説明

積層体、並びに該積層体を用いた延伸フィルム、熱収縮性フィルム、成形品、及び該フィルムを装着した容器

【課題】層間接着性と透明性がいすれも優れている積層体を提供すること。
【解決手段】下記に示す樹脂組成物を主成分とする(I)層、(II)層、及び(III)層をこの順で少なくとも3層有し、(I)層をポリ乳酸系樹脂(A)を50質量%を超えて含有する樹脂組成物、(II)層をポリ乳酸系樹脂(A)、ポリオレフィン系樹脂(B)、及び、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム等からなる群から選ばれる熱可塑性樹脂セグメント(a)及び少なくとも1種のアクリル系単量体から形成されるアクリル系重合体セグメント(b)を有する共重合体(C)とで構成し、これらの質量比が(A)/(B)/(C)=0〜80/0〜50/1〜100であり、かつ(A)+(B)+(C)=100である樹脂組成物、(III)層をポリオレフィン系樹脂(B)を50質量%を超えて含有する樹脂組成物でそれぞれ構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも3層構造を有する積層体に関し、さらに詳細にはポリ乳酸系樹脂を主成分とする層とポリオレフィン系樹脂を主成分とする層との間に、ポリ乳酸系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、及び特定のグラフト共重合体で構成される層を有する積層体、並びに該積層体を用いた延伸フィルム、熱収縮性フィルム、成形品、及び該フィルムを装着した容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、被包装体の種類が拡大するにつれて、用途に応じた種々の包装用フィルムが開発されている。例えば、包装用フィルムとして、高強度フィルム、高弾性フィルム、柔軟性フィルム、接着性フィルム、透明性フィルム、導電性フィルム、遮光性フィルム、ガスバリヤー性フィルム、耐熱性フィルム、耐薬品性フィルムや、これらを複合化した複合フィルム等が知られている。
【0003】
これらの包装用フィルムは、それぞれ構成ポリマーの特性が著しく異なるため、用途に応じて使い分けされており、1つのフィルムで複数の特性を同時に満足するのは困難である。そこで、例えばポリエステル系フィルム基材に、ポリスチレン、ポリエチレン等の異種材料からなるフィルム状成形体を貼り合わせ(ラミネート)、 単独では得られない特性、例えば強度、ガスバリヤー性、耐水性、防湿性、ヒートシール性、外観などを補った積層フィルムまたはシートを製造することが一般に行われており、こうして得られる製品は主に包装材料などに広く使用されている。
【0004】
しかし、異種材料からなるフィルム同士を貼り合わせる際、特にオレフィン系フィルムの場合には、接着改質層を設ける必要があるが、従来の水系塗布剤を用いるとフィルム表面エネルギーが低いため塗液のハジキが生じて外観を損ねるほか、溶剤系の塗布剤を用いた場合には、衛生性やリサイクル性に問題があった。
【0005】
また、極性重合体のフィルムの場合、表面が平坦なときは、基材面にアンカーコート剤を塗布、乾燥後、その上に他のフィルムがラミネートされる。しかし、一般にアンカーコート剤を用いるこれらの方法は、高価なアンカーコート剤を使用することによる製造コストの上昇の問題、アンカーコート剤の塗布及び乾燥という煩雑な工程を必要とする問題、アンカーコート剤に含まれる有機溶剤の蒸発乾燥工程時に人体に有害な有機溶剤が飛散することによる作業環境及びその周辺環境の衛生上の問題、引火性の有機溶剤の使用に伴う火災の発生の心配、あるいは、有機溶剤などのアンカーコート成分が最終製品である積層フィルムまたはシートに残留し、それに起因する臭気のため、該製品の食品包装用途などへの適用を制限するという問題などを有する。
【0006】
アンカーコート剤を用いない方法として、異種材料フィルム間に接着層を導入することにより接着する方法が知られている。ポリエステル系樹脂層とポリオレフィン系樹脂層との層間に変性ポリオレフィン樹脂及びカルボジイミド化合物からなる接着層を用いた積層体が開示されている(特許文献1)。この積層体では接着層である変性ポリオレフィン樹脂にカルボジイミド化合物が反応し、固定化することにより、ポリエステル系樹脂層との接着性を向上させている。このため、例えばフィルム・シートなどのトリミングした耳を再生添加する際に、上記反応物がフィッシュアイなどのゲル物となる問題があった。
【0007】
次に、ポリ乳酸系樹脂層とポリオレフィン系樹脂層との層間に塩素化ポリオレフィン系樹脂層を配した積層体が開示されている(特許文献2)。しかしながら、塩素化ポリオレフィン系樹脂はハロゲンを含有していることから、焼却時のダイオキシン発生など環境的な面が懸念されるという問題があった。
【特許文献1】特開2002−273838号公報
【特許文献2】特開2005−119125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、ポリ乳酸系樹脂層とポリオレフィン系樹脂層とを積層させた場合に、層間接着性と透明性がいずれも優れている積層体を提供することにある。
【0009】
本発明のもう一つの課題は、前記積層体を用いた延伸フィルム、熱収縮性フィルム、成形品、及び該熱収縮性フィルムを装着した容器を提供することにある。
【0010】
本発明者らは、ポリ乳酸系樹脂とポリオレフィン系樹脂との双方の樹脂に接着性を有し、かつ良好な透明性を示す樹脂につき鋭意検討を重ねた結果、ポリ乳酸系樹脂層とポリオレフィン系樹脂層とを、ポリ乳酸系樹脂(A)、ポリオレフィン系樹脂(B)、及び所定のグラフト共重合体(C)から構成された層を介して積層させることにより、ポリ乳酸系樹脂層とポリオレフィン系樹脂層との界面において優れた接着性を有し、さらに白濁やムラを生じない優れた透明性を有する積層体を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明の課題は、下記に示す樹脂組成物を主成分とする(I)層、(II)層、及び(III)層の少なくとも3層を有する積層体であって、各層が(I)層、(II)層及び(III)層の順で積層されていることを特徴とする積層体によって解決される。
(I)層:ポリ乳酸系樹脂(A)50質量%超を含有する樹脂組成物
(II)層:ポリ乳酸系樹脂(A)と、ポリオレフィン系樹脂(B)と、エチレン系単独重合体、エチレン系共重合体、酸変性オレフィン系共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマーからなる群から選ばれるセグメント(a)及び少なくとも1種のアクリル系単量体からなるセグメント(b)を有する共重合体(C)と、で構成され、これらの質量比が(A)/(B)/(C)=0〜80/0〜50/1〜100であり、かつ(A)+(B)+(C)=100である樹脂組成物
(III)層: ポリオレフィン系樹脂(B)50質量%超を含有する樹脂組成物
【0012】
本発明のもう一つの課題は、前記積層体を少なくとも一方向に延伸してなることを特徴とする延伸フィルム;前記積層体を少なくとも一方向に延伸してなり、80℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が20%以上であることを特徴とする熱収縮性フィルム;前記積層体、延伸フィルム、又は熱収縮性フィルムを成形してなる成形品;前記熱収縮性フィルムを基材として用いた熱収縮性ラベル;前記熱収縮性ラベルを装着した容器により解決される。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、ポリ乳酸系樹脂を主成分とする層とポリオレフィン系樹脂を主成分とする層とを、ポリ乳酸系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、及び特定のグラフト共重合体で構成される層を介して積層させることにより層間接着性と透明性がいずれも優れた積層体を提供できる。
【0014】
さらに、本発明によれば、包装材、容器、医療用剤、建材、電気・電子機用部材、情報記録用などのフィルム、シート材料、ラベル、粘着テープの基材として、各種の用途に応じた積層体、フィルム、熱収縮性ラベル、並びに該ラベルを装着した容器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施態様の一例としての本発明の積層体における構成要素などについて具体的に説明する。
【0016】
なお、本明細書において「主成分とする」とは、各層を構成する樹脂の作用・効果を妨げない範囲で、他の成分を含むことを許容する趣旨である。さらに、この用語は、具体的な含有率を制限するものではないが、各層の構成成分全体の70質量%以上、好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上100質量%以下の範囲を占める成分である。
【0017】
また、本明細書において「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で提供されるものを称し(日本工業規格JISK6900)、「シート」とは、日本工業規格(JIS)における定義上、薄く、通常はその厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品を称する。しかし、シートとフィルムの境界は定かではなく、本発明においても文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合、「シート」も含まれるものとする。
【0018】
[積層体]
本発明の積層体は、下記に示す樹脂組成物を主成分とする(I)層、(II)層、及び(III)層の少なくとも3層を有する積層体であって、各層が(I)層、(II)層、(III)層の順で積層されていることを特徴とする。
(I)層:ポリ乳酸系樹脂(A)50質量%超を含有する樹脂組成物
(II)層:ポリ乳酸系樹脂(A)と、ポリオレフィン系樹脂(B)と、エチレン系単独重合体、エチレン系共重合体、酸変性オレフィン系共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマーからなる群から選ばれるセグメント(a)及び少なくとも1種のアクリル系単量体からなるセグメント(b)を有する共重合体(C)とで構成され、これらの質量比が(A)/(B)/(C)=0〜80/0〜50/1〜100であり、かつ(A)+(B)+(C)=100である樹脂組成物
(III)層:ポリオレフィン系樹脂(B)50質量%超を含有する樹脂組成物
【0019】
<(I)層>
ポリ乳酸系樹脂(A)
(I)層で用いられるポリ乳酸系樹脂(A)(後述の(II)層でも用いられる。)は、D−乳酸若しくはL−乳酸の単独重合体又はそれらの共重合体であり、これらの混合物も含まれる。より具体的には、構造単位がD−乳酸であるポリ(D−乳酸)、構造単位がL−乳酸であるポリ(L)−乳酸、L−乳酸とD−乳酸との共重合体であるポリ(DL)−乳酸、又はこれらの混合物である。
【0020】
上記ポリ乳酸系樹脂(A)がD−乳酸とL−乳酸との混合物である場合、D −乳酸とL−乳酸との混合比はD−乳酸/L−乳酸=99.8/0 .2〜75/25であるか、又はD−乳酸/L−乳酸=0.2/99.8〜25/75であることが好ましく、D−乳酸/L−乳酸=99.5/0.5〜80/20又はD−酸/L−乳酸=0.5/99.5〜20/80であることがさらに好ましい。D−乳酸単独又はL−乳酸単独からなるポリ乳酸は、非常に高い結晶性を示し、融点が高く、耐熱性及び機械的物性に優れる傾向がある。しかしながら、硬く不透明であるため、積層体の透明性及び柔軟性を損なうおそれがある。そのため本発明では非結晶性のポリ乳酸を用いることが、透明性や柔軟性の観点から好ましく、上記に示した混合比であることがより好ましい。
【0021】
上記ポリ乳酸系樹脂(A)は、異なる共重合比を有するD−乳酸とL−乳酸とを使用することもできる。その場合には、複数の乳酸系重合体のD−乳酸とL−乳酸との共重合比を平均した値が上記範囲内に入るようにすればよい。使用用途に合わせて、D−乳酸とL−乳酸との共重合比の異なるポリ乳酸系樹脂を二種以上混合し、結晶性を調整することにより、耐熱性と透明性のバランスをとることができる。
【0022】
また、上記ポリ乳酸系樹脂(A)は、乳酸と、α−ヒドロキシカルボン酸や脂肪族ジオール、脂肪族ジカルボン酸との共重合体であってもよい。ここで、乳酸系樹脂に共重合される「α−ヒドロキシカルボン酸」としては、乳酸の光学異性体(L−乳酸に対してはD−乳酸、D−乳酸に対してはL−乳酸をそれぞれ指す。)、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−メチル酪酸、2−ヒドロキシカプロラクトン酸などの2官能脂肪族ヒドロキシ−カルボン酸、及びカプロラクトン、ブチルラクトン、バレロラクトンなどのラクトン類が挙げられる。また、乳酸系樹脂に共重合される脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。また共重合される脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸及びドデカン二酸などが挙げられる。乳酸と、α−ヒドロキシカルボン酸、脂肪族ジオール、又は脂肪族ジカルボン酸との共重合体の共重合比は乳酸/α−ヒドロキシカルボン酸、脂肪族ジオール、又は脂肪族ジカルボン酸=90/10〜10/90の範囲であることが好ましく、より好ましくは80/20〜20/80であり、さらに好ましくは70/30〜30/70である。共重合比が上記範囲内であれば、剛性、透明性、耐衝撃性などの物性バランスの良好な樹脂組成物を得ることができる。
【0023】
上記ポリ乳酸系樹脂(A)は、縮合重合法、開環重合法などの公知の重合法により作製することができる。例えば、縮合重合法であれば、D−乳酸、L−乳酸、又はこれらの混合物を直接脱水縮合重合して任意の組成を有するポリ乳酸系樹脂を得ることができる。また、開環重合法では、乳酸の環状二量体であるラクチドを、必要に応じて重合調整剤などを用いながら、所定の触媒の存在下で開環重合することにより任意の組成を有するポリ乳酸系樹脂を得ることができる。上記ラクチドには、L−乳酸の二量体であるDL−ラクチドがあり、これらを必要に応じて混合して重合することにより、任意の組成、結晶性を有するポリ乳酸系樹脂を得ることができる。さらには、分子量増大を目的として少量の鎖延長剤、例えば、ジイソシアネート化合物、ジエポキシ化合物、酸無水物、酸クロライドなどを使用しても構わない。
【0024】
上記ポリ乳酸系樹脂(A)の重量(質量)平均分子量は、20,000以上、好ましくは40,000以上、さらに好ましくは60,000以上であり、かつ400,000以下、好ましくは350,000以下、さらに好ましくは300,000以下である。重量(質量)平均分子量が20,000以上であれば、適度な樹脂凝集力が得られ、フィルムの強伸度が不足したり、脆化したりすることを抑えることができる。一方、重量(質量)平均分子量が400,000以下であれば、溶融粘度を下げることができ、製造、生産性向上の観点からは好ましい。
【0025】
上記ポリ乳酸系樹脂(A)の市販品としては、例えば、商品名「Nature Works(Nature WorksLLC社製)、商品名「LACEA」(三井化学社製)、商品名「U‘zシリーズ」(トヨタ自動車製)などが挙げられる。
【0026】
また(I)層にはフィルムの柔軟性を向上させるために、透明性及びフィルムの剛性(腰強さ)を損なわない範囲内で(例えば、ポリ乳酸系樹脂(A)100質量部に対して0〜50質量部、好ましくは10〜30質量部)、上記ポリ乳酸系樹脂(A)以外のゴム成分を添加することが可能である。このゴム成分は特に限定されるものではないが、上記ポリ乳酸系樹脂(A)以外の脂肪族ポリエステル、芳香族−脂肪族ポリエステル、ジオールとジカルボン酸と乳酸系樹脂との共重合体やコアシェル構造ゴム、及びエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(EMA)、エチレン−メチル(メタ)アクリル酸共重合体(EMMA)などが好適に使用できる。
【0027】
上記脂肪族ポリエステルとしては、ポリヒドロキシカルボン酸、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を縮合して得られる脂肪族ポリエステル、環状ラクトン類を開環重合して得られる脂肪族ポリエステル、合成系脂肪族ポリエステルなどを挙げることができる。前記ヒドロキシカルボン酸としては、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロラクロン酸などのヒドロキシカルボン酸の単独重合体や共重合体などが挙げられる。
【0028】
脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸とを縮合して得られる脂肪族ポリエステルとしては、次に説明する脂肪族ジオールおよび脂肪族ジカルボン酸の中からそれぞれ1種類又は2種類以上を選んで縮合するか、あるいは必要に応じてイソシアネート化合物などで分子量をジャンプアップして所望の高分子として得ることができる重合体を挙げることができる。ここで、脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどを挙げることができ、脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などが挙げられる。
【0029】
また、環状ラクトン類を開環縮合した脂肪族ポリエステルとしては、環状モノマーであるε−カプロラクトン、σ−バレロラクトン、β−メチル−σ−バレロラクトンなどの開環重合体を挙げることができる。これらの環状モノマーは一種だけでなく、複数種を選択して共重合することもできる。
【0030】
また、合成系脂肪族ポリエステルとしては、環状酸無水物とオキシラン類との共重合体、例えば、無水コハク酸とエチレンオキサイドとの共重合体、プロピオンオキサイドなどとの共重合体などが挙げられる。
【0031】
これらの脂肪族ポリエステルの市販品の代表的なものとしては、コハク酸と1,4−ブタンジオールとアジピン酸とを重合して得られる商品名「ビオノーレ」(昭和高分子社製)などが挙げられる。また、ε−カプロラクトンを開環縮合して得られるものとしては、商品名「セルグリーン」(ダイセル化学工業社製)が挙げられる。
【0032】
次に、芳香族−脂肪族ポリエステルとしては、脂肪族鎖の間に芳香環を導入することによって結晶性を低下させたものを用いることができる。芳香族−脂肪族ポリエステルは、例えば、芳香族ジカルボン酸と、脂肪族ジカルボン酸と、脂肪族ジオールとを縮合して得られる。
【0033】
ここで、上記芳香族ジカルボン酸としては、例えばイソフタル酸、テレフタル酸、2 ,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、テレフタル酸が最も好適に用いられる。また、脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などが挙げられ、アジピン酸が最も好適に用いられる。なお、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸あるいは脂肪族ジオールは、それぞれ二種類以上を用いてもよい。
【0034】
芳香族脂肪族ポリエステルの市販品の代表的なものとしては、テトラメチレンアジペートとテレフタレートの共重合体、ポリブチレンアジペートとテレフタレートの共重合体などが挙げられる。テトラメチレンアジペートとテレフタレートの共重合体としてEasterBio(Eastman Chemicals社製)、またポリブチレンアジペートとテレフタレートの共重合体として、Ecoflex(BASF社製)などが挙げられる。
【0035】
ポリ乳酸系樹脂とジオールとジカルボン酸の共重合体の構造としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体が挙げられ、いずれの構造でもよい。但し、フィルムの耐衝撃性及び透明性の観点から、ブロック共重合体又はグラフト共重合体が好ましい。ランダム共重合体の市販品の具体例としては商品名「GS−Pla」(三菱化学株式会社製)が挙げられ、ブロック共重合体又はグラフト共重合体の具体例としては商品名「プラメート」(DIC株式会社製)などが挙げられる。
【0036】
ポリ乳酸系樹脂とジオールとジカルボン酸の共重合体の製造方法は、特に限定されないがジオールとジカルボン酸とを脱水縮合した構造を持つポリエステルまたはポリエーテルポリオールを、ラクチドと開環重合あるいはエステル交換反応させて得る方法が挙げられる。また、ジオールとジカルボン酸とを脱水縮合した構造を持つポリエステルまたはポリエーテルポリオールを、ポリ乳酸系樹脂と脱水・脱グリコール縮合あるいはエステル交換反応させて得る方法がある。
【0037】
ポリ乳酸系樹脂とジオールとジカルボン酸の共重合体は、イソシアネート化合物やカルボン酸無水物を用いて所定の分子量に調整することが可能である。但し、加工性、機械的特性の観点から、重量(質量)平均分子量は50,000以上、好ましくは100,000以上であり、かつ300,000以下、好ましくは250,000以下のものが望ましい。
【0038】
さらに、(I)層は、上記ポリ乳酸系樹脂(A)以外に、グリセリン脂肪酸エステルを含有させてもよい。グリセリン脂肪酸エステルは、ポリ乳酸系樹脂(A)を可塑化する役割を担い得るものである。このようなグリセリン脂肪酸エステルとしては、その種類を特に制限するものではないが、例えば、モノグリセライド、ジグリセライド、トリグリセライド、アセチル化モノグリセライドの他、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリンなどのポリグリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0039】
グリセリン脂肪酸エステルの分子量は、ポリ乳酸系樹脂(A)に対する良好な相容性を得るため、好ましくは2,000以下であり、さらに好ましくは1,500以下である。
【0040】
ポリ乳酸系樹脂(A)とグリセリン脂肪酸エステルとの混合配合量は、質量比率でポリ乳酸系樹脂/グリセリン脂肪酸エステル=90/10〜60/40となるように配合するのが好ましい。上記範囲内とすることで、柔軟性の付与と経時的にグリセリン脂肪酸エステルが表面に移行して表面がべとつくようになるブリードアウトを抑えることができる。
【0041】
本発明において、(I)層のポリ乳酸系樹脂(A)の含有率が50質量%以下であった場合、得られる積層体の耐熱性及び弾性率が低く不十分である。フィルムにおける弾性率の低下はフィルムの腰(常温での剛性)の低下を意味している。弾性率が低い場合、特に熱収縮フィルムなどに関して、ペットボトルなどの容器に製袋したフィルムをラベリングマシン等で被せる際に、斜めに被ったり、フィルムの腰折れなどで歩留まりが低下したりする等の問題点が発生し易くなる。このことから、本発明の(I)層はポリ乳酸系樹脂(A)を50質量%超で含有することが好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
【0042】
<(III)層>
ポリオレフィン系樹脂(B)
(III)層で用いられるポリオレフィン系樹脂(B)(後述の(II)層でも用いられる。)は特に限定されないが、積層体の柔軟性、収縮特性等の機械的物性や成形性付与の観点より、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、又はこれらの混合物を用いることが好ましい。以下に、本発明で用いられる好適なポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂を例示する。
【0043】
上記ポリオレフィン系樹脂(B)としては、通常、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE ) 、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、及び直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、直鎖状超低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体及びエチレン−メタクリル酸エステル共重合体の中から選ばれる1種のエチレン系重合体又はこれら2種類以上の組合せからなる混合樹脂が挙げられる。
【0044】
上記ポリエチレン系樹脂のうち、密度は0.800g/cm3以上、好ましくは0.850g/cm3以上、さらに好ましくは0.900g/cm3以上であって、0.945g/cm3以下、好ましくは0.935g/cm3以下、さらに好ましくは0.925g/cm3以下のものが好適に用いられる。密度が0.800g/cm3以上であれば積層体の腰(常温での剛性)や耐熱性を著しく低下させないため、実用上好ましい。一方、密度が0.945g/cm3以下であれば、積層体を熱収縮性フィルムに成形した場合、低温での延伸性が維持され、実用温度域(70℃以上90℃以下程度)の熱収縮率が充分得ることができる点で好ましい。
【0045】
また上記ポリエチレン系樹脂の中でも、積層体の延伸性、耐衝撃性、透明性等の観点からは直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)が特に好適に用いられる。直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)としては、エチレンと炭素数3から20、好ましくは炭素数4から12のα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。α−オレフィン成分としては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等が例示される。中でも1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンをエチレンと共重合させたものが好適に用いられる。また、共重合させるα−オレフィンは1種のみを単独で、又は2種以上を組み合わせても構わない。
【0046】
また、上記ポリエチレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、特に制限されるものではないが、通常、MFR(JIS K7210、温度:190℃、荷重:21.18N)が0.5g/10分以上、好ましくは1.0g/10分以上であって、15g/10分以下、好ましくは10g/10分以下の範囲であることが望ましい。ポリエチレン系樹脂のMFRは、均一な厚みの積層体を得るために、(I)層と(II)層の樹脂の溶融時の粘度に類似したものを選択することが好ましい。
【0047】
上記ポリエチレン系樹脂は、表面粘着性のバランス、防曇性などの表面特性および製膜時の成形加工安定性を重視する場合には、酢酸ビニル含有率が10質量%以上60質量%以下で、メルトフローレート(MFR、JIS K7210、温度:190℃、荷重:21.18N)が0.2g/10分以上20g/10分以下であるエチレン−酢酸ビニル共重合体が特に好ましい。
【0048】
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体において、酢酸ビニル含有率が10質量%以上であれば、結晶性が低いためフィルムが硬くならず、柔軟性や弾性回復性が良好であり、表面粘着性も発現し易いという点で好ましい。一方、その含有率が60質量%以下であれば、耐熱性やフィルム強度等を確保でき、防曇剤等を添加してもブリードアウトを抑制でき、しかも表面粘着性が強すぎないためにフィルムの巻き出し性や外観を良好とすることができるという点で好ましい。このような観点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体における酢酸ビニル含有率は10質量%以上58質量%以下の範囲がより好ましく、特に12質量%以上56質量%以下の範囲がさらに好ましい。
【0049】
また、上記エチレン−酢酸ビニル共重合体のMFRが0.2g/10分以上であれば、押出加工性は安定し、20g/10分以下であれば、成形時に安定した製膜が可能となると共に、厚み斑や力学強度の低下やバラツキ等が少なくなり好ましい。このような観点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体のMFRは、好ましくは0.5g/10分以上、さらに好ましくは1.0g/10分以上であり、また18g/10分以下が好ましく、さらに好ましくは15g/10分以下である。
【0050】
次にポリプロピレン系樹脂としては、ホモプロピレン樹脂、ランダムポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−ブテンゴム、エチレン−ジエンゴムなどが挙げられる。中でも積層体を延伸フィルムに成形した場合、延伸性、透明性、剛性などの観点からランダムポリプロピレン樹脂が特に好適に使用される。
【0051】
上記ランダムポリプロピレン樹脂において、プロピレンと共重合させるα−オレフィンとしては、好ましくは炭素数2から20、より好ましくは炭素数4から12のものが挙げられ、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどが挙げられる。本発明では、積層体をフィルムに成形した場合、フィルムの耐衝撃性や透明性、剛性等の観点から、α−オレフィンの含有率が2質量%以上20質量%以下のランダムポリプロピレンが特に好適に用いられる。また、共重合するα−オレフィンは1種のみを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いても構わない。
【0052】
ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、特に制限されるものではないが、通常、MFR(JIS K7210、温度:230℃、荷重:21.18N) が、0.5g/10分以上、好ましくは1.0g/10分以上であり、15g/10分以下、好ましくは10g/10分以下であるものが用いられる。ここで、MFRは、均一な厚みのフィルムを得るために(I)層及び(II)層の溶融時の粘度に類似したものを選択することが好ましい。
【0053】
上記ポリオレフィン系樹脂(B)の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法、例えばチーグラー・ナッタ型触媒に代表されるマルチサイト触媒やメタロセン系触媒に代表されるシングルサイト触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等、また、ラジカル開始剤を用いた塊状重合法等が挙げられる。
【0054】
上記ポリオレフィン系樹脂(B)で市販されている商品を具体的に例示すれば、ポリエチレン系樹脂として、商品名「ノバテックHD、LD、LL」「カーネル」(日本ポリエチレン社製)、「タフマーA、P」(三井化学社製)、「サンテックHD,LD」(旭化成社製)、「ハイゼックス」「ウルトゼックス」「エボリュー」「モアテック」(プライムポリマー社製)、「UBEポリエチレン」「UMERIT」(宇部興産社製)、「NUCポリエチレン」「ナックフレックス」(日本ユニカー社製) 、「Engage」(ダウ・ケミカル社製) などが市販されている。またポリプロピレン系樹脂としては、商品名「ノバテックPP」「WINTEC」(日本ポリプロ社製)、「タフマーXR」「三井ポリプロ」(三井化学社製) 、「住友ノーブレン」「タフセレン」「エクセレンEPX」(住友化学社製)、「プライムポリプロ」「プライムTPO」(プライムポリマー社製)、「Adflex」「Adsyl」(サンアロマー社製)などが挙げられる。これらの共重合体は、各々単独に、又は2種以上を混合して使用することができる。
【0055】
また、(III)層は、必要に応じて、炭化水素樹脂類を添加してもよい。炭化水素樹脂類を添加することにより、低温での延伸性が維持でき、熱収縮特性の向上が期待できる。
【0056】
上記炭化水素樹脂類のうち、石油樹脂としては、シクロペンタジエンまたはその二量体からの脂環式石油樹脂やC9成分からの芳香族石油樹脂があり、テルペン樹脂としてはβ−ピネンからのテルペン樹脂やテルペン−フェノール樹脂が、また、ロジン系樹脂としては、ガムロジン、ウッドロジン等のロジン樹脂、グリセリンやペンタエリスリトール等で変性したエステル化ロジン樹脂等が例示できる。該炭化水素樹脂類は、ポリオレフィン系樹脂等に混合した場合に比較的良好な相溶性を示すことが知られているが、色調、熱安定性及び、相溶性から水素添加誘導体を用いることが好ましい。
【0057】
上記炭化水素樹脂類は、主に分子量に応じて種々の軟化温度を有するものがあるが、本発明においては、軟化温度が100℃ 以上150℃ 以下、好ましくは110℃ 以上140℃ 以下のものが好適に用いられる。ここで、軟化温度が100℃ 以上であれば、ポリオレフィン系樹脂に混合した際に、フィルム表面にブリードし、ブロッキングを招いたり、フィルム全体の機械的強度が低下して破れやすくなったりすることがなく、実用的好ましい。一方、150℃ 以下であれば、ポリオレフィン系樹脂との相溶性が良好に維持され、経時的にフィルム表面にブリードし、ブロッキングや透明性の低下を招いたりすることがなく、好ましい。
【0058】
上記炭化水素系樹脂の市販品を具体的に例示すれば、商品名「ハイレッツ」、「ペトロジン」(三井化学社製)、商品名「アルコン」(荒川化学工業社製)、商品名「クリアロン」(ヤスハラケミカル社製)、商品名「アイマーブ」(出光興産社製)、商品名「エスコレッツ」(トーネックス社製)等が挙げられる。
【0059】
本発明の積層体において、(III)層を構成する樹脂組成物中にポリオレフィン系樹脂(B)を50質量%超で含有すると、得られる積層体の柔軟性が確保されるため、曲げ等に際し、割れや折れを生じにくく、好ましい。このことから、本発明の積層体の(III)層に用いるポリオレフィン系樹脂(B)は50質量%超で含有することが必要であり、60質量%以上であれば好ましく、70質量%以上であればさらに好ましい。
【0060】
<(II )層>
共重合体(C)
次に、本発明の積層体の(II)層で用いられる共重合体(C)成分について説明する。この共重合体(C)成分は、熱可塑性樹脂セグメント(a)とアクリル系重合体セグメント(b)とで形成される。
【0061】
ポリマーブレンドにおける透明性は、分散相の粒径と、分散相−マトリックス相間の平均屈折率の差に影響される。分散相の粒径が可視光領域より小さい場合、その樹脂組成物は優れた透明性を示す。一方、分散相の粒径が可視光領域より大きい場合、その透明性は分散相とマトリックス相の平均屈折率差が小さいものほど優れている。一般にポリ乳酸系樹脂とポリオレフィン系樹脂とは平均屈折率差が大きく、かつ両者の相溶性は悪く、分散相の粒径が大きくなるため、得られる材料は不透明となる。
【0062】
本発明の(II)層で用いる共重合体(C)成分は、ポリ乳酸系樹脂(A)成分とポリオレフィン系樹脂(B)成分との相溶化剤として機能している。共重合体(C)成分を構成するアクリル系重合体セグメント(b)がポリ乳酸系樹脂(A)成分と相溶性を有し、熱可塑性樹脂セグメント(a)がポリオレフィン系樹脂(B)成分と相溶性を有する。そのため、ポリ乳酸系樹脂(A)成分とポリオレフィン系樹脂(B)成分との相溶性が改善され、分散相の粒径がより微細化することにより、透明性に優れた材料を得ることができる。
【0063】
共重合体(C)成分の熱可塑性樹脂セグメント(a)としては、エチレン系単独重合体、エチレン系共重合体、酸変性オレフィン系共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー、及びスチレン系熱可塑性エラストマーが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、また2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0064】
エチレン系単独重合体のセグメントとしては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のセグメントが挙げられる。
【0065】
エチレン系共重合体のセグメントとしては、例えばエチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のセグメントが挙げられる。
【0066】
エチレン−α−オレフィン共重合体、及びエチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体のエチレン以外のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、2−メチル−1−プロペン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセンなどが挙げられる。これらのα−オレフィンは単独又は2種以上混合して用いられる。また非共役ポリエンとしては、1,4−ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,4−シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネンなどが挙げられる。
【0067】
エチレン−α−オレフィン共重合体の具体例としては、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−ブテン共重合体ゴム、エチレン−ヘキセン共重合体ゴム、エチレン−オクテン共重合体ゴム等が挙げられる。
【0068】
また、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体の具体例としては、エチレン−ブテン−非共役ポリエン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ポリエン共重合体が挙げられる。さらに詳しくはエチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエン共重合体などが挙げられる。
【0069】
エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体の具体例としては、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体、エチレン−アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体などが挙げられる。なお、本明細書ではアクリルとメタクリルを(メタ)アクリルと総称する。
【0070】
酸変性オレフィン系ゴムの具体例としては、エチレン−ブテン共重合体ゴムの酸変性物(無水マレイン酸とマレイン酸による。以下同じ。)、エチレン−プロピレン共重合体ゴムの酸変性物、エチレン−ヘキセン共重合体ゴムの酸変性物、エチレン−オクテン共重合体ゴムの酸変性物、エチレン−ブテン−非共役ポリエン共重合体ゴムの酸変性物、エチレン−プロピレン−非共役ポリエン共重合体ゴムの酸変性物、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体などが挙げられる。
【0071】
オレフィン系熱可塑性エラストマーの具体例としては、ポリプロピレンとエチレン−プロピレン共重合体ゴムとのブレンド物又はその架橋物、ポリエチレンとエチレン−プロピレン共重合体ゴムとのブレンド物又はその架橋物、ポリプロピレンとエチレン−プロピレン−非共役ポリエン共重合体ゴムのブレンド物又はその架橋物、ポリエチレンとエチレン−プロピレン−非共役ポリエン共重合体ゴムのブレンド物又はその架橋物、ポリプロピレンとスチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴムの水素添加品(SEBS)とのブレンド物又はその架橋物、ポリプロピレンとエチレン−1−オクテン共重合体ゴムとのブレンド物又はその架橋物、ポリエチレンとエチレン−1−オクテン共重合体ゴムとのブレンド物又はその架橋物などが挙げられる。架橋は公知の方法により行われ、その中でも有機過酸化物による架橋が好ましい。
【0072】
スチレン系熱可塑性エラストマーの具体例としては、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)又はその水素添加品(H−SBR)、スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴム(SBS)又はその水素添加品(SEBS)、スチレン−イソプレンブロック共重合体ゴム(SIS)又はその水素添加品(SEPS、HV−SIS)、スチレン−(ブタジエン/イソプレン)ブロック共重合体、スチレン−(ブタジエン/イソプレン)ランダム共重合体などが挙げられる。
【0073】
これらの熱可塑性樹脂セグメントの中で、エチレン−プロピレン共重合体ゴム又はその酸変性物、エチレン−オクテン共重合体ゴム又はその酸変性物、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ポリエン共重合体ゴム又はその酸変性物、エチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマーが、その高い弾性回復性を持つことから、結果として耐衝撃性改良効果に優れるため好ましい。
【0074】
共重合体(C)のアクリル系重合体セグメント(b)を形成するアクリル単量体としては、アルキル鎖長の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、酸基を有するアクリル単量体、ヒドロキシル基を有するアクリル単量体、エポキシ基を有するアクリル単量体、シアノ基を有するアクリル単量体より選択される少なくとも1種の単量体である。なお、本明細書ではアクリルとメタクリルを(メタ)アクリルと総称する。
【0075】
さらに具体的にこのアクリル単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ) アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ) アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリロニトリル、スチレン等が挙げられる。これらの中でも、ポリ乳酸系樹脂(A)との高い親和性から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジルが好ましい。
【0076】
共重合体(C)の構造は、ブロック共重合体、交互共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体の各種が挙げられるが、構成するセグメント(a)、セグメント(b)が分子鎖末端で結び付けられたブロック共重合体、ランダム共重合体は、セグメント(a)とセグメント(b)が共有結合で結合した状態で、互いに別々の空間に凝集しようとするため、互いに非相溶であるポリ乳酸系樹脂(A)とポリオレフィン系樹脂(B)の相界面に局在化し、ポリ乳酸系樹脂(A)相とポリオレフィン系樹脂(B)相との界面活性剤として働き、界面の自由エネルギーを減少させ、界面の厚みを増大させることにより、大きな凝集体の形成を抑えることができるため好ましい。また、中でもグラフト共重合体は、セグメント(a)を幹成分、セグメント(b)を枝成分として有する櫛形構造を持つため、ブロック共重合体と比較し、ポリ乳酸系樹脂(A)相とポリオレフィン系樹脂(B)相の相界面に侵入後も抜けにくく、相界面に固着しやすいため、分散相を安定化する効果が高く好ましい。
【0077】
共重合体(C)がグラフト共重合体である場合、セグメント(b)を形成するアクリル系重合体の質量平均分子量〔テトラヒドロフラン(THF)中、スチレン換算によるゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)による測定値〕は、通常1,000〜2,000,000、好ましくは5,000〜1,200,000の範囲である。この質量平均分子量が1,000未満であると、グラフト共重合体の耐熱性が低下する傾向があり、質量平均分子量が2,000,000を超えると、グラフト共重合体の溶融粘度が高くなり、成形性が低下する傾向にある。
【0078】
一般に、ポリ乳酸系樹脂と、ポリオレフィン系樹脂とからなる混合樹脂組成物で形成された成形物は相分離構造を形成する。このとき、全体の体積分率として多く存在する成分がマトリックス相となり、もう一方の成分が分散相となる海島構造を形成することが多い。しかしながら、本発明の積層体では、TD方向(樹脂流動方向に垂直な方向)からのSEM観察により相構造を確認したところ、(II)層がポリ乳酸系樹脂(A)とポリオレフィン系樹脂(B)とが複雑に入り組んだ共連続構造を形成していることが確認された。ポリ乳酸系樹脂(A)とポリオレフィン系樹脂(B)と共重合体(C)との混合樹脂組成物から形成される(II)層において、このような共連続構造を形成した場合、一般的な海島構造を形成した場合と比べて(I)層及び(III)層との層間接着性を向上させることができる。共連続構造の形成は、混合するポリ乳酸系樹脂(A)とポリオレフィン系樹脂(B)と共重合体(C)の混合樹脂組成物における体積分率、溶融粘度、及び樹脂間の相溶性等を考慮して調整される。
【0079】
共重合体(C)のセグメント(a)とセグメント(b)の割合は、ポリ乳酸系樹脂(A)とポリオレフィン系樹脂(B)の混合時の相溶性に影響を与える。ポリ乳酸系樹脂(A)と共重合体(C)とにより形成される樹脂組成物における共連続構造は、ポリ乳酸系樹脂(A)を主成分とする連続相と共重合体(C)中のセグメント(a)を主成分とする連続相により構成される。共重合体(C)はセグメント(a)とセグメント(b)から構成されており、セグメント(a)の構成比が高い場合は、ポリ乳酸系樹脂(A)との相溶性が不足するため海島構造を形成しやすく、機械特性や透明性が不十分となりやすい。また、共重合体(C)を構成するセグメント(a)の構成比が低い場合は、得られる樹脂組成物は硬く脆くなり、機械特性が不十分となりやすい。これより共重合体(C)におけるセグメント(a)とセグメント(b)の構成比(構造体中の質量比)を(a)+(b)=100とした場合、セグメント(a)の構成比が99〜10であれば、共連続構造を形成しやすく、さらに得られる樹脂組成物は機械特性などに優れるため好ましい。本発明においては、セグメント(a)の構成比が95〜15であればより好ましく、90〜20であればさらに好ましい。
【0080】
上記に示した共重合体(C)としては、商品名「モディパー」(日本油脂社製)、「レゼダ」(東亜合成社製)等が挙げられる。
【0081】
本発明では、(I)層、(II)層、及び(III)層のいずれか一層又は二層以上に対して、上述した成分のほか、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内で、成形加工性、生産性及び熱収縮性フィルムの諸物性を改良・調整する目的で、フィルムの耳などのトリミングロス等から発生するリサイクル樹脂や難燃剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、可塑剤、老化防止剤などの添加剤を適宜添加できる。
【0082】
本発明の積層体では、(I)層がポリ乳酸系樹脂(A)を、(III)層がポリオレフィン系樹脂(B)をそれぞれ50質量%を超えて含有する樹脂組成物で構成されている。そのため、(II)層におけるポリ乳酸系樹脂(A)の含有率が高いほど(I)層と(II)層との接着性が向上する傾向にある。一方、(II)層におけるポリオレフィン系樹脂(B)の含有率が高いほど(II)層と(III)層との接着性が向上する傾向にある。他方、共重合体(C)はポリ乳酸系樹脂(A)及びポリオレフィン系樹脂(B)との両成分に良好な接着性を有するため、このグラフト共重合体(C)のみであっても(I)層及び(III)との接着性に優れた積層体を得ることができる。しかしながら、(II)層においてポリ乳酸系樹脂(A)の含有量が増加すると、(I)層との接着性が向上するが、その一方でポリオレフィン系樹脂(B)と共重合体(C)の含有量は減少し、(III)層との接着性が低下する。また、(II)層においてポリオレフィン系樹脂(B)の含有量が増加すると、(III)層との接着性は向上するが、ポリ乳酸系樹脂(A)の含有量が減少し、(I)層との接着性が低下する。また、共重合体(C)の含有量が増加すると、(II)層におけるポリ乳酸系樹脂(A)とポリオレフィン系樹脂(B)との相溶性が向上し、透明性が向上する傾向にある。
【0083】
本発明において混合するポリ乳酸系樹脂(A)とポリオレフィン系樹脂(B)と共重合体(C)のメルトフローレート(MFR)が成形加工や共連続構造形成に重要である。MFRが小さい場合、押出時の積層体において(II)層に用いた溶融樹脂の均一な展開が悪くなり、厚みムラを生じやすい。一方、MFRが大きい場合、押出加工時の成形性が低下し、更に物性も低下する。また、溶融混練時において樹脂の混練が不均一となりやすく、十分な相溶化を生じず共連続構造の形成は困難となる。このため、本発明におけるポリ乳酸系樹脂(A)とポリオレフィン系樹脂(B)と共重合体(C)のMFR(JIS K7210、温度:190℃、荷重:21.18N)がそれぞれ0.05g/10分以上20g/10分以下であることが必要であり、MFRが0.1g/10分以上10g/10分以下であることが好ましく、さらにMFRが0.2g/10分以上5g/10分以下であることがより好ましい。
【0084】
本発明において混合するポリ乳酸系樹脂(A)とポリオレフィン系樹脂(B)と共重合体(C)の溶融粘度比が共連続構造形成に重要である。溶融粘度が大きく異なる場合、溶融混練時において樹脂の混練が不均一となり、十分な相溶化を生じず共連続相はほとんど形成されない。このため、共連続構造形成には混合するポリ乳酸系樹脂(A)成分とポリオレフィン系樹脂(B)成分と共重合体(C)成分との溶融粘度差を低下させる必要がある。この共連続構造形成の観点より、本発明におけるポリ乳酸系樹脂(A)とポリオレフィン系樹脂(B)と共重合体(C)の各溶融粘度(JISK−7199、キャピラリーレオメーター使用、温度200℃)から算出した溶融粘度比(A)/(B)及び(A)/(C)が0.05以上10以下であることが必要であり、溶融粘度比が0.1以上7以下であることが好ましく、さらに溶融粘度比が0.2以上5以下であることがより好ましい。
【0085】
共連続構造形成は混合樹樹脂の配合比に影響を受ける。一般的に、共連続構造形成には非相溶な樹脂成分同士の体積分率が近いことが重要であり、この体積分率が離れるにつれて、相構造は共連続構造から海島構造へと移行する。本発明においてポリ乳酸系樹脂(A)にポリオレフィン系樹脂(B)及び共重合体(C)とから構成される樹脂組成物で、その質量比が(A)/(B)/(C)=30〜60/0〜50/5〜50である時、このような特殊な相構造を形成し易く、さらに優れた接着特性を得ることが可能である。
【0086】
上記の知見より、ポリ乳酸系樹脂(A)とポリオレフィン系樹脂(B)と共重合体(C)の質量比は、(A)/(B)/(C)=0〜80/0〜50/1〜100であり、好ましくは(A)/(B)/(C)=15〜70/0〜50/3〜70であり、さらに好ましくは(A)/(B)/(C)=30〜60/0〜50/5〜50であり、これらにおいて(A)+(B)+(C)=100である。
【0087】
<層構成>
本発明における積層体の具体的な層構成としては、例えば(I)層/(II)層/(III)層からなる3層構成、(I)層/(II)層/(III)層/(II)層/(I)層 または(III)層/(II)層/(I)層/(II)層/(III)層からなる5層構成、(I)層/(II)層/(III)層/(III)層/(II)層/(I)層からなる6層構成、それ以上の他層構成などを挙げることができるが、本発明において好適な積層構成は、(I)層/(II)層/(III)層/(II)層/(I)層 または(III)層/(II)層/(I)層/(II)層/(III)層であり、中でも好適な実施形態のひとつが(I)層/(II)層/(III)層/(II)層/(I)層の5層構成のフィルムである。この5層構成を採用することにより、本発明の目的である層間接着性、透明性や仕上がり特性などに優れた材料を得ることができる。この5層構成において、各層の厚み比は、上述した効果及び作用を考慮して設定すればよく、特に限定されるものではない。
【0088】
一般的にフィルム及び積層体におけるシール強度は、3N/15mm幅以上が良く、5N/15mm幅以上であることが好ましい。また、層間剥離強度の値は、特に制限されないが、1N/15mm幅以上あれば、使用時及び熱収縮時にシール部分及びフィルム層間で剥がれてしまう等のトラブルが生じることは少ない。本発明により得られた積層体(未延伸品)は、23℃50%RH環境下で、T型剥離法にてTD方向に試験速度200mm/分で剥離する方法を用いて測定した時のシール強度が少なくとも5N/15mm幅以上であり、層間剥離強度も少なくとも1N/15mm幅を超えるため、シール部及び積層体の層間においても剥離を生じにくい。
【0089】
また、フィルム及び積層体を熱収縮性フィルムとして使用した場合におけるシール強度は、3N/15mm幅以上が良く、5N/15mm幅以上であることが好ましい。また、層間剥離強度の上限は特に制限されないが、1N/15mm幅以上あればシール後、熱収縮後におけるフィルム層間の剥がれが生じにくくなり、2N/15mm幅以上あれば好ましい。本発明により得られた熱収縮性フィルムは、23℃50%RH環境下で、T型剥離法にてTD方向に試験速度200mm/分で剥離する方法を用いて測定した時のシール強度が少なくとも7N/15mm幅以上であり、層間剥離強度も少なくとも1N/15mm幅を超えるため、シール部及び熱収縮性フィルムの層間においても剥離を生じにくい。
【0090】
<用途>
本発明の積層体は、延伸することで引張強度、衝撃強度も上昇するので、延伸フィルムとして好適に使用することができる。また、延伸後、熱固定温度を調整することで熱収縮性フィルムとして使用することもできる。その他、各種の成形品にも好適に使用することができる。
【0091】
<熱収縮性フィルム>
本発明の積層体を熱収縮性フィルムとして用いた場合、80℃温水中10秒浸漬したときの熱収縮率が少なくとも一方向において20%以上であることが重要である。
【0092】
これは、ペットボトルの収縮ラベル用途等の比較的短時間(数秒〜十数秒程度)での収縮加工工程への適応性を判断する指標となる。例えばペットボトルの収縮ラベル用途に適用される熱収縮性フィルムに要求される必要収縮率はその形状によって様々であるが一般に20%乃至70%程度である。
【0093】
また、現在ペットボトルのラベル装着用途に工業的に最も多く用いられている収縮加工機としては、収縮加工を行う加熱媒体として水蒸気を用いる蒸気シュリンカーと一般に呼ばれているものである。熱収縮性フィルムは被覆対象物への熱の影響などの点からできるだけ低い温度で十分熱収縮することが必要である。さらに、近年のラベリング工程の高速化に伴い、より低温で素早く収縮する要求が高くなってきた。このような工業生産性も考慮して、前記条件における熱収縮率が20%以上のフィルムであれば、収縮加工時間内に十分に被覆対象物に密着することができるため好ましい。これらのことから、80℃の温水中に10秒浸漬したときの熱収縮率は、少なくとも一方向、通常主収縮方向に20%以上、好ましくは30%以上、さらに好ましくは40%以上であり、上限は85%以下、好ましくは80%以下、さらに好ましくは75%以下であることが望ましい。
【0094】
本発明の熱収縮性フィルムにおいて、80℃の温水中に10秒浸漬したときの熱収縮率を上記範囲に調整するためには、樹脂の組成を本発明の範囲内において調整することや、延伸温度などを調整することが好ましい。例えば、熱収縮率をより増加させたい場合には、用いる各成分の特性にも依存するが、積層体を構成する(I)及び/または(III)層の全体における厚み比率を上げる、延伸倍率を高くするなどの手段が好適に用いられる。
【0095】
<フィルムの製造方法>
本発明の延伸フィルム及び熱収縮性フィルムは、公知の方法によって製造することができる。フィルムの形態としては平面状、チューブ状の何れであってもよいが、生産性(原反フィルムの幅方向に製品として数丁取りが可能)や内面に印刷が可能という点から平面状が好ましい。平面状のフィルムの製造方法としては、例えば、複数の押出機を用いて樹脂を溶融し、Tダイから共押出し、チルドロールで冷却固化し、縦方向にロール延伸をし、横方向にテンター延伸をし、アニールし、冷却し、(印刷が施される場合にはその面にコロナ放電処理をして、)巻取機にて巻き取ることによりフィルムを得る方法が例示できる。また、チューブラー法により製造したフィルムを切り開いて平面状とする方法も適用できる。
【0096】
延伸フィルムや熱収縮性フィルムの場合、延伸倍率はオーバーラップ用など、二方向に収縮させる用途では、縦方向が2倍以上、好ましくは3倍以上であり、かつ10倍以下、好ましくは6倍以下であり、また横方向が2倍以上、好ましくは3倍以上であり、かつ10倍以下、好ましくは6倍以下である。一方、熱収縮性ラベル用等、主として一方向に収縮させる用途では、主収縮方向に相当する方向が2倍以上10倍以下、好ましくは4倍以上8倍以下、それと直交する方向が1倍以上2倍以下(1倍とは延伸していな場合を指す)、好ましくは1.1倍以上1.5倍以下の、実質的には一軸延伸の範疇にある倍率比を選定することが望ましい。前記範囲内の延伸倍率で延伸した二軸延伸フィルムは、主収縮方向と直交する方向の熱収縮率が大きくなりすぎることはなく、例えば、収縮ラベルとして用いる場合、容器に装着するとき容器の高さ方向にもフィルムが熱収縮する、いわゆる縦引け現象を抑えることができるため好ましい。
【0097】
延伸温度は、用いる樹脂のガラス転移温度や延伸フィルム又は熱収縮性フィルムに要求される特性によって変える必要があるが、概ね50℃以上、好ましくは60℃以上であり、上限が130℃以下、好ましくは110℃以下の範囲で制御される。次いで、延伸したフィルムは、必要に応じて、自然収縮率の低減や熱収縮特性の改良等を目的として、50℃以上100℃以下程度の温度で熱処理や弛緩処理を行った後、分子配向が緩和しない時間内に速やかに冷却され、熱収縮性フィルムとなる。
【0098】
また本発明の延伸フィルム及び熱収縮性フィルムは、必要に応じてコロナ処理、印刷、コーティング、蒸着等の表面処理や表面加工、さらには、各種溶剤やヒートシールによる製袋加工やミシン目加工や粘着シール加工などを施すことができる。
【0099】
本発明の延伸フィルム及び熱収縮性フィルムは、被包装物によってフラット状から円筒状等に加工して包装に供される。ペットボトル等の円筒状の容器で印刷を要するものの場合、まずロールに巻き取られた広幅のフラットフィルムの一面に必要な画像を印刷し、そしてこれを必要な幅にカットしつつ印刷面が内側になるように折り畳んでセンターシール(シール部の形状はいわゆる封筒貼り)して円筒状とすればよい。センターシール方法としては、有機溶剤による接着方法、ヒートシールによる方法、接着剤による方法、インパルスシーラーによる方法が考えられる。この中でも、生産性、見栄えの観点から有機溶剤による接着方法が好適に使用される。
【0100】
[成形品、熱収縮性ラベル及び容器]
本発明の積層体は、用途が特に制限されるものではないが、必要に応じて印刷層、蒸着層その他機能層を形成することにより、ボトル(ブローボトル)、トレー、弁当箱、惣菜容器、乳製品容器等の様々な成形品として用いることができる。特に本発明のフィルムを食品容器(例えば清涼飲料水用または食品用のPETボトル、ガラス瓶、好ましくはPETボトル)用熱収縮性ラベル又は成形品として用いる場合、複雑な形状(例えば、中心がくびれた円柱、角のある四角柱、五角柱、六角柱など)であっても該形状に密着可能であり、シワやアバタ等のない美麗なラベル又は成形品が装着された容器が得られる。本発明の成形品及び容器は、通常の成形法を用いることにより作製することができる。
【0101】
本発明の積層体が熱収縮性フィルムである場合、優れた収縮特性、収縮仕上がり性を有するため、高温に加熱すると変形を生じるようなプラスチック成形品の熱収縮性ラベル素材のほか、熱膨張率や吸水性等が本発明の熱収縮性フィルムとは極めて異なる材質、例えば金属、磁器、ガラス、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリメタクリル酸エステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂から選ばれる少なくとも1種を構成素材として用いた包装体(容器)の熱収縮性ラベル素材として好適に利用できる。
【0102】
本発明の積層体が熱収縮性フィルムである場合、フィルムが利用できるプラスチック包装体を構成する材質としては、前記の樹脂の他、ポリスチレン、ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、スチレン−ブチルアクリレート共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、(メタ)アクリル酸−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等を挙げることができる。これらのプラスチック包装体は2種以上の樹脂類の混合物でも、積層体であってもよい。
【実施例】
【0103】
以下に本発明について実施例を用いてさらに詳細に説明する。
なお、実施例に示す測定値及び評価は次のように行った。また実施例では、積層体の引取り(流れ)方向をMD(Machine Direction)または縦方向、その直角方向をTD(Transverse Direction)または横方向と記載する。
【0104】
(1)層間剥離強度
得られた延伸フィルムをMD15mm×TD150mmの大きさに切り取り、TD端面の片側の(I)層を(II)層から一部剥離し、剥離したこの剥離層と被剥離層を引張試験機のチャックにそれぞれ挟み、TD方向に対して、試験速度50mm/minにて180度剥離試験を行った。剥離試験にて得られる荷重が安定した値を示す領域において、その平均値を層間剥離強度として評価した。また下記の評価基準により層間剥離強度を評価した。
◎:剥離強度が3.0(N/15mm幅)以上
○:剥離強度が1.0(N/15mm幅)以上で3.0(N/15mm幅)未満
×:剥離強度が1.0(N/15mm幅)未満
【0105】
(2)外観
得られた積層体及び延伸フィルムを目視により外観を下記基準で評価した。
○:表面及び内部にフィッシュアイなどのゲル物やムラがない
×:表面及び内部にフィッシュアイなどのゲル物やムラがある
【0106】
(3)相構造
得られた積層体の端部を除いた中央部分をミクロトームによりTD方向に切断し、その切断面をイオンエッチング処理した試料を作製した。次いで、その試料における(II)層部分の相構造を電界放射型走査電子顕微鏡(SEM、日立ハイテクノロジーズ製、S−4500)を用いて加速電圧5kVで2000倍において観察した。SEM観察写真は白と黒の二色で表されており、白く観察される部分がエッチングを受けずに残存したオレフィン系樹脂及びグラフト共重合体からなるオレフィンリッチ相に起因する凸部分であり、黒く観察される部分が、ポリ乳酸系樹脂相がエッチングにより除去された凹部分である。この観察写真より、下記の評価基準で相構造を決定した。
海島:一方の色のマトリックス相中にもう一方の色の球状相が観察される
共連続:黒色の相と白色の相が入り組み、球状相があまり観察されない
単一相:白色と黒色の明確な色の差及び相の形状がほとんど観察されない
【0107】
(4)熱収縮率
得られたフィルムをMD100mm×TD100mmに切り取り、80℃の温水浴に10秒間浸漬させ、その後30秒間23℃の冷水に浸漬させた後のフィルムの主収縮方向(横方向)の収縮量を測定し、収縮前の原寸に対する収縮量の比率を%値で求めた。
【0108】
(5)収縮仕上がり性
得られた延伸フィルムを縦横10mm間隔の格子目を印刷し、縦方向100mm×横方向298mmの大きさに切り取り、横方向の両端を10mm重ねて溶剤シールし円筒状にした。この円筒状フィルムを、内容量1.5リットルの丸型ペットボトルに装着し、蒸気加熱方式の長さ3mの収縮トンネルの中を、回転させずに10秒間で通過させてフィルムを被覆した。ただし、吹き出し蒸気温度は99℃、トンネル内雰囲気温度は90〜94℃であった。ペットボトルに被覆されたフィルムについて、下記基準に基づき、収縮仕上がり性の評価を行なった。
○:収縮が十分であり、シワ入りやアバタはなく、格子目の歪みも実用上問題なく、かつフィルムの密着性も良好なもの
×:明らかに収縮不足部分があるか、あるいはシワ入りやアバタ、格子目の歪みなどが目立つもの
【0109】
<(I)層及び(III)層の作製方法>
(I)層としてNature Works LLC社製ポリ乳酸、商品名「Nature Works NW4060D」(L体/D体=88/12)(以下、「PLA」と略称)60質量%と、三井化学社製ポリ乳酸、商品名「レイシアH440」(L体/D体=95.75/4.25)30質量%、DIC社製軟質ポリ乳酸系樹脂、商品名「プラメートPD−150」10質量%を用い、(III)層として宇部興産社製直鎖状低密度ポリエチレン、商品名「ユメリット0540F」50質量%、住友化学社製ポリプロピレン、商品名「ノーブレンFH3315」35質量%、及び荒川化学社製水添石油樹脂、商品名「アルコンP125」15質量%を用い、それぞれ二軸押出機で混練し混合樹脂ペレットを得た。
【0110】
(実施例1)
(II)層としてPLAを65質量%、ダウ・ケミカル社製ランダムPP、商品名「バーシファイ2400」(以下「PO」と略称)30質量%、日本油脂製エチレン−アクリル酸エチル/(メタ)アクリル酸メチルグラフト共重合体、商品名「モディパーA5200」(以下「相溶化剤1」と略称)5質量%を用い、二軸押出機で混練し混合樹脂ペレットを得た。このペレットと(I)層及び(III)層に用いるペレットを各層の厚みがそれぞれ(I)層/(II)層/(III)層/(II)層/(I)層=30μm/5μm/180μm/5μm/30μmとなるよう3種5層ダイスにより共押出し、50℃のキャストロールで引き取り、冷却固化させて幅300mm、厚さ250μmの積層体を得た。得られた積層体の外観評価結果、相構造の観察結果を表1に、相構造を図1にそれそれ示す。さらに得られた積層体を京都機械株式会社製フィルムテンターにて、予熱温度80℃、延伸温度78℃で横一軸方向に5.0倍延伸後、90℃にて熱処理を行い、厚さ50μmの延伸フィルムを得た。この延伸フィルムの層間剥離強度を表1に示した。表1において得られた結果について総合評価も行い、評価項目の全てに対して問題がなかったフィルムを記号(○)、1つでも問題があったフィルムを記号(×)で示した。また、延伸フィルムの外観、熱収縮率、及び収縮仕上がり性を表2に示した。
【0111】
(実施例2)
実施例1において、(II)層に用いる材料の組成比をPLA:60質量%、PO:35質量%、相溶化剤1:5質量%と変更した以外は、実施例1と同様の条件によって積層体及び延伸フィルムを得た。得られた積層体及び延伸フィルムの評価結果を表1に示す。
【0112】
(実施例3)
実施例1において、(II)層に用いる材料の組成比をPLA:50質量%、PO:40質、相溶化剤1:10質量% と変更した以外は、実施例1と同様の条件によって積層体及び延伸フィルムを得た。得られた積層体及び延伸フィルムの評価結果を表1に、相構造を図2に示す。また、延伸フィルムの外観、熱収縮率、及び収縮仕上がり性を表2に示す。
【0113】
(実施例4)
実施例1において、(II)層に用いる材料の組成比をPLA:50質量%、相溶化剤1:50質量% と変更した以外は、実施例1と同様の条件によって積層体及び延伸フィルムを得た。得られた積層体及び延伸フィルムの評価結果を表1に、相構造を図3に示す。
【0114】
(実施例5)
実施例1において、(II)層に用いる材料の組成比を相溶化剤1:100質量% と変更した以外は、実施例1と同様の条件によって積層体及び延伸フィルムを得た。得られた積層体及び延伸フィルムの評価結果を表1に示す。
【0115】
(比較例1)
実施例1 において、(II)層に用いる材料の組成比をPLA:65質量% 、PO:30質量% 、JSR製官能基含有水素添加スチレン‐ブタジエン共重合体、商品名「ダイナロン8630P」(以下「相溶化剤2」と略称)5質量%と変更した以外は、実施例1と同様の条件によって積層体及び延伸フィルムを得た。得られた積層体及び延伸フィルムの評価結果を表2に、相構造を図4に示す。
【0116】
(比較例2)
実施例1において、(II)層に用いる材料の組成比をPLA:65質量% 、PO:35質量% と変更した以外は、実施例1と同様の条件によって積層体及び延伸フィルムを得た。得られた積層体及び延伸フィルムの評価結果を表2に示す。
【0117】
(比較例3)
実施例1において、(II)層に用いる材料の組成比をPLA:60質量%、PO:40質量%と変更した以外は、実施例1と同様の条件によって積層体及び延伸フィルムを得た。得られた積層体及び延伸フィルムの評価結果を表2に、相構造を図5に示す。
【0118】
(比較例4)
実施例1において、(II)層に用いる材料の組成比をPLA:35質量%、PO:60質量%、相溶化剤1:5質量%と変更した以外は、実施例1と同様の条件によって積層体及び延伸フィルムを得た。得られた積層体及び延伸フィルムの評価結果を表2に示す。
【0119】
(比較例5)
実施例1において、(II)層に用いる材料の組成比をPLA:100質量%と変更した以外は、実施例1と同様の条件によって積層体及び延伸フィルムを得た。得られた積層体及び延伸フィルムの評価結果を表2に示す。
【0120】
【表1】

【0121】
【表2】

【0122】
【表3】

【0123】
表1より、本発明で規定する積層体及び延伸フィルム(実施例1〜5)は、外観及び層間接着強度の両特性のバランスが良く優れていることが分かる。また、図1〜図3より本発明で規定する積層体の(II)層の相構造は海島構造(実施例1及び5)と共連続構造(実施例2〜4)であり、共連続構造を形成したものでは3N/15mm幅以上の更に優れた層間剥離強度を有することが分かる。一方、表2より本発明の規定する範囲外である積層体(比較例1〜5)は、外観及び層間剥離強度のいずれかもしくは両方ともが不十分である。また、本発明の規定する範囲外である積層体は、図4及び図5より実施例1と同様の海島構造(実施例2〜4)及び単一相(実施例5)が形成され、共連続構造は形成していないことが分かる。また表3より本発明で規定する延伸フィルム(実施例1及び3)では、熱収縮率がそれぞれ29.6%、29.8%であり、外観や仕上がり性も優れていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明の積層体、並びに該積層体を用いた延伸フィルム、熱収縮性フィルムなどは包装材、容器、医療用材、建材、電気・電子機用部材、情報記録用などのフィルム、シート材料、ラベル、粘着テープの基材として、各種の用途が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】実施例1の積層体の(II)層部分のSEM観察写真である。
【図2】実施例3の積層体の(II)層部分のSEM観察写真である。
【図3】実施例4の積層体の(II)層部分のSEM観察写真である。
【図4】比較例1の積層体の(II)層部分のSEM観察写真である。
【図5】比較例3の積層体の(II)層部分のSEM観察写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記に示す樹脂組成物を主成分とする(I)層と(II)層、若しくは(II)層と(III)層の少なくとも2層、又は(I)層、(II)層、(III)層の順に少なくとも3層を有することを特徴とする積層体。
(I)層:ポリ乳酸系樹脂(A)50質量%超を含有する樹脂組成物
(II)層:ポリ乳酸系樹脂(A)と、ポリオレフィン系樹脂(B)と、エチレン系単独重合体、エチレン系共重合体、酸変性オレフィン系共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマーからなる群から選ばれるセグメント(a)及び少なくとも1種のアクリル系単量体からなるセグメント(b)を有する共重合体(C)と、で構成され、これらの質量比が(A)/(B)/(C)=0〜80/0〜50/1〜100であり、かつ(A)+(B)+(C)=100である樹脂組成物
(III)層:ポリオレフィン系樹脂(B)50質量%超を含有する樹脂組成物
【請求項2】
請求項1に記載の積層体を少なくとも一方向に延伸してなることを特徴とする延伸フィルム。
【請求項3】
請求項1に記載の積層体を少なくとも一方向に延伸してなり、80℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が20%以上であることを特徴とする熱収縮性フィルム。
【請求項4】
請求項1に記載の積層体、請求項2に記載の延伸フィルム、又は請求項3に記載の熱収縮性フィルムを成形してなる成形品。
【請求項5】
請求項3に記載の熱収縮性フィルムを基材として用いた熱収縮性ラベル。
【請求項6】
請求項5に記載の熱収縮性ラベルを装着した容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−12464(P2009−12464A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−149985(P2008−149985)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】