説明

皮膚残留物を最小化するための経皮的医薬製剤

本発明は、他の個体の汚染発生及び使用者の衣服への転移を減少させる、新規経皮的又は経粘膜的医薬製剤に関する。新規製剤は、少なくとも生理的活性剤、及び特定の比率のジエチルグリコールのモノアルキルエーテル及びグリコール、及び水とアルコールの混合物を有する溶媒系を含む。本発明はまた、医薬製剤中の活性剤の結晶化を阻害又は遅延する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、活性成分及び溶媒系を含む経皮的又は経粘膜的医薬製剤に関する。この溶媒系は、モノアルキルエーテル及びグリコール、並びにアルコール及び水との混合物を、特定の比率で含む。発明はまた、経皮的又は経粘膜的医薬製剤中の活性成分の結晶化を遅らせる又は阻害する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
相互参照
本出願は、その内容を本明細書に参考文献として援用する、2003年10月10日に出願された米国仮出願第60/510,613号の利益を請求する。
【0003】
発明の背景
経皮又は経粘膜的な投与形態が皮膚又は粘膜の局部に対して薬物を便利に送達することが知られている。皮膚又は粘膜に対して薬物を送達する1つのこのような方法は、経皮的及び/又は局所的投与形態の方法による。非閉塞性経皮的及び局所的な半固体投与形態の非限定的例は、クリーム、軟膏、ゲル、泡剤、スプレイ、液剤及びローション(すなわち、乳化剤又は懸濁剤)を含む。典型的な非閉塞性投与形態は、皮膚又は粘膜に適用され、大気中では覆われてなく開放されている。非閉塞性投与形態は覆われていないままであるため、使用者の衣服、又は更に使用者にかなり近接する他人への望ましくない医薬製剤の移りは避けられない。非閉塞性投与形態の他の欠点は、下に議論するように、製剤の蒸発、例えば入浴又は他の活動による皮膚又は粘膜からの製剤の脱落、及び皮膚への製剤の未吸収を含む。
【0004】
皮膚又は粘膜バリアを介する又はこれらを解する薬物浸透性が低効率であることが知られている。非閉塞性経皮的又は経粘膜的な投薬形態での薬物浸透性が1 %程度の低さであり、15 %を越えないことも知られている。従って、活性薬物のほとんどは皮表又は粘膜表面上に吸収されずに残る。活性薬物のほとんどが皮膚上に残り、皮表又は粘膜表面を浸透しないことから、特定の薬物の生物学的利用能は最適ではなく、使用者になかり接近している他人への汚染の高い危険性は、非閉塞性投与形態での医薬製剤の望ましくない転移となっても現れる。
【0005】
他人への特定の医薬製剤の望ましくない転移に関連する問題も報告されている。例えば、Delanoe他は、避妊研究においてテストステロンゲル調製物を適用する、ボランティアの女性パートナーの男性化を報告した(Delanoe, D., Fougeyrollas, B., Meyer, L.及びThonneau, P. (1984): 「メドロキシプロゲステロンアセテート/経皮的テストステロン避妊に関する、男性の女性パートナーの男性化」, Lancet 1, 276-277)。同様に、Yu他は、父親の腕及び背中に適用されたテストステロンクリームに対する付随的かつ意図的でない経皮的曝露の後の、2歳男子の男性化を報告した(Yu, Y. M., Punyasavatsu, N., Elder, D.及びD'Ercole, A. J. (1999): 「テストステロンへの局所的曝露によって引き起こされる2歳男子での性的発展」, Pediatrics, 104, 23)。
【0006】
更に、ANDROGEL(登録商標)(Unimed Pharmaceuticals Inc.製の1 %テストステロンゲル)の患者情報パンフレットは、他人及び/又は衣服へのテストステロンの転移の可能性を強調し、当該パンフレットは、非閉塞性投与形態を用いる、人により行われる安全性の指標を含む。
【0007】
この汚染問題を克服する又は最小限に抑える1つの方法は、パッチ具、固定リザーバ、散布チャンバ、テープ、包帯、絆創膏等の適用される医薬製剤手段により皮膚を覆うことによって、経皮的投与形態を物理的に保護することである。これらの手段は、長期間、製剤の適用部位上の皮膚に残る。これは、通常、閉塞性投与形態で行われる。
【0008】
閉塞性投与形態は、薬物の熱力学的活性が最大になるように維持することにより、皮膚を介する薬物の浸透速度を促進するような、非閉塞性投与形態を越えるいくつかの利点を有する(経皮製剤中の薬物の熱力学的活性が、薬物濃度及びビヒクルの選択に比例し、熱力学的法則に従い、薬物の最大活性は純粋な薬物結晶の活性に関連する)。しかしながら、閉塞性投与形態はいくつかの主な欠点も有する。例えば、閉塞性投与形態は、薬物、揮発物質、ビヒクル賦形剤、及び閉塞性具例えばパッチを皮膚に貼付するために使用される接着剤、の皮膚への長時間接触によって起こる高い可能性の局部的な皮膚炎症がある。加えて、ある閉塞性投与形態、例えばパッチ具、の閉塞性は、「呼吸する」という皮膚の自然力を制限し、それによって炎症の危険性を増加させる。
【0009】
閉塞性投与形態の上記欠点に加えて、重要な障害は、パッチに特異的である薬物の高ローディングに関して報告されている。例えば、フェンタニル・パッチ中に存在するフェンタニルでの乱用に関するいくつかの例が報告されている。Marquardt K. A., Tharratt R. S., "フェンタニル・パッチの吸入乱用", J Toxicol Clin. Toxicol. 1994; 32(1): 75-8.; Marquardt K. A., Tharratt R. S.,Musallam N. A., "3日間の連続使用後の、経皮装置中のフェンタニルの残存", Ann Pharmacother. 1995 Oct; 29 (10):969-71.; Flannagan LM, Butts JD, Anderson WH.,"死体上に放置されたフェンタニル・パッチ--乱用者にとっての可能な薬物源", J Forensic Sci. 1996 Mar; 41 (2): 320-1、を参照。いくつかの付随する中毒例も報告されている。Hardwick Jr., W, King, W., Palmisano, P., "経皮的フェンタニル・パッチに無意識に曝露された子供の呼吸器障害", Southern Medical Journal, September 1997を参照。
【0010】
パッチ製品は典型的には、上で議論した危険性を明確に示す患者情報を含む。例えば、OXYTROL(登録商標) (WATSON Pharmaceuticals, Inc. USA製のオキシブチニン・パッチ)は、以下の警告を示す患者情報を含む:「パッチにはいくらかのオキシブチニンが残っているため、他人、特に子供の衣服に無意識に付着し又は子供が飲み込まないように、廃棄して下さい」。よって、高レベルの活性薬物残渣はパッチの重大な欠点である。このような事故はゲル製剤の使用には起こるべきではない。
【0011】
閉塞性及び非閉塞性薬物形態に関連する欠点を克服する試みがなされていきたが、このような試みは役に立たなかった。例えば、上で述べたように、非閉塞性投与形態の欠点は、大気中に空けたままで放置される製剤の蒸発である。非閉塞性過飽和系の製剤は、理想的な吸収を達成することができるが、経皮製剤は、過飽和技術に依存し、皮膚への適用前及び適用中に、溶媒蒸発に起因する製剤の不安定性という主な欠点を示す。Davis A F及びHadgraft J−局所薬の送達システム、すなわち医薬的皮膚浸透性増大としての過飽和溶液, Marcel Dekker Inc, New York (1993) 243-267 ISBN 0 8247 9017 0は、本明細書に参考文献として援用されている。
【0012】
特に、異常な物理化学的変化は、溶媒系の蒸発とともに起こり、活性剤の濃縮という変更をもたらし、これは、薬物沈殿さえ招く。その結果、製剤の拡散推進力を変更する。Ma他, Proceed. Intern. Symp. Control. Rel. Bioact. Mater., 22 (1995)を参照。従って、活性剤の経皮的吸収は、溶媒が存在する場合とは全く相違する。
【0013】
加えて、薬物の結晶化の制御は、非閉塞性経皮系については特に興味深い。Campbell他は、製剤の結晶化を抑制するために、融点を越える温度まで結晶性水和物を加熱する方法を報告した。米国特許第4,832,953号明細書を参照。Ma他は、マトリックスに添加したPVPが、ノルエチンドロンアセテート経皮的送達システムのための効果的な結晶化阻害剤として働くことを見出した。Int. J. of Pharm. 142 (1996) pp. 115-119を参照。DE-A-4210711は、コレステロール及びSiO2が、17-β-エストラジオールの経皮的送達システムの結晶化阻害剤であることを確認した。WO 95/18603号は、パッチ具用の結晶性阻害剤としての溶解性PVPを記載し、溶解性PVPが、接着力又は圧力感受性接着剤組成物からの薬物の送達速度に逆の影響を与えることなく、薬物の溶解度を増加させることを確認している。
【0014】
加えて、経皮具における結晶化阻害は、Biali他により報告された。米国特許第6,465,005号明細書を参照。その中で、経皮具の製造又は保存工程で添加剤としてのステロイド(例えば、エストラジオール)の使用が、当該器具の保存中に結晶化阻害剤として働くことが記載されている。
【0015】
更に、半固体製剤からの経皮的送達は矛盾した要求に直面する。薬物送達システムは、人の汚染、衣服への転移又は不意の脱落を避けるために、最も短時間内に皮膚を介して多量の活性薬物の吸収を可能にする。薬物送達システムは、理想的には24時間を越える活性薬物の徐放も提供するはずであるので、1日1回のみの適用が必要とされる。薬物送達システムは、適用表面積での薬物結晶化をも避けるはずである。
【0016】
このような性質を有する薬物送達システムは、様々な溶媒を組み合わせることによって達成することができる。揮発性溶媒は、通常の温度及び圧力で容易に蒸発する、固体又は液体から気体に容易に変化する溶媒として定義される。以下に、揮発度が、モル蒸発エンタルピーΔvapHによって影響される、いくつかの一般的溶媒のデータを提供する。ΔvapHは、一定温度で、1モル液体の気体への変換におけるエンタルピー変化として定義される。数値は、101.325 kPa (760 mmHg)の圧力と称される通常の沸点tb、及び25℃で得られる("化学及び物理のハンドブック", David R. Lide, 79th edition (1998-1999)−蒸発のエンタルピー (6-100〜6-115)より)。Stanislaus他(2001年10月9日のUS特許第4,704,406号明細書)は、皮膚温度が32℃である場合に、気圧が35 mm Mgを越える溶媒を揮発性溶媒と定義し、気圧が32℃の皮膚温度で10 mm Mg未満である溶媒を非揮発性溶媒と定義した。非揮発性溶媒の例は、特に制限されないが、プロピレングリコール、グリセリン、液体ポリエチレングリコール又はポリオキシアルキレングリコールを含む。揮発性溶媒の例は、特に制限されないが、エタノール、プロパノール又はイソプロパノールを含む。
【0017】
【表1】

【0018】
多数の著者が、溶媒系からの蒸発及び経皮浸透性を研究してきた。例えば、Spencer他. (Thomas S. Spencer, "in vitroでの皮膚浸透性に対する揮発性浸透剤の効果", AAPS workshop held in Washington D. C. on Oct. 31-Nov.1, 1986)は、揮発性と浸透性との関係は絶対的ではなく、多くのパラメータ、例えば組織の水和又は組織での浸透液の溶解性に依拠する、ことを確立した。Stinchcomb他は、揮発溶媒系(アセトン)からの化学物質(ヒドロコルチソン、フルルビプロフェン)の最初の取り込みは、不揮発性溶媒系(水溶液)からよりも迅速である、ことを報告した。水溶液では、化学物質の溶解性が飽和に近く、曝露期間を通じて取り込みの推進力はほぼ一定である。反対に、適用の瞬間から蒸発し始める揮発性ビヒクルでは、化学物質の表面濃度は、溶媒がなくなる時点まで時間とともに増加する;化学物質は化学物質の固体被膜とともに残存し、そこから角質層への連続取り込みは非常に遅くかつ溶解限界でもよい。
【0019】
揮発性ビヒクルへの経皮的曝露後の危険性評価は、蒸発溶媒と皮膚との接触の期間には、特に注意を払う必要がある(Audra L. Stinchcomb, Fabrice Pirot, Gilles D. Touraille, Annette L. Bunge, and Richard H. Guy, "揮発性及び不揮発性溶媒からのin vivoでのヒト角質層への化学物質の取り込み", Pharmaceutical Research, Vol. 16, No 8,1999)。Kondo他は、2成分(アセトン及びプロピレングリコール PG又はミリスチン酸イソプロピル IPM)又は3成分(アセトン-PG-IPM)溶媒系からのラットにおける経皮的ニフェジピンの生物学的利用能を、薬物で飽和した単一のPG又はIPM溶媒系からの結果と比較して、研究した(Kondo et al. S, Yamanaka C, Sugimoto I., "過剰な熱力学的ポテンシャルによる経皮的送達の増加、III. ラットにおけるニフェジピンの経皮的吸収", J Pharmaco Biodyn. 1987 Dec; 10(12): 743-9)。
【0020】
Reed他の米国特許第6,299,900号明細書は、非閉塞性の、経皮的(percutaneous)又は経皮的(transdermal)薬物送達システムを有する活性剤、浸透エンハンサーとしての安全かつ承認された日焼け止め剤、及び任意の揮発性液体を開示する。本発明は経皮的薬物送達システムを記載し、これは、少なくとも1つの生理学的活性剤又はそのプロドラッグ、及び安全な皮膚寛容エステル日焼け止め剤である、少なくとも1つの低毒性の浸透エンハンサーを含む。組成物は少なくとも1つの生理的活性剤、少なくとも1の非揮発性経皮的浸透エンハンサー、及び少なくとも1つの揮発性液体、の有効量を含む。
【0021】
Carraraの米国特許第5,891,462号明細書は、ラウリルアルコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル及びプロピレングリコールを浸透エンハンサーとして含む、エストロゲンの種類もしくはプロゲスチンの種類又はこれらの混合物の活性剤の経皮的投与に好適なゲル形態の医薬製剤を開示する。
【0022】
Mura他は、クロナゼパムに関する経皮的透過性エンハンサーとしてジエチレングリコールモノエチルエーテル及びプロピレングリコールの組み合わせを開示する(Mura P., Faucci M. T., Bramanti G., Corti P., "親水性ゲル製剤を用いるクロナゼパム経皮的浸透エンハンサーとしてのtranscutolの評価", Eur. J. Pharm. Sci., 2000 Feb; 9 (4): 365-72)。
【0023】
Williams他は、ヒト表皮及びシラスティック膜に対するモデル親油性薬物の浸透性における、水との2成分共溶媒系中のジエチレングルコールモノエチルエーテル(TRANSCUTOL(登録商標))の効果を報告する(A. C. Williams, N. A. Megrab and B. W. Barry, "飽和TRANSCUTOL(登録商標)/水系を用いるヒト真皮及びシラスティック膜を介するオエストラジオールの浸透性", in Prediction of Percutaneous Penetration, Vol. 4B, 1996)。多くの参考文献は、当業者に周知の皮内薬デポ(deposit)ビルダーとして、TRANSCUTOL(登録商標)の効果を例証する。
【0024】
Santus他の米国特許第5,658,587号明細書は、ジエチレングリコールモノエチルエーテル及びプロピレングリコールを含む溶媒エンハンサー系を用いる、α-アドレナリン受容体遮断剤の送達用の経皮的治療系を開示する。
【0025】
Punto他の米国特許第5,662,890号明細書は、ジエチレングリコールモノエチルエーテル及びジメチルイソソルビタンの組み合わせを浸透エンハンサーとして含む、皮膚を人工的に日焼けするためのアルコール無添加の化粧料組成物を開示する。
【0026】
Fricker他の米国特許第5,932,243号明細書は、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、グリコフロール、1,2-プロピレングリコール、又はこれらの混合物からなる親水性担体媒体を含むマクロライドの経口投与のための医薬エマルション又はマイクロエマルション予備濃縮物を開示する。
【0027】
Chen他の米国特許第6,267,985号明細書及び同6,383,471号明細書は、トリグリセリドの溶解性の改良、及びジエチレングリコールモノエチルエーテル及びプロピレングリコールをイオン化疎水性治療剤の溶解剤として含む治療剤送達の改良のための、医薬組成物及び方法を開示する。
【0028】
Bauer他の米国特許第6,426,078号明細書は、ジエチレングリコールモノエチルエーテル又はプロピレングリコール親油性ビタミンの共乳化剤として含む水中油型マイクロエマルションを開示する。
【0029】
多くの研究実験が、皮内薬デポビルダーとしてジエチレングリコールモノエチルエーテル(GattefosseによりTRANSCUTOL(登録商標)として市販)を使用して行われてきた。例えば、Ritschel, W. A., Panchagnula, R., Stemmer, K., Ashraf, M., "薬物の皮内デポの開発。結合、薬物蓄積及び滞留試験、及び薬物のデポメカニズム", Skin Pharmacol, 1991 ; 4: 235-245; Panchagnula, R. and Ritschel, W. A., "in vitro、ex vivo及びin-vivoでのラット試験において、共溶媒としてTRANSCUTOL(登録商標)を用いるコルチコステロイドの皮内デポ製剤の開発及び評価", J. Pharm. Pharmacology. 1991; 43: 609-614; Yazdanian, M. and Chen, E., "イベルメクチンの局所送達のビヒクルとしてのジエチレングリコールモノエチルエーテルの効果", Vetemary Research Com. 1995; 19: 309-319; Pavliv, L., Freebern, K., Wilke, T., Chiang, C-C., Shetty, B., Tyle, P., "乾癬の治療のための新規チミジラートシンターゼ阻害剤の局所製剤の開発", Int. J. Pharm., 1994; 105: 227-233; Ritschel, W. A., Hussain, A. S., "軟膏投与形態を用いるラット及びヒト皮膚でのグリセオフルビンのin vitro皮膚浸透性", Arzneimeittelforsch/Drug Res. 1988; 38: 1630-1632; Touitou, E., Levi-Schaffer, F., Shaco- Ezra, N., Ben-Yossef, R. and Fabin, B., "皮膚に対するテオフィリンの浸透性亢進、及び繊維芽細胞増殖に対するその効果", Int. J. Pharm., 1991; 70: 159-166; Watkinson, A. C., Hadgraft, J. and Bye,A., in vitroでのヒト皮膚に対するプロスタグランジンE2の浸透性亢進", Int. J. Pharm. , 1991; 74: 229-236; Rojas, J., Falson, F., Courraze, G., Francis, A., and Puisieux, F., "モルヒネ系の経皮的吸収における2成分系及び3成分系の最適化", STP Pharma Sciences, 1991; 1: 71-75; Ritschel, W. A., Barkhaus, JK., "経皮的薬物送達システムによる、クマリンの全身的吸収を増加させるための吸収促進剤の使用", Arzneimeittelforsch/Drug Res. 1988; 38: 1774-1777。
【0030】
従って、閉塞系(高熱力学的活性)及び非閉塞系(低炎症及び感受性の可能性、及び優れた皮膚寛容)の利点を示し、同時にこれらの系の不利益を克服する、薬学的に許容される経皮的もしくは経粘膜的医薬製剤又は薬物送達システムを提供する必要性が依然と存在する。本発明の新規な経皮的又は経粘膜的医薬製剤はこの要求を満足する。
【発明の開示】
【0031】
発明の概要
本発明の経皮的又は経粘膜的医薬製剤は、少なくとも1つの活性剤、及び少なくとも1つの活性成分を溶解し、哺乳動物の皮表又は粘膜表面上への少なくとも1つの活性成分の結晶化を阻害するために十分な量で存在する溶媒系を含む。本発明の経皮的又は経粘膜的医薬製剤の他の利点は、2〜3例を挙げると、衣服又はその他への製剤の転移の減少又は抑制、製剤による衣服の汚染の最小化、皮膚の異なった層内での活性剤の生物的分布の調節、及び皮表又は粘膜表面による活性剤吸収促進を含む。
【0032】
本発明の新規溶媒系は、溶媒系の約1重量%〜30重量%の量で存在するモノアルキルエーテル、溶媒系の約1重量%〜30重量%の量で存在するグリコールを含む。モノアルキルエーテル及びグリコールは、10:1〜2:1又は1:2〜1:10の比で存在する。溶媒系はアルコール及び水の混合物を更に含む。混合物は溶媒系の約40 %〜90 %の量で存在し、このアルコールは混合物の約5 %〜80 %の量で存在し、水は混合物の約20 %〜95 %の量で存在する。
【0033】
驚くべきことに、特定の比率、好ましくは水-アルコール製剤でのジエチレングリコールのモノアルキルエーテル及びグリコールの併用は、経皮的半固体製剤から衣服又は他の表面への活性剤(複数)の転移を抑制又は顕著に減少させ;人への転移を顕著に減少させ;活性剤(複数)の損失を顕著に抑制又は顕著に減少させ、それによって日常の活動例えば選択、水泳等に起因する思いがけない除去に続く治療効率の喪失を抑制又は顕著に減少させる。
【0034】
本発明の他の利点は、モノアルキルエーテル及びグリコールの特定の比率での組み合わせは、相乗効果を示し、そして、経皮的半固体製剤中の活性剤(複数)の結晶化を阻害するという発見を含む。加えて、上記の背景に対し、本発明に記載のモノアルキルエーテルとグリコールとの比の範囲を、同時に上記の結晶化阻害剤の効果とは無関係に調整する場合に、皮膚の異なった層内での活性剤(複数)の分布の全く予期しない制御が達成される、ことを発見した。
【0035】
更に、グリコールが、皮膚の異なった層内に薬物デポを構築するモノアルキルエーテルの能力の調整剤として働く、ことを見出した。また、適用表面積に残る未吸収活性薬物(複数)の顕著な減少が同時に起こる。但し、無関係な結晶化阻害及び経皮薬物浸透性は、追加の浸透エンハンサー(複数)により亢進され又はされなかったりする。
【0036】
好ましい実施態様の詳細な説明
本発明は、経皮的又は経粘膜的医薬製剤に関する。本製剤は、少なくとも1つの活性成分及び溶媒系を含む。溶媒系は、モノアルキルエーテル、グリコール及び水-アルコール混合物を含む。本発明によれば、経皮的又は経粘膜的薬物送達製剤は、半固体製剤、ゲル、クリーム、軟膏、ローション(すなわちエマルション又は分散液)、液剤、泡剤又はスプレイの形態である。但し、その代替物も本請求の範囲内である。
【0037】
語句「半固体」製剤は、その中に1固体相が第二液相に分散されている不均一系を意味する。
【0038】
語句「経皮的送達」に関しては、出願人は、経皮的(又は「経皮的(percutaneous)」及び経粘膜的投与、すなわち皮膚又は粘膜組織を介して血流に薬物を通過させることによる送達を含む意である。
【0039】
本明細書で用いられる「成分」又は「薬剤」を記載するための語句「生理的に活性」又は「薬理学的に活性」は、所望の全身性効果を含む経皮的又は経粘膜的投与に好適な任意の化学物質又は化合物を意味する。
【0040】
生理的に活性な薬剤の語句「治療上有効」量とは、非毒性で、かつ所望の治療効果を提供するために十分な量の化合物を意味する。
【0041】
本明細書で用いる語句「非閉塞」系は、手段、例えば長期間、適用部位の皮膚に残るようなパッチ具、固定リザーバ、貼付チャンバ、テープ、包帯、絆創膏等により、大気から皮膚を覆わず又隔離しない系を意味する。
【0042】
本明細書で用いる語句「汚染」又は「転移」とは、個体間、表面間又は個体及び表面間(相互に)の直接的接触により、個体又は表面における意図しない有害物質の存在を意味する。
【0043】
本明細書で用いる語句「相乗」、「相乗効果」、「相乗効果」又は「相乗的作用」は、併用作用の結果が、別個の2つ薬剤作用の単なる付加的組み合わせとして期待されるよりも高いような、1つの薬剤の相互作用の効果を意味する。
【0044】
本明細書で用いられる語句「調整する」、「調節する」又は「制御する」とは、浸透率、結晶化速度、皮膚層内の活性医薬成分の配分を調整することに関して、所望の割合、程度又は条件を調整又は維持することを意味する。
【0045】
本明細書で用いる語句「効果的」又は「十分な」浸透エンハンサー又はその組み合わせとは、皮膚浸透性及び対応性における所望の亢進、所望の浸透性の程度、投与速度及び送達される薬物量を提供することになる、浸透性エハンサー又は組み合わせを意味する。
【0046】
語句「ジエチレングリコールのモノアルキルエーテル」とは、一般式 C4H1003(CnH2n+1)(n=1〜4)を有する化学物質を意味する。更に、用語「グリコール」は、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール及び一般式 HOCH2(CH2OH)nCH20H(nはオキシエチレン基の数であり、n=4〜200)を有するポリエチレングリコールに限定されない広範囲の化学物質を包含する。
【0047】
物質の「熱力学的活性」の語句は、当該物質の皮膚浸透性に関連するエネルギー形態を意味する。物質の化学ポテンシャルは、物質の部分モル遊離エネルギーとして熱力学では定義される。皮膚の外側と内側との薬物の化学ポテンシャルの差は、皮膚浸透性過程のエネルギー源である。
【0048】
本明細書で用いる語句「浸透エンハンサー」は、皮膚を介する活性剤の経皮的移動速度又は当該薬剤の使用、及び生物例えば動物への活性剤の送達を改善する薬剤であって、局所適用又は全身性送達される薬剤を意味する。
【0049】
本明細書で用いられる語句「角質層」は、皮膚の外層を意味する。当該外層は、「レンガ及びモルタル」型で配列するタンパク質性材料ケラチンから主に成る、約15層の末端分化ケラチノサイトを含む。そのモルタルはコレステロール、セラミド及び長鎖脂肪酸から主に成る脂質マトリックスから成る。角質層は、皮膚を介する活性剤の拡散の律速バリアを形成する。
【0050】
本明細書で用いる語句「皮膚デポ」は、細胞内(ケラチノサイト内)又は細胞外でもよい、角質層内の活性剤及び経皮浸透エンハンサーのリザーバ又はデポを意味する。
【0051】
上記のように、本発明は、経皮的又は経粘膜的薬物送達製剤に関する。本発明は、より具体的には、非閉塞性経皮的又は経粘膜的製剤、好ましくは少なくとも1つの医薬活性成分を温血動物に送達するために使用するためのゲル形態である。本発明の製剤は、局所又は全身性送達に使用することができる。
【0052】
本製剤は、浸透エンハンサー、ゲル化剤、保存料、抗酸化剤、緩衝剤、湿潤剤、金属イオン封鎖剤、保湿剤、界面活性剤、皮膚軟化剤又はこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。活性剤は、局所麻酔剤;一般的麻酔剤;筋肉弛緩剤;利尿剤;アンジオテンシン変換酵素阻害剤;カルシウムチャンネル遮断薬;抗不整脈剤;抗狭心症薬; 抗偏頭痛薬;制吐剤;抗ヒスタミン薬及び抗喘息薬;血栓溶解剤;鎮痛剤;鎮咳薬;三環性抗鬱薬;アンフェタミン;食欲抑制薬;精神異常発現薬;向知性薬;睡眠薬;強壮薬;三環性神経安定薬;抗精神病薬;抗痙攣薬;視床下部下垂体調節因子;コルチコステロイド;グルココルチコイド;鉱質コルチコイド;血糖調節因子; 脂質低下薬;リン酸カルシウム代謝調節因子;抗炎症薬;抗胃酸分泌薬;下剤;胃粘膜保護因子;胃運動調節因子(gastric motricity modulators);胆汁酸塩吸着薬;キレート化剤;胆石溶解剤;抗貧血薬; 皮膚疾患薬;α-アンタゴニスト薬;駆虫剤を含んでもよい。
【0053】
1つの実施態様では、医薬製剤は、活性剤としてテストステロンを含み、ジエチレングリコールのモノアルキルエーテル及びグリコールは1:4の重量比である。
【0054】
別の実施態様では、活性剤は、セレギレン塩酸塩又はフェンタニルであり、ジエチレングリコールのモノアルキルエーテル及びグリコールは約1:2〜1:10の重量比である。
【0055】
本発明の別の局面では、経皮的又は経粘膜的製剤中の活性剤の結晶化を遅延又は阻害する方法を提供する。本発明は、皮表又は粘膜表面上での活性剤の重大な結晶化期間を阻害又は遅延する、ことを驚くべきことに見出した。皮膚上への薬物の結晶化に関連する1つの問題は、結晶が皮膚又は粘膜バリアに介して問題を有することである。従って、活性剤は、長期間、皮表上に残る。そう言うわけで、活性剤が、医薬製剤の使用者に接触することになる他人の衣服に転移し又は汚染する可能性が増加する。活性剤の結晶化を阻害又は遅延することにより、本発明は少なくとも3つの利点を有する。活性剤の遅延又は阻害は、皮膚又は粘膜バリアを介する薬物の吸収を増加させる。従って、医薬製剤の衣服への転移を最小限に抑えることができる。更に、活性剤の他人への汚染を最小化できる。
【0056】
本発明によれば、経皮的又は経粘膜的医薬製剤は、活性成分及び溶媒系を含む薬物送達製剤である。本発明の溶媒系は、薬学的に許容されるモノアルキルエーテル、薬学的に許容されるグリコール、及びアルコール及び水の混合物を含む。
【0057】
例えば、モノアルキルエーテルは、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル又はそれらの混合物である。また、例えば、グリコールはプロピレングリコール、ジプロピレングリコール又はそれらの混合物である。モノアルキルエーテル及びグリコールは、各々約1 %〜30 % w/wの量で存在し、10:1〜2:1又は1:2〜1:10の範囲の比率で存在する。好ましい実施態様では、薬学的に許容されるモノアルキルエーテルはジエチレングリコールモノエチルエーテルであり、グリコールはプロピレングリコールである。
【0058】
好ましくは、溶媒系は、揮発性及び不揮発性溶媒の組み合わせを含む。不揮発性溶媒の例は、プロピレングリコール、グリセリン、液体ポリエチレングリコール又はポリオキシアルキレングリコールに限定されない。揮発性溶媒の例は、エタノール、プロパノール又はイソプロパノールに限定されない。好ましくは、揮発性溶媒は、C2〜C4アルコールである。例えば、C2〜C4アルコールは、好ましくはエタノール、イソプロパノール又はそれらの混合物である。C2〜C4アルコールは、約5〜80 % w/w、好ましくは15〜65 %、より好ましくは20〜50 %の量で存在する。
【0059】
製剤の活性成分は、特に限定されないが、ホルモン、例えば非ステロイド性エストロゲン、例えば、ベンゼストロール、ブロパロエストロール、クロロトリアニセン、ジエンストロール、ジエチルスチルボエストロール、ジエチルスチルボエストロール・二プロピオン酸塩、ジメストロール、ホスフェストロール、へキソエストロール、メタレンストリル及びメスエストロール、及びステロイド性エストロゲン、例えばコルポルモン、複合化エストロゲン性ホルモン、エキレニン、エキリン、エストラジオール、17-β-エストラジオール、エストリオール、エストロン、エチニルエストラジオール、安息香酸エストラジオール、エストラジオール 17β-サイピオン酸塩(cypionate)、ポリエストラジオール・リン酸塩、メストラノール、モキサエストロール、マイタトリエンジオール、キネストラジオール、キネストロール;プロゲストゲン、例えばアリルエストレノール、アナゲストン、クロマルジノン酢酸塩、デルマジノン酢酸塩、デメゲストン、デソゲストレル、ジメチステロン、ドロスピレノン、デドロゲステロン、エチニルエストレノール、エチステロン、エチノジオール、エチノジオール二酢酸塩、フルオロゲストン酢酸塩、ゲストデン、ゲストノロンカプロン酸塩、17-ヒドロキシ-16-メチレン-δ-プロゲステロン、17-α-ヒドロキシプロゲステロン、17-α-ヒドロキシゲステロンカプロン酸塩、リネストレノール、メドロゲストン、メドロゲステロン、メゲストロール酢酸塩、メレンゲストロール、ノルエチンドロン、ノルエチンドロン酢酸塩、ノルエチノドレル、ノルゲステロン、ノルゲスチメート、ノルゲストレル、ノルゲストリエノン、19-ノルプロゲステロン、ノルビニステロン、ペンタゲストロ、プロゲステロン、天然プロゲステロン、プロメゲストン、キンゲストロン、トレゲストン;アンドロゲン、例えば、ボルデノン、クロキソテストステロン、フルオキシメステロン、メスタノロン、メステロノロン、17-メチルテストステロン、テストステロン17-β-サイピオン酸塩、テストステロンエナンテート、テストステロン・ニコチン酸塩、テストステロン・フェニル酢酸塩、テストステロン・プロピオン酸塩、17-α-メチルテストステロン 3-シクロペンチレノールエーテル、ノルエタンドロロン、ノルメタンドロノン、オキサンドロロン、オキシメステロン、オキシメトロン、プラステロン、スタノロン、スタノロゾール、チオメステロンを含む。
【0060】
更に、活性剤は抗ホルモン剤でもよい。例えば、医薬活性剤は、エストロン、アンドロゲン又はプロゲストゲン、抗エストロゲン例えばタモキシフェン、4-OH タモキシフェン、抗プロゲストゲン剤及び抗アンドロゲン剤に限定されない。
【0061】
また本発明によれば、医薬活性剤は、抗通風薬、例えばコルヒチン及び誘導体、スルフィンピラゾン、プロベネシド、ベンズブロマロン、アロプリノール;局所麻酔剤、例えば、ベンゾカイン、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、エチドカイン、プリロカイン、メピバカイン、ブピバカイン、ブタニリカイン、アルチカイン、ホモカイン;一般的麻酔剤、例えばメトヘキシタール、チアミラール、チオペンタール、ケタミン、エトミデート、プロポホール、ミダゾラム、フルマゼニル、ドロペリドール、フェンタニル、アルフェンタニル、スフェンタニル;筋肉弛緩剤、例えばクラーレ誘導体、ヘキサカルバコリン、ダントロレン、トテラゼパム、カリソプロドール、クロルゾキサゾン、バクロフェン、メマンチン、チザンジン;利尿薬、例えばヒドロクロロチアジド及び誘導体、クロルラリドン、インダパミド、フロセミド、ブメタニド、ピレタニド、アゾセミド、エトゾリン、エタクリン酸、アミロイド、トリアムテレン、スピロノラクトン;アンジオテンシン変換酵素阻害剤、例えばカプトプリル、エナラプリル、トランドラプリル、リシノプリル、ペリンドプリル、ベナゼプリル、シラゼプリル、ホシノプリル、モエキシプリル、キナプリル、ラミプリル;カルシウムチャネル遮断薬、例えばベプリジル、ジルチアゼム、フェロジピン、フルナリジン、イスラジピン、ニカルジピン、ニトレンジピン、ニフェジピン、ニモジピン、ベラパミル、アムロジピン、ラシジピン、ブフロメジル;抗不整脈剤、例えばキニジン、アジャマリン、プロカインアミド、ジソピラミド、プロパフェノン、トカイニド、フェニトイン、アプリンジン、メキシレチン、フレカイニド、ロルカイニド、プロパフェノン、ソタロール、アミオダロン、ベラパミル、ジルチアゼム;抗狭心症薬、例えば硝酸エステル誘導体、モルシドミン;抗偏頭痛薬、例えばピゾチフェン、オキセトロン、メチセルギド、スマトリプタン、ゾルミトリプタン、ナラトリプタン、エレトリプタン、アルモトルプタン、リザトリプタン;制吐薬、例えばクロルフェノキサミン、ジメンヒドラミン、メクロジン、トリエチルペラジン、トリフルプロマジン、メトクロプラミド、ブトモプリド、ドムペリドン、グラニセトロン、オンダンセトロン、トロピセトロン、ドラセトロン、アロステロン、テガセロド;抗ヒスタミン及び抗喘息薬、例えばクロモグリケート、ネドクロミル、トリトクアリン、ケトチフェン、ロドキサミド、サルブタモール、テルブタリン、ピルブテロール、サルメトレロール、ホルモテロール、バムブテロール、モンテルカスト、プランルカスト、テオフィリン、イプラトロピウム、オキシトロピウム、ベクロメタソン、デキザメタソン、フルチカソン、ブデソニド、フルニソリド;血栓溶解剤、例えばアルテプラーゼ及び誘導体、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ;鎮痛剤、例えば例えばモルヒネ、コデイン、ジアモルヒネ、ジヒドロコデイン、ヒドロモルホン、ヒドロコデン、オキシコデン、オキシモルホン、レボルファノール、ペチジン、レボメタドン、フェンピラミン、ピリトラミド、クロフェダノール、ペンタゾシン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィン、チリジン、トラマドール、ネフォパム、サリチル酸及び誘導体、サルサラート、ジフルニサール、アセタミノフェン、ベノリレート、メフェナミン酸、フルフェナミン酸、ニフルミン酸、メタミゾール、フェナゾン、フェニルブチラゾン、アミノフェナゾン、オキシフェンブタゾン、アザプロパゾン、インドメタシン、ジクロフェナク、スリンダク、フェルビナク、イブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、チアプロフェン酸、ナブメトン、ピロキシカム、テノキシカム、メロキシカム;鎮咳薬、例えばコデイン及び誘導体、クロブチノール、イソアミニル、ペントキシベリン、ブタミラート、オキセラジン、ピパゼタート;三環性抗鬱薬、例えばイミプラミン、デシプラミン、トリミプラミン、ロフェプラミン、クロミプラミン、オピプラモール、アミトリプチリン、アミトリプチリノキシド、ノルトリプチリン、ジベンゼピン、ドキセピン、メリトラセン;四環性抗鬱剤、例えばマプロティリン、ミアンセリン;非定型抗鬱剤、例えばフルボキサミン、トラゾドン、ビロキサシン、フルオキセチン;モノアミンオキシダーゼ阻害剤、例えばトラニルシプロミン;セロトニン前駆体、例えばオキシトリプタン;リチウム塩;鎮静剤、例えばメプロバメート、ヒドロキシジン、クロロジアゼポキシド、テマゼパム、フルラゼパム、ロルメタゼパム、ニトラゼパム、フルニトラゼパム、ジアゼパム、プラゼパム、オキサゼパム、ロラゼパム、クロナゼパム、ブロマゼパム、クロチアゼパム、アルプラゾラム、トリアゾラム、オキサゾラム、ミダゾラム、ケタゾラム、ブロチゾラム、クロバザム、クロラゼペート、ブスピロン;アンフェタミン及び関連化合物、例えばアンフェタミン、メタンフェタミン、フェネチリン、メチルフェニデート、プロリンタン;食欲抑制薬、例えばカティン、アンフェプラモン、メフェノレックス、プロピルヘキセドリン、フェンフルラミン;精神異常発現薬、例えばN-ジメチルトリプタミン、サイロシン、サイロシビン、ブフォテニン、リセルギド、メスカリン、テトラヒドロカンナビノール;向知性薬、例えばピリチノール、ピラセタム、メクロフェノキサート;睡眠薬、例えばカルブロマール、ブロミソバール、ビニルビタール、アプロバルビタール、セクブタバルビタール、ペントバルビタール、シクロバルビタール、フェノバルビタール、グルテチミド、メチプリロン、メタカロン;強壮剤、例えばドキサプム;三環状神経安定薬、クロルプロマジン、プロマジン、トリフルプロマジン、アリメマジン、レボメプロマジン、クロルプロチキセン、ペカジン、チオリダジン、ペルフェナジン、トリフルオペラジン、ペリシアジン、ペラジン、フルフェナジン、ジキシラジン、クロペンチキソール、ジキシラジン、プロチペンジル、チキセン、クロルプロチキセン、クロペンチソール、フルペンチキソール;ブチロフェノン及びジフェニルブチルピペリジン;神経安定薬、例えばハロペリドール、ブロムペリドール、トリフルペリドール、ピパンペロン、メルペロン、ベンペリドール、ピモジド、フルスピリレン;ベンザミド神経安定薬、例えばスルピリド;抗精神薬、例えばクロザピン、ハロペリドール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン;抗痙攣薬、例えばカルバマゼピン、バルプロン酸及びその誘導体、ピリドン、フェトイン、エトスクシミド、トリメタジオン、スルチアム;視床下部下垂体調節因子、例えばゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロプレリン、ブセレリン、ゴセレリン、ナファレリン、ゴナドトロフィン、フォリトロピン、ダナゾール、クロミフェン、キナゴリン、ブロモクリプチン、リスリド;甲状腺機能低下薬及び甲状腺機能亢進薬、例えば甲状腺トロピン放出ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、トリヨードチロン、チロキシン、チラトリコール、ベンジルチオウラシル、クロトリマゾール、コルチコステロイド;糖質コルチコイド及び鉱質コルチコイド;血糖調節因子、例えばインスリン、グリピジド、グリベンクラミド、グリボルヌリド、グリクラジド、カルブタミド、グリメピリド、レパグリニド、メトホルミン、アカルボース、ミグリトール、ジアゾキシド;脂質低下薬、例えばオルリスタット、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトロバスタチン、チアデノール、コレスチラミン、フェノフィブレート、シプロフィブレート、ベザフィブレート、ゲンフィブロジル、ウルソジオール;リン酸カルシウム代謝調節因子、例えばエルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、カルシトリオール、アルファカルシドール、カルシフェジオール、カルシポトリオール、タカルシトール;抗炎症薬、例えばナブメトン、メロキシカム、ニメスリド、エトドラク、アルミノプロフェン、スルファサラジン、メファサラジン、オルサラジン、ロフェコキシブ、セレコキシブ、バルデコキシブ、ネフォパム;抗胃酸分泌薬、例えばオメパラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール、ミソプロストール;下剤;胃粘膜保護因子、例えばシメチジン、ファモチジン、ラニチジン、ニザチジン;胃運動調節因子;胆汁酸塩吸収薬;キレート化剤;胆石溶解剤;抗貧血症薬;皮膚疾患薬;α-アンタゴニスト薬、例えばウラピジル及び誘導体、プラソシン及び誘導体、ニセルゴリン、モキシシリート;駆除薬、例えばアルベンダゾール、アトバクオン、クロロキン、デヒドロエメチン、ジロキサニド、フラゾリドン、ハロファントリエン、ヨードキノール、イベルメクチン、メベンダゾール、メフロキン、メトロニダゾール、ニフルチモックス、プリマキン、ピランテル、ピリメタミン、キニン、キニジン、ペニシリン;セファロスポリン;アミノシド;ポリペプチド;スルファミド;テトラサイクリン;クロラムフェニコール;チアムフェニコール;マクロリド;バンコマイシン;テイコプラニン;リファンピシン;フシジン酸;5-ニトロ-イミダール;リンコサミド;キノロン;イソニアジド、エタンブトール;抗新生物薬、例えばクロルメチン、クロラムブチル、メルファラン、シクロホスファミド、イフォスファミド、エストラムスチン、カルヌスチン、ロムスチン、フォテムスチン、カルバジン誘導体、シスプラチン及び誘導体、チオテパ、ダウノルビシン及び誘導体、ミトキサントロン、5-フルオロウラシル、カペチタビン、シタラビン、ゲンシタビン、メルカプチオプリン、アザチオプリン、フルダラビン、チオグアニン、ペントスタチン、クラドリビン、ラルチトレキセド;抗ウイルス薬、例えばジドブジン及び誘導体、アシクロビル及び誘導体、フォスカーネット、リトナビル及び誘導体;抗菌薬、例えばニスタチン、テルビナフィン、ミカナゾール、ケトコナゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、ビフォナゾール、エコナゾール、オモコナゾール、スルコナゾール、チコナゾール、イソコナゾール、フェンチコナゾール、セルタコナゾールを含んでもよい。
【0062】
活性剤は、抗パーキンソン薬、抗アルツハイマー薬又はオピオイド鎮痛薬から選ばれる。例えば、オピオイド鎮痛薬はフェンタニルでよい。
【0063】
本明細書で用いる用語「抗パーキンソン薬」は、パーキンソン病又はパーキンソン病に関連する症状の治療のために患者に投与される任意の薬物、例えば、トリヘキシフェニジル、トロパテピオン、ビペリデン、プロサイクリジン、ベンザトロピン、オルフェナドリン、ボルナプリン、メチキセン、レボドパ、又はそれらの薬学的に許容される塩に限定されない、を意味する。抗パーキンソン薬は、単独製剤でも、又はデカルボキシラーゼ阻害剤、例えばカルビドパ又はベンセタラジド、ブロモクリプチン、リスリド、アマンタジン又はセレギリンと組み合わせてもよい。
【0064】
本明細書で用いる用語「抗アルツハイマー薬」は、アルツハイマー病又はアルツハイマー病に関連する症状の治療のために患者に投与される任意の薬物、例えば、ガランタミン、リバスチグミン、ドネゼピル、タクリンもしくはメマンチン又はそれらの薬学的に許容される塩に限定されない、を意味する。
【0065】
更に、活性剤は、α-アドレナリン作用性アンタゴニスト、例えばブダララジン、クロニジン、エピネフリン、フェノキサゾリン、ナファゾリン、フェニルエピネフリン、フェニルプロパノールアミン、β-アドレナリン作動性アゴニスト、例えばホルモテロール、メトキシフェナミン、α-アドレナリン作動性遮断薬、例えばドキサゾシン、プラゾシン、テラゾシン、トリマゾシン、ヨヒンビン、β-アドレナリン作動性遮断薬、例えばアベノロール、ビソプロロール、カルテロール、カルベジオール、メトプロロール、ナドロール、ペンブトロール、禁煙用の神経系ガス、例えばニコチン、クエン酸ニコチン及び酒石酸ニコチン、抗コリン薬;抗癲癇薬;抗パーキンソン剤;気管支拡張薬;麻薬拮抗薬;アミド、例えばブトクタミド、ジエチルブロモアセトアミド、イブロタミド、イソバレリルジエチルアミド、ニアプラジン、トリセタミド、トリメトジン、ゾルピデム、ゾピクロン、グアニジン誘導体、例えばグアンチジン;キナゾリン誘導体、例えばアルフゾシン;レセルピン誘導体、例えばレセルピン、スルホンアミド誘導体、例えばフロセミド;その他、例えばミノキシジル、メシル酸ドキサゾシン、モキソニジン、及びジヒドロピリジン誘導体、例えばニルバジピン、ニソルジピン、ピペラジン;誘導体、例えばフルナリシン;その他、例えばペルヘキシリン;カルシウム調節因子、例えばカルシトニン、クロドロン酸、ジヒドロタキステロール、エルカトニン、エチドロン酸、イプリオフラボン、パミドロン酸、副甲状腺ホルモン、酢酸テリパラチド、又はセレギリン塩酸塩でよい。
【0066】
しかしながら、本発明は、上に記載されていない医薬活性剤の他の基に適用することができる。「活性剤」とは単一の活性剤又は1以上の活性剤の組み合わせを意味する意図である、こと理解されたい。本製剤に含まれる全身性及び/又は局所活性剤の量は、浸透性亢進が達成される程度を必要とする。
【0067】
また本発明によれば、浸透エンハンサーは、医薬製剤に付加的に取り込むことができる。浸透エンハンサーは、特に限定されないが特に、スルホキシド、例えばジメチルスルホキシド及びデシルメチルスルホキシド;界面活性剤、例えばラウリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ポロキサマー(231、182、184)、ツィーン(20、40、60、80)及びレクチン;1-置換アザシクロヘプタン-2-オン、特に1-n-ドデシルシクラザシクロヘプタン-2-オン;脂肪アルコール、例えばラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール等;脂肪酸、例えば、ラウリン酸、オレイン酸;脂肪酸エステル、例えばミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、メチルプロピオン酸及びオレイン酸エチル;ポリオール及びそのエステル、例えばプロピレングリコール、エチレングリコール、グリセロール、ブタンジオール、ポリエチレングリコール、及びモノラウリン酸ポリエチレングリコール、アミド、及び他の窒素化合物、例えば尿素、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルホルミアミド(DMF)、2-ピロリドン、1-メチル-2-ピロリドン、エタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン、テルペン;アルカノン、及び有機酸、特にサリチル酸及びサリチル酸塩、クエン酸及びコハク酸を含む。本明細書で先に述べたように、「経皮的浸透性エンハンサー」Smith他著(CRC Press, 1995)は、本明細書に参考文献として援用され、本明細書と関連して使用するため可能な第二エンハンサーに関する出願された情報及び更なる情報の優れた概要を提供する。本発明に使用されるより好適な浸透エンハンサー(複数)は、当業者に公知である。浸透性エンハンサーは、化合物の種類に応じて約0.1〜約30.0 % w/w存在する。好ましくは、浸透性エンハンサーは、脂肪アルコール及び脂肪酸であり、より好ましくは脂肪アルコールである。好ましくは、脂肪アルコールは、式 CH3(CH2)n(CH2)mCH20H(nは、(8-m)〜(16-m)及びm=0〜2)を有する。
【0068】
本発明の医薬製剤は、更に、ゲル化剤又は増粘剤、例えば、カルボマー、カルボキシエチレン又はポリクリル酸、例えばカルボマー980又は940 NF、981もしくは941 NF、1382もしくは1342 NF、5984もしくは934 NF、ETD 2020、2050、934P NF、971P NF、974P NFカルボマー、及びカルボマー誘導体;セルロース誘導体例えばエチルセルロース、ヒドロキシプロオイルメチルセルロース(HPMC)、エチル-ヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)等;天然ゴム例えばアラビア、キサンタン、グアールゴム、アルギン酸塩等;ポリビニルピロリドン誘導体;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンコポリマー等;他のキトサン類似物、ポリビニルアルコール、ペクチン、ビーガムグレード等を含んでもよい。本発明に適用する他の好適なゲル化剤は、特に限定されないが、カルボマーを含む。あるいは、当業者に公知の他のゲル化剤又は粘性剤も使用できる。ゲル化剤又は増粘剤は、当業者に公知のポリマーの種類によって、約0.2〜約30 % w/wで存在する。
【0069】
経皮的又は経粘膜的医薬製剤は、保存料、例えば塩化ベンザルコニウム及び誘導体、安息香酸、ベンジルアルコール及び誘導体、ブロノポール、パラベン、セントリミド、クロルへキシジン、クレゾール及び誘導体、イミドウレア、フェノール、フェノキシエタノール、フェルエチルアルコール、フェイル水銀塩、チメロサール、ソルビン酸及び誘導体を更に、含んでもよい。保存料は、化合物の種類によって、約0.01〜約10 % w/wで存在する。
【0070】
経皮的又は経粘膜的医薬製剤は、抗酸化剤、例えば特に限定されないが、トコフェロール及び誘導体、アスコルビン酸及び誘導体、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、フマル酸、リンゴ酸、没食子酸プロピル、メタ重亜硫酸塩及び誘導体を更に含んでもよい。抗酸化剤は、化合物の種類によって、約0.001〜約5.0 % w/wで存在する。
【0071】
また本発明によれば、本製剤は、緩衝剤、例えば炭酸塩緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤、リン酸塩緩衝剤、酢酸塩緩衝剤、塩酸、乳酸、酒石酸、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、アミノメチルアミンを更に含んでもよい。当該分野で公知の他の緩衝剤も含まれる。緩衝剤は製剤内の水量の最高100 %まで置換してもよい。
【0072】
1実施態様では、経皮的又は経粘膜的医薬製剤は、湿潤剤、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、トリアセチンを更に含む。湿潤剤は、化合物の種類により、約1〜10 % w/wで存在する。
【0073】
本製剤は更に、金属イオン封鎖剤例えばエデト酸を含んでもよい。金属イオン封鎖剤は、化合物の種類により、約0.001〜約5 % w/wで存在する。
【0074】
また本発明によれば、本製剤は、保湿剤、例えばドキュセート・ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ステアリン酸ポリオキシエチレン、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウムを含む。保湿剤は、化合物の種類により、約1.0〜約5 % w/wで存在する。
【0075】
本製剤は、更にアニオン性、ノニオン性又はカチオン性界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤は、化合物の種類により、約0.1〜約30 % w/wで存在する。
【0076】
また本発明によれば、本製剤は、皮膚軟化剤、例えば特に限定されないが、セトステアリルアルコール、セチルエステルワックス、コレステロール、グリセリン、グリセロールの脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、レシチン、軽鉱油、鉱油、ワセリン、ラノリン及びそれらの組み合わせを含む。皮膚軟化剤は、化合物の種類により、約1.0〜約30.0 % w/wで存在する。
【0077】
本発明の別の局面では、方法は、経皮的又は経粘膜的医薬製剤中の活性剤の結晶化を遅延する又は阻害するための方法を提供する。本方法は、少なくとも1つの活性剤及び溶媒系を含む製剤を調製するステップを含む。当該溶媒系は、薬学的に許容されるジエチレングリコールのモノアルキルエーテル及びグリコールを、10 :1〜2:1又は1:2〜1:10の重量比で含む。本方法の1つの実施態様では、ジエチレングリコールのモノアルキルエーテル及びグリコールは、10:1〜2:1の比で存在する。本方法の別の実施態様では、ジエチレングリコールのモノアルキルエーテル及びグリコールは、約1:2〜1:10の量で存在する。
【0078】
好ましくは、ジエチレングリコールのモノアルキルエーテル及びグリコールは、組み合わせて、製剤の少なくとも15 %、そして60 %未満の量で存在する。
【0079】
有利には、本方法は、適用される皮表又は粘膜表面を介して吸収及び浸透が促進又は増加するように、活性剤の結晶化を減少させ又は阻害する。好ましくは、本製剤は、皮表又は粘膜表面を介して活性剤の浸透性を向上させるために、浸透エンハンサーを含む。例えば、本製剤は、ラウリルアルコール又はミリスチルアルコールを全製剤の0.5〜2重量%の量で更に含んでもよい。
【実施例】
【0080】
以下の実施例は例示に過ぎず、本発明を限定するものと解釈してはならない。
【0081】
実施例 1
1.00重量%(w/w)のテストステロン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル 5.00 % w/w、プロピレングリコール 6.00 % w/w、エタノール 46.28 % w/w、精製水 38.11 % w/w、カルボマー(CARBOPOL(登録商標)980 NF) 1.20 % w/w、トリエタノールアミン 0.35 % w/w、エデト酸二ナトリム塩(EDTA) 0.06 % w/w、ラウリルアルコール 2.00 % w/wを含むゲルを、(水溶性でない場合には)エタノール/プロピレングリコール/ジエチレングリコールモノエチルエーテル/ラウリルアルコール混合物中に活性剤を溶解することによって、調製した。二ナトリウム塩 EDTA溶液を次いで加え、室温で、製剤の良好な均質化を確実にし及び同時に塊の形成及び空気の取り込みを避ける好適な速度で機械攪拌しながら、カルボマーを水溶性アルコール溶液に分散した。ゲルを形成するまで攪拌しながら、トリエタノールアミンを最後に加えた。
【0082】
実施例 2
テストステロン 1.00 % w/w、ジエチレングリコールモノエチルエーテル 5.00 % w/w、プロピレングリコール 6.00 % w/w、エタノール 46.96 % w/w、精製水 38.43 % w/w、カルボマー(CARBOPOL(登録商標)980 NF) 1.20 % w/w、トリエタノールアミン 0.35 % w/w、二ナトリウム塩 EDTA 0.06 % w/w、ラウリルアルコール 1.00 % w/wからなるゲルを、実施例1に記載の製造法に従い調製した。
【0083】
実施例 3
テストステロン 1.00 % w/w、ジエチレングリコールモノエチルエーテル 5.00 % w/w、プロピレングリコール 6.00 % w/w、エタノール 47.52 % w/w、精製水 38.87 % w/w、カルボマー(CARBOPOL(登録商標)980 NF) 1.20 % w/w、トリエタノールアミン 0.35 % w/w、二ナトリウム塩 EDTA 0.06% w/wからなるゲルを、実施例1に記載の製造法に従い調製した。
【0084】
実施例 4
テストステロン 1.00 % w/w、プロピレングリコール 6.00 % w/w、エタノール 50.26 % w/w、精製水 41.13 % w/w、カルボマー(CARBOPOL(登録商標)980 NF) 1.20 % w/w、トリエタノールアミン 0.35 % w/w、二ナトリウム塩 EDTAからなるゲルを、実施例1に記載の製造法に従い調製した。
【0085】
実施例 5
テストステロン 1.00 % w/w、ジエチレングリコールモノエチルエーテル 5.00 % w/w、プロピレングリコール 15.00 % w/w、エタノール 42.56 % w/w、精製水 34.82 % w/w、カルボマー(CARBOPOL(登録商標)980 NF) 1.20 % w/w、トリエタノールアミン 0.35 % w/w、二ナトリウム塩 EDTA 0.06 % w/wからなるゲルを、実施例1に記載の製造法に従い調製した。
【0086】
実施例 6
テストステロン 1.00 % w/w、ジエチレングリコールモノエチルエーテル 30.00 % w/w、プロピレングリコール 6.00 % w/w、エタノール 33.76 % w/w、精製水 27.62 % w/w、カルボマー(CARBOPOL(登録商標)980 NF) 1.20 % w/w、トリエタノールアミン 0.35 % w/w、二ナトリウム塩 EDTA 0.06% w/wからなるゲルを、実施例1に記載の製造法に従い調製した。
【0087】
実施例 7
テストステロン 1.00 % w/w、ジエチレングリコールモノエチルエーテル 5.00 % w/w、プロピレングリコール 6.00 % w/w、エタノール 47.40 % w/w、精製水 38.79 % w/w、カルボマー(CARBOPOL(登録商標)980 NF) 1.20 % w/w、トリエタノールアミン 0.35 % w/w、二ナトリウム塩 EDTA 0.06 % w/w、ラウリルアルコール 0.20 % w/wからなるゲルを、実施例1に記載の製造法に従い調製した。
【0088】
実施例 8
テストステロン 1.00 % w/w、ジエチレングリコールモノエチルエーテル 5.00 % w/w、プロピレングリコール 6.00 % w/w、エタノール 50.81 % w/w、精製水 38.87 % w/w、カルボマー(CARBOPOL(登録商標)980 NF) 1.20 % w/w、トリエタノールアミン 0.35 % w/w、二ナトリウム塩 EDTA 0.06 % w/wからなるゲルを、実施例1に記載の製造法に従い調製した。
【0089】
実施例 9
テストステロン 1.00 % w/w、ジエチレングリコールモノエチルエーテル5.00 % w/w、プロピレングリコール30.00 % w/w、エタノール 34.31 % w/w、精製水 28.07 % w/w、カルボマー(CARBOPOL(登録商標)980 NF) 1.20 % w/w、トリエタノールアミン 0.35 % w/w、二ナトリウム塩 EDTA 0.06 % w/wからなるゲルを、実施例1に記載の製造法に従い調製した。
【0090】
実施例 10
テストステロン 1.00 % w/w、エタノール 53.56 % w/w、精製水 43.83 % w/w、カルボマー(CARBOPOL(登録商標)980 NF) 1.20 % w/w、トリエタノールアミン 0.35 % w/w、二ナトリウム塩 EDTA 0.06 % w/wからなるゲルを、実施例1に記載の製造法に従い調製した。
【0091】
実施例 11
テストステロン 1.00 % w/w、ジエチレングリコールモノエチルエーテル 15.00 % w/w、プロピレングリコール 6.00 % w/w、エタノール 42.00 % w/w、精製水 34.39 % w/w、カルボマー(CARBOPOL(登録商標)980 NF) 1.20 % w/w、トリエタノールアミン 0.35 % w/w、二ナトリウム塩 EDTA 0.06 % w/wからなるゲルを、実施例1に記載の製造法に従い調製した。
【0092】
実施例 12
ミノキシジル 2.00 % w/w、エタンール 58.50 % w/w、精製水 39.00 % w/w、ヒドロキシプロピルセルロース(KLUCEL(登録商標) MF Pharm) 0.50 % w/wからなるゲルを、(水溶性でない場合には)エタノール/プロピレングリコール/ジエチレングリコールモノエチルエーテル/ラウリルアルコール混合物中に活性剤を溶解することによって、調製した。精製水を次いで加え、室温で、製剤の良好な均質化を確実にし及び同時に塊の形成及び完全に膨らむまで空気の取り込みを避ける好適な速度で機械攪拌しながら、ヒドロキシプロピルセルロースを水溶性アルコール溶液に分散した。
【0093】
実施例 13
ミノキシジル 2.00 % w/w、ジエチレングリコールモノエチルエーテル 5.00 % w/w、プロピレングリコール 30.0 % w/w、エタノール 37.50 % w/w、精製水 25.00 % w/w、ヒドロキシプロピルセルロース(KLUCEL(登録商標) MF Pharm) 0.50 % w/wからなるゲルを、実施例12に記載の製造法に従い調製した。
【0094】
実施例 14
ミノキシジル 2.00 % w/w、ジエチレングリコールモノエチルエーテル 30.00 % w/w、プロピレングリコール 6.00 % w/w、エタノール 36.90 % w/w、精製水 24.60 % w/w、ヒドロキシプロピルセルロース(KLUCEL(登録商標) MF Pharm) 0.50 % w/wからなるゲルを、実施例12に記載の製造法に従い調製した。
【0095】
実施例 15
オキシブチン基剤 2.00 % w/w、エタノール 58.50 % w/w、精製水 39.00 % w/w、ヒドロキシプロピルセルロース(KLUCEL(登録商標) MF Pharm) 0.50 % w/wからなるゲルを、実施例12に記載の製造法に従い調製した。
【0096】
実施例 16
オキシブチン基剤 2.00 % w/w、ジエチレングリコールモノエチルエーテル 5.00 % w/w、プロピレングリコール 30.0 % w/w、エタノール 37.50 % w/w、精製水 25.00 % w/w、ヒドロキシプロピルセルロース(KLUCEL(登録商標) MF Pharm) 0.50 % w/wからなるゲルを、実施例12に記載の製造法に従い調製した。
【0097】
実施例 17
オキシブチン基剤 2.00 % w/w、ジエチレングリコールモノエチルエーテル 30.00 % w/w、プロピレングリコール 6.0 % w/w、エタノール 36.90 % w/w、精製水 24.60 % w/w、ヒドロキシプロピルセルロース(KLUCEL(登録商標) MF Pharm) 0.50 % w/wからなるゲルを、実施例12に記載の製造法に従い調製した。
【0098】
実施例 18
エストラジオール 2.00 % w/w、エタノール 58.50 % w/w、精製水 39.00 % w/w、ヒドロキシプロピルセルロース(KLUCEL(登録商標) MF Pharm) 0.50 % w/wからなるゲルを、実施例12に記載の製造法に従い調製した。
【0099】
実施例 19
エストラジオール 2.00 % w/w、ジエチレングリコールモノエチルエーテル 5.00 % w/w、プロピレングリコール 30.0 % w/w、エタノール 37.50 % w/w、精製水 25.00 % w/w、ヒドロキシプロピルセルロース(KLUCEL(登録商標) MF Pharm) 0.50 % w/wからなるゲルを、実施例12に記載の製造法に従い調製した。
【0100】
実施例 20
エストラジオール 2.00 % w/w、ジエチレングリコールモノエチルエーテル 30.0 % w/w、プロピレングリコール 6.00 % w/w、エタノール 36.90 % w/w、精製水 24.60 % w/w、ヒドロキシプロピルセルロース(KLUCEL(登録商標) MF Pharm) 0.50 % w/wからなるゲルを、実施例12に記載の製造法に従い調製した。
【0101】
実施例 21
フェンタニル基剤 3.00 % w/w、エタノール 58.00 % w/w、精製水 38.60 % w/w、ヒドロキシプロピルセルロース(KLUCEL(登録商標) MF Pharm) 0.50 % w/wからなるゲルを、実施例12に記載の製造法に従い調製した。
【0102】
実施例 22
フェンタニル基剤 5.00 % w/w、ジエチレングリコールモノエチルエーテル 5.00 % w/w、プロピレングリコール 30.0 % w/w、エタノール 36.00 % w/w、精製水 23.50 % w/w、ヒドロキシプロピルセルロース(KLUCEL(登録商標) MF Pharm) 0.50 % w/wからなるゲルを、実施例12に記載の製造法に従い調製した。
【0103】
実施例 23
フェンタニル基剤 2.00 % w/w、ジエチレングリコールモノエチルエーテル 30.00 % w/w、プロピレングリコール 6.00 % w/w、エタノール 36.90 % w/w、精製水 24.60 % w/w、ヒドロキシプロピルセルロース(KLUCEL(登録商標) MF Pharm) 0.50 % w/wからなるゲルを、実施例21に記載の製造法に従い調製した。
【0104】
実施例 24
テストステロン 1.00 % w/w、エストラジオール 0.10% w/w、エタノール 59.00 % w/w、精製水 39.40 % w/w、ヒドロキシプロピルセルロース(KLUCEL(登録商標)MF Pharm) 0.50 % w/wからなるゲルを、実施例21に記載の製造法に従い調製した。
【0105】
実施例 25
テストステロン 1.00 % w/w、エストラジオール 0.10% w/w、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(TRANSCUTOL(登録商標)P) 5.00 % w/w、プロピレングリコール 30.0 % w/w、エタノール 38.00 % w/w、精製水 25.40 % w/w、ヒドロキシプロピルセルロース(KLUCEL(登録商標)MF Pharm) 0.50 % w/wからなるゲルを、実施例21に記載の製造法に従い調製した。
【0106】
実施例 26
テストステロン 1.00 % w/w、エストラジオール 0.10% w/w、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(TRANSCUTOL(登録商標)P) 30.00 % w/w、プロピレングリコール 6.00 % w/w、エタノール 37.40 % w/w、精製水 25.00 % w/w、ヒドロキシプロピルセルロース(KLUCEL(登録商標)MF Pharm) 0.50 % w/wからなるゲルを、実施例21に記載の製造法に従い調製した。
【0107】
実施例 27
エストラジオール 0.06% w/w、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(TRANSCUTOL(登録商標)P) 5.00 % w/w、プロピレングリコール 6.00 % w/w、エタノール 46.28 % w/w、精製水 41.05 % w/w、カルボマー(CARBOPOLTM 980 NF) 1.20 % w/w、トリエタノールアミン 0.35 % w/w、二ナトリウム塩 EDTA 0.06% w/w、ラウリルアルコール 2.00% w/wからなるゲルを、実施例1に記載の製造法に従い調製した。
【0108】
実施例 28
アルプラゾラム 2.00 % w/w、エタノール 58.50 % w/w、精製水 39.00 % w/w、ヒドロキシプロピルセルロース(KLUCEL(登録商標)MF Pharm) 0.50 % w/wからなるゲルを、実施例12に記載の製造法に従い調製した。
【0109】
実施例 29
アルプラゾラム 2.00 % w/w、ジエチレングリコールモノエチルエーテル 5.00 % w/w、プロピレングリコール 30.0 % w/w、エタノール 37.50 % w/w、精製水 25.00 % w/w、ヒドロキシプロピルセルロース(KLUCEL(登録商標)MF Pharm) 0.50 % w/wからなるゲルを、実施例12に記載の製造法に従い調製した。
【0110】
実施例 30
アルプラゾラム 2.00 % w/w、ジエチレングリコールモノエチルエーテル 30.00 % w/w、プロピレングリコール 6.00 % w/w、エタノール 36.90 % w/w、精製水 24.60 % w/w、ヒドロキシプロピルセルロース(KLUCEL(登録商標)MF Pharm) 0.50 % w/wからなるゲルを、実施例12に記載の製造法に従い調製した。
【0111】
In vitroでの薬物生物学的分布及び浸透性試験の比較例
実施例 31
図1に図解的に示す拡散チャンバを用いて、イヤーピッグ(ear pig)皮膚によるin vitroでの薬物生物学的試験及び浸透性実験を行った(Franz Vertical Diffusion Cell)。ヒト皮膚によるin vitroでの経皮的浸透性試験は、ヒト皮膚が入手できないため制限されている。イヤーピッグ皮膚が、化学物質の経皮的吸収の評価におけるヒト皮膚に最も近いモデルとして用いられる、ことが文献では主に記載されている。
【0112】
屠殺場から得られた新鮮なイヤーピッグ死体の皮膚を標準操作方法に従って処理した。全体(刺傷、擦り傷又は赤みがない)及び症状について、イヤーピッグを評価した。穿孔及び任意の損傷をしないように、外科用メスによりイヤーピッグから皮膚を切り取った。切り取った皮膚試料をPBS溶液で洗浄し、皮膚ディスクの連続パンチのために表面に置いた。皮膚ディスク片を1.77 sqcmの表面積を有する垂直拡散細胞の切片間に埋め込むと、表皮が表面に出た。前に示した50 mgの経皮器具を表皮層、及び受容体溶液と接触する真皮層とに適用した:ポリオキシエチレン20オレイルエーテル(Oleth 20)の体積で2.0重量%及びリン酸緩衝液PBS、pH 7.4。受容体チャンバを35℃に維持し、非閉塞性条件かつ600 rpmの攪拌速度で試験を行った。所与の時点では、試料を受容体溶液から回収し、受容体チャンバを直ちに新鮮な溶液で満たした。受容体溶液(浸透性薬物)から採取した全ての試料を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法を用いて分析した。好適な溶液製剤を用いる浸透性試験の完了後、皮膚層:表皮、真皮及び角質層内の薬物分布について皮膚ディスク片の全てを分析した。未吸収製剤も評価した。次いで、未吸収製剤、角質層中の薬物量及び皮膚の最も内側に部分の薬物量(血流を示す真皮、表皮、及び受容体溶液)を考慮して、薬物生成物の投与/適用後の一定時間後の薬物の総回収/分布を評価するために、バランスマスを行った。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法を用いて様々な区分を分析した。
【0113】
浸透した蓄積薬物及び薬物流速の測定(in vitro 浸透性試験)
試験期間及び経皮的流速(mcg/sqcm/時間)で浸透した薬物の総量(mcg/cm2)を各試験について測定した。
【0114】
生物学的分布試験
In vitro浸透性試験の完了後に、前に説明した様々な区分について活性化合物の分布を評価した。本明細書に開示の発明を適用する浸透性実験における改善、及び衣服又は同伴者への転移の可能性のある薬物量を最小限にする改良を証明するために、本発明の手段を使用する実施例のin vitro浸透性試験及び薬物生物学的分布試験を、本発明を使用しない実施例と比較した。本明細書に開示の発明を適用して得られた結果を証明するのが目的だった。薬物の生物学的分布試験をin vitroで実施することにより、これは、製剤が「in vivo」で使用される場合に、他の表面又は同伴者に移る又は転移する可能性のある皮表上に残る薬物量を評価するものである。
【0115】
実施例 32--本発明及び先行後術の製剤の比較
以下記載の実施例の定性-定量製剤に関しては、上記の「実施例」を参照。
【0116】
【表2】

【0117】
上記表Iは、本発明の経皮的又は粘膜的製剤が、新規な比率のモノアルキルエステル及びグリコールを含まない経皮的又は粘膜的製剤と比較して使用した場合に、吸収されない薬物量が顕著に減少していることを明らかに示す。明らかなように、24時間後では、本発明の新規性を含まない実施例10では、テストステロンの大部分(92.5 %)が吸収されずに残存し、反対に、本発明の実施態様である実施例9及び6では、各々、66.5 %及び82.4 %と、著しく未吸収薬物が減少した。図2は、これらの結果をグラフ形式で示す。
【0118】
表I及び図2は、本発明が5:1の比で存在する実施例6よりも、本発明が1:6の比で存在する実施例9では、テストステロンがより高い量(12.6 %対6.6 %)で角質層に存在することを示す。皮膚又は粘膜の最も外側の層における活性剤の蓄積が、ジエチレングリコールモノエチルエーテル:プロピレングリコールの特定比での組み合わせから生じ、前に記載の背景によって予想されるジエチレングリコールモノエチルエーテル濃度のみには依拠しない、ことをこの結果は示す。
【0119】
生物学的分布試験は、本発明(すなわち、本例では、2つの極端な比率1:6及び5:1で試験した、ジエチレングリコールモノエチルエーテル及びプロピレングリコールの組み合わせ)の有用性を証明し、本発明が製剤の皮膚残渣を顕著に減少させる、ことを証明する。
【0120】
【表3】

【0121】
表IIは、ミノキシジルを活性剤として用いる24時間生物学的分布試験の結果を示す。この結果は、本発明が製剤中に存在する場合には、未吸収の薬物量の顕著な減少を確実に確認するものである。表II及び図3(グラフ形式)から明らかなように、24時間後では、94.2 %のミノキシジルが実施例12では未吸収で残存するが、いずれも本発明の好ましい実施態様である実施例14及びより特に実施例13は、よりミノキシジルが吸収された。特には、実施例14は、90.5 %の未吸収薬物を有し、実施例13は、85.9 %の未吸収薬物を有した。表II及び図3は、より高いミノキシジル(6.2 %対2.1 %)が、モノアルキルエーテル及びグリコールは1:6の比で存在する実施例13、及びモノアルキルエーテル及びグリコールは5:1の比で存在する実施例14の角質層に存在する、ことも示す。従って、かさねて、皮膚又は粘膜の最も外側の層における活性剤の蓄積がジエチレングリコールモノエチルエーテル:プロピレングリコールの特定比での相乗的組み合わせから起こり、結晶化が阻害される、ことが判る。本明細書から明らかなように、先に記載の背景によって予想されるように、結晶化阻害はジエチレングリコールモノエチルエーテル濃度のみならす、本発明に特定比に依拠する。
【0122】
そのため、これらのin vitroでの浸透及び生物学的分布試験は、この例では2つの極端な比:1:6及び5:1で試験した、ジエチレングリコールモノエチルエーテル:プロピレングリコールの組み合わせの予期しない結果を証明する。すなわち、製剤の皮膚残渣を著しく減少した。
【0123】
実施例 33--本明細書に記載の発明を様々な比で含む製剤の比較
各々、一定濃度のジエチレングリコールモノエチルエーテル(5 % w/w)及び変動する濃度のプロピレングリコール(6、15又は30 % w/w)を含む、3種の製剤を調製し、24時間後の薬物浸透性及び薬物生物学的分布を比較した;上記実施例3、5及び9。浸透性試験の結果を以下の表IIIに示す。
【0124】
【表4】

【0125】
表IIIは、各々が、ジエチレングリコールモノエチルエーテル:プロピレングリコールの1:1.2〜1:6の範囲の異なった比を有する、本発明の3種の実施態様が、非常に類似した浸透テストステロン蓄積量をもたらす、ことを示す。図4は、本発明のこれらの3実施態様の各々の相対的速度プロファイルを説明する。
【0126】
本発明の定量的製剤における変化は、重要な浸透性の変動をもたらさない。
【0127】
【表5】

【0128】
表IV及び図5から明らかなように、実施例5での、本製剤の比の1:3(5 % w/wジエチレングリコールモノエチルエーテル/15 % w/w プロピレングリコール)から、実施例9での、1:6(5 % w/wジエチレングリコールモノエチルエーテル/30 % w/w プロピレングリコール)への増加は、未吸収薬物の5 %減少をもたらした過ぎなかったが、角質層では分布した薬物の約66 %増加をもたらした。皮膚層により深く分布した薬物は変わらないと考えられる。この試験は、皮膚又は粘膜の最も深い層内の活性薬物の分布を修正することができ、同時に皮膚又は粘膜の最も内側内の薬物分布には大して影響を与えない、ことを明らかにするものである(実施例5及び9)。
【0129】
In vitro浸透性及び生物学的分布試験の当該セットは、本発明の製剤の比によって薬物分布が調整されることを明らかに示す。これらのin vitro浸透性及び生物学的分布は、本発明の新規製剤の比の変化が大して異なった浸透性能力をもたらさないことも明らかに示す。加えて、これらのin vitro浸透性及び生物学的分布は、本発明の新規製剤が独立した効果を有することを明確に示す。
【0130】
実施例 34--セレギリン塩酸塩のin vitro浸透性
1つの単一の水性アルコールゲル製剤(製剤A)及び本発明を含む2つのゲル製剤(製剤B及びC)の浸透性の結果を比べるために、試験を行った。3つの製剤は全て、セレギリン塩酸塩を1 % w/w(0.84 % w/wセレギリン基剤に対応)で含んだ。各製剤A、B及びCの成分を以下に示す。
【0131】
【表6】

【0132】
以下の条件及びパラメータは、セレギリン塩酸塩のin vitro浸透性の上記の実施例A、B及びCに使用した。
【0133】
この試験で得られたデータは、1:2で、かつ全製剤中に15 %の量で存在するジエチレングリコールエチルエーテル及びプロピレングリコールの有利な効果を明らかに示す。図7から明らかなように、浸透した蓄積薬物のパーセンテージは、本発明を含む製剤に関してはより高かった。加えて、図6から明らかなように、最高薬物瞬間流速は、本発明を含まない製剤A及び本発明を含む製剤Bに関して、6時間後に得られた。
【0134】
しかしながら、薬物流速は、6時間内では、製剤Bに比べて製剤Aでは4.5倍速く低下した。薬物瞬間流速は、T=6〜T=12時間で、製剤Aでは68 %減少し、製剤Bでは15 %減少した。従って、T=6時間〜T=12時間の薬物瞬間流速は、製剤A(0.14 μg/cm2/時間)よりも製剤B(0.31 μg/cm2/時間)では2.2倍高かった。製剤Bの活性剤のより遅い減少は、長期間治療薬に有利となる、長時間の活性剤のよりすぐれた徐放を明らかに示す。有利なことに、本発明の製剤及びその使用は、頻繁の投与を必要とせず、望ましくない血中レベルの変動、例えば望ましくない副作用に起因する血漿ピーク及び谷、及び治療効率の減少を避けることができた。
【0135】
実施例 35--フェンタニルのin vitro浸透性
1つの単一の水性アルコールゲル製剤(製剤A)及び本発明を含む2つのゲル製剤(製剤B及びC)の浸透性の結果を比較するために、試験を行った。3つの製剤は全て、フェンタニルを1 % w/wで含んだ。製剤A、B及びCの各々の成分は以下に示す。
【0136】
【表7】

【0137】
この試験で得られたデータは、1:2で、かつ全製剤中に15 %の量で存在するジエチレングリコールエチルエーテル及びプロピレングリコールの有利な効果を明らかに示す。
【0138】
図8及び9から明らかなように、ジエチレングリコールエチルエーテル5 %及びラウリルアルコールの添加は、フェンタニルの絶対浸透量の76 %の増加、フェンタニルの相対的浸透量の68 %の増加、及びフェンタニルの定常状態流速の55 %の増加をもたらした。従って、データは、ジエチレングリコールエチルエーテル及びラウリルアルコールの組み合わせが、フェンタニルの経皮的吸収に正の効果を及ぼす、ことを示す。
【0139】
更に、10 % w/wの量でのプロピレングリコールの添加は、フェンタニルの絶対及び絶対浸透量の2倍の増加、並びに定常状態流速をもたらした。フェンタニルの親油性(LogKo/w=4.05)にもかかわらず、単一水溶性アルコール性ゲルへの、ジエチレングリコールエチルエーテル、ラウリルアルコール及びプロピレングリコールの添加は、薬物の全身性吸収に著しい正の影響を与え、定常状態流速を3倍に増加させた。
【0140】
実施例 36--フェンタニルのin vitro浸透性
異なった比でのかつ更に浸透エンハンサー(例えば、先の実施例35に開示のラウリルアルコール)を存在又は非存在下で、1つの単一水性アルコールゲル製剤(製剤A、先の実施例35に開示の製剤Aと同一)及び本発明を含む2つのゲル製剤(製剤B及びC)の浸透性結果を比較するために、試験を行った。3つの製剤は全て、フェンタニルを1 % w/wで含んだ。各製剤A、B及びCの成分を以下に示す。
【0141】
【表8】

【0142】
この試験で得られたデータは、1:4又は1:8の1の比でかつ全製剤の約25 %の量で存在する、ジエチレングリコールエチルエーテル及びプロピレングリコールの有利な効果を明確に示す。
【0143】
図10及び11から明らかなように、フェンタニル1 %の単一水性アルコールゲルへのジエチレングリコールモノエチルエーテル:プロピレングリコールの1:4(各々1:8)の比での本発明の添加は、各々2.8倍(各々3.0倍)で、薬物の経皮的吸収を統計的に増加させた。更に、この添加は、4時間早く(16時間の代わりに12時間)定常状態に近づけることができ、定常状態流速値を顕著に増加させた:定常状態では、吸収速度は、AよりもB及びCでは、各々、3.3倍及び3.0倍高かった。ジエチレングリコールエチルエーテル及びプロピレングリコールの組み合わせの単一水性アルコールゲルへの添加は、フェンタニル全身性吸収に顕著な正の効果を与えた。
【0144】
実施例 37--ブスピロンのin vitro浸透性
異なった比でかつ浸透性エンハンサー(ミリスチルアルコール)の存在又は非存在下で、1つの単一の水性アルコール製剤(製剤A)及び本発明を含む2つのゲル製剤(製剤B及びC)の浸透結果を比較するために、試験を行った。3つの製剤は全て、2.74 % w/w ブスピロン基剤に対応するブスピロン塩酸塩を3 % w/wで含んだ。各製剤A、B及びCの成分を以下に示す。
【0145】
【表9】

【0146】
この試験で得られたデータは、1:3の比でかつ全製剤の約20 %の量で存在する、ジエチレングリコールエチルエーテル及びプロピレングリコールの有利な効果を明確に示す。
【0147】
図12及び13から明らかなように、ブスピロン塩酸塩 3 % w/wの単一水性アルコールゲル中のジエチレングリコールモノエチルエーテル:プロピレングリコールの1:3の比での本発明の添加(製剤B)は、対照(製剤A)に比べて、薬物吸収を60 %改善することができた。浸透エンハンサー−ミリスチルアルコール−(製剤C)の取り込みは、薬物吸収を約2倍に改善した、これは、参照と比べてブスピロン塩酸塩の経皮的吸収が3.2倍増加したことを示す。
【0148】
定常状態吸収速度は、ジエチレングリコールモノエチルエーテル:プロピレングリコールが1:3で添加した場合の2.2倍(製剤B対製剤A)、更にミリスチルアルコールを添加した場合の3.8倍(製剤C対製剤A)に改善もされた。
【0149】
実施例 38--結晶化試験
本発明について薬物結晶化速度に関する試験も実施し、本発明の新規製剤を新規の特定の比で有さない製剤と比べた。目的は、in vitroでの浸透性及び生物学的分布結果により、本発明の新規製剤の結晶化速度(「遅い」又は「速い」結晶化速度)間の関係を確立することであり、それにより、製剤の同伴者/表面への転移の可能性(「低い」又は「高い」可能性)を決定することである。
【0150】
様々な活性化合物を、本発明を含まない製剤と比較して、本明細書に開示の発明を含む製剤で評価した。本発明は、皮膚からの薬物の取り込みを亢進又は促進し、同時に、薬物生成物の皮膚上への適用後の皮膚残渣の量を最小限に抑えるビヒクルのある組み合わせの使用に関する。
【0151】
本明細書に開示の本発明及び活性化合物を含むいくつかのゲル製剤について、本発明及び同一の活性化合物を含まない製剤と比較して、顕微鏡検査を行った。プレセボ製剤もブランク比較に使用した。
【0152】
本発明を具体化するための薬物モデルとして、アンドロゲン化合物、テストステロン(オクタノール:水分配係数又はLog P 約3.3)及びミノキシジル((Log P 約1.2、これはテストステロンよりも親油性が低い)を使用した。試験した製剤のアリコート(1 mL)をガラスプレートに置き、カバースリップにより直ちに広げて、均一ゲル層を作製した。試料を保持するガラスプレートは、いずれの場合にも、制御された室温(25℃)で蒸発させ、曝露後の様々な時間に観察し及び写真を撮った。
【0153】
図6A〜6Hとして本明細書に示した写真は、同一の条件下で撮影した。すなわち、同一の時点(典型的には、速い結晶化製剤については、5分未満;30分;2時間、又は遅い結晶化製剤については4時間;いくつかの例では8時間を越えて)、同一の拡大率(全X 6.5)、同一の場所で撮影した:試験を開始した時にガラスプレートを位置決めし、その後、試験終了まで更に動かさなかった。
【0154】
図6a〜6hは、ガラスプレート上に製剤を広げた30分後の、本発明を含まないいくつかの製剤の結晶化状態を示す(実施例9及び12)。
【0155】
テストステロン製剤の結晶化
テストステロン製剤の結晶化速度に関する比較試験を行った。すなわち、本発明のテストステロン製剤の結晶化速度を、本発明を含まない他のテストステロン製剤と比較した。この点に関し、製剤(液剤又は半固体剤)をカバーガラス上に広げ、結晶形成の発生を顕微鏡下で観察した。
【0156】
最初の試験では、結晶化速度について、実施例Aのゲル製剤を、実施例Bのゲル製剤と比較した。実施例Aは、ANDROGEL(登録商標)として、男性の性腺機能低下症用に米国で市販されている1 %テストステロンゲルであった。ANDROGEL(登録商標)組成を以下に示す。
【0157】
【表10】

【0158】
ANDROGEL(登録商標)(実施例A)は、本発明を含まないものであり、同様に本発明を含まない実施例Bと比べた。以下から明らかなように、実施例Bは、ジエチレングリコールモノエチルエーテル及びプロピレングリコールを1:1.2の重量比(TC:PG)で含むテストステロンゲルである。実施例Aは、ジエチレングリコールモノエチルエーテルもイソプロピレングリコールも含まない。
【0159】
【表11】

【0160】
実施例Bと比較した実施例Aの結果。
グラスカバーへのゲル製剤の適用の10分後に実施例Aでは結晶化が観察された。同様に、結晶化は実施例Bでも10分以内に観察された。従って、実施例A、ANDROGEL(登録商標)と、ジエチレングリコールモノエチルエーテル及びプロピレングリコールを1:1.2の重量比で含む実施例Bのゲル製剤とには、結晶化速度に大きな差異は観察されなかった。
【0161】
比較試験は、以下の液剤例C及びDについても行った。
【0162】
実施例 C
【0163】
【表12】

【0164】
実施例 D
【0165】
【表13】

【0166】
結晶化は、わずか1分後に実施例Cで、4分後に実施例Eで観察された。従って、ジエチレングリコールモノエチルエーテル及びプロピレングリコールを1:1.2の重量比で含む製剤は、ゲル製剤又は液剤のいずれかとしての参照例Aとは大して相違しなかった。第三の比較試験を行った。すなわち、実施例E及びFでは、プロピレングリコールを6.00 % w/w〜20 % w/wに増加させた(粘度は、ANDROGEL(登録商標); 約8000 cPに調整した)。
【0167】
【表14】

【0168】
【表15】

【0169】
製剤のガラスカバーへの適用の4時間後では、結晶化は実施例Eでは観察されなかった。実施例Fでは30分後に結晶化が観察された。従って、ゲル製剤及び液剤のいずれも、ジエチレングリコールモノエチルエーテル及びプロピレングリコールを1:4の比で含む場合に、両製剤の結晶化速度は、試験した他の試料に比べて顕著に低かった。
【図面の簡単な説明】
【0170】
【図1】図1は、in vitroでのオキシブチニンの経皮製剤に使用される垂直拡散細胞に使用される拡散チャンバを図解的に説明する。
【図2】図2は、本明細書に開示の製剤例から選ばれるテストステロンのin vitroでの24時間生物学的分布を示すグラフである。
【図3】図3は、本明細書に開示の製剤例から選ばれるミノキシジルのin vitroでの24時間生物学的分布を示すグラフである。
【図4】図4は、本明細書に開示の製剤例から選ばれるテストステロンのin vitro浸透製の速度プロファイルである。
【図5】図5は、図4に示す製剤例のテストステロンのin vitroでの24時間生物学的分布を示すグラフである。
【図6】図6A〜6Hは、本発明に従う製剤と比較した先行技術組成物の結晶化速度試験の結果を示す。
【図7】図7は、他の製剤と比べた、本発明を含むセレギリン製剤の比較薬物流速である。
【図8】図8は、他の製剤と共に本発明を含むセレギリン製剤の絶対速度プロファイルである。
【図9】図9は、他の製剤と比べた、本発明を含むフェンタニル製剤の絶対速度プロファイルである。
【図10】図10は、他の製剤と共に本発明を含むフェンタニル製剤の薬物流速プロファイルである。
【図11】図11は、他の製剤と比べた、本発明を含むフェンタニル製剤の絶対速度プロファイルである。
【図12】図12は、他の製剤と共に本発明を含むフェンタニル製剤の薬物流速プロファイルである。
【図13】図13は、他の製剤と比べた、本発明を含むブスピロン製剤の絶対速度プロファイルである。
【図14】図14は、他の製剤と共に本発明を含むブスピロン製剤の薬物流速プロファイルである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経皮的又は経粘膜的医薬製剤であって、
少なくとも1つの活性薬剤;及び
当該少なくとも1つの活性薬剤を溶解するために十分な量で存在する溶媒系
を含み、そして、当該溶媒系が以下:
(i)溶媒系の約1重量%〜30重量%の量で存在する、薬学的に許容されるジエチレングリコールのモノアルキルエーテル:
(ii)溶媒系の約1重量%〜30重量%の量で存在する、薬学的に許容されるグリコール、ここで、当該ジエチレングリコールのモノアルキルエーテルとグリコールとは、10:1〜2:1又は1:2〜1:10の重量比で存在する;並びに
(iii)溶媒系の約40 %〜98 %の量で存在するC2〜C4アルコール及び水の混合物、ここで、C2〜C4アルコールは当該混合物の約5 %〜80 %の量で存在し、かつ水は当該混合物の約20 %〜95 %の量で存在する、
を含むことを特徴とし、
その結果、同一の成分を異なった量及び比で含む製剤と比べて、当該溶媒系は、
(a) 哺乳動物の皮表又は粘膜表面上への、当該少なくとも1つの活性成分の結晶化を阻害し、
(b)当該製剤の衣類又は他の人への転移を減少させ又は防止し、
(c)異なった皮膚層内での当該少なくとも1つの活性薬剤の生物学的分布を調整し、
(d)哺乳動物の皮表又は粘膜表面による当該少なくとも1つの活性薬剤の吸収を促進し、又は
(e)(a)〜(d)の1以上の組み合わせを提供する、
前記医薬製剤。
【請求項2】
前記ジエチレングリコールのモノアルキルエーテルとグリコールとがが、10:1〜2:1の重量比で存在する、請求項1記載の医薬製剤。
【請求項3】
前記ジエチレングリコールのモノアルキルエーテルとグリコールとが、1:2〜1:10の重量比で存在する、請求項1記載の医薬製剤。
【請求項4】
前記ジエチレングリコールのモノアルキルエーテルが、ジエチレングリコールモノメチルエーテル及びジエチレングリコールモノエチルエーテル又はそれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項1記載の医薬製剤。
【請求項5】
前記グリコールが、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール又はそれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項1記載の医薬製剤。
【請求項6】
前記グリコールが、皮膚デポを形成するジエチレングリコールモノエチルエーテルの能力を調整する、請求項1記載の医薬製剤。
【請求項7】
前記C2〜C4アルコールが、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、又はそれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項1記載の医薬製剤。
【請求項8】
哺乳動物の皮表又は粘膜表面を介する前記活性薬剤の浸透性を向上させるために十分な量で存在する浸透エンハンサーを更に含む、請求項1記載の医薬製剤。
【請求項9】
全製剤の約0.5〜2重量%の量で存在するラウリルアルコール又はミリスチルアルコールを更に含む、請求項1記載の医薬製剤。
【請求項10】
前記少なくとも1つの活性成分がホルモン又は抗ホルモン剤を含む、請求項1記載の医薬製剤。
【請求項11】
前記ホルモン又は抗ホルモン剤が、エストロゲン、アンドロゲン、プロゲストゲン、抗エストロゲン、抗アンドロゲン又は抗プロゲストゲンである、請求項10記載の医薬製剤。
【請求項12】
前記エストロゲンが、コルポルモン、複合化卵胞ホルモン、エキレニン、エキリン、エストロン、エチニルエストラジオール、安息香酸エストラジオール、メストラノール、モキセストロール、マイタトリエンジオール、キネストラジオール及びキネストロールからなる群より選ばれ;並びに、アンドロゲンが、クロキソテストステロン、フルオキシメステロン、メスタノロン、メステロノロン、17-メチルテストステロン、17-α-メチルテストステロン、3-シクロペンチルエノールエーテル、ノルエタンドロロン、ノルメタンドロン、オキサンドロロン、オキシメステロン、オキシメトロン、プラステロン、スタノロン、スタノロゾール、テストステロン及びチオメステロンからなる群より選ばれる、請求項11記載の医薬製剤。
【請求項13】
前記少なくとも1つの活性成分が、交感神経作用薬、交感神経遮断薬、副交感神経作用薬、副交感神経遮断薬、神経節遮断薬、局所麻酔薬、筋弛緩薬(myorelaxants)、抗高血圧薬、利尿薬、強心薬、抗不整脈薬、抗狭心症薬、脳及び末梢血管拡張薬、抗偏頭痛薬、抗ヒスタミン薬、抗喘息薬、血栓溶解剤、一般的麻酔剤、抗不安薬、抗鬱薬、神経安定薬、抗痙攣薬、視床下部下垂体調節因子、甲状腺機能低下薬及び甲状腺機能亢進薬、コルチコステロイド、血糖調節因子、脂質低下薬、リン酸カルシウム代謝調節因子、解熱剤、抗炎症薬、制酸剤、抗胃酸分泌薬、下剤、胃粘膜保護因子、胃運動調節因子(gastric motricity modulators)、胆汁酸塩吸着薬、キレート化剤、胆石溶解剤、抗貧血薬、皮膚疾患薬、駆虫剤、抗生物質、ペニシリン、セファロスポリン、アミノシド、ポリペプチド、スルファミド、ジアミノピリミジン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、チアンフェニコール、マクロライド、バンコマイシン、テイコプラニン、リファンピシン、フシジン酸、5-ニトロ-イミダゾール、リンコスアミド、キノロン、抗腫瘍薬、抗ウイルス薬及び抗菌薬からなる群より選ばれる治療剤である、請求項1記載の医薬製剤。
【請求項14】
前記活性成分が、抗パーキンソン薬、抗アルツハイマー薬又は鎮痛薬である、請求項1記載の医薬製剤。
【請求項15】
前記抗パーキンソン薬が、セレギリン、トリへキシフェニジル、トロパテピオン、ビペイデン、プロシクリジン、ベンザトロピン、オルフェナドリン、ボルナプリン、メチキセンもしくはレボドパ、又はそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選ばれる、請求項14記載の医薬製剤。
【請求項16】
前記抗パーキンソン薬が、デカルボキシラーゼ・インヒビターとの組み合わせである、請求項14記載の医薬製剤。
【請求項17】
前記抗アルツハイマー薬が、ガランタミン、リバスチグミン、ドネゼピル、タクリンもしくはメマンチン、又はそれらの薬学的に許容される塩である、請求項14記載の医薬製剤。
【請求項18】
前記鎮痛薬がオピオイド鎮痛薬であり、そして更に、当該オピオイド鎮痛薬がフェンタニル、アルフェンタニル、サフェンタニル、又はそれらの薬学的に許容される塩である、請求項14記載の医薬製剤。
【請求項19】
前記少なくとも1つの活性成分がテストステロンであり、前記ジエチレングリコールのモノアルキルエーテルとグリコールとが1:4の重量比で存在し、かつ、前記ジエチレングリコールのモノアルキルエーテルとグリコールとが組み合わされて、全製剤の少なくとも15重量%の量で存在する、請求項11記載の医薬製剤。
【請求項20】
前記少なくも1つの活性剤がセレギリン又はその薬学的に許容される塩であり、かつ、前記ジエチレングリコールのモノアルキルエーテルとグリコールとが1:2〜1:10の重量比で存在する、請求項14記載の医薬製剤。
【請求項21】
前記少なくとも1つの活性剤が、フェンタニル又はその薬学的に許容される塩であり、かつ、前記ジエチレングリコールのモノアルキルエーテルが、ジチレングリコールのモノエチルエーテルであり、前記グリコールがプロピレングリコールであり、1:2〜1:10の重量比で存在する、請求項18記載の医薬製剤。
【請求項22】
ゲル化剤、浸透エンハンサー、保存料、抗酸化剤、緩衝剤、湿潤剤、金属イオン封鎖剤、保湿剤、界面活性剤、皮膚軟化薬、及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選ばれる薬剤を更に含む、請求項1記載の医薬製剤。
【請求項23】
経皮的又は経粘膜的医薬製剤における活性剤の結晶化を遅らせる又は阻害する方法であって、当該製剤が、少なくとも1つの活性剤及び溶媒系を含み、かつ、当該溶媒系が、薬学的に許容されるジエチレングリコールのモノアルキルエーテル及びグリコールを10:1〜2:1又は1:2〜1:10の重量比で含むことを特徴とする、前記方法。
【請求項24】
前記ジエチレングリコールのモノアルキルエーテル及びグリコールが10:1〜2:1の比で存在する、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記ジエチレングリコールのモノアルキルエーテル及びグリコールが約1:2〜1:10の量で存在する、請求項23記載の方法。
【請求項26】
前記ジエチレングリコールのモノアルキルエーテル及びグリコールが組み合わされて、前記製剤の少なくとも15 %、及び60 %にすぎない量で存在する、請求項23記載の方法。
【請求項27】
前記溶媒系がC2〜C4アルコールと水との混合物を更に含み、当該混合物が前記溶媒系の40 %〜98 %の量で存在する、請求項13記載の方法。
【請求項28】
前記C2〜C4アルコールが前記混合物の5 %〜80 %の量で存在し、かつ前記水が前記混合物の20 %〜95 %の量で存在する、請求項23記載の方法。
【請求項29】
前記活性剤の結晶化の減少又は阻害が、前記活性剤が適用される皮表又は粘膜表面を介する活性剤の吸収を促進又は増加させるために十分である、請求項23記載の方法。
【請求項30】
前記ジエチレングリコールのモノアルキルエーテルが、ジエチレングリコールモノメチルエーテル及びジエチレングリコールモノエチルエーテル又はそれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項23記載の方法。
【請求項31】
前記グリコールが、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール又はそれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項23記載の方法。
【請求項32】
哺乳動物の皮表又は粘膜表面を介する前記活性剤の浸透性を向上させるために十分な量で存在する浸透エンハンサーを提供することを更に含む、請求項23記載の方法。
【請求項33】
前記製剤が、全製剤の0.5〜2重量%の量で存在するラウリルアルコール又はミリスチルアリコールを更に含む、請求項23記載の方法。
【請求項34】
C2〜C4アルコールが、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール又はそれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項23記載の方法。
【請求項35】
前記少なくとも1つの活性成分が、交感神経作用薬、交感神経遮断薬、副交感神経作用薬、副交感神経遮断薬、神経節遮断薬、筋弛緩薬(myorelaxants)、抗高血圧薬、利尿薬、強心薬、抗不整脈薬、抗狭心症薬、脳及び末梢血管拡張薬、抗偏頭痛薬、抗ヒスタミン薬、抗喘息薬、血栓溶解剤、一般的麻酔剤、抗不安薬、抗鬱薬、神経安定薬、抗痙攣薬、視床下部下垂体調節因子、甲状腺機能低下薬及び甲状腺機能亢進薬、コルチコステロイド、血糖調節因子、脂質低下薬、リン酸カルシウム代謝調節因子、解熱剤、抗炎症薬、制酸剤、抗胃酸分泌薬、下剤、胃粘膜保護因子、胃運動調節因子(gastric motricity modulators)、胆汁酸塩吸着薬、キレート化剤、胆石溶解剤、抗貧血薬、皮膚疾患薬、駆虫剤、抗生物質、ペニシリン、セファロスポリン、アミノシド、ポリペプチド、スルファミド、ジアミノピリミジン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、チアンフェニコール、マクロライド、バンコマイシン、テイコプラニン、リファンピシン、フシジン酸、5-ニトロ-イミダゾール、リンコスアミド、キノロン、抗腫瘍薬、抗ウイルス薬及び抗菌薬を含む群より選ばれる、請求項23記載の医薬製剤。
【請求項36】
前記少なくとも1つの活性成分が、ホルモン又は抗モルモン剤である、請求項1記載の方法。
【請求項37】
前記ホルモン又は抗モルモン剤が、エストロゲン、アンドロゲン、プロゲストゲン、抗エストロゲン、抗アンドロゲン又は抗プロゲストゲンである、請求項36記載の方法。
【請求項38】
前記活性剤が、抗パーキンソン薬、抗アルツハイマー薬又は鎮痛薬である、請求項1記載の方法。
【請求項39】
前記抗パーキンソン薬が、セレギリン、トリへキシフェニジル、トロパテピオン、ビペイデン、プロシクリジン、ベンザトロピン、オルフェナドリン、ボルナプリン、メチキセンもしくはレボドパ、又はそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選ばれる、請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記抗パーキンソン薬が、デカルボキシラーゼ・インヒビターとの組み合わせである、請求項38記載の方法。
【請求項41】
前記抗アルツハイマー薬が、ガランタミン、リバスチグミン、ドネゼピル、タクリンもしくはメマンチン、又はそれらの薬学的に許容される塩である、請求項38記載の方法。
【請求項42】
前記鎮痛薬がオピオイド鎮痛薬であり、そして更に、当該オピオイド鎮痛薬がフェンタニル、アルフェンタニル、サフェンタニル、又はそれらの薬学的に許容される塩である、請求項38記載の方法。
【請求項43】
前記活性剤がフェンタニルであり、かつ、前記ジエチレングリコールのモノアルキルエーテルがジエチレングリコールのモノエチルエーテルであり、前記グリコールがプロピレングリコールであり、1:2〜1:10の重量比で存在する、請求項42記載の方法。
【請求項44】
前記活性剤がセレギリン塩酸塩であり、かつ、前記ジエチレングリコールのモノアルキルエーテルとグリコールとが1:2〜1:10の重量比で存在する、請求項39記載の方法。
【請求項45】
前記少なくとも1つの活性剤がテストステロンであり、前記ジエチレングリコールのモノアルキルエーテルとグリコールとが1:4の重量比で存在し、かつ、前記ジエチレングリコールのモノアルキルエーテルとグリコールとが組み合わされて、全製剤の少なくとも15重量%の量で存在する、請求項37記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2007−508261(P2007−508261A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530107(P2006−530107)
【出願日】平成16年10月6日(2004.10.6)
【国際出願番号】PCT/EP2004/011175
【国際公開番号】WO2005/039531
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(506118593)アンタレス ファルマ イーペーエル アクチェンゲゼルシャフト (1)
【Fターム(参考)】