に保存しておき、装置の立ち上げ時等に周波数変調データ格納部204にロードするようにしてもよい。周波数変調データ格納部204は、入力されるアドレス信号に応じた周波数変調データFMDataを出力するようになっている。
【0183】
周波数変調制御部205は、走査ライン中の領域番号を演算しアドレス信号を生成するようになっており、判別信号SelULにより期間A中かB中かが判別する。また、同期信号SPSYNCabの入力によりアドレスを「0」にクリアし、画素クロックPCLKをカウントして、領域長Δnに達する毎にアドレス信号をインクリメントするようになっている。
【0184】
なお、周波数変調制御部205に対して各領域の領域長を予め設定しておき、各領域長に達する度にアドレスをインクリメントするようにしておけば、周波数変化量に応じて領域長を変えることができ、格納メモリ量の低減と周波数補正精度向上の両立を果たせる。 また、期間AとBとでこの各領域の領域長を変更してもよく、これによりそれぞれの走査位置での走査速度の非線形性誤差を最適に補正できるようになる。
【0185】
図23は、周波数変調部201の概略構成図の一例を示す。図23に示すように、周波数変調部201は、加算部203と周波数設定値変換部43を有する。加算部206は、周波数設定値Kと、周波数変調データFMDataとを加算し、加算結果K'を出力する。周波数設定値変換部43は、図6の周波数設定値変換部43と同様に構成され、実施例1とは、入力が加算部206の出力する加算結果K'(整数部をM'、小数部をF'とする)に代わっただけで、他は同様の動作をするので、詳細説明は省略する。
【0186】
このように、第3の実施形態としての画素クロック生成装置200は、判別信号SelULに従って判別される期間A及び期間Bそれぞれにおいて、分割した時間領域Δn毎に、画素クロックPCLKの周波数を予め定められた周波数変調データFMDataに基づいて補正するため、非線形性誤差も補正した高精度な画素クロックPCLKを生成することができる。
【0187】
〔第4の実施形態〕
本実施形態は、第3の実施形態が第1の実施形態における画素クロック生成部111に代えて、画素クロック生成部200を設けたのと同様に、第2の実施形態における画素クロック生成部118に代えて、画素クロック生成部210を設けた点が相違する。
【0188】
図24は、第4の実施形態の画素クロック生成部210の構成図の一例を示す。なお、本実施の形態においては、第1の実施形態を構成する構成要素と同一な構成要素については、同一の符号を付して、説明を省略する。
画素クロック生成部210は、第2の実施形態における画素クロック生成部118の周波数演算部7に代えて、周波数演算部7'を設け、さらに、周波数変調部201と周波数変調データ生成部202をさらに設けた点が相違する。ここで、周波数演算部7'、周波数変調部201及び周波数変調データ生成部202は、第3の実施形態における画素クロック生成部200を構成するものと同様に構成されるため、同一の符号を付して、説明を省略する。
【0189】
第4の実施形態としての画素クロック生成装置210は、判別信号SelULに従って判別される期間A及び期間Bそれぞれにおいて、分割した時間領域Δn毎に、画素クロックPCLKの周波数を、予め定められた周波数変調データFMDataに基づいて補正するため、非線形性誤差も補正した高精度な画素クロックPCLKを生成することができる。
【0190】
また、第2実施形態の第1実施形態に対する利点と同様に、画素クロックの生成は多相クロックVCLK0〜15の位相差Tvの単位で正確に制御できるので、多相クロックの発振周波数を高くしないでもよく、回路の設計が容易となり消費電流も低減できる。
【0191】
〔画像形成装置の概略構成〕
第1〜第4の実施形態にて説明した画素クロック生成装置111,118,200,210を搭載した画像形成装置500について説明する。
【0192】
図25は、画像形成装置500全体構成図の一例を示す。画像形成装置500は、自動原稿送り装置(ADF)1140と、画像読み取り部1130、書き込みユニット1120、画像形成部1110、及び、給紙ユニット1150を有する。ADF1140は、原稿給紙台上に積載された原稿を1枚ずつ画像読み取り部のコンタクトガラス上に搬送し、原稿の画像データを読み取った後に排紙トレイ上に排出する。
【0193】
原稿読み取り部1130は、原稿を載置するためのコンタクトガラス1011と、光学走査系を有し、光学走査系は、露光ランプ1041、第1ミラー1042、第2ミラー1043、第3ミラー1044、レンズ1045及びフルカラーCCD1046を備える。露光ランプ1041及び第1ミラー1042は、第1キャリッジに装備され、第1キャリッジは、原稿を読み取る際に、ステッピングモータによって一定速度で副走査方向に移動する。第2ミラー1043及び第3ミラー1044は、第2キャリッジに装備され、第2キャリッジは、原稿を読み取る際に、ステッピングモータによって第1キャリッジのほぼ1/2の速度で移動する。そして、第1キャリッジ及び第2キャリッジが移動することによって、原稿の画像面が光学的に走査され、読み取られたデータがレンズによってフルカラーCCD1046の受光面に結像され、光電変換される。
【0194】
次に、フルカラーCCD(又はフルカラーラインCCD)1046によって、赤(R)、緑(G)及び青(B)の各色に光電変換された画像データは、不図示の画像処理回路でA/D変換された後に画像処理回路によって各種の画像処理(γ補正、色変換、画像分離、階調補正等)が施される。
【0195】
ユーザが複写する操作を指示した場合や、画像形成装置500をプリンタとして利用する場合、書き込みユニット1120が各色毎に感光体ドラムに潜像を形成する。書き込みユニット1120が図1の走査光学系に相当する。
【0196】
図では、4つの感光体ユニット1013(イエロー用の1013y,マゼンダ用の1013m,シアン用の1013c,ブラック用の1013k)が、中間転写ベルト1014の搬送方向に沿って並設されている。各感光体ユニット1013k、1013m、1013c、1013yには、像担持体であるドラム状の感光体ドラム157a、157b、157c、157dと、感光体ドラム157a、157b、157c、157dを帯電させる帯電装置1048y、1048m、1048c、1048k、露光用レーザ1047y、1047m、1047c、1047k、現像装置16y、1016m、1016c、1016k及びクリーニング装置1049y、1049m、1049c、1049kが設けられている。
【0197】
露光用レーザ1047y、1047m、1047c、1047kは、図2を例にすれば上ポリゴンミラー907a、下ポリゴンミラー907bにより変更された4本のレーザ光に相当する。露光用レーザ1047y、1047m、1047c、1047kは、例えば、図示の例では感光体ドラム157a、157b、157c、157dの軸方向(主走査方向)に光ビームを走査して露光する。これにより、感光体ドラム157a、157b、157c、157d上に各色の静電潜像が形成される。
【0198】
現像装置1016y、1016m、1016c、1016kは、現像剤を担持して回転する現像ローラが、感光体ドラム157a、157b、157c、157d上に形成された静電潜像をトナーで可視化することで各色毎にトナー像を形成する。
【0199】
感光体ドラム157a、157b、157c、157dに形成されたトナー像は、感光体ドラム157a、157b、157c、157dと中間転写ベルト1014とが接する位置(以下、一次転写位置という)で、中間転写ベルト1014上に転写される。感光体ドラム157a、157b、157c、157dには、中間転写ベルト1014を介して中間転写ローラ1026y、1026m、1026c、1026kが感光体ユニット1013y、1013m、1013c、1013kと対にそれぞれ対向配置されている。各中間転写ローラ1026y、1026m、1026c、1026kは、それぞれ中間転写ベルト1014の内周面に当接され中間転写ベルト1014を各感光体の表面に接触させる。中間転写ローラ1026y、1026m、1026c、1026kにそれぞれに電圧が印可されることで、感光体ドラム157a、157b、157c、157dのトナー像が中間転写ベルト1014に転写されるための中間転写電界が発生する。中間転写電界の作用により、中間転写ベルト1014上にトナー画像が形成される。各色のトナー画像は重畳して転写され、フルカラーのトナー画像が中間転写ベルト1014に形成される。
【0200】
全ての色の作像と転写が終了した時点で、中間転写ベルト1014とタイミングを合わせて給紙トレイ1022から記録紙1053が給紙され、二次転写部50で中間転写ベルト1014から4色同時に記録紙1053へトナー像が二次転写される。
【0201】
記録紙1053は、第1トレイ1022a、第2トレイ1022b、第3トレイ1022c、第4トレイ1022d、又は、両面ユニット(不図示)のいずれかから選択される。各給紙トレイ1022a〜1022dは、内部に収容された記録紙1053を一番上のものから順次送り出す給紙ローラ1028、給紙ローラ1028によって重送されてしまった複数の記録紙1053を個々に分離してから搬送路1023に送り出す分離ローラ1031を有している。これにより、記録紙1053は、搬送路1023に向けて搬送開始される。
【0202】
給紙ユニット1150は、搬送路1023の途中に適宜設けられた複数の搬送ローラ対29等を備えている。搬送ローラ対1029は、給紙トレイ1022から搬送された記録紙1053を後段の搬送ローラ対1029、書き込みユニット1120の給紙路1032に向けて送り出す。給紙路1032に送り込まれた記録紙1053は、その先端がレジストセンサ1051によって検出された後、所定時間が経過すると、レジストローラ1033に突き当てられて一端停止する。このレジストローラ1033は、挟み込んだ記録紙1053を所定のタイミング(副走査有効期間信号(FGATE)に同期して)で二次転ローラ1018の位置まで送り込む。所定のタイミングは、中間転写ベルト1014の回転によりフルカラーの重ね合わせトナー画像が二次転ローラ1018の位置まで搬送されたタイミングである。
【0203】
二次転ローラ1018は、斥力ローラ1017と対向配置される。画像形成装置500は、印刷時に二次転ローラ1018を中間転写ベルト1014に当接させる。二次転ローラ1018は二次転モータにより二次転モータの外周の速度が中間転写ベルト1014の表面速度と同じになるよう制御されている。
【0204】
記録紙1053は、中間転写ベルト1014から分離器(不図示)により分離された後に、搬送ベルト1024によって定着装置1019まで搬送され、定着装置1019は記録紙1053にトナー像を定着させる。片面印刷の場合、定着後の記録紙1053は、排紙トレイ1021上に排出される。
【符号の説明】
【0205】
1、51 高周波クロック生成部
2、52 第1エッジ検出部
3、53 第2エッジ検出部
4 分周器
5、55 比較部
7、7' 周波数演算部
8 判別信号生成部
20 面平均誤差平滑部
27 面間誤差平滑部
34 面平均周波数演算部
38 面間オフセット保持部
42 設定値保持部
43 周波数設定値変換部
44 演算制御部
54 計数部
59 画素クロック出力部
108a〜d、109a〜d フォトディテクタ(PD)
111a、111c、118、200、210 画素クロック生成部
907 多面鏡式光偏向器
907a 上ポリゴンミラー
907b 下ポリゴンミラー
112a、112c 画像処理部
113a、113c 変調データ生成部
114a、114c レーザ駆動部
201 周波数変調部
202 周波数変調データ生成部
500 画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0206】
【特許文献1】特開2006−305780号公報
【特許文献2】特開2005−92129号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素の処理タイミングとなる画素クロックを生成する画素クロック生成装置であって、
第1の信号と第2の信号の時間間隔を検出する時間間隔検出手段と、
N個の目標値を循環して変更し、該目標値に対応した前記時間間隔と前記目標値との誤差をそれぞれ出力する比較手段と、
N(≧2)個の前記目標値毎に、前記誤差を補正した画素クロックの周波数指示信号を、循環して演算する周波数演算手段と、
高周波クロックを生成する高周波クロック生成手段と、
前記高周波クロックを基準にして、前記周波数指示信号に応じた前記画素クロックを生成する画素クロック生成手段と、
を有することを特徴とする画素クロック生成装置。
【請求項2】
前記第1の信号又は第2の信号に基づき、循環するN個の期間を判別するための判別信号を生成する判別信号生成手段を有し、
前記比較手段は、前記判別信号に基づき前記目標値を選択する、
ことを特徴とする請求項1記載の画素クロック生成装置。
【請求項3】
前記期間毎に、前記期間を画素クロックに対応させて区分した複数の部分期間に対応づけて、周波数変調データを記憶した周波数変調データ格納手段と、
前記判別信号に基づき前記期間を判別し、画素クロックを検出する毎に、前記部分期間に対応づけられた前記周波数変調データを周波数変調データ格納手段から出力する変調制御手段と、を有し、
前記画素クロック生成手段は、前記周波数指示信号に前記周波数変調データを加算した前記周波数指示信号に応じた前記画素クロックを生成する、
ことを特徴とする請求項2記載の画素クロック生成装置。
【請求項4】
前記高周波クロック生成手段は、位相差Tvずつ互いに位相をずらした多相クロックを生成し、
前記位相差Tvを単位時間として、前記周波数指示信号に対応する時間を計測する計測手段と、
前記画素クロック生成手段は、前記高周波クロックを基準にして、前記計測手段が計測した前記時間を周期とする画素クロックを生成する、
を有することを特徴とする請求項1記載の画素クロック生成装置。
【請求項5】
前記第1の信号又は第2の信号に基づき、循環するN個の期間を判別するための判別信号を生成する判別信号生成手段を有し、
前記比較手段は、前記判別信号に基づき前記目標値を選択する、
ことを特徴とする請求項4記載の画素クロック生成装置。
【請求項6】
前記期間毎に、前記期間を画素クロックに対応させて区分した複数の部分期間に対応づけて、周波数変調データを記憶した周波数変調データ格納手段と、
前記判別信号に基づき前記期間を判別し、画素クロックを検出する毎に、前記部分期間に対応づけられた前記周波数変調データを周波数変調データ格納手段から出力する変調制御手段と、を有し、
前記計測手段は、前記周波数指示信号に前記周波数変調データを加算した前記周波数指示信号に対応する前記時間を計測する、
ことを特徴とする請求項2,3,5又は6項記載の画素クロック生成装置。
【請求項7】
前記周波数演算手段は、
前記判別信号に従って、前記期間毎の前記誤差を積算すると共に、前記判別信号に従って、予め記憶している前記期間毎の基準周波数指示情報を選択して取り出し、前記基準周波数指示情報、前記誤差及び積算した前記誤差から、平滑化された前記周波数指示信号を前記期間毎に算出する平均周波数演算手段を有する、
ことを特徴とする請求項2〜6いずれか1項記載の画素クロック生成装置。
【請求項8】
前記周波数演算手段は、
前記誤差の基準値を前記期間毎に記憶する基準誤差保持手段と、
予め定められたM回の演算周期の周期識別信号に基づいて選択された、前記期間に対応した前記基準値と前記誤差の差分データを、前記演算周期毎に積算して保持する差分データ保持手段と、
前記周期識別信号に従って、前記演算周期毎の前記差分データから画素クロックのオフセット値を算出するオフセット値算出手段を有する、
ことを特徴とする請求項7載の画素クロック生成装置。
【請求項9】
請求項1〜8いずれか1項記載の画素クロック生成装置と、
前記画素クロック生成装置が生成した画素クロックを基準として画像データを変調し、変調された画像データに基づきレーザ光を照射して画像を形成する画像形成手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1〜8いずれか1項記載の画素クロック生成装置と、
前記画素クロック生成装置が生成した画素クロックを基準として画像データを変調し、変調された画像データに基づき、N個の期間それぞれの照射開始タイミングで交互にレーザ光を照射し、画像を形成する画像形成手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2011−189514(P2011−189514A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55009(P2010−55009)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】