説明

磁気浮上装置

【課題】 磁気浮上装置において、磁石ユニットと浮上体間の空隙長を大きく設定でき、電力消費量を低減するとともに、様々な方向の外乱に対して浮上体の位置変動の抑制が図れる磁気浮上装置を提供することにある。
【解決手段】 電磁石と永久磁石で構成される磁石ユニット22を対向配置するように磁石取付け部28に取付け、当該磁石取付け部28をサスペンション30を介して一軸に対して可動とするとともに、制御装置46により磁石ユニット22から鉄製円環48にゼロパワー制御に基づく電磁力を作用させて、この電磁力で浮上体11を磁気浮上させることにより、外力に対する浮上体11の位置変動と非接触支持に必要な電力消費量の増加を抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁石の磁気力で浮上体を非接触で支持する装置に関し、なかでも電磁石励磁電流を低減するとともに、浮上体の位置変動を抑制する磁気浮上装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転体を非接触支持する手段として磁気軸受が広く使用されている。通常、磁気軸受は、回転するロータの回転軸に直交する動きを非接触支持するラジアル軸受と回転軸に平行な動きを非接触支持するスラスト軸受で構成される。すべての運動の自由度で浮上体としてのロータの運動を安定化するため、いずれかの軸受に励磁電流により電磁石の吸引力を制御する常電導吸引式磁気浮上方式が適用されるのが一般的である。
【0003】
外乱により生じるロータの位置偏差を電磁石の吸引力で抑制する場合、できるだけ小さな電磁石で十分な吸引力を得るためにロータと電磁石間の空隙長が極めて小さく設定される。電磁石とロータ間の空隙を渦電流式等の非接触ギャップセンサで検出し、検出された空隙長にもとづいて電磁石の吸引力を制御することで外乱に対するロータの変位を極めて小さくすることができる。
【0004】
このようにして磁気軸受ではロータが非接触支持されるが、特殊な環境、たとえば、真空中でロータを回転させる場合には、磁気軸受全体を真空中に置くと、放熱効果が期待できず、外乱が大きい場合には電磁石が加熱することになる。また、キャンドポンプのように液中でインペラとしてロータを回転させる場合には、磁気軸受全体を液中に置くと、インペラの回転によって生じた液体の流れを電磁石が乱すため、ポンプの効率が著しく低下する。
【0005】
このような場合では、浮上体であるロータを真空容器内やパイプ内に配置し、これら電磁石と浮上体を隔離する隔離手段の外側に電磁石を配置してロータを非接触支持することが考えられる。しかし、電磁石を容器やパイプの外に配置すると、ロータと電磁石間の空隙長が広くなり、ロータを支持するのに十分な電磁力を得るには電磁石の大型化が避けられないという問題があった。さらに、電磁石励磁電流を増大させて大きな電磁力を得ることも可能であるが、この場合には電磁石コイルの抵抗損が大きくなり、磁気軸受の電力消費が増大するとともに発熱量も増加するという問題がある。
【0006】
少ない電力消費で吸引式磁気浮上を行なう場合、永久磁石と電磁石で磁石ユニットを構成し、永久磁石に起因する主磁束と電磁石に起因する主磁束の磁気回路が浮上体と磁石ユニット間の空隙で共通の磁路を形成するように磁石ユニットと浮上体を配置して、浮上状態の安定性を維持しながら電磁石励磁電流をゼロに収束させるいわゆるゼロパワー制御を適用すればよい。例えば、特許文献1参照)。この構成によれば、浮上体と磁石ユニット間の空隙長が大きい場合でもわずかな電磁石励磁電流で大きな電磁力を制御することができ、たとえばエレベータの乗りかごを非接触で案内することが可能となる(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
このように、電磁石と永久磁石で構成された磁石ユニットと浮上体で磁気軸受を構成してゼロパワー制御を適用すると、大きな空隙でロータを非接触支持することができる。このため、非磁性体で作られた容器内やパイプ内に置かれたロータをこれら隔離手段の外側にある磁石ユニットで非接触支持することも可能となる。
【0008】
しかし、こうした場合でも、ロータに定常外乱としての外力が作用する場合では、容器やパイプとロータ間の空隙を一定に保つことが困難になる。セロパワー制御でも、ロータに定常的な外力が作用すると磁石ユニットはその大きさに釣合うような電磁力を発生する。しかし、電磁石励磁電流が常にゼロに収束するように磁気浮上制御が行なわれるため、電磁石励磁電流がゼロに収束する結果としてギャップ長が変動して所定値に収束することになる。つまり、外力が大きくなればロータの変位量が増大する。このため、外力が大きい場合には、ロータが容器やパイプに接触することになる。
【0009】
ゼロパワー制御適用時の浮上体の位置変動を抑制するには、磁石ユニットの位置調整機能を有する磁石支持手段と浮上体の絶対位置検出手段により、浮上体の絶対を検出してその変動を打ち消すように磁石ユニットを動かせばよい(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭61−102105号公報
【特許文献2】特願平11−192224号公報
【特許文献3】特願平6−223788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来の磁気浮上装置のように、浮上体の高さを一定に保ちながら鋼板を非接触で搬送する装置が開示されているが、小型のキャンドポンプや軸流ポンプに磁気軸受を用いる場合、これらのポンプは様々な箇所に取付けられるため、ロータに作用する自重の方向は様々に変化する。このように、様々な方向からロータに外乱が作用する磁気軸受にあっては、浮上体の高さを一定に保つような装置では、軸受の取付け姿勢の変化に対してロータと容器内壁もしくはパイプ内壁間の空隙長を一定に維持することができないという問題があった。
【0012】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、様々な方向の外乱に対して浮上体の位置変動の抑制が図れる磁気浮上装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記を解決するために、本発明による磁気浮上装置は、強磁性体を備えた浮上体と、前記浮上体の外周側に空隙を介するとともに対向して設置される電磁石を備えた複数の磁石ユニットと、前記浮上体の外周側に配置した複数の前記磁石ユニットを固定する磁石取付け部と、前記浮上体と前記磁石取付け部の外周側に設置されるフレーム状の基台と、前記基台と前記磁石取付け部間において、前記基台と前記磁石ユニット間の距離の調整機能を有する磁石支持手段と、前記磁石ユニットに接続され、前記電磁石に流れる電流を制御する制御部とを有し、前記制御部は、前記電磁石に流れる励磁電流を、ゼロに収束させることにより、前記浮上体と前記磁石ユニットの非接触支持状態を維持するとともに、前記基台と前記浮上体の距離を所定の値に収束させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の磁気浮上装置によれば、浮上体の磁気浮上にゼロパワー制御を適用しても、様々な方向の外乱に対して浮上体の絶対位置を所定値に維持することができるので、容器やパイプ等の内側に浮上体を配置してもこれらの内壁に浮上体が接触することがない。このため、装置が破損しにくく、装置の信頼性向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態の磁気浮上装置の概略図。
【図2】本発明の第1の実施形態の引力とギャップ長の関係を示すパターン図。
【図3】本発明の第1の実施形態の磁気浮上装置の一部を切り欠いた斜視図。
【図4】本発明の第1の実施形態の縦方向支持装置の斜視図。
【図5】本発明の第1の実施形態の横方向支持装置の斜視図。
【図6】本発明の第1の実施形態の浮上体の一部を切り欠いた斜視図。
【図7】本発明の第1の実施形態の誘導電動機の一部を切り欠いた斜視図。
【図8】本発明の第1の実施形態の制御ブロック図。
【図9】本発明の第1の実施形態のモード制御電圧演算器のブロック図。
【図10】本発明の第2の実施の形態の磁気浮上装置の一部を切り欠いた斜視図。
【図11】本発明の第2の実施形態のリニア同期モータの一部を切り欠いた斜視図。
【図12】本発明の第2の実施形態のリニア同期モータの一部を切り欠いた断面図。
【図13】本発明の第3の実施形態の磁気浮上装置の平面図。
【図14】図13のX−X’線に沿った磁気浮上装置の断面図。
【図15】図13のY−Y’線に沿った磁気浮上装置の断面図。
【図16】本発明の第3の実施形態の推力制御のブロック図。
【図17】本発明の第3の実施形態の推力演算器のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、ゼロパワー制御で非接触支持される浮上体の絶対位置を所定値に維持できる本発明の原理について説明する。
【0017】
図1に示すように永久磁石1と電磁石2で構成される磁石ユニット3、4を同極同士が対向するように磁石取付け部5に取付け、浮上体6を磁石ユニット3、4間に配置する。ここで、浮上体6はたとえば鉄の円環である。浮上体6には、各磁石ユニットの発生する磁束φにより吸引力が作用する。電磁石励磁電流がゼロの場合、浮上体6に作用するこれらの吸引力の和は、下側の磁石ユニット3と浮上体6間の空隙長を横軸、上方向(z方向)の吸引力を縦軸正方向として図2に実線で示されている。また、磁石ユニット3、4の個々の吸引力が点線で示されている。このように2つの磁石ユニット3、4で浮上体を引き付け合うと、図2から明らかなように、空隙長にほぼ比例する大きさの電磁力が浮上体に作用する。一般に、吸引式磁気浮上装置で浮上体を安定に浮上させる制御装置は線形制御理論を適用して設計されるため、空隙長と吸引力の関係に図2の実線のような線形性が表われていると安定した浮上状態が維持できる空隙長の範囲を大きくすることができる。
【0018】
磁石取付け部5は、磁石ユニット3、4を搭載したまま、ばね7、ダンパ8を介して上下に可動な状態で基台9に取付けられているとする。
【0019】
また、磁石ユニット3、4の各電磁石2は、磁石ユニット3の吸引力が増大する励磁電流で磁石ユニット4の吸引力が減少するように直列に接続されており、この場合の励磁電流をizとする。
【0020】
基台9から磁石取付け部5までの距離をzL、磁石ユニット3から浮上体6までの距離をzとして、浮上体6がゼロパワー制御で安定に浮上している場合を考える。zがz0、zLがzL0、izがゼロの図1の状態で、この浮上体6に外力uzが加わった時の浮上体6および磁石取付け部5の運動方程式はばね7のばね定数をk、ダンパ8の速度抵抗をγとして次のように線形化できる。
【0021】
(数1)
ここで、Fzは定常状態において浮上体が磁石ユニット3、4から受ける電磁力の総和、Δは微小変動分、uLは磁石取付け部5に加わる外力、mは浮上体6の質量、Mは磁石取付け部5およびこれに取付けられた部品の総質量、 はFzの定常浮上状態におけるzに関する偏微分値でいわゆる磁気ばね定数、 はFzの定常浮上状態におけるizに関する偏微分値、記号・は1階の時間微分演算子である。
【0022】
uLをゼロとし、外乱uzが印加された場合、浮上体6の定常浮上状態における位置変動はΔz+ΔzLである。浮上体6の磁気浮上にゼロパワー制御が適用されているので、定常浮上状態でΔizはゼロとなる。(数1)より時間に関する微分項をゼロとして、


であるから、Δz+ΔzLは、
(数2)
と計算できる。
【0023】
(数2)はばね7のばね定数kを磁気ばね定数に一致させると、定常的な外乱に対して浮上体6の絶対位置が変動しないことを示している。
【0024】
このように、空隙長を大きく設定した磁気浮上装置にゼロパワー制御を適用しても、基台と磁石ユニット間の距離を調節できる磁石支持手段により電力消費の低減と浮上体の位置変動の抑制が可能となる。
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0026】
(第一の実施の形態)(請求項1乃至4、8乃至10、12対応)
図3乃至図7には第1の実施の形態における磁気浮上装置が全体として10で示されている。磁気浮上装置10は、浮上体11をz方向(上下方向)に支持する2つの縦方向支持装置12と浮上体11をy方向(左右方向)に支持する2の横方向支持装置13で構成されている。
【0027】
図3に示すように、浮上体11は、少なくとも当該装置10で非接触支持される範囲が、たとえば高分子材料のような非磁性・非導電性の部材で構成されたパイプ14の内側に配置されている。また、パイプ14は図示していない所定の支持方法で当該磁気浮上装置と同じ床面に取付けられている。
【0028】
図4に示すように、縦方向支持装置12は、図示していない床面に所定の方法で固定された基台16、永久磁石18と電磁石20で構成される磁石ユニット22を上部梁24の下面中央部に備えるとともに他の磁石ユニット22を下部梁26の上面中央部に備える磁石取付け部28、磁石取付け部28を上下方向に可動に支持する磁石支持手段としてのサスペンション30で構成されている。
【0029】
基台16は、アッパービーム32、ロアービーム34、左右の固定板36および当該基台を床面に固定するための脚部38を備えている。前記アッパービーム32の両端および前記ロアービーム34の両端にはリニアブッシュ40が計4個備えられている。
【0030】
磁石取付け部28は、前記上部梁24と前記下部梁26の両端に取付けられた固定スリーブ42を貫通するロッド44を備えており、各固定スリーブ42と左右のロッド44は溶接や接着等の所定の方法で固定されている。なお、前記上部梁24と前記下部梁26の中央部に位置する前記磁石ユニット22が図示していない所定の方法でそれぞれ固定されていることは言うまでもない。また、前述のように直列接続されている各電磁石20の励磁電流を制御して前記浮上体11をゼロパワー制御で非接触支持するため、各電磁石20のコイル端は制御装置46につながれている。
【0031】
サスペンション30は、リニアブッシュ40、リニアブッシュ4044を貫通するロッド44及び、ロッド44が貫通しリニアブッシュ40および固定スリーブ42に突き当てるように配置される弾性要素としてのばね47で構成されており、磁石を支持する手段を備えている。
【0032】
図5に示すように、横方向支持装置13は、前記縦方向支持装置12の基台16を横置きとし、前記ロアービーム34に取付けられていた前記脚部38に替えて、固定板36に横方向支持装置13としての脚部38’を取り付けて構成されている。したがって、同一箇所には同一記号を付し、説明は省略する。
【0033】
図6に示すように、浮上体11は、縦方向支持装置12および横方向支持装置13のそれぞれの磁石ユニット22に略対向する強磁性の鉄製円環48、内部にインペラファン50を備えた非磁性導電性のアルミ円環52、鉄製円環48およびアルミ円環52を接続する非磁性非導電性のプラスティック円環54を備えている。そして、図7に示すように前記パイプ14の外周には、アルミ円環52の側面に対向する位置で三相界磁巻線が施された固定子56が図示しない所定の方法で固定されている。この場合、アルミ円環52と固定子56で誘導電動機58が構成されることは言うまでもない。
【0034】
制御手段としての制御装置46は、図8に示すように、センサ部60とモード座標変換部62とモード制御電圧演算部64とモード制御電圧座標逆変換器66、図示していない外部の電源に接続され当該モード制御電圧座標逆変換器66が出力する電磁石励磁電圧信号に基づいて各支持装置12、13の電磁石20を励磁するパワーアンプ68a〜68dを備えている。
【0035】
センサ部60は、前記下部梁26の磁石ユニット22と浮上体11の鉄製円環48間の距離を検出するための渦電流式ギャップセンサ70a〜70d、前記アッパービーム32と前記上部梁24間の距離を検出するための光学式ギャップセンサ72a〜72dおよび前記電磁石20a〜50dに流れる励磁電流を検出するための電流センサ74a〜74dを備えている。なお、以下では、同一アルファベットは、縦方向支持装置12もしくは横方向支持装置13において同一支持装置に備えられていることを示している。
【0036】
モード座標変換部62は、浮上体11と磁石ユニット22間の所定の距離を設定する浮上体ギャップ長設定器76a〜76d、アッパービーム32と上部梁24間の所定の距離を設定する磁石取付け部ギャップ長設定器78a〜78d、前記電磁石20の所定の励磁電流値を設定する電流設定器80a〜80d、ギャップセンサ70a〜70dの検出信号za、zb、zc、zdから前記浮上体ギャップ長設定器76a〜76dの設定値を減算する減算器82a〜82d、ギャップセンサ72a〜72dの検出信号zLa、zLb、zLc、zLdから前記磁石取付け部ギャップ長設定器78a〜78dの設定値を減算する減算器84a〜84d、電流センサ74a〜74dの検出信号ia、ib、ic、idから前記電流設定器80a〜80dの設定値を減算する減算器86a〜86d、減算器82a〜82dの出力から浮上体11と磁石取付け部の相対位置変化を4つの運動の自由度に関する浮上体ギャップ長偏差Δz、Δy、Δξ、Δψに変換する浮上体ギャップ長偏差座標変換器88、減算器84a〜84dの出力から磁石取付け部28と基台16の相対位置変化を4つの運動の自由度に関する磁石取付け部ギャップ長偏差ΔzL、ΔyL、ΔξL、ΔψLに変換する磁石取付け部ギャップ長偏差座標変換器90、減算器86a〜86dの出力から電磁石励磁電流偏差を4つの運動の自由度に関する励磁電流Δiz、Δiy、Δiξ、Δiψに変換する電流偏差座標変換器92を備えている。
【0037】
モード制御電圧演算部64は、前記浮上体ギャップ長偏差座標変換器88、前記磁石取付け部ギャップ長偏差座標変換器90、前記電流偏差座標変換器92の出力に基づいて各運動モードごとの電磁石励磁電圧ez、ey、eξ、eψを演算するzモード制御電圧演算器94、yモード制御電圧演算器96、ξモード制御電圧演算器98、ψモード制御電圧演算器100を備えている。そして、モード制御電圧座標逆変換器66は、前記モード制御電圧演算部64の出力から各支持装置12、13の個々の電磁石に供給すべき励磁電圧ea、eb、ec、edを演算する。
【0038】
ここで、4つの運動の自由度とは浮上体11および磁石取付け部28のz軸に平行な運動(zモード)、y軸に平行な運動(yモード)、y軸周りの回転運動(ξ?モード)およびz軸周りの回転運動(ψ?モード)であることは言うまでもない。このような運動モードごとの座標変換をともなう磁気浮上制御については特願平4−351167号や特願平6−223788号に詳細が述べられているので、各座標変換器88、90、92および座標逆変換器66については簡単のため詳説は省略する。
【0039】
モード制御電圧演算部64はzモード制御電圧演算器94、yモード制御電圧演算器96、ξモード制御電圧演算器98、ψモード制御電圧演算器100を備えているが、これらは同一の構造を有するので、zモード制御電圧演算器96を例にその構成を説明する。
【0040】
zモード制御電圧演算器94は図9のように構成されている。すなわち、ΔzからΔzの時間変化率Δ?zを演算する微分器102と、ΔzLからΔzLの時間変化率Δ?zLを演算する微分器104と、Δz、Δ?z、ΔzL、Δ?zL、Δizに適当なフィ−ドバックゲインを乗じるゲイン補償器106と、電流偏差目標値発生器108と、Δizを電流偏差目標値発生器108の目標値より減じる減算器110と、減算器110の出力値を積分し適当なフィ−ドバックゲインを乗じる積分補償器112と、ゲイン補償器106の出力値の総和を演算する加算器114と、加算器114の出力値を積分補償器110の出力値より減じてzモ−ドの電磁石励磁電圧ezを出力する減算器116とで構成されている。
【0041】
なお、制御装置46は各支持装置12、13に分割して取り付けられているが、全体としては上述のように構成されていることは言うまでもない。また、図8において、電力線は棒線、信号経路は矢印線で示されている。
【0042】
次に、以上のように構成された本実施の形態に係るモータ駆動装置の動作について説明する。
【0043】
装置が待機状態すなわちパワーアンプ68が図示していない外部電源に接続され、制御装置46が動作していない状態ではモード制御電圧座標逆変換器66がゼロを出力しており、電磁石20が励磁されることはない。この場合、永久磁石18により磁石ユニット22が浮上体11を吸引するため、浮上体11はパイプ14の内壁に接触した状態となる。浮上体11は回転軸方向においても鉄環48に常に磁石ユニット22に対向しようとする吸引力が作用するため、パイプ14内部に流体が存在しても流されることはない。
【0044】
モード制御電圧演算部64の各モードの電流偏差目標値発生器108にゼロが設定されて制御装置46が動作を開始すると、浮上体11の4つの運動モードごとにゼロパワー制御が行なわれるため、浮上体11はパイプ内壁から離脱して非接触状態で支持される。
【0045】
浮上体11が非接触支持された後、誘導電動機58に三相交流が通電されると浮上体11のアルミ円環にはトルクが発生し、浮上体11のインペラ50が回転を開始する。これにより、パイプ内部の流体を搬送することが可能となる。
【0046】
装置の動作中、浮上体11の自重はゼロパワー制御により永久磁石18の吸引力とつりあうため、磁石ユニット22が定常的に励磁されることはない。また、インペラ50に異物や生物が付着したり、何らかの結晶が析出して浮上体11の自重が変化した場合でも、浮上体11の絶対位置が変動したり、電力消費量が増加することもない。したがって、電力消費の低減と浮上体の位置変動の抑制が図れるばかりか、装置が破損しにくく、装置の信頼性向上を図ることができる。
【0047】
装置を待機状態に戻すには、誘導電動機58の運転周波数をゼロにすれば浮上体11の回転が停止する。この後、三相電源を切断し、各モードの電流偏差目標値発生器108に所定の値を設定すると浮上体11はパイプ14の内壁に接触する。この状態で制御装置46の動作を停止するとモード制御電圧座標逆変換器66がゼロを出力して装置は再び待機状態となる。
【0048】
パワーアンプ68の前記外部電源を切断して装置を停止させた後、配管を変更して本発明による磁気浮上装置10がより傾いた床面に設置された場合には、浮上体11に作用する重力の向きが変わることになる。このような場合に再び装置を運転しても、ゼロパワー制御による浮上体ギャップ長の変動が、前記サスペンション30によって吸収されるため、床面に対する浮上体の位置が変動しない。このため、浮上体11はパイプ14に接触することなく回転する。したがって、装置の使い勝手も向上する。
【0049】
なお、上記の第1の実施の形態では、磁石取付け部と基台間の距離の検出に光学式ギャップセンサを用いているが、これは距離検出の方法をなんら限定するものではなく、たとえば接触式のリニアゲージであってなんら差し支えない。また、電磁石と永久磁石で構成される磁石ユニットが全体としてU字形状となっているが、これは磁石ユニットの構成をなんら限定するものでなく、ゼロパワー制御が適用できる構成・形状であればいかなるものであってもよい。さらに、本実施の形態ではサスペンションがばね47を備えているが、これはサスペンションの構成を何ら限定するものでなく、板ばねやゴム等でサスペンションを構成してなんら差し支えない。
【0050】
(効果)
このような構成の磁気浮上装置によれば、浮上体の磁気浮上にゼロパワーを適用しても、様々な方向の外乱に対して浮上体の絶対位置を所定に維持できるため、空隙長を大きく設定しても電力消費の低減を図ることが可能である。
【0051】
また、浮上体の絶対位置を所定値に維持することができるので、容器やパイプ等の内側に浮上体を配置してもこれらの内壁に浮上体が接触することがない。このため、装置が破損しにくく、装置の信頼性を向上することが可能となる。
【0052】
(第2の実施の形態)(請求項1、7、9、11対応)
本発明に基づく第2の実施形態について図を参照し、詳細に説明する。図10は、本発明の第2の実施の形態の磁気浮上装置の一部を切り欠いた斜視図である。図11は、本発明の第2の実施形態のリニア同期モータの一部を切り欠いた斜視図である。図12は、本発明の第2の実施形態のリニア同期モータの一部を切り欠いた断面図である。尚、図1乃至9と同一の構成をとるものについては、同符号を付して説明を省略する。
【0053】
(構成)
図10乃至図11には第2の実施例に関わる磁気浮上装置の主要部が210として示されている。
【0054】
磁気浮上装置210では、浮上体11のアルミ円環52に替えて、ハルバッハ配列された永久磁石リング列212が取付けられ、永久磁石リング列212の外側に磁界が発生するように浮上体11’が構成されている。また、前記永久磁石リング列212の内側にはインペラ50に替えて弁214が取付けられている。
【0055】
弁214は、4つの貫通穴を有する台座216と弁膜218を備えており、弁膜218は台座216の貫通穴を覆うように所定の方法でその一部が台座216に固定されている。
【0056】
図11に示すように、パイプ14の外側にはリング状の三相コイル220が巻装されている。
【0057】
(作用)
三相コイル220を所定のパターンで励磁することにより、浮上体11’は、図10に示すx軸に平行な往復運動を開始する。このとき、浮上体11’は各支持装置12、13の電磁力により、パイプ14に対して非接触支持されている。
【0058】
浮上体11’の往復運動により、パイプ14中の流体を弁214の作用で搬送することが可能となる。
【0059】
本実施の形態では、浮上体11’の往復運動により、各支持装置12、13に印加される浮上体11’の重量が変化する。このように、支持重量が変化すると浮上体浮上ギャップ長が変動するが、第1の実施形態で示したように、この変動はサスペンション30の効果による磁石取付け部の変動で相殺される。このため、浮上体11’とパイプ14間の距離が一定に維持され、浮上体11’がパイプ14の内壁に接触することがない。
【0060】
(効果)
本実施形態では、第1の実施形態の効果に加えて、図12に示すように、永久磁石リング列212と三相コイル220でリニア同期モータ222が形成されている。当該リニア同期モータ222はコアレス構造であるため、界磁である永久磁石リング列212と電機子巻線である三相コイル220間に吸引力が発生しない。したがって、浮上体11の非接触支持に影響を与える外力を小さくすることができる。なお、図12において永久磁石の磁極の向きを矢印で表しており、矢印先端側がN極である。
【0061】
(第3の実施の形態)(請求項1、2、5、6対応)
本発明に基づく第3の実施形態について図を参照し、詳細に説明する。図13は、本発明の第3の実施形態の磁気浮上装置の平面図である。図14は、図13のX−X’線に沿った磁気浮上装置の断面図である。図15は、図13のY−Y’線に沿った磁気浮上装置の断面図である。図16は、本発明の第3の実施形態の推力制御のブロック図である。図17は、本発明の第3の実施形態の推力演算器のブロック図である。尚、図1乃至12と同一の構成をとるものについては、同符号を付して説明を省略する。
【0062】
図13乃至図15には第3の実施例に関わる磁気浮上装置の主要部が310として示されている。
【0063】
(支持装置について)
図13に示すように、磁気浮上装置310は、浮上体311と4つの上下方向支持装置313と2つの横方向支持装置315とを具備している。これら4つの上下方向支持装置313は、互いに協調して、倒れ2軸(θおよびξ方向)と高さ1軸(z方向)に関して浮上体311を非接触で支持するためのものである。また、横方向支持装置315は、それぞれ、x軸方向とy軸方向について浮上体311を非接触で支持するためのものである。
【0064】
(浮上体について)
浮上体311は、鉄製の外リング317と、当該外リング317の内側に配置され、永久磁石で構成される磁石リング319と、当該磁石リング319の内側に配置される鉄製の内リング321と、当該内リング321の内側に所定の方法で固定される非磁性材料、例えばセラミックス等で構成される非磁性円盤323と、非磁性円盤323上に固定され、上部に導電性非磁性材料例えば銅やアルミ等で構成ざれた2次導体リング325を具備する円環基台327と、当該円環基台327の上部に取り付けられ、回転することによって流体を搬送する遠心ファン329を備えている。浮上体311は、非磁性かつ非導電性材料で形成されるケーシング331によりわずかなギャップを介して包み込まれている。
【0065】
図14および図15に示すように、当該ケーシング331の外側には、2次導体リング325と対向する位置に誘導電動機の界磁巻線がステータ333としてカバー334とともに取り付けられており、浮上体311とケーシング331およびステータ333は全体としていわゆるキャンドポンプを構成している。ここで、図13には図面の簡素化のため当該ステータ333およびカバー334が図示されていない。また、ケーシング331の上部には、液体を流入させる図示しないパイプが接続された流入口335が設けられているとともに、側面には、図示しないパイプが接続された流出口337が設けられている。そして、ケーシング331は図示しない所定の方法で床面等の基準面に対して固定されている。
【0066】
上下方向支持装置313は、断面がU字形状の鉄心339の中央部にコイル341を巻装してなる電磁石で構成される磁石ユニット343、上下に配置される磁石ユニット343の前記コイル341のコイルが当たらないように逃げ穴を有する断面がU字形状の磁石取付け部345、磁石取付け部345の外側側面に固定され、磁石取付け部345を上下に可動にガイドするためのリニアブッシュ347を具備したガイドブロック349、リニアブッシュ347を貫通して磁石取付け部345を上下に可動にガイドするガイドロッド351、ガイドロッド351の下端が図示しない所定の方法で固定される基台353、ガイドブロック349と基台353の間に介在してガイドロッド351が貫通するばね355、ガイドブロック349と基台353の間に介在してガイドブロック349に上下方向の推力を付与する円筒型リニアモータ357、磁石取付け部345の上部下面に取付けられ、磁石ユニット343と外リング317間の空隙長を検出する渦電流式ギャップセンサ359、ガイドブロック349の上面に取付けられ、ガイドロッドの所定位置に貼り付けられたスケールを光学的に読取ることで磁石ユニット343の基台353が置かれる基準面に対する高さを検出するためのリニア位置センサ361を具備している。ここで、ガイドブロック349、ガイドロッド351、リニアブッシュ347、ばね355、リニアモータ357およびリニア位置センサ361は全体として磁石支持手段として機能している。そして、ばね355が浮上体311を含むガイドブロック349から上部の重量を支持しているため、浮上体311が所定の高さで非接触支持されている場合に、リニアモータ357は推力を発生する必要がない。このように浮上体の重量の支持にばねを用いると磁石支持手段で消費させる電力を低減できる効果がある。また、浮上体311に流体の渦等により外力が作用する場合には、ばね355のばね力に加えてリニアモータ357の推力を加えることができるので、例えば図16に示すようにリニアモータ357の推力を制御すれば基台353に対する磁石取付け部345の上下動に減衰力を与えることができ、外力に対する浮上体311の動きをより抑制することができる。
【0067】
図16に示すリニアモータ357の推力制御装置363は、一般にもよく知られているように以下のように構成されている。すなわち、推力制御装置363は、リニア位置センサ361より導入された信号に基づいてリニアモータ357が発生すべき推力を演算する推力演算器365、前記推力演算器365の出力する推力指令値fzとリニア位置センサ361の出力に基づいてリニアモータ357の三相コイルに印加すべき電圧を演算するベクトル制御器367、当該ベクトル制御器367の出力する三相電圧指令値に基づいて後述の点弧角信号を発生する点弧角発生器369、当該点弧角発生器369からの点弧角信号により図示していない直流電源からリニアモータ357を励磁する三相交流電圧を生成する三相PWMインバータ371を具備している。
【0068】
推力演算器365は図17に示すように、磁石取付け部345の所定の高さ目標値zL0を発生する磁石取付け部高さ目標値発生器373、リニア位置センサ361からの信号zLから磁石取付け部高さ目標値発生器373の出力zL0を減じる減算器375、減算器375の出力を微分して磁石取付け部345の移動速度を演算する微分器377、減算器375の出力と前記微分器377の出力に、それぞれ所定のゲインを乗じる2つのゲイン補償器379、当該ゲイン補償器379の出力を加算する加算器381、ゼロ目標値383から加算器381の出力を減じて推力指令値fzを出力する減算器385を具備して構成されている。
【0069】
以上の構成により、これら4つの前記上下方向支持装置313に対して上述のゼロパワー制御を適用すると、浮上体311の運動の自由度(倒れ2軸(θおよびξ方向)と高さ1軸(z方向))ごとに磁気浮上制御が行われ、それぞれの運動軸に関し、外力に対する浮上体311の位置変動が抑制される。
【0070】
図15に示すように、横方向支持装置315は、外リング317に対向する2つの磁石ユニット387、断面がU字形状で磁石ユニット387が両端側面内側に固定されている磁石取付け部389、磁石取付け部389の底面下側両端近傍に固定され、当該磁石取付け部389を水平方向にガイドするためのリニアガイド391を具備した2つのガイドブロック393、リニアガイド391と組合されガイドブロック393をx軸(y軸)に沿って可動とするガイドレール395、ガイドレール395が取付けられた基台397を備えている。また、一方の基台397にはリニアモータ357がマウント399を介して取付けられており、リニアモータ357の推力軸の端部はガイドブロック393に固定されている。そして、ガイドレール395の上面には図示していないリニアスケールが貼られており、リニアガイド391に取付けられたリニア位置センサ361により基台397に対する磁石取付け部の移動距離を検出している。さらに、磁石取付け部389の一方の端部側面内側の磁石ユニット387近傍にはギャップセンサ359が設置されており、磁石ユニット387と外リング317間の空隙長を検出している。ここで、ガイドブロック393、ガイドレール395、リニアガイド391、リニアモータ357およびリニア位置センサ361は全体として磁石支持手段として機能している。
【0071】
(効果)
以上のように構成された横方向支持装置315を、x軸と平行に設置すれば浮上体311のx軸方向の運動に関してゼロパワー制御が可能となり、y軸と平行に設置すれば浮上体311のy軸方向の運動に関してゼロパワー制御が可能となる。これにより、それぞれの運動軸に関し、外力に対する浮上体311の位置変動が抑制される。
【0072】
横方向支持装置315はx軸とy軸に平行に設置されるため、図15にも示すように、これらの磁石取付け部389が互いに干渉しないよう磁石取付け部底面の高さが異なるように構成されている。
【0073】
また、磁石ユニット387は磁石ユニット22と同様に構成されており、ここでは簡単のため説明は省略する。
【0074】
なお、上記の第3の実施の形態では、本発明の磁気浮上装置がキャンドポンプに適用され、磁石ユニットと浮上体の間にケーシングが介在するが、これはケーシングの介在やキャンドポンプへの適用をなんら限定するものでなく、浮上体の外力に対する位置変動の抑制と電力消費の低減を目的とするあらゆる装置に適用して何ら差し支えない。
【0075】
また、上記各実施の形態では、制御装置はアナログ演算的に説明されているがこれは、アナログ、デジタルの演算方式を何ら限定するものではなくデジタル演算方式を適用してもよい。
【0076】
このほか、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0077】
1、18 …永久磁石
2、20 …電磁石
3、4、22、343、387 …磁石ユニット
5、28、345、389 …磁石取付け部
6、11、11’、311 …浮上体
7、47、355 …ばね
8 …ダンパ
9、16、353、397 …基台
10、210、310 …磁気浮上装置
12、313 …縦方向支持装置
13、315 …横方向支持装置
14 …パイプ
24 …上部梁
26 …下部梁
30 …サスペンション
32 …アッパービーム
34 …ロアービーム
36 …固定板
38、38’ …脚部
40、347 …リニアブッシュ
42 …固定スリーブ
44 …ロッド
46 …制御装置
48 …鉄製円環
50 …インペラファン
52 …アルミ円環
54 …プラスティック円環
56 …固定子
58 …誘導電動機
60 …センサ部
62 …モード座標変換部
64 …モード制御電圧演算部
66 …モード制御電圧座標逆変換器
68 …パワーアンプ
70、359 …渦電流式ギャップセンサ
72 …光学式ギャップセンサ
74 …電流センサ
76 …浮上体ギャップ長設定器
78 …磁石取付け部ギャップ長設定器
80 …電流設定器
82、84、86、110、116、375、385 …減算器
88 …浮上体ギャップ長偏差座標変換器
90 …磁石取付け部ギャップ長偏差座標変換器
92 …電流偏差座標変換器
94 …zモード制御電圧演算器
96 …yモード制御電圧演算器
98 …ξモード制御電圧演算器
100 …ψモード制御電圧演算器
102、104、377 …微分器
106、379 …ゲイン補償器
108 …電流偏差目標値発生器
112 …積分補償器
114、381 …加算器
212 …永久磁石リング列
214 …弁
216 …台座
218 …弁膜
220 …三相コイル
222 …リニア同期モータ
317 …外リング
319 …磁石リング
321 …内リング
323 …非磁性円盤
325 …2次導体リング
327 …円環基台
329 …遠心ファン
331 …ケーシング
333 …ステータ
334 …カバー
335 …流入口
337 …流出口
339 …鉄心
341 …コイル
349、393 …ガイドブロック
351 …ガイドロッド
357 …リニアモータ
361 …リニア位置センサ
363 …推力制御装置
365 …推力演算器
367 …ベクトル制御器
396 …点弧角発生器
371 …三相PWMインバータ
373 …磁石取付け部高さ目標値発生器
391 …リニアガイド
395 …ガイドレール
399 …マウント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
強磁性体を備えた浮上体と、
前記浮上体の外周側に空隙を介するとともに対向して設置される電磁石を備えた複数の磁石ユニットと、
前記浮上体の外周側に配置した複数の前記磁石ユニットを固定する磁石取付け部と、
前記浮上体と前記磁石取付け部の外周側に設置されるフレーム状の基台と、
前記基台と前記磁石取付け部間において、前記基台と前記磁石ユニット間の距離の調整機能を有する磁石支持手段と、
前記磁石ユニットに接続され、前記電磁石に流れる電流を制御する制御部とを有し、
前記制御部は、前記電磁石に流れる励磁電流を、ゼロに収束させることにより、
前記浮上体と前記磁石ユニットの非接触支持状態を維持するとともに、前記基台と前記浮上体の距離を所定の値に収束させる
ことを特徴とする磁気浮上装置。
【請求項2】
前記磁石ユニットは、永久磁石と電磁石で構成され、前記永久磁石は磁石取付け部の浮上体配置側の面に取り付けられ、前記永久磁石の浮上体配置側の面に2つの前記電磁石が並列して取り付けられ、制御部が前記電磁石の電流を制御することで磁気回路を形成することを特徴とする請求項1記載の磁気浮上装置。
【請求項3】
前記浮上体に回転力を付与する駆動手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至2記載の磁気浮上装置。
【請求項4】
前記駆動手段は、前記浮上体に回転電動機のロータを備えるとともに、前記ロータの外周部に前記回転電動機のステータを備えていることを特徴とする請求項1乃至3に記載の磁気浮上装置。
【請求項5】
前記駆動手段により回転力を付与された前記浮上体の回転軸に対し、略直交する方向に電磁力を作用させる前記磁石ユニットを、前記浮上体の外周部に備えていることを特徴とする請求項1乃至4に記載の磁気浮上装置。
【請求項6】
前記駆動手段により回転力を付与された前記浮上体の回転軸に対し、略平行に電磁力を作用させる前記磁石ユニットを備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の磁気浮上装置。
【請求項7】
前記駆動手段により、回転力を付与された前記浮上体の回転軸に対し、略直交する方向に電磁力を作用させる前記磁石ユニットと、前記浮上体の回転軸に対して略平行に電磁力を作用させる前記磁石ユニットを備えていることを特徴とする請求項1乃至4記載の磁気浮上装置。
【請求項8】
前記駆動手段は、
浮上体に電磁力を作用させる磁石ユニットと、
前記磁石ユニットが前記浮上体に作用する電磁力に略直交する方向の推力を前記浮上体に付与するリニアモータと、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の磁気浮上装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記電磁石の励磁電流を検出する電流センサと、基台と磁石ユニット間の距離を検出する位置センサと、を備えていることを特徴とする請求項1乃至8記載の磁気浮上装置。
【請求項10】
前記浮上体と前記磁石ユニット間に、前記浮上体と前記磁石ユニット間を隔てる隔離手段を有することを特徴とする請求項1乃至9に記載の磁気浮上装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−158021(P2011−158021A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19682(P2010−19682)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】