説明

磁気移動法、微子移動装置と反応装置ユニット

微粒子(22)または磁気粒子を磁場を使用することにより同一の液体(23)中でまたは一つの液体(23a)から他の液体(23b)へのいずれかにて、分類、集合、移動または投与するための磁気移動法。移動装置(10)は保護膜(21)の内部に配置された磁石(13)からなり、そして集合または投与は磁石(13)の磁場を変更することにより達成される。磁場の変更は、微粒子を集合させる場合は磁石の一部または全体が強磁性体の外側にあり、そして粒子を解放または投与する場合は磁石の一部または全体が強磁性体の内部または背後にあるような方法で移動装置に含まれる板または管(12)状の強磁性体を使用することにより達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は磁気移動法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
1.発明の背景
「磁気移動法」は粒子を同一の液体内で、または一つの液体から他の液体へ、例えば分類、集合、移動、混合または投与のような磁気により引き起こされる粒子の運動に関する全ての活動に関係する。
【0003】
「粒子」、「微粒子」、「磁気粒子」は磁気により動かすことのできる、主にマイクロメーター範囲の直径を有するいかなる小粒子にも関係する。磁気により動かすことができる多くの色々な種類の粒子が知られており、そしてまたそれらを使用する用途は広くいろいろある。例えば微生物学で使用される粒子の寸法は一般に0.01〜100μmで、通常は0.05〜10μmである。この種で有名な粒子は例えば強磁性、常磁性または超磁性材料を含有する粒子を含む。また粒子はこの場合いかなる強磁性体によっても動かすことができる、それら自身が磁気的である。
【0004】
微粒子の操作のために設計された装置は磁気を利用する要素よりなり、そしてそれは以後磁石ということにする。それは強磁性粒子を引き付ける永久磁石または電磁石でもよいし、またそれ自身には磁気性はないが、しかしそれでも磁気粒子を引き付ける強磁性体でもよい。
【0005】
磁石は通常は丸い棒状の磁石であり、そうであることが望ましい。またそれは他の形の棒状でもよい。しかし磁石は棒状である必要は全くない。またそれは短く広い物体またはいかなる形の物体でもよい。また磁石は、磁石または強磁性体のような数個の物体より構成してもよい。
【0006】
磁石は色々な不利な条件から磁石を保護し、例えば拘束と解放のような微粒子の操作を可能にする保護要素により覆わなければならない。保護要素の構造は、例えば弾力性がありまたは伸縮可能な材料の薄膜、または硬質ビニ−ル製のカップ状でさえあってもよいので非常に色々でよい
【0007】
一般に微粒子は色々な生体分子、細胞器官、細菌または細胞を束縛するために固体相で使用される。また微粒子の表面に酵素を固定し酵素の効果的な利用と更なる使用を可能とすることもできる。大部分のいわゆる磁気的ナノメートル粒子(50nmより小さい)は、通常の永久磁石または電磁石では取り扱うことができず、明細書EP0842704(Miltenyi Biotec)に記述されるように、特に高い磁気勾配の使用を必要とする。普通の永久磁石または電磁石を使用して、約0.1μm以上の直径寸法を有する微粒子のような磁気粒子を通常取り扱うことは可能である。またサンプルの粘度は、粒子を集合めることを困難にする重大な要因である。集められる粒子はそこから研究される物質または細胞までが粒子の表面に拘束されることが望まれる大量の溶液中に最初は浮遊している。少数しかない成分を分析のため分離する用途において、大量の初期容量の使用が可能であることが特に重要である。例えば大容量のサンプルより小容量に病原菌を効率的の濃縮することは検量感度と分析時間に直接影響するため決め手になる。現在微粒子を使用して大容量から小容量に濃縮を達成するのに十分効果的な方法はない。できるだけ簡単で効率的な上記の種類の処理を持てれば有利であろう。
【0008】
2.従来の技術
磁石により操作される微粒子は1970年代より使用されてきた。この技術は例えば免疫学的検定において大いに支持されてきた。自由断片より拘束された抗原抗体複合体を分離するために免疫学的検定における微粒子の使用は特に反応速度に関し重要な利点を提供した。近年微粒子利用における主な発展は分子生物学、微生物学そして細胞生物学の分野で起こっている。
【0009】
伝統的な方法で、例えば反応溶液中に存在する微粒子のような磁気粒子は容器の外側に配置された磁石により管の内壁上のある点にて補足される。この後溶液はできるだけ注意深く磁気粒子の周りより慎重に除去される。その伝統的方法において、活発に処理されるのは液体であるが、一方磁気粒子は全処理を通して同一容器内に留まる。
【0010】
他の取り組みでは磁石は微粒子を移動させるため活発に使用される。磁石は、磁石が溶液中の微粒子を引き付け、そしてそれらが固形の小球を形成するように、微粒子を含有する溶液中へ挿入される。この後磁石と微粒子は液体より外へ持ち上げることができる。次に磁石は微粒子と共に他の試験管中の液体の中へ浸漬することができ、ここで微粒子は磁石より解放することができる。この方法において溶液の取り扱い、ピペット操作と吸引過程は極端に減少してきた。
【0011】
特許明細書US2,517,325〔Lamb〕は磁石により金属物体を集めるための溶液について記述している。この明細書は鉄管の内側で動く長い棒磁石について記述している。棒磁石の極は物理的な磁石の長さ方向軸の相対する両端に位置する。鉄管中で磁石を中へ移動させることにより、磁場を消滅させることができる。同様に鉄管から外へ磁石を移動させることにより、磁場は強化される。この明細書、はこれにより金属物体を磁石ユニットの先端に集めることができる溶液について記述している。またこの明細書は磁石を保護するために使用される固定のビニールカバーについて記述している。
【0012】
特許明細書US2,970,002〔LavIano〕は磁石により液体から金属物体を集めるための溶液について記述している。この明細書は磁石ユニットの先端部に粒子を集める長い永久磁石について記述している。磁石は金属棒に取り付けられ、そして別個のビニールカバーにて保護される。この明細書は永久磁石を磁石を保護するために使用されるビニールカバーと共に移動させることを利用する処理を開示している。この明細書は磁石ユニットの先端部で金属物体を集めること、そして特別な設計のビニールカバーによりカバー表面より金属物体を分散させることについて記述している。
【0013】
特許明細書US3,985,649(Eddelman),US4,272,510(SmIth他),US4,649,116(Daty他),US4,751,053〔DodIn他〕そして US5,567,326(Ekenberg他)は全てその中で磁化できる材料は磁石により直接溶液から集められる溶液について記述している。またこれらの明細書に共通な特徴は磁石は別個のビニールカバーにより保護されていない事実である。これらの溶液において磁石の先端は汚染の危険と持ち越しの影響を排除するため、次のサンプリング操作の前に洗浄しなければならない。
【0014】
特許明細書US5,288,119(Crawford二世他)は磁石により金属物体を集めるための溶液について記述している。この明細書による装置の磁石は特別のカバーで保護されておらず、液体より金属物体を集めることに適していない。この明細書はより大きな金属物体を集めるための溶液について記述している。この明細書は非磁性管の内側で動く長い棒磁石について記述している。この管はそれ自身は磁性はないが磁場を妨げる特別な性質を持っている。この目的のためのこれに代わる材料として、この明細書は例えばビスマスまたは鉛またはこれらの混合物を提案している。この解決法による装置の磁石は特別なカバーにより保護されず、そして液体からの金属物体を集めることに適していない。
【0015】
申請書WO87/05536(Schroeder)はそのような材料を含有する液体より強磁性材料を集めるため、ビニールカバーの内側に移動可能な永久磁石を使用することについて記述している。磁石が低い位置にあるときは強磁性材料は磁石ユニットの中央部分に集められる。この明細書はこのようにして集められた強磁性材料を別の容器の溶液に移動させ、そして先端部から別の容器へ材料を解放することについて記述している。強磁性材料の解放は、磁石を上方へ移動させているとき、材料の移動を防ぐビニールカバーの設計により達成されるように記述されている。
【0016】
特許明細書US5,837,114(BIenhaus他)は、ビニール製保護カバーを備えた特別な磁石により微粒子を集める方法を開示している。この明細書は色々な配置により容器から排出される溶液から微粒子を拘束する方法について記述している。磁石を移動させることにより微粒子はビニールカバー表面より解放することができる。
【0017】
また特許明細書US20,010,022,948(Tuunanen)は勿論のこと
特許US5,942,124(Tuunanen)、US6,020,211(Tuunanen)、US6,040,192(Tuunanen),
US6,065,605(Korpela他)そしてUS6,207,463(Tuunnen)は溶液より微粒子を集めそしてそれらを他の溶液に移動させるためのビニール保護手段を備えた装置について記述している。これらの明細書は主として非常に小さな容量での微粒子操作のために設計された解決法について記述している。明細書US5,942,124(Tuunanen)はこれにより磁石ユニットのちょうど先端部に微粒子を濃縮させることができる装置について記述している。明細書US6,020,211(Tuunanen)は集められた微粒子をより小さな容器へ移動させるため、大型のいわゆる伝統的な磁石と共に前の明細書にて開示された装置の使用方法について記述している。明細書US6,040,192(Tuunanen)は特別な分析と小容量の取り扱いにおける微粒子の使用に関する自動化された方法について記述している。明細書US6,065,605(Korpela他)はいかに明細書US5,942,124(Tuunanen)で開示された方法がかなり大きい容量の取り扱いに更に適用されるかについて記述している。それはその中で微粒子は最初に大きな磁石を包含する特別な磁石ユニットにて集められる方法について記述している。この後明細書US5,942,124(Tuunanen)に記述されるような磁石ユニットは微粒子の小球をより小さな容器に更に移動させることに使用される。明細書US6,207,463(Tuunanen)は同様にそれにより微粒子が装置のちょうど先端部に集めることができる上記の磁石ユニットの適用について記述している。特許申請書US20,010,022,948(Tuunanen)もまたこの目的のために設計された特別な容器中でのごく少量の微粒子の操作について記述している。
【0018】
特許明細書US6,403,038(Heermann)は保護用ビニールカバーと特別な棒に取り付けられた永久磁石よりなる装置について記述している。微粒子はビニールカバーの先端部に集められ、そしてその方法は特に小容量の処理に向いている。棒は試験管中で磁石と棒を所定の位置に保つ特別に突出した部分を有する。
【0019】
特許EP1058851(Korpela)と申請書WO01/60967(Korpela)は伸縮可能なゴム製の保護膜を有する装置について記述している。これらの解決法で微粒子は伸縮可能な保護膜の表面に集められ、ここからそれらは更に別の容器へ移動させることができる。保護膜は磁石を覆って伸びる膜が非常に薄くなるようにゴム材料よりできている。このようにして磁石と液体を隔てる距離を最小化する。
【0020】
特許明細書US5,610,077(Davis他)は特別な免疫学的検定を行う場合に外側の管と共に特別な内側の管の使用について記述している。明細書は僅かな液体容量の特別な内管配置を利用して試験管の中またはマイクロタイタ−プレ−ト即ちマイクロプレ−トウエルの中で行われる免疫学的検定について記述している。この管配置を利用して試験管またはマイクロプレ−トウエル中の小容量の液体の液面を上昇させ、これにより管の反応表面を増大させそして溶液の効果的な混合をもたらすことができる。この明細書は微粒子または大容量の液体から小容量の液体への濃縮については何も記述していない。
【0021】
上に述べた特許はいずれも微粒子を非常に大容量の液体より効果的に集め、そして小容量の液体中に解放する方法については記述していない。特にそれらは大容量の液体から大量の微粒子を集める実際的な方法については記述していない。代わりに上述の明細書は5〜10ml程度の比較的小容量の液体の取り扱いや、非常に小容量の液体の取り扱いについて記述している。もし目的がタンパク質、ペプチド、核酸、細胞、細菌、ウイルスまたはその他の成分を大容量の液体より微粒子表面上に集めることであるなら、使用される最適の粒子数に関して基本的な要求がいくつかある。使用される微粒子により、分離する液体1mlあたりの有利な粒子の量は直径1〜5μmの粒子が少なくとも107個である。必要な粒子の数は、与えられた単位容量から数がごく少ない所要の成分をできるだけ信頼性高く拘束する場合はさらに増加する。
【0022】
目的が大量の微粒子を小型の磁石により比較的大きい容器より大変鋭く細い棒の小さな先端部上に集めることであるような明細US5,942,124(Tuunanen),
US6,020,211(Tuunanen),US6,065,605(Korpela他),US6,207,463(Tuunanen)そしてEP0787296(Tuunanen)に記述される方法は特に実用的ではない。
【0023】
大量の微粒子は、大量の微粒子により形成される小球の物理的寸法は取り扱われる液体容量にと共に急速に成長するため、小さな点の周りの小さな容量に移動させることはできない。大量の微粒子は大きな面積かまたは特別な凹みに集めなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
この発明の目的は上述の欠点を持たない方法と装置を確保することである。本発明の磁気移動法の特徴は以下の通りである。
【0025】
この発明は特に微粒子を積極的に集め、そしてそれらを一つの液体から他の液体へ移動させることに関係する。この方法はその中で微粒子が色々な移動、洗浄そして孵化段階で取り扱うことができる自動機器において特に使用可能である。自動機器に対しては例えばPCR反応または色々なラベルを検出するために設計されたユニットを接続することができる。
【課題を解決するための手段】
【0026】
1.発明の移動装置
また本発明は微粒子の移動のための装置にも関係する。
【0027】
本発明の装置の基本的な技術特性は磁場の強度と周囲の保護膜に関するその連携が調整が可能なことである。これは以下のように強磁性管の中で磁石を動かすことにより実行できる。即ち磁石を管の内側に完全に入れることができ、この状況では磁石の力は非常に小さいかまたはゼロであり、また、磁石を管の外側に一部または全部を出すことができ、この状況では磁石の力と集合表面は磁石の突き出た部分に比例する。これらの特性を微粒子を適当な寸法の容器へ移動させることと結合することにより大変効率的な集合と濃縮処理が達成される。
【0028】
管は鉄または管を通過する漏えい磁束を防止するため適当な磁気特性を有する他の適当な材料でできている。磁石の力は磁石の一部が管中にあるように強磁性管に対し磁石の位置を変化することにより調整できる。代わって磁石は、強磁性管が磁石に対し動く間は静止状態に保持することができる。磁石は強磁性または非強磁性でこれにより磁石を強磁性管の中で動かすことができる棒に取り付けられる。
【0029】
この発明で記述される強磁性管の特性と利点は少なくとも以下のことを含む。
1.管は磁石とその膜を機械的な圧力より保護する。
2.管は磁石棒の構造と特に管と可動ピンの間の接続部を補強する。
3.管は磁石の集合表面と集合力の調整を可能にする。
4.管は特に磁石が管の内側にあるとき磁場に敏感な外部の装置を保護する。
5.管は弾力性のある保護膜を伸ばし、そしてまたは形作るために使うことができる。
【0030】
磁石は例えば丸い棒またはピンの形を有してもよいし、しかし他の形でもよい。また磁石の磁化軸は色々ある。磁化軸は長さ方向でもよく、この場合はそれは棒の長さ方向の軸の方向に伸び、そして磁極は磁石の両端にある。このようにして磁化方向は強磁性管の方向即ち磁石または管の動く方向と同一である。
【0031】
しかしまた磁石の磁化軸は横方向即ち強磁性管および棒状磁石の長さ方向の軸に垂直でもよい。この場合の磁化方向は磁石または管の動く方向に垂直である。
【0032】
一方また磁石はお互いに似ていてもよいしまた異なってもよく、そして磁力または強磁性または非強磁性材によりお互いに保持し合う多くの別個の磁石より構成してもよい。また磁石は磁性材料と強磁性材料の組み合わせでもよい。また磁石は永久磁石または電磁石のどちらでもよい。
【0033】
本発明による磁石配置、保護膜そして容器を使用することにより微粒子は大容量および小容量の液体の両方において非常に効果的に操作することができる。磁石ユニットの先端部に近い範囲への微粒子の濃縮は大容量よりの濃縮と小容量での微粒子の操作の両方を可能にする。このように本発明は微粒子を含有する大規模および小規模用途の両方に対し普遍的な解決法を記述している。
【0034】
本発明は大容量および小容量の液体から微粒子を集めそして移動させるために広く使用できる最適の解決法を提供する。特に本発明は微粒子の大容量の液体からの集合とそれらの小容量の液体への解放を容易にする。
【0035】
本発明はいかにして保護用ビニールまたはゴム状の膜の外側の特別形状により、膜の周囲に大量の微粒子を有利に信頼性高く集めるための充分な支援が達成されるかを記述している。特別な形状は例えば色々な寸法と深さの溝、ピットそしてまたは突起を意味する。微粒子はこれらの形状により形成される凹みに集められるため、小球は液体の流れに対しそして磁石ユニットが動いているとき、膜より特別な支援を得る。非常に重要な要因は粘度の高いサンプルによりもたらされる影響でこれは最悪の場合微粒子は膜表面に留まらず、溶液中に残存する。大容量の取り扱いにおいて前述の形状は当然信頼性のある集合の点で大きな利点を提供する。
【0036】
本発明に記述した装置と方法は非常に大容量の取り扱いに使用することができ、一方また小容量にも適用することができる。この方法は磁石ユニット、これと共に使用される容器、そして液体容量が最適である場合特に効果的である。特に液体表面のレベルを調整するために磁石ユニットにより置換される液体容量を使用することは濃縮段階では非常に効果的な方法である。最初に微粒子の集合範囲と強度、および微粒子の物理的場所がそれぞれの場合の要求に応じ、調整できる装置と方法について記述している。
【0037】
本発明においては、多くの色々な用途において微粒子を集めるために使用することができる装置と方法について記述している。本発明における基本的な技術的解決法は強磁性管により磁場の力を制御することの可能性であり、そしてその周囲に微粒子が集められる周囲の保護膜に対する適用である。磁石は強磁性管に対して内側および外側へ動かすことができ、それにより磁場を変化させる。磁石が外側の位置にあるとき、保護膜は強磁性管の外側にある磁石の部分に対応した寸法の磁場により作用される。微粒子は次に保護膜の外側上に集めることができる。磁石が完全に強磁性管の中へ移動した場合は外側の範囲には意味のある磁場は存在しない。この場合微粒子は保護膜の周りに集まらず、溶液内に留まる。管は不変かまたは最適な集合効率が達成されるように調整可能である。
【0038】
本発明の方法と装置は以下の解決法と特性を認める。
1.大量の液体から微粒子を集めること。
大量の微粒子を集めること。
3.少量の液体においておよび少量の微粒子の集合において同じ装置を使用すること。
4.磁石の一端のみでまたは磁石の全表面にわたり微粒子を集めること。
保護用硬質ビニールカバーの使用により微粒子を集めること。
6.伸縮可能なゴム状のビニールカバーの使用により微粒子を集めること。
磁石またはその周りのスリーブの移動のような色々な移動を利用すること。
8.濃縮において色々な容器を使用すること。
9.微粒子を少量の液体中へ解放すること。
微粒子を集めるための最適な幾何学的配列を創出するために色々な磁石を利用すること。
効果的な混合
試験管またはマイクロタイターウエルが保護フィルムにより閉ざされること。
【0039】
微粒子は親和性配位子、酵素、抗体、細菌、細胞または細胞器官を含む。また所要成分の拘束は使用される微粒子の表面特性と、サンプルより所要の成分を有利に拘束するために適切な方法で緩衝液の組成を選択することによりもたらされる。例えばイオン交換法、疎水性および逆相クロマトグラフィーである。これらにおいて例えば微粒子表面からのタンパク質の拘束および解放は適切に選定された緩衝液および溶液を使用することにより達成される。これらの場合において大変重要な要因は例えば塩分とpHである。
【0040】
親和性配位子は例えばDNA(デオキシリボ核酸)、RNA、mRNA、またはcDNA(補完DNA)、またはPNA(ペプチド核酸)、タンパク質、ペプチド、多糖類、オリゴ糖、小分子化合物またはレクチンのような、例えば一本鎖または二本鎖のヌクレオチド配列でよい。また親和性配位子は以下の一つでよい。オボムコイド、タンパク質A、アミノフェニールホウ酸、プロシオン赤、ホスホリルエタノ−ルアミン、タンパク質G、フェニールアラニン、プロテアミン、ペプスタチン、デキストラン硫酸塩、EDTA(エチレンヂアミン4酢酸)、PEG(ポリエチレングリコール)、N−アセチル−グルコ−スアミン、ゼラチン、グルタチオン、ヘパリン、イミノ2酢酸、NTA(ニトリロ3酢酸)、レンチルレクチン、リジン、NAD(ニコチアミド・アデニン・ヂヌクレオチド)、アミノベンザミヂン、アクリフラビン、AMP、アプロチニン、アビヂン、ストレプタビヂン、ボビン血清アルブミン(BSA)、ビオチン、コンカナバリンA(ConA)、そしてシバクロン青。
【0041】
酵素または親和性配位子を微粒子上に固定することは、周囲の溶液がそれと接触できるように、酵素または配位子が粒子表面に付着することか、またはそれが「鳥かご状」の粒子に捕らえられることを意味する。
【0042】
酵素または配位子は例えばキャリアーの中にあるアミノ基または水酸基による共有結合により微粒子に付着することができる。代わって結合は例えばビオチン−ストレプタビヂン対のような生物親和対を使用することにより創出することができる。一つの手順によると、固定される酵素は例えば大腸菌におけるDNA組換え技術によりもたらされ、そして特別な親和性の尾が酵素に作られる。この親和性の尾は当の親和性の尾と強力な結合を形成する成分が適切に付着している微粒子と結合する。親和性の尾は小さな分子化合物かまたはタンパク質かもしれない。このような配置により微粒子は所要の酵素の精製に効果的に利用することができ、そして同時に微粒子に拘束される酵素は微粒子表面に固定され、本発明に記述される方法の使用に備える。
【0043】
また酵素または親和性配位子は吸収のような特異でない非共有結合により微粒子に付着する。
【0044】
本発明は広く色々な寸法の容器より微粒子を集め、そして一つの容器から他の容器へ微粒子を移動させるための装置と方法に関するものである。特に本発明はこれにより微粒子を大きな容量から集め、小さな容量へ濃縮する装置について記述している。「微粒子」という概念はこの本文ではなるべく0.01〜100μmの寸法を有する粒子を指すこととする。また微粒子は例えば直径数mmの粒子のような比較的大きな粒子より構成してもよい。本発明で微粒子は例えば常磁性、超磁性または強磁性の粒子のような磁気的であるかまたは磁化できる材料でできているか、または微粒子は磁気的なまたは磁化できる物体に付着し、そしてそれらに付着する例えば親和性のある基または酵素を有する微粒子が、最初の容器に浸漬された磁石ユニットにより捕捉され、磁石ユニットは別の容器に移動され、そして微粒子は本発明で記述したような適切な色々な方法で磁石の作用により解放される。代わって微粒子は特に磁石ユニットより引き離す必要はない。
【0045】
微粒子を捕捉するために使用される磁石は永久磁石かまたは電磁石のどちらでもよい。磁石の形状は用途により色々ある。磁場は例えば長さ方向に磁化された磁石、磁石の直径方向に磁化された磁石、または一つの中に数個の磁極からなる磁石など色々な磁石で異なる。また個々の磁石はお互いにまたは適切な強磁性または非強磁性のアダプターにより接続される。
【0046】
保護膜はポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、そしてポリエチレンのような弾力性のない材料でできていてもよい。また保護膜は非強磁性金属または強磁性金属でできていてもよい。また保護膜はシリコンゴム、フッ素系ゴム、ポリクロロプレン、ポリウレタン、またはクロロスルホン化ポリエチレンのようなゴム状弾性材料でできていてよい。また保護膜は特殊な物質で処理されそれにより保護膜の特性が変化する。このように保護膜それ自身は、例えばテフロン(PTFE、4フッ化ポリエチレン)で覆われている。保護材料と、最終結果として非常に強力なまたは腐蝕性の化学物質でも本発明による操作ができるような方法で可能な付加的処理を選択することが特に重要である。また保護膜は例えば8、12または96チャンネルの装置にていくつかの別個の磁石ユニットを保護できるような形状をしている。保護膜の形状は管状、シート状または不規則な形状のいずれでもよい。ゴム状の保護膜の使用は、またこの場合内側の磁石および強磁性管が保護膜を形作るため、特に広い範囲の可能性を提供する。
【0047】
保護膜の望ましい代替案は、弾力性のある材料の滑らかなまたはシート状の保護シ−スである。この種の保護シ−スは特別な枠上の別個の弾力性のあるシ−スでよい。枠の目的は保護シ−スの使用を容易にし、そしてシ−スに伸縮特性を与えることである。ほかの代替案はロール状の具体例で、この場合保護膜はロールから新しい保護膜を広げることにより簡単に交換することができる。この代替案はまた保護膜が実際使用中に伸ばされつつある場合は特別な支えまたは運び台となる枠の使用からなる。一枚のシートから形成されるこの種の保護膜の使用は分離と洗浄処理における材料消費を削減する場合は非常に推奨すべき代替案である。またシート状の保護膜の使用は鋳造道具により製造される形作られた大型の保護シ−スの使用より経済的に安価である。
【0048】
自動機器におけるシ−ト状保護膜の使用は非常に簡単な効果的な代替案である。シ−ト状の保護膜を使用する場合、最初の段階で強磁性スリ−ブにより初期伸張を行うことが可能である。この段階で磁石はまだ強磁性スリ−ブの内側にあり、そして保護膜の外側にある微粒子は磁場に曝されていない。保護膜が伸びた状態にある間に磁石は適切に強磁性スリ−ブの内側から同時に引き抜くことができる。磁石はこの場合保護膜を尚更に伸ばし、磁石の一極または両極の範囲の保護膜の周りに微粒子を集めさせる。磁石をスリ−ブの中で中または外方向に動かすことにより試験管内の溶液は磁石により混合することができる。また混合は強磁性スリ−ブを上下に動かすことにより行うことができる。
【0049】
上述の具体例は96または384ウエルを有するマイクロプレートのような小型容器での微粒子操作において特に有利である。液体と微粒子の混合について記述した方法は装置全体を動かす必要がないため有利である。混合は磁石そしてまたは強磁性のスリ−ブを動かすだけで行われる。上述の解決法は処理過程で伝統的なシェーカーが全く必要がないため、特に最適である。よく知られるように伝統的なシェーカーは少量の液体を効果的に混合することはできず、そして特にそれらは溶液の中に微粒子を保持することができない。このように以前の技術による装置に伴う大きな問題は微粒子がウエルの底に素早く沈殿することである。
【0050】
小容量の液体が使用される上述の以前の技術によるマイクロプレートにおいて、孵化と混合中の液体の蒸発はまた特に決定的な問題である。本発明による記述した方法で保護膜を使用することにより、保護膜はウエルの開きを同時に閉鎖し、これにより液体の蒸発を減らすため、また微粒子は小容量で操作することができる。従って本発明によりマイクロプレ−トは混合と孵化中にアルミ、ゴムまたは粘着テープの個別の閉鎖カバーを備える必要はもはやない。
【0051】
特に別個の保護膜が移動装置上で使用される場合は、保護膜の先端部は特別な方法で形作られる。先端部の形状は例えば粘着性の生物学サンプルから他の容器に最大量の微粒子を信頼性高く移動させることを達成するように設計される。多数の微粒子を延長された保護膜の先端部に集める場合は、これは長さ方向に磁化された永久磁石の場合に起こることであるが、最も外側の微粒子層は絶えず解放されそして溶液中に取り残される危険にさらされる。また溶液と大気間の界面張力は大変強く微粒子を解放しようとする同様の影響をもたらす。
【0052】
しかし保護膜は微粒子が移動装置作動時に起こる液体の流れに関係なく、そして液体表面の貫通および液体表面の表面張力の影響に関係なく保護膜にできるだけ強力に付着するように形作ることができる。この目的のため、保護膜の先端は集められた微粒子をほかの溶液へ信頼性高く移動させることを保証するため色々な凹みと突起を備えることができる。この場合保護膜は伸縮可能かまたは伸縮不可の材料のいずれでもよい。
【0053】
伸縮可能な材料でできた保護膜は、多数の微粒子を信頼性高く集めそして一つの容器から他の容器へ移動させることを保証するような特別な方法で形作られる。この目的のため、保護膜の端部はそこへ微粒子が集まる特別な突起と凹みを備える。この場合これにより微粒子が広い表面に集めることができるような横方向に磁化された磁石を使用することが望ましい。保護膜の形により大量の微粒子を支える特別な構造が生み出される。また形は液体流と液体張力の妨害効果に影響する手段である。伸縮可能な材料が使用され、そして膜は部分により厚みが異なる場合、保護膜の突起と凹みは色々な状態に伸ばされる。この現象は微粒子の解放、そして特に溶液の効率的な混合を達成するための両方に効果的に利用することができる。
【0054】
大量の微粒子を小容量に濃縮する場合、微粒子が保護膜表面より効果的に解放されるようにするため効率的な混合の使用が必要である。記述した方法では、保護膜自身は混合を引き起こす要素として機能し、従って混合を行う非常に効果的な装置となる。もっとも望ましい場合は、保護膜はその色々な部分が色々に形作られる。微粒子が溶液より集められる場合、磁石は下方向に動き一方保護膜は同時に伸ばされる。保護膜が伸びつつあるとき、その表面の特別な形は微粒子を保護膜表面の隠れた、または支える部分に集めさせる。微粒子が保護膜より解放される場合、磁石は強磁性のスリ−ブの中を上方向に移動する。微粒子の解放を保証するには、強磁性スリ−ブを同時にに下方向に動かし、こうして保護膜を伸ばし、次に再度上方へこれらの動きが適切な方法で繰り返される。
【0055】
同時に適切に形作られた保護膜が浸漬された振動ポンプのように機能するため、容器中での液体の非常に効果的な混合が達成される。代わりにまた上記の現象に基づき、効果的な混合の達成を希望する場合は保護膜を伸ばすように磁石を下方向へ動かすことができる。また強磁性管の代わりに磁石を動かすことは、微粒子を磁石の方向へそして保護膜表面の方向へ動きを引き起こし、こうして混合効果を更に高める。またこれらの前述の液体混合方法は適切な組み合わせで使用することができる。またこのような混合法は長さ方向に磁化された磁石を使用する場合にうまくいく。
【0056】
2.本発明の反応装置ユニット
また本発明は微粒子の反応装置ユニットに関係する。本発明の望ましい具体例によると、また本発明の移動装置は反応装置ユニットを構成し、そこでは容器または反応装置は色々な材料でできており、そして色々な形状を有する。反応室を形成する容器は液体の入り口と出口のための一個以上の開き口を備える。容器はそれにより処理される液体が再処理のため容器に再循環されるような配置よりなる。容器はお互いに適切に接続された色々な種類と寸法の数個の容器よりなる、より大きな組み合わせの一部を形成する。
【0057】
本発明に記述される強磁性管は単一の管、多数集まった管または個々の管が管の特別な配列を形成するような配置よりなる。本発明の具体例において、強磁性管はその中で一個以上の磁石が動くことができる一個以上の穴を持つ特別な強磁性管である。このような配置は例えば8,24,48,96そして384ウエルを有する例えばマイクロプレートまたはこれと同等の物のようなプレート型の小容器の取り扱いにおいて特に有利である。
【0058】
特に非常に大容量の取り扱いにおいては、大量の微粒子に対して集合表面を更に増加させるため、数組みの磁石ユニットを組み合わせて磁石ユニットの集団を形成することが望ましい。加えて大量の微粒子の操作のための有利な代替案は保護膜を形作ることにより達成することができる。
【0059】
開示した装置を使用して微粒子は数個の異なる容器から集めることができ、または液体が定常流として棒を通って流れるような配置を使用することができる。後者の代替案は大容量の操作でも比較的容易であるという利点を提供する。これら両方の場合において基本的な前提は、粒子は溶液中では最初は自由であり、次にそこから本発明に記述される方法によりそれらが集められるということである。
【0060】
本発明によると、数個の磁石棒は一枚の保護膜の内側にその内周に沿って適切な方法で配置される。これは非常に大容量の液体の処理に使用される非常に大きな保護膜の場合に特に適用される。他の代替案は大きな保護膜の内側で単一の非常に大きな磁石棒を使用することである。
【0061】
本発明による他の可能な解決方法は、微粒子を集めるための磁石棒と、そして本発明で記述した方法で液体表面を波立たせるための特別な装置または棒よりなる。この解決法は磁石棒は少しも動かず、液体と微粒子のかき乱しはこの目的のために特別に設計された要素により行われるような解決法を可能にする。このような解決法に使用される容器または反応装置は記述した要求を満足させるように適切に設計される。
【0062】
本発明の具体例はその各々が別個の保護膜を備えた多くの個別の磁石棒よりなる。これらの磁石棒はその中で各棒がその周りに適切な量の微粒子を集めるように、列状の扇、円弧または数個の円弧群のような適切な配列で集められる。
【0063】
このような配列が更に必要な液体の添加を可能にし、そしてそこを通って処理される液体を排出できる別個の弁を有する閉じた容器または反応装置の中に付加的に配置されるなら、このように達成された解決法は非常に大容量の液体の処理に使用することができる。もしこのように記述された種類の反応装置がその片側に配置され、そして磁石システムが反応装置の保護ケースに対して回転できれば、またこの解決法は液体サンプルと微粒子が操作される場合混合機能を提供するであろう。また微粒子は磁石棒に前もって付着するかもしれないし、処理中に適切方法で磁石棒の保護カバ−上に付着するかもしれないし、そしてこのようにして反応装置内の活性表面は非常に大きくなるだろう。混合により処理される液体は例えばタンパク質のような所要の成分が棒上の微粒子に付着するように微粒子間を流れるようにすることができる。一方容器または反応装置内で液体の流れを適切に起こすことにより微粒子間に液体の流れを起こすことができる。
【0064】
本発明の装置および方法は例えば分子生物学またはタンパク質の精製に限定されるのではなく、微粒子に拘束された配位子を例えば診断用途、生体臨床医学、病原体濃縮、化学物質の合成、細菌と細胞の分離など色々なサンプルから所要の成分を合成、拘束、分離、精製または濃縮するために使用することができる分野にそれらは一般に適用できる。
【発明の効果】
【0065】
1.本発明の実施形態
本発明の装置は例えばタンパク質化学、分子生物学、細胞生物学、そしてタンパク質合成の分野で、我々にとって大変広い範囲の適用領域に適用できる。本発明は工業、診断、分析そして研究に適用できる。
【0066】
タンパク質の精製においては、小容量で精製試験を行う必要があり、一方容積を非常に大容量に増加させる必要がある。記述された本発明を使用して必要な色々なサンプル容量からタンパク質精製操作を行うことができる。タンパク質科学者は例えば細胞の溶解分離物からのような、できるだけ僅かの前処理しか受けていないサンプルよりタンパク質を精製することもできる必要がある。また色々なニ−ズにより精製容積を変化させることができることも重要である。今日これは使用されるカラム寸法を変化させることにより可能である。精製手順が進行するに従い、タンパク質の濃縮は主要な操作の一つになる。実際これはタンパク質の重大な損失または変性がなく、液体容量を減少させることを意味する。現在最も普通に使用される方法は透析またはろ過である。両方の方法とも非常に時間を要する。この発明に記述される装置と方法はタンパク質分野において色々なサンプル容量の使用に適用できる幅広い方法を提供する。容積は新しいカラムを確保または作製しなくても容易に変化させることができる。単に多数の微粒子がより大容量のサンプルに選択され、そしてタンパク質の拘束後、微粒子とタンパク質が本発明で記述される装置と方法により溶液より集められる。洗浄操作は同一容器内か、または容器を変更することにより行うことができる。前者の場合、使用された洗浄緩衝液は容器より排出して新しい洗浄緩衝液と置換しなければならない。また緩衝液の変更は色々な弁配置または吸引配置を使用することにより行うことができる。洗浄操作の後に望むなら微粒子に拘束されたタンパク質を小容量に解放し、そしてタンパク質溶液を効果的に濃縮することができる。要求により容量の削減はより小容量に向けて一歩ずつ行うことができる。
【0067】
本発明の装置と方法を使用して、例えばイオン交換クロマトグラフィ−、逆相クロマトグラフィ−、疎水性クロマトグラフィ−、そして親和性クロマトグラフィ−式精製操作を行うことができる。ゲルろ過でさえ記述した装置を使用して行うことが可能であるが、それは例えばカラムの中で実際にゲルろ過を行い、次に本発明の装置により微粒子を集め、そしてタンパク質を小容量に排出することが要求される。この方法は伝統的なゲルろ過カラムと比較して、例えばサンプルをあまり希釈せずにサンプルより塩分を除去することを可能にする。
【0068】
色々なタンパク質、糖類、脂肪そして色々ないわゆる生体高分子の処理における固定された酵素の使用は、開示された本発明の非常に重要な適用領域である。溶解する酵素の使用との比較で重要な特徴は固定された酵素は容易に再使用できるという事実である。開示された発明は固定された酵素を更に使用するための効果的な洗浄を容易にする。
【0069】
以下は例えば工業で使用される主な酵素群と個別の酵素の2〜3の例である。
1.カーボンヒドラ−ゼ:α−アミラ−ゼ、β−アミラーゼ、セルラーゼ、デキストラナーゼ、A−グルコシダーゼ、α―ガラクトシラーゼ、グルコアミラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペントサナーゼ、キシラナーゼ、インバーターゼ、ラクターゼ、ペクチナーゼ、プルラナーゼ
2.プロテアーゼ:酸性プロテアーゼ、アルカリ性プロテーゼ、ブロメライン、フィシン、中性プロテアーゼ、パパイン、ペプシン、ペプチダーゼ、レニン、チモシン、サブチリシン、テルモリシン、トリプシン
3.リパーゼとエステラーゼ:トリグリセリダーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、アセチルコリネステラーゼ、ホスファターゼ、フィターゼ、アミダーゼ、アミノアシラーゼ、グルタミナーゼ、リソザイム、ペニシリンアシラーゼ
4.イソメラーゼ:ブドウ糖異性化酵素、エピメラーゼ、ラセマーゼ
5.オキシドレダクターゼ:アミノ酸酸化酵素、カタラーゼ、クロロペル酸化酵素、ブドウ糖酸化酵素、水酸化ステロイド脱水素酵素、アルコール脱水素酵素、アルデヒド脱水素酵素、ペル酸化酵素
6.リアーゼ:アセトラクテート脱炭酸酵素、アスパルチックβ−脱炭酸酵素、フマラ−ゼ、ヒスチダ−ゼ、DOPA脱炭酸酵素
7.トランスフェラーゼ:シクロデキストリングリコシル転写酵素、メチル転写酵素、トランスアミナーゼ、キナーゼ
8.リガーゼ:
9.ホスファターゼ:アルカリ性ホスファターゼ
【0070】
酵素の使用は例えば脂質、タンパク質、ペプチド、ステロイド、糖類、アミノ酸、医薬物質、合成ポリマー、芳香剤、化学物質そしていわゆるキラル化学物質の合成および改良処理のような多くの工業分野で非常に一般的な慣習である。
【0071】
また例えばエンドグリコシダーゼやエキソグリコシダーゼのようなグリゴ生物学で使用される色々な酵素の合成や分割は本発明の範囲に含まれる。同様に制限酵素、核酸分解酵素、リボザイム、ポリメラーゼ、リガーゼ、逆転写酵素、キナーゼ、そしてホスファターゼなど分子生物学への適用でよく知られる酵素は本発明に記述される方法の範囲に含まれる。DNA/RNA修飾酵素の例はCIAP(カルフ・インテスティナル・アルカリホスファターゼ)、大腸菌アルカリ性ホスファターゼ、エキソ核酸分解酵素(例えばPI核酸分解酵素、SI核酸分解酵素)、リボ核酸分解酵素、Rナーゼ(例えばパンクレアチックRナーゼ、RナーゼH、RナーゼT1、RナーゼM、RナーゼT2)、DNAリガ−ゼ、RNAリガ−ゼ、DNAポリメラーゼ、クレノウ酵素、RNAポリメラーゼ、DNAキナーゼ、RNAキナーゼ、末端転移酵素、AMV逆転写酵素、そしてホスホヂエステラーゼである。これらおよび他のDNA/RNA修飾酵素は分子生物学の研究と適用の両方において非常に様々な方法で使用される。タンパク質合成およびタンパク質科学において、タンパク質分解酵素は大変重要な酵素であり、その例はトリプシン、チモトリプシン、パパイン、ペプシン、コラゲナーゼ、ヂペプチヂルペプチダ−ゼIV、そして色々なエンドプロチナーゼである。また合成酵素、触媒抗体、そして多酵素複合体は本発明で述べる方法で使用される。本発明の使用は酵素や例えば組織溶媒液中のような無水状態の他の触媒成分の使用によって制限されない。
【0072】
分子生物学分野における本発明の応用の具体例として以下に述べる。
【0073】
2.DNA注入のクローン技術
DNA注入のクローン技術に必要な成分は制限酵素群(例えばEcoRI、HindIII、
BamHI、PstI、SalI、BglII、KpnI、XbaI、SacI、XhoI、HaeIII、PvuII、NotI、SstI、BglI)、平滑末端の創出群(例えば熱的に安定なポリメラーゼ、クレノウ断片DNAポリメラ−ゼI、ムングビ−ン核酸分解酵素)、結紮群(例えばT4DNAリガ−ゼ、大腸菌DNAリガーゼ、T4RNAリガーゼ)、リン酸化反応群(例えばT4ポリヌクレオチドキナ−ゼ)、脱リン酸化反応群(例えばCIAP、大腸菌アルカリ性ホスファタ−ゼ、T4ポリヌクレオチドキナーゼ)、そして欠失群(例えばT4DNAポリメラーゼ、熱的に安定なポリメラーゼ、ExoIII核酸分解酵素、ムングビーン核酸分解酵素)を含む。
【0074】
3.cDNAの合成およびクローン技術
逆転写酵素、RナーゼH、DNAポリメラーゼI、T4DNAポリメラ−ゼI、大腸菌DNAリガーゼがある。
【0075】
4.核酸の標識化
5'標識化群(例えばT4ポリヌクレオチドキナーゼ)、3'添加群(例えばT4RNAリガーゼ)、3'代用群(例えばクレノウ断片DNAポリメラ−ゼI、T4DNAポリメラ−ゼ)、3'交換群(例えばT4DNAポリメラーゼ、熱的に安定なポリメラーゼ)、ニックトランスレ−ション群(例えば大腸菌DNAポリメラーゼI、熱的に安定なポリメラーゼ)、置換合成群(例えばT4DNAポリメラ−ゼ、熱的に安定なポリメラーゼ、エキソIII核酸分解酵素)、ランダムプライミング群(例えばクレノウ断片DNAポリメラーゼI、熱的に安定なポリメラーゼ)、そしてRNAプローブ(例えばT7RNAポリメラーゼ、SP6RNAポリメラ−ゼ)、がある。
【0076】
5.核酸の配列
DNAの配列群(例えば大腸菌DNAポリメラーゼI、クレノウ断片DNAポリメラーゼI、熱的に安定なポリメラーゼ)、そしてRNAの配列群(例えば逆転写酵素、熱的に安定な逆転写酵素)がある。
【0077】
6.核酸の突然変異
有向オリゴヌクレオチド群(例えばT4DNAポリメラーゼ、T7DNAポリメラーゼ、熱的に安定なポリメラーゼ)、そしてミスインコーポレーシヨン群(例えばエキソIII核酸分解酵素、クレノウ断片DNAポリメラーゼI、熱的に安定なポリメラーゼ)がある。
【0078】
7.マッピング
制限群(例えばエキソIII核酸分解酵素)、足型群(例えばエキソIII核酸分解酵素)、そして転写群(例えば逆転写酵素、ムングビーンヌ核酸分解酵素)がある。
【0079】
8.核酸の精製
染色体DNAの分離と精製、PCR断片、DNA/RNAプローブそしてプラスミドDNAがある。
【0080】
9.DNA診断技術
DNAマッピング、DNA配列、SNP分析(単ヌクレオチドポリモルフィズム)、染色体分析、DNAライブラリー、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)、逆PCR,LCR(リガーゼ連鎖反応)、NASBA(核酸鎖単位の増幅)、Q−βレプリカーゼ、リボ核酸保護検定がある。
【0081】
10.DNA診断
RFLP(制限断片長多形)、AFLP(増幅断片長多形)、細胞感染診断、細菌の抗体反応、DNA指紋、SAGE(遺伝子発現の連続分析)そしてDNA配列がある。
【0082】
また開示された方法は細胞分離で広く利用することができる。関連のある細胞は幹細胞、β−リンパ球、T−リンパ球、内皮細胞、グラニロサイト、ランゲルハンス細胞、白血球、単核白血球、大食細胞、骨髄細胞、NK(ナチュラルキラー)細胞、レチクロサイト、栄養膜、癌細胞、核酸注入細胞、そしてハイブリド−マ細胞を含む。細胞の分離は例えば直接または間接細胞分離技術のような一般に知られた方法を使用して行うことができる。最初に述べた直接分離法においては、所要の細胞は例えば特殊な抗体を利用することにより、それらを微粒子上に拘束することによりサンプルより集められそして分離される。間接法においては所要の細胞の代わりにサンプル中の残りのすべての細胞を素早く微粒子に拘束させる。この場合所要の細胞は溶液中に残留する。
【0083】
本発明に述べた方法は細菌、ウイルス、イーストそして他の多くの単細胞または多細胞の生物の精製、そしてまたは濃縮によく適用できる。適用の特に重要な領域は例えばサルモネラ、リステリア、カンピロバクター、大腸菌O157そしてクロストリヂウム、ウイルス、寄生生物、原生生物、または他の微生物のような病原菌を大容量の液体から濃縮することである。本発明に記述される装置と方法はこれらの適用分野においても同様に利用することができる。
【0084】
生物触媒作用は一般に細菌、酵素、または処理に酵素を含む他の成分の使用を意味する。酵素または細菌は適切なキャリアー上に固定され、処理される物質は例えば伝統的なカラムを使用することにより、固定された成分と接触するように持ち込まれる。この発明により細胞または酵素は微粒子に適切に付着し、次に色々な酵素反応を実行するために本発明により使用される。
【0085】
また細胞器官と色々な細胞片の分離は本発明の適用範囲に属する。細胞器官は例えば特殊な抗体または色々な親和性配位子を利用することにより通常の方法で分離することができる。
【0086】
核酸の精製においてはごく少量のDNA(デオキシリボ核酸)、RNA(リボ核酸)またはmRNA(メッセンジャーRNA)の精製から、多リッターの大量の処理まで広く色々なニーズがある。この発明による方法により核酸は大量および少量の両方のサンプルから効果的に分離することができる。
【0087】
この方法を利用して分離と精製処理は色々なニーズに従い連結することができる。例えば所要の細胞は最初にサンプルより分離され、そして精製される。この後例えば細胞器官は分離され、細胞より切り離される。細胞器官は精製され、そして処理は例えばDNAまたはタンパク質の精製へ続けることができる。処理中に色々な保護膜や特性を備えた微粒子が、ニーズに応じて交代で使用することができる。最後の段階は精製された製品を所要の容量に濃縮することである。
(図を用いた詳しい説明)
【0088】
図1Aは、強磁性管またはスリ−ブ12よりなる本発明の磁石ユニット10の具体例を示す。管またはスリ−ブの内側には棒または駆動ロッド11により動く永久磁石13が設置される。磁石13とロッド11間の接続部は参照番号14で示され、そして管12の先端の開き口は参照番号15で示される。ロッド11と管12をその内側で軸方向に相対的に動かすことにより棒磁石13の先端は管12の先端にある開き口15を通って押し出される。言い換えるとロッド11とそれに接続される磁石13は管12の内側で動くことができ、または管12はロッド11と磁石13が静止している間に動かすことができる。代わって部分12と13も動かすことができる。これらのどれかの技術の一つを使用して磁石13は管12の先端にある開き口15を通って押し出すことができ、そして管12へ戻すことができる。
【0089】
図1Aにおいてロッド11の直径は磁石13の直径より大きい。磁石13はロッド11の先端に備えられるスロットの中へ磁石13の端を挿入することによりロッド11に取り付けられている。スロットと磁石13の端は磁石13とロッド11が共に接続された状態を保てるように狭い許容差でお互いに取り付けられる。この解決法の強磁性管12の内径は磁石13の直径より大きいため、これはある場合は欠点となるかもしれない。
【0090】
図1Bは磁石ユニット10の第二の具体例を示し、ここでは磁石13とロット11は同じ直径を有する。磁石13とロッド11の間の接続要素は薄壁のスリ−ブ16であり、その中へロッド11と磁石13の両方の端が挿入される。薄壁のスリ−ブ16の内径はスリ−ブ16と磁石13間の合い具合と、スリ−ブ16とロッド11間の合い具合はこれらの部品が共に接続状態を保てるように充分きつく設計されている。スリ−ブ16は薄壁構造を有するため、磁石13の直径は強磁性管12の内径にほぼ同じである。
【0091】
図1Cは磁石ユニット10の第三の具体例を示し、ここでは強磁性管12は狭められた開き口15を有する。このようにしてスリ−ブ16の内径が磁石13の直径より明らかに大きい場合でも、磁石13と管12の間の適切な間隔は確保される。
【0092】
図1Dは磁石ユニット10の第四の具体例を示し、ここでは磁石13とロッド11間の接続部14は接着剤を使用して行われる。この解決法においては磁石13とロッド11は同じ直径を有し、これらの部品と管12の内面間に適切な小さな間隔が生ずるようにする。
【0093】
図1Eは磁石ユニット10の第五の具体例を示し、ここでは磁石13とロッド11は、磁石13がロッド11を引き付け磁石13ときっちり接触するように磁石13自身の磁力によりお互いに接続される。この解決法はロッド11が強磁性材でできている場合だけ可能である。この解決法ではまた磁石13とロッド11は同じ直径を有する。
【0094】
図1Fは磁石ユニット10の第六の具体例を示し、ここではロッド11の端部は磁石13の端部に形成されたスロットへ挿入される突起を備える。接続部14において突起とスロット間の合い具合は、これらの部品が共に接続を保持するのに充分きっちりしている。
【0095】
図1Gは磁石ユニット10の第七の具体例を示し、ここでは電磁石が永久磁石の代わりに使用される。この解決法において、ロッド11は強磁性材で作られ、そしてそれはその一端の周りに設置された巻き線27を有する。巻き線は電源が巻き線27に接続されるとき、ロッド11に磁場を誘発する。このようにロッド11は電磁石として機能し、それに接続される別の永久磁石を必要としない。
【0096】
図2Aはそこでは磁石13が図1Bにおける解決法に相当するような方法で取り付けられ、言い換えると磁石13はスリ−ブによりロッド11に接続されるような、磁石ユニット10の具体例を示す。しかし図1Bの場合、磁石の磁化方向についての記述はなかった。図2Aにおける磁石ユニット10において、磁石13は磁石13の長さ方向の軸の方向に磁化される。
【0097】
図2Bに示される磁石ユニットの具体例は、磁石13の磁化方向は横、即ち磁石13の長さ方向の軸に垂直であることを除き、他の点では図2Aにおける解決法に一致する。しかしまた図2Aおよび図2B共に磁石13は他のいかなる方法でもロッド11に接続できる。
【0098】
図2C~2Gは色々な具体例において磁石ユニット10の磁石13により発生する磁場を描写する図を示す。
【0099】
図2Cで示される磁石ユニット10の磁石13は図2Aにおけるように長さ方向に磁化されている。図2Cにより示される状況において磁石13の一端は管12より一部突出しており、それでその磁場17は磁石13の遠い方の端から管12の端まで延びる。この解決法については最大磁束密度は磁石13の自由端の周りに発生し、この範囲は図2Cで参照番号18により指し示される。記述した解決法により微粒子の大部分は磁石13のこの端にだけ集められ、従って集められる微粒子の量は制限される。
【0100】
図2Dは磁石13の磁化軸が横方向、即ち図2Bのような場合の磁石ユニット10の磁石13の磁場を示す。この場合発生する磁場19は磁石13上全体に一様に分散し、微粒子の集合に対し最大の集合表面を提供する。
【0101】
しかし磁石ユニット10の磁石13の集合表面を減らすことを望む場合は、磁石13は一部を強磁性管12の内側に残すことができる。このような状況は図2Eに図解する。この場合磁石13の集合表面20は図2Dにより図解する状況の場合より少し狭い。
【0102】
図2Fと2Gは、二つの異なる方法で横方向に磁化された磁石ユニット10の二つの磁石13の図解断面図を示す。図2Fにおいて、磁石13は長さ方向軸の方向の平面により二つの部分に分割される。図2Gにおいて磁石13は従って四個の長さ方向の部分に分割される。図2Fと2Gから磁場は少し異なる方法で配置されるため、磁場は二つの場合で異なるように見える。しかし解決法とそれらのバリエーションの全ては両方共等しく利用できる。
【0103】
図3Aは試験管のような容器26の溶液から微粒子22を集めるための磁石ユニット10を示す。保護膜21で保護された磁石13は非強磁性のロッド11に取り付けられる。図3Aにおいて磁石13は完全に液面25に下にあり、液面25から磁石13までの距離をhとする。図3Aの磁石13は磁石13の長さ方向軸の方向に磁化される。容器26の溶液23中の微粒子22はこの場合磁石13の二つの極24aと24bの周りの保護膜21の外側で保護膜21の先端とロッド11と磁石13の間の接続部14の両方に集まる。これは磁石13が完全に溶液23の液面25下にある場合の通常の状況である。
【0104】
図3Bは磁石ユニット10の第二の具体例で、保護膜21を備えそして液面25下hの距離に完全に浸漬された磁石13からなる。この具体例は磁石13が横方向の磁化であることを除き、他の点では図3Aに示された具体例に一致する。図3Bから微粒子22は今度は保護膜21の外側の広い範囲に集まることが見られる。しかし全ての微粒子22は磁石ユニット10の先端のちょうど下よりの部分に集められることが望ましい。これは微粒子22を小容量の液体に移動する場合に特に有利である。図3Bにおいて微粒子22は狭い範囲にそして特に保護膜21の下よりの部分周りの範囲には集まらない。従ってこの代替案は微粒子22を小容量の液体に濃縮する場合はあまり有利ではない。
【0105】
図4Aは試験管26中の溶液23に置かれた磁石ユニット10を示す。そしてそれはいかに微粒子22が保護膜21を備えた磁石ユニット10の磁石13の下よりの部分に集まるかを示す。図4Aにおいて磁石13とその磁極24aと24bは完全に液面25下にある。しかし磁石13の上方の極24bは、適切な方法で強磁性管12を磁石13上へ押し出すことにより短くなるため微粒子22は保護膜21の下よりの部分にのみ集まる。磁石13の上方の極24bの周りの強磁性管12の外側には磁場は無く、これが微粒子22が保護膜21の外側に現れない理由である。記述した磁石ユニット10を使用して磁石13が完全に液面下25にありそして非強磁性ロッド11に固定される場合でも微粒子22は小容量の液体に濃縮することができる。
【0106】
図4Aにより示される状況で磁石13が完全に強磁性管12の内側の位置に動かされた場合、磁石13の磁場は殆ど完全に消失する。このように微粒子22は単に磁石13を完全に強磁性管12に押し込むだけで保護膜21の表面から解放することができる。磁石13が強磁性管12の外側に適切に保たれている間に保護膜21の表面に付着する微粒子21を容器26から他の容器へ移動させることができる。
【0107】
図4Bは磁石が横方向に磁化されること以外の点で図4Aの具体例に相当する磁石ユニット10を示す。図4Bにおいて横方向に磁化された磁石13の磁場は強磁性管12により減少している。図4Bで説明される状況で磁石13の非常にわずかな部分が強磁性管12の外側にある。図4Bより横方向に磁化された長い磁石13と保護スリ−ブ21を使用して、微粒子22は保護膜21のちょうど下よりの部分に簡単な方法で濃縮することができる。この様に図4Aと4Bは共に小容量の液体中の微粒子の操作に有利で効果的な方法と装置を表現している。
【0108】
図5A〜5Eは伸縮不可の保護膜を備えた磁石ユニット10により溶液23から微粒子22を集める処理の色々な段階を説明している。磁石13と強磁性管12は相対的に軸方向に動かすことができ、そして磁石13は長さ方向軸の方向に磁化される。
【0109】
また図5A〜5Eは強磁性管と磁石13により微粒子を保護膜21のちょうど下よりの部分に濃縮し、そしてそれらを例えば小容量の液体中に解放する色々な方法を説明している。
【0110】
図5Aは磁石13の磁場が主に保護膜21の下よりの部分になるように非強磁性ロッド11により磁石13を強磁性管12から押し出した磁石ユニット10を示す。従って微粒子22は保護膜21の下よりの部分に集まる。以下の例においてもまた磁石を動かすロッド11は非強磁性である。
【0111】
図5Bは磁石13が異なる位置にある図5Aの磁石ユニット10を示す。図5Bにおいて管は静止しているが、磁石13は殆ど完全に強磁性管12の中へ動いている。この場合溶液23中の微粒子22のいくらかは保護膜21に沿って上方に動く。
【0112】
図5Cは磁石13を完全に管12の中へ引っ込めた図5Bの磁石ユニット10を示し、微粒子はこの場合溶液23中で分散する。従って磁石13が保護膜21の下よりの部分から上方へ動く場合、磁場は保護膜21の側面で微粒子22を集めることには最適ではない。これは磁場の位置そして磁石13の磁極そして使用される保護膜21に関するそれらの吸引力のためである。このようにこの配置は使用できるが、微粒子を保護膜21の表面より解放するための最も有利な代替案ではない。しかし微粒子と磁石13の上昇速度を最適化することにより、よい最終結果を達成することは可能であり、云いかえると微粒子は保護膜21のちょうど下よりの部分に留まる。
【0113】
図5Dは図5Aに示す磁石ユニット10の保護膜21の下よりの部分から制御された方法で微粒子22を解放しそしてそれらを例えば小容量に移動する、代わりの効果的な方法を説明している。図5Dにおいて図5Bのように磁石13を上に動かす代わりに今度は強磁性管12を下方に動かす。図で示すように微粒子22は保護膜21に沿って上には動かない。
【0114】
図5Eは強磁性管12を完全に磁石13上に動かした図5Dの磁石ユニット10を示す。図で示すように微粒子22はこの場合磁石ユニット10の端近くの試験管26の下よりの部分の溶液23中の比較的よい場所に留まる。
【0115】
しかし非常に大量の微粒子を集めそして操作するには図5B〜5Cまたは図5D〜5Eに説明する手順はどれもあまり有効ではない。
【0116】
図6A〜6Eは伸縮不可の保護膜21を備えた磁石ユニット10により微粒子22を集める処理の色々な段階を説明し、ここでは磁石13または強磁性管12は動かされそして磁石13は横方向に磁化されている。
【0117】
図6Aは横方向に磁化された磁石13が強磁性管12から押し出され強磁性管は磁石13の少しの部分しか覆っていない状況の磁石ユニット10を示す。微粒子22はこの場合磁石ユニット10の保護膜21の外側に集まる。
【0118】
図6Bは磁石13は殆ど完全に強磁性管12の中へ上方に動かされた位置にある図6Aの磁石ユニット10を示す。保護膜21の下よりの部分の周りの微粒子22の大部分はこの場合磁石13と共に上に動く。
【0119】
図6Cは磁石13が完全に強磁性管12中にある位置の図6Bの磁石ユニット10を示す。微粒子22はこの場合溶液23中へ解放される。従ってこの手順は保護膜21の下よりの部分の周りに微粒子22を濃縮しそしてそれらを例えば小容量の液体に移動することには適さない。
【0120】
図6Dは磁石13を殆ど完全に覆うように強磁性管12を下へ動かした位置での図6Aの磁石ユニット10を示す。同時に微粒子22は管12と共に適切に下へ動く。
【0121】
図6Eは強磁性管12が磁石13を完全に覆う位置での図6Dの磁石ユニット10を示す。この図はこのように微粒子22は磁石ユニット10の保護膜21の下よりの部分の近辺に効果的に濃縮させることができることを示す。従ってこの解決法は大量の微粒子の集合および微粒子の小容量の液体への濃縮の両方によく適用できる。
【0122】
図7A〜7Eは磁石13または強磁性管12のどちらかを動かすことにより伸縮可能な保護膜21を備えた磁石ユニット10により微粒子22を集める処理の色々な段階を説明している。磁石13は長さ方向に磁化される。
【0123】
図7Aは長さ方向に磁化された磁石13が伸縮可能な保護膜21を同持に伸ばすように強磁性管12より押し出された磁石ユニット10を示す。この場合微粒子22は伸びた保護膜21の下よりの部分の周りの磁石13の端近辺に集まる。保護膜21が伸びることにより保護膜21の厚みは同時に減少しそして磁場は保護膜21がより薄くなるに従いより強力になる。
【0124】
図7Bは磁石13が強磁性管12中へ上に動く位置における図7Aの磁石ユニット10を示す。同時に伸びた保護膜21は上に縮む。結果として上昇する保護膜21の下より部分で作用する磁場は尚微粒子22を保護膜21上に保持するのに十分である。
【0125】
図7Cは磁石13が強磁性管12の中へ完全に引っ込まれそして微粒子22は磁場から解放された位置での図7Bの磁石ユニット10を示す。このように微粒子22は保護膜21の下より部分の近辺によく濃縮されそして更に小容量の液体に移動することができる。
【0126】
図7Dは強磁性管12が磁石13上に下に動いた位置での図7Aの磁石ユニット10を示す。磁石13は動かず保護膜21が伸びた状態を保持することが続く。保護膜21の伸びのため磁場は非常に強くそして微粒子22は保護膜21に大変よく付着する。
【0127】
図7Eは強磁性管12が磁石13を完全に覆う位置に動いた位置での図7Dの磁石ユニット10を示す。磁場はこの場合消去されそして微粒子22は溶液23中へ解放される。この手順は小容量の液体への濃縮に大変よく適用される。
【0128】
図8A〜8Eは磁石13または強磁性管12のいずれかを動かすことにより伸縮可能な保護膜21を備えた磁石ユニット10により微粒子22を集める処理の色々な段階を説明している。磁石13は横方向に磁化されている。
【0129】
図8Aは横方向に磁化された磁石13が伸縮可能な保護膜21を同時に伸ばすように強磁性管12から押し出された磁石ユニット10を示す。微粒子22はこの場合大変広い範囲にわたり伸びた保護膜21の周りに集まる。
【0130】
図8Bは磁石13が強磁性管12中に上に動いた位置での図8Aの磁石ユニット10を示す。磁石13が上昇する場合、伸びた保護膜21はその原形を回復し即ちそれは磁石13と共に上へ動く。微粒子22はそれと一緒に動きそして全微粒子の塊は保護膜21の先端部の狭い範囲に濃縮することができる。
【0131】
図8Cは磁石13が強磁性管12内に完全に引き込まれた位置での図8Bの磁石ユニット10を示す。微粒子22はこの場合磁場より溶液23中へ解放される。
【0132】
図8Dは強磁性管12が磁石13上へ下に動いた位置での図8Aの磁石ユニット10を示す。この場合図8Bおよび図8Cにおけると同様に微粒子22は大容量のサンプルより集められそして保護膜の先端部の狭い範囲に濃縮することができる。
【0133】
図8Eは強磁性管12が磁石13を完全に覆う位置に動かされた位置での図8Dの磁石ユニット10を示す。磁場はこの場合消去されそして微粒子22は磁場より溶液23中に解放される。
【0134】
図9A〜9Gは大容量の液体から大量の微粒子22を集めそしてそれらを小容量の液体に濃縮するために磁石ユニット10を使用する方法の色々な段階を説明している。
【0135】
図9Aは微粒子22を大量に含む液体23が入っている容器26aを示す。
【0136】
図9Bは図9Aに示す容器26中に設置された本発明による磁石ユニット10を示す。磁石ユニット10により微粒子22は溶液23aから磁石ユニット10の保護膜21の表面上に移動する。図9Bの磁石ユニット10は伸縮不可の保護膜21を備えそして横方向に磁化された磁石13よりなる。このような磁石ユニット10を使用して微粒子22は保護膜21表面上の広い範囲に集めることができる。
【0137】
図9Cは小容量の液体23bが入っている別の容器26bを示す。図9Aの容器26aより磁石ユニット10により集められた微粒子22がこの容器26bへ移動する。図9Cに示す容器26bは提示された磁石ユニット10の使用に適するようにその寸法および液体容積に関して選択される。
【0138】
図9D〜9Fは大容量から小容量に集められた微粒子22を解放する処理の色々な段階を説明している。
【0139】
図9Dは容器26bに浸漬された磁石ユニット10を示す。いまや目的は達成され、それによると磁石ユニット10が溶液23b中に浸漬される場合小容量の液体の液レベルは微粒子22が図9Bに示される大型容器26aから集められる限界以上に適切に上昇させることができる。この方法は液体に浸漬された物体はそれ自身の容量同等量の液体と置換すると云う事情を利用している。適切な設計と形状の容器およびそれに合った磁石ユニットが使用される場合、容器の液面は正確に所要のレベルまで上昇するだろう。粒子が液面以下に留まることが不可欠である。
【0140】
図9Eは強磁性管12が下へ動いた状況での図9Dの磁石ユニット10を示す。微粒子22はこの場合保護膜21の表面の上よりの部分から下方へ解放される。
【0141】
図9Fは以下のような状況における図9Eの磁石ユニット10を示す。即ち強磁性管12は磁石13を完全に覆う位置へ動かされ、そして保護膜21の表面上に微粒子22を保持するための磁場は管12の外側には残存しない。微粒子22はこの場合周囲の溶液23b中へ完全に解放される。
【0142】
図9Gは磁石ユニット10が容器26bより取り除かれそして液面はその元のレベルまで戻り低下した状況を説明している。操作の最終結果として大量の微粒子が図9Gに説明するように効果的かつ簡単な方法で小容量へ移動する。この状況から濃縮処理は上記の方法でまたは先の図で説明した方法を使用することにより継続することができる。微粒子22の移動と濃縮の段階は必要な適切な色々な方法にて行うことができる。
【0143】
図10は微粒子の移動のための本発明による手動操作式の移動装置30の例を示す。移動装置30は枠管31、枠管の延長を形成するアダプタ−スリ−ブ32および移動装置の端部にある本発明による磁石ユニット10からなる。磁石ユニット10は磁石13、棒または移動ロッド11、強磁性管12およびアダプタ−スリ−ブ32上に密着した伸縮可能なまたは硬い保護膜21よりなる。
【0144】
磁石ユニット10の磁石13を動かす非強磁性管ロッド11は移動装置30の上部まで延びそこで磁石を動かすためのスライド37に接続される。この移動スライド37は延長スロット39より枠管31の壁を通して突き出した磁石を動かすピン38により手動で動かされる。磁石を動かすピン38はスロット39内で上下に押すことができ、こうして移動スライド37とそれと一緒にロッド11とそして磁石13を上下に動かすことができるようになる。
【0145】
微粒子移動装置30は更に強磁性管12を軸方向に動かす仕組みよりなる。この仕組みは管移動ユニット34と管移動ピン35よりなりそれもまた第二の延長スロット36より枠管31を通して突き出る。管移動ピン35は同様にスロット36内を上下に動かすことができ、こうして管移動ユニット34をしたがってまた強磁性管12を上下に動かすことができるようにする。
【0146】
微粒子移動装置30は磁石移動ピン38と管移動ピン35の両方を指で容易に動かせるように手で持てる。
【0147】
図11は手動操作式多チャンネル型微粒子移動装置40の例を示し、これは本発明による8個の磁石ユニット10よりなる磁石ユニット列41を有する。磁石ユニット列41における磁石ユニット10は一列に配置される。各磁石ユニット10は磁石13、移動ロッド11、強磁性管12そして保護膜21よりなる。図11で示する例において強磁性管12を上下に動かす仕組みは先の例における場合と同様に示されていない。図は例により磁石ユニット10の8個の磁石13全てを同時に動かすための簡単な仕組みを示すだけである。
【0148】
図11において磁石ユニット10の磁石13の仕組みは、全ての磁石13のロッド11が接続される連結棒43よりなる。多チャンネル型移動装置40の磁石13は移動装置の外側へ一部が突き出し接続ロッド45により磁石13の連結棒43に接続される「引き金」46を指で押すことにより下へそして強磁性管12の外へ動かされる。磁石13は連結棒43に接続される戻りバネ44によりそれらの上よりの位置に戻る。
【0149】
多チャンネル型移動装置40の具体例によると全ての磁石を同時に動かす代わりに、磁石13のいくつかは所要の位置に固定することができる。加えて色々な磁石ユニット10が強磁性管を上下に動かせるような仕組みを備える。
【0150】
図12は自動微粒子移動装置50を示し、一列または図12に説明するようにN x Mマトリックス51状に配置された本発明による磁石ユニットよりなる。磁石ユニット10は磁石と強磁性管を垂直に動かすのに必要な仕組みを含む制御ユニット52に取り付けられる。また制御ユニット52自身は矢印54で示すような方向に上下にそしてまたは矢印53で示すような横方向に動くことができる。サンプルプレ−ト55は手動または研究室用ロボットを使用して磁石ユニットの下の支持台57上に置かれる。サンプルプレ−ト55は一列または図12に示すようなマトリックス56状のどちらかのサンプルウエルを有する。自動装置50は更に移動論理システムを処理しそして自動機器の駆動装置を制御し他の研究設備との干渉を管理するために必要な全ての電子機器を含む第二の制御ユニット58よりなる。
【0151】
図13は磁石13上を軸方向に動くことができる横方向に磁化された磁石13と鉄合金の管またはスリ−ブ12よりなる本発明による磁石ユニット10を示す。磁石13は伸縮可能なまたは硬い材料、できればビニ−ルまたはシリコンゴムでできた保護膜21により保護される。加えて磁石ユニット10はこれにより保護膜21は勿論のこと磁石ユニット10内の磁石13がそれらの長さ方向の軸の周りに回転できるような取り付けフランジ33および回転シャフト28よりなる。
【0152】
図14は弁63を備えたチャンネル62を有する本発明による反応容器61を示す。反応容器61は処理に必要な量の液体23が入っている。図13で示す反応容器61と磁石ユニット10は共に図15で説明するような反応装置ユニット60を形成する。
【0153】
図15は反応容器61には処理に必要な溶液23が入っている本発明による反応装置ユニット60を示す。溶液は例えば孵化媒体、サンプル、緩衝溶液、そして微粒子のような磁気粒子22を含む。反応容器61は次に磁石ユニット10の取り付けフランジ33に接続される。適切な溶液と磁気粒子のような物質を必要に応じ反応装置ユニット60へ導き入れたりまたは反応容器に接続され弁63を備えたチャンネル62を通して液体を排除することはなお可能である。チャンネル62または相当する入り口は側面または反応容器の端部に配置されそして反応装置ユニットの色々な側面に配置されるこのような入り口がいくつか存在する。チャンネル62により例えば反応ユニット60内の気体、pH値と塩分含有量を制御することができる。また入り口チャンネル62を通してより多くのサンプルを反応装置ユニット60に導き入れ、そしてまたは反応容器60からサンプルを抽出することができる。これらの入り口はこれにより導き入れられる気体または溶液もまた無菌状態を保持できるように適切なフィルタ−を備える。図15において磁気粒子22は保護膜21の表面に集まる。
【0154】
図16は水平姿勢の図15の反応装置ユニット60を示す。もし反応装置ユニット60がこの姿勢でその側面上に保持されそして磁石ユニット10の磁石13と保護膜21が磁石ユニット10の保護箱に対して回転すれば、反応装置ユニット60内の液体23は効率的に混合されるであろう。こうして微粒子はまた液体中で混合される。反応装置ユニット60内の液面25レベルは使用される用途により調整し最適化することができる。
【0155】
反応装置ユニット60内の液体23のより効果的な混合を達成するには、磁石13の保護膜21に適当な羽根を備えることができる。保護膜21と羽根が回転中、反応容器61内の液体23は動かされ効果的に混合される。羽根を使用する代わりにまた保護膜21の表面を色々の形にすることができる。また保護膜21は磁石ユニットがその側面上に水平姿勢にある場合、磁石ユニットを支えるようなその先端部64の適切な形状を備えることもできる。
【0156】
使用される処理においては、磁気粒子は処理の前に磁石13の保護膜21に既に付着しつつあるかまたは処理中にそれらがそれに付着するように仕向けられるかも知れない。本発明によると磁気粒子の集合および保護膜21からの解放は磁石を覆いまたは曝すように磁石13上を長さ方向に移動する強磁性スリ−ブ12により行われる。述べられた具体例において使用される磁石13は横方向に磁化された磁石である。磁気粒子は保護膜21の周りの広い表面上で反応装置ユニット60内で集めることができることが不可欠である。
【0157】
磁気粒子は保護膜21に付着するので媒体内に非常に広い活動領域が発生しこれが反応容器61内の溶液23から例えばタンパク質、細胞、DNAまたは細菌を集めることを可能にする。溶液を混合することにより処理下の溶液は所要の成分が磁気粒子上に捕捉されるように保護膜21に付着する磁気粒子を通過して流れるように仕向けられる。反応装置ユニット60内ではまた本発明で記述した方法で磁気粒子を一時的に溶液中へ解放し、次に磁気粒子を再度溶液から保護膜21上へ捕らえることも可能である。
【0158】
図17は数個の反応装置ユニット60を同時に収容できる本発明による環境保護箱70を示す。環境保護箱70に接続されるモ−タ−71と駆動装置72により同時に数組みの反応装置ユニット60において磁石13と保護膜21を回転させることができる。環境保護箱70では例えば温度、磁石とそれらの保護膜の回転速度、反応装置ユニット内の気体の交換、反応装置ユニットからのサンプリングそして反応装置ユニット内への溶液の添加を制御することができる。
【0159】
このような溶液は反応装置ユニット60が例えば病原菌の孵化に使用できるような微生物学的品質制御において特に有益である。適当な時間の経過により反応装置ユニット60は環境保護箱70より取り外される。磁石ユニット10において磁気粒子はこの場合保護膜21表面上に集められる。反応装置ユニット60の磁石ユニット10は反応容器61から解放されその後磁気粒子は例えば洗浄され別の入れ物で濃縮することができる。磁気粒子以外の全ては反応容器61に残される。機器は非常に大容量の液体の取り扱いが可能である。
【0160】
図18は洗浄液のようなある量の適当の液体が入っている試験管26を示す。反応装置ユニット60より取り外された磁石ユニット10は図19で示すような試験管26へ導き入れられる。この段階で磁気粒子22はまだ保護膜21上に集められ残っている。この状況で溶液23の液面25は磁気粒子22が液面25以下に留まるように保護膜21表面上の磁気粒子22の付着範囲より上でなければならない。
【0161】
図20は磁石ユニット10の強磁性スリ−ブ12が図で下へ動く状況を示す。図20から強磁性スリ−ブ12は既に磁石13の一部を覆う位置にあることが見ることができる。強磁性スリ−ブ12が磁石13上を滑る結果として磁場は覆われる範囲から消滅し、こうして磁気粒子22aの一部は上部から始まって保護膜21表面から開放される。強磁性スリ−ブ12がまだ磁石13を覆っていないところは磁場はまだ磁気粒子22bの残りを保護膜21の表面上に保持する。
【0162】
図21において強磁性スリ−ブ12は磁石13を完全に覆った位置に動いている。強磁性スリ−ブ12はこのようにして磁場を完全に消滅させ、その結果、磁気粒子22は保護膜21の表面から溶液23中へ解放される。
【0163】
図22においては磁石ユニット10は試験管26より取り外され磁気粒子22や例えば細菌のようなこれに付着する成分は反応装置ユニット60から分離された試験管にこのように濃縮される。同じ磁石ユニット10を使用してこの場合は強磁性スリ−ブ12により磁気粒子22の拘束範囲を保護膜21の極先端部に限定することにより、より少量でサンプル処理を継続することができる。磁気粒子22は試験管26より集めることができ、そして次の試験管へ移動させそしてそれらは例えば要求された量で洗浄することができる。
【0164】
またそれら用の特殊な試薬を使用して反応装置ユニット60から集められるDNA,RNA,タンパク質または細菌の表面抗体を分離することができる。細菌は一般に更なる分析の前に色々な装置そしてまたは試薬により消化しなければならない。消化の後色々な拘束特性を有する次の磁気粒子がこのようにして得られた細菌の溶解分離物に加えることができる。新しい特性を有する磁気粒子を使用して例えば所要の細菌性タンパク質、抗体、DNA、rNA、RNAまたはmRNAが細菌の溶解部分離物より集められる。反応装置ユニット60において新しい特性を有する磁気粒子が処理に導入される前に細菌集合用の磁気粒子22が除去される。
【0165】
本発明に記述された方法を使用して上で述べた成分は実際の分析のため分離、洗浄そして解放することができる。分析方法として例えばPCR増幅またはELISA検定を使用することができる。述べたような反応容器61において好気性および嫌気性微生物の両方を孵化することができる。
【0166】
図23は横方向に磁化された磁石13、強磁性スリ−ブ12およびその外側の表面に隆起部29を有する保護膜21からなる磁石ユニット10を示す。隆起部29の間には大量の微粒子を信頼性高く広い範囲に集めることができることとそしてこれらを一つの容器から他の容器へ移動させれことができることの両方を保証する微粒子22を集める凹みがある。
【0167】
図24は磁石13が強磁性スリ−ブ12から完全に押し出された位置における図23の磁石ユニット10を示す。横方向に磁化された磁石13はこの場合磁石の全長にわたり保護膜21上に微粒子22を集める。磁石13が押し出されつつあるとき、保護膜21は大きな凹みまたはポケットが隆起部29の間に形成されるように同時に伸ばされる。微粒子22は磁石ユニット10が引き上げられるとき、それらが容易に同じ場所に保持されるようにこれらのポケットに捕捉される。微粒子22は磁石ユニット10の動きから生じる液体の流れによりまたは表面を貫通することにより起こる液体張力の外乱効果によりポケットから解放されないだろう。
【0168】
図25は磁石13が強磁性スリ−ブ12から完全に押し出され、そしてまた同時に強磁性スリ−ブ12も完全に押し出された状況を説明している。磁石13を取り巻く強磁性スリ−ブ12はこの場合磁石13の磁力を無効にしそして微粒子22は保護膜より解放されそして液体中へ分散して戻る。
【0169】
図26は強磁性スリ−ブ12だけが完全に押し出された状況を再度説明している。またこの場合、磁石13の磁力は無く従って微粒子22は保護膜21上に集まらない。代わりに図26で説明されるこの段階は図23により説明される段階と交互に使用することができ、こうして液体中にポンプ効果をもたらし効率的な混合を引き起こす。当然また図24と図25で説明する段階は交互に使用することができ、云いかえると磁石13が完全に押し出されたとき強磁性スリ−ブ12だけが前後に動かされる。またこれは液体中にポンプ効果と混合効果を引き起こす。
【0170】
図27は長さ方向に磁化された磁石13、強磁性スリ−ブ12そして微粒子22のためのポケット42を備えた保護膜21からなる磁石ユニット10を示す。このような構造によりまた移動中に保護膜21の表面から容易に解放されない大量の微粒子22を集めることが可能である。
【0171】
図28は共通のシ−ト状保護膜21を有する多くの並列磁石ユニット10を示す。保護膜21は伸縮可能な材料でできており、同じ膜を共通に隣り合う磁石ユニット10により使うことを可能にしている。膜はまたこの場合容易に変更できるロ−ルより取り出すことが望ましい。
【0172】
図29は共通の保護膜21を有する二つの並列磁石ユニット10aと10bを示す。例として図29で示した装置において磁石ユニット10aと10bは異相で作動する。各磁石ユニット10aと10bの鉄合金スリ−ブ12aと12bは、保護膜21がマイクロプレ−トウエルの端に押し付けられ、こうしてウエルを閉じシ−ルをするように保護膜21に対し押し付けられる。磁石ユニット10bの磁石は保護膜21とその内側の磁石13、13bの端が液体23中にあるようにマイクロプレ−トウエルの方向に付加的に押し下げられる。液体23中の微粒子22はこの場合横方向に磁化された磁石13bの端の保護膜21の表面上に集まる。
【0173】
図30は磁石ユニット10aと10bが別個の鉄合金スリ−ブを有しない具体例を示す。これらはマイクロプレ−トウエルと並んで下向きの突起を有するように形作られている鉄合金板12により置換されている。磁石13aと13bは鉄合金板12の突起の中にある開き口に設置される。図30において磁石ユニット10,10aと10bの磁石13aと13bは図29と同様に異相である。
【0174】
図31は磁石ユニット10aと10bはまたこの場合平らな板であるスリ−ブの変わりの共通の鉄合金板12を有する具体例を示す。磁石13aと13bは鉄合金板12の開き口に設置される。この図においてもまた磁石ユニット10aと10bの磁石13aと13bは異相である。図29により説明した解決法との違いに関しては保護膜21は強磁性スリ−ブの代わりに磁石13aと13bによりマイクロプレ−トウエルの端に押し付けられる。磁石ユニット10aの磁石13aはシ−ル位置にあるのに対し、もう一つの磁石ユニット10bの磁石13bは微粒子22を集める位置にある。
【0175】
図32は磁石ユニット10が円形状の列に配置された多チャンネル型移動装置40を示す。このような装置は微粒子が大容量から集められる場合に有利である。磁石ユニット10の各々は別個の保護膜を有するがしかし他の具体例によると一つの保護膜を全ての磁石ユニット10で共有している。
【0176】
本発明の上記の具体例は本発明の概念の単なる実施例である。熟練者には本発明の色々な具体例は以下に示す請求項の範囲で色々あることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0177】
【図1】AからGは、微粒子移動のための本発明の装置の色々な具体例の図解の断面図を示す。
【図2】AからGは、磁石ユニットの磁石およびそれらの磁場の色々な具体例の図解図を示す。
【図3】AとBは、微粒子を含む溶液中に置かれた磁石ユニットの具体例の図解図を示す。
【図4】AとBは、図3Aと3Bに相当し溶液中の磁石ユニットのほかの具体例を示す
【図5】AからEは、伸縮不可の保護膜と長さ方向に磁化された磁石を備えた磁石ユニットが溶液中に置かれた具体例を示す。
【図6】AからEは、伸縮不可の保護膜と横方向に磁化された磁石を備えた磁石ユニットが溶液中に置かれた具体例を示す。
【図7】AからEは、伸縮可能な保護膜と長さ方向に磁化された磁石を備えた磁石ユニットが溶液中に置かれた具体例を示す。
【図8】AからEは、伸縮可能な保護膜と横方向に磁化された磁石を備えた磁石ユニットが溶液中に置かれた具体例を示す。
【図9】AからGは、微粒子を一つの容器から他の容器へ移動させる場合磁石ユニットの使用の色々な段階を図解する。
【図10】微粒子の移動のための手動で操作される装置の側面断面図を示す。
【図11】微粒子の移動のための手動で操作される多チャンネル型装置の側面断面図を示す。
【図12】自動移動装置の図解描写を示す。
【図13】磁石ユニットの別の具体例の部分側面断面図を示す。
【図14】本発明による反応容器の側面断面図を示す。
【図15】本発明による反応装置ユニットの側面断面図を示す。
【図16】図15の反応装置ユニットの水平姿勢状態を示す。
【図17】本発明による環境保護箱の透視図を示す。
【図18】管の側面断面図を示す。
【図19】第一の位置のスリ−ブを持った磁石ユニットと共に管の側面断面図を示す。
【図20】図19に相当し磁石ユニットのスリ−ブは第二の位置にある状態を図解する。
【図21】図19に相当し磁石ユニットのスリ−ブは第三の位置にある状態を図解する。
【図22】図18に相当し別の状態にある管を示す。
【図23】色々な保護膜を備えた磁石ユニットの具体例の部分側面断面図を示す。
【図24】図23に相当し第二の段階にある磁石ユニットの操作を図解する。
【図25】図23に相当し第三の段階にある磁石ユニットの操作を図解する。
【図26】図23に相当し第四の段階にある磁石ユニットの操作を図解する。
【図27】異なる保護膜を備えた磁石ユニットの別の具体例の部分断面側面図を示す。
【図28】共通のシート状保護膜を有する多数の並列磁石ユニットの図解側面断面図を示す。
【図29】図28に相当し他の具体例による並列磁石ユニットを示す。
【図30】図28に相当し第三の具体例による並列磁石ユニットを示す。
【図31】図28に相当し第四の具体例による並列磁石ユニットを示す。
【図32】円形状配置に配置された並列磁石ユニットの図解の上方より見た図を示す。
【符号の説明】
【0178】
10:磁石ユニット
11:ロッド
12:強磁性管またはスリ−ブ
13:磁石
14:接続部
15:開き口
16:接続管
17:磁場を表す線
18:磁場の集合範囲
19:磁場
20:集合表面
21:保護膜
22:微粒子
23:溶液
24:磁極
25:液面
26:容器
27:巻き線
28:回転シャフト
29:保護膜の隆起部
30:微粒子移動装置
31:枠管
32:アダプタ−スリ−ブ
33:取り付けフランジ
34:管移動ユニット
35:管移動ピン
36:延長スロット
37:磁石移動スライド
38:磁石移動ピン
39:延長スロット
40:多チャンネル型微粒子移動装置
41:磁石ユニット列
42:ポケット
43:連結棒
44:戻りバネ
45:接続棒
46:「引き金」
50:自動微粒子移動装置
51:マトリックス
52:制御ユニット
53:矢
54:矢
55:サンプルプレ−ト
56:マトリックス(二度目)
57:水平支持台
58:(第二)制御ユニット
60:反応装置ユニット
61:反応容器または室
62:チャンネル
63:弁
64:先端部
70:環境保護箱
71:モ−タ−
72:駆動装置












【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粒子(22)が集められるときは磁石の一部または全体が強磁性体の外側にありそして粒子が解放または投与されるときは磁石の一部または全体が強磁性体の内側または背後にあるように、少なくとも一つの磁石(13)そしてまたは少なくとも一つの物体が相対的に動かされるような方法で板または管(12)状の少なくとも一つの強磁性体により磁場またはその強さの変更が達成されることを特徴とする、その方法により少なくとも一つの磁石(13)またはその内側に配置される同等のものおよび磁場または磁場の強さの変更により投与される粒子により微粒子が保護カバ−または膜(21)の表面上に集められる、同じ液体(23)中または一つの液体(23a)から他の液体(23b)へのどちらかで磁場を使用して微粒子(22)または磁気粒子を分類、集合、移動または投与するための磁気移動法。
【請求項2】
磁石が管の中の方向へ進むように磁石(13)または管(12)を動かすことにより磁場の強さが減少し、そして磁石が管から外の方向へ出てくるように磁石(13)または管(12)を動かすことにより磁場の強さが増加するような方法で、少なくとも一つの磁石(13)および強磁性管(12)を相対的に動かすことにより磁場の強さを調整することを特徴とする請求項1による方法。
【請求項3】
磁石(13)を強磁性管(12)の中へ動かすことにより、または強磁性管(12)を磁石の上へ動かすことにより磁場の強さを減少させることを特徴とする請求項1または2による方法。
【請求項4】
硬いコップ状のカバ−(21)の内部に配置された磁石(13)上へ強磁性管(12)を動かすことにより、または弾力性のある保護膜と磁石の間の隙間へ管を押し込むことにより磁場の強さを減少させることを特徴とする請求項1、2または3による方法。
【請求項5】
微粒子を集めるときは磁石の一部または全体が強磁性体の外側にあり、そして粒子を解放または投与するときは磁石の一部または全体が強磁性体の内側または背後にあるように、移動装置(30)は板または管(12)状の少なくとも一つの強磁性体からなり、そして少なくとも一つの磁石とまたは板または管(12)状の少なくとも一つの強磁性体が相対的に動くことができることを特徴とする、前述の移動装置はカバ−または保護膜の内側に配置された少なくとも一つの磁石(13)または同等のものからなり、同じ液体(23)の中でまたは一つの液体(23a)から他の液体(23b)へのどちらかで微粒子または磁気粒子の分類、集合、移動または投与のための微粒子(22)移動装置(30)。
【請求項6】
移動装置は少なくとも一つの強磁性管(12)または少なくとも一つの強磁性板の開き口および管または開き口の中で動くことができる少なくとも一つの永久磁石(13)または電磁石からなり、そして管(12)または開き口は、その磁気特性が磁石(13)の磁力線が管を貫通することを妨げるような鉄または他の材料よりまたは材料にてできていることを特徴とする請求項5による移動装置(30)。
【請求項7】
移動装置は同一またはお互いに異なりそして磁力によりまたは強磁性または非強磁性材料の媒介物またはアダプタ−によりお互いに付着する二つ以上の磁石(13)よりなることを特徴とする請求項5または6による移動装置(10)。
【請求項8】
磁石(13)はそれにより磁石が強磁性管(12)内で動かすことができるロッド(11)に取り付けられ、そしてロッド(11)は強磁性または非強磁性であることを特徴とする請求項5、6または7による移動装置(30)。
【請求項9】
強磁性管(12)は丸い円筒でそして磁石(13)は管と中心を同じくする少なくとも一つの丸い棒または栓で構成され、そして磁石(13)の磁化軸は、磁石の極が棒の両端にあるようにその長さ方向の軸方向を向くことを特徴とする請求項5から8のいずれかによる移動装置。
【請求項10】
強磁性管(12)は丸い円筒でそして磁石(13)は管と中心を同じくする少なくとも一つの丸い棒または栓で構成され、そして磁石(13)の磁化軸は強磁性管および棒状磁石の長さ方向の軸の両方に対し横断方向または垂直方向を向くことを特徴とする請求項5から8のいずれかによる移動装置(30)。
【請求項11】
保護膜(21)は硬質ビニ−ルまたは金属のような伸縮不可材料のコップ状の物体であることそして管より押し出された場合は磁石(13)が保護膜の内側を動くことができるように保護膜(21)は強磁性管(12)の延長を形成することをことを特徴とする請求項5から10のいずれかによる移動装置(30)。
【請求項12】
保護膜(21)は磁石(13)が強磁性管(12)より押し出されつつある場合はゴム状のビニ−ルカバ−または薄いフィルムのような伸縮可能な弾力性のある材料でできていることを特徴とする請求項5から11のいずれかによる移動装置(30)。
【請求項13】
反応装置ユニット(60)は微粒子(22)を集める磁石ユニット(10)およびその内側に磁石ユニットを取り付けることができる反応室(61)よりなることを特徴とする微粒子(22)のための反応装置ユニット(60)。

【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公表番号】特表2006−502850(P2006−502850A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−544618(P2004−544618)
【出願日】平成15年10月20日(2003.10.20)
【国際出願番号】PCT/IB2003/004646
【国際公開番号】WO2004/035217
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
テフロン
【出願人】(505113528)バイオ−ノーブル オーワイ (2)
【Fターム(参考)】