説明

監視システム

【課題】監視装置が通信装置との間で無線通信を行なうことにより通信装置の移動状態を監視する監視システムを提供する。
【解決手段】無線AP2は、所定のポーリング周期で端末装置3に対してパケットを送信し、端末装置3からの応答のパケットを受信した場合、端末装置3との無線通信におけるリンク速度を検出し、サーバ装置1へ通知する。サーバ装置1は、登録情報テーブル15aにおいて、無線AP2から通知されたリンク速度を管理し、登録情報テーブル15aの最終リンク速度と無線AP2から通知されたリンク速度とに基づいて、端末装置3が移動したか否かを管理すると共に、移動していない場合は移動していない無移動時間を管理する。またサーバ装置1は、無移動時間に基づいて端末装置3が無移動状態であるか否かを監視し、無移動状態である場合、対応する通知先に無移動状態である旨を通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信が可能な監視装置が複数の通信装置との間で無線通信を行なうことによりそれぞれの通信装置の移動状態を監視する監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
子供又は高齢者等の迷子を防止するためのシステムが特許文献1,2に開示されている。特許文献1,2のシステムは、無線通信が可能な親機及び子機を備え、親機と子機とが所定距離以上離れた場合に警報音を出力するものであり、例えば、幼児又は高齢者に子機を携帯させ、幼児又は高齢者の管理者が親機を携帯して利用する。これにより、子機を携帯する幼児又は高齢者が管理者から所定距離以上離れた場合、親機を携帯する管理者は、警報音によってその旨を把握することができる。
【0003】
また近年では一人暮らしの高齢者又は心身障害者が増加している。このため、高齢者又は心身障害者と別居している家族が高齢者又は心身障害者の安否を確認するために高齢者又は心身障害者の安否を監視できるシステムを要望している。
特許文献3には、家庭内の電気製品の操作の有無に基づいて一人暮らしの高齢者又は心身障害者の安否を監視できるシステムが開示されている。特許文献3のシステムは、家庭内の電気製品の操作状況を予め登録してある通知先へ通知するものであり、一人暮らしの高齢者又は心身障害者による電気製品の操作状況を別居している家族に通知することにより、別居している家族は、高齢者又は心身障害者の安否を把握することができる。
【特許文献1】特許第3025679号公報
【特許文献2】特開2006−135544号公報
【特許文献3】特開2000−156738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1,2のシステムでは、所定距離内における迷子の細かい移動を検出することが不可能であったため、一人暮らしの高齢者や心身障害者の安否を確認するのには不十分である。また、特許文献3のシステムでは、日常生活で使用する電気製品を操作したか否かで一人暮らしの高齢者又は心身障害者の安否の確認を行なうので、電気製品が使用されていない場合、又は電気製品を使用する必要がない場合等には高齢者又は心身障害者の状況を把握することは困難である。従って、高齢者又は心身障害者のより詳細な状況を把握できるシステムが要望されている。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、通信装置を携帯する携帯者の移動を従来の技術に比してより詳細に検出することが可能な監視システムを提供することにある。また、本発明の他の目的は、通信装置の移動が所定時間よりも長い時間検出されなかった場合、その旨を予め登録された通知先へ通知することが可能な監視システムを提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、通信装置からの応答が無い場合、応答が無い無応答時間を監視すると共に、応答が所定時間よりも長い時間無かった場合、その旨を予め登録された通知先へ通知することが可能な監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る監視システムは、監視装置が複数の通信装置との間で相互間の距離に応じてリンク速度が変化する無線通信を行なうことによりそれぞれの通信装置の移動状態を監視する監視システムにおいて、監視装置が所定時間間隔で各通信装置と無線通信を行ない、各通信装置からの応答が有った場合、各通信装置との無線通信の際のリンク速度を検出する。また監視装置は、各通信装置毎に順次検出したリンク速度の変化量を算出し、算出した変化量に基づいて各通信装置が移動したか否かを監視する。具体的には、各通信装置毎に算出した変化量が所定の移動判定閾値以上でない場合、監視装置は、各通信装置と無線通信を行なう間隔である所定時間を累計した累計時間を各通信装置毎に算出し、算出した累計時間の間各通信装置が移動していないことを把握する。
【0008】
本発明に係る監視システムは、通信装置のそれぞれに対応付けて第1通知先を示す第1通知先情報を第1通知先記憶手段に記憶させておき、各通信装置毎に算出された累計時間が所定の移動判定基準時間よりも長い場合、この通信装置が移動していないことを、この通信装置に対応して第1通知先記憶手段に記憶してある第1通知先情報が示す第1通知先に通知する。
【0009】
本発明に係る監視システムは、各通信装置毎に算出された累計時間をデータベースに蓄積してゆき、データベースに蓄積された累計時間に基づいて、各通信装置に応じた移動判定基準時間を算出して設定する。データベースには、複数日のそれぞれにおいて1日を所定時間毎に区分した区分毎の累計時間が蓄積され、データベースに蓄積された異なる日の同一区分の累計時間に基づいて各区分に応じた移動判定基準時間を算出して設定する。
【0010】
本発明に係る監視システムは、各通信装置からの応答が無かった場合、各通信装置からの応答が無い無応答時間を計測し、計測された無応答時間の間各通信装置が応答していないことを監視する。また、通信装置のそれぞれに対応付けて第2通知先を示す第2通知先情報を第2通知先記憶手段に記憶させておき、各通信装置毎に計測された無応答時間が所定の応答判定基準時間よりも長い場合、この通信装置が応答していないことを、この通信装置に対応して第2通知先記憶手段に記憶してある第2通知先情報が示す第2通知先に通知する。
【0011】
本発明に係る監視システムは、監視装置として第1監視装置及び第2監視装置を含み、第2監視装置が、各通信装置と無線通信を行ない、各通信装置との無線通信の際のリンク速度を検出し、検出したリンク速度を第1監視装置へ伝送する。そして第1監視装置が、第2監視装置が伝送した各通信装置毎のリンク速度の変化量を算出し、算出した変化量に基づいて各通信装置が移動したか否かを監視する。
【0012】
また、各通信装置毎に算出したリンク速度の変化量が所定の移動判定閾値以上でない場合、第1監視装置が、各通信装置と無線通信を行なう間隔である所定時間を累計し、各通信装置毎に算出した累計時間が所定の移動判定基準時間よりも長い場合、この通信装置が移動していないことを対応する第1通知先に通知する。更に、第1監視装置が、第2監視装置から各通信装置のリンク速度を取得しない場合、リンク速度を取得しない各通信装置の無応答時間を計測し、各通信装置毎に計測した無応答時間が所定の応答判定基準時間よりも長い場合、この通信装置が応答していないことを対応する第2通知先に通知する。
【0013】
本発明に係る監視システムは、監視装置として第1監視装置及び第2監視装置を含み、第2監視装置が、各通信装置と無線通信を行ない、各通信装置との無線通信の際のリンク速度を検出する。また第2監視装置が、各通信装置毎に順次検出したリンク速度の変化量を算出し、算出した変化量が所定の移動判定閾値以上でない場合、各通信装置と無線通信を行なう間隔である所定時間を累計し、各通信装置毎に算出した累計時間が所定の移動判定基準時間よりも長い場合、この通信装置が移動していないことを第1監視装置へ通知する。そして第1監視装置が、第2監視装置からの通知に従って、前記通信装置が移動していないことを対応する第1通知先に通知する。
【0014】
また、第2監視装置が、各通信装置からの応答が無かった場合、各通信装置からの応答が無い無応答時間を計測し、計測した無応答時間が所定の応答判定基準時間よりも長い場合、この通信装置が応答していないことを第1監視装置へ通知する。そして第1監視装置が、第2監視装置からの通知に従って、前記通信装置が応答していないことを対応する第2通知先に通知する。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、監視装置が所定時間間隔で複数の通信装置と無線通信を行ない、各通信装置との無線通信の際のリンク速度を検出する。そして監視装置は、各通信装置毎に順次検出したリンク速度の変化量を算出し、算出した変化量に基づいて各通信装置が移動したか否かを監視する。例えば、無線アクセスポイントと通信装置との間での無線通信では、無線アクセスポイントと通信装置との距離が長くなるほど安定した通信を行なうためにはリンク速度を遅くする必要があるため、リンク速度が変化することによって無線アクセスポイントと通信装置との距離が変化したことを検出することができる。このようにリンク速度によって無線アクセスポイントと通信装置との距離に変化が生じたことを検出する場合、通信装置を携帯する携帯者の移動を従来の技術に比してより詳細に、例えば1,2mの移動の検出も可能となる。
【0016】
また、各通信装置毎に算出したリンク速度の変化量が所定の移動判定閾値以上でない場合、監視装置は、各通信装置と無線通信を行なう間隔である所定時間を累計することによって各通信装置が継続して移動していない累計時間を算出し、算出した累計時間の間各通信装置が移動していないことを把握する。このように、リンク速度の変化量がある程度の値(移動判定閾値)以上となった場合にのみこの通信装置が移動したと判断し、リンク速度の変化量が微量であり、移動判定閾値以上でない場合には通信装置は移動していないと判断することにより、通信装置を携帯する携帯者が日常生活に伴う移動を行なっているか否かを正確に把握することができる。
【0017】
本発明では、通信装置のそれぞれに対応付けて第1通知先が登録されており、各通信装置毎に算出された累計時間が所定の移動判定基準時間よりも長い場合、監視装置が、この通信装置が移動していないことを対応する第1通知先に通知する。よって、例えば、通信装置を携帯する携帯者(高齢者又は心身障害者)の家族に通信装置が移動していない旨を通知した場合には、家族は携帯者の安否の確認を行なうことができ、携帯者に何らかのトラブルが発生している場合には、早期に発見することができると共に早期に適切な対処を施すことができる。
【0018】
本発明では、監視装置が各通信装置毎に算出された累計時間をデータベースに蓄積してゆき、データベースに蓄積された累計時間に基づいて、各通信装置に応じた移動判定基準時間を算出する。このように算出された移動判定基準時間に基づいて、各通信装置が移動していないことを第1通知先に通知するか否かの判定を行なうことにより、各通信装置を携帯する携帯者の生活パターンに応じた判定処理が可能となる。従って適切に判定された結果、通信装置が移動していない旨を通知するため、無駄な通知処理を防止することができる。また、データベースに複数日のそれぞれにおいて1日を所定時間毎に区分した区分毎の累計時間を蓄積し、データベースに蓄積された異なる日の同一区分の累計時間に基づいて各区分に応じた移動判定基準時間を算出した場合には、1日の各時間区分に応じた移動判定基準時間に基づく判定処理が可能となる。またデータベースに蓄積される最新の累計時間に基づいて移動判定基準時間を算出した場合には、例えば、季節に応じて変化する各携帯者の生活リズムに適応した判定処理が可能となる。
【0019】
本発明では、各通信装置からの応答が無かった場合、監視装置が各通信装置からの応答が無い無応答時間を計測し、計測された無応答時間の間各通信装置が応答していないことを監視する。また、通信装置のそれぞれに対応付けて第2通知先が登録されており、各通信装置毎に計測された無応答時間が所定の応答判定基準時間よりも長い場合、監視装置が、この通信装置が応答していないことを対応する第2通知先に通知する。よって、例えば、通信装置を携帯する携帯者の家族に通信装置が応答していない旨を通知した場合には、家族は携帯者の安否の確認を行なうことができ、携帯者に何らかのトラブルが発生している場合には、早期に発見することができると共に早期に適切な対処を施すことができる。
【0020】
本発明では、監視装置として第1監視装置及び第2監視装置を備え、第2監視装置が、各通信装置と無線通信を行ない、各通信装置との無線通信の際のリンク速度を検出した場合、検出したリンク速度を第1監視装置へ伝送する。そして第1監視装置が、第2監視装置が伝送した各通信装置毎のリンク速度の変化量を算出し、算出した変化量に基づいて各通信装置が移動したか否かを監視する。
【0021】
また、各通信装置毎に算出したリンク速度の変化量が所定の移動判定閾値以上でない場合、第1監視装置が、各通信装置が継続して移動していない累計時間を算出し、各通信装置毎に算出した累計時間が所定の移動判定基準時間よりも長い場合、この通信装置が移動していないことを対応する第1通知先に通知する。更に、第1監視装置が、第2監視装置から各通信装置のリンク速度を取得しない場合、リンク速度を取得しない各通信装置の無応答時間を計測し、各通信装置毎に計測した無応答時間が所定の応答判定基準時間よりも長い場合、この通信装置が応答していないことを対応する第2通知先に通知する。このような構成により、第2監視装置は各通信装置との無線通信におけるリンク速度の検出のみを行なうので、第2監視装置による処理負担を軽減することができる。
【0022】
本発明では、監視装置として第1監視装置及び第2監視装置を備え、第2監視装置が、各通信装置と無線通信を行ない、各通信装置との無線通信の際のリンク速度を検出し、各通信装置毎に順次検出したリンク速度の変化量を算出し、算出した変化量が所定の移動判定閾値以上であるか否かを判断する。また、前記変化量が移動判定閾値以上でない場合、第2監視装置が、各通信装置が継続して移動していない累計時間を算出し、算出した累計時間が所定の移動判定基準時間よりも長い場合、この通信装置が移動していないことを第1監視装置へ通知する。そして第1監視装置が、第2監視装置からの通知に従って、前記通信装置が移動していないことを対応する第1通知先に通知する。
【0023】
また、第2監視装置が、各通信装置からの応答が無い無応答時間を計測し、計測した無応答時間が所定の応答判定基準時間よりも長い場合、この通信装置が応答していないことを第1監視装置へ通知する。そして第1監視装置が、第2監視装置からの通知に従って、前記通信装置が応答していないことを対応する第2通知先に通知する。このような構成により、各通信装置が移動したか否かの判定処理及び各通信装置からの応答が有ったか否かの判定処理を第2監視装置が行なうので、第1監視装置による処理負担を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に本発明に係る監視システムをその実施形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施形態1)
図1は実施形態1に係る監視システムの構成例を示す模式図である。本実施形態1の監視システム100は、端末装置監視サービスを運営する事業体によって管理されるサーバ装置1と、複数の無線アクセスポイント(以下、無線APという)2,2…とを、例えばインターネットのようなネットワークNを介して接続した構成としてある。無線AP2,2…のそれぞれは、例えばIP(Internet Protocol)ネットワークを介した無線通信が可能であり、無線通信が可能に構成された1又は複数の端末装置(通信装置)3,3…との間で無線通信を行なう。なお、無線AP2,2…は、自身を中心とした所定範囲内に存在する端末装置3,3…との間での無線通信を行なう。
【0025】
監視システム100を利用する高齢者、心身障害者又はこれらの家族(以下、ユーザともいう)は、事業体が運営する端末装置監視サービスを利用するために予め登録処理を行なっておく。これにより、サーバ装置1は、端末装置監視サービスを利用するユーザ、各端末装置3,3…を携帯する高齢者又は心身障害者等(以下、監視対象者ともいう)に関する情報を管理することができる。
【0026】
本実施形態1の監視システム100では、例えば無線AP2,2…を各家庭に1台ずつ設置し、端末装置3,3…を各家庭内の監視対象者にそれぞれ携帯させて利用する。無線AP2は、家庭内の各監視対象者が携帯する端末装置3,3…に対して所定のポーリング周期でパケットを送信し、各端末装置3,3…からの応答に基づいて各端末装置3,3…との間で行なわれた無線通信におけるリンク速度を検出する。
【0027】
無線AP2は、各端末装置3,3…との距離が長くなるほどリンク速度を遅くすることによって安定した通信を行なうように構成されており、リンク速度の遅速に応じて端末装置3,3…との距離を検出することができる。但し、リンク速度は、無線AP2と各端末装置3,3…との距離のみならず、無線AP2と各端末装置3,3…との間に介在する障害物の有無、障害物の材質によっても遅速される。従って、本実施形態1の監視システム100では、無線AP2と各端末装置3,3…との距離を直接的に検出するのではなく、リンク速度の変化に応じて各端末装置3,3…を携帯する監視対象者が移動していることを検出する。
【0028】
従って、本実施形態1の監視システム100では、各端末装置3,3…を携帯する監視対象者が移動しているか否かを監視することができるので、監視対象者に関する移動情報を必要に応じて監視対象者の家族に通知することができる。具体的には、端末装置3を携帯する監視対象者の移動が所定時間以上検出されなかった場合(以下、無移動状態という)、その旨を例えば家族に通知する。これにより家族は、監視対象者の安否の確認を行ない、監視対象者に何らかのトラブルが発生している場合には、早期に発見することができると共に早期に適切な対処を施すことができる。
【0029】
また、本実施形態1の監視システム100では、各端末装置3,3…が無線AP2に対して適切に応答しているか否かを監視しており、各端末装置3,3…が無線AP2に対して所定時間以上応答しなかった場合(以下、無応答状態という)、その旨を端末装置3を携帯する監視対象者の家族に通知することができる。なお、無応答状態としては、端末装置3が無線AP2を中心とした所定範囲外へ出た場合、例えば端末装置3を携帯する監視対象者によって電源が遮断された場合、端末装置3の電池(図示せず)の残量が少なくなり端末装置3が機能しなくなった場合等がある。
【0030】
従って、無応答状態であることの通知を受けた家族は、監視対象者に連絡することにより無応答状態となった原因を確認し、端末装置3の電源が遮断されたことによって無応答状態となっている場合には、端末装置3の電源を入れるように監視対象者に指示することができる。また、電池の残量が少ない場合には電池の交換又は充電池の充電を行なうように監視対象者に指示することができる。更に、端末装置3が無線AP2から所定距離以上離れたことによって無応答状態となっている場合には、監視対象者の居場所を確認することができ、監視対象者に何らかのトラブルが発生している場合には、早期に発見することができると共に早期に適切な対処を施すことができる。
【0031】
なお、端末装置3,3…としてIPネットワークを介した無線通信が可能な携帯電話機を利用することができるが、端末装置3,3…は監視対象者が常に身に付けておく必要があるため小型軽量化されることが望ましく、例えば名刺大のカード形状に構成されることが好ましい。また、更なる小型化が可能であれば、端末装置3,3…をペンダントトップとしたペンダントとして構成してもよく、腕時計又は指輪に取り付けられる形状に構成してもよい。
【0032】
図2は実施形態1に係る監視システム100の構成例を示すブロック図である。本実施形態1の監視システム100において、サーバ装置1は、制御部10、ROM11、RAM12、時計部13、操作部14、HDD15、ネットワークNと接続するためのネットワークインタフェース16等を備え、これらのハードウェア各部はそれぞれバス1aを介して相互に接続されている。
【0033】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit )又はMPU(Micro Processor Unit)等で構成され、ROM11に予め記憶してある制御プログラムを適宜RAM12に読み出して実行すると共に、上述したハードウェア各部の動作を制御する。ROM11には、サーバ装置1の動作に必要な種々の制御プログラムが予め格納されている。RAM12はSRAM又はフラッシュメモリ等で構成されており、制御部10による制御プログラムの実行時に発生する種々のデータを一時的に記憶する。
【0034】
時計部13は絶対時刻(年、月、日、時、分、秒)を刻時しており、制御部10からの制御に従って所定時間を計時するタイマ処理も行なう。
操作部14は、サーバ装置1を管理する管理者が操作するために必要な各種の操作キーを備えている。管理者により各操作キーが操作された場合、操作部14は操作された操作キーに対応した制御信号を制御部10へ送出し、制御部10は取得した制御信号に対応した処理を実行する。
【0035】
HDD15は大容量の記憶装置であり、HDD15にはサーバ装置1の動作に必要な種々の制御プログラム、図3(a)に示すような登録情報テーブル15a等が記憶されている。登録情報テーブル15aには、端末装置監視サービスによって移動を監視される端末装置3,3…及び各端末装置3,3…を携帯する監視対象者等に関する登録情報が登録されている。
図3は実施形態1に係る登録情報テーブルの登録内容を示す模式図である。図3(a)にはHDD15に記憶されている登録情報テーブル15aの登録内容を、図3(b)には後述する無線AP2のメモリ部25に記憶されている端末情報テーブル25aの登録内容をそれぞれ示す。
【0036】
図3(a)に示す登録情報テーブル15aには、サーバ装置1が監視する各端末装置3,3…に付与したサーバ管理ID毎に、各端末装置3,3…を識別するための端末ID、端末IDが示す端末装置3と通信を行なってリンク速度を検出する無線AP2を識別するためのAPID、APIDが示す無線AP2から端末IDが示す端末装置3のリンク速度を受信した最終受信時刻、前記無線AP2から受信した最新のリンク速度を示す最終リンク速度、端末IDが示す端末装置3が無移動状態である時間を示す無移動時間、端末IDが示す端末装置3が無応答状態である時間を示す無応答時間、端末IDが示す端末装置3が無応答状態又は無移動状態であることを通知する通知先を示す通知先情報、端末IDが示す端末装置3を携帯する監視対象者に関する登録者情報等が対応付けてそれぞれ登録してある。
【0037】
なお、端末IDは例えばMAC(Media Access Control)アドレスであり、APID及び通知先情報は例えばIPアドレスであり、登録者情報は例えば端末装置3を携帯する監視対象者の名前、端末装置3のIPアドレス等である。
登録情報テーブル15aは、監視対象者又は監視対象者の家族が端末装置監視サービスに加入し、端末装置監視サービスによって移動を監視される端末装置3が追加される都度、制御部10によって追加される。また、登録情報テーブル15aの最終受信時刻、最終リンク速度、無移動時間は、各無線AP2,2…から各端末装置3,3…のリンク速度の通知を受ける都度、制御部10によってそれぞれ更新される。更に、登録情報テーブル15aの無応答時間は、後述するように無応答時間の更新周期毎に制御部10によって更新される。
【0038】
無線AP2は、図2に示すように、制御部20、ROM21、RAM22、時計部23、操作部24、メモリ部25、ネットワークNと接続するためのネットワークインタフェース26、無線通信を行なうための無線通信部27等を備え、これらのハードウェア各部はそれぞれバス2aを介して相互に接続されている。
【0039】
制御部20は、CPU又はMPU等で構成され、ROM21に予め記憶してある制御プログラムを適宜RAM22に読み出して実行すると共に、上述したハードウェア各部の動作を制御する。ROM21には、無線AP2の動作に必要な種々の制御プログラムが予め格納されている。RAM22はSRAM又はフラッシュメモリ等で構成されており、制御部20による制御プログラムの実行時に発生する種々のデータを一時的に記憶する。
【0040】
時計部23は絶対時刻を刻時しており、制御部20からの制御に従って所定時間を計時するタイマ処理も行なう。
操作部24は、無線AP2をユーザ(監視対象者又はその家族)が操作するために必要な各種の操作キーを備えている。ユーザにより各操作キーが操作された場合、操作部24は操作された操作キーに対応した制御信号を制御部20へ送出し、制御部20は取得した制御信号に対応した処理を実行する。
【0041】
メモリ部25は、フラッシュメモリのような書き換え可能な不揮発性のメモリである。メモリ部25には無線AP2の動作に必要な種々の制御プログラム、図3(b)に示すような端末情報テーブル25a等が記憶されている。端末情報テーブル25aには、無線AP2がリンク速度の検出を行なう端末装置3,3…に関する端末情報が登録されている。
【0042】
具体的には、図3(b)に示すように、端末情報テーブル25aには、無線AP2が管理する各端末情報3,3…に付与したAP管理ID毎に、各端末装置3,3…を識別するための端末ID、端末IDが示す端末装置3のリンク速度を監視するサーバ装置1を識別するためのサーバID等が対応付けてそれぞれ登録してある。なお、端末IDは例えばMACアドレスであり、サーバIDは例えばIPアドレスである。
端末情報テーブル25aは、端末装置監視サービスによって移動を監視される端末装置3が追加登録され、無線AP2がリンク速度を検出する端末装置3が追加される都度、制御部20によって更新される。
【0043】
無線通信部27は、無線通信のために電波の送受信を行なうアンテナ27aに接続されており、端末装置3との間で無線通信を行なう通信手段である。無線通信部27は、制御部20からの指示に従ってアンテナ27aを介して、無線AP2を中心とした所定範囲内に存在する端末装置3との接続を確立する。本実施形態1では、無線通信部(検出手段)27は、端末装置3との間でパケットを送受信する際に、端末装置3との間でより安定した無線通信が可能なリンク速度を検出しており、検出したリンク速度によってパケットの送受信を行なう。なお、端末装置3が無線AP2を中心とした所定範囲外へ出た場合、無線AP2は端末装置3からの応答を受けることができない。従って、無線通信部27は、各端末装置3,3…からの応答の有無を判断する応答判断手段として動作し、応答が有った場合にのみ各端末装置3,3…との通信におけるリンク速度を検出することができる。
【0044】
端末装置3は、図2に示すように、制御部30、ROM31、RAM32、操作部33、無線通信を行なうための無線通信部34等を備え、これらのハードウェア各部はそれぞれバス3aを介して相互に接続されている。
制御部30は、CPU又はMPU等で構成され、ROM31に予め記憶してある制御プログラムを適宜RAM32に読み出して実行すると共に、上述したハードウェア各部の動作を制御する。ROM31には、端末装置3の動作に必要な種々の制御プログラムが予め格納されている。RAM32はSRAM又はフラッシュメモリ等で構成されており、制御部30による制御プログラムの実行時に発生する種々のデータを一時的に記憶する。
【0045】
操作部33は、端末装置3を監視対象者が操作するために必要な各種の操作キーを備えている。監視対象者により各操作キーが操作された場合、操作部33は操作された操作キーに対応した制御信号を制御部30へ送出し、制御部30は取得した制御信号に対応した処理を実行する。
無線通信部34は、無線通信のために電波の送受信を行なうアンテナ34aに接続されており、無線AP2との間で無線通信を行なう手段である。無線通信部34は、制御部30からの指示に従ってアンテナ34aを介して、無線AP2との間でパケットの送受信を行なう。本実施形態1では、無線通信部34は、無線AP2から送信されたパケットに対して所定のパケットを返信することによって無線AP2に対して応答を行なう。
【0046】
上述した構成の監視システム100において、無線AP(第2監視装置)2は、予め設定されたポーリング周期で、メモリ部25の端末情報テーブル25aに登録してある各端末装置3に対して無線通信部27からパケットを送信する。無線通信部27は、各端末装置3からの応答のパケットを受信した場合、各端末装置3との間でより安定した無線通信が可能なリンク速度を検出する。また、無線通信部27が各端末装置3におけるリンク速度を検出できた場合、制御部20は、検出されたリンク速度を対応する端末装置3の端末IDと共に、ネットワークインタフェース26からネットワークNを介してサーバ装置(第1監視装置)1へ通知する。これにより、サーバ装置1は各無線AP2が検出する各端末装置3との間で行われた無線通信におけるリンク速度を一括して管理することができる。
【0047】
なお、無線AP2は、端末ID及びリンク速度をサーバ装置1へ通知する場合、SNMP(Simple Network Management Protocol)又はその他のプロトコルを使用することができる。また、上述のポーリング周期は、無線AP2のROM21に予め記憶されており、数10秒〜1分程度の時間とすることができる。本実施形態1では、ポーリング周期は、1つの無線AP2がリンク速度の検出を行なう全ての端末装置3において共通としている。しかし、各端末装置3毎に異なるポーリング周期としてもよく、ユーザが操作部24を介して適宜変更できるようにしてもよい。
【0048】
以下に、本実施形態1の監視システム100における無線AP2によるリンク速度の検出処理についてフローチャートに基づいて説明する。図4は無線AP2によるリンク速度の検出処理の手順を示すフローチャートである。なお、以下の処理は、無線AP2のROM21又はメモリ部25に記憶してある制御プログラムに従って制御部20によって実行される。
【0049】
無線AP2が通常動作を行なっている場合、制御部20は、時計部23によるタイマ処理によってROM21に記憶してあるポーリング周期が経過したか否かを判断しており(S1)、経過していないと判断した場合(S1:NO)、経過するまで通常動作を行なって待機する。ポーリング周期が経過したと判断した場合(S1:YES)、制御部20は、メモリ部25の端末情報テーブル25aに登録されている端末装置3のうちから1つの端末装置3を選択し(S2)、選択した端末装置3にパケットを送信する(S3)。なお、端末情報テーブル25aから1つの端末装置3を選択する場合、AP管理IDが小さい順に選択すればよい。
【0050】
制御部20は、ステップS3でパケットを送信した端末装置3からの応答が有るか否かを判断している(S4)。応答が有ると判断した場合(S4:YES)、即ち、端末装置3からの応答のパケットを受信した場合、制御部20は、パケットを受信した端末装置3との間でのリンク速度を検出し、検出したリンク速度を端末装置3の端末IDと共にネットワークインタフェース26を介してサーバ装置1へ送信する(S5)。応答が無いと判断した場合(S4:NO)、即ち、所定時間が経過しても端末装置3からの応答のパケットを受信しない場合、また、端末装置3へ複数回送信したパケットのいずれに対しても所定時間が経過しても応答のパケットを受信しない場合、制御部20は、ステップS5の処理をスキップする。
【0051】
次に制御部20は、メモリ部25の端末情報テーブル25aに登録してある端末装置3のうちで未処理の端末装置3が有るか否かを判断し(S6)、未処理の端末装置3が有ると判断した場合(S6:YES)、ステップS2へ処理を移行する。具体的には、制御部20は、メモリ部25の端末情報テーブル25aに登録されている端末装置3のうちから未処理の端末装置3を選択し(S2)、選択した端末装置3にパケットを送信する(S3)。また制御部20は、パケットを送信した端末装置3からの応答が有るか否かを判断し(S4)、応答が有れば端末装置3との間でのリンク速度を検出してサーバ装置1へ送信する(S5)。
【0052】
制御部20は、メモリ部25の端末情報テーブル25aに登録してある全ての端末装置3に対して上述したステップS2〜S5の処理を施し、ステップS6で未処理の端末装置3が無いと判断した場合(S6:NO)、ユーザが操作部24を操作することによって無線AP2による上述したような処理の終了が指示されたか否かを判断する(S7)。処理の終了が指示されたと判断した場合(S7:YES)、制御部20は上述した処理を終了する。処理の終了が指示されていないと判断した場合(S7:NO)、制御部20はステップS1へ処理を戻し、ポーリング周期が経過する都度、上述したステップS2〜S7の処理を繰り返す。
【0053】
このように各無線AP2は自身が監視する各端末装置3のリンク速度を検出する都度、検出したリンク速度をサーバ装置1へ通知するので、サーバ装置1は各端末装置3のリンク速度をリアルタイムに監視することができる。また、各無線AP2は応答がなかった端末装置3のリンク速度をサーバ装置1へ通知しないので、サーバ装置1は、無線AP2からリンク速度の通知がない端末装置3に対する無応答時間の計測も行なうことができる。
【0054】
次に、上述したように各無線AP2,2…から各端末装置3,3…のリンク速度を通知されたサーバ装置1による各端末装置3,3…のリンク速度の管理処理について説明する。サーバ装置1の制御部10は、ネットワークNを介して各無線AP2,2…からリンク速度を通知された場合、リンク速度と共に受信した端末IDがHDD15の登録情報テーブル15aに既に登録されているか否かを判断する。該当する端末IDが登録情報テーブル15aに登録されている場合、制御部10は、登録情報テーブル15aから対応する端末装置3の最終リンク速度を読み出し、読み出した最終リンク速度と無線AP2から受信したリンク速度とを比較する。
【0055】
制御部(算出手段)10は、登録情報テーブル15aから読み出した最終リンク速度と無線AP2から受信したリンク速度との差(変化量)を算出し、算出した差が予め設定された移動判定閾値以上であるか否かに基づいて、対応する端末装置3を携帯する監視対象者が移動したか否かを判断する。制御部(判断手段)10は、算出した差が移動判定閾値以上であると判断した場合、即ち、対応する端末装置3を携帯する監視対象者が移動したと判断した場合、登録情報テーブル15aの対応する無移動時間及び無応答時間を0にリセットする。また、制御部10は、登録情報テーブル15aの最終受信時刻を時計部13が示す現在時刻に、最終リンク速度を無線AP2から通知されたリンク速度にそれぞれ更新する。
【0056】
制御部(累計手段)10は、算出した差が移動判定閾値以上ではないと判断した場合、即ち、対応する端末装置3を携帯する監視対象者が移動していないと判断した場合、登録情報テーブル15aの対応する最終受信時刻と時計部13が示す現在時刻との差を算出し、算出した時間を登録情報テーブル15aの対応する無移動時間に加算する。また、制御部10は、登録情報テーブル15aの最終受信時刻を時計部13が示す現在時刻に、最終リンク速度を無線AP2から通知されたリンク速度にそれぞれ更新し、無応答時間を0にリセットする。
【0057】
以上により、サーバ装置1は、無線AP2,2…から各端末装置3,3…のリンク速度を通知される都度、各端末装置3,3…を携帯する監視対象者が移動したか又は移動していないかを判断し、移動していない場合には無移動時間を更新すると共に、各端末装置3,3…の最終受信時刻、最終リンク速度、無応答時間をそれぞれ更新する。従って、制御部10は、各端末装置3,3…が移動したか否かを監視すると共に、移動していない場合には移動していない無移動時間を監視する移動監視手段として動作する。
なお、上述の移動判定閾値は、サーバ装置1のROM11に予め記憶されており、例えば0.2Mbpsとすることができる。また、本実施形態1では、移動判定閾値は、全ての端末装置3において共通としている。しかし、各端末装置3毎に異なる値としてもよく、サーバ装置1の管理者が操作部14を介して適宜変更できるようにしてもよい。
【0058】
以下に、本実施形態1の監視システム100において、サーバ装置1によるリンク速度の管理処理についてフローチャートに基づいて説明する。図5はサーバ装置1によるリンク速度の管理処理の手順を示すフローチャートである。なお、以下の処理は、サーバ装置1のROM11又はHDD15に記憶してある制御プログラムに従って制御部10によって実行される。
【0059】
サーバ装置1が通常動作を行なっている場合、制御部10は、各無線AP2,2…から各端末装置3,3…のリンク速度を受信したか否かを判断している(S11)。リンク速度を受信していないと判断した場合(S11:NO)、制御部10は、リンク速度を受信するまで通常の動作を行なって待機する。リンク速度を受信したと判断した場合(S11:YES)、制御部10は、リンク速度と共に受信した端末IDに該当する端末装置3をHDD15の登録情報テーブル15aから検索し(S12)、該当する端末装置3が登録情報テーブル15aに登録されているか否かを判断する(S13)。
【0060】
該当する端末装置3が登録情報テーブル15aに登録されていないと判断した場合(S13:NO)、制御部10は、ステップS11へ処理を戻し、リンク速度を受信するまで通常の動作を行なって待機する。該当する端末装置3が登録情報テーブル15aに登録されていると判断した場合(S13:YES)、制御部10は、登録情報テーブル15aから対応する端末装置3の最終リンク速度を読み出し(S14)、読み出した最終リンク速度と無線AP2から受信したリンク速度とに基づいて、対応する端末装置3が移動したか否かを判断する(S15)。
【0061】
具体的には、制御部10は、登録情報テーブル15aから読み出した最終リンク速度と無線AP2から受信したリンク速度との差を算出し、算出した差が移動判定閾値以上であるか否かに基づいて、対応する端末装置3が移動したか否かを判断する。対応する端末装置3が移動したと判断した場合(S15:YES)、制御部10は、登録情報テーブル15aの対応する無移動時間を0にリセットし(S16)、ステップS19へ処理を移行する。対応する端末装置3が移動していないと判断した場合(S15:NO)、制御部10は、登録情報テーブル15aから対応する最終受信時刻を読み出し、時計部13が示す現在時刻との差を算出し(S17)、算出した時間を登録情報テーブル15aの対応する無移動時間に加算し(S18)、ステップS19へ処理を移行する。
【0062】
次に制御部10は、登録情報テーブル15aの対応する最終受信時刻を時計部13が示す現在時刻に更新すると共に、最終リンク速度を無線AP2から通知されたリンク速度に更新し(S19)、登録情報テーブル15aの対応する無応答時間を0にリセットする(S20)。次に制御部10は管理者が操作部14を操作することによってサーバ装置1による上述したような処理の終了が指示されたか否かを判断する(S21)。処理の終了が指示されたと判断した場合(S21:YES)、制御部10は上述した処理を終了する。処理の終了が指示されていないと判断した場合(S21:NO)、制御部10は、ステップS11へ処理を戻し、各無線AP2,2…からリンク速度を通知される都度、上述したステップS12〜S21の処理を繰り返す。
【0063】
上述した処理により、サーバ装置1は、各端末装置3,3…のリンク速度を管理すると共に、リンク速度の変化に基づいて各端末装置3,3…が移動したか又は移動していないか、及び移動していない場合には継続して移動していない無移動時間を管理することができる。しかし、各無線AP2,2…は、各端末装置3,3…との間の通信におけるリンク速度を検出できた場合にのみ、検出したリンク速度をサーバ装置1へ通知するので、上述した処理ではサーバ装置1は各端末装置3,3…が無線AP2,2…に対して継続して応答していない時間(無応答時間)を管理することはできない。
よって、上述したように各端末装置3,3…のリンク速度を管理するサーバ装置1による端末装置3,3…の無応答時間の更新処理について以下に説明する。
【0064】
サーバ装置1は、予め設定された無応答時間の更新周期で、HDD15の登録情報テーブル15aに登録してある各端末装置3の無応答時間を更新する。具体的には、制御部(計測手段)10は、時計部13によるタイマ処理によって無応答時間の更新周期が計測される都度、登録情報テーブル15aに登録してある各端末装置3の無応答時間に無応答時間の更新周期を加算する。なお、上述の無応答時間の更新周期は、サーバ装置1のROM11に予め記憶されており、例えば1分程度の時間とすることができる。しかし無応答時間の更新周期はこれに限られるわけではなく、管理者が操作部14を介して適宜変更できるようにしてもよい。
上述の処理により、サーバ装置1は、無線AP2,2…に対して継続して応答していない端末装置3,3…及び各端末装置3,3…の無応答時間を管理することができる。従って、制御部10は、各端末装置3,3…が応答していない無応答時間を監視する応答監視手段として動作する。このようにサーバ装置1によって逐次更新される無応答時間は、図5に示したフローチャートに基づいて説明した処理の実行時において適宜0にリセットされる。
【0065】
以下に、本実施形態1の監視システム100におけるサーバ装置1による無応答時間の更新処理についてフローチャートに基づいて説明する。図6はサーバ装置1による無応答時間の更新処理の手順を示すフローチャートである。なお、以下の処理は、サーバ装置1のROM11又はHDD15に記憶してある制御プログラムに従って制御部10によって実行される。
【0066】
サーバ装置1が通常動作を行なっている場合、制御部10は、時計部13によるタイマ処理によってROM11に記憶してある無応答時間の更新周期が経過したか否かを判断し(S31)、経過していないと判断した場合(S31:NO)、経過するまで通常動作を行なって待機する。無応答時間の更新周期が経過したと判断した場合(S31:YES)、制御部10は、HDD15の登録情報テーブル15aに登録されている端末装置3のうちから1つの端末装置3を選択し(S32)、選択した端末装置3の無応答時間を更新する(S33)。なお、登録情報テーブル15aから1つの端末装置3を選択する場合はサーバ管理IDが小さい順に選択すればよく、無応答時間を更新する場合は登録情報テーブル15aに既に登録されている無応答時間に無応答時間の更新周期を加算する。
【0067】
制御部10は、HDD15の登録情報テーブル15aに登録してある端末装置3のうちで未処理の端末装置3が有るか否かを判断し(S34)、未処理の端末装置3が有ると判断した場合(S34:YES)、ステップS32へ処理を移行する。具体的には、制御部10は、HDD15の登録情報テーブル15aから未処理の端末装置3を選択し(S32)、選択した端末装置3の無応答時間を更新する(S33)。
【0068】
制御部10は、HDD15の登録情報テーブル15aに登録してある全ての端末装置3に対して上述したステップS32,S33の処理を施す。そして、ステップS34で未処理の端末装置3が無いと判断した場合(S34:NO)、制御部10は管理者が操作部14を操作することによってサーバ装置1による上述したような処理の終了が指示されたか否かを判断する(S35)。処理の終了が指示されたと判断した場合(S35:YES)、制御部10は上述した処理を終了する。一方、処理の終了が指示されていないと判断した場合(S35:NO)、制御部10は、ステップS31へ処理を戻し、無応答時間の更新周期が経過する都度、上述したステップS32〜S35の処理を繰り返す。
【0069】
このようにサーバ装置1が、無応答時間の更新周期毎に各端末装置3の無応答時間を更新することにより、各端末装置3が無線AP2に対して継続して応答しない無応答時間をリアルタイムに監視することができる。
【0070】
次に、上述したように各端末装置3,3…の無応答時間及び無移動時間を管理するサーバ装置1による各端末装置3,3…の無応答状態及び無移動状態の監視処理について説明する。サーバ装置1の制御部10は、予め設定された状態監視周期で、HDD15の登録情報テーブル15aに記憶してある各端末装置3,3…の無応答時間及び無移動時間に基づいて、各端末装置3,3…が無応答状態であるか又は無移動状態であるかを監視する。
【0071】
具体的には、制御部(応答判定手段)10は、時計部13によるタイマ処理によって状態監視周期が計測される都度、登録情報テーブル15aに登録してある各端末装置3の無応答時間が予め設定された無応答判定時間(応答判定基準時間)よりも長いか否かに基づいて、対応する端末装置3が無線AP2に対して長時間応答していない無応答状態であるか否かを監視する。また、制御部(移動判定手段)10は、登録情報テーブル15aに登録してある各端末装置3の無移動時間が予め設定された無移動判定時間(移動判定基準時間)よりも長いか否かに基づいて、対応する端末装置3を携帯する監視対象者が長時間移動していない無移動状態であるか否かを監視する。そして、対応する端末装置3が無応答状態又は無移動状態であることを検出した場合、制御部(第1通知手段、第2通知手段)10は、登録情報テーブル(第1通知先記憶手段、第2通知先記憶手段)15aに予め登録してある通知先情報が示す通知先へその旨を通知する。
【0072】
これにより、通知されたユーザ、即ち、無応答状態又は無移動状態である端末装置3を携帯している監視対象者の家族に、監視対象者に連絡することによって安否の確認を行なうように促すことができる。
サーバ装置1が端末装置3の無応答状態又は無移動状態を通知する手段としては、例えば、通知先情報に電話番号が登録されている場合には電話機を用いた音声ガイダンスによる通知、通知先情報に電子メールアドレスが登録されている場合には電子メールを用いたメッセージによる通知等が可能である。また、無応答状態であることを通知する通知先と、無移動状態であることを通知する通知先とに異なる通知先を登録するようにしてもよい。
【0073】
なお、上述の状態監視周期、無応答判定時間及び無移動判定時間は、サーバ装置1のROM11に予め記憶されている。状態監視周期は例えば数10分〜1時間程度の時間とすることができる。具体的には、上述したサーバ装置1による無応答時間の更新処理における無応答時間の更新周期よりも長い時間であればよい。無応答判定時間及び無移動判定時間はそれぞれ、例えば2時間程度及び5時間程度の時間とすることができるが、これらに限られるわけではない。また、本実施形態1では、状態監視周期、無応答判定時間及び無移動判定時間は、全ての端末装置3において共通としている。しかし、各端末装置3毎に異なる値としてもよく、管理者が操作部14を介して適宜変更できるようにしてもよい。更に、無移動判定時間は、例えば昼間用及び夜間用をそれぞれ設定しておき、無移動状態の判定を行なう際に現在時刻を確認して昼間用又は夜間用のいずれかの無移動判定時間を用いるようにした場合、夜間の就寝中の無移動状態を、端末装置3を携帯する監視対象者に異常が発生したことによる無移動状態と判定せず、通知先への無用の通知を防止することができる。
【0074】
以下に、本実施形態1の監視システム100におけるサーバ装置1による各端末装置3,3…の無応答状態及び無移動状態の監視処理についてフローチャートに基づいて説明する。図7はサーバ装置1による状態監視処理の手順を示すフローチャートである。なお、以下の処理は、サーバ装置1のROM11又はHDD15に記憶してある制御プログラムに従って制御部10によって実行される。
【0075】
サーバ装置1が通常動作を行なっている場合、制御部10は、時計部13によるタイマ処理によってROM11に記憶してある状態監視周期が経過したか否かを判断する(S41)。経過していないと判断した場合(S41:NO)、制御部10は経過するまで通常動作を行なって待機する。状態監視周期が経過したと判断した場合(S41:YES)、制御部10は、HDD15の登録情報テーブル15aに登録してある端末装置3のうちから1つの端末装置3を選択し(S42)、選択した端末装置3の無応答時間を登録情報テーブル15aから読み出す(S43)。なお、登録情報テーブル15aから1つの端末装置3を選択する場合はサーバ管理IDが小さい順に選択すればよい。
【0076】
制御部10は、ステップS43で読み出した無応答時間が予めROM11に記憶させてある無応答判定時間よりも長いか否かに基づいて、ステップS42で選択した端末装置3が無応答状態であるか否かを判断する(S44)。無応答状態であると判断した場合(S44:YES)、制御部10は、対応する通知先情報を登録情報テーブル15aから読み出し、読み出した通知先情報が示す通知先へ端末装置3が無応答状態であることを通知し(S45)、ステップS49へ処理を移行する。
【0077】
ステップS42で選択した端末装置3が無応答状態でないと判断した場合(S44:NO)、制御部10は、ステップS42で選択した端末装置3の無移動時間を登録情報テーブル15aから読み出し(S46)、読み出した無移動時間が予めROM11に記憶させてある無移動判定時間よりも長いか否かに基づいて、ステップS42で選択した端末装置3が無移動状態であるか否かを判断する(S47)。無移動状態であると判断した場合(S47:YES)、制御部10は、対応する通知先情報を登録情報テーブル15aから読み出し、読み出した通知先情報が示す通知先へ端末装置3が無移動状態であることを通知し(S48)、ステップS49へ処理を移行する。
【0078】
ステップS42で選択した端末装置3が無移動状態でないと判断した場合(S47:NO)、制御部10は、ステップS49へ処理を移行し、HDD15の登録情報テーブル15aに登録してある端末装置3のうちで未処理の端末装置3が有るか否かを判断する(S49)。未処理の端末装置3が有ると判断した場合(S49:YES)、制御部10はステップS42へ処理を移行する。具体的には、制御部10は、HDD15の登録情報テーブル15aから未処理の端末装置3を選択し(S42)、選択した端末装置3が無応答状態であるか又は無移動状態であるかの判断を行なう。
【0079】
制御部10は、HDD15の登録情報テーブル15aに登録してある全ての端末装置3に対して上述したステップS42〜S48の処理を施す。そして、ステップS49で未処理の端末装置3が無いと判断した場合(S49:NO)、制御部10は管理者が操作部14を操作することによってサーバ装置1による上述したような処理の終了が指示されたか否かを判断する(S50)。処理の終了が指示されたと判断した場合(S50:YES)、制御部10は上述した処理を終了する。一方、処理の終了が指示されていないと判断した場合(S50:NO)、制御部10は、ステップS41へ処理を戻し、状態監視周期が経過する都度、上述したステップS42〜S50の処理を繰り返す。
【0080】
上述した処理により、サーバ装置1は、所定の状態監視周期で各端末装置3,3…が無応答状態となっているか又は無移動状態となっているかを監視すると共に、各端末装置3,3…が無応答状態又は無移動状態となった場合、対応する通知先へその旨を通知することができる。なお、上述した処理によれば、無応答状態又は無移動状態に一旦なった場合、無応答状態又は無移動状態が解消されるまでは状態監視周期毎に通知処理が行なわれることとなる。しかし、例えば、無応答状態又は無移動状態の通知処理を1回のみ行なうようにしてもよく、状態監視周期が複数回経過した場合に1回の通知処理を行なうようにしてもよく、状態監視周期と関係なく所定時間経過毎に1回の通知処理を行なうようにしてもよい。
【0081】
(実施形態2)
以下に、実施形態2における監視システムについて詳述する。なお、本実施形態2の監視システムは、上述した実施形態1の監視システム100と同様の構成によって実現可能であるので、実施形態1のサーバ装置1、無線AP2及び端末装置3により構成されるものとして説明する。
【0082】
上述した実施形態1の監視システム100では、無線AP2が端末装置3との間での無線通信におけるリンク速度を検出し、検出したリンク速度をサーバ装置1が管理すると共に、サーバ装置1が各端末装置3の無応答状態及び無移動状態を監視していた。これに対して本実施形態2の監視システム100では、各無線AP2,2…が、各端末装置3のリンク速度を検出すると共に管理し、各端末装置3の無応答状態及び無移動状態を監視する。更に、本実施形態2の無線AP(第2監視装置)2は、各端末装置3の無応答状態及び無移動状態を検出した場合、その旨をサーバ装置(第1監視装置)1へ通知し、サーバ装置1は、各端末装置3に応じた通知先へ端末装置3が無応答状態又は無移動状態であることを通知する。
【0083】
図8は実施形態2に係る登録情報テーブルの登録内容を示す模式図である。本実施形態2の監視システム100において、サーバ装置1のHDD15には図8(a)に示すような登録情報テーブル15aが記憶されており、無線AP2のメモリ部25には図8(b)に示すような端末情報テーブル25aが記憶されている。図8(a)に示す登録情報テーブル15aには、サーバ管理ID毎に、各端末装置3,3…の端末ID、端末IDが示す端末装置3と通信を行なう無線AP2のAPID、端末IDが示す端末装置3の監視対象者が無応答状態又は無移動状態であることを通知する通知先を示す通知先情報、端末IDが示す端末装置3の監視対象者に関する登録者情報等が対応付けてそれぞれ登録してある。
【0084】
また、図8(b)に示す端末情報テーブル25aには、AP管理ID毎に、各端末装置3,3…の端末ID、端末IDが示す端末装置3の状態を監視するサーバ装置1のサーバID、端末IDが示す端末装置3のリンク速度を最後に検出した最終検出時刻、端末IDが示す端末装置3の最新のリンク速度を示す最終リンク速度、端末IDが示す端末装置3の無移動時間、端末IDが示す端末装置3の無応答時間等が対応付けてそれぞれ登録してある。
【0085】
更に、無線AP2のROM21には、ポーリング周期のみならず、実施形態1の監視システム100ではサーバ装置1のROM11に記憶させてあった移動判定閾値、無応答時間の更新周期、状態監視周期、無応答判定時間及び無移動判定時間も予め記憶させてある。
【0086】
以下に、本実施形態2の監視システム100における無線AP2によるリンク速度の検出処理及び管理処理についてフローチャートに基づいて説明する。図9及び図10は無線AP2によるリンク速度の管理処理の手順を示すフローチャートである。なお、以下の処理は、無線AP2のROM21又はメモリ部25に記憶してある制御プログラムに従って制御部20によって実行される。
【0087】
無線AP2が通常動作を行なっている場合、制御部20は、時計部23によるタイマ処理によって所定のポーリング周期が経過したか否かを判断し(S61)、経過していないと判断した場合(S61:NO)、経過するまで通常動作を行なって待機する。ポーリング周期が経過したと判断した場合(S61:YES)、制御部20は、メモリ部25の端末情報テーブル25aに登録してある端末装置3のうちから1つの端末装置3を選択し(S62)、選択した端末装置3にパケットを送信する(S63)。なお、端末情報テーブル25aから1つの端末装置3を選択する場合はAP管理IDが小さい順に選択すればよい。
【0088】
次に制御部20は、ステップS63でパケットを送信した端末装置3からの応答が有るか否かを判断する(S64)。応答が有ると判断した場合(S64:YES)、即ち、端末装置3からの応答のパケットを受信した場合、制御部20はパケットを受信した端末装置3との間でのリンク速度を検出する(S65)。そして制御部20は、ステップS62で選択した端末装置3の最終リンク速度を端末情報テーブル25aから読み出し(S66)、読み出した最終リンク速度とステップS65で検出したリンク速度とに基づいて、対応する端末装置3が移動したか否かを判断する(S67)。
【0089】
具体的には、制御部20は、端末情報テーブル25aから読み出した最終リンク速度と検出したリンク速度との差を算出し、算出した差が移動判定閾値以上であるか否かに基づいて、対応する端末装置3が移動したか否かを判断する。対応する端末装置3が移動したと判断した場合(S67:YES)、制御部20は、端末情報テーブル25aの対応する無移動時間を0にリセットし(S68)、ステップS71へ処理を移行する。対応する端末装置3が移動していないと判断した場合(S67:NO)、制御部20は、端末情報テーブル25aから対応する最終検出時刻を読み出し、時計部23が示す現在時刻との差を算出し(S69)、算出した時間を端末情報テーブル25aの対応する無移動時間に加算し(S70)、ステップS71へ処理を移行する。
【0090】
一方、ステップS64で応答が無いと判断した場合(S64:NO)、即ち、所定時間が経過しても端末装置3からの応答のパケットを受信しない場合、また、端末装置3へ複数回送信したパケットのいずれに対しても所定時間が経過しても応答のパケットを受信しない場合、制御部20はステップS73へ処理を移行する。
【0091】
次に制御部20は、端末情報テーブル25aの対応する最終検出時刻を時計部23が示す現在時刻に更新すると共に、最終リンク速度をステップS65で検出したリンク速度に更新し(S71)、端末情報テーブル25aの対応する無応答時間を0にリセットする(S72)。
制御部20は、メモリ部25の端末情報テーブル25aに登録してある端末装置3のうちで未処理の端末装置3が有るか否かを判断し(S73)、未処理の端末装置3が有ると判断した場合(S73:YES)、ステップS62へ処理を移行する。具体的には、制御部20は、メモリ部25の端末情報テーブル25aから未処理の端末装置3を選択し(S62)、選択した端末装置3にパケットを送信する(S63)。また制御部20は、パケットを送信した端末装置3からの応答が有るか否かを判断し(S64)、応答が有れば端末情報テーブル25aの登録内容を適宜更新する。
【0092】
ステップS73で未処理の端末装置3が無いと判断した場合(S73:NO)、制御部20はユーザが操作部24を操作することによって無線AP2による上述したような処理の終了が指示されたか否かを判断する(S74)。処理の終了が指示されたと判断した場合(S74:YES)、制御部20は上述した処理を終了する。一方、処理の終了が指示されていないと判断した場合(S74:NO)、制御部10は、ステップS61へ処理を戻し、ポーリング周期が経過する都度、上述したステップS62〜S74の処理を繰り返す。
【0093】
このように各無線AP2は端末装置3のリンク速度を検出する都度、端末情報テーブル25aの登録内容を更新するので、各端末装置3のリンク速度をリアルタイムに監視することができる。また、各無線AP2は、端末情報テーブル25aの登録内容に基づいて各端末装置3,3…を携帯する監視対象者が継続して移動していない無移動時間、各各端末装置3,3…が継続して応答していない無応答時間もそれぞれ監視することができる。
【0094】
なお、本実施形態2の監視システム100では、無線AP2が管理する端末情報テーブル25aに登録されている各端末装置3の無応答時間の更新処理も無線AP2が行なうが、この無応答時間の更新処理は、上述の実施形態1において図6を参照して説明したサーバ装置1による無応答時間の更新処理と同一であるので説明を省略する。
【0095】
次に、上述したように各端末装置3,3…の無応答時間及び無移動時間を管理する無線AP2による各端末装置3,3…の無応答状態及び無移動状態の監視処理について説明する。なお、本実施形態2において無線AP2が行なう監視処理は、上述した実施形態1のサーバ装置1による監視処理と同様である。但し、本実施形態2では、無線AP2が、各端末装置3の無応答状態及び無移動状態を検出した場合、その旨をサーバ装置1へ通知し、サーバ装置1が、各端末装置3に応じた通知先へ端末装置3が無応答状態又は無移動状態であることを通知する。
【0096】
以下に、本実施形態2の監視システム100における無線AP2による各端末装置3,3…の無応答状態及び無移動状態の監視処理についてフローチャートに基づいて説明する。図11は無線AP2による状態監視処理の手順を示すフローチャートである。なお、以下の処理は、無線AP2の制御部20及びメモリ部25に記憶してある制御プログラムに従って制御部20によって実行される。
【0097】
無線AP2が通常動作を行なっている場合、制御部20は、時計部23によるタイマ処理によって所定の状態監視周期が経過したか否かを判断し(S81)、経過していないと判断した場合(S81:NO)、経過するまで通常動作を行なって待機する。状態監視周期が経過したと判断した場合(S81:YES)、制御部20は、メモリ部25の端末情報テーブル25aに登録してある端末装置3のうちから1つの端末装置3を選択し(S82)、選択した端末装置3の無応答時間を端末情報テーブル25aから読み出す(S83)。なお、端末情報テーブル25aから1つの端末装置3を選択する場合はAP管理IDが小さい順に選択すればよい。
【0098】
制御部20は、ステップS83で読み出した無応答時間が予めROM21に記憶させてある無応答判定時間よりも長いか否かに基づいて、ステップS82で選択した端末装置3が無応答状態であるか否かを判断する(S84)。無応答状態であると判断した場合(S84:YES)、制御部20は、ステップS82で選択した端末装置3の端末IDと共にこの端末装置3が無応答状態であることをサーバ装置1へ通知し(S85)、ステップS89へ処理を移行する。
【0099】
ステップS84で無応答状態でないと判断した場合(S84:NO)、制御部20は、ステップS82で選択した端末装置3の無移動時間を端末情報テーブル25aから読み出し(S86)、読み出した無移動時間が予めROM21に記憶させてある無移動判定時間よりも長いか否かに基づいて、ステップS82で選択した端末装置3が無移動状態であるか否かを判断する(S87)。無移動状態であると判断した場合(S87:YES)、制御部20は、ステップS82で選択した端末装置3の端末IDと共にこの端末装置3が無移動状態であることをサーバ装置1へ通知する(S88)。
【0100】
ステップS87で無移動状態でないと判断した場合(S87:NO)、制御部20は、ステップS89へ処理を移行し、メモリ部25の端末情報テーブル25aに登録してある端末装置3のうちで未処理の端末装置3が有るか否かを判断する(S89)。未処理の端末装置3が有ると判断した場合(S89:YES)、制御部20はステップS82へ処理を移行する。具体的には、制御部20は、メモリ部25の端末情報テーブル25aから未処理の端末装置3を選択し(S82)、選択した端末装置3が無応答状態であるか無移動状態であるかの判断を行なう。
【0101】
制御部20は、メモリ部25の端末情報テーブル25aに登録してある全ての端末装置3に対して上述したステップS82〜S88の処理を施す。ステップS89で未処理の端末装置3が無いと判断した場合(S89:NO)、制御部20はユーザが操作部24を操作することによって無線AP2による上述したような処理の終了が指示されたか否かを判断する(S90)。処理の終了が指示されたと判断した場合(S90:YES)、制御部20は上述した処理を終了する。処理の終了が指示されていないと判断した場合(S90:NO)、制御部20は、ステップS81へ処理を戻し、状態監視周期が経過する都度、上述したステップS82〜S90の処理を繰り返す。
【0102】
以下に、上述した処理により無線AP2から各端末装置3,3…の無応答状態及び無移動状態を通知されたサーバ装置1による通知処理についてフローチャートに基づいて説明する。図12はサーバ装置1による通知処理の手順を示すフローチャートである。なお、以下の処理は、サーバ装置1の制御部10及びHDD15に記憶してある制御プログラムに従って制御部10によって実行される。
【0103】
サーバ装置1は無線AP2からの通知の受信待ち状態となっている。即ち、制御部10はいずれかの無線AP2からの無応答状態の通知を受信したか否かを判断している(S91)。無応答状態の通知を受信した場合(S91:YES)、制御部10は、無線AP2から受信した端末IDに対応する通知先情報をHDD15の登録情報テーブル15aから読み出し、読み出した通知先情報が示す通知先へ端末装置3が無応答状態であることを通知し(S92)、ステップS93へ処理を移行する。
【0104】
無線AP2から無応答状態の通知を受信していないと判断した場合(S91:NO)、制御部20は無移動状態の通知を受信したか否かを判断する(S93)。無移動状態の通知を受信した場合(S93:YES)、制御部10は、無線AP2から受信した端末IDに対応する通知先情報をHDD15の登録情報テーブル15aから読み出し、読み出した通知先情報が示す通知先へ端末装置3が無移動状態であることを通知し(S94)、ステップS95へ処理を移行する。
【0105】
無線AP2から無移動状態の通知を受信していないと判断した場合(S93:NO)、制御部20はステップS95へ処理を移行し、管理者が操作部14を操作することによってサーバ装置1による上述したような処理の終了が指示されたか否かを判断する(S95)。処理の終了が指示されたと判断した場合(S95:YES)、制御部10は上述した処理を終了する。処理の終了が指示されていないと判断した場合(S95:NO)、制御部10は、ステップS91へ処理を戻して再度無線AP2からの通知の受信待ち状態となる。
【0106】
上述した処理により、各無線AP2,2…は、所定の状態監視周期で各端末装置3,3…が無応答状態となっているか又は無移動状態となっているかを監視すると共に、各端末装置3,3…が無応答状態又は無移動状態となった場合、サーバ装置1によって対応する通知先へその旨を通知することができる。
以上のような実施形態2によれば、実施形態1では各端末装置3,3…の無移動状態及び無応答状態を監視していたサーバ装置1による処理を各無線AP2,2…に分散することができ、サーバ装置1における処理負担を軽減することができる。
【0107】
(実施形態3)
以下に、実施形態3における監視システムについて詳述する。なお、本実施形態3の監視システムは、上述した実施形態1の監視システム100と同様の構成によって実現可能であるので、実施形態1のサーバ装置1、無線AP2及び端末装置3により構成されるものとして説明する。
【0108】
上述した実施形態1の監視システム100では、各端末装置3の無移動時間が予め設定された無移動判定時間よりも短い状態、即ち無移動状態ではない状態で、この端末装置3を携帯する監視対象者が例えば外出することにより無線AP2との間で無応答となり、更にこの監視対象者が帰宅することにより無線AP2への応答を再開した場合、この端末装置3の無応答時間は0にリセットされる。しかし、この監視対象者が外出する前のリンク速度(最終リンク速度)と帰宅後のリンク速度との差が移動判定閾値よりも小さい場合、この端末装置3の無移動時間が0にリセットされず、監視対象者が外出したことによる無応答時間が無移動時間に加算されることになる。このため、監視対象者が移動しているにも拘わらず無移動時間が継続して加算されることになるので誤動作を生じる可能性がある。
【0109】
そこで本実施形態3では、各端末装置3の無応答時間を0にリセットする際に無移動時間も0にリセットする。このような処理は、上述したように監視対象者が外出等することによってある程度長い無応答時間が継続された場合に有効である。従って、サーバ装置1は、無線AP2から通知された各端末装置3のリンク速度に基づいて、各端末装置3が移動していないと判断した場合に、この端末装置3の無応答時間が予め設定された最小無応答時間よりも長い場合にはこの端末装置3の無移動時間を0にリセットし、短い場合にはこの端末装置3の無移動時間を更新する。
【0110】
具体的には、制御部10は、登録情報テーブル15aから読み出した最終リンク速度と無線AP2から通知されたリンク速度との差が移動判定閾値よりも小さいと判断した場合、即ち、対応する端末装置3を携帯する監視対象者が移動していないと判断した場合、この端末装置3の無応答時間を登録情報テーブル15aから読み出し、予め設定された最小無応答時間よりも長いか否かを判断する。制御部10は、無応答時間が最小無応答時間よりも長いと判断した場合、登録情報テーブル15aの対応する無移動時間を0にリセットし、最小無応答時間よりも短いと判断した場合、登録情報テーブル15aの対応する最終受信時刻と時計部13が示す現在時刻との差を無移動時間に加算する。
【0111】
なお、上述の最小無応答時間はサーバ装置1のROM11に予め記憶させておけばよいが、無線AP2が各端末装置3へパケットを送信する際のポーリング周期よりも長い必要がある。無線AP2と端末装置3との通信におけるパケットロスの発生も考慮すると、ポーリング周期が1分程度であれば最小無応答時間は例えば5分程度とすることができるが、これに限られるわけではない。
【0112】
以下に、本実施形態3の監視システム100におけるサーバ装置1によるリンク速度の管理処理についてフローチャートに基づいて説明する。なお、本実施形態3の監視システム100では、無線AP2が各端末装置3との通信におけるリンク速度を検出する処理及び検出したリンク速度をサーバ装置1へ通知する処理は、上述の実施形態1において図4を参照して説明した処理と同一であるので説明を省略する。
図13はサーバ装置1によるリンク速度の管理処理の手順を示すフローチャートである。なお、以下の処理は、サーバ装置1のROM11又はHDD15に記憶してある制御プログラムに従って制御部10によって実行される。
【0113】
サーバ装置1の制御部10は、各無線AP2,2…から各端末装置3,3…のリンク速度を受信したか否かを判断しており(S111)、リンク速度を受信していないと判断した場合(S111:NO)、リンク速度を受信するまで通常の動作を行なって待機する。リンク速度を受信したと判断した場合(S111:YES)、制御部10は、リンク速度と共に受信した端末IDに該当する端末装置3をHDD15の登録情報テーブル15aから検索し(S112)、該当する端末装置3が登録情報テーブル15aに登録されているか否かを判断する(S113)。
【0114】
該当する端末装置3が登録情報テーブル15aに登録されていないと判断した場合(S113:NO)、制御部10は、ステップS111へ処理を戻し、リンク速度を受信するまで通常の動作を行なって待機する。一方、該当する端末装置3が登録情報テーブル15aに登録されていると判断した場合(S113:YES)、制御部10は、登録情報テーブル15aから対応する端末装置3の最終リンク速度を読み出し(S114)、読み出した最終リンク速度と無線AP2から受信したリンク速度とに基づいて、対応する端末装置3が移動したか否かを判断する(S115)。
【0115】
対応する端末装置3が移動したと判断した場合(S115:YES)、制御部10は、登録情報テーブル15aの対応する無移動時間を0にリセットし(S116)、ステップS120へ処理を移行する。対応する端末装置3が移動していないと判断した場合(S115:NO)、制御部10は、登録情報テーブル15aから対応する無応答時間を読み出し、ROM11に記憶してある最小無応答時間よりも長いか否かを判断する(S117)。登録情報テーブル15aから読み出した無応答時間が最小無応答時間よりも長いと判断した場合(S117:YES)、制御部10は、登録情報テーブル15aの対応する無移動時間を0にリセットし(S116)、ステップS120へ処理を移行する。
【0116】
登録情報テーブル15aから読み出した無応答時間が最小無応答時間よりも短いと判断した場合(S117:NO)、制御部10は、登録情報テーブル15aから対応する最終受信時刻を読み出し、時計部13が示す現在時刻との差を算出し(S118)、算出した時間を登録情報テーブル15aの対応する無移動時間に加算し(S119)、ステップS120へ処理を移行する。
【0117】
そして制御部10は、登録情報テーブル15aの対応する最終受信時刻を時計部13が示す現在時刻に更新すると共に、最終リンク速度を無線AP2から通知されたリンク速度に更新し(S120)、登録情報テーブル15aの対応する無応答時間を0にリセットする(S121)。制御部10は、管理者が操作部14を操作することによってサーバ装置1による上述したような処理の終了が指示されたか否かを判断する(S122)。処理の終了が指示されたと判断した場合(S122:YES)、制御部10は上述した処理を終了する。一方、処理の終了が指示されていないと判断した場合(S122:NO)、制御部10は、ステップS111へ処理を戻し、各無線AP2,2…からリンク速度を通知される都度、上述したステップS112〜S122の処理を繰り返す。
【0118】
なお、本実施形態3の監視システム100では、登録情報テーブル15aに記憶されている各端末装置3の無応答時間の更新処理、登録情報テーブル15aの登録内容に基づく各端末装置3,3…の無応答状態及び無移動状態の監視処理をサーバ装置1が行なう。但し、これらの処理は上述の実施形態1において説明した処理と同一であるので説明を省略する。
【0119】
(実施形態4)
以下に、実施形態4における監視システムについて詳述する。なお、本実施形態4の監視システムは、上述した実施形態1の監視システム100と同様の構成によって実現可能であるので、実施形態1のサーバ装置1、無線AP2及び端末装置3により構成されるものとして説明する。
【0120】
上述した実施形態1の監視システム100では、各端末装置3の無応答状態又は無移動状態を予め登録情報テーブル15aに登録してある1つの通知先情報が示す通知先へ通知する構成であった。これに対して本実施形態4では、各端末装置3に複数の通知先情報の登録が可能であると共に、各通知先情報に応じた頻度での通知を可能とする。
【0121】
具体的には、登録情報テーブル15aの通知先情報の欄に、複数の通知先情報と、各通知先情報への通知頻度とを対応付けてそれぞれ登録しておく。通知先情報としては、固定電話機及び携帯電話機等の電話番号、電子メールアドレス、サーバ装置1がファクシミリ通信機能を有する場合にはファクシミリ番号等を用いることができる。また、各通知先への通知頻度は、サーバ装置1が監視処理を行なう際の状態監視周期毎、状態監視周期が複数回経過する毎、所定時間が経過する毎等とすることができる。なお、通知先情報が電話番号である場合には、上述した頻度のほか、通知先の電話機と一度接続した後は通知処理を行なわないようにしてもよい。
【0122】
このように、各端末装置3が無応答状態又は無移動状態となった場合にその旨を通知する通知先を複数登録しておくことにより、各端末装置3を携帯する監視対象者の家族は複数登録してある通知先のいずれかによって通知を受けることができる。また、各通知先の装置によって異なる通知頻度を設定しておくことにより、不要な通知処理を解消できると共に、通知処理による各通知先の家族への負担を軽減することができる。また、各端末装置3が無応答状態であることを通知する通知先と、各端末装置3が無移動状態であることを通知する通知先とにそれぞれ異なる通知先を複数登録できるようにしてもよい。
なお、その他の処理については上述した実施形態1と同様であるので説明を省略する。
【0123】
(実施形態5)
以下に、実施形態5における監視システムについて詳述する。なお、本実施形態5の監視システムは、上述した実施形態1の監視システム100と同様の構成によって実現可能であるので、実施形態1のサーバ装置1、無線AP2及び端末装置3により構成されるものとして説明する。
【0124】
上述した実施形態1の監視システム100では、登録情報テーブル15aに逐次更新される無移動時間に基づき各端末装置3が無移動状態であるか否かを判断するための無移動判定時間をシステム全体で共有の値としており、この値は各端末装置3で異なる値としてもよく、監視対象者毎に変更できるようにしてもよいものとしていた。また、例えば昼間用及び夜間用の2つの無移動判定時間を設定しておき、無移動状態の判定を行なう際に現在時刻を確認して昼間用又は夜間用のいずれかを用いるようにしてもよいとしていた。
【0125】
本実施形態5の監視システム100では、サーバ装置1が、登録情報テーブル15aに逐次更新される各端末装置3の無移動時間をログ情報として収集し、収集したログ情報に基づいて各端末装置3に適した無移動判定時間の設定を逐次更新する。なお、本実施形態5の監視システム100では、1日を24に区分し、各時間区分毎に無移動判定時間を算出して設定する。これにより、各端末装置3を携帯する監視対象者の生活パターンに適応した無移動状態の監視が可能となる。
また、本実施形態5では、サンプル期間として10日間の各時間区分毎の無移動時間をHDD15に蓄積してゆき、それぞれの時間区分毎の無移動判定時間を算出する。なお、サンプル期間は10日間には限られず、また、1日を区分する区分数も24には限られない。
【0126】
図14は無移動判定時間の算出処理に用いるデータベースの登録内容を示す模式図である。図14(a)に示すデータベースにはログ情報(サンプルデータ)が、図14(b)に示すデータベースにはサーバ装置1によって算出された無移動判定時間がそれぞれ蓄積される。本実施形態5のサーバ装置1は、HDD15の所定領域に各端末装置3,3…毎に図14に示す各データベースを設けている。図14(a)に示すデータベースは2次元配列(10×24)で構成されており、各行にはそれぞれ1日分の無移動時間が登録され、各列にはそれぞれ各日の各時間区分の無移動時間が登録される。即ち、図14(a)に示すデータベース中の領域SD[0][0]にはサンプル期間の1日目の0時から1時までの時間区分における無移動時間が登録される。
【0127】
サーバ装置1の制御部10は、所定の算出周期(例えば1分)毎に登録情報テーブル15aに登録してある各端末装置3,3…の無移動時間を監視し、無移動時間が加算される都度、図14(a)に示すデータベースの対応する領域を更新する。これにより、図14(a)に示すデータベースにはサンプル期間の各日の各時間区分において最長の無移動時間が登録される。なお、所定の算出周期はサーバ装置1のROM11に予め記憶されている。この算出周期も各端末装置3毎に異なる値としてもよく、管理者が操作部14を介して適宜変更できるようにしてもよい。
【0128】
図14(a)に示すデータベースにおいて、サンプル期間の全ての時間区分における最長の無移動時間が登録された場合、サーバ装置1の制御部(移動判定基準時間算出手段)10は、登録されたサンプルデータの各値に基づいて、各時間区分における無移動判定時間を算出する。図14(b)に示すデータベースは24個の無移動判定時間を格納するための1次元配列で構成されている。制御部10は、10日分のサンプルデータにおいて、それぞれの日の同一時間区分における無移動時間(ここでは10個の無移動時間)のうちの最長の無移動時間をこの時間区分における無移動判定時間として図14(b)に示すデータベースの対応する領域に登録する。
【0129】
なお、本実施形態5では、サンプル期間としての10日間のサンプルデータがデータベースの領域SD[0][0]〜SD[9][23]に登録された場合、次の日のサンプルデータは、領域SD[0][0]〜SD[0][23]に上書きされる。また、各日の23時から24時までの時間区分におけるサンプルデータの登録が完了した時点で、データベースの領域SD[0][0]〜SD[9][23]に登録された各サンプルデータに基づいて無移動判定時間を新たに算出する。これにより、最新の10日間のサンプルデータに基づいて無移動判定時間を設定することができるので、例えば、季節に応じて変化する各監視対象者の生活リズムにも適応した無移動状態の判定処理を行なうことができる。
【0130】
以下に、本実施形態5の監視システム100において、サーバ装置1による無移動時間の収集処理及び無移動判定時間の算出処理についてフローチャートに基づいて説明する。図15及び図16はサーバ装置1による無移動時間の収集処理の手順を示すフローチャートである。なお、以下の処理は、サーバ装置1のROM11又はHDD15に記憶してある制御プログラムに従って制御部10によって実行される。また、以下では、説明の簡略化のため1つの端末装置3に対する無移動判定時間の算出処理のみを説明するが、以下の処理を各端末装置3,3…毎に行なうことによって、各端末装置3,3…を携帯する監視対象者の生活リズムに応じた無移動判定時間を設定することができる。
【0131】
以下では、サンプルデータにおいて何日目のデータが処理中であるかを示す変数にiを、サンプルデータにおいて何時の時間区分のデータが処理中であるかを示す変数にjをそれぞれ用い、変数i,jをRAM12又はHDD15に設定する。従って、i日目のj時間区分のサンプルデータはSD[i][j]で示される。また、データが処理中である日の次の日を示す変数にnext_iを用いると共に、時計部13が示す現在時刻(実時間)をRT(hh:mm)、現在時刻の時間をRT(hh)、現在時刻の分をRT(mm)でそれぞれ示す。これらの各値もRAM12又はHDD15に設定される。更に、最初の10日間のサンプルデータの収集中であるか否かを示すフラグflagがRAM12又はHDD15の所定領域に設定され、最初の10日間のサンプルデータの収集中にはフラグflagをオフに、最初の10日間のサンプルデータの収集後にはフラグflagをオンにそれぞれ設定する。
【0132】
サーバ装置1が各端末装置3における無移動時間の収集を開始する場合、制御部10はまず、変数i,j,next_iを0に設定してRAM12(又はHDD15)に記憶させると共に、RAM12(又はHDD15)に設定したフラグflagをオフに設定する(S141)。制御部10は、時計部13によるタイマ処理によってROM11に記憶してある算出周期(本実施形態5では1分)が経過したか否かを判断し(S142)、経過していないと判断した場合(S142:NO)、経過するまで通常動作を行なって待機する。
【0133】
所定の算出周期が経過したと判断した場合(S142:YES)、制御部10は時計部13が示す現在時刻RT(hh:mm)を取得する(S143)。次に制御部10は、RAM12に記憶してある変数i,next_iを読み出し、next_i=iであるか否かを判断する(S144)。next_i=iであると判断した場合(S144:YES)、制御部10は、ステップS143で取得した現在時刻RT(hh:mm)が23:59であるか否かを判断する(S145)。現在時刻RT(hh:mm)が23:59でないと判断した場合(S145:NO)、即ちサンプル期間の各日において日付が変わっていない場合、制御部10は、ステップS154へ処理を移行する。一方、現在時刻RT(hh:mm)が23:59であると判断した場合(S145:YES)、即ちサンプル期間の各日において日付が変わる直前である場合、制御部10は、RAM12に記憶してある変数next_iの値をi+1の値に更新し(S146)、ステップS154へ処理を移行する。
【0134】
ステップS144でnext_i=iでないと判断した場合(S144:NO)、即ち現在時刻が23:59を経過してステップS146で変数next_iの値が更新された場合、制御部10はRAM12のフラグflagがオフであるか否かを判断する(S147)。フラグflagがオフであると判断した場合(S147:YES)、即ち最初の10日間のサンプルデータの収集中である場合、制御部10は、RAM12から変数next_iを読み出し、next_i=10であるか否かを判断する(S148)。next_i=10であると判断した場合(S148:YES)、即ち10日間のサンプルデータの収集が完了した場合、制御部10は、無移動判定時間の算出処理を実行する(S150)。また、制御部10は、無移動判定時間の算出処理の実行後、RAM12のフラグflagをオンに設定すると共に、変数iを0にリセットし(S151)、ステップS154へ処理を移行する。なお、無移動判定時間の算出処理の詳細については後述する。
【0135】
next_i=10でないと判断した場合(S148:NO)、即ち10日間のサンプルデータの収集がまだ完了していない場合、制御部10は、RAM12の変数iを変数next_iの値に更新し(S149)、ステップS154へ処理を移行する。
ステップS147でフラグflagがオフでないと判断した場合(S147:NO)、即ち最初の10日間のサンプルデータの収集が完了した後である場合、制御部10は、無移動判定時間の算出処理を実行する(S152)。また、制御部10は、無移動判定時間の算出処理の実行後、RAM12の変数iを変数next_iの値に更新し(S153)、ステップS154へ処理を移行する。
【0136】
次に制御部10は、RAM12の変数jをステップS143で取得した現在時刻の時間RT(hh)に更新し(S154)、HDD15aの登録情報テーブル15aから対応する端末装置3の無移動時間を読み出す(S155)。そして制御部10は、ステップS143で取得した現在時刻の分RT(mm)が0であるか否かを判断する(S156)。分RT(mm)が0であると判断した場合(S156:YES)、即ち図14(a)に示すデータベースにおいて更新すべき時間区分が変更された場合、制御部10は、サンプルデータ中の領域SD[i][j]にステップS155で読み出した無移動時間を記憶させ(S157)、ステップS160へ処理を移行する。
【0137】
ステップS143で取得した現在時刻の分RT(mm)が0でないと判断した場合(S156:NO)、即ち図14(a)に示すデータベースにおいて更新すべき時間区分がまだ変更されない場合、制御部10は、ステップS155で読み出した無移動時間が、サンプルデータ中の領域SD[i][j]に既に登録されている値よりも大きいか否かを判断する(S158)。読み出した無移動時間が領域SD[i][j]の値よりも大きいと判断した場合(S158:YES)、制御部10は、領域SD[i][j]の値をステップS155で読み出した無移動時間に更新し(S159)、ステップS160へ処理を移行する。一方、読み出した無移動時間が領域SD[i][j]の値よりも大きくないと判断した場合(S158:NO)、制御部10はステップS159の処理をスキップしてステップS160へ処理を移行する。
【0138】
そして制御部10は、管理者が操作部14を操作することによってサーバ装置1による上述したような処理の終了が指示されたか否かを判断する(S160)。処理の終了が指示されたと判断した場合(S160:YES)、制御部10は上述した処理を終了する。一方、処理の終了が指示されていないと判断した場合(S160:NO)、制御部10は、ステップS142へ処理を戻し、所定の算出周期が経過する都度、上述したステップS143〜S160の処理を繰り返す。
【0139】
以下に、上述したサーバ装置1による無移動時間の収集処理における無移動判定時間の算出処理、具体的には図15で示した処理中のステップS150及びS152の処理についてフローチャートに基づいて説明する。図17はサーバ装置1による無移動判定時間の算出処理の手順を示すフローチャートである。なお、以下の処理は、サーバ装置1のROM11又はHDD15に記憶してある制御プログラムに従って制御部10によって実行される。
【0140】
以下では、10日間分のサンプルデータにおいて何日目のデータが処理中であるかを示す変数にaを、各日の何時の時間区分のデータが処理中であるかを示す変数にbをそれぞれ用い、変数a,bをRAM12(又はHDD15)に設定する。従って、a日目のb時間区分のサンプルデータはSD[a][b]で示され、算出されたb時間区分における無移動判定時間はTO[b]で示される。
【0141】
サーバ装置1が、HDD15のデータベースに蓄積されたサンプルデータに基づいて各時間区分に対応した無移動判定時間を算出する場合、制御部10は、変数a,bを0に初期設定してRAM12に記憶させる(S171)。制御部10は、サンプルデータ中の領域SD[a][b]の値を読み出し、図14(b)に示すデータベースの領域TO[b]に記憶させる(S172)。制御部10は、RAM12の変数aに1を加算し(S173)、変数aが10よりも小さいか否かを判断する(S174)。10よりも小さいと判断した場合(S174:YES)、制御部10は領域TO[b]の値が領域SD[a][b]の値以上であるか否かを判断する(S175)。
【0142】
領域TO[b]の値が領域SD[a][b]の値以上であると判断した場合(S175:YES)、制御部10はステップS173へ処理を戻す。一方、領域TO[b]の値が領域SD[a][b]の値以上でないと判断した場合(S175:NO)、制御部10は、領域SD[a][b]の値を領域TO[b]の値に更新し(S176)、ステップS173へ処理を戻し、変数aが10以上となるまでステップS173〜S176の処理を繰り返す。
ステップS174で変数aが10以上であると判断した場合(S174:NO)、即ち、変数bで示す時間区分において、各サンプルデータのうちの最長の無移動時間が無移動判定時間として領域TO[b]に設定された場合、制御部10は、RAM12の変数aを0にリセットし、変数bに1を加算する(S177)。
【0143】
次に制御部10は変数bが24よりも小さいか否かを判断する(S178)。24以上であると判断した場合(S178:NO)、制御部10は、ステップS172へ処理を戻し、ステップS177で加算された変数bで示す時間区分における無移動判定時間の設定処理を開始する。また、変数bが24よりも小さいと判断した場合(S178:YES)、即ち、全ての時間区分における無移動判定時間の設定処理が完了した場合、制御部10は上述した処理を終了する。
これにより、図14(a)に示すデータベースに逐次収集される最新の10日間のサンプルデータに基づいて、1日を24に区分した各時間区分における各監視対象者の生活リズムに応じた無移動判定時間を設定することができる。従って、サーバ装置1は、各端末装置1が無移動状態であるか否かを判定する際に、現在時刻に応じた無移動判定時間に基づく判定処理を行なうことができる。
【0144】
上述した実施形態1〜5では、無線AP2の設置場所については言及しなかった。しかし例えば、室内においてドアから最も離れた箇所に無線AP2を設置し、室内の端末装置3と無線AP2との通信において最も遅いリンク速度を予め算出しておいた場合には、最も遅いリンク速度と無線AP2が検出した端末装置3のリンク速度とに基づいて、この端末装置3を携帯する監視対象者が室内から退出したか否かを判断することができる。なお、端末装置3を携帯する監視対象者が無線AP2を設置した部屋から退出した場合には、無線AP2から送出される電波が部屋のドア及び壁で弱められるのでリンク速度が遅くなる。従って、リンク速度の変化によって、無線AP2が設置された部屋から監視対象者が退出したことを監視することもできる。
【0145】
上述した実施形態1〜5では、無線AP2を各家庭に1つ設置し、端末装置3,3…を各家庭の監視対象者(高齢者又は心身障害者)に携帯させ、端末装置3,3…を携帯する監視対象者の移動を監視する構成について説明した。しかし、このような構成に限られず、本発明の監視システム100は、ある程度の範囲内に存在するはずの生物又は物品の移動の監視に適用することができる。例えば、室内で飼われているペットに端末装置3を装着させることによりペットの移動を監視した場合には、飼い主が留守中にペットの安否を把握することができる。また、自転車、バイク、自動車等の通常の置場(駐輪場、駐車場等)からの盗難を監視することもできる。
【0146】
また、病院に入院中の患者に端末装置3を携帯させると共に各病室に無線AP2を設置した場合には各患者の移動を監視することもできる。なお、各病室の大きさに応じて無線AP2の設置個数を増加させてもよい。この場合、各病室における各患者の居場所も把握することができる。また、1つの家の複数の部屋にそれぞれ無線AP2,2…を設置した場合には、端末装置3を携帯する監視対象者がどの部屋にいるのかを監視することもできる。
【0147】
端末装置3,3…は、自身の電池の残量がなくなった場合に動作を停止する。従って、端末装置3,3…に電池の残量を検出する検出回路を設け、電池の残量が所定量以下となった場合に無線AP2を介してサーバ装置1へ通知するように構成してもよい。この場合、サーバ装置1が、端末装置3,3…を携帯する監視対象者の家族に、端末装置3,3…の電池の残量が少ないことを通知することにより、端末装置3,3…を携帯する監視対象者自身が電池の交換又は充電池の充電を忘れている場合であっても、家族によって電池の交換又は充電池の充電を促すことができる。従って、端末装置3,3…が、電池の残量がないために無線AP2に対して無応答状態となることを回避できると共に、電池の残量がないことによる無応答状態に基づく無応答状態の通知処理を防止することができる。
【0148】
(付記1)
通信装置との間で無線通信が可能な監視装置が、前記通信装置との間で相互間の距離に応じてリンク速度が変化する無線通信を行なうことにより前記通信装置の移動状態を監視する監視システムにおいて、
前記監視装置は、
所定時間間隔で前記通信装置と無線通信を行なう通信手段と、
該通信手段が行なう無線通信に対して前記通信装置からの応答の有無を判断する応答判断手段と、
該応答判断手段によって応答が有ると判断した場合、前記通信装置と行なう無線通信の際のリンク速度を順次検出する検出手段と、
該検出手段が検出したリンク速度の変化量を算出する算出手段と、
該算出手段が算出した変化量に基づいて、前記通信装置が移動したか否かを監視する移動監視手段とを備えることを特徴とする監視システム。
【0149】
(付記2)
前記監視装置は、
前記算出手段が算出した変化量が予め設定された移動判定閾値以上であるか否かを判断する判断手段と、
該判断手段が移動判定閾値以上でないと判断した場合、前記所定時間を累計した累計時間を算出する累計手段とを備え、
前記移動監視手段は、前記累計手段によって算出された累計時間の間前記通信装置が移動していないことを監視するように構成してあることを特徴とする付記1に記載の監視システム。
【0150】
(付記3)
前記監視装置は、
前記通信装置に対応付けて第1通知先を示す第1通知先情報を記憶する第1通知先記憶手段と、
前記累計手段が算出した累計時間が予め設定された移動判定基準時間よりも長いか否かを判定する移動判定手段と、
該移動判定手段によって累計時間が移動判定基準時間よりも長いと判定された場合、前記通信装置が移動していないことを、前記通信装置に対応して前記第1通知先記憶手段に記憶してある第1通知先情報が示す第1通知先に通知する第1通知手段とを備えることを特徴とする付記2に記載の監視システム。
【0151】
(付記4)
前記監視装置は、
前記累計手段が算出した累計時間を蓄積するデータベースと、
該データベースに蓄積された累計時間に基づいて、移動判定基準時間を算出する移動判定基準時間算出手段とを備え、
前記移動判定手段は、前記移動判定基準時間算出手段が算出した移動判定基準時間に基づく判定を行なうように構成されていることを特徴とする付記3に記載の監視システム。
【0152】
(付記5)
前記データベースは、複数日のそれぞれにおいて1日を所定時間毎に区分した区分毎の累計時間を蓄積するように構成されており、
前記移動判定基準時間算出手段は、前記データベースに蓄積された異なる日の同一区分の累計時間に基づいて各区分に応じた移動判定基準時間を算出するように構成されており、
前記移動判定手段は、前記移動判定基準時間算出手段が算出した移動判定基準時間に基づく判定を行なうように構成されていることを特徴とする付記4に記載の監視システム。
【0153】
(付記6)
前記監視装置は、
前記応答判断手段によって応答が無いと判断した場合、前記通信装置からの応答が無い無応答時間を計測する計測手段と、
該計測手段によって計測された無応答時間の間前記通信装置が応答していないことを監視する応答監視手段とを備えることを特徴とする付記1乃至5のいずれかひとつに記載の監視システム。
【0154】
(付記7)
前記監視装置は、
前記通信装置に対応付けて第2通知先を示す第2通知先情報を記憶する第2通知先記憶手段と、
前記計測手段が計測した無応答時間が予め設定された応答判定基準時間よりも長いか否かを判定する応答判定手段と、
該応答判定手段によって無応答時間が応答判定基準時間よりも長いと判定された場合、前記通信装置が応答していないことを、前記通信装置に対応して前記第2通知先記憶手段に記憶してある第2通知先情報が示す第2通知先に通知する第2通知手段とを備えることを特徴とする付記6に記載の監視システム。
【0155】
(付記8)
前記監視装置は、第1監視装置及び第2監視装置を含み、
前記第2監視装置は、前記通信手段と、前記応答判断手段と、前記検出手段と、該検出手段が検出したリンク速度を前記第1監視装置へ伝送する手段とを備え、
前記第1監視装置は、前記第2監視装置が伝送するリンク速度を取得する手段と、前記算出手段と、前記移動監視手段とを備え、前記算出手段は、前記第2監視装置から取得したリンク速度の変化量を算出するように構成してあることを特徴とする付記1に記載の監視システム。
【0156】
(付記9)
前記第1監視装置は、
前記算出手段が算出した変化量が予め設定された移動判定閾値以上であるか否かを判断する判断手段と、
該判断手段が移動判定閾値以上でないと判断した場合、前記所定時間を累計した累計時間を算出する累計手段と、
前記通信装置に対応付けて第1通知先を示す第1通知先情報を記憶する第1通知先記憶手段と、
前記累計手段が算出した累計時間が予め設定された移動判定基準時間よりも長いか否かを判定する移動判定手段と、
該移動判定手段によって累計時間が移動判定基準時間よりも長いと判定された場合、前記通信装置が移動していないことを、前記通信装置に対応して前記第1通知先記憶手段に記憶してある第1通知先情報が示す第1通知先に通知する第1通知手段とを備えることを特徴とする付記8に記載の監視システム。
【0157】
(付記10)
前記第1監視装置は、
前記第2監視装置からリンク速度を取得しない場合、リンク速度を取得しない無応答時間を計測する計測手段と、
前記通信装置に対応付けて第2通知先を示す第2通知先情報を記憶する第2通知先記憶手段と、
前記計測手段が計測した無応答時間が予め設定された応答判定基準時間よりも長いか否かを判定する応答判定手段と、
該応答判定手段によって無応答時間が応答判定基準時間よりも長いと判定された場合、前記通信装置が応答していないことを、前記通信装置に対応して前記第2通知先記憶手段に記憶してある第2通知先情報が示す第2通知先に通知する第2通知手段とを備えることを特徴とする付記8又は9に記載の監視システム。
【0158】
(付記11)
前記監視装置は、第1監視装置及び第2監視装置を含み、
前記第2監視装置は、前記通信手段と、前記応答判断手段と、前記検出手段と、前記算出手段と、前記判断手段と、前記累計手段と、前記移動判定手段と、該移動判定手段によって累計時間が移動判定基準時間よりも長いと判定された場合、前記通信装置が移動していないことを前記第1監視装置へ通知する手段とを備え、
前記第1監視装置は、前記第1通知先記憶手段と、前記第1通知手段とを備え、前記第1通知手段は、前記第2監視装置から前記通信装置が移動していないことを通知された場合、前記通信装置が移動していないことを、前記通信装置に対応して前記第1通知先記憶手段に記憶してある第1通知先情報が示す第1通知先に通知するように構成してあることを特徴とする付記3に記載の監視システム。
【0159】
(付記12)
前記第2監視装置は、
前記応答判断手段によって応答が無いと判断した場合、前記通信装置からの応答が無い無応答時間を計測する計測手段と、
該計測手段が計測した無応答時間が予め設定された応答判定基準時間よりも長いか否かを判定する応答判定手段と、
該応答判定手段によって無応答時間が応答判定基準時間よりも長いと判定された場合、前記通信装置が応答していないことを前記第1監視装置へ通知する手段とを備え、
前記第1監視装置は、
前記通信装置に対応付けて第2通知先を示す第2通知先情報を記憶する第2通知先記憶手段と、
前記第2監視装置から前記通信装置が応答していないことを通知された場合、前記通信装置が応答していないことを、前記通信装置に対応して前記第2通知先記憶手段に記憶してある第2通知先情報が示す第2通知先に通知する第2通知先記憶手段とを備えることを特徴とする付記11に記載の監視システム。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】実施形態1に係る監視システムの構成例を示す模式図である。
【図2】実施形態1に係る監視システムの構成例を示すブロック図である。
【図3】実施形態1に係る登録情報テーブルの登録内容を示す模式図である。
【図4】無線APによるリンク速度の検出処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】サーバ装置によるリンク速度の管理処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】サーバ装置による無応答時間の更新処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】サーバ装置による状態監視処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】実施形態2に係る登録情報テーブルの登録内容を示す模式図である。
【図9】無線APによるリンク速度の管理処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】無線APによるリンク速度の管理処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】無線APによる状態監視処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】サーバ装置による通知処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】サーバ装置によるリンク速度の管理処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】無移動判定時間の算出処理に用いるデータベースの登録内容を示す模式図である。
【図15】サーバ装置による無移動時間の収集処理の手順を示すフローチャートである。
【図16】サーバ装置による無移動時間の収集処理の手順を示すフローチャートである。
【図17】サーバ装置による無移動判定時間の算出処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0161】
100 監視システム
1 サーバ装置(監視装置、第1監視装置)
10 制御部(算出手段、判断手段、累計手段、移動監視手段、計測手段、応答監視手段、応答判定手段、移動判定手段、第1通知手段、第2通知手段)
2 無線AP(監視装置、第2監視装置)
27 無線通信部(通信手段、応答判断手段、検出手段)
3 端末装置(通信装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置との間で無線通信が可能な監視装置が、前記通信装置との間で相互間の距離に応じてリンク速度が変化する無線通信を行なうことにより前記通信装置の移動状態を監視する監視システムにおいて、
前記監視装置は、
所定時間間隔で前記通信装置と無線通信を行なう通信手段と、
該通信手段が行なう無線通信に対して前記通信装置からの応答の有無を判断する応答判断手段と、
該応答判断手段によって応答が有ると判断した場合、前記通信装置と行なう無線通信の際のリンク速度を順次検出する検出手段と、
該検出手段が検出したリンク速度の変化量を算出する算出手段と、
該算出手段が算出した変化量に基づいて、前記通信装置が移動したか否かを監視する移動監視手段とを備えること
を特徴とする監視システム。
【請求項2】
前記監視装置は、
前記算出手段が算出した変化量が予め設定された移動判定閾値以上であるか否かを判断する判断手段と、
該判断手段が移動判定閾値以上でないと判断した場合、前記所定時間を累計した累計時間を算出する累計手段とを備え、
前記移動監視手段は、前記累計手段によって算出された累計時間の間前記通信装置が移動していないことを監視するように構成してあること
を特徴とする請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記監視装置は、
前記通信装置に対応付けて第1通知先を示す第1通知先情報を記憶する第1通知先記憶手段と、
前記累計手段が算出した累計時間が予め設定された移動判定基準時間よりも長いか否かを判定する移動判定手段と、
該移動判定手段によって累計時間が移動判定基準時間よりも長いと判定された場合、前記通信装置が移動していないことを、前記通信装置に対応して前記第1通知先記憶手段に記憶してある第1通知先情報が示す第1通知先に通知する第1通知手段とを備えること
を特徴とする請求項2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記監視装置は、
前記応答判断手段によって応答が無いと判断した場合、前記通信装置からの応答が無い無応答時間を計測する計測手段と、
該計測手段によって計測された無応答時間の間前記通信装置が応答していないことを監視する応答監視手段とを備えること
を特徴とする請求項1乃至3のいずれかひとつに記載の監視システム。
【請求項5】
前記監視装置は、
前記通信装置に対応付けて第2通知先を示す第2通知先情報を記憶する第2通知先記憶手段と、
前記計測手段が計測した無応答時間が予め設定された応答判定基準時間よりも長いか否かを判定する応答判定手段と、
該応答判定手段によって無応答時間が応答判定基準時間よりも長いと判定された場合、前記通信装置が応答していないことを、前記通信装置に対応して前記第2通知先記憶手段に記憶してある第2通知先情報が示す第2通知先に通知する第2通知手段とを備えること
を特徴とする請求項4に記載の監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−158794(P2008−158794A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−346624(P2006−346624)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】