説明

盗難防止装置、盗難防止方法

【課題】 位置情報および時刻情報の設定が可能なセキュリティ能力高い携帯または移動可能な情報機器等の盗難防止装置、盗難防止方法を提供する。
【解決手段】 携帯または移動可能な装置に設けられる盗難防止装置1であって、現在の時刻情報および位置情報を取得する時刻位置情報取得部2と、予め設定された使用可能な時刻情報および位置情報を設定する設定部4と、前記時刻位置情報取得部2で取得した時刻情報および位置情報と、前記設定部4で設定された時刻情報および位置情報とを比較して異常を判定する時刻位置情報判定部3とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パソコン等、携帯または移動可能な情報機器の盗難防止装置、盗難防止方法に係り、特に、GPS等の移動体通信技術を使用した位置情報、時刻情報による盗難防止装置、盗難防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体等の物体の追跡、探索を行う測位技術には、GPS(Global Positioning System)や携帯端末を用いた無線通技術による測位技術が普及している。
【0003】
カーナビゲーションシステムでは、GPSによる測位技術が用いられ、24基の人口衛星からの電波を地上の受信機で受信して、各衛星からの受信電波の時間差から3角測量法によって経度、緯度、高度を求めている。
【0004】
このGPSシステムにおけるGPS電波を受信して、テーマパークなどにおいて貸し出されるデジタルカメラなどの携帯物品が所定の領域外に持ち出されたことを防止するデジタルカメラと一体になった盗難防止装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、屋外に設置される装置等においては、装置に設けられたセキュリティ処理装置ごと盗まれる場合も想定されることから、屋外で使用される場合にも不正な攻撃から保護するためのGPSシステムを利用したセキュリティ処理装置がある(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
このセキュリティ処理装置の構成を図4に示す。このセキュリティ処理装置11は、衛星100からのGPS電波を受信するGPSアンテナ13とそのGPS受信ユニット14とを用いて、セキュリティ処理装置11の現在の位置情報を周期的に取得し、この現在の位置情報をメモリ17に記憶し、CPU16によって、予め外部補助記憶装置18に登録された設置時の位置情報と取得した位置情報とを比較して、不一致と判定した場合には、通信装置19を介して監視装置に通報するとともに、外部記憶装置18に記憶されたセキュリティに関する全ての情報を消去して、情報の漏洩を防止しようとするものである。
【0007】
尚、ICカードR/W20は、設置時の位置情報の登録、保守作業のために使用されるICカードであるとされている。
【特許文献1】特開2000−155878号公報
【特許文献2】特開2002−236619号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した特許文献1および特許文献2に照会された位置情報は、GPSシステムからの位置情報を利用し、保護しようとする装置が、予め登録されたエリアから逸脱した場合に警報を出す点においては共通で、特許文献2のセキュリティ処理装置においては、更に、許可されたエリアを逸脱したと判定された場合に、搭載されたセキュリティ情報を自己破壊する自己破壊処理手段を備えている。
【0009】
しかしながら、セキュリティ情報を搭載した装置においては、同じエリア内において、十分な時間が与えられた条件下で解析が行われた場合には、取得した位置情報からは異常が検知されないため、当該装置のセキュリティ情報が漏洩する問題がある。
【0010】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、パソコン等、携帯または移動可能な情報機器等の盗難防止装置、盗難防止方法に係り、特に、GPS等の移動体通信技術を使用して、予め使用可能な条件として位置情報だけでなく、該当する装置の使用が許可される時刻情報も設定しておき、更にセキュリティ能力を高めた携帯または移動可能な情報機器等の盗難防止装置、盗難防止方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係る請求項1の盗難防止装置は、携帯または移動可能な装置に設けられる盗難防止装置であって、現在の時刻情報および位置情報を取得する時刻位置情報取得手段と、予め設定された使用可能な時刻情報および位置情報を設定する設定手段と、前記時刻位置情報取得手段で取得した時刻情報および位置情報と、前記設定手段で設定された時刻情報および位置情報とを比較して異常を判定する時刻位置情報判定手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
上記目的を達成するために、本発明に係る請求項5の盗難防止方法は、携帯または移動可能な装置の盗難防止方法であって、予め使用可能な時刻情報および位置情報を設定するステップと、現在の時刻情報および位置情報を取得するステップと、前記取得した現在の時刻情報および位置情報と前記予め設定された時刻情報および位置情報とを比較して異常を判定するステップとからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
したがって、本発明によれば、現在時刻、現在位置の時刻情報および位置情報を取得する時刻位置情報取得手段と、予め設定された使用可能な時刻情報および位置情報を設定する設定手段と、前記時刻位置情報取得手段で取得した時刻情報および位置情報と、前記時刻位置情報設定手段で設定された使用可能な時刻情報および位置情報とを比較して異常を判定する異常判定手段とを携帯または移動可能な装置に設けるようにしたので、当該装置が許可エリア外に持ち出された場合だけでなく、許可時刻以外で使用される場合の異常も検知されるので、許可エリア内において不正使用がなされた場合であっても警報を発することができるので、更にセキュリティ能力の高い、携帯または移動可能な装置の盗難防止装置、盗難防止方法が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下図面を参照して、本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0015】
本発明による実施例1について図1および図2を参照して説明する。図1は、保護しようとする装置に一体で搭載される盗難防止装置1の構成図である。盗難防止装置1は、時刻位置情報取得部2、時刻位置情報判定部3、予め該当する装置の使用が許可されるエリア(以後、許可エリアと言う)を示す位置情報と、使用が許可される時間帯(以後、許可時刻と言う)を示す時刻情報が設定される設定部4、およびこれらの電源部5とから構成される。
【0016】
次に、時刻位置情報取得部2は、衛星100からの衛星電波を受信するGPSアンテナ2aと、受信した電波から時刻情報および位置情報を求めるGPS受信装置2bとから構成される。
【0017】
また、時刻位置情報判定部3は、受信した現在の位置情報および時刻情報と、設定部4に、予め設定された許可エリア、許可時刻を定義する位置情報および時刻情報とを比較して、夫々が許可された範囲内であるか否かを判定する判定部3aと、判定部3aで判定された出力から、許可された範囲を逸脱した場合に外部の監視システム200等に異常情報を送信する警報通信部3bとから構成される。
【0018】
設定部4は、書き換え可能なフラッシュメモリ等で構成され、当該装置の許可エリアである位置情報と、許可エリア毎の許可時刻である時刻情報が対応付けされて記憶される。
【0019】
また、電源部5は通常の使用時には、外部電源300から供給するようにしているが、外部電源がない場合には、内蔵するバッテリー電源に切り替えて使用するように構成されている。
【0020】
次に、このように構成された盗難防止装置1の動作について図2を参照して説明する。この盗難防止装置1は、例えば、個人情報などの高度のセキュリティ度が要求される情報を記憶したパソコンに内蔵されたものを想定して説明する。
【0021】
図2は、盗難防止装置1の判定部3の動作フローを示す。先ず、図示しないパソコン本体の電源が投入されるとこのパソコンのセキュリティに関する設定データが設定部4の図示しないメモリから、判定部3の図示しないワークメモリに転送される(s1)。
【0022】
この設定データには、少なくともこのパソコンの使用許可条件データである、許可エリアの位置情報、許可時刻の時刻情報が含まれる他、通常の許可された使用者の個人認証データも含まれる。
【0023】
次に、個人認証データであるID番号やパスワードのチェックが行われる(s2)。この個人処理で認証されない不正なアクセスであると判定された場合には異常処理(s6)に移る。
【0024】
個人認証処理でOKであると判定されると、時刻位置情報取得部2において周期的に受信処理され、受信した経度、緯度情報から求められる現在の位置情報とその時刻情報がGPS受信装置2bから所定時間の所定の回数分の情報が読み出される(s3)。
【0025】
次に、読み出された現在の位置情報と時刻情報に無効なデータがないかをチェックする(s4)。
【0026】
無効なデータがある場合は、なんらかの異常があると判断して異常処理(s6)に移る。この場合の異常処理(s6)は、何らかの不正な処理によるものか、または受信電波エネルギーが微弱である等によって無効となった異常かを判定し、GPS電波の受信異常でないと判断した場合には、自動警報を外部に発信する。
【0027】
次に、無効なデータがないと判断した場合には、時刻位置情報取得部2から取得した現在の位置情報および時刻情報と、設定部4から読み出した許可エリアの位置情報、許可時刻の時刻情報とを比較して、許可エリアの範囲内の位置であるか否か、許可時刻の範囲内であるかが判定される(s5)。
【0028】
現在の位置情報、時刻情報のいずれかが許可された範囲を逸脱している場合には異常処理に移る(s6)。
【0029】
許可された範囲内であれば、このパソコンの使用は可能判断しこのパソコンの起動プログラムの動作が開始されが、所定の基本プログラムが読み込まれた後、通常の使用が可能となる(通常処理s7)。
【0030】
現在の位置情報および時刻情報のいずれかが設定された範囲を逸脱したと判定された場合には、外部に警報を出力する、この警報出力は、使用する監視システムに通信手段を介して自動通報される。
【0031】
尚、外部電源が投入されない場合には、内蔵のバッテリー電源で盗難防止装置1のみが使用可能としておく。
【0032】
このように構成された、実施例1によれば、現在の位置情報と時刻情報が許可された範囲を超えた場合には、直ちに外部に警報が出力され、素早い安全対策が可能となる。
【実施例2】
【0033】
本発明による実施例2について、図3を参照して説明する。図3は、許可エリアAおよび許可エリアBと2箇所の許可エリアが設定され、さらに、許可エリアB内において精細な許可エリアBsを設定する場合を示す図で、実施例1の各部と同一部分は同じ符号で示しその説明を省略する。
【0034】
実施例2が実施例1と異なる点は、実施例1においては、盗難防止装置1においては、時刻位置情報取得部2としてGPSアンテナ2aを備え、衛星100からのGPS電波を受信して現在の時刻情報、位置情報を求めたが、実施例2においては、UWB(Ultra Wideband)を使用した測位システムを使用して、GPSからの位置情報よりも更に細かな位置情報を求めることができるように構成した点にある。
【0035】
この場合、詳細な許可エリアBsの位置情報を得るためのUWB基準局7を複数備え、盗難防止装置1にはGPSアンテナ2aとUWBアンテナ6とを併設する。そして、許可エリアB内に盗難防止装置1が入ると。ここからの位置情報はUWBによる測位システムで現在の位置情報を求めるようにする。
【0036】
このように構成することによって、通常、GPSの測位システムで得られる、10m乃至100m程度の位置情報の精度が、更に、UWBシステムを使用することによって、建物内においては10cm程度まで向上できる。
【0037】
このように構成することによって、許可エリアAと許可エリアBが離れた場所にあり、更に許可エリアBにおいてより精細な許可エリアを設定することが可能となるので、セキュリティ能力をより高くした盗難防止装置1が提供できる。
【0038】
なお、本発明は上記の実施例に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲で変形することも可能である。例えば、屋内において、詳細な位置情報を求める場合には、超音波、赤外線、Bluetooth、無線LANを使用することも可能で、盗難防止装置1を備える装置の適合したものを使い分けることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る実施例1の盗難防止装置の構成図。
【図2】本発明の盗難防止装置の動作フローの説明図。
【図3】本発明に係る実施例2の盗難防止装置の構成図。
【図4】従来のティセキュリティ処理装置の構成図。
【符号の説明】
【0040】
1 盗難防止装置
2 時刻位置情報取得部
2a GPSアンテナ
2b GPS受信装置
3 時刻位置情報判定部
3a 判定部
3b 警報通信部
4 設定部
5 電源部
6 UWBアンテナ
7 UWB基準局
11 セキュリティ処理装置
13 GPSアンテナ
14 GPS受信装置
16 CPU
17 メモリ
18 外部記憶装置
19 通信装置
20 ICカードR/W
100 衛星
200 監視システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯または移動可能な装置に設けられる盗難防止装置であって、
現在の時刻情報および位置情報を取得する時刻位置情報取得手段と、
予め設定された使用可能な時刻情報および位置情報を設定する設定手段と、
前記時刻位置情報取得手段で取得した時刻情報および位置情報と、前記設定手段で設定された時刻情報および位置情報とを比較して異常を判定する時刻位置情報判定手段と
を備えたことを特徴とする盗難防止装置。
【請求項2】
前記設定手段は、前記装置の使用が許可された位置情報として複数のエリアを設定し、夫々のエリアで許可された使用時間を個々に設定するようにしたことを特徴とする盗難防止装置。
【請求項3】
前記異常判定手段から異常との判定出力があったとき、自盗難防止装置外に知らせる警報手段および通信手段を備えた請求項1に記載の盗難防止装置。
【請求項4】
携帯または移動可能な装置に設けられる盗難防止装置であって、
GPSの電波を受信して、現在時刻、現在位置の時刻情報および位置情報を取得する時刻位置情報取得手段と、
予め設定された使用可能な時刻情報および位置情報を設定する設定手段と、
前記時刻位置情報取得手段で取得した時刻情報および位置情報と、前記設定手段で設定された時刻情報および位置情報とを比較して異常を判定する時刻位置情報判定手段と
を備えたことを特徴とする盗難防止装置。
【請求項5】
携帯または移動可能な装置の盗難防止方法であって、
予め使用可能な時刻情報および位置情報を設定するステップと、
現在の時刻情報および位置情報を取得するステップと、
前記取得した現在の時刻情報および位置情報と前記予め設定された時刻情報および位置情報とを比較して異常を判定するステップとからなることを特徴とする盗難防止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−65377(P2006−65377A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−243614(P2004−243614)
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】