秘匿UWB測距のためのデバイス、方法及びプロトコル
互いに無線通信する少なくとも2つのデバイス間の安全な測距のための装置、システム、方法及びコンピュータプログラム製品。詳細には、超広帯域(UWB)プロトコルによって通信する少なくとも2つのデバイス間の安全な測距のための装置、システム、方法及びコンピュータプログラム製品。測距及びセキュリティのために、3値IR系列又は時間ホップIR系列のいずれかを用いる。第1のデバイスが測距パケットを送信する。第2のデバイスが、第1のデバイス及び第2のデバイスだけが知っている遅延時間後に、その測距パケットに応答する。遅延時間は、第1のデバイス又は第2のデバイスのいずれかによりランダムに選択することができ、暗号化された通知パケットによって、他方のデバイスに知らせることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
互いに無線通信する少なくとも2つのデバイス間の秘匿測距のための装置、システム、方法及びコンピュータプログラム製品。詳細には、超広帯域(UWB)プロトコルによって通信する少なくとも2つのデバイス間の秘匿測距のための装置、システム、方法及びコンピュータプログラム製品。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2005年8月9日に出願の米国仮特許出願第60/706,434号に対する優先権を主張し、その特許出願の内容全体が参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
短距離無線ネットワーク、特にUWBネットワークにおいて位置認識への要求が高まっている。位置認識は、デバイスの位置がわかることを意味する。典型的には、デバイスの位置は、無線測距を用いてわかるようになる。
【0004】
UWB、すなわちデジタルパルス無線(digital pulse wireless)は、短い距離について非常に低い電力で、広いスペクトルの周波数帯にわたって大量のデジタルデータを伝送するための無線技術である。超広帯域無線信号は、非常に低い(0.5ミリワット未満の)電力で70.1メートル(230フィート)までの距離にわたって大量のデータを搬送することができるだけでなく、それよりも限られた帯域幅及び高い電力を有する信号を反射する傾向があるドア及び他の障害物を通って信号を搬送する能力も有することができる。
【0005】
非常に広いスペクトルの周波数にわたる搬送波上で非常に正確にタイミングを調節されたデジタルパルスとして、複数の超広帯域信号が同時にブロードキャストされる。送信機及び受信機は同期して、一兆分の数秒の精度でパルスを送信及び受信する。任意の特定の周波数において、超広帯域信号は、標準的な予想される背景雑音よりも少ない電力を有する。理論的には、従来の無線信号との干渉は無視することができる。
【0006】
超広帯域通信は、主に2つのタイプの応用形態を有する。
レーダを含む応用形態であって、その信号は直ぐ近くの表面を通り抜けるが、さらに遠くにある表面によって反射され、それにより壁又は他の遮蔽物の背後にある物体を検出できるようになる。
音声及びデータの伝送の応用形態であって、デジタルパルスによって、非常に低い電力及び相対的に低いコストの信号が、短距離にわたって非常に高いデータ転送速度で情報を搬送できるようになる。
米国では、連邦通信委員会(Federal Communications Commission)(FCC)が、2002年2月14日に超広帯域信号の商業利用を認可した。
【0007】
UWBの応用形態は、図1に示すようなプロトコルスタックに従って通信する。ここでは、デバイス101が、無線リンク100を介して、デバイス102と通信する。各デバイスにおいて通信するためのプロトコルは、物理層(PHY)110と、メディアアクセスコントロール(MAC)層120と、ネットワーク層130と、トランスポート層140と、セッション層150と、プレゼンテーション層160と、アプリケーション層170とを含む。
【0008】
図2に示すように、2つのデバイスによって従来のUWB双方向測距を実行することができる。従来では、測距パケット(range packet)(230)が最初に、デバイスA(210)からデバイスB(220)に送信される。デバイスB(220)において受信されると、測距パケット(240)がデバイスA(210)に返送される。
【0009】
図3に、図2に示した双方向測距についてのさらなる詳細を示す。同じく、2つのデバイス210及び220が互いに通信する。第1のデバイス210は、発信元メディアアクセスコントローラ410を備えており、発信元メディアアクセスコントローラ410は、発信元物理層コントローラ420に測距要求450を送信する。この測距要求によって、発信元物理層コントローラ420は、受信側デバイス220に、測距パケット230を送信する。受信側デバイス220内では、受信側デバイスの物理層コントローラ430が測距パケット230を受信し、測距パケット230はターンアラウンド時間455中に処理され、応答測距パケット240が第1のデバイス210に送信される。この応答測距パケット420は、発信元物理層コントローラ240によって受信される。発信元物理層コントローラ420は、発信元メディアアクセスコントローラ410に、測距確認信号460を送信する。
【0010】
1つの具体例として、到着時刻(TOA)に基づく測距システムを考える。最初に、発信元AのMAC層において、測距要求が生成され、PHY層に送られる。その後、PHY層で、デバイス220に測距パケットを送信する。デバイス220は、測距パケットを受信し、応答パケット240をデバイスAに送信する。Aのメッセージが出発する時刻と、デバイス220からの応答がデバイス210に到着する時刻との間で経過する時間がTrであると仮定する。時間Trは、Tr=2Tf+Ttaとして近似することができる。ただしTfは、一方向の信号の飛行時間であり、Ttaは、ターンアラウンド時間455であり、すなわち、デバイス220における信号の受信タイムスタンプと、デバイス220からの応答の出発タイムスタンプとの間の時間差である。典型的には、各無線パケット(又はメッセージ)は、プリアンブルと、MACヘッダと、ペイロードとを含む。1つのパケットが受信されるとき、捕捉、同期及び測距のために、最初にプリアンブルの処理が行われる。その後、そのパケットの残りの部分がMAC層に送られる。Ttaに起因して測距誤差が増えるのを防ぐために、デバイス220は、そのPHY層において受信したメッセージのプリアンブルを処理し、MAC層にヘッダ及びペイロードを送る前に測距パケットに応答してもよい。これは、ターンアラウンド時間455を最小限に抑える。しかしながら、デバイス210が認証された(authentic)デバイスであるか否かを知ることなく、その応答によりデバイス210への距離が明らかになってしまうので、そのような方法では、デバイス220がどうしても脆弱になる。一方、MAC層でデバイス210を認証するまで、デバイス220がその応答を保留する場合には、ターンアラウンド時間が望ましくないほど長くなってしまう。したがって、本発明者らによって見いだされるように、超広帯域(UWB)プロトコルを介して通信する少なくとも2つのデバイス間での秘匿測距のための装置、システム、方法及びコンピュータプログラム製品が望まれている。
【0011】
UWBにおけるより良い、かつ秘匿性のある位置認識の必要性に応えて、正確な測距能力を有する、UWBに基づくPHY層規格を開発するために、IEEE802.15.4a作業グループ(TG)が設立されている。UWB信号は、20%より広い相対帯域幅、又は少なくとも500MHzの絶対帯域幅を有する。1つのタイプのUWBシステムとして、インパルス無線(impulse radio)(IR)がある。IRは、極めて短い持続時間のパルスを用いて信号波形を生成し、チャネルマルチパス特性の時間分解能を細かくできるようにしており、それは、正確に測距するための見通し線信号(line of sight signal)を特定する際に重要である。測距過程がMAC層を含まない場合、その過程は高速測距(fast raging)と呼ばれる。
【0012】
UWB測距において、その目標は、2つのデバイス間の距離を正確に推定することである。その内容全体が参照により本明細書に援用される、J-Y. Lee及びR. A. Scholtzによる論文「Ranging in a dense multipath environment using an UWB radio link」(IEEE Trans. Select Areas in Communications, vol. 20, issue 9, pp. 1677-1683, Dec. 2002)では、超広帯域(UWB)無線リンクを用いる、到着時刻(TOA)に基づく測距方式が記載されている。その測距方式は、一般最尤(GML)推定を用いて、混み合ったマルチパスが存在する中で直接パス信号を検出するための探索を実施する。その処理における重要なパラメータを求めるためのモデルは、伝搬データの統計的な解析に基づく。その処理は、別の独立した1組の伝搬測定値に基づいてテストされる。そのUWB測距システムは、送受信機において、相関器及び高速測定能力をもった並列サンプラを用いて、同期したクロックが存在しなくても、双方向の測距を達成する。
【0013】
その内容全体が参照により本明細書に援用される、S. Gezici、Z. Tian、G. B. Giannakis、H. Kobayashi、A. M. Molisch、H. V Poor、Z. Sahinogluによる論文「Localization Via UWB Radios」(IEEE Signal Pro. Magazine, v.22, n. 4, pp. 70-84, July 2005)では、無線超広帯域(UWB)シグナリングによる位置測定技法が記載されている。種々の位置測定の代替形態が検討されており、UWB到着時刻に基づく代替形態が、最も高い測距精度を有することが見出されている。
【0014】
到着時刻推定及び到着時刻に基づく測位の場合の根本的な限界と共に、多重アクセス干渉、マルチパス及び見通し外の伝搬等のUWB測位問題における課題が提起されている。それらの限界を達成する最適な方式の複雑性を緩和するために、準最適な代替形態が開発され、解析されている。さらに、到着時刻及び信号強度測定を組み合わせた複合方式が知られており、研究されている。
【0015】
従来技術では、主に、信号波形の設計、及び信号エッジ検出技法の開発が記載されている。また種々の距離測定の技法も利用することができる。十分に研究されているのは、到着時刻(TOA)法及び到着時間差(TDOA)法である。TOA法では、クロックオフセットを除去するために、2つのデバイス間で一対のメッセージを交換する必要がある。一方、TDOA法では、2つの発信元からのメッセージの到着時間差を基にする。距離推定の精度は、メッセージ交換が行われる速度に依存する。測距システムは、受信側デバイスにおいては、短く高速のターンアラウンド時間に起因して、メッセージに対して非常に速い応答を有するものが一般的である。しかしながら、この高速のターンアラウンド時間を有する能力は、数多くの設計問題を提起し、そのうちの1つはセキュリティに関係するものである。
【0016】
特許公報第2005/0166040号は、多数のデバイス間で安全に通信できるようにするための方法を記載する。その明細書は、第1のデバイスからメッセージを生成し、送信するための方法を記載する。その方法は、1つの動作を含むメッセージを判定するステップと、その動作及びパラメータに基づいて認証コードを生成するステップであって、そのパラメータはその動作の属性を指示する、生成するステップと、第1のエンティティからメッセージ及び認証コードを送信するステップとを含む。その方法では、種々の動作が種々のパラメータにマッピングされ、その後、認証コードがそれらのパラメータに割り当てられる。しかしながら、秘匿測距の場合、関連するデバイスの物理層間でメッセージ交換が起こるので、認証だけでは不十分である。
【0017】
特許公報第2005/0073433号は、高精度測定衝突回避システムを記載しており、距離を推定するための双方向メッセージ交換に言及している。しかしながら、その明細書は、セキュリティ、及びターンアラウンド時間を短縮するための如何なる手段も講じていない。
【0018】
特許公報第2005/0078626号は、マルチパス環境において移動ユニットの位置を検出するための方法及びシステムを記載している。その明細書は、移動局、サーバ及び基地局の間のメッセージフローの順序、並びに無線通信手段を記載している。基地局は、無線通信手段に無線信号を送信し、特定の無線信号の伝送を要求する。無線通信手段は、この要求に応答して、基地局に無線信号を送信する。その方法は、移動局によって用いられる種々のアンテナ位置との間で送信及び受信することができる無線受信機によって、且つ基地局と無線受信機との間で交換される無線信号のタイミングを測定することによって、受信機上で、複数のマルチパス特性を有する種々の信号を入手する。しかしながら、その明細書において、測距におけるセキュリティの態様に関しては何も触れていない。
【0019】
特許公報第2003/0076239号は、移動している物体の位置を特定するための方法を記載している。少なくとも1つのインタロゲータが物体の移動経路に対して固定された位置に配置され、そのインタロゲータが、読取り距離内に電磁信号を送信する。移動する物体は少なくとも1つのトランスポンダを備えており、そのトランスポンダは、送信信号に対する応答信号を送信する。インタロゲータは、応答信号を受信し、評価する。トランスポンダの応答信号は、そのトランスポンダを特定する情報を含む。しかしながら、その明細書において、測距におけるセキュリティの態様に関しては何も触れていない。
【0020】
特許公報第2002/0097184号は、1つの空中にあるプラットフォームから、絶対GPS座標又は相対GPS座標において、無線周波数を放射するターゲットデバイスの場所が特定される方法を記載する。その方法によれば、1つ及び多数のGPSジャマーが従来のGPS信号を妨害することができないようになる。その方法は、信号処理技法を使用し、非常に速い速度で移動しているアンテナをエミュレートして、線形アンテナアレイ上に入射する信号において仮想的なドップラシフトを引き起こし、仮想的なドップラシフトを信号到来方向に関連付ける。その方法は、GPSに基づく位置測定中の妨害を防ぐ。しかしながら、その明細書は秘匿測距を記載しない。
【0021】
特許公報第2005/0136892号は、車両テレマティックスデバイスのための無線通信チャネルの安全な認証を提供するシステム及び方法を記載しており、当該方法は、テレマティックデバイスの無線距離内にある無線アクセスポイントを検出すること、そのアクセスポイントのための認証情報を、第1の安全な通信チャネルを通じて、コールセンターに要求すること、第1の安全な通信チャネルを通じて、コールセンターから無線アクセスポイントのための認証情報を受信すること、及び第2の安全な通信チャネルを通じて、無線アクセスポイントにテレマティックスデバイスのための認証情報を与えることを含む。しかしながら、その手法は、特別に確立された安全なチャネルを使用する必要があり、それゆえ、運用上諸経費の複雑化及び支払いという問題を抱える。
【0022】
特許公報第2004/0209598号は、無線電話システムにおいてハンドセットと基地局との間に安全な無線リンクを確立するための方法及び装置を記載する。ハンドセットと基地局との間に安全な無線リンクを生成するための方法は、リンク確立手順を開始すること、セキュリティコードを生成すること、基地局においてセキュリティコードを表示すること、セキュリティコードをハンドセットに入力すること、及びその後、セキュリティコードを利用して、ハンドセットと基地局との間の無線周波数リンクを確立することを含む。しかしながら、その方法は、ユーザが直に係わることを必要とし、秘匿測距を提供しない。
【0023】
特許公報第2003/0139190号は、無線周波数(RF)サブキャリアを介して通信するゲーム用ホストと、別の場所にある遠隔ユーザ装置との間で認証された安全な通信を提供するための方法及び装置を記載する。遠隔ユーザ装置及びホストサーバの場所が、全地球測位システム(GPS)衛星、又は陸上無線放送局のいずれかによって生成される信号にアクセスすることによって、無線周波数三辺測量として知られている過程を通じて特定される。プレーヤ認証(身元確認)は、個人識別番号を使用することによって確認される。GPSに基づく位置測定において、GPS受信機が、多数の衛星から信号を受信する。
【0024】
各衛星は、GPS受信機に割り当てられる固有信号、いわゆるシグネチャを送信する。シグネチャは、擬似ランダム雑音(PRN)コードから成る。その固有識別子は繰り返されて、識別及び信号移動時間測定の目的を果たす。任意の受信機が、同じ衛星から同じ信号を受信する。GPSは、測距動作間で波形を変更しない。GPSでは、メッセージは交換されず、信号伝送は衛星から受信機への一方向である。それゆえ、GPSは双方向測距に対応しない。
【発明の開示】
【0025】
互いに無線通信する少なくとも2つのデバイス間の安全な測距のための装置、システム、方法及びコンピュータプログラム製品。詳細には、超広帯域(UWB)プロトコルによって通信する少なくとも2つのデバイス間の安全な測距のための装置、システム、方法及びコンピュータプログラム製品。測距及びセキュリティのために、3値IR系列又は時間ホップIR系列のいずれかを用いる。
【0026】
第1のデバイスが測距パケットを送信する。第2のデバイスが、第1のデバイス及び第2のデバイスだけが知っている遅延時間後に、その測距パケットに応答する。遅延時間は、第1のデバイス又は第2のデバイスのいずれかによりランダムに選択することができ、暗号化された通知パケットによって、他方のデバイスに知らせることができる。
【0027】
添付の図面を考慮に入れて、以下の詳細な説明を参照することによって本発明のさらに十分な認識、及び本発明に関連する利点の多くへの理解がさらに進むにつれて、それらが容易に得られるであろう。なお、いくつかの図面を通じて、類似の参照符号は同じ、又は対応する部分を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
上記のように、従来の認証技法においては、測距はパケットの暗号化されていないプリアンブルにおいて実行されるので、無線通信ネットワークにおける秘匿測距には不十分である。それゆえ、MAC層において発信者を認証し、その後、PHY層において高速測距を行う従来の技法は、秘匿性を保証しない。
【0029】
本発明者らによって見いだされるように、秘匿測距を達成するための1つの実効的な方法は、発信元デバイス及びターゲットデバイスが、測距プリアンブルの波形及び構造を取り決めることである。これを実現するために、発信元デバイスは、測距パケットのプリアンブルをランダムに操作する。発信元デバイスによってプリアンブルが如何に操作されたかは、測距通知パケット(range notification packet)のペイロード内でターゲットデバイスに送信する。このとき、ターゲットデバイスは測距通知パケットに肯定応答してもよい。測距パケットのプリアンブルが両方のデバイスに知られた後は、図4及び図5に示すように、それらのデバイスは、PHY層において測距パケットを形成し、交換することができる。
【0030】
図4では、デバイスA(310)がデバイスB(320)と通信する。デバイスAは、デバイスBに、測距通知パケット300を送信することができる。その後、デバイスAは、デバイスBに、測距パケット330を送信する。測距パケット330を受信するのに応答して、デバイスBは、2つのデバイスだけが知っている遅延時間後に、デバイスAに測距パケット330を返送する。時間と共にクロックがドリフトするので、できる限り短い時間間隔で測距を実行することが望ましい。PHY層における不可避のレイテンシ(latency)に起因して、測距パケットがPHY層で取り扱われる際には、約10ナノ秒程度の遅延時間がある。実際の遅延時間は、後述するように、約±1ナノ秒だけランダムに「ディザリング(dithering)」される。それゆえ、第三者は実際の遅延時間を知らないので、第三者がそれらのデバイス間の距離を計算することは困難になる。測距の秘匿性は、種々の測距パケットを暗号化することによってさらに高められる。
【0031】
図5に詳細に示すように、発信元デバイス510の発信元メディアアクセスコントローラ510が、発信元物理層コントローラ520への測距要求550を生成する。測距要求に応答して、発信元物理層コントローラ520は、パケット識別情報、鍵、プリアンブル長、プリアンブル波形識別インデックス、及びターンアラウンド遅延時間585を含む、測距通知パケット300を送信する。測距通知パケットは、ターゲットデバイス320の物理層コントローラ530によって受信され、処理される。受信側デバイスの物理層コントローラ530は、受信した測距通知パケットの少なくとも一部554を、受信側デバイス320のメディアアクセスコントローラ540に送信する。受信側デバイスのメディアアクセスコントローラ540は、受信した測距通知パケット内のデータの妥当性を検査する。測距通知パケットの妥当性検査558の結果として、受信側デバイスのメディアアクセスコントローラ540が、受信側デバイスの物理層コントローラ530への測距通知応答560を生成する。測距通知応答560を受信したときに、受信側デバイスの物理層コントローラ530は、発信元デバイス310に肯定応答ACK564を送信してもよい。それは発信元デバイスの物理層コントローラ520によって処理される。送信するか否かは任意であるACK564が受信されたなら、発信元デバイスの物理層コントローラ520は、発信元メディアアクセスコントローラ510に、ACK指示568を送信する。
【0032】
ACK指示568を受信した時、又は測距要求550が生成されてから所定の時間経過後に、発信元デバイスのメディアアクセスコントローラ510は、測距パケット570を生成し、そのパケットは発信元物理層コントローラ520によって受信され、処理される。測距パケットが受信されると、発信元物理層コントローラ520は、ターゲットデバイスの物理層コントローラ530に、測距パケット330を送信する。受信側デバイスの物理層コントローラ530は、ターンアラウンド遅延時間585後に、測距パケット330に応答し、発信元デバイスに応答測距パケット330を送信し、そのパケットは発信元デバイスの物理層コントローラ520によって受信され、処理される。
【0033】
ターンアラウンド遅延時間585は、発信元デバイスが予め決定し、測距通知パケット300の中に含めることができる。別法として、ターゲットデバイス320が、ターンアラウンド遅延時間585を決定し、応答測距パケット330を発信元デバイス310に返送する前、又は返送した後に、発信元デバイスに遅延時間を送信する。
【0034】
発信元デバイスの物理層コントローラ520は、発信元デバイスのメディアアクセスコントローラ510への測距確認信号590を生成してもよい。
【0035】
I.パケット設計
本発明では、秘匿測距に対応するために、「測距通知パケット」及び「測距パケット」という2つのパケットタイプを用いる。
【0036】
A.測距通知パケット
このパケットは、ターゲットデバイスが発信元デバイスから待ち受けるべき測距プリアンブルの形式を含み、ターゲットデバイスに、ターゲットデバイスが使用すべき応答測距パケットのフォーマットを通知する。測距プリアンブルは、その長さLを変更し、Si∈Sであるような系列プールSからの異なる基本系列Siを使用し、選択された基本系列にランダム循環シフトkを適用して、
【数1】
を生成することによって操作することができる。さらに、時間ホッピング又はローカルクロックのドリフティングのような、発信元及びターゲットデバイスだけが知っている他の操作を施すことによって、公称パルス繰返し間隔(PRI)Tcを変更してもよい。これらの変数の設定は、測距通知パケットのペイロードに含まれる(図6を参照)。
【0037】
1つのオプションでは、発信元デバイスから、又は発信元デバイスに系列Siそのものを送信する代わりに、系列Siに対応するインデックスを送信するようにしてもよい。ターゲットデバイスは、同じ設定に従って、応答測距パケット330を形成することになる。それゆえ、測距通知パケットにおいて与えられる設定を、ターゲットデバイスが保存することができる。そのような操作の利点は、次節において、3値IR波形及びTH−IR波形と共に説明する。
【0038】
秘匿性をさらに高めるために、測距通知パケットを用いて、ターンアラウンド遅延時間を指定して、ターゲットデバイスの動作を変更してもよい。この場合、発信元デバイスは、ターゲットデバイスによって使用されるべきターンアラウンド遅延時間を指定することができる。別法として、ターンアラウンド遅延時間をターゲットによって決定し、測距パケット交換が実行される前、又は実行された後に、発信元に知らせてもよい。
【0039】
図6に、本発明の一実施形態による、測距通知パケット300の構造を示す。パケット300は、プリアンブル610と、ヘッダ620と、ペイロード630とを含む。プリアンブル610及びヘッダ620を用いて、測距通知パケットを特定することができ、且つ測距通知パケットについての種々の特徴に関するデータを与えることができる。ペイロード630は、他のデバイスがアクセスできないように暗号化するか又は別の方法で保護してもよい。ペイロード630は、測距プリアンブル長640と、測距プリアンブル設定650と、その他のデータ660とを含む。その他のデータ660を用いて、後続の測距パケットに応答するときにターゲットデバイスが使用するべき、非系列関連パラメータ(non-sequence-related parameters)を通信することができる。非系列関連パラメータとは、たとえば、パルス繰返し間隔(PRI)Tc、ターンアラウンド遅延時間等である。プリアンブル設定650は、ターゲットが応答するときに使用するべき基本系列Si800と、シフト値670と、その他のデータ680とを含む。その他のデータ680は、後続の測距パケットに応答するときにターゲットデバイスが使用するべき、系列関連パラメータ(sequence-related parameters)を指示するために用いる。系列関連パラメータとは、たとえば、実際の系列を使用するべきか又はインデックスを使用するべきか、系列の長さ、繰返しのパターン及び長さ、極性パターン等である。他の実施形態では、「その他の」データフィールド600及び680のうちの一方だけが、測距パケットに応答するときにターゲットデバイスが使用するべきパラメータを含む。
【0040】
B.測距パケット
測距パケット330の構造を図7に示す。測距パケットは、プリアンブル860と、任意選択でヘッダ1020と、ペイロード1030とを含む。ペイロード1030は暗号化してもよい。プリアンブル860は、同期(SYNC)1040、開始フレームデリミタ(SFD)1050、及びチャネル推定(CE)1060のためのフィールドを含む。SYNCフィールド1040は、「シンボル」と呼ばれる信号波形
【数2】
の繰り返しである循環シフトされた3値系列830を含む。図7に、2つの取り得る循環シフトされた3値系列830を示す。第1の循環シフトされた3値系列830aは、全て正の極性を有する。第2の循環シフトされた3値系列830bでは、前半の半分が負の極性を有し、後半の半分が正の極性を有する。他の極性方式は可能である。
【0041】
SYNCフィールド内の
【数3】
のシンボルの数によって、プリアンブル長及びシンボル持続時間に応じて決まる、達成可能な処理利得が決定される。V. Brethour著「Proposed-classes-ranging-service」(IEEE 802.15.4a TG, 15-05-0221-02-004a, May 2005)は3つのプリアンブル長4ms、1ms及び500μsを指定している。プリアンブル内で提示されるシンボル繰返しの数は、プリアンブル長をシンボル持続時間で割ることによって求めることができる。多数のシンボルにわたって平均することによって、信号対雑音比(SNR)が高くなり、それゆえ、最初に到着するマルチパスを特定するのが容易になる。結果として、距離推定の精度が向上する。
【0042】
図8に、本発明の一実施形態による測距パケットを生成するための流れ図を示す。系列インデックス生成器850が、系列Si800を生成し、その系列は系列リポジトリ700に格納される。系列Siが循環シフトされた系列の場合には、シフトインデックス生成器810がシフトインデックスを生成する。シフトインデックス及び系列Siは、測距系列生成器820によって、測距系列S’i830を生成するために用いられる。シフトインデックスは、「その他の」データフィールド600及び680のうちのいずれかにおいて予め決定するか、又はランダムに生成してもよい。
【0043】
系列Siが時間ホップ系列の場合には、ホッピング生成器(図示せず)がホッピング系列を生成する。
【0044】
測距プリアンブル生成器840が、測距系列830を含むプリアンブル860を生成する。測距プリアンブルは、測距パケットフォーマッタ870によってデータに添付される。その後、測距パケット330は、ターゲット320に送信される。3値IR及びTH−IRの系列Siの詳細は後に説明する。
【0045】
II.波形の構造
送信波形の構造は、いかなる測距方式の性能においても重要である。本発明では、秘匿測距に対応する2つの異なる信号(signaling)波形を説明する。
【0046】
波形の構造は、以下の制約を考慮に入れるべきである。
UWBチャネルの最大過剰遅延は約60ns、又はそれよりも長くなることがある(A. F. Molisch著「Status of Channel Modeling Final Report」(IEEE P802.15-04-0346-00-004a/r0, July 2004))。信号波形は、前縁の前に十分に広いゼロ相関ゾーンを有し、サイドローブ(side lobes)によって引き起こされる測距誤差を最小限に抑えるべきである。
FCCによるピーク対平均電力比(PAPR)及びスペクトルマスク要件に準拠しなければならない。その内容全体が参照により本明細書に援用される、FCC First Report and Order(FCC-02-48, April 2002)を参照されたい。すなわち、パルスどうしの間隔は、或る特定の値よりも大きくすることはできず、スペクトルピークは、適当な方法によって抑えられるべきである。
受信波形は、コヒーレント測距及び非コヒーレント測距の両方を可能にすることが好都合である。言い換えると、同じネットワークにおいて同時に利用できるようにするために、コヒーレント及び非コヒーレントの両方の受信機が同じ波形を処理することができるほうがよい。
【0047】
3値インパルス無線(3値IR)の信号波形、及び時間ホップインパルス無線(TH−IR)の信号波形は両方ともこれらの3つの制約を満たすことができる。送信プリアンブル波形を解析的に表現する表記法は以下のとおりである。ここで、Nsymは、測距パケットのプリアンブル内のシンボルの数であり、ωは単位エネルギーの送信パルス形状であり、Tsymはシンボル持続時間であり、Tcは公称PRIであり、TH−IRのフレーム持続時間とも呼ばれ、Npはシンボル当たりの全パルス数である。
【0048】
A.3値IR
3値IR系列の場合、送信プリアンブル波形ri,k(ter)(t)は以下のように表すことができる。
【0049】
【数4】
【0050】
ここで、di,j(k)∈{−1,0,1}は、系列Si内のj番目のパルスのためのkシフト3値係数である。最適な自己相関特性を有する3値系列は、その内容全体が参照により本明細書に援用される、I. Lakkisによって「15-05-0456-01-004a-pulse-compression」(IEEE 802.15.4a Technical Contribution, July 2005, San Francisco)において記載されている。残念なことに、図9に示すように、長さ31の6つの系列(コードS1〜S6)及び長さ127の5つの系列(コードS7〜S11)だけがこれらの特徴を有する。
【0051】
3値系列をkだけシフトすることによって、その周期的な相関のピークも、k個のチップ持続時間(chip duration)だけシフトする。パルス繰返し間隔Tc=30ns及びk=1であると仮定する。その際、元の系列と、元の系列が周期的に繰返しシフトされた系列との相関のピークは30nsだけ離れる。したがって、3値系列のkシフト機構をセキュリティツールとして用いることができる。受信系列内のシフトに気がつかないデバイスは、ckTcメートルの測距誤差を引き起こすであろう。ただし、c=3・106M/sである。
【0052】
3値系列をシフトする効果を図10に示す。信号1001及び1002では、X軸がサンプルインデックスであり、y軸が相関出力値である。ここで、シフトされない系列S1(すなわち、
【数5】
)を1001に示す。5だけ右にシフトされた系列S1(すなわち、
【数6】
)を信号1002に示す。
【数7】
と基本3値系列が周期的に繰り返される系列との相互相関を信号1003に示す。
【数8】
と基本3値系列が周期的に繰り返される系列との相互相関を信号1004に示す。1003及び1004内の相関ピークは、互いから30nsだけシフトされる。信号1003及び1004では、X軸はサンプルインデックスであり、y軸は相関出力値である。
【0053】
図11に、元の3値系列から循環シフトされた3値系列を生成するための方法を示す。測距系列生成器820は入力として、元の系列800及びシフトインデックス値810をとり、循環シフトされた系列831を返す。測距系列生成器820の出力の繰返しが、測距波形を生成するために用いられる。
【0054】
ランダムシフトを組み込むことによって、長さ31系列の場合に186まで、長さ127系列の場合に635まで、系列選択の自由度を高められる。発信元デバイスだけが、ターゲットデバイスまでの距離を求める場合には、ターンアラウンド遅延時間が測距通知パケットに含まれる必要はなく、発信元デバイスが測距パケットのラウンドトリップ時間(round-trip time)を計算に入れることが重要である。
【0055】
B.時間ホップ−IR
典型的なTH−IR方式では、1つのシンボルが等しい時間間隔Tcに分割され、その間隔毎に、単一のパルスが送信される。フレーム内のパルスの位置は、時間ホッピング系列に従って求められる。そのようなTH−IR送信信号波形は、以下のように表すことができる。
【0056】
【数9】
【0057】
ここで、cj∈1、−1はスペクトル平滑化のための極性スクランブル係数であり、Th(j)はj番目のフレーム内の時間ホッピング持続時間である。Th(j)は、パルス間干渉を防ぐために、Th(j)<Tc−E(τdelay)に制限されるべきである。ただし、E(τdelay)は、チャネルの予想される遅延スプレッドである。
【0058】
発信元デバイス及びターゲットデバイスにしか時間ホッピングコードが知られていないとき、測距は秘匿性を保って実行することができる。それゆえ、測距通知パケットは、そのSiフィールドにおいて時間ホッピング系列{Th(1),Th(2),...Th(Np)}を指定すべきであり、同じコードを用いて、測距パケットプリアンブルを生成すべきである。
【0059】
図12では、X軸はPRIインデックス(又はチップインデックス)を表し、Y軸は、単位エネルギーに正規化する前の相関出力を示す。図12に示す、時間ホッピングコードが一致しない場合には、相関ピークの周囲のゼロ相関ゾーンは、相関の不一致に起因して生成されるサイドローブによって摂動するようになる。この場合、サイドローブが、先行する信号エネルギーとして検出される可能性が高くなるので、前縁検出はほとんど不可能になる。すなわち、2つの時間ホップ系列TH1{4,3,4,2,1,3,1,1}及びTH2{1,3,1,3,4,4,2,1}があり、Np=81サンプル、Nsym=8サンプル及びTc=32サンプルであると仮定する。第1の系列TH1の自己相関を信号1201に示す。この自己相関の拡大図を信号1202に示す。TH1とTH2との間の相互相関を信号1203に示す。それらのタイミング信号において、X軸はサンプルインデックスであり、y軸は相関出力である。
【0060】
上記の教示に鑑みて、本発明の多数の変更及び変形が可能である。それゆえ、添付の特許請求の範囲内で、本発明は、本明細書において具体的に記述されるのとは異なる方法で実施できることは理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】超広帯域通信において用いられるプロトコルのブロック図である。
【図2】従来の超広帯域測距のブロック図である。
【図3】従来の超広帯域測距のさらに詳細なブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態による測距のブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態による測距のさらに詳細なブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態による測距通知パケットのブロック図である。
【図7】本発明の一実施形態による測距パケットのブロック図である。
【図8】本発明の一実施形態による測距パケットを生成するための方法の流れ図である。
【図9】本発明の一実施形態による3値系列のリストを示す図である。
【図10】本発明の一実施形態による、3値系列においてシフトを有する、相関ピークのシフトのタイミング図である。
【図11】本発明の一実施形態による、元の3値系列から、循環シフトされた3値系列を生成するための方法の流れ図である。
【図12】本発明の一実施形態による、相関ピーク付近のゼロ相関ゾーンのタイミング図である。
【技術分野】
【0001】
互いに無線通信する少なくとも2つのデバイス間の秘匿測距のための装置、システム、方法及びコンピュータプログラム製品。詳細には、超広帯域(UWB)プロトコルによって通信する少なくとも2つのデバイス間の秘匿測距のための装置、システム、方法及びコンピュータプログラム製品。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2005年8月9日に出願の米国仮特許出願第60/706,434号に対する優先権を主張し、その特許出願の内容全体が参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
短距離無線ネットワーク、特にUWBネットワークにおいて位置認識への要求が高まっている。位置認識は、デバイスの位置がわかることを意味する。典型的には、デバイスの位置は、無線測距を用いてわかるようになる。
【0004】
UWB、すなわちデジタルパルス無線(digital pulse wireless)は、短い距離について非常に低い電力で、広いスペクトルの周波数帯にわたって大量のデジタルデータを伝送するための無線技術である。超広帯域無線信号は、非常に低い(0.5ミリワット未満の)電力で70.1メートル(230フィート)までの距離にわたって大量のデータを搬送することができるだけでなく、それよりも限られた帯域幅及び高い電力を有する信号を反射する傾向があるドア及び他の障害物を通って信号を搬送する能力も有することができる。
【0005】
非常に広いスペクトルの周波数にわたる搬送波上で非常に正確にタイミングを調節されたデジタルパルスとして、複数の超広帯域信号が同時にブロードキャストされる。送信機及び受信機は同期して、一兆分の数秒の精度でパルスを送信及び受信する。任意の特定の周波数において、超広帯域信号は、標準的な予想される背景雑音よりも少ない電力を有する。理論的には、従来の無線信号との干渉は無視することができる。
【0006】
超広帯域通信は、主に2つのタイプの応用形態を有する。
レーダを含む応用形態であって、その信号は直ぐ近くの表面を通り抜けるが、さらに遠くにある表面によって反射され、それにより壁又は他の遮蔽物の背後にある物体を検出できるようになる。
音声及びデータの伝送の応用形態であって、デジタルパルスによって、非常に低い電力及び相対的に低いコストの信号が、短距離にわたって非常に高いデータ転送速度で情報を搬送できるようになる。
米国では、連邦通信委員会(Federal Communications Commission)(FCC)が、2002年2月14日に超広帯域信号の商業利用を認可した。
【0007】
UWBの応用形態は、図1に示すようなプロトコルスタックに従って通信する。ここでは、デバイス101が、無線リンク100を介して、デバイス102と通信する。各デバイスにおいて通信するためのプロトコルは、物理層(PHY)110と、メディアアクセスコントロール(MAC)層120と、ネットワーク層130と、トランスポート層140と、セッション層150と、プレゼンテーション層160と、アプリケーション層170とを含む。
【0008】
図2に示すように、2つのデバイスによって従来のUWB双方向測距を実行することができる。従来では、測距パケット(range packet)(230)が最初に、デバイスA(210)からデバイスB(220)に送信される。デバイスB(220)において受信されると、測距パケット(240)がデバイスA(210)に返送される。
【0009】
図3に、図2に示した双方向測距についてのさらなる詳細を示す。同じく、2つのデバイス210及び220が互いに通信する。第1のデバイス210は、発信元メディアアクセスコントローラ410を備えており、発信元メディアアクセスコントローラ410は、発信元物理層コントローラ420に測距要求450を送信する。この測距要求によって、発信元物理層コントローラ420は、受信側デバイス220に、測距パケット230を送信する。受信側デバイス220内では、受信側デバイスの物理層コントローラ430が測距パケット230を受信し、測距パケット230はターンアラウンド時間455中に処理され、応答測距パケット240が第1のデバイス210に送信される。この応答測距パケット420は、発信元物理層コントローラ240によって受信される。発信元物理層コントローラ420は、発信元メディアアクセスコントローラ410に、測距確認信号460を送信する。
【0010】
1つの具体例として、到着時刻(TOA)に基づく測距システムを考える。最初に、発信元AのMAC層において、測距要求が生成され、PHY層に送られる。その後、PHY層で、デバイス220に測距パケットを送信する。デバイス220は、測距パケットを受信し、応答パケット240をデバイスAに送信する。Aのメッセージが出発する時刻と、デバイス220からの応答がデバイス210に到着する時刻との間で経過する時間がTrであると仮定する。時間Trは、Tr=2Tf+Ttaとして近似することができる。ただしTfは、一方向の信号の飛行時間であり、Ttaは、ターンアラウンド時間455であり、すなわち、デバイス220における信号の受信タイムスタンプと、デバイス220からの応答の出発タイムスタンプとの間の時間差である。典型的には、各無線パケット(又はメッセージ)は、プリアンブルと、MACヘッダと、ペイロードとを含む。1つのパケットが受信されるとき、捕捉、同期及び測距のために、最初にプリアンブルの処理が行われる。その後、そのパケットの残りの部分がMAC層に送られる。Ttaに起因して測距誤差が増えるのを防ぐために、デバイス220は、そのPHY層において受信したメッセージのプリアンブルを処理し、MAC層にヘッダ及びペイロードを送る前に測距パケットに応答してもよい。これは、ターンアラウンド時間455を最小限に抑える。しかしながら、デバイス210が認証された(authentic)デバイスであるか否かを知ることなく、その応答によりデバイス210への距離が明らかになってしまうので、そのような方法では、デバイス220がどうしても脆弱になる。一方、MAC層でデバイス210を認証するまで、デバイス220がその応答を保留する場合には、ターンアラウンド時間が望ましくないほど長くなってしまう。したがって、本発明者らによって見いだされるように、超広帯域(UWB)プロトコルを介して通信する少なくとも2つのデバイス間での秘匿測距のための装置、システム、方法及びコンピュータプログラム製品が望まれている。
【0011】
UWBにおけるより良い、かつ秘匿性のある位置認識の必要性に応えて、正確な測距能力を有する、UWBに基づくPHY層規格を開発するために、IEEE802.15.4a作業グループ(TG)が設立されている。UWB信号は、20%より広い相対帯域幅、又は少なくとも500MHzの絶対帯域幅を有する。1つのタイプのUWBシステムとして、インパルス無線(impulse radio)(IR)がある。IRは、極めて短い持続時間のパルスを用いて信号波形を生成し、チャネルマルチパス特性の時間分解能を細かくできるようにしており、それは、正確に測距するための見通し線信号(line of sight signal)を特定する際に重要である。測距過程がMAC層を含まない場合、その過程は高速測距(fast raging)と呼ばれる。
【0012】
UWB測距において、その目標は、2つのデバイス間の距離を正確に推定することである。その内容全体が参照により本明細書に援用される、J-Y. Lee及びR. A. Scholtzによる論文「Ranging in a dense multipath environment using an UWB radio link」(IEEE Trans. Select Areas in Communications, vol. 20, issue 9, pp. 1677-1683, Dec. 2002)では、超広帯域(UWB)無線リンクを用いる、到着時刻(TOA)に基づく測距方式が記載されている。その測距方式は、一般最尤(GML)推定を用いて、混み合ったマルチパスが存在する中で直接パス信号を検出するための探索を実施する。その処理における重要なパラメータを求めるためのモデルは、伝搬データの統計的な解析に基づく。その処理は、別の独立した1組の伝搬測定値に基づいてテストされる。そのUWB測距システムは、送受信機において、相関器及び高速測定能力をもった並列サンプラを用いて、同期したクロックが存在しなくても、双方向の測距を達成する。
【0013】
その内容全体が参照により本明細書に援用される、S. Gezici、Z. Tian、G. B. Giannakis、H. Kobayashi、A. M. Molisch、H. V Poor、Z. Sahinogluによる論文「Localization Via UWB Radios」(IEEE Signal Pro. Magazine, v.22, n. 4, pp. 70-84, July 2005)では、無線超広帯域(UWB)シグナリングによる位置測定技法が記載されている。種々の位置測定の代替形態が検討されており、UWB到着時刻に基づく代替形態が、最も高い測距精度を有することが見出されている。
【0014】
到着時刻推定及び到着時刻に基づく測位の場合の根本的な限界と共に、多重アクセス干渉、マルチパス及び見通し外の伝搬等のUWB測位問題における課題が提起されている。それらの限界を達成する最適な方式の複雑性を緩和するために、準最適な代替形態が開発され、解析されている。さらに、到着時刻及び信号強度測定を組み合わせた複合方式が知られており、研究されている。
【0015】
従来技術では、主に、信号波形の設計、及び信号エッジ検出技法の開発が記載されている。また種々の距離測定の技法も利用することができる。十分に研究されているのは、到着時刻(TOA)法及び到着時間差(TDOA)法である。TOA法では、クロックオフセットを除去するために、2つのデバイス間で一対のメッセージを交換する必要がある。一方、TDOA法では、2つの発信元からのメッセージの到着時間差を基にする。距離推定の精度は、メッセージ交換が行われる速度に依存する。測距システムは、受信側デバイスにおいては、短く高速のターンアラウンド時間に起因して、メッセージに対して非常に速い応答を有するものが一般的である。しかしながら、この高速のターンアラウンド時間を有する能力は、数多くの設計問題を提起し、そのうちの1つはセキュリティに関係するものである。
【0016】
特許公報第2005/0166040号は、多数のデバイス間で安全に通信できるようにするための方法を記載する。その明細書は、第1のデバイスからメッセージを生成し、送信するための方法を記載する。その方法は、1つの動作を含むメッセージを判定するステップと、その動作及びパラメータに基づいて認証コードを生成するステップであって、そのパラメータはその動作の属性を指示する、生成するステップと、第1のエンティティからメッセージ及び認証コードを送信するステップとを含む。その方法では、種々の動作が種々のパラメータにマッピングされ、その後、認証コードがそれらのパラメータに割り当てられる。しかしながら、秘匿測距の場合、関連するデバイスの物理層間でメッセージ交換が起こるので、認証だけでは不十分である。
【0017】
特許公報第2005/0073433号は、高精度測定衝突回避システムを記載しており、距離を推定するための双方向メッセージ交換に言及している。しかしながら、その明細書は、セキュリティ、及びターンアラウンド時間を短縮するための如何なる手段も講じていない。
【0018】
特許公報第2005/0078626号は、マルチパス環境において移動ユニットの位置を検出するための方法及びシステムを記載している。その明細書は、移動局、サーバ及び基地局の間のメッセージフローの順序、並びに無線通信手段を記載している。基地局は、無線通信手段に無線信号を送信し、特定の無線信号の伝送を要求する。無線通信手段は、この要求に応答して、基地局に無線信号を送信する。その方法は、移動局によって用いられる種々のアンテナ位置との間で送信及び受信することができる無線受信機によって、且つ基地局と無線受信機との間で交換される無線信号のタイミングを測定することによって、受信機上で、複数のマルチパス特性を有する種々の信号を入手する。しかしながら、その明細書において、測距におけるセキュリティの態様に関しては何も触れていない。
【0019】
特許公報第2003/0076239号は、移動している物体の位置を特定するための方法を記載している。少なくとも1つのインタロゲータが物体の移動経路に対して固定された位置に配置され、そのインタロゲータが、読取り距離内に電磁信号を送信する。移動する物体は少なくとも1つのトランスポンダを備えており、そのトランスポンダは、送信信号に対する応答信号を送信する。インタロゲータは、応答信号を受信し、評価する。トランスポンダの応答信号は、そのトランスポンダを特定する情報を含む。しかしながら、その明細書において、測距におけるセキュリティの態様に関しては何も触れていない。
【0020】
特許公報第2002/0097184号は、1つの空中にあるプラットフォームから、絶対GPS座標又は相対GPS座標において、無線周波数を放射するターゲットデバイスの場所が特定される方法を記載する。その方法によれば、1つ及び多数のGPSジャマーが従来のGPS信号を妨害することができないようになる。その方法は、信号処理技法を使用し、非常に速い速度で移動しているアンテナをエミュレートして、線形アンテナアレイ上に入射する信号において仮想的なドップラシフトを引き起こし、仮想的なドップラシフトを信号到来方向に関連付ける。その方法は、GPSに基づく位置測定中の妨害を防ぐ。しかしながら、その明細書は秘匿測距を記載しない。
【0021】
特許公報第2005/0136892号は、車両テレマティックスデバイスのための無線通信チャネルの安全な認証を提供するシステム及び方法を記載しており、当該方法は、テレマティックデバイスの無線距離内にある無線アクセスポイントを検出すること、そのアクセスポイントのための認証情報を、第1の安全な通信チャネルを通じて、コールセンターに要求すること、第1の安全な通信チャネルを通じて、コールセンターから無線アクセスポイントのための認証情報を受信すること、及び第2の安全な通信チャネルを通じて、無線アクセスポイントにテレマティックスデバイスのための認証情報を与えることを含む。しかしながら、その手法は、特別に確立された安全なチャネルを使用する必要があり、それゆえ、運用上諸経費の複雑化及び支払いという問題を抱える。
【0022】
特許公報第2004/0209598号は、無線電話システムにおいてハンドセットと基地局との間に安全な無線リンクを確立するための方法及び装置を記載する。ハンドセットと基地局との間に安全な無線リンクを生成するための方法は、リンク確立手順を開始すること、セキュリティコードを生成すること、基地局においてセキュリティコードを表示すること、セキュリティコードをハンドセットに入力すること、及びその後、セキュリティコードを利用して、ハンドセットと基地局との間の無線周波数リンクを確立することを含む。しかしながら、その方法は、ユーザが直に係わることを必要とし、秘匿測距を提供しない。
【0023】
特許公報第2003/0139190号は、無線周波数(RF)サブキャリアを介して通信するゲーム用ホストと、別の場所にある遠隔ユーザ装置との間で認証された安全な通信を提供するための方法及び装置を記載する。遠隔ユーザ装置及びホストサーバの場所が、全地球測位システム(GPS)衛星、又は陸上無線放送局のいずれかによって生成される信号にアクセスすることによって、無線周波数三辺測量として知られている過程を通じて特定される。プレーヤ認証(身元確認)は、個人識別番号を使用することによって確認される。GPSに基づく位置測定において、GPS受信機が、多数の衛星から信号を受信する。
【0024】
各衛星は、GPS受信機に割り当てられる固有信号、いわゆるシグネチャを送信する。シグネチャは、擬似ランダム雑音(PRN)コードから成る。その固有識別子は繰り返されて、識別及び信号移動時間測定の目的を果たす。任意の受信機が、同じ衛星から同じ信号を受信する。GPSは、測距動作間で波形を変更しない。GPSでは、メッセージは交換されず、信号伝送は衛星から受信機への一方向である。それゆえ、GPSは双方向測距に対応しない。
【発明の開示】
【0025】
互いに無線通信する少なくとも2つのデバイス間の安全な測距のための装置、システム、方法及びコンピュータプログラム製品。詳細には、超広帯域(UWB)プロトコルによって通信する少なくとも2つのデバイス間の安全な測距のための装置、システム、方法及びコンピュータプログラム製品。測距及びセキュリティのために、3値IR系列又は時間ホップIR系列のいずれかを用いる。
【0026】
第1のデバイスが測距パケットを送信する。第2のデバイスが、第1のデバイス及び第2のデバイスだけが知っている遅延時間後に、その測距パケットに応答する。遅延時間は、第1のデバイス又は第2のデバイスのいずれかによりランダムに選択することができ、暗号化された通知パケットによって、他方のデバイスに知らせることができる。
【0027】
添付の図面を考慮に入れて、以下の詳細な説明を参照することによって本発明のさらに十分な認識、及び本発明に関連する利点の多くへの理解がさらに進むにつれて、それらが容易に得られるであろう。なお、いくつかの図面を通じて、類似の参照符号は同じ、又は対応する部分を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
上記のように、従来の認証技法においては、測距はパケットの暗号化されていないプリアンブルにおいて実行されるので、無線通信ネットワークにおける秘匿測距には不十分である。それゆえ、MAC層において発信者を認証し、その後、PHY層において高速測距を行う従来の技法は、秘匿性を保証しない。
【0029】
本発明者らによって見いだされるように、秘匿測距を達成するための1つの実効的な方法は、発信元デバイス及びターゲットデバイスが、測距プリアンブルの波形及び構造を取り決めることである。これを実現するために、発信元デバイスは、測距パケットのプリアンブルをランダムに操作する。発信元デバイスによってプリアンブルが如何に操作されたかは、測距通知パケット(range notification packet)のペイロード内でターゲットデバイスに送信する。このとき、ターゲットデバイスは測距通知パケットに肯定応答してもよい。測距パケットのプリアンブルが両方のデバイスに知られた後は、図4及び図5に示すように、それらのデバイスは、PHY層において測距パケットを形成し、交換することができる。
【0030】
図4では、デバイスA(310)がデバイスB(320)と通信する。デバイスAは、デバイスBに、測距通知パケット300を送信することができる。その後、デバイスAは、デバイスBに、測距パケット330を送信する。測距パケット330を受信するのに応答して、デバイスBは、2つのデバイスだけが知っている遅延時間後に、デバイスAに測距パケット330を返送する。時間と共にクロックがドリフトするので、できる限り短い時間間隔で測距を実行することが望ましい。PHY層における不可避のレイテンシ(latency)に起因して、測距パケットがPHY層で取り扱われる際には、約10ナノ秒程度の遅延時間がある。実際の遅延時間は、後述するように、約±1ナノ秒だけランダムに「ディザリング(dithering)」される。それゆえ、第三者は実際の遅延時間を知らないので、第三者がそれらのデバイス間の距離を計算することは困難になる。測距の秘匿性は、種々の測距パケットを暗号化することによってさらに高められる。
【0031】
図5に詳細に示すように、発信元デバイス510の発信元メディアアクセスコントローラ510が、発信元物理層コントローラ520への測距要求550を生成する。測距要求に応答して、発信元物理層コントローラ520は、パケット識別情報、鍵、プリアンブル長、プリアンブル波形識別インデックス、及びターンアラウンド遅延時間585を含む、測距通知パケット300を送信する。測距通知パケットは、ターゲットデバイス320の物理層コントローラ530によって受信され、処理される。受信側デバイスの物理層コントローラ530は、受信した測距通知パケットの少なくとも一部554を、受信側デバイス320のメディアアクセスコントローラ540に送信する。受信側デバイスのメディアアクセスコントローラ540は、受信した測距通知パケット内のデータの妥当性を検査する。測距通知パケットの妥当性検査558の結果として、受信側デバイスのメディアアクセスコントローラ540が、受信側デバイスの物理層コントローラ530への測距通知応答560を生成する。測距通知応答560を受信したときに、受信側デバイスの物理層コントローラ530は、発信元デバイス310に肯定応答ACK564を送信してもよい。それは発信元デバイスの物理層コントローラ520によって処理される。送信するか否かは任意であるACK564が受信されたなら、発信元デバイスの物理層コントローラ520は、発信元メディアアクセスコントローラ510に、ACK指示568を送信する。
【0032】
ACK指示568を受信した時、又は測距要求550が生成されてから所定の時間経過後に、発信元デバイスのメディアアクセスコントローラ510は、測距パケット570を生成し、そのパケットは発信元物理層コントローラ520によって受信され、処理される。測距パケットが受信されると、発信元物理層コントローラ520は、ターゲットデバイスの物理層コントローラ530に、測距パケット330を送信する。受信側デバイスの物理層コントローラ530は、ターンアラウンド遅延時間585後に、測距パケット330に応答し、発信元デバイスに応答測距パケット330を送信し、そのパケットは発信元デバイスの物理層コントローラ520によって受信され、処理される。
【0033】
ターンアラウンド遅延時間585は、発信元デバイスが予め決定し、測距通知パケット300の中に含めることができる。別法として、ターゲットデバイス320が、ターンアラウンド遅延時間585を決定し、応答測距パケット330を発信元デバイス310に返送する前、又は返送した後に、発信元デバイスに遅延時間を送信する。
【0034】
発信元デバイスの物理層コントローラ520は、発信元デバイスのメディアアクセスコントローラ510への測距確認信号590を生成してもよい。
【0035】
I.パケット設計
本発明では、秘匿測距に対応するために、「測距通知パケット」及び「測距パケット」という2つのパケットタイプを用いる。
【0036】
A.測距通知パケット
このパケットは、ターゲットデバイスが発信元デバイスから待ち受けるべき測距プリアンブルの形式を含み、ターゲットデバイスに、ターゲットデバイスが使用すべき応答測距パケットのフォーマットを通知する。測距プリアンブルは、その長さLを変更し、Si∈Sであるような系列プールSからの異なる基本系列Siを使用し、選択された基本系列にランダム循環シフトkを適用して、
【数1】
を生成することによって操作することができる。さらに、時間ホッピング又はローカルクロックのドリフティングのような、発信元及びターゲットデバイスだけが知っている他の操作を施すことによって、公称パルス繰返し間隔(PRI)Tcを変更してもよい。これらの変数の設定は、測距通知パケットのペイロードに含まれる(図6を参照)。
【0037】
1つのオプションでは、発信元デバイスから、又は発信元デバイスに系列Siそのものを送信する代わりに、系列Siに対応するインデックスを送信するようにしてもよい。ターゲットデバイスは、同じ設定に従って、応答測距パケット330を形成することになる。それゆえ、測距通知パケットにおいて与えられる設定を、ターゲットデバイスが保存することができる。そのような操作の利点は、次節において、3値IR波形及びTH−IR波形と共に説明する。
【0038】
秘匿性をさらに高めるために、測距通知パケットを用いて、ターンアラウンド遅延時間を指定して、ターゲットデバイスの動作を変更してもよい。この場合、発信元デバイスは、ターゲットデバイスによって使用されるべきターンアラウンド遅延時間を指定することができる。別法として、ターンアラウンド遅延時間をターゲットによって決定し、測距パケット交換が実行される前、又は実行された後に、発信元に知らせてもよい。
【0039】
図6に、本発明の一実施形態による、測距通知パケット300の構造を示す。パケット300は、プリアンブル610と、ヘッダ620と、ペイロード630とを含む。プリアンブル610及びヘッダ620を用いて、測距通知パケットを特定することができ、且つ測距通知パケットについての種々の特徴に関するデータを与えることができる。ペイロード630は、他のデバイスがアクセスできないように暗号化するか又は別の方法で保護してもよい。ペイロード630は、測距プリアンブル長640と、測距プリアンブル設定650と、その他のデータ660とを含む。その他のデータ660を用いて、後続の測距パケットに応答するときにターゲットデバイスが使用するべき、非系列関連パラメータ(non-sequence-related parameters)を通信することができる。非系列関連パラメータとは、たとえば、パルス繰返し間隔(PRI)Tc、ターンアラウンド遅延時間等である。プリアンブル設定650は、ターゲットが応答するときに使用するべき基本系列Si800と、シフト値670と、その他のデータ680とを含む。その他のデータ680は、後続の測距パケットに応答するときにターゲットデバイスが使用するべき、系列関連パラメータ(sequence-related parameters)を指示するために用いる。系列関連パラメータとは、たとえば、実際の系列を使用するべきか又はインデックスを使用するべきか、系列の長さ、繰返しのパターン及び長さ、極性パターン等である。他の実施形態では、「その他の」データフィールド600及び680のうちの一方だけが、測距パケットに応答するときにターゲットデバイスが使用するべきパラメータを含む。
【0040】
B.測距パケット
測距パケット330の構造を図7に示す。測距パケットは、プリアンブル860と、任意選択でヘッダ1020と、ペイロード1030とを含む。ペイロード1030は暗号化してもよい。プリアンブル860は、同期(SYNC)1040、開始フレームデリミタ(SFD)1050、及びチャネル推定(CE)1060のためのフィールドを含む。SYNCフィールド1040は、「シンボル」と呼ばれる信号波形
【数2】
の繰り返しである循環シフトされた3値系列830を含む。図7に、2つの取り得る循環シフトされた3値系列830を示す。第1の循環シフトされた3値系列830aは、全て正の極性を有する。第2の循環シフトされた3値系列830bでは、前半の半分が負の極性を有し、後半の半分が正の極性を有する。他の極性方式は可能である。
【0041】
SYNCフィールド内の
【数3】
のシンボルの数によって、プリアンブル長及びシンボル持続時間に応じて決まる、達成可能な処理利得が決定される。V. Brethour著「Proposed-classes-ranging-service」(IEEE 802.15.4a TG, 15-05-0221-02-004a, May 2005)は3つのプリアンブル長4ms、1ms及び500μsを指定している。プリアンブル内で提示されるシンボル繰返しの数は、プリアンブル長をシンボル持続時間で割ることによって求めることができる。多数のシンボルにわたって平均することによって、信号対雑音比(SNR)が高くなり、それゆえ、最初に到着するマルチパスを特定するのが容易になる。結果として、距離推定の精度が向上する。
【0042】
図8に、本発明の一実施形態による測距パケットを生成するための流れ図を示す。系列インデックス生成器850が、系列Si800を生成し、その系列は系列リポジトリ700に格納される。系列Siが循環シフトされた系列の場合には、シフトインデックス生成器810がシフトインデックスを生成する。シフトインデックス及び系列Siは、測距系列生成器820によって、測距系列S’i830を生成するために用いられる。シフトインデックスは、「その他の」データフィールド600及び680のうちのいずれかにおいて予め決定するか、又はランダムに生成してもよい。
【0043】
系列Siが時間ホップ系列の場合には、ホッピング生成器(図示せず)がホッピング系列を生成する。
【0044】
測距プリアンブル生成器840が、測距系列830を含むプリアンブル860を生成する。測距プリアンブルは、測距パケットフォーマッタ870によってデータに添付される。その後、測距パケット330は、ターゲット320に送信される。3値IR及びTH−IRの系列Siの詳細は後に説明する。
【0045】
II.波形の構造
送信波形の構造は、いかなる測距方式の性能においても重要である。本発明では、秘匿測距に対応する2つの異なる信号(signaling)波形を説明する。
【0046】
波形の構造は、以下の制約を考慮に入れるべきである。
UWBチャネルの最大過剰遅延は約60ns、又はそれよりも長くなることがある(A. F. Molisch著「Status of Channel Modeling Final Report」(IEEE P802.15-04-0346-00-004a/r0, July 2004))。信号波形は、前縁の前に十分に広いゼロ相関ゾーンを有し、サイドローブ(side lobes)によって引き起こされる測距誤差を最小限に抑えるべきである。
FCCによるピーク対平均電力比(PAPR)及びスペクトルマスク要件に準拠しなければならない。その内容全体が参照により本明細書に援用される、FCC First Report and Order(FCC-02-48, April 2002)を参照されたい。すなわち、パルスどうしの間隔は、或る特定の値よりも大きくすることはできず、スペクトルピークは、適当な方法によって抑えられるべきである。
受信波形は、コヒーレント測距及び非コヒーレント測距の両方を可能にすることが好都合である。言い換えると、同じネットワークにおいて同時に利用できるようにするために、コヒーレント及び非コヒーレントの両方の受信機が同じ波形を処理することができるほうがよい。
【0047】
3値インパルス無線(3値IR)の信号波形、及び時間ホップインパルス無線(TH−IR)の信号波形は両方ともこれらの3つの制約を満たすことができる。送信プリアンブル波形を解析的に表現する表記法は以下のとおりである。ここで、Nsymは、測距パケットのプリアンブル内のシンボルの数であり、ωは単位エネルギーの送信パルス形状であり、Tsymはシンボル持続時間であり、Tcは公称PRIであり、TH−IRのフレーム持続時間とも呼ばれ、Npはシンボル当たりの全パルス数である。
【0048】
A.3値IR
3値IR系列の場合、送信プリアンブル波形ri,k(ter)(t)は以下のように表すことができる。
【0049】
【数4】
【0050】
ここで、di,j(k)∈{−1,0,1}は、系列Si内のj番目のパルスのためのkシフト3値係数である。最適な自己相関特性を有する3値系列は、その内容全体が参照により本明細書に援用される、I. Lakkisによって「15-05-0456-01-004a-pulse-compression」(IEEE 802.15.4a Technical Contribution, July 2005, San Francisco)において記載されている。残念なことに、図9に示すように、長さ31の6つの系列(コードS1〜S6)及び長さ127の5つの系列(コードS7〜S11)だけがこれらの特徴を有する。
【0051】
3値系列をkだけシフトすることによって、その周期的な相関のピークも、k個のチップ持続時間(chip duration)だけシフトする。パルス繰返し間隔Tc=30ns及びk=1であると仮定する。その際、元の系列と、元の系列が周期的に繰返しシフトされた系列との相関のピークは30nsだけ離れる。したがって、3値系列のkシフト機構をセキュリティツールとして用いることができる。受信系列内のシフトに気がつかないデバイスは、ckTcメートルの測距誤差を引き起こすであろう。ただし、c=3・106M/sである。
【0052】
3値系列をシフトする効果を図10に示す。信号1001及び1002では、X軸がサンプルインデックスであり、y軸が相関出力値である。ここで、シフトされない系列S1(すなわち、
【数5】
)を1001に示す。5だけ右にシフトされた系列S1(すなわち、
【数6】
)を信号1002に示す。
【数7】
と基本3値系列が周期的に繰り返される系列との相互相関を信号1003に示す。
【数8】
と基本3値系列が周期的に繰り返される系列との相互相関を信号1004に示す。1003及び1004内の相関ピークは、互いから30nsだけシフトされる。信号1003及び1004では、X軸はサンプルインデックスであり、y軸は相関出力値である。
【0053】
図11に、元の3値系列から循環シフトされた3値系列を生成するための方法を示す。測距系列生成器820は入力として、元の系列800及びシフトインデックス値810をとり、循環シフトされた系列831を返す。測距系列生成器820の出力の繰返しが、測距波形を生成するために用いられる。
【0054】
ランダムシフトを組み込むことによって、長さ31系列の場合に186まで、長さ127系列の場合に635まで、系列選択の自由度を高められる。発信元デバイスだけが、ターゲットデバイスまでの距離を求める場合には、ターンアラウンド遅延時間が測距通知パケットに含まれる必要はなく、発信元デバイスが測距パケットのラウンドトリップ時間(round-trip time)を計算に入れることが重要である。
【0055】
B.時間ホップ−IR
典型的なTH−IR方式では、1つのシンボルが等しい時間間隔Tcに分割され、その間隔毎に、単一のパルスが送信される。フレーム内のパルスの位置は、時間ホッピング系列に従って求められる。そのようなTH−IR送信信号波形は、以下のように表すことができる。
【0056】
【数9】
【0057】
ここで、cj∈1、−1はスペクトル平滑化のための極性スクランブル係数であり、Th(j)はj番目のフレーム内の時間ホッピング持続時間である。Th(j)は、パルス間干渉を防ぐために、Th(j)<Tc−E(τdelay)に制限されるべきである。ただし、E(τdelay)は、チャネルの予想される遅延スプレッドである。
【0058】
発信元デバイス及びターゲットデバイスにしか時間ホッピングコードが知られていないとき、測距は秘匿性を保って実行することができる。それゆえ、測距通知パケットは、そのSiフィールドにおいて時間ホッピング系列{Th(1),Th(2),...Th(Np)}を指定すべきであり、同じコードを用いて、測距パケットプリアンブルを生成すべきである。
【0059】
図12では、X軸はPRIインデックス(又はチップインデックス)を表し、Y軸は、単位エネルギーに正規化する前の相関出力を示す。図12に示す、時間ホッピングコードが一致しない場合には、相関ピークの周囲のゼロ相関ゾーンは、相関の不一致に起因して生成されるサイドローブによって摂動するようになる。この場合、サイドローブが、先行する信号エネルギーとして検出される可能性が高くなるので、前縁検出はほとんど不可能になる。すなわち、2つの時間ホップ系列TH1{4,3,4,2,1,3,1,1}及びTH2{1,3,1,3,4,4,2,1}があり、Np=81サンプル、Nsym=8サンプル及びTc=32サンプルであると仮定する。第1の系列TH1の自己相関を信号1201に示す。この自己相関の拡大図を信号1202に示す。TH1とTH2との間の相互相関を信号1203に示す。それらのタイミング信号において、X軸はサンプルインデックスであり、y軸は相関出力である。
【0060】
上記の教示に鑑みて、本発明の多数の変更及び変形が可能である。それゆえ、添付の特許請求の範囲内で、本発明は、本明細書において具体的に記述されるのとは異なる方法で実施できることは理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】超広帯域通信において用いられるプロトコルのブロック図である。
【図2】従来の超広帯域測距のブロック図である。
【図3】従来の超広帯域測距のさらに詳細なブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態による測距のブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態による測距のさらに詳細なブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態による測距通知パケットのブロック図である。
【図7】本発明の一実施形態による測距パケットのブロック図である。
【図8】本発明の一実施形態による測距パケットを生成するための方法の流れ図である。
【図9】本発明の一実施形態による3値系列のリストを示す図である。
【図10】本発明の一実施形態による、3値系列においてシフトを有する、相関ピークのシフトのタイミング図である。
【図11】本発明の一実施形態による、元の3値系列から、循環シフトされた3値系列を生成するための方法の流れ図である。
【図12】本発明の一実施形態による、相関ピーク付近のゼロ相関ゾーンのタイミング図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信ネットワークにおける測距のための方法であって、
第1のデバイスによって送信される測距パケットを第2のデバイスにおいて受信するステップと、
前記第1のデバイス及び前記第2のデバイスだけが知っている遅延時間後に、該第2のデバイスから前記第1のデバイスに前記測距パケットを返送し、該第1のデバイスと前記第2のデバイスとの間の距離を求める、返送するステップと
を含む、無線通信ネットワークにおける測距のための方法。
【請求項2】
前記第1のデバイスによって前記遅延時間をランダムに選択すること、
前記遅延時間を暗号化すること、及び
前記暗号化された遅延時間を前記第2のデバイスに送信すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2のデバイスによって前記遅延時間をランダムに選択すること、
前記遅延時間を暗号化すること、及び
前記暗号化された遅延時間を前記第1のデバイスに送信すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記暗号化された遅延時間は、前記測距パケットを返送する前に、前記第1のデバイスに送信される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記暗号化された遅延時間は、前記測距パケットを返送した後に、前記第1のデバイスに送信される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
暗号化された測距通知パケットにおいて、前記第1のデバイスから前記第2のデバイスに前記遅延時間を送信することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
暗号化された測距通知パケットにおいて、前記第2のデバイスから前記第1のデバイスに前記遅延時間を送信することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記測距パケットは前記無線ネットワークの物理層において送信される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記測距パケットをランダムに操作することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記プリアンブルをランダムに操作する方法が、測距通知パケットにおいて、前記第1のデバイスから前記第2のデバイスに送信される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2のデバイスによって、前記第1のデバイスに対して前記測距通知パケットに肯定応答することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記測距通知パケットは、プリアンブルと、ヘッダと、識別情報と、鍵と、ブリアンブル長と、プリアンブル波形識別インデックスとを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記測距パケットの長さをランダムに操作する、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記測距パケットは、異なる基本系列を用いることによってランダムに操作される、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記測距パケットは、パルス繰返し間隔を変更することによってランダムに操作される、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記無線ネットワークは超広帯域シグナリングを用いる、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記測距パケットは、プリアンブルと暗号化されるペイロードとを含み、
該プリアンブルは、同期、開始フレームデリミタ及びチャネル推定のためのフィールドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記パルス繰返し間隔の前記操作に時間ホッピングを用いる、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記パルス繰返し間隔の前記操作にローカルクロックのドリフティングを用いる、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
プログラム命令を格納するコンピュータプログラム製品であって、該プログラム命令でプログラムされるコンピュータによって実行されるときに、該コンピュータが請求項1、2、3、4、5、6、7又は8に記載の方法を実行する、プログラム命令を格納するコンピュータプログラム製品。
【請求項21】
測距のための無線通信ネットワーク内の装置であって、
測距パケットを送信するように構成される第1のデバイスと、
第2のデバイスであって、前記測距パケットを受信すると共に、前記第1のデバイス及び該第2のデバイスだけが知っている遅延時間後に前記測距パケットに応答するように構成され、それによって、前記第1のデバイスと該第2のデバイスとの間の距離を求める、第2のデバイスと
を備える、測距のための無線通信ネットワーク内の装置。
【請求項22】
前記遅延時間は、前記第1のデバイスによってランダムに選択され、暗号化される測距パケットにおいて前記第2の装置に送信される、請求項21に記載の装置。
【請求項1】
無線通信ネットワークにおける測距のための方法であって、
第1のデバイスによって送信される測距パケットを第2のデバイスにおいて受信するステップと、
前記第1のデバイス及び前記第2のデバイスだけが知っている遅延時間後に、該第2のデバイスから前記第1のデバイスに前記測距パケットを返送し、該第1のデバイスと前記第2のデバイスとの間の距離を求める、返送するステップと
を含む、無線通信ネットワークにおける測距のための方法。
【請求項2】
前記第1のデバイスによって前記遅延時間をランダムに選択すること、
前記遅延時間を暗号化すること、及び
前記暗号化された遅延時間を前記第2のデバイスに送信すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2のデバイスによって前記遅延時間をランダムに選択すること、
前記遅延時間を暗号化すること、及び
前記暗号化された遅延時間を前記第1のデバイスに送信すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記暗号化された遅延時間は、前記測距パケットを返送する前に、前記第1のデバイスに送信される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記暗号化された遅延時間は、前記測距パケットを返送した後に、前記第1のデバイスに送信される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
暗号化された測距通知パケットにおいて、前記第1のデバイスから前記第2のデバイスに前記遅延時間を送信することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
暗号化された測距通知パケットにおいて、前記第2のデバイスから前記第1のデバイスに前記遅延時間を送信することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記測距パケットは前記無線ネットワークの物理層において送信される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記測距パケットをランダムに操作することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記プリアンブルをランダムに操作する方法が、測距通知パケットにおいて、前記第1のデバイスから前記第2のデバイスに送信される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2のデバイスによって、前記第1のデバイスに対して前記測距通知パケットに肯定応答することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記測距通知パケットは、プリアンブルと、ヘッダと、識別情報と、鍵と、ブリアンブル長と、プリアンブル波形識別インデックスとを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記測距パケットの長さをランダムに操作する、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記測距パケットは、異なる基本系列を用いることによってランダムに操作される、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記測距パケットは、パルス繰返し間隔を変更することによってランダムに操作される、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記無線ネットワークは超広帯域シグナリングを用いる、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記測距パケットは、プリアンブルと暗号化されるペイロードとを含み、
該プリアンブルは、同期、開始フレームデリミタ及びチャネル推定のためのフィールドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記パルス繰返し間隔の前記操作に時間ホッピングを用いる、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記パルス繰返し間隔の前記操作にローカルクロックのドリフティングを用いる、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
プログラム命令を格納するコンピュータプログラム製品であって、該プログラム命令でプログラムされるコンピュータによって実行されるときに、該コンピュータが請求項1、2、3、4、5、6、7又は8に記載の方法を実行する、プログラム命令を格納するコンピュータプログラム製品。
【請求項21】
測距のための無線通信ネットワーク内の装置であって、
測距パケットを送信するように構成される第1のデバイスと、
第2のデバイスであって、前記測距パケットを受信すると共に、前記第1のデバイス及び該第2のデバイスだけが知っている遅延時間後に前記測距パケットに応答するように構成され、それによって、前記第1のデバイスと該第2のデバイスとの間の距離を求める、第2のデバイスと
を備える、測距のための無線通信ネットワーク内の装置。
【請求項22】
前記遅延時間は、前記第1のデバイスによってランダムに選択され、暗号化される測距パケットにおいて前記第2の装置に送信される、請求項21に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2009−505060(P2009−505060A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525973(P2008−525973)
【出願日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【国際出願番号】PCT/US2005/041118
【国際公開番号】WO2007/021292
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(597067574)ミツビシ・エレクトリック・リサーチ・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド (484)
【住所又は居所原語表記】201 BROADWAY, CAMBRIDGE, MASSACHUSETTS 02139, U.S.A.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【国際出願番号】PCT/US2005/041118
【国際公開番号】WO2007/021292
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(597067574)ミツビシ・エレクトリック・リサーチ・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド (484)
【住所又は居所原語表記】201 BROADWAY, CAMBRIDGE, MASSACHUSETTS 02139, U.S.A.
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]