説明

皮膚外用剤

【課題】皮膚の掻痒感、特に知覚過敏型の掻痒感を素早く抑制する外用剤の提供
【解決手段】皮膚外用剤において、低級アルコール(例えばエタノール)が、カプサイシン類及びクロタミトンと併用されないか、または併用されても少量とする。すなわち、カプサイシン類及びクロタミトンを含有し、低級アルコールを0以上5重量%未満含有する皮膚外用剤である。
【効果】本発明では、カプサイシン類及びクロタミトンを含有し、低級エタノールを含まないか、非常に少量含むことにより、皮膚適用後の非常に早い時期から掻痒感の抑制作用が発揮される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掻痒感の改善作用を有する皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚の掻痒感(かゆみ)は耐え難く、不快な症状である。その原因は、敏感肌、アトピー性皮膚炎、虫さされによる炎症など多種多様である。さらに、敏感肌は、表皮バリアが崩壊したタイプ(例えば乾燥肌)、炎症タイプ、知覚過敏タイプに分類される。知覚過敏タイプ以外は皮膚表面に何らかの器質的障害を伴うので、投与する薬剤の性質、剤型などに注意を要する。一方で、知覚過敏タイプは皮膚の性状は健常であるものの、かゆみ知覚神経が過敏であるために掻痒感を感じる症状である。
【0003】
これら多様なかゆみ症状を改善するため、抗炎症成分を配合した外用剤や保湿成分を配合した外用剤、活性剤フリーの低刺激性外用剤などの種々の外用剤が開発されており、また、とりわけ乾燥肌などに対する製剤の技術が多く見受けられるが(特許文献1、特許文献2参照)、かゆみを知覚しなくなるまでの時間が長く即効性に欠け、または持続性に欠けるなどの改善を要するものであった。特に、知覚過敏型の掻痒感の場合、皮膚表面は健常であるため、薬剤の浸透性が低く、即効性優れた製剤の要望が顕著に高かった。
【0004】
ここで、カプサイシンにより知覚神経を脱感作させることで掻痒感を改善させることが知られている。カプサイシンによる掻痒感の改善は、カプサイシンが知覚神経に作用して知覚神経を脱感作されることで達成される(この際、脳には温熱感が伝達され、掻痒感は伝達されない)。そして、カプサイシンによって掻痒感を低下させる技術が報告されている(特許文献3参照)。しかしながら、この文献に記載の技術も掻痒感に対する即効性の点では満足のいくものではなかった。
【特許文献1】特開2005−263660号公報
【特許文献2】特開2001−213772号公報
【特許文献3】特開2001−226400号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、カプサイシンの即効性および持続性に優れ、掻痒感の改善が非常に早く発揮される外用剤の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記従来技術の問題点に鑑み鋭意検討を重ねた結果、カプサイシン類と鎮痒剤として知られるクロタミトンとを併用し、その際、低級アルコールを存在させないか、存在しても微量である場合に、カプサイシンの知覚神経に対する作用を即効かつ持続的なものとし、非常に早く掻痒感が改善され、その効果が持続することを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は下記の皮膚外用剤に係るものである。
項1.カプサイシン類及びクロタミトンを含有する皮膚外用剤であって、低級アルコールを0以上5重量%未満含有する皮膚外用剤。
項2.低級アルコール含有量が0〜3重量%である項1に記載の皮膚外用剤。
項3.低級アルコール含有量が0以上1重量%未満である項1又は2に記載の皮膚外用剤。
項4.カプサイシン類を0.005〜0.1重量%含有し、クロタミトンを3〜20重量%含有する項1〜3のいずれかに記載の皮膚外用剤。
項5.さらに水を含有する項1〜4のいずれかに記載の皮膚外用剤。
項6.さらにリン脂質及び常温液状の油分からなる群から選択される少なくとも1種を含有する項1〜5のいずれかに記載の皮膚外用剤。
項7.軟膏剤である項1〜6のいずれかに記載の皮膚外用剤。
項8.掻痒感改善用である項1〜7のいずれかに記載の皮膚外用剤。
項9.知覚過敏型肌の掻痒感改善用である項1〜8のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【0008】
本発明の皮膚外用剤は、カプサイシン類及びクロタミトンを含有し、低級アルコールを0以上5重量%未満含有することを特徴とする。すなわち、本発明の皮膚外用剤において、低級アルコールは、カプサイシン類及びクロタミトンと併用されないか、または併用されても少量である。本発明では、このような構成を採用することにより、皮膚適用後の非常に早い時期から掻痒感の改善作用が発揮される。
【0009】
本発明において、カプサイシン類はカプサイシン、ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン等を包含し1種単独又は2種以上組み合わせることができるが、知覚神経への効果的な作用から、好ましくはカプサイシンである。また、カプサイシン類はそれ自身のみならず、カプサイシンを含有する植物、植物抽出物等(例えばトウガラシエキス、トウガラシチンキ等)の形態で本発明の皮膚外用剤に配合することもできる。本発明においてカプサイシン類の含有量は、カプサイシンとして通常0.005〜0.1重量%、好ましくは0.01〜0.025重量%である。含有量がこれらの範囲にあると、高い脱感作作用が得られ、また、痛覚を生じにくい傾向となる。
【0010】
本発明において、クロタミトンの含有量は、通常3〜20重量%、好ましくは5〜15重量%である。含有量がこれらの範囲にあると、カプサイシンの作用を増強する効果が高く、また、皮膚刺激が低い傾向となる。
【0011】
本発明において、低級アルコールの含有量は0以上5重量%未満であり、好ましくは0〜3重量%、より好ましくは0以上1重量%未満であり、低級アルコールが含有されないことが最も好ましい。本発明では低級アルコール含有量が少ないほど掻痒感改善作用が早期に発揮される。本発明において低級アルコールを含有させる場合、外用剤の分野で利用されうるものを特に制限なく使用でき1種のみ含有されていても2種以上含有されていてもよい。低級アルコールの例としては、無水エタノール、エタノール、メタノール、イソプロパノール又はこれらの変性アルコール(フェニル変性アルコール、8−アセチル化ショ糖変性アルコールなど)などが挙げられる。好ましい低級アルコールは、無水エタノール、エタノール、メタノール、イソプロパノールであり、より好ましい低級アルコールは、無水エタノール、エタノール、イソプロパノールである。
【0012】
本発明においては水を含有することが望ましく、配合できる水の例としては、精製水、蒸留水、滅菌水、生理食塩水、海洋深層水などが挙げられ、好ましくは精製水である。
【0013】
本発明においては経皮吸収性を向上させる点から、リン脂質及び常温液体の油分から選択される1種又は2種以上選択することが望ましい。配合できるリン脂質の例としては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、プラスマロゲン、エーテルリピド、カルジオリピン等のグリセロリン脂質、これらを複合的に含むレシチン(大豆レシチン、卵黄レシチン、精製水素添加大豆リン脂質)、スフィンゴミエリン等のスフィンゴリン脂質などが挙げられ、好ましくはレシチンである。
【0014】
常温液状の油分の例としては、流動パラフィン、軽質流動パラフィン、スクワランなどの炭化水素類、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸オクチルドデシルなどのエステル油類、ミツロウ、オリーブ油、カカオ油、ゴマ油、ダイズ油、ツバキ油、ラッカセイ油、牛油、豚油、鶏油、ラノリン等の油脂類などが挙げられる。
【0015】
本発明は、必要に応じて他の有効成分を本発明の効果を損なわない範囲において含有することが可能である。他の有効成分としては、例えば、ステロイド剤(デキサメタゾン、塩酸デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、塩酸ヒドロコルチゾン、吉草酸プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン等)、抗ヒスタミン剤(ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン等)、局所麻酔剤(リドカイン、ジブカイン、プロカイン、テトラカイン、ブピパカイン、メピパカイン、クロロプロカイン、プロパラカイン、メプリルカイン又はこれらの塩、安息香酸アルキルエステル(例えばアミノ安息香酸エチル、塩酸パラブチルアミノ安息香酸ジエチルアミノエチル)、オルソカイン、オキセサゼイン、オキシポリエントキシデカン、ロートエキス、ペルカミンパーゼ、テシットデシチン等)、抗炎症剤(グリチルレチン酸、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルレチン酸モノアンモニウム、アラントイン、サリチル酸、サリチル酸グリコール等)、殺菌剤(塩化ベンザルコニウム、塩化デカリニウム、塩化ベンゼトニウム、イソプロピルメチルフェノール、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、アンモニア水、スルファジアジン、乳酸、フェノール等)、鎮痒剤(チアントール等)、皮膚保護剤(コロジオン、ヒマシ油等)などが挙げられる。
【0016】
また、本発明は、所望の剤型にするために基剤を含有できる。例えば、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、コーンスターチ、トラガントガム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、カラギーナン、マンナン、アガロース、デキストリン、カルボキシメチルデンプン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、メトキシエチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プルラン等のポリマー類;白色ワセリン、黄色ワセリン、パラフィン、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;ゲル化炭化水素(例えば、商品名プラスチベース、ブリストルマイヤーズスクイブ社製);ステアリン酸等の高級脂肪酸;セタノール、オクチルドデカノール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;ポリエチレングリコール(例えば、マクロゴール4000等);プロピレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、濃グリセリン等の多価アルコール;モノオレイン酸エステル、ステアリン酸グリセリド等の脂肪酸エステル類;リン酸緩衝液等である。基剤は、剤型に応じてその種類、量等を適宜選択できる。
【0017】
また、本発明は、必要に応じて添加剤を本発明の効果を損なわない範囲において含有できる。添加剤としては、例えば、溶解補助剤(ポリビニルピロリドン等)、無機充填剤(タルク、カオリン、ベントナイト、酸化亜鉛、酸化チタン等)、老化防止剤、pH調節剤(トリエタノールアミン等)、保湿剤(尿素、セラミド)、防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、クエン酸、クエン酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ砂等)、粘稠剤(コンドロイチン硫酸ナトリウム等)、酸化防止剤(ジブチルヒドロキシトルエン等)、清涼化剤(l−メントール、dl−メントール、d−カンフル、dl−カンフル、薄荷油、樟脳油、乳酸メンチル、クーリングエージェント、リモネン、チモール、ウイキョウ油、ユーカリ油、キシリトール等)などが使用できる。好ましい添加剤としては、pH調整剤、保湿剤、防腐剤、酸化防止剤などが挙げられる。
【0018】
本発明の剤型は、皮膚に適用可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、軟膏剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、乳剤、粉剤、懸濁剤、エアゾール剤、液剤などや、基剤を支持体上に支持させた硬膏剤、パップ剤、テープ剤、プラスター剤などが挙げられる。好ましくは、軟膏剤、乳剤、懸濁剤、ゲル剤、ローション剤、液剤であり、さらに好ましくは、軟膏剤である。
【0019】
上記支持体は、その剤型(例えば、パップ剤、テープ剤等)に応じて適宜選択されるが、薬物が不透過又は難透過性で柔軟なものが好ましく、例えば、酢酸セルロース、エチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、エチレン−ブチルアクリレート−一酸化炭素共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの樹脂フィルム;アルミニウムシート、織布、不織布など、及びこれらの積層シートなどが挙げられる。
【0020】
本発明の皮膚外用剤の使用量は、疾患の種類や症状の程度、患部の大きさなどによって異なるが、通常1回1患部当たり50〜500mg、好ましくは100〜300mgであり、使用回数は1日に1回又はそれ以上の適当な回数とすることができる。
【0021】
本発明の皮膚外用剤は、その剤型に応じた常法により製造することができる。例えば、軟膏剤を製造する場合、水などに水溶性有効成分、ポリマー類を分散させて水相とし、別に油類などに他の有効成分を溶解させて油相とし、80〜90℃の高温でこれらを合わせ、真空乳化機などの密閉条件下で撹拌混合できる機器で撹拌混合し乳化させるか、インライン式の高圧乳化機などで乳化させることにより軟膏剤を製造できる。
【0022】
本発明の皮膚外用剤は、皮膚に適用されると、カプサイシンの即効性、持続性に優れ、掻痒感の改善作用が非常に早く、かつ持続的に発揮される。特に、皮膚の性状が健常な者が感じる掻痒感、神経が過敏であるが故に感じてしまう掻痒感、例えば、繊維刺激や化粧品の塗布などの軽度な刺激でも惹起される掻痒感の改善(知覚過敏型肌掻痒感改善用)に効果を発揮する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の皮膚外用剤が皮膚に適用されると、カプサイシンの即効性が高まり、掻痒感が素早く改善され、かつその効果を持続させることができる。このような効果は意外にも、低級アルコールを含有させないか、含有させたとしても非常に低量とすることが大きく関与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を実施例等により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、表中の数値の単位はg(グラム)である。
【実施例】
【0025】
実施例1
表1に示す成分を含有する軟膏剤を製造した。すなわち、水にプロピレングリコールとカルボキシビニルポリマーを添加して水相とし、残りの成分を混合して油相とした後、各々を80〜90℃に加熱して混合し、密閉条件下で撹拌混合できる真空乳化機で撹拌混合し乳化することにより軟膏剤を調製した。
【0026】
実施例2〜8
実施例1と同様にして表1に示す成分を含有する軟膏剤を製造した。なお、ジフェンヒドラミン及び酢酸トコフェロールは油相に添加した。
【0027】
比較例1〜14
表2及び3に示す成分を使用し、実施例1と同様にして軟膏剤を製造した。なお、ジフェンヒドラミン、酢酸トコフェロール、l−メントールは油相に、エタノールは乳化後の製剤に、グリセリン及びd−ソルビトールは水相に添加した。
【0028】
試験例1
実施例1〜8及び比較例1〜14の軟膏剤を使用して皮膚の温熱感に関する官能試験を行った。皮膚が乾燥肌でない健常な状態(知覚過敏型肌)の者を被験者(5名)とし、被験者の首筋に実施例及び比較例の製剤を塗布してもらい、塗布直後、塗布から3、5及び10分後の温熱感を、SD法などで用いられる意味尺度を利用して6段階(最低0点、最高5点)(温熱感を覚えるほど高評点)で評価をしてもらった。評価項目及び評価方法は次のとおりである。結果を表1〜3に示した。
【0029】
評価項目
温熱感
評価方法
被験者5名のつけた6段階評価の点の合計点を次の区分で表した。
【0030】
◎:13点以上
○:10〜12点
△:3〜9点
×:0〜2点
【0031】
【表1】

【0032】
【表2】

【0033】
【表3】

【0034】
試験例2
実施例1〜3及び比較例1〜4の軟膏剤を使用して皮膚の掻痒感の改善に関する官能試験を行った。皮膚が乾燥肌でない健常な状態(知覚過敏型肌)の者を被験者(3名)とし、被験者がかゆみを発生した時にかゆみの発生した部位に実施例及び比較例の製剤を塗布してもらい、塗布直後と塗布から5分後のかゆみの抑制作用を、SD法などで用いられる意味尺度を利用して5段階(最低1点、最高5点)で評価をしてもらった。評価項目及び評価方法は次のとおりである。結果を表4に示した。
【0035】
評価項目
掻痒感の改善効果
評価方法
被験者3名のつけた5段階評価の点の合計点を次の区分で表した。
【0036】
◎:14〜15点
○:11〜13点
△:6〜10点
×:3〜5点
【0037】
【表4】

【0038】
比較例1〜7及び12の結果から、カプサイシンとクロタミトンのいずれか一方しか配合されていない場合には即効性の温熱感が得られないことが示された。また、クロタミトンを配合せずに、エタノールを配合した場合には、塗布から10分後には温熱感が得られたが、やはり即効性に欠けるものであることが示された。さらに、比較例8〜10の結果から、カプサイシンとクロタミトンを併用した場合であっても、エタノールを5重量%以上含有する場合には即効性の温熱感が得られないことが示された。これに対して、カプサイシンとクロタミトンを併用しエタノール含有量を5重量%未満とした実施例1〜8においては、即効かつ持続的な温熱感が得られることが示された。
【0039】
また、表4より、比較例1〜4においては、リドカインによる鎮痒効果がわずかに見られたがその鎮痒効果の即効性は不充分であったことから、カプサイシンとクロタミトンのいずれか一方しか配合されていない場合には即効性の掻痒感改善効果が得られないことが示された。これに対して、実施例1〜3においては、カプサイシン及びクロタミトンを併用して配合しているため、塗布直後から掻痒感の改善作用が発揮され、掻痒感の改善作用において優れた即効性がみられた。
【0040】
表2と4とを比較することにより、実施例1〜3及び比較例1〜4の温熱感と掻痒感の改善効果とは相関していることが確認できた。さらに、試験例2の皮膚性状が健常な人間を用いた掻痒感の改善試験の結果である表4より、実施例の製剤は、掻痒感、とくに知覚過敏型肌の掻痒感の改善効果に優れていることが確認された。
【0041】
処方例
表5に記載の組成にしたがって、常法により軟膏剤、乳剤、液剤、エアゾール剤、ゲル剤に製した。
【0042】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の皮膚外用剤は、かゆみ、特に知覚過敏型のかゆみを素早く抑制することを目的とした皮膚外用剤の分野で有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプサイシン類及びクロタミトンを含有する皮膚外用剤であって、低級アルコールを0以上5重量%未満含有する皮膚外用剤。
【請求項2】
低級アルコール含有量が0〜3重量%である請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
低級アルコール含有量が0以上1重量%未満である請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
カプサイシン類を0.005〜0.1重量%含有し、クロタミトンを3〜20重量%含有する請求項1〜3のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
さらに水を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
さらにリン脂質及び常温液状の油分からなる群から選択される少なくとも1種を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【請求項7】
軟膏剤である請求項1〜6のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【請求項8】
掻痒感改善用である請求項1〜7のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【請求項9】
知覚過敏型肌の掻痒感改善用である請求項1〜8のいずれかに記載の皮膚外用剤。

【公開番号】特開2007−269693(P2007−269693A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−97154(P2006−97154)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】