説明

移動通信システムおよび移動無線端末装置

【課題】移動無線端末装置が手元になくなった場合に、そのものを回収する手がかりを与えることが可能な移動無線端末装置および移動通信システムを提供する。
【解決手段】予め指定された移動無線端末装置100から遠隔操作要求があった場合に、これを認証サーバ300で認証し、そして遠隔操作が許可されたものである場合に、遠隔操作する側の移動無線端末装置100と遠隔操作される側の移動無線端末装置200との間に通信リンクを確立し、移動無線端末装置100からの要求に応じて移動無線端末装置200が遠隔操作される。そして、遠隔操作により移動無線端末装置200が取得した位置情報や撮像データなどが移動無線端末装置100に伝送され、これらの情報に基づく表示が移動無線端末装置100にてなされるようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばPHS(Personal Handyphone System)や携帯電話システムに用いられる移動無線端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、従来の移動無線端末装置は、移動通信網を通じた他の移動無線端末装置からの遠隔制御により、記憶するデータを上記移動通信網を通じて読み出すことを可能としている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この機能によれば、既に記憶部に記録されている情報を他の機器から読み出すことができるため、例えば移動無線端末装置を紛失したり、盗難に遭った場合でも、記憶部に記録される情報のバックアップを行うことができる。しかしながら、情報のバックアップは行えるものの、移動無線端末装置そのものを回収することはできない。
【特許文献1】特開2001−359157公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の移動無線端末装置では、手元になくなった場合に、他の移動無線端末装置などを使って情報を回収することはできるが、移動無線端末装置そのものを回収することは困難であるという問題があった。
【0005】
この発明は上記の問題を解決すべくなされたもので、移動無線端末装置が手元になくなった場合に、そのものを回収する手がかりを与えることが可能な移動通信システムおよび移動無線端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明は、基地局装置が移動無線端末装置と無線通信し、移動無線端末装置をネットワークに接続する移動通信システムにおいて、移動無線端末装置は、位置情報を取得する位置情報取得手段と、ネットワークを通じて発呼側の端末装置から、遠隔操作を要求する情報を含んだ着呼要求を受信した場合に、端末装置との間に通信リンクを確立する通信リンク確立手段と、通信リンクを通じて、端末装置から位置情報が要求された場合に、位置情報取得手段を制御して位置情報を取得させ、これによって得られる位置情報を端末装置に送信する位置情報送信手段とを具備して構成するようにした。
【0007】
またこの発明では、基地局装置が移動無線端末装置と無線通信し、移動無線端末装置をネットワークに接続する移動通信システムにおいて、移動無線端末装置は、撮像を行う撮像手段と、ネットワークを通じて発呼側の端末装置から、遠隔操作を要求する情報を含んだ着呼要求を受信した場合に、端末装置との間に通信リンクを確立する通信リンク確立手段と、通信リンクを通じて、端末装置から撮像要求がなされた場合に、撮像手段を制御して撮像を行わせ、これによって得られる画像データを端末装置に送信する画像データ送信手段とを具備して構成するようにした。
【発明の効果】
【0008】
以上述べたように、この発明では、移動無線端末装置が、ネットワークを通じて発呼側の端末装置から、遠隔操作を要求する情報を含んだ着呼要求を受信した場合に、端末装置との間に通信リンクを確立し、この通信リンクを通じて、端末装置から位置情報あるいは撮像が要求された場合に、位置情報取得手段を制御して位置情報を取得させたり、あるいは撮像手段を制御して撮像を行わせ、これらによって得られる位置情報や画像データを端末装置に送信するようにしている。
【0009】
したがって、この発明によれば、移動無線端末装置が手元になくなった場合に、端末装置からの遠隔操作によって、上記移動無線端末装置の位置情報や画像データを取得して回収する手がかりを与えることが可能な移動通信システムおよび移動無線端末装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して、この発明の一実施形態について説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係わる移動通信システムの構成を示すものである。図1に示すように、この移動通信システムは、移動通信網NWと、これに収容される複数の無線基地局CSと、これと無線通信し、ユーザ(加入者)が携帯する移動無線端末装置100,200と、移動通信網NWに収容される認証サーバ300とを備える。
【0011】
移動無線端末装置100および200は、例えば図2に示すように構成される。移動無線端末装置100および200は、それぞれアンテナ101と、無線通信部110と、音声処理部120と、表示部130と、操作部140と、報知部150と、記憶部160と、GPS受信部170と、カメラ部180とを備えている。
アンテナ101は、無線基地局CSから送信される無線信号の受信や、当該移動無線端末装置からの無線基地局CSに宛てた無線信号の送信を行うものである。
【0012】
無線通信部110は、アンテナ101を通じて無線基地局CSと無線通信し、この無線基地局および移動通信網NWを介して通信相手局と通信するものである。具体的には、無線通信部110は、アンテナ101が受信した無線信号をダウンコンバートして復調し、通信相手局から送信された符号化音声データや制御データを得る。これらは、制御部190に出力される。
【0013】
また無線通信部110は、制御部190を通じて音声処理部120から与えられる符号化音声データや、制御部190から与えられる制御データを用いてベースバンド信号を変調し、これをアップコンバートして無線信号を生成し、アンテナ101を通じて無線基地局CSに宛てて送信する。
【0014】
音声処理部120は、制御部190より入力される無線通信部110にて復調された符号化音声データを復号して音声信号を再生し、内蔵するスピーカ121から拡声出力する。これにより、通話相手局からの送話音声がユーザに伝達される。また音声処理部120は、内蔵するマイクロホン122から入力された音声信号を符号化して符号化音声データを生成し、これを制御部190を通じて無線通信部110に与える。
【0015】
表示部130は、LCD(Liquid Crystal Display)などを用いた表示装置であって、テキストや画像など種々の視覚的な情報をユーザに映示するものである。操作部140は、複数のキースイッチなどを備え、ユーザの要求を受け付けるものである。報知部150は、着信の発生を音によりユーザに報知するものである。
【0016】
記憶部160は、制御部190の制御プログラムや制御データ、当該移動無線端末装置の電話番号を記憶するとともに、電話番号、名称および顔写真などの画像データを対応づけた電話帳データや、送受信したメールデータ、GPS受信部170で得られた位置情報、カメラ部180で撮像された画像データなどが記憶される。
【0017】
GPS受信部170は、制御部190の指示にしたがって動作し、図示しないGPS(Global Positioning System)衛星から送信されるGPS信号を受信して、当該移動無線端末装置の位置を測位するものであって、この測位によって得た位置情報を制御部190に出力する。
【0018】
カメラ部180は、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を用いた電子カメラであって、制御部190の指示にしたがって動作し、撮像を行う。
【0019】
制御部190は、当該移動無線端末装置の各部を統括して制御するものである。例えば、操作部140を通じたユーザの指示にしたがって、無線通信部110を制御して、移動通信網NWを通じた通信(音声通信や電子メールの送受信)を行ったり、あるいはユーザの指示にしたがって、カメラ部180やGPS受信部170を駆動制御する。また制御部190は、通信相手局から受信した制御データにしたがって、カメラ部180やGPS受信部170を駆動制御し、これらのデバイスから得た情報を通信相手に送信する制御機能も備える。
【0020】
認証サーバ300は、着信のあった移動無線端末装置(100あるいは200)からの要求に応じて、上記着信の発信元についての認証を行うものである。その構成として、認証サーバ300は、例えば図3に示すように、通信部301と、記憶部302と、制御部303とを備える。
【0021】
通信部301は、移動通信網NWに有線接続され、移動通信網NWを介した通信を行うものである。記憶部302は、制御部303の制御プログラムや制御データを記憶するほかに、無線基地局CSを通じて移動通信網NWに接続される移動無線端末装置(100あるいは200)の認証情報(電話番号とパスワード)や、被遠隔操作許可情報、遠隔操作許可端末情報を記憶するものである。
【0022】
上記被遠隔操作許可情報は、移動無線端末装置の電話番号に対応づけて、移動通信網NWを通じた遠隔操作を受け付けるか否か示す情報が対応づけられたものであり、サービスの加入時などにユーザが任意に設定したものである。
【0023】
上記遠隔操作許可端末情報は、遠隔操作される移動無線端末装置の電話番号に対応づけて、遠隔操作を許可する移動無線端末装置の電話番号とパスワードが対応づけられたものであり、遠隔操作される移動無線端末装置のユーザがサービスの加入時などに予め任意に設定した情報である。
【0024】
制御部303は、記憶部302に記憶される制御プログラムや制御データにしたがって、当該認証サーバ300の各部を統括して制御するものであって、着側の移動無線端末装置からの要求に応じて、発側の移動無線端末装置についての認証を行い、認証結果を着側の移動無線端末装置に通知する制御を行う。
【0025】
次に、上記構成の移動通信システムの動作について説明する。なお、以下の説明では、移動無線端末装置100と移動無線端末装置200との間で行われる通常の音声通信処理については説明を省略し、図4に示すシーケンス図を参照して、この発明に関わる遠隔制御に関する動作について説明する。ここでは、移動無線端末装置100を発側端末とし、これより着側端末の移動無線端末装置200を遠隔制御する場合を例に挙げて説明する。
【0026】
以下に説明する運用状況としては、移動無線端末装置200のユーザが、移動無線端末装置200を紛失したり、盗難にあったりして手元にない状況で、例えば友人や家族が所有する移動無線端末装置100を利用する場合、あるいは子供が携帯する移動無線端末装置200に対して、親が移動無線端末装置100を通じて遠隔制御を行う場合、移動無線端末装置200のユーザが急病などにより通話を行えない場合などが想定される。
【0027】
まず、移動無線端末装置100において、ユーザが操作部140を操作して、遠隔制御対象となる移動無線端末装置200の電話番号と、パスワードを入力し、遠隔操作要求を与えると、制御部190は、無線通信部110を制御して、移動無線端末装置200に対して着呼を要求するセットアップメッセージを送信する(S1)。なお、上記セットアップメッセージには、遠隔操作を要求する遠隔操作要求メッセージ、着側である移動無線端末装置200の電話番号、発側である移動無線端末装置100の電話番号および上記パスワードが含まれる。
【0028】
上記セットアップメッセージが無線基地局CSを通じて移動通信網NWに送信されると、移動通信網NWは、上記セットアップメッセージに含まれる着側の移動無線端末装置200の電話番号に基づいて、予め収集しておいた移動無線端末装置の位置登録情報から、移動無線端末装置200が通信可能な無線基地局CSを特定し、この無線基地局CSを通じて、上記セットアップメッセージを移動無線端末装置200に送信する。
【0029】
上記セットアップメッセージを無線基地局CSから受信した移動無線端末装置200では、制御部190が、無線通信部110が受信したセットアップメッセージに遠隔操作要求メッセージが含まれることを検出する。通常の着信時は、制御部190は、表示部130や報知部150を制御して着信の発生を報知するが、ここでは遠隔操作要求メッセージを検出したため、制御部190は、着信の発生を報知しないように制御する(S2)。
【0030】
そして、移動無線端末装置200では、制御部190が、セットアップメッセージから発側である移動無線端末装置100の電話番号およびパスワードを検出し、これらの情報と移動無線端末装置200の電話番号を含んだ着認証要求メッセージを、無線通信部110を制御して、認証サーバ300に宛てて送信する(S3)。
【0031】
これに対して認証サーバ300では、上記着認証要求メッセージを通信部301が受信すると、これを検出した制御部303は、まず上記着認証要求メッセージに含まれる移動無線端末装置200の電話番号と、記憶部302に記憶される被遠隔操作許可情報とを比較し、移動無線端末装置200が遠隔操作を受け付ける設定がなされているものか否かを判定する。
【0032】
また制御部303は、上記着認証要求メッセージに含まれる移動無線端末装置100の電話番号、パスワードおよび移動無線端末装置200の電話番号と、記憶部302に記憶される遠隔操作許可端末情報とを比較し、移動無線端末装置200が遠隔操作を受け付ける端末として移動無線端末装置100の電話番号が設定され、なおかつ上記パスワードが遠隔操作許可端末情報に記憶されるものと一致するか否かを判定する。
【0033】
ここで、移動無線端末装置200が遠隔操作を受け付ける設定がなされ、かつ移動無線端末装置200が遠隔操作を受け付ける端末として移動無線端末装置100の電話番号が設定され、なおかつ上記パスワードが遠隔操作許可端末情報に記憶されるものと一致すると判定された場合に、制御部303は、通信部301を制御し、移動無線端末装置200に宛てて、認証の結果が、遠隔操作を許可することを示す許可メッセージを送信する(S5)。いずれかの条件が満たされない判定結果の場合には、不許可の旨を示す不許可メッセージが送信される。
【0034】
これに対して移動無線端末装置200では、無線通信部110が上記許可メッセージを受信すると、これを検出した制御部190は、無線通信部110を制御して、移動無線端末装置100に対して、遠隔操作を受け入れる旨を示す着呼応答メッセージを送信する(S6)。なお、不許可メッセージを受信した場合には、移動無線端末装置に対して、遠隔操作を受け入れない旨を示すメッセージを送信し、当該処理を終了する。
【0035】
以後、上記着呼応答メッセージを受信した移動無線端末装置100と、移動無線端末装置200との間で、所定の手順に従って両者の情報が交換され、遠隔操作を行うための通信リンクが確立される(S7)
このようにして通信リンクが確立された後、移動無線端末装置100において、ユーザが操作部140を制御して、位置情報を要求する指示を与えると、制御部190は、位置情報を要求するメッセージを生成し、無線通信部110を制御して、上記通信リンクを通じて移動無線端末装置200に上記メッセージを送信する(S8)。
【0036】
これに対して移動無線端末装置200では、無線通信部110が上記メッセージを受信すると、これを検出した制御部190が上記メッセージを解読し、位置情報を要求されていることを認識する。これにより制御部190は、GPS受信部170を駆動制御して、GPS衛星からのGPS信号を受信させ、位置情報(緯度、経度、高度など)を検出させる(S9)。
【0037】
なお、このとき制御部190は、GPS受信部170が駆動していることを周囲に通知しないように各部を制御する。例えば、操作部140を通じて動作確認が伴う操作がなされた場合でも、GPS受信部170が駆動していることを示さない。
【0038】
そして、移動無線端末装置200の制御部190は、GPS受信部170が検出した位置情報を取得し、無線通信部110を制御して、上記位置情報を移動無線端末装置100に宛てて送信する(S10)。
【0039】
これに対して移動無線端末装置100では、上記撮像データを無線通信部110が受信すると、これを検出した制御部190が、受信した位置情報に基づいて対応する地図データを、移動通信網NWに接続される地図サーバ(図示しない)から取得し、上記地図データに基づく地図を表示部130に表示して、移動無線端末装置200の位置を視覚的に地図上に示す。
【0040】
その後、移動無線端末装置100において、ユーザが操作部140を制御して、撮像を要求する指示を与えると、制御部190は、撮像を要求するメッセージを生成し、無線通信部110を制御して、上記通信リンクを通じて移動無線端末装置200に上記メッセージを送信する(S12)。
【0041】
これに対して移動無線端末装置200では、無線通信部110が上記メッセージを受信すると、これを検出した制御部190が上記メッセージを解読し、撮像を要求されていることを認識する。これにより制御部190は、カメラ部180を駆動制御して、撮像を行わせる(S13)。
【0042】
なお、このとき制御部190は、カメラ部180が駆動していることを周囲に通知しないように各部を制御する。例えば、操作部140を通じて動作確認が伴う操作がなされた場合でも、カメラ部180が駆動していることを示さない。通常の運用時は、撮像を行うと、報知部150を制御して撮像を行ったことを周囲に報知するが、遠隔制御の場合には、このような報知は行わない。
【0043】
そして、移動無線端末装置200の制御部190は、カメラ部180が撮像した撮像データを取得し、無線通信部110を制御して、上記撮像データを移動無線端末装置100に宛てて送信する(S14)。
【0044】
これに対して移動無線端末装置100では、上記撮像データを無線通信部110が受信すると、これを検出した制御部190が、表示部130を制御して、上記受信した撮像データに基づく画像を表示させる(S15)。
【0045】
以上のように、上記構成の移動通信システムでは、予め指定された移動無線端末装置100から遠隔操作要求があった場合に、これを認証サーバ300で認証し、そして遠隔操作が許可されたものである場合に、遠隔操作する側の移動無線端末装置100と遠隔操作される側の移動無線端末装置200との間に通信リンクを確立し、移動無線端末装置100からの要求に応じて移動無線端末装置200が遠隔操作される。
【0046】
そして、遠隔操作により移動無線端末装置200が取得した位置情報や撮像データなどが移動無線端末装置100に伝送され、これらの情報に基づく表示が移動無線端末装置100にてなされるようにしている。
【0047】
したがって、上記構成の移動通信システムによれば、移動無線端末装置200が手元になくなった場合でも、その位置情報や撮像した画像などから、移動無線端末装置200の位置を知る手がかりを取得できる。
【0048】
また上記構成の移動無線端末装置200では、遠隔操作の要求があった場合には、S2で説明したように、外部から遠隔操作が為されていることが認識できないように、着信の発生や、位置情報取得や撮像に関わる動作を周囲に報知しないようにしているので、盗難などの犯罪に巻き込まれた場合に有効である。
【0049】
なお、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。また例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考えられる。さらに、異なる実施形態に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0050】
その一例として例えば、上記実施の形態では、着呼要求に遠隔操作要求が含まれる場合(S1)に、これに着側端末200が自動応答して通信リンクを確立し、この通信リンクを通じて遠隔制御が行われるようにしたが、これに代わって例えば、着呼要求が所定時間継続した場合に、これに着側端末200が自動応答して通信リンクを確立し、そして、この通信リンクを通じて遠隔操作要求を受け付けた場合に、遠隔制御が行われるようにしてもよい。具体的には、制御部190が、着呼要求の継続時間をカウントし、この継続時間が予め設定した時間以上になった場合に、無線通信部110を制御して着呼要求に自動応答して通信リンクを確立する。
【0051】
このような制御を着側端末200が行うことで、通常の着信にはユーザが応答することができ、一方、ユーザが着信に応答できないような状況下では、設定時間以上の呼び出しを継続することで、自動応答が行われ上述したような遠隔操作を行うことができる。
【0052】
また着側端末200が例えば悪意を有する者に奪われた場合、着側端末200の電源がOFFにされる虞がある。上記構成の着側端末200では、電源がOFFにされると、図4に示したような処理は行えず、発側端末100との間に通信リンクを確立することができない。
【0053】
これに対して例えば、操作部140に対する通常の操作(例えば電源キー長押しなど)で電源をOFFにした場合、制御部190は、表示部130による表示やスピーカ121から拡声出力は停止させるものの、無線通信部110に対しては制御を継続し、着呼要求の到来を監視するようにする。
【0054】
すなわち、通常の電源OFF操作では、外観上は電源OFF状態に見せかけるような状態となるものの、無線通信部110に対しては電源がON状態の時と同様の制御が行われ、着呼要求の到来を監視できる。
【0055】
このような制御部190の制御によれば、通常の電源OFF操作がなされても、無線通信部110は駆動しているため、図4に示したような処理は継続して行われることになり、併せてGPS受信部170やカメラ部180が駆動制御され、位置情報や撮像した画像などから、移動無線端末装置200の位置を知る手がかりを取得できる。
【0056】
なお、この場合においても、遠隔操作の要求があった場合には、S2で説明したように、外部から遠隔操作が為されていることが認識できないように、着信の発生や、位置情報取得や撮像に関わる動作を周囲に報知しないように制御部190が各部の制御を行うのはいうまでもない。
【0057】
また、正当なユーザの手によって真に電源をOFFにしたい場合には、制御部190は、予め設定したパスワードを操作部140を通じて受け付け、これが予め記憶部160に記憶しておいたパスワードと一致する場合に、各部の電源をOFFにし、以後、操作部140を通じて電源ONの要求が与えられることを待機するように制御すればよい。
【0058】
さらに、上記実施の形態では、発側端末として移動無線端末装置100を例に挙げて説明したが、発側の端末は、有線網に収容される固定電話であってもよく、同様の効果を得られる。
その他、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を施しても同様に実施可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】この発明に係わる移動通信システムの一実施形態の構成を示すシステム構成図。
【図2】図1に示した移動通信システムの移動無線端末装置の構成を示す回路ブロック図。
【図3】図1に示した移動通信システムの認証サーバの構成を示す回路ブロック図。
【図4】図1に示した移動通信システムの動作を説明するためのシーケンス図。
【符号の説明】
【0060】
100,200…移動無線端末装置、101…アンテナ、110…無線通信部、120…音声処理部、121…スピーカ、122…マイクロホン、130…表示部、140…操作部、150…報知部、160…記憶部、170…GPS受信部、180…カメラ部、190…制御部、300…認証サーバ、301…通信部、302…記憶部、303…制御部、CS…無線基地局、NW…移動通信網。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局装置が移動無線端末装置と無線通信し、前記移動無線端末装置をネットワークに接続する移動通信システムにおいて、
前記移動無線端末装置は、
位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記ネットワークを通じて発呼側の端末装置から、遠隔操作を要求する情報を含んだ着呼要求を受信した場合に、前記端末装置との間に通信リンクを確立する通信リンク確立手段と、
前記通信リンクを通じて、前記端末装置から位置情報が要求された場合に、前記位置情報取得手段を制御して位置情報を取得させ、これによって得られる位置情報を前記端末装置に送信する位置情報送信手段とを具備することを特徴とする移動通信システム。
【請求項2】
前記端末装置は、
前記通信リンクを通じて位置情報の要求を行った後に、前記移動無線端末装置から送信される位置情報を受信する位置情報受信手段と、
この位置情報受信手段が受信した位置情報に基づいて、前記移動無線端末装置の位置を示す地図を表示する表示手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の移動通信システム。
【請求項3】
基地局装置が移動無線端末装置と無線通信し、前記移動無線端末装置をネットワークに接続する移動通信システムにおいて、
前記移動無線端末装置は、
撮像を行う撮像手段と、
前記ネットワークを通じて発呼側の端末装置から、遠隔操作を要求する情報を含んだ着呼要求を受信した場合に、前記端末装置との間に通信リンクを確立する通信リンク確立手段と、
前記通信リンクを通じて、前記端末装置から撮像要求がなされた場合に、前記撮像手段を制御して撮像を行わせ、これによって得られる画像データを前記端末装置に送信する画像データ送信手段とを具備することを特徴とする移動通信システム。
【請求項4】
前記端末装置は、
前記通信リンクを通じて撮像要求を行った後に、前記移動無線端末装置から送信される画像データを受信する画像データ受信手段と、
この画像データ受信手段が受信した画像データに基づく画像を表示する表示手段とを備えることを特徴とする請求項3に記載の移動通信システム。
【請求項5】
前記通信リンク確立手段は、発呼側の端末装置が予め設定された電話番号を有する端末装置であって、かつ前記端末装置から遠隔操作を要求する情報が含まれた着呼要求を受信した場合に、前記端末装置との間に通信リンクを確立することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の移動通信システム。
【請求項6】
前記移動無線端末装置は、さらに、
着呼の発生を報知する報知手段と、
前記ネットワークを通じて発呼側の端末装置から、遠隔操作を要求する情報を含まない着呼要求を受信した場合には、前記報知手段を制御して着呼の発生を報知制御し、一方、遠隔操作を要求する情報を含んだ着呼要求を受信した場合には、前記報知手段が着呼の発生を報知しないように制御する報知制御手段とを備えること特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の移動通信システム。
【請求項7】
基地局装置と無線通信し、ネットワークに接続する移動無線端末装置において、
位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記ネットワークを通じて発呼側の端末装置から、遠隔操作を要求する情報を含んだ着呼要求を受信した場合に、前記端末装置との間に通信リンクを確立する通信リンク確立手段と、
前記通信リンクを通じて、前記端末装置から位置情報が要求された場合に、前記位置情報取得手段を制御して位置情報を取得させ、これによって得られる位置情報を前記端末装置に送信する位置情報送信手段とを具備することを特徴とする移動無線端末装置。
【請求項8】
基地局装置と無線通信し、ネットワークに接続する移動無線端末装置において、
撮像を行う撮像手段と、
前記ネットワークを通じて発呼側の端末装置から、遠隔操作を要求する情報を含んだ着呼要求を受信した場合に、前記端末装置との間に通信リンクを確立する通信リンク確立手段と、
前記通信リンクを通じて、前記端末装置から撮像要求がなされた場合に、前記撮像手段を制御して撮像を行わせ、これによって得られる画像データを前記端末装置に送信する画像データ送信手段とを具備することを特徴とする移動無線端末装置。
【請求項9】
前記通信リンク確立手段は、発呼側の端末装置が予め設定された電話番号を有する端末装置であって、かつ前記端末装置から遠隔操作を要求する情報が含まれた着呼要求を受信した場合に、前記端末装置との間に通信リンクを確立することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の移動無線端末装置。
【請求項10】
さらに、
着呼の発生を報知する報知手段と、
前記ネットワークを通じて発呼側の端末装置から、遠隔操作を要求する情報を含まない着呼要求を受信した場合には、前記報知手段を制御して着呼の発生を報知制御し、一方、遠隔操作を要求する情報を含んだ着呼要求を受信した場合には、前記報知手段が着呼の発生を報知しないように制御する報知制御手段とを備えること特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれかに記載の移動無線端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−143048(P2007−143048A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−337369(P2005−337369)
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【出願人】(390010308)東芝デジタルメディアエンジニアリング株式会社 (192)
【Fターム(参考)】