説明

着色剤組成物

本発明は、単分散粒子内に封入された少なくとも1種の広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体を含む新規な単分散粒子と、新規な着色剤組成物と、基材の着色におけるその使用と、着色剤組成物を使用して着色される(少なくとも部分的に)基材とに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単分散粒子内に封入される、少なくとも1種の広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体を含む、新規な単分散粒子と、新規な着色剤組成物と、基材を着色する際のその使用と、着色剤組成物を使用して着色される(少なくとも部分的に)基材とに関する。
【背景技術】
【0002】
発色団は、色を与える材料である。色は、典型的には光の吸収または放出と、光子エネルギーの損失によって生成される。
【0003】
例えば、可視光の波長に一致した寸法を有する非常に規則的な構造によって光が反射しかつ/または回折する場合は、色を構造効果によって生成することもできる。そのような構造は、異なる角度から見たときに異なる色を示すことができ、この効果は、「構造色」として当技術分野で知られている。このように生成された色の例は、自然界に見出すことができ、例えば一部のチョウの羽、クジャクの羽毛、ウミネズミの毛、およびオパールなどの半貴宝石に見出すことができる。
【0004】
構造効果によって色を生成するための組成物は、知られている。例えば米国特許第6756115号は、単分散球体と、この単分散球体の間の空間を部分的にまたは完全に占有する1つまたは複数のタイプのより小さいコロイド粒子とを含む、乳光効果を発揮する粒子マトリックスについて述べており、このより小さいコロイド粒子は、所定の色彩効果を実現しかつマトリックスを1つに結合するために、球体と球体間の媒体との屈折率比を調節するものである。
【0005】
Muller他(Chem.Mater.2000、12、2508〜2512)は、不完全な光バンドギャップ構造および関連した染料光ルミネセンススペクトルの修正を示す、染料を浸透させたポリ(メチルメタクリレート)オパール質フォトニックフィルムについて述べている。Muller他で使用された染料は、可視光を吸収しない蛍光染料である。
【0006】
WO2005/063902は、担体液体および単分散粒子を含む、インクジェット組成物について述べている。単分散粒子は、基材表面に3D最密充填正規球状構造に配列することによって、基材表面に付着すると、3Dフォトニック結晶を形成する。WO2005/063902の一実施例では、黒色インクを光沢紙またはaveryビニルに印刷し、次いでポリメチルメタクリレート粒子を含むインク(しかし染料/顔料は含まない)で重ね刷りする。
【0007】
米国特許第6818051号は、乳光効果を発揮する粒子について述べている。粒子は、ドメインに関しては最密充填されておりかつ物理的または化学的修正によって機械的に安定化した3Dの規則正しく配列された構造内に、単分散球体を含む。
【0008】
米国特許第6337131号は、コアシェル粒子について述べており、このコアおよびシェルは、シェル材料がフィルム形成可能であり、またコアがシェルフィルム形成条件下で本質的に形状安定性でありかつシェル材料によって最小限にしか膨潤することのできない、2相系を形成することが可能なものである。コアおよびシェルの材料は、特定の屈折率差を有する。米国特許第6337131号は、コアシェル粒子が暗色基材に付着したときに、印象的な角度依存性の色変化を得ることに言及している。
【0009】
米国特許第6894086号は、マトリックス内に保持された、規則正しく周期的な粒子配列を含む着色剤であって、このマトリックスおよび粒子が屈折率に特定の差を有する着色剤を開示する。米国特許第6894086号の一実施例では、着色剤を黒色ベースコート上に塗布した。
【特許文献1】米国特許第6756115号
【特許文献2】WO2005/063902
【特許文献3】米国特許第6818051号
【特許文献4】米国特許第6337131号
【特許文献5】米国特許第6894086号
【特許文献6】米国特許第6800709号
【特許文献7】米国特許第4775520号
【特許文献8】米国特許第4911903号
【特許文献9】米国特許第5540951号
【特許文献10】US2006002875
【特許文献11】WO2006/045567
【非特許文献1】Muller他、Chem.Mater.2000、12、2508〜2512
【非特許文献2】M.Egen、R.Zentel、Macromol.Chem.Phys. 2004、205、1479〜1488
【非特許文献3】Stober、Fink、およびBohn、J.Colloid Interface Sci. 1968、26、62
【非特許文献4】Bogush他、J.Non-Crys.Solids 1988、104、95
【非特許文献5】Zentel他、Chemistry of Materials、12(8): 2508
【非特許文献6】Denkov他、「Two-Dimensional Crystallization」、Nature、Vol.361、p.26(1993)
【非特許文献7】Jiang他、「Template-Directed Preparation of Macroporous Polymers with Oriented and Crystalline arrays of Voids」、Journal of the American Chemical Society、Vol.121、pp.11630〜11637(1999)
【非特許文献8】Nagayama他、J.Phys.: Condens.Matter; 1994(6)、A395
【非特許文献9】Colvin他、Phys.Rev.B; 2001(64)、205103
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述の従来技術の文書はどれも、本明細書で定義された広域スペクトル吸収体造影剤を含む着色剤組成物、即ち可視光の波長に相当する範囲の波長を有する光の実質的に全てを吸収しかつ/または有機物である着色剤組成物について、開示していない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等はついに、単分散粒子内に封入される、少なくとも1種の広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体を含む、新規な単分散粒子を提供した。そのような、封入された単分散粒子は、例えば上記にて論じた従来技術の組成物に比べ、高い構造色彩効果を発揮する着色剤組成物をもたらす。
【0012】
本発明の単分散粒子は、生成するのが容易である。したがって、取扱いが容易であり、それほど規則正しくない結晶が単分散粒子から形成される場合であっても色彩効果は優れている。
【0013】
本発明の一態様によれば、少なくとも1種の広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体が粒子内に封入されている、コロイド結晶を形成することが可能な単分散粒子が提供される。
【0014】
単分散粒子は、同じ材料から形成してよく、またはこの粒子は異なる材料から形成してもよい。
【0015】
本発明の別の態様によれば、少なくとも1種の広域スペクトル吸収体造影剤が粒子内に封入されている、コロイド結晶を形成することが可能な単分散粒子が提供される。
【0016】
本発明の別の態様によれば、広域スペクトル吸収体造影税の少なくとも1種の前駆体が粒子内に封入されている、コロイド結晶を形成することが可能な単分散粒子が提供される。
【0017】
「単分散粒子」という用語は、粒子の少なくとも60%が指定された粒度範囲内に含まれている粒子を意味する。例えば単分散粒子は、好ましくは2乗平均平方根(rms)が10%未満ずれており、より好ましくはrms直径が5%未満ずれている直径を有する。
【0018】
「封入された」という用語は、広域スペクトル吸収体造影剤、および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体が、単分散粒子内に閉じ込められまたは埋め込まれることを意味する。広域スペクトル吸収体造影剤、および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体は(多かれ少なかれ)、単分散粒子内に均一に分布される。これは、主に単分散粒子の一部では濃縮されないことを意味する。
【0019】
典型的な場合、単分散粒子は、可視光の波長に相当する範囲内の波長を有する光を、反射しかつ/または回折するコロイド結晶を形成することが可能である。
【0020】
通常、封入された広域スペクトル吸収体造影剤を含有する多分散粒子は、
(i)単分散粒子5〜95重量%(wt%)、および
(ia)単分散粒子内に封入される、少なくとも1種の広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体95〜5重量%
を含む。
【0021】
重量パーセンテージは、広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体を含む単分散粒子の全重量を基にする。したがって、(i)と(ia)の重量%の和は100%であることが明らかである。
【0022】
適切な単分散粒子は、典型的には約1μm未満でありかつ約1nm超であるrms直径を有し、したがって「ナノ粒子」として分類される。特に単分散粒子は、150nm超、好ましくは200nm超のrms直径を有してよい。好ましくは単分散粒子は、900nm未満のrms直径を有してよく、好ましくは800nm未満である。より好ましくは、単分散粒子のrms直径は、200nmから550nmの範囲内である。
【0023】
本発明の着色剤組成物に使用するのに適した単分散粒子は、様々な幾何形状を有するものでよい。その粒子は、任意の幾何学的な形を有することができる。
【0024】
例えば単分散粒子は、針、プレート、および/またはロッドとして成形してよく、かつ/あるいは実質的に球状でよい。単分散粒子の形状は、本発明の着色剤組成物におけるその有効性に著しい影響を及ぼさない。
【0025】
本発明による単分散粒子は、コア/シェルのない粒子である。コア/シェル粒子は、(少なくとも)2層、コアおよびシェルからなるのに対し、本発明の粒子は、1層からなるだけである。広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体は、単分散粒子の中央(または単分散粒子の別の部分)で濃縮されない。単分散粒子全体に分布される。通常は、その内部に均一に分布する。
【0026】
したがって、本発明の別の実施形態は、少なくとも1種の広域スペクトル吸収体が封入されかつ広域スペクトル吸収体造影剤が単分散粒子全体にわたって分布している、単分散粒子に関する。
【0027】
本発明の一態様では、単分散粒子は実質的に球状である。「実質的に球状」という用語は、粒子が球状またはほぼ球状であることを意味する。言い換えれば、当業者に理解されるように、この態様において粒子は全てが真球であるとは限らない。
【0028】
本発明の着色剤組成物に使用するのに適した単分散粒子は、有機および無機材料を含めた任意の適切な材料から作製してよい。例えば、適切な有機材料には、ラテックス、ポリスチレン、ポリ(酢酸ビニル)、ポリアクリロニトリル、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ(メチルメタクリレート)、およびポリ(フルオロメチルメタクリレート)粒子などの有機ポリマー粒子、これらのヒドロゲルコロイドおよび共重合体:ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリル酸)ヒドロキシプロピルセルロース、デキストランポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、およびデキストランヒドロキシルプロピルセルロースが含まれる。また、前述のポリマーのモノマー単位を含むコポリマーも同様に、本発明で使用することができる。
【0029】
適切な無機材料には、金属カルコゲナイド、金属プニクチド、シリカ、金属、および金属酸化物粒子が含まれる。適切な金属酸化物の例には、例えば、Al2O3、TiO2、SnO2、Sb2O5、Fe2O3、ZrO2、CeO2、およびY2O3が含まれる。適切な金属の例には、例えば金、銅、および銀が含まれる。
【0030】
「金属カルコゲナイド」という用語は、元素周期表(制定されたIUPAC命名法による)の第16族からの陰イオン、即ち酸素、硫黄、セレニウム、テルリウム、およびポロニウムで形成された金属化合物を意味する。
【0031】
「金属プニクチド」という用語は、元素周期表(制定されたIUPAC命名法による)の第15族からの陰イオン、即ち窒素、リン、ヒ素、アンチモン、およびビスマスで形成された金属化合物を意味する。
【0032】
本発明の一態様では、単分散粒子は、上記列挙したような有機ポリマー粒子を含む。特に単分散粒子は、ポリチレンおよびポリ(メチルメタクリレート)から選択される有機ポリマーを含んでよい。そのような有機ポリマー粒子は、調製するのが容易であり、かつ広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体を容易にドープして(例えば界面活性剤を含まない乳化重合によって)、即ち造影剤が封入されるようにすることができるので、有利である。これは、造影剤の濃度の効果的な制御を可能にする。
【0033】
単分散粒子は市販されており、当技術分野で知られている方法によって調製することができる。
【0034】
有機ポリマー粒子から作製された単分散粒子は、乳化、分散、または懸濁重合を使用して、分散液として調製することができる。
【0035】
例えば米国特許第6800709号は、シクロデキストリンの存在下、水をベースにした系での疎水性モノマーのフリーラジカル重合または共重合による、狭い粒度分布を有する単分散粒子の調製について述べている。適切な疎水性モノマーには、スチレン類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリレート、メタクリレート、メタクリルアミド、アクリルアミド、マレイミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、モノアルキルマレエート、ジアルキルマレエート、フッ素化アクリレート、およびフッ素化メタクリレートが含まれる。
【0036】
単分散ポリ(メチルメタクリレート)複合体は、M.Egen、R.Zentel(Macromol.Chem.Phys. 2004、205、1479〜1488)により記載されているプロセスに従って調製してもよく、またはDuke Scientific Corporationから市販されている。
【0037】
広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体は、単分散粒子内に封入される場合、この単分散粒子は、典型的には広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体の存在下で形成される。例えば、少なくとも1種の広域スペクトル吸収体造影剤(染料など)および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体を封入する単分散有機ポリマー粒子(ポリスチレンまたはポリ(メチルメタクリレート)粒子など)は、以下により詳細に論じるように、界面活性剤を含まない乳化重合を使用して調製してもよい。
【0038】
シリカ粒子など、無機材料から作製された単分散粒子は、ゾルゲル法を使用して分散体として調製してもよい。
【0039】
例えば、単分散シリカ球体は、Stober、Fink、およびBohn(J.Colloid Interface Sci. 1968、26、62)による周知のプロセスに従って調製することができる。このプロセスは、後にBogush他(J.Non-Crys.Solids 1988、104、95)により改良された。あるいはシリカ粒子は、Blue Helix,Limitedから購入することができ、または米国特許第4775520号および米国特許第4911903号に記載されるプロセスによって、新たに調製することができる。
【0040】
単分散シリカ球体は、水性アンモニア媒体中での、テトラアルコキシシランの加水分解重縮合によって生成してもよく、1次粒子のゾルがまず最初に生成され、次いで得られたシリカ粒子が、テトラアルコキシシランの連続的な制御された添加によって所望の粒度になる。このプロセスによれば、0.05から10μmの間の平均粒径を有しその標準偏差が7%未満である、単分散シリカ球体を生成することが可能である。
【0041】
単分散粒子の表面は、様々な効果が実現されるように改質してもよい。単分散粒子の表面の基は、化学反応を行うことによって改質しかつ/または変化させてもよい。例えば単分散粒子は、カルボン酸基、硫酸基、またはアミン基などの荷電官能基を保持するように改質してもよい。そのような改質は、当業者に周知であろう。
【0042】
「広域スペクトル吸収体造影剤」という用語は、
(a)可視光の波長に相当した範囲内の波長を有する、実質的に全ての光を吸収し、
(b)拡散光を除外する
化合物を意味する。
【0043】
本発明に照らして考えると、「広域スペクトル吸収体造影剤」という用語は、単一の広域スペクトル吸収体造影剤と同じ吸収特性を有する、化合物の混合物も含む。そのような混合物は、依然として拡散光を除外しなければならない。これは、そのような混合物の単一の化合物それぞれが、明確な領域の光のみ吸収し、かつこれら化合物の組合せのみが広域スペクトル吸収体を提供することを意味する。
【0044】
したがって、本発明の別の実施形態は、広域スペクトル吸収体造影剤が化合物の混合物であり、その混合物が単一の広域スペクトル吸収体造影剤と同じ吸収特性を有し、その混合物が粒子内に封入されている、コロイド結晶を形成することが可能な単分散粒子にも関する。
【0045】
以下の記述において、「広域スペクトル吸収体造影剤」という用語は、単一の化合物または化合物の混合物を常に意味する。
【0046】
広域スペクトル吸収体造影剤の前駆体材料を封入することも可能である。前駆体は、エネルギーの形(光(UV)、熱など)を使用することによって、広域スペクトル吸収体造影剤に変換される。この変換は、通常、封入プロセスの後に生じる。
【0047】
本発明に適した前駆体は、金属塩であり、好ましくは硝酸塩やハロゲン化物などの親水性金属塩である。好ましいハロゲン化物は、F、Cl、またはIであるが、Clは最も好ましいハロゲン化物である。
【0048】
金属は、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、貴金属、希土類金属、または遷移金属である。適切な金属は、例えばK、Ca、Sr、Ba、Zn、Pb、Fe、Ni、Co、Cr、Cu、Mn、Sn、Al、Ag、Mg、Au、およびCdである。Ca、Mg、Al、Ag、およびZnが好ましい。非常に適切な金属塩は、硝酸Ag、ハロゲン化Ag、硝酸Fe、およびハロゲン化Fe(特にFeCl2およびFeCl3)である。
【0049】
一例として、AgNO3は、コロイド銀に変換される。複数の前駆体を使用することも可能である。
【0050】
別の例として、FeCl2ならびにFeCl3は、Fe3O4に変換される。
【0051】
さらに、必要とされる広域スペクトル吸収体造影剤特性を有する、1種または複数の前駆体と後に混合物を形成する別の化合物を、使用することも可能である。以下の記述において、「広域スペクトル吸収体造影剤の前駆体」という用語は、単一の化合物または化合物の混合物を常に表す。
【0052】
これにより、純粋な材料として、広域スペクトル吸収体造影剤は、人の眼に黒色または暗色(例えば濃青色または濃紫色)に見えるように十分な光を吸収することを意味する。例えば広域スペクトル吸収体造影剤は、380から780nmの範囲の波長を有するほとんどの(特に全ての)光を吸収する。より具体的には、広域スペクトル吸収体造影剤は、380から780nmの範囲内の波長を有する光の少なくとも90%(好ましくは少なくとも95%、より好ましくは100%)を吸収する。
【0053】
「広域スペクトル吸収体造影剤」という用語は、可視光の波長に相当する範囲の波長を有する実質的に全ての光を吸収しない(したがって、純粋な材料として、ヒトの眼に黒色または暗色に見えない)薬剤を、包含するものではない。この用語は、単一の蛍光染料や単一の顔料など、単一の蛍光剤を包含するものでもない。しかし例えば、種々の吸収極大を有し、これら極大値の添加が広域スペクトル吸収体特性を有する、様々な顔料の混合物を封入することが可能である。
【0054】
「有機広域スペクトル吸収体造影剤」という用語は、炭素、水素、酸素、窒素、および/または硫黄から選択される原子のみ含有する造影剤を意味する。「無機広域スペクトル吸収体造影剤」という用語は、金属原子を含有する造影剤を意味する。
【0055】
本発明の組成物において、広域スペクトル吸収体造影剤は、典型的にはコロイド結晶によって拡散されまた可視光の波長に相当する範囲内の波長を有する光の、実質的に全てを吸収する。本明細書に定義された広域スペクトル吸収体ではない造影剤は、拡散光の実質的に全てを吸収しない。吸収されない拡散光は、コロイド結晶による可視光の直接反射および/または回折によって引き起こされた構造的色彩効果を弱める。
【0056】
広域スペクトル吸収体造影剤は、例えば、本発明の特許出願で定義される広域スペクトル吸収体造影剤の要件を満たす、染料または顔料、あるいは染料の混合物または顔料および染料の混合物、ならびに顔料および染料の混合物でよい。「染料」は、一般に、この染料が付着する基材に対して親和性を有し、一般に溶液または油の形をとる。「顔料」は、一般に、この顔料が付着する基材に対して親和性がなく、固体の形をとる。当業者に理解されるように、造影剤の正確な物理形態は、本発明に必須ではなく、この物理形態は、適切な基材への着色剤組成物の付着によって変えることができる。
【0057】
広域スペクトル吸収体造影剤は、単分散粒子内に封入される。広域スペクトル吸収体造影剤は、典型的には、コロイド結晶が形成される前に単分散粒子内に封入される。
【0058】
広域スペクトル吸収体造影剤は、任意の適切な方法で単分散粒子内に封入してよい。例えば、広域スペクトル吸収体造影剤の個々の粒子は、単分散粒子内に埋め込むことができる。本明細書において、単分散粒子内への造影剤の封入について述べた場合、それは前述の封入方法のただ1つまたは2つ以上による封入を指すものとする。
【0059】
広域スペクトル吸収体造影剤が単分散粒子内に封入される場合、生成された色は長く続く。さらに、造影剤の封入では、例えば任意の有毒なまたは望ましくない広域スペクトル吸収体造影剤材料が単分散粒子内に閉じ込められるので、したがって基材に着色剤組成物を付着させたときに環境に放出されないので、環境上の利点をもたらす。
【0060】
広域スペクトル吸収体造影剤または広域スペクトル吸収体造影剤と同じ性質を有する化合物の混合物を封入するための方法は、知られており、任意のそのような適切な方法を、本発明の着色剤組成物を調製するのに使用してよい。
【0061】
広域スペクトル吸収体造影剤は、重合が適切な造影剤の存在下で実施される界面活性剤無添加乳化重合(SFEP)法を使用して、単分散粒子内に封入してよい。例えばZentel他(Chemistry of Materials、12(8): 2508)は、単分散有機ポリマー粒子が、水溶性染料の存在下、界面活性剤無添加乳化重合(SFEP)法で生成されることについて述べている。SFEP法は、典型的には、粒度分布が狭く(即ち、7%未満の標準偏差を有する)かつ凝集が阻止されるように静電反発力を生成する表面電荷を有する、実質的に球状のポリマー粒子を生成する。SFEP法は、典型的には、存在する場合にコロイド結晶の形成が困難になるように(例えば、沈降または自己集合法によって)粒子を1つに結合することのできる、乳化剤が存在しない状態でも実施される。
【0062】
水不溶性の広域スペクトル吸収体造影剤は、適切な油の中で単分散粒子を乳化することにより、単分散粒子に封入してもよい。この場合、単分散粒子は、さらに油を封入してもよい。
【0063】
当業者に理解されるように、単分散粒子は、任意の適切な広域スペクトル吸収体造影剤を含んでよい。本発明の一態様では、単分散粒子は、有機物である広域スペクトル造影剤を含む。
【0064】
本発明の別の態様は、
(i)コロイド結晶を形成することが可能な単分散粒子、および
(ia)単分散粒子内に封入される、少なくとも1種の有機広域スペクトル吸収体造影剤
に関する。
【0065】
本発明の別の態様では、単分散粒子は、無機物である広域スペクトル吸収体造影剤を含む。
【0066】
本発明の別の態様は、
(i)コロイド結晶を形成することが可能な単分散粒子、および
(ia)単分散粒子内に封入される、少なくとも1種の無機広域スペクトル吸収体造影剤
に関する。
【0067】
適切な広域スペクトル吸収体造影剤には、アリザリンブルーブラックおよびブリリアントブルーブラックなどの染料、ならびにカーボンブラック(例えば、Purex(登録商標)LS 35およびCorax(登録商標)N 115など、Degussa製カーボンブラック製品系列)および酸化鉄ブラックなどの顔料が含まれる。
【0068】
本発明の別の態様は、
(i)コロイド結晶を形成することが可能な単分散粒子、および
(ia)単分散粒子内に封入される、アリザリンブルーブラックおよびブリリアントブルーブラック、ならびにカーボンブラック(例えば、Purex(登録商標)LS 35およびCorax(登録商標)N 115など、Degussa製カーボンブラック製品系列)および酸化鉄ブラックなどの顔料からなる群から選択される、少なくとも1種の広域スペクトル吸収体造影剤
を含む単分散粒子に関する。
【0069】
本発明の単分散粒子は、例えば基材への着色剤組成物の付着によって、コロイド結晶を形成することが可能である。本発明の別の関連ある態様では、着色剤組成物は、単分散粒子から形成されたコロイド結晶を含むことができる。典型的には、コロイド結晶は、可視光の波長に相当する範囲の波長を有する光を、反射しかつ/または回折する。典型的には、コロイド結晶による光のいくらかの拡散もある。
【0070】
誤解を避けるため、可視光の波長は、例えば380から780nmの範囲内である。このように、コロイド結晶は、人の眼には着色して見える。
【0071】
誤解を避けるため、本明細書で「コロイド結晶」と言うときは、1つまたは複数のコロイド結晶に関するものとする。
【0072】
「コロイド結晶」という用語は、実質的に規則的なまたは一定の空間を間に有する、単分散粒子の規則的な配列を意味する。このように、単分散粒子の配列は、連続相(またはマトリックス)内に配列された分散相を形成する。連続相(またはマトリックス)は、分散相に対して異なる屈折率を有する気体、液体、または固体を含んでよい。
【0073】
しかし、当業者に理解されるように、コロイド粒子はいくらかの不純物および/または欠陥を含有してよい。不純物および/または欠陥のレベルは、典型的には使用される材料および調製方法に依存することになる。
【0074】
「コロイド結晶」という用語は、「超格子」という用語と同じ意味を有する。コロイド結晶または超格子は、内部を伝搬する電磁波のエネルギー帯構造の形成をもたらす、誘電体材料の2Dまたは3D周期的配列を特徴とする光学的な人工構造である、フォトニック結晶のタイプである。
【0075】
上記にて論じたように、コロイド結晶は、人の眼には着色して見える。言い換えれば、コロイド結晶は、可視スペクトルの光を反射しかつ/または回折する。
【0076】
人の眼によって観察された結晶の1つまたは複数の色は、主に2つの因子に依存する。これらの因子は、コロイド結晶内の格子間隔と、分散および連続相の屈折率である。これらの因子の両方は、コロイド結晶によって反射されかつ/または回折された光の波長に影響を及ぼす。
【0077】
格子間隔は、単分散粒子のサイズなどの因子によって決定される。例えば、250から510nmの範囲内のrms直径を有する単分散粒子は、青および赤から緑および黄色に及ぶ色を有するコロイド結晶を形成するのに使用することができる。格子間隔は、結晶の異なる軸において異ならせることができるので、コロイド構造は、異なる角度から見たときに異なる色を有することができる。少なくとも1つの軸における格子間隔が、可視スペクトルの波長を有する光の反射および/または回折をもたらすならば、コロイド結晶は、人の眼に着色して見えることになる。
【0078】
コロイド結晶は(形成されると)、可視光の波長に相当する範囲内で、少なくとも1つの軸において格子間隔を有してよい。好ましくは、少なくとも1つの軸における格子間隔は、380から700nmの範囲内である。
【0079】
上記にて分散および連続相の屈折率と言った場合、それは特に、分散および連続相の間の屈折率の差に関するものとする。これは、2つの相の屈折率の比である「屈折率コントラスト」として知られている。
【0080】
単分散粒子からコロイド結晶を形成する方法は、当技術分野で知られている。例えば、沈降または自己集合法を使用してもよい。
【0081】
コロイド結晶を形成する沈降法は、単分散粒子の溶液または懸濁液を、適切な入れ物または容器内の適切な担体または溶媒中に置くステップと、次いでこの入れ物または容器内に沈降するときに、単に単分散粒子でコロイド結晶を形成させるステップとを含む。
【0082】
沈降法は、重力によって促進される。重力は、分散液中の単分散粒子のブラウン運動を相殺する。臨界体積量よりも高いと(例えば、約50体積%超)、無秩序な液相とより稠密なコロイド結晶相との平衡状態が生ずる。しかしこのプロセスは、典型的には非常に遅い。例えば、1μmのrms直径を有するポリスチレン粒子は、前述の平衡状態に達するのに約1カ月かかる。この期間は、遠心力を使用することによって、例えば遠心分離器を使用することによって、短縮することができる。
【0083】
このように、単分散粒子は、単分散粒子の溶液または懸濁液を適切な入れ物または容器の適切な担体または溶媒中に置き、その溶液または懸濁液を遠心分離することによって、コロイド結晶に形成してもよい。次いで担体または溶媒を、任意の適切な方法によって形成されるコロイド結晶から除去してもよい。例えば担体または溶媒は、この担体または溶媒を蒸発することによってまたはデカントすることによって、除去してもよい。担体または溶媒を除去したら、コロイド結晶を、透過電子顕微鏡法および走査電子顕微鏡法などの任意の適切な方法によって分析してよい。
【0084】
典型的には、沈降法は、面心立方構造のコロイド結晶を提供する。しかし、当業者に理解されるように、体心立方構造のいくつかのコロイド結晶の形成のように、いくつかの欠陥は避けることができない。
【0085】
コロイド結晶を形成する自己集合法は、適切な担体または溶媒中に単分散粒子の懸濁液または溶液を提供し、例えばこの懸濁液または溶液中に適切な基材を置くことによって、この懸濁液または溶液に適切な基材を接触させるステップを含む。適切な条件下での、担体または溶媒のゆっくりとした蒸発によって、基材表面にはコロイド結晶の堆積物が残される。典型的には、従来の時間的尺度で蒸発することになる担体または溶媒(アルコールなど)が選択される。
【0086】
自己集合法は、毛管力によって促進される。この方法は、当技術分野で「プレーナオパール」と呼ばれるテンプレートフォームを提供する。毛管力は、最密充填単分散粒子の特定の数の層(例えば25)を、基材上に均一に堆積するように働く。この方法は、単分散粒子の2次元周期単層を作製するために、Denkov他によって使用され(「Two-Dimensional Crystallization」、Nature、Vol.361、p.26(1993)および米国特許第5540951号参照)、Jiang他によって3次元オパール質構造にまで適用範囲が拡げられた(「Template-Directed Preparation of Macroporous Polymers with Oriented and Crystalline arrays of Voids」、Journal of the American Chemical Society、Vol.121、pp.11630〜11637(1999)参照)。Jiang他の方法では、ガラス基材を、単分散粒子の溶液中に垂直に置く。適切な条件下での、溶媒のゆっくりとした蒸発により、面心立方格子内に3次元の規則正しい粒子の堆積物、即ちコロイド結晶が残される。
【0087】
自己集合法では、単分散粒子を基材上に直接堆積する。このように基材は、本発明の着色剤組成物を使用して着色される基材でよい。
【0088】
自己集合法は、典型的には点欠陥が残る可能性のあるコロイド結晶を形成するが、この方法によって形成された結晶は、単結晶である可能性がある。このように、自己集合法によって形成されたコロイド結晶は、多結晶ではなく、明確な厚さのものであり、かつ分かっている結晶配向を有するので、沈降法によって形成された結晶よりもしばしば優れている。
【0089】
自己集合法によってコロイド結晶を形成するための装置は、知られている。例えば、Nagayama他(J.Phys.: Condens.Matter; 1994(6)、A395)は、単分散粒子の高度に希釈された懸濁液からスライドガラスを引き出すように動作する機械装置について述べている。単分散粒子は、スライドガラス上に引き出され、コロイド結晶が形成されるように規則正しく配列される。この単分散粒子の規則正しい配列は、スライドガラス上の液体の表面がディウェッティングを通してある曲率を得ることにより、引き起こされる。このように、薄い液体被膜がスライドガラス上に観察されるが、これは縁部に向かって厚さが薄くなっている。被膜がコロイド結晶の直径よりも薄い位置では、毛管力によって、単分散粒子がまとめて稠密なパケット内へと引き出される。溶媒の蒸発中、液体中に対流効果が生じ、その内部を通して単分散粒子はさらに移送される。スライドガラスは、コロイド結晶の成長速度に相当する速度で分散液から引き出される。その結果、結晶配列が、毛管力によって得られる。結晶成長の方向は、粒子の有効拡散移動度を相殺するスライドガラスの動きによって決定される。コロイド結晶の非常に薄い層が生成され、例えば1から3層の六方晶系分級層に充填される。
【0090】
この手順は、エタノールに懸濁させたシリカ粒子の懸濁液を使用して、Colvin他(Phys.Rev.B; 2001(64)、205103)によってさらに開発された。スライドガラスの機械的な抜取りの代わりに、細いバイアル内に垂直に位置決めされたサンプルホルダからの、溶媒の低速蒸発プロセスを行った。コロイド結晶は、液体レベルが蒸発によって低下するにつれ、サンプルホルダのガラス表面に連続的に成長する。このサンプルを、数時間放置する。この方法は、走査電子顕微鏡法によって観察されるように、制御された厚さのコロイド結晶層を形成する。
【0091】
本発明の態様によれば、単分散粒子から形成され、可視光の波長に相当する範囲の波長を有する光を反射しかつ/または回折するコロイド結晶であって、単分散粒子内に封入された、少なくとも1種の広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体を含むコロイド結晶が提供される。本発明の別の関連ある態様によれば、単分散粒子から形成され、可視光の波長に相当する範囲の波長を有する光を反射しかつ/または回折するコロイド結晶であって、単分散粒子内に封入された、少なくとも広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体を含むコロイド結晶が提供される。広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体は、単分散粒子内に封入され、さらに単分散粒子の間隙に位置決めすることができ、かつ/またはさらに単分散粒子の表面に位置付けることができる。コロイド結晶は、任意の適切な方法によって、例えば上記にて論じられた方法によって形成してよい。
【0092】
したがって本発明は、上記にて定義された単分散粒子から形成された、コロイド結晶にも関する。
【0093】
上述の、少なくとも1種の広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体が封入される単分散粒子、ならびに上述のコロイド結晶を、着色剤組成物に使用することができる。
【0094】
したがって、本発明の別の実施形態は、上述の単分散粒子および/または上述のコロイド結晶を含む着色剤組成物(CC1)に関する。
【0095】
単分散粒子に関する全ての選択肢(広域スペクトル吸収体造影剤および広域スペクトル吸収体造影剤の前駆体を含む)は、単分散粒子および/またはコロイド結晶が着色剤組成物に組み込まれる場合にも適用可能である。
【0096】
少なくとも1種の広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体が封入される単分散粒子と、広域スペクトル吸収体造影剤および広域スペクトル吸収体造影剤の前駆体が封入されていない単分散粒子とを組み合わせることも可能である。
【0097】
言い換えると、これは、封入された広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種を有する封入された単分散粒子と、封入された広域スペクトル吸収体造影剤および広域スペクトル吸収体造影剤の前駆体を含まない単分散粒子との混合物である。
【0098】
本発明の別の実施形態は、
(i)少なくとも広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体が封入される単分散粒子と、
(ia)広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の前駆体が封入されていない単分散粒子と
を含む着色剤組成物(CC2)に関する。
【0099】
少なくとも1種の広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体を封入する単分散粒子と、広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の前駆体を含まない単分散粒子との混合物を含む、そのような着色剤組成物では、単分散粒子は同じ単分散粒子であることが明らかである。少なくとも、これらの粒子は同じ寸法を持たなければならない(本質的に同じ材料からなるものではない)。
【0100】
封入された広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体の他に、少なくとも1種の封入されていない広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体を使用することも可能である。
【0101】
したがって、本発明の別の実施形態は、単分散粒子により封入されていない、少なくとも1種の広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体をさらに含む着色剤組成物である。
【0102】
当然ながら、
(a)少なくとも1種の封入された広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体を含む単分散粒子と、
(b)広域スペクトル吸収体造影剤および広域スペクトル吸収体造影剤の前駆体が封入されていない単分散粒子と、
(c)封入されていない、少なくとも1種の広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体と
を含む着色剤組成物を有することも可能である。
【0103】
着色剤組成物中の、そのような封入されていない広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体の量は、着色剤組成物の全重量に対して50重量%までにすることができる。好ましくは、着色剤組成物の全重量に対して0.01〜40重量%であり、より好ましくは0.01〜30重量%であり、特に好ましくは0.01〜20重量%であり、さらに特に好ましくは0.01〜10重量%である。
【0104】
本発明の別の態様では、封入されていない、広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体を、コロイド結晶中の封入された単分散粒子の間隙に位置決めしてもよい。この場合、広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体は、典型的には、コロイド結晶が形成されるときに、例えば着色剤組成物が基材に付着したときに、間隙に位置決めされる。これは、広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体の存在下、コロイド結晶が形成されるときに、広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体が間隙を占有するようにコロイド結晶を形成することによって、実現することができる。あるいは、適切な溶媒中にコロイド結晶および広域スペクトル吸収体造影剤(染料など)および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体を含む着色剤組成物から、コロイド結晶の間隙を占有する広域スペクトル吸収体造影剤が残るように、溶媒を蒸発させてもよい。あるいは、広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体を、単にコロイド結晶の間隙に堆積してもよい。
【0105】
当業者に理解されるように、コロイド結晶内の間隙の100%が、広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくも1種の前駆体により占有されることも可能であるが、これは必ずしも必要ではない。言い換えれば、コロイド粒子内の間隙は、広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体によって、全体的にまたは部分的に占有されてよい。
【0106】
本発明の別の態様では、広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体は、さらに、封入された単分散粒子の表面に、即ち粒子表面にコーティングが形成されるように、位置付けてもよい。広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体は、例えば、物理的相互作用によって(親水的、疎水的、または静電的相互作用よって、あるいは水素結合によってなど)、または化学結合によって(共有化学結合など)、封入された単分散粒子の表面に吸着されてもよい。単分散粒子の表面積の100%を、広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体で被覆することが可能であるが、これは必ずしも必須ではない。例えば、封入された単分散粒子の表面積の少なくとも90%が、広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体で被覆されれば十分である。
【0107】
広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体は、上記にて論じた部位の1カ所のみまたは2カ所以上で、本発明のコロイド結晶内に位置付けられてもよい。例えば、本発明の一態様では、広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体は、単分散粒子内に封入されるだけである。本発明の別の態様では、広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体は、単分散粒子内に封入されると共に、コロイド結晶の単分散粒子の間隙に位置決めされる。広域スペクトル吸収体造影剤の部位および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体の部位の、その他の組合せも、当然ながら可能である。
【0108】
封入されていない、広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体は、封入された実施形態で定義されたものと同じタイプの造影剤および前駆体から選択することができる。
【0109】
本発明の着色剤組成物は、典型的には、液体形態; ローション、ペースト、クリームを含めた半液体形態; または粉末、例えば洗濯用粉末もしくは錠剤を含めた固体形態でよい。
【0110】
本発明による着色剤組成物は、少なくとも1種の広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体が封入されている単分散粒子を、着色剤組成物の全重量に対して0.01重量%から70重量%含む。
【0111】
本発明の別の実施形態は、
(i)単分散粒子を、封入された単分散粒子の全重量に対して5〜95重量%、および
封入された、少なくとも1種の広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体を、封入された単分散粒子の全重量に対して95〜5重量%
含んだ封入された単分散粒子を、着色剤組成物の全重量に対して0.01重量%から70重量含む、着色剤組成物(CC3)に関する。
【0112】
着色剤組成物が、液体、ゲル、またはペーストの形をとる場合、この組成物は、少なくとも1種の溶媒を含む。
【0113】
本発明の別の実施形態は、
(i)少なくとも1種の広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体が封入される単分散粒子と、
(ii)少なくとも1種の溶媒と
を含む着色剤組成物(CC4)に関する。
【0114】
溶媒は、極性または無極性にすることができる有機溶媒であることが好ましい。極性溶媒の例には、水、アルコール(モノまたはポリ)、エステル、ケトン、およびエーテルが含まれ、特に、グリコールおよびポリグリコールのモノおよびジアルキルエーテル、例えばモノ、ジ、およびトリプロピレングリコールのモノメチルエーテルや、エチレン、ジエチレン、およびトリエチレングリコールのモノ-n-ブチルエーテルなどである。
【0115】
無極性溶媒の例には、少なくとも6個の炭素原子を有する脂肪族および芳香族炭化水素と、精製蒸留生成物および副生成物を含めたこれらの混合物が含まれる。
【0116】
着色剤組成物は、水性または非水性溶液として調製することができる。したがって、本発明の別の実施形態は、配合物が非水性である上述の着色剤組成物に関する。
【0117】
したがって、本発明の別の実施形態は、配合物が水性である上述の着色剤組成物に関する。
【0118】
本発明の別の実施形態は、
(i)可視光の波長に相当する範囲の波長を有する光を回折する、コロイド結晶を形成することが可能な単分散粒子であって、少なくとも1種の広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体が封入されている単分散粒子と、
(iia)水と、
(iib)場合により、アルコール、エステル、ケトン、エーテル、少なくとも6個の炭素原子を有する脂肪族および芳香族炭化水素、ならびに精製蒸留生成物および副生成物を含めたこれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1種の溶媒と
を含む、着色剤組成物(CC5)に関する。
【0119】
本発明の別の実施形態は、
(i)少なくとも1種の広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体が封入されている単分散粒子から形成されたコロイド結晶と、
(iia)水と、
(iib)場合により、アルコール、エステル、ケトン、エーテル、少なくとも6個の炭素原子を有する脂肪族および芳香族炭化水素、ならびに精製蒸留生成物および副生成物を含めたこれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1種の溶媒と
を含む、着色剤組成物(CC6)に関する。
【0120】
したがって、本発明は、
(i)可視光の波長に相当する範囲の波長を有する光を回折する、コロイド結晶を形成することが可能な単分散粒子であって、少なくとも1種の広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体が封入されている単分散粒子と、
(ii)アルコール、エステル、ケトン、エーテル、少なくとも6個の炭素原子を有する脂肪族および芳香族炭化水素、ならびに精製蒸留生成物および副生成物を含めたこれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1種の溶媒と
を含む、着色剤組成物(CC7)にも関する。
【0121】
本発明の別の実施形態は、
(i)少なくとも1種の広域スペクトル吸収体造影剤を含む単分散粒子から形成されたコロイド結晶であって、この広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体が単分散粒子に封入されていることを特徴とするコロイド結晶と、
(ii)アルコール、エステル、ケトン、エーテル、少なくとも6個の炭素原子を有する脂肪族および芳香族炭化水素、ならびに精製蒸留生成物および副生成物を含めたこれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1種の溶媒と
を含む、着色剤組成物(CC8)に関する。
【0122】
しかし、水を非水性組成物に意図的に添加しない場合であっても、この組成物にはいくらかの水が偶発的に持ち込まれるが、一般にこの水は、着色剤組成物の全重量に対して約2重量%〜4重量%以下になる。定義により、本発明の非水性組成物は、着色剤組成物の全重量に対して約10重量%以下、好ましくは約5重量%以下の水を有することになる。
【0123】
本発明による着色剤組成物中の溶媒の量は、着色剤組成物の全重量に対して、典型的には約10重量%から約99.99重量%、好ましくは約20重量%から約99.9重量%、より好ましくは約30重量%から約99.9重量%の範囲内である。
【0124】
本発明の配合物の一部である溶媒の量は、大幅に変えることができる。その理由は、上記単分散粒子に関して述べた理由と同じである。
【0125】
組成物を、(水および/またはその他の溶媒で)希釈される濃縮物として使用する場合、溶媒の量は少なく、通常は、着色剤組成物の全重量に対して30重量%から70重量%の間である。ある場合には、着色剤組成物は、30重量%よりも少なく含むことができる。
【0126】
配合物が、すぐに使用できる状態である場合、溶媒の含量は、着色剤組成物の全重量に対して99.5重量%までにすることができる。
【0127】
溶媒の量は、染色されまたは印刷される基材、ならびに得る必要のある色彩にも依存することが、明らかである。
【0128】
したがって本発明は、溶媒の量が着色剤組成物の全重量に対して30重量%から70重量%の間、好ましくは40重量%から70重量%の間、より好ましくは50重量%から70重量%の間にある、濃縮された着色剤組成物にも関する。
【0129】
本発明は、水の量が着色剤組成物の全重量に対して70重量%から99.99重量%の間、好ましくは70重量%から99.9重量%の間、より好ましくは80重量%から99.9重量%の間にある、着色剤組成物にも関する。
【0130】
封入された単分散粒子ならびに溶媒の量は、組成物の物理形態に応じて変えることができるとも言え、これは、着色剤組成物が液体、ゲル、またはペーストである場合に濃度を変えることができることを意味する。
【0131】
しかし上述のように、広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体を、さらに着色剤組成物に添加することもでき、したがって、広域スペクトル吸収体造影剤のモル量をより大きくすることができる。
【0132】
一方、広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体を含まない単分散粒子を添加することも可能である。
【0133】
本発明の着色剤組成物を、毛髪、爪、歯、ウールや木綿などの天然繊維のような天然基材を着色するのに使用する場合、組成物は、典型的には単分散粒子またはコロイド結晶を0.01から2重量%(好ましくは0.01から1重量%)と、広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体を0.01から2重量%(好ましくは0.01から1重量%)含む。本発明の着色剤組成物を、合成基材を着色するのに使用する場合、組成物は、典型的には単分散粒子またはコロイド結晶を0.5から15重量%(好ましくは1から10重量%)と、広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体を0.5から15重量%(好ましくは1から10重量%)含む。
【0134】
本発明は、封入された単分散粒子の量が着色剤組成物の全重量に対して0.5重量%から30重量%の間にある、着色剤組成物にも関する。
【0135】
本発明の別の実施形態は、
(i)単分散粒子を、封入された単分散粒子の全重量に対して5〜95重量%、および
封入された、少なくとも1種の広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体を、封入された単分散粒子の全重量に対して95〜5重量%
含んだ封入された単分散粒子を、着色剤組成物の全重量に対して0.01重量%から70重量%と、
(ii)少なくとも1種の溶媒を、着色剤組成物の全重量に対して30重量%から99.99重量%含む、
着色剤組成物(CC9)に関する。
【0136】
本発明の別の実施形態は、
(i)可視光の波長に相当する範囲の波長を有する光を回折するコロイド結晶を形成することが可能な、ラテックス、アクリル類、ポリスチレン、ポリ(酢酸ビニル)、ポリアクリロニトリル、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ(メチルメタクリレート)、およびポリ(フルオロメチルメタクリレート)粒子などの有機ポリマー粒子; 金属カルコゲナイド、金属プニクチド、シリカ、金属および金属酸化物粒子などの無機材料; Al2O3、TiO2、SnO2、Sb2O5、Fe2O3、ZrO2、CeO2、およびY2O3などの金属酸化物: 金、銅、および銀などの金属からなる群から選択される単分散粒子を、封入された単分散粒子の全重量に対して5〜95重量%、および
封入された、好ましくはアリザリンブルーブラック、ブリリアントブルーブラック、カーボンブラック、および酸化鉄ブラックからなる群から選択される少なくとも1種の広域スペクトル吸収体造影剤、および/または好ましくはAgNO3、FeCl2、およびFeCl2からなる群から選択される広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体を、封入された単分散粒子の全重量に対して95〜5重量%
含んだ封入された単分散粒子を、着色剤組成物の全重量に対して0.01重量%から70重量%と、
(iia)水を、着色剤組成物の全重量に対して10重量%から99.99重量%と、
(iib)場合により、アルコール、エステル、ケトン、エーテル、少なくとも6個の炭素原子を有する脂肪族および芳香族炭化水素、ならびに精製蒸留生成物および副生成物を含めたこれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1種の溶媒を、着色剤組成物の全重量に対して0.1重量%から89.99重量%
含む着色剤組成物(CC10)に関する。
【0137】
本発明の別の実施形態は、
(i)可視光の波長に相当する範囲の波長を有する光を回折するコロイド結晶を形成することが可能な、ラテックス、アクリル類、ポリスチレン、ポリ(酢酸ビニル)、ポリアクリロニトリル、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ(メチルメタクリレート)、およびポリ(フルオロメチルメタクリレート)粒子などの有機ポリマー粒子; 金属カルコゲナイド、金属プニクチド、シリカ、金属および金属酸化物粒子などの無機材料; Al2O3、TiO2、SnO2、Sb2O5、Fe2O3、ZrO2、CeO2、およびY2O3などの金属酸化物: 金、銅、および銀などの金属からなる群から選択される単分散粒子を、封入された単分散粒子の全重量に対して5〜95重量%、および
封入された、好ましくはアリザリンブルーブラック、ブリリアントブルーブラック、カーボンブラック、および酸化鉄ブラックからなる群から選択される少なくとも1種の広域スペクトル吸収体造影剤、および/または好ましくはAgNO3、FeCl2、およびFeCl2からなる群から選択される広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体を、封入された単分散粒子の全重量に対して95〜5重量%
含んだ封入された単分散粒子を、着色剤組成物の全重量に対して0.01重量%から70重量%と、
(ii)アルコール、エステル、ケトン、エーテル、少なくとも6個の炭素原子を有する脂肪族および芳香族炭化水素、ならびに精製蒸留生成物および副生成物を含めたこれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1種の溶媒を、着色剤組成物の全重量に対して30重量%から99.99重量%
含む着色剤組成物(CC11)に関する。
【0138】
本発明の別の実施形態は、
(i)可視光の波長に相当する範囲の波長を有する光を回折するコロイド結晶を形成することが可能な、ラテックス、アクリル類、ポリスチレン、ポリ(酢酸ビニル)、ポリアクリロニトリル、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ(メチルメタクリレート)、およびポリ(フルオロメチルメタクリレート)粒子などの有機ポリマー粒子; 金属カルコゲナイド、金属プニクチド、シリカ、金属および金属酸化物粒子などの無機材料; Al2O3、TiO2、SnO2、Sb2O5、Fe2O3、ZrO2、CeO2、およびY2O3などの金属酸化物: 金、銅、および銀などの金属からなる群から選択される単分散粒子を、封入された単分散粒子の全重量に対して5〜95重量%、および
封入された、好ましくはアリザリンブルーブラック、ブリリアントブルーブラック、カーボンブラック、および酸化鉄ブラックからなる群から選択される少なくとも1種の広域スペクトル吸収体造影剤、および/または好ましくはAgNO3、FeCl2、およびFeCl2からなる群から選択される広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体を、封入された単分散粒子の全重量に対して95〜5重量%
含んだ封入された単分散粒子を、着色剤組成物の全重量に対して0.01重量%から70重量%と、
(iia)水を、着色剤組成物の全重量に対して10重量%から99.9重量%と、
(iib)場合により、アルコール、エステル、ケトン、エーテル、少なくとも6個の炭素原子を有する脂肪族および芳香族炭化水素、ならびに精製蒸留生成物および副生成物を含めたこれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1種の溶媒を、着色剤組成物の全重量に対して0.1重量%から89.99重量%と
を含む、着色剤組成物(CC12)に関する。
【0139】
本発明の別の実施形態は、
(i)可視光の波長に相当する範囲の波長を有する光を回折するコロイド結晶を形成することが可能な、ラテックス、アクリル類、ポリスチレン、ポリ(酢酸ビニル)、ポリアクリロニトリル、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ(メチルメタクリレート)、およびポリ(フルオロメチルメタクリレート)粒子などの有機ポリマー粒子; 金属カルコゲナイド、金属プニクチド、シリカ、金属および金属酸化物粒子などの無機材料; Al2O3、TiO2、SnO2、Sb2O5、Fe2O3、ZrO2、CeO2、およびY2O3などの金属酸化物: 金、銅、および銀などの金属からなる群から選択される単分散粒子を、封入された単分散粒子の全重量に対して5〜95重量%、および
封入された、好ましくはアリザリンブルーブラック、ブリリアントブルーブラック、カーボンブラック、および酸化鉄ブラックからなる群から選択される少なくとも1種の広域スペクトル吸収体造影剤、および/または好ましくはAgNO3、FeCl2、およびFeCl2からなる群から選択される広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体を、封入された単分散粒子の全重量に対して95〜5重量%
含んだ封入された単分散粒子を、着色剤組成物の全重量に対して0.01重量%から70重量%と、
(ii)アルコール、エステル、ケトン、エーテル、少なくとも6個の炭素原子を有する脂肪族および芳香族炭化水素、ならびに精製蒸留生成物および副生成物を含めたこれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1種の溶媒を、着色剤組成物の全重量に対して30重量%から99.99重量%と
を含む、着色剤組成物(CC13)に関する。
【0140】
本発明の別の実施形態は、
(iii)少なくとも1種の硬化材料と、
(iv)少なくとも1種の開始剤と
をさらに含む、着色剤組成物(CC14)配合物にも関する。
【0141】
本発明による着色剤組成物(CC1)、(CC2)、(CC3)、(CC4)、(CC5)、(CC6)、(CC7)、(CC8)、(CC9)、(CC10)、(CC11)、(CC12)、および/または(CC13)は、少なくとも1種の硬化剤および少なくとも1種の開始剤も含む。
【0142】
一般に知られている任意の種類の硬化剤を、使用することができる。
【0143】
通常、硬化剤は、架橋可能な樹脂である。これらは、分子量<1000g/モルの低分子またはオリゴマー多官能性化合物である。しばしば末端基である官能基(例えば、エポキシ、イソシアネート、アミン、またはヒドロキシ基)は、重付加または重縮合メカニズムにより反応するように選択される(基の量、ならびに基の種類)。
【0144】
適切な硬化剤は、エポキシアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、アクリル化ポリオール、およびアクリル化ポリエーテルである、
【0145】
そのような硬化剤は、着色剤組成物の全重量に対して0.01重量%〜15重量%の量で使用される。硬化剤は、着色剤組成物の全重量に対して0.1〜10重量%の量で存在することが好ましい。
【0146】
硬化剤と組み合わせて、この硬化剤の重付加または重縮合を開始させる少なくとも1種の開始剤を使用する。これは通常、光(400nm〜800nm)またはUV光(100nm〜400nm)によって行われる。
【0147】
そのような開始剤は、ペルオキシドまたはペルオキシド含有化合物、ベンゾフェノンおよびベンゾフェノン誘導体、アセトフェノンおよびアセトフェノン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、チオキサントン誘導体にすることができる。
【0148】
そのような開始剤は、着色剤組成物の全重量に対して0.005重量%〜10重量%の量で使用される。開始剤は、着色剤組成物の全重量に対して0.01〜8重量%の量で存在することが好ましい。
【0149】
本発明の別の実施形態は、
(iii)少なくとも1種の硬化材料を、着色剤組成物の全重量に対して0.01重量%から15重量%、および
(iv)少なくとも1種の開始剤を、着色剤組成物の全重量に対して0.005重量%から10重量%
さらに含む、着色剤組成物(CC15)に関する。
【0150】
本発明の別の実施形態は、
(iii)エポキシアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、アクリル化ポリオール、およびアクリル化ポリエーテルからなる群から選択される少なくとも1種の硬化材料を、着色剤組成物の全重量に対して0.01重量%から15重量%、
(iv)ペルオキシドまたはペルオキシド含有化合物、ベンゾフェノンおよびベンゾフェノン誘導体、アセトフェノンおよびアセトフェノン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、およびチオキサントン誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の開始剤を、着色剤組成物の全重量に対して0.005重量%から10重量%
さらに含む、着色剤組成物(CC16)に関する。
【0151】
硬化剤および開始剤に関する、その化合物ならびに濃度についての全ての選択肢は、上述の着色剤組成物(CC1)、(CC2)、(CC3)、(CC4)、(CC5)、(CC6)、(CC7)、(CC8)、(CC9)、(CC10)、(CC11)、(CC12)、および/または(CC13)にも同様に適用することができる。
【0152】
さらに、着色剤組成物(CC1)、(CC2)、(CC3)、(CC4)、(CC5)、(CC6)、(CC7)、(CC8)、(CC9)、(CC10)、(CC11)、(CC12)、(CC13)、(CC14)、(CC15)、および/または(CC16)は、他の補助剤を含むことができる。そのような補助剤は、染色および印刷などの着色の分野で一般に使用されるものである。
【0153】
補助剤は、染料を布地に固定させるために、または本発明者等の染色プロセスの結果をその他の方法で改善するために、染料と一緒に使用される追加の化学薬品である。さらに、補助剤という用語は、着色剤組成物の保存やより良好な取扱い安さなど、配合剤そのものの性質の改善を助ける化学薬品と理解される。
【0154】
補助剤の例は、湿潤剤、緩衝物質、静電防止剤、漂白剤、酸化剤、流動改質剤、可溶化剤、乾燥剤、泡止め剤、レベリング剤、界面活性剤、電解質、消泡剤、凍結防止剤、または静真菌剤、および/または静菌剤、蛍光増白剤、柔軟剤、難燃剤、または汚れ防止剤、撥水剤、および撥油剤、ならびに硬水軟化剤、および天然もしくは合成増粘剤、例えばアルギネートおよびセルロースエーテルである。
【0155】
そのような補助剤は、通常、より少ない量で存在し、これは着色剤組成物の全重量に対して約10重量%までにすることができる。
【0156】
1種または複数の補助剤が存在する場合、その量は、通常、着色剤組成物の全重量に対して0.1重量%から10重量%になる。
【0157】
したがって、本発明の別の実施形態は、少なくとも1種の補助剤をさらに含む、上述の着色剤組成物に関する。
【0158】
したがって本発明の別の実施形態は、
(v)少なくとも1種の補助剤
をさらに含む、着色剤組成物(CC17)に関する。
【0159】
したがって、本発明の別の実施形態は、
(v)湿潤剤、緩衝物質、静電防止剤、漂白剤、酸化剤、流動改質剤、可溶化剤、乾燥剤、泡止め剤、レベリング剤、界面活性剤、消泡剤、凍結防止剤、または静真菌剤、および/または静菌剤、蛍光増白剤、柔軟剤、難燃剤、または汚れ防止剤、撥水剤、および撥油剤、ならびに硬水軟化剤、および天然もしくは合成増粘剤、例えばアルギネートおよびセルロースエーテルからなる群から選択される、少なくとも1種の補助剤
をさらに含む、着色剤組成物(CC18)に関する。
【0160】
本発明の別の実施形態は、
(v)少なくとも1種の補助剤を、着色剤組成物の全重量に対して0.1重量%から10重量%
さらに含む、着色剤組成物(CC19)に関する。
【0161】
本発明の別の実施形態は、
(v)湿潤剤、緩衝物質、静電防止剤、漂白剤、酸化剤、流動改質剤、可溶化剤、乾燥剤、泡止め剤、レベリング剤、界面活性剤、消泡剤、凍結防止剤、または静真菌剤、および/または静菌剤、蛍光増白剤、柔軟剤、難燃剤、または汚れ防止剤、撥水剤、および撥油剤、ならびに硬水軟化剤、および天然もしくは合成増粘剤、例えばアルギネートおよびセルロースエーテルからなる群から選択される少なくとも1種の補助剤を、着色剤組成物の全重量に対して0.1重量%から10重量%
さらに含む、着色剤組成物(CC20)に関する。
【0162】
硬化剤および開始剤に関する、その化合物ならびに濃度についての全ての選択肢は、上述の着色剤組成物(CC1)、(CC2)、(CC3)、(CC4)、(CC5)、(CC6)、(CC7)、(CC8)、(CC9)、(CC10)、(CC11)、(CC12)、(CC13)、(CC14)、(CC15)、および/または(CC16)にも同様に適用することができる。
【0163】
既に述べたように、本発明による着色剤組成物は、任意の適切な物理形態をとることができる。通常、液体、ゲル、またはペーストの形をとる。
【0164】
本発明の別の実施形態は、染色および/または印刷配合物である上述の着色剤組成物に関する。
【0165】
印刷プロセスは、インクジェット(バブルジェット(登録商標)、コンパウンドジェット、ドライインクジェット、ホットメルトインクジェットなど)、凸版印刷、凹版印刷、活版印刷、リソグラフィ、フレキソグラフィ、グラビア、スクリーン印刷、およびパッド印刷などの、任意の周知のプロセスにより行うことができる。したがって、配合物は、所望の形の印刷技術に適合させなければならない。単分散粒子を含むインクジェット技術用の配合物は、WO2005/063902により知られている。
【0166】
したがって、本発明の別の実施形態は、インクジェット(バブルジェット(登録商標)、コンパウンドジェット、ドライインクジェット、ホットメルトインクジェットなど)、凸版印刷、凹版印刷、活版印刷、リソグラフィ、フレキソグラフィ、グラビア、スクリーン印刷、およびパッド印刷用の印刷配合物である、着色剤組成物に関する。
【0167】
本特許出願で記述される着色剤組成物は、任意の知られている染色技術に使用することもできる。
【0168】
したがって、配合物は、所望の形の染色技術に適合させなければならない。適切な染色プロセスは、例えば、ジェット染色、エグゾーストプロセス、連続染色、ビーム染色、パドルマシン染色、フーラード染色、および/またはかせ染めである。
【0169】
したがって、本発明の別の実施形態は、ジェット染色、エグゾーストプロセス、連続染色、ビーム染色、パドルマシン染色、フーラード染色、および/またはかせ染め用の染色配合物として使用される、着色剤組成物である。
【0170】
本発明による、封入された単分散粒子、コロイド結晶、および/または着色剤組成物は、パーソナルケア用配合物および化粧品配合物に使用することもできる。
【0171】
したがって本発明の別の実施形態は、パーソナルケア用配合物および/または化粧品配合物における、上述の単分散粒子、および/または上述のコロイド結晶、および/または上述の着色剤組成物の使用である。
【0172】
したがって本発明の別の実施形態は、上述の単分散粒子、および/または上述のコロイド結晶、および/または上述の少なくとも1種の着色剤組成物を含む、パーソナルケア用配合物および/または化粧品配合物にも関する。
【0173】
パーソナルケア用配合物および/または化粧品配合物は、任意の通常の適用形態を有することができる。これらは、例えば溶液、懸濁液、エマルジョン、PITエマルジョン、ペースト、軟膏、ゲル、クリーム、ローション、粉末、石けん、界面活性剤含有洗浄料、油、エアロゾル、スプレー、およびスティックの形をとることができる。
【0174】
パーソナルケア用配合物および/または化粧品配合物は、任意のパーソナルケア用および/または化粧品用として使用することができる。これらは、例えばリップスティック、リップケアスティック、マスカラ、アイライナー、アイシャドウ、ルージュ、パウダー化粧品、エマルジョン化粧品、ワックス化粧品、ネイルラッカー、シャンプー、およびシャワー用組成物として使用することができる。
【0175】
パーソナルケア用配合物ならびに化粧品配合物は、溶媒、その他の染料および/または顔料、酸化防止剤、撥水剤、ビタミン、UV吸収剤、溶質、セルフタンニング剤、保存剤、酸化防止剤、安定剤、可溶化剤、ビタミン、着色剤、および臭気改良剤などの、化粧品の用途で一般に使用される任意の成分および添加剤を含んでもよい。
【0176】
好ましい化粧品組成物は、人の皮膚への付着に適したものであり、これには場合により、しかし好ましくは、本発明の着色剤組成物の他に、皮膚に有益な薬剤が含まれる。適切な、皮膚に有益な追加の薬剤には、老化防止、しわ取り、美白、にきび抑制、および皮脂低下剤が含まれる。これらの例には、αヒドロキシ酸、βヒドロキシ酸、ポリヒドロキシ酸、ヒドロキノン、t-ブチルヒドロキノン、ビタミンBおよびC誘導体、2酸、レチノイド、ベツリン酸、バニリン酸、アラントイン、プラセンタ抽出物、ヒドロラクチン、およびレゾルシノール誘導体が含まれる。
【0177】
適切な接触時間の後、必要ならば、過剰な組成物を除去し/洗い落とすことができる。化粧品組成物は、少なくとも2つ以上のコロイド結晶層が形成されるように十分な時間、皮膚、爪、または毛髪と接触することが好ましい。
【0178】
成分の濃度は、大幅に変えることができるが、当業者なら、様々な付着形態をもたらすのに特定の成分をどの程度の濃度で必要か、理解している。
【0179】
本発明による新しい、封入された単分散粒子は、任意の知られているパーソナルケア用配合物および化粧品配合物に使用することができる。適切な配合物は、例えばUS2006002875に見出すことができる。
【0180】
したがって、本発明の別の実施形態は、本発明による封入された単分散粒子を含む、パーソナルケア用配合物である。
【0181】
したがって、本発明の別の実施形態は、封入された単分散粒子を含む化粧品配合物である。
【0182】
封入された単分散粒子に関するその他の適用領域は、様々な用途がある、例えば銀行券、クレジットカード、査証、税印などにおける、セキュリティ分野である。
【0183】
したがって本発明別の実施形態は、本発明による封入された単分散粒子を含む、セキュリティ印刷および/または染色インクである。
【0184】
そのようなインクは、上記および下記の光学的に変化するマークを含む、データまたは情報の偽造防止、鑑定、検証、または識別を特に目的としたセキュリティマーク、スレッド、またはデバイス、ホログラム、押箔、または透かしを生成するのに使用される。
【0185】
セキュリティの要素には、追加の検出可能なセキュリティフィーチャ、特に光学的、機械的、または触覚的に検出可能なセキュリティフィーチャも含まれる。
【0186】
したがって、本発明の別の態様は、上述の封入された単分散粒子および少なくとも1種の追加の検出可能なセキュリティフィーチャ、特に光学的、機械的、または触覚的に検出可能なセキュリティフィーチャを含む、セキュリティ印刷および/または染色インクである。
【0187】
光学的に検出可能なセキュリティフィーチャは、装置を使用することなく、または簡単な装置の助けを借りて、検出することができるものである。
【0188】
機械的に検出可能なセキュリティフィーチャは、発光、磁気、導電性、熱電子性、または圧電性を検出することが可能な装置を使用することによって、検出することができるものである。
【0189】
触覚的に検出可能なセキュリティフィーチャは、人の触覚によって検出することができるものである。
【0190】
WO2006/045567では、これら追加の検出可能なセキュリティフィーチャを得るために添加される化合物を、見出すことができる。
【0191】
単分散粒子、および/またはコロイド結晶、および/または着色剤組成物は、ホームケアの適用例に使用することもできる。通常は、特定の外観を生成物に与えるために、粒子、結晶、および/または組成物が使用される。
【0192】
本発明の着色剤組成物は、基材の少なくとも一領域を着色するために、任意の適切な基材に付着させてもよい。構造色効果は、コロイド結晶による可視光の波長の光の直接反射および/または回折によって、もたらされる。コロイド結晶によって拡散される光の実質的に全ては、広域スペクトル吸収体造影剤により吸収される。これは、構造色効果の増強を引き起こす。着色される基材は、任意の可能な形ならびにサイズを有することができる。
【0193】
上記にて論じたように、着色剤組成物が、コロイド結晶を形成することが可能な単分散粒子を含む場合、このコロイド結晶は、典型的には着色剤組成物が基材に付着されるときに形成される。着色剤組成物な、任意の適切な方法によって、例えば塗布、噴霧、および/または洗浄によって、基材に付着させてもよい。着色剤組成物が、単分散粒子から形成されたコロイド結晶を含む場合、このコロイド結晶は、任意の適切な方法によって同様に、基材上に堆積される。
【0194】
本発明の一態様によれば、(i)単分散粒子から形成されたコロイド結晶と、(ia)少なくとも1種の広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体とを含み、例えば文字、数字、および/またはその他の記号、および/またはグラフィックデザインの形で基材の少なくとも一領域に色をもたらす、少なくとも1つのコロイド結晶層を含む基材が提供される。
【0195】
本発明の別の態様によれば、(i)単分散粒子から形成されたコロイド結晶と、(ii)少なくとも1種の有機広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体とを含み、例えば文字、数字、および/またはその他の記号、および/またはグラフィックデザインの形で基材の少なくとも一領域に色をもたらす、少なくとも1つのコロイド結晶層を含む基材が提供される。
【0196】
コロイド結晶層において、単分散粒子、コロイド結晶、および広域スペクトル吸収体造影剤は、上記にて定義された通りである。
【0197】
コロイド結晶層では、広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体が、単分散粒子内に封入され、コロイド結晶の単分散粒子の間隙に位置決めされ、かつ/または単分散粒子の表面に位置付けられる。一態様では、コロイド結晶層において、広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体は、単分散粒子内に封入されることによってのみ存在する。
【0198】
好ましい基材は、結晶の核生成のための部位として働く表面不整を有するものである。基材には、繊維(毛髪など)、皮膚、爪、食材、石、セラミック、ガラス、紙、布地、木材、皮革、金属(例えばアルミニウム)、およびプラスチックが含まれる。染色される物体は、様々な物質の組合せにすることもでき、それは任意の形を有することができる。
【0199】
本発明による染色および/または印刷配合物は、例えば練り歯磨きの容器、飲料用の缶、シャンプーの容器、シャワー用ゲルの容器など、商品の販売に使用されるパッケージを着色するのに(完全にまたは部分的に)、非常に適している。
【0200】
着色剤化合物は、後に特定の実施形態の表面に配置される、ラベルの印刷に使用することもできる。
【0201】
本発明の別の態様によれば、基材を着色するための、上記にて定義された着色剤組成物の使用が提供される。
【0202】
本発明の別の態様によれば、コロイド結晶層が基材上に形成されるように、基材の少なくとも一領域を、上記にて定義された着色組成物に接触させるステップを含む、基材の着色方法が提供される。
【0203】
当業者に理解されるように、コロイド結晶層は、典型的には、着色剤組成物に接触した基材領域上に形成される。基材全体が必ずしも着色剤組成物に接触する必要はなく、言い換えれば、コロイド結晶層の被覆は完全である必要がなく、即ち不連続にすることができる。
【0204】
「コロイド結晶層」という用語は、例えば適切な基材の少なくとも一領域を覆う、コロイド結晶および造影剤を含んだシートまたは材料の厚さを意味する。多孔質でもよい基材の性質に応じて、コロイド結晶層は、基材の表面および/または内部に形成してよい。さらにコロイド結晶層は、所望の構造色効果が実現されるなら、必ずしも完全に規則正しいものである必要はない。言い換えれば、若干の結晶の不規則性は容認される。
【0205】
本発明の別の態様によれば、(i)単分散粒子から形成されたコロイド結晶と、(ii)単分散粒子内に封入された、少なくとも1種の広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体とを含み、色を発するコロイド結晶層が提供される。
【0206】
また、上記にて定義された着色剤組成物を、基材の少なくとも一領域に付着させるステップを含む、基材上にコロイド結晶層を形成する方法も提供される。
【0207】
コロイド結晶層では、構造色効果が得られるように、コロイド結晶が、可視光の波長に相当する範囲の波長を有する光を反射しかつ/または回折する。コロイド結晶によって回折されるどの可視光も、広域スペクトル吸収体造影剤により実質的に全て吸収される。これは、上記にて論じたように、構造色効果の増強を引き起こす。
【0208】
適切な基材には、コロイド結晶層を形成することができる任意の基材が含まれる。適切な基材には、例えば、繊維(毛髪など)、皮膚、爪、食材、石、セラミック、ガラス、紙、布地、木材、皮革、金属(例えばアルミニウム)、およびプラスチックが含まれる。
【0209】
基材が食材である場合、着色剤組成物は、食材に使用することができるグレードのものでなければならない。本発明の着色剤組成物を使用してよい食材には、例えば、卵、果物、野菜、アイスクリーム、ソース、シャーベット、およびチョコレートが含まれる。
【0210】
例えば、野菜または果物を使用する場合、食べることができる部分、ならびに皮や葉などの(通常は)食べられない部分を、染色しかつ/または印刷することが可能である。
【0211】
基材がプラスチック材料である場合、本発明の着色剤組成物をプラスチック材料中に分散させてよく、次いでこれを、例えば射出成形、射出吹込成形、または吹込成形によって成形することができる。
【0212】
基材はさらに、例えば保護カバーまたはコーティングとして保護材料を含んでもよい。保護カバーまたはコーティングは、例えば、コロイド結晶層の表面に透明なラッカー層を含んでよい。あるいは保護材料は、例えば適切に改質された表面を有する単分散粒子を提供することによって、その場で形成してもよい。
【0213】
このように、本発明の一態様によれば、個人の毛髪を着色するための、上記にて定義された着色剤組成物の使用が提供される。
【0214】
また、コロイド結晶層が毛髪上に形成されるように、個人の毛髪の少なくとも一領域を、上記にて定義された着色剤組成物に接触させるステップを含む、個人の毛髪の着色方法も提供される。
【0215】
また、(i)単分散粒子から形成されたコロイド結晶と、(ii)単分散粒子内に封入された、少なくとも1種の広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体とを含み、毛髪の少なくとも一領域で色を発する少なくとも1つのコロイド結晶層を含む毛髪も提供される。
【0216】
また、上記にて定義された着色剤組成物を含む、毛髪染料組成物も提供される。
【0217】
本発明の毛髪染料組成物は、任意の適切な形をとることができる。例えば毛髪染料組成物は、毛髪の全てまたは部分に直接付着させることのできる、スプレー、ローション、シャンプー、クリーム、またはペーストの形をとってもよい。適切な接触時間の後、必要ならば過剰な組成物を洗い落とすことができる。毛髪染料組成物は、少なくとも2つまたは3つのコロイド結晶層が形成されるように十分な時間、毛髪に接触させることが好ましい。
【0218】
本発明の別の態様によれば、布地を染色するための、上記にて定義された着色剤組成物の使用が提供される。
【0219】
布地の着色には、白色繊維材料の場合の、布地の「増白」が含まれる。
【0220】
本発明の別の態様によれば、コロイド結晶層が布地の表面に形成されるように、布地の少なくとも一領域を、上記にて定義された着色剤組成物に接触させるステップを含む、布地の着色方法が提供される。
【0221】
布地の着色に使用される着色剤組成物は、水中に溶解しかつ/または分散する粉末または錠剤、あるいは液体などの、当技術分野で知られている標準的な洗濯用配合物の一部として、付着させることができる。
【0222】
本発明の別の態様によれば、(i)単分散粒子から形成されたコロイド結晶と、(ia)単分散粒子内に封入された、少なくとも1種の広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体とを含み、繊維性材料の少なくとも一領域で色を発する、少なくとも1つのコロイド結晶層を含む繊維性材料が提供される。
【0223】
繊維性材料は、例えば布地でよい。適切な布地には、天然および合成布地が含まれる。天然布地の例には、ウール、絹、毛皮、木綿や亜麻、リネン、麻などのセルロース系材料が含まれる。合成布地には、例えば、ビスコース、ナイロン(ポリアミド)、アクリル類(ポリアクリロニトリル)、アラミド(芳香族ポリマー)、およびポリエステルが含まれる。布地は、任意の適切な形、例えば織布、不織布、または編地の形をとってもよい。
【0224】
本発明の別の態様によれば、上記にて定義された着色剤組成物を含む、布地染料組成物が提供される。
【0225】
布地染料組成物は、少なくとも2つまたは3つのコロイド結晶層が形成されるように、十分な時間、繊維性材料に接触させることが好ましい。
【0226】
本発明の布地染料組成物は、任意の適切な形をとることができる。例えば布地染料組成物は、固体、液体、またはペーストの形をとってもよい。
【0227】
本発明の別の態様によれば、紙に着色するための、上記にて定義された着色剤組成物の使用が提供される。
【0228】
本発明の別の態様によれば、コロイド結晶層が紙の上に形成されるように、紙の少なくとも一領域を、上記にて定義された着色剤組成物に接触させるステップを含む、紙の着色方法が提供される。
【0229】
「紙」という用語は、木材のパルプまたはその他の繊維性物質からシートに製造され、また例えば、筆記または印刷、ラッピングまたは包装も含めた任意の用途に合わせて製造される、任意の材料を意味する。
【0230】
本発明の別の態様によれば、(i)単分散粒子から形成されたコロイド結晶と、(ia)単分散粒子内に封入された、少なくとも1種の広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体とを含み、紙の少なくとも一領域で色を発する、少なくとも1つのコロイド結晶層を含む紙製品が提供される。色は、紙の表面に、文字、数字、および/またはその他の記号、および/またはグラフィックデザインの形状で形成されることが好ましい。
【0231】
本発明の別の態様によれば、上記にて定義された着色剤組成物を含むインク組成物が提供される。例えばインク組成物は、紙や布地などの、印刷可能な表面に印刷するのに適している。
【0232】
本発明のインク組成物は、典型的には、基材のある範囲にインクを付着させるために当技術分野で知られている標準的な印刷技法を使用して、基材に付着させることができる。典型的にはインク組成物は、文字、数字、および/またはその他の記号、および/またはグラフィックデザインを形成するために、基材に付着される。
【0233】
上述の適用例/用途では、単一のコロイド結晶層を、基材の表面または内部に形成するのに十分である。しかし、少なくとも2つまたは3つのコロイド結晶層を形成することが好ましい。上記にて論じたように、コロイド結晶層は、完全でも不連続でもよく、基材の表面および/または内部に形成されてもよい。
【0234】
毛髪、爪、歯、およびウールや木綿などの天然基材を着色するのに、本発明の着色組成物を使用する場合、この組成物は、典型的には単分散粒子またはコロイド結晶を0.01から2(好ましくは0.01から1)重量%と、広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体を0.01から2(好ましくは0.01から1)重量%含む。合成基材を着色するのに、本発明の着色組成物を使用する場合、この組成物は、典型的には単分散粒子またはコロイド結晶を0.5から15(好ましくは1から10)重量%と、広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体を0.5から15(好ましくは1から10)重量%含む。
【0235】
当業者に理解されるように、上記にて論じた毛髪染料、化粧品、布地染料、およびインク組成物は、使用時にコロイド結晶の形成を妨げかつ/または阻止する可能性のあるあらゆる追加の成分を、含有しないことが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0236】
次に本発明について、下記の非限定的な実施例を参照しながらさらに記述する。
【実施例1】
【0237】
染料を封入する単分散ポリ(メチルメタクリレート)粒子の合成
3つ口フラスコ(250ml)に、2重脱イオン水150ml、および染料(例えばアリザリンブルーブラック)4から40mgを投入した。このフラスコを、隔壁で密封した。フラスコを90℃まで加熱し、窒素を勢いよく45分間流した。窒素の流れを止めた後、メチルメタクリレート15ml(141mmol)を、隔壁を通して添加した。さらに30分後、ペルオキソ2硫酸カリウムを用い、10重量%溶液を5ml(1.8mmol、500mg)添加することによって、90℃で重合を開始した。溶液に、90℃で10分間、窒素を勢いよく流した。反応溶液を、機械式撹拌子により分当り400回転(rpm)で撹拌した。2.5時間の反応時間の後、フラスコを開け、得られた温かい溶液を標準的な濾紙に通して濾過することにより、大きな凝集塊を除去した。次いで溶液を、4000rpmの遠心分離器内で5から10分間、2回洗浄し、それによって透明なペレットを分離した。その後、虹色のペレット上に透明な液体が形成されるまで、30から90分間遠心分離した。次いで液体を注ぎ出し、ペレットを、2重脱イオン水60ml中に再懸濁した。これを、オリゴマーからポリマーを分離するためにさらに4回繰り返した。次いでこの溶液を、10から20重量%の懸濁液として保存した。収率は、分離されたポリマー/オリゴマーの比に左右され、典型的には約50から90%の範囲内であった。
【0238】
この方法によって成長させたポリマー球体は、凝集を妨げる静電反発力を引き起こす表面電荷を示した。
【0239】
球単分散染料が封入された、生成されたポリマー球体は、約0.05から0.7μmの間の平均粒径を有し、その標準偏差は4%未満であった。
【0240】
次いでサンプルは、その分散液を5000rpmで20分間遠心分離することにより精製し、それによって液体から固体を分離した。固体を、機械式撹拌および超音波処理によって当初の体積まで蒸留水中に再分散させた。この手順を、3回または4回繰り返した。
【0241】
この方法によって生成されたサンプルは、可視光のブラッグ回折により鮮やかな色を示した。
【実施例2】
【0242】
試験管内でのコロイド結晶の製作
体積分率0.3%のアリザリンブルーブラックを含有する、均一サイズのポリ(メチルメタクリレート)球体(実施例1の通りに調製した)を水に懸濁させた10%懸濁液(粒子の体積分率: 10%; 直径: 210nm; 標準偏差: 3%)を、2mlのプラスチックバイアル(幅8mmおよび長さ30mm)に注ぎ、次いで10分間、10000rpm(約3500G)で遠心分離した。遠心分離の後、虹色の結晶領域がセルの底部に形成され、混濁した非結晶領域が中央に、透明領域が最上部に形成された(図2参照)。
【0243】
同じ方法を、蒸留水に溶かしたむき出しのポリ(メチルメタクリレート)粒子(粒子の体積分率: 10%; 直径: 210nm; 標準偏差: 3%)を含有する溶液(染料、顔料、および/または発色団を含まない)に対しても行った。コロイド結晶の形成は、上述と同じ条件下で行った。遠心分離の後、虹色の結晶領域がセルの底部に形成され、混濁した非結晶領域が中央に、透明領域が最上部に形成された(図1参照)。
【0244】
試験管内でのコロイド結晶の形成を実証するために、上記2つのサンプルの光学画像および光学測定を行った。試験管内での結晶層の形成の例を、図3に、走査電子顕微鏡測定によって示す。図3は、秩序-無秩序相の境界の、黄、緑、紫色領域を示す。
【図面の簡単な説明】
【0245】
【図1】ポリ(メチルメタクリレート)粒子を含むコロイド結晶を示す図である。
【図2】ポリ(メチルメタクリレート)粒子および広域スペクトル吸収体造影剤(アリザリンブルーブラック)を含むコロイド結晶を示す図である。
【図3】試験管から採取され、SEM下で観察された、結晶層を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体が粒子内に封入されている、コロイド結晶を形成することが可能な単分散粒子。
【請求項2】
前記広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体が、化合物の混合物であり、前記混合物が、単一の広域スペクトル吸収体造影体と同じ吸収特性を有する、請求項1に記載の単分散粒子。
【請求項3】
少なくとも1種の広域スペクトル吸収体造影剤が、前記粒子内に封入されている、請求項1または2に記載の単分散粒子。
【請求項4】
広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体が、前記粒子内に封入されている、請求項1または2に記載の単分散粒子。
【請求項5】
可視光の波長に相当する範囲の波長を有する光を反射しかつ/または回折するコロイド結晶を形成することが可能な、請求項1から4のいずれかに記載の単分散粒子。
【請求項6】
(i)単分散粒子を5〜95重量%と、
(ia)封入されている、少なくとも1種の広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体を95〜5重量%と
を含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の単分散粒子。
【請求項7】
約1μm未満でありかつ約1nm超であるrms直径を有することを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の単分散粒子。
【請求項8】
150nm超、好ましくは200nm超のrms直径を有することを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の単分散粒子。
【請求項9】
900nm未満、好ましくは800nm未満のrms直径を有することを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載の単分散粒子。
【請求項10】
200nmから550nmの範囲のrms直径を有することを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の単分散粒子。
【請求項11】
針、プレート、ロッド、または球体の形状を有することを特徴とする、請求項1から10のいずれかに記載の単分散粒子。
【請求項12】
前記広域スペクトル吸収体造影剤が、単分散粒子の全体にわたって分布される、請求項1から11のいずれかに記載の単分散粒子。
【請求項13】
有機および/または無機材料から作製されることを特徴とする、請求項1から12のいずれかに記載の単分散粒子。
【請求項14】
ラテックス、ポリスチレン、ポリ(酢酸ビニル)、ポリアクリロニトリル、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ(メチルメタクリレート)、およびポリ(フルオロメチルメタクリレート)粒子などの有機ポリマー粒子から作製されることを特徴とする、請求項13に記載の単分散粒子。
【請求項15】
金属カルコゲナイド、金属プニクチド、シリカ、金属、および金属酸化物粒子から作製されることを特徴とする、請求項11に記載の単分散粒子。
【請求項16】
広域スペクトル吸収体造影剤が有機物である、請求項1から15のいずれかに記載の単分散粒子。
【請求項17】
広域スペクトル吸収体造影剤が無機物である、請求項1から15のいずれかに記載の単分散粒子。
【請求項18】
広域スペクトル吸収体造影剤が、アリザリンブルーブラック、ブリリアントブルーブラック、カーボンブラック、および酸化鉄ブラックからなる群から選択される、請求項1から15のいずれかに記載の単分散粒子。
【請求項19】
前駆体広域スペクトル吸収体造影剤が、金属塩または金属塩の混合物である、請求項1から18のいずれかに記載の単分散粒子。
【請求項20】
金属塩が親水性である、請求項19に記載の単分散粒子。
【請求項21】
金属塩が、AgNO3、FeCl2、およびFeCl3である、請求項19および20に記載の単分散粒子。
【請求項22】
請求項1から21に記載の単分散粒子から形成されたコロイド結晶。
【請求項23】
(i)請求項1から21に記載の単分散粒子、および/または請求項22に記載の少なくとも1種のコロイド結晶
を含む着色剤組成物。
【請求項24】
(i)請求項1から21に記載の単分散粒子、および/または請求項22に記載の少なくとも1種のコロイド結晶と、
(ia)広域スペクトル吸収体造影剤および広域スペクトル吸収体造影剤の前駆体が、含まれていない単分散粒子と
を含む着色剤組成物。
【請求項25】
単分散粒子内に封入されていない、少なくとも1種の広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体をさらに含む、請求項23および24に記載の着色剤組成物。
【請求項26】
追加の広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の前駆体が、コロイド結晶の、封入された単分散粒子間の間隙に位置決めされている、請求項25に記載の着色剤組成物。
【請求項27】
追加の広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体が、封入された単分散粒子の表面に位置決めされている、請求項25に記載の着色剤組成物。
【請求項28】
追加の広域スペクトル吸収体造影剤が有機物である、請求項25から27のいずれかに記載の着色剤組成物。
【請求項29】
追加の広域スペクトル吸収体造影剤が無機物である、請求項25から27のいずれかに記載の着色剤組成物。
【請求項30】
広域スペクトル吸収体造影剤が、アリザリンブルーブラック、ブリリアントブルーブラック、カーボンブラック、および酸化鉄ブラックからなる群から選択される、請求項25から27のいずれかに記載の着色剤組成物。
【請求項31】
広域スペクトル吸収体造影剤の前駆体が、AgNO3、FeCl2、およびFeCl3からなる群から選択される、請求項25から27のいずれかに記載の着色剤組成物。
【請求項32】
少なくとも1種の広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体が内部に封入されている、単分散粒子の量が、着色剤組成物の全重量に対して少なくとも約0.01重量%である、請求項23から31のいずれかに記載の着色剤組成物。
【請求項33】
少なくとも1種の広域スペクトル吸収体造影剤および/または広域スペクトル吸収体造影剤の少なくとも1種の前駆体が内部に封入されている、単分散粒子の量が、着色剤組成物の全重量に対して0.01重量%から70重量%である、請求項23から32のいずれかに記載の着色剤組成物。
【請求項34】
(ii)少なくとも1種の溶媒
を含む、請求項23から33のいずれかに記載の着色剤組成物。
【請求項35】
溶媒が、極性または無極性でよい有機溶媒である、請求項34に記載の着色剤組成物。
【請求項36】
有機溶媒が、水、アルコール(モノまたはポリ)、エステル、ケトン、およびエーテル、特に、モノ、ジ、およびトリプロピレングリコールのモノメチルエーテルや、エチレン、ジエチレン、およびトリエチレングリコールのモノ-n-ブチルエーテルなどの、グリコールおよびポリグリコールのモノおよびジアルキルエーテルからなる群から選択される、請求項35に記載の着色剤組成物。
【請求項37】
(iia)水と、
(iib)場合により、アルコール、エステル、ケトン、エーテル、少なくとも6個の炭素原子を有する脂肪族および芳香族炭化水素、ならびに精製蒸留生成物および副生成物を含めたこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の溶媒と
を含む、請求項34から36のいずれかに記載の着色剤組成物。
【請求項38】
溶媒が、アルコール、エステル、ケトン、エーテル、少なくとも6個の炭素原子を有する脂肪族および芳香族炭化水素、ならびに精製蒸留生成物および副生成物を含めたこれらの混合物からなる群から選択される、請求項34から36のいずれかに記載の着色剤組成物。
【請求項39】
溶媒の量が、前記着色剤組成物の全重量に対して10重量%から99.99重量%、好ましくは20重量%から99.9重量%、より好ましくは30重量%から99.9重量%の範囲内である、請求項34から38のいずれかに記載の着色剤組成物。
【請求項40】
着色剤組成物が、液体、ゲル、またはペーストである、請求項34から39のいずれかに記載の着色剤組成物。
【請求項41】
(i)請求項1から21に記載の単分散粒子、および/または請求項22に記載の少なくとも1種のコロイド結晶を、前記着色剤組成物の全重量に対して0.01重量%から70重量%
含む、請求項23から40のいずれかに記載の着色剤組成物。
【請求項42】
(iii)少なくとも1種の硬化材料と、
(iv)少なくとも1種の開始剤と
をさらに含む、請求項23から41のいずれかに記載の着色剤組成物。
【請求項43】
(iii)少なくとも1種の硬化剤を、前記着色剤組成物の全重量に対して0.01重量%〜15重量%、好ましくは0.1〜10重量%
含む、請求項42に記載の着色剤組成物。
【請求項44】
(iv)少なくとも1種の開始剤を、前記着色剤組成物の全重量に対して0.005重量%〜10重量%、好ましくは0.01〜8重量%
含む、請求項42および43に記載の着色剤組成物。
【請求項45】
硬化剤が、エポキシアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、アクリル化ポリオール、およびアクリル化ポリエーテルからなる群から選択される、請求項42から44のいずれかに記載の着色剤組成物。
【請求項46】
開始剤が、ペルオキシドまたはペルオキシド含有化合物、ベンゾフェノンおよびベンゾフェノン誘導体、アセトフェノンおよびアセトフェノン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、およびチオキサントン誘導体からなる群から選択される、請求項42から45のいずれかに記載の着色剤組成物。
【請求項47】
(v)少なくとも1種の補助剤
をさらに含む、請求項23から46のいずれかに記載の着色剤組成物。
【請求項48】
補助剤が、湿潤剤、緩衝物質、静電防止剤、漂白剤、酸化剤、流動改質剤、可溶化剤、乾燥剤、泡止め剤、レベリング剤、界面活性剤、消泡剤、凍結防止剤、または静真菌剤、および/または静菌剤、蛍光増白剤、柔軟剤、難燃剤、または汚れ防止剤、撥水剤、および撥油剤、ならびに硬水軟化剤、および天然もしくは合成増粘剤、例えばアルギネートおよびセルロースエーテルからなる群から選択される、請求項47に記載の着色剤組成物。
【請求項49】
(v)少なくとも1種の補助剤を、前記着色剤組成物の全重量に対して0.1重量%から10重量%
さらに含む、請求項47および48に記載の着色剤組成物。
【請求項50】
着色剤組成物が、染色および/または印刷配合物である、請求項23から49のいずれかに記載の着色剤組成物。
【請求項51】
インクジェット(バブルジェット、コンパウンドジェット、ドライインクジェット、ホットメルトインクジェットなど)、凸版印刷、凹版印刷、活版印刷、リソグラフィ、フレキソグラフィ、グラビア、スクリーン印刷、およびパッド印刷用の印刷配合物である、請求項50に記載の着色剤組成物。
【請求項52】
ジェット染色、エグゾーストプロセス、連続染色、ビーム染色、パドルマシン染色、フーラード染色、および/またはかせ染め用の染色配合物である、請求項50に記載の着色剤組成物。
【請求項53】
パーソナルケア用配合物および/または化粧品配合物における、請求項1から21に記載の単分散粒子、および/または請求項22に記載の少なくとも1種のコロイド結晶、および/または請求項23から49に記載の少なくとも1種の着色剤組成物の使用。
【請求項54】
請求項1から21に記載の単分散粒子、および/または請求項22に記載の少なくとも1種のコロイド結晶、および/または請求項23から49に記載の少なくとも1種の着色剤組成物を含む、パーソナルケア用配合物および/または化粧品配合物。
【請求項55】
溶液、懸濁液、エマルジョン、PITエマルジョン、ペースト、軟膏、ゲル、クリーム、ローション、粉末、石けん、界面活性剤含有洗浄料、油、エアロゾル、スプレー、およびスティックの形をとる、請求項54に記載のパーソナルケア用配合物および/または化粧品配合物。
【請求項56】
リップスティック、リップケアスティック、マスカラ、アイライナー、アイシャドウ、ルージュ、パウダー化粧品、エマルジョン化粧品、ワックス化粧品、ネイルラッカー、シャンプー、およびシャワー用配合物である、請求項54または55に記載のパーソナルケア用配合物および/または化粧品配合物。
【請求項57】
溶媒、別の染料および/または顔料、酸化防止剤、撥水剤、ビタミン、UV吸収剤、溶質、セルフタンニング剤、保存剤、酸化防止剤、安定剤、可溶化剤、ビタミン、着色剤、および臭気改良剤からなる群から選択される少なくとも1種の別の添加剤を含む、請求項54から56のいずれかに記載のパーソナルケア用配合物および/または化粧品配合物。
【請求項58】
セキュリティ印刷および/または染色インクにおける、請求項1から21に記載の単分散粒子、および/または請求項22に記載の少なくとも1種のコロイド結晶、および/または請求項23から49に記載の少なくとも1種の着色剤組成物の使用。
【請求項59】
請求項1から21に記載の単分散粒子、および/または請求項22に記載の少なくとも1種のコロイド結晶、および/または請求項23から49に記載の少なくとも1種の着色剤組成物を含む、セキュリティ印刷および/または染色インク。
【請求項60】
少なくとも1種の、別の追加の検出可能なセキュリティフィーチャを含む、請求項59に記載のセキュリティ印刷および/または染色インク。
【請求項61】
別の追加の要素が、光学的、機械的、および/または触覚的に検出可能なセキュリティフィーチャである、請求項60に記載のセキュリティ印刷および/または染色インク。
【請求項62】
基材の印刷および/または染色のための、請求項23から49に記載の着色剤組成物および/または請求項59から61に記載のセキュリティ印刷および/または染色インクの使用。
【請求項63】
基材が、繊維(毛髪など)、皮膚、爪、食材、石、セラミック、ガラス、紙、布地、木材、皮革、金属、および/またはプラスチックからなる群から選択される、請求項62に記載の使用。
【請求項64】
請求項23から49に記載の着色剤組成物および/または請求項59から61に記載のセキュリティ印刷および/または染色インクによって、印刷されかつ/または染色された基材。
【請求項65】
繊維(毛髪など)、皮膚、爪、食材、石、セラミック、ガラス、紙、布地、木材、皮革、金属、および/またはプラスチックからなる群から選択される、請求項64に記載の基材。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−516036(P2009−516036A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540501(P2008−540501)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【国際出願番号】PCT/EP2006/010882
【国際公開番号】WO2007/057146
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】