説明

穀物選別機

【課題】粒選別機と色彩選別機とを一体的に配設した場合に、粒大選別機及び色彩選別機の供給流量の調整、及び被選別物の選別原料が異なる場合の、粒選別機及び色彩選別機の各選別要素の調整を迅速かつ容易に行うことができる穀物選別機を提供する。
【解決手段】選別・除去手段の単位時間当たりの選別・除去作動回数から単位時間当たりの不良粒除去率を算出するとともに、該不良粒除去率と予め設定された基準の不良粒除去率とを比較し、前記単位時間当たりの不良粒除去率が基準の不良粒除去率よりも上回れば前記粒大選別部側の選別網筒内に設けた回転体の回転数を下げる制御を行い、単位時間当たりの不良品除去率が基準の不良品除去率よりも下回れば前記回転体の回転数を上げる制御を行う制御手段を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は穀物選別機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粒選別機と色彩選別機とを一体的に配設して、前工程の粒選別機により被選別物をあらかじめ精選処理した後、後工程の色彩選別機により着色粒(被害粒を含む不良米)及び異物(着色物)を選別除去し、これにより、色彩選別機への負担を軽減して選別効率を向上させることを可能とした穀物選別機は周知である。
【0003】
特許文献1には、籾摺機に、籾玄米混合粒を籾と玄米に選別する粒大選別機と色彩選別機とを一体的に並設した構成の籾摺選別装置が開示されており、これにより、色彩選別機に供給する籾の量を大幅に減少させ、色彩選別機を小型化すると共に製作費を大幅に削減することができるものである。
【0004】
特許文献2には、精米を整粒と砕粒とに選別する形状選別機と、この形状選別機で選別された整粒又は砕粒を各別に異色粒選別し得る色彩選別機とを、これらの順序で配設した精米粒選別装置が開示されている。このものは、形状選別機により精米を整粒と砕粒とに選別した後に色彩選別機で選別するので、同一工程の同時間帯内に整粒と砕粒とが同時に異色粒が除去されて正常の色の整粒と砕粒が得られ、効率のよい精米の選別ができるものである。
【0005】
特許文献3には、供給ホッパーと、石抜選別機と、精米機と、砕米選別機と、色彩選別機とを備え、少なくとも前記精米機、砕米選別機及び色彩選別機を、1つの機枠内に出し入れ自在に設置すると共に前記機枠を着脱自在のカバーで覆うことで、一体化したことを特徴とする穀物調製装置が開示されている。このものは、多くの農家が既に所有している籾摺機、風力選別機及び粒径選別機を備えていないため、穀物調製装置を小型化することができ、運搬も容易にし、さらには、各機器を出し入れ自在にすることでメンテナンスを容易にすることができるものである。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1、2及び3記載の穀物選別機にあっては、例えば、前工程の粒大選別機には機枠内に選別筒が内装立設されており、粒径が異なる玄米等を選別する場合には、選別筒を所望の選別目合のものと交換したり、最適な選別状態となるよう選別筒内を回転する揚穀螺旋の回転速度を変更したりする制御を行う必要があった。
【0007】
一方、後工程の色彩選別機にあっても、被選別物の品種や選別原料が異なる場合は、その品種や選別原料に合致した色彩選別動作が行えるよう、原料供給量、選別感度、しきい値の設定など選別原料に合わせて調整する必要があった。すなわち、上記粒大選別機と色彩選別機とを一体的に併設し、後工程の色彩選別機への負担を軽減して選別効率を向上させるという目的を達成させるには、例えば、同じ選別原料であっても粒大選別機からの精品排出量と色彩選別機への原料供給量とを略同等に調節する必要があるが、従来の穀物選別機にあっては、これらの調節がなされておらず、粒大選別機及び色彩選別機への供給流量は作業者の勘を頼りに調節せざるを得なかった。
【0008】
また、従来の穀物選別機にあっては、選別原料を変更する都度、その選別原料に合わせて作業者が手作業により、粒大選別機の調整(選別筒の所望の選別目合への変更や、揚穀螺旋の回転速度の変更)及び色彩選別機の調整(原料供給量の変更、選別感度の変更及びしきい値の変更など)をそれぞれ行う必要があり、これらを手作業で設定し直すことは調整作業が煩雑でかつ多大な時間を必要とする問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭63−23750号公報
【特許文献2】特開昭63−218288号公報
【特許文献3】特開2005−334731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記問題点にかんがみ、粒選別機と色彩選別機とを一体的に配設した場合に、粒大選別機及び色彩選別機の供給流量の調整、及び被選別物の選別原料が異なる場合の、粒選別機及び色彩選別機の各選別要素の調整を迅速かつ容易に行うことができる穀物選別機を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため請求項1記載の発明は、供給された穀粒を予め整粒と屑粒又は整粒と未熟粒とに粒径選別する粒大選別部と、該粒大選別部により選別された整粒を受けて着色粒又は異物などの不良粒を光学的に選別・除去する光学選別部とを備えた穀物選別機であって、前記光学選別部側の不良粒の選別・除去手段において、該選別・除去手段の単位時間当たりの選別・除去作動回数から単位時間当たりの不良品除去率を算出するとともに、該不良品除去率と予め設定された基準の不良品除去率とを比較し、前記単位時間当たりの不良品除去率が基準の不良品除去率よりも上回れば前記粒大選別部側の選別網筒内に設けた回転体の回転数を下げる制御を行い、単位時間当たりの不良品除去率が基準の不良品除去率よりも下回れば前記回転体の回転数を上げる制御を行う制御手段を設ける、という技術的手段を講じた。
【0012】
請求項2記載の発明は、前記粒大選別部と光学選別部との接続部に、前記粒大選別部により選別された整粒を一時貯留する貯留タンク及び該貯留タンクから排出される整粒を受けて前記光学選別部に供給する振動フィーダを設け、前記制御手段が、前記単位時間当たりの不良品除去率が基準の不良品除去率よりも上回れば前記振動フィーダの振幅の大きさ又は振動の周波数を下げる制御を行い、単位時間当たりの不良品除去率が基準の不良品除去率よりも下回れば前記振動フィーダの振幅の大きさ又は振動の周波数を上げる制御を行うことを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明は、前記制御手段が、前記単位時間当たりの不良粒除去率と基準の不良粒除去率との差に応じて多段階のしきい値を設定し、該各段階のしきい値に応じて前記回転体の回転数、及び前記振動フィーダの振幅の大きさ又は振動の周波数の1回の目標制御量を決定し、前記基準の不良粒除去率に最短で到達するように制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、光学選別部側の不良粒の選別・除去手段において、該選別・除去手段の単位時間当たりの選別・除去作動回数から単位時間当たりの不良粒除去率を算出するとともに、該不良品除去率と予め設定された基準の不良品除去率とを比較し、前記単位時間当たりの不良品除去率が基準の不良品除去率よりも上回れば前記粒大選別部側の選別網筒内に設けた回転体の回転数を下げる制御を行い、単位時間当たりの不良品除去率が基準の不良品除去率よりも下回れば前記回転体の回転数を上げる制御を行うので、選別・除去手段の単位時間当たりの選別・除去作動回数から直接単位時間当たりの不良品除去率を概算することができ、前工程の粒大選別部により選別された整粒の流量を算出する手法ではないため、流量センサやレベルセンサを設ける必要がなく製造コストの削減が可能となる。また、光選別部が推奨する最適な不良品除去率となるよう、粒大選別部の回転体の回転数を下げ、選別網筒と被選別穀粒との接触時間を長くし、屑粒及び未熟粒の除去率を高めることで、光選別部側への屑粒及び未熟粒の負担を軽減して選別効率を自動的に向上させる制御が可能となる。
【0015】
また、請求項2記載の発明によれば、粒大選別部と光学選別部との接続部に、粒大選別部により選別された整粒を一時貯留する貯留タンク及び該貯留タンクから排出される整粒を受けて前記光学選別部に供給する振動フィーダを設け、前記制御手段が、単位時間当たりの不良品除去率が基準の不良品除去率よりも上回れば前記振動フィーダの振幅の大きさ又は振動の周波数を下げる制御を行い、単位時間当たりの不良品除去率が基準の不良品除去率よりも下回れば前記振動フィーダの振幅の大きさ又は振動の周波数を上げる制御を行うので、光選別部が推奨する最適な不良品除去率となるよう、光学選別部に供給する穀粒の流量を自動的に制御することが可能となる。
【0016】
さらに、請求項3記載の発明によれば、前記制御手段が、前記単位時間当たりの不良粒除去率と基準の不良粒除去率との差に応じて多段階のしきい値を設定し、該各段階のしきい値に応じて前記回転体の回転数、及び前記振動フィーダの振幅の大きさ又は振動の周波数の1回の目標制御量を決定し、前記基準の不良粒除去率に最短で到達するような制御を行うので、粒選別機及び色彩選別機の各選別要素の調整を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る穀物選別機の概略的な内部構造を示す図である。
【図2】穀物選別機の外観を右斜め上方から見た斜視図である。
【図3】穀物選別機の外観を左斜め上方から見た斜視図である。
【図4】穀物選別機の右側面図である。
【図5】穀物選別機の左側面図である。
【図6】穀物選別機の正面図である。
【図7】シュート式光学選別部の概略図である。
【図8】制御回路の概略を示すブロック図である。
【図9】制御回路の作用を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するための最良の形態を図面を参照しながら説明する。図1は本発明の実施の形態に係る穀物選別機の概略的な内部構造を示す図であり、図2は穀物選別機の外観を右斜め上方から見た斜視図であり、図3は左斜め上方から見た斜視図であり、図4は右側面図であり、図5は左側面図であり、図6は正面図であり、図7はシュート式光学選別部の概略図である。
【0019】
図1乃至図7において、本実施形態の穀物選別機1は、側面視がアラビア数字で略「2」の形状をしたフレームを対向状に配置した一対のフレーム2a,2b内に、全高が略2.0m、全幅が略1.0mの略直方体形状の粒大選別部3と、正面視で該粒大選別部3の上部から左下方に向けて穀粒が流れるように配置した光学選別部4とを一体的に配設したものである。
【0020】
フレーム2a,2bには所定数(本実施の形態では2個ずつ)のキャスタ2c…が設けられていて、移動可能となっており、作業者が適宜なレイアウトに設置可能な構成となっている。
【0021】
粒大選別部3はその筐体3aの背面部に原料投入ホッパー5が設けられ、筐体3a内には、屑米及び未熟米と整粒とを粒径選別するための選別網筒6が立設されており、該選別網筒6の上面は閉鎖され、選別網筒6内には揚穀ロール7が立設された、いわゆる上送式竪型選別部となしている。該揚穀ロール7には外周に螺旋状の揚穀螺旋8が軸装され、インバータモータ40などの回転駆動手段により揚穀ロール7を回転させることで、原料投入ホッパー5から選別網筒6内の下部に供給された穀粒が、揚穀螺旋8の回転によって遠心力を受けつつ選別網筒6内を上昇していく。
【0022】
選別網筒6には多数の選別孔9が穿設され、選別網筒6と筐体3aとの間は屑粒室10が形成されている。これにより、上述の遠心力を受けながら選別網筒6内を上昇する穀粒から屑粒(未熟粒)が多数の選別孔9を介して屑粒室10に移送されることで、選別孔9の大きさにより穀粒から屑粒が除かれて粒径選別が行われる。
【0023】
屑粒室10の下部は、屑粒排出樋11を介して筐体3a外に連絡されており、屑粒室10に移送された屑米が屑粒排出樋11を経て筐体3a外へ排出される。
【0024】
揚穀ロール7の上端部には、板状の掻出羽根12が所定数設けられると共に、選別網筒6の上端は、一次貯留タンクとしての粒選貯留タンク13の基端に連通しており、選別網筒6の上端まで搬送された穀粒が、掻出羽根12の回転による遠心力によって粒選貯留タンク13内に放擲状に搬入される。
【0025】
前記粒選貯留タンク13の下部には、前記粒大選別機3の正面側において左下方に向けて穀粒が流れるように配置した光学選別部4が設けられる。該光学選別部4は、いわゆるシュート式光学選別部であって、図1及び図7に示すように仕切り壁4aによって穀粒供給部となる振動フィーダ14及びシュート15を仕切って1次選別部4bと2次選別部4cとに区画されており、また、前記粒選貯留タンク13と供給シュート15との間に振動フィーダ14が設けられ、粒選貯留タンク13に搬送された穀粒が、振動フィーダ14によって送出されて、傾斜状のシュート15に供給される。また、シュート式光学選別部4を粒選貯留タンク13の下方に配設すべく、穀物選別機1の正面視においてシュート式光学選別部4の検知部26が傾斜下方に臨むようシュート15を傾斜配置するとともに、穀物選別機1の側面視においてシュート式光学選別部4のシュート幅Wと前記粒選貯留タンク13の放擲側の膨出部13aの幅Lとが略同一長さに形成されている。そして、上下方向において、粒選貯留タンク13の前面壁13bとシュート式光学選別部4の側面とが面一で配置される。
【0026】
すなわち、図4、図5及び図7に示すように、シュート式光学選別部4のシュート15の1次選別部4b側の幅W1が約160mm、2次選別部4c側の幅W2が約80mmに形成され、シュート15の全幅Wは約240mmとなる。一方、前記粒選貯留タンク13の放擲側の膨出部13aの幅Lはシュート15の全幅Wと略同一長さに形成されている。そして、上下方向において、粒選貯留タンク13の前面壁13bに沿うよう、面一にシュート式光学選別部4が配置される。これにより、図4及び図5に示す側面視において粒選貯留タンク13とシュート式光学選別部4との間に段差が生じることなく、かつ、デッドスペースを生じることなく、シュート式光学選別部4の収納スペースが確保されており、穀物選別機1の全体構成を小型化して省スペース化が可能となり、製造費も大幅に削減することができるものとなる。
【0027】
図1及び図7に示すように、シュート15は粒選貯留タンク13の下方から所定角度で傾斜して配設され、シュート15の下端に検知部26を形成している。検知部26には、該検知部26を通過する被選別物に可視光線を照射する可視光線照明器27及び近赤外線を照射する近赤外線照明器28が取り囲むように設けられ、また、被選別物からの反射光又は透過光を検知するために被選別物の流下軌跡を挟んで、表裏両面を光学的に監視するための一対のカメラ16a,16bと、該一対のカメラ16a,16bの下方に配置した不良粒の選別・除去手段としてのエジェクタノズル17が設けられている。
【0028】
エジェクタノズル17の下方には、穀粒の落下軌跡に対応した良粒排出樋18が、1次選別部用(18a)と2次選別部用(18b)とにそれぞれ設けられ、該良粒排出樋18a,18bにはエジェクタノズル17a,17bで除去されなかった良粒がそのままの軌跡で落下する。一方、エジェクタノズル17a,17bの噴風方向に対向する位置には、着色粒や異物などを受ける不良粒排出樋19が1次選別部用(19a)と2次選別部用(19b)とにそれぞれ設けられ、該不良粒排出樋19a,19b内にエジェクタノズル17a,17bで選別・除去された着色粒や異物が落下する。これにより、良粒から着色粒や異物が選別・除去されることになる。
【0029】
そして、光学選別部4には、1次選別部の良粒排出樋18aに連設して良粒を機外に排出する第1良粒揚穀機20と、1次選別部の不良粒排出樋19aに連設して不良粒を2次選別部に供給する第1不良粒揚穀機21と、2次選別部で選別された良粒を前記粒選貯留タンク13に返還する第2良粒揚穀機22が立設される。そして、2次選別部の不良粒排出樋19bはパイプ(図示せず)を介して機外へ連通する一方、第2良粒揚穀機22の排出樋22aからは、経路23を介して粒選貯留タンク13に返還される。そして、これら第1良粒揚穀機20、第1不良粒揚穀機21及び第2良粒揚穀機22は、前記上送式竪型選別部の筐体3a内に、一体的に収容してある。これにより、複数個の揚穀機をバラバラに配設して複雑な配置構成とすることなく、外観的にもすっきり纏めることができる。そして、本実施形態の構成により籾摺工程の直後に穀物選別機1を容易に設置することができる。
【0030】
第1良粒揚穀機20の排出樋20aには、良粒貯留タンク24が接続され(図2乃至図6参照)、該良粒貯留タンク24下端には、穀粒の袋詰投入樋25が延設されている。該袋詰投入樋25下端の供給口には、手動で開くことができる側面視が扇状の門形状の計量シャッタ29が備えられており、例えば、大投入用シャッタ及び小投入シャッタ(いずれも図示せず)の2段シャッタが枢着される。符号30は前記計量シャッタ29に固着された把手部であり、供給口を手動で開口することができる。符号31は穀粒を穀物袋(図示せず)に誘導するための供給樋である。
【0031】
供給樋31の下方には、計量器32と、該計量器32に載置して穀物袋の開口部を開口させた状態で保持することができる袋立て器33とが設置されている。該袋立て器33は、計量器32上に載置するベース34と、その上面に所定間隔をおいて立設された一対のガイド筒35a,35bと、各ガイド筒35a,35bに下半部側が上下動自在に嵌挿された支柱36a,36bと、各支柱36a,36bの上端部に穀物袋の開口部の両端縁部を挟持するための袋挟持手段37a,37bとから構成されるものである。なお、符号38は一対のガイド筒35a,35bに設けられる、平面形状が略コ字状の袋支え部材である。
【0032】
図8は制御回路の概略を示すブロック図であり、これに基づいて本発明の穀物選別機1の制御構成を説明する。符号41は中央制御装置であって、粒大選別部3及び光学選別部4の各機器の検知信号に基づいて光学選別部4の振動フィーダ14及び粒選別部3のインバータモータ40が統括的に制御されることになる。
【0033】
前記中央制御装置41には、光学選別部4からの入力情報として精品穀粒を計量・袋詰するための計量器32が接続され、該計量器32の計量信号が入出力回路(I/O)42、信号処理回路43を経て中央演算部(CPU)44に送られるような回路構成となっている。符号45は中央演算部(CPU)44に接続された読み出し書き込み用記憶部(RAM)であり、符号46は中央演算部(CPU)44に接続された読み出し専用記憶部(ROM)である。
【0034】
また、前記中央制御装置41には、作業者用の操作パネルからの直接入力情報として選別率調節スイッチ47が接続され、これらのスイッチの入力信号は入出力回路(I/O)49、前記信号処理回路43を経て前記中央演算部(CPU)44に送られるような回路構成となっている。
【0035】
中央演算部(CPU)44から出力する入出力回路50には、光学選別部4への出力としてエジェクタバルブ駆動回路51を介して複数のエジェクタバルブ(電磁弁)52が接続される。これにより、エジェクタバルブ52はエジェクタバルブ駆動回路51の噴風信号を受けて瞬間的に弁の開閉を行い、空気銃のような高圧エアーが前記エジェクタノズル17から瞬間的に噴風されて、検知部26を通過する着色粒や異物などを不良粒排出樋19内に落下させることになる。
【0036】
前記エジェクタバルブ駆動回路51にはパルスカウンター53が接続され、エジェクタバルブ52が作動している時間帯において、単位時間当たりのバルブ駆動信号の出力回数、バルブ駆動信号1回当たりの噴風時間及びエジェクタバルブ52が作動していない休止時間などの信号情報を取得することができる構成となっている。そして、該パルスカウンター53からは取得したデータを中央演算部(CPU)44に取り込むような構成であり、エジェクタバルブ52の単位時間当たりの開作動回数を検出し、該開作動回数に関連して供給シュート15からの落下流量や不良粒除去率を概算することができる。また、不良粒排出樋19内に選別・除去された着色粒や異物の重量を測定するなどして前記開作動回数の検出に代えて不良粒混入率を概算してもよい。
【0037】
さらに、前記中央演算部(CPU)44から出力する入出力回路54には、周波数制御回路55が接続される。そして、該周波数制御回路55には、粒大選別部3への出力先としてインバータモータ40に接続され、光学選別部4への出力先として振動フィーダ14を駆動する電磁駆動手段14bに接続される。
【0038】
次にその動作を説明すると、籾摺選別機58(図1参照)から穀物選別機1の投入ホッパー5へ投入された穀粒(例えば、玄米)は、揚穀ロール7に軸装された揚穀螺旋8により揚上され、選別網筒9からは屑粒及び未熟粒が屑粒室10に排出されて選別される。屑粒及び未熟粒が除去された整粒は、揚穀ロール7の上端に至り、該揚穀ロール7上端に設けられた掻出羽根12によって粒選貯留タンク13内に搬出される。
【0039】
粒選貯留タンク13からは、振動フィーダ14によって1次選別部4b側のシュート15に供給されて検知部26に至り、該検知部26において欠け米、焼け米、しらた、青未熟米及び虫食い着色粒(カメムシなどによって被害を受けた微小な黒点の存在する着色粒)などの1次不良粒と、着色などのない1次良粒とに光学的に監視され、1次良粒と判定されたものはそのまま1次良粒排出樋18aに至り、1次不良粒と判定されたものは下方に配置したエジェクタノズル17aから噴風されて偏向され、1次不良粒排出樋19aに至る。
【0040】
1次良粒排出樋18aに至った良粒は、第1良粒揚穀機20により揚穀され、排出樋20aから良粒貯留タンク24に供給される。該良粒タンク24からは、穀粒の袋詰投入樋25、計量シャッタ29を経て、例えば、計量器32上に載置した30kg詰めの穀物袋(図示せず)に収容して出荷されることになる。一方、1次不良粒排出樋19aに至った着色粒などの不良粒は、第1不良粒揚穀機21を介して2次選別4c側のシュート15に供給され、上記同様検知部26によって2次不良粒と、2次良粒とに光学的に監視される。2次良粒と判定されたものはそのまま2次良粒排出樋18bに至り、第2良粒揚穀機22により揚穀されて粒選貯留タンク13に返還されて、1次選別部4bから再び選別されることになる。2次選別部4cにおいて2次不良粒と判定されたものは、不良粒排出樋19bからパイプを介して機外へ排出されることになる。
【0041】
そして、前記光学選別部4から排出される良粒は、穀物袋内に次第に充填されていき、このとき、中央演算部(CPU)44が計量器32の単位時間当たりの重量を検知することにより、光学選別部4における良粒の排出流量Q(E)が演算される(図9のステップ1)。
【0042】
次に、パルスカウンター53により、エジェクタバルブ52の単位時間当たりの開作動回数を検出する(図9のステップ2)。この開作動回数に関連して不良粒除去率を概算することができる。また、別途、不良粒排出樋19内に選別・除去される着色粒や異物の重量を測定して、重量から不良粒除去率を概算してもよい。
【0043】
光学選別部4にあっては、供給シュート15から落下してくる整粒の落下流量が適正量であれば、90%以上の不良粒除去率(選別率)を保てるが、落下流量が増えて適正量を超えると、選別率は90%から徐除に低下していく。そして、90%以上の選別率を保つためには落下流量を少なく(適正量以下を維持)すればよい。図9のステップ2以下においては、選別感度のしきい値を変更せずに、所望の選別率となるよう米の落下流量の制御がなされる。
【0044】
すなわち、作業者が図8の選別率調節スイッチ47を操作して所望の選別率に設定する(例えば、90%以上)。そして、中央演算部44がこの選別率に対応する設定標準噴射回数(Y)を読み出し、前記ステップ2で算出した検出噴射回数(X)と比較が行われ(ステップ3)、検出噴射回数(X)が設定標準噴射回数(Y)と等しい場合は(ステップ4)、供給シュート15からの落下流量が適正量であるので振動フィーダ14の搬送量及び揚穀螺旋8の回転数は制御せず、光学選別部4が推奨する定格周波数S(N)により振動フィーダ14の駆動を維持するとともに、粒大選別部3が推奨する定格回転数R(N)により揚穀螺旋8の回転駆動を維持する(ステップ4)。
【0045】
一方、検出噴射回数(X)が設定標準噴射回数(Y)よりもわずかに大きい場合、例えば、検出噴射回数(X)が標準噴射回数(Y)の1.01倍以上、1.17倍未満である場合(ステップ5)、不良粒除去率を少しだけ上げる必要があるので、供給シュート15からの落下流量を少なくするために、振動フィーダ14の搬送量及び揚穀螺旋8の回転数を少しだけ減らす制御が行われる。このときの1回の目標制御量としては、例えば、光学選別部4が推奨する定格周波数S(N)の0.83倍の周波数で振動フィーダ14の駆動を制御し、粒大選別部3が推奨する定格回転数R(N)の0.83倍の回転数で揚穀螺旋8を回転駆動するとよい(ステップ6)。
【0046】
また、検出噴射回数(X)が設定標準噴射回数(Y)よりも少し大きい場合、例えば、検出噴射回数(X)が標準噴射回数(Y)の1.17倍以上、1.33倍未満である場合(ステップ7)、不良粒除去率を上げる必要があるので、供給シュート15からの落下流量を少なくするために、振動フィーダ14の搬送量及び揚穀螺旋8の回転数を減らす制御が行われる。このときの1回の目標制御量としては、例えば、光学選別部4が推奨する定格周波数S(N)の0.66倍の周波数で振動フィーダ14の駆動を制御し、粒大選別部3が推奨する定格回転数R(N)の0.66倍の回転数で揚穀螺旋8を回転駆動するとよい(ステップ8)。
【0047】
さらに、検出噴射回数(X)が設定標準噴射回数(Y)よりも極めて大きい場合、例えば、検出噴射回数(X)が標準噴射回数(Y)の1.33倍以上、1.5倍未満である場合(ステップ9)、不良粒除去率を上げる必要があるので、供給シュート15からの落下流量を少なくするために、振動フィーダ14の搬送量及び揚穀螺旋8の回転数を大幅に減らす制御が行われる。このときの1回の目標制御量としては、例えば、光学選別部4が推奨する定格周波数S(N)の0.66倍の周波数で振動フィーダ14の駆動を制御し、粒大選別部3が推奨する定格回転数R(N)の0.66倍の回転数で揚穀螺旋8を回転駆動するとよい(ステップ10)。これにより、基準の不良粒除去率に最短で到達するように制御が行われることになる。
【0048】
上記ステップ5乃至ステップ10にあっては、検出噴射回数(X)のしきい値を3段階に設定したが、これに限らす、下記表に示すように、正の整数NによってN段階のしきい値を適宜設定することができる。
【0049】
【表1】

【0050】
図9のステップ5乃至ステップ10にあっては、不良粒除去率を上げるために供給シュート15からの落下流量を少なくする制御について述べたが、反対に不良粒除去率を下げるために供給シュート15からの落下流量を多くする制御も可能であり、すなわち、基準の不良粒除去率に到達する目的を達成できればよい。
【0051】
また、図1(B)に示すように穀物選別機1の前工程に並設される籾摺選別機58は、選別された玄米Gを、機外排出か又は機内循環に切替える切替シャッタ59が設けられ、該切替シャッタ59には切替え動作を電気的に制御可能な切替モータ60が接続されている。そして、切替モータ60から図8の外部端子61に電気的に接続される。すなわち、振動フィーダ14の搬送量が極端に低下した場合は、籾摺選別機58の切替シャッタ59を機内循環側に切替えるように切替モータ60を制御し、穀物選別機1の光学選別部4の選別率が極端に悪化するのを防止することができる。これにより、光選別部4における選別作業を円滑にするとともに、選別効率を向上し、さらには、被選別粒の減少に際して自動的に停止することができる。
【0052】
上記実施形態によれば、パルスカウンター53により、エジェクタバルブ52の単位時間当たりの開作動回数を検出し、この開作動回数に関連して不良粒除去率を概算するものであるから、前工程の粒大選別部により選別された整粒の流量(光選別部に投入される原料流量)を算出する手法ではないため、粒選貯留タンク13に別途流量センサやレベルセンサを設ける必要がなく、製造コストの削減が可能となる。
【0053】
また、光選別部が推奨する最適な不良品除去率となるよう、粒大選別部の回転体の回転数を下げ、選別網筒と被選別穀粒との接触時間を長くし、屑粒及び未熟粒の除去率を高めることで、光選別部側への屑粒及び未熟粒の負担を軽減して選別効率を自動的に向上させる制御が可能となる。
【0054】
さらに、単位時間当たりの不良粒除去率と基準の不良粒除去率との差に応じて多段階のしきい値を設定し、該各段階のしきい値に応じて揚穀螺旋8の回転数、及び振動フィーダ14の振幅の大きさ又は振動の周波数の1回の目標制御量を決定し、基準の不良粒除去率に最短で到達するような制御を行うので、粒大選別部3及び光学選別部4の各選別要素の調整を迅速に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
粒大選別部と光学選別部とを備えた穀物選別機の各選別要素の調整を迅速かつ容易に行うことができるものであり、例えば、欠け米、焼け米、しらた、青未熟米及び虫食い着色粒(カメムシなどによって被害を受けた微小な黒点の存在する着色粒)などの選別精度を向上させ、大規模農家や営農組合などにあって要望の高い穀物選別機に適用することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 穀物選別機
2 フレーム
3 粒大選別部
4 光学選別部
5 原料投入ホッパー
6 選別網筒
7 揚穀ロール
8 揚穀螺旋
9 選別孔
10 屑粒室
11 屑粒排出樋
12 掻出羽根
13 粒選貯留タンク
14 振動フィーダ
15 シュート
16 カメラ
17 エジェクタノズル
18 良粒排出樋
19 不良粒排出樋
20 第1良粒揚穀機
21 第1不良粒揚穀機
22 第2良粒揚穀機
23 経路
24 良粒貯留タンク
25 袋詰投入樋
26 検知部
27 可視光線照明器
28 近赤外線照明器
29 計量シャッタ
30 把手部
31 供給樋
32 計量器
33 袋立て器
34 ベース
35 ガイド筒
36 支柱
37 袋挟持手段
38 袋支え部材
40 インバータモータ
41 中央制御装置
42 入出力回路(I/O)
43 信号処理回路
44 中央演算部(CPU)
45 読み出し書き込み用記憶部(RAM)
46 読み出し専用記憶部(ROM)
47 不良粒除去率調節スイッチ
49 入出力回路(I/O)
50 入出力回路(I/O)
51 エジェクタバルブ駆動回路
52 エジェクタバルブ(電磁弁)
53 パルスカウンター
54 入出力回路(I/O)
55 周波数制御回路
58 籾摺選別機
59 切替シャッタ
60 切替モータ
61 外部端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された穀粒を予め整粒と屑粒又は整粒と未熟粒とに粒径選別する粒大選別部と、該粒大選別部により選別された整粒を受けて着色粒又は異物などの不良粒を光学的に選別・除去する光学選別部とを備えた穀物選別機であって、
前記光学選別部側の不良粒の選別・除去手段において、該選別・除去手段の単位時間当たりの選別・除去作動回数から単位時間当たりの不良粒除去率を算出するとともに、該不良粒除去率と予め設定された基準の不良粒除去率とを比較し、前記単位時間当たりの不良粒除去率が基準の不良粒除去率よりも上回れば前記粒大選別部側の選別網筒内に設けた回転体の回転数を下げる制御を行い、単位時間当たりの不良品除去率が基準の不良品除去率よりも下回れば前記回転体の回転数を上げる制御を行う制御手段を設けたことを特徴とする穀物選別機。
【請求項2】
前記粒大選別部と光学選別部との接続部に、前記粒大選別部により選別された整粒を一時貯留する貯留タンク及び該貯留タンクから排出される整粒を受けて前記光学選別部に供給する振動フィーダを設け、前記制御手段が、前記単位時間当たりの不良粒除去率が基準の不良粒除去率よりも上回れば前記振動フィーダの振幅の大きさ又は振動の周波数を下げる制御を行い、単位時間当たりの不良品除去率が基準の不良粒除去率よりも下回れば前記振動フィーダの振幅の大きさ又は振動の周波数を上げる制御を行ってなる請求項1記載の穀物選別機。
【請求項3】
前記制御手段は、前記単位時間当たりの不良粒除去率と基準の不良粒除去率との差に応じて多段階のしきい値を設定し、該各段階のしきい値に応じて前記回転体の回転数、及び前記振動フィーダの振幅の大きさ又は振動の周波数の1回の目標制御量を決定し、前記基準の不良粒除去率に最短で到達するように制御を行ってなる請求項1又は2記載の穀物選別機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−184226(P2010−184226A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−31911(P2009−31911)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(000001812)株式会社サタケ (223)
【Fターム(参考)】