説明

異常検出装置およびこれを備える電子機器

【課題】 内部電源が故障して内部発振回路が停止した場合にも、内部発振回路の異常を検出できる異常検出装置およびこれを備える電子機器を提供することである。
【解決手段】 異常検出装置10は、内部発振回路17と、監視回路19と、異常監視部21とを含み、内部発振回路17は、外部発振子12の発振状態を監視するための基準となる発振を行う。監視回路19は、外部電源22から電力供給を受けて稼動し、内部発振回路17の発振に基づいて、外部発振子12の発振を監視する。異常監視部21の少なくとも一部は、外部電源22から供給される電力によって稼動し、異常監視部21は、内部発振回路17に接続される。異常監視部21には、内部発振回路17から出力される発振が入力され、異常監視部21は、内部発振回路17の発振をカウントするカウンタ回路24を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部発振回路の異常を検出する異常検出装置およびこれを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術に係る故障診断機能付き電子制御装置は、内部安定化電源回路からの電源出力状態に基づいて、駆動溶解炉の動作状態を監視する監視手段を備える。駆動用回路を構成する回路素子外に電流が流出した際、あるいは駆動用回路が暴走した際には、内部安定化電源回路から出力される電源出力状態が大幅にアップする状態が発生する。従来技術に係る異常検出装置として、内部安定化電源回路から出力される電源出力状態を観察することによって、内部安定化電源回路から電力供給を受ける回路構成および配線の異常状態を検知する故障診断機能付き電子制御装置が知られる。
【0003】
【特許文献1】特開平09−123894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
外部発振子を監視する監視回路は、内部発振回路に基づいて外部発振子の異常を検出する。内部発振回路は、内部電源によって電力が供給されて稼動する。内部電源に故障が生じて内部発振回路が停止した場合、監視回路は、外部発振子の発振を監視することできず、監視回路を含む異常検出装置は、外部発振子の異常を検出できなくなる。従来技術に係る故障診断機能付き電子制御装置では、電源出力状態が大幅にアップした場合には異常を検出するけれども、内部電源が故障して内部発振回路が停止した場合には、異常を検出することができないという問題点がある。
【0005】
本発明の目的は、内部電源が故障して内部発振回路が停止した場合にも、内部発振回路の異常を検出できる異常検出装置およびこれを備える電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明(1)に従えば、異常検出装置は、内部発振回路と、監視回路と、異常監視部とを含んで構成される。内部発振回路は、外部発振子の発振状態を監視するための基準となる発振を行う。監視回路は、内部発振回路の発振に基づいて、外部発振子の発振を監視する。異常監視部は、内部発振回路に接続され、内部発振回路の異常を検出する。
【0007】
また本発明(3)に従えば、異常検出装置は、内部発振回路と、内部電源と、監視回路と、異常監視部とを含んで構成される。内部発振回路は、外部発振子の発振状態を監視するための基準となる発振を行う。内部電源は、内部発振回路に電力を供給する。監視回路は、内部発振回路の発振に基づいて、外部発振子の発振を監視する。異常監視部は、内部電源に接続され、内部電源の異常を監視する。
【0008】
また本発明(5)に従えば、電子機器は、異常検出装置を備える。したがって、電子機器は、内部発振回路と、内部発振回路の発振に基づいて外部発振子の発振を監視する監視回路と、内部発振回路および内部電源のうち少なくともいずれか一方に接続される異常監視部とを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明(1)によれば、内部発振回路の異常を検出することができる。したがって、内部発振回路が故障した場合に、異常検出装置は、内部発振回路の異常を検出することができる。したがって、監視回路による誤判定を防止することができる。
【0010】
また本発明(3)によれば、内部電源の異常を検出することができる。内部電源から出力される電力電位に異常が発生した場合、内部発振回路は正常に動作することができない。したがって、内部電源が故障した場合に、異常検出装置は、内部電源の異常を検出することによって、内部発振回路の異常を検出することができる。したがって、監視回路による誤判定を防止することができる。
【0011】
また本発明(5)によれば、電子機器は、外部発振子の発振を監視する監視回路と、内部発振回路の異常を検出できる異常検出装置を含むので、時間的制御に関する誤動作を防止することができる。したがって、時間的制御を必要とし、誤作動が許されない電子機器の信頼度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。以下の説明においては、各形態に先行する形態ですでに説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。またそれぞれの実施形態は、本発明に係る技術を具体化するために例示するものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明に係る技術内容は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることが可能である。以下の説明は、異常検出装置10、電子機器11についての説明をも含む。
【0013】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る異常検出装置10の電気的接続関係を表すブロック図である。第1実施形態に係る異常検出装置10は、外部発振子12を発振させることと、外部発振子12の動作が正常であるか否かを監視することと、異常検出装置10自身が正常に外部発振子12の動作を監視できているか否かを検知することとを行う装置である。異常検出装置10は、本実施形態において、自動車の電子制御装置(electric
control unit, 略称「ECU」)内に設置され、特にエアバッグ装置の動作を制御する回路の中に設置される。本実施形態において「回路」は、電気的配線関係のみならず、電気的配線関係を実現する物品をも意味するものとする。
【0014】
エアバッグ装置は、常時使用するものではないので、エアバッグ装置を動作させる機構に故障があっても、故障を発見することは難しい。またエアバッグ装置は、自動車の衝突事故など有事の際に使用され、人命が失われる可能性を低減することを目的とするものであるので、動作不良の可能性は可及的に低減することが望まれる。
【0015】
エアバッグ装置では、通電によって化学反応が開始され、化学反応による爆発によって気体が発生し、これによって袋状のエアバッグ本体が爆発的に膨張する。袋状のエアバッグ本体の爆発的な膨張を開始するために行われる通電において、通電時間は予め定める時間的範囲に制御されることが必要となる。通電時間が予め定める時間的範囲よりも短ければ、動作不良の原因となる。
【0016】
またエアバッグ装置を動作させる通電の通電時間が、予め定める時間的範囲よりも長くなることも、防止する必要がある。エアバッグ装置の動作のための通電では、2アンペア(amperes, 略号「A」)程度の電流を発生させる。これは、車載用の音響再生装置および情報処理装置などに使用される電子部品を動作させる電流値に比べて、比較的大きな電流である。このことに加えて、エアバッグ装置が動作する状況では、自動車は大破することが予想される。自動車が大破すれば、ガソリンなどの可燃性液体の蒸気が自動車の周囲に漂う可能性がある。可燃性液体の蒸気を含む雰囲気内で、比較的大きな電流が流れる時間が長くなれば長くなるほど、可燃性液体の蒸気が引火する可能性が高くなる。
【0017】
エアバッグ装置の動作不良および可燃性液体の蒸気の引火を防止するために、エアバッグ装置の動作を開始させる通電の通電時間は、精確に予め定める時間的範囲に制御する必要がある。外部発振子12による発振は、エアバッグ装置内で通電の時間的な制御が行われるときの、時間的基準として利用される。第1実施形態に係る異常検出装置10は、外部発振子12を発振させること、外部発振子12の動作が正常であるか否かを監視することとに加えて、異常検出装置10自身が正常に外部発振子12の動作を監視できているか否かを検知することを行うので、エアバッグ装置の動作開始に行われる通電の通電時間を精確に制御することができる。
【0018】
異常検出装置10は、特定用途のための集積回路からなる、エーシックとも呼ばれるカスタム集積回路(application specific integrated circuit, 略称「ASIC」)と、マイクロコンピュータ16とを含んで実現される。異常検出装置10は、内部発振回路17と、監視回路19と、異常監視部21とを含んで構成される。内部発振回路17は、外部発振子12の発振状態を監視するための基準となる発振を行う。第1実施形態において以上検出装置10は、内部電源18をさらに含み、内部電源18は、内部発振回路17に電力を供給する。監視回路19は、ASIC14の外部に設置される外部電源22から電力供給を受けて稼動し、内部発振回路17の発振に基づいて、外部発振子12の発振を監視する。
【0019】
異常監視部21の少なくとも一部は、外部電源22から供給される電力によって稼動し、異常監視部21は、内部発振回路17に接続される。異常監視部21には、内部発振回路17から出力される発振が入力され、異常監視部21は、内部発振回路17の発振をカウントするカウンタ回路24を含む。第1実施形態において電子機器11は、異常検出装置10を備える自動車のエアバッグ装置であり、異常検出装置10以外にも、たとえばエアバッグの稼動を電子制御する制御回路26、自動車の走行に伴う加速度を検出する加速度検出部(図示せず)などを含む。
【0020】
第1実施形態において、外部発振子12は、セラロック発振子と呼ばれるセラミック発振子である。セラミック発振子は、コイルとコンデンサとを用いるLC発振回路、および抵抗とコンデンサとを用いるRC回路よりも発振周波数の変動が小さく、精度が高い。また水晶発振回路よりも小さく形成でき、省スペースを実現できる。
【0021】
ASIC14は、発振子駆動回路15と、内部発振回路17と、内部電源18と、監視回路19と、カウンタ回路24とを含む。発振子駆動回路15は、外部発振子12を振動させる回路である。発振子駆動回路15の端子は、セラミック発振子と監視回路19とに接続され、セラミック発振子を振動させるとともに、セラミック発振子による電圧の振動を監視回路19に対して出力する。
【0022】
監視回路19は、発振駆動回路と、内部発振回路17と、ASIC14の外部のマイクロコンピュータ16と、外部電源22とに接続され、外部電源22から供給される電力によって稼動する。内部発振回路17は、LC発振回路またはRC発振回路などによって実現される発振回路であり、外部発振子12の発振を監視するための時間的基準となるクロック周波数の発振を出力する。内部発振回路17は、内部電源18に接続され、内部電源18からの電力供給によって発振を行い、出力する。監視回路19は、内部発振回路17から出力されるクロック周波数の発振を基準として、外部発振子12の発振周波数を計測する。
【0023】
クロック周波数は、数十キロヘルツ(kilohertz, 略号「kHz」)〜数百kHzであり、外部発振子12の周波数は数メガヘルツ(megahertz, 略号「MHz」)であり、本実施形態において外部発振子12の周波数は8MHzである。監視回路19は、内部発振回路17が予め定める回数の発振を行う時間内に、外部発振子12が行う発振の回数を計測し、外部発振子12の発振の回数が所定の範囲内であるか否かによって、外部発振子12の正常異常を判断する。この所定の範囲は、外部発振子12の発振のについて予め定められる回数である。それぞれ精度は異なるけれども、外部発振子12の発振の周波数も内部発振回路17の発振の周波数も、発振開始直後の周波数には誤差を含むことがあるので、正常異常を判断する基準として、1つの値に限定することは実用的ではなく、所定の範囲を予め定め、この所定の範囲を判断の基準とする。また所定の範囲外の回数がカウントされることが1回あれば、異常と判断する構成も可能であるけれども、本実施形態において監視回路19は、異常との判断が10回に及べば、異常との判断結果を出力する。
【0024】
監視回路19が外部発振子12の発振について行った判断結果の出力は、マイクロコンピュータ16に入力される。マイクロコンピュータ16は、監視回路19が外部発振子12の発振について異常との判断結果を出力した場合には、外部発振子12には異常があるとの情報を含む信号を出力し、この情報が外部に対して報知される。たとえば警告ランプによる警告の表示などが行われ、外部発振子12を含むエアバッグ装置の修理または交換が促される。仮に外部電源22からの電力供給が停止した場合には、異常検出装置10以外の他の回路によって警告が報知される。
【0025】
内部電源18は、外部電源22からの電力供給を受けて電力を出力する。内部電源18は、内部発振回路17に接続され、内部電源18からの電力は、内部発振回路17の駆動に利用される。内部電源18からの出力は、さらに異常検出手段以外の検査回路に対して出力され、たとえば検査用に利用されてもよい。
【0026】
カウンタ回路24は、外部電源22と、内部発振回路17と、マイクロコンピュータ16とに接続される。カウンタ回路24は、たとえばフリップフロップ回路などによって実現され、内部発振回路17から出力される出力電位の立上がりおよび立下りのうちの、少なくともいずれか一方を検出し、予め定める時間内における内部発振回路17の発振の回数を数える。本実施形態において、カウンタ回路24が予め時間を定める時間的基準としては、マイクロコンピュータ16のクロックを用いる。カウンタ回路24は、フリップフロップ回路以外にも、たとえば遅延回路を用い、遅延回路に入力する信号と遅延回路から出力される信号とを比較することによって、電位の立上がりおよび立下りの少なくともいずれか一方を検出してもよい。しかし、遅延回路による遅延の時間が、誤差を含む場合があるので、フリップフロップ回路を用いて数える方が好ましい。
【0027】
内部発振回路17から出力される発振は、電位の振動として出力され、内部発振回路17の発振を取出す端子の電圧は高低を繰返し、内部発振回路17からの出力は、いわゆるトグル信号として出力される。カウンタ回路24は、内部発振回路17からの出力がトグル信号として出力されている場合には、発振の回数をカウントするけれども、たとえば内部発振回路17から出力される電位の高低差が正常時における高低差よりも小さい場合には、正常時のトグル信号としての出力ではないので、カウンタ回路24は、内部発振回路17の発振の回数を所定の範囲よりも少ない回数、あるいは零回としてカウントする。この所定の範囲は、内部発振回路17の発信に関する回数である。
【0028】
したがって、カウンタ回路24は、内部発振回路17のトグル信号を検出する。監視回路19による監視の対象は、発振子駆動回路15および外部発振子12であるのに対し、カウンタ回路24による監視の対象は、内部発振回路17であり、カウンタ回路24と監視回路19とでは、監視対象が異なる。
【0029】
異常監視部21は、ASIC14内に設けられるカウンタ回路24とマイクロコンピュータ16とを含む。カウンタ回路24がマイクロコンピュータ16のクロックを基準に、予め定める時間内の内部発振回路17の発振の回数を数え、カウントした結果をマイクロコンピュータ16に出力すると、マイクロコンピュータ16は、カウンタ回路24からの出力結果から、内部発振回路17の状態が正常であるか否かを判断する。マイクロコンピュータ16は、内部発振回路17から出力される電位の高低差が正常時における高低差よりも小さく、カウンタ回路24が内部発振回路17の発振の回数を精確にカウントできない場合に、内部発振回路17には異常があると判断する。また内部発振回路17から出力される発振が正常範囲よりも早すぎたり遅すぎたりすることによって、発振の回数が、所定の範囲を超える場合にも、マイクロコンピュータ16は、内部発振回路17には異常があると判断する。
【0030】
マイクロコンピュータ16が内部発振回路17の発振について異常との判断結果を出力した場合には、マイクロコンピュータ16は、内部発振回路17には異常があるとの情報を含む信号を出力し、この情報が外部に対して報知される。たとえば警告ランプによる警告の表示などが行われ、内部発振回路17を含むエアバッグ装置の修理または交換が促される。仮にマイクロコンピュータ16に対する電力供給が停止した場合には、異常検出装置10以外の他の部品の動作によってマイクロコンピュータ16の動作不良が明らかとなる。
【0031】
内部電源18から出力される電力は、検査回路など、異常検出装置10以外の外部の部品に接続されている場合がある。仮に外部でショートなどが生じ、内部電源18が停止した場合に、内部発振回路17は、トグル信号を出力しなくなる。監視回路19は内部発振回路17を時間的基準に用いるので、内部電源18の停止によって内部発振回路17からの出力電位が振動しなくなると、監視回路19による外部発振子12の監視自体ができなくなり、外部発振子12に異常がある場合にも、異常であるとの判断を出力できなくなる。これに対し、内部発振回路17のトグル信号としての出力が正常か否かを異常監視部21によって監視することによって、外部発振子12の異常検出に対して二重の監視によって、正常な動作を確保することになる。
【0032】
第1実施形態によれば、異常監視部21の少なくとも一部は、外部電源22から供給される電力によって稼動し、異常監視部21は、内部発振回路17および内部電源18のうち少なくともいずれか一方に接続される。これによって、内部発振回路17および内部電源18のうち少なくともいずれか一方の異常を検出することができる。内部電源18から出力される電力電位に異常が発生した場合、内部発振回路17は正常に動作することができない。したがって、内部発振回路17が故障した場合にも、内部電源18に異常が発生したときにも、異常検出装置10は、内部発振回路17の異常を検出することができる。したがって、監視回路19による誤判定を防止することができる。
【0033】
また第1実施形態によれば、異常監視部21には、内部発振回路17から出力される発振が入力され、異常監視部21は、内部発振回路17の発振をカウントするカウンタ回路24を含む。これによって、異常監視部21は、内部発振回路17が、電位の上昇と下降とを繰返すトグル信号を出力していることを検知することができる。したがって、内部発振回路17が完全に停止することなく、内部発振回路17に乱れが発生した場合にも、異常を検出することができる。
【0034】
また第1実施形態によれば、自動車のエアバッグ装置の制御回路26である電子機器11は、異常検出装置10を備える。エアバッグ装置の稼動を電子制御する制御回路26は、異常検出装置10を含むので、動作の信頼度を向上させることができる。一般にエアバッグ装置の制御回路26の故障は、事故が発生したときにエアバッグ装置の動作不良につながる場合が考えられるけれども、異常検出装置10によって、部分的な故障の存在を警告、報知することができるので、早期の故障部分の改善を促すことができる。また外部発振子12および内部発振回路17の動作を自動車の稼動時に常時監視するので、時間的制御の信頼度を向上させることができる。
【0035】
第1実施形態では、異常検出装置10は、電子機器11は、エアバッグ装置であるものとしたけれども、電子機器11は、エアバッグ装置に限定するものではない。異常検出装置10は、エアバッグ装置以外の、安全のための、誤動作が許されない電子機器に適用することも可能であり、時間制御を必要とし、誤作動が許されない電子機器の信頼度を向上させることができる。
【0036】
<第2実施形態>
図2は、本発明の第2実施形態に係る異常検出装置10Aの電気的接続関係を表すブロック図である。第2実施形態に係る異常検出装置10Aは、第1実施形態に係る異常検出装置10Aに類似しており、以下、第1実施形態に対する第2実施形態の相違点を中心に説明する。
【0037】
第2実施形態において電子機器11Aは、異常検出装置10Aを含む自動車のECUである。自動車のECUは、異常検出装置10Aと、エアバッグ装置の制御を行う制御回路26と、たとえばオートマチック車において自動車の走行速度に合わせてギア比を制御する制御部32などを含む。異常検出装置10Aは、内部発振回路17と、内部電源18と、監視回路19と、異常監視部21Aとを含んで構成される。異常監視部21Aは、内部電源18に接続され、異常監視部21Aには、内部電源18から出力される電力電位が入力される。異常監視部21Aは、入力される電力電位の値を基準となる値と比較する。第2実施形態において、異常監視部21Aは、アナログ−デジタルコンバータ(analogue-
digital converter, 略称「ADC」)を含むマイクロコンピュータ16Aによって実現される。
【0038】
内部電源18から出力される電力電位は、マイクロコンピュータ16Aに設けられるADC33用の入力端子に入力され、マイクロコンピュータ16A内のADC33に入力される。入力された電力電位は、ADC33によってデジタル変換され、マイクロコンピュータ16A内の中央処理演算装置(central processing unit, 略称「CPU」)によって処理される。ADC33は、電力電位の値を情報として有するデジタル信号として出力し、ADC33からの出力は、CPU34に入力される。デジタル信号の各ビットを示す電圧は、CPU34によって処理可能な電圧である。マイクロコンピュータ16Aは、ADC33およびCPU34などの他に、情報を記憶する記憶部などを含む。
【0039】
CPU34は、内部電源18が出力すべき電圧電位の値に関して予め定める範囲の値を記憶しておき、入力された内部電源18の電圧電位の値を、内部電源18に関する予め定める範囲の値と比較する。内部電源18の電圧電位の値が、予め定める範囲外である場合には、内部電源18には異常があるとの情報を出力され、この情報が外部に対して報知される。たとえば警告ランプによる警告の表示などが行われ、内部電源18を含む異常検出装置10Aの修理または交換が促される。
【0040】
第2実施形態によれば、異常監視部21Aには、内部電源18から出力される電力電位が入力され、異常監視部21Aは、入力される電力電位の値を基準となる値と比較する。これによって、内部電源18から出力される電力電位の異常を検出することができる。内部電源18から出力される電力電位に異常が発生した場合、内部発振回路17は正常に動作することができない。異常監視部21Aは、内部電源18からの電力電位の異常を検出することによって、内部発振回路17の異常を検出することができる。
【0041】
また第2実施形態によれば、自動車のECUである電子機器11Aは、異常検出装置10Aを備える。自動車の走行を電子制御するECUは、異常検出装置10Aを含むので、動作の信頼度を向上させることができる。一般に自動車のECUの故障は、事故につながる場合があるけれども、異常検出装置10Aによって、部分的な故障の存在を警告、報知することができるので、早期の故障部分の改善を促すことができる。また外部発振子12および内部発振回路17の動作を自動車の稼動時に常時監視するので、時間的制御の信頼度を向上させることができる。
【0042】
<第3実施形態>
図3は、本発明の第3実施形態に係る異常検出装置10Bの電気的接続関係を表すブロック図である。第3実施形態に係る異常検出装置10Bは、第2実施形態に係る異常検出装置10Bに類似しており、以下、第2実施形態に対する第3実施形態の相違点を中心に説明する。第3実施形態において、異常監視部21Bは、コンパレータ回路36を含み、コンパレータ回路36は、内部電源18からの電力電位を基準となる電位と比較する。基準となる電位は、基準電位に保たれる基準電位部の電位である。コンパレータ回路36は、基準電位部(図示せず)に接続され、基準電位部の基準電位に基づいて、内部電源18から出力される電力電位を測定する。
【0043】
コンパレータ回路36は、内部電源18が出力すべき電力電位の値を、予め定める範囲として記憶しておく。コンパレータ回路36は、内部電源18から入力された電力電位を、予め定める範囲内であるか否かを判断し、判断結果をマイクロコンピュータ16Bに対して出力する。マイクロコンピュータ16Bは、内部電源18から入力された電力電位が、これに対応する予め定める範囲内であれば、正常と判断し、予め定める範囲外であれば異常と判断する。第3実施形態において、異常監視部21Bのうちマイクロコンピュータ16Bは、内部電源18とは異なる外部電源22に接続され、外部電源22から供給される電力によって稼動する。異常監視部21Bのうちコンパレータ回路36は、内部電源18によって稼動するけれども、コンパレータ回路36も外部電源22によって稼動する構成としてもよい。
【0044】
第3実施形態によれば、異常監視部21Bは、コンパレータ回路36を含み、コンパレータ回路36は、内部電源18からの電力電位を基準となる電位と比較する。これによって、異常監視部21Bは、内部電源18からの電力電位をアナログ−デジタルコンバータによって変換することなく、内部電源18から出力される電力電位の異常を検出することができる。したがって、マイクロコンピュータ16Bは、アナログ−デジタルコンバータおよびアナログ−デジタル入力端子を備える必要はない。
【0045】
<変形例>
第1〜第3実施形態において、異常監視部21Bは、内部発振回路17および内部電源18のいずれか一方に接続され、内部発振回路17および内部電源18のいずれか一方からの出力が、入力されるものとしたけれども、他の実施形態において、異常監視部は、内部発振回路17および内部電源18の両方に接続され、内部発振回路17および内部電源18の両方からの出力が入力されてもよい。これによって、内部発振回路17の異常を直接監視することと、内部電源18の異常を監視することとの両方を行うことができ、異常検出にかかる信頼度をさらに向上することができる。
【0046】
第1実施形態において、カウンタ回路24は、内部発振回路17から出力される出力電位の立上がりおよび立下りのうちの、少なくともいずれか一方を検出するものとしたけれども、他の実施形態においては、たとえば内部発振回路17から出力される出力電位の立上がりおよび立下りの両方を検出してもよい。さらに内部発振回路17から出力される発振の、予め定める時間内における回数が、所定の範囲内であるか否かを判断し、内部発振回路17が正常であるか否かを判断する機能を有していてもよい。この場合には、マイクロコンピュータ16は、内部発振回路17の正常異常について判断する必要はない。
【0047】
第2実施形態において、マイクロコンピュータは、アナログ−デジタルコンバータを内蔵するものとしたけれども、たとえば他の実施形態において、異常検出装置は、内部電源18から出力される電力電位を、抵抗分圧によって小さくするラダー回路を含んで構成され、マイクロコンピュータに入力される電圧を、マイクロコンピュータが処理可能な範囲の電圧に低減する構成とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1実施形態に係る異常検出装置10の電気的接続関係を表すブロック図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る異常検出装置10Aの電気的接続関係を表すブロック図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る異常検出装置10Bの電気的接続関係を表すブロック図である。
【符号の説明】
【0049】
10 異常検出装置
11 電子機器
12 外部発振子
15 発振子駆動回路
17 内部発振回路
18 内部電源
19 監視回路
21 異常監視部
22 外部電源
24 カウンタ回路
33 ADC
36 コンパレータ回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部発振子の発振状態を監視するための基準となる発振を行う内部発振回路と、
前記内部発振回路の発振に基づいて前記外部発振子の発振を監視する監視回路と、
前記内部発振回路に接続され、該内部発振回路の異常を監視する異常監視部とを含むことを特徴とする異常検出装置。
【請求項2】
前記異常監視部は、前記内部発振回路から出力される発振が入力され、前記内部発振回路の発振をカウントするカウンタ回路を含むことを特徴とする請求項1に記載の異常検出装置。
【請求項3】
外部発振子の発振状態を監視するための基準となる発振を行う内部発振回路と、
前記内部発振回路に電力を供給する内部電源と、
前記内部発振回路の発振に基づいて前記外部発振子の発振を監視する監視回路と、
前記内部電源に接続され、該内部電源の異常を監視する異常監視部とを含むことを特徴とする異常検出装置。
【請求項4】
前記異常監視部は、前記内部電源から出力される電力電位が入力され、該入力される前記電力電位の値を基準となる値と比較することを特徴とする請求項3に記載の異常検出装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の異常検出装置を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−246846(P2009−246846A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−93507(P2008−93507)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】