説明

監視カメラシステム

【課題】侵入者への威嚇等が可能となるとともに、通常時と不慮時等の警告音等を切り替えることができる監視カメラシステムを提供すること。
【解決手段】本発明の監視カメラシステムは、映像を撮影する撮影装置と、前記撮影装置に電源を供給する電源供給装置と、前記撮影装置で撮影した映像を表示する表示装置を備えた監視カメラシステムであって、前記電源供給装置には前記撮影装置の動作状態を監視する負荷監視手段と、アラームを発するアラーム手段と、前記アラーム手段の動作を制御するアラームコントロール手段を備え、前記負荷監視手段で前記撮影装置への電源供給に異常が検出された場合には前記アラームコントロール手段によって前記アラーム手段の動作を制御することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像データを伝送することにより、或る地点で撮影中の映像を遠隔地点で閲覧可能とする監視カメラ装置及びその電源装置を含む監視カメラシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
カメラ映像をネットワーク経由で配信する映像配信システムや監視カメラ装置が広く普及しており、ネットワーク端子付やカメラ映像出力付等のカメラが多数製品化されている。これらのいわゆる監視カメラシステムは映像撮影地点からネットワーク通信や映像信号ケーブル等で集中監視センター等の映像表示地点まで接続されているのが一般的である。
【0003】
ところで、監視カメラシステムの中にはネットワーク通信の切断や映像信号の切断を検知して警報装置等を作動したりする機能を持つものがあり、映像信号やネットワーク通信等の切断状況を基にして集中監視センター等の監視者へアラームを発生させて通知している(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−282766号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来システムで監視カメラ装置の電源が切断された場合には、集中監視センター等の映像表示地点で異常を検知してからアラームを発生させていた。そのため、侵入者により監視カメラ装置の電源が故意に切断された場合において、侵入者への威嚇としてアラーム音等を発生させるためには、集中監視センターから監視カメラ装置がある撮影地点までアラーム信号用の専用線や威嚇装置等を敷設する必要があった。
【0005】
又、侵入者等による不慮の電源の切断やメンテナンス時等の通常時における電源の切断等、電源の切断された要因を判別することが困難であった。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、侵入者への威嚇等が可能となるとともに、通常時と不慮時等の警告音等を切り替えることができる監視カメラシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の監視カメラシステムは、映像を撮影する撮影装置と、前記撮影装置に電源を供給する電源供給装置と、前記撮影装置で撮影した映像を表示する表示装置を備えた監視カメラシステムであって、前記電源供給装置には前記撮影装置の動作状態を監視する負荷監視手段と、アラームを発するアラーム手段と、前記アラーム手段の動作を制御するアラームコントロール手段を備え、前記負荷監視手段で前記撮影装置への電源供給に異常が検出された場合には前記アラームコントロール手段によって前記アラーム手段の動作を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、侵入者等によって監視カメラ装置の電源の切断が不慮に行われた場合において監視カメラ装置の電源装置がアラームを発生することで侵入者への威嚇等が可能となり、監視カメラ装置の動作モードや監視状態を電源装置で検知し、これに対応してアラームを発することで通常時と不慮時等の警告音等を切り替えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0010】
<実施の形態1>
図1は本発明の実施の形態1に係る監視カメラシステムを含むシステム構成を説明するブロック図である。
【0011】
図1において、101はACアダプタであり、監視カメラ装置102に必要な電源を供給する電源装置である。監視カメラ装置102から出力される映像信号は、遠隔地にある集中監視センター103に接続され、モニタ131に映像を表示しながら映像の監視が行われる。監視カメラ装置102の電源入力端子105にはACアダプタ101からのDC電源が供給されており、本実施の形態では、電源入力端子105への電源供給が切断された場合におけるACアダプタの動作を説明する。
【0012】
先ず、ACアダプタ101の構成を説明する。
【0013】
104はAC電源の入力端子であり、AC100V等の商用電源にACコードを介して接続される。整流平滑部111では、AC電圧をダイオードブリッジ等で整流した後にスイッチング制御114により平滑処理し、トランス112を介して所定の電圧波形に変換される。二次側整流部113では、ローパスフィルタを通して監視カメラ装置102で使用されるDC電圧に整流され出力される。出力されたDC電圧は、電圧検出115で基準電圧との比較を行い、スイッチング制御114にフィードバックしてスイッチングのデューティ比を可変させながらDC電圧出力を安定させている。
【0014】
一方、負荷電流検出部116では、監視カメラ装置102の負荷電流値を検出する。動作モード記憶部117では、これらの負荷電流値に対応した後述する動作モードフラグを立てて動作モード記憶部117に送信し、動作モード記憶部117では随時のそのフラグ値を記憶する。負荷電流検出部116が監視カメラ装置102の負荷電流が0であることを検知した場合はアラーム判定部118に通知する。アラーム判定部118は、無負荷検知信号を受けてアラーム発生部119に各種のアラームの発生を指示する。この際、動作モード記憶部117で記憶されている動作モードフラグに応じてアラームの方法を切り替える。
【0015】
ここで、監視カメラ装置102の動作モードについて説明する。
【0016】
監視カメラ装置102の負荷122は、各種の電子回路で構成されており、カメラ機能の動作状態によって電子回路の動作ブロックも変化するために負荷電流も変化する。スタンバイ状態は負荷電流値が最も少なく、監視状態では映像送信のための映像処理部124の回路ブロックが動作するため負荷電流が増加し、夜間照明等を使用した場合は赤外照明部123の回路ブロックが動作するために更に負荷電流が増加する。
【0017】
これらの負荷電流と動作モードの関係は同一製品では一意であるため、図2で示すようなテーブルで示すことができ、負荷電流値の検出によって動作モード、即ち動作モードフラグを切り替えることが可能となり、アラームの種類もこれによって切り替える。
【0018】
更に、負荷122では、各モードにおける負荷電流を所望の電流値に設定できるような可変抵抗器を備えることで事前に図2のテーブルに対応した所望の負荷電流に調整が可能となる。このような電流調整を事前に実施しておくことで、異なる製品についても同じスペックのACアダプタを使用できる等、汎用性の高いシステムが構成できる。これらの電流調整機能を使用して各モードの電流値は図2のように設定されている。
【0019】
スタンバイモード201の監視カメラ装置の負荷電流は200mA±10%であり、このモードは監視の休止状態であるため、もし電源が切断された場合でもアラームを発生させる必要はない。昼間監視モード202、夜間監視モード203の負荷電流はそれぞれ400mA±10%、600mA±10%であり、このモードは監視中であるため、もし電源が切断された場合は侵入者等による不慮の状態であると考えられるので、アラームを発生させる。その他204の場合はヒューズの切断等による監視カメラ装置の故障等が考えられる。
【0020】
電源が切断された場合には、これらの監視カメラ装置の動作モードを記憶した動作モードフラグ0〜3に応じてアラームの発生方法を切り替える。本実施の形態では、昼間監視モードは音声アラーム、夜間監視モードはブザーアラーム、その他はLEDアラームを使用している。
【0021】
図3で負荷電流検出部116、動作モード記憶部117、アラーム判定部118、アラーム発生部119の動作フローを説明する。
【0022】
301,303は負荷電流検出部116、302は動作モード記憶部117、304〜307はアラーム判定部118、310〜312はアラーム発生部119でそれぞれ処理が行われる。
【0023】
301では監視カメラ装置の負荷電流を検出し、電流値に応じて図2に示す動作モードフラグを立てる。302では動作モードフラグを受信し、監視カメラ装置の負荷電流が0になった場合でも記憶されているようにラッチ回路を使用して動作モードフラグを保存する。303では監視カメラ装置の負荷電流を監視し、0の場合は304に通知する。
【0024】
304で動作モードフラグがスタンバイモードだった場合は、通常の電源の切断なのでアラームは発しない。305で動作モードフラグが昼間監視モードだった場合は、310で「監視中に電源が切断されました」と音声アラームを発する。306で動作モードフラグが夜間監視モードだった場合は、311で大音量のブザーアラームを起動し電源を切断した者に警告を発する。307でその他のモードだった場合は、312で監視カメラ装置の故障を示すLEDを点滅させる。
【0025】
以上説明したように、本実施の形態によれば、監視カメラ装置の負荷電流から推定した動作モードを電源装置に記憶しておき、監視カメラ装置の電源が切断された場合には電源切断前の動作モードに応じたアラームを発することができる。
【0026】
<実施の形態2>
図4は本発明の実施の形態2に係る監視カメラシステムを含むシステム構成を説明するブロック図である。
【0027】
図4において、401はACアダプタであり、監視カメラ装置402に必要な電源を供給する電源装置である。監視カメラ装置402から出力される映像信号は、遠隔地にある集中監視センター403に接続され、モニタ431に映像を表示しながら映像の監視が行われる。監視カメラ装置402の電源入力端子405にはACアダプタ401からのDC電源が供給されており、本実施の形態では、電源入力端子405への電源供給が切断された場合におけるACダプタの動作を説明する。
【0028】
先ず、ACアダプタ401の構成を説明する。
【0029】
404はAC電源の入力端子であり、AC100V等の商用電源にACコードを介して接続される。整流平滑部411では、AC電圧をダイオードブリッジ等で整流した後にスイッチング制御414により平滑処理し、トランス412を介して所定の電圧波形に変換される。二次側整流部413では、ローパスフィルタを通して監視カメラ装置402で使用されるDC電圧に整流され出力される。出力されたDC電圧は、電圧検出415で基準電圧との比較を行い、スイッチング制御414にフィードバックしてスイッチングのデューティ比を可変させながらDC電圧出力を安定させている。
【0030】
一方、無負荷検出部416では、監視カメラ装置の負荷電圧や負荷電流の状態を監視しながら、監視カメラ装置402の電源が切断されていないかを検出し、切断された場合はアラーム判定部418に通知する。アラーム判定部418は、無負荷検知信号を受けてアラーム発生部419にアラームの発生を指示する。この際、警戒モード記憶部417で記憶されている後述する警戒モードフラグに応じてアラームの方法を切り替える。
【0031】
ここで、監視カメラ402の警戒モードについて説明する。
【0032】
監視カメラ402には、省エネ等を目的として指定した時間以外は監視しない設定ができる監視タイマ機能420を備えている。又、監視中に動く物体を検出できる赤外センサ等で構成された動き検知機能421を備えている。これらの監視カメラ機能の組み合わせによって監視状況に応じた警戒モードを設定することができる。本実施の形態での監視カメラシステムの警戒モードとアラーム発生条件を図5に基づいて説明する。
【0033】
監視停止モード501は、監視タイマが動作していない状態であり、機材のセッティングや昼間等、監視の休止状態であるためアラームを発生する必要はない。小警戒モード502は、監視タイマが動作中であり通常の監視が行われている上で撮像画像の動きが検出されていない状態である。この状態で監視カメラ装置の電源が切断された場合は故障等の機器的要因だと考えられるのでアラームを発生させる。
【0034】
大警戒モード503は、監視タイマが動作中であり通常の監視が行われている上で撮像画像の動きが検出された状態である。この状態で監視カメラ装置の電源が切断された場合は、侵入者等による人為的要因だと考えられるためにアラームを発生し警告する。本実施の形態では、小警戒モードは音声アラーム、大警戒モードモードはブザーアラームを使用している。
【0035】
このような警戒モードを警戒モード設定部422は、図5に示す警戒モードフラグとして設定し、ACアダプタ101の警戒モード記憶部417に随時送信している。
【0036】
図6で無負荷検出部416、警戒モード記憶部417、アラーム判定部418、アラーム発生部419の動作フローを説明する。
【0037】
602は無負荷検出部416、601は警戒モード記憶部417、603〜604はアラーム判定部418、605〜606はアラーム発生部619でそれぞれ処理が行われる。
【0038】
601では監視カメラ装置402から送信されてきた警戒モードフラグを随時受信し、監視カメラ装置の電源が切断された場合でも切断直前のフラグが記憶されているようにラッチ回路を使用して警戒モードフラグ記憶している。602では監視カメラ装置の負荷電流を監視し、0の場合は603に通知する。603で警戒モードフラグが監視停止モードだった場合は、セッティング等による通常の電源の切断なのでアラームは発生しない。
【0039】
604で警戒モードフラグが小警戒モードだった場合は、605で「カメラに異常があります」と音声アラームを発する。604で小警戒モードでなかった場合は、大警戒モードであるため、606で大音量のブザーアラームを起動し電源を切断した者に警告を発する。
【0040】
以上説明したように本実施の形態によれば、電源切断前の監視カメラ装置の警戒モードを電源装置に記憶しておき、監視カメラ装置の電源が切断された場合には電源切断前の警戒モードに応じたアラームを発することができる。
【0041】
本実施の形態での警戒モードフラグは監視タイマ機能や動き検知機能といった監視カメラの動作状態から決定されるフラグである。このフラグは、監視カメラ装置の外部から強制的に設定することも可能である。監視カメラ装置に装備された外部スイッチや遠隔地からネットワークを利用してフラグを切り替えることでも本実施の形態と同様の動作を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態1に係る監視カメラシステムを示すブロック構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る監視カメラシステムの動作モードを示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る監視カメラシステムの動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態2に係る監視カメラシステムを示すブロック構成図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る監視カメラシステムの警戒モードを示す図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る監視カメラシステムの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0043】
101 ACアダプタ
102 監視カメラ装置
103 集中監視センター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を撮影する撮影装置と、前記撮影装置に電源を供給する電源供給装置と、前記撮影装置で撮影した映像を表示する表示装置を備えた監視カメラシステムであって、
前記電源供給装置には前記撮影装置の動作状態を監視する負荷監視手段と、アラームを発するアラーム手段と、前記アラーム手段の動作を制御するアラームコントロール手段を備え、前記負荷監視手段で前記撮影装置への電源供給に異常が検出された場合には前記アラームコントロール手段によって前記アラーム手段の動作を制御することを特徴とする監視カメラシステム。
【請求項2】
前記負荷監視手段は、前記撮影装置の負荷電流或は負荷電圧の情報を複数記憶し、前記アラームコントロール手段は、前記負荷電流或は負荷電圧の情報に対応した複数種類のアラームを発することを特徴とする請求項1記載の監視カメラシステム。
【請求項3】
前記撮影装置の負荷電流は、前記アラームコントロール手段に対応した所望の電流値に変更することが可能なことを特徴とする請求項2記載の監視カメラシステム。
【請求項4】
前記撮影装置は、監視状況に応じた監視情報を前記電源供給装置内の前記負荷監視手段に送信し、前記アラームコントロール手段は、前記監視情報に対応した複数種類のアラームを発することを特徴とする請求項1記載の監視カメラシステム。
【請求項5】
前記負荷監視手段は、ラッチ回路を使用して前記撮影装置の動作状態を記憶することを特徴とする請求項1記載の監視カメラシステム。
【請求項6】
前記電源供給装置は、ACアダプタであることを特徴とする請求項1記載の監視カメラシステム。
【請求項7】
前記負荷監視手段と、前記アラーム手段と、前記アラームコントロール手段は、蓄電池を電源として動作することを特徴とする請求項1記載の監視カメラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−19916(P2007−19916A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−199775(P2005−199775)
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】