研削加工方法及び同装置
【課題】砥石の振動等の発生を抑制しつつ回転角度により研削代が異なるワークをより効率良く加工する。
【解決手段】内面研削盤は、砥石24と、ワーク1を回転駆動するホイールヘッド20と、砥石24とワーク周面とを切込み方向に相対送りする第1テーブル26等を含む移動機構と、ホイールヘッド20等の駆動を制御するNC装置30とを備える。このNC装置30は、電力検出回路21から出力される砥石駆動モータのモータ電力の値に基づいて砥石24とワーク内主面との接触検知を行う接触検知部32と、その接触検知に基づき、砥石24とワーク内周面とが接触状態にあるときのワーク1(主軸12)の回転速度が、それ以外のときの回転速度よりも低速となるようにワーク1の一回転中の回転速度を制御すべくワーク駆動モータ14に制御信号を出力する速度制御部36とを含む。
【解決手段】内面研削盤は、砥石24と、ワーク1を回転駆動するホイールヘッド20と、砥石24とワーク周面とを切込み方向に相対送りする第1テーブル26等を含む移動機構と、ホイールヘッド20等の駆動を制御するNC装置30とを備える。このNC装置30は、電力検出回路21から出力される砥石駆動モータのモータ電力の値に基づいて砥石24とワーク内主面との接触検知を行う接触検知部32と、その接触検知に基づき、砥石24とワーク内周面とが接触状態にあるときのワーク1(主軸12)の回転速度が、それ以外のときの回転速度よりも低速となるようにワーク1の一回転中の回転速度を制御すべくワーク駆動モータ14に制御信号を出力する速度制御部36とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク内周面または外周面を研削加工する方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
砥石、及びワークを回転駆動しながら、ワーク周面に対して砥石を一定の送り速度で切込み送りすることにより当該ワーク周面を真円や楕円等の所定の形状に研削する方法が一般に知られている。
【0003】
ところで、周面に凹凸を有する、あるいはワーク取付時に芯ずれが生じた場合等、ワークの回転角度により研削代が異なるワークを上記方法によって研削する場合には、ワークの回転に伴い砥石がワーク周面に断続的に接触するため、これによって砥石が振動したり、場合によっては砥石が損傷を受けたりする。このような砥石の振動等は、加工精度の向上の大きな妨げとなる。
【0004】
そこで従来では、特許文献1に記載されるように、砥石によるワークの研削力を検出し、その変動幅が規定値より大きい間(つまり、ワーク周面の起伏が大きい間)はワークを低速で駆動し、これにより砥石の振動等を抑え、変動幅が上記既定値以下になると(つまり、ワーク周面がほぼ全周に亘り砥石と接触した状態となると)、ワークの回転速度を高めることが行われている。
【特許文献1】特開平4−322967号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記特許文献1のような方法では、例えばワーク一回転中において砥石がワーク周面の一部分でしか接触しておらず、その大部分が非接触(エアカットの状態)となるような状況でも、変動幅が上記既定値以下になるまでの間はワークを一律に低速で駆動するため、ワークの周面形状によっては比較的長時間に亘ってワークを低速で駆動することとなる。従って、ワーク内周面を効率的に加工する上で、改善の余地が残されている。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑み、砥石の振動等の発生を抑制しつつ、回転角度により研削代が異なる周面を有するワークをより効率良く加工することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、回転角度により研削代が異なる周面を有するワークを回転駆動し、そのワーク周面と砥石とを切込み方向に相対送りすることによりワークの前記周面を所定の形状に加工する研削加工方法であって、前記砥石の回転負荷を検出することにより砥石とワーク周面との接触状況を検知し、砥石とワーク周面とが接触状態にあるときのワークの回転速度が、非接触状態のときの回転速度よりも低速となるようにワーク1回転中の回転速度を制御するようにしたものである。より具体的には、所定のアプローチ用速度でワークを回転駆動しながら前記砥石をワーク周面に対して接近させるアプローチ工程と、前記砥石がワーク周面に接触した時点以降の加工工程とを含み、この加工工程において、砥石とワーク周面とが接触状態にあるときには前記アプローチ用速度よりも遅い所定の低速度でワークを回転駆動し、砥石とワーク周面とが非接触状態にあるときには、前記低速度よりも速い所定の高速度で前記ワークを回転駆動するようにしたものである。
【0008】
このように、加工工程において、ワーク1回転中におけるワークの回転速度を、砥石とワーク周面との接触状況の検知に基づき切り替える方法によれば、ワーク1回転中において、砥石とワーク周面との接触中は、ワークを低速度で回転させることにより砥石の振動等を抑制することができ、砥石とワーク周面が非接触状態のときには、ワークを高速度で回転させることによりエアカット期間の時間短縮を図ることができる。従って、従来の方法、つまり砥石とワーク周面との接触の有無に拘わらず一律に低速度でワークを駆動する従来方法に比べると、砥石の振動等の発生を抑制しながらも効率良くワーク周面を加工することが可能となる。
【0009】
なお、砥石とワーク周面との接触状況が接触状態から非接触状態に変化するときの当該変化を検知し、直ちにワークの回転速度を制御しても、ワークが回転しているために若干の応答遅れが生じ得る。そのため、前記加工工程では、ワーク1回転中の回転角度を検出し、その検出角度と前記接触状況の検知とに基づき砥石とワーク周面とが非接触状態から接触状態へ変化するときのワークの回転角度を記憶し、この記憶した回転角度に基づき、次回のワーク1回転中におけるワークの回転角度であってワークの回転速度を前記高速度から低速度に切り替えるべき切り替え角度を定め、この切り替え角度に基づき、次回のワーク1回転中におけるワークの回転速度を制御するのが好適である。
【0010】
このように前回のワーク1回転中の接触状況に基づいて次回のワーク1回転中の回転速度の切り替えを行うようにすれば、上記のような応答遅れの問題を解消することが可能となる。
【0011】
この場合、前回のワーク1回転中に記憶した回転角度に対して所定角度分だけ早期にワークの回転速度を前記高速度から低速度に切り替えるべく前記切り替え角度を定めるようにするのが好適である。
【0012】
つまり、ワーク周面に凸部が有るような場合、砥石の切込み送りが進行するに伴い通常は砥石とワーク周面との接触範囲が拡大する。そのため、次回のワーク1回転中、上記のように前回のワーク1回転中に記憶した回転角度よりも所定角度分だけ早期にワークの回転速度を高速度から低速度に切り替えるようにすれば、ワーク周面への砥石の接触時に、より確実にワークの回転速度を切換えておくことが可能となる。
【0013】
一方、本発明に係る研削加工装置は、砥石と、ワークを回転駆動するワーク駆動手段と、前記砥石とワーク周面とを切込み方向に相対送りする送り駆動手段とを備え、非真円の周面を有するワークの前記周面を真円に加工すべく前記駆動手段を制御する制御手段とを有する研削加工装置であって、前記制御手段は、前記砥石の回転負荷の検出に基づき前記砥石とワーク周面との接触状況を検知する接触検知手段と、接触検知手段による前記接触状況の検知に基づき、前記砥石とワーク周面とが接触状態にあるときのワークの回転速度が、非接触状態のときの回転速度よりも低速となるようにワーク1回転中の回転速度を制御する速度制御手段と、を含むものである。
【0014】
この研削加工装置では、砥石とワーク周面とが切込み方向に相対的に送り駆動されて、ワーク周面に砥石が接触したことが接触検知手段により検知されると、この検知に基づき、速度制御手段がワーク駆動手段を制御して、砥石とワーク周面とが接触状態にあるときのワークの回転速度が、それ以外のときの回転速度よりも低速となるようにワーク1回転中におけるワークの回転速度を制御する。従って、この研削加工装置によれば、回転角度により研削代が異なるワークの周面研削加工において、請求項1に記載の研削加工方法を良好に実施することができる。
【0015】
なお、前記速度制御手段は、砥石とワーク周面との前記切込み方向への相対送りに伴う前記接触検知手段による接触状況の検知に応じ、砥石がワーク周面に接触するまでは前記ワークを所定のアプローチ速度で回転駆動し、砥石がワーク周面に接触した後であって砥石とワーク周面とが接触状態にあるときには前記アプローチ速度よりも遅い所定の低速度でワークを回転駆動すると共に、砥石とワーク周面とが非接触状態にあるときには、前記低速度よりも速い所定の高速度で前記ワークを回転駆動するように構成される。
【0016】
この研削加工装置によれば、請求項2に記載の研削加工方法を良好に実施することができる。
【0017】
この研削加工装置においては、ワーク1回転中の当該ワークの回転角度を検出する角度検出手段と、その検出角度と前記接触検知手段による接触状況の検知とに基づき砥石とワーク周面とが非接触状態から接触状態へ変化するときのワークの回転角度を記憶する記憶手段と、を備え、次回のワーク1回転中には、前回のワーク1回転中に記憶された前記回転角度に基づきワークの回転速度を前記高速度から低速度に切り替えるように前記速度制御手段が構成される。
【0018】
この研削加工装置では、接触検知手段による検知状況が非接触状態から接触状態へ変化すると、そのときのワークの回転角度が記憶手段に記憶される。そして、速度制御手段は、この記憶手段に記憶されている前回のワーク1回転中の回転角度に基づき、次回のワーク1回転中の前記高速度から低速度への速度切り替えを行う。従って、この研削加工装置によれば、請求項3に記載の研削加工方法を良好に実施することができる。
【0019】
なお、この装置において、記速度制御手段は、次回のワーク1回転中には、前回のワーク1回転中に記憶した回転角度に対して所定角度分だけ早期にワークの回転速度を前記高速度から低速度に切り替えるものであってもよい。
【0020】
この研削加工装置によれば、請求項4に記載の研削加工方法を良好に実施することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、回転角度により研削代が異なる周面を有するワークの前記周面を所定の形状に加工する研削加工方法において、砥石とワーク周面とが接触状態にあるときのワークの回転速度が、それ以外のときの回転速度よりも低速とるようにワーク1回転中の回転速度を制御するようにしたので、砥石の振動等の発生を効果的に抑制しつつより効率良くワーク周面を加工することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の好ましい実施の形態について図面を用いて説明する。なお、この実施の形態では円筒状のワーク1の内周面を研削する内面研削に本発明を適用したものを示すが、本発明はワーク外周面を研削する円筒研削にも良好に適用することが可能である。
【0023】
図1は、本発明に係る研削加工装置である内面研削盤を平面図で模式的に示している。この図に示す内面研削盤は、その基台上に、ワーク1を支持するワーク支持ヘッド10と、砥石車24を有するホイールヘッド20とを備えている。
【0024】
ワーク支持ヘッド10には、ワーク1を保持(固定)するためのチャックを備えた主軸12が設けられている。主軸12は、ワーク駆動モータ14を駆動源とする図外の駆動機構(本発明に係るワーク駆動手段に相当する)に連結されており、チャックにより保持したワーク1と一体にワーク支持ヘッド10に対して回転駆動されるようになっている。
【0025】
前記ホイールヘッド20は、前記ワーク支持ヘッド10に対して主軸12の軸線方向に対向するように配置されている。
【0026】
ホイールヘッド20には砥石軸22が装着され、この砥石軸22の先端部に砥石24が固定されている。この砥石24は、例えば軸線方向に沿うストレートな砥石面をもつ平型の砥石車である。ホイールヘッド20には、砥石軸22及び砥石24を高速で回転駆動する図略の砥石駆動モータが内蔵されている。
【0027】
ホイールヘッド20は、砥石軸22と平行な方向、及び水平面上でこれと直交する切込み方向(図1では上下方向)に移動可能に設けられている。詳しくは、基台上には、砥石軸22と平行な方向に移動可能な第1テーブル26と、この第1テーブル上に設けられて前記切込み方向に移動可能な第2テーブル28とを有する移動機構が設けられており、この移動機構の前記第2テーブル28上にホイールヘッド20が支持されている。つまり、砥石軸22及び砥石24が高速で回転駆動され、その回転駆動状態で砥石24がワーク1の内側に挿入され、かつ砥石24がホイールヘッド20と共にワーク1の半径方向に切込み送りされることにより、前記砥石24がワーク内周面に押付けられてその内周面を研削するように構成されている。なお、本発明では、砥石24ではなくワーク支持ヘッド10を移動させることにより切込み方向の送りを行うようにしてもよい。
【0028】
前記ホイールヘッド20には、その砥石駆動モータのモータ電力(研削電力)、すなわち、砥石24の回転駆動トルク(回転負荷)に対応する値を検出する電力検出回路21が接続されている。この電力検出回路21の検出信号はNC装置30に入力される。
【0029】
NC装置30(本発明に係る制御手段に相当する)は、予め記憶されているプログラムに従って所定の研削動作を実行するように、ワーク支持ヘッド10やホイールヘッド20等の動作を統括的に制御するものであり、接触検知部32、記憶部34、及び速度制御部36等の機能構成を含んでいる。
【0030】
接触検知部32は、本発明に係る接触検知手段に相当する。この接触検知部32は、前記電力検出回路21から入力される検出信号(研削電力検出信号)に基づきワーク1の内周面に対する砥石24の接触検知を行うと共に、ワーク駆動モータ14に内蔵される図略のエンコーダ(本発明に係る角度検出手段に相当する)から入力される信号に基づいて、砥石24が接触し始めたワーク1の回転角度を記憶部34に記憶させるものである。具体的には、記憶部34は、所定角度毎にワーク一回転分に対応する記憶領域を有し、前記接触検知部32は、ワーク内周面に対して砥石24が接触したことを検知すると、その時のワーク1の回転角度に対応する記録領域に接触情報(以下、接触記録という)を記憶する。その場合、ワーク一回転中に断続的に複数回、接触を検知した場合には、接触検知部32は、それぞれの回転角度に対する記憶領域に接触記録を記憶する。
【0031】
速度制御部36は、本発明に係る速度制御手段に相当するものである。この速度制御部36は、ワーク駆動モータ14に対して制御信号を出力することによりワーク駆動モータ14の回転速度を制御するものであり、予め設定された速度でワーク駆動モータ14を駆動すると共に、上記記憶部34に記憶された接触記録に基づきワーク駆動モータ14の回転速度を切り替え制御する。
【0032】
次に、このNC装置30による加工動作の制御について、図2のフローチャートに従い説明する。なお、この実施の形態に示す加工動作は、例えば風力発電用軸受けの外輪などであって例えば図4に示すように凸部1a等を有することにより内周面の研削代が回転角度により異なるワーク1を対象とするものであり、当該ワーク1の内周面を所定内径(符合2で示す)の真円に加工することを前提とするものである。
【0033】
まず、NC装置30は、前記記憶部34のデータをクリアし、その後、第1,第2のテーブル26,28を移動させ、これにより砥石24を、ワーク1の内周面との間に所定の隙間をおいた位置で当該ワーク1の内側に挿入する(ワーク1内への砥石24の割り出しを行う)と共に、ホイールヘッド20に内蔵された砥石駆動モータを作動させて砥石軸22、及び砥石24を一体に高速で回転駆動する(ステップS1,S3)。
【0034】
この状態で、速度制御部36からワーク駆動モータ14に制御信号を出力させ、主軸12、及びワーク1を一体に回転駆動すると共に、図略の供給手段によりワーク1への加工液の供給を開始させ、さらに電力検出回路21から出力される検出信号の値を前記接触検知部32に記憶させる(ステップS5)。つまり、接触検知部32は、無負荷状態の研削電力の値W0(図3参照)を記憶する。
【0035】
次に、NC装置30は、主軸12の回転速度を予め設定された速度V1(本発明に係るアプローチ用速度に相当する)まで上げ、その後、第2テーブル28を駆動して砥石24の切込み送りを開始する(ステップS7,S9)。
【0036】
切込み送りが開始されると、速度制御部36は、ワーク駆動モータ14に内蔵される前記エンコーダからの入力信号と記憶部34内のデータとに基づき、現在の主軸12の回転角度に対して+5°の位置に前回のワーク1回転中に記憶された接触記録記があるか否かを判断する(ステップS11)。
【0037】
ここで、NOと判断した場合には、接触検知部32において砥石24がワーク内周面に接触したか否か(以下、接触検知という)、つまりワーク1の上記凸部1aに砥石24が接触した否かを判断する(ステップS13)。この判断は、電力検出回路21から出力される検出信号値を、予め設定された閾値Wt(図3参照;>W0)と比較することにより行う。つまり、ワーク内周面に砥石24が接触すると、砥石24の回転負荷が増して研削電力が上昇するため、接触検知部32は、予め設定された閾値Wtと電力検出回路21から出力される検出信号値とを比較し、当該信号値が閾値Wtを越えると接触を検知する。
【0038】
ステップS13の判断がNOの場合にはステップS7に移行する。これに対して、ステップS13の判断がYESの場合には、NC装置30は、接触検知部32により現時点、つまり電力検出回路21から出力される検出信号の値が閾値Wtを越えた時点の主軸12(ワーク1)の回転角度を記憶部34に記憶させ、さらに、速度制御部36からワーク駆動モータ14に制御信号を出力させることにより、主軸12の回転速度を予め設定された速度V2(<V1;図3参照;本発明に係る所定の低速度)に切り替える(ステップS15,S17)。
【0039】
そして、接触検知部32において電力検出回路21から出力される検出信号の値が前記閾値Wtを下回ったか、つまり砥石24がワーク内周面に対して非接触であるかを判断し(ステップS19)、ここでの判断がYESの場合には、NC装置30は、ステップS7に移行し、速度制御部36からワーク駆動モータ14に制御信号を出力させることにより、主軸12の回転速度を速度V2から速度V1(本発明に係る所定の高速度に相当する)切り替えられる。
【0040】
これに対して、ステップS19の判断がNOの場合には、NC装置30は、電力検出回路21から出力される検出信号の値が、主軸12(ワーク1)一回転において継続的に上記閾値Wtを越えているかを判断する(ステップS21)。つまり、ワーク内周面がほぼ全周に亘り砥石と接触したかを判断する。そして、ステップS21の判断がNOの場合には、ステップS17に移行する。これに対して、ステップS21の判断がYESの場合には、NC装置30は、速度制御部36からワーク駆動モータ14に制御信号を出力させることにより、砥石24の切込み送り量に応じて主軸12の回転速度を、順次、予め設定されている回転速度V3(V3<V2)→V4(V4<V3)に切り替え、これによりほぼ真円に加工されたワーク1の内周面に対して順次、荒加工、仕上げ加工、及びスパークアウト加工を施し(ステップS23〜S27)、スパークアウト加工が終了すると、NC装置30は、第1,第2のテーブル26,28を駆動して砥石24をワーク1から引き出す。これによりワーク1の一連の内面研削加工が終了する。
【0041】
なお、上記制御において、ステップS11の判断がYESの場合には、NC装置30は、速度制御部36からワーク駆動モータ14に制御信号を出力させることにより、主軸12の回転速度を速度V2に切り替える(ステップS29)。そして、電力検出回路21から出力される検出信号の値が閾値Wtを越えるのを待って(ステップS31)、当該検出信号の値が前記閾値Wtを越えると(ステップS31でYES)、NC装置30は、接触検知部32によりその時点、つまり電力検出回路21から出力される検出信号の値が閾値Wtを越えた時点の主軸12の回転角度を記憶部34に記憶させ(ステップS33)、その後、ステップS19に移行する。
【0042】
上記のようなNC装置30の制御に基づく主軸12(ワーク1)の動作について図3を用いて説明する。図3は、主軸12(ワーク1)一回転の研削電力値(電力検出回路21から出力される検出信号値)と主軸12の回転速度とを対応させたものである。
【0043】
NC装置30の制御によると、砥石24の切込み送りが開始されて、砥石24がワーク内周面に接触するまでは主軸12が速度V1で高速駆動される。砥石24の切込み送りが進み、砥石24がワーク内周面(凸部1a)に接触し、図中実線で示すように研削電力値が閾値Wtを越えると、これに伴い主軸12の回転速度が速度V1から速度V2に切り替えられる。また、その時の主軸12の回転角度(角度θ1)が記憶部34に記憶される。なお、当実施形態では、この砥石24がワーク内周面に接触し、初めて研削電力値が閾値Wtを越えた時点より前が本発明のアプローチ工程に相当し、当該時点以降が同加工工程である。
【0044】
そして、主軸12がさらに回転してワーク内周面(凸部1a)から砥石24が離脱し、研削電力値が閾値Wt未満となると(角度θ2)、これに伴い主軸12の回転速度が速度V2ら速度V1に切り替える。つまり、主軸12の一回転中、砥石24とワーク内周面とが接触している間は主軸12が速度V2で低速駆動され、それ以外の非接触の間は主軸12が速度V1で高速駆動される。
【0045】
そして、砥石24が最初にワーク内周面に接触したときをn回転目とすると、次回のワーク回転時(n+1回転目)には、記憶部34のデータに基づき、図3中に破線で示すように、前回(n回転目)、砥石24が接触し始めたワーク1の回転角度よりも5°だけ早い段階(θ1−5°)で主軸12の回転速度が速度V1から速度V2に切り替えられ、その後、研削電力値が閾値Wt未満となると(角度θ2′)、これに伴い主軸12の回転速度が速度V2ら速度V1に切り替えられる。なお、この場合も、研削電力値が閾値Wtを越えると、その時の主軸12の回転角度(角度θ1′)が記憶部34に記憶される。
【0046】
そして、n+2回転目以降は、n+1回転目と同様に、記憶部34のデータに基づいて主軸12の回転速度が切り替えが行われると共に、記憶部34のデータが更新され、ワーク1の一回転中に記憶部34の更新が行われなくなると、既に説明したように、順次、主軸12の回転速度が速度V3→V4に切り替えられることとなる。
【0047】
以上のように、本発明に係る内面研削盤(本発明に係る研削加工方法)では、主軸12(ワーク1)の一回転中の回転速度を、砥石24とワーク内周面との接触検知に基づいて切り替え、非接触時には、主軸12(ワーク1)を速度V1で高速駆動する一方、接触時には、主軸12(ワーク1)を速度V1よりも低速の速度V2で低速駆動する。そのため、砥石24とワーク内周面との接触中は、ワーク1を低速で回転させることにより砥石24に振動等が生じるのを抑制することができ、他方、砥石24とワーク内周面が非接触状態のときは、ワーク1を高速で回転させることにより所謂エアカット期間を短縮することができる。例えば、図5は、図4に示すワーク1を上記内面研削盤により研削加工した場合の、切込み送り開始から荒加工に至るまでの主軸12(ワーク1)の一回転毎の回転速度を概略的に示したものである。この図において、細線は主軸12を速度V1で高速駆動した範囲を示しており、太線は速度V2で低速駆動した範囲を示している。従来の研削加工によれば、砥石の振動等を抑制するために、切込み送り開始から荒加工に至るまで主軸(ワーク)が一律に低速で駆動されていたが、上記の内面研削盤によれば、同図に示すように、切込み送り開始から荒加工に至るまでの大部分の範囲で主軸12(ワーク1)が高速で駆動される。
【0048】
従って、上記の内面研削盤によれば、回転角度により研削代が異なる周面を有するワーク1の研削加工において、砥石24の振動等の発生を抑制しながらも、従来の方法に比べて、効率良くワーク1の内周面を加工することが可能となる。
【0049】
特に、この内面研削盤では、既に説明したように、主軸12(ワーク1)の一回転における砥石24とワーク内周面との接触記録を更新的に記憶しておき、砥石24が一旦ワーク内周面に接触すると、それ以後は、その接触記録に基づき一定の回転角度分(実施形態では5°)だけ早いタイミングで主軸12の回転速度を速度V1から速度V2に切り替えるようにしているので、これにより応答遅れの問題を解消できるとう利点がある。すなわち、荒研削加工に至るまで、常に、砥石24とワーク内周面との接触検知に基づき主軸12(ワーク1)の回転速度を切り替えるようにしてもよいが、この場合には、接触検知から速度の切り替えが完了するまでの応答遅れによってワーク内周面(凸部1a)と砥石24とが高速で接触し、例えば砥石24が損傷するといった不都合を招くことが考えられる。しかし、上記のよう前回のワーク回転中に記憶した接触記録に基づき、一定の回転角度だけ早いタイミングで主軸12の回転速度を切り替えるようすれば、砥石24が実際にワーク内周面に接触する時点で事前に主軸12(ワーク1)の回転速度を速度V1から速度V2に切り替えることが可能となるため、上記のような応答遅れの問題を解消することが可能となる。なお、この内面研削盤では、ワーク内周面に対する砥石24の最初の接触時には、応答遅れが生じ得るが、このような接触初期の段階では、砥石24とワーク内周面との接触面積は比較的小さいく、従って、砥石24が損傷するといった不都合を伴うことは殆どない。
【0050】
以上、発明に係る内面研削盤(本発明に係る研削加工方法)について説明したが、内面研削盤(研削加工方法)は本発明の好ましい実施形態の一例であって、その具体的な構成(研削加工方法)は、本発明を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0051】
例えば、上記実施形態では、砥石24の回転負荷として砥石駆動モータの電力値を検出するようにしているが、例えば同モータに供給される電流値を検出するようしてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、ワーク1を回転駆動しながら砥石24をワーク内周面に対して接近させ(アプローチ工程)、砥石24をワーク内周面に接触させて加工を開始するようにしており(加工工程)、加工工程において砥石24とワーク内周面とが非接触状態のときのワーク1(主軸12)の回転速度(V1)を、アプローチ工程におけるワーク1(主軸12)の回転速度(V1)と等速度にしているが、勿論、等速である必要はない。要は、加工工程において、砥石24とワーク内周面とが接触状態にあるときのワーク1の回転速度が、非接触状態のときの同回転速度よりも低速であれば、具体的な速度は適宜設定可能である。
【0053】
また、実施形態では、前回のワーク1の一回転中に記憶した回転角度(接触記録)に対して所定角度分(5°)だけ早期にワーク1の回転速度を速度V1から速度V2に切り替えるように次回の回転速度の切り替え角度を定めているが、勿論、接触記録に対して5°を超える角度、又は5°未満の角度分だけ早期に切り替えるようにしてもよい。要するに接触記録に対してどの程度早期にワーク1の回転速度を切り替えるかは、ワーク1の具体的な形状等に応じて適宜変更可能である。
【0054】
また、実施形態では、ワーク周面を真円に研削する例について説明したが、周面の形状は真円に限らず、楕円等の非真円形状であってもよい。要は、本発明は、回転角度により研削代の異なるワーク周面の研削に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る内面研削盤、及びその制御系統を示す概略図である。
【図2】NC装置による加工動作の制御の一例を示すフローチャートである。
【図3】NC装置の制御に基づく主軸(ワーク)の動作を説明するための図である。
【図4】ワークの一例を示す平面略図である。
【図5】切込み送り開始から荒加工に至るまでの主軸(ワーク)の一回転毎の回転速度を示す概略図である。
【符号の説明】
【0056】
1 ワーク
10 ワーク支持ヘッド
12 主軸
14 ワーク駆動モータ
20 ホイールヘッド
22 砥石軸
24 砥石
26 第1テーブル
28 第2テーブル
30 NC装置
32 接触検知部
34 記憶部
36 速度制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク内周面または外周面を研削加工する方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
砥石、及びワークを回転駆動しながら、ワーク周面に対して砥石を一定の送り速度で切込み送りすることにより当該ワーク周面を真円や楕円等の所定の形状に研削する方法が一般に知られている。
【0003】
ところで、周面に凹凸を有する、あるいはワーク取付時に芯ずれが生じた場合等、ワークの回転角度により研削代が異なるワークを上記方法によって研削する場合には、ワークの回転に伴い砥石がワーク周面に断続的に接触するため、これによって砥石が振動したり、場合によっては砥石が損傷を受けたりする。このような砥石の振動等は、加工精度の向上の大きな妨げとなる。
【0004】
そこで従来では、特許文献1に記載されるように、砥石によるワークの研削力を検出し、その変動幅が規定値より大きい間(つまり、ワーク周面の起伏が大きい間)はワークを低速で駆動し、これにより砥石の振動等を抑え、変動幅が上記既定値以下になると(つまり、ワーク周面がほぼ全周に亘り砥石と接触した状態となると)、ワークの回転速度を高めることが行われている。
【特許文献1】特開平4−322967号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記特許文献1のような方法では、例えばワーク一回転中において砥石がワーク周面の一部分でしか接触しておらず、その大部分が非接触(エアカットの状態)となるような状況でも、変動幅が上記既定値以下になるまでの間はワークを一律に低速で駆動するため、ワークの周面形状によっては比較的長時間に亘ってワークを低速で駆動することとなる。従って、ワーク内周面を効率的に加工する上で、改善の余地が残されている。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑み、砥石の振動等の発生を抑制しつつ、回転角度により研削代が異なる周面を有するワークをより効率良く加工することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、回転角度により研削代が異なる周面を有するワークを回転駆動し、そのワーク周面と砥石とを切込み方向に相対送りすることによりワークの前記周面を所定の形状に加工する研削加工方法であって、前記砥石の回転負荷を検出することにより砥石とワーク周面との接触状況を検知し、砥石とワーク周面とが接触状態にあるときのワークの回転速度が、非接触状態のときの回転速度よりも低速となるようにワーク1回転中の回転速度を制御するようにしたものである。より具体的には、所定のアプローチ用速度でワークを回転駆動しながら前記砥石をワーク周面に対して接近させるアプローチ工程と、前記砥石がワーク周面に接触した時点以降の加工工程とを含み、この加工工程において、砥石とワーク周面とが接触状態にあるときには前記アプローチ用速度よりも遅い所定の低速度でワークを回転駆動し、砥石とワーク周面とが非接触状態にあるときには、前記低速度よりも速い所定の高速度で前記ワークを回転駆動するようにしたものである。
【0008】
このように、加工工程において、ワーク1回転中におけるワークの回転速度を、砥石とワーク周面との接触状況の検知に基づき切り替える方法によれば、ワーク1回転中において、砥石とワーク周面との接触中は、ワークを低速度で回転させることにより砥石の振動等を抑制することができ、砥石とワーク周面が非接触状態のときには、ワークを高速度で回転させることによりエアカット期間の時間短縮を図ることができる。従って、従来の方法、つまり砥石とワーク周面との接触の有無に拘わらず一律に低速度でワークを駆動する従来方法に比べると、砥石の振動等の発生を抑制しながらも効率良くワーク周面を加工することが可能となる。
【0009】
なお、砥石とワーク周面との接触状況が接触状態から非接触状態に変化するときの当該変化を検知し、直ちにワークの回転速度を制御しても、ワークが回転しているために若干の応答遅れが生じ得る。そのため、前記加工工程では、ワーク1回転中の回転角度を検出し、その検出角度と前記接触状況の検知とに基づき砥石とワーク周面とが非接触状態から接触状態へ変化するときのワークの回転角度を記憶し、この記憶した回転角度に基づき、次回のワーク1回転中におけるワークの回転角度であってワークの回転速度を前記高速度から低速度に切り替えるべき切り替え角度を定め、この切り替え角度に基づき、次回のワーク1回転中におけるワークの回転速度を制御するのが好適である。
【0010】
このように前回のワーク1回転中の接触状況に基づいて次回のワーク1回転中の回転速度の切り替えを行うようにすれば、上記のような応答遅れの問題を解消することが可能となる。
【0011】
この場合、前回のワーク1回転中に記憶した回転角度に対して所定角度分だけ早期にワークの回転速度を前記高速度から低速度に切り替えるべく前記切り替え角度を定めるようにするのが好適である。
【0012】
つまり、ワーク周面に凸部が有るような場合、砥石の切込み送りが進行するに伴い通常は砥石とワーク周面との接触範囲が拡大する。そのため、次回のワーク1回転中、上記のように前回のワーク1回転中に記憶した回転角度よりも所定角度分だけ早期にワークの回転速度を高速度から低速度に切り替えるようにすれば、ワーク周面への砥石の接触時に、より確実にワークの回転速度を切換えておくことが可能となる。
【0013】
一方、本発明に係る研削加工装置は、砥石と、ワークを回転駆動するワーク駆動手段と、前記砥石とワーク周面とを切込み方向に相対送りする送り駆動手段とを備え、非真円の周面を有するワークの前記周面を真円に加工すべく前記駆動手段を制御する制御手段とを有する研削加工装置であって、前記制御手段は、前記砥石の回転負荷の検出に基づき前記砥石とワーク周面との接触状況を検知する接触検知手段と、接触検知手段による前記接触状況の検知に基づき、前記砥石とワーク周面とが接触状態にあるときのワークの回転速度が、非接触状態のときの回転速度よりも低速となるようにワーク1回転中の回転速度を制御する速度制御手段と、を含むものである。
【0014】
この研削加工装置では、砥石とワーク周面とが切込み方向に相対的に送り駆動されて、ワーク周面に砥石が接触したことが接触検知手段により検知されると、この検知に基づき、速度制御手段がワーク駆動手段を制御して、砥石とワーク周面とが接触状態にあるときのワークの回転速度が、それ以外のときの回転速度よりも低速となるようにワーク1回転中におけるワークの回転速度を制御する。従って、この研削加工装置によれば、回転角度により研削代が異なるワークの周面研削加工において、請求項1に記載の研削加工方法を良好に実施することができる。
【0015】
なお、前記速度制御手段は、砥石とワーク周面との前記切込み方向への相対送りに伴う前記接触検知手段による接触状況の検知に応じ、砥石がワーク周面に接触するまでは前記ワークを所定のアプローチ速度で回転駆動し、砥石がワーク周面に接触した後であって砥石とワーク周面とが接触状態にあるときには前記アプローチ速度よりも遅い所定の低速度でワークを回転駆動すると共に、砥石とワーク周面とが非接触状態にあるときには、前記低速度よりも速い所定の高速度で前記ワークを回転駆動するように構成される。
【0016】
この研削加工装置によれば、請求項2に記載の研削加工方法を良好に実施することができる。
【0017】
この研削加工装置においては、ワーク1回転中の当該ワークの回転角度を検出する角度検出手段と、その検出角度と前記接触検知手段による接触状況の検知とに基づき砥石とワーク周面とが非接触状態から接触状態へ変化するときのワークの回転角度を記憶する記憶手段と、を備え、次回のワーク1回転中には、前回のワーク1回転中に記憶された前記回転角度に基づきワークの回転速度を前記高速度から低速度に切り替えるように前記速度制御手段が構成される。
【0018】
この研削加工装置では、接触検知手段による検知状況が非接触状態から接触状態へ変化すると、そのときのワークの回転角度が記憶手段に記憶される。そして、速度制御手段は、この記憶手段に記憶されている前回のワーク1回転中の回転角度に基づき、次回のワーク1回転中の前記高速度から低速度への速度切り替えを行う。従って、この研削加工装置によれば、請求項3に記載の研削加工方法を良好に実施することができる。
【0019】
なお、この装置において、記速度制御手段は、次回のワーク1回転中には、前回のワーク1回転中に記憶した回転角度に対して所定角度分だけ早期にワークの回転速度を前記高速度から低速度に切り替えるものであってもよい。
【0020】
この研削加工装置によれば、請求項4に記載の研削加工方法を良好に実施することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、回転角度により研削代が異なる周面を有するワークの前記周面を所定の形状に加工する研削加工方法において、砥石とワーク周面とが接触状態にあるときのワークの回転速度が、それ以外のときの回転速度よりも低速とるようにワーク1回転中の回転速度を制御するようにしたので、砥石の振動等の発生を効果的に抑制しつつより効率良くワーク周面を加工することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の好ましい実施の形態について図面を用いて説明する。なお、この実施の形態では円筒状のワーク1の内周面を研削する内面研削に本発明を適用したものを示すが、本発明はワーク外周面を研削する円筒研削にも良好に適用することが可能である。
【0023】
図1は、本発明に係る研削加工装置である内面研削盤を平面図で模式的に示している。この図に示す内面研削盤は、その基台上に、ワーク1を支持するワーク支持ヘッド10と、砥石車24を有するホイールヘッド20とを備えている。
【0024】
ワーク支持ヘッド10には、ワーク1を保持(固定)するためのチャックを備えた主軸12が設けられている。主軸12は、ワーク駆動モータ14を駆動源とする図外の駆動機構(本発明に係るワーク駆動手段に相当する)に連結されており、チャックにより保持したワーク1と一体にワーク支持ヘッド10に対して回転駆動されるようになっている。
【0025】
前記ホイールヘッド20は、前記ワーク支持ヘッド10に対して主軸12の軸線方向に対向するように配置されている。
【0026】
ホイールヘッド20には砥石軸22が装着され、この砥石軸22の先端部に砥石24が固定されている。この砥石24は、例えば軸線方向に沿うストレートな砥石面をもつ平型の砥石車である。ホイールヘッド20には、砥石軸22及び砥石24を高速で回転駆動する図略の砥石駆動モータが内蔵されている。
【0027】
ホイールヘッド20は、砥石軸22と平行な方向、及び水平面上でこれと直交する切込み方向(図1では上下方向)に移動可能に設けられている。詳しくは、基台上には、砥石軸22と平行な方向に移動可能な第1テーブル26と、この第1テーブル上に設けられて前記切込み方向に移動可能な第2テーブル28とを有する移動機構が設けられており、この移動機構の前記第2テーブル28上にホイールヘッド20が支持されている。つまり、砥石軸22及び砥石24が高速で回転駆動され、その回転駆動状態で砥石24がワーク1の内側に挿入され、かつ砥石24がホイールヘッド20と共にワーク1の半径方向に切込み送りされることにより、前記砥石24がワーク内周面に押付けられてその内周面を研削するように構成されている。なお、本発明では、砥石24ではなくワーク支持ヘッド10を移動させることにより切込み方向の送りを行うようにしてもよい。
【0028】
前記ホイールヘッド20には、その砥石駆動モータのモータ電力(研削電力)、すなわち、砥石24の回転駆動トルク(回転負荷)に対応する値を検出する電力検出回路21が接続されている。この電力検出回路21の検出信号はNC装置30に入力される。
【0029】
NC装置30(本発明に係る制御手段に相当する)は、予め記憶されているプログラムに従って所定の研削動作を実行するように、ワーク支持ヘッド10やホイールヘッド20等の動作を統括的に制御するものであり、接触検知部32、記憶部34、及び速度制御部36等の機能構成を含んでいる。
【0030】
接触検知部32は、本発明に係る接触検知手段に相当する。この接触検知部32は、前記電力検出回路21から入力される検出信号(研削電力検出信号)に基づきワーク1の内周面に対する砥石24の接触検知を行うと共に、ワーク駆動モータ14に内蔵される図略のエンコーダ(本発明に係る角度検出手段に相当する)から入力される信号に基づいて、砥石24が接触し始めたワーク1の回転角度を記憶部34に記憶させるものである。具体的には、記憶部34は、所定角度毎にワーク一回転分に対応する記憶領域を有し、前記接触検知部32は、ワーク内周面に対して砥石24が接触したことを検知すると、その時のワーク1の回転角度に対応する記録領域に接触情報(以下、接触記録という)を記憶する。その場合、ワーク一回転中に断続的に複数回、接触を検知した場合には、接触検知部32は、それぞれの回転角度に対する記憶領域に接触記録を記憶する。
【0031】
速度制御部36は、本発明に係る速度制御手段に相当するものである。この速度制御部36は、ワーク駆動モータ14に対して制御信号を出力することによりワーク駆動モータ14の回転速度を制御するものであり、予め設定された速度でワーク駆動モータ14を駆動すると共に、上記記憶部34に記憶された接触記録に基づきワーク駆動モータ14の回転速度を切り替え制御する。
【0032】
次に、このNC装置30による加工動作の制御について、図2のフローチャートに従い説明する。なお、この実施の形態に示す加工動作は、例えば風力発電用軸受けの外輪などであって例えば図4に示すように凸部1a等を有することにより内周面の研削代が回転角度により異なるワーク1を対象とするものであり、当該ワーク1の内周面を所定内径(符合2で示す)の真円に加工することを前提とするものである。
【0033】
まず、NC装置30は、前記記憶部34のデータをクリアし、その後、第1,第2のテーブル26,28を移動させ、これにより砥石24を、ワーク1の内周面との間に所定の隙間をおいた位置で当該ワーク1の内側に挿入する(ワーク1内への砥石24の割り出しを行う)と共に、ホイールヘッド20に内蔵された砥石駆動モータを作動させて砥石軸22、及び砥石24を一体に高速で回転駆動する(ステップS1,S3)。
【0034】
この状態で、速度制御部36からワーク駆動モータ14に制御信号を出力させ、主軸12、及びワーク1を一体に回転駆動すると共に、図略の供給手段によりワーク1への加工液の供給を開始させ、さらに電力検出回路21から出力される検出信号の値を前記接触検知部32に記憶させる(ステップS5)。つまり、接触検知部32は、無負荷状態の研削電力の値W0(図3参照)を記憶する。
【0035】
次に、NC装置30は、主軸12の回転速度を予め設定された速度V1(本発明に係るアプローチ用速度に相当する)まで上げ、その後、第2テーブル28を駆動して砥石24の切込み送りを開始する(ステップS7,S9)。
【0036】
切込み送りが開始されると、速度制御部36は、ワーク駆動モータ14に内蔵される前記エンコーダからの入力信号と記憶部34内のデータとに基づき、現在の主軸12の回転角度に対して+5°の位置に前回のワーク1回転中に記憶された接触記録記があるか否かを判断する(ステップS11)。
【0037】
ここで、NOと判断した場合には、接触検知部32において砥石24がワーク内周面に接触したか否か(以下、接触検知という)、つまりワーク1の上記凸部1aに砥石24が接触した否かを判断する(ステップS13)。この判断は、電力検出回路21から出力される検出信号値を、予め設定された閾値Wt(図3参照;>W0)と比較することにより行う。つまり、ワーク内周面に砥石24が接触すると、砥石24の回転負荷が増して研削電力が上昇するため、接触検知部32は、予め設定された閾値Wtと電力検出回路21から出力される検出信号値とを比較し、当該信号値が閾値Wtを越えると接触を検知する。
【0038】
ステップS13の判断がNOの場合にはステップS7に移行する。これに対して、ステップS13の判断がYESの場合には、NC装置30は、接触検知部32により現時点、つまり電力検出回路21から出力される検出信号の値が閾値Wtを越えた時点の主軸12(ワーク1)の回転角度を記憶部34に記憶させ、さらに、速度制御部36からワーク駆動モータ14に制御信号を出力させることにより、主軸12の回転速度を予め設定された速度V2(<V1;図3参照;本発明に係る所定の低速度)に切り替える(ステップS15,S17)。
【0039】
そして、接触検知部32において電力検出回路21から出力される検出信号の値が前記閾値Wtを下回ったか、つまり砥石24がワーク内周面に対して非接触であるかを判断し(ステップS19)、ここでの判断がYESの場合には、NC装置30は、ステップS7に移行し、速度制御部36からワーク駆動モータ14に制御信号を出力させることにより、主軸12の回転速度を速度V2から速度V1(本発明に係る所定の高速度に相当する)切り替えられる。
【0040】
これに対して、ステップS19の判断がNOの場合には、NC装置30は、電力検出回路21から出力される検出信号の値が、主軸12(ワーク1)一回転において継続的に上記閾値Wtを越えているかを判断する(ステップS21)。つまり、ワーク内周面がほぼ全周に亘り砥石と接触したかを判断する。そして、ステップS21の判断がNOの場合には、ステップS17に移行する。これに対して、ステップS21の判断がYESの場合には、NC装置30は、速度制御部36からワーク駆動モータ14に制御信号を出力させることにより、砥石24の切込み送り量に応じて主軸12の回転速度を、順次、予め設定されている回転速度V3(V3<V2)→V4(V4<V3)に切り替え、これによりほぼ真円に加工されたワーク1の内周面に対して順次、荒加工、仕上げ加工、及びスパークアウト加工を施し(ステップS23〜S27)、スパークアウト加工が終了すると、NC装置30は、第1,第2のテーブル26,28を駆動して砥石24をワーク1から引き出す。これによりワーク1の一連の内面研削加工が終了する。
【0041】
なお、上記制御において、ステップS11の判断がYESの場合には、NC装置30は、速度制御部36からワーク駆動モータ14に制御信号を出力させることにより、主軸12の回転速度を速度V2に切り替える(ステップS29)。そして、電力検出回路21から出力される検出信号の値が閾値Wtを越えるのを待って(ステップS31)、当該検出信号の値が前記閾値Wtを越えると(ステップS31でYES)、NC装置30は、接触検知部32によりその時点、つまり電力検出回路21から出力される検出信号の値が閾値Wtを越えた時点の主軸12の回転角度を記憶部34に記憶させ(ステップS33)、その後、ステップS19に移行する。
【0042】
上記のようなNC装置30の制御に基づく主軸12(ワーク1)の動作について図3を用いて説明する。図3は、主軸12(ワーク1)一回転の研削電力値(電力検出回路21から出力される検出信号値)と主軸12の回転速度とを対応させたものである。
【0043】
NC装置30の制御によると、砥石24の切込み送りが開始されて、砥石24がワーク内周面に接触するまでは主軸12が速度V1で高速駆動される。砥石24の切込み送りが進み、砥石24がワーク内周面(凸部1a)に接触し、図中実線で示すように研削電力値が閾値Wtを越えると、これに伴い主軸12の回転速度が速度V1から速度V2に切り替えられる。また、その時の主軸12の回転角度(角度θ1)が記憶部34に記憶される。なお、当実施形態では、この砥石24がワーク内周面に接触し、初めて研削電力値が閾値Wtを越えた時点より前が本発明のアプローチ工程に相当し、当該時点以降が同加工工程である。
【0044】
そして、主軸12がさらに回転してワーク内周面(凸部1a)から砥石24が離脱し、研削電力値が閾値Wt未満となると(角度θ2)、これに伴い主軸12の回転速度が速度V2ら速度V1に切り替える。つまり、主軸12の一回転中、砥石24とワーク内周面とが接触している間は主軸12が速度V2で低速駆動され、それ以外の非接触の間は主軸12が速度V1で高速駆動される。
【0045】
そして、砥石24が最初にワーク内周面に接触したときをn回転目とすると、次回のワーク回転時(n+1回転目)には、記憶部34のデータに基づき、図3中に破線で示すように、前回(n回転目)、砥石24が接触し始めたワーク1の回転角度よりも5°だけ早い段階(θ1−5°)で主軸12の回転速度が速度V1から速度V2に切り替えられ、その後、研削電力値が閾値Wt未満となると(角度θ2′)、これに伴い主軸12の回転速度が速度V2ら速度V1に切り替えられる。なお、この場合も、研削電力値が閾値Wtを越えると、その時の主軸12の回転角度(角度θ1′)が記憶部34に記憶される。
【0046】
そして、n+2回転目以降は、n+1回転目と同様に、記憶部34のデータに基づいて主軸12の回転速度が切り替えが行われると共に、記憶部34のデータが更新され、ワーク1の一回転中に記憶部34の更新が行われなくなると、既に説明したように、順次、主軸12の回転速度が速度V3→V4に切り替えられることとなる。
【0047】
以上のように、本発明に係る内面研削盤(本発明に係る研削加工方法)では、主軸12(ワーク1)の一回転中の回転速度を、砥石24とワーク内周面との接触検知に基づいて切り替え、非接触時には、主軸12(ワーク1)を速度V1で高速駆動する一方、接触時には、主軸12(ワーク1)を速度V1よりも低速の速度V2で低速駆動する。そのため、砥石24とワーク内周面との接触中は、ワーク1を低速で回転させることにより砥石24に振動等が生じるのを抑制することができ、他方、砥石24とワーク内周面が非接触状態のときは、ワーク1を高速で回転させることにより所謂エアカット期間を短縮することができる。例えば、図5は、図4に示すワーク1を上記内面研削盤により研削加工した場合の、切込み送り開始から荒加工に至るまでの主軸12(ワーク1)の一回転毎の回転速度を概略的に示したものである。この図において、細線は主軸12を速度V1で高速駆動した範囲を示しており、太線は速度V2で低速駆動した範囲を示している。従来の研削加工によれば、砥石の振動等を抑制するために、切込み送り開始から荒加工に至るまで主軸(ワーク)が一律に低速で駆動されていたが、上記の内面研削盤によれば、同図に示すように、切込み送り開始から荒加工に至るまでの大部分の範囲で主軸12(ワーク1)が高速で駆動される。
【0048】
従って、上記の内面研削盤によれば、回転角度により研削代が異なる周面を有するワーク1の研削加工において、砥石24の振動等の発生を抑制しながらも、従来の方法に比べて、効率良くワーク1の内周面を加工することが可能となる。
【0049】
特に、この内面研削盤では、既に説明したように、主軸12(ワーク1)の一回転における砥石24とワーク内周面との接触記録を更新的に記憶しておき、砥石24が一旦ワーク内周面に接触すると、それ以後は、その接触記録に基づき一定の回転角度分(実施形態では5°)だけ早いタイミングで主軸12の回転速度を速度V1から速度V2に切り替えるようにしているので、これにより応答遅れの問題を解消できるとう利点がある。すなわち、荒研削加工に至るまで、常に、砥石24とワーク内周面との接触検知に基づき主軸12(ワーク1)の回転速度を切り替えるようにしてもよいが、この場合には、接触検知から速度の切り替えが完了するまでの応答遅れによってワーク内周面(凸部1a)と砥石24とが高速で接触し、例えば砥石24が損傷するといった不都合を招くことが考えられる。しかし、上記のよう前回のワーク回転中に記憶した接触記録に基づき、一定の回転角度だけ早いタイミングで主軸12の回転速度を切り替えるようすれば、砥石24が実際にワーク内周面に接触する時点で事前に主軸12(ワーク1)の回転速度を速度V1から速度V2に切り替えることが可能となるため、上記のような応答遅れの問題を解消することが可能となる。なお、この内面研削盤では、ワーク内周面に対する砥石24の最初の接触時には、応答遅れが生じ得るが、このような接触初期の段階では、砥石24とワーク内周面との接触面積は比較的小さいく、従って、砥石24が損傷するといった不都合を伴うことは殆どない。
【0050】
以上、発明に係る内面研削盤(本発明に係る研削加工方法)について説明したが、内面研削盤(研削加工方法)は本発明の好ましい実施形態の一例であって、その具体的な構成(研削加工方法)は、本発明を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0051】
例えば、上記実施形態では、砥石24の回転負荷として砥石駆動モータの電力値を検出するようにしているが、例えば同モータに供給される電流値を検出するようしてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、ワーク1を回転駆動しながら砥石24をワーク内周面に対して接近させ(アプローチ工程)、砥石24をワーク内周面に接触させて加工を開始するようにしており(加工工程)、加工工程において砥石24とワーク内周面とが非接触状態のときのワーク1(主軸12)の回転速度(V1)を、アプローチ工程におけるワーク1(主軸12)の回転速度(V1)と等速度にしているが、勿論、等速である必要はない。要は、加工工程において、砥石24とワーク内周面とが接触状態にあるときのワーク1の回転速度が、非接触状態のときの同回転速度よりも低速であれば、具体的な速度は適宜設定可能である。
【0053】
また、実施形態では、前回のワーク1の一回転中に記憶した回転角度(接触記録)に対して所定角度分(5°)だけ早期にワーク1の回転速度を速度V1から速度V2に切り替えるように次回の回転速度の切り替え角度を定めているが、勿論、接触記録に対して5°を超える角度、又は5°未満の角度分だけ早期に切り替えるようにしてもよい。要するに接触記録に対してどの程度早期にワーク1の回転速度を切り替えるかは、ワーク1の具体的な形状等に応じて適宜変更可能である。
【0054】
また、実施形態では、ワーク周面を真円に研削する例について説明したが、周面の形状は真円に限らず、楕円等の非真円形状であってもよい。要は、本発明は、回転角度により研削代の異なるワーク周面の研削に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る内面研削盤、及びその制御系統を示す概略図である。
【図2】NC装置による加工動作の制御の一例を示すフローチャートである。
【図3】NC装置の制御に基づく主軸(ワーク)の動作を説明するための図である。
【図4】ワークの一例を示す平面略図である。
【図5】切込み送り開始から荒加工に至るまでの主軸(ワーク)の一回転毎の回転速度を示す概略図である。
【符号の説明】
【0056】
1 ワーク
10 ワーク支持ヘッド
12 主軸
14 ワーク駆動モータ
20 ホイールヘッド
22 砥石軸
24 砥石
26 第1テーブル
28 第2テーブル
30 NC装置
32 接触検知部
34 記憶部
36 速度制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転角度により研削代が異なる周面を有するワークを回転駆動し、そのワーク周面と砥石とを切込み方向に相対送りすることによりワークの前記周面を所定の形状に加工する研削加工方法であって、
前記砥石の回転負荷を検出することにより砥石とワーク周面との接触状況を検知し、砥石とワーク周面とが接触状態にあるときのワークの回転速度が、非接触状態のときの回転速度よりも低速となるようにワーク1回転中の回転速度を制御することを特徴とする研削加工方法。
【請求項2】
請求項1に記載の研削加工方法において、
所定のアプローチ用速度でワークを回転駆動しながら前記砥石をワーク周面に対して接近させるアプローチ工程と、前記砥石がワーク周面に接触した時点以降の加工工程とを含み、
この加工工程において、砥石とワーク周面とが接触状態にあるときには前記アプローチ用速度よりも遅い所定の低速度でワークを回転駆動し、砥石とワーク周面とが非接触状態にあるときには、前記低速度よりも速い所定の高速度で前記ワークを回転駆動することを特徴とする研削加工方法。
【請求項3】
請求項2に記載の研削加工方法において、
前記加工工程では、ワーク1回転中の回転角度を検出し、その検出角度と前記接触状況の検知とに基づき砥石とワーク周面とが非接触状態から接触状態へ変化するときのワークの回転角度を記憶し、この記憶した回転角度に基づき、次回のワーク1回転中におけるワークの回転角度であってワークの回転速度を前記高速度から低速度に切り替えるべき切り替え角度を定め、この切り替え角度に基づき、次回のワーク1回転中におけるワークの回転速度を制御することを特徴とする研削加工方法。
【請求項4】
請求項3に記載の研削加工方法において、
前回のワーク1回転中に記憶した回転角度に対して所定角度分だけ早期にワークの回転速度を前記高速度から低速度に切り替えるべく前記切り替え角度を定めることを特徴とする研削加工方法。
【請求項5】
砥石と、ワークを回転駆動するワーク駆動手段と、前記砥石とワーク周面とを切込み方向に相対送りする送り駆動手段とを備え、回転角度により研削代が異なる周面を有するワークの前記周面を所定の形状に加工すべく前記駆動手段を制御する制御手段とを有する研削加工装置であって、
前記制御手段は、前記砥石の回転負荷の検出に基づき前記砥石とワーク周面との接触状況を検知する接触検知手段と、
接触検知手段による前記接触状況の検知に基づき、前記砥石とワーク周面とが接触状態にあるときのワークの回転速度が、非接触状態のときの回転速度よりも低速となるようにワーク1回転中の回転速度を制御する速度制御手段と、を含むことを特徴とする研削加工装置。
【請求項6】
請求項5に記載の研削加工装置において、
前記速度制御手段は、砥石とワーク周面との前記切込み方向への相対送りに伴う前記接触検知手段による接触状況の検知に応じ、砥石がワーク周面に接触するまでは前記ワークを所定のアプローチ速度で回転駆動し、砥石がワーク周面に接触した後であって砥石とワーク周面とが接触状態にあるときには前記アプローチ速度よりも遅い所定の低速度でワークを回転駆動すると共に、砥石とワーク周面とが非接触状態にあるときには、前記低速度よりも速い所定の高速度で前記ワークを回転駆動することを特徴とする研削加工装置。
【請求項7】
請求項6に記載の研削加工装置において、
ワーク1回転中の当該ワークの回転角度を検出する角度検出手段と、
その検出角度と前記接触検知手段による接触状況の検知とに基づき砥石とワーク周面とが非接触状態から接触状態へ変化するときのワークの回転角度を記憶する記憶手段と、を備え、
前記速度制御手段は、次回のワーク1回転中には、前回のワーク1回転中に記憶された前記回転角度に基づきワークの回転速度を前記高速度から低速度に切り替えることを特徴とする研削加工装置。
【請求項8】
請求項7に記載の研削加工装置において、
前記速度制御手段は、次回のワーク1回転中には、前回のワーク1回転中に記憶した回転角度に対して所定角度分だけ早期にワークの回転速度を前記高速度から低速度に切り替えることを特徴とする研削加工装置。
【請求項1】
回転角度により研削代が異なる周面を有するワークを回転駆動し、そのワーク周面と砥石とを切込み方向に相対送りすることによりワークの前記周面を所定の形状に加工する研削加工方法であって、
前記砥石の回転負荷を検出することにより砥石とワーク周面との接触状況を検知し、砥石とワーク周面とが接触状態にあるときのワークの回転速度が、非接触状態のときの回転速度よりも低速となるようにワーク1回転中の回転速度を制御することを特徴とする研削加工方法。
【請求項2】
請求項1に記載の研削加工方法において、
所定のアプローチ用速度でワークを回転駆動しながら前記砥石をワーク周面に対して接近させるアプローチ工程と、前記砥石がワーク周面に接触した時点以降の加工工程とを含み、
この加工工程において、砥石とワーク周面とが接触状態にあるときには前記アプローチ用速度よりも遅い所定の低速度でワークを回転駆動し、砥石とワーク周面とが非接触状態にあるときには、前記低速度よりも速い所定の高速度で前記ワークを回転駆動することを特徴とする研削加工方法。
【請求項3】
請求項2に記載の研削加工方法において、
前記加工工程では、ワーク1回転中の回転角度を検出し、その検出角度と前記接触状況の検知とに基づき砥石とワーク周面とが非接触状態から接触状態へ変化するときのワークの回転角度を記憶し、この記憶した回転角度に基づき、次回のワーク1回転中におけるワークの回転角度であってワークの回転速度を前記高速度から低速度に切り替えるべき切り替え角度を定め、この切り替え角度に基づき、次回のワーク1回転中におけるワークの回転速度を制御することを特徴とする研削加工方法。
【請求項4】
請求項3に記載の研削加工方法において、
前回のワーク1回転中に記憶した回転角度に対して所定角度分だけ早期にワークの回転速度を前記高速度から低速度に切り替えるべく前記切り替え角度を定めることを特徴とする研削加工方法。
【請求項5】
砥石と、ワークを回転駆動するワーク駆動手段と、前記砥石とワーク周面とを切込み方向に相対送りする送り駆動手段とを備え、回転角度により研削代が異なる周面を有するワークの前記周面を所定の形状に加工すべく前記駆動手段を制御する制御手段とを有する研削加工装置であって、
前記制御手段は、前記砥石の回転負荷の検出に基づき前記砥石とワーク周面との接触状況を検知する接触検知手段と、
接触検知手段による前記接触状況の検知に基づき、前記砥石とワーク周面とが接触状態にあるときのワークの回転速度が、非接触状態のときの回転速度よりも低速となるようにワーク1回転中の回転速度を制御する速度制御手段と、を含むことを特徴とする研削加工装置。
【請求項6】
請求項5に記載の研削加工装置において、
前記速度制御手段は、砥石とワーク周面との前記切込み方向への相対送りに伴う前記接触検知手段による接触状況の検知に応じ、砥石がワーク周面に接触するまでは前記ワークを所定のアプローチ速度で回転駆動し、砥石がワーク周面に接触した後であって砥石とワーク周面とが接触状態にあるときには前記アプローチ速度よりも遅い所定の低速度でワークを回転駆動すると共に、砥石とワーク周面とが非接触状態にあるときには、前記低速度よりも速い所定の高速度で前記ワークを回転駆動することを特徴とする研削加工装置。
【請求項7】
請求項6に記載の研削加工装置において、
ワーク1回転中の当該ワークの回転角度を検出する角度検出手段と、
その検出角度と前記接触検知手段による接触状況の検知とに基づき砥石とワーク周面とが非接触状態から接触状態へ変化するときのワークの回転角度を記憶する記憶手段と、を備え、
前記速度制御手段は、次回のワーク1回転中には、前回のワーク1回転中に記憶された前記回転角度に基づきワークの回転速度を前記高速度から低速度に切り替えることを特徴とする研削加工装置。
【請求項8】
請求項7に記載の研削加工装置において、
前記速度制御手段は、次回のワーク1回転中には、前回のワーク1回転中に記憶した回転角度に対して所定角度分だけ早期にワークの回転速度を前記高速度から低速度に切り替えることを特徴とする研削加工装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2009−196022(P2009−196022A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−39043(P2008−39043)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【出願人】(391003668)トーヨーエイテック株式会社 (145)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【出願人】(391003668)トーヨーエイテック株式会社 (145)
【Fターム(参考)】
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