説明

磁気式衝突センサ

車両(12)の第1の部分(16)に動作可能に関連する第1のコイル(14)によって生成される第1の磁場(26)は、車両(12)の第2の部分(20)と動作可能に関連するか、または少なくともその一部である、少なくとも1つの導電性要素(18)と相互作用して、導電性要素(18)内に渦電流(34)を生成し、この渦電流が、磁気センサ(36、36.1、36.2)によって検知される磁場に影響を与える。衝突を受ける車両の部分、例えば、バンパ(24)またはドア(78)に動作可能に結合された導電性要素(18、80、86、88)は、磁気センサ(36、36.1、36.2)からの信号を用いて衝突の検知を可能にする。別の態様では、第2の磁場(54)が、第2のコイル(50)によって車両(12)のフレーム(64)内に生成されて、この場合に、フレーム(64)は、関連する磁気回路(68)の磁気抵抗(R)が衝突に応答するように適合されている。第1のコイル(14)または第2のコイル(50)からの信号を使用して、関連する磁場を検知することができる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施態様の説明
図1および図2を参照すると、磁気式衝突センサの第1の態様の第1の実施例10.1’は、車両12内に組み込まれて、車両12の第1の部分16に動作可能に関連する少なくとも1つの第1のコイル14と、車両12の近接する第2の部分20と動作可能に関連するか、または少なくともその一部である、導電性要素18とを含む。例えば、磁気式衝突センサの第1の態様の第1の実施例10.1’は、正面衝突を検知するように適合されており、ここで車両12の第1の部分16は、フロントクロスビーム22を含むものとして示されており―少なくとも1つの第1のコイル14はその中央部分に近接して位置して、例えばそれに装着されており―車両12の第2の部分20は、フロントバンパ24を含むものとして図示されている。前記の少なくとも1つのコイル14は、導電性であるとともに、例えば、第1の発振器30によって生成される第1の発振信号に応答して、第1のコイルドライバ28によって印加される電流に応答する、第1の磁場26を発生するように適合されている。
【0002】
少なくとも1つの第1のコイル14の磁気軸32は、車両12の第2の部分20の方向に向いており―例えば、図1に示す実施例に対して実質的に車両12の長手軸に沿っており―その結果、第1の磁場26が、動作可能にそれと関連する導電性要素18と相互作用して、それによって、レンツの法則に従って渦電流34が生成される。導電性要素18は、例えば、比較的高度に導電性である常磁性または反磁性の材料、例えばアルミニウムまたは銅を含む、薄い金属のシート、フィルムまたは被覆を含み、これは、例えば、車両12の第2の部分20の一体部分とすることもできる。例えば、導電性要素18は、フロントバンパ24の後面上に噴霧被覆してもよい。第1の発振器30の周波数は、少なくとも1つの第1のコイル14によって生成される対応する発振第1磁場26が、導電性要素18内での関連する渦電流34の生成を行うとともに、車両12の強磁性要素、例えばフロントクロスビーム22を介して磁気的に導通されるように、適合されている。
【0003】
磁気式衝突センサ10.1’は少なくとも1つの磁気センサ36をさらに含み、この磁気センサ36は、少なくとも1つの第1のコイル14から隔離して配置されて、少なくとも1つの第1のコイル14によって生成される第1の磁場26に応答性を有するとともに、第1の磁場26に応答して導電性要素18内に渦電流34によって生成される第2の磁場38に応答性を有するように適合されている。例えば、少なくとも1つの磁気センサ36の検知軸は、少なくとも1つの第1のコイル14の磁気軸32と実質的に同じ方向に向いている。例えば、図1に示すように、少なくとも1つの磁気センサ36は、フロントクロスビーム22の各端部の前方側に近接して配置され、それによって、第1の磁場26および第2の磁場38に応答する、第1の磁気センサ36.1および第2の磁気センサ36.2を含む。磁気センサ36は、磁場に応答して信号を生成するとともに、例えば、それに限定はされないが、コイル、ホール効果(Hall-effect)センサ、または巨大磁気抵抗効果(GMR:giant magnetoresistive)センサを含む、様々な方法で具現することができる。
【0004】
第1(36.1)および第2(36.2)の磁気センサは、それぞれ動作可能に第1(40.1)および第2(40.2)の信号調整器/プリプロセッサ回路に結合され、これらの回路は、例えば、参照により本明細書に組み入れてある米国特許第6,777,927号に記載されているように、例えば、第1(36.1)および第2(36.2)の磁気センサからの関連する信号の、前置増幅、フィルタリング、同期復調、およびアナログ−ディジタル変換を行う。第1(40.1)および第2(40.2)の信号調整器/プリプロセッサ回路は、それぞれ、動作可能にプロセッサ42に結合されており、このプロセッサ42は、そこからの信号を処理し、それによって衝突を判別して、それに動作可能に結合されている関連する安全拘束アクチュエータ44―例えば、前方エアバッグインフレータまたはシートベルトプリテンショナ―の制御を行う。
【0005】
図3を参照すると、導電性要素18を変形させるのに十分なエネルギーの衝突物体46との衝突に応答して、少なくとも1つの第1のコイル14および磁気センサ36に対する、導電性要素18の形状または位置の変化が、第1(36.1)および第2(36.2)の磁気センサが受け取る磁場に変化を生じさせ、この変化がそれらセンサによって検出されて、結果として得られる信号は、信号調整器/プリプロセッサ回路40.1、40.2で前処理される。そこからの信号は、プロセッサ42内の衝突検知アルゴリズムによって―例えば、閾値または基準信号もしくは波形との比較によって―処理されて、それによって衝突、例えば、十分な強度の衝突、が検出される場合には、プロセッサ42は、それに応答して安全拘束アクチュエータ33の起動を行うか、または第2の衝突センサからの第1の確認信号に応答してその起動を行う。
【0006】
磁気式衝突センサの第1の態様10.1’は、バンパなどの車両のフロント部材の形状および位置の監視を行い、それによって重大なエネルギーの衝撃に対する初期警報を与える。磁気式衝突センサ10.1’は信号を提供し、その信号から、歩行者との衝突を識別し、場合によっては他の低質量または固定されていない物体と区別することもできる。例えば、第1(36.1)または第2(36.2)のいずれかの磁気センサに応答する信号を使用することによって、歩行者保護装置を作動させること、再設定可能車両乗員拘束装置(例えば、機械式シートベルトプリテンショナ)を作動させること、または前面衝突検出アルゴリズムに衝突が始まっていることを警告して、この場合に、例えば、前面衝突検出アルゴリズムが、それに応じて1つまたは2つ以上の閾値を採用できるようにすることも可能である。磁気センサ36からの信号の動的絶対値は、衝突強度の尺度を提供する。
【0007】
磁気式衝突センサの第1の態様10.1’は、非構造体であるか、または衝突に応じて容易に変形する、車両12の要素への衝突を検知するのに有用である。導電性要素18が動作可能に関連しているか、またはその一部である要素の変化は、関連する磁場に関連する影響を与える。この影響は、光の速度で発生する。さらに、加速度計または磁気歪みセンサのいずれかに依存する検知システムに対してはそれが当てはまるが、被衝突要素―すなわち導電性要素18―と、関連する検知システム―すなわち少なくとも1つの第1のコイル14および磁気センサ36―とが、直接接触する必要はなく、その理由は、磁気式衝突センサの第1の態様10.1’は、それと関連する磁場によって覆われる領域の幾何学形状における変化に応答性があり、この領域には、導電性要素18と、関連する少なくとも1つの第1のコイル14および磁気センサ36との間の空間が含まれるからである。これらの要素が、関連する磁気回路における非磁性材料間隙が、衝突に応答して増大、または減少するように配置され、それによって関連する磁気回路の全体磁気抵抗に影響を与え、その結果として、磁気センサ36によって検知される結果的に得られる信号に影響を与えるようにされている場合に、磁気式衝突センサの第1の態様10.1’の応答性(responsiveness)は向上する。
【0008】
磁気式衝突センサの第1の態様10.1’は、車両12の非鉄要素への衝撃を検出するのに非常に適している。例えば、不良導体である要素に対して、それと関連する導電性要素18は、その要素の変形を検出することを可能にする。別の例として、良導体である要素、例えばアルミニウムバンパまたはボディパネルなどに対しては、これらの要素は、磁気式衝突センサ10.1’の導電性要素18を内在して含む。
【0009】
磁気式衝突センサの第1の態様10.1’によれば、導電性要素18を、鉄の要素、例えば鋼バンパに付加することも可能であるが、第2の磁場38の影響が鉄の要素内部の磁場の作用を支配するようにするためには、鉄の要素(鋼バンパ)の内側にある関連する導電性要素18は、元の伝播された第1の磁場26が、導電性要素18の反対側の鋼まで伝わるのを防止するのに十分な肉厚とするか、または導電性として、それによって導電性要素18内の渦電流34が、導電性要素18中への浸透のある深さにおける磁場を完全に相殺することが必要である。例えば、超伝導導電性要素18に対しては、第1の磁場26の、導電性要素18中への浸透はないものと考えられる。第1の磁場26の浸透深さは、導電性要素18の導電率が低下するにつれて増加するが、アルミニウムまたは銅の導電性要素18は、この効果を実質的に達成するのに、非常に厚くとする必要はない(例えば、2.5mm以下)。導電性要素中への磁場の浸透深さは、例えば、インターネットからhttp://joe.buckley.net/papersにおいて入手可能な技術論文に記載されているように、非破壊試験に渦電流を使用する技術から知られており、この技術論文を参照により本明細書に組み入れてある。一般に、導電性要素18の厚さが、その磁場周波数において、標準浸透深さ(standard depths of penetration)の約3倍を超えると、実質的に磁場はそれを通過して伝わらない。
【0010】
別の方法として、強磁性要素、例えば鋼バンパの場合には、磁気式衝突センサは、別個の、すなわちそれ自体が導電性である強磁性要素から隔離されている、導電性要素18のない場合を除いて、上述のように構築することもできる。したがって、第1の磁場26は、この、車両12の強磁性要素の第2の部分20を介して伝導されることになり、この要素は、磁気回路の一部であり、この回路は、さらに、少なくとも1つの第1のコイル14、車両12の第1の部分16、および車両の第1(16)と第2(20)の部分との間の、関連する空隙48を含む。この態様によれば、磁気式センサ36は、車両12の強磁性の第1の部分16の変形または移動によって、およびその結果としての関連する空隙48の変化によって生じる、磁気回路の磁気抵抗の変化に応答することになる。
【0011】
図1および図4を参照すると、車両12に組み込まれた、磁気式衝突センサの第2の態様10.2は、車両12の第3の部分52と動作可能に関連する少なくとも1つの第2のコイル50を含み、第3の部分52は、上記の第1の部分16に近接しても、または別の場所にあってもよい。例えば、磁気式衝突センサの第2の態様10.2も、前面衝突を検知するように適合された状態で示してあり、ここで車両12の第3の部分52は、フロントクロスビーム22を含み、第2のコイル50は、その中央部分に近接して配置され、例えばフロントクロスビーム22のまわりに配置される。第2のコイル50は、導電性であり、例えば第2の発振器58によって生成される第2の発振信号に応答して、第2のコイルドライバ56によって流される電流に応答する、第3の磁場54を生成するように適合されている。例えば、第2の発振器58は、第1の発振器30と同じであるか、またはそれとは異なっており、後者の場合には、それは、異なる周波数で動作するか、または第1の発振器30と同種または異種の波形、例えば正弦波に対して方形波を生成することもできる。
【0012】
一実施例において、少なくとも1つの第2のコイル50は、上記の少なくとも1つの第1のコイル14と同じものである。別の実施例において、別個の少なくとも1つの第2のコイル50の磁性軸60は、図1に示すように、車両12の第3の部分52の強磁性要素に実質的に沿って配向されており、それによって、第3の磁場54は、車両12の第3の部分52の強磁性要素内部に誘発される。さらに別の態様において、少なくとも1つの第2のコイルは、少なくとも1つの第1のコイル14に対して後方に配置されている。第2の発振器58の周波数は、少なくとも1つの第2のコイル50によって生成される、対応する発振型第3の磁場54が、車両12の構造要素、例えば車両12の鋼フレームの前方部分を介して磁気的に伝達されるように、適合されている。
【0013】
磁気式衝突センサ10.2は、少なくとも1つの磁気センサ62をさらに含み、この磁気センサは、少なくとも1つの第2のコイル50から隔離されて位置し、少なくとも1つの第2のコイル50によって生成され、車両12のフレーム64を介して伝導される第3の磁場54に応答するように適合されている。例えば、図1に示すように、少なくとも1つの磁気センサ62は、左66.1および右66.2のフレームレールのそれぞれ前方部分のまわりに配置された、第3(62.1)および第4(62.2)の磁気センサを含む。別の実施例において、磁気式衝突センサの第2の態様10.2の磁気センサ62は、磁気式衝突センサの第1の態様10.1’の磁気センサ36と同一である。磁気センサ62は、磁場に応答する信号を生成し、それに限定はされないが、コイル、ホール効果センサ、または巨大磁気抵抗効果(GMR)センサを含む、様々な方法で具現することができる。例えば、磁気センサ62のコイルを、フレーム64の部分に巻きつけるか、または磁気センサ62(すなわち、コイル、ホール効果センサ、GMRセンサまたはその他の種類の磁気センサ)を、車両12のフレーム64の開口の中、またはフレームの上に配置することもできる。第1(36.1)および第2(36.2)の磁気センサは、それぞれ第1(40.1)および第2(40.2)の信号調整器/プリプロセッサ回路に動作可能に結合されており、これらの回路は、参照により本明細書に組み入れてある米国特許第6,777,927号に記載されているように、例えば、第3(62.1)および第4(62.2)の磁気センサからの関連する信号の前置増幅、フィルタリング、同期復調、およびアナログ−ディジタル変換を行う。
【0014】
第3の磁場54は、車両12のフレーム64の上述の要素を含む磁気回路68を介して伝導され、この磁気回路には、ボディまたはパワートレイン、あるいはその他の関連する構造要素、特に強磁性材料を含む要素をさらに含めてもよい。磁気式衝突センサの第2の態様10.2の応答性は、関連する磁気回路68が、非磁性材料を含む、1つまたは2つ以上の間隙を含む場合に、その間隔は、磁気式衝突センサ10.2によって検知しようとする衝突に対して応答性を有し、それによって衝突に応答性を有する磁気回路68の関連する磁気抵抗を変調する。例えば、1つまたは2つ以上の間隙70は、車両12のフレームのアルミニウムまたは構造プラスチックなどの構造的非鉄材料を含み、これが、衝突に応答して圧縮または拡張されて、磁気回路68の関連する磁気抵抗を、それぞれ減少または増加させる。
【0015】
磁気式衝突センサの第2の態様10.2は、大量の関連する非弾性変形を伴う衝突に応じた、車両12の構造への損傷の監視を行う。
図5を参照すると、車両12のフレーム64を変形させるのに十分なエネルギーの衝突物体46との衝突に応答して、関連する要素の幾何学形状における関連する変化に応答する関連する磁気回路68の抵抗における関連する変化が、第3(62.1)および第4(62.2)の磁気センサによって検知される磁場における関連する変化を生じさせ、この変化は、それらのセンサによって検知されて、結果として得られる信号が、信号調整器/プリプロセッサ回路40.1、40.2によって前処理される。そこからの信号は、プロセッサ42内の衝突検知アルゴリズムによって、例えば、閾値との比較、または基準信号または波形との比較によって処理されて、衝突、例えば十分な強度の衝突が検出される場合には、プロセッサ42は、それに応答して安全拘束アクチュエータ44を起動させる。磁気式衝突センサの第2の態様10.2の検出プロセスは、磁気式衝突センサの第1の態様10.1’による衝突の検出に応答するようにすることができる。
【0016】
一般に、安全拘束アクチュエータ44が望まれる重大衝突事故中において、重大な関連する損傷および関連する金属曲げが、フロントバンパ領域の後方の車両構造に対して、一般的に発生する。衝突物体46が、上述のように、磁気式衝突センサの第1の態様の第1の実施例10.1’によって検出された後に、車両の衝突変形(crush)ゾーンおよび衝突変形パターンは、主としてバンパ領域に限られるか、またはさらに車両まで進展し、主要車両構造部材の1つまたは2つ以上に衝撃を与える。物体押し付けが、主としてバンパまたはフード領域に限られる場合には、衝突は、おそらく磁気式衝突センサの第1の態様10.1’によってのみ検出されることになる。しかしながら、衝突物体46が、主要構造部材上を押し付ける場合には、車両12のフレーム64の変形に応答して、重大な信号変化が、磁気式衝突センサの第2の実施例10.2の、第3の磁気センサ62.1および第4の磁気センサ62.2によって検出される。
【0017】
第3の磁気センサ62.1と第4の磁気センサ62.2のいずれかからの信号(複数を含む)の特性(signature)、すなわちその信号の関連する絶対値および変化率を衝撃強度と相関づけることができるとともに、特定の衝突に適当な1つまたは2つ以上の安全拘束アクチュエータ44を作動させるのに使用することができる。したがって、組み合わせることにより、磁気式衝突センサの第1の態様10.1’および第2の態様10.2は、より高速で有効な衝突判別を行い、それによって関連する安全拘束アクチュエータ44の作動、または作動の抑制を行うことを可能にする。さらに、磁気式衝突センサの第1の態様10.1’または第2の態様10.2のいずれかの磁気回路への、衝突の影響は、それぞれの磁気センサ26、62に光の速度で伝播し、したがって、加速度計または磁気歪み検出技術の場合にはそれが当てはまるように、関連する構造要素中を衝撃波が伝播する速度によって制限されることはない。
【0018】
さらに、組み合わせることにより、磁気式衝突センサの第1の態様10.1’と第2の態様10.2は、それに限定はされないが、歩行者、その他の車両、固定物体またはその他の物体との衝突を含む、様々な種類の前面衝突を検出して区別し、それによって特定の状況に対して適切であり、かつ予測された種類の衝突物体と検出された衝撃の強度とに応じた、安全対策展開を可能にする。さらに、磁気式衝突センサの第1の態様10.1’と第2の態様10.2は、比較的迅速な衝突の検出、安全拘束アクチュエータ44の作動を要求する事象と、その作動を抑制すべきものとの間の区別、および磁気式衝突センサ10.1’、10.2の関連する磁場26、38、54に応答する、関連する磁気センサ26、62からの信号を使用して検出することのできる衝突の情報からの、衝突の場所、程度およびエネルギーの特定を行う。
【0019】
図6および図7を参照すると、側面衝突を検知するように適合された磁気式衝突センサの第1の態様の第2の実施例10.1’’によれば、少なくとも1つのコイル72および関連する少なくとも1つの磁気センサ74は、車両12のドア78の第1の部分76に動作可能に関連しており、ドア78の近接する第2の部分82と動作可能に関連するか、または少なくともその一部である、少なくとも1つの導電性要素80と、協働するように適合されている。例えば、図6、7に示す実施例において、ドア78の第1の部分76は、内板(inner skin)84を含み、少なくとも1つの導電性要素80は、ドア78の外板(outer skin)90およびドアビーム92において第1の導電性要素86および第2の導電性要素88をそれぞれ含み、外板92およびドアビーム92はドア78のそれぞれの第2の部分82を構成する。代替的に、外板90またはドアビーム90のいずれかが、導電性である場合には、それぞれ外板90またはドアビーム92とは異なる、別個の第1の導電性要素86または第2の導電性要素88を必要とすることなく、関連する導電性要素80としての役割をする
【0020】
少なくとも1つのコイル72は、導電性であって、例えば、発振器98によって生成される第1の発振信号に応答して、コイルドライバ96によって印加される電流に応答する、第1の磁場94を生成するように適合されている。少なくとも1つのコイル72の磁気軸100は、ドア78の第2の部分82の方向に向いており―例えばドア78の外板90に向かって、例えば、図6および図7に示す実施例に対しては、実質的に車両の横方向軸に沿って配向されており―その結果、第1の磁場94は、それと動作可能に関連する導電性要素86、88と相互作用して、それによってレンツの法則によってその中に渦電流102が生成される。導電性要素86、88は、それぞれ、例えば、比較的導電性の高い常磁性または反磁性の材料、例えば、アルミニウムまたは銅などのいずれかを含む、薄い金属シート、フィルムまたは被覆を含み、これは、例えば、ドア78の第2の部分82の一体化部分とすることもできる。例えば、導電性要素86、88は、ドアビーム92と関連する既存または補助用の構造およびドア78の外板90の内面に、装着、被着、またはそれと一体化させた、比較的薄い板、フィルムまたは被覆の形態にすることもできる。発振器98の周波数は、少なくとも1つのコイル72によって生成される、対応する発振型磁場が、導電性要素86、88内での関連する渦電流102の生成をもたらすとともに、ドア78の強磁性要素および車両12の近接構造を通過して磁気的に導通されるように適合されている。
【0021】
少なくとも1つの磁気センサ74は、少なくとも1つのコイル72と離隔されて配置されて、少なくとも1つのコイル72によって生成される第1の磁場94に応答性を有するとともに、第1の磁場94に応答して、導電性要素86、88の中の渦電流102によって生成される第2の磁場104に応答性を有するように適合されている。例えば、少なくとも1つの磁気センサ74の検知軸は、少なくとも1つのコイル72の磁気軸100と実質的に同じ方向を向いている。磁気センサ74は、磁場に応答して信号を生成するものであり、様々な方法、例えば、それに限定はされないが、コイル、ホール効果センサ、または巨大磁気抵抗効果(GMR)センサなどとして、具現化することができる。磁気センサ74の数およびドア78の内板84上での、その間隔および配置は、車両12、必要とされる性能の種類、および関連するコスト制約によって決まる。一般に、より多数の磁気センサ74は、より高い解像度とより速い検出速度をもたらすことができるが、システムコストは高くなる。2つ以上の磁気センサ74間の垂直または前/後の空隙のいずれかを増大させると、第1の磁場94との関連する結合が減少し、第2の磁場104との結合を増大させ、衝突時の導電性要素の移動について、より全般的または平均的な指示が得られ、場合によっては最終検出応答を遅らせるが、誤許可型の(false positive)衝突検出への不感受性、すなわち非衝突事象に対する不感受性を増大させる。1つのコイル72および1つの磁気センサ74を用いると、それらの間隔を、ドア78内部の空隙を通る主対角線の長さの約1/4から1/3にすることができるという利点がある。
【0022】
少なくとも1つの磁気センサ74は、それぞれの信号調整器/プリプロセッサ回路106に動作可能に結合され、この回路は、例えば、参照により本明細書に組み入れてある米国特許第6,777,927号に記載されているような、少なくとも1つの磁気センサ74からの関連する信号の、例えば前置増幅、フィルタリング、同期変調、およびアナログ−ディジタル変換を行う。信号調整器/プリプロセッサ回路106はプロセッサ108に動作可能に結合されており、このプロセッサ108は、そこからの信号を処理し、それによって衝突を区別し、それに動作可能に結合された関連する安全拘束アクチュエータ、例えばサイドエアバッグインフレータを制御する。
【0023】
動作に際して、磁気式衝突センサ10.1’’は、例えば、車両12の側面衝突に応答するドア78のつぶれまたは曲がりによって生じるような、ドア78の内板84を基準とする、外板90またはドアビーム92のいずれかの相対移動の尺度を提供する。非衝突状態の間には、第1の磁場94と第2の磁場104との結合から生じる、発振型磁場が、少なくとも1つの磁気センサ74によって検出されることになる。物体が、ドア78の外板90に衝突して、それの物理的たわみを生じる場合に、この発振型磁場は、関連する第1の導電性要素86の移動または変形によって生じる第2磁場104における変化によって、およびその中の関連する渦電流102における関連する変化によって、少なくとも部分的に乱される(perturbed)。衝撃が十分な強度である場合には、ドアビーム92および関連する第2の導電性要素88も移動または変形することになり、第2の導電性要素88および対応する第2の磁場104における、関連する渦電流102の追加的でかつより大きな変化が生じることになる。一般的に、ドア78の外板90には関連する大きな変形が発生する可能性があるにもかかわらず、ドアビーム92および関連する第2の導電性要素88は、関連する安全拘束アクチュエータ110の展開を保証するのに十分な強度ではない衝撃時によって、乱されることがない。したがって、単一の導電性要素80だけを組み込む磁気式衝突センサ10.1’’においては、その好ましい場所は、上述の第2の導電性要素88の場所である。
【0024】
別の態様によれば、関連する衝突が発生したことの別個の確認を与えることによって信頼性を向上させる目的で、加速度計112、または別の衝突センサを、上述の磁気式衝突センサ10.1’’と併用することも可能であり、これは、衝突事象の比較的早期において―例えば、Bピラーを中心とするポール衝突、またはドア78の全幅にわたり、かつそれを越えて広がる幅広のバリヤ型衝突の結果として―ドア78の外板90、またはドアビーム92の大きなたわみがない衝突において有用である場合があり、それに対して、磁気式衝突センサ10.1’’は、単独で使用する場合には、そうではなく衝突事象の検出の遅れを生ずる可能性がある。例えば、補助加速度計112は、車両12のBピラーの基部に配置してもよい。別の例として、追加の補助加速度計112を、安全拘束アクチュエータ110に近接して配置してもよい。磁気式衝突センサ10.1’’が、別個の衝突センサ、例えば加速度計112で補足されるシステムにおいては、加速度が比較的低い閾値を超えるのと合わせて、磁気式衝突センサ10.1’’が磁場における大きく、かつ比較的迅速な変化を検出した場合、または磁気式衝突センサ10.1’’が少なくとも比較的小さく、かつ比較的低速の変化を検出するのと合わせて、加速度計112が加速度の大きく、かつ迅速な変化を検出した場合に、安全拘束アクチュエータ110が展開されることになる。
【0025】
ここで理解すべきことは、磁場を生成または検知することのいずれかのために使用されるコイルの性能は、比較的高透磁率の関連する磁心を組み込むことによって向上させることができることである。さらに、少なくとも1つの第1のコイル14、第2のコイル50またはコイル72に加える信号を、直流信号として、定常磁場を生成することもできることを理解すべきである。別の方法として、それらのコイルは、対応する永久磁石で置換し、それによって、関連する磁気式衝突センサ10.1’、10.1’’または10.2は、関連する衝突に応答する磁場における過渡事象に、応答性を有することになる。さらに、ここで理解すべきことは、第1の発振器20、第2の発振器58または発振器98の具体的な発振波形は、限定的ではなく、例えば、ステップ状または連続的に変化する単一周波数、または複数周波数の正弦波、方形波、鋸歯波、またはその他の波形とすることもできる。
【0026】
図8を参照すると、磁気式衝突センサの第1の態様の第3の実施例10.1’’’は、車両12に組み込まれて、車両12の第1の部分16と動作可能に関連する、少なくとも1つの第1のコイル14と、車両12の近接第2の部分20に動作可能に関連するか、または少なくともその一部である、導電性要素18とを含む。例えば、磁気式衝突センサの第1の態様の第3の実施例10.1’’’は、前面衝突を検知するように適合されており、車両12の第1の部分16は、フロントクロスビーム22を含む状態で示してあり―少なくとも1つの第1のコイル14は、その中央部分に近接して位置し、例えばそれに装着されており―車両の第2の部分20は、フロントバンパ24を含む状態で示してある。少なくとも1つの第1のコイル14は、導電性であり、第1の発振器30によって生成される第1の発振信号に応答して、例えば、第1のコイルドライバ28によって印加される電流に応答して、第1の磁場26を生成するように適合されている。
【0027】
少なくとも1つの第1のコイル14の磁気軸32は、車両12の第2の部分20の方向に向いており―例えば、図8に示す態様に対しては、実質的に車両12の縦方向軸に沿っており―それによって第1の磁場26が、それと動作可能に関連する導電性要素18と相互作用し、それによってレンツの法則に基づいてそこに渦電流34が生成される。導電性要素18は、例えば、比較的導電性の高い常磁性または反磁性の材料、例えば、アルミニウムまたは銅などのいずれかを含む、薄い金属シート、フィルムまたは被覆を含み、これは、例えば、ドア78の第2の部分20の一体化部分とすることもできる。例えば、導電性要素18は、フロントバンパ24の後面上に噴霧被覆することもできる。第1発振器30の周波数は、少なくとも1つの第1のコイル14によって生成される対応する発振型磁場26が、導電性要素18内で関連する渦電流34を生成するように適合されている。
【0028】
少なくとも1つの第1のコイル14は、信号調整器/プリプロセッサ回路114.1に動作可能に結合され、この回路は、少なくとも1つの第1のコイル14からの関連する信号の、例えば、前置増幅、フィルタリング、同期変調およびディジタル−アナログ変換を行う。信号調整器/プリプロセッサ回路114.1は、プロセッサ116に動作可能に結合されており、このプロセッサは、それからの信号を処理し、それによって衝突の区別、およびそれに動作可能に結合された、関連する安全拘束アクチュエータ44―例えば、前面エアバッグインフレータ、またはシートベルトプリテンショナ―の制御を行う。より具体的には、プロセッサ116は、関連する発振器30によってそれに印加される信号に関して、例えば、少なくとも1つの第1のコイル14からの信号の複素絶対値の分析に応答して、少なくとも1つの第1のコイル14の自己イピーダンスに応答する尺度の特定を行う。
【0029】
導電性要素18を変形させるのに十分なエネルギーの、(例えば、図3に示すような)衝突物体46との衝突に応答して、少なくとも1つの第1のコイル14に対しての、導電性要素18の形状または配置の変化は、少なくとも1つの第1のコイル14に影響を与える磁場に対して、影響を与える。結果としての信号は、信号調整器/プリプロセッサ回路114.1によって事前処理されて、この回路は、少なくとも1つの第1のコイル14の全域の信号の計測を行うとともに、関連するコイルドライバ28によってそれに加えられる信号の計測を行う。信号調整器/プリプロセッサ回路114.1は―単独またはプロセッサ116との併用において―例えば、関連するコイルドライバ28によって加えられる信号を位相基準として使用して、少なくとも1つの第1のコイル14からの信号を、実部と虚部に分割する。
【0030】
信号を対応する実部と虚部に分解することは、当該技術においてよく知られており、アナログ回路、ディジタル回路、またはソフトウエアあるいはそれらの組合せによって達成することができる。例えば、参照によりその全文を本明細書に組み入れてある米国特許第4,630,229号、第6,005,392号、および第6,288,536号は、それぞれ、少なくとも1つの第1のコイル14からの信号を処理するのに使用することのできる、信号の実部および虚部を実時間で計算するための、様々なシステムおよび方法を開示している。例えば、信号調整器/プリプロセッサ回路114.1に組み込まれている、マックスウエル−ウィーンブリッジ(Maxwell-Wien bridge)を、信号の実部および虚部を求めるのに使用してもよく、または位相ロックループを使用して、対応する信号源に対する信号の相対位相を求めてもよく、次いで、これによって、関連する実部および虚部が求められる。現場渦電流検査から知られている様々な技法も、参照により本明細書に組み入れてあるインターネットウエブページ、http://www.ndted.org/EducationResources/CommunityCollege/EddyCurrents/cc_ec_index.htmに開示されているように、少なくとも1つの第1のコイル14からの信号の処理に使用することができる。
【0031】
少なくとも1つの第1のコイル14の自己イピーダンスに応答する信号―例えば、前記1つの第1のコイル14からの信号の実部および虚部に応答する信号―が、プロセッサ116内の衝突検知アルゴリズムによって―例えば、閾値または基準信号もしくは波形によって比較することによって―処理されて、衝突、例えば十分な強度の衝突がそれによって検出されると、プロセッサ42は、それに応答して安全拘束アクチュエータ44を起動するか、または第2の衝突センサからの第2の確認信号に応答して、その起動を行う。
【0032】
そして、図8を参照すると、参照により本明細書に組み入れてある米国特許第6,587,048号の教示に関して、車両1に組み込まれた磁気式衝突センサの第2の態様の第2の実施例10.2’は、車両12の第3の部分52と動作可能に関連する少なくとも1つの第2のコイル50を含み、ここで、第3の部分52は、上述の第1の部分16に近接するか、または別の場所とすることができる。例えば、磁気式衝突センサの第2の態様10.2は、前面衝突を検知するように適合されているように図示してあるが、車両12の第3の部分52は、フロントクロスビーム22を含んで図示してあり、第2のコイル50は、その中央部分に位置して、例えば、フロントクロスビーム22のまわりに配置される。第2のコイル50は、導電性であり、例えば、第2の発振器58によって生成される第2の発信信号に応答して、第2のコイルドライバ56によって流される電流に応答して、第3の磁場54を生成するように適合されている。例えば、第2の発振器58は、第1の発振器30と同一であっても、異なっていてもいずれでもよく、後者の場合には、異なる周波数で動作するか、または第1の発振器30と同種、または異種の波形、例えば、正弦波に対して方形波を、生成してもよい。
【0033】
一実施例において、少なくとも1つの第2のコイル50は、上記少なくとも1つの第1のコイル14と同一である。別の態様においては、別個の少なくとも1つの第2のコイル50の磁気軸60は、図8に示すように、車両12の第3の部分52の強磁性要素に実質的に沿って配向されており、それによって、第3の磁場54は、車両12の第3の部分52の強磁性要素内部に誘発される。さらに別の態様においては、少なくとも1つの第2のコイル50は、少なくとも1つの第1のコイル14に対して後方に配置される。第2の発振器58は、少なくとも1つの第2のコイル50によって生成される、対応する発振型第3の磁場54が、車両12の構造要素、例えば、車両12の鋼フレームの前方部分を介して、磁気的に導通される。
【0034】
少なくとも1つの第3のコイル50は、信号調整器/プリプロセッサ回路114.2に動作可能に結合され、この回路は、例えば、少なくとも1つの第2のコイル50からの関連する信号の、前置増幅、フィルタリング、同期変調、およびアナログ−ディジタル変換を行う。信号調整器/プリプロセッサ回路114.2はプロセッサ116に動作可能に結合されて、このプロセッサ116は、その回路からの信号を処理し、それによって衝突の判別を行うとともに、それに動作可能に結合されている関連する安全拘束アクチュエータ44―例えば、前面エアバッグインフレータまたはシートベルトプリテンショナ―の制御を行う。より具体的には、プロセッサ116は、例えば、関連する発振器58がそれに印加する信号と関係して、少なくとも1つの第2のコイル50からの信号の複素数絶対値の分析に応じて、少なくとも1つの第2のコイル50の自己イピーダンスに対応する尺度の特定を行う。
【0035】
第3の磁場54は、車両12のフレーム64の上記の要素を含む、磁気回路68を介して導通され、この回路には、ボディまたはパワートレイン、あるいはその他の関連する構造要素、特に強磁性材料を含む要素をさらに含めてもよい。磁気式衝突センサの第2の態様10.2’の応答性の向上は、関連する磁気回路が非磁性材料を含む、1つまたは2つ以上の間隙70を含む場合に、可能であり、その間隔は、磁気式衝突センサ10.2’によって検知されるべき衝突に応答し、それによって、衝突に応答して、磁気回路68の関連する磁気抵抗を変調する。例えば、1つまたは複数の間隙70には、構造的非鉄材料、例えば、アルミニウムまたは車両12のフレーム64の構造プラスチックを含めて、これが衝突に応答して、圧縮されるか、または延伸されて、磁気回路68の関連する磁気抵抗を、それぞれ減少または増加させるように適合させてもよい。
【0036】
信号調整器/プリプロセッサ回路114.2は、少なくとも1つの第2のコイル50の両端の信号の計測、および関連するコイルドライバ56によってそれに加えられる信号の計測を行う。信号調整器/プリプロセッサ回路114.2は―単独、またはプロセッサ116との併用で―例えば、関連するコイルドライバ58によって加えられる信号を位相基準として使用して、少なくとも1つの第2のコイル50からの信号の実部と虚部への分解を行う。
少なくとも1つの第2のコイル50の自己イピーダンスに応答する―例えば、1つの第2のコイル50からの信号の実部および虚部に応答する―信号がプロセッサ116内の衝突検知アルゴリズムによって―例えば、閾値または基準信号または波形と比較することによって―処理されて、衝突、例えば十分な強度の衝突がそれによって検出されると、プロセッサ42は、それに応答しての安全拘束アクチュエータ44の起動を行うか、または第2の衝突センサからの第2の確認信号に応答してその起動を行う。
【0037】
磁気式衝突センサの第1の態様の第3の実施例10.1’’’および磁気式衝突センサの第2の態様の第2の実施例10.2’は、図8に示すように、集合的に使用することも、またはいずれかの実施例を単独で使用することも可能である。特定の実施例について詳細に説明したが、当業者であれば、本開示の全体的教示を参照すると、様々な修正および変更を創出できることを理解するであろう。
したがって、開示した特定の配設は、説明のためだけものであり、本発明の範囲に関して限定的ものではなく、本発明には、添付のクレームおよびそのすべての均等物の全範囲が与えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】車両内の磁気式衝突センサを示す概略ブロック図である。
【図2】車両が外乱を受けない状態での、磁気式衝突センサの第1の態様の第1の実施例を示す図である。
【図3】車両が衝突に応答して外乱を受けた状態での、磁気式衝突センサの第1の態様の第1の実施例を示す図である。
【図4】車両が外乱を受けない状態での、磁気式衝突センサの第2の態様を示す図である。
【図5】車両が衝突に応答して外乱を受けた状態での、磁気式衝突センサの第2の態様を示す図である。
【図6】ドアの端面断面を示す、車両のドア内の磁気式衝突センサの第1の態様の第2の実施例を示す図である。
【図7】ドアの上面断面を示す、車両のドア内の磁気式衝突センサの第1の態様の第2の実施例を示す図である。
【図8】磁気式衝突センサの第1の態様の第3の実施例および磁気式衝突センサの第2の態様の第2の実施例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.車両の第1の部分と動作可能に関係する、少なくとも1つの第1のコイル;
b.前記少なくとも1つの第1のコイルと動作可能に関連する第1の信号源であって、該第1の信号源からの第1の信号が、前記少なくとも1つの第1のコイルと動作可能に結合されて、それによって前記少なくとも1つの第1のコイルに第1の磁場を生成させる、前記第1の信号源;
c.前記車両の第2の部分と動作可能に関連するか、または少なくともその一部である、少なくとも1つの導電性要素であって、前記少なくとも1つの第1のコイルによって生成される前記第1の磁場によって、少なくとも1つの渦電流がその中に誘発するように配置された、前記少なくとも1つの導電性要素;および
d.前記第1の磁場によって前記少なくとも1つの導電性要素に誘発される前記少なくとも1つの渦電流による影響に応答する、前記少なくとも1つの第1のコイルからの前記第1の磁場に応答して、第2の信号を生成するように適合された少なくとも1つの第1の磁気センサ;を含む磁気式衝突センサ。
【請求項2】
車両の第1の部分が、前記車両のフロントクロスビームを含む、請求項1に記載の磁気式衝突センサ。
【請求項3】
少なくとも1つの第1のコイルが、車両のフロントクロスビームの中央部分に近接して位置する、請求項2に記載の磁気式衝突センサ。
【請求項4】
信号源が第1の発振器を含む、請求項1に記載の磁気式衝突センサ。
【請求項5】
少なくとも1つの導電性要素が、比較的導電性の高い常磁性材料または反磁性材料の金属シート、フィルム、または被覆を含む、請求項1に記載の磁気式衝突センサ。
【請求項6】
少なくとも1つの導電性要素が、衝突に応じて変形を受ける車両の部分に動作可能に結合されるか、またはその一部である、請求項1に記載の磁気式衝突センサ。
【請求項7】
少なくとも1つの導電性要素が、車両のバンパに動作可能に結合されているか、または少なくともその一部である、請求項6に記載の磁気式衝突センサ。
【請求項8】
少なくとも1つの第1の磁気センサが、対応する少なくとも1つの第1のコイルを含み、第2の信号が、前記対応する少なくとも1つの第1のコイルの自己インピーダンスに応答性を有する、請求項1に記載の磁気式衝突センサ。
【請求項9】
少なくとも1つの第1の磁気センサが、コイル、ホール効果センサまたは巨大磁気抵抗効果(GMR)センサを含む、請求項1に記載の磁気式衝突センサ。
【請求項10】
少なくとも1つの第1の磁気センサが、少なくとも1つの第1のコイルから変位している、請求項1に記載の磁気式衝突センサ。
【請求項11】
少なくとも1つの第1の磁気センサが、少なくとも1つの第1のコイルに対して比較的距離の離れた、複数の第1の磁気センサを含む、請求項10に記載の磁気式衝突センサ。
【請求項12】
安全拘束システムをさらに含み、前記安全拘束システムが、少なくとも1つの第1の磁気センサからの信号に応答して作動される、請求項1に記載の磁気式衝突センサ。
【請求項13】
a.車両の第3の部分と動作可能に関連する少なくとも1つの第2のコイル;
b.少なくとも1つの第2のコイルと動作可能に関連する第2の信号源であって、それからの第2の信号が、前記少なくとも1つの第2のコイルと動作可能に結合されており、それによって前記少なくとも1つの第2のコイルが、前記車両のフレーム内に第2の磁場を生成するようにした、前記第2の信号源;および
c.前記車両の前記フレーム内の前記第2の磁場に応答して、第2の信号を生成するように適合された、少なくとも1つの第2の磁気センサ;をさらに含む、請求項1に記載の磁気式衝突センサ。
【請求項14】
第2の信号が、第1の信号と異なる、請求項13に記載の磁気式衝突センサ。
【請求項15】
安全拘束システムをさらに含み、前記安全拘束システムは、少なくとも1つの第1の磁気センサからの信号に応答して作動され、前記安全拘束システムは、少なくとも1つの第2の磁気センサに応答して作動され、かつ前記少なくとも1つの第1の磁気センサからの前記信号は、前記少なくとも1つの第2の磁気センサからの前記信号に対するフェールセーフを提供するのに使用される、請求項13に記載の磁気式衝突センサ。
【請求項16】
少なくとも1つの第1のコイルは、車両のドアの第1の部分と動作可能に関連しており、少なくとも1つの導電性要素は、前記車両の前記ドアの第2の部分と動作可能に関連するか、または少なくともその一部である、請求項6に記載の磁気式衝突センサ。
【請求項17】
少なくとも1つの導電性要素は、車両のドアの外板と動作可能に関連するか、または少なくともその一部である、請求項16に記載の磁気式衝突センサ。
【請求項18】
少なくとも1つの導電性要素は、車両のドアのドアビームと動作可能に関連するか、または少なくともその一部である、請求項17に記載の磁気式衝突センサ。
【請求項19】
少なくとも1つの導電性要素は、車両のドアのドアビームと動作可能に関連するか、または少なくともその一部である、請求項16に記載の磁気式衝突センサ。
【請求項20】
車両に動作可能に結合された少なくとも1つの加速度計をさらに含み、衝突の検出が、少なくとも1つの第1の磁気センサからの信号に応答するとともに、前記加速度計からの信号に応答する、請求項16に記載の磁気式衝突センサ。
【請求項21】
加速度計は、車両のドアに近接する車両の構造要素に動作可能に結合されている、請求項20に記載の磁気式衝突センサ。
【請求項22】
a.車両の第3の部分と動作可能に関連する少なくとも1つの第2のコイル;
b.前記少なくとも1つの第2のコイルと動作可能に関連する第2の信号源であって、そこからの第2の信号が、前記少なくとも1つの第2のコイルと動作可能に結合されて、それによって前記少なくとも1つの第2のコイルに、車両のフレーム内に第2の磁場を生成させる、前記第2の信号源;
c.前記車両の前記フレーム内の前記第2の磁場に応答して第2の信号を生成するように適合された少なくとも1つの第2の磁気センサ;を含み、
前記車両の前記フレームは、前記フレームの磁気回路と直列に、少なくとも1つの実質的に非磁性の要素を含み、この実質的に非磁性の構造要素は、衝突に応答して変形を受け、前記実質的に非磁性の要素の変形は、前記フレームの前記磁気回路の磁気抵抗に影響を与え、さらに前記フレームの前記磁気回路の前記磁気抵抗は、前記少なくとも1つの第2の磁気センサによって検知される第2の磁場に影響を与える、磁気式衝突センサ。
【請求項23】
車両の第3の部分は、車両のフロントクロスビームを含み、少なくとも1つの第2のコイルは、前記車両の前記フロントクロスビームのまわりに位置する、請求項22に記載の磁気式衝突センサ。
【請求項24】
信号源は、第2の発振器を含む、請求項22に記載の磁気式衝突センサ。
【請求項25】
少なくとも1つの第2の磁気センサは、対応する少なくとも1つの第2のコイルを含み、第2の信号は、前記対応する少なくとも1つの前記第2のコイルの自己インピーダンスに応答する、請求項22に記載の磁気式衝突センサ。
【請求項26】
少なくとも1つの第2の磁気センサは、コイル、ホール効果センサまたは巨大磁気抵抗効果(GMR)センサを含む、請求項22に記載の磁気式衝突センサ。
【請求項27】
少なくとも1つの第2の磁気センサは、少なくとも1つの第2のコイルから変位している、請求項22に記載の磁気式衝突センサ。
【請求項28】
少なくとも1つの第2の磁気センサは、車両のフレームの少なくとも1つのサイドレールと動作可能に関連している、請求項22に記載の磁気式衝突センサ。
【請求項29】
安全拘束システムをさらに含み、該安全拘束システムは、少なくとも1つの第2の磁気センサからの信号に応答して作動される、請求項22に記載の磁気式衝突センサ。
【請求項30】
a.車両内に少なくとも1つの磁場を生成すること;
b.少なくとも1つの導電性要素を、衝突を受ける車両の部分と動作可能に関連させること;
c.前記少なくとも1つの磁場に応答して、前記導電性要素内に少なくとも1つの渦電流を生成すること;および
d.前記少なくとも1つの渦電流に応答する磁場を検知すること、を含む衝突の検知方法。
【請求項31】
a.車両内に少なくとも1つの磁場の生成を準備すること;
b.前記車両の前記フレーム内にあって、前記車両の前記フレームの少なくとも一部を含む磁気回路に沿って延びる前記少なくとも1つの磁場の検知を準備すること;および
c.前記車両の前記フレームを、前記磁気回路の磁気抵抗が衝突に応答するように適合させること;を含む、衝突の検知を準備する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−511742(P2007−511742A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527128(P2006−527128)
【出願日】平成16年9月20日(2004.9.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/030840
【国際公開番号】WO2005/028254
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(399042247)オートモーティブ システムズ ラボラトリー インコーポレーテッド (28)
【Fターム(参考)】