発電制御装置及び車両搭載用制御装置
【課題】本発明は、燃費を向上させる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、内燃機関20によって駆動される発電機を制御する発電制御装置を提供する。本発電制御装置は、内燃機関20が所定の回転速度で作動しているときの各サイクルにおけるクランク角毎の回転速度を表す波形である第1回転速度波形と、所定の回転速度よりも低い回転速度で内燃機関20が作動しているときの各サイクルにおけるクランク角毎の回転速度を表す波形である第2回転速度波形と、を検出する波形検出部と、第2回転速度波形が第1回転速度波形の波形に近づくように発電機に接続されている電気的負荷を操作する負荷操作部と、を備える。
【解決手段】本発明は、内燃機関20によって駆動される発電機を制御する発電制御装置を提供する。本発電制御装置は、内燃機関20が所定の回転速度で作動しているときの各サイクルにおけるクランク角毎の回転速度を表す波形である第1回転速度波形と、所定の回転速度よりも低い回転速度で内燃機関20が作動しているときの各サイクルにおけるクランク角毎の回転速度を表す波形である第2回転速度波形と、を検出する波形検出部と、第2回転速度波形が第1回転速度波形の波形に近づくように発電機に接続されている電気的負荷を操作する負荷操作部と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関を走行駆動源とする車両の制御装置に関し、特に車両用発電制御装置及びアイドリング制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の発電機の発電制御装置に関する技術として、エンジンに与える発電負荷をエンジンサイクル中に予め設定されたタイミングに応じて増減し、エンジンサイクル中のエンジン回転速度の変動を抑制する技術が提案されている(特許文献1)。本技術は、エンジンサイクル中のエンジン回転速度の変動を抑制することを制御の目的としているが、エンジン回転速度の変動量をフィードバックするものではなくオープン制御であった。また、エンジンの瞬時回転速度から回転の変動トルクを算出し、発電負荷トルクにより相殺することで回転速度の変動を抑制する技術が提案されている(特許文献2)。一方、エンジンに与える発電負荷の操作に起因して発生するエンジンサイクル中の電圧変動によるヘッドライトやインパネのランプ類のちらつき、あるいは発生ノイズを界磁電流量の調整で低減させる技術も提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−129680号公報
【特許文献2】特開平5−302526号公報
【特許文献3】特開2008−255876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来は、エンジンに与える発電負荷の操作によってドライバビリティを維持しつつ燃費を改善させるといった観点からは十分な検討がなされていなかった。特に、エンジン状態や変化や環境変化、バッテリ残量の観点から発電負荷の制御が行えない場合などのドライバビリティが十分考慮されていない。本発明者は、ドライバビリティの観点からはエンジン回転速度の変動を抑制させることよりもエンジン回転速度の変動がいつも同じであることが好ましいことを見出した。ところが、特許文献1ではエンジン回転速度の変動量を計測することができないオープン制御なので、たとえばエンジン状態や環境変化、バッテリ状態などの変化に対して、ロバスト性を実現することができなかった。特許文献2では回転速度の変動を計測しているが、発電負荷制御が実施できない場合、回転速度の変動量が異なるためドライバビリティが悪化する。
【0005】
本発明は、上述の従来の課題を解決するために創作されたものであり、ドライバビリティを維持しつつ燃費を向上させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。
【0007】
請求項1の発明は、内燃機関によって駆動される発電機を制御する発電制御装置であって、前記内燃機関が所定の回転速度で作動しているときの各サイクルにおけるクランク角毎の回転速度を表す波形である第1回転速度波形と、前記所定の回転速度よりも低い回転速度で前記内燃機関が作動しているときの各サイクルにおけるクランク角毎の回転速度を表す波形である第2回転速度波形と、を検出する波形検出部と、前記第2回転速度波形が前記第1回転速度波形の波形に近づくように前記発電機に接続されている電気的負荷を操作する負荷操作部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
上記発明によれば、比較的に低い回転速度における各サイクルにおけるクランク角毎の回転速度を表す波形である第2回転速度波形が、比較的に高い回転速度における第1回転速度波形に近づくように発電機の負荷が制御されるので、回転速度の低下に起因する回転速度波形の変化を抑制することができる。これにより、回転速度の低下に対する人間の違和感を抑制することができる。人間の体感は特に変化に対して敏感だからである。
【0009】
さらに、比較的に高い回転速度における第1回転速度波形を目標値としているので、たとえば経年変化によって内燃機関の回転特性が変動しても、その変動した回転特性が目標値となる。これにより、経年変化等に起因する変化を除外して回転速度の低下に起因する人間の違和感を抑制することができる。この点において、単にサイクル内の回転速度の変動を抑制する技術とは一線を画している。加えて、第1回転速度波形を目標値としてフィードバック制御を行っているので、たとえばエンジン回転速度やエンジン温度に基づいて回転変動を推測して制御する方法と比較して簡易かつロバスト性が高いという特徴も有している。
【0010】
請求項2の発明は、前記波形検出部は、前記第1回転速度波形における回転速度と前記第2回転速度波形における回転速度の差をクランク角毎に算出し、前記算出された値を各サイクルで積算し、前記負荷操作部は、前記積算された値に応じて前記クランク角毎に前記電気的負荷を操作することを特徴とする。
【0011】
上記発明によれば、クランク角毎に算出された回転速度の差の積算値に応じて電気的負荷が操作されるので、第2回転速度波形をクランク角毎に調整して第1回転速度波形に近づけることができる。
【0012】
請求項3の発明は、前記波形検出部は、前記第1回転速度波形における回転速度の変動量の前記サイクル内の積算値である第1回転変動量と、前記第2回転速度波形における回転速度の変動量の前記サイクル内の積算値である第2回転変動量との対比に基づいて回転変動係数を算出し、前記負荷操作部は、前記回転変動係数が小さくなるように前記操作を行うことを特徴とする。
【0013】
上記発明によれば、各サイクルの積算値としての各サイクルの回転速度と、各サイクルの波形とに着目し、回転速度の低下に起因する各サイクルの回転速度と各サイクルの波形の変化を抑制することができる。
【0014】
請求項4の発明は、前記内燃機関のアイドリング回転速度を制御するアイドリング制御装置と、を備え、前記アイドリング制御装置は、前記回転変動係数に応じて前記アイドリング回転速度を調整することを特徴とする。
【0015】
上記発明によれば、これにより、回転変動係数Rに応じて適切に設定されたアイドリング回転速度で制御することができるので、ドライバビリティと燃費の向上を両立させることができる。具体的には、回転変動係数Rの上昇に応じてアイドリング回転速度を高くすることができるので、アイドリング回転速度の設計余裕を小さくしてアイドリング回転速度を低めに設定することもできる。これにより、燃費を改善させることができる。
【0016】
なお、本発明は、発電制御装置だけでなく、たとえば制御方法や制御機能を具現化するコンピュータプログラム、そのプログラムを格納するプログラム媒体あるいはプログラム製品といった形で具現化することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態における内燃機関20と交流発電機50と内燃機関制御装置10とを示す全体構成図。
【図2】第1実施形態における内燃機関制御装置10の作動状態を示すタイムチャート。
【図3】第1実施形態における内燃機関制御装置10の制御内容を示すフローチャート。
【図4】内燃機関20の1サイクルにおける目標Ne波形と低アイドル化時のNe波形を比較して表すグラフ。
【図5】Ne形状誤差算出部11による学習工程の処理内容を示すフローチャート。
【図6】発電制御実施判定部13による発電制御実施判定工程の処理内容を示すフローチャート。
【図7】走行状態判定部12によるアイドル判定工程の処理内容を示すフローチャート。
【図8】第1実施形態における内燃機関制御装置10の制御内容を示すタイムチャート。
【図9】発電ON/OFF閾値決定処理のルーチンを示すフローチャート。
【図10】回転変動係数Rを算出するための計算式を示す説明図。
【図11】回転変動係数を概念的に表すグラフ。
【図12】第1実施形態におけるアイドリング回転速度補正処理の制御内容を示すフローチャート。
【図13】第2実施形態における内燃機関20と交流発電機50と内燃機関制御装置10aとを示す全体構成図。
【図14】第2実施形態における内燃機関制御装置10aの制御内容を示すフローチャート。
【図15】発電クランク数決定処理(ステップS240)のルーチンを示すフローチャート。
【図16】回転変動係数Rと発電クランク数変動量との間の関係を表すマップMを示す説明図。
【図17】発電ON/OFF判定処理(ステップS250)のルーチンを示すフローチャート。
【図18】各サイクルにおける発電のオンオフの状態を示すタイムチャート。
【図19】発電優先順位データの内容を表す表。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の内燃機関制御装置を搭載した車両(二輪車)に適用した2つの実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態における内燃機関20と交流発電機50と内燃機関制御装置10とを示す全体構成図である。内燃機関20は、各ストローク(往復運動の片道)において、吸気行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程を行う4サイクルの単気筒エンジンである。内燃機関20は、燃焼ガスの圧力を往復荷重に変換するピストン21と、往復荷重を回転動力に変換するクランク軸23と、ピストン21からの往復荷重をクランク軸23に伝達するコンロッド19と、爆発行程において燃焼ガスに点火する点火プラグ22とを備えている。内燃機関制御装置10はECUとも呼ばれる。
【0020】
内燃機関20には、内燃機関20の温度を計測するエンジン機温センサ36と、吸気管内の圧力である吸気管圧力を計測する吸気管圧力センサ38と、スロットルの開度を表す信号であるスロットル開度を計測するスロットル開度センサ39と、が装備されている。さらに、内燃機関20のクランク軸23には、交流発電機50が機械的に接続されている。
【0021】
交流発電機50は、クランク軸23の回転に応じて交流電力を発生させる発電機である。交流電力は、負荷スイッチ61を介して図示しない整流器で整流されてバッテリ60に充電されるとともに、バッテリ60に並列に接続されている図示しない電源装置に供給される。バッテリ60は、電圧を計測して出力する機能を有している。
【0022】
交流発電機50は、クランク軸23に接続されて回転することによって交流電力を発生させる発電部59と、発電部59の外周面に装着されている磁性を有する部材である磁性凸部55と、磁性凸部55の近接状態を検出するクランク角センサ37と、を備えている。クランク角センサ37は、クランクパルス信号をNe形状誤差算出部11に送信する。
【0023】
一方、交流発電機50は、交流電力の電流値に応じてクランク軸23に対して負荷トルクTLを生じさせる。負荷トルクTLは、内燃機関20が発生させる回転動力を減殺させる方向のトルクである。負荷スイッチ61は、交流発電機50の電気的負荷(バッテリ60との電気的接続)を開閉することによって負荷トルクTLを操作することができる。
【0024】
内燃機関制御装置10は、Ne形状誤差算出部11と、走行状態判定部12と、発電制御実施判定部13と、Ne形状整形操作部14と、低アイドル化ISC補正制御部15と、ISC制御部16とを備えている。Ne形状誤差算出部11は、通常アイドル時の規範値としての目標Ne形状(すなわち各クランク角での目標回転速度)と、低アイドル時の計測Ne形状(すなわち各クランク角での計測回転速度)の回転速度の差をクランク角毎に積算する機能を有している。なお、Ne形状誤差算出部11は、波形検出部とも呼ばれ、低アイドル化ISC補正制御部15およびISC制御部16は、アイドリング制御装置とも呼ばれる。
【0025】
Ne形状誤差算出部11は、吸気管圧力センサ38とクランク角センサ37とからそれぞれ吸気管圧力とクランクパルス信号とを受信し、回転変動係数を算出する。回転変動係数は、Ne形状整形操作部14と低アイドル化ISC補正制御部15に送信される。走行状態判定部12は、スロットル開度センサ39からスロットル開度を受信し、発電制御の実施状態を表す発電制御実施判定をNe形状整形操作部14と低アイドル化ISC補正制御部15とに送信する。発電制御実施判定部13は、エンジン機温センサ36とバッテリ60とから、それぞれ内燃機関20の計測温度であるエンジン機温とバッテリ電圧とを受信し、アイドリング状態であるか否かの判定結果であるアイドル判定の信号をNe形状整形操作部14と低アイドル化ISC補正制御部15とに送信する。
【0026】
Ne形状整形操作部14は、負荷スイッチ61を操作して負荷トルクTLと発電状態とを操作することができる。低アイドル化ISC補正制御部15は、ISC目標回転補正値をISC制御部16に送信する。ISC制御部16は、ISC目標回転補正値によって補正された目標値としての回転速度となるようにアイドリング制御を実行する。本制御の詳細については後述する。
【0027】
図2は、第1実施形態における内燃機関制御装置10の作動状態を示すタイムチャートである。内燃機関制御装置10は、状態監視制御機能と、発電制御機能と、ISC制御機能とを有している。状態監視制御機は、Ne形状誤差算出部11と、走行状態判定部12と、発電制御実施判定部13とによって実現され、内燃機関制御装置10の作動中は常時作動している。矢印P1〜P8は、対応する各機能が作動中であることを示している。
【0028】
発電制御機能は、発電負荷制御機能と発電率可変制御機能とを含んでいる。発電率可変制御機能は、図2に示されるように、加速や定速運転、減速といった走行状態に応じて発電負荷(負荷トルクTL)を操作する機能である。加速、定速運転、および減速は、走行状態判定部12によって判定される。走行状態判定部12は、時刻t3で加速、時刻t4で定速運転、そして時刻t5で減速を検出し、発電率可変制御機能を作動させる。
【0029】
具体的には、加速時(矢印P6参照)には発電の抑制によって発電負荷を小さくすることによって加速性能を向上させ、減速時(矢印P8参照)には発電負荷を大きくして発電量を上昇させ、そして定速運転時(矢印P7参照)には発電量を中間的な位置とするといった制御機能を有している。これにより、加速性能を低下させることなく効率的な発電を実現させることができる。
【0030】
発電負荷制御機能は、燃費改善のために予め設定された低い回転速度でのアイドリングである低アイドル時の回転速度を負荷トルクTLの操作によって安定させる制御機能である。本制御機能は、負荷トルクTLの操作なしで安定したアイドリングを実現可能な比較的に高い回転速度でのアイドリングである通常アイドル時の状態に近づけることを目的としている。
【0031】
低アイドル状態は、走行状態判定部12によって判定される。走行状態判定部12は、時刻t1で低アイドル状態を検知し、低アイドル状態を表すアイドル判定を低アイドル化ISC補正制御部15に送信する。低アイドル化ISC補正制御部15は、低アイドル化ISC制御を起動させる(矢印P4参照)。一方、Ne形状誤差算出部11は、回転変動係数をNe形状整形操作部14に送信する。Ne形状整形操作部14は、発電負荷制御(負荷スイッチ61の操作)を開始する(矢印P5参照)。
【0032】
図3は、第1実施形態における内燃機関制御装置10の制御内容を示すフローチャートである。図4は、内燃機関20の1サイクルにおける目標Ne波形と低アイドル化時の計測波形である計測Ne波形を比較して表すグラフである。計測Ne波形は、各クランク角における回転速度によって表される1サイクル分の波形として定義される。目標Ne波形は、通常アイドル時の状態として学習した波形である。内燃機関制御装置10は、低アイドル化時の計測Ne波形を目標Ne波形に近づけることを制御の目的としている。なお、目標Ne波形と計測Ne波形は、それぞれ第1回転速度波形と第2回転速度波形とも呼ばれる。
【0033】
ステップS10では、Ne形状誤差算出部11は、学習行程を実行する。学習行程は、目標Ne波形が取得される行程である。目標Ne波形を取得するのは、通常アイドルから低アイドルへの回転速度の低下に伴うドライバビリティの変化を抑制するためである。
【0034】
目標Ne波形としては、低アイドル時の回転速度の低振動化や回転の安定化のみを考慮すれば、製造時のNe波形や理想値としてのNe波形を利用することも考えられる。しかし、本発明者は、人間の体感が変化に敏感であって絶対値に敏感でないことに着目し、学習によって取得された目標Ne波形を利用する構成とした。これにより、経年変化等によって内燃機関20の通常アイドル時のNe波形が変化しても、その変化後のNe波形に近づけるように制御されるので、人間の体感で検知される変化を抑制することができる。
【0035】
図5は、Ne形状誤差算出部11による学習工程の処理内容を示すフローチャートである。ステップS11では、Ne形状誤差算出部11は、行程判別を実行する。行程判別は、クランク角センサ37(図1参照)によって生成されるクランクパルス信号に応じて計測される各クランク角に対応する行程を判別する工程である。行程判別では、先ずクランクパルス信号に応じて計測される各クランク角を計測し、次に各クランク角の行程を判別する処理が行われる。
【0036】
クランク角の計測は、磁性凸部55がクランク角センサ37に近づく毎に発生するクランクパルス信号をカウントすることによって行われる。具体的には、図1に示される状態では、上死点の位置において0番(12番とも呼ばれる。)の磁性凸部55がクランク角センサ37に近接している。この状態では、クランク角は、クランク番号NNUMが12番であると定義される。クランク角は、発電部59の回転に応じて、1番の磁性凸部55がクランク角センサ37に近接してクランク番号NNUMが1番となる。
【0037】
一方、Ne形状誤差算出部11は、パルス間時間T30を計測して図示しないメモリに格納している。パルス間時間T30は、発電部59の回転に応じて生成されたクランクパルス信号毎の時間間隔である。クランクパルス信号は、発電部59の30度の回転角度毎に生成される。Ne形状誤差算出部11は、4番の磁性凸部55と6番の磁性凸部55の近接の間にパルス間時間T30のほぼ2倍の時間が経過していることを検出し、6番の磁性凸部55であることを確認することができる。5番の磁性凸部55は、意図的に欠落させられているからである。
【0038】
Ne形状誤差算出部11は、吸気管圧力センサ38の計測圧力である吸気管圧力を利用してクランク角の行程を判別することができる。Ne形状誤差算出部11は、爆発行程と吸気行程とにおける吸気管圧力の相違を利用して行程を判別する。具体的には、図4において、クランク番号NNUMが10番の時の計測圧力が予め設定された圧力より高く爆発行程であると仮判別した後に、次のクランク番号NNUMが10番の時の計測圧力が予め設定された圧力より低く吸気行程(吸気状態)であると判別することによって判定可能である。これにより、1サイクルで2回回転する発電部59のクランク角と各行程とを対応付けることができる。
【0039】
ステップS12では、Ne形状誤差算出部11は、行程判別後に1サイクル経過したことを確認する。Ne形状誤差算出部11は、発電制御(後述)が実施されておらず(ステップS14)かつアイドリング中であること(ステップS15)を確認して目標Ne波形を取得する(ステップS16)。これにより、目標Ne波形は、通常アイドルのNe波形とすることができる。
【0040】
ステップS20(図3参照)では、内燃機関制御装置10の発電制御実施判定部13は、発電制御の実行可否を判定する。発電制御の実行可否は、発電制御を実施することが二輪車(図示省略)のシステム全体として適切か否かを判定する処理である。
【0041】
図6は、発電制御実施判定部13による発電制御実施判定工程の処理内容を示すフローチャートである。ステップS21では、発電制御実施判定部13は、エンジン機温センサ36で計測された内燃機関20の温度であるエンジン機温LTHEが予め設定された閾値としての温度(本実施形態では0度)よりも高いか否かで判定する。暖気が完了するまでは、通常アイドリングが行われるので発電制御の必要が無いからである。
【0042】
ステップS22では、発電制御実施判定部13は、低回転速度状態であることを確認する。低回転速度状態は、アイドリング回転速度近傍の回転速度での作動を意味し、1サイクルの平均回転速度NE720が予め設定された範囲(800rpm<NE720<1000rpm)に入っていることを確認することで判定される。
【0043】
ステップS23では、発電制御実施判定部13は、バッテリ電圧VMADが予め設定された閾値電圧(本実施形態では10V)よりも高いか否かを判定する。バッテリ電圧VMADが閾値電圧よりも低い場合には、発電制御は実施せずに発電量が最大値となるように設定される。
【0044】
ステップS24では、発電制御実施判定部13は、走行時間が予め設定された所定時間を経過しているか否かを判定する。走行時間が所定時間を経過しているときには、バッテリ電圧VMADが閾値電圧よりも高いときに十分に充電されていると判断される。図2の例では、内燃機関制御装置10の起動から時刻t0に達するまでの経過時間を意味している。
【0045】
このように、発電制御実施判定部13は、暖気が完了し、低アイドリング状態、バッテリ電圧VMADが閾値電圧よりも高く、そして走行時間が所定時間を経過しているときには、発電制御の実施を許可するとともに、処理をステップS30のアイドル判定工程に進める。一方、いずれかの条件が一つでも満たされない場合には、発電制御の実施が制限される(ステップS26)。
【0046】
図7は、走行状態判定部12によるアイドル判定工程(ステップS30)の処理内容を示すフローチャートである。走行状態判定部12は、前述の加速状態、定速運転状態、および減速運転状態の他、アイドル状態の判定を行うことができる。本実施形態では、アイドル判定工程について詳細に説明する。
【0047】
ステップS31では、走行状態判定部12は、スロットル開度変化量が予め設定された閾値としての所定値よりも小さいことを確認する。スロットル開度変化量は、スロットル開度センサ39によって計測されるスロットル開度の微分値として生成される。スロットル開度の微分値が十分に小さければ、スロットルの操作が行われていないことが確認できる。
【0048】
ステップS32では、走行状態判定部12は、回転速度変化量DNE720の大きさが予め設定された範囲内(±100rpm)であることを確認する。回転速度変化量DNE720は、平均回転速度NE720のサイクル毎の変動量を意味している。ステップS33では、走行状態判定部12は、平均回転速度NE720が予め設定された閾値(本実施形態では2000rpm)よりも小さいことを確認する。
【0049】
このように、走行状態判定部12は、スロットル開度変化量が十分に小さく(ステップS31)、回転速度変化量DNE720も十分に小さく(ステップS32)、そして平均回転速度NE720も十分に小さい(ステップS33)ときには、アイドリング状態であると判定する(ステップS34)。一方、いずれかの条件が一つでも満たされない場合には、アイドリング状態でないと判定される(ステップS35)。
【0050】
図8は、第1実施形態における内燃機関制御装置10の制御内容を示すタイムチャートである。ステップS40〜S150では、内燃機関制御装置10は、低アイドル化時のNe波形を目標Ne波形に近づける制御を実行する。本制御の処理ルーチンは、形状誤差算出(STEP1)、形状誤差積算値算出(STEP2)、および発電判定処理(STEP3)の3つの処理ブロックで構成されている。
【0051】
形状誤差算出(STEP1)は、ステップS40〜S60の処理で構成されている。本処理は、各行程におけるクランク番号毎にNe形状誤差を算出する処理である。
【0052】
ステップS40では、Ne形状誤差算出部11は、クランク番号が所定の値であって行程が一致するか否かを判断する。本判断は、本実施形態では、爆発完了後であってクランク番号が12番であるか否か、すなわち爆発行程後の上死点であるか否かを判断する。この判断の結果、爆発行程後の上死点であることが確認されると、クランク番号が12番から1番までの平均回転速度である回転速度NE30が基準NNUM回転速度に設定される(ステップS50)。
【0053】
基準NNUM回転速度は、目標Ne波形と計測Ne波形の基準となる回転速度であり、本実施形態では、爆発行程後の上死点におけるクランク番号が12番のときの回転速度となる。このように基準位置を合わせることによって、基準位置における回転速度との相対的な回転速度差として表される波形を取り扱うことが可能となる。
【0054】
具体的には、目標Ne波形(目標Ne形状DNEDS)においてクランク番号が10番のときの回転速度が1450rpmであって基準位置の回転速度が1500rpmの場合には、クランク番号が10番における50rpmの回転速度の降下として波形が表される。一方、計測Ne波形(計測Ne形状DNES)においてクランク番号が10番のときの回転速度が830rpmであって基準位置の回転速度が900rpmの場合には、クランク番号が10番における70rpmの回転速度の降下として波形が表される。
【0055】
ステップS60では、Ne形状誤差算出部11は、形状誤差(i)を算出する。形状誤差(i)の添え字(i)は、クランク番号を意味している。形状誤差(10)は、図8に示されるようにクランク番号が10番における20rpm(=70rpm−50rpm)として算出される。これにより、相対量としての意義を有している波形差に着目した誤差である形状誤差(i)を算出することができる。
【0056】
形状誤差積算値算出(STEP2)は、ステップS70〜S90の処理で構成されている。本処理は、各行程におけるクランク番号毎に形状誤差(i)を積算する処理である。
【0057】
ステップS70では、Ne形状誤差算出部11は、形状誤差(i)の正負の符号が一致しているか否かを判定する。形状誤差(i)の正負の符号が一致している場合には、処理がステップS80に進められる。一方、形状誤差(i)の正負の符号が一致していない場合には、処理がステップS90に進められて、形状誤差積算値(i)がリセットされる。
【0058】
ステップS80では、Ne形状誤差算出部11は、形状誤差(i)を加算して形状誤差積算値(i)を更新する。これにより、形状誤差(i)の正負の符号が一致している場合、すなわち同じ方向に誤差が継続して発生している場合には、形状誤差積算値(i)が上昇し続けることになる。具体的には、図8に示されるように形状誤差(10)である20rpmが2回積算され、ウィンドウW1においてOFF閾値を超えることになる。ウィンドウW2〜W4に示されるように、形状誤差(10)の符号が負となるまでOFF閾値を超えた状態が維持されることになる。
【0059】
発電判定処理(STEP3)は、ステップS100〜S150の処理で構成されている。本処理は、各行程におけるクランク番号毎に発電判定を行う処理である。
【0060】
ステップS100では、Ne形状誤差算出部11は、発電ON/OFF閾値決定処理を実行する。発電ON/OFF閾値決定処理は、発電のON/OFF判定に使用される閾値を決定する処理である。
【0061】
図9は、発電ON/OFF閾値決定処理のルーチンを示すフローチャートである。ステップS101では、Ne形状整形操作部14は、回転変動係数−1の絶対値が0.2(所定値)よりも大きいか否かを判断する。回転変動係数−1の絶対値が0.2よりも大きい場合には、発電ONの閾値が10に設定され、発電OFFの閾値が−10に設定される(ステップS103)。一方、回転変動係数−1の絶対値が0.2以下の場合には、処理がステップS102に進められる。
【0062】
ステップS103では、Ne形状整形操作部14は、回転変動係数−1の絶対値が0.1よりも大きいか否かを判断する。回転変動係数−1の絶対値が0.1よりも大きい場合には、発電ONの閾値が20に設定され、発電OFFの閾値が−20に設定される(ステップS104)。一方、回転変動係数−1の絶対値が0.1以下の場合には、処理がステップS105に進められる。
【0063】
ステップS105では、Ne形状整形操作部14は、回転変動係数−1の絶対値が0.05よりも大きいか否かを判断する。回転変動係数−1の絶対値が0.05よりも大きい場合には、発電ONの閾値が30に設定され、発電OFFの閾値が−30に設定される(ステップS106)。一方、回転変動係数−1の絶対値が0.05以下の場合には、発電ONの閾値が50に設定され、発電OFFの閾値が−50に設定される(ステップS107)。
【0064】
図10は、回転変動係数Rを算出するための計算式を示す説明図である。図11は、回転変動係数を概念的に表すグラフである。回転変動係数Rは、Ne(i)とNed(i)とを使用して算出される。Ne(i)は、クランク角毎の計測値である回転速度Ne30を示している。Ned(i)は、目標Ne形状における回転速度Ne30を示している。カッコ内の符号iは、Ne(i)とNed(i)のいずれにおいてもクランク番号を示している。Ne(i)とNed(i)は、いずれもクランク番号が12番のときの基準値NNUMに対する相対値である。回転速度Ne30は、発電部59が30度の角度だけ回転する際の回転速度rpmである。
【0065】
回転変動係数Rの計算式において、分母は、目標Ne形状における回転速度Ne30の波形の面積である。一方、分子は、計測Ne形状における回転速度Ne30の波形の面積から目標Ne形状における回転速度Ne30の波形の面積を減じた値である。このように、回転変動係数Rは、計測Ne形状の面積と目標Ne形状の面積の差を目標Ne形状の面積で割った値として定義され、アイドリング時の回転速度の変動の定量化を実現する値である。
【0066】
ステップS110(図3参照)では、Ne形状整形操作部14は、形状誤差積算値(i)を発電ON閾値と比較する。この比較の結果、形状誤差積算値(i)が発電ON閾値よりも大きいときには、発電判定(i)がオンに変更され、形状誤差積算値(i)が発電ON閾値以下のときには、処理がステップS120に進められる。
【0067】
ステップS120では、Ne形状整形操作部14は、形状誤差積算値(i)を発電OFF閾値と比較する。この比較の結果、形状誤差積算値(i)が発電OFF閾値よりも小さいときには、発電判定(i)がオフに変更され、形状誤差積算値(i)が発電OFF閾値以上のときには、処理がステップS150に進められる。ステップS150では、前回の発電判定(i)の判定状態が維持されることになる。
【0068】
図12は、第1実施形態におけるアイドリング回転速度補正処理の制御内容を示すフローチャートである。アイドリング回転速度補正処理は、回転変動係数Rに応じてアイドリング回転速度を補正する処理である。アイドリング回転速度は、ISC制御部16によって予め設定された目標値としての目標回転速度となるように制御される。
【0069】
ステップS310では、低アイドル化ISC補正制御部15は、回転変動係数−1の絶対値が0.2よりも大きいか否かを判断する。回転変動係数−1の絶対値が0.2よりも大きい場合には、回転変動補正変化量が10に設定される(ステップS320)。一方、回転変動係数−1の絶対値が0.2以下の場合には、処理がステップS330に進められる。
【0070】
ステップS330では、低アイドル化ISC補正制御部15は、回転変動係数−1の絶対値が0.1よりも大きいか否かを判断する。回転変動係数−1の絶対値が0.1よりも大きい場合には、回転変動補正変化量が5に設定される(ステップS340)。一方、回転変動係数−1の絶対値が0.1以下の場合には、処理がステップS350に進められる。
【0071】
ステップS350では、低アイドル化ISC補正制御部15は、回転変動係数−1の絶対値が0.05よりも大きいか否かを判断する。回転変動係数−1の絶対値が0.05よりも大きい場合には、回転変動補正変化量が1に設定される(ステップS360)。一方、回転変動係数−1の絶対値が0.05以下の場合には、処理がステップS370に進められて、回転変動補正変化量が0に設定される。
【0072】
ステップS380では、低アイドル化ISC補正制御部15は、回転変動係数が1よりも大きいか否かを判断する。この判断の結果、回転変動係数が1よりも大きい場合には処理がステップS390に進められ、回転変動係数が1以下の場合には処理がステップS395に進められる。
【0073】
ステップS390では、低アイドル化ISC補正制御部15は、前回のサイクルの回転変動補正量から回転変動補正変化量を減算して、回転変動補正量を更新する。一方、ステップS395では、低アイドル化ISC補正制御部15は、前回のサイクルの回転変動補正量に回転変動補正変化量を加算して、回転変動補正量を更新する。このように、ステップS310〜S370では、回転変動補正変化量の大きさが決定され、ステップS380〜S395では、回転変動補正変化量の加算あるいは減算が決定される。回転変動補正変化量は、ISC目標回転速度補正値とも呼ばれる。
【0074】
低アイドル化ISC補正制御部15は、ISC目標回転速度補正値をISC制御部16に送信する。ISC制御部16は、ISC目標回転速度補正値によって目標回転速度を補正し、補正された目標回転速度となるようにアイドリング制御を実行する。これにより、回転変動係数Rに応じて適切に設定されたアイドリング回転速度で制御することができるので、ドライバビリティと燃費の向上を両立させることができる。具体的には、回転変動係数Rの上昇に応じてアイドリング回転速度を高くすることができるので、アイドリング回転速度の設計余裕を小さくしてアイドリング回転速度を低めに設定することもできる。これにより、燃費を改善させることができる。
【0075】
このように、第1実施形態の内燃機関制御装置10の制御によれば、アイドリング回転速度を低下させても、その低下に起因する回転速度波形の変化を抑制することができる。これにより、回転速度の低下に対する人間の違和感を抑制することができる。特に、人間の体感は変化に対して敏感なので、通常アイドリングの波形を規範とするフィードバック制御は、通常アイドリングから低回転アイドリングへの変化における人間の違和感を抑制することができるとともにロバスト性も高いという特徴を有している。
【0076】
(第2実施形態)
図13は、第2実施形態における内燃機関20と交流発電機50と内燃機関制御装置10aとを示す全体構成図である。第2実施形態の内燃機関制御装置10aは、Ne形状誤差算出部11とNe形状整形操作部14とが、それぞれ回転変動係数算出部11aと発電負荷操作部14aに変更されている点を除いて共通する構成を有している。なお、内燃機関20と交流発電機50の構成は第1実施例と同一である。
【0077】
図14は、第2実施形態における内燃機関制御装置10aの制御内容を示すフローチャートである。ステップS210では、発電制御実施判定部13は、第1実施形態と同様に発電制御の実行可否を判定する。ステップS220では、走行状態判定部12は、第1実施形態と同様にアイドル状態か否かを判定する。
【0078】
ステップS230では、回転変動係数算出部11aは、各サイクルの中で予め設定された基準位置(たとえば爆発行程後のクランク番号が12番の位置)であるか否かを判断する。この判断の結果、基準位置であると判断された場合には、処理がステップS240に進められ、基準位置でないと判断された場合には、処理がステップS250に進められる。これにより、回転変動係数算出部11aは、サイクル毎に発電負荷を算出して更新することができる。
【0079】
ステップS240では、発電負荷操作部14aは、発電負荷決定処理を実行する。発電負荷決定処理は、発電負荷として発電クランク数を決定する処理である。発電クランク数とは、発電部59の2回転において30度毎に設定されている発電クランクの数である。発電クランクは、図12に示されるように、発電部59の周方向に相互に隣接する各磁性凸部55の間隔である。ただし、5番の磁性凸部55が欠落しているので、発電クランク数は、各サイクルで22個(=11×2)が総数となる。
【0080】
図15は、発電クランク数決定処理(ステップS240)のルーチンを示すフローチャートである。図16は、回転変動係数Rと発電クランク数変動量との間の関係を表すマップMを示す説明図である。ステップS241では、発電負荷操作部14aは、発電クランク数変化量決定処理を実行する。発電クランク数変化量は、マップMに基づいて回転変動係数Rに応じて決定される。具体的には、回転変動係数Rが1.1のときには発電クランク数変化量が22個となり、回転変動係数Rが0.9のときには発電クランク数変化量が−22個となる。
【0081】
ステップS242では、発電負荷操作部14aは、前回のサイクルでの発電クランク数に発電クランク数変化量を加算して、発電クランク数を決定する。このようにして決定された発電クランク数は、22よりも大きな値は22に修正され(ステップS243、S246)、負の値は0に修正される(ステップS244、S245)。これにより、サイクル毎の急激な回転変動に発電負荷操作を対応させるとともに、適正な発電クランク数の範囲(0〜22)に設定することが可能となる。
【0082】
ステップS250では、発電負荷操作部14aは、発電ON/OFF判定を実行する。発電ON/OFF判定は、各行程のクランク角毎に行われる。
【0083】
図17は、発電ON/OFF判定処理(ステップS250)のルーチンを示すフローチャートである。ステップS251では、発電負荷操作部14aは、発電優先順位データ読み出し処理を実行する。発電優先順位データは、図18に示される各サイクルにおいて発電のオンオフの優先順位を調整するためのデータである。なお、5番の磁性凸部55が欠落しているので、クランク番号が5番の欄は空欄となっている。
【0084】
図19は、発電優先順位データの内容を表す表である。発電優先順位データは、発電クランク番号毎の発電優先順位を表す0〜23の数値である。発電優先順位データは、予め目標Ne波形と計測Ne波形の誤差が分っている場合には、形状誤差が大きくなりやすい位置(回転速度の過度の低下が発生しやすいクランク角)において発電がオフとなりやすい値となるように設定されている。
【0085】
このように、第2実施形態の内燃機関制御装置10aの制御によれば、各サイクルの積算値としての各サイクルの回転速度(計測Ne波形の面積)と、各サイクルの波形とに着目し、回転速度の低下に起因する各サイクルの回転速度と各サイクルの波形の変化を抑制することができる。これにより、各サイクルの回転速度の変動に起因する比較的に低い周波数の変動と、各サイクルの波形としての比較的に高い周波数の変動との双方の変動を抑制することができる。
【0086】
(他の実施形態)
なお、実施の形態は上記した内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0087】
上述の各実施例では、低アイドル時の回転速度波形を発電負荷時の通常回転速度における回転速度波形に近づけるように構成されているが、たとえば発電負荷時の通常回転速度における回転速度波形を低アイドル時の回転速度波形に近づけるように構成しても良いし、あるいは双方を組み合わせてもよい。発電負荷時の通常回転速度における回転速度波形を低アイドル時の回転速度波形に近づける方法としては、たとえば発電負荷時の通常回転速度の変動を意図的に大きくする方法がある。
【符号の説明】
【0088】
10,10a…内燃機関制御装置、11…Ne形状誤差算出部、11a…回転変動係数算出部、12…走行状態判定部、13…発電制御実施判定部、14…Ne形状整形操作部、14a…発電負荷操作部、15…低アイドル化ISC補正制御部、16…ISC制御部、20…内燃機関、36…エンジン機温センサ、37…クランク角センサ、38…吸気管圧力センサ、39…スロットル開度センサ、50…交流発電機、55…磁性凸部、59…発電部、60…バッテリ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関を走行駆動源とする車両の制御装置に関し、特に車両用発電制御装置及びアイドリング制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の発電機の発電制御装置に関する技術として、エンジンに与える発電負荷をエンジンサイクル中に予め設定されたタイミングに応じて増減し、エンジンサイクル中のエンジン回転速度の変動を抑制する技術が提案されている(特許文献1)。本技術は、エンジンサイクル中のエンジン回転速度の変動を抑制することを制御の目的としているが、エンジン回転速度の変動量をフィードバックするものではなくオープン制御であった。また、エンジンの瞬時回転速度から回転の変動トルクを算出し、発電負荷トルクにより相殺することで回転速度の変動を抑制する技術が提案されている(特許文献2)。一方、エンジンに与える発電負荷の操作に起因して発生するエンジンサイクル中の電圧変動によるヘッドライトやインパネのランプ類のちらつき、あるいは発生ノイズを界磁電流量の調整で低減させる技術も提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−129680号公報
【特許文献2】特開平5−302526号公報
【特許文献3】特開2008−255876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来は、エンジンに与える発電負荷の操作によってドライバビリティを維持しつつ燃費を改善させるといった観点からは十分な検討がなされていなかった。特に、エンジン状態や変化や環境変化、バッテリ残量の観点から発電負荷の制御が行えない場合などのドライバビリティが十分考慮されていない。本発明者は、ドライバビリティの観点からはエンジン回転速度の変動を抑制させることよりもエンジン回転速度の変動がいつも同じであることが好ましいことを見出した。ところが、特許文献1ではエンジン回転速度の変動量を計測することができないオープン制御なので、たとえばエンジン状態や環境変化、バッテリ状態などの変化に対して、ロバスト性を実現することができなかった。特許文献2では回転速度の変動を計測しているが、発電負荷制御が実施できない場合、回転速度の変動量が異なるためドライバビリティが悪化する。
【0005】
本発明は、上述の従来の課題を解決するために創作されたものであり、ドライバビリティを維持しつつ燃費を向上させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。
【0007】
請求項1の発明は、内燃機関によって駆動される発電機を制御する発電制御装置であって、前記内燃機関が所定の回転速度で作動しているときの各サイクルにおけるクランク角毎の回転速度を表す波形である第1回転速度波形と、前記所定の回転速度よりも低い回転速度で前記内燃機関が作動しているときの各サイクルにおけるクランク角毎の回転速度を表す波形である第2回転速度波形と、を検出する波形検出部と、前記第2回転速度波形が前記第1回転速度波形の波形に近づくように前記発電機に接続されている電気的負荷を操作する負荷操作部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
上記発明によれば、比較的に低い回転速度における各サイクルにおけるクランク角毎の回転速度を表す波形である第2回転速度波形が、比較的に高い回転速度における第1回転速度波形に近づくように発電機の負荷が制御されるので、回転速度の低下に起因する回転速度波形の変化を抑制することができる。これにより、回転速度の低下に対する人間の違和感を抑制することができる。人間の体感は特に変化に対して敏感だからである。
【0009】
さらに、比較的に高い回転速度における第1回転速度波形を目標値としているので、たとえば経年変化によって内燃機関の回転特性が変動しても、その変動した回転特性が目標値となる。これにより、経年変化等に起因する変化を除外して回転速度の低下に起因する人間の違和感を抑制することができる。この点において、単にサイクル内の回転速度の変動を抑制する技術とは一線を画している。加えて、第1回転速度波形を目標値としてフィードバック制御を行っているので、たとえばエンジン回転速度やエンジン温度に基づいて回転変動を推測して制御する方法と比較して簡易かつロバスト性が高いという特徴も有している。
【0010】
請求項2の発明は、前記波形検出部は、前記第1回転速度波形における回転速度と前記第2回転速度波形における回転速度の差をクランク角毎に算出し、前記算出された値を各サイクルで積算し、前記負荷操作部は、前記積算された値に応じて前記クランク角毎に前記電気的負荷を操作することを特徴とする。
【0011】
上記発明によれば、クランク角毎に算出された回転速度の差の積算値に応じて電気的負荷が操作されるので、第2回転速度波形をクランク角毎に調整して第1回転速度波形に近づけることができる。
【0012】
請求項3の発明は、前記波形検出部は、前記第1回転速度波形における回転速度の変動量の前記サイクル内の積算値である第1回転変動量と、前記第2回転速度波形における回転速度の変動量の前記サイクル内の積算値である第2回転変動量との対比に基づいて回転変動係数を算出し、前記負荷操作部は、前記回転変動係数が小さくなるように前記操作を行うことを特徴とする。
【0013】
上記発明によれば、各サイクルの積算値としての各サイクルの回転速度と、各サイクルの波形とに着目し、回転速度の低下に起因する各サイクルの回転速度と各サイクルの波形の変化を抑制することができる。
【0014】
請求項4の発明は、前記内燃機関のアイドリング回転速度を制御するアイドリング制御装置と、を備え、前記アイドリング制御装置は、前記回転変動係数に応じて前記アイドリング回転速度を調整することを特徴とする。
【0015】
上記発明によれば、これにより、回転変動係数Rに応じて適切に設定されたアイドリング回転速度で制御することができるので、ドライバビリティと燃費の向上を両立させることができる。具体的には、回転変動係数Rの上昇に応じてアイドリング回転速度を高くすることができるので、アイドリング回転速度の設計余裕を小さくしてアイドリング回転速度を低めに設定することもできる。これにより、燃費を改善させることができる。
【0016】
なお、本発明は、発電制御装置だけでなく、たとえば制御方法や制御機能を具現化するコンピュータプログラム、そのプログラムを格納するプログラム媒体あるいはプログラム製品といった形で具現化することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態における内燃機関20と交流発電機50と内燃機関制御装置10とを示す全体構成図。
【図2】第1実施形態における内燃機関制御装置10の作動状態を示すタイムチャート。
【図3】第1実施形態における内燃機関制御装置10の制御内容を示すフローチャート。
【図4】内燃機関20の1サイクルにおける目標Ne波形と低アイドル化時のNe波形を比較して表すグラフ。
【図5】Ne形状誤差算出部11による学習工程の処理内容を示すフローチャート。
【図6】発電制御実施判定部13による発電制御実施判定工程の処理内容を示すフローチャート。
【図7】走行状態判定部12によるアイドル判定工程の処理内容を示すフローチャート。
【図8】第1実施形態における内燃機関制御装置10の制御内容を示すタイムチャート。
【図9】発電ON/OFF閾値決定処理のルーチンを示すフローチャート。
【図10】回転変動係数Rを算出するための計算式を示す説明図。
【図11】回転変動係数を概念的に表すグラフ。
【図12】第1実施形態におけるアイドリング回転速度補正処理の制御内容を示すフローチャート。
【図13】第2実施形態における内燃機関20と交流発電機50と内燃機関制御装置10aとを示す全体構成図。
【図14】第2実施形態における内燃機関制御装置10aの制御内容を示すフローチャート。
【図15】発電クランク数決定処理(ステップS240)のルーチンを示すフローチャート。
【図16】回転変動係数Rと発電クランク数変動量との間の関係を表すマップMを示す説明図。
【図17】発電ON/OFF判定処理(ステップS250)のルーチンを示すフローチャート。
【図18】各サイクルにおける発電のオンオフの状態を示すタイムチャート。
【図19】発電優先順位データの内容を表す表。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の内燃機関制御装置を搭載した車両(二輪車)に適用した2つの実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態における内燃機関20と交流発電機50と内燃機関制御装置10とを示す全体構成図である。内燃機関20は、各ストローク(往復運動の片道)において、吸気行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程を行う4サイクルの単気筒エンジンである。内燃機関20は、燃焼ガスの圧力を往復荷重に変換するピストン21と、往復荷重を回転動力に変換するクランク軸23と、ピストン21からの往復荷重をクランク軸23に伝達するコンロッド19と、爆発行程において燃焼ガスに点火する点火プラグ22とを備えている。内燃機関制御装置10はECUとも呼ばれる。
【0020】
内燃機関20には、内燃機関20の温度を計測するエンジン機温センサ36と、吸気管内の圧力である吸気管圧力を計測する吸気管圧力センサ38と、スロットルの開度を表す信号であるスロットル開度を計測するスロットル開度センサ39と、が装備されている。さらに、内燃機関20のクランク軸23には、交流発電機50が機械的に接続されている。
【0021】
交流発電機50は、クランク軸23の回転に応じて交流電力を発生させる発電機である。交流電力は、負荷スイッチ61を介して図示しない整流器で整流されてバッテリ60に充電されるとともに、バッテリ60に並列に接続されている図示しない電源装置に供給される。バッテリ60は、電圧を計測して出力する機能を有している。
【0022】
交流発電機50は、クランク軸23に接続されて回転することによって交流電力を発生させる発電部59と、発電部59の外周面に装着されている磁性を有する部材である磁性凸部55と、磁性凸部55の近接状態を検出するクランク角センサ37と、を備えている。クランク角センサ37は、クランクパルス信号をNe形状誤差算出部11に送信する。
【0023】
一方、交流発電機50は、交流電力の電流値に応じてクランク軸23に対して負荷トルクTLを生じさせる。負荷トルクTLは、内燃機関20が発生させる回転動力を減殺させる方向のトルクである。負荷スイッチ61は、交流発電機50の電気的負荷(バッテリ60との電気的接続)を開閉することによって負荷トルクTLを操作することができる。
【0024】
内燃機関制御装置10は、Ne形状誤差算出部11と、走行状態判定部12と、発電制御実施判定部13と、Ne形状整形操作部14と、低アイドル化ISC補正制御部15と、ISC制御部16とを備えている。Ne形状誤差算出部11は、通常アイドル時の規範値としての目標Ne形状(すなわち各クランク角での目標回転速度)と、低アイドル時の計測Ne形状(すなわち各クランク角での計測回転速度)の回転速度の差をクランク角毎に積算する機能を有している。なお、Ne形状誤差算出部11は、波形検出部とも呼ばれ、低アイドル化ISC補正制御部15およびISC制御部16は、アイドリング制御装置とも呼ばれる。
【0025】
Ne形状誤差算出部11は、吸気管圧力センサ38とクランク角センサ37とからそれぞれ吸気管圧力とクランクパルス信号とを受信し、回転変動係数を算出する。回転変動係数は、Ne形状整形操作部14と低アイドル化ISC補正制御部15に送信される。走行状態判定部12は、スロットル開度センサ39からスロットル開度を受信し、発電制御の実施状態を表す発電制御実施判定をNe形状整形操作部14と低アイドル化ISC補正制御部15とに送信する。発電制御実施判定部13は、エンジン機温センサ36とバッテリ60とから、それぞれ内燃機関20の計測温度であるエンジン機温とバッテリ電圧とを受信し、アイドリング状態であるか否かの判定結果であるアイドル判定の信号をNe形状整形操作部14と低アイドル化ISC補正制御部15とに送信する。
【0026】
Ne形状整形操作部14は、負荷スイッチ61を操作して負荷トルクTLと発電状態とを操作することができる。低アイドル化ISC補正制御部15は、ISC目標回転補正値をISC制御部16に送信する。ISC制御部16は、ISC目標回転補正値によって補正された目標値としての回転速度となるようにアイドリング制御を実行する。本制御の詳細については後述する。
【0027】
図2は、第1実施形態における内燃機関制御装置10の作動状態を示すタイムチャートである。内燃機関制御装置10は、状態監視制御機能と、発電制御機能と、ISC制御機能とを有している。状態監視制御機は、Ne形状誤差算出部11と、走行状態判定部12と、発電制御実施判定部13とによって実現され、内燃機関制御装置10の作動中は常時作動している。矢印P1〜P8は、対応する各機能が作動中であることを示している。
【0028】
発電制御機能は、発電負荷制御機能と発電率可変制御機能とを含んでいる。発電率可変制御機能は、図2に示されるように、加速や定速運転、減速といった走行状態に応じて発電負荷(負荷トルクTL)を操作する機能である。加速、定速運転、および減速は、走行状態判定部12によって判定される。走行状態判定部12は、時刻t3で加速、時刻t4で定速運転、そして時刻t5で減速を検出し、発電率可変制御機能を作動させる。
【0029】
具体的には、加速時(矢印P6参照)には発電の抑制によって発電負荷を小さくすることによって加速性能を向上させ、減速時(矢印P8参照)には発電負荷を大きくして発電量を上昇させ、そして定速運転時(矢印P7参照)には発電量を中間的な位置とするといった制御機能を有している。これにより、加速性能を低下させることなく効率的な発電を実現させることができる。
【0030】
発電負荷制御機能は、燃費改善のために予め設定された低い回転速度でのアイドリングである低アイドル時の回転速度を負荷トルクTLの操作によって安定させる制御機能である。本制御機能は、負荷トルクTLの操作なしで安定したアイドリングを実現可能な比較的に高い回転速度でのアイドリングである通常アイドル時の状態に近づけることを目的としている。
【0031】
低アイドル状態は、走行状態判定部12によって判定される。走行状態判定部12は、時刻t1で低アイドル状態を検知し、低アイドル状態を表すアイドル判定を低アイドル化ISC補正制御部15に送信する。低アイドル化ISC補正制御部15は、低アイドル化ISC制御を起動させる(矢印P4参照)。一方、Ne形状誤差算出部11は、回転変動係数をNe形状整形操作部14に送信する。Ne形状整形操作部14は、発電負荷制御(負荷スイッチ61の操作)を開始する(矢印P5参照)。
【0032】
図3は、第1実施形態における内燃機関制御装置10の制御内容を示すフローチャートである。図4は、内燃機関20の1サイクルにおける目標Ne波形と低アイドル化時の計測波形である計測Ne波形を比較して表すグラフである。計測Ne波形は、各クランク角における回転速度によって表される1サイクル分の波形として定義される。目標Ne波形は、通常アイドル時の状態として学習した波形である。内燃機関制御装置10は、低アイドル化時の計測Ne波形を目標Ne波形に近づけることを制御の目的としている。なお、目標Ne波形と計測Ne波形は、それぞれ第1回転速度波形と第2回転速度波形とも呼ばれる。
【0033】
ステップS10では、Ne形状誤差算出部11は、学習行程を実行する。学習行程は、目標Ne波形が取得される行程である。目標Ne波形を取得するのは、通常アイドルから低アイドルへの回転速度の低下に伴うドライバビリティの変化を抑制するためである。
【0034】
目標Ne波形としては、低アイドル時の回転速度の低振動化や回転の安定化のみを考慮すれば、製造時のNe波形や理想値としてのNe波形を利用することも考えられる。しかし、本発明者は、人間の体感が変化に敏感であって絶対値に敏感でないことに着目し、学習によって取得された目標Ne波形を利用する構成とした。これにより、経年変化等によって内燃機関20の通常アイドル時のNe波形が変化しても、その変化後のNe波形に近づけるように制御されるので、人間の体感で検知される変化を抑制することができる。
【0035】
図5は、Ne形状誤差算出部11による学習工程の処理内容を示すフローチャートである。ステップS11では、Ne形状誤差算出部11は、行程判別を実行する。行程判別は、クランク角センサ37(図1参照)によって生成されるクランクパルス信号に応じて計測される各クランク角に対応する行程を判別する工程である。行程判別では、先ずクランクパルス信号に応じて計測される各クランク角を計測し、次に各クランク角の行程を判別する処理が行われる。
【0036】
クランク角の計測は、磁性凸部55がクランク角センサ37に近づく毎に発生するクランクパルス信号をカウントすることによって行われる。具体的には、図1に示される状態では、上死点の位置において0番(12番とも呼ばれる。)の磁性凸部55がクランク角センサ37に近接している。この状態では、クランク角は、クランク番号NNUMが12番であると定義される。クランク角は、発電部59の回転に応じて、1番の磁性凸部55がクランク角センサ37に近接してクランク番号NNUMが1番となる。
【0037】
一方、Ne形状誤差算出部11は、パルス間時間T30を計測して図示しないメモリに格納している。パルス間時間T30は、発電部59の回転に応じて生成されたクランクパルス信号毎の時間間隔である。クランクパルス信号は、発電部59の30度の回転角度毎に生成される。Ne形状誤差算出部11は、4番の磁性凸部55と6番の磁性凸部55の近接の間にパルス間時間T30のほぼ2倍の時間が経過していることを検出し、6番の磁性凸部55であることを確認することができる。5番の磁性凸部55は、意図的に欠落させられているからである。
【0038】
Ne形状誤差算出部11は、吸気管圧力センサ38の計測圧力である吸気管圧力を利用してクランク角の行程を判別することができる。Ne形状誤差算出部11は、爆発行程と吸気行程とにおける吸気管圧力の相違を利用して行程を判別する。具体的には、図4において、クランク番号NNUMが10番の時の計測圧力が予め設定された圧力より高く爆発行程であると仮判別した後に、次のクランク番号NNUMが10番の時の計測圧力が予め設定された圧力より低く吸気行程(吸気状態)であると判別することによって判定可能である。これにより、1サイクルで2回回転する発電部59のクランク角と各行程とを対応付けることができる。
【0039】
ステップS12では、Ne形状誤差算出部11は、行程判別後に1サイクル経過したことを確認する。Ne形状誤差算出部11は、発電制御(後述)が実施されておらず(ステップS14)かつアイドリング中であること(ステップS15)を確認して目標Ne波形を取得する(ステップS16)。これにより、目標Ne波形は、通常アイドルのNe波形とすることができる。
【0040】
ステップS20(図3参照)では、内燃機関制御装置10の発電制御実施判定部13は、発電制御の実行可否を判定する。発電制御の実行可否は、発電制御を実施することが二輪車(図示省略)のシステム全体として適切か否かを判定する処理である。
【0041】
図6は、発電制御実施判定部13による発電制御実施判定工程の処理内容を示すフローチャートである。ステップS21では、発電制御実施判定部13は、エンジン機温センサ36で計測された内燃機関20の温度であるエンジン機温LTHEが予め設定された閾値としての温度(本実施形態では0度)よりも高いか否かで判定する。暖気が完了するまでは、通常アイドリングが行われるので発電制御の必要が無いからである。
【0042】
ステップS22では、発電制御実施判定部13は、低回転速度状態であることを確認する。低回転速度状態は、アイドリング回転速度近傍の回転速度での作動を意味し、1サイクルの平均回転速度NE720が予め設定された範囲(800rpm<NE720<1000rpm)に入っていることを確認することで判定される。
【0043】
ステップS23では、発電制御実施判定部13は、バッテリ電圧VMADが予め設定された閾値電圧(本実施形態では10V)よりも高いか否かを判定する。バッテリ電圧VMADが閾値電圧よりも低い場合には、発電制御は実施せずに発電量が最大値となるように設定される。
【0044】
ステップS24では、発電制御実施判定部13は、走行時間が予め設定された所定時間を経過しているか否かを判定する。走行時間が所定時間を経過しているときには、バッテリ電圧VMADが閾値電圧よりも高いときに十分に充電されていると判断される。図2の例では、内燃機関制御装置10の起動から時刻t0に達するまでの経過時間を意味している。
【0045】
このように、発電制御実施判定部13は、暖気が完了し、低アイドリング状態、バッテリ電圧VMADが閾値電圧よりも高く、そして走行時間が所定時間を経過しているときには、発電制御の実施を許可するとともに、処理をステップS30のアイドル判定工程に進める。一方、いずれかの条件が一つでも満たされない場合には、発電制御の実施が制限される(ステップS26)。
【0046】
図7は、走行状態判定部12によるアイドル判定工程(ステップS30)の処理内容を示すフローチャートである。走行状態判定部12は、前述の加速状態、定速運転状態、および減速運転状態の他、アイドル状態の判定を行うことができる。本実施形態では、アイドル判定工程について詳細に説明する。
【0047】
ステップS31では、走行状態判定部12は、スロットル開度変化量が予め設定された閾値としての所定値よりも小さいことを確認する。スロットル開度変化量は、スロットル開度センサ39によって計測されるスロットル開度の微分値として生成される。スロットル開度の微分値が十分に小さければ、スロットルの操作が行われていないことが確認できる。
【0048】
ステップS32では、走行状態判定部12は、回転速度変化量DNE720の大きさが予め設定された範囲内(±100rpm)であることを確認する。回転速度変化量DNE720は、平均回転速度NE720のサイクル毎の変動量を意味している。ステップS33では、走行状態判定部12は、平均回転速度NE720が予め設定された閾値(本実施形態では2000rpm)よりも小さいことを確認する。
【0049】
このように、走行状態判定部12は、スロットル開度変化量が十分に小さく(ステップS31)、回転速度変化量DNE720も十分に小さく(ステップS32)、そして平均回転速度NE720も十分に小さい(ステップS33)ときには、アイドリング状態であると判定する(ステップS34)。一方、いずれかの条件が一つでも満たされない場合には、アイドリング状態でないと判定される(ステップS35)。
【0050】
図8は、第1実施形態における内燃機関制御装置10の制御内容を示すタイムチャートである。ステップS40〜S150では、内燃機関制御装置10は、低アイドル化時のNe波形を目標Ne波形に近づける制御を実行する。本制御の処理ルーチンは、形状誤差算出(STEP1)、形状誤差積算値算出(STEP2)、および発電判定処理(STEP3)の3つの処理ブロックで構成されている。
【0051】
形状誤差算出(STEP1)は、ステップS40〜S60の処理で構成されている。本処理は、各行程におけるクランク番号毎にNe形状誤差を算出する処理である。
【0052】
ステップS40では、Ne形状誤差算出部11は、クランク番号が所定の値であって行程が一致するか否かを判断する。本判断は、本実施形態では、爆発完了後であってクランク番号が12番であるか否か、すなわち爆発行程後の上死点であるか否かを判断する。この判断の結果、爆発行程後の上死点であることが確認されると、クランク番号が12番から1番までの平均回転速度である回転速度NE30が基準NNUM回転速度に設定される(ステップS50)。
【0053】
基準NNUM回転速度は、目標Ne波形と計測Ne波形の基準となる回転速度であり、本実施形態では、爆発行程後の上死点におけるクランク番号が12番のときの回転速度となる。このように基準位置を合わせることによって、基準位置における回転速度との相対的な回転速度差として表される波形を取り扱うことが可能となる。
【0054】
具体的には、目標Ne波形(目標Ne形状DNEDS)においてクランク番号が10番のときの回転速度が1450rpmであって基準位置の回転速度が1500rpmの場合には、クランク番号が10番における50rpmの回転速度の降下として波形が表される。一方、計測Ne波形(計測Ne形状DNES)においてクランク番号が10番のときの回転速度が830rpmであって基準位置の回転速度が900rpmの場合には、クランク番号が10番における70rpmの回転速度の降下として波形が表される。
【0055】
ステップS60では、Ne形状誤差算出部11は、形状誤差(i)を算出する。形状誤差(i)の添え字(i)は、クランク番号を意味している。形状誤差(10)は、図8に示されるようにクランク番号が10番における20rpm(=70rpm−50rpm)として算出される。これにより、相対量としての意義を有している波形差に着目した誤差である形状誤差(i)を算出することができる。
【0056】
形状誤差積算値算出(STEP2)は、ステップS70〜S90の処理で構成されている。本処理は、各行程におけるクランク番号毎に形状誤差(i)を積算する処理である。
【0057】
ステップS70では、Ne形状誤差算出部11は、形状誤差(i)の正負の符号が一致しているか否かを判定する。形状誤差(i)の正負の符号が一致している場合には、処理がステップS80に進められる。一方、形状誤差(i)の正負の符号が一致していない場合には、処理がステップS90に進められて、形状誤差積算値(i)がリセットされる。
【0058】
ステップS80では、Ne形状誤差算出部11は、形状誤差(i)を加算して形状誤差積算値(i)を更新する。これにより、形状誤差(i)の正負の符号が一致している場合、すなわち同じ方向に誤差が継続して発生している場合には、形状誤差積算値(i)が上昇し続けることになる。具体的には、図8に示されるように形状誤差(10)である20rpmが2回積算され、ウィンドウW1においてOFF閾値を超えることになる。ウィンドウW2〜W4に示されるように、形状誤差(10)の符号が負となるまでOFF閾値を超えた状態が維持されることになる。
【0059】
発電判定処理(STEP3)は、ステップS100〜S150の処理で構成されている。本処理は、各行程におけるクランク番号毎に発電判定を行う処理である。
【0060】
ステップS100では、Ne形状誤差算出部11は、発電ON/OFF閾値決定処理を実行する。発電ON/OFF閾値決定処理は、発電のON/OFF判定に使用される閾値を決定する処理である。
【0061】
図9は、発電ON/OFF閾値決定処理のルーチンを示すフローチャートである。ステップS101では、Ne形状整形操作部14は、回転変動係数−1の絶対値が0.2(所定値)よりも大きいか否かを判断する。回転変動係数−1の絶対値が0.2よりも大きい場合には、発電ONの閾値が10に設定され、発電OFFの閾値が−10に設定される(ステップS103)。一方、回転変動係数−1の絶対値が0.2以下の場合には、処理がステップS102に進められる。
【0062】
ステップS103では、Ne形状整形操作部14は、回転変動係数−1の絶対値が0.1よりも大きいか否かを判断する。回転変動係数−1の絶対値が0.1よりも大きい場合には、発電ONの閾値が20に設定され、発電OFFの閾値が−20に設定される(ステップS104)。一方、回転変動係数−1の絶対値が0.1以下の場合には、処理がステップS105に進められる。
【0063】
ステップS105では、Ne形状整形操作部14は、回転変動係数−1の絶対値が0.05よりも大きいか否かを判断する。回転変動係数−1の絶対値が0.05よりも大きい場合には、発電ONの閾値が30に設定され、発電OFFの閾値が−30に設定される(ステップS106)。一方、回転変動係数−1の絶対値が0.05以下の場合には、発電ONの閾値が50に設定され、発電OFFの閾値が−50に設定される(ステップS107)。
【0064】
図10は、回転変動係数Rを算出するための計算式を示す説明図である。図11は、回転変動係数を概念的に表すグラフである。回転変動係数Rは、Ne(i)とNed(i)とを使用して算出される。Ne(i)は、クランク角毎の計測値である回転速度Ne30を示している。Ned(i)は、目標Ne形状における回転速度Ne30を示している。カッコ内の符号iは、Ne(i)とNed(i)のいずれにおいてもクランク番号を示している。Ne(i)とNed(i)は、いずれもクランク番号が12番のときの基準値NNUMに対する相対値である。回転速度Ne30は、発電部59が30度の角度だけ回転する際の回転速度rpmである。
【0065】
回転変動係数Rの計算式において、分母は、目標Ne形状における回転速度Ne30の波形の面積である。一方、分子は、計測Ne形状における回転速度Ne30の波形の面積から目標Ne形状における回転速度Ne30の波形の面積を減じた値である。このように、回転変動係数Rは、計測Ne形状の面積と目標Ne形状の面積の差を目標Ne形状の面積で割った値として定義され、アイドリング時の回転速度の変動の定量化を実現する値である。
【0066】
ステップS110(図3参照)では、Ne形状整形操作部14は、形状誤差積算値(i)を発電ON閾値と比較する。この比較の結果、形状誤差積算値(i)が発電ON閾値よりも大きいときには、発電判定(i)がオンに変更され、形状誤差積算値(i)が発電ON閾値以下のときには、処理がステップS120に進められる。
【0067】
ステップS120では、Ne形状整形操作部14は、形状誤差積算値(i)を発電OFF閾値と比較する。この比較の結果、形状誤差積算値(i)が発電OFF閾値よりも小さいときには、発電判定(i)がオフに変更され、形状誤差積算値(i)が発電OFF閾値以上のときには、処理がステップS150に進められる。ステップS150では、前回の発電判定(i)の判定状態が維持されることになる。
【0068】
図12は、第1実施形態におけるアイドリング回転速度補正処理の制御内容を示すフローチャートである。アイドリング回転速度補正処理は、回転変動係数Rに応じてアイドリング回転速度を補正する処理である。アイドリング回転速度は、ISC制御部16によって予め設定された目標値としての目標回転速度となるように制御される。
【0069】
ステップS310では、低アイドル化ISC補正制御部15は、回転変動係数−1の絶対値が0.2よりも大きいか否かを判断する。回転変動係数−1の絶対値が0.2よりも大きい場合には、回転変動補正変化量が10に設定される(ステップS320)。一方、回転変動係数−1の絶対値が0.2以下の場合には、処理がステップS330に進められる。
【0070】
ステップS330では、低アイドル化ISC補正制御部15は、回転変動係数−1の絶対値が0.1よりも大きいか否かを判断する。回転変動係数−1の絶対値が0.1よりも大きい場合には、回転変動補正変化量が5に設定される(ステップS340)。一方、回転変動係数−1の絶対値が0.1以下の場合には、処理がステップS350に進められる。
【0071】
ステップS350では、低アイドル化ISC補正制御部15は、回転変動係数−1の絶対値が0.05よりも大きいか否かを判断する。回転変動係数−1の絶対値が0.05よりも大きい場合には、回転変動補正変化量が1に設定される(ステップS360)。一方、回転変動係数−1の絶対値が0.05以下の場合には、処理がステップS370に進められて、回転変動補正変化量が0に設定される。
【0072】
ステップS380では、低アイドル化ISC補正制御部15は、回転変動係数が1よりも大きいか否かを判断する。この判断の結果、回転変動係数が1よりも大きい場合には処理がステップS390に進められ、回転変動係数が1以下の場合には処理がステップS395に進められる。
【0073】
ステップS390では、低アイドル化ISC補正制御部15は、前回のサイクルの回転変動補正量から回転変動補正変化量を減算して、回転変動補正量を更新する。一方、ステップS395では、低アイドル化ISC補正制御部15は、前回のサイクルの回転変動補正量に回転変動補正変化量を加算して、回転変動補正量を更新する。このように、ステップS310〜S370では、回転変動補正変化量の大きさが決定され、ステップS380〜S395では、回転変動補正変化量の加算あるいは減算が決定される。回転変動補正変化量は、ISC目標回転速度補正値とも呼ばれる。
【0074】
低アイドル化ISC補正制御部15は、ISC目標回転速度補正値をISC制御部16に送信する。ISC制御部16は、ISC目標回転速度補正値によって目標回転速度を補正し、補正された目標回転速度となるようにアイドリング制御を実行する。これにより、回転変動係数Rに応じて適切に設定されたアイドリング回転速度で制御することができるので、ドライバビリティと燃費の向上を両立させることができる。具体的には、回転変動係数Rの上昇に応じてアイドリング回転速度を高くすることができるので、アイドリング回転速度の設計余裕を小さくしてアイドリング回転速度を低めに設定することもできる。これにより、燃費を改善させることができる。
【0075】
このように、第1実施形態の内燃機関制御装置10の制御によれば、アイドリング回転速度を低下させても、その低下に起因する回転速度波形の変化を抑制することができる。これにより、回転速度の低下に対する人間の違和感を抑制することができる。特に、人間の体感は変化に対して敏感なので、通常アイドリングの波形を規範とするフィードバック制御は、通常アイドリングから低回転アイドリングへの変化における人間の違和感を抑制することができるとともにロバスト性も高いという特徴を有している。
【0076】
(第2実施形態)
図13は、第2実施形態における内燃機関20と交流発電機50と内燃機関制御装置10aとを示す全体構成図である。第2実施形態の内燃機関制御装置10aは、Ne形状誤差算出部11とNe形状整形操作部14とが、それぞれ回転変動係数算出部11aと発電負荷操作部14aに変更されている点を除いて共通する構成を有している。なお、内燃機関20と交流発電機50の構成は第1実施例と同一である。
【0077】
図14は、第2実施形態における内燃機関制御装置10aの制御内容を示すフローチャートである。ステップS210では、発電制御実施判定部13は、第1実施形態と同様に発電制御の実行可否を判定する。ステップS220では、走行状態判定部12は、第1実施形態と同様にアイドル状態か否かを判定する。
【0078】
ステップS230では、回転変動係数算出部11aは、各サイクルの中で予め設定された基準位置(たとえば爆発行程後のクランク番号が12番の位置)であるか否かを判断する。この判断の結果、基準位置であると判断された場合には、処理がステップS240に進められ、基準位置でないと判断された場合には、処理がステップS250に進められる。これにより、回転変動係数算出部11aは、サイクル毎に発電負荷を算出して更新することができる。
【0079】
ステップS240では、発電負荷操作部14aは、発電負荷決定処理を実行する。発電負荷決定処理は、発電負荷として発電クランク数を決定する処理である。発電クランク数とは、発電部59の2回転において30度毎に設定されている発電クランクの数である。発電クランクは、図12に示されるように、発電部59の周方向に相互に隣接する各磁性凸部55の間隔である。ただし、5番の磁性凸部55が欠落しているので、発電クランク数は、各サイクルで22個(=11×2)が総数となる。
【0080】
図15は、発電クランク数決定処理(ステップS240)のルーチンを示すフローチャートである。図16は、回転変動係数Rと発電クランク数変動量との間の関係を表すマップMを示す説明図である。ステップS241では、発電負荷操作部14aは、発電クランク数変化量決定処理を実行する。発電クランク数変化量は、マップMに基づいて回転変動係数Rに応じて決定される。具体的には、回転変動係数Rが1.1のときには発電クランク数変化量が22個となり、回転変動係数Rが0.9のときには発電クランク数変化量が−22個となる。
【0081】
ステップS242では、発電負荷操作部14aは、前回のサイクルでの発電クランク数に発電クランク数変化量を加算して、発電クランク数を決定する。このようにして決定された発電クランク数は、22よりも大きな値は22に修正され(ステップS243、S246)、負の値は0に修正される(ステップS244、S245)。これにより、サイクル毎の急激な回転変動に発電負荷操作を対応させるとともに、適正な発電クランク数の範囲(0〜22)に設定することが可能となる。
【0082】
ステップS250では、発電負荷操作部14aは、発電ON/OFF判定を実行する。発電ON/OFF判定は、各行程のクランク角毎に行われる。
【0083】
図17は、発電ON/OFF判定処理(ステップS250)のルーチンを示すフローチャートである。ステップS251では、発電負荷操作部14aは、発電優先順位データ読み出し処理を実行する。発電優先順位データは、図18に示される各サイクルにおいて発電のオンオフの優先順位を調整するためのデータである。なお、5番の磁性凸部55が欠落しているので、クランク番号が5番の欄は空欄となっている。
【0084】
図19は、発電優先順位データの内容を表す表である。発電優先順位データは、発電クランク番号毎の発電優先順位を表す0〜23の数値である。発電優先順位データは、予め目標Ne波形と計測Ne波形の誤差が分っている場合には、形状誤差が大きくなりやすい位置(回転速度の過度の低下が発生しやすいクランク角)において発電がオフとなりやすい値となるように設定されている。
【0085】
このように、第2実施形態の内燃機関制御装置10aの制御によれば、各サイクルの積算値としての各サイクルの回転速度(計測Ne波形の面積)と、各サイクルの波形とに着目し、回転速度の低下に起因する各サイクルの回転速度と各サイクルの波形の変化を抑制することができる。これにより、各サイクルの回転速度の変動に起因する比較的に低い周波数の変動と、各サイクルの波形としての比較的に高い周波数の変動との双方の変動を抑制することができる。
【0086】
(他の実施形態)
なお、実施の形態は上記した内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0087】
上述の各実施例では、低アイドル時の回転速度波形を発電負荷時の通常回転速度における回転速度波形に近づけるように構成されているが、たとえば発電負荷時の通常回転速度における回転速度波形を低アイドル時の回転速度波形に近づけるように構成しても良いし、あるいは双方を組み合わせてもよい。発電負荷時の通常回転速度における回転速度波形を低アイドル時の回転速度波形に近づける方法としては、たとえば発電負荷時の通常回転速度の変動を意図的に大きくする方法がある。
【符号の説明】
【0088】
10,10a…内燃機関制御装置、11…Ne形状誤差算出部、11a…回転変動係数算出部、12…走行状態判定部、13…発電制御実施判定部、14…Ne形状整形操作部、14a…発電負荷操作部、15…低アイドル化ISC補正制御部、16…ISC制御部、20…内燃機関、36…エンジン機温センサ、37…クランク角センサ、38…吸気管圧力センサ、39…スロットル開度センサ、50…交流発電機、55…磁性凸部、59…発電部、60…バッテリ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関によって駆動される発電機を制御する発電制御装置であって、
前記内燃機関が所定の回転速度で作動しているときの各サイクルにおけるクランク角毎の回転速度を表す波形である第1回転速度波形と、前記所定の回転速度よりも低い回転速度で前記内燃機関が作動しているときの各サイクルにおけるクランク角毎の回転速度を表す波形である第2回転速度波形と、を検出する波形検出部と、
前記第2回転速度波形が前記第1回転速度波形の波形に近づくように前記発電機に接続されている電気的負荷を操作する負荷操作部と、
を備える発電制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発電制御装置であって、
前記波形検出部は、前記第1回転速度波形における回転速度と前記第2回転速度波形における回転速度の差をクランク角毎に算出し、前記算出された値を各サイクルで積算し、
前記負荷操作部は、前記積算された値に応じて前記クランク角毎に前記電気的負荷を操作する発電制御装置。
【請求項3】
請求項1記載の発電制御装置であって、
前記波形検出部は、前記第1回転速度波形における回転速度の変動量の前記サイクル内の積算値である第1回転変動量と、前記第2回転速度波形における回転速度の変動量の前記サイクル内の積算値である第2回転変動量との対比に基づいて回転変動係数を算出し、
前記負荷操作部は、前記回転変動係数が小さくなるように前記操作を行う発電制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の発電制御装置と、
前記内燃機関のアイドリング回転速度を制御するアイドリング制御装置と、
を備え、
前記アイドリング制御装置は、前記回転変動係数に応じて前記アイドリング回転速度を調整する車両搭載用制御装置。
【請求項1】
内燃機関によって駆動される発電機を制御する発電制御装置であって、
前記内燃機関が所定の回転速度で作動しているときの各サイクルにおけるクランク角毎の回転速度を表す波形である第1回転速度波形と、前記所定の回転速度よりも低い回転速度で前記内燃機関が作動しているときの各サイクルにおけるクランク角毎の回転速度を表す波形である第2回転速度波形と、を検出する波形検出部と、
前記第2回転速度波形が前記第1回転速度波形の波形に近づくように前記発電機に接続されている電気的負荷を操作する負荷操作部と、
を備える発電制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発電制御装置であって、
前記波形検出部は、前記第1回転速度波形における回転速度と前記第2回転速度波形における回転速度の差をクランク角毎に算出し、前記算出された値を各サイクルで積算し、
前記負荷操作部は、前記積算された値に応じて前記クランク角毎に前記電気的負荷を操作する発電制御装置。
【請求項3】
請求項1記載の発電制御装置であって、
前記波形検出部は、前記第1回転速度波形における回転速度の変動量の前記サイクル内の積算値である第1回転変動量と、前記第2回転速度波形における回転速度の変動量の前記サイクル内の積算値である第2回転変動量との対比に基づいて回転変動係数を算出し、
前記負荷操作部は、前記回転変動係数が小さくなるように前記操作を行う発電制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の発電制御装置と、
前記内燃機関のアイドリング回転速度を制御するアイドリング制御装置と、
を備え、
前記アイドリング制御装置は、前記回転変動係数に応じて前記アイドリング回転速度を調整する車両搭載用制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図8】
【公開番号】特開2012−115067(P2012−115067A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262644(P2010−262644)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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