説明

皮膚又は毛髪用のクレンジング物品

本発明は、皮膚又は毛髪をクレンジングするのに有用な、使い捨てのパーソナルクレンジング物品に関する。これらの物品は、消費者により、乾燥した状態の当該物品を水で濡らし、その後、当該物品を皮膚又は毛髪に擦り付けることによって使用される。当該物品は、クレンジング表面を有し、ラテックスコーティングされたセルロース繊維を含む水不溶性基材と、当該基材に放出可能なように結合された発泡性界面活性剤とを含む。好ましくは、本発明の物品は、コンディショニング成分をさらに含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚又は毛髪のクレンジング、及び任意でコンディショニングに有用な、使い捨てパーソナルクレンジング物品に関し、より詳細には、基材と発泡性界面活性剤成分とを含む使い捨てクレンジング物品に関する。基材には、1以上の層が含まれてよく、当該層の少なくとも1つがラテックスコーティングされたセルロース繊維を含む。基材には、任意に複数の孔が含まれてよい。これらのクレンジング物品は、消費者により、当該物品を水で濡らし、その後、当該物品を擦り合わせ、かつ/又は当該物品を皮膚若しくは毛髪に擦り付けて、泡を形成することによって使用される。
【背景技術】
【0002】
パーソナルクレンジング製品は、従来、固形石鹸、クリーム、ローション、及びジェルのような様々な形態で販売されてきた。これらのクレンジング製剤は、消費者に許容可能であるようにするための多くの基準を満たすことを試みてきた。これらの基準には、クレンジングの有効性、肌触り、皮膚、毛髪、及び眼の粘膜に対する低刺激性、並びに泡体積(lather volume)が含まれる。理想的なパーソナルクレンジング剤は、皮膚又は毛髪を穏やかにクレンジングし、炎症をほとんど又は全く引き起こさず、頻繁に使用した後で皮膚又は毛髪を過度に乾燥させないものでなければならない。パーソナルクレンジング製品は、クレンジング物質を保持する、又はクレンジング物質を皮膚若しくは毛髪へと送達するのに使用される基材又は他の手段を使用する物品と合わせて頻繁に使用され、又は当該物品の形態で販売されることが多い。
【0003】
パーソナルクレンジング製品及び物品の慣習的な形態は、効果的なクレンジング及び発泡性を提供するのに非常に有用なこともある。しかし、そのような従来製品及び物品は、皮膚又は毛髪のコンディショニング効果の送達のような他の望ましい効果をさらに同時に提供することには、あまり適していない。この問題の解決策の1つは、別個のクレンジング製品/物品及びコンディショニング製品/物品を使用することである。しかし、これは、必ずしも便利又は実用的ではなく、多くの消費者は、皮膚又は毛髪をクレンジングかつコンディショニングできる単一物品の使用を好む。典型的なクレンジング組成物又は製品では、多くのコンディショナーが界面活性剤と適合性がなく、結果的に望ましくない不均質な混合物になるので、コンディショニング成分を配合するのは困難である。コンディショニング成分との均質な混合物を得るために、また付着前にコンディショニング成分が失われるのを防ぐために、コンディショニング成分を界面活性剤混合物中で懸濁させるための追加成分、例えば、乳化剤、増粘剤、及びゲル化剤が添加されることが多い。これで、見た目の良い均質な混合物が得られるが、コンディショナーが乳化してクレンジングの間に効果的に放出されないという理由で、皮膚又は毛髪上へのコンディショニング成分の付着が不十分になることも多い。また、多くのコンディショニング剤には、泡の発生を抑制するという欠点がある。多くの消費者が上質なクリーム状の豊かな泡を提供するクレンジング物品を求めるので、抑泡性は問題である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、界面活性剤とコンディショニング成分のような他の物質とを組み合わせることを試みる従来のクレンジング製品及び物品には、界面活性剤とコンディショナーとに適合性がないことにより本質的にもたらされる欠点があることがわかる。単一の物品で、効果的なクンンジング、効果的な発泡性を提供する、またさらに望むなら、十分なコンディショニングのような他の効果を一貫して提供できるクレンジングシステムの開発が、明らかに必要とされている。
【0005】
また、クレンジング効果、かつ好ましくはコンディショニング効果を使い捨て可能な1回使用の物品から送達することも、きわめて望ましい。使い捨て物品は、クレンジング物品及びコンディショニング物品の両方の厄介なボトル、固形物(bars)、広口瓶、チューブ、及び他の形態を運ぶ必要がないので、便利である。また、何度も再使用することが意図されたスポンジ、洗い布、又はその他のクレンジング用具は、繰り返し使用に関連して細菌を増殖させ、不快な臭気を発し、また他の望ましくない特徴を生じさせるので、使い捨て物品はこのような用具の使用に代わる、より衛生的な代替品でもある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、顔の皮膚をクレンジングするのに特に有用な、使い捨て可能な1回使用のパーソナルクレンジング物品に関する。当該物品は、それぞれ、a)少なくとも1つのクレンジング表面を有する水不溶性のラテックスコーティングされたセルロース系基材と、b)前記基材と放出可能なように結合された、当該基材の約0.5重量%〜250重量%の発泡性界面活性剤とを含む。
【0007】
本発明の特定の実施形態によれば、基材のクレンジング表面は、直径約0.5mm〜5mmのサイズ範囲の複数の孔を含有してよい。これらの孔は、基材のクレンジング表面内に、1リニアセンチメートル当たり約0.5〜12個の頻度で配置される。本発明のクレンジング物品は、複数の層を含んでよい。孔は、存在する場合、1以上の層において使用されてよい。本発明の特定の明示によれば、クレンジング物品は、2プライの基材を使用し、その一方又は両方のプライは孔あきである。また、一部の実施形態によれば、基材の少なくとも1つのプライが湿潤延伸性であり、第2のプライは、第1のプライよりも湿潤延伸性が低い。本明細書に記載のクレンジング物品には、発泡性界面活性剤成分に加えて、1以上の水溶性又は水不溶性のコンディショニング剤を含有するものもある。
【0008】
本発明は、また、本明細書に記載される構成のクレンジング物品を製造する方法に関する。また、本発明は、本明細書に記載の物品を使用して皮膚又は毛髪をクレンジングし、さらに任意にコンディショニングする方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のクレンジング物品の必須要素、すなわち、ラテックスコーティングされたセルロース系基材及び発泡性界面活性剤、並びに多種多様な任意要素について、以下で詳細に説明する。本明細書で使用されるすべてのパーセンテージ及び比率は、特に指示がない限り、重量によるものであり、すべての測定は、特に指示がない限り、25℃で実施される。本発明は、本明細書に記載の必須成分及び必須構成要素、並びに任意成分及び任意構成要素を含み、それらから成り、又はそれらから本質的に成ることができる。
【0010】
「発泡性界面活性剤」とは、水と合わせて機械的に攪拌するとフォーム又は泡を発生させる界面活性剤を意味する。好ましくは、これらの界面活性剤は、低刺激性であるべきであり、これは、これらの界面活性剤が、十分なクレンジング又は洗浄効果を提供するが、皮膚又は毛髪を過度に(例えば、自然の油分及び/又は水分を過剰に除去することによって)乾燥させないことを意味しており、さらに、前記界面活性剤は、前述した発泡基準を満たすべきである。
【0011】
本明細書で使用する時、用語「発泡製品」又は「発泡物品」は、当該製品又は物品が、本明細書の泡体積試験の項で記載されるような泡体積を( 30ml発生できる、十分な量の本明細書に記載の界面活性剤を含有することを意味する。これらの泡体積の測定は、35℃(95°F)において中間の硬度の水(8〜10グレイン/ガロン)を用いて実施される。
【0012】
用語「使い捨て」又は「1回使用」は、本明細書では普通の意味で使用されており、通常の使用後に処分又は廃棄される物品を意味する。
【0013】
本明細書で使用する時、用語「コンディショニング成分」は、コンディショニング剤の組み合わせを意味する。
【0014】
本明細書で使用する時、用語「水で活性化される」は、本発明が、水で濡らされた後に使用される形態で消費者に提供されることを意味する。これらの物品を水と接触させて、さらに擦過のような機械的な力に曝すことによって、当該物品が泡を生成し、又は当該物品が「活性化する」ことがわかる。
【0015】
本明細書で使用する時、用語「実質的に乾燥した」は、使用前に、物品が水を実質的に含まず、触ると全体的に乾燥した感触であることを意味する。したがって、本発明の物品は、一般に、乾燥環境、例えば低湿環境で測定した時に、水を約20重量%未満、好ましくは水を約10重量%未満、より好ましくは水を約5重量%未満含む。本発明のような物品の水分含有量が、環境の相対湿度によって変化し得ることが、当業者には認識されよう。
【0016】
本明細書で本発明の発泡性界面活性剤及び物品に関して使用する時、用語「低刺激性」は、本発明の物品が、低刺激性のアルキルグリセリルエーテルスルホネート(AGS)界面活性剤を主体とする合成固形石鹸(synthetic bar)、すなわちシンバー(synbar)に匹敵する、皮膚への低刺激性を示すことを意味する。界面活性剤を含有する物品の低刺激性又は逆に刺激性を測定する方法は、皮膚バリア破壊試験に基づく。この試験では、界面活性剤が低刺激性であるほど、皮膚のバリアが破壊されない。皮膚バリアの破壊は、試験溶液から皮膚の表皮を通って拡散チャンバーに入れられた生理的緩衝液へと到達する、放射性標識(トリチウム標識)された水(3H−H2O)の相対量によって測定される。この試験は、T.J.フランツ(T.J.Franz)による皮膚科学会誌(J.Invest.Dermatol.)、1975年、64、190〜195頁、及び米国特許第4,673,525号(スモール(Small)ら、1987年1月16日発行)に記載されている。また、当業者に周知の界面活性剤の低刺激性を測定する他の試験方法も使用することができる。
【0017】
本発明のパーソナルクレンジング物品は、次の必須成分、すなわち:(A)水不溶性基材であって、前記基材の少なくとも一部分がラテックス結合剤によって結合されたセルロース繊維を含有する水不溶性基材と、(B)前記基材上に添加された、又は前記基材に含浸された、少なくとも1つの発泡性界面活性剤とを含む。本発明の物品は、基材上に添加された、又は基材に含浸されたコンディショニング成分をさらに任意で含むことができる。
【0018】
(水不溶性基材)
本発明の製品は、少なくとも1つのクレンジング表面を有する水不溶性基材を含む。「水不溶性」とは、水に浸された時に基材が溶解しない又は容易に分離しないことを意味する。水不溶性基材は、本発明の発泡性界面活性剤、及び任意でコンディショニング成分を、クレンジング及びコンディショニングすべき皮膚又は毛髪に送達する手段又は媒介である。理論に制限されるものではないが、当該基材は、機械的な力及び攪拌を与えることによって、発泡効果を提供し、またさらにコンディショニング成分の付着を助けると考えられている。
【0019】
多種多様な材料を基材として使用することができる。次の特徴が望ましいが、これらに限定されない:(i)使用のための十分な湿潤強度、(ii)十分な研磨性(abrasivity)、(iii)十分な嵩及び多孔性、(iv)十分な厚さ、並びに(v)適切なサイズ。
【0020】
本発明によれば、基材の少なくとも一部分は、ラテックス結合剤によって結合されたセルロース繊維を含む。基材は、1平方メートル当たり約25〜約150gの坪量を有することができる。特定の実施形態によれば、基材の坪量は、1平方メートル当たり約40g〜約100gであり、さらに特定の実施形態では、基材の坪量は、1平方メートル当たり約45g〜約75gである。
【0021】
セルロース繊維上のラテックスコーティングは、強度、柔軟性、手触りなどを提供する。本発明の基材は、セルロース又は紙を主体とするにも関わらず、不織布のような感触である。繊維は、当業者に既知のいかなる手段、例えば、噴霧、ジェット印刷、飛沫(splashing)、浸漬(dipping)、浸透(soaking)、又はコーティング(例えば、スロットコーティング、グラビアなど)によって、ラテックスコーティングでコーティングすることができる。本明細書で有用なラテックス類の非限定例には、アクリル、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルアクリル、アクリルマルチポリマー、エチレンビニルアセテート(EVA)、並びにこれらのコポリマー及び混合物から成る群から選択されるものが挙げられる。本明細書で有用な市販のラテックス類の具体例には、パーストープ・クラリアント・アプレタン(Perstorp Clariant Appretan)TE2540S(ビニルアセテートとエチレンとのコポリマー)、H.B.フラー(H.B.Fuller)PD8161(PVA)、H.B.フラーPD0495(ビニルアクリル)、及びH.B.フラーPD8169(アクリルマルチポリマー)が挙げられる。ラテックスコーティングは、完成した基材の乾燥繊維重量を基準にして約0.1〜約25重量%、特に約5〜約20重量%のコーティング重量でセルロース繊維に適用することができる。
【0022】
ラテックスコーティングは、セルロースウェブの片側又は両側で当該ウェブに適用することができ、また、全面コーティングとして又はあるパターンで適用することができる。さらに、コーティングは、ウェブに浸透するように適用することができ、又は、主にシートの表面にとどまって、わずかな量だけシートに浸透するように適用することができる。本発明に有用なコーティング組成物及びラテックスコーティングされた基材を生成する方法は、米国特許第4,000,237号(ロバーツ(Roberts))に開示されている。
セルロース繊維の非限定例には、木材パルプ繊維、綿繊維、大麻繊維、黄麻繊維、亜麻繊維、及びこれらの混合物から成る群から選択されるものが挙げられる。
【0023】
天然材料から作製される基材は、ウェブ又はシート、最も一般的には繊維の液体懸濁液から細かいワイヤースクリーン上に形成されるウェブ又はシートから成る。C.A.ハンペル(C.A.Hampel)ら、化学百科事典(The Encyclopedia of Chemistry)、第3版、1973、793〜795頁(1973);アメリカ百科事典(The Encyclopedia Americana)、第21巻、376〜383頁(1984);及びG.A.スムーク(G.A.Smook)、紙パルプ技術ハンドブック(Handbook of Pulp and Paper Technologies)、紙パルプ産業技術協会(Technical Association for the Pulp and Paper Industry)(1986)を参照のこと。
【0024】
基材として使用するのに好適なラテックスコーティングされたセルロース繊維は、様々な供給元から入手可能である。ラテックスコーティングされた好適なセルロース系材料の例には、これだけに限定するものではないが、ドゥーニ・ペーパー(Duni Paper)製の15%ラテックス結合剤使用56g/m2紙(表記DL20195)、コンサート(Concert)から入手可能な65g/m2セルロースEVA基材並びに75g/m2セルロース及びEVA基材(それぞれ表記ME065.D0031及びSTD75L)、様々なジョージア・パシフィック(Georgia Pacific)基材(グレード314(52g/m2);グレード316(52g/m2);及びグレード331(56g/m2))、並びにキンバリー・クラーク(Kimberly Clark)製の50g/m2基材(商品名VIVA)が挙げられる。
【0025】
孔あき基材を含む紙基材の作製方法は、当該技術分野において周知である。一般に、これらの紙基材は、初めに長いストランドから繊維が所望の長さに切断し、当該繊維を水又は空気の流れに通し、次いで繊維を含んだ空気又は水を通過させるスクリーン又はベルト上に堆積させる、エアレイ法又はウォーターレイ法によって作製されることができる。得られる層は、その生産方法又は組成に関わらず、個々の繊維を1つに固着させて自己維持型のウェブを形成する、いくつかの種類の結合操作のうち少なくとも1つの操作を受ける。本発明では、繊維のラテックス結合によって層を調製することができる。さらに、本発明で使用される基材は、単層又は多層から成るものにすることができる。加えて、多層基材には、フィルム及び他の非繊維性材料を含めることもできる。
【0026】
本発明のパーソナルクレンジング物品を形成するのに使用される基材は、基材のクレンジング表面に孔又は開口部を含んでよい。このような孔は、概ね円形であってもよく、又は、正方形、長方形、台形、菱形、六角形、不規則な形状などを含め、他の形状の開口部であってよい。このような孔は、サイズ及び形状が一様である必要はないが、サイズ及び形状の両方においてほぼ一様であることが好ましい。
【0027】
孔は、存在する時には、基材のクレンジング表面において、一般に平均直径が約0.5mm〜5mmの範囲である。より好ましくは、孔は、平均直径が約1mm〜4mmのサイズ範囲である。好ましくは、これらのサイズ範囲から外れるのは、基材のクレンジング表面にある孔の約10%以下である。より好ましくは、これらのサイズ範囲から外れるのは、クレンジング表面にある孔の約5%以下である。円形でない孔の場合、孔の「直径」は、非円形の孔の開口部と同一の表面積を有する円形開口部の直径を指す。
【0028】
基材のクレンジング表面内では、孔は、一般に、直線1リニアセンチメートル当たり約0.5〜12個の頻度で存在する。より好ましくは、クレンジング表面の孔は、直線1リニアセンチメートル当たり約1.5〜6個の頻度で存在する。
【0029】
孔は、使用される時には、少なくとも本明細書の基材要素のクレンジング表面内に配置されるべきである。このような孔は、クレンジング表面とは反対側の基材表面まで完全に突き出る必要はない。水不溶性基材を形成するために2以上のプライ若しくは層が使用される時には、孔をすべてのプライ若しくは層に配置してもよく、又は必ずしもすべてのプライ若しくは層に配置しなくてもよい。頻繁に、基材は2層を含んでよく、そのうちの1層はクレンジング表面を含み、さらに孔あきであってよい。これについてはより詳細に後述する。通常は、クレンジング表面を備えた基材のための裏材を形成する他の層又はプライは、孔あきではない。
【0030】
水不溶性基材若しくははその層が形成又は製作される時に、そのような水不溶性基材のクレンジング表面に孔を形成してもよい。あるいは、クレンジング表面を含む基材又はそのプライ若しくはその層が完全に形成された後で、クレンジング表面に孔を形成してもよい。
【0031】
基材は、少なくとも約5cm2のクレンジング表面積を提供するような範囲のサイズを有する、平たいパッド、厚いパッド、薄いシート、ボール形の用具、不規則形状の用具を含め、多種多様な形状及び形態に作製することができる。正確なサイズは、所望の用途及び製品の特徴によって決まる。特に都合が良いのは、正方形、円形、長方形、又は楕円形のパッドであって、クレンジング表面積が約6cm2〜1000cm2、好ましくは約65cm2〜約775cm2、より好ましくは約150cm2〜約400cm2で、厚さが約1mil〜約500mil、好ましくは約5mil〜約250mil、より好ましくは約10mil〜約100milのものである。
【0032】
さらに、本発明の基材が丸みを帯びたコーナーを有することが望ましい。この特徴は、丸みのない長方形、例えば正方形の基材のコーナーに水が溜まる傾向を抑える。基材上のコーナー、好ましくはすべてのコーナーに、半径約1〜4cmになるような丸みをつけることができる。好ましくは、丸みを帯びたコーナーの半径は約2〜3cmである。
【0033】
本発明の水不溶性基材は、それぞれが異なるテクスチャ及び研磨性を有する1以上の層を含むことができる。異なるテクスチャは、異なる材料の組み合わせを使用することで、又は異なる製造プロセス若しくはその組み合わせを使用することで得ることができる。剥離作用のための、より研磨性の高い面と、穏やかなクレンジングのための、より柔らかい吸収面とを有するという利点を提供するように、2つのテクスチャをもつ基材を作製することができる。加えて、基材の個々の層を、異なる色をもつように製造し、それによってユーザーが表面をさらに識別するのに役立たせることもできる。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、水不溶性基材は、基材に少なくとも2つの層又はプライが含まれる基材である。上層は、濡らされた時に延伸性があり、この実施形態によれば、孔あきである。基層は、ラテックスコーティングされたセルロース繊維を含み、濡らされた時の湿潤延伸性が上層よりも低い。上層の選択された部分は、上層の平面内での上層の湿潤延伸を妨げるために、基層に接合される。上層が濡らされると、基層は、上層の平面内での上層の延伸を抑制する。結果として、上層の一部分が、屈曲(buckling)や皺形成(puckering)などによってZ方向(上層の平面に垂直な方向)に変形する。
【0035】
少なくとも湿潤延伸性の一部分を有する水不溶性基材の一実施形態が、図面の図1〜2に示されている。この実施形態では、本発明は、多層、すなわち2プライの、使い捨ての拭き取り物品20を含む。使い捨てのクレンジング及びコンディショニング物品20は、全体を参照番号22で指定された基材を含む。基材22は、上層100及び基層200を含む。上層100は延伸性があり、特に濡らされた時に延伸性があり、例えば、上層は湿潤延伸性がある。「湿潤延伸性」とは、材料が、濡らされた時に少なくとも1方向に伸長する傾向にあることを意味する。一般に、「濡らされた」とは、上層における延伸を誘発することができる、水のような水溶液による濡れを指す。例えば、水は、縮められた紙のクレープを緩ませ、それによって紙の平面内の少なくとも1方向で紙の延伸を引き起こす。理論に束縛されるものではないが、クレープの緩みは、水の存在による紙構造内の水素結合の喪失の結果である場合がある。ただし、このクレープの緩みを引き起こすことのできるいかなる流体、混合物、又は溶液も、物品を「濡らす」と見なされる。基層200は、濡らされた時の湿潤延伸性が上層100よりも比較的低い。延伸性は、後述する「湿潤延伸性試験」に従って測定され、パーセンテージとして報告される。
【0036】
上層100の選択された部分は、上層の平面内での上層の湿潤延伸を妨げるために、直接的又は間接的に基層200に接合される。図1及び図2では、上層100の選択された部分が基層200に接合されて、110で表される連続的な結合領域と、分離した非結合領域114とを提供している。
【0037】
図1に示した好ましい実施形態では、結合領域110は、概ね菱形の非結合領域114を形成する、交差線の連続的な網状構造として示されている。結合領域110の交差線の幅及び間隔は、菱形の非結合領域114が所望のサイズ及び間隔になるように調節してよい。交差線の連続的な網状構造は、例えば、正方形、長方形、及び三角形を含め、事実上無制限の幾何学形状の非結合領域をもたらす、事実上いかなるパターンであってもよい。網状構造は、必ずしも完全に連続的である必要はなく、また直線又は一様な線のパターンに限定されないが、例えば、円形、楕円形、又は他の非多角形の幾何学形状をもたらす網状構造であってもよい。図1〜2で参照番号300で表されるホットメルト接着剤のような接着剤を使用して、上層100を基層200に接合することができる。
【0038】
上層が濡らされた時には、上層100が当該上層の平面内で1以上の方向に沿って拡張する傾向がある。(上層の平面は、図1の平面に平行である。) しかし、基層200の湿潤延伸性が比較的低いので、基層は、上層100の平面内での当該上層の延伸を抑制する。結果として、上層100の非結合領域114が、屈曲(buckling)や皺形成(puckering)などによって、Z方向、すなわち上層100の平面に垂直な方向に変形する。
【0039】
図2Aは、上層100を濡らす前の、クレンジング及びコンディショニング物品20の断面図である。図2Aに示したように、拭き取り物品は、濡らされる前には概ね平らである。図2Bは、図2Aに類似の、ただし上層100を濡らした後の物品20を示す、断面図である。図2Bは、上層100を濡らした時の上層100の面外変形を示す。図2A及び図2BにはZ方向が示されている。濡らされた上層100の変形は、物品20に隆起したリッジ120をもたらし、これが物品20の湿潤テクスチャ、湿潤キャリパー(厚さ)、及び湿潤バルクを増大させる。隆起したリッジ120は、また、上層100の非結合部分と、その下にある基層の部分との間に配置された、ポケット150を提供する。具体的には、物品20の湿潤キャリパー/乾燥キャリパー比は、1.0より大きく、好ましくは少なくとも約1.1、より好ましくは少なくとも約1.2、最も好ましくは少なくとも約1.4である。湿潤キャリパー/乾燥キャリパー比は、濡らされる前の乾燥物品20の厚さに対する、濡らされた時の物品20の厚さの尺度である。湿潤キャリパー/乾燥キャリパー比は、後述する「湿潤キャリパー/乾燥キャリパー比」の手順に従って測定される。
【0040】
図1に示した好ましい実施形態では、上層100は孔あきであり、上層100の厚さを貫通して延びる複数の孔102を含む。孔は、拭き取り物品20の所望のテクスチャ及びバルクを大幅に増す。図1〜2では、明瞭にするために、孔102は、上層100の一部分にしか示されていない。孔あき上層が使用される時には、濡らされた上層100の変形は、やはり物品100に隆起したリッジ120をもたらし、これが物品20の湿潤テクスチャ、湿潤キャリパー(厚さ)、及び湿潤バルクを増大させる。ただし、この実施形態では、隆起したリッジ120は、流路を提供する孔102を有しており、この流路を通って液体及び/又は小さな粒子がポケット150に進入することができる。
【0041】
さらに、物品20、若しくは代替的な単プライの孔あき基材が、界面活性剤のような発泡剤と合わせて使用され、又は発泡剤を含むので、孔102は、発泡過程の間の空気の取り込みを助け、それによって泡の発生を改善することができる。例えば、物品20の一部分を、界面活性剤組成物によってコーティングすることができ、又は他の何らかの方法で界面活性剤組成物によって処理することができる。これについては、より詳細に後述する。物品20を水で濡らして界面活性剤を活性化させることができ、物品を使用する間(例えば、洗い及び拭き取りの間)に孔102を通って発生した空気流を泡の発生に役立たせることができる。
【0042】
孔102のサイズ及び数は、泡の発生速度及び生成される泡の品質に影響を及ぼす場合がある。比較的少数の比較的大きな孔102は、泡を発生させるのに要する時間を短縮する傾向にあるが、半透明の外観をした比較的大きな泡の泡立ちをもたらす。他方、比較的多数の比較的小さな孔102は、泡のサイズを縮小させ、それによって泡をよりクリーム状にし、泡の不透明度を高める傾向にあるが、泡を発生させるのに要する時間の延長という代償がある。
【0043】
上層100が孔あきの時に、他の利点が確認された。図2Bに示したように、隆起したリッジ120の形成に加えて、孔102の周りの上層100の湿潤延伸が、突尖部(cusps)106として、又は孔102によって形成される表面の凹凸として最もよく記述できるものを形成する。突尖部106は、上層100の孔あき表面22の側の表面に追加的なテクスチャを与える。この追加的なテクスチャは、必要に応じて、孔102のサイズ及び間隔を調節することによって変更してよい。
【0044】
好ましい実施形態では、本発明の拭き取り用品20は、菱形の非結合領域を画定する交差線の連続的な網状構造でラテックスコーティングされたセルロースに結合された、セルロース紙製の孔あき上層を含む。材料並びに結合方法及び結合パターンのこの組み合わせが、一面では濡らされるとテクスチャ及びバルクの増大を示し、同時に他の面では比較的滑らかな柔軟性を維持し、また乾燥キャリパーよりも大きな湿潤キャリパーを有する、好ましい拭き取り用品を提供する。
【0045】
前述の説明に加えて、結合後の基材の加熱に関わる追加的なプロセス工程を使用して、拭き取り用品のテクスチャ及びバルク、並びに全体的な審美的品質をさらに改善できることが見出された。理論に束縛されるものではないが、加熱プロセスは、熱可塑性接着剤の収縮を引き起こし、それによって上層並びに基層の面外(Z方向)変形をさらに引き起こすと考えられている。拭き取り物品の平面で収縮させることによって、両方の層においてZ方向にキャリパーが増大して、見た目の良いキルト状の外観をもつ全体的なキャリパーの増大をもたらす。
【0046】
例えば、EVAホットメルト接着剤(好適な接着剤の1つは、ウィスコンシン州ウォーワトサのアトフィンドリー・アドヒーシブズ(Ato-Findley Adhesives)からH1382−01として市販されるホットメルト接着剤である)によって接着剤結合された拭き取り用品は、積層化後の熱処理の後で、キャリパーが10〜20%増大することがある。この場合、好適なホットメルト接着剤が適用され、得られる物品が室温まで冷却される。次いで、熱処理を実施することができ、例えば、温度を上昇させて20秒間100℃にすれば、ポリマー網状構造の収縮を開始させるのに十分である。理論に束縛されるものではないが、このプロセスを有効にするには、結合パターンを連続的な網状構造、又は基本的に連続的な網状構造にしなければならないと考えられている。分離した結合部位は、物品の外観を改善するほど十分に収縮しない場合がある。
【0047】
(上層)
物品20の構成要素についてより詳細に言及すると、上層100を形成できる好適な材料には、縮められた(例えばクレープ加工による)湿式ペーパーウェブが挙げられる。他の好適な材料には、織布材料、不織布材料、発泡体、詰物などを挙げることができる。
【0048】
上層100は、少なくとも4%、より好ましくは少なくとも約10%、さらにより好ましくは少なくとも約20%の湿潤延伸性を有するように構築すべきである。一実施形態では、上層は、少なくとも約25%の湿潤延伸性を有する。好ましくは、上層の湿潤延伸性と基層の湿潤延伸性との差(上層の湿潤延伸性から基層の湿潤延伸性を引く)は、少なくとも約4%、より好ましくは少なくとも約10%、さらにより好ましくは少なくとも約25%である。
【0049】
上層100の繊維又はフィラメントは、天然のもの(例えば、木材パルプ繊維、綿リンター、及びバガス繊維のようなセルロース繊維)、又は合成物(例えば、ポリオレフィン類、レーヨン、ポリアミド類、又はポリエステル類)、又はこれらの組み合わせにすることができる。
【0050】
他の好ましい実施形態では、上層100は、ドライクレープ加工によって少なくとも約4%、より好ましくは少なくとも約10%、さらにより好ましくは少なくとも約20%縮められたセルロース系木材パルプ繊維の湿式ペーパーウェブを含む。上層は、上層100の縮みに対応するクレープ・リッジを含んでよい。機械方向(MD)及び横機械方向(CD)が図1に示されている。機械方向は、上層100のペーパーウェブの製造方向に相当する。クレープ・リッジは、上層100のペーパーウェブの機械方向に概ね垂直で、横機械方向に概ね平行である。
【0051】
上層100のペーパーウェブは、1平方メートル当たり約15〜約65gの坪量を有することができる。好ましい実施形態では、上層の坪量は、1平方メートル当たり約25〜約45gであり、より好ましい実施形態では、上層100の坪量は、1平方メートル当たり約35gである。
【0052】
紙の強度は、完成物品の全体的な外観を大幅に変化させ得ると考えられている。上層に組み込まれるクレープの量は、平面的な拡張の量、したがって濡らされた時に生み出されるキャリパーの量に正比例する。しかし、紙物品の湿潤強度が不十分であると、「屈曲部(buckles)」が圧潰して、キャリパーの小さい、より「皺の寄った」製品を形成する場合がある。したがって、クレープ及び湿潤強度の両方を、物品の目的用途に基づいた量のテクスチャを提供するように調節することができる。湿潤破裂測定は、十分に濡らされた基材のピーク負荷を試験するトゥイングアルバート破裂試験機(Thwing-Albert Burst Tester)モデル番号1300−77を用いて実施することができる。その試験は、ボール直径1.3cm、ボール速度12.7cm/分を用い、ボールの動きに垂直な直径8.9cm円の周りで試験試料をクランプ固定する。ピーク負荷湿潤破裂強度は、1プライ当たり100〜1200gである。より好ましくは1プライ当たり400〜700gであり、最も好ましくは1プライ当たり500〜600gである。
【0053】
より好ましい実施形態では、上層100は、セルロース系木材パルプ繊維の孔あき湿式ペーパーウェブを含む。孔102は、任意の好適な方式で上層100に形成することができる。例えば、孔102は、上層100のペーパーウェブを形成する間に上層100に形成することができ、あるいは上層100のペーパーウェブが製造された後で上層100に形成することもできる。一実施形態では、上層100のペーパーウェブは、米国特許第5,245,025号(トロカーン(Trokhan)ら、1993年9月14日発行)、米国特許第5,277,761号(ファン(Phan)ら、1994年1月11日発行)、及び米国特許第5,654,076号(トロカーンら、1997年8月5日発行)のうちの1つ以上の米国特許の教示に従って生成される。特に、米国特許第5,277,761号は、第10欄で、孔を有するペーパーウェブの形成を開示している。
【0054】
上層を濡らす前に、クレープ加工された上層100は、1平方センチメートル当たり約0.5〜50個の孔、より好ましくは1平方センチメートル当たり約0.5〜16個の孔を有することができる。クレープ加工されたペーパーウェブを濡らすと、制限がなければ、ウェブが機械方向のような少なくとも1つの方向に拡張するので、濡らされた後の平方面積当たりの孔102の数が濡らされる前の平方面積当たりの孔の数よりも小さくなる場合がある。同様に、ペーパーウェブ内に孔が形成され、その後で当該ペーパーウェブがクレープ加工される時には、クレープ加工前の平方面積当たりの孔の数は、クレープ加工後の平方面積当たりの孔の数よりも小さくなる。したがって、ペーパーウェブの寸法に対する言及は、クレープ加工後かつ濡らされる前の寸法を指す。
【0055】
孔102は、上層100の全表面の約15〜約75%を占めることができる。孔102は、反復する非ランダムパターンで双方向に互い違いに(機械方向及び横機械方向の両方に互い違いに)配置してよい。一実施形態では、上層100は、25%ドライクレープ加工された(縮み25%)、湿潤延伸性が約25%より大きいペーパーウェブを含み、1平方センチメートル当たり約6〜8個の孔102を有しており、当該孔102は、長さが約0.25〜0.46cm、幅が約0.17〜0.38cm、孔と孔との間の距離106が約0.12〜約0.20cmである。
【0056】
ペーパーウェブは、初めに水性の抄紙用完成紙料を形成することによって製造される。完成紙料は、抄紙繊維を含んでおり、様々な添加剤をさらに含むことができる。米国特許第5,223,096号(ファン(Phan)ら、1993年6月29日発行)は、様々な木材パルプ及び抄紙添加剤を開示している。上層100を作製するのに好適なペーパーウェブは、米国特許第6,060,149号(ニッシング(Nissing)ら)に与えられる記述に従って製造することができる。
【0057】
(基層)
上層100は、当該上層が濡らされた時の上層100の選択された部分の延伸を抑制するために、基層200に接合される。基層200は、上層100よりも低い湿潤延伸性を有する。
【0058】
本発明の一態様によれば、基層200は、ラテックスコーティングされたセルロース繊維のウェブを含む。基層200のペーパーウェブは、1平方メートル当たり約25〜約150gの坪量を有することができる。特定の実施形態によれば、基層の坪量は、1平方メートル当たり約40g〜約100gであり、より特定の実施形態では、基層200の坪量は、1平方メートル当たり約45g〜約75gである。
【0059】
基層200として使用するのに好適なラテックスコーティングされたセルロース繊維は、様々な供給元から入手可能である。ラテックスコーティングされた好適なセルロース系材料の例には、これだけに限定するものではないが、ドゥーニ・ペーパー(Duni Paper)製の15%ラテックス結合剤使用56g/m2紙(表記DL20195)、コンサート(Concert)から入手可能な65g/m2セルロースEVA基材並びに75g/m2セルロース及びEVA基材(それぞれ表記ME065.D0031及びSTD75L)、様々なジョージア・パシフィック(Georgia Pacific)基材(グレード314(52g/m2);グレード316(52g/m2);及びグレード331(56g/m2))、並びにキンバリー・クラーク(Kimberly Clark)製の50g/m2基材(商品名VIVA)が挙げられる。
【0060】
(プライの結合)
上層100の選択された部分は、上層100の複数の結合領域及び非結合領域を提供するように、所定の結合パターンで基層200に直接的に(又は第3の構成要素を介するなどして間接的に)接合することができる。図1〜2では、結合領域は110で、非結合領域は114で表されている。第1の層100及び基層200は、それぞれ機械方向を有することができ、上層の機械方向が基層の機械方向に概ね平行になるように、第1の層及び基層を結合させることができる。
【0061】
上層100及び基層200は、これだけに限定するものではないが、接着剤結合、機械的結合、熱結合、機械的熱結合、超音波結合、及びこれらの組み合わせを含む、好適な任意の方法を使用して接合することができる。具体的には、好ましい実施形態では、接着剤は、グラビア印刷、逆グラビア印刷(reverse gravure printing)、スクリーン印刷、フレキソ印刷などのような印刷方法によって適用される。好ましい一実施形態では、EVAホットメルト接着剤は、概ね図1に示したような格子パターンでスクリーン印刷してよい。この実施形態に好適なスクリーンは、マサチューセッツ州ニューベッドフォードのロステック・エングレービング社(Rothtec Engraving Corp.)製の40メッシュのガルバノ(Galvano)スクリーンである。
【0062】
第1の層と基層とを層間剥離させずに物品20を水で濡らすことができるように、接着剤は、好ましくは水不溶性である。接着剤にはまた、界面活性剤耐性があることが好ましい。「界面活性剤耐性がある」とは、接着剤の結合特性が、界面活性剤の存在によって低下しないことを意味する。好適な接着剤には、EVA(エチレンビニルアセテート)系のホットメルト接着剤が挙げられる。好適な接着剤の1つは、ウィスコンシン州ウォーワトサのアトフィンドリー・アドヒーシブズ(Ato-Findley Adhesives)からH1382−01として市販されるホットメルト接着剤である。
【0063】
図1及び図2を参照すると、ホットメルト接着剤は、不連続な複数の非結合領域114を画定する連続的な網状構造で不織布基層200に適用することができる。好ましい一実施形態では、図1に示すように、接着剤は、第2方向の離隔された平行線と交差した、第1方向の離隔された平行線として適用される。交差線は、最終的な拭き取り用品において非結合領域の菱形パターンを形成する。図1に示す実施形態では、ホットメルト接着剤は、幅約0.025cm〜約1.25cm、好ましくは幅約0.125〜約0.18cmの線で適用することができる。接着剤の隣接した線の間隔は、約0.5〜5.0cm、好ましくは約1.0〜1.5cmにすることができる。
【0064】
平行な縞、線、又は帯として適用される時には、接着剤は、スロットコーティングアプリケータを使用して基層200に適用することができる。好適なスロットコーティングアプリケータは、ジョージア州ノークロスのノードソン社(Nordson Company)から市販される押出ヘッド付きノードソン(Nordson)MXシリーズホットメルターである。上記で言及したH1382−01接着剤は、温度約177℃(350°F)において、1平方インチ(6平方センチメートル)当たり接着剤約0.03gの適用レベルで、基層200に適用することができる。接着剤を基層200に適用した直後に、接着剤を基層200と紙製の上層100との間に配置して2つの層100及び200を押し合わせることによって、前記基層200と上層100とを結合させることができる。2つの層100及び200を押し合わせる好適な手段の1つは、2つのローラに結合のための適切なニップ圧力を提供するような負荷をかけながら、これら2つのローラの間に形成されたニップに前記2つの層を通過させることによるものである。
【0065】
得られる上層及び基層の積層体は、乾燥キャリパー約28.5mil(0.072cm)、平均湿潤キャリパー約32.1mil(0.082cm)、湿潤キャリパー/乾燥キャリパー比約1.1を有することができる。乾燥キャリパー、湿潤キャリパー、及び湿潤キャリパー/乾燥キャリパー比は、「湿潤キャリパー/乾燥キャリパー比」において後述されるように測定される。"
(湿潤延伸性試験)
層100又は層200のような層の湿潤延伸性は、以下の手順を使用して決定される。試料は、試験前に2時間にわたり、21℃(70°F)、相対湿度50%において調整される。
【0066】
初めに、層の平面内での最大湿潤延伸性の方向が決定される。ドライクレープ加工されたペーパーウェブの場合、この方向は、機械方向に平行で、クレープ・リッジに概ね垂直である。
【0067】
最大湿潤延伸性の方向がわからない場合、シート上に描かれた参照線に対して0度〜90度の角度(0度及び90度を含む)に試料の長さを配向させて、シートから7つの試料を切断することによって、その方向を決定することができる。次いで、最大湿潤延伸性の方向を決定するために、試料が後述のように測定される。
【0068】
最大湿潤延伸性の方向が決定されたら、最大湿潤延伸性の方向に平行に測定される長さが約18cm、幅が少なくとも2.54cmの、8つの試料が切断される。試料は、層100及び200の非結合部分から切断され、又は、前述の寸法を有する非結合部分を物品20から切断できない場合は、試料は、層100及び200から、これらの層を結合させる前に切断される。各試料上に、インクペンなどによって2つの印が付けられる。印は、最大湿潤延伸性の方向に平行に測定して12.7cm離隔される。この12.7cmの長さは、試料の初めの乾燥時試験長である。
【0069】
各試料を水槽内で蒸留水の中に30秒間沈めることによって、各試料が完全に濡らされる。各試料が水槽から取り出され、すぐに、2つの印を通る線が概ね垂直になるように鉛直に吊るして支持される。濡らされた試料は、支持が2つの印の間の延伸に干渉しないように(例えば、2つの印の間の試料に接触しないクリップを使用して)支持される。2つの印の間の距離が試料の湿潤時試験長である。距離は、試料を水槽から取り出して30秒以内に測定される。
【0070】
各試料について、%湿潤延伸が次式のように計算される:
試料の湿潤延伸=(湿潤時試験長−初めの乾燥時試験長)/(初めの乾燥時試験長)×100
例えば、測定された湿潤時試験長が16.5cm、初めの乾燥時試験長が12.7cmの場合、湿潤延伸は、((16.5−12.7)/12.7)×100=30%である。試料の湿潤延伸性は、試料の湿潤延伸の8つの計算値の平均である。
【0071】
本発明の好ましい実施形態では、上層は、前述した「湿潤延伸性試験」を使用して測定した時に、好ましくは少なくとも約4%、より好ましくは少なくとも約10%、さらにより好ましくは少なくとも約20%の湿潤延伸性を有する。上層は、所望の湿潤延伸性を提供するように縮めることができる。一実施形態では、上層は、ドライクレープ加工によって約30%縮められた、孔あき湿式ペーパーウェブを含む。基層は、上層よりも低い湿潤延伸性を有する。上層の湿潤延伸性から基層の湿潤延伸性を引くと、好ましくは少なくとも約4%、より好ましくは少なくとも約10%、さらにより好ましくは少なくとも約20%である。
【0072】
(湿潤キャリパー/乾燥キャリパー比)
湿潤キャリパー/乾燥キャリパー比は、トゥイングアルバート・インスツルメント社(Thwing-Albert Instrument Co.)の電子厚さ試験機(Electronic Thickness Tester)モデルIIを使用して、以下の手順を用いて測定される。試料は、試験前に2時間にわたり、21℃(70°F)、相対湿度50%において調整される。
【0073】
物品20の乾燥キャリパーは、1平方インチ(6平方センチメートル)当たり95gの封圧及び直径5cm(2インチ)のロードフット(load foot)を使用して測定される。乾燥キャリパーは、8つの試料について測定される。各試料について、キャリパーは、ロードフットを上層100の非結合領域の中央に置いて測定される。平均乾燥キャリパーを提供するために、8つのキャリパー測定値が平均される。
【0074】
次いで、各試料を蒸留水槽内に30秒間沈めることによって、各試料が濡らされる。次いで、試料が水槽から取り出され、約5秒間鉛直に吊るすことによって水分が除去される。濡れた試料のキャリパーは、当該試料を槽から取り出して30秒以内に測定される。湿潤キャリパーは、すでに乾燥キャリパーが測定されたのと同じ場所で測定される。平均湿潤キャリパーを提供するために、8つの湿潤キャリパー測定値が平均される。湿潤キャリパー/乾燥キャリパー比は、平均湿潤キャリパーを平均乾燥キャリパーで除した値である。
湿潤キャリパー/乾燥キャリパー比は、平均湿潤キャリパーを平均乾燥キャリパーで除した値である。
【0075】
本明細書の好ましい2プライ基材では、使い捨てのクレンジング及びコンディショニング物品は、1.0より大きい、より好ましくは少なくとも約1.1、さらにより好ましくは少なくとも約1.2、最も好ましくは少なくとも約1.4の湿潤キャリパー/乾燥キャリパー比を有することができる。
【0076】
(発泡性界面活性剤)
本発明の物品は、水不溶性基材に加えて、水不溶性基材と放出可能なように結合された1以上の発泡性界面活性剤も含む。したがって、発泡性界面活性剤を基材上に添加することができ、又は基材に含浸させることができる。これは一般に、物品の使用時点よりも前に実施されることになる、すなわち、界面活性剤が物品と組み合わされ、物品が乾燥されてから、最後に物品が使用のために濡らされる。本発明の好ましい物品は、当該物品が後述する泡体積試験に従って泡体積30ml以上(中間の硬度の水、35℃(95°F))を発生させることができるような、十分な量の1以上の発泡性界面活性剤を含む。
【0077】
一般に、物品は、基材と放出可能なように結合された、当該基材の約0.5重量%〜250重量%の発泡性界面活性剤を含有する。好ましくは、本発明の物品は、水不溶性基材の重量を基準にして、約0.5重量%〜約50重量%、より好ましくは約0.75重量%〜約30重量%、最も好ましくは約1重量%〜約20重量%の発泡性界面活性剤成分を含む。
【0078】
発泡性界面活性剤とは、水と合わせて機械的に攪拌すると、物品に全体として泡を提供させる、十分なフォーム又は泡を発生させる界面活性剤を意味する。好ましくは、これらの界面活性剤又は界面活性剤の組み合わせは、低刺激性であるべきであり、これは、これらの界面活性剤が、十分なクレンジング又は洗浄効果を提供するが、皮膚又は毛髪を過度に乾燥させず、さらに前述した発泡基準を満たすことを意味する。
【0079】
本明細書では多種多様な発泡性界面活性剤が有用であり、これには、陰イオン性発泡性界面活性剤、非イオン性発泡性界面活性剤、両性発泡性界面活性剤、及びこれらの混合物から成る群から選択されるものが挙げられる。本発明の組成物に有用な発泡性界面活性剤の非限定例は、米国特許第6,280,757号(マクエイティ(McAtee)ら、2001年8月28日発行)に開示されている。一般に、これらの発泡性界面活性剤は、存在するコンディショニング剤、例えば、かなり水溶性の高い、通常はHLB値が10を超えるいかなるコンディショニング剤の付着も、さほど強くは妨げない。また、陽イオン性界面活性剤も、必要な発泡性界面活性剤の全体的な発泡特性に悪影響を与えないのであれば、任意成分として使用することができる。
【0080】
(陰イオン性発泡性界面活性剤)
本発明の組成物に有用な陰イオン性発泡性界面活性剤の非限定例は、マカッチャン(McCutcheon)の「洗剤及び乳化剤(Detergents and Emulsifiers)」、北アメリカ版(1986)、アルレッド・パブリッシング・コーポレーション(allured Publishing Corporation)出版;マカッチャンの「機能材料(Functional Materials)」、北アメリカ版(1992);及び米国特許第3,929,678号(ラフリン(Laughlin)ら、1975年12月30日発行)に開示されている。
【0081】
本明細書では、多種多様な陰イオン性発泡性界面活性剤が有用である。陰イオン性発泡性界面活性剤の非限定例には、サルコシネート類、サルフェート類、イセチオネート類、タウレート類、ホスフェート類、ラクチレート類、グルタメート類、及びこれらの混合物から成る群から選択されるものが挙げられる。イセチオネート類の中では、アルコイルイセチオネート類が好ましく、サルフェート類の中では、アルキルサルフェート類及びアルキルエーテルサルフェート類が好ましい。
【0082】
本明細書で有用なその他の陰イオン性物質は、脂肪酸類の石鹸類(すなわち、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム塩又はカリウム塩)であり、通常は約8〜約24個の炭素原子、好ましくは約10〜約20個の炭素原子を有する。石鹸類を作製する際に使用される脂肪酸類は、例えば、植物由来又は動物由来のグリセリド類(例えば、パーム油、ココヤシ油、大豆油、ヒマシ油、タロー、ラードなど)のような天然源から得ることができる。脂肪酸類は、また、合成的に調製することもできる。石鹸類については、上記で引用した米国特許第4,557,853号により詳細に記載されている。
その他の陰イオン性物質には、モノアルキルリン酸塩、ジアルキルリン酸塩、及びトリアルキルリン酸塩のような、ホスフェート類が挙げられる。
【0083】
本明細書で有用な好ましい陰イオン性発泡性界面活性剤の非限定例には、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸ナトリウム、トリデセス硫酸ナトリウム、セチル硫酸アンモニウム、セチル硫酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸アンモニウム、ラウロイルイセチオン酸ナトリウム、ラウロイル乳酸ナトリウム(sodium lauroyl lactylate)、ラウロイル乳酸トリエタノールアミン(triethanolamine lauroyl lactylate)、カプロイル乳酸ナトリウム(sodium caproyl lactylate)、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ミリストイルサルコシン酸ナトリウム、ココイルサルコシン酸ナトリウム、ラウロイルメチルタウリン酸ナトリウム、ココイルメチルタウリン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、及びココイルグルタミン酸ナトリウム、並びにこれらの混合物から成る群から選択されるものが挙げられる。
【0084】
本明細書に用いるのに特に好ましいのは、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ココイルサルコシン酸ナトリウム、ミリストイルサルコシン酸ナトリウム、ラウロイル乳酸ナトリウム(sodium lauroyl lactylate)、及びラウロイル乳酸トリエタノールアミン(triethanolamine lauroyl lactylate)である。
【0085】
(非イオン性発泡性界面活性剤)
本発明の組成物に使用される非イオン性発泡性界面活性剤の非限定例は、マカッチャン(McCutcheon)の「洗剤及び乳化剤(Detergents and Emulsifiers)」、北アメリカ版(1986)、アルレッド・パブリッシング・コーポレーション(allured Publishing Corporation)出版;及びマカッチャンの「機能材料(Functional Materials)」、北アメリカ版(1992)に開示されている。
【0086】
本明細書で有用な非イオン性発泡性界面活性剤には、アルキルグルコシド類、アルキルポリグルコシド類、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド類、アルコキシル化脂肪酸エステル類、発泡性スクロースエステル類、アミンオキシド類、及びこれらの混合物から成る群から選択されるものが挙げられる。
本明細書に用いるのに好ましい非イオン性界面活性剤の非限定例は、C8〜C14グルコースアミド類、C8〜C14アルキルポリグルコシド類、スクロースココエート、スクロースラウレート、ラウラミンオキシド、ココアミンオキシド、及びこれらの混合物から成る群から選択されるものである。
【0087】
(両性発泡性界面活性剤)
本明細書で使用する時、用語「両性発泡性界面活性剤」は、当該技術分野の配合者には両性界面活性剤のサブセットとして周知の双極性界面活性剤を包含することも意図されている。
【0088】
本発明の組成物では、多種多様な両性発泡性界面活性剤を使用することができる。特に有用であるのは、脂肪族二級及び三級アミン類の誘導体として広く記述されているものであり、好ましくは窒素が陽イオン状態で、脂肪族ラジカルが直鎖又は分枝鎖であることができ、ラジカルの1つがイオン性の水溶性基、例えば、カルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート、又はホスホネートを含有するものである。
【0089】
本発明の組成物に有用な両性界面活性剤の非限定例は、マカッチャン(McCutcheon)の「洗剤及び乳化剤(Detergents and Emulsifiers)」、北アメリカ版(1986)、アルレッド・パブリッシング・コーポレーション(allured Publishing Corporation)出版;及びマカッチャンの「機能材料(Functional Materials)」、北アメリカ版(1992)に開示されている。
両性界面活性剤又は双極性界面活性剤の非限定例は、ベタイン類、スルタイン類、ヒドロキシスルタイン類、アルキルイミノアセテート類、イミノジアルカノエート類、アミノアルカノエート類、及びこれらの混合物から成る群から選択されるものである。
【0090】
本明細書に用いるのに好ましい発泡性界面活性剤は、次の通りである。すなわち、陰イオン性発泡性界面活性剤は、ラウロイルサルコシン酸アンモニウム、トリデセス硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸アンモニウム、ココイルイセチオン酸ナトリウム、ラウロイルイセチオン酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、ラウロイル乳酸ナトリウム(sodium lauroyl lactylate)、ラウロイル乳酸トリエタノールアミン(triethanolamine lauroyl lactylate)、及びこれらの混合物から成る群から選択され;非イオン性発泡性界面活性剤は、ラウラミンオキシド、ココアミンオキシド、デシルポリグルコース、ラウリルポリグルコース、スクロースココエート、C12〜14グルコサミド類(glucosamides)、スクロースラウレート、及びこれらの混合物から成る群から選択され;両性発泡性界面活性剤は、ラウロアンホ二酢酸二ナトリウム、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、セチルジメチルベタイン、ココアミドプロピルベタイン、ココアミドプロピルヒドロキシスルタイン、及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0091】
(泡体積試験)
本発明の物品は、好ましくは、当該物品が平均泡体積約30ml以上、より好ましくは約50ml以上、さらにより好ましくは約75ml以上、最も好ましくは約150ml以上を発生させることができるような、十分な発泡性界面活性剤を含む。平均泡体積は、泡体積試験によって決定される測定値である。この試験は、本明細書に記載の物品によって発生する泡/フォームの体積の一貫した測定値を提供する。泡体積試験の手順は、次のように記載される:
(1)試験を実施する前に手をアイボリー石鹸(Ivory bar)で洗う。この工程は、測定の確度に影響を及ぼし得る汚れを除去する。
(2)利き手でない方の手で、試験物品を、その縁部を上に向けて開いて持つ。
(3)35℃(95°F)において、10cc注射器又はブリンクマン・リピペッター(Brinkmann repipetter)によって、水10ml(中間の硬度、約8〜10グレイン/ガロン)を試験物品上に加える。
(4)次いで、利き手を用いて、手の平の間で適度な圧力(例えば、113g(4オンス))を使用して、6秒間の円形運動(毎秒約2回転)で試験物品を擦り合わせ、当該物品を手の平の間で丸めることによって、泡を発生させる。
(5)次いで、試験物品を聞き手でない方の手で開いて持ち、35℃(95°F)において、10cc注射器又はブリンクマン・リピペッター(Brinkmann repipetter)によって、さらに10mlの水(中間の硬度、約8〜10グレイン/ガロン)を試験物品上に加える。濡らされた物品を、再び、利き手を用いて、試験物品が手の平の間で丸まるように適度な力(例えば、113g(4オンス))を使用して擦り合わせる(3回転)。
(6)次いで、試験物品を開き、物品の一端を片手で保持し、反対側を保持している手を回転させることによって5回擦り合わせ、発泡をさらに活発にする。
(7)次いで、試験物品をひっくり返し、反対の手を用いて工程(6)を繰り返す。
(8)カップ状にすぼめた手の中で試験物品を保持し、別の手で試験物品から泡を掻き取ることによって泡を集める。泡だけを試験物品から掻き取るように注意する。試験物品から得られた泡を、発生した泡を保持するのに十分な大きさのメスシリンダー又はビーカーに入れる。同一試験物品についてこの手順を5回繰り返し、各反復の際に得られた泡を同一のメスシリンダー又はビーカー内に溜める。これらの反復によって溜まった泡の合計を、泡体積と呼ぶ。
(9)一貫した結果を達成させるために、工程1〜8の3つの試験試料反復の平均値として、平均泡体積を記録する。
【0092】
(コンディショニング成分)
本発明の物品は、好ましくは、物品を使用する間に皮膚又は毛髪にコンディショニング効果を与えるのに有用なコンディショニング成分をさらに含む。コンディショニング成分は、前記水不溶性基材の約0.05重量%〜約99重量%、好ましくは約0.1重量%〜約50重量%、より好ましくは約1重量%〜約25重量%含まれることができる。
【0093】
本発明に有用なコンディショニング成分は、水溶性コンディショニング剤;油溶性コンディショニング剤;コンディショニングエマルション;又はこれら3つの組み合わせ若しくは置換を含むことができる。油溶性コンディショニング剤は、当該油溶性コンディショニング剤の加重算術平均溶解度パラメータが10.5以下になるような、1以上の油溶性コンディショニング剤から選択される。水溶性コンディショニング剤は、当該水溶性コンディショニング剤の加重算術平均溶解度パラメータが10.5より大きくなるような、1以上の水溶性コンディショニング剤から選択される。溶解度パラメータのこの数学的定義に基づけば、例えば、化合物の1つが10.5を超える個別の溶解度パラメータを有する場合、必要な加重算術平均溶解度パラメータ、すなわち10.5以下は、2つ以上の化合物を含む油溶性コンディショニング剤について達成可能なことが認識される。反対に、化合物の1つが10.5以下の個別の溶解度パラメータを有する場合、適切な加重算術平均溶解度パラメータ、すなわち10.5より大きい値は、2つ以上の化合物を含む水溶性コンディショニング剤について達成可能である。
溶解度パラメータは、当該技術分野の配合化学者には周知であり、配合過程において物質の適合性及び溶解度を決定する指針として日常的に使用されている。
【0094】
コンディショニング剤として有用なコンディショニング剤の非限定例には、脂肪酸類、脂肪酸類のエステル類、脂肪族アルコール類、エトキシル化アルコール類、ポリオールポリエステル類、グリセリン、グリセリンモノエステル類、グリセリンポリエステル類、表皮性及び皮脂性炭化水素、ラノリン、直鎖及び分枝状炭化水素、シリコーンオイル、シリコーンゴム、植物油、植物油付加物、硬化植物油類、非イオン性ポリマー類、天然ワックス類、合成ワックス類、ポリオレフィン系グリコール類、ポリオレフィン系モノエステル、ポリオレフィン系ポリエステル類、コレステロール類、コレステロールエステル類、並びにこれらの混合物から成る群から選択されるものが挙げられる。
【0095】
より詳細には、コンディショニング剤は、パラフィン、鉱油、ワセリン、ステアリルアルコール、セチルアルコール、セテアリルアルコール、ベヘニルアルコール、スクロースのC10〜C30ポリエステル類、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、リシノール酸、ステアレス−1〜100、セテアレス1〜100、コレステロール類、コレステロールエステル類、グリセリルトリベヘネート、グリセリルジパルミテート、グリセリルモノステアレート、トリヒドロキシステアリン、オゾケライトワックス、ホホバワックス、ラノリンワックス、エチレングリコールジステアレート、キャンデリラ蝋、カルナバ蝋、蜜蝋、及びシリコーンワックス類から成る群から選択されてよい。
【0096】
鉱油は、液状ワセリンとしても知られ、石油から得られる液状炭化水素の混合物である。ザ・メルク・インデックス(The Merck Index)、第10版、エントリー7048、1033頁(1983)、及び国際化粧品成分事典(International Cosmetic Ingredient Dictionary)、第5版、第1巻、415〜417頁(1993)を参照のこと。
【0097】
ワセリンは、石油ゼリーとしても知られ、非直鎖の固体炭化水素と沸点の高い液状炭化水素とのコロイド系であり、ほとんどの液状炭化水素はミセルの内側に保持されている。ザ・メルク・インデックス(The Merck Index)、第10版、エントリー7047、1033頁(1983);シンドラー(Schindler)、薬品・化粧品産業(Drug.Cosmet.Ind.)、89、36〜37、76、78〜80、82(1961);及び国際化粧品成分事典(International Cosmetic Ingredient Dictionary)、第5版、第1巻、537頁(1993)を参照のこと。
【0098】
また、ポリジアルキルシロキサン類、ポリジアリールシロキサン類、及びポリアルカリールシロキサン類のような非揮発性シリコーン類も、有用な油類である。これらのシリコーン類は、米国特許第5,069,897号(オール(Orr)、1991年12月3日発行)に開示されている。
【0099】
本発明で好ましくは使用されるコンディショニング成分は、また、物品を使用する間に皮膚又は毛髪にコンディショニング効果を提供するのに有用なコンディショニングエマルションも含んでよい。本明細書で使用する時、用語「コンディショニングエマルション」は、油溶性剤を含む外相によって包まれた、水溶性コンディショニング剤を含む内相の組み合わせを意味する。好ましい実施形態では、コンディショニングエマルションは、乳化剤をさらに含む。コンディショニングエマルションは、前記水不溶性基材の約0.25重量%〜約150重量%、好ましくは約0.5重量%〜約100重量%、より好ましくは約1重量%〜約50重量%含まれる。コンディショニングエマルションとは、油溶性剤を含む外相によって包まれた、水溶性コンディショニング剤を含む内相の組み合わせを意味する。好ましい実施形態では、コンディショニングエマルションは、乳化剤をさらに含む。
【0100】
コンディショニングエマルションは、(i)前述した水溶性コンディショニング剤を含む内相と、(ii)油溶性コンディショニング剤の項で前述した、又は米国特許第6,153,208号の「脂質硬度値を増大させるために使用される材料」の項で記載される油溶性剤を含む外相とを含む。他の実施形態では、コンディショニングエマルションは、前記内相及び外相を有するエマルションを形成することができる乳化剤をさらに含む。本発明では内相及び外相を有するエマルションを形成することができる乳化剤が好ましいが、スキンケア配合の技術分野では、乳化剤なしで水溶性コンディショニング剤を油溶性剤によって包むことができることが認識されている。水溶性コンディショニング剤が油溶性剤で包まれており、それによってクレンジング過程中にすすぎ落とされないように保護されているのであれば、その組成物は、本発明の範囲内にある。
【0101】
コンディショニングエマルションを含有する本発明の好ましい実施形態は、内相及び外相を有するエマルションを形成することができる乳化剤を含む。本発明のエマルションでは、有効量の乳化剤が含まれる。「有効量」を構成するものは、油溶性剤のそれぞれの量、使用される乳化剤の種類、乳化剤中に存在する不純物の濃度などを含む、多くの因子によって決まる。通常、乳化剤は、コンディショニングエマルションの約0.1重量%〜約20重量%、好ましくは約1重量%〜約10重量%、より好ましくは約3重量%〜約6重量%含まれる。
【0102】
本発明に有用な乳化剤は、通常、特に脂質物質が融解する温度において、油溶性、又は油溶性の外相物質と混和性である。またそれは、比較的低いHLB値を有するべきである。本発明に用いるのに好適な乳化剤は、通常、約1〜約7の範囲内のHLB値を有しており、そのような乳化剤には、異なる乳化剤の混合物を含むことができる。好ましくは、これらの乳化剤のHLB値は、約1.5〜約6、より好ましくは約2〜約5となる。
【0103】
(重量比及び重量パーセンテージ)
本発明では、発泡性界面活性剤とコンディショニング成分との重量比は、好ましくは約40:7未満、より好ましくは約5:1未満、さらにより好ましくは約2.5:1未満、最も好ましくは約1:1未満である。
【0104】
本発明の特定の好ましい実施形態では、クレンジング及びコンディショニング成分は、発泡性界面活性剤と、油溶性コンディショニング剤及び水溶性コンディショニング剤をさらに含むコンディショニング成分とを含むものとして定義され、当該発泡性界面活性剤は、クレンジング及びコンディショニング成分の約1重量%〜約75重量%、好ましくは約10重量%〜約65重量%、より好ましくは約15重量%〜約45重量%含まれ、当該コンディショニング成分は、クレンジング及びコンディショニング成分の約15重量%〜約99重量%、好ましくは約20重量%〜約75重量%、より好ましくは約25重量%〜約55重量%含まれる。
【0105】
(追加成分)
本発明の物品上に添加される、又は当該物品に含浸される組成物は、広範な任意成分を含んでよい。特に有用であるのは、クレンジング及びコンディショニング過程の間に、皮膚又は毛髪の、コンディショニング以外又はクレンジング以外の様々な効果を送達するのに有用な、添加ポリマー、様々な活性成分、及び陽イオン性界面活性剤である。これらの種類の追加成分については、プロクター&ギャンブル(Procter & Gamble)のPCT特許出願WO99/13861(1999年3月25日公開)(P&G案件6840)にさらに詳細に記載されている。
【0106】
(その他の任意成分)
本発明の物品は、その他の広範な任意成分を含むことができる。これらの追加成分は、製薬上許容できるものでなければならない。CTFA化粧品成分ハンドブック(CTFA Cosmetic Ingredient Handbook)、第2版(1992)には、スキンケア業界で一般に使用されている多種多様な非限定的な化粧品及び医薬品成分が記載されており、それらは本発明の組成物に使用するのに適している。成分の機能的部類についての非限定例が、この参照文献の537頁に記載されている。これら及び他の機能的部類の例には、研磨材、吸収剤、固化防止剤、酸化防止剤、ビタミン類、結合剤、生物学的添加物、緩衝剤、充填剤、キレート剤、化学的添加剤、着色剤、化粧用収斂剤、化粧用殺生物剤、変性剤、薬物収斂剤、外用鎮痛剤、被膜形成剤、芳香剤成分、保湿剤、不透明化剤、pH調整剤、防腐剤、噴射剤、還元剤、皮膚漂白剤、及び日焼け止め剤が挙げられる。
同様に本明細書に有用であるのは、芳香剤、色素、染料、精油、皮膚感覚剤、収斂剤、皮膚鎮静剤、及び皮膚回復剤のような、審美的構成成分である。
【0107】
(製造方法)
本発明の使い捨て可能な1回使用のパーソナルケアクレンジング物品は、発泡性界面活性剤、及び任意でコンディショニング成分を、別々に又は同時に、水不溶性基材上に添加し、又は水不溶性基材に含浸させることによって製造することができる。必要ならば、得られる物品を、その後乾燥させることができる。「別々に」とは、界面活性剤及びコンディショニング剤を、初めに組み合わせずに、任意の順序で順次添加できることを意味する。「同時に」とは、界面活性剤及びコンディショニング剤を、初めに組み合わせて又は初めに組み合わせずに、同時に添加できることを意味する。
【0108】
発泡性界面活性剤及び/又はコンディショニング成分は、当業者に既知の任意の手段を使用して、基材上に添加することができ、又は基材に含浸させることができる。これらの構成成分は、様々なスプレー法、浸透(soaking)法、コーティング法、又は浸漬(dipping)法を使用して適用することができる。過剰な界面活性剤及び/又はコンディショニング成分は、除去すべきである(例えば、ニッピング法による)。その後、処理された基材を、従来の手段によって乾燥させるべきである。
【0109】
前述した2層を含有する実施形態の場合、発泡性界面活性剤及び/若しくはコンディショニング成分を、やはり、任意の順序で、いずれかの層(100又は200)上に添加することができ、又は当該層に含浸させることができる。あるいは、発泡性界面活性剤及び/若しくはコンディショニング成分を、得られる上層100と基層200との組み合わせ上に添加することもでき、又は当該組み合わせに含浸させることもできる。発泡性界面活性剤及び/又はコンディショニング成分による処理は、上層100及び基層200の接合前又は接合後のいつでも達成させることができる。処理の順番に関わらず、過剰な界面活性剤及び/又はコンディショニング成分は、(例えば、ニッピング法によって)除去すべきである。その後、処理された材料(例えば、上層100、基層200、層100及び200の両方、又は接合された基材)を、従来の手段によって乾燥させるべきである。
【0110】
例えば、上層100を基層200に接合する前に、基層を発泡性界面活性剤で処理することができる。2層を接合した後に、層100及び/又は200の外表面(例えば、接合されていない表面)のいずれかをコンディショニング成分で処理することができる。あるいは、2層を接合する前に、発泡性界面活性剤及びコンディショニング剤を同時に基層200上に添加することもでき、又は当該基層200に含浸させることもできる。あるいは、発泡性界面活性剤及びコンディショニング剤を混ぜ合わせてから、基層200上に添加することもでき、又は当該基層200に含浸させることもできる。
【0111】
あるいは、2層を接合する前に、上層100の伸長又は延伸を引き起こさない方法を用いて、当該上層100を発泡性界面活性剤で処理することもできる。これは、上層を製造する際に達成させることができ、又は当業者に周知の様々な適用方法によって達成させることができる。適用方法の非限定例には、押出コーティング及びスロットコーティングが挙げられる。
【0112】
界面活性剤、コンディショニング剤、及びいかなる任意成分も、当業者に公知のいかなる手段、例えば、噴霧、ジェット印刷、飛沫(splashing)、浸漬(dipping)、浸透(soaking)、若しくはコーティング(例えば、スロットコーティング、グラビアなど)によって、いずれかの層(100若しくは200)若しくは得られる接合層(100及び200)上に添加することができ、又は当該層に含浸させることができる。
【0113】
製造プロセスにおいて水若しくは湿分が使用される時又は存在する時には、得られる処理された基材を、その後、当該基材が水を実質的に含まないように、好ましくは乾燥させる。処理された基材は、当業者に既知の任意の手段によって乾燥させることができる。既知の乾燥手段の非限定例には、対流式オーブン、放射熱源、電子レンジ、強制空気式オーブン、及び加熱ローラ又はカンの使用が挙げられる。また、乾燥には、周囲環境に存在する以外の熱エネルギーを追加しない、空気乾燥が含まれる。また、様々な乾燥方法の組み合わせを使用することもできる。
【0114】
好ましくは、使用時に水で濡らされると、本発明の物品は、平均泡体積約30ml以上、より好ましくは約50ml以上、さらにより好ましくは約75ml以上、最も好ましくは約150ml以上を発生させることができる。
【0115】
(皮膚又は毛髪のクレンジング及びコンディショニング方法)
本発明は、また、本発明のパーソナルクレンジング物品で皮膚又は毛髪をクレンジング及びコンディショニングする方法に関する。これらの方法は、水不溶性基材、発泡性界面活性剤、及び任意にコンディショニング成分を含む、実質的に乾燥した使い捨て可能な1回使用のパーソナルクレンジング物品を水で濡らす工程と、皮膚又は毛髪をこうして濡らされた当該物品と接触させる工程とを含む。他の実施形態では、本発明は、また、皮膚又は毛髪に様々な活性成分を送達するにも有用である。
【0116】
本発明の物品は、使用前に水で濡らすことが意図されている。当該物品は、水に浸すことによって、又は流水下に置くことによって濡らされる。当該物品を皮膚又は毛髪と接触させる前又は接触させている間に、当該物品を機械的に攪拌し、及び/又は変形させることによって、当該物品から泡が発生する。好ましくは、本発明の物品は、濡らされると、平均泡体積約30ml以上、より好ましくは約50ml以上、さらにより好ましくは約75ml以上、最も好ましくは約150ml以上を発生する。得られる泡は、皮膚又は毛髪のクレンジング及びコンディショニングに有用である。クレンジング過程及びその後の水によるすすぎの間に、コンディショニング剤及び活性成分が皮膚又は毛髪に付着する。基材を皮膚又は毛髪と物理的に接触させることによって、コンディショニング剤及び活性成分の付着が向上する。
【0117】
理論に制限されるものではないが、基材は、泡の発生、並びにコンディショニング剤及び他の任意の活性成分の付着に大きく寄与すると考えられている。この発泡性及び付着の向上は、基材の表面作用の結果であると考えられている。結果として、より低刺激性の、きわめて少量の界面活性剤を使用することができる。必要な界面活性剤の量の減少は、界面活性剤による皮膚又は毛髪の乾燥効果の低減に関連すると考えられている。さらに、界面活性剤の量が減少すると、界面活性剤がコンディショニング剤の付着に対して示す妨害作用(例えば、界面活性剤による乳化又は直接的な除去による妨害作用)が劇的に低減される。
【0118】
さらに理論に制限されるものではないが、基材は、また、コンディショニング剤及び活性成分の付着を向上させると考えられている。本発明が乾燥形態であるので、本発明は、コンディショニング剤及び活性成分の付着を妨害し得る乳化剤を必要としない。さらに、スキンコンディショナー及び活性成分が基材上で乾燥し、又は基材に含浸されているので、濡らされた物品を皮膚に表面接触させることによって、皮膚又は毛髪に直接移動する。
【0119】
また、基材は、クレンジング性も向上させる。基材は、各面に異なるテクスチャ、例えば、粗い面と滑らかな面とを有することができる。基材、特に多層構造の基材は、効率的な発泡及び角質除去用具として機能する。皮膚又は毛髪と物理的に接触させることによって、基材は、汚れ、メークアップ、死んだ皮膚細胞、及び他の残骸のクレンジング及び除去に大いに役立つ。
最後に、少なくとも湿潤延伸性のある部分を有する基材は、洗い布の望ましい特質(例えば、適切なテクスチャ、厚さ、及びバルク)を提供する。
【0120】
発明の詳細な説明で引用したすべての文献は、その関連部分において本明細書に参考として組み込まれる。いかなる文献の引用も、それが本発明に対する従来技術であることを認めるものと解釈すべきではない。
【0121】
本発明の特定の実施形態について説明及び記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、その他の様々な変更及び修正が可能なことが、当業者には明白である。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明のクレンジング物品の一実施形態の平面図であり、当該物品が延伸性のある孔あき上層と延伸性のより低い基層とを含んでおり、当該上層が手前に向けて示されており、上層を基層へと結合する働きをする接着剤の概ね平行な一連の交差線の連続的な網状構造を示すために、上層の一部分が切り欠かれて示されており、結合領域が概ね菱形の非結合領域を画定している図。
【図2A】図1の線2−2によって示された方向に沿った、本発明のクレンジング物品の断面図であり、孔あき上層を濡らす前の物品を示す図。
【図2B】図1の線2−2によって示された方向に沿った断面図であり、孔あき上層を濡らした後の物品を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚又は毛髪のクレンジングに特に有用な使い捨て可能な1回使用のパーソナルクレンジング物品であって、
(A)少なくとも1つのクレンジング表面を有する水不溶性基材と、
(B)前記基材と放出可能なように結合された、前記基材の0.5重量%〜250重量%の発泡性界面活性剤と
を含み、
前記水不溶性基材が、上層及び基層を含み、前記基層が、ラテックスコーティングされたセルロース繊維を含む、使い捨て可能な1回使用のパーソナルクレンジング物品。
【請求項2】
前記発泡性界面活性剤が、前記水不溶性基材の0.5重量%〜50重量%含まれる、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
使用前には実質的に乾燥している、請求項1又は2に記載の物品。
【請求項4】
前記ラテックスコーティングされたセルロース繊維が、アクリル、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルアクリル、アクリルマルチポリマー、エチレンビニルアセテート(EVA)、及びこれらのコポリマーから成る群から選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の物品。
【請求項5】
前記ラテックスコーティングされたセルロース繊維が、完成した基材の乾燥繊維重量を基準にして0.1重量%〜25重量%のラテックスコーティングを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の物品。
【請求項6】
前記基材のクレンジング表面は、平均サイズが直径0.5〜5mmの範囲であり、かつ、前記基材の前記クレンジング表面内に1リニアセンチメートル当たり0.5〜12個の頻度で配置される複数の孔を含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の物品。
【請求項7】
前記孔の平均サイズが、1mm〜4mmの範囲であり、かつ、基材における孔の頻度が、1リニアセンチメートル当たり1〜6個の範囲である、請求項6に記載の物品。
【請求項8】
前記基材上に添加された、又は前記基材に含浸されたコンディショニング成分をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の物品。
【請求項9】
前記コンディショニング成分が、脂肪酸類、脂肪酸類のエステル類、脂肪族アルコール類、エトキシル化アルコール類、ポリオールポリエステル類、グリセリン、グリセリンモノエステル類、グリセリンポリエステル類、表皮性及び皮脂性炭化水素、ラノリン、直鎖及び分枝状炭化水素、シリコーンオイル、シリコーンゴム、植物油、植物油付加物、硬化植物油類、非イオン性ポリマー類、天然ワックス類、合成ワックス類、ポリオレフィン系グリコール類、ポリオレフィン系モノエステル、ポリオレフィン系ポリエステル類、コレステロール類、コレステロールエステル類、及びこれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1つの物質を含む、請求項8に記載の物品。
【請求項10】
前記コンディショニング成分が、パラフィン、鉱油、ワセリン、ステアリルアルコール、セチルアルコール、セテアリルアルコール、ベヘニルアルコール、スクロースのC10〜C30ポリエステル類、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、リシノール酸、ステアレス−1〜100、セテアレス1〜100、コレステロール類、コレステロールエステル類、グリセリルトリベヘネート、グリセリルジパルミテート、グリセリルモノステアレート、トリヒドロキシステアリン、オゾケライトワックス、ホホバワックス、ラノリンワックス、エチレングリコールジステアレート、キャンデリラ蝋、カルナバ蝋、蜜蝋、及びシリコーンワックス類から成る群から選択される少なくとも1つの物質を含む、請求項9に記載の物品。
【請求項11】
前記発泡性界面活性剤が、陰イオン性発泡性界面活性剤、非イオン性発泡性界面活性剤、両性発泡性界面活性剤、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の物品。
【請求項12】
前記陰イオン性発泡性界面活性剤が、サルコシネート類、サルフェート類、イセチオネート類、ホスフェート類、タウレート類、ラクチレート類、グルタメート類、及びこれらの混合物から成る群から選択され;前記非イオン性発泡性界面活性剤が、アミンオキシド類、アルキルグルコシド類、アルキルポリグルコシド類、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド類、アルコキシル化脂肪酸エステル類、スクロースエステル類、及びこれらの混合物から成る群から選択され;前記両性発泡性界面活性剤が、ベタイン類、スルタイン類、ヒドロキシスルタイン類、アルキルイミノアセテート類、イミノジアルカノエート類、アミノアルカノエート類、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項11に記載の物品。
【請求項13】
前記水不溶性基材が、
(A)上層を含み、前記上層は、当該上層が濡らされた時に当該上層平面内で湿潤延伸性があり、及び、
(B)濡らされた時の湿潤延伸性が前記上層よりも低い基層を含み、
前記上層の選択された部分は、前記上層の平面内での前記上層の湿潤延伸を妨げるのに十分な方式で前記基層に接合される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の物品。
【請求項14】
前記上層が孔あきであり、少なくとも4%の湿潤延伸性を有する、請求項13に記載の物品。
【請求項15】
前記上層が、クレープ加工されたペーパーウェブを含み、かつ、前記基層が孔あきでなく、前記ラテックスコーティングされたセルロース繊維を含む、請求項14に記載の物品。
【請求項16】
前記基材上層の選択された部分が、前記基材基層に接着剤で結合されて、前記基材内に、離隔された概ね平行な複数の結合領域と、離隔された概ね平行な複数の非結合領域とを提供する、請求項15に記載の物品。
【請求項17】
前記基材上層の選択された部分が、前記基材基層に接着剤で結合されて、分離した複数の非結合領域を画定する連続的な網状構造の結合領域を提供する、請求項16に記載の物品。
【請求項18】
濡らされると、30ml以上の平均泡体積を発生させることができる、請求項1〜17のいずれか一項に記載の物品。
【請求項19】
濡らされると、75ml以上の平均泡体積を発生させることができる、請求項18に記載の物品。
【請求項20】
前記繊維が、シート、マット、又はパッド層に形成される、請求項1〜19のいずれか一項に記載の物品。
【請求項21】
前記基材は、セルロース繊維を所望の長さに切断し、水又は空気の流れに通し、次いで繊維を含んだ空気又は水を通過させるスクリーン又はベルト上に堆積させる、エアレイ法又はウォーターレイ法によって作製される、請求項1〜20のいずれか一項に記載の物品。
【請求項22】
前記基材が、丸みを帯びたコーナーを有しており、前記コーナーは、半径2〜3cmである、請求項1〜21のいずれか一項に記載の物品。
【請求項23】
使い捨て可能な1回使用のパーソナルケアクレンジング物品の製造方法であって、少なくとも1つの発泡性界面活性剤を、クレンジング表面を有する水不溶性基材上に添加する工程、又は前記水不溶性基材に含浸させる工程を含み、前記基材が、ラテックスコーティングされたセルロース繊維を含み、かつ、得られる前記物品が実質的に乾燥している、製造方法。
【請求項24】
前記基材が、平均直径0.5mm〜5mmの範囲であり、かつ、1リニアセンチメートル当たり0.5〜12個の頻度を有する孔を含有する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
パーソナルクレンジング物品で皮膚又は毛髪をクレンジングする方法であって、
(A)
(i)クレンジング表面を有する水不溶性基材であって、ラテックスコーティングされたセルロース繊維を含む基材、及び
(ii)少なくとも1つの発泡性界面活性剤
を含む、実質的に乾燥した使い捨て可能な1回使用のパーソナルクレンジング物品を水で濡らす工程と、
(B)皮膚又は毛髪を前記濡らされた物品と接触させる工程と
を含む、クレンジング方法。
【請求項26】
前記物品が、皮膚又は毛髪用のコンディショニング剤をさらに含む、請求項25に記載の方法。




【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【公表番号】特表2006−501162(P2006−501162A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−510747(P2004−510747)
【出願日】平成15年6月6日(2003.6.6)
【国際出願番号】PCT/US2003/018042
【国際公開番号】WO2003/103627
【国際公開日】平成15年12月18日(2003.12.18)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】