説明

発振器

【課題】 周囲の温度が変化しても共振周波数が変化しない発振器を提供する。
【解決手段】 発振器1000が、第一の振動子201を有する第一の振動子デバイス901と、第二の振動子202を有する第二の振動子デバイス902と、第一の振動子デバイス901の出力信号と第二の振動子デバイス902の出力信号とを演算する演算処理回路104と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発振器の構造に係り、特に、MEMS(Micro Electro Mechanical System)と呼ばれる半導体製造技術を用いて作製された微小な素子を構成する場合に好適な振動子を用いた発振器の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
振動子デバイスは、振動子の振動特性によって基準信号を生成する発振器や所望帯域の電気信号を排除するためのフィルタ(例えば、バンドパスフィルタやローパスフィルタなど)等に、一般的に利用されている。
【0003】
近年、これまで主に使用されてきた水晶振動子や圧電セラミックス等の誘電体を使用した振動子・共振子とは異なる新たな種類の振動子が種々提案されるようになってきた。そのうちの一つに、半導体製造技術を応用したMEMS(Micro Electro Mechanical System)技術を利用して形成した小型のMEMS振動子があげられる。
【0004】
MEMS振動子は、半導体製造技術を応用して微細加工したシリコンにより構成される。その製造方法としては、三層から構成されるSOI(Silicon On Insulator)基板の表層である活性層をエッチング等で加工することによって形成する方法、シリコン基板上に酸化膜や多結晶シリコンなどの薄膜を形成し、この薄膜をエッチング加工することによって形成する方法等が一般的である。このようにして形成されたMEMS振動子は、MEMSアクチュエータと同様の電気機械的な原理、例えば、静電駆動、電磁駆動、熱駆動などによって駆動される。
【0005】
従来のMEMS振動子の代表例としては、基板面方向に振動する櫛歯型(Comb型)振動子と、基板厚さ方向もしくは基板面方向に振動するビーム型(梁型)振動子とがある。ビーム型振動子としては、基板上に下部電極を形成し、この下部電極の上方に間隔を有して配置され、下部電極を跨ぐように両端が固定された帯状の上部電極を有するものが以下の特許文献1などに開示されている。また、基板上に設けられた固定電極に対向する可動電極を設け、可動電極のうち固定電極と対向する被動部の左右を支持梁部で支持した構成が非特許文献1等に開示されている。
【0006】
上記のビーム型振動子の駆動方法は、可動状態で支持された可動電極と、この可動電極に対向配置された固定電極との間に電位差を与えることにより電界を形成し、これによって発生する静電吸引力によって駆動する静電駆動方式が多い。すなわち、可動電極と固定電極の間に駆動信号(交流電圧)を与えることによって生ずる静電吸引力の変化によって可動電極を振動させるようにしている。この場合、可動電極の材質、形状・寸法、支持構造などによって所定の固有振動数(共振周波数)を決定できる。
【特許文献1】特開平7−333077号公報
【非特許文献1】K.Wang, A.C.Wong, and Clark T.C.Nguyen "VHF Free-Free Beam High-Q Micromechanical Resonators" Journal of Microelectromechanical Systems, Vol.9, No.3, September 2000
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、MEMS振動子の周辺温度が変化すると、熱膨張により振動子の寸法が変化し、また振動子の密度、ヤング率も変動する。これらの変化は振動子の共振周波数に変化を生じる。MEMS振動子は発振器等への応用を目的としており、数十ppm/°Cの温度特性では実用上不都合が生じることになる。
【0008】
本発明では、上記事情を考慮してなされたもので、その目的は、振動子周辺の温度変化があっても、振動子の共振周波数が変動せず、出力信号の周波数が一定となる発振器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る発振器は、機械的に振動するように設けられた振動子と、前記振動子の近傍に配置され、前記振動子との間で電界を介して相互に作用する励振用電極と、前記振動子を挟んで前記励振用電極と反対側に設置され、前記振動子との電界の変化を出力する検出用電極と、前記振動子に直流電圧を印加する直流電圧印加部と、前記励振用電極に電気的に接続され、前記振動子の共振周波数で発振して発振信号を出力する発振回路とを備えた振動子デバイスを含む発振器であって、前記振動子デバイスは、第一の振動子を有する第一の振動子デバイスと、第二の振動子を有する第二の振動子デバイスとからなり、該発振器が、前記第一の振動子デバイスの出力信号と前記第二の振動子デバイスの出力信号とを演算する演算処理回路を有することを特徴とする。
【0010】
上記の構成によれば、周囲の温度で変動すると、第一の振動子デバイスからの出力信号の周波数が変動し、第二の振動子デバイスからの出力信号の周波数も変動する。二つの出力信号を演算処理することにより、一定の周波数を得ることができる。
【0011】
また、本発明に係る発振器は、前記演算処理回路が、ミキサーとローパスフィルタとからなることを特徴とする。
【0012】
上記の構成によれば、プログラム回路等の複雑な演算処理が不要なため、発振器を簡易に構成することができる。
【0013】
また、本発明に係る発振器は、前記第一の振動子及び前記第二の振動子がともに、該振動子の中心軸が第一の材質で構成され、第一の材質の周囲を第二の材質で覆う構成にしたことを特徴とする。
【0014】
上記の構成によれば、振動子は二種類の材質によって構成されるため、各々の材質の熱膨張が異なり、周囲の温度によって振動子内部に応力が発生する。この応力は振動子の共振周波数を変化させるため、周囲の温度によって変化するはずの振動子の共振周波数を一定にすることができる。
【0015】
また、本発明に係る発振器は、前記振動子の第一の材質がシリコンであり、第二の材質がポリシリコンもしくはケイ素化合物であることを特徴とする。
【0016】
上記の構成によれば、MEMS技術を用いて、シリコンの表面にポリシリコンやケイ素化合物を生成できる。特別に接合・接着する工程が不要であるため、容易に振動子を構成できる。
【0017】
また、本発明に係る発振器は、前記第一の振動子及び前記第二の振動子が両端支持梁構造であることを特徴とする。
【0018】
上記の構成によれば、第一及び第二の振動子は両端支持梁構造であるため、振動子内部に発生する残留応力が大きく得られ、温度による振動子の共振周波数を制御しやすくなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、二つの振動子の出力信号を演算処理することで、振動子周囲の温度によりそれぞれの振動子の共振周波数が変化しても、出力信号の周波数が一定となる発振器を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る発振器1000の構成を説明するブロック図である。発振器1000は、振動子ブロック100、直流バイアス電圧印加回路101、出力用発振回路102、103、および演算処理回路104から構成される。
【0022】
振動子ブロック100には、振動子201、202が設けられており、それぞれ直流バイアス電圧印加回路101に接続される。さらに、振動子201、202はそれぞれ、出力用発振回路102、103に接続される。さらに、出力用発振回路102、103は演算処理回路104に接続される。なお、振動子201と出力用発振回路102とで振動子デバイス901を、振動子202と出力用発振回路103とで振動子デバイス902を構成する。
【0023】
次に、発振器1000の動作を説明する。
【0024】
まず、直流バイアス電圧印加回路101は、振動子201、202に直流バイアス電圧を印加して静電力により駆動できる状態にする。次に、出力用発振回路102、103は、振動子201、202の共振周波数でそれぞれ発振して発振信号を出力する。それぞれの発振信号は演算処理回路104に入力され、演算処理回路104から一定の周波数の出力信号を出力する。
【0025】
上記の様に本発振器1000は、一定の周波数の出力信号を出力するものである。
【0026】
次に、振動子ブロック100の構成を説明する。図2(a)は、振動子ブロック100の構成図、図2(b)は図2(a)中の切断線A−A’での断面図である。
【0027】
図2(a)に示すように、振動子ブロック100は、振動子201、202、直流バイアス用振動子電極パッド203〜206、励振用電極パッド207、208、励振用電極209、210、検出用電極パッド211、212、検出用電極213、214、支持層215、絶縁層216〜221、固定部222〜225から構成される。
【0028】
振動子201、202は、支持層215の上面に絶縁層216〜221を介して固定された固定部222〜225に固定されている。
【0029】
振動子201、202は固定部222〜225と同じ高さに設けられており、振動子201、202と支持層215の間には絶縁層が存在せず空隙となっている。これにより、振動子201、202は、機械的に振動し得る。さらに、振動子201は、図2(b)に示すように、絶縁層216、217に支持された梁中心軸230と、この梁中心軸230を覆う被覆材231から形成されている。なお、図示しないが、振動子202も同様の構成となっている。
【0030】
また、直流バイアス用振動子電極パッド203〜206は、それぞれ固定部222〜225の上に設けられており、梁中心軸230とそれぞれ電気的に接続されている。
【0031】
また、励振用電極209、210は、支持層215の上面に絶縁層220、221を介して固定されている。励振用電極パッド207、208は、励振用電極209、210の上に設けられており、励振用電極209、210に電気的に接続されている。
【0032】
また、検出用電極213、214は、支持層215の上面に絶縁層を介して固定されている。検出用電極パッド211、212は、検出用電極213、214の上に設けられており、検出用電極213、214に電気的に接続されている。
【0033】
次に、図4を用いて、振動子ブロック100の製造方法について説明する。図4は、この実施の形態の振動子デバイスの各製造工程を、図2(a)における切断線A−A’での断面図に基づいて示している。
【0034】
まず、図4(a)に示すように、所定の外形をなすSOI基板を準備する。ここで、使用されるSOI基板は、支持層215、BOX層402、活性層401から構成される。ここで、各層の厚さは、例えば、支持層210が500μm、BOX層402が10μm、活性層が10μm程度である。
【0035】
次に、図4(b)に示すように、振動子の原型を形成する。すなわち、エッチングによって、SOI基板の上面から振動子の中央部分を除く振動子となる領域(図中、振動子原型230’)を残して、活性層401を取り除く。なお、エッチング方法としては、精度良く所定の深さに形成可能なドライエッチングが好ましい。
【0036】
次に、図4(c)に示すように、振動子原型230’下部のギャップを形成する。すなわち、エッチングによって、振動子原型230’下部のうち、絶縁層216、217を残してBOX層402を取り除く。これにより、振動子原型230’は両端支持梁構造となる。
【0037】
次に図4(d)に示すように、振動子201を形成する。すなわち、振動子原型230’の表面に被覆材231を形成する。ここでは、熱酸化工程によって被覆材231として酸化ケイ素膜を形成する。例えば、酸化ケイ素の厚さは0.4〜1μm、振動子201の幅と厚さは4〜10μm、振動子の長さは80〜200μm程度である。なお、ここで熱酸化工程を説明したが、窒化工程やCVD工程により、振動子原型220、221表面に窒化ケイ素膜もしくはポリシリコン膜を形成することも可能である。
【0038】
次に、図4(e)に示すように、電極を形成するために、被覆材231にスルーホールを形成する。すなわち、エッチングによって、絶縁層216、217上部の固定部222、223上面に形成された被覆材231を除去する。
【0039】
次に、図4(f)に示すように、電極203、204を形成する。すなわち、図4(e)で形成したスルーホール内に金属膜を成膜する。具体的には、スパッタリングや蒸着などが選択され、パターニングを行うことで形成される。
【0040】
そして、図示しないワイヤボンディングなどを用いてそれぞれのパッドが外部回路に電気的に接続される。
【0041】
なお、絶縁層216、217が、支持層215と梁中心軸230とをそれぞれ電気的に絶縁すると共に振動子201を構造的に固定している。このような構成により、振動子201は固定部222、223を支点として振動する事が可能となる。
【0042】
また、支持層215は半導体(シリコン)基板であり、振動子201を機械的に固定すると共に接地電極としても機能する。
【0043】
なお、図示しないが、振動子202も同様の工程で同時に作製することができる。
【0044】
以上のような製造工程を経ることで、振動子ブロック100を製造することができる。
【0045】
次に、図3を用いて振動子デバイス901の動作原理を説明する。
【0046】
図3に示すように、振動子201は空隙を有する電極間の静電容量素子を含んでいる。同図において、301はバネ、302は錘、209は励振用電極、213は検出用電極、305はインバータ、306は直流電源である。振動子201は振動に応じて、励振用電極209と振動子201、検出用電極213と振動子201の間に交流の静電気が発生する。その際、励振用電極209と検出用電極213にかかる電位は逆位相であるので、この各々の電極から出力される信号をインバータに接続し反転増幅すると、発信し、出力信号を取り出すことができる。また、振動子201の振動による交流信号に加えて、振動子201に直流バイアス電圧を印加することで水晶振動子と同じ電気的特性をとるので、水晶発振器と同様の構成で発振器の振動子として用いる事が可能である。
【0047】
なお、このときの出力信号の周波数は、振動子の振動周波数と同一であり、取り出せる出力信号の周波数は、振動子201の振動振幅が最も大きく得られる一次共振周波数となる。振動子の一次共振周波数は、振動子の形状、ヤング率及び密度から決定される。また、図示しないが、振動子202も同様の構成で、同様に機能する。
【0048】
次に、振動子ブロック100全体の温度が変化した場合について説明する。振動子の温度が変化すると、振動子が熱膨張し、振動子の形状、密度、ヤング率が変化し、共振周波数も変化する。例えば振動子がシリコン単体で構成されている場合、温度に対する共振周波数の変化は、−30ppm/°C程度である。つまり、振動子の温度が上がると、共振周波数は下がることになる。
【0049】
本実施の形態の振動子の場合、振動子201、202の中心部である梁中心軸230はシリコン、梁中心軸230の表面には被覆材231を形成した構造となっている。被覆材231は酸化ケイ素、窒化ケイ素等のケイ素化合物もしくはポリシリコンを用い、被覆材231を形成する際には、数百度〜千°C近くまで加熱して形成する。実際に振動子として用いる室温近傍まで冷却した際に、振動子201、202は収縮するが、材質によって収縮する長さは変化する。ここでは梁中心軸230であるシリコンの収縮率は、被覆材231の収縮率より大きいため、梁中心軸230および被覆材231に残留応力が発生する。各々の材質での残留応力を図5に示す。+が引っ張り方向、−が圧縮方向の応力を示している。つまり、梁中心軸230には引っ張り方向の応力が、被覆材231には圧縮方向の応力が発生する。
【0050】
ここで、両端固定の振動子に張力を加えた場合、振動子の共振周波数が変化する。その変化は、次式で示される。
【0051】
【数1】

なお、fnは張力がかからない場合の共振周波数、fは張力がかかって変化した後の共振周波数、Sは振動にかかる張力、Eは振動子のヤング率、Iは振動子の断面二次モーメント、Lは振動子の長さを示す。(機械工学便覧 基礎編A3力学・機械力学 第7章線形系の振動 表20、日本機械学会編、参照)
つまり、振動子にかかる張力が大きいほど、共振周波数が大きくなる。
【0052】
これを利用すると、本実施の形態の振動子の梁中心軸230には引っ張る方向での応力(張力)が働くため、共振周波数を大きくする方向に働く。発生する張力は、被覆材231形成時の温度と共振周波数測定時の温度との差に比例するため、共振周波数測定時の温度が高くなるほど、共振周波数の上昇は小さくなる。しかし、温度が高くなるほど、梁中心軸230のシリコンは、被覆材231の影響で密度がほとんど変化しないまま、ヤング率が大きくなる。そのため、温度が高くなるほど、共振周波数は大きくなる。この2つの現象をあわせると、もともとシリコン単体で振動子を構成した場合の共振周波数の温度変化を制御することができる。
【0053】
なお、このときの被覆材231と梁中心軸230のシリコンとの寸法によって、発生する張力を制御することが可能であり、設計自由度を高くすることができる。
【0054】
次に、2つの振動子デバイスの出力から、発振器の出力信号を得る構成について図6に示す。
【0055】
図6に示すように、振動子デバイス901、902は、それぞれミキサー601に接続され、さらにミキサー601はローパスフィルタ602接続されている。ミキサー601とローパスフィルタ602とで演算処理回路104を構成している。
【0056】
振動子デバイス901の出力信号と振動子デバイス902の出力信号は、ミキサー601に入力され、一つの信号に混合される。この混合された信号は、ローパスフィルタ602に入力される。ローパスフィルタ602からの出力信号の周波数は、振動子デバイス901の出力信号の周波数と振動子デバイス902の出力信号の周波数との差として出力される。
【0057】
このとき、周囲の温度変化によって、振動子デバイス901、902の出力信号の周波数f901、f902は変化するため、次式で表される。
【0058】
f901(T)=f901(T0)+α901(T−T0)
f902(T)=f902(T0)+α902(T−T0)
なお、Tは振動子デバイス周囲の温度、T0は初期温度、α901、α902はそれぞれ振動子デバイス901、902の温度に対する共振周波数の変化率(温度係数)を示している。
【0059】
そして、ミキサー601とローパスフィルタ602を経て出力された信号の周波数foutは次式で表される。
【0060】
fout(T)={f901(T0)−f902(T0)}+(α901−α902)×(T−T0)
この式によると、振動子デバイス901、902の周囲の温度がTからT0に変化したとき、ローパスフィルタ602の出力信号の周波数の変化は、振動子デバイス901、902それぞれの温度係数で決定されることになる。つまり、温度係数α901と温度係数α902が等しければ、ローパスフィルタ602の出力信号の周波数は温度によらず一定にすることができる。この温度係数α901、α902は、前述の振動子の残留応力によって制御することができる。
【0061】
以上により、二つの振動子の出力信号を演算処理することで、振動子周囲の温度によりそれぞれの振動子の共振周波数が変化しても、出力信号の周波数が一定となる小型のMEMS振動子を利用した発振器を提供できる。
【0062】
以上、本発明の実施形態を詳述してきたが、具体的な構成は本実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施形態に係る発振器のブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る振動子ブロックの構成例を示す説明図である。
【図3】本発明の実施形態に係る振動子デバイスを表す原理図である。
【図4】本発明の実施形態に係る振動子ブロックの製造方法を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態に係る振動子に発生する残留応力の分布を示す説明図である。
【図6】本発明の実施形態に係る発振器の出力信号を生成する構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0064】
1000 発振器
100 振動子ブロック
101 直流バイアス電圧印加回路
102、103 出力用発振回路
104 演算処理回路
201、202 振動子
203〜206 直流バイアス用振動子電極パッド
207、208 励振用電極パッド
209、210 励振用電極
211、212 検出用電極パッド
213、214 検出用電極
215 支持層
216〜221 絶縁層
222〜225 固定部
230 梁中心軸
230’ 振動子原型
231 被覆材
301 バネ
302 錘
305 インバータ
306 直流電源
401 活性層
402 BOX層
601 ミキサー
602 ローパスフィルタ
901、902 振動子デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械的に振動するように設けられた振動子と、
前記振動子の近傍に配置され、前記振動子との間で電界を介して相互に作用する励振用電極と、
前記振動子を挟んで前記励振用電極と反対側に設置され、前記振動子との電界の変化を出力する検出用電極と、
前記振動子に直流電圧を印加する直流電圧印加部と、
前記励振用電極に電気的に接続され、前記振動子の共振周波数で発振して発振信号を出力する発振回路とを備えた振動子デバイスを含む発振器であって、
前記振動子デバイスは、第一の振動子を有する第一の振動子デバイスと、第二の振動子を有する第二の振動子デバイスとからなり、
該発振器が、前記第一の振動子デバイスの出力信号と前記第二の振動子デバイスの出力信号とを演算する演算処理回路を有することを特徴とした発振器。
【請求項2】
前記演算処理回路が、ミキサーとローパスフィルタとからなることを特徴とする請求項1に記載の発振器。
【請求項3】
前記第一の振動子及び前記第二の振動子がともに、該振動子の中心軸が第一の材質で構成され、第一の材質の周囲を第二の材質で覆う構成にしたことを特徴とする請求項1もしくは2に記載の発振器。
【請求項4】
前記振動子の第一の材質がシリコンであり、第二の材質がポリシリコンもしくはケイ素化合物であることを特徴とする請求項3に記載の発振器。
【請求項5】
前記第一の振動子及び前記第二の振動子が両端支持の梁構造であることを特徴とした請求項3もしくは4に記載の発振器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−65601(P2009−65601A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−233867(P2007−233867)
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】