説明

発動発電機の自動起動停止装置

【課題】発電機出力ラインと負荷検知回路を分離したり接続したりするためのリレーを用いず、負荷に基づいてエンジンの駆動停止を自動的に制御する。
【解決手段】インバータ式発動発電機1は、交流機3と整流回路51とDC−DCコンバータ52とインバータ回路53とを有する。負荷検知回路22をインバータ回路52の出力ラインに並列に接続する。負荷検知回路22の負荷検知ライン42は、インバータ回路52の出力ライン45に抵抗器R1、R2を介して並列に接続される。バッテリ4で形成される電源27が負荷検知ライン42に接続される。比較器26を含む判別回路43は負荷検知ライン42に予定値以上の電流が流れていたときに負荷検知信号を出力する。駆動停止CPU44は、負荷検知信号に応答してエンジン2を始動する。抵抗器R1、R2は、発電機出力が供給される負荷7に影響しない抵抗値に設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発動発電機の自動起動停止装置に関するものであり、特に、負荷の有無に応じて発動機(つまり、エンジン)を自動的に起動または停止させることができる発動発電機の自動起動停止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジン駆動型発電機の出力を整流回路で整流し、インバータ回路で所定周波数の交流に変換して負荷に電力を供給するインバータ式発動発電機が知られる。例えば、特許文献1には、整流回路の出力側とバッテリの出力端子との間に双方向DC−DCコンバータを設けて、過負荷時に整流回路の出力が不足すれば、整流回路からの出力の不足分をバッテリから供給することができるようにしたインバータ式発電機が開示されている。
【0003】
インバータ式発電機は負荷に応じて回転数を変化させることができるので、負荷がない状態ではエンジンをアイドル運転して低燃費と低騒音性能の向上を図っている。しかし、負荷がない状態ではエンジンを停止させて、さらなる低燃費と低騒音性能の向上を図ることが要望される。一方、負荷の駆動を止めるたびに負荷の操作者または運転者(オペレータ)がエンジンを停止させるのは煩雑であり、特に、オペレータが発電機から遠い場所で負荷を操作または運転している状況では負荷の停止を検知してエンジンを自動停止できるシステムが要望される。
【0004】
エンジンを自動停止するためには、負荷の有無を検出する手段が必要である。特許文献2には、エンジン回転数が設定値未満になったときに負荷接続用端子から負荷検出用電源回路に接続を切り替え、負荷が負荷接続用端子に接続されると、負荷検出用電源回路から負荷に電流が流れ、この電流が設定値よりも大きくなったときにエンジンを始動させる発動発電装置の起動停止制御装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−282827号公報
【特許文献2】特許第2882174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載されている装置では、エンジンで駆動されるオルタネータ(交流機)の出力と負荷接続用端子とを接続する系統と、負荷検出用電源回路および負荷接続用端子を接続する系統とをリレーを使って切り替えている。したがって、交流機の発電電圧が大きい場合には、その電圧によって流れる電流に応じた大容量のリレーが必要となり、大型リレーのレイアウトやコストの問題が生じ得る。
【0007】
本発明の目的は、上記課題に対して、リレーを使用することなく負荷の有無を検出できる発動発電機の自動起動停止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するための本発明は、エンジンで駆動される交流機と、該交流機の出力を整流する整流器と、該整流器から出力された直流電圧を電圧変換するDC−DCコンバータと、該DC−DCコンバータの出力を交流に変換して発電機出力とするインバータとを有するインバータ式発動発電機において、前記インバータの出力ラインに並列に接続された負荷検知回路を備え、前記負荷検知回路が、前記インバータの出力ラインに抵抗器を介して並列に接続された負荷検知ラインと、該負荷検知ラインに電圧を印加する電源回路と、前記負荷検知ラインに予定値以上の電流が流れていたときに負荷検知信号を出力する判別回路とを含んでおり、前記抵抗器は、発電機出力が供給される負荷に影響しない抵抗値に設定されている点に第1の特徴がある。
【0009】
また、本発明は、前記負荷検知回路から出力される負荷検知信号に応答して前記エンジンを自動始動する点に第2の特徴がある。
【0010】
また、本発明は、前記エンジンの駆動中に、前記負荷検知回路から出力される負荷検知信号の出力停止に応答して前記エンジンを自動停止し、かつ前記インバータの動作を停止させる点に第3の特徴がある。
【0011】
また、本発明は、前記電源回路が、エンジン運転中か停止中かに関わらず負荷状態を常時監視できるように、前記交流機による発電系統とは別系統のバッテリから電源を形成している点に第4の特徴がある。
【0012】
また、本発明は、前記負荷検知回路を付勢または非付勢とするモードスイッチを有している点に第5の特徴がある。
【0013】
また、本発明は、前記バッテリの出力電圧を昇圧するコンバータを備え、前記コンバータの出力側を前記インバータの入力側に接続してなるハイブリッド式である点に第6の特徴がある。
【0014】
さらに、本発明は、前記交流機が、前記バッテリから供給される電力で始動されるスタータモータを兼用している点に第7の特徴がある。
【発明の効果】
【0015】
上記特徴を有する本発明によれば、高抵抗を介して出力ラインに接続される負荷検知ラインに電源から印加される電圧によって負荷検知ラインに微小電流が流れる。この電流は負荷が接続されていない開回路では流れないので、電流が所定値以上流れているか否かによって、負荷の有無を判別することができる。負荷検知回路と出力ラインとは常時接続されているので、負荷検知回路を断接するための大電流容量のリレーを必要としない。
【0016】
第2の特徴を有する本発明によれば、負荷を検知して自動的にエンジンを始動させ、発電することができる。第3の特徴を有する本発明によれば、負荷が無くなったことを検知して自動的にエンジンを停止し、発電を停止することができる。
【0017】
第4の特徴を有する本発明によれば、バッテリによって電源が形成されるので、常時、負荷検知回路を作動して、負荷の有無に応じて自動的にエンジンを駆動または停止することができる。
【0018】
第5の特徴を有する本発明によれば、オペレータが発電機の近くで作業する場合は、負荷検知装置によらず手動でエンジンの駆動停止を行うことができるようにモードスイッチを操作して負荷検知装置を非付勢とし、発電機から離れた位置で作業する場合は、負荷検知装置を付勢して自動でエンジンの駆動停止を行うことができる。
【0019】
第6の特徴を有する本発明によれば、ハイブリッド式発動発電機においても、エンジンの駆動停止を負荷の有無に応じて自動的に制御することができる。
【0020】
第7の特徴を有する本発明によれば、交流機にバッテリから電圧を印加して交流機をスタータとして動作させてエンジンを始動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係るインバータ式発動発電機のシステム構成を示すブロック図である。
【図2】絶縁型DC−DCコンバータの具体的な回路図である。
【図3】負荷検知回路の具体的な例を示す回路図である。
【図4】バッテリ電圧で形成される電源部の具体例を示す回路図である。
【図5】負荷検知回路の動作を示すフローチャートである。
【図6】負荷検知回路の動作に対応するタイミングチャートである。
【図7】負荷検知に基づくエンジン駆動停止制御の要部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るインバータ式発動発電機のシステム構成図である。図1において、インバータ式発動発電機1は、エンジン2に連結され、エンジン2によって駆動される交流機3を有する。交流機3は、例えば3相の多極磁石発電機からなる。交流機3の出力側は、出力制御装置5に接続される。出力制御装置5は、整流回路51、DC−DCコンバータ52、インバータ回路53、および波形成形回路54からなる。
【0023】
整流回路51はブリッジ接続されたダイオードD1、D2、D3と、スイッチング素子(以下、「FET」として説明する)Q1、Q2、Q3とを有する混合ブリッジ整流回路である。交流機3の3相巻線3UはダイオードD1とFETQ1との結合部に、3相巻線3VはダイオードD2とFETQ2との結合部に、3相巻線3WはダイオードD3とFETQ3との結合部にそれぞれ接続される。
【0024】
このように構成された整流回路51は、交流機3の出力を整流してインバータ回路52に供給するとともに、FETQ1〜Q3のオン、オフ制御により、バッテリ4の直流出力電圧を3相の交流電圧に変換して交流機3に印加する駆動用インバータとしても機能する。
【0025】
DC−DCコンバータ52は、安定化した直流電圧を出力するための降圧型回路であり、スイッチング素子(FET)Q4、チョークコイルL3、ダイオードD4を含み、入力側および出力側にそれぞれコンデンサC1、C2が並列接続される。インバータ回路53は、4つのFETQ5、Q6、Q7およびQ8をブリッジ接続してなる。波形成形回路54はコイルL1、L2とコンデンサC3とからなる。
【0026】
DC−DCコンバータ52のFETQ4とインバータ回路53のFETQ5〜Q8は、制御部8によってPWM制御される。DC−DCコンバータ52では、FETQ4がオンされている時間は、整流回路51から入力される電圧によってチョークコイルL3およびコンデンサC2に電荷(エネルギ)が蓄積される。そして、FETQ4がオフになったときに蓄積されたエネルギによってダイオードD4を通じて電流が流れる。DC−DCコンバータ52の出力電圧は、FETQ4のデューティ比に応じて降圧される。
【0027】
インバータ回路53は、入力電圧を所定周波数(例えば、商用電力の周波数)の交流電圧に変換して波形成形回路54に入力する。波形成形回路54は、発電機出力を外部に取り出すための出力端子(例えば、コンセント)6に接続される。コンセント6には負荷7が接続される。インバータ回路53と波形成形回路54との間には負荷電流を検知するための抵抗55が設けられる。
【0028】
バッテリ4は絶縁型DC−DCコンバータ9の入力側(一次側)に接続され、絶縁型DC−DCコンバータ9の出力側(二次側)はインバータ回路53の入力側に接続される。
【0029】
波形成形回路54の出力側、つまり該インバータ式発動発電機1の出力端子には負荷検知回路22が接続される。出力制御装置5には、ダイオードD15、D16を介して電源23が接続される。電源23はバッテリ4によって形成される(回路図は後述)。
【0030】
図2は、絶縁型DC−DCコンバータ9の構成例を示す回路図である。絶縁型DC−DCコンバータ9は、一次側の低圧側巻線10−1と二次側の高圧側巻線10−2とを備えるトランス10を含む。
【0031】
低圧側スイッチング部11は、低圧側巻線10−1側に挿入され、高圧側スイッチング部12は、高圧側巻線10−2側に挿入される。低圧側スイッチング部11は、例えば、4つのFETQ9、Q10、Q11およびQ12をブリッジ接続して構成され、高圧側スイッチング部12も同様に4つのFETQ13、Q14、Q15およびQ16をブリッジ接続して構成される。
【0032】
低圧側スイッチング部11および高圧側スイッチング部12のFETQ9〜Q16にはダイオードD7、D8、D9、D10、ならびにD11、D12、D13、D14がそれぞれ並列接続される。これらはFETの寄生ダイオードであってもよいし、別途接続したダイオードであってもよい。並列接続された整流素子D7〜D14を合わせれば、低圧側スイッチング部11および高圧側スイッチング部12はそれぞれ、スイッチング・整流部と考えることができる。
【0033】
トランス10の高圧側巻線10−2側にはLC共振回路13が挿入される。LC共振回路13は、低圧側スイッチング部11および高圧側スイッチング部12の少なくとも一方が駆動されたときに流れる電流を正弦波状にし、スイッチング損失を低減し、また、大電流によるFET破壊を招かないように機能する。正弦波状の電流の零クロス点付近でFETをオン、オフさせることができるからである。なお、LC共振回路13は、二次側ではなく一次側に設けてもよい。
【0034】
低圧側スイッチング部11のFETQ9〜Q12ならびに高圧側スイッチング部12のFETQ13〜Q16は、制御部8によってスイッチング制御される。一次側および二次側に接続されているコンデンサ14、15は、出力平滑用コンデンサである。
【0035】
動作時、絶縁型DC−DCコンバータ9が自動的に双方向で電力変換を行うように、その低圧側スイッチング部11と高圧側スイッチング部12とを同一の信号で駆動して完全同期させる。この駆動は、周知のように、低圧側スイッチング部11においてはFETQ9とQ12のペア、FETQ10とQ11のペアを交互にオン、オフし、高圧側スイッチング部12においてはFETQ13とQ16のペア、FETQ14とQ15のペアを交互にオン、オフすることで行われる。
【0036】
エンジン2が始動すると、交流機3はエンジンにより駆動されて出力を発生する。交流機3の出力は、整流回路51のダイオードD1〜D3で整流される。整流回路51の出力電圧は、DC−DCコンバータ52で低電圧に調整され、さらにインバータ回路53で交流電力に変換される。
【0037】
絶縁型DC−DCコンバータ9は双方向DC−DCコンバータであるので、バッテリ4の残容量が所定値より少なく、かつ交流機3の出力が十分ならば、整流回路51の出力電圧が絶縁型DC−DCコンバータ9で降圧されてバッテリ4に入力されることにより、バッテリ4が充電される。また、バッテリ4の残容量が多い場合は、交流機3の出力電力を補う(アシストする)ため、絶縁型DC−DCコンバータ9を通してバッテリ4からも負荷に電力が供給される。
【0038】
図3は負荷検知回路22の具体例を示す回路図である。負荷検知回路22は、抵抗R1、R2を有しており、この抵抗R1、R2を介して発動発電機1の出力ライン40に接続される。負荷検知回路22の抵抗R1、R2は、負荷検知回路22に電源27から与えられる電力が負荷7側に供給される発電機出力に影響を与えない程度にするため、高抵抗値(例えば100kΩ)のものを選択しておく。負荷検知回路22は、発光ダイオード24とフォトトランジスタ25とで絶縁された互いに絶縁された一次側回路および二次側回路を備える。
【0039】
一次側回路には、比較器26が含まれ、抵抗R1、R2を介して入力される発電機出力電圧が抵抗R3、R4で分圧されて比較器26のプラス入力端子に接続される。比較器26のマイナス入力端子には、抵抗R1、R2を介して入力される発電機出力電圧が抵抗R5、R6で調整されて接続される。抵抗R5には、逆流防止用のダイオードD9、D10が接続される。比較器26の出力側は発光ダイオード24のカソードに接続される。
【0040】
負荷検知回路22には、バッテリ4によって形成される電源27(回路図は後述)が接続される。ダイオードD11は電源27への逆流防止用である。発光ダイオード24のアノードと抵抗R1との間には抵抗R7が接続される。
【0041】
負荷検知回路22の二次側回路を構成するフォトトランジスタ25のコレクタには、入力抵抗R8が接続される。抵抗R8とフォトトランジスタ25との接続部は、発動発電機駆動停止装置の制御部(以下、「駆動停止CPU」という)の入力端子に接続され、負荷検知信号が入力される。
【0042】
図4は、電源回路の具体例を示す回路図である。電源回路30は、バッテリ4とモードスイッチ31とチョークコイル32とFETQ17とを直列に接続してなる一次側を有する。二次側は、チョークコイル32と対向配置されるコイル35、36、および37を有する。コイル35はダイオードD17と平滑コンデンサC4からなる半波整流平滑回路38に接続され、コイル36はダイオードD18と平滑コンデンサC5からなる半波整流平滑回路39に接続され、コイル37はダイオードD19と平滑コンデンサC6からなる半波整流平滑回路40に接続される。半波整流平滑回路38の出力は電源27として負荷検知回路22の一次側回路に接続される。半波整流平滑回路39の出力は電源23として出力制御回路5に接続される。また、半波整流平滑回路40の出力は負荷検知回路22の二次側に+5ボルト電源41として接続される。
【0043】
モードスイッチ31がオンになると、チョークコイル32に電流が流れ、電圧が発生する。この電圧はFETQ17に印加される駆動パルス(PWM信号)のデューティによって制御できる。
【0044】
コイル35、36および36には、チョークコイル32との巻線比に応じた電流が流れ、電圧が発生する。各コイル35〜36に生じた電圧は、それぞれダイオードD17〜D19で整流され、コンデンサC4〜C6で平滑されて出力される。
【0045】
負荷検知回路22は、次のように動作する。負荷が操作されていないときは抵抗R1、R2を含む回路が開回路となっているので、負荷検知回路22の一次側には電流が流れない。一方、負荷が接続されると、抵抗R1、R2は負荷を介して接続され、負荷検知回路22は閉回路を形成する。そうすると、電源27から印加された電圧によって、抵抗値が大きい抵抗R1、R2を通じて微小な電流が流れ、比較器26がオンになる。これによってフォトトランジスタ25がオンになる。フォトトランジスタ25がオンになると電源(+5ボルト電源)41の電圧によってフォトトランジスタ25に電流が流れる。この電流によって、駆動停止CPUの入力端子に接続される電圧が低下するので、CPUはこの電圧の変化を検知して負荷が駆動されたことを感知する。
【0046】
なお、インバータ回路53のFETQ5〜Q8はダイオードを内蔵しているので電源6の電圧がFETQ5〜Q8の内蔵ダイオードより高いと、電源6による電圧でDC−DCコンバータ52のコンデンサC1、C2が充電される。そこで、電源6でコンデンサC1、C2が充電されることがないように、コンデンサC1、C2の充電電位は電源6から印加される電圧より高くなるように設定しておく。
【0047】
エンジンの起動停止制御について図5のフローチャートを参照して説明する。図5のフローチャートは、モードスイッチ31がオンになったとき、すなわち制御電源23、27および41のオンに応答して開始する。モードスイッチ31は、負荷接続時に手動でエンジン1を始動する(または停止する)ローカルモード、および負荷の操作を検知して自動的にエンジンを始動する(また停止する)リモートモードの選択スイッチである。
【0048】
モードスイッチ31をオンにしてリモートモードにすれば、ステップS1で、電源27の電圧によって負荷検知回路22が立ち上がり、負荷検知回路22が負荷の操作を感知したかどうかを判断する。負荷検知回路22によって負荷の操作が検知されると、ステップS2でエンジン2を始動する。つまり、絶縁型DC−DCコンバータ9を動作させてバッテリ4の電圧を整流器51に印加し、かつ、整流器51のFETQ1〜Q3を駆動して交流機3のコイル3U、3Vおよび3Wに電流を供給する。これによって、交流機3はエンジン2のスタータモータとして駆動し、エンジン2を始動させる。
【0049】
エンジン2の回転数が完爆回転数に到達すると、ステップS3に進んで発電を開始する。つまりFETQ5〜Q8を駆動して発電電力の出力を開始する。ステップS4では、負荷検知回路22によって負荷が検知されないか、電流測定用抵抗55によって負荷電流がゼロであることが検知されたかのいずれかが判断される。ステップS4が肯定の場合は、負荷の操作がされていない(つまり負荷無し)とされた場合、ステップS5に進む。ステップS5ではその負荷無し状態が所定時間(例えば3秒間)持続しているか否かを判断する。ステップS5が肯定ならば、ステップS6に進んでエンジン2を停止する。
【0050】
エンジン2の停止後も、モードスイッチ31をオフにしないかぎり、バッテリ4によって電源27、23、41から電圧が印加されている状態は維持されるので、負荷検知回路22は継続して負荷の有無を監視する。
【0051】
図6は、エンジン起動制御のタイミングチャートである。タイミングt1でモードスイッチ31がオンになり、タイミングt2で電源27、23、41が立ち上がると、タイミングt3で整流回路51の出力電圧DCV1が上昇する。タイミングt4で負荷が操作される。つまり、負荷7がコンセント6に接続され、負荷駆動のための操作(スイッチオン等)が行われる。タイミングt5では、負荷検知回路22が起動される。タイミングt6では、負荷検知回路22が負荷の操作を感知して負荷検知信号がオンになる。負荷検知信号は駆動停止CPUに入力される。タイミングt7では、エンジン2が始動される。タイミングt7でエンジン2が始動されると、タイミングt8で出力電圧DCV1がさらに上昇する。
【0052】
タイミングt9で、負荷電流がゼロになるかコンセント6から負荷7のプラグが外されるかすると、タイミングt10で負荷検知回路22が作動してタイミングt11で負荷検知信号がオフになる。負荷検知信号がオフになり、このオフ状態が、タイミングt11から予め設定される時間(例えば、3秒)継続していると、タイミングt12でエンジン2を停止させる。
【0053】
図7は、負荷検知回路22の要部を示すブロック図である。負荷検知回路22はインバータ回路53の出力ライン45に並列に接続される。負荷検知ライン42が、インバータ回路の出力ライン45に抵抗器R1、R2を介して並列に接続される。電源27は負荷検知ライン42に接続されて負荷検知回路22に電圧を印加する。判別回路43(前記比較器26を含む)は負荷検知ライン42に流れる電流を監視し、予定の基準値以上の電流が流れていたときに負荷検知信号を出力する。負荷検知ライン42に流れる電流は高抵抗R1、R2によって低下するので、電流の基準値はこの負荷検知ライン42に流れる微小電流に対応した微小値に設定される。駆動停止CPU44は、判別回路43から出力される負荷検知信号に応答してエンジン2を始動し、負荷検知信号の消滅に応答してエンジン2を停止する。負荷検知回路22および駆動停止CPU44には、バッテリ4で形成された電源による電圧が常時印加されているので、エンジン2が停止しているときでも、負荷の監視は継続される。
【0054】
本発明を、実施例に従って説明したが、本発明はこの実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載した事項と周知技術に基づいて変形が可能である。例えば、本実施形態の昇降圧コンバータ52は、電力供給源としてエンジン駆動される交流機3を備えるだけでなく、バッテリを第2の電力供給源として備えるハイブリッド式発動発電機にも適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1…インバータ式発動発電機、 2…エンジン、 3…交流機、 4…バッテリ、 5…出力制御装置、 7…負荷、 8…制御部、 9…絶縁型DC−DCコンバータ、 22…負荷検知回路、 26…比較器、 27…電源、 31…モードスイッチ、 43…判別回路、 44…駆動停止CPU、 45…出力ライン、 51…整流回路、 53…インバータ回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンで駆動される交流機と、該交流機の出力を整流する整流器と、該整流器から出力された直流電圧を電圧変換するDC−DCコンバータと、該DC−DCコンバータの出力を交流に変換して発電機出力とするインバータとを有する発動発電機の自動起動停止装置において、
前記インバータの出力ラインに並列に接続された負荷検知回路を備え、
前記負荷検知回路が、前記インバータの出力ラインに抵抗器を介して並列に接続された負荷検知ラインと、該負荷検知ラインに電圧を印加する電源回路と、前記負荷検知ラインに予定値以上の電流が流れていたときに負荷検知信号を出力する判別回路とを含んでおり、
前記抵抗器は、発電機出力が供給される負荷に影響しない抵抗値に設定されていることを特徴とする発動発電機の自動起動停止装置。
【請求項2】
前記負荷検知回路から出力される負荷検知信号に応答して前記エンジンを自動始動することを特徴とする請求項1記載の発動発電機の自動起動停止装置。
【請求項3】
前記エンジンの駆動中に、前記負荷検知回路から出力される負荷検知信号の出力停止に応答して前記エンジンを自動停止し、かつ前記インバータの動作を停止させることを特徴とする請求項1記載の発動発電機の自動起動停止装置。
【請求項4】
前記電源回路が、エンジン運転中か停止中かに関わらず負荷状態を常時監視できるように、前記交流機による発電系統とは別系統のバッテリから電源を形成していることを特徴とする請求項1記載の発動発電機の自動起動停止装置。
【請求項5】
前記負荷検知回路を付勢または非付勢とするモードスイッチを有していることを特徴とする請求項1記載の発動発電機の自動起動停止装置。
【請求項6】
前記バッテリの出力電圧を昇圧するコンバータを備え、
前記コンバータの出力側を前記インバータの入力側に接続してなるハイブリッド式である請求項4記載の発動発電機の自動起動停止装置。
【請求項7】
前記交流機が、前記バッテリから供給される電力で始動されるスタータモータを兼用していることを特徴とする請求項4記載の発動発電機の自動起動停止装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−239523(P2011−239523A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−107248(P2010−107248)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】