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皮膚外用剤
説明

皮膚外用剤

【課題】優れた美肌又は美白効果を奏する新規な皮膚外用剤を提供すること。
【解決手段】本発明は、次の成分(A)及び(B):(A)紅芋の根茎を麹菌及び酵母を用いて醗酵させ、搾った後の固形物を抽出して得られた紅芋醗酵抽出物、及び(B)抗炎症剤及び美白剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の薬剤を含有することを特徴とする皮膚外用剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤に関し、さらに詳しくは、紅芋の根茎の醗酵抽出物と、特定の薬効剤とを組み合わせることにより得られる、優れた美肌又は美白効果を奏する皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
クリーム、乳液、化粧水、洗浄料、美容液等の皮膚外用剤において、天然物由来の成分が持つ皮膚生理活性能を利用することに関して、多くの報告がある(例えば、特許文献1〜10)。特許文献1には、米ヌカまたは小麦フスマを有機溶媒で抽出して得たスフィンゴ脂質を利用した美白剤が記載されている。特許文献2には、オゴノリ属紅藻類からの塩類水溶液による液状抽出物を用いて、従来の美白剤単独の美白効果を向上させる美白効果向上剤が記載されている。特許文献3には、キク科植物の塊根又は塊茎に酸含有アルコール水溶液を接触させて溶剤抽出を行い、得られた溶剤抽出物にエステル系溶剤を接触させて抽出し、次いで得られたエステル系溶剤抽出液からエステル系溶剤を除去して得られた抽出物で、抗酸化活性を有する2,4-ヘキサジエナール誘導体を含むことを特徴とするキク科植物由来の抗酸化剤が記載されている。特許文献4には、シロダモ属植物の抽出物を有効成分として含有する保湿剤、アルギナーゼ活性促進剤、肌荒れ防止、改善剤、抗炎症剤、美白剤、抗酸化剤、抗老化剤が記載されている。
【0003】
また特許文献5には、コーヒー果粒調製物及び/又はコーヒー果粒調製物を含む化粧組成物に、抗酸化効果、抗炎症性効果、紫外線保護効果、抗変異原性効果、化学保護効果、瘢痕低減効果、肌美白効果、しわ低減効果、湿潤効果、及び抗菌効果を有することが記載されている。特許文献6には、Cacalia属植物抽出物またはカカロールと保湿剤を含有することを特徴とする化粧品組成物により、細胞賦活化効果および抗酸化効果を有する化粧品、医薬部外品、医療用品、衛生用品、医薬品を提供することができることの記載がある。特許文献7には、ヒカゲノカズラ科ヒカゲノカズラ属(Lycopodium L.)に属する植物の抽出物に顕著な抗酸化効果、真皮線維芽細胞および表皮細胞賦活効果があることの記載がある。特許文献8には、キコブタケ(Phellinus)属のキノコ好ましくはメシマコブ(P.yucatensis(Murr.)Imaz.)の天然の子実体、栽培された子実体及び菌床の抽出物に含まれる、美白・抗シワ・抗炎症・保湿効果すなわち美肌効果を有する物質を有効成分として含有する化粧料が記載されている。特許文献9には、エビネ属に属する植物からの圧搾物及び/又は抽出物を有効成分とする保湿作用と美白作用に優れた天然植物由来の安全性に富んだ化粧料が記載されている。特許文献10には、ムクロジ目ムクロジ科(Sapindaceae)に属する植物である竜眼(Euphoria longana)の種子抽出物に、優れた抗炎症作用、コラゲナーゼ活性阻害作用、ヒアルロニダーゼ活性阻害作用、美白作用及び保湿作用を有することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−026530号公報
【特許文献2】特開2006−104118号公報
【特許文献3】特開2008−308630号公報
【特許文献4】特開2009−249286号公報
【特許文献5】特開2009−185036号公報
【特許文献6】特開2010−043043号公報
【特許文献7】特許第3389580号公報
【特許文献8】特許第3619185号公報
【特許文献9】特許第3681034号公報
【特許文献10】特許第4555430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これら従来の天然物由来の薬効剤ではその効果が不充分であったり、他の天然物由来成分や薬剤との組み合わせによる相乗効果を探索しなければならなかったり、製剤中での安定性が維持できずに、所期の薬効が経時で得られなくなる場合があり、その改善及び新たな天然物由来の有効成分の開発が望まれていた。
【0006】
そこで本発明は、天然物由来成分を含み、優れた美肌又は美白効果を奏する皮膚外用剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記のような実情を鑑み、鋭意検討を重ねた結果、紅芋の根茎を麹菌および酵母を用いて醗酵させ、搾った後の固形物を抽出して得られた紅芋醗酵抽出物が、高い抗酸化効果、メラニン生成抑制効果、細胞賦活効果、コラーゲン合成促進効果等を有しており、この紅芋醗酵抽出物と特定の薬効剤とを組み合わせて配合することで、皮膚外用剤としてより優れた美肌又は美白効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち本発明は、以下の皮膚外用剤に関する。
項1 次の成分(A)及び(B):
(A)紅芋の根茎を麹菌及び酵母を用いて醗酵させ、搾った後の固形物を抽出して得られた紅芋醗酵抽出物、
(B)抗炎症剤及び美白剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の薬剤
を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
項2 前記抗炎症剤が、グリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸及びその誘導体、アラントイン、パントテン酸及びその誘導体、及び甘草抽出物からなる群から選ばれる1種又は2種以上であり、前記美白剤が、アスコルビン酸及びその誘導体、ハイドロキノン及びその誘導体、アスタキサンチン、リノール酸又はその誘導体、アルブチン、コウジ酸、エラグ酸、カミツレ抽出物、胎盤抽出物、グルタチオン、ユキノシタ抽出物及びソウハクヒ抽出物からなる群から選ばれる1種又は2種以上である上記項1に記載の皮膚外用剤。
項3 さらに成分(C)として、保湿剤を含む上記項1または2に記載の皮膚外用剤。
項4 前記保湿剤が、コラーゲン、エラスチンなどのタンパク質及びそれらの誘導体、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸などのムコ多糖類及びそれらの塩、ソルビトール、イノシトール、トレハロース、ピロリドンカルボン酸及びその塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上である上記項1〜3のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0009】
紅芋の根茎を麹菌及び酵母を用いて醗酵させ、搾った後の固形物を抽出して得られた紅芋醗酵抽出物と、抗炎症剤及び美白剤からなる群から選ばれる1種又は2種以上を含有する本発明の皮膚外用剤は、優れた美肌又は美白効果を発揮し、肌のくすみ、シミ、さらには老人性の色素斑、肝斑等の色素沈着の予防及び改善、並びに肌荒れ、肌のきめ、透明感等を改善することができる。本発明の皮膚外用剤は、更には保湿剤を含有することにより、上記効果を更に高めることができる。このように、本発明の皮膚外用剤は、美容分野において極めて有用なものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の皮膚外用剤は、成分(A)として、紅芋醗酵抽出物を含む。本明細書において、紅芋とは、ヒルガオ科サツマイモ属(Convolvulaceace Ipomoea)の植物のうち、その根茎が赤色から紫色をしているものをいい、一般に紅芋又は紫芋と呼ばれているサツマイモの品種をすべて含む。本発明においては、赤色の色素であるアントシアニンが豊富に含まれ、濃い赤色から紫色を呈している根茎部分が用いられる。具体的な品種として、アヤムラサキ(Ipomoea batatas L. cv ayamurasaki)、ムラサキマサリ(Ipomoea batatas L. cv murasakimasari)、タネガシマムラサキ(Ipomoea batatas L. cv tanegasimamurasaki)、ナカムラサキ(Ipomoea batatas L. cv nakamurasaki)、ヤマカワムラサキ(Ipomoea batatas L. cv yamakawamurasaki)などが挙げられる。ムラサキマサリ(Ipomoea batatas L. cv murasakimasari)は、アヤムラサキの高アントシアニン特性と、高澱粉特性のシロユタカとをかけ合せた改良品種であり、メラニン合成阻害作用、細胞賦活効果などの、美白又は美肌を目的とする皮膚外用剤に特に好ましく用いられる。
【0011】
紅芋醗酵抽出物は、紅芋の根茎を、麹菌および酵母の両方を並行して用いて醗酵させた後、醗酵させた紅芋から液体を搾った後の固形物(粕)を溶媒にて抽出し、ろ過することにより製造することができる。このようにして得られた紅芋醗酵抽出物は、高い抗酸化効果、メラニン生成抑制効果、細胞賦活効果、コラーゲン合成促進効果等を有している。ここで、麹菌および酵母の両方を並行して用いて醗酵させる方法は、並行複発酵と呼ばれ、醸造酒の製造過程で起こる発酵の一種で、発酵方法としては日本にて古くから醸造酒の製造で行われてきた手法である。麹の酵素によってデンプンがブドウ糖に変化する糖化と、ブドウ糖が酵母の働きによりアルコールに変化する発酵とが、同時に行われる製造法である。麹菌として、白麹菌(Aspergillus kawachii)、泡盛に用いられる黒麹菌(Aspergillus awamori)等を用いることができる。酵母は、一般に清酒酵母、ワイン酵母等と呼ばれるものを用いることができる。醗酵は、25〜30℃程度の温度で、アルコール生成が認められなくなるまで、例えば7〜9日間程度行えばよい。
【0012】
固形物(粕)の抽出に用いる溶媒としては加水分解水添デンプンの水溶液、エタノール及び1,3−ブタンジオールからなる群から選ばれた一種または二種以上の抽出溶媒を用いることができる。これらの中で、ポリフェノール等の生理活性成分を多く含む抽出物が得られることから、加水分解水添デンプンの水溶液を使用することが好ましい。加水分解水添デンプンにおけるデンプンの起源は、特に限定されるものではないが、例えばイモ類の塊茎又は塊根、トウモロコシ等が用いられる。加水分解水添デンプンは、これらのデンプンを工業的に、酸又は酵素で分解し、更に水素添加することによって得ることができる。水溶液中の加水分解水添デンプンの含有量は、10〜40質量%程度が好ましい。
【0013】
紅芋醗酵抽出物の配合量は、皮膚外用剤中に固形分として0.001〜20質量%が好ましく、0.01〜15質量%がさらに好ましい。0.001質量%未満では、十分な効果が得られず、20質量%を超えると、製剤中で紅芋醗酵抽出物が沈降しやすくなるとともに、粘性増加によるべたつきの問題が発生することから好ましくない。
【0014】
本発明の皮膚外用剤は、成分(B)として、抗炎症剤及び美白剤からなる群から選ばれる1種又は2種以上を含む。本発明の皮膚外用剤は、紅芋醗酵抽出物(成分(A))に加えて、抗炎症剤及び美白剤からなる群から選ばれる一種又は二種以上の薬剤(成分(B))を含有することで、紅芋醗酵抽出物の持つ高い抗酸化効果、メラニン生成抑制効果、細胞賦活効果、コラーゲン合成促進効果等が増強されて、優れた美肌又は美白効果を発揮する。
【0015】
抗炎症剤としては、グリチルリチン酸及びその塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、グリチルレチン酸及びその誘導体、アラントイン、パントテン酸及びその誘導体、ビタミンB及びその誘導体(チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、シアノコバラミン、葉酸、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等)、アロエ抽出物、甘草抽出物、イラクサ抽出物、カワラヨモギ抽出物、ウコン抽出物、オウバク抽出物、オトギリソウ抽出物、カミツレ抽出物、ヒレハリソウ抽出物、キンギンカ抽出物、セージ抽出物、ワレモコウ抽出物、シラカバ抽出物、ユーカリ抽出物等が挙げられる。
【0016】
これらの抗炎症剤のうち、グリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸及びその誘導体、アラントイン、パントテン酸及びその誘導体及び甘草抽出物が特に好ましい。
【0017】
美白剤としては、L−アスコルビン酸リン酸エステル、ジパルミチン酸L−アスコルビル、L−アスコルビン酸−2−グルコシド、テトライソパルミチン酸L−アスコルビル等のアスコルビン酸及びその誘導体、エラグ酸、胎盤抽出物、グラブリジン、甘草抽出物、オウゴン抽出物、海藻抽出物、ブドウ抽出物、トマト抽出物、カロチン、リコピン、アスタキサンチン等のカロチノイド、アルブチン等のハイドロキノン及びその誘導体、システイン及びその誘導体、カミツレ抽出物、オレンジ抽出物、キウイ抽出物、クララ抽出物、サンザシ抽出物、シャクヤク抽出物、ソウハクヒ抽出液、ブナ抽出物、ユキノシタ抽出物、大豆抽出物、羅漢果抽出物等が挙げられる。
【0018】
これらの美白剤のうち、アスコルビン酸及びその誘導体、ハイドロキノン及びその誘導体、アスタキサンチン、リノール酸又はその誘導体、アルブチン、コウジ酸、エラグ酸、カミツレ抽出物、胎盤抽出物、グルタチオン、ユキノシタ抽出物及びソウハクヒ抽出物が特に好ましい。
【0019】
抗炎症剤又は美白剤の配合量は、皮膚外用剤中に固形分として0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がさらに好ましい。抗炎症剤及び美白剤の両方を配合する場合には、合計量が上記範囲となるように配合する。0.001質量%未満では、十分な効果が得られず、10質量%を超えても、効果には影響はないだけでなく、べたつきの問題が発生することから好ましくない。
【0020】
本発明の皮膚外用剤は、さらに成分(C)として、保湿剤を含むことができる。
【0021】
保湿剤としては、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸等のムコ多糖及びその誘導体、アミノ酸及びその誘導体、ソルビトール、エリスリトール、トレハロース、イノシトール、グルコース、キシリトール、蔗糖及びその誘導体、デキストリン及びその誘導体、ピロリドンカルボン酸及びその塩、ハチミツ等の糖類、セラミド、リン脂質及びその誘導体(大豆、卵黄等由来)、尿素、海藻抽出物等が挙げられる。
【0022】
これらの保湿剤のうち、コラーゲン、エラスチンなどのタンパク質及びそれらの誘導体、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸などのムコ多糖類及びそれらの塩、ソルビトール、イノシトール、トレハロース、ピロリドンカルボン酸及びその塩が特に好ましい。
【0023】
保湿剤の配合量は、皮膚外用剤中に固形分として0.001〜6質量%が好ましく、0.01〜4質量%がさらに好ましい。0.001質量%未満では、十分な効果が得られず、6質量%を超えると、効果に影響がないだけでなく、製剤の粘性が不快に感じる虞があることから好ましくない。
【0024】
本発明の皮膚外用剤の剤型は任意であり、公知の皮膚外用剤の種々の剤型を採用することができる。特に、可溶化タイプの製剤、乳化タイプの製剤、油性タイプの製剤の形態とすることが好ましい。
【0025】
本発明の皮膚外用剤には、上記した成分の他に、通常皮膚外用剤や医薬部外品等に用いられる他の成分、例えば、粉体成分、液体〜固体の油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル類、シリコーン、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、成分(C)以外の保湿剤、水溶性高分子、増粘剤、被膜形成剤、紫外線吸収剤、キレート剤、低級アルコール、pH調整剤、ビタミン類、ミネラル類、抗菌剤、香料等を必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合し、目的とする剤形に応じた常法により目的の製剤を調製することができる。
【実施例】
【0026】
以下に本発明の実施例を示すことにより、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
【0027】
[製造例1:紅芋醗酵抽出物の調製]
紅芋(品種:ムラサキマサリ(Ipomoea batatas L. cv murasakimasari))の根茎を剥皮し、蒸煮しやすい大きさに切断して、115〜120℃で約1時間蒸煮した。蒸した紅芋と乾燥白麹菌(製品名MKS、徳島製麹株式会社製)とを約5:1の割合で混合し、さらに清酒酵母を適量添加して、25〜30℃で約9日間保持して醗酵させた。醗酵したイモを圧搾機で搾って搾汁と固形物(粕)とに分離し、固形物(粕)を加水分解水添デンプン30%水溶液にて抽出し、ろ過して紅芋醗酵抽出物を得た。
【0028】
[実施例1:メラニン合成阻害作用の確認1]
製造例1で得られた紅芋醗酵抽出物について、以下のようにしてB16細胞株を用いたメラニン合成阻害試験を行った。B16マウスメラノーマ細胞を、5個の72cmフラスコに5×10個となるよう播種した。播種培地にはDMEM培地に5重量%のウシ胎児血清(FBS)を添加したものを用いた。24時間後、5%重量FBS添加DMEM培地にて表1の各濃度に調整したサンプル培養液に交換し、さらに5日間培養した。培養終了後、トリプシン処理にて細胞をはがし、1.5mLマイクロチューブに移して遠心操作して細胞沈殿物を回収した。回収した細胞沈殿物に0.1N水酸化ナトリウム溶液を加え、メラニンを抽出した。メラニン抽出液の495nmの吸光度を測定した。同時に、メラニン抽出液のタンパク質量(Dye-binding法)も測定し、タンパク質量あたりのメラニン量を算出し、コントロール(紅芋醗酵抽出物の濃度が0mg/mL)を100とした時の各試料のメラニン合成率を求めた。
【0029】
【表1】

【0030】
[実施例2:メラニン合成阻害作用の確認2及び細胞生存率試験]
マウス由来B16メラノーマ培養細胞を使用して、実施例1とは異なる方法を用いて、紅芋醗酵抽出物と抗炎症剤及び/又は美白剤を組み合わせた場合の、メラニン合成阻害試験を行い、同時に細胞生存率試験を行った。6穴プレート2枚に10%FBS含有MEM培地を適量とり、B16メラノーマ細胞を播種し、37℃、CO2濃度5%中にて静置した。次の日、製造例1で得られた紅芋醗酵抽出物を最終濃度が0又は20μg/mLとなるように、グリチルリチン酸ジカリウム及び/またはL−アスコルビン酸−2−グルコシドを0、2.5、5又は10μg/mLとなるよう調製液を添加した。培養5日目に培地を交換し、再度同様に調製液を添加した。次の日、培地を除き、1枚のプレートについて、細胞をpH7のリン酸緩衝液で洗浄した後、回収し、B16メラノーマ培養細胞の白色度を評価した。もう1枚のプレートについては、細胞数を数え、各検体濃度に対する細胞生存率を求めた。メラニン生成抑制試験の結果を表2に、細胞生存率の試験結果を表3に示す。
[判定基準]
++: 対照に対し極めて色がうすい。
+ : 対照に対し明らかに色がうすい。
± : 対照に対しやや色がうすい。
− : 対照と変わらず。
【0031】
【表2】

【0032】
【表3】

【0033】
表1の結果から、紅芋醗酵抽出物は、単独で使用してもメラニン合成阻害作用を有することがわかった。さらに、表2及び表3の結果から、紅芋醗酵抽出物と抗炎症剤及び/又は美白剤とを組み合わせた場合には、メラニン合成阻害作用が飛躍的に向上し、かつB16メラノーマ培養細胞に対し毒性が低く、安全性に優れることも認められた。特に、紅芋醗酵抽出物、グリチルリチン酸ジカリウム及びL−アスコルビン酸−2−グルコシドの3成分を組み合わせることによって、メラニン合成阻害作用が最も高くなることが確認された。従って、紅芋醗酵抽出物と抗炎症剤及び/又は美白剤を組み合わせて肌に適用することにより、シミ、ソバカスなどが効果的に抑制され、美白又は美肌効果を得ることができる。
【0034】
[実施例3:線維芽細胞賦活試験]
製造例1で得られた紅芋醗酵抽出物について、以下のようにして線維芽細胞賦活試験を行い、ヒト真皮由来線維芽細胞の活性に対する亢進作用を確認した。96穴マイクロプレートに0.5%NCS含有培地を加えた後、ヒト皮膚真皮由来線維芽細胞NB1RGBを播種し、温度37℃にて、1日培養した。その後、培地に試料溶液を、それぞれ最終濃度が0、1、10又は100μg/mLとなるよう添加し、さらに3日間培養した。次に培地を除去し、TRITONX−100を添加した細胞処理液に、0.2%のMTTを添加して37℃に保持した後、波長370〜625nmの吸光度を測定することによりMTTが還元されて生成するホルマザン量を求め、紅芋醗酵抽出物を添加しないものを100%として細胞賦活度を評価した。結果を表4に示す。
【0035】
【表4】

【0036】
表4の結果から、紅芋醗酵抽出物は、単独で使用しても、ヒト皮膚真皮線維芽細胞NB1RGBに対して高い細胞賦活作用があることが確認できた。したがって、皮膚外用剤に紅芋醗酵抽出物を有効成分として含有させ、その皮膚外用剤を肌に適用することにより、加齢、紫外線曝露等により生じる皮膚のしわ、たるみ等を効果的に改善することが期待される。
【0037】
[実施例4:使用試験]
次に、パネラーによる使用試験により、美肌又は美白効果の評価を行った。日焼けによる色素沈着が見られる20〜50歳の6名のパネラー(男女3名ずつ)の顔に、各処方の皮膚外用剤を1日2回塗布し、それを1ヶ月間連続して行った後、「色素沈着抑制効果」及び「肌の状態の変化」の2項目について評価した。「色素沈着抑制効果」は、使用部位をデジタル写真撮影し、塗布前の肌色と1ヶ月後の肌色とを以下の4段階評価にて相対比較した。「肌の状態の変化」は、下記の評価基準に基づいて、専門の評価者により判断した。これらの結果を、表5〜7に示す。数値は6人の平均値である。
[色素沈着抑制効果]
(評価基準)
4:明らかな効果が見られる
3:効果が見られる
2:やや効果が見られる
1:使用前と差が見られない
[肌の状態]
(評価基準)
4:明らかに肌の状態が良くなった
3:肌の状態が良くなった
2:肌の状態がやや良くなった
1:使用前と差は感じられない
【0038】
表5〜6に本発明の皮膚外用剤である実施例1〜6(化粧水)、および比較例1〜2の皮膚外用剤を示す。以下の化粧水は、表5の1〜11又は表6の1〜14の成分を順次加え、完全に溶解するまで攪拌することにより製造した。
【0039】
【表5】

【0040】
【表6】

【0041】
【表7】

【0042】
実施例7〜9の乳液は、以下のようにして製造した。表7の成分1〜6の油相を75〜80℃に加熱し、混合した。成分7〜10の水相を75〜80℃に加熱して混合したものを、先の油相に加え、ホモミキサーにて混合し、均一に乳化した。冷却後50℃にて成分11〜19を加え、混合して均一化した。
【0043】
表5〜6に示したように、実施例1〜6の本発明の皮膚外用剤は、比較例1〜2と比較して、明らかな色素沈着抑制効果及び肌状態の改善効果が見られた。実施例7〜9の乳液についても、経時安定性、安全性に優れ、肌に適用した場合、色素沈着抑制効果及び肌状態の改善効果に優れるものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)及び(B):
(A)紅芋の根茎を麹菌及び酵母を用いて醗酵させ、搾った後の固形物を抽出して得られた紅芋醗酵抽出物、
(B)抗炎症剤及び美白剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の薬剤
を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項2】
前記抗炎症剤が、グリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸及びその誘導体、アラントイン、パントテン酸及びその誘導体、及び甘草抽出物からなる群から選ばれる1種又は2種以上であり、前記美白剤が、アスコルビン酸及びその誘導体、ハイドロキノン及びその誘導体、アスタキサンチン、リノール酸又はその誘導体、アルブチン、コウジ酸、エラグ酸、カミツレ抽出物、胎盤抽出物、グルタチオン、ユキノシタ抽出物及びソウハクヒ抽出物からなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
さらに成分(C)として、保湿剤を含む請求項1または2に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
前記保湿剤が、コラーゲン、エラスチンなどのタンパク質及びそれらの誘導体、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸などのムコ多糖類及びそれらの塩、ソルビトール、イノシトール、トレハロース、ピロリドンカルボン酸及びその塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜3のいずれかに記載の皮膚外用剤。

【公開番号】特開2013−95718(P2013−95718A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241027(P2011−241027)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(399091120)株式会社ピカソ美化学研究所 (29)
【Fターム(参考)】