研削機の圧延ロール径計測装置及び圧延ロールの径計測方法
【課題】圧延ロールの軸芯がズレている場合でも正確に圧延ロールの径を計測することができる研削機における圧延ロール径計測装置を提供する。
【解決手段】回転自在に支持された圧延ロール2を砥石30で研削する研削機Aの圧延ロール径計測装置1であって、圧延ロールの上方側から自重により当該圧延ロールに設置され且つ当該圧延ロールの外周面に2点で接触可能なブロック体4と、ブロック体4の接触点の間に取り付けられ且つ圧延ロールの径の変位を計測可能な変位計5と、ブロック体4を圧延ロールの上方側で支持する支持機構6と、変位計5の計測値に基づいて圧延ロールの径を算出可能な算出部7を備え、ブロック体4は、圧延ロールの外周面に沿って移動可能となるように、支持機構6により支持されている。
【解決手段】回転自在に支持された圧延ロール2を砥石30で研削する研削機Aの圧延ロール径計測装置1であって、圧延ロールの上方側から自重により当該圧延ロールに設置され且つ当該圧延ロールの外周面に2点で接触可能なブロック体4と、ブロック体4の接触点の間に取り付けられ且つ圧延ロールの径の変位を計測可能な変位計5と、ブロック体4を圧延ロールの上方側で支持する支持機構6と、変位計5の計測値に基づいて圧延ロールの径を算出可能な算出部7を備え、ブロック体4は、圧延ロールの外周面に沿って移動可能となるように、支持機構6により支持されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研削機の圧延ロール径計測装置及び圧延ロールの径計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、圧延機に用いられる圧延ロールは使用し続けると表面が摩耗して表面精度が低下するため、圧延ロールの表面を回転する砥石によって研削する研削作業が定期的に行われている。研削作業に伴って、圧延ロールの半径又は直径を実測することは日常的に行われており、圧延ロールなどのロールの半径又は直径を測定(計測)する技術として特許文献1に開示されているものがある。
特許文献1の測定方法は、ロールから離れた位置に非接触型の1台の距離測定装置を設けて、この距離測定装置からロールに向けて超音波又は光を照射し、ロールと距離測定装置との間の距離を測定することにより、ロールの直径を測定するものである。
【特許文献1】特開平4−292365号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の測定方法をロールを支持して研削するような研削機に適用した場合、1台の距離測定装置によってロールと距離測定装置との間の距離を測定することでロールの直径を測定することになるため、ロールが撓んでしまうと精度良く正確にロールの径を測定できない問題がある。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、1つの計測器(変位計)であっても精度良く圧延ロールの径を計測することができる研削機における圧延ロール径計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的を達成するために、本発明は、次の手段を講じた。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、回転自在に支持された圧延ロールを砥石で研削する研削機の圧延ロール径計測装置であって、前記圧延ロールの上方側から自重により当該圧延ロールに設置され且つ当該圧延ロールの外周面に2点で接触可能なブロック体と、前記ブロック体の接触点の間に取り付けられ且つ圧延ロールの径の変位を計測可能な変位計と、前記ブロック体を圧延ロールの上方側で支持する支持機構と、前記変位計の計測値に基づいて圧延ロールの径を算出可能な算出部を備え、前記ブロック体は、圧延ロールの外周面に沿って移動するように、前記支持機構により支持されている点にある。
【0005】
前記ブロック体は、圧延ロールの軸芯方向に沿った第1軸に揺動自在に支持機構により支持されていることが好ましい。
前記ブロック体は、前記第1軸に鉛直方向で直交する第2軸と、前記第1軸及び第2軸に直交する第3軸と軸回りに揺動自在に支持機構により支持されていることが好ましい。 前記圧延ロールの軸方向に沿ってブロック体を少なくとも1往復させた際に、前記算出部が算出した往路及び復路での圧延ロールの径を所定位置毎に記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された往路及び復路での圧延ロールの径に基づき補正された圧延ロールを算出して出力する補正部と、を備えていることが好ましい。
【0006】
前記補正部は、圧延ロールに対する前記ブロック体の傾き、前記ブロック体の摩耗、前記ブロック体を圧延ロールに接触させた際の温度差によるブロック体の熱歪の少なくとも1つを基に、圧延ロールの径を補正する補正機能を有していることが好ましい。
前記ブロック体と前記圧延ロールとの接触部分に保護部材が設けられていることが好ましい。
本発明における課題解決のための他の技術的手段は、砥石で研削された圧延ロールの径を計測する圧延ロールの径計測方法において、回転自在に支持された圧延ロールの上方側から自重によりブロック体を前記圧延ロールに設置してブロック体と圧延ロールの外周面とを2点で接触させ、当該ブロック体の接触点の間に設けられた変位計を圧延ロールの外周面に接触させ、前記ブロック体を、圧延ロールの外周面に沿って移動可能としておき、前記変位計の計測値に基づいて圧延ロールの径を算出することが好ましい。
【0007】
圧延ロールの軸方向にブロック体を少なくとも1往復させて往路及び復路での圧延ロールの径を所定位置毎に記憶しておき、記憶した往路及び復路の径とに基づいて圧延ロールの径を補正することが好ましい。
前記圧延ロールに対する前記ブロック体の傾き、前記ブロック体の摩耗、前記ブロック体を圧延ロールに接触した際のブロック体の熱歪の少なくとも1つを基に圧延ロールの径を補正することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、1つの測定器(変位計)であっても精度良く圧延ロールの径を計測することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
[第1実施形態]
図1は本発明の第1実施形態における圧延ロール径計測装置を示している。
圧延ロール径計測装置1は、圧延装置に使用される圧延ロール2の表面を研削する研削機Aに具備されたもので、圧延ロール2の径(半径)Rを当該圧延ロール2の軸芯RXに沿って、連続的に計測可能なものである。
本発明では、説明の便宜上、図1での左右方向をX軸方向、紙面上下方向をY軸方向、紙面貫通方向をZ軸方向ということがある。
【0010】
図1、2に示すように、圧延ロール径計測装置1は、ブロック体4と、このブロック体4に取り付けられて圧延ロール2の半径Rの変位を検出する変位計5と、ブロック体4を圧延ロール2の圧延ロール2の上方側で支持する支持機構6とを備えている。
また、圧延ロール径計測装置1は、圧延ロール2を支持する支持体3と、この支持体3を圧延ロール2の軸芯方向に移動させる移動機構(移動台)13と、変位計5の計測値に基づいて圧延ロール2の半径Rを算出可能な算出部7と、算出部7の計算結果を記憶可能な記憶部8と、算出部7の結果を表示可能な表示部9とを備えている。
【0011】
支持体3は、圧延ロール2をX軸回りに回転自在に支持するものであって、移動台13上に設けられている。この支持体3は、移動台13の長手方向両側に配置されて圧延ロール2の回転軸を回転自在に支持する一対の軸受10,10と、移動台13上に設けられて圧延ロール2の撓みを防止する撓み防止部材11とを備えている。軸受10の一方側の移動台13上には、圧延ロール2の軸芯RXに回転動力を付与するロール駆動モータ12が配置されている。
撓み防止部材11は、圧延ロール2の下側で軸芯方向に複数並べられた第1支持部15と、圧延ロール2の側方側で軸芯方向に複数並べられた第2支持部16とから構成されている。
【0012】
第1支持部15は、移動台13に固定されたベース部15aと、このベース部15aから圧延ロール2に向けて延び、その先端部が圧延ロール2の下側の外周面と当接する当接部15bとを有しており、これらにより、圧延ロール2の下側を支持することによって当該圧延ロール2が下側に撓むのを防止している。
第2支持部16は移動台に固定されたベース部16aと、このベース部16aから圧延ロール2に向けて延び、その先端部が圧延ロール2の側方側の外周面と当接する当接部16bとを有しており、これらにより、圧延ロール2が半径R外方向に撓むのを防止している。
【0013】
移動台13の側方側には、圧延ロール2の表面を研削するための砥石30及び当該砥石30を回転駆動するための砥石駆動モータ31が配置されている。砥石30及び砥石駆動モータ31はY軸方向に移動可能となっていて、圧延ロール2に近接離反する。
ブロック体4は、圧延ロール2の上方側に配置されて圧延ロール2に自重により載っているもので、圧延ロール2の外周面に沿って移動するように、支持機構6により支持されている。
図2〜5を用いてブロック体4、支持機構6、変位計5及び記憶部8について、詳しく説明する。
【0014】
ブロック体4は、矩形状のブロックを略への字状に切り欠くことで構成された切欠部17を有しており、当該ヘの字状の切欠部17が下向きに配置されている(ブロック体4は下向きのVブロック体)。詳しくは、図2、5に示すように、この切欠部17は、当該ブロック体4の中心部から外側に進む(図5のポイントPから左側に進む)にしたがって下方に移行する第1傾斜面18と、当該ブロック体4の中心部から外側に進む(図5のポイントPから右側に進む)にしたがって下方に移行する第2傾斜面19とにより構成されたものである。
【0015】
第1傾斜面18と第2傾斜面19とは互いに向き合っていて当該ブロック体4の幅方向の中心部で交差している。例えば、第1傾斜面18と第2傾斜面19との角度(なす角)αは、90度に設定されている。第1傾斜面18の幅方向の長さと、第2傾斜面19の幅方向の長さ(言い換えれば、互いの辺の長さ)とは同じに設定されている。第1傾斜面18及び第2傾斜面19には、保護部材21が設けられている。言い換えれば、ブロック体4と圧延ロール2との接触部分に保護部材21が設けられている。
この保護部材21は、ブロック体4と圧延ロール2と接触によりブロック体4の表面或いは圧延ロール2の表面は疵付くのを防止すると共に、ブロック体4の接触部分(第1傾斜面18や第2傾斜面19)が砥石の削粉で摩耗してしまうのを防止する(摩耗の抑制)もので、例えば、テフロン(登録商標)等から形成された樹脂テープや高強度鋼板により構成されている。
【0016】
第1傾斜面18と第2傾斜面19との交差部分P(以降、交差部ということがある)を通るように、当該ブロック体4には上下方向に貫通する第1貫通孔20が設けられ、この第1貫通孔20に変位計5が内嵌されている。
ブロック体4において第2傾斜面19が形成された側には、後述するリンク部材24の先端が入り込むための取付凹部32が上部から中途部に亘って設けられており、この取付凹部32の両側のブロック体4には、圧延ロール2の軸芯方向に沿った第2貫通孔35が設けられている。
【0017】
支持機構6は、圧延ロール2の外周面に沿って移動可能となるようにブロック体4を支持するもので、ブロック体4と砥石駆動モータ31との間に配置されたリンク部材24と、このリンク部材24の先端部に設けられてブロック体が枢支される第1枢支軸25と、リンク部材24の基端部に設けられて砥石駆動モータ31に枢支される第2枢支軸26とを有している。
詳しくは、リンク部材24の先端部側がブロック体4の取付凹部32に位置していて、当該先端部側のX軸に平行な第1枢支軸25(第1軸AX)が第2貫通孔35に挿入されている。また、リンク部材24の基端部側が砥石駆動モータ31の上部に位置していて、当該基端側のX軸に平行な第2枢支軸26(第1軸AX)が砥石駆動モータ31の上部に揺動(回動)に枢支されている。
【0018】
即ち、ブロック体4は、X軸に平行な2つの第1軸AX軸回りに揺動自在となっている。
変位計5は、圧延ロール2の外周面に接触する接触ロッド22と、この接触ロッド22を伸縮自在とする伸縮部23とを備えている。接触ロッド22は伸縮部23から突出していて当該伸縮部23に対して移動自在となっている。接触ロッド22の先端部には圧延ロール2の外周面に接触する板状の接触部22aが形成されている。伸縮部23に対する接触ロッド22の変位は算出部7に出力されるようになっている。
【0019】
変位計5が取り付けられたブロック体4を圧延ロール2に上方から載せると、第1傾斜面18と圧延ロール2の外周面とが接触すると共に、第2傾斜面19と圧延ロール2の外周面とが接触し、さらに、変位計5の接触ロッド22の接触部22aと圧延ロール2の外周面とが接触して全体として3点で接触することになる。この状態で、第1傾斜面18と第2傾斜面19との角度αと、接触ロッド22の突出量dとにより、圧延ロール2の半径Rが計測できるようになっている。接触ロッド22の突出量dとは、交差部Pから圧延ロール2側に当該接触ロッド22が突出した量(距離)のことである。
【0020】
算出部7は、上述したように角度αと突出量dとより圧延ロール2の半径Rを算出可能なものであって、具体的には、式(1)により圧延ロール2の半径Rを算出するものである。
【0021】
【数1】
【0022】
さらに詳しくは、算出部7は式(1)が記憶されたコンピュータ等から構成され、変位計5から出力される変位に基づいて、ブロック体4に対する接触ロッド22の突出量dを求め、当該突出量dを式(1)に代入することにより、圧延ロール2の半径Rを求める。なお、式(1)において、第1傾斜面18と第2傾斜面19とのなす角である角度αは90°である。
表示部9は、算出部7で求めた圧延ロール2の半径Rを連続的に表示可能であって、圧延ロール2の半径Rを連続的に表示することで圧延ロール2のプロファイルを表示することができるようになっている。
【0023】
研削機及び圧延ロール径計測装置の動作について説明する。
研削機Aによって圧延ロール2を研磨するには、まず、砥石30及び砥石駆動モータ31をY軸方向に移動させて、砥石30と圧延ロール2の表面とを当接(接触)させる。その後、砥石駆動モータ31により砥石30を回転させつつ、移動台13により圧延ロール2を軸芯方向に移動させることで、圧延ロール2の表面を研磨する。
圧延ロール径計測装置1によって圧延ロール2の半径を計測するには、ブロック体4の第1傾斜面18及び第2傾斜面19を保護部材21を介して圧延ロール2の外周面に接触させる(ブロック体4を圧延ロール2上に設置してブロック体4と圧延ロール2の外周面とを2点で接触させる)、変位計5の接触部と圧延ロール2の外周面とを接触させる(変位計5を圧延ロール2の外周面に接触させる)。次に、移動台6によってブロック体4を圧延ロール2の一端(例えば、左側)から他端(例えば、右側)にかけて圧延ロール2の軸芯方向に移動させながら、変位計5の計測値を連続的に計測し、算出部7により、圧延ロール2の半径Rを算出する。
【0024】
表示部9によって圧延ロール2の半径Rを当該圧延ロール2の一端から他端にかけて計測した結果を表示する。例えば、図6(a)に示すように、表示部9によって、周方向の所定位置における半径を軸芯方向(X軸方向)に連続的に示して、圧延ロール2の軸芯方向のプロファイル(形状)を表示する。また、図6(b)に示すように、表示部9によって、軸芯方向の所定位置における周全体の半径を連続的に示して、軸芯方向の所定位置における圧延ロール2の真円度を表示する。
本発明によれば、圧延ロール2がZ軸方向(上下方向)に撓んだ状態であっても、リンク部材24の基端部側が第2枢支軸26回りに揺動(回動)すると共に、ブロック体4自体が第1枢支軸25回りに揺動(回動)することから、これらの揺動により圧延ロール2に対するブロック体4の位置が位置調整されて、ブロック体4を圧延ロール2の外周面に沿わすことができる。その結果、圧延ロール2がZ軸方向に撓んだ状態でもブロック体4と圧延ロール2との3点接触が維持されることから精度良く圧延ロールの径を計測することができる。
【0025】
特に、研削機Aにあっては、圧延ロール2を研削すると、砥石30の外周面の摩耗が進行するため、砥石30の摩耗に伴って当該砥石30と圧延ロール2との相対距離が短くなる。
このように、砥石30の摩耗によって、砥石30と圧延ロール2との相対距離が短くなるが、リンク部材24の基端部側の回動とブロック体4の回動とによって、相対距離の変化に追随して圧延ロール2に対するブロック体4の位置を変えることが可能となる。その結果、砥石30の摩耗に伴って相対距離が短くなったとしても、ブロック体4と圧延ロール2とを確実に3点接触させることができ、精度良く圧延ロールの径を計測することができる。
【0026】
さらに、研削機Aにおいては、外径の異なる砥石30を用いて圧延ロール2を研削することがあり、使用する砥石30毎に砥石30と圧延ロール2との相対距離が変わる場合がある。このような場合でも、砥石30を取り付けた砥石駆動モータ31を圧延ロール2に近づけたり離すことによって圧延ロール2に対する砥石30の位置調整し、且つ、リンク部材24の第2枢支軸26をY軸方向に動かし、さらに、リンク部材24を回動させることによって圧延ロール2に対するブロック体4の位置を変えることが自在にできるため、ブロック体4を圧延ロール2上にセッティングするのも非常に簡単に行うことができる。
【0027】
[第2実施形態]
第2実施形態における圧延ロール径計測装置1では、ブロック体4を支持する支持機構が変更されたものである。
図7に示すように、リンク部材24の先端側には球面状となる球部39が形成されており、ブロック体4の取付凹部32はリンク部材24の球部39がピボット状に摺動自在に嵌り込む球受け構造(以降、球受け部ということがある)とされている。
球受け部32にリンク部材24の球部39が嵌り込んだ状態では、ブロック体4は、球部39の中心を通りZ軸と平行に延びる第2軸AZ回りに揺動(回動)自在で、且つ、球部39の中心を通りY軸と平行に延びる第3軸AY回りに揺動(回動)自在となっている。即ち、この実施形態では、ブロック体4は、第1軸に鉛直方向で直交する第2軸と、第1軸及び第2軸に直交する第3軸と軸回りに揺動自在に支持機構により支持されている。
【0028】
図7(a)に示すように、圧延ロール2がY軸方向(幅方向)に傾いた場合であっても、第2軸AZ回りの回動により、ブロック体4を圧延ロール2に沿って移動させることができる。
図7(b)に示すように、圧延ロール2がZ軸方向(上下方向)に傾いた場合であっても、第3軸AY回りに回動により、ブロック体4を圧延ロール2に沿って移動させることができる。
この実施形態によれば、圧延ロール2が幅方向又は上下方向に傾いたとしても、その傾きに応じてブロック体4を圧延ロール2に沿って移動させて当該ブロック体4を確実に圧延ロール2に接触させることができ、圧延ロール2の半径を正確に計測することができる。
[第3実施形態]
図8、9に示すように、第2実施形態における圧延ロール径計測装置1は、第1実施形態の圧延ロール径計測装置とは異なる記憶部8Aと、補正部40とを有したものであり、圧延ロール2の軸方向に沿ってブロック体4を少なくとも1往復させる(以降、往復のことをトラバースということがある)ことで、圧延ロール2の半径Rを求めるものである。
【0029】
圧延ロール径計測装置1の記憶部8Aは、ブロック体4を少なくとも1トラバースして変位計5にて圧延ロール2の変位を計測した際に、当該計測値から求められる往路又は復路での圧延ロール2の半径Rを所定位置xi毎に記憶するように構成されている。
具体的には、記憶部8Aはブロック体4を圧延ロール2の左側から右側まで移動させた際、当該往路での圧延ロール2の軸芯方向の所定位置xiの半径Rを順に記憶する。また、記憶部8Aはブロック体4を圧延ロール2の右側から左側まで移動させた際、当該復路での圧延ロール2の軸芯方向の所定位置xiの半径Rを順に記憶する。
【0030】
さて、図10に示すように、ブロック体4を往復移動させた際、ブロック体4は接触部の摩擦により鉛直方向に対して少しだけ傾く可能性があり、このブロック体4の傾きにより算出部7で求めた半径Rが、実際の半径と少し異なる(計測誤差)ことがある。
また、ブロック体4を圧延ロール2上を往復移動させた際、ブロック体4は圧延ロール2との接触により摩耗することから、この摩耗により算出部7で求めた半径Rが、実際の半径と少し異なる(計測誤差)ことがある。
このように、ブロック体4を圧延ロール2上を往復移動させて圧延ロール2の半径Rを算出すると、ブロック体4の傾きや摩耗の影響により、往路での半径Rと復路での半径Rとが異なる。
【0031】
そこで、補正部40は、算出部7で算出した半径Rを補正するもので、記憶部8Aに記憶された往路の所定位置xiでの半径Rと復路の所定位置xiでの半径Rとに基づいて求められた値を、所定位置xiにおける圧延ロール2の半径Rとして出力するものである。 図11に示すように、補正部40は、軸芯方向における同一位置での往路の半径Rと、復路の半径Rとを足して2で割った値、つまり、往路と復路での半径Rの平均値を圧延ロール2の半径Rとしている。具体的には、ブロック体4が圧延ロール2上を往復した際、補正部40は、共通する往路の所定位置xiでの半径R[同一区間の図11の「○」の値]と、復路の所定位置xiでの半径R[同一区間の図11の「●」の値]とを加算して2で割ることで、同一の所定位置xiにおける半径Rの平均値を求める。この平均値を所定位置xi毎の圧延ロール2の半径Rとし、表示部9に所定位置xi毎に補正した圧延ロール2の半径Rを表示する。
【0032】
つまり、第3実施形態では、圧延ロール2に対してブロック体4を1往復して変位計5にて圧延ロール2の変位を計測し、当該計測値から求められる往路又は復路での圧延ロール2の半径Rを所定位置xi毎に記憶しておき、往路での半径Rと復路での半径Rとに基づいて求められた値を、半径Rとして補正している。
以上のように、往路での圧延ロール2の半径Rと、復路での圧延ロール2の半径Rを用いて、圧延ロール2の半径Rを求めることで、ブロック体4の接触面(第1傾斜面18や第2傾斜面19)の摩擦によるブロック体4の傾き(圧延ロール2に対する鉛直方向のブロック体4の傾き)やブロック体4の摩耗の影響による計測誤差を最小限にすることができる。
【0033】
なお、この実施形態では、圧延ロール2に対してブロック体4を1往復して、往路と復路の1トラバースのデータを記憶するようにしているが、ブロック体4を複数往復させて、複数のトラバースのデータを記憶し、全トラバースにおける各区間での圧延ロール2の半径Rを平均して、当該平均値を圧延ロール2の半径Rとしてもよい。
[第4実施形態]
第3実施形態における圧延ロール径計測装置1は、第2実施形態の圧延ロール径計測装置1の補正部40とは異なる機能を有している。
【0034】
まず、発明者らは、ブロック体4を往復させた際の半径Rの差がどのような原因によるものか検討した。図12は、検討結果をグラフ化したもので、図12に示す実線は計測した計測径であり、破線はオフライン等により圧延ロール2の半径Rを計測した値であって圧延ロールの半径Rの真値に近いものである。
図12(a)に示すように、往路の測定値と復路の測定値とは、それぞれ真値と異なっており、計測時にはブロック体4の傾きの影響が出たと思われる。
図12(b)に示すように、トラバースの回数を増加させるにつれて真値と計測値との差が次第に大きくなっている。このような真値と計測値との関係は、ブロック体4の計測回数を増加させた際に生じるブロック体4の摩耗との関係があると思われる。
【0035】
図12(c)に示すように、トラバース回数が少ないときは計測値と真値との差が大きく、トラバース回数が増加するにつれて両者の差は次第に小さくなる。このような真値と計測値との関係は、ブロック体4を圧延ロール2に接触した際にブロック体4に生じる熱歪と関係があると思われる。
このように、圧延ロール2に対するブロック体4の傾き、ブロック体4の摩耗、ブロック体4の熱歪により、計測値と真値とが異なることから、第3実施形態では、補正部により、これらの影響を考慮して算出部7で算出された半径Rを補正する。
【0036】
即ち、補正部は、圧延ロール2に対するブロック体4の傾き、ブロック体4の摩耗、ブロック体4を圧延ロール2に接触した際のブロック体4の熱歪を考慮して算出部7で算出された半径Rを補正する補正機能を有している。
以下、補正部内で行われる補正機能について説明する。
計測により求めた往路での圧延ロール2の半径R1(xi,ti1)は、式(2)、計測により求めた復路での圧延ロール2の半径R2(xi,ti2)は、式(3)で定義することができる。
【0037】
【数2】
【0038】
式(2)及び式(3)において、右辺の2項目がブロック体4の熱歪の影響を示す項で、右辺の3項目がブロック体4の摩耗の影響を示す項で、右辺の4項目がブロック体4の傾きの影響を示す項である。
式(4)に示すように、往路の真の半径値と復路の真の半径値との差をgiとおくと、
【0039】
【数3】
・・・(4)
【0040】
と表すことができる。最小二乗法により式(4)で示したgiの2乗和が最小値となるように、各パラメータa,b,c,dを求める。言い換えれば、式(5)で示される値Jが最小となるように、各パラメータA,B,C,Dを求める。なお、式(4)、式(5)は非線形式であるため、非線形最小二乗法を適用する。
【0041】
【数4】
【0042】
式(5)で求めたパラメータA,B,C,Dを式(1)及び式(2)を変形した式(6)及び式(7)に代入し、半径Rの修正値Rm1(xi)、Rm2(xi)を求める。
【0043】
【数5】
【0044】
即ち、補正部には、式(5)〜(7)が記憶されていて、補正機能により半径Rの修正値Rm1(xi)、Rm2(xi)を求めることができるようになっている。
次に、補正機能を用いた圧延ロール2の半径計測方法について説明する。
最初に、往路データの採取をする。具体的には、ブロック体4を左端から右端まで移動させ、所定位置xiにおける圧延ロール2の半径R1(xi,ti1)を算出して、所定位置xiにおける半径R1(xi,ti1)、計測時間ti1を記憶部8Aに記憶させる。
復路と同様に往路データを採取する。具体的には、ブロック体4を右端から左端まで移動させ、所定位置xiにおける圧延ロール2の半径R2(xi,ti2)を算出して、所定位置xiにおける半径R2(xi,ti2)、計測時間ti2を記憶部8Aに記憶させる。
【0045】
補正部の補正機能により1トラバース終了後、式(5)の値が最小となるようにパラメータA,B,C,Dを求める。そして、求められたパラメータを式(6),(7)に代入して、半径Rの修正値Rm1(xi)、Rm2(xi)を求め、当該半径を表示部9により表示する。パラメータA,B,C,Dは、トラバース毎に求めることが好ましい。
図13は、補正機能により圧延ロール2の半径Rを補正したものである。このようにすれば、ブロック体4の傾き、ブロック体4の摩耗、ブロック体4の熱歪を考慮した正確な半径Rを算出することができ、往路での圧延ロールの半径Rと復路での圧延ロールの半径Rとが略一致するようになる。
【0046】
本発明の圧延ロール径計測装置及び圧延ロールの径計測方法は上記の実施形態に限定されない。ブロック体4を圧延ロール2の外周面に沿って移動するように支持機構6により支持すればよく、例えば、ブロック体4とリンク部材24とをユニバーサルジョイントを介して連結してもよいし、その他の部材によって連結してもよい。
また、ブロック体4が圧延ロール2の両端部に達した際に当該ブロック体4を持ち上げることのできる油圧シリンダ等で構成された持上機構を設けるようにしてもよい。また、リンク部材24をY軸方向に移動させる機構を設けて、ブロック体4を圧延ロール2にセッティングする際にリンク部材24(ブロック体4)の位置調整を行ってもよい。
【0047】
第1枢支軸25と第2貫通孔35との間に隙間(ガタ)を設けると共に、リンク部材24の先端部と取付凹部32の側壁との間に隙間(ガタ)を設けることによって、ブロック体4を第1軸AX、第2軸AY、第3軸AZ回りに揺動自在としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】第1実施形態における圧延ロール径計測装置の概略構成図である。
【図2】第1実施形態における圧延ロール径計測装置の部分断面図である。
【図3】ブロック体付近の平面断面図である。
【図4】ブロック体の正面断面図である。
【図5】3点接触法により半径を求める説明図である。
【図6】第1実施形態において半径の算出結果を表示した図である。
【図7】第2実施形態における圧延ロール径計測装置の支持構造を示した図である。
【図8】第3実施形態における圧延ロール径計測装置の概略構成図である。
【図9】圧延ロールの半径計測方法を説明する図である。
【図10】往路又は復路でのブロック体の傾きを説明する図である。
【図11】往路又は復路における圧延ロールの径を示す図である。
【図12】第3実施形態における(a)ブロック体の傾きの影響、(b)ブロック体の摩耗の影響、(c)ブロック体の熱歪の影響を説明する図である。
【図13】第4実施形態での補正結果を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
A 研削機
1 圧延ロール径計測装置
2 圧延ロール
4 ブロック体
5 変位計
6 移動機構
7 算出部
AX 第1軸
AZ 第2軸
AY 第3軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、研削機の圧延ロール径計測装置及び圧延ロールの径計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、圧延機に用いられる圧延ロールは使用し続けると表面が摩耗して表面精度が低下するため、圧延ロールの表面を回転する砥石によって研削する研削作業が定期的に行われている。研削作業に伴って、圧延ロールの半径又は直径を実測することは日常的に行われており、圧延ロールなどのロールの半径又は直径を測定(計測)する技術として特許文献1に開示されているものがある。
特許文献1の測定方法は、ロールから離れた位置に非接触型の1台の距離測定装置を設けて、この距離測定装置からロールに向けて超音波又は光を照射し、ロールと距離測定装置との間の距離を測定することにより、ロールの直径を測定するものである。
【特許文献1】特開平4−292365号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の測定方法をロールを支持して研削するような研削機に適用した場合、1台の距離測定装置によってロールと距離測定装置との間の距離を測定することでロールの直径を測定することになるため、ロールが撓んでしまうと精度良く正確にロールの径を測定できない問題がある。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、1つの計測器(変位計)であっても精度良く圧延ロールの径を計測することができる研削機における圧延ロール径計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的を達成するために、本発明は、次の手段を講じた。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、回転自在に支持された圧延ロールを砥石で研削する研削機の圧延ロール径計測装置であって、前記圧延ロールの上方側から自重により当該圧延ロールに設置され且つ当該圧延ロールの外周面に2点で接触可能なブロック体と、前記ブロック体の接触点の間に取り付けられ且つ圧延ロールの径の変位を計測可能な変位計と、前記ブロック体を圧延ロールの上方側で支持する支持機構と、前記変位計の計測値に基づいて圧延ロールの径を算出可能な算出部を備え、前記ブロック体は、圧延ロールの外周面に沿って移動するように、前記支持機構により支持されている点にある。
【0005】
前記ブロック体は、圧延ロールの軸芯方向に沿った第1軸に揺動自在に支持機構により支持されていることが好ましい。
前記ブロック体は、前記第1軸に鉛直方向で直交する第2軸と、前記第1軸及び第2軸に直交する第3軸と軸回りに揺動自在に支持機構により支持されていることが好ましい。 前記圧延ロールの軸方向に沿ってブロック体を少なくとも1往復させた際に、前記算出部が算出した往路及び復路での圧延ロールの径を所定位置毎に記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された往路及び復路での圧延ロールの径に基づき補正された圧延ロールを算出して出力する補正部と、を備えていることが好ましい。
【0006】
前記補正部は、圧延ロールに対する前記ブロック体の傾き、前記ブロック体の摩耗、前記ブロック体を圧延ロールに接触させた際の温度差によるブロック体の熱歪の少なくとも1つを基に、圧延ロールの径を補正する補正機能を有していることが好ましい。
前記ブロック体と前記圧延ロールとの接触部分に保護部材が設けられていることが好ましい。
本発明における課題解決のための他の技術的手段は、砥石で研削された圧延ロールの径を計測する圧延ロールの径計測方法において、回転自在に支持された圧延ロールの上方側から自重によりブロック体を前記圧延ロールに設置してブロック体と圧延ロールの外周面とを2点で接触させ、当該ブロック体の接触点の間に設けられた変位計を圧延ロールの外周面に接触させ、前記ブロック体を、圧延ロールの外周面に沿って移動可能としておき、前記変位計の計測値に基づいて圧延ロールの径を算出することが好ましい。
【0007】
圧延ロールの軸方向にブロック体を少なくとも1往復させて往路及び復路での圧延ロールの径を所定位置毎に記憶しておき、記憶した往路及び復路の径とに基づいて圧延ロールの径を補正することが好ましい。
前記圧延ロールに対する前記ブロック体の傾き、前記ブロック体の摩耗、前記ブロック体を圧延ロールに接触した際のブロック体の熱歪の少なくとも1つを基に圧延ロールの径を補正することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、1つの測定器(変位計)であっても精度良く圧延ロールの径を計測することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
[第1実施形態]
図1は本発明の第1実施形態における圧延ロール径計測装置を示している。
圧延ロール径計測装置1は、圧延装置に使用される圧延ロール2の表面を研削する研削機Aに具備されたもので、圧延ロール2の径(半径)Rを当該圧延ロール2の軸芯RXに沿って、連続的に計測可能なものである。
本発明では、説明の便宜上、図1での左右方向をX軸方向、紙面上下方向をY軸方向、紙面貫通方向をZ軸方向ということがある。
【0010】
図1、2に示すように、圧延ロール径計測装置1は、ブロック体4と、このブロック体4に取り付けられて圧延ロール2の半径Rの変位を検出する変位計5と、ブロック体4を圧延ロール2の圧延ロール2の上方側で支持する支持機構6とを備えている。
また、圧延ロール径計測装置1は、圧延ロール2を支持する支持体3と、この支持体3を圧延ロール2の軸芯方向に移動させる移動機構(移動台)13と、変位計5の計測値に基づいて圧延ロール2の半径Rを算出可能な算出部7と、算出部7の計算結果を記憶可能な記憶部8と、算出部7の結果を表示可能な表示部9とを備えている。
【0011】
支持体3は、圧延ロール2をX軸回りに回転自在に支持するものであって、移動台13上に設けられている。この支持体3は、移動台13の長手方向両側に配置されて圧延ロール2の回転軸を回転自在に支持する一対の軸受10,10と、移動台13上に設けられて圧延ロール2の撓みを防止する撓み防止部材11とを備えている。軸受10の一方側の移動台13上には、圧延ロール2の軸芯RXに回転動力を付与するロール駆動モータ12が配置されている。
撓み防止部材11は、圧延ロール2の下側で軸芯方向に複数並べられた第1支持部15と、圧延ロール2の側方側で軸芯方向に複数並べられた第2支持部16とから構成されている。
【0012】
第1支持部15は、移動台13に固定されたベース部15aと、このベース部15aから圧延ロール2に向けて延び、その先端部が圧延ロール2の下側の外周面と当接する当接部15bとを有しており、これらにより、圧延ロール2の下側を支持することによって当該圧延ロール2が下側に撓むのを防止している。
第2支持部16は移動台に固定されたベース部16aと、このベース部16aから圧延ロール2に向けて延び、その先端部が圧延ロール2の側方側の外周面と当接する当接部16bとを有しており、これらにより、圧延ロール2が半径R外方向に撓むのを防止している。
【0013】
移動台13の側方側には、圧延ロール2の表面を研削するための砥石30及び当該砥石30を回転駆動するための砥石駆動モータ31が配置されている。砥石30及び砥石駆動モータ31はY軸方向に移動可能となっていて、圧延ロール2に近接離反する。
ブロック体4は、圧延ロール2の上方側に配置されて圧延ロール2に自重により載っているもので、圧延ロール2の外周面に沿って移動するように、支持機構6により支持されている。
図2〜5を用いてブロック体4、支持機構6、変位計5及び記憶部8について、詳しく説明する。
【0014】
ブロック体4は、矩形状のブロックを略への字状に切り欠くことで構成された切欠部17を有しており、当該ヘの字状の切欠部17が下向きに配置されている(ブロック体4は下向きのVブロック体)。詳しくは、図2、5に示すように、この切欠部17は、当該ブロック体4の中心部から外側に進む(図5のポイントPから左側に進む)にしたがって下方に移行する第1傾斜面18と、当該ブロック体4の中心部から外側に進む(図5のポイントPから右側に進む)にしたがって下方に移行する第2傾斜面19とにより構成されたものである。
【0015】
第1傾斜面18と第2傾斜面19とは互いに向き合っていて当該ブロック体4の幅方向の中心部で交差している。例えば、第1傾斜面18と第2傾斜面19との角度(なす角)αは、90度に設定されている。第1傾斜面18の幅方向の長さと、第2傾斜面19の幅方向の長さ(言い換えれば、互いの辺の長さ)とは同じに設定されている。第1傾斜面18及び第2傾斜面19には、保護部材21が設けられている。言い換えれば、ブロック体4と圧延ロール2との接触部分に保護部材21が設けられている。
この保護部材21は、ブロック体4と圧延ロール2と接触によりブロック体4の表面或いは圧延ロール2の表面は疵付くのを防止すると共に、ブロック体4の接触部分(第1傾斜面18や第2傾斜面19)が砥石の削粉で摩耗してしまうのを防止する(摩耗の抑制)もので、例えば、テフロン(登録商標)等から形成された樹脂テープや高強度鋼板により構成されている。
【0016】
第1傾斜面18と第2傾斜面19との交差部分P(以降、交差部ということがある)を通るように、当該ブロック体4には上下方向に貫通する第1貫通孔20が設けられ、この第1貫通孔20に変位計5が内嵌されている。
ブロック体4において第2傾斜面19が形成された側には、後述するリンク部材24の先端が入り込むための取付凹部32が上部から中途部に亘って設けられており、この取付凹部32の両側のブロック体4には、圧延ロール2の軸芯方向に沿った第2貫通孔35が設けられている。
【0017】
支持機構6は、圧延ロール2の外周面に沿って移動可能となるようにブロック体4を支持するもので、ブロック体4と砥石駆動モータ31との間に配置されたリンク部材24と、このリンク部材24の先端部に設けられてブロック体が枢支される第1枢支軸25と、リンク部材24の基端部に設けられて砥石駆動モータ31に枢支される第2枢支軸26とを有している。
詳しくは、リンク部材24の先端部側がブロック体4の取付凹部32に位置していて、当該先端部側のX軸に平行な第1枢支軸25(第1軸AX)が第2貫通孔35に挿入されている。また、リンク部材24の基端部側が砥石駆動モータ31の上部に位置していて、当該基端側のX軸に平行な第2枢支軸26(第1軸AX)が砥石駆動モータ31の上部に揺動(回動)に枢支されている。
【0018】
即ち、ブロック体4は、X軸に平行な2つの第1軸AX軸回りに揺動自在となっている。
変位計5は、圧延ロール2の外周面に接触する接触ロッド22と、この接触ロッド22を伸縮自在とする伸縮部23とを備えている。接触ロッド22は伸縮部23から突出していて当該伸縮部23に対して移動自在となっている。接触ロッド22の先端部には圧延ロール2の外周面に接触する板状の接触部22aが形成されている。伸縮部23に対する接触ロッド22の変位は算出部7に出力されるようになっている。
【0019】
変位計5が取り付けられたブロック体4を圧延ロール2に上方から載せると、第1傾斜面18と圧延ロール2の外周面とが接触すると共に、第2傾斜面19と圧延ロール2の外周面とが接触し、さらに、変位計5の接触ロッド22の接触部22aと圧延ロール2の外周面とが接触して全体として3点で接触することになる。この状態で、第1傾斜面18と第2傾斜面19との角度αと、接触ロッド22の突出量dとにより、圧延ロール2の半径Rが計測できるようになっている。接触ロッド22の突出量dとは、交差部Pから圧延ロール2側に当該接触ロッド22が突出した量(距離)のことである。
【0020】
算出部7は、上述したように角度αと突出量dとより圧延ロール2の半径Rを算出可能なものであって、具体的には、式(1)により圧延ロール2の半径Rを算出するものである。
【0021】
【数1】
【0022】
さらに詳しくは、算出部7は式(1)が記憶されたコンピュータ等から構成され、変位計5から出力される変位に基づいて、ブロック体4に対する接触ロッド22の突出量dを求め、当該突出量dを式(1)に代入することにより、圧延ロール2の半径Rを求める。なお、式(1)において、第1傾斜面18と第2傾斜面19とのなす角である角度αは90°である。
表示部9は、算出部7で求めた圧延ロール2の半径Rを連続的に表示可能であって、圧延ロール2の半径Rを連続的に表示することで圧延ロール2のプロファイルを表示することができるようになっている。
【0023】
研削機及び圧延ロール径計測装置の動作について説明する。
研削機Aによって圧延ロール2を研磨するには、まず、砥石30及び砥石駆動モータ31をY軸方向に移動させて、砥石30と圧延ロール2の表面とを当接(接触)させる。その後、砥石駆動モータ31により砥石30を回転させつつ、移動台13により圧延ロール2を軸芯方向に移動させることで、圧延ロール2の表面を研磨する。
圧延ロール径計測装置1によって圧延ロール2の半径を計測するには、ブロック体4の第1傾斜面18及び第2傾斜面19を保護部材21を介して圧延ロール2の外周面に接触させる(ブロック体4を圧延ロール2上に設置してブロック体4と圧延ロール2の外周面とを2点で接触させる)、変位計5の接触部と圧延ロール2の外周面とを接触させる(変位計5を圧延ロール2の外周面に接触させる)。次に、移動台6によってブロック体4を圧延ロール2の一端(例えば、左側)から他端(例えば、右側)にかけて圧延ロール2の軸芯方向に移動させながら、変位計5の計測値を連続的に計測し、算出部7により、圧延ロール2の半径Rを算出する。
【0024】
表示部9によって圧延ロール2の半径Rを当該圧延ロール2の一端から他端にかけて計測した結果を表示する。例えば、図6(a)に示すように、表示部9によって、周方向の所定位置における半径を軸芯方向(X軸方向)に連続的に示して、圧延ロール2の軸芯方向のプロファイル(形状)を表示する。また、図6(b)に示すように、表示部9によって、軸芯方向の所定位置における周全体の半径を連続的に示して、軸芯方向の所定位置における圧延ロール2の真円度を表示する。
本発明によれば、圧延ロール2がZ軸方向(上下方向)に撓んだ状態であっても、リンク部材24の基端部側が第2枢支軸26回りに揺動(回動)すると共に、ブロック体4自体が第1枢支軸25回りに揺動(回動)することから、これらの揺動により圧延ロール2に対するブロック体4の位置が位置調整されて、ブロック体4を圧延ロール2の外周面に沿わすことができる。その結果、圧延ロール2がZ軸方向に撓んだ状態でもブロック体4と圧延ロール2との3点接触が維持されることから精度良く圧延ロールの径を計測することができる。
【0025】
特に、研削機Aにあっては、圧延ロール2を研削すると、砥石30の外周面の摩耗が進行するため、砥石30の摩耗に伴って当該砥石30と圧延ロール2との相対距離が短くなる。
このように、砥石30の摩耗によって、砥石30と圧延ロール2との相対距離が短くなるが、リンク部材24の基端部側の回動とブロック体4の回動とによって、相対距離の変化に追随して圧延ロール2に対するブロック体4の位置を変えることが可能となる。その結果、砥石30の摩耗に伴って相対距離が短くなったとしても、ブロック体4と圧延ロール2とを確実に3点接触させることができ、精度良く圧延ロールの径を計測することができる。
【0026】
さらに、研削機Aにおいては、外径の異なる砥石30を用いて圧延ロール2を研削することがあり、使用する砥石30毎に砥石30と圧延ロール2との相対距離が変わる場合がある。このような場合でも、砥石30を取り付けた砥石駆動モータ31を圧延ロール2に近づけたり離すことによって圧延ロール2に対する砥石30の位置調整し、且つ、リンク部材24の第2枢支軸26をY軸方向に動かし、さらに、リンク部材24を回動させることによって圧延ロール2に対するブロック体4の位置を変えることが自在にできるため、ブロック体4を圧延ロール2上にセッティングするのも非常に簡単に行うことができる。
【0027】
[第2実施形態]
第2実施形態における圧延ロール径計測装置1では、ブロック体4を支持する支持機構が変更されたものである。
図7に示すように、リンク部材24の先端側には球面状となる球部39が形成されており、ブロック体4の取付凹部32はリンク部材24の球部39がピボット状に摺動自在に嵌り込む球受け構造(以降、球受け部ということがある)とされている。
球受け部32にリンク部材24の球部39が嵌り込んだ状態では、ブロック体4は、球部39の中心を通りZ軸と平行に延びる第2軸AZ回りに揺動(回動)自在で、且つ、球部39の中心を通りY軸と平行に延びる第3軸AY回りに揺動(回動)自在となっている。即ち、この実施形態では、ブロック体4は、第1軸に鉛直方向で直交する第2軸と、第1軸及び第2軸に直交する第3軸と軸回りに揺動自在に支持機構により支持されている。
【0028】
図7(a)に示すように、圧延ロール2がY軸方向(幅方向)に傾いた場合であっても、第2軸AZ回りの回動により、ブロック体4を圧延ロール2に沿って移動させることができる。
図7(b)に示すように、圧延ロール2がZ軸方向(上下方向)に傾いた場合であっても、第3軸AY回りに回動により、ブロック体4を圧延ロール2に沿って移動させることができる。
この実施形態によれば、圧延ロール2が幅方向又は上下方向に傾いたとしても、その傾きに応じてブロック体4を圧延ロール2に沿って移動させて当該ブロック体4を確実に圧延ロール2に接触させることができ、圧延ロール2の半径を正確に計測することができる。
[第3実施形態]
図8、9に示すように、第2実施形態における圧延ロール径計測装置1は、第1実施形態の圧延ロール径計測装置とは異なる記憶部8Aと、補正部40とを有したものであり、圧延ロール2の軸方向に沿ってブロック体4を少なくとも1往復させる(以降、往復のことをトラバースということがある)ことで、圧延ロール2の半径Rを求めるものである。
【0029】
圧延ロール径計測装置1の記憶部8Aは、ブロック体4を少なくとも1トラバースして変位計5にて圧延ロール2の変位を計測した際に、当該計測値から求められる往路又は復路での圧延ロール2の半径Rを所定位置xi毎に記憶するように構成されている。
具体的には、記憶部8Aはブロック体4を圧延ロール2の左側から右側まで移動させた際、当該往路での圧延ロール2の軸芯方向の所定位置xiの半径Rを順に記憶する。また、記憶部8Aはブロック体4を圧延ロール2の右側から左側まで移動させた際、当該復路での圧延ロール2の軸芯方向の所定位置xiの半径Rを順に記憶する。
【0030】
さて、図10に示すように、ブロック体4を往復移動させた際、ブロック体4は接触部の摩擦により鉛直方向に対して少しだけ傾く可能性があり、このブロック体4の傾きにより算出部7で求めた半径Rが、実際の半径と少し異なる(計測誤差)ことがある。
また、ブロック体4を圧延ロール2上を往復移動させた際、ブロック体4は圧延ロール2との接触により摩耗することから、この摩耗により算出部7で求めた半径Rが、実際の半径と少し異なる(計測誤差)ことがある。
このように、ブロック体4を圧延ロール2上を往復移動させて圧延ロール2の半径Rを算出すると、ブロック体4の傾きや摩耗の影響により、往路での半径Rと復路での半径Rとが異なる。
【0031】
そこで、補正部40は、算出部7で算出した半径Rを補正するもので、記憶部8Aに記憶された往路の所定位置xiでの半径Rと復路の所定位置xiでの半径Rとに基づいて求められた値を、所定位置xiにおける圧延ロール2の半径Rとして出力するものである。 図11に示すように、補正部40は、軸芯方向における同一位置での往路の半径Rと、復路の半径Rとを足して2で割った値、つまり、往路と復路での半径Rの平均値を圧延ロール2の半径Rとしている。具体的には、ブロック体4が圧延ロール2上を往復した際、補正部40は、共通する往路の所定位置xiでの半径R[同一区間の図11の「○」の値]と、復路の所定位置xiでの半径R[同一区間の図11の「●」の値]とを加算して2で割ることで、同一の所定位置xiにおける半径Rの平均値を求める。この平均値を所定位置xi毎の圧延ロール2の半径Rとし、表示部9に所定位置xi毎に補正した圧延ロール2の半径Rを表示する。
【0032】
つまり、第3実施形態では、圧延ロール2に対してブロック体4を1往復して変位計5にて圧延ロール2の変位を計測し、当該計測値から求められる往路又は復路での圧延ロール2の半径Rを所定位置xi毎に記憶しておき、往路での半径Rと復路での半径Rとに基づいて求められた値を、半径Rとして補正している。
以上のように、往路での圧延ロール2の半径Rと、復路での圧延ロール2の半径Rを用いて、圧延ロール2の半径Rを求めることで、ブロック体4の接触面(第1傾斜面18や第2傾斜面19)の摩擦によるブロック体4の傾き(圧延ロール2に対する鉛直方向のブロック体4の傾き)やブロック体4の摩耗の影響による計測誤差を最小限にすることができる。
【0033】
なお、この実施形態では、圧延ロール2に対してブロック体4を1往復して、往路と復路の1トラバースのデータを記憶するようにしているが、ブロック体4を複数往復させて、複数のトラバースのデータを記憶し、全トラバースにおける各区間での圧延ロール2の半径Rを平均して、当該平均値を圧延ロール2の半径Rとしてもよい。
[第4実施形態]
第3実施形態における圧延ロール径計測装置1は、第2実施形態の圧延ロール径計測装置1の補正部40とは異なる機能を有している。
【0034】
まず、発明者らは、ブロック体4を往復させた際の半径Rの差がどのような原因によるものか検討した。図12は、検討結果をグラフ化したもので、図12に示す実線は計測した計測径であり、破線はオフライン等により圧延ロール2の半径Rを計測した値であって圧延ロールの半径Rの真値に近いものである。
図12(a)に示すように、往路の測定値と復路の測定値とは、それぞれ真値と異なっており、計測時にはブロック体4の傾きの影響が出たと思われる。
図12(b)に示すように、トラバースの回数を増加させるにつれて真値と計測値との差が次第に大きくなっている。このような真値と計測値との関係は、ブロック体4の計測回数を増加させた際に生じるブロック体4の摩耗との関係があると思われる。
【0035】
図12(c)に示すように、トラバース回数が少ないときは計測値と真値との差が大きく、トラバース回数が増加するにつれて両者の差は次第に小さくなる。このような真値と計測値との関係は、ブロック体4を圧延ロール2に接触した際にブロック体4に生じる熱歪と関係があると思われる。
このように、圧延ロール2に対するブロック体4の傾き、ブロック体4の摩耗、ブロック体4の熱歪により、計測値と真値とが異なることから、第3実施形態では、補正部により、これらの影響を考慮して算出部7で算出された半径Rを補正する。
【0036】
即ち、補正部は、圧延ロール2に対するブロック体4の傾き、ブロック体4の摩耗、ブロック体4を圧延ロール2に接触した際のブロック体4の熱歪を考慮して算出部7で算出された半径Rを補正する補正機能を有している。
以下、補正部内で行われる補正機能について説明する。
計測により求めた往路での圧延ロール2の半径R1(xi,ti1)は、式(2)、計測により求めた復路での圧延ロール2の半径R2(xi,ti2)は、式(3)で定義することができる。
【0037】
【数2】
【0038】
式(2)及び式(3)において、右辺の2項目がブロック体4の熱歪の影響を示す項で、右辺の3項目がブロック体4の摩耗の影響を示す項で、右辺の4項目がブロック体4の傾きの影響を示す項である。
式(4)に示すように、往路の真の半径値と復路の真の半径値との差をgiとおくと、
【0039】
【数3】
・・・(4)
【0040】
と表すことができる。最小二乗法により式(4)で示したgiの2乗和が最小値となるように、各パラメータa,b,c,dを求める。言い換えれば、式(5)で示される値Jが最小となるように、各パラメータA,B,C,Dを求める。なお、式(4)、式(5)は非線形式であるため、非線形最小二乗法を適用する。
【0041】
【数4】
【0042】
式(5)で求めたパラメータA,B,C,Dを式(1)及び式(2)を変形した式(6)及び式(7)に代入し、半径Rの修正値Rm1(xi)、Rm2(xi)を求める。
【0043】
【数5】
【0044】
即ち、補正部には、式(5)〜(7)が記憶されていて、補正機能により半径Rの修正値Rm1(xi)、Rm2(xi)を求めることができるようになっている。
次に、補正機能を用いた圧延ロール2の半径計測方法について説明する。
最初に、往路データの採取をする。具体的には、ブロック体4を左端から右端まで移動させ、所定位置xiにおける圧延ロール2の半径R1(xi,ti1)を算出して、所定位置xiにおける半径R1(xi,ti1)、計測時間ti1を記憶部8Aに記憶させる。
復路と同様に往路データを採取する。具体的には、ブロック体4を右端から左端まで移動させ、所定位置xiにおける圧延ロール2の半径R2(xi,ti2)を算出して、所定位置xiにおける半径R2(xi,ti2)、計測時間ti2を記憶部8Aに記憶させる。
【0045】
補正部の補正機能により1トラバース終了後、式(5)の値が最小となるようにパラメータA,B,C,Dを求める。そして、求められたパラメータを式(6),(7)に代入して、半径Rの修正値Rm1(xi)、Rm2(xi)を求め、当該半径を表示部9により表示する。パラメータA,B,C,Dは、トラバース毎に求めることが好ましい。
図13は、補正機能により圧延ロール2の半径Rを補正したものである。このようにすれば、ブロック体4の傾き、ブロック体4の摩耗、ブロック体4の熱歪を考慮した正確な半径Rを算出することができ、往路での圧延ロールの半径Rと復路での圧延ロールの半径Rとが略一致するようになる。
【0046】
本発明の圧延ロール径計測装置及び圧延ロールの径計測方法は上記の実施形態に限定されない。ブロック体4を圧延ロール2の外周面に沿って移動するように支持機構6により支持すればよく、例えば、ブロック体4とリンク部材24とをユニバーサルジョイントを介して連結してもよいし、その他の部材によって連結してもよい。
また、ブロック体4が圧延ロール2の両端部に達した際に当該ブロック体4を持ち上げることのできる油圧シリンダ等で構成された持上機構を設けるようにしてもよい。また、リンク部材24をY軸方向に移動させる機構を設けて、ブロック体4を圧延ロール2にセッティングする際にリンク部材24(ブロック体4)の位置調整を行ってもよい。
【0047】
第1枢支軸25と第2貫通孔35との間に隙間(ガタ)を設けると共に、リンク部材24の先端部と取付凹部32の側壁との間に隙間(ガタ)を設けることによって、ブロック体4を第1軸AX、第2軸AY、第3軸AZ回りに揺動自在としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】第1実施形態における圧延ロール径計測装置の概略構成図である。
【図2】第1実施形態における圧延ロール径計測装置の部分断面図である。
【図3】ブロック体付近の平面断面図である。
【図4】ブロック体の正面断面図である。
【図5】3点接触法により半径を求める説明図である。
【図6】第1実施形態において半径の算出結果を表示した図である。
【図7】第2実施形態における圧延ロール径計測装置の支持構造を示した図である。
【図8】第3実施形態における圧延ロール径計測装置の概略構成図である。
【図9】圧延ロールの半径計測方法を説明する図である。
【図10】往路又は復路でのブロック体の傾きを説明する図である。
【図11】往路又は復路における圧延ロールの径を示す図である。
【図12】第3実施形態における(a)ブロック体の傾きの影響、(b)ブロック体の摩耗の影響、(c)ブロック体の熱歪の影響を説明する図である。
【図13】第4実施形態での補正結果を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
A 研削機
1 圧延ロール径計測装置
2 圧延ロール
4 ブロック体
5 変位計
6 移動機構
7 算出部
AX 第1軸
AZ 第2軸
AY 第3軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転自在に支持された圧延ロールを砥石で研削する研削機の圧延ロール径計測装置であって、
前記圧延ロールの上方側から自重により当該圧延ロールに設置され且つ当該圧延ロールの外周面に2点で接触可能なブロック体と、前記ブロック体の接触点の間に取り付けられ且つ圧延ロールの径の変位を計測可能な変位計と、前記ブロック体を圧延ロールの上方側で支持する支持機構と、前記変位計の計測値に基づいて圧延ロールの径を算出可能な算出部を備え、
前記ブロック体は、圧延ロールの外周面に沿って移動するように、前記支持機構により支持されていることを特徴とする研削機の圧延ロール径計測装置。
【請求項2】
前記ブロック体は、圧延ロールの軸芯方向に沿った第1軸回りに揺動自在に支持機構により支持されていることを特徴とする請求項1に記載の研削機の圧延ロール径計測装置。
【請求項3】
前記ブロック体は、前記第1軸に鉛直方向で直交する第2軸と、前記第1軸及び第2軸に直交する第3軸と軸回りに揺動自在に支持機構により支持されていることを特徴とする請求項2に記載の研削機の圧延ロール径計測装置。
【請求項4】
前記圧延ロールの軸方向に沿ってブロック体を少なくとも1往復させた際に、前記算出部が算出した往路及び復路での圧延ロールの径を所定位置毎に記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された往路及び復路での圧延ロールの径に基づき補正された圧延ロールを算出して出力する補正部と、を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の研削機の圧延ロール径計測装置。
【請求項5】
前記補正部は、圧延ロールに対する前記ブロック体の傾き、前記ブロック体の摩耗、前記ブロック体を圧延ロールに接触させた際の温度差によるブロック体の熱歪の少なくとも1つを基に、圧延ロールの径を補正する補正機能を有していることを特徴とする請求項4に記載の研削機の圧延ロール径計測装置。
【請求項6】
前記ブロック体と前記圧延ロールとの接触部分に保護部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の研削機の圧延ロール径計測装置。
【請求項7】
砥石で研削された圧延ロールの径を計測する圧延ロールの径計測方法において、
回転自在に支持された圧延ロールの上方側から自重によりブロック体を設置し、当該ブロック体と圧延ロールの外周面とを2点で接触させ、ブロック体の接触点の間に設けられた変位計を圧延ロールの外周面に接触させ、前記ブロック体を、圧延ロールの外周面に沿って移動可能としておき、
前記変位計の計測値に基づいて圧延ロールの径を算出する圧延ロールの径計測方法。
【請求項8】
圧延ロールの軸方向にブロック体を少なくとも1往復させて往路及び復路での圧延ロールの径を所定位置毎に記憶しておき、記憶した往路及び復路の径とに基づいて圧延ロールの径を補正することを特徴とする請求項7に記載の圧延ロールの径計測方法。
【請求項9】
前記圧延ロールに対する前記ブロック体の傾き、前記ブロック体の摩耗、前記ブロック体を圧延ロールに接触した際のブロック体の熱歪の少なくとも1つを基に圧延ロールの径を補正することを特徴とする請求項8に記載の圧延ロールの径計測方法。
【請求項1】
回転自在に支持された圧延ロールを砥石で研削する研削機の圧延ロール径計測装置であって、
前記圧延ロールの上方側から自重により当該圧延ロールに設置され且つ当該圧延ロールの外周面に2点で接触可能なブロック体と、前記ブロック体の接触点の間に取り付けられ且つ圧延ロールの径の変位を計測可能な変位計と、前記ブロック体を圧延ロールの上方側で支持する支持機構と、前記変位計の計測値に基づいて圧延ロールの径を算出可能な算出部を備え、
前記ブロック体は、圧延ロールの外周面に沿って移動するように、前記支持機構により支持されていることを特徴とする研削機の圧延ロール径計測装置。
【請求項2】
前記ブロック体は、圧延ロールの軸芯方向に沿った第1軸回りに揺動自在に支持機構により支持されていることを特徴とする請求項1に記載の研削機の圧延ロール径計測装置。
【請求項3】
前記ブロック体は、前記第1軸に鉛直方向で直交する第2軸と、前記第1軸及び第2軸に直交する第3軸と軸回りに揺動自在に支持機構により支持されていることを特徴とする請求項2に記載の研削機の圧延ロール径計測装置。
【請求項4】
前記圧延ロールの軸方向に沿ってブロック体を少なくとも1往復させた際に、前記算出部が算出した往路及び復路での圧延ロールの径を所定位置毎に記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された往路及び復路での圧延ロールの径に基づき補正された圧延ロールを算出して出力する補正部と、を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の研削機の圧延ロール径計測装置。
【請求項5】
前記補正部は、圧延ロールに対する前記ブロック体の傾き、前記ブロック体の摩耗、前記ブロック体を圧延ロールに接触させた際の温度差によるブロック体の熱歪の少なくとも1つを基に、圧延ロールの径を補正する補正機能を有していることを特徴とする請求項4に記載の研削機の圧延ロール径計測装置。
【請求項6】
前記ブロック体と前記圧延ロールとの接触部分に保護部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の研削機の圧延ロール径計測装置。
【請求項7】
砥石で研削された圧延ロールの径を計測する圧延ロールの径計測方法において、
回転自在に支持された圧延ロールの上方側から自重によりブロック体を設置し、当該ブロック体と圧延ロールの外周面とを2点で接触させ、ブロック体の接触点の間に設けられた変位計を圧延ロールの外周面に接触させ、前記ブロック体を、圧延ロールの外周面に沿って移動可能としておき、
前記変位計の計測値に基づいて圧延ロールの径を算出する圧延ロールの径計測方法。
【請求項8】
圧延ロールの軸方向にブロック体を少なくとも1往復させて往路及び復路での圧延ロールの径を所定位置毎に記憶しておき、記憶した往路及び復路の径とに基づいて圧延ロールの径を補正することを特徴とする請求項7に記載の圧延ロールの径計測方法。
【請求項9】
前記圧延ロールに対する前記ブロック体の傾き、前記ブロック体の摩耗、前記ブロック体を圧延ロールに接触した際のブロック体の熱歪の少なくとも1つを基に圧延ロールの径を補正することを特徴とする請求項8に記載の圧延ロールの径計測方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−66611(P2009−66611A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−235538(P2007−235538)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】
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