説明

真空成形方法および成形体

【課題】
強化繊維と熱可塑性樹脂からなる成形材料を用いた真空成形方法において、作業性と深絞り形状に優れる真空成形方法および真空成形で得られた成形体の提供。
【解決手段】
本発明は成形体を構成するための(a)強化繊維と(b)熱可塑性樹脂からなる(c)繊維強化熱可塑性樹脂組成物からなるシートと、賦形性を向上させるための(d)樹脂フイルムからなる(e)真空成形用シートを、ヒーターで加熱溶融させた後、真空引き機構を備えた金型にセットし賦形、固化させることを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂組成物の真空成形方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強化繊維と熱可塑性樹脂からなる成形材料を用いた真空成形方法、および当該真空成形方法で得られた成形体に関するものであり、特に、作業性に優れ、深絞り形状に対する成形性に優れる真空成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、金属材料にて製造されていた自動車、電気・電子機器、家電製品などの各種部品・部材に代表される産業用部品が、強化繊維と熱可塑性樹脂からなる成形材料に代替されている。これは、該成形材料を用いた成形体の形状自由度が高く、更に高い強度を有し、軽量である点にある。一般的に熱可塑性樹脂による成形体は射出成形方法で生産されるケースが多いが、薄肉で大きな投影面積を有する場合には、流動性の不足や大きな設備と高価な金型が必要となることから、長い繊維長を有するウエブ状シートに熱可塑性樹脂を加熱圧着させた繊維強化熱可塑性樹脂シート基材を用いたプレス成形や真空成形が用いられている。
【0003】
しかしながら、ウエブ状シートに熱可塑性樹脂を加熱圧着させた繊維強化熱可塑性樹脂シート基材は加熱溶融させると、繊維のスプリングバックによりシート厚みの数倍に脹れる欠点を有している。
【0004】
シートのスプリングバックを利用して大型の軽量で剛性のある成形体の成形方法として、該シートを加熱膨張させた後、所定の肉厚にプレス成形する方法が提案されている(特許文献1)。本成形方法では軽量かつ製品剛性の高い成形体は得られるものの、低圧プレスのため複雑形状の賦形ができず外観の悪い成形体しか得られないと言う課題がある。また、プレス型のため上下2型が必要となり金型費用も高くなる。
【0005】
上記プレス成形の外観改良方法として予め繊維強化熱可塑性樹脂シート上に加飾フイルムを積層したシートを用いる成形方法が提案されている(特許文献2)。本成形方法を用いることによりプレス成形体の表面外観が改良されるとともに、シート基材の非通気性が改良され、真空成形時の貼合成形が改良できる旨が報告されている。本成形法では予め繊維強化熱可塑性樹脂シート上に、高価な多層樹脂フイルム層を加熱圧着させたシートを用いる必要があること、膨張シートを用いた複雑形状の真空成形の具体的方法が記載されておらず、簡素な作業工程と安価な設備で効率の良い成形体を得る方法が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭62−161529号公報
【特許文献2】特許第3379851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の技術的背景に鑑み、本発明は、強化繊維と熱可塑性樹脂からなる繊維強化熱可塑性樹脂シートを用いた成形方法において、煩雑な工程を必要としない優れた作業性と、成形型の複雑形状に対し容易に追随させることができる優れた成形性とを兼ね備えた真空成形方法、および当該真空成形方法で得られた成形体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明は以下の構成からなる。すなわち、
(1)(a)強化繊維と(b)熱可塑性樹脂からなる(c)繊維強化熱可塑性樹脂シートと、賦形性を向上させるための(d)樹脂フイルムを重ね合わせて真空成形機にセットし、ヒーターで加熱溶融させた後、真空引き機構を備えた金型で賦形、固化させる真空成形において、真空引きする面とは反対の面に(d)樹脂フイルムを重ね合わせることを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂組成物の真空成形方法。
(2)前記(c)繊維強化熱可塑性樹脂シートが、(a)強化繊維を抄造成形したシート状ウエブに(b)熱可塑性樹脂を加熱含浸させたシート、あるいは、(b)熱可塑性樹脂と(a)強化繊維とを抄造成形したシート状ウエブを加熱含浸させたシートであることを特徴とする(1)に記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の真空成形方法。
(3)前記(d)樹脂フイルムが(b)熱可塑性樹脂と同種の熱可塑性樹脂であることを特徴とする(1)または(2)に記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の真空成形方法。
(4)前記(d)樹脂フイルムが(b)熱可塑性樹脂と異種の熱可塑性樹脂で非接着性を有することを特徴とする(1)または(2)に記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の真空成形方法。
(5)前記(d)樹脂フイルムの融点が(b)熱可塑性樹脂の融点より高く、且つ(d)樹脂フイルムの融点以下で真空成形することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の真空成形方法。
(6)前記(d)樹脂フイルムの厚みが50〜1000μmであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の真空成形方法。
(7)前記樹脂フイルムの延伸倍率が2〜15倍であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の真空成形方法。
(8)前記(c)繊維強化熱可塑性樹脂シートの(a)強化繊維と(b)熱可塑性樹脂の組成が下記の比率であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の真空成形方法。
(a)強化繊維:10〜80wt%
(b)熱可塑性樹脂:20〜90wt%
(9)前記(a)強化繊維が、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、鉱物繊維から選択される少なくとも1種である、(1)〜(8)のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の真空成形方法。
(10)前記(a)強化繊維の重量平均繊維長が1mm〜15mmであることを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の真空成形方法。
(11)前記(b)熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂およびポリアセタール樹脂の群より選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂であることを特徴とする(1)〜(10)のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の真空成形方法。
(12)製品外観面側のキャビティから真空引きして成形することを特徴とする(1)〜(11)のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の真空成形方法。
(13)自動車、電気・電子機器、家電製品、または、航空機の用途に用いられる部品・部材である、(1)〜(12)のいずれかに記載の真空成形方法により得られた繊維強化熱可塑性樹脂成形体。
【発明の効果】
【0009】
本発明のプレス成形方法は、強化繊維と熱可塑性樹脂からなる成形材料を用いた真空成形をおこなう際に、煩雑な工程を踏む必要がなく、優れた作業性、成形型の複雑形状に対し容易に追随させることができ、深絞り性にも優れ、特に大きな自動車、電気・電子機器、家電製品などの各種部品・部材に極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一般的な真空成形の工程であり、工程順に(a)シート加熱工程、(b)軟化・溶融シートを真空型にセットする工程、(c)真空引きを開始し、賦形および冷却を行う工程、(d)製品取り出し工程、をそれぞれ模式的に示した図である。
【図2】一般的な真空圧空成形用の金型構造を模式的に示した図である。
【図3】本発明の繊維強化熱可塑性樹脂シートの評価に用いた金型のうち、(a)断面模式図、(b)下型を上方から見た模式図、である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の真空成形方法について、好ましい実施の形態とともに詳細に説明する。
【0012】
本発明は、(a)強化繊維と(b)熱可塑性樹脂からなる(c)繊維強化熱可塑性樹脂シートと、賦形性を向上させるための(d)樹脂フイルムを重ね合わせて真空成形機にセットし、ヒーターで加熱溶融させた後、真空引き機構を備えた金型で賦形、固化させる真空成形において、真空引きする面とは反対の面に(d)樹脂フイルムを重ね合わせることを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂組成物の真空成形方法である。
【0013】
真空成形とは図1に示す様に熱可塑性樹脂組成物からなるシートを加熱し軟化あるいは溶融状態とした後、吸引機構を有する凹型あるいは凸型にセットし、金型面から吸引し賦形する成形方法である。
【0014】
本発明で使用する(a)強化繊維と(b)熱可塑性樹脂からなる(c)繊維強化熱可塑性樹脂シートとは、強化繊維で補強された熱可塑性樹脂であれば特に制限されず、例えば、複数本のストランド状強化繊維に針を突き刺し、互いに繊維を絡まり合わせたマット状ストランド強化繊維に熱可塑性樹脂を積層し、これを加熱、加圧して得られるシート、強化繊維束に溶融熱可塑性樹脂を付着させ、加圧して得られるシート、強化繊維に粉末形状、繊維形状の熱可塑性樹脂を分散させ、これを加熱、加圧して得られるシート、強化繊維と粉末形状、繊維形状の熱可塑性樹脂を水中に分散、混合した懸濁液から抄造して得られる不織材料を加熱、加圧して得られるシート、強化繊維のみを水中に分散した懸濁液から抄造して得られる不織材料に粉末形状、繊維形状、フイルム形状、不織布形状の熱可塑性樹脂を加熱、加圧して、抄造して得られたシートなどの公知のシートが挙げられる。これらのなかでも、強化繊維のみを水中に分散した懸濁液から抄造して得られる不織材料に粉末形状、繊維形状、フイルム形状、不織布形状の熱可塑性樹脂を加熱、加圧して、抄造して得られたシートが製造方法の経済性の観点から好ましく用いることができる。
【0015】
(c)繊維強化熱可塑性樹脂シートは、加熱溶融させると強化繊維のスプリングバックにより膨張し、シートに通気性がでるため、真空引きしても真空圧がかからず賦形性が著しく低下する。そのため、繊維強化熱可塑性樹脂シートを用いて真空成形する場合は、シートの通気性を遮断するために、繊維強化していない(d)樹脂フイルムを積層して成形することが望ましい。(d)樹脂フイルムはシートの通気性を遮断することが目的のため、真空引きする面と反対側の面に配置する事が必要である。
【0016】
本発明に用いる(d)樹脂フイルムは、熱可塑性の樹脂フイルムであれば何れでも使用可能であるが、(b)熱可塑性樹脂と同種の熱可塑性樹脂であれば、層間が密着しやすくなって真空がかかり易くなるため望ましい。一方、(b)熱可塑性樹脂と異種材で接着性を有しない場合、成形後に樹脂フイルムを剥離することで成形品の重量増を抑えることが可能で、軽量化の観点から好ましい。また、(d)樹脂フイルムの融点が(b)熱可塑性樹脂の融点より高く、且つ(d)樹脂フイルムの融点以下で真空成形すると、(b)熱可塑性樹脂が軟化した状態で真空圧がかかり易くなり、賦形性に優れた成形が可能となる。さらに、(b)熱可塑性樹脂と接着性がなく、成形後に(d)樹脂フイルムの剥離が容易となり成形体の重量増加がないことから好ましい。
【0017】
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の真空成形方は、図2に示す通り、真空引きする面と反対面を圧空で賦形させる真空圧空成形が好ましい。(d)樹脂フイルムがスプリングバックした(c)繊維強化熱可塑性樹脂シートの真空圧と圧空圧を有効に働かせるとともに、圧空による冷却を防止する断熱層と寄与し賦形性が著しく向上するためである。
【0018】
本発明で用いる(d)樹脂フイルムの厚みは、50〜1000μmが好適に使用できる。50μm未満では、加熱中や真空引き中に破れ賦形不良が生じる可能性がある。一方、1000μmを越えると、シートの加熱時間が長くなり製品表面に焼けを生じる可能性があること、また成形体の繊維含有量が低下し強度低下を招くため好ましくない。賦形性と表面外観および成形体強度のバランスから、70〜500μmの範囲が更に好ましい。
【0019】
(d)樹脂フイルムは延伸・未延伸フイルムのいずれでも使用可能であるが、延伸フイルムはヒーターで加熱溶融時に収縮し、皺やたるみが防止できて成形品の外観性が向上するため好ましい。さらに好ましい延伸倍率は2〜15倍である。延伸倍率が2倍未満では大型成形品の場合、たるみを十分吸収しきれず、加熱時にフイルムの一部が(c)繊維強化熱可塑性樹脂シートに接触し接触痕が生じる恐れがある。一方延伸倍率が15倍を超えると、加熱時に収縮によるフイルム破れや、賦形後にフイルムに残留した歪により成形品が変形する恐れがあり好ましくない。ここで言う延伸倍率とはフイルム製膜時のキャスティングロールから出てきたフイルム寸法を基準として、横方向の延伸倍率と縦方向の延伸倍率を掛け合わせた、面積倍率を延伸倍率とした。
【0020】
本発明の(d)樹脂フイルムは、フイルム化できれば何れでも良いが、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等のポリエステル樹脂や、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂や、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂などの結晶性樹脂、スチレン系樹脂の他や、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリイミド樹脂などの非晶性樹脂、その他、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリイソプレン系樹脂、フッ素系樹脂、およびアクリロニトリル系樹脂等の熱可塑エラストマー樹脂等や、これらの共重合体および変性体等から選ばれる樹脂フイルムが挙げられる。
【0021】
特にポリエチレンテレフタレート樹脂フイルムと、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂との組み合わせが、接着性を有さない組み合わせとしては好適である。
【0022】
本発明に用いる(c)繊維強化熱可塑性樹脂シートを構成する(a)強化繊維と(b)熱可塑性樹脂の組成比率は、(a)強化繊維:10〜80wt%(b)熱可塑性樹脂:20〜90wt%の範囲であることが好ましい。(a)強化繊維が10wt%未満では繊維による補強効果が十分得られず、80wt%より多いと(b)熱可塑性樹脂の未含浸部分が生じて(c)繊維強化熱可塑性樹脂組成物からなるシートの製造が困難となるため好ましくない。繊維による補強効果と(c)繊維強化熱可塑性樹脂組成物からなるシートの製造性のバランスから、(a)強化繊維の組成比率は、15〜60wt%がより好ましく、更には20〜50wt%が好ましい。
【0023】
本発明に用いる(a)強化繊維は、補強効果が大きく期待できる、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、鉱物繊維から選択される少なくとも1種であることが好ましい。なかでも、ガラス繊維は低コストで、炭素繊維は高い補強効果が得られるためさらに好ましく、とりわけ好ましくは、強化繊維による熱可塑性樹脂への補強効果が大きい炭素繊維である。
【0024】
本発明に用いる(a)強化繊維の重量平均繊維長は1mm〜15mmが好ましい。1mm未満では抄造する際に繊維の絡まりが少なくウエブの作成が困難であり、15mmを越えると絡まりが強すぎ均一な厚みのウエブの作成が困難となり好ましくない。
【0025】
本発明に用いる(b)熱可塑性樹脂は、本発明の特徴を損なわない範囲であれば、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、液晶ポリエステル樹脂等のポリエステル樹脂や、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂や、ポリオキシメチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトンケトン樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂などのフッ素系樹脂、液晶ポリマーなどの結晶性樹脂、スチレン系樹脂の他や、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリアリレート樹脂などの非晶性樹脂、その他、フェノール系樹脂、フェノキシ樹脂、更にポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリイソプレン系樹脂、フッ素系樹脂、およびアクリロニトリル系樹脂等の熱可塑エラストマー等や、これらの共重合体および変性体等から選ばれる熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0026】
本発明においては、これらの少なくとも1種を熱可塑性樹脂として採用することができる。好ましくは、経済性の観点から、(b)熱可塑性樹脂は、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂およびポリアセタール樹脂の群より選択される少なくとも1つの熱可塑性樹脂であり、さらに好ましくは、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、から選択される少なくとも1種である。これは、強化繊維間へ熱可塑性樹脂を含浸させる成形性の観点からである。
【0027】
また、(b)熱可塑性樹脂については、必要に応じて上記した熱可塑性樹脂の混合物あるいはこれらの熱可塑性樹脂を使用したポリマーアロイおよびこれらの変性物を挙げることができ、本発明において熱可塑性樹脂とはこれらを全て包含するものである。このような熱可塑性樹脂中には安定剤、顔料、充填剤などの通常配合される各種の配合剤が任意に含まれていてもよい。
【0028】
本発明の真空成形体は(c)繊維強化熱可塑性樹脂組成物からなるシートが直接金型面に接触する真空引き面と、樹脂フイルムに接触する面では、冷却効率の違いにより表面外観が異なる。直接金型面に接触する真空引き面は冷却が早く、最表層は強化繊維のまわりに熱可塑性樹脂が少ない状態で形成される。その結果、真空引面は繊維目が強調され和紙状の外観が得られる。
【0029】
さらに、上述した特性を有することから、自動車、電気・電子機器、家電製品、航空機などの各種部品・部材を好ましい用途として、挙げることができる。
【実施例】
【0030】
以下、実施例によって、本発明の真空成形方法および成形体について具体的に説明するが、下記の実施例は本発明を制限するものではない。
【0031】
(参考例1)
ポリアクリロニトリルを主成分とする重合体から紡糸、焼成処理を行い、総フィラメント数12000本の炭素繊維連続束を得た。この炭素繊維連続束の特性は次の通りであった。
単位長さ当たりの質量:1.7g/m
比重:1.8g/cm
引張強度:4.0GPa
引張弾性率:235GPa。
【0032】
(参考例2)
(a)強化繊維として、参考例1で得られた炭素繊維連続束を、カートリッジカッターでカットし、繊維長6.4mmのチョップド糸を得た。界面活性剤(和光純薬工業(株)社製、「n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム」(製品名)の1.5wt%水溶液100リットルを攪拌し、予め泡立てた分散液を作製した。この分散液に、得られたチョップド糸100gを投入し、10分間撹拌した後、長さ1000mm×幅1000mmの抄紙面を有する抄紙機に流し込み、吸引により脱水して、炭素繊維からなる不織布(以下CFウエブと略す)を得た。次に、この炭素繊維からなるCFウエブを150℃の温度で2時間乾燥した。
【0033】
(参考例3)
(b)熱可塑性樹脂として、ポリアミド6樹脂(東レ(株)社製、“CM1001”(登録商標)融点225℃)を用いた。
【0034】
240℃の温度に加熱された上下の熱盤面から構成される油圧式プレス機の熱盤面間に、離型シートとしてテフロン(登録商標)シート(厚さ1mm)を用い、ポリアミド6樹脂を挟み込むように配置した。ポリアミド6樹脂は40g投入し、偏りが無いように配置した。ついで、10MPaでプレスした。次に、30℃の温度に温度制御された、上下の熱盤面から構成される油圧式プレス機の冷却盤間に配置し、3MPaで冷却プレスし、長さ1000mm、幅1000mm、厚み0.035mmのポリアミドフィルム(以下PA−1と略す)を得た。
【0035】
(参考例4)
ポリアミド6樹脂を120g投入し3MPaでプレスした以外は参考例3と同様とした。長さ1000mm幅1000mm、厚み0.1mmのポリアミドフィルム(以下PA−2と略す)を得た。
【0036】
(参考例5)
240℃の温度に加熱された上下の熱盤面から構成される油圧式プレス機の熱盤面間に、離型シートとしてテフロン(登録商標)シート(厚さ1mm)を用い、厚さ1mmのアルミニウム板をスペーサーとしてポリアミド6樹脂を挟み込むように配置した。ポリアミド6樹脂は1200g投入し、偏りが無いように配置した。ついで、5MPaでプレスした。次に、30℃の温度に温度制御された、上下の熱盤面から構成される油圧式プレス機の冷却盤間に配置し、5MPaで冷却プレスし、長さ1000mm、幅1000mm、厚み1mmのポリアミドフイルム(以下PA−3と略す)を得た。
【0037】
(参考例6)
スクリュー口径50mmの単軸押出機のホッパーにポリアミド6樹脂ペレットを投入し、240℃で溶融混錬した後、幅1200mm、ダイスリット幅4mmのコートハンガーダイから50kg/hrの吐出量でシート状に押出し、30℃に温調された引取りロールで0.3m/minでシートを引き取り、シート両端を50mmカットして幅1000mm、長さ1000mm、厚み2mmのポリアミドシート(以下PA−4と略す)を得た。
【0038】
(参考例7)
(b)熱可塑性樹脂として、酸変性ポリプロピレン樹脂(三井化学(株)社製、“QE510”融点160℃)を用いた。
【0039】
200℃の温度に加熱された上下の熱盤面から構成される油圧式プレス機の熱盤面間に、離型シートとしてテフロン(登録商標)シート(厚さ1mm)を用い、ポリプロピレン樹脂を挟み込むように配置した。ポリプロピレン樹脂は90g投入し、偏りが無いように配置した。ついで、3MPaでプレスした。次に、30℃の温度に温度制御された、上下の熱盤面から構成される油圧式プレス機の冷却盤間に配置し、3MPaで冷却プレスし、長さ1000mm、幅1000mm、厚み0.1mmのポリプロピレンフィルム(以下PP−1と略す)を得た。
【0040】
(参考例8)
(b)熱可塑性樹脂として、ポリフェニレンスルフィド樹脂(東レ(株)社製、“M2888”融点280℃)を用いた。スクリュー口径50mmの単軸押出機のポリフェニレンスルフィド樹脂ペレットを投入し、320℃で溶融混錬した後、幅1200mm、ダイスリット幅4mmのコートハンガーダイから25kg/hrの吐出量でシート状に押出し、30℃に温調された引取りロールで3m/minでシートを引き取り、シート両端を50mmカットして幅1000mm、長さ1000mm、厚み0.1mmのポリフェニレンスルフィド樹脂(以下PPS−1と略す)を得た。
【0041】
(参考例9)
東洋紡社製“PETMAX”(登録商標)2mm厚シートを100℃雰囲気中で、縦方向に4倍に延伸した後、横方向に5倍に延伸し、長さ1000mm、幅1000mm、厚み0.1mmのPET樹脂(以下PET−1と称す)を得た。
【0042】
(参考例10)
東洋紡社製“PETMAX”(登録商標)1mm厚シートを100℃雰囲気中で、縦方向に3倍に延伸した後、横方向に3.5倍に延伸し、長さ1000mm、幅1000mm、厚み0.095mmのPET樹脂(以下PET−2と称す)を得た。
【0043】
(参考例11)
東洋紡社製“PETMAX”(登録商標)0.5mm厚シートを100℃雰囲気中で、縦方向に1.3倍に延伸した後、横方向に1.5倍に延伸し、長さ1000mm、幅1000mm、厚み0.025mmのPET樹脂(以下PET−3と称す)を得た。
【0044】
(参考例12)
参考例2で得られた炭素繊維からなるCFウエブ1枚を、参考例4で得られたPA−2を前記炭素繊維からなる不織布の両面に1枚ずつ挟み込み、[PA/CF/PA]の構成のシートとした。また、離型シートとしてテフロン(登録商標)シート(厚さ1mm)を用い、該シートを挟み込むように配置した。ついで、240℃の温度に加熱された上下の熱盤面から構成される油圧式プレス機の熱盤面間に配置し、5MPaでプレスした。次に、30℃の温度に温度制御された冷却盤間に配置し、5MPaで冷却プレスし、長さ1000mm、幅1000mm、厚み0.21mmの強化繊維と熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂シートAを得た。得られた熱可塑性樹脂シートAのCF含有量は30wt%であった。
【0045】
(参考例13)
参考例2で得られた炭素繊維からなるCFウエブ1枚を、参考例7で得られたPP−1を前記炭素繊維からなるCFウエブの両面に1枚ずつ挟み込み、[PP/CF/PP]の構成のシートとした。また、離型シートとしてテフロン(登録商標)シート(厚さ1mm)を用い、該シートを挟み込むように配置した。ついで、240℃の温度に加熱された上下の熱盤面から構成される油圧式プレス機の熱盤面間に配置し、5MPaでプレスした。次に、30℃の温度に温度制御された冷却盤間に配置し、5MPaで冷却プレスし、長さ1000mm、幅1000mm、厚み0.21mmの強化繊維と熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂シートBを得た。得られた熱可塑性樹脂シートBのCF含有量は35wt%であった。
【0046】
(参考例14)
参考例2で得られた炭素繊維からなるCFウエブ1枚を、参考例8で得られたPPS−1を前記炭素繊維からなるCFウエブの両面に1枚ずつ挟み込み、[PPS/CF/PPS]の構成のシートとした。また、離型シートとしてカプトン(登録商標)フイルム(厚さ0.3mm)を用い、該シートを挟み込むように配置した。ついで、340℃の温度に加熱された上下の熱盤面から構成される油圧式プレス機の熱盤面間に配置し、5MPaでプレスした。次に、30℃の温度に温度制御された冷却盤間に配置し、5MPaで冷却プレスし、長さ1000mm、幅1000mm、厚み0.21mmの強化繊維と熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂シートCを得た。得られた熱可塑性樹脂シートCのCF含有量は27wt%であった。
【0047】
(参考例15)
真空圧空成形に使用する金型として、図3に示す金型を用いた。金型は真空引き機能を備えた下型6と加圧機能を備えた上型9から構成されており、下型6には、真空ライン7と基材を賦形させるための真空引きピンホール8を設けた。真空引きピンホール8は、直径0.5mmでキャビティの段の付け根部分に10mmピッチで設けた。下型の形状は、上方に2段に凸設した1段目キャビティ12と2段目キャビティ13を設けた。上型は箱形状で、圧空を送風する圧空ライン10と圧空の漏れを防止するためのシール用ゴムパッキン11を配置した。
【0048】
[シート焼け]
図3に示す金型を用いて成形した製品の表面を目視観察し、焼けの有無を観察した。
【0049】
[賦形性]
図3に示す金型を用いて成形した製品の一段目キャビと二段目キャビを目視観察し、下記のランク付けを行なった。
○:製品に破れがなく、コーナー部の賦形も良好。
△:製品に破れはないが、コーナー部に一部賦形不良が見られる。
×:製品たち壁部分に破れが見られる。コーナー部の賦形が殆ど出来ていない。
【0050】
(実施例1)
参考例9で得た熱可塑性樹脂シートおよび参考例4で得た樹脂フイルムPA−2を長さ300mm、幅300mmサイズに裁断し、樹脂フイルムを熱可塑性樹脂シートの上に重ね合わせ、(株)浅野研究所製真空圧空成形機KFS−0632−20の試料ホルダーにセットし表1の条件で成形を実施した。金型は図3を用いた。
【0051】
得られた製品は破れがなく、コーナー部の賦形の良好なものであった。
【0052】
(実施例2)
参考例5で得た樹脂フイルムPA−3を用いた以外は、実施例1と同様の方法でプレス成形をおこない、成形体を得た。
【0053】
(実施例3)
参考例13と参考例7で得た熱可塑性樹脂シートBと樹脂フイルムPP−1を用い、表1に示す成形条件とした以外は実施例1と同様とした。
【0054】
(実施例4)
参考例14と参考例8で得た熱可塑性樹脂シートCと樹脂フイルムPPS−1を用い、表1に示す成形条件とした以外は実施例1と同様とした。
【0055】
(実施例5)
参考例13で得た熱可塑性樹脂シートと参考例7で得た樹脂フイルムPPS−1を用い、樹脂フイルムPPS−1が溶融しないシート設定温度220℃で実施した以外は実施例3と同様とした。
【0056】
(実施例6)
参考例13で得た熱可塑性樹脂シートBと参考例8で得た樹脂フイルムPPS−1を用い、樹脂フイルムPPS−1が溶融しないシート設定温度250℃で実施した以外は実施例1と同様とした。
【0057】
(実施例7)
参考例12で得た熱可塑性樹脂シートと参考例10で得た樹脂フイルムPET−2を用い、表1に示す成形条件とした以外は実施例1と同様とした。
【0058】
(実施例8)
参考例12で得た熱可塑性樹脂シートと参考例11で得た樹脂フイルムPET−3を用い、表1に示す成形条件とした以外は実施例1と同様とした。
【0059】
実施例2〜8は得られた製品に破れはなく、コーナー部の賦形の良好なものであった。特に実施例5,6は真空圧が良好にかかりコーナー部の賦形が良好であった。実施例7,8は予熱時に樹脂フイルムが適度に収縮し、型閉じまで熱可塑性樹脂シートに触れることがないため特に外観に優れる結果であった。
【0060】
(比較例1)
実施例1における、樹脂フイルムPA−2を用いず成形した以外は実施例1と同様とした。
【0061】
(比較例2)
実施例1における、樹脂フイルムをPA−1とした以外は実施例1と同様とした。
【0062】
(比較例3)
実施例1における、樹脂フイルムをPA−4とした以外は実施例1と同様とした。
【0063】
(比較例4)
実施例1における、樹脂フイルムをPET−1とした以外は実施例1と同様とした。
【0064】
上記の実施例1〜8と比較例1〜4から、下記のことが明らかとなった。繊維強化樹脂シートの真空成形においては、樹脂フイルムを用いることにより真空成形性を大幅に改良する事が可能であり、実施例1〜4では、得られた成形体の1段目キャビおよび2段目キャビ部分に破れや焼けもなく、コーナー部の賦形も良好であった。さらに、実施例5、6においては、真空圧が十分にかかり特にコーナー部の賦形が良好であった。また、実施例7、8は予熱時に樹脂フイルムが適度に収縮し、型閉じまで熱可塑性樹脂シートに触れることがないため特に外観に優れる結果であった。
【0065】
一方、比較例1は、樹脂フイルムがないため真空圧がかからず賦形が十分ではなかった。比較例2は、用いる樹脂フイルムが薄く、成形時の延伸により破れが発生し、真空圧不足で賦形不良となった。比較例3は、フイルムが厚すぎ、加熱時間が長く焼けが生じ外観不良となった。比較例4は延伸倍率が高すぎ、予熱時の収縮によりシート破れが生じ、賦形不良となった。
【0066】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂シートと樹脂フイルムを用いた真空成形法においては、本来真空成形が困難な薄肉大面積の複雑形状に対し容易に賦形させることができる優れた成形方法であり、軽量・高強度の製品が得られる。そのため本発明の真空成形方法で得られた成形体は、自動車、電気・電子機器、家電製品、航空機などの各種部品・部材に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0068】
1 真空成形用のヒーター
2 繊維強化熱可塑性樹脂シート
3 真空成形用凹型
4 繊維強化熱可塑性樹脂製成形体
5 圧空成形用上型
6 賦形性評価用の真空成形用凸型
7 真空ライン
8 真空引き用ピンホール
9 賦形性評価用の圧空成形用上型
10 圧空ライン
11 圧空シール用ゴムパッキン
12 1段目キャビティ
13 2段目キャビティ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)強化繊維と(b)熱可塑性樹脂からなる(c)繊維強化熱可塑性樹脂シートと、賦形性を向上させるための(d)樹脂フイルムを重ね合わせて真空成形機にセットし、ヒーターで加熱溶融させた後、真空引き機構を備えた金型で賦形、固化させる真空成形において、真空引きする面とは反対の面に(d)樹脂フイルムを重ね合わせることを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂組成物の真空成形方法。
【請求項2】
前記(c)繊維強化熱可塑性樹脂シートが、(a)強化繊維を抄造成形したシート状ウエブに(b)熱可塑性樹脂を加熱含浸させたシート、あるいは、(b)熱可塑性樹脂と(a)強化繊維とを抄造成形したシート状ウエブを加熱含浸させたシートであることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の真空成形方法。
【請求項3】
前記(d)樹脂フイルムが(b)熱可塑性樹脂と同種の熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の真空成形方法。
【請求項4】
前記(d)樹脂フイルムが(b)熱可塑性樹脂と異種の熱可塑性樹脂で非接着性を有することを特徴とする請求項1または2に記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の真空成形方法。
【請求項5】
前記(d)樹脂フイルムの融点が(b)熱可塑性樹脂の融点より高く、且つ(d)樹脂フイルムの融点以下で真空成形することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の真空成形方法。
【請求項6】
前記(d)樹脂フイルムの厚みが50〜1000μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の真空成形方法。
【請求項7】
前記樹脂フイルムの延伸倍率が2〜15倍であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の真空成形方法。
【請求項8】
前記(c)繊維強化熱可塑性樹脂シートの(a)強化繊維と(b)熱可塑性樹脂の組成が下記の比率であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の真空成形方法。
(a)強化繊維:10〜80wt%
(b)熱可塑性樹脂:20〜90wt%
【請求項9】
前記(a)強化繊維が、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、鉱物繊維から選択される少なくとも1種である、請求項1〜8のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の真空成形方法。
【請求項10】
前記(a)強化繊維の重量平均繊維長が1mm〜15mmであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の真空成形方法。
【請求項11】
前記(b)熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂およびポリアセタール樹脂の群より選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の真空成形方法。
【請求項12】
製品外観面側のキャビティから真空引きして成形することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の真空成形方法。
【請求項13】
自動車、電気・電子機器、家電製品、または、航空機の用途に用いられる部品・部材である、請求項1〜12のいずれかに記載の真空成形方法により得られた繊維強化熱可塑性樹脂成形体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−210807(P2012−210807A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−58469(P2012−58469)
【出願日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】