説明

盗難防止装置

【課題】充電ケーブルを利用して電動車両の不正な移動を抑止する。
【解決手段】電動の車両10と充電施設30とは、充電用のケーブル14と、コネクタ15、38とによって接続される。さらに、コネクタ15、38には、ロック機構16、39が設けられている。正規の操作によってロック機構16、39を解除し、コネクタ15、38を分離すると、車両10に搭載された盗難防止ECU28は、車両10の通常の走行を許可する。一方、正規の操作を経ることなくコネクタ15、38が分離されるか、ケーブル14が切断されると、盗難防止ECU28は、盗難対策処理を実行する。盗難対策処理には、警報音の出力、車両10の走行制限、および盗難情報の通報を含むことができる。これにより、充電用のケーブル14を盗難防止用の拘束器具としても利用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電ケーブルを介して充電される移動可能な機器の盗難防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動可能な機器として知られた車両においては、数多くの盗難防止装置が提案され、実用化されている。例えば、特許文献1は、盗難防止を図るために、容易にアクセスできない個所に盗難を判定する手段を設けることを提案している。また、この装置は、盗難と判断される事象が検出されると、車両を走行不可能な状態に制御することも開示している。
【0003】
一方で、近年、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、電動二輪車、電動アシスト自転車といった電動車両への注目が高まっている。このような電動車両は、例えば、特許文献2に開示されるような充電ケーブルを介して充電される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−326562号公報
【特許文献2】特開2010−124538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術の構成では、キーに記録された識別コードと、車両に記録された識別コードとを照合し、一致しなければ動力源を起動させない、もしくは車両の走行を困難にさせるといった盗難対策処理を実行している。すなわち、従来技術は、車両の起動段階において盗難対策をとるものである。
【0006】
しかし、従来技術では、車両の動力源を起動せずに、車両を持ち去られるおそれがあった。例えば、車両をジャッキまたはリフトによって持ち上げ、レッカー車などによって運搬されると車両の盗難を判定することができない。このため、盗難対策処理を実行することが困難であった。このような盗難を防止するために、車両の持ち上げ、運搬などの不自然な挙動を検出するための傾斜センサを備えることが考えられる。しかし、センサの新設のために価格が上昇する、車両への搭載が困難になるなどの課題があった。さらには、新たな盗難手法が次々に出現するから、多種多様な盗難手法のそれぞれに応じて新たなセンサ、および盗難検出装置を追加することは困難であった。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、充電ケーブルによって充電される電動車両に適用可能であり、電動車両の不正な移動を抑止することができる盗難防止装置を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、電動車両に対する不正な行為を確実に検知するとともに、その後の電動車両の利用を困難にすることができる盗難防止装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。
【0010】
請求項1に記載の発明は、充電施設(30)から車両(10)に搭載された電池(11)に充電するための充電回路を提供するケーブル(14)と、充電回路が接続状態になると、警戒モードに移行し、この警戒モードにある期間中、車両を不正に移動させようとする不正行為を検出する検出手段(171)と、所定の警戒解除操作に応答して警戒モードを解除する解除手段(165、282、387、166)とを備え、検出手段は、警戒解除操作を経ることなく充電回路が非接続状態となると、不正行為を検出することを特徴とする。
【0011】
この構成によると、警戒解除操作を経ることなくケーブルを含む充電回路が非接続状態になると、車両を不正に移動させようとする不正行為が検出される。このため、不正行為を確実に検出することができる。また、ケーブルを使用して充電回路を接続状態にすることによって、不正行為を企む者に対して、車両が警戒モードにあることをわかりやすく知らせることができる。これにより不正行為を抑止することができる。また、充電用のケーブルを、電池への充電用の電線としてだけではなく、不正行為を抑止するための車両の拘束器具として用いることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、充電回路には、コネクタ(15、38)と、コネクタを分離可能状態と分離不能状態とに切換えるロック機構(16、39)とが設けられており、ロック機構は所定のロック解除操作に応答してコネクタを分離可能状態とすることを特徴とする。この構成によると、コネクタのロック機構は、ロック解除操作に応答してコネクタを分離可能状態とする。このため、ケーブルを含む充電回路を非接続状態にするためには、ロック解除操作が不可欠である。よって、不正行為者が充電回路を非接続状態にすることを抑止することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、警戒解除操作は、車両を走行可能状態におくための電源スイッチ(29)の操作であることを特徴とする。この構成によると、車両の電源スイッチの操作がなされると、警戒モードが解除される。よって、正当な利用者が煩わしさを感じることを抑制することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、ロック解除操作は、電源スイッチの操作であり、ロック解除操作に応答してコネクタを分離状態とし、ケーブルを巻き取るケーブル巻取機(13)を備えることを特徴とする。この構成によると、車両の運転者が車内において車両の電源スイッチを操作すると、自動的にコネクタが分離状態となり、ケーブルが巻き取られる。よって、正当な利用者が、車外に出ることなくケーブルを車両または充電施設に収容することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、警戒解除操作は、車両の車外においてロック機構を操作するロック解除操作であることを特徴とする。この構成によると、コネクタを分離可能状態にするために必要な正規のロック解除操作がなされると、警戒モードが解除される。よって、正当な利用者が煩わしさを感じることを抑制することができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、さらに、解除手段により警戒モードが解除された後に、車両のドアの開錠を要求する操作が入力されるとドアを開錠する開錠手段(283−285)を備えることを特徴とする。この構成によると、警戒モードが解除された後に、車両のドアの開錠の要求が受け付けられる。これにより、車両のドアが開錠されたままで、コネクタのロック機構の解除操作をすることが回避される。すなわち、ドアが開錠されたままで、運転者が車外で作業することを回避することができる。
【0017】
請求項7に記載の発明は、警戒解除操作は、車両のドアの開錠を要求する操作であることを特徴とする。この構成によると、車両のドアの開錠を要求することによって、警戒モードを解除することができる。これにより、正当な利用者は、ドアを開錠するための操作の後に、ケーブルを含む充電回路を非接続状態にすることができる。
【0018】
請求項8に記載の発明は、さらに、検出手段により不正行為が検出されると、車両の不正な移動を妨げる対策手段(172)を備えることを特徴とする。この構成によると、車両を不正に移動させようとする不正行為が検出されると、車両の不正な移動を妨げる対策処理が実行される。このため、車両の不正な移動を阻止することができる。
【0019】
請求項9に記載の発明は、対策手段は、警報音を出力することを特徴とする。この構成によると、警報音によって不正行為者を威嚇することができる。
【0020】
請求項10に記載の発明は、対策手段は、車両の動力源を停止させることを特徴とする。この構成によると、車両の動力源としてのエンジン、および/またはモータが停止される。これによって車両の不正な移動を困難にすることができる。
【0021】
請求項11に記載の発明は、対策手段は、車両の車輪を拘束することを特徴とする。この構成によると、車両の車輪を拘束することによって車両の不正な移動を困難にすることができる。
【0022】
なお、特許請求の範囲および上記手段の項に記載した括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明を適用した第1実施形態に係る盗難防止装置を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態の作動を示すフローチャートである。
【図3】本発明を適用した第1実施形態に係る盗難防止装置を示すブロック図である。
【図4】第2実施形態の作動を示すフローチャートである。
【図5】本発明を適用した第3実施形態に係る盗難防止装置の作動を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示してなくとも実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0025】
(第1実施形態)
図1は、本発明を適用した第1実施形態に係る盗難防止装置1を示すブロック図である。電動の車両10のための盗難防止装置1は、車両10に充電するための車両用の充電システムにおいて構築されている。車両10は、走行用の動力源として電動機とエンジンとを搭載するいわゆるハイブリッド車両である。車両10は、車両10の外部に設置された外部電源から、車両10に搭載された車載の電池11を充電することができるいわゆるブラグイン車両である。盗難防止装置1は、車両10と、複数の充電施設30と、基地局34とによって構成することができる。
【0026】
盗難防止装置1は、車両10に搭載された車載機器11−29を備える。車両10には、走行用のモータに給電する電池11が搭載されている。電池11は、リチウムイオン電池などの高電圧大容量の二次電池である。電池11に充電するための充電回路には、PLCモデム12と、ケーブル巻取機13とが設けられている。PLCモデム12は、充電回路を利用して電力線通信(PLC:Power Line Communication)を実行する。PLCモデム12は、充電施設30との間のデータ通信を提供する。ケーブル巻取機13は、ケーブル14を巻き取ることにより保持する。ケーブル巻取機13は、車両10の内部からの操作によって、車両10の外部からの操作を要することなく、自動的にケーブル14を巻き取ることができる。
【0027】
ケーブル14は、車両10と充電施設30とを接続し、充電電流を流すための電線である。ケーブル14は、充電施設30から車両10に搭載された電池11に充電するための充電回路を提供する。ケーブル14の一端は、ケーブル巻取機13に接続されている。ケーブル14の一端は、電池11に電気的に接続されている。ケーブル14の先端には、コネクタ15が設けられている。コネクタ15は、充電施設30に設けられたコネクタに接続するための電気コネクタである。コネクタ15は、ロック機構16を有する。ロック機構16は、車両10のコネクタ15と、充電施設30のコネクタとを分離不能に連結する。ロック機構16は、車両10の内部からの操作によって、車両10のコネクタ15と、充電施設のコネクタとの連結状態を解除可能に構成されている。
【0028】
車両10は、充電ECU17を備える。充電ECU17は、電池11への充電を制御する電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)である。充電ECU17は、電池11への充電量、および充電速度を適正にするように、電池11への充電回路に設けられた変換回路などを制御する。充電ECU17は、車両10に搭載された車載のLAN18を介して、複数の車載機器19−29とデータ通信可能に構成されている。車載のLAN18は、例えば、LIN(Local Interconnect Network)、またはCAN(Controller Area Network)と呼ばれるネットワークによって提供することができる。
【0029】
車両10は、ブレーキECU19を備える。ブレーキECU19は、LAN18を介して他の車載機器とデータ通信可能に構成されている。ブレーキECU19は、車両10のブレーキ装置を制御する。ブレーキECU19には、少なくとも加速度センサ20と、車輪速センサ21との信号が入力される。加速度センサ20は、車両10の車体の加速度を検出する。車輪速センサ21は、車輪の回転速度を検出する。車両10は、複数の車輪のそれぞれに対応するように、複数の車輪速センサ21を備える。加速度センサ20と、車輪速センサ21とは、それらの検出信号をLAN18上にも出力する。
【0030】
車両10は、エンジンECU22を備える。エンジンECU22は、車両10に搭載されたエンジン(内燃機関)を制御する。エンジンECU22は、例えば、エンジンへ供給される燃料噴射量、およびエンジンの点火時期を制御する。さらに、エンジンECU22は、車両10の通常の走行を妨げるように、エンジンを制御することができる。エンジンECU22は、例えば、車両10がエンジンによって走行することを禁止するように、エンジンの作動を禁止することができる。
【0031】
車両10は、変速機ECU23を備える。変速機ECU23は、車両10の変速機を制御する。変速機は、車両10の動力源としてのモータおよび/またはエンジンと駆動輪との間に設けられている。変速機ECU23は、例えば、動力源から駆動輪への駆動力の伝達を断続するように変速機を制御する。また、変速機ECU23は、例えば、変速機における減速率を制御する。変速機ECU23は、車両10の通常の走行を妨げるように、変速機を制御することができる。変速機ECU23は、例えば、車両10の走行を禁止するように、動力源から駆動輪への駆動力の伝達を遮断することができる。また、変速機ECU23は、例えば、車両10の通常の走行を困難にするように、変速機の減速率を固定することができる。
【0032】
車両10は、ナビECU24を備える。ナビECU24は、車両10の走行位置を地図上に表示するナビゲーション装置である。ナビECU24は、通信端末25と入出力装置26とを備える。通信端末25は、無線通信回線を利用して、データ通信を提供する。通信端末25は、LAN18にも接続されることによって他の車載機器とデータ通信可能に構成されている。入出力装置26は、ユーザインターフェース機器であって、例えば、ディスプレイ装置と、このディスプレイ装置に設けられたタッチパネルを含むスイッチ群と、音声入出力装置とを備えることができる。
【0033】
車両10は、ドアロックECU27を備える。ドアロックECU27は、車両10のドアの錠(ロック装置)を制御する。ドアロックECU27は、無線装置によって開錠、施錠を行う、いわゆるキーレスエントリシステムを構成している。ドアロックECU27は、車両10のキー(鍵)による開錠操作を検出すると、ドアの錠を開錠する。また、ドアロックECU27は、キーによる施錠操作を検出すると、ドアの錠を施錠する。開錠操作、および施錠操作は、キーに設けられた機械式のキープレートによってドアに設けられた錠を操作することによって実行することができる。開錠操作、および施錠操作は、キーに設けられた無線式の発信機を操作することによってドアロックECU27に信号を送信することによって実行することができる。無線式の発信機には、開錠スイッチと施錠スイッチとが設けられている。無線式の発信機は、開錠スイッチが操作されると開錠信号とキーと車両とに固有の認証信号とを送信し、施錠スイッチが操作されると施錠信号と認証信号とを送信する。ドアロックECU27は、正規の認証信号を受信し、かつ開錠信号を受信すると、ドアの錠を開錠する。ドアロックECU27は、正規の認証信号を受信し、かつ施錠信号を受信すると、ドアの錠を施錠する。さらに、無線式の発信機には、後述する盗難防止ECU28が提供する警戒モードを解除するための解除スイッチが設けられている。無線式の発信機は、解除スイッチが操作されると解除信号と認証信号とを送信する。ドアロックECU27は、正規の認証信号を受信し、かつ解除信号を受信すると、警戒モードの解除を盗難防止ECU28に指示する。
【0034】
車両10は、盗難防止ECU28を備える。盗難防止ECU28は、車両10の盗難を防止するための制御処理を実行する。盗難防止ECU28は、少なくとも、車両を不正に移動させようとする行為を検出するための検出手段を提供する。盗難防止ECU28は、不正移動行為の検出に応答して、不正行為者による車両10の移動を妨げるための盗難対策処理を実行する盗難対策手段を提供する。例えば、盗難防止ECU28は、不正行為者を威嚇するための警報を発生する警報手段を提供することができる。また、盗難防止ECU28は、不正行為者による車両10の走行を妨害するための走行制限処理を実行する走行制限手段を提供することができる。また、盗難防止ECU28は、車両10の盗難を警察などの捜査機関、および/または複数の充電施設を運用する事業者に通報する通報手段を提供することができる。通報手段は、警察へ盗難の発生を知らせる手段として構成することができる。また、通報手段は、充電システムにおける他の充電施設が、不正行為者による車両10への充電を阻止するために、複数の充電施設を運用する事業者に盗難の発生を知らせる手段として構成することができる。
【0035】
車両10は、車両10の運転者によって操作される電源スイッチ29を備える。電源スイッチ29は、車両10を走行可能な状態とするON状態、または車両10を走行不能な状態とするOFF状態に選択的に切換えられる。電源スイッチ29は、車両10に固有の機械的または電子的な情報を有する正規のキーを所定位置に置くことによって、またはそのようなキーを所持することによって操作可能である。よって、電源スイッチ29は、車両10を正当に利用することができる正規の運転者だけが操作可能に構成されている。電源スイッチ29は、パワースイッチ、またはイグニッションスイッチとも呼ばれることがある。電源スイッチ29の操作状態は、盗難防止ECU28に入力される。さらに、電源スイッチ29は、LAN18にも接続されている。これにより、電源スイッチ29の操作状態は、他の機器にも提供される。
【0036】
充電システムは、複数の充電施設30を備える。これら複数の充電施設30は、インターネットなどの広域ネットワーク33によって互いにデータ通信可能に接続されている。充電システムには、複数の充電施設30を運用、管理する事業者の基地局34が含まれている。基地局34は、広域ネットワーク33を介して複数の充電施設30とデータ通信可能に接続されている。基地局34は、車両10の盗難情報を受信し、蓄積し、提供する盗難情報の管理手段35を備える。盗難情報は、複数の充電施設30のいずれかから、または車両10の利用者から基地局34に提供され、管理手段35に蓄積される。さらに、管理手段35は、盗難情報を複数の充電施設30に提供する。盗難情報を受信した充電施設30は、盗難された車両10への充電を禁止する。これにより、不正行為者による車両10の利用を制限することができる。
【0037】
充電施設30には、例えば、各家庭に設置される家庭用の充電施設31が含まれる。また、充電施設30には、充電を提供する事業者が運営する充電スタンド、またはスーパーマーケットなどの施設の駐車ロットに設置された他の充電施設32が含まれる。これら充電施設30は、同じ構成を備えている。
【0038】
充電施設30は、充電用の電源36を備える。電源36は、広域電力系統により、あるいは小規模発電施設によって提供される。電源36から充電電力を供給するための充電回路には、PLCモデム37とコネクタ38とが設けられている。電源36は、コネクタ38に充電用の電力を供給する。コネクタ38は、車両10のコネクタ15と連結可能である。充電施設30は、コネクタ38にロック機構39を備える。ロック機構39は、車両10のロック機構16と噛み合い可能である。
【0039】
ロック機構16、39は、コネクタ15とコネクタ38との連結状態を、分離可能状態と、分離不能状態とに切換える。ロック機構16、39は、不正行為者によるコネクタ15、38の分離を防止するための機構である。よって、ロック機構16、39は、単にコネクタ15、38の連結状態を維持するだけではない。ロック機構16、39は、予め定められたロック解除操作によって、コネクタ15、38を分離可能状態にする。この実施形態では、車両10における電源スイッチのON操作、または警報状態の解除操作によって、ロック機構16、39は、コネクタ15、38を分離可能状態とする。すなわち、ロック機構16、39は、車両10から遠隔的に操作可能に構成されている。ロック機構16、39の遠隔的な解除操作は、車両10からロック機構16に制御信号を与えることによって実行される。したがって、ロック機構16、39が噛み合い、コネクタ15、38を分離不能状態としているとき、ケーブル14は、充電施設30と車両10とを物理的に接続し、車両10の移動を阻止する拘束器具として機能する。
【0040】
充電施設30は、充電制御装置40を備える。充電制御装置40は、電源36を制御することにより車両10の電池11への充電電力を制御する。充電制御装置40は、PLCモデム37、ケーブル14、およびPLCモデム12を介して、車両10の機器とデータ通信可能に接続されている。
【0041】
充電制御装置40は、車両10の盗難を示す事象が検出されると、基地局34に盗難情報を通報する通報手段41を備えることができる。例えば、所定の正規操作なしにコネクタ15、38が分離されたり、所定の正規操作なしにケーブル14が切断されるなどの異常事象が検出されると、盗難情報を通報する。盗難情報には、車両10を特定するための識別情報を含むことができる。
【0042】
充電制御装置40は、盗難に対策する盗難対策処理を実行する対策手段42を備えることができる。対策手段42は、盗難を示す事象が検出されると警報音を発生する警報器を備えることができる。例えば、対策手段42は、PLCモデム12、37による通信によって車両10の盗難防止ECU28が警戒モードにあるか否かを示す信号を入力することができる。そして、対策手段42は、警戒モードが解除されないままケーブル14が非接続状態になることを、盗難を示す事象として検出することができる。また、対策手段42は、盗難された車両10への充電を禁止する禁止手段を提供することができる。この場合、対策手段42は、基地局34から提供される盗難情報に基づいて盗難された車両10への充電を禁止する。例えば、盗難情報に含まれる盗難された車両10の識別情報と、コネクタ38に接続された車両10の識別情報とを照合することにより、盗難された車両10であるか否かを判定し、盗難された車両10への充電を禁止する。
【0043】
充電施設30は、広域ネットワーク33を介した通信と、充電施設30内の複数の機器間の通信とを提供するためのルータ43を備える。電源36、PLCモデム37、充電制御装置40、およびルータ43は、互いにLAN44によってデータ通信可能に接続されている。
【0044】
車両10および充電施設30に設けられた制御装置は、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を備えるマイクロコンピュータによって提供される。記憶媒体は、コンピュータによって読み取り可能なプログラムを格納している。記憶媒体は、メモリによって提供されうる。プログラムは、制御装置によって実行されることによって、制御装置をこの明細書に記載される装置として機能させ、この明細書に記載される制御方法を実行するように制御装置を機能させる。制御装置が提供する手段は、所定の機能を達成する機能的ブロック、またはモジュールとも呼ぶことができる。
【0045】
図2は、第1実施形態の作動を示すフローチャートである。図中には、車両10において実行される盗難防止処理160が図示されている。盗難防止処理160は、車両10の電池11を充電するときに実行される。盗難防止処理160は、盗難防止ECU28によって実行される。盗難防止処理160は、充電ECU17などの他のECUにおいても実行可能である。
【0046】
ステップ161では、車両10の電源スイッチ29がON状態からOFF状態に操作されたか否かを判定する。すなわち、車両10が走行可能な状態から、走行不能な状態へ切換えられたことが判定される。これにより、車両10が駐車状態におかれたことが判定される。
【0047】
ステップ162では、ケーブル14が接続されたか否かを判定する。すなわち、ケーブル巻取機13からケーブル14が引き出され、コネクタ15がコネクタ38に接続され、さらにロック機構16がロック機構39に噛み合い、分離不能状態となったことが判定される。ケーブル14が接続状態にあることは、PLCモデム12とPLCモデム37との間の通信が成立していることにより判定することができる。これにより、車両10が充電状態におかれたことが判定される。
【0048】
ステップ163では、盗難防止ECU28の作動状態を警戒モードに設定する。これにより、盗難防止ECU28は、車両10の盗難行為を示す事象を検出する検出手段として機能する。
【0049】
ステップ164では、電源スイッチ29の操作状態を取得し、入力する。ステップ165では、電源スイッチ29が、OFF状態からON状態に操作されたか否かを判定する。電源スイッチ29がON状態に操作された場合、それは正当な利用権限をもつ運転者によって車両10が走行可能な状態におかれたことを意味する。この場合、ステップ166へ進む。
【0050】
ステップ166では、警戒モードを解除する。これにより、盗難防止ECU28は、車両10の盗難行為を示す不正行為の検出処理を終了する。ステップ165とステップ166とは、所定の警戒解除操作に応答して警戒モードを解除する解除手段を提供している。
【0051】
ステップ166の後は、ケーブル14を非接続状態にすることが可能となる。ステップ167では、ロック機構16、39によるロック状態を解除する。これにより、コネクタ15、38は分離可能な状態におかれる。ステップ168では、ケーブル巻取機13を駆動することにより、ケーブル14を巻き取る。これにより、コネクタ15、38が分離され、ケーブル14が車両10に収納される。ステップ169では、ケーブル14の巻取が完了したか否かを判定する。ケーブル14の巻取が完了するまでステップ167−169のループを繰り返す。ケーブル14の巻取が完了すると、ステップ170に進む。ステップ170では、車両10に搭載された複数の機器を、走行許可状態に設定する。これにより、車両10は通常の走行が可能となる。
【0052】
ステップ165に戻り、電源スイッチ29がOFF状態のままの場合、ステップ171へ進む。この場合は、依然としてケーブル14が接続されたままであると考えられる。ステップ171では、ケーブル14が接続されているか否かを判定する。ケーブル14が接続されている場合、ステップ164へ戻る。
【0053】
一方、ステップ171において、ケーブル171が接続されていないと判定された場合、ステップ172へ進む。この場合は、電源スイッチ29がON状態に操作されていないにもかかわらず、ケーブル14が非接続状態におかれた場合である。よって、ケーブル14が物理的に切断された場合、またはロック機構16、39を破壊してコネクタ15、38が分離状態におかれた場合であると考えられる。すなわち、不正行為者が正規の手続き(電源スイッチ29のON状態への操作)を経ることなく、ケーブル14を非接続状態においたと考えられる。ステップ171は、車両を不正に移動させようとする不正行為を検出する検出手段を提供する。この検出手段は、充電回路が接続状態になると、警戒モードに移行し、この警戒モードにある期間中、不正行為を検出する。また、検出手段は、警戒解除操作を経ることなく充電回路が非接続状態となると、不正行為を検出する。
【0054】
ステップ172では、盗難対策処理を実行する。ステップ172は、車両10の不正な移動を妨げる対策手段を提供する。盗難防止ECU28は、車両10に搭載された警報装置によって警報音を出力し、不正行為者を威嚇する。また、盗難防止ECU28は、車両10に搭載された他の機器へ、車両10の走行を妨げる制御状態への移行を指示する。例えば、盗難防止ECU28は、エンジンECU22に対して、エンジンの始動を禁止するように指示する。これにより、エンジンECU22は、エンジンの始動を禁止し、車両10がエンジンによって走行することを阻止する。また、盗難防止ECU28は、充電ECU17に対して、電池11からの電力供給を遮断するように指示する。これにより、電池11は走行用のモータへの電力供給を停止し、車両10の走行を阻害する。すなわち、ここでは、車両の動力源を停止させる。これにより、車両の動力源としてのエンジン、および/またはモータが停止される。これによって車両の不正な移動を困難にすることができる。また、盗難防止ECU28は、変速機ECU23に対して、通常の動力伝達を阻止するように指示する。これにより、変速機ECU23は、動力源から駆動輪への動力伝達を遮断するか、または変速機による減速率を固定することにより車両10の走行を制限する。また、盗難防止ECU28は、プレーキECU19に対して、ブレーキ機器を作動させるように指示する。これにより、ブレーキECU19は、車輪を拘束し、回転を阻止することにより車両10の移動を困難にする。さらに、盗難防止ECU28は、車両10の盗難が発生したことを通報する。ここでは、盗難防止ECU28は、通信端末25を介して基地局34に盗難情報を送信する。
【0055】
ステップ173では、ステップ172によって提供される警報状態を解除するための所定の解除操作を入力する。解除操作は、例えば、正規のキーを使用した電源スイッチ29の操作によって行うことができる。ステップ174では、解除操作がなされたか否かを判定する。解除操作が検出されると、ステップ166へ進み、警戒モードを解除する。一方、解除操作が検出されない場合、ステップ172へ戻り、警報状態を継続する。
【0056】
この実施形態によると、車両10の充電用のケーブル14を、車両10の不正な移動を阻止し、盗難を防止するための拘束器具としている。このため、車両10の盗難を抑制することができる。また、正規な操作を経ることなくケーブル14が非接続状態におかれると、車両10の盗難を判定し、盗難対策処理を実行している。このため、盗難を抑制することができる。
【0057】
この実施形態では、正規の運転者が車両10に乗り込み、電源スイッチ29をON状態に操作すると、ロック機構16、39が遠隔操作によって解除状態におかれ、コネクタ15、38が分離状態になり、ケーブル巻取機13によってケーブル14が自動的に巻き取られる。このため、正規の運転者は車両10に乗り込んだ後は、車外に出ることなくケーブル14を車両10に収容することができる。このため、ケーブル14を回収するために車外に出ている間に車両10が盗難される事態を抑制できる。よって、高度なセキュリティ性を維持したまま、利便性を向上することができる。
【0058】
この実施形態では、警戒解除操作は、車両を走行可能状態におくための電源スイッチ29の操作である。よって、正当な利用者が煩わしさを感じることを抑制することができる。また、ロック機構16、39のロック解除操作は、電源スイッチ29の操作である。ロック解除操作に応答してコネクタ15、38を分離状態とし、ケーブル14を巻き取るケーブル巻取機13を備える。この構成によると、車両10の運転者が車内において車両10の電源スイッチ29を操作すると、自動的にコネクタ15、38が分離状態となり、ケーブル14が巻き取られる。よって、正当な利用者が、車外に出ることなくケーブル14を収容することができる。
【0059】
(第2実施形態)
図3は、本発明を適用した第2実施形態に係る盗難防止装置1を示すブロック図である。この実施形態では、ケーブル巻取機13を備えない。よって、ケーブル14は、車両10の利用者によって回収され、車両10に収容される。この実施形態では、ロック機構16に認証装置216が設けられている。認証装置216は、機械的な情報、または電子的な情報に基づいて正規のキーによる解除操作であるか否かを判定する。さらに、認証装置216は、正規のキーによる解除操作である場合にロック機構16、39の噛み合いを解除し、コネクタ15、38を分離可能な状態とする。認証装置216は、正規のキーによらない解除操作である場合にロック機構16、39の噛み合いを維持し、コネクタ15、38を分離不能な状態とする。認証装置216は、古典的な鍵と錠とによって構成することができる。また、認証装置216は、電子的な識別情報を利用した電子的な機構によって構成することができる。例えば、認証装置216は、識別情報を読み取る読み取り部と、識別情報が正規である場合、ロック機構16、39を解除状態とする制御部とを備えることができる。この場合、正規の利用者が所有することができるカードまたはキーに、車両10に固有の識別情報を記憶する記憶装置が設けられる。利用者は、認証装置216にカードまたはキーをかざすことによりロック機構16、39を解除状態とする。この後、利用者は、コネクタ15、38を分離し、ケーブル14を回収する。そして、利用者は、車両10のドアを開錠し、車両10に乗り込む。
【0060】
図4は、第2実施形態に係る盗難防止装置1の作動を示すフローチャートである。図中には、車両10において実行される盗難防止処理260が図示されている。この実施形態では、ステップ163の後に、ステップ281が実行される。ステップ281では、盗難防止ECU28が提供する警戒モードを解除するための警戒解除操作の状態を取得する。具体的には、警戒モードの解除要求を取得し、入力する。この警戒解除操作は、コネクタ15における認証装置216の操作である。警戒解除操作は、車両の車外においてロック機構16、39を操作するロック解除操作であるといえる。すなわち、認証装置216を操作して、ロック機構16、39を解除状態とすることにより、警戒モードも解除される。ステップ282では、警戒解除操作によって警戒モードの解除が要求されたか否かを判定する。警戒モードの解除が要求されない場合、ステップ171へ進む。警戒モードの解除が要求された場合、ステップ166へ進む。
【0061】
ステップ283では、車両10のドアの開錠操作が入力される。ドアの開錠操作は、キーによって行われる。例えば、ドアロックECU27が、キーから開錠信号を受信する。ステップ284では、開錠要求があるか否かを判定する。ドアの開錠が要求されるまでステップ283、および284を繰り返す。ドアの開錠が要求されるとステップ285へ進む。ステップ285では、ドアの開錠処理がドアロックECU27によって実行される。ステップ283−285は、解除手段により警戒モードが解除された後に、車両のドアの開錠を要求する操作が入力されるとドアを開錠する開錠手段を提供する。
【0062】
この実施形態によると、車両10の正当な利用者は、まず、認証装置216を操作してケーブル14を回収した後に、車両10のドアを開錠し、車両10に乗り込む必要がある。もし、認証装置216を操作することなくケーブル14を非接続状態にすると、ステップ172によって盗難対策処理が実行される。また、認証装置216を操作することなく、ドアを開錠し、さらにケーブル14を非接続状態にした場合にも、ステップ172によって盗難対策処理が実行される。
【0063】
通常、車両10の運転席と充電施設30のコネクタ38との間は距離が離れている。このため、ドアを開錠した後に、ケーブル14を回収すると、警戒モードが解除された後に不正行為者が車両10に乗り込み、車両10を移動させる事態が想定される。しかし、この実施形態では、警戒モードを解除するための要求と、ドアを開錠するための要求とを、別々の操作とした。しかも、警戒モードを解除するための操作の後に、ドアを開錠するための操作を行うこととした。これにより、利用者の利便性は低下するが、車両10のドアが開錠されたまま利用者が運転席を離れている時間がなくなる。よって、高いセキュリティ性を提供することができる。
【0064】
この実施形態によると、コネクタ15、38を分離可能状態にするために必要な正規のロック解除操作がなされると、警戒モードが解除される。よって、正当な利用者が煩わしさを感じることを抑制することができる。また、警戒モードが解除された後に、車両10のドアの開錠の要求が受け付けられる。これにより、車両10のドアが開錠されたままで、コネクタ15、38のロック機構16、39のロック解除操作をすることが回避される。すなわち、ドアが開錠されたままで、運転者が車外で作業することを回避することができる。
【0065】
(第3実施形態)
この実施形態は、第2実施形態と同じ構成を備える。図5は、本発明を適用した第3実施形態に係る盗難防止装置1の作動を示すフローチャートである。図中には、車両10において実行される盗難防止処理260が図示されている。この実施形態では、ステップ163の後に、ステップ386が実行される。ステップ386では、車両10のドアの錠装置(ロック装置)の操作の状態を取得する。具体的には、錠装置の開錠操作、すなわち開錠要求を取得し、入力する。ステップ387では、開錠要求があるか否かを判定する。ドアの開錠が要求されていない場合、ステップ171へ進む。ドアの開錠が要求された場合、ステップ166へ進む。
【0066】
この実施形態では、ドアの開錠要求によって、警戒モードが解除されるとともに、ドアが開錠される。したがって、警戒解除操作は、車両のドアの開錠を要求する操作である。すなわち、同じ操作によって、警戒モードの解除と、ドアの開錠とが実行される。この実施形態によると、ドアロックECU27によって提供されるドアロック制御を利用して、盗難防止ECU28が提供する警戒モードを解除できる。正当な利用者は、ドアを開錠するための操作の後に、ケーブルを含む充電回路を非接続状態にすることができる。このため、利用者の高い利便性を提供することができる。
【0067】
(他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。上記実施形態の構造は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものである。
【0068】
例えば、上記実施形態では、基地局34を設けて盗難情報を複数の充電施設30に配信した。これに代えて、盗難が発生した充電施設31と、他の充電施設32との間で盗難情報を交換するように構成してもよい。例えば、他の充電施設32において盗難された車両10への充電が試みられると、車両10の盗難防止ECU28が識別情報を広域ネットワーク33を通じて家庭用の充電施設31へ送信する。これを受信した家庭用の充電施設31は、自動的に遠隔操作により他の充電施設32における車両10への充電を停止させ、さらに車両10を走行不能にするように構成することができる。
【0069】
また、上記実施形態では、電源スイッチ29の操作によって警戒モードを解除した。これに代えて、入出力装置26によって警戒モードの解除を要求するように構成してもよい。例えば、入出力装置26のディスプレイ装置に解除ボタンを表示し、運転者による解除ボタンの操作をタッチパネルによって検出すると、警戒モードを解除するように構成することができる。
【0070】
また、上記実施形態では、充電施設30に固定的にコネクタ38を設け、車両10からケーブル14を延ばし、その先端に可動式のコネクタ15を設けた。これに代えて、車両10に固定的にコネクタ15を設け、充電施設30からケーブル14を延ばし、その先端に可動式のコネクタ38を設けてもよい。このような構成においては、充電施設30にケーブル巻取機13を設けることができる。また、車両10からケーブルを延ばすとともに、充電施設30からもケーブルを延ばし、それらの先端にコネクタ15、38を設けてもよい。これらの構成においても、充電施設30から電池11に充電するための充電回路には、ケーブルと、コネクタとが設けられる。
【0071】
例えば、制御装置が提供する手段と機能は、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供することができる。例えば、制御装置をアナログ回路によって構成してもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 盗難防止装置、 10 車両、 11 電池、 12 PLCモデム、 13 ケーブル巻取機、 14 ケーブル、 15 コネクタ、 16 ロック機構、 17 充電ECU、 18 LAN、 19 ブレーキECU、 20 加速度センサ、 21 車輪速センサ、 22 エンジンECU、 23 変速機ECU、 24 ナビECU、 25 通信端末、 26 入出力装置、 27 ドアロックECU、 28 盗難防止ECU、 29 電源スイッチ、 30 充電施設、 33 広域ネットワーク、 34 基地局、 35 管理手段、 36 充電用の電源、 37 PLCモデム、 38 コネクタ、 39 ロック機構、 40 充電制御装置、 41 通報手段、 42 対策手段、 43 ルータ、 44 LAN、 216 認証装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電施設(30)から車両(10)に搭載された電池(11)に充電するための充電回路を提供するケーブル(14)と、
前記充電回路が接続状態になると、警戒モードに移行し、この警戒モードにある期間中、前記車両を不正に移動させようとする不正行為を検出する検出手段(171)と、
所定の警戒解除操作に応答して前記警戒モードを解除する解除手段(165、282、387、166)とを備え、
前記検出手段は、前記警戒解除操作を経ることなく前記充電回路が非接続状態となると、前記不正行為を検出することを特徴とする盗難防止装置。
【請求項2】
前記充電回路には、コネクタ(15、38)と、前記コネクタを分離可能状態と分離不能状態とに切換えるロック機構(16、39)とが設けられており、
前記ロック機構は所定のロック解除操作に応答して前記コネクタを分離可能状態とすることを特徴とする請求項1に記載の盗難防止装置。
【請求項3】
前記警戒解除操作は、前記車両を走行可能状態におくための電源スイッチ(29)の操作であることを特徴とする請求項2に記載の盗難防止装置。
【請求項4】
前記ロック解除操作は、前記電源スイッチの操作であり、
前記ロック解除操作に応答して前記コネクタを分離状態とし、前記ケーブルを巻き取るケーブル巻取機(13)を備えることを特徴とする請求項3に記載の盗難防止装置。
【請求項5】
前記警戒解除操作は、前記車両の車外において前記ロック機構を操作する前記ロック解除操作であることを特徴とする請求項2に記載の盗難防止装置。
【請求項6】
さらに、前記解除手段により前記警戒モードが解除された後に、前記車両のドアの開錠を要求する操作が入力されると前記ドアを開錠する開錠手段(283−285)を備えることを特徴とする請求項5に記載の盗難防止装置。
【請求項7】
前記警戒解除操作は、前記車両のドアの開錠を要求する操作であることを特徴とする請求項2に記載の盗難防止装置。
【請求項8】
さらに、前記検出手段により前記不正行為が検出されると、前記車両の不正な移動を妨げる対策手段(172)を備えることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の盗難防止装置。
【請求項9】
前記対策手段は、警報音を出力することを特徴とする請求項8に記載の盗難防止装置。
【請求項10】
前記対策手段は、前記車両の動力源を停止させることを特徴とする請求項8に記載の盗難防止装置。
【請求項11】
前記対策手段は、前記車両の車輪を拘束することを特徴とする請求項8に記載の盗難防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−211465(P2012−211465A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77427(P2011−77427)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】