説明

眼内薬物送達装置および関連する方法

本発明は被験体の眼内に活性作用物質を送達するための装置、システムおよび方法を提供する。例えば、1つの態様においては、眼活性作用物質送達装置(10)は、環状ハウジング(12)内に配置された活性作用物質レザバー(14)を含むことができ、その環状ハウジング(12)は水晶体嚢の内側に適合するように構成されており、且つ、水晶体嚢内における眼内レンズの視野方向を少なくとも部分的に包囲している。本装置(10)は、更に、活性作用物質レザバー(14)に動作可能に連結された半透膜(16)を含むことができ、ここで、その半透膜(16)は、活性作用物質レザバー(14)から活性作用物質を拡散させることができるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被験体の眼内に活性作用物質を眼送達するためのシステム、方法および装置に関する。従って、本発明は化学、材料科学および高分子科学、薬物送達、製薬科学、ならびに医薬に関し、特には眼科学に関する。
【背景技術】
【0002】
加齢性黄斑変性症および緑内障は米国ならびに世界中において失明の2つの主要な原因である。現在、行われている緑内障の治療法は、一般的に、多薬療法を必要とし、その場合、被験体は、幾つかのケースにおいては1日に3回乃至4回までにも及ぶ様々に異なる頻度で目に適用しなければならない何種類もの局所薬を処方されることが多い。これらの投与計画は、しばしば、被験体が一貫して従うのが難しく、そのため、多くの人が、重大な付随する合併症を有する眼内シャント術または線維柱帯切除術などの外科的治療を必要とする状態にまで進行する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
黄斑変性症を有する被験体は、しばしば、月に一度の硝子体内注射を受けることが必要になる。そのような注射は疼痛性であり、且つ、網膜剥離、眼内炎および他の合併症を引き起こす可能性がある。その上、これらの注射は、一般的に、眼科医グループのうちのほんの一部にすぎない網膜外科医によってのみ実施され、そのため、アイ・ケアを遂行する上でのネックとなっており、且つ、経費の増大をもたらしている。無期限的な注射を必要とする他の慢性眼疾患は、糖尿病性網膜症、ブドウ膜炎および網膜血管閉塞症を含む。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】図1は、本発明の1つの態様による活性作用物質送達装置の上面図である。
【図2】図2は、本発明の別の態様による活性作用物質送達装置の上面図である。
【図3】図3は、本発明の尚も別の態様による活性作用物質送達装置の断面図である。
【図4】図4は、本発明の1つの更なる態様による眼内装置を植え込んだ後の様々な眼組織に存在する活性作用物質の量をグラフで表したものである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
これらの図面は単に本発明の例証的な実施形態を描いたものであり、従って、本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではない。一般的に添付図面において番号付きで説明および例証されているような本発明の種々の構成要素は、広範囲にわたる様々な配置構成において配列され、種々のサイズに成され、且つ、様々に設計され得ることが容易に認識されよう。
(発明の詳細な説明)
以下の本発明の例証的な実施形態についての詳細な説明は、本明細書の一部を形成する添付図面を参照して行われ、それらの添付図面には、例証として本発明が実践され得る代表的な実施形態が示されている。当業者が本発明を実践するのに充分な程度に詳しくこれらの代表的な実施形態が記述されているが、他の実施形態も実現可能であり、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明に様々な変更を成し得ることを理解すべきである。従って、本発明の実施形態についての以下の一層詳細な説明は、特許請求されているとおりの本発明の範囲を限定することを意図したものではなく、本発明の操作の最良の形態を明示し、且つ、充分に当業者が本発明を実践することを可能にするために、本発明の特徴および特性を記述することを限定するのではなく、単なる例証の目的でのみ提示されている。それ故、本発明の範囲は、添付の特許請求項によってのみ定められるべきである。
【0006】
この明細書および添付の特許請求項において使用される場合、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに別な具合に指示していない限り、複数形の指示対象をも含むことに注意しなければならない。従って、例えば「ある薬物(a drug)」への言及は1つ以上のそのような薬物への言及を含み、「ある賦形剤(an excipient)」への言及は1つ以上のそのような賦形剤への言及を含み、「充填(filling)」は1つ以上のそのようなステップを表す。
【0007】
定義
本発明を説明および特許請求する際、次の用語は以下で明示されている定義に従って使用される。
【0008】
本明細書で使用する場合、「活性作用物質」、「生物活性作用物質」、「薬剤学的に活性な物質」および「薬物」という用語は、有意な量または有効な量で被験体に投与されたときに測定可能な特定の生理学的活性または選択された生理学的活性を有する薬剤または物質を表すべく互換可能に使用することができる。これらの用語は製薬および医薬の分野においては周知である。
【0009】
本明細書で使用する場合、「調合物」および「組成物」という用語はここでは互換可能に使用されることがあり、2つ以上の要素または物質の組み合わせを表す。幾つかの実施形態においては、組成物は、活性作用物質、賦形剤、または送達やデポ剤の形成を増強するための担体などを含むことができる。
【0010】
本明細書で使用する場合、「被験体」という用語は、本明細書で言及されているとおりの組成物または方法の施行により恩恵を受け得る哺乳動物を表す。被験体の例はヒトを含み、そのほかにウマ、ブタ、ウシ、イヌ、ネコ、ウサギおよび水生哺乳動物などの他の動物も含むことができる。
【0011】
本明細書で使用する場合、「レザバー」および「活性作用物質レザバー」という用語は互換可能に使用されることがあり、活性作用物質を含有することができる物体、塊状物または空洞を表す。したがって、レザバーは、液体、ゼラチン、スポンジ、半固体、固体、または当業者にとって公知の他のあらゆる形態の活性作用物質を含み得るあらゆる構造物を含むことができる。幾つかの態様においては、レザバーは活性作用物質マトリックスも含有することができる。そのようなマトリックスは当技術分野において周知である。
【0012】
本明細書で使用する場合、「眼内レンズ」という用語は、被験体の眼内における水晶体を置換するために利用されるレンズを表す。そのような眼内レンズは、合成のものであってもよいし、または生物学的なものであってもよい。その上、幾つかの態様においては、「眼内レンズ」という用語は、眼に付随していた元々の天然レンズも表すことができる。
【0013】
本明細書で使用する場合、「環状ハウジング」という用語は、円形または半円形のハウジングを記述すべく使用することができる。従って、環状ハウジングは、実質的に環状、完全に環状、完全に円形、長円形、部分的に円形、C字形、D字形などであってよい。本発明においては、典型的には、断面も環状である。
【0014】
本明細書で使用する場合、「実質的に」という用語は、ある作用、特徴、特性、状態、構造、事項または結果が完全な程度もしくは度合いであること、またはほぼ完全な程度もしくは度合いであることを表す。例えば、「実質的に」取り囲まれた対象物とは、その対象物が完全に取り囲まれているか、もしくはほぼ完全に取り囲まれているかのいずれかであることを意味する。絶対的完全性からの正確な許容逸脱度は、幾つかのケースにおいては、そこでの特定の事情に依存することが考えられる。しかし、一般的に言えば、この完全さに近い状態は、恰も絶対的および総合的な完全さが得られたのと同じ全体的な結果が得られるようにすることであろう。「実質的に」という用語の使用は、ある作用、特徴、特性、状態、構造、事項または結果の完全な欠落もしくはほぼ完全な欠落を表すべくネガティブな含意で使用されるときにも同等に適用可能である。例えば、粒子を「実質的に含んでいない」組成物は、粒子を完全に欠いているか、またはほぼ完全に粒子を欠いているために関連する効果が恰も粒子を完全に欠いていたのと同じになるかのいずれかであろう。言い換えれば、ある成分または要素を「実質的に含んでいない」組成物は、実際には更に、それらの品目による測定可能な影響が存在しない限り、そのような品目を含むことができる。
【0015】
本明細書で使用する場合、「約」という用語は、ある与えられた値がその終点の「少し上側」または「少し下側」であってもよいようにすることにより、数値による範囲の終点に融通性を与えるために使用される。
【0016】
本明細書で使用する場合、複数の品目、構造的な要素、組成上の要素、および/または材料が、便宜上、1つの共通のリストで提示されることがある。しかしながら、これらのリストは、恰もそのリストの各構成員が別々の独特な構成員として個別的に識別されるものと解釈されるべきである。従って、そのようなリストのどの個別的な構成員も、単にそれらの構成員がそれとは反対の指示を伴うことなく1つの共通のグループに提示されているということだけから判断して、その同じリストの何らかの他の構成員の事実上の同等物であると解釈されるべきではない。
【0017】
濃度、量、および他の数値データは、本明細書では、範囲形式で表現または提示されることがある。そのような範囲形式は単に便宜上および簡潔化のために用いられたものであり、従って、その範囲の限界値として明記されている数値を含むだけでなく、恰もそれぞれの数値および部分的範囲が明記されているかのようにして、その範囲に包含されているあらゆる個々の数値または部分的範囲をも含むものと柔軟に解釈すべきであることを理解する必要がある。1つの例として、「約1から約5まで」の数値範囲は、約1から約5までの明記されている値を含むだけでなく、この指示されている範囲内の個々の値および部分的範囲をも含むものと解釈すべきである。従って、この数値範囲には、2、3および4などの個々の値、ならびに1〜3、2〜4および3〜5などの部分的範囲が含まれる。これと同じ原則が1つの数値のみを記述している範囲にも適用される。更に、そのような解釈は、範囲の広さまたは記述されている特性に関わりなく適用されるものとする。
【0018】
あらゆる方法またはプロセスのクレームにおいて記述されているあらゆる工程はどのような順番で実行されてもよく、別に述べられていない限り、クレームで提示されている順番に限定されるものではない。手段・プラス・機能の限定または工程・プラス・機能の限定は、ある特定のクレームの限定に対して、以下のすべての条件がその限定に存在している場合にのみ用いられる:a)「〜ための手段」または「〜ための工程」がはっきりと記述されていること;およびb)対応する機能がはっきりと記述されていること。その手段・プラス機能を支持する構造、材料または作用は本明細書における説明ではっきりと記述されている。従って、本発明の範囲は、本明細書中で与えられている説明および実施例によってではなく、添付の特許請求項およびそれらの合法的な同等物によってのみ決定されるべきである。
【0019】
本発明の実施形態
本眼内薬物送達装置は、一般眼科医によって植え込み可能であり、且つ再充填可能な嚢内レザバーを提供することによって、頻回注射または複雑な点眼薬治療方式の必要性を軽減することにより、改善された眼科用薬剤の送達をもたらすことができる。更に、本装置は様々な異なる薬剤または種々の異なる薬剤の組み合わせを送達することができる。
【0020】
長期間にわたる眼活性作用物質の持続放出をもたらすための新規な眼内薬物送達装置、システムおよび関連する方法が開示され、且つ、説明される。加齢性黄斑変性症(AMD)などの多くの眼疾患にかかわる1つの問題は、被験体にとって疼痛性の眼注射を受けることが絶えず必要になることであり、そのような眼注射は網膜剥離、硝子体出血および眼内炎の重大なリスクを有している。本発明の眼内薬物送達装置は活性作用物質の長期間にわたる持続放出を可能にし、これにより、頻繁な眼注射を排除することができる。これに加え、本眼内薬物送達装置は再充填が可能であり、これにより、AMDなどの障害を有する被験体に対して行われる侵襲性の眼処置の頻度を低減することができる。使用される活性作用物質および本装置の配置構成に依存して、再充填処置間の期間は、3カ月毎、6カ月毎、1年毎またはそれ以上にまで延ばすことができる。
【0021】
幾つかの態様においては、本装置は、本質的には白内障摘出術への「便乗」である、白内障の手術中に植え込むことが可能であり、これにより、付加的な外科的処置の必要性を排除することができる。白内障摘出術に「便乗」することによる1つのメリットは、手術後、その眼に直接的にステロイド剤、抗生物質および種々の非ステロイド系物質を送達することが可能なことであり、従って、類嚢胞黄斑浮腫などの合併症を最小化するのに役立つ。そのような環状ハウジングは、不安定な嚢を有する被験体の水晶体嚢安定性を改善することができ、且つ、前嚢から後嚢への水晶体上皮細胞移動を抑制することにより、後嚢の混濁化および嚢線維症を防ぐことができる。
【0022】
本装置に充填または再充填するための注射は、白内障の手術中に本装置を受け入れた被験体に対する既存の白内障の手術のための切開部を通じて果たすことができる。従って、そのような再充填処置は、伝統的な硝子体内注射と比べて、被験体が被る痛みおよび危険性のレベルを低減することができる。別の態様においては、本装置は、白内障の処置とは別の手術、例えば水晶体嚢の再解放を伴う先の白内障摘出術の後の手術で植え込むこともできる。
【0023】
新血管形成がAMD、増殖性糖尿病網膜症、血管閉塞性疾患および放射線網膜症などの様々な眼疾患における非常に重要な1つの病理生物学的プロセスであることに留意すべきである。これに加え、緑内障の発生率が世界中で高まっている。重度のブドウ膜炎およびAMDにおける地図状萎縮を含めた多くの他の障害もそのような眼内薬物送達装置を用いて治療することができる。従って、そのような再充填可能な、一般的には無縫合型の、前部薬物送達装置は、被験体にとっての生活の質を改善するための大きな潜在的能力を有している。
【0024】
従って、本発明は、被験体の眼内へ活性作用物質を送達するためのシステム、装置および関連する方法を提供する。1つの態様においては、図1に示されているように、眼活性作用物質送達装置10は、環状ハウジング12内に配置された活性作用物質レザバー14を含むことができる。環状ハウジング12は、水晶体嚢の内側に適合し、且つ、水晶体嚢内における眼内レンズの視野方向を少なくとも部分的に包囲する(但し、妨げない)ことが可能なサイズに成すことができ、且つ、そのように設計することができる。1つの態様においては、本眼内装置は無縫合型であってよい。無縫合型の装置とは、本装置を適所に維持するための縫合を必要とせずに水晶体嚢内に挿入および保持することができる装置または構造と定義することができる。
【0025】
本装置は、更に、活性作用物質レザバー14に動作可能に連結された半透膜16を含むことができ、ここで、その半透膜16は、活性作用物質レザバー14から活性作用物質を拡散させることができるように構成されている。これに加え、活性作用物質レザバー14の壁に沿うなどして、弁18を活性作用物質レザバー14に動作可能に連結することができる。弁18は前述の活性作用物質レザバー14に活性作用物質を充填することが可能な配向、サイズおよび設計に成すことができる。本装置のレザバーもしくはシェルは剛性であってもよいし、または膨張可能で可撓性であってもよい。本発明の1つの特定の態様においては、活性作用物質レザバーは少なくとも1つの活性作用物質を含有している。別の態様においては、活性作用物質レザバーは活性作用物質マトリックスを含有している。更に、場合によっては、本送達装置の操作および配置を容易化するため、ハウジング内にアイレットまたはフックなどの操作用ハンドル19を含めることもできる。
【0026】
1つの態様においては、本眼内装置は、更に、バイオセンサーに連結されたラジオ周波数変換器用のバッテリーソースを含むことができる。そのようなバイオセンサーは、幾つかの名を挙げれば、グルコース、VEGF、疾患のバイマーカーおよび送達された活性作用物質などの被分析物の眼内レベルを検出するために使用することができる。また、バイオセンサーは、圧力変換器を用いて眼内圧を検出およびモニタリングするために使用することもできる。そのような圧力センサー変換器の1つの例は、眼内圧の変化に応答して体積を変化させる可撓性構造である。その変換器は、L−C回路を形成すべく直列に接続されたパラレル・プレート・コンデンサーおよびディスクリート・インダクターを含むことができる。それらのプレートを取り巻く圧力が変化すると、それらのコンデンサー・プレートの距離間隔も変化し、この距離間隔の変化がL−C回路の共振周波数に影響を及ぼす。別の変換器を使用することもできる。
【0027】
本発明の活性作用物質送達装置は、場合によって、付加的な活性作用物質または治療学的に望まれる他の有益な物質を送達するための付加的な/分離したレザバーを含むことができる。1つの態様においては、例えば、本装置は、環状ハウジング内に配置された少なくとも1つの二次的活性作用物質レザバーを含むことができる。それに対応する再充填弁もそれぞれのレザバーに付け加えることができる。1つの特定の態様においては、上述の少なくとも1つの二次的活性作用物質レザバーは少なくとも1つの活性作用物質を含有することができる。この二次的活性作用物質レザバーは前述の活性作用物質レザバーに含有された活性作用物質と同一の活性作用物質を含有することができ、またはそれとは異なる活性作用物質を含有することもできることに留意すべきである。個々のレザバーは、不浸透性の壁により、または単に隣接する薬物マトリックスを提供することにより、分けられていてよい。更に、1つの選択的態様においては、本装置は活性作用物質レザバーに動作可能に連結された浸透圧ポンプを含むことができ、ここで、その浸透圧ポンプは活性作用物質レザバーからの活性作用物質の送達を容易化することができるように構成されている。
【0028】
環状ハウジングとして数多くの配置構成が好適であり得る。1つの態様においては、例えば、環状ハウジング12は、図1に示されているような不完全な円を形成することができる。別の態様においては、環状ハウジング12の断面20に示されているように、環状ハウジングは外側円周面22および内側円周面24を有することができ、ここで、前述の外側円周面22は実質的に四角形化26されている。外側円周面のそのような四角化は嚢線維症の発生率を低減させる上で有益であると考えられるが、但し、円形などの他の形状も適切であり得る。場合によっては、嚢線維症の発生率を低減させるため、ある物質を環状ハウジングにコーティングすることもできる。そのような物質の非限定的な例は抗細胞増殖剤、抗TGF−ベータ物質、a5b1インテグリン拮抗物質、ラパマイシンなどを含む。
【0029】
本装置の様々な構成要素をしっかりと保持することができる種々の材料を環状ハウジングとして使用することが想定されている。眼の表面に及ぼす損傷または刺激を回避するため、あるレベルの柔軟性をもたらす材料を利用することが一層有益であり得る。そのような装置を構築する上で有益な特性を有するあらゆる材料が本発明の範囲内であると考えられよう。例えば、ハウジング材料は、これらに限定するものではないが、テフロン(登録商標)、ナイロン、ポリエステル、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリカーボネート、シリコーン、ポリメチルメタクリレート、アクリルポリマー、ポリプロピレンなどのプラスチックまたはポリマー、およびチタンなどの金属、ならびに複合材料などを含むことができる。
【0030】
更に、半透膜は当技術分野において周知であり、使用される環状ハウジング材料および1つまたは複数の活性作用物質の性状に依存して、数多くの材料を好適に使用することができる。しかしながら、1つの態様においては、その半透膜は、これらに限定するものではないが、ポリビニルアルコール、エチルビニルアルコール、セルロースエステルおよびポリプロピレンなどの材料、ならびに眼に対して生体適合性を呈する他の半透性材料を含むことができる。1つの特定の態様においては、その半透膜はセルロースエステルであってよい。更に、本半透膜は親水性もしくは両親媒性または疎水性であってよい。1つの特定の態様においては、その半透膜は親水性であってよい。
【0031】
半透膜の細孔サイズは、半透膜の材料、利用される活性作用物質および所望の透過性動態に依存して様々であってよい。1つの態様においては、例えば、その細孔サイズは約5nmから約200nmまでであってよい。別の態様においては、細孔サイズは約10nmから約100nmまでであってよい。尚も別の態様においては、細孔サイズは約10nmから約40nmまでであってよい。1つの更なる態様においては、細孔サイズは約20nmから約100nmまでであってよい。尚も別の更なる態様においては、細孔サイズは約20nmから約30nmまでであってよく、1つの特定の態様においては、細孔サイズは約25nmであってよい。更に、100nmから10ミクロンまでの比較的大きな細孔も作成することができる。そのような細孔は、例えばレーザーを用いて形成することができる。
【0032】
本半透膜は、ある与えられた用途に合わせて形成および設計することができる。例えば、細孔のサイズおよび膜がハウジング上をカバーしている露出表面積は、所望の送達速度、活性作用物質のサイズおよび他の要因に基づいて様々に変えることができる。1つの態様においては、その半透膜は、図1の(16)に示されているような、本装置のハウジングの「窓」部分であってよい。別の態様においては、その半透膜は、本装置の構造表面、例えば床、壁、天井もしくはそれらの一部などであってよく、または本装置の構造内に積層されていてもよい。1つの態様においては、図2に示されているように、活性作用物質レザバー28は本装置の内側の部分であってよく、そして、半透膜29がその活性作用物質レザバー上の「天井」または覆いであってよい。幾つかのケースにおいては、図2に示されているように、半透膜が本眼内装置の全表面を構成していてよい。1つの代替的な実施形態においては、環状ハウジングが全体的に、または実質的に全体的に半透膜であってよい。更に、眼に対する活性作用物質の一層均等な配分をもたらすため、半透膜材料を環状ハウジング周囲の複数の場所で使用することができ、または環状ハウジングの主要構造として使用することができる。場合によっては、メッシュ材料を環状ハウジングの外面上に重ねることもできる。尚も別の選択的実施形態においては、環状ハウジングを保護コーティング、例えばポリエチレングリコールなどでコーティングすることができる。そのような保護コーティングは、生体適合性を高め、嚢線維症を低減し、および/または別な仕方で本装置の性能を変えることができる。
【0033】
これまでに説明されているように、1つの態様においては、本レザバーは、実質的に液体または粘性体の形態で、活性作用物質レザバー内に活性作用物質を含有することができる。別の態様においては、本活性作用物質は、活性作用物質レザバー内の薬物マトリックス中に存在していてもよい。薬物マトリックスは当技術分野においては周知であり、様々なポリマー材料および非ポリマー材料を含むことができる。適切なマトリックス材料の非限定的な特定の例は、生分解性ポリマー(例えばPLGA、アルブミン)、コロイド懸濁液、ナノ粒子、マイクロ粒子、マイクロスフェア、ナノスフェア、ヒドロゲル、プライト、ポリカルボフィル、固体マトリックスなどを含む。更に、本活性作用物質は、これらに限定するものではないが、液体、スポンジ、ゼラチン状の形態、半固体、または固体の形態を含め、あらゆる形態でレザバー内に含まれていてよい。数多くの活性作用物質が種々の眼の状態を治療するための物質として知られているが、AMD(血管新生型または萎縮型)、緑内障、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、ブドウ膜炎、角膜移植拒絶反応、嚢線維症、後嚢の混濁化、網膜静脈閉塞症、感染症などの眼疾患の治療または予防において使用される幾つかの例は、Avastin、Timolol、Latanoprost、Brimonidine、NepafenacおよびLucentisなどの非限定的な活性作用物質を用いて治療することができる。活性作用物質の他の非限定的な例は、抗生物質、プレドニゾロン、フルオシノリドなどを含む。治療方式は、付加的に、ペガプタニブ(Macugen(登録商標))などの抗VEGFアプタマー、ラニビズマブ(Lucentis(登録商標))などの抗VEGF Fabフラグメント、様々な光線力学療法などを含むことができる。
【0034】
様々な弁装置が想定されおり、薬物レザバーへの充填を可能にしながら、その一方では弁を通じての望ましくない材料の漏出を防ぐことも可能にするあらゆるそのような材料または装置が本発明の範囲内であると見なされるべきである。例えば、1つの態様においては、本弁は膜に設けられたスリットとして構成することができ、前述のスリットは、針がそのスリットを通じて挿入されるのを可能にしながら、活性作用物質をレザバー内に収容するように機能することができる。別の態様においては、本弁は例えばシリコーン・エラストマーまたはポリウレタンゴムなどのエラストマー材料であってよく、このエラストマー材料は、針のアクセスを可能にし、且つ、その針が引っ込められるとすぐに再密封することができる。尚も別の態様においては、本弁は一方向三尖弁であってよく、この一方向三尖弁はレザバーへの再充填を容易化することができる。1つの更なる態様においては、本弁は蝶番弁であってよい。そのような受動型のマイクロバルブは、製造の複雑性を緩和する上で有効であり、且つ、レザバー内からの材料の喪失に対する充分な障壁を提供することができる。尚も別の態様においては、本弁は、レザバーを充填するためのアクセスを可能にするため、蝶番式のドア設計を組み入れることができる。更に、本弁は、意図的用途や針またはカニューレなどの充填器具の配置構成に依存して、様々なサイズであってよい。1つの態様においては、本弁の直径は、標準的な眼科用カニューレのアクセスを可能にするため、約0.016インチであってよい。本弁は、充填または再充填の直前のカニューレ挿入システムによる本装置の捕獲および安定化を可能にするためのドッキングシステムを組み入れることができる。
【0035】
本送達システムを製造するための幾つもの選択的な実施形態が存在する。これまでに述べられているように、本半透膜はハウジングとしても機能することができる。弁は、本装置の内部に配置し、所望の場所でその膜に結合、成形および/または溶融することができる。半透膜がハウジングでない場合には、弁は、化学結合法および/または光活性化結合法、成形法、積層化法、および/または溶融法を用いて半透膜またはハウジングのどちらかに取り付けることができる。結合法は、それらの構成要素間における共有結合を助長するための生体適合性接着剤を用いる工程または化学的活性化工程を含むことができる。半透膜は、ハウジングの窓に配置し、そのハウジングに結合、溶融および/または成形することができる。本ハウジングは、予め形成されている構造物(例えば、ワイヤーなど)の周りでそれを成形するか、または2つの鏡像関係にある半構造物(例えば、サンドイッチ型構造物など)を創り、その後、それらを一緒に結合して中空内部構造物を形成するかのいずれかにより創出することができる。コンピューター制御のナイフプロッター、熱エンボス加工、レーザー切断、ソフトリソグラフィー、射出成形などの技術を用いて、適切な金型および/またはハウジングを形成することができる。1つの選択的な製造方法は、PDMSコーティングされた両面テープをナイフプロッターで切断する工程を含むPDMSテープ法である。その膜は、これらに限定するものではないが、マイクロステレオ・リソグラフィー、電気化学ウェットエッチング、深部反応性イオンエッチング、イオン・ビーム・リソグラフィーなどを用いる接着またはクランピングを含め、数多くの技術のうちのいずれかを用いて、ハウジングに一体化し、密閉することができる。
【0036】
本発明の別の態様は、被験体の眼内へ活性作用物質を送達するためのシステムを提供する。図3に示されているように、そのようなシステムは、眼内レンズ32および活性作用物質送達装置34を含むことができる。その活性作用物質送達装置は、環状ハウジング内に配置された活性作用物質レザバー(ここで、前述の環状ハウジングは、上述の眼内レンズの視野方向36を少なくとも部分的に包囲している)、および前述の活性作用物質レザバーに動作可能に連結された半透膜(ここで、その半透膜は、前述の活性作用物質レザバーから活性作用物質を拡散させることができるように構成されている)を含むことができる。簡明化するため、上述の活性作用物質レザバーは図3には示されていないこと注意する必要がある。本装置は、更に、前述の活性作用物質レザバーに動作可能に連結された弁を含むことができ、ここで、その弁は活性作用物質レザバーを充填することができるように構成されている。図3は、更に、レンズ32を眼内に取り付けるために使用される取り付け用構造物38も示している。図3に示されている活性作用物質送達装置の配置は単なる例証であり、そのようなものとして、視野方向が実質的に妨げられないのであれば、代替的な配置も本発明の範囲内であると見なされることに留意すべきである。例えば、図3に示されているようにレンズの上側に配置するのではなく、本活性作用物質送達装置をレンズの下側に位置付けることもできる(図示せず)。
【0037】
本発明の尚も別の態様は、被験体の眼内へ活性作用物質を送達する方法を提供する。そのような方法は、被験体の眼に対して白内障除去手術を果たす工程を含むことができ、更に、被験体の眼から既存のレンズを取り除く工程、被験体の眼に眼内レンズを挿入する工程、および環状ハウジングが眼内レンズの視野方向を少なくとも部分的に包囲するような仕方でその眼内レンズと本明細書で記述されているとおりの装置とを連合させる工程を含むことができる。本送達装置は、眼内レンズに対する取り付けまたは取り外しが行われてよい。本送達装置は、眼の標的領域への活性作用物質の効果的な拡散を可能にするため、実際に接触させることにより、または充分な近傍に位置付けることにより連合させることができる。本送達装置はそれ自体が生分解性マトリックスまたはレザバーシステムであってよい。生分解性システムは、患者による点眼薬の使用が別に必要になる術後薬の短期間の/時限的な送達を可能にするためのルーチン的な白内障の手術で真価を発揮するであろう。取り除かれるレンズは、その眼の元来の天然レンズであってもよいし、または先の処置の結果としてその眼に以前挿入されたレンズであってもよい。
【0038】
本装置を眼内に連合させる数多くの方法が想定されている。例えば、1つの態様においては、本環状ハウジングは、眼に眼内レンズを挿入するのに先立って、その眼内レンズと連合させることができる。そのようなケースにおいては、外科的処置のあらゆる要件と適合するように環状ハウジングを構成することが必要であろう。例えば、白内障の手術は小さな切開部を通じて行われることが多い。1つの標準的な切開部のサイズは約2.75mmである;但し、この装置は、サイズがもっと小さな切開部またはもっと大きな切開部にも適合可能であり得る。そのようなものとして、本眼内レンズアセンブリは、この小さな開口を通じて挿入することが可能な形状に成すことができる。従って、本活性作用物質送達装置も、例えば形状、ならびにハウジングに対する弾力性および可撓性材料の選択により、眼内レンズアセンブリとともに挿入することができるように構成しなければならない。更に、本活性作用物質送達装置は、眼内レンズアセンブリを眼に挿入するのに先立って、そのアセンブリに対する物理的な連結または切り離しを行うこともできる。別の態様においては、眼球内へのレンズの挿入後、環状ハウジングを眼内レンズアセンブリと連合させることができる。先に白内障の手術を受けた患者の場合には、その嚢バッグは容易に再度開くことができる。従って、本送達装置の挿入は、眼内レンズを挿入する直前に果たすことができ、または別の処置として時間的に後で果たすこともできる。
【0039】
別の態様においては、本方法は、更に、活性作用物質レザバーを充填するための外部アクセスが可能になるように、眼に対して弁を特定の方向に向ける工程を含むことができる。活性作用物質レザバーは眼への挿入に先立って充填されてよく、または眼への挿入後にレザバーを充填することもできる。初回の挿入に関して言えば、環状ハウジングの特定の配置構成は、活性作用物質レザバーが満杯であることに付随する折り畳み限界のため、充填済みのレザバーを有する環状ハウジングを眼内に挿入する際の妨げとなり得る。そのような状況においては、眼への挿入後にレザバーを充填することが有益であり得る。更に、使い果たした活性作用物質レザバーは、本装置を再使用するための弁を通じて再充填することができる。そのようなものとして、充填用の簡単なアクセスが可能となるような配置構成に弁を配向することが有益であり得る。具体的に言えば、本発明の装置は、眼の硝子体または後区を介してではなく、眼の角膜前区の縁を通じる再充填を可能にすることができる。レザバーのサイズおよび活性作用物質の性状に依存して、本活性作用物質送達装置は、再充填が必要となる前に、6カ月間まで、または1年間まで薬物を送達することができる。固有の送達速度および時間は、レザバーのサイズ、膜のタイプ、薬物マトリックスの選択、および/または様々な他の要因の影響を受け得る。挿入された本送達装置の長期的な使用を補完するため、詰め替え用のカニューレおよび/または予め包装された薬物−マトリックス−レザバー材料を準備することもできる。
【0040】
別の態様においては、本装置は剛性であってもよいし、または可膨張式であってもよく、即ち、本装置は、水晶体嚢内へ挿入する前には折り畳むことができ、その後、本来の位置において、薬物マトリックスで膨張させることができる。
【実施例】
【0041】
実施例1:
35匹のウサギに対して、眼内レンズ(Acrysof SA60AT;Alcon)の植え込みを伴う、標準的な透明な角膜の水晶体超音波乳化吸引術を実施した。それぞれの手術時に、活性作用物質を含有する眼内装置をそれぞれのウサギの水晶体嚢内に挿入した。それらのウサギは、眼内装置内の活性作用物質に応じて、4つのグループに分けられた。装置には、5−15mgのAvastin、Timolol、BrimonidineまたはLatanoprostのいずれかが充填された。各グループを審査し、その眼内装置およびレンズの安定性、嚢線維症、ならびに白内障創傷および前区の治癒状態を決定した。眼球のサブグループを週に1回、炎症について4週間評価し、嚢およびCDRの完全性を組織病理学的に評価するため、1カ月経過時点で採取した。
【0042】
実施例2:
房水穿刺および硝子体穿刺を2週間に1回実施し、HPLCおよび/またはELISAにより薬物濃度を検定した点を除き、実施例1で説明されている手術および準備を繰り返した。それぞれの薬物グループにおいて、1カ月経過時点で片方の眼球を採取し、もう片方の眼球を2カ月経過時点で採取した。この処置は次のようにして果たされた:ウサギを屠殺して眼球を摘出した後すぐに、眼組織内における薬物の揺動および再分布を防ぐため、その眼球を液体窒素内で凍結させた。その後、眼球を3つのパート(房水、硝子体および網膜/脈絡膜層)に切り分け、解剖学的な毒性および組織の薬物濃度を評価した。眼内装置を回収し、残存する薬物量を評定した。異なる送達方法の直接的な比較で、本眼内装置の分布プロフィールを従来の2.5mg/0.1cc Avastin(登録商標)の硝子体内注射の場合と比較した。
【0043】
2カ月および4カ月経過時点で、残存するサブグループのウサギから眼球を摘出し、10%のホルマリンで固定し、パラフィン中に包埋し、段階的に切片化し、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)で染色し、組織学的な変化について調べた。
【0044】
実施例3:
3つの眼内装置を水晶体摘出(水晶体超音波乳化吸引術)後の全身麻酔下におけるニュージーランド白ウサギの眼球に植え込んだ。そのうちの2つの装置にはAvastinが充填され、残りの1つには対照として造影剤Galbuminが充填された。眼内装置の位置が適正であることがMRIならびに臨床検査によって確認された。
【0045】
これらのウサギを屠殺し、植え込みしてから1週間後に眼球を摘出して検定した。Avastinは、ELISAにより、網膜および硝子体中において24〜48mcg/mLの濃度で検出され、対照のウサギの眼球には存在しなかった。図4は、植え込みしてから1週間後における、眼の各部位ごとに検定されたAvastinの量を示している。
【0046】
上述の配列は本発明の原理の例証的な適用例にすぎないことを理解すべきである。当業者であれば、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、数多くの変更および代替的な配列を案出することが可能であろう。従って、これまでは、本発明を、現時点で最も現実的であると考えられるものや本発明の好適な実施形態との関連における特殊性および詳細事項を伴って説明してきたが、当業者にとっては、これらに限定するものではないが、サイズ、材料、形状、形態、機能および作動様式、アセンブリ、ならびに使用における様々なバリエーションを含め、本明細書で説明されている原理および概念から逸脱することなく、数多くの変更を成し得ることが明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼活性作用物質送達装置であって、
環状ハウジング内に配置された活性作用物質レザバーであって、前記環状ハウジングが水晶体嚢の内側に適合し、且つ、水晶体嚢内における眼内レンズの視野方向を少なくとも部分的に包囲するように構成されている、活性作用物質レザバー;
前記活性作用物質レザバーに動作可能に連結された半透膜であって、前記半透膜が前記活性作用物質レザバーから長期間にわたって活性作用物質を拡散させることが可能なように構成されている、半透膜;および
前記活性作用物質レザバーに動作可能に連結された弁であって、前記弁が前記活性作用物質レザバーに活性作用物質を充填することが可能なように構成されている、弁;
を含む、眼活性作用物質送達装置。
【請求項2】
前記活性作用物質レザバーが少なくとも1つの活性作用物質を含有している、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記活性作用物質レザバーが活性作用物質マトリックスを含有しており;前記マトリックスが、前記半透膜とともに、前記長期間にわたる前記活性作用物質の持続放出および安定性を可能にしている、請求項1記載の装置。
【請求項4】
更に、前記環状ハウジング内に配置された少なくとも1つの二次的活性作用物質レザバーを含んでいる、請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの二次的活性作用物質レザバーが少なくとも1つの活性作用物質を含有している、請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記環状ハウジングが外側円周面および内側円周面を有しており、ここで、前記外側円周面が実質的に四角形化されている、請求項1記載の装置。
【請求項7】
更に、前記活性作用物質レザバーに動作可能に連結された浸透圧ポンプを含んでおり、前記浸透圧ポンプが前記活性作用物質レザバーからの活性作用物質の送達を容易にするように構成されている、請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記環状ハウジングが不完全な円形を形成している、請求項1記載の装置。
【請求項9】
活性作用物質を被験体の眼内へ送達するためのシステムであって、
眼内レンズ;
活性作用物質送達装置であって、
環状ハウジング内に配置された活性作用物質レザバーであって、前記環状ハウジングが前記眼内レンズの視野方向を少なくとも部分的に包囲している、活性作用物質レザバー;
前記活性作用物質レザバーに動作可能に連結された半透膜であって、前記半透膜が前記活性作用物質レザバーから活性作用物質を拡散させることが可能なように構成されている、半透膜;および
前記活性作用物質レザバーに動作可能に連結された弁であって、前記弁が前記活性作用物質レザバーの充填を可能にするように構成されている、弁;
を含んでいる活性作用物質送達装置;
を含む、システム。
【請求項10】
前記環状ハウジングが前記眼内レンズに連結される、請求項9記載のシステム。
【請求項11】
前記活性作用物質レザバーが少なくとも1つの活性作用物質を含有している、請求項9記載のシステム。
【請求項12】
更に、前記環状ハウジング内に配置された少なくとも1つの二次的活性作用物質レザバーを含んでおり、ここで、前記少なくとも1つの二次的活性作用物質レザバーが少なくとも1つの活性作用物質を含有している、請求項9記載のシステム。
【請求項13】
前記活性作用物質送達装置が無縫合型である、請求項9記載のシステム。
【請求項14】
前記環状ハウジングが外側円周面および内側円周面を有しており、ここで、前記外側円周面が実質的に四角形化されている、請求項9記載のシステム。
【請求項15】
更に、前記活性作用物質レザバーに動作可能に連結された浸透圧ポンプを含んでおり、前記浸透圧ポンプが前記活性作用物質レザバーからの活性作用物質の送達を容易にするように構成されている、請求項9記載のシステム。
【請求項16】
前記活性作用物質レザバーが生分解性材料を含んでいる、請求項9記載のシステム。
【請求項17】
前記活性作用物質送達装置が更にコーティングを含んでいるか、または嚢線維症もしくは混濁化を抑制する材料で形成されている、請求項9記載のシステム。
【請求項18】
更に、再充填の必要性を指示するための前記装置内の薬物のレベル、眼内圧および疾患の眼内マーカーのうちの少なくとも1つを検出するように構成されたバイオセンサーを含んでいる、請求項9記載のシステム。
【請求項19】
活性作用物質を被験体の眼内へ送達する方法であって:
前記被験体の前記眼に対して白内障除去手術を実施する工程を含み、更に;
前記被験体の前記眼から既存のレンズを取り除く工程;
前記被験体の前記眼に眼内レンズを挿入する工程;および
請求項1記載の装置を、前記環状ハウジングが前記眼内レンズの視野方向を少なくとも部分的に包囲するような仕方で、前記眼内レンズと連合させる工程;
を含む、活性作用物質の送達方法。
【請求項20】
更に、前記眼内レンズを前記眼に挿入する工程に先立って、前記環状ハウジングを前記眼内レンズと連合させる工程を含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記環状ハウジングを前記眼内レンズと連合させる工程が、更に、前記環状ハウジングを前記眼内レンズに連結する工程を含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
更に、前記眼内レンズを前記眼に挿入する工程の後に、前記環状ハウジングを前記眼内レンズと連合させる工程を含む、請求項19記載の方法。
【請求項23】
更に、前記眼の角膜前区の縁を通じて前記活性作用物質レザバーを充填するための外部アクセスを可能にするために、前記眼に関して弁を特定の方向に向ける工程を含む、請求項19記載の方法。
【請求項24】
眼の状態を処置する方法であって、請求項1記載の装置を用い、前記環状ハウジングが眼内レンズの視野方向を少なくとも部分的に包囲するような仕方で、前記装置を前記眼の前記眼内レンズと連合させる工程;および前記活性作用物質レザバーに活性作用物質を充填する工程;により、前記眼に前記活性作用物質を投与する工程を含む、眼の状態の処置方法。
【請求項25】
前記眼の状態がAMD、緑内障、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、ブドウ膜炎、角膜移植拒絶反応、嚢線維症、後嚢の混濁化、網膜静脈閉塞症および感染症のうちの少なくとも1つである、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記活性作用物質がAvastin、Timolol、Latanoprost、Brimonidine、Nepafenac、Lucentis、抗生物質、プレドニゾロン、フルオシノリド、抗VEGFアプタマー、抗VEGF Fabフラグメントおよびインテグリン拮抗物質のうちの少なくとも1つを含む、請求項24記載の方法。
【請求項27】
前記活性作用物質レザバーを充填する工程が前記装置を前記眼内レンズと連合させる工程の後に行われる、請求項24記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−519711(P2011−519711A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509612(P2011−509612)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/043566
【国際公開番号】WO2009/140246
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(506051429)ユニバーシティ オブ ユタ リサーチ ファウンデーション (25)
【Fターム(参考)】