説明

積層物およびその製造方法

積層物において使用するのに適した、少なくとも一つのグレージング要素を含む光学シート。この光学シートは、複数の光学層を有する非金属多層光学フィルムを含み、たとえば、太陽エネルギー反射フィルム(たとえば、赤外線反射フィルム)であり得る。この多層は、少なくとも光学フィルムの周辺端の全部、実質的に全部、または少なくとも実質的な部分に沿って、熱的におよび/またはその他の方法で融合させて、それにより、光学フィルムの周辺端の全部、実質的に全部、またはかなりの部分に沿う、多層の層剥離の発生または程度を防止するかまたは少なくとも実質的に抑制する。グレージング要素に接合させたときに、少なくとも光学フィルムの周辺端の全部、実質的に全部、もしくは少なくともかなりの部分が、その光学シートを接合させる相手のグレージング要素の周辺端の対応する部分と同延にあるかまたは実質的に同延にあるように、位置決め出来るように、少なくともその光学フィルムの寸法決めをすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非金属多層光学フィルム、そのような光学フィルムを含む積層物、およびそのような積層物を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動車用または建築用のグレージング構造または窓構造には多くの場合、典型的には2枚の硬質のガラスまたはプラスチックシートと可塑化ポリビニルブチラール(PVB)の中間層とから製造した積層物が用いられている。グレージングを調製するには、まず、2枚の硬質シートの間にPVB層を置く。そのPVB層は典型的には、2枚の硬質シートの周辺を超えて延在するか、またはその周辺と同じ高さにあるように、大きさと位置を決める。次いでその係合表面から空気を除去してから、その組立て物を(たとえば、オートクレーブ中で)高温、高圧にかけ、PVBと硬質シートを融着させて、窓構造に使用するのに適した積層物とする。それらの硬質シートを互いに接合させた後で、典型的には、硬質シートの周辺からはみ出した過剰のPVBをトリミング除去する。そのような積層物は、自動車用および建築用のグレージング用途に用いられてきた。
【0003】
これらの積層物には、得られたグレージングの性能を向上させるために設計された機能性シートも含まれてきた。そのような機能性シートの一つとして、建物または車両キャビンの内部から逃げる赤外線(IR)を反射させるよう設計されたものがある。そのようなIR反射シートの例は、米国特許第5,882,774号明細書、同第6,049,419号明細書、同第5,103,557号明細書、同第5,223,465号明細書、同第5,360,659号明細書、同第4,799,745号明細書などに見出すことができる。グレージング構造または窓構造に適した積層物を形成する場合、そのような機能性シートは典型的には、2枚のPVBのシートを用いて2枚のガラスシートの間を接合させるが、その場合、1枚のPVBのシートを用いて1枚のガラスシートを機能性シートのそれぞれの側に接合させる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
非金属多層光学フィルム(たとえば、IR反射フィルム)を含む光学シートを使用した窓構造に適したグレージング積層物を製造するために、本出願人は数多くの課題に挑んできた。有用な多層光学フィルムには、100層以上の光学層の積み重ねを含むことができる。研究を通じて経験的に、そのような光学フィルムは、層間剥離(すなわち、光学フィルムの複数の光学層および/またはその他の層の間の層剥離)を示し、その結果、フィルムの光学的性能に悪影響や、さらには審美面の欠陥を与える可能性があることが判っている。この層剥離は、光学フィルムの周辺端で始まり、フィルムの中央部分にまで広がっていく。いかなる理論にも拘束されることを希望するものではないが、この層剥離は、少なくとも部分的には、グレージングの積層加工の間またはその結果、特にグレージングの積層接合加工の間またはその結果として(たとえば、オートクレーブ処理またはその他の接合操作の間)、その光学フィルムにかかる可能性のある応力が原因となっている、と考えられる。そのような応力は、たとえば、光学フィルムの収縮、接合シートの収縮、光学フィルムの不正確な裁断、および使用したグレージング要素の相対的な曲がり、の1つまたは複数によってもたらされる可能性がある。たとえば、典型的には、平坦なグレージング要素シートを積層させる場合には、複合された曲線を有するグレージング要素シートを積層させる場合よりも、応力の発生は低い。
【0005】
本発明は、そのような光学フィルムの端部層剥離の問題を防止するか、あるいは少なくとも実質的に抑制するための解決策を提供するものである。そのような端部層剥離は、光学シートを接着させる相手のグレージング要素の周辺端の対応する部分と同延にあるかまたは実質的に同延にあるような光学フィルム周辺端部分で特に問題となることが判った。そのような端部層剥離は、露出したままになっているか、接合シート材料の内部に少なくとも封入されていないか、または少なくとも光学フィルムの周辺端を封入するために適用されたその他の各種の接合材料の内部に封入されていないような光学フィルムの周辺端部分で、特に大きな問題となることが判った。本発明を使用することによって、そのような光学フィルムの端部層剥離は、それぞれのグレージング要素、または少なくとも光学シートを接着させる相手のグレージング要素の周辺端の対応する部分と同延にあるか、実質的に同延にある、非金属多層光学フィルムの周辺端の全部、または実質的に全部、または少なくともかなりの部分を用いて作った積層物(たとえば、グレージング積層物)においてさえも、防止するかまたは少なくとも実質的に抑制することができる。
【0006】
本発明の一つの面においては、少なくとも1種のグレージング要素を含む積層物の中で使用するのに適した光学シートが提供される。その光学シートには、透明であるか、少なくとも半透明で、周辺端を有する非金属多層光学フィルムが含まれる。その光学フィルムは、複数の光学層を有するが、その他の層を有していてもよい。その光学フィルムは、たとえば、太陽エネルギー反射フィルム(たとえば、赤外線反射フィルム)であってもよい。その光学シート、または少なくとも光学フィルムは、グレージング要素に接合させた場合に、その光学シートの周辺端の全部、実質的に全部、もしくは少なくともかなりの部分、または少なくとも光学フィルムが、その光学シートを接合させる相手のグレージング要素の周辺端の対応する部分と同延にあるかまたは実質的に同延にあるように位置決め可能であるように、寸法決めする。その多層を、光学シートの周辺端の全部、実質的に全部、もしくは少なくともかなりの部分、または少なくとも光学フィルムに沿って、熱的におよび/またはその他の方法により融合させて(たとえば、熱、放射線を与えたる、および/または層の間で化学反応を起こさせて)、それにより、光学フィルムの周辺端の全部、実質的に全部、またはかなりの部分に沿って、その多層の層剥離の発生または程度を防止するかまたは少なくとも実質的に抑制する。
【0007】
光学フィルムの周辺端の適用可能な部分は、たとえば、加熱ブレードまたはフォーカスレーザーもしくはデフォーカスレーザーのような機器を用いて光学シート、または少なくとも光学フィルムを切断することによって、融解させることができる。多層の融解はまた、(たとえば、ナイフブレードのような機械的な切断器具または、加熱ブレードもしくはレーザーのような器具を用いて)予め切断しておいた、光学シートの周辺端、または少なくとも光学フィルムを、たとえば加熱エアガン、火炎などを用いて充分に加熱することによっても実施することができる。
【0008】
一つの態様においては、光学シート、または少なくとも光学フィルムを、光学シートの周辺端の実質的に全部、または少なくとも光学フィルムが、グレージング要素の周辺端の対応する部分と実質的に同延にあるように位置決め可能であるように寸法決めし、その多層を光学シートの周辺端の実質的に全部、または少なくとも光学フィルムに沿って融合させて、それにより、光学フィルムの周辺端の実質的に全部において多層が層剥離することを少なくとも実質的に抑制する。
【0009】
本発明のもう1つの面においては、上述の光学シートと第一の接合シートを含む積層物を提供する。その積層物は透明または少なくとも半透明であってよく、またその光学シートは透明または少なくとも半透明であってよい。その第一の接合シートは、グレージング要素(たとえば、窓として使用するのに適した透明または半透明なプラスチックまたはガラスのシート)を接合させたり、光学シートを接合させたりするのに適している。その光学シートの主表面および第一の接合シートの主表面を、位置合わせする。その光学シート、または少なくとも光学フィルムは、その光学シートの周辺端の全部、実質的に全部、もしくは少なくともかなりの部分、または少なくとも光学フィルムが、その光学シートを接合させる相手のグレージング要素の周辺端の対応する部分と同延にあるかまたは実質的に同延にあるように位置決め可能であるように、寸法決めする。積層の最初の段階の間では、その光学シートの主表面および第一の接合シートの主表面は、部分的にだけ互いに接合されていてもよいし、結局のところ全面的に互いに接合されていてもよい。
【0010】
本発明による積層物の一つの態様においては、光学シート、または少なくとも光学フィルムを、光学シートの周辺端の実質的に全部、または全部、または少なくとも光学フィルムが、その光学シートを接合させる相手のグレージング要素の周辺端と同延にあるかまたは実質的に同延にあるように位置決め可能であるように、寸法決めし、その多層を、光学シートの周辺端の実質的に全部、または全部、または少なくとも光学フィルムに沿って、熱的におよび/またはその他の方法で融合させて、それにより、光学フィルムの周辺端に沿っての多層の層剥離を防止するかまたは少なくとも実質的に抑制する。
【0011】
本発明の別の面においては、積層物にはさらに、光学シートが第一の接合シートと第二の接合シートとの間に配されるように、その光学シートのもう一方の主表面に対して配置した主表面を有する第二の接合シートを含むことが可能であり、ここでその第二の接合シートも、その主表面を他のグレージング要素に接合させるのに適している。この積層の最初の段階の間では、光学シートの反対側の主表面、および第一および第二の接合シートの対応する主表面は、部分的にだけ互いに接合されていてもよいし、結局のところ全面的に互いに接合されていてもよい。
【0012】
本発明のさらなる面においては、積層物が、2種の透明または少なくとも半透明なグレージング要素をさらに含むグレージング積層物であってもよい。第一の接合シートおよび第二の接合シートのそれぞれは、グレージング要素の一方または他方の主表面に面するもう一つの主表面を有していて、その光学シートは第一と第二の接合シートの間に配され、その第一および第二の接合シートはグレージング要素の間に配され、その光学シートの周辺端の全部、実質的に全部、もしくは少なくともかなりの部分、または少なくとも光学フィルムが、グレージング要素の両方または少なくとも一方の周辺端の対応する部分と同延にあるかまたは実質的に同延にあるように、位置決めされる。たとえば、グレージング要素の一方が他方のグレージング要素よりも表面積が大きかったり、および/または一方のグレージング要素の周辺端が他方のグレージング要素のそれよりも長かったりした場合には、光学シートの周辺端の全部、実質的に全部、もしくはかなりの部分、または少なくとも光学フィルムを、両方のグレージング要素の周辺端の対応する部分が同延にあるかまたは実質的に同延にあるように、寸法決めおよび位置決めしてもよい。
【0013】
この積層の最初の段階の間では、第一および第二の接合シートのそれぞれは、そのそれぞれのグレージング要素に部分的にだけ接合されていてもよいし、あるいはそのそれぞれのグレージング要素に全面的に接合されていてもよい。さらに、光学シートの周辺端の全部、実質的に全部、もしくは少なくともかなりの部分、または少なくとも光学フィルムは、露出していても、または少なくとも接合シート材料の内部もしくはいずれか他の接合材料の内部に封入されていなくてもよい。
【0014】
本発明の光学シートの周辺端のかなりの部分のみ、または少なくとも光学フィルムが実質的に融合されることが受容されるような一つの例においては、光学シートを接合させるグレージング要素の周辺端の一部または複数の部分を、マスキングするか、あるいは別な方法で見えなくしてもよい。そのような場合には、グレージング要素のマスキングまたは他の方法で隠した部分に対応する、光学シートの周辺端の部分は、それもまたマスキングまたは隠されるので、融解させる必要はない。そのような場合では、光学シートの隠された周辺端上で層剥離が現れても、受容可能である。
【0015】
本発明のもう1つの面においては、窓構造において使用するためのグレージング積層物を製造するための方法が提供され、そこでは、そのグレージング積層物には、2枚の接合シートの間に挟まれた光学シートと、2枚のグレージング要素の間に挟まれた接合シートが含まれる。その方法に含まれるのは、光学シートを提供すること;少なくともその光学フィルムの周辺端の全部、実質的に全部、または少なくともかなりの部分が、そのグレージング要素の両方または少なくとも一方の周辺端の対応する部分と同延にあるかまたは実質的に同延にあるように位置決め可能であるように、光学シートを寸法決めすること;およびその光学シートの周辺端の全部、実質的に全部、もしくは少なくともかなりの部分、または少なくとも光学フィルムに沿って、その多層を熱的および/またはその他の方法により融合させて、それにより、少なくともその光学フィルムの周辺端の全部、実質的に全部、またはかなりの部分に沿っての、その多層の層剥離の発生またはその程度を防止するかまたは少なくとも実質的に抑制すること;である。その光学シートには、多層を有する非金属多層光学フィルムが含まれる。寸法決めは、たとえば、(たとえば、切断ブレード、レーザー、加熱切断器具などを用いた)トリミング、熱を加えることにより周辺端に収縮を起こさせる方法、または光学シートの寸法を変化させるその他の方法などにより実施することができる。そのグレージング積層物は、透明であっても少なくとも半透明であってもよい。
【0016】
上述の方法に加えて、接合シートのそれぞれが、光学シートに対して、およびグレージング要素に対して接合させるのに適しているような、2枚の接合シートと2枚のグレージング要素を提供することも可能である。接合シート、グレージング要素、および光学シートのそれぞれは、透明であっても少なくとも半透明であってもよい。その方法にさらに含むことができるのは、光学シートを接合シートの間に、そして接合シートをグレージング要素の間に挟み込む工程;その光学フィルムの周辺端の全部、実質的に全部、または少なくともかなりの部分を位置決めして、それにより、そのグレージング要素の両方または少なくとも一方の周辺端の対応する部分と同延にあるかまたは実質的に同延にあるように、光学シートを位置決めする工程;およびその積層物(たとえば、光学シート、接合シート、およびグレージング要素)を互いに完全に接合させる工程、である。
【0017】
その光学シートには、たとえば、太陽エネルギー反射フィルムたとえば赤外線反射フィルムのような非金属多層光学フィルムが含まれる。その光学フィルムは複数の光学層またはその他の層を有し、それぞれの接合シートは、光学シートに対する接合、およびグレージング要素の両方または少なくとも一方もしくは他方に対する接合に適したものである。積層物(たとえば、光学シート、接合シートおよびグレージング要素)は、たとえば、充分な時間をかけて熱および圧力を加えることにより、その接合シートの主表面が流動して、光学シートの主表面およびグレージング要素の主表面のそれぞれに充分に接着するするようにして、完全に接合させることが可能である。そのグレージング積層物は、透明であっても少なくとも半透明であってもよい。
【0018】
この方法には、挟み込みを実施する前または後に光学シートの寸法決め(dimensioning)をすることがさらに含まれていてもよい。光学シートの寸法決めも、積層物を完全に互いに接合させる前に実施しても、その後に実施してもよい。たとえば、積層物を、その周辺端の全部、実質的に全部、またはかなりの部分が、そのグレージング要素の両方または少なくとも一方の周辺端を超えて延在するように、大きさと位置を決めた光学シートと互いに完全に接合させることも可能である。次いで、その光学シートの寸法決めを実施することができる。
【0019】
さらに、光学シートの融解および/または寸法決めを、完全な接合をさせる前に実施することもできる。融解を、光学シートの寸法決めの後に実施することも可能である。たとえば、光学シートを、切断ブレードを用いてトリミングすることにより寸法決めし、次いで、たとえば、加熱空気源(たとえば、加熱エアガン)、火炎(たとえば、ブタンガストーチ)、加熱炉(たとえば、グレージング積層物を、光学フィルムの周辺端を融解させる加熱には充分な時間で、かつ、グレージング要素の中に浸透して、残りの光学フィルムを融解させるには加熱としては不充分な時間、加熱炉の中に置くことができる)などからの熱を加えることにより、その光学シートの融解を実施することができる。
【0020】
光学シートの寸法決めと融解を、同時に実施することも可能である。光学シートの寸法決めと融解を、同一の装置の中で同時に実施することも可能である。たとえば、光学シートを寸法決めするのと同時に、たとえば、レーザー、加熱切断機器を用いてトリミングするか、加熱炉を使用することにより、得られる周辺端を融解させる(たとえば、グレージング積層物を、光学シートの周辺端を融解させてカールさせるか、または別な方法として収縮させるのに充分な温度と加熱の時間、加熱炉の中に置くことができる)ことも可能である。
【0021】
この方法には、たとえば、トリミングするかまたはその他の方法で接合シートの寸法決めを変化させるかの方法で寸法決めすることが含まれていてもよく、それによって、積層物を互いに完全に接合させた後に、その光学シートの周辺端の全部、実質的に全部、もしくは少なくともかなりの部分、または少なくとも光学フィルムが、露出されているか、または接合シート材料(たとえば、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、イオノプラストおよびそれらの組合せ)の内部に少なくとも封入されていない。
【0022】
融解による利益に加えて、光学フィルムにかかる層剥離応力(すなわち、さもなければ光学フィルムの周辺端において多層が層剥離する原因となり得るような応力)を防ぐかまたは実質的に抑制する目的で、場合によっては接合シートを寸法決めするか、および/または各種その他の接合材料(たとえば、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、アクリル系ポリマーおよびシリコーン接合材料)を塗布して、一方または両方のグレージング要素、光学シート、または少なくとも光学フィルムの周辺端を封入することもできる。たとえば、光学フィルムの周辺端を寸法決めして、それにより、それの所望の部分が、グレージング要素の周辺端の対応する部分と同延にあるか、または実質的に同延にあるようにすることもできる。融解させた後で、その接合シート材料または他の接合材料をたとえばビーズの形で、少なくともそのグレージング要素の周辺端の対応する部分に沿って、適用することによって、一つのグレージング要素の周辺端から他のグレージング要素の周辺端へ、少なくともグレージング要素の周辺端の対応する部分の全部またはかなりの部分に沿って橋かけを行わせ、光学フィルムにかかる層剥離応力が少なくとも抑制されるようにする。そのような橋かけ接合材料が、さもなければ、光学シートの融解した周辺端にかかるであろう、層剥離応力を吸収するのだと考えられる。
【0023】
融解、光学シートの寸法決め、および接合シートの寸法決めは、同時に実施することができる。光学シートおよび接合シートの寸法決めと融解とを、同一装置を使用して同時に実施することも可能である。たとえば、光学シートと接合シートを寸法決めし、得られた光学フィルムの周辺端を、光学シートをトリミングすることにより同時に、そして接合シートをたとえば、レーザーまたは加熱切断機器を用いて同時に、融解させることができる。
【0024】
光学シートの寸法決めにはさらに、光学シートをトリミングにより寸法決めするか、別な方法として寸法を変化させることが含まれていれもよく、それによって、光学フィルムの周辺端の全部、実質的に全部、または少なくとも残りの部分(すなわち、融解していない、光学フィルムの周辺端の残りの部分)を、そのグレージング要素の両方または少なくとも一方を実質的に超えて延在させ、その周辺端とは同延にはないように、位置決めするようにする。さらに、その方法には、たとえば、接合シートをトリミングするか、または別な方法として寸法を変更することによって、寸法決めすることが含まれていてもよく、それによって、接合シートのそれぞれの周辺端が、同延にあるかもしくは実質的に同延にあるか、または両方のグレージング要素の周辺端の実質的に内部にあって、同延にはないようにする。
【0025】
光学シートおよび任意の接合シートの寸法決めは、1つまたは複数の操作により実施することが可能であるが、それらの操作は同時に実施しても、順に実施してもよい。積層プロセスの最後に、その積層物に少なくとも熱、または熱と圧力を充分な時間加えて、第一および第二の接合シートの主表面が流動して、光学シートおよびグレージング要素それぞれの主表面に充分に接合できるようにすることが、本発明の方法に含まれているのが好ましい。
【0026】
定義
本明細書で使用するとき、以下の用語および文言は下記の意味を有する。
【0027】
「層剥離(デラミネーション)」という用語は、機械的な分離および/または接合力の低下を示す。
【0028】
「完全に接合された」という用語は、接合された表面が互いに接着的な接触状態にあり、それによって、その表面を機械的な力だけで分離したときに、接合された表面の少なくとも一方(たとえば、光学シート、接合シート、グレージング要素などの接合された表面)が破壊されようになっていることを意味する。たとえば、自動車の窓用途のためのグレージングは典型的には、オートクレーブプロセスを用いて互いに完全に接合されている。対応するグレージング(たとえば、フロントガラス、リアガラス、サイドガラスなど)のための、自動車産業における標準的な要求、または特定の自動車メーカーの特定な要求を満たすに充分なほど互いに接合されている場合には、そのようなグレージングは互いに完全に接合されていると考えられる。
【0029】
「非金属多層光学フィルム」という用語は、元素金属または金属化合物の層によっては得られない光学的性質を有する多層フィルムを指す。
【0030】
「半透明な」という用語は、可視光線の少なくとも幾分かを透過させ得る材料の特性を指す。
【0031】
「透明な」という用語は、積層物たとえば、充分な光線を透過させて、特定の積層物用途(たとえば、車両または建築用グレージング用途)において要求される可視光線の透過性を満足させるようなグレージングの特性を指す。
【0032】
「トリミング」という用語は、材料の一部(たとえば、光学シート、接合シートなどの周辺端)を除去するための各種可能な操作を指す。たとえば、切断機器たとえば、レーザー、鋭利なブレード、ダイ(たとえば、鋼または定規)、研磨器、バーリング器、超音波ホーン、またはそれらの組合せ。
【0033】
いろいろな図面において、同様の参照符号は一般に、同様の要素を表している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明は、非金属多層光学フィルム(たとえば、IR反射フィルム)を含む光学シートの周辺端に沿っての顕著な層剥離の可能性を、完全に無くせないとしても、少なくとも減少させるように準備された、グレージングおよび中間積層物を提供する。窓構造において有用なそれら積層物の製造方法もまた提供される。
【0035】
非金属多層光学フィルム(たとえば、IR反射フィルム)を含む光学シートを使用した窓構造に適した積層物を製造するために、本出願人は数多くの課題に挑んできた。
【0036】
図1および図2を参照すると、本発明によるグレージング積層物10には、非金属多層光学フィルム17を有する光学シート15を含むことができる。この実施態様においては、光学シート15および光学フィルム17は同一の周辺端18を有している。シート15にはさらに、その他の構造物、たとえば、1層または複数の外側保護層39、さらには追加の機能性層(図示せず)が含まれていてもよい。そのような追加の機能性層としては、たとえば、振動減衰フィルム、太陽光吸収層(たとえば、着色層)などが挙げられる。
【0037】
シート15は2枚の接合シート19の間に挟まれており、さらにその接合シートは2枚のグレージング要素25の間に挟まれ、接合シートが層構造をとってその間の光学シート15に接合するようになっている。それぞれの接合シート19を用いて、光学シート15を対応するグレージング要素25の主表面に接着させている。その光学シート15は、グレージング要素25のこの主表面と、少なくとも一般的には同一平面にあるように配置するのが好ましい。接合シート19は異なっていてもよいが、典型的には同一である(たとえば、PVBのシート)。グレージング要素25もまた異なっていてもよいが、典型的には同一である(たとえば、プラスチックまたはガラスシート)。図示した光学フィルム17の周辺端18の部分は、2枚のグレージング要素25それぞれの周辺端27の対応する部分、さらには接合シート19それぞれの周辺端29の対応する部分に揃って同延であるかまたは同じ高さにあるように画かれている。光学フィルム17の周辺端18の全部、実質的に全部、またはかなりの部分が、グレージング要素25の周辺端27の対応する部分と実質的に同延にあってもよい。光学シートの周辺端または光学フィルムの部分がグレージング要素の周辺端の対応する部分と同じ高さにある場合には、光学シートの周辺端または光学フィルムのその部分は、グレージング要素の周辺端の対応する部分と同延にあると考えられる。さらに、光学シートの周辺端または光学フィルムの部分が、グレージング要素の周辺端の対応する部分よりも、審美的な見地から受容不能な大きさで、超えて延在したり(想像線31を参照)、中に落ち込んでいたり(想像線32を参照)していない場合には、その光学シートの周辺端または光学フィルムの部分が、グレージング要素の周辺端の対応する部分と実質的に同延にあると考えられる。たとえば、積層物を組み込んで、そのグレージング要素の周辺端の対応する部分が、少なくとも一時的にでも露出する場合(たとえば、車両のサイドウィンドウを下げたりあるいは別の方法で開いたりしたときに、そのグレージングの上端が見えるような場合)には、その光学シートの周辺端または光学フィルムの周辺端の部分がグレージング要素の周辺端の対応する部分から、超えて延在する範囲が最高2mmまで(たとえば、図1の参照番号31を参照)、あるいは落ち込む範囲が最高5mmまで(たとえば、図1の参照番号32を参照)であれば、審美的に許容されると考えてよい。
【0038】
接合シートの一方または両方には、各種好適な接合材料が含まれていてもよく、そのようなものとしては、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、アイオノマー材料およびその組み合わせからなる群より選択される材料が挙げられるが、それらは最初から透明または半透明であってもよいが、後ほど積層プロセスの間に透明または半透明になってもよい。
【0039】
それぞれのグレージング要素は、透明または半透明であってよく、またガラス、プラスチックまたはそれらの組合せのような材料から作ることができる。それぞれのグレージング要素は、たとえば、平坦なシート、曲面を有するシート、複雑な曲面を有するシート、レンズの形態であってもよいし、厚みに変化を有して(たとえば、装飾的な表面トポグラフィーを有して)いてもよい。第一の接合シートと第二の接合シートのそれぞれが、グレージング要素の一方または他方の主表面に面する主表面を有していて、それにより、光学シートが第一および第二の接合シートの間に配され、その第一および第二の接合シートがグレージング要素の間に配されるようにする。最終的な接合操作が実施されると、その第一および第二の接合シートのそれぞれが、それぞれのグレージング要素および光学シートに完全に接合される。完全に接合されたグレージング積層物とは、互いに充分に接合されていて、適用可能な窓(たとえば、自動車、航空機、船舶またはその他の車両における窓、およびビルまたはその他の建築構造における窓)のグレージングにおいて使用するのに適したものである。
【0040】
従来のグレージング積層物製造方法を用いると、光学シートが高い剪断力と面外応力を受けて、その結果その光学フィルムの多層の中で層剥離を招く可能性がある、ということが判ってきた。光学フィルムの多層の内部での層剥離はさらに、他の欠陥たとえば、「日輪模様(sunbursts)」または「虫食い模様(wormy patterns)」のようなその他の欠陥を招く可能性がある。従来のグレージングのための積層プロセスの、脱気、炉加熱(タッキング)およびオートクレーブ工程の1つまたは複数の間に、光学フィルムの中に層剥離が作るさらなる欠陥がもたらされる可能性もある。そのような加工の間に起き得る問題としては、たとえば光学フィルムを機械的な手段を用いて切断する際に(たとえば、プロッターテーブル上での剃刀刃切断)、光学フィルムの端部に形成されるひび割れが挙げられる。光学フィルムを応力下におくと、ひび割れが進行して光学フィルムの層間剥離の原因となりうる。ひび割れは、より大きなタイプの欠陥の一部と考えてよく、「層剥離につながる部位」とも呼ばれる。それらの部位は、ある種の積層加工工程たとえば、脱気、高温および/または高圧にかけることなどの1種または複数の工程の後で、問題を起こす可能性がある。本発明を使用することによって、多層光学フィルムのトリミングを実施する必要なくグレージング積層物を満足のいくレベルで製造することが可能となり、それによって、光学フィルムの周辺端における、ひび割れ、ぎざぎざの端部、目の粗い端部、クラック、またはその他そのような欠陥を、完全ではないにしても、顕著に減少させることができるが、そのような欠陥は、積層物をさらに加工(たとえば、グレージング積層物を完全に接合)した後に、フィルムの層剥離につながる部位を作りやすい。別の言い方をすれば、光学フィルムがその周辺端に、ひび割れ、ぎざぎざの端部、目の粗い端部、クラック、またはその他そのような欠陥を示したとしても、その光学シートの周辺端、または少なくとも光学フィルムを融解させることにより、さもなければそのような部位で起きていたであろう、フィルムの層剥離の可能性および/または程度を無くすか、または少なくとも減少させることができる。
【0041】
本発明において使用される光学シート、および少なくとも光学フィルムには、光学層を含み、また、たとえば構造層または補強層および保護層のようなその他の層を含むことが可能な多層が含まれる。たとえば、図2のグレージング積層物10と共に、その光学シート15には、光学フィルム17が含まれ、それには、2つの支持層37により分断された赤外線反射層35の3層の積み重ねが含まれ、それが2つの外側保護層39の中に入っている。2つの層39の一方または両方が、双方またはどちらかが機能的特性(たとえば、太陽エネルギー吸収性)を示すようにすることもできる。光学シート15にはさらに、層39の一方または両方と対応する接合シート19との間に位置する、追加の機能性層(図示せず)を含んでいてもよい。
【0042】
その光学シートの周辺端の全部、実質的に全部、もしくは少なくともかなりの部分、または少なくとも光学フィルムに沿って、その多層を熱的および/またはその他の方法により融合させて、それにより、その光学フィルムの周辺端の全部、実質的に全部、またはかなりの部分に沿って、その多層の層剥離の発生または程度を防止するかまたは少なくとも実質的に抑制するのが望ましい。熱的な融解は、たとえば、加熱ブレード、フォーカスレーザーもしくはデフォーカスレーザーなどのような機器を用いて光学シートの周辺端、または少なくとも光学フィルムを切断することによる、寸法決め操作と同時に実施することも可能であるし、あるいは、熱的な融解を、たとえば、機械的な切断機器たとえばナイフブレード、または加熱ブレードもしくはレーザーのような機器を用いて予め切断しておいた、光学シートの周辺端、または少なくとも光学フィルムを充分に加熱することによっても実施することができる。加熱ブレードまたはレーザーを使用したとしても、光学フィルムの周辺端の充分な融解を確実にするためには、別途の加熱プロセスが必要な場合もある。融解させたフィルムの深さ「d」は、光学シートの内部、少なくとも光学フィルムの内部では、その周辺端18から少なくとも約10ミクロンのオーダーとすることができる(図2参照)。図2に記載し図3に見られるような光学シートの場合には、深さdが約40ミクロンになるように熱的に融解させた周辺端を有するようにすると、満足のいく結果が得られた。
【0043】
別の言い方をすれば、光学シートの多層、および少なくとも光学フィルムを、その周辺端から充分な深さ「d」までおよび充分な程度に融合させることにより、光学シートの多層、または少なくとも光学フィルムが、その積層物の通常の使用条件下および通常の寿命の間は、融解させた周辺端の部分に沿っての層剥離を防止するか、または少なくともほぼ層剥離をしないようにする。さらに、以下の現象の一つまたは組み合わせたものが存在すれば、光学シートの多層または少なくとも光学フィルムの中で、周辺端に沿っての層剥離の程度が実質的に抑制されると考えられる。(a)層剥離の程度が、正常な(20/20)裸眼視力では見えない、(b)生じた層剥離がすべて隠れたままになっている、または(c)相当するグレージングの予想寿命の後で層剥離が発生する(たとえば、自動車用グレージングにおける業界標準の予想寿命は典型的には約7年であり、建築用グレージングでは典型的にはもっと長い)。光学フィルムの多層の内部における、周辺端に沿っての層剥離は、以下のようであれば防止できていると考えられる。(a)従来の可視光顕微鏡を使用して層剥離が観察できない、および(b)従来の可視光顕微鏡を使用して観察される層剥離がすべて、相当するグレージングの予想寿命の後で起きている。
【0044】
光学シートの周辺端、または少なくとも光学フィルムを融合させることによって、積層物を互いに完全に接合させるプロセス(たとえば、オートクレーブ処理プロセスによる)の途中または後、さらには業界で必要とされる耐久性試験の後における光学フィルムの層剥離をなくすことができる。以下に述べるのは、自動車用グレージングの耐久性を試験するために自動車産業において使用されている、典型的な湿度試験方法である。
【0045】
湿度試験方法
積層物を、50℃、相対湿度95%の加湿室に14日間、次いで23℃、相対湿度50%の室内に14日間に暴露する。この28日サイクルを3回繰り返す(合計84日)。この加湿室の条件は、ANSI Z26.1の試験3に規定されているものである。
【0046】
光学シートおよび光学フィルムを製造するために使用した材料、さらには接合材料の熱的特性を使用すれば、特定の光学シートまたは光学フィルムおよびグレージング積層物の周辺端を充分に融解させるための方法を決めることができる。たとえば、熱的に融解させる場合には、光学シート材料および接合材料の溶融温度および熱分解温度(すなわち、その材料の化学的な分解が始まる温度)が判れば、使用する加熱方法が、その光学シートまたは接合材料のいずれにおいても、過度の融解(たとえば、その材料がグレージング積層物から流れ出ることが可能な程度までの)または分解(たとえば、その材料の、炭化、その他燃焼または別な恒久的な分解の程度)が起きないようにするのに役立つ。したがって、本発明の教示に従えば、受容可能な(a)加熱温度、(b)その温度での時間、(c)熱源と周辺端との間の距離、および(d)充分に融解させた周辺端を有する光学シートを製造するための加熱器具、を決めるのは、せいぜいのところ、単純な試行錯誤の問題とすることができる。
【0047】
融解の例
図1〜図3に示したような、4種の完全に接合させたグレージング積層物は以下のようにして製造することができた。SRF光学シートを2枚のPVB接合シートの間に挟み込んだ。得られた3層積層物を寸法決めして、同じサイズのガラス製グレージング要素の2枚の平坦なシートの間に挟みこんで、光学シートおよび2枚の接合シートの周辺端がすべて、2枚のグレージング要素の周辺端のいずれよりも、約0.125〜約0.25インチ(約0.492〜約0.984mm)の範囲で超えて延在するようにした。次いで得られた積層物をオートクレーブ処理して、接合シート、光学シートおよびグレージング要素を互いに完全に接合させた。次いでその光学シートおよび接合シートを切断ブレード(たとえば、剃刀刃)を用いてトリミングして、それらの周辺端が、グレージング要素の周辺端と同じ高さにある、すなわち実質的に同延にあるようにした。次いでそのようにして得られた積層物の周辺端を、以下のようにして、熱処理または融解させた。第一の積層物は熱処理をしなかった。第二の積層物は、実験室用加熱エアガン(温度約750〜850゜F)を用いて加熱処理した。第三の積層物は、プロパントーチ(温度約2370゜F)を用いて処理した。その処理は、加熱エアガンまたはトーチを用いて、それぞれのグレージング積層物の周辺端を加熱することからなるが、ここで加熱エアガンおよびトーチはそれぞれ、周辺端から約1インチ(約2.54cm)の距離のところに位置させて、周辺端に沿って、おおよその速度約1〜約2インチ/秒(約2.54〜約5.08cm/秒)で移動させた。第四のグレージング積層物サンプルは、上述と同様にして集積させたが、剃刀刃を用いたトリミングの代わりに、このサンプルでは、1000゜Fの加熱ナイフを用い、約2インチ/秒(約5.08cm/秒)の移動速度でトリミングした。
【0048】
このようにトーチまたは加熱ナイフ処理法を用いて熱的に処理した積層物は、図4に見られるようなものと類似の外観を有する光学フィルムの多層融解状態を示したが、ここで光学層35は、他の層37および39(これらは、比較的変化が小さく、同一平面を保っている)の中に混じり込んで融解されていた。加熱エアガンを用いて加熱処理した積層物は、図3に見られるのと同様の外観を示し、SRFの周辺端の外側表面だけに融解が認められた。これら3種のタイプの加熱処理した積層物は、上述の湿度試験にかけた後でも、目に見えるような層剥離は示さなかった。熱処理を一切しなかった第一の積層物サンプルは、湿度試験にかけた後で明らかに層剥離していた。上述の結果から、光学層35を他層に混合させることは、フィルム17またはシート15の周辺端18の層剥離を防止するのには必ずしも必要ではなく、また、光学シートの層は、融合させるだけで、そのような方法で相互に混合させる必要はない、と考えられる。
【0049】
グレージング積層(すなわち、接合シート、光学シートおよびグレージング要素)の後にトリミングし、次いで熱処理した上述のそれぞれのサンプルが、互いに完全に接合されているのに対して、積層物を互いに完全に接合させるより前にトリミングと熱処理を実施することによっても、受容可能なグレージング積層物を製造することができる。さらに、トリミング操作は、少なくとも光学シート、好ましくは接合シートもトリミングして、それらの周辺端の所望部の部分が、グレージング要素の周辺端と同じ高さにあるかまたは実質的に同延にあるように、実施することもできる。トリミングと熱処理のプロセスは、レーザーまたは加熱切断ブレードの使用などによって、同時に実施することも可能である。レーザーを使用してトリミングと熱処理を実施するのが特に望ましい。
【0050】
レーザーを用いてSRFを切断すると、図4に見られるのと同様な外観の融解された周辺端を得ることができることが判った。少なくとも光学フィルムまたはシートを、レーザーを用いて(すなわち、完全に接合する段階よりも前に)プレカットするか、あるいは他の方法でトリミングすると、その光学フィルムを層剥離しにくくすることができる。レーザーは、光学シートを通過させて、好ましくは同様にして接合シートを通過させて、完全に切断するようにセットすべきである。使用可能なレーザーの例を挙げれば、ユーロレーザー(Eurolaser)(独国、ハンブルグ)およびプレコ・レーザー(Preco Laser)(旧社名レーザー・マシニング・インコーポレーテッド(Laser Machining Inc.)、ウィスコンシン州サマセット(Somerset,WI))から入手可能な、10.6μmCO2レーザーがある。そのようなユーロレーザー(Eurolaser)からの公称出力200Wのレーザーの場合に使用できるパラメーターの例を挙げれば、切断速度250mm/秒、出力100ワット、周波数10Hz、2枚の接合シートの間に挟み込んだ光学シートからなる3層積層物の先端に合わせたレーザーの焦点、などがある。適当な超音波ホーンを提供できる業者としては、ソニック・アンド・マテリアルズ(Sonic and Materials)(コネチカット州ニュートン(Newton,CT))およびデュカン(Dukane)(イリノイ州セント・チャールス(St.Charles,IL))などが挙げられる。アリストマット(Aristomat)(独国ハンブルグ(Hamburg,Germany))またはズント(Zund)(スイス国、アルトシュタッテン(Altstatten,Switzerland))によって提供されるようなプロッターテーブルを、トリミング操作に使用することも可能である。
【0051】
図5を参照すると、光学シート15の全部、実質的に全部、もしくは少なくとも周辺端18の残りの部分、または少なくとも光学フィルム(すなわち、融解しないか、または実質的に融解しなかった周辺端の部分)は、両方の接合シート19の周辺端29を実質的に超えて延在するように位置決めすることができる。光学シート15の周辺端18の部分、または光学フィルムを、接合シート19の周辺端29を超えたかなりの距離に保持すると、その多層を融合させない場合でさえも、光学シート15のその部分、または光学フィルムが層剥離する傾向が低下する、ということが見出された。したがって、光学シート15の周辺端18のいかなる部分、または光学フィルムを、必ずしも融合させる必要がないこともあり得る。光学シート15の全部、実質的に全部、または少なくとも周辺端18の残りの部分、または少なくとも光学フィルムを、両方の接合シート19の周辺端29を実質的に超えて延在するように、位置決めするのも望ましい。そのような部分と共に、それぞれの接合シート19の対応する周辺端29を、両方のグレージング要素25または少なくとも接合シート19が直接接合されているグレージング要素25の周辺端27と実質的に同延にあるように維持することもできるし、あるいは、それよりも実質的に内側(想像線41を参照)に置くことも可能である。その周辺端29の部分が、グレージング要素25の周辺端27の対応する部分と同延にあるか、または少なくともそれを実質的に超えて(想像線42を参照)延在するようなことが無い場合には、接合シート19の周辺端29は、グレージング要素25の周辺端27の対応する部分と実質的に同延にあると考えられる。光学シート15の周辺端18、または光学フィルムの対応する部分が、接合シート19の周辺端29を超える実質的な距離にない場合には、端部29は端部27を実質的に超えて延在する。
【0052】
グレージング積層物を互いに完全に接合させるプロセス(たとえば、オートクレーブ処理プロセス)の間にその光学フィルムにかかる応力、または完全接合プロセスの後にグレージング積層物中に残存する応力が大きいほど、その周辺端における光学フィルムの層剥離を防止するかまたは少なくとも実質的に抑制するためには、光学シート15の周辺端18、または少なくとも光学フィルムを、接合シート19の周辺端29を超えて延在させる必要性が高くなる。
【0053】
発生する応力および層剥離に影響する可能性がある因子
完全接合プロセス(たとえば、オートクレーブ処理プロセス)の結果起きる光学フィルムの収縮の程度が大きいほど、発生する潜在応力が大きくなり、層剥離が起きる可能性も高くなる。グレージング要素がより複雑であるほど(たとえば、平坦な場合に比較して、複雑な曲面を有するグレージングシート)、発生する潜在応力が大きくなり、層剥離が起きる可能性も高くなる。完全接合プロセスの際に使用されるパラメーターの設定値(たとえば、温度、時間および圧力)もまた、発生する応力のレベルに影響し、それによって、その発生した応力が層剥離の原因となる可能性が高くなる。
【0054】
積層物(たとえば、光学シートと接合シートとの間)および/または光学シート(たとえば、光学シートまたは光学フィルムの多層の間)の層剥離の原因となり得るその他のメカニズムも見出されている。具体的には、光学シートの周辺端、または少なくとも光学フィルム、さらには好ましくは接合シートの中に湿分が浸透することを防止することにより、光学シート、または少なくとも光学フィルムにおける層剥離の可能性および/または程度が少なくとも抑制されることが見出された。そのような湿分の浸透は、物理的または化学的バリヤー、たとえば、ゴムガスケット、シリコーンシーラント、フッ素化界面活性剤またはその他の方法もしくは材料を使用することにより、防止または少なくとも抑制することが可能である。そのような層剥離は、PVBタイプの接合シート材料を使用し、その光学フィルムグレージングを熱と湿分に暴露させた場合に、起こりうる。不良が起きる位置は層剥離のタイプによって異なりはするが、不良が起きるメカニズムは同じである。実験およびモデル検討の両方から、それらのタイプの層剥離は、湿分が存在することによって可塑剤の損失が加速されることが原因であることが判明した。積層物が乾燥するにつれて、可塑剤の損失が原因で、PVBのTgが上がり、PVBの収縮が起きる。このために、ガラス積層物の中の残留応力が大きくなって、それにより層剥離が起きる可能性がある。層剥離は典型的には、最も弱い界面で最初に起きる。光学シートの中での層剥離の場合は、最も弱い界面は典型的には、光学フィルムの層の間である。切断またはトリミングした光学フィルムの周辺端が、グレージング積層物よりも内側にある場合(すなわち、光学フィルムの周辺端が、少なくとも1枚の接合シートの周辺端を実質的に超えて延在していない場合)、残留応力は、ひび割れ部位(たとえば、トリミング操作によって生じた部位)にある光学層の間で起きる分離の原因となりやすい。光学シートとPVBの間での層剥離の場合、最も弱い界面はPVB/光学シートの界面である。光学シートとPVBの間の接合が強いほど、その積層物はこのタイプの層剥離を受けにくくなる。可塑剤の損失を防ぐためのバリヤー、たとえば、ゴムガスケット、シリコーンシーラント、フッ素化界面活性剤またはその他適切な方法もしくは材料を使用することにより、層剥離を防止することも可能である。このバリヤーでは、積層物の中に湿分が入る可能性がまだあるが、可塑剤が出てしまうのを防ぎ、それにより層剥離が防止される。
【0055】
光学シートを、従来技術を用いて、たとえば、自動車のフロントガラス(前部窓)またはリアガラス(後部窓)およびいくつかのサイドガラス(側部窓)のようなグレージング積層物の中に組み込む場合、その光学シートを、2枚の接合シート(たとえば、2枚のPVBシートなど)の間、および2枚のグレージング要素(たとえば、2枚のガラスシートおよび/またはプラスチックなど)の間に挟み込む。光学シート、または少なくとも光学フィルムを次いで、2枚のガラスシートの全周辺端と同じ高さにあるようにトリミングする。多くの場合次に、オートクレーブ工程、または類似のプロセスを使用して、グレージング積層物を互いに完全に接合させる。オートクレーブ処理(典型的には温度約140℃、圧力約12バールで実施される)の際に、光学フィルムは収縮をして、そのガラスの曲面に沿うようになる傾向がある。しかしながら、光学フィルムが収縮すると、光学フィルムと接合シートとの間に応力が発生して、それが、光学フィルムの周辺端に沿って層剥離の形成をもたらす可能性がある。
【0056】
本発明のグレージング積層物は、光学フィルムの周辺端での層剥離を、完全に無くせないとしても、最小限度に抑える。
【0057】
ガラスシート材料は、特に車両窓構造では、好ましいグレージング要素である。当然のことながら、光学シートに剛性と強度を付与するためのグレージング要素として使用可能な他の実質的に透明な材料も存在する。それらの代替え材料としては、ポリマー材料たとえば、アクリル、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリカーボネートを挙げることができる。グレージング要素は実質的に平面であってもよいし、幾分かの曲面になっていてもよい。それは、各種の表面トポグラフィーを有する各種の形状、たとえば、ドーム状、円錐状、またはその他の形状および断面で得ることができる。本発明の意図は、何か特定のグレージング要素材料または構造の使用に必ずしも限定されない。
【0058】
曲面を有するグレージング要素は特に、光学フィルムの周辺端に沿っての層剥離を示しやすい。その原因は、曲面を有する表面にフィルムを強制的に合わせるために光学フィルムの上にかかった応力である。対になったグレージング要素のずれやゆがみがあったり、あるいは積層加工時にグレージング要素の取扱いが悪かったりした場合も、層剥離を招く応力が発生する可能性がある。
【0059】
好適な光学シートには、非金属多層光学フィルムが含まれるが、それらはたとえば以下の特許に記載されている。米国特許第6,207,260号明細書;米国特許第6,157,490号明細書;米国特許第6,049,419号明細書;米国特許第5,882,774号明細書;米国特許第5,360,659号明細書;米国特許第5,223,465号明細書;米国特許第5,103,557号明細書および米国特許第5,103,337号明細書(米国再発行特許第34,605号明細書);国際公開第99/36248号パンフレット、国際公開第01/96104号パンフレット、国際公開第02/061469号パンフレット、および国際公開第03/057479号パンフレット(これら特許のすべてのその全体を、参考として引用し本明細書に組み入れる)。本発明の好適な光学シートには、赤外線反射フィルム、偏光フィルム、非偏光フィルム、多層フィルム、着色フィルム、および装飾フィルムなどが挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0060】
接合シートは、光学シートとグレージング要素とを互いに接合させるために、少なくとも使用される。好ましい積層物およびグレージング構造においては、接合シートは、エネルギー分散層または衝撃分散層のような、ポリマーフィルムである。このタイプのフィルムは、グレージング要素を光学シートに接合させるのに役立つと共に、さらには保護的機能(たとえば、耐破砕性、耐引裂け性)を付与するが、そのような機能は、車両用のグレージング(たとえばフロントガラスおよびサイドガラス)においては多くの場合望ましいものである。接合シートとして好適な材料としては、たとえば、ポリビニルブチラール(PVB)、イオノプラスト、またはポリウレタンが挙げられる。市場で入手可能なPVB接合シート材料を挙げれば、たとえば、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・カンパニー(E.I.DuPont deNemours,Co.)(デラウェア州ウィルミントン(Wilmington,DE))からの商品名ブタサイト(BUTACITE);ソルーシア・インコーポレーテッド(Solutia Inc.)(ミズーリ州セントルイス(St.Louis,MO))からの商品名セーフレックス(SAFLEX);積水化学工業(株)(日本国大阪)からの商品名エス・レック(S−LEC);およびH.T.トロプラスト(H.T.Troplast)(独国トロイスドルフ(Troisdorf,Germany))からの商品名トロシフォル(TROSIFOL)などがある。市場で入手可能なイオノプラスト接合シート材料としては、たとえば、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・カンパニー(E.I.DuPont deNemours,Co.),(デラウェア州ウィルミントン(Wilmington,DE))から商品名セントリー・グラス・プラス(SENTRY GLAS PLUS)(イオノプラスト)として販売されているものが挙げられる。好適なアイオノマー材料の例としては、デュポン(DuPont)の合わせガラス製品で、商標名セントリーグラス(SentryGlas)(登録商標)プラス(Plus)として販売されているものの中で使用されているイオノプラスト中間層、さらにはその他のアイオノマークラスの材料、たとえばデュポン(DuPont)から商標名サーリン(Surlyn,登録商標)として販売されているアイオノマー樹脂などが挙げられる。市場で入手可能なポリウレタン接合シート材料としては、たとえば、ハンツマン・ポリウレタンズ(Huntsman Polyurethanes)(モートン(Morton))からのもの、およびポリマー・bvba(Polymer bvba)(ベルギー国ブラースハート(Brasschaat,Belgium))から商品名クリスタフレックス(KRYSTAFLEX)として入手可能なものが挙げられる。
【0061】
接合シートに代わるものとしては、接着剤の層もしくはコーティング、またはテープも挙げられる。接合シートは実質的に連続であってもよいし、あるいは部分的に不連続であってもよい。接合シートは、光学層とグレージング要素との間の接合をさせるのに充分な量で用いるのが好ましい。本発明の意図は、何か特定の接合シート材料または構造の使用に必ずしも限定されない。
【0062】
積層物の要素は、接合シートが軟化させるのに充分な時間、高温に暴露し、それによって光学シートとグレージング要素との間の接合を形成させることができる。接合シートはさらに、充分な長い時間の加熱を与えて、光学シートの周辺端の同延にあるかまたは実質的に同延にある部分、または少なくとも光学フィルムに、接合シート材料が流れこんで封入するようにもできる。場合によっては、最終的な積層プロセスの前でも後でもよいが、たとえばポリウレタン組成物のようなシーラントをグレージング積層物の周辺端のまわりに塗布して、それにより、グレージング積層物の周辺端、接合シートの周辺端の全部または所望の部分、または光学シートの周辺端の同延にあるかもしくは実質的に同延にある部分、または少なくとも光学フィルムを封入するようにもできる。
【0063】
本発明の積層物を切断、成形、またはその他の方法で寸法を合わせて、建築用または車両用の窓構造において使用することができる。本発明の積層物の特に有用な用途としては、車両用のグレージング構造、たとえばリアガラス、サイドガラス、およびフロントガラスが挙げられる。車両用のフロントガラスにおいては、場合によっては、グレージング積層物を、その周辺端の全部、実質的に全部、または少なくともかなりの部分が、「フリット」と呼ばれる黒ずませた領域に入るように、設計することができる。フリットは典型的には、フロントガラスの表面に塗布される。一般的なフリットパターンは、フロントガラスの周辺の一部または全部のまわりにある、ベタな黒色の境界である。一般的なデザインパターンでは、フロントガラスの周辺端でベタな黒いパターンとして始まり、フロントガラスの周辺端からの距離が大きくなるにつれて、そのドットパターンが徐々に小さくなっていく。光学シートの周辺端および/またはその光学フィルムをそのようなフリットデザインの中に(たとえば、ベタな黒色の部分の内側)置くことは、周辺端を「隠し」、周辺端に沿っての層剥離の徴候が現れたとしても、審美的に心地よい製品を与えることができる。光学シートの周辺端をより完全に隠すためには、両方のグレージング要素の上に黒色のフリットデザインを有するようにするのが好ましい。
【0064】
本発明の積層物に使用される光学シートの一方または両方の表面を変性して、接合シートに対するそれらの接着性を向上させることもできる。好適な方法としては、たとえば、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理、エッチング、たとえば国際公開第03/016047号パンフレット(出願番号US02/25837号、出願日2002年8月14日)(この特許のすべてを参考として引用し本明細書に組み入れる)に開示されているような、有機または無機プライマーの使用、または、その他各種の好適な表面変性方法、などが挙げられる。
【0065】
試験方法
層剥離の観察
グレージング積層物のサンプルは、透過光中、約0.3〜0.9メートルの距離で光学シートの周辺端を(裸眼で)見ることにより、層剥離を調べることができる。光源としては蛍光電球を使用することができる。層の間で層剥離(機械的な分離)が少しでも見えたら、受容不能と判断した。
【実施例】
【0066】
本発明によるグレージング積層物の実施例を製造するために、以下の材料を用いた。
【0067】
【表1】

【0068】
典型的には、加熱によりSRFおよびそれに対応するグレージング要素に完全に接合するまでは、PVBは充分には透明にならない。さらに、フロントガラスを製造するために使用するグレージング要素のそれぞれの対は、ガラスで製造し、一般にその大きさを等しくした(すなわち、一方の周辺端が他方の周辺端を実質的に超えて延在しない)。
【0069】
本発明の多数の態様を本明細書に記載した。但し、本発明の精神と範囲を超えることなく、本発明に各種の修正を加えることが可能であることは理解されるであろう。したがって、そのような他の態様は、別紙の特許請求の範囲の中に入る。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明による、グレージング積層物の一例の周辺端部分の一部であって、その光学シートの周辺端の対応する部分が、そのグレージング要素の両方と実質的に同延にある部分の断面図である。
【図2】図1の円で囲った部分2の拡大図である。
【図3】本発明による、車両グレージング積層物の一例の部分断面を示す顕微鏡写真である。
【図4】本発明による、図4と同様の、車両グレージング積層物の一例の部分断面を示すものであって、その光学シートの多層が互いに融合されている部分の顕微鏡写真である。
【図5】本発明による、積層物の周辺端であって、その光学シートが、一時的または恒久的に、2枚のグレージング要素および接合シートの周辺端を超えて延在している部分の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周辺端を有する少なくとも1枚のグレージング要素を含む、積層物において使用するのに適した光学シートであって、前記光学シートが非金属多層光学フィルムを含み、前記光学フィルムが多層および周辺端を有し、前記光学フィルムが、周辺端を有するグレージング要素に接合させたときに、前記光学フィルムの周辺端の少なくとも実質的な部分が、グレージング要素の周辺端の対応する部分と実質的に同延にあるように位置決め可能であり、そして前記多層が前記光学フィルムの周辺端の少なくとも前記実質的な部分に沿って融合されて、前記光学フィルムの周辺端の少なくとも前記実質的な部分に沿っての前記多層の層剥離が少なくとも実質的に抑制されるように、寸法決めされている、光学シート。
【請求項2】
前記光学フィルムの周辺端の実質的に全部が、前記光学シートが接合されるグレージング要素の周辺端と実質的に同延にあるように位置決め可能であり、そして前記多層が前記光学フィルムの周辺端の実質的に全部に沿って融合されて、前記光学フィルムの周辺端の実質的に全部に沿っての前記多層の層剥離が少なくとも実質的に抑制されるように、前記光学フィルムが寸法決めされている、請求項1に記載の光学シート。
【請求項3】
前記多層が、前記光学フィルムの周辺端の少なくとも前記実質的な部分に沿って、少なくとも熱的に融合されている、請求項1に記載の光学シート。
【請求項4】
前記光学シートが主表面と周辺端を有し、そして第一の接合シートが主表面と周辺端とを有し、前記第一の接合シートが、主表面と周辺端とを有するグレージング要素に対して、および前記光学シートに対して接合するのに適したものであり、そして、前記光学シートの主表面と前記第一の接合シートの主表面が合わさるように配置されている、請求項1に記載の光学シートを含む積層物。
【請求項5】
前記光学シートがもう1つの主表面を有し、前記積層物が主表面と周辺端を有する第二の接合シートをさらに含み、前記第二の接合シートの主表面が、前記光学シートの他の主表面に対して、前記光学シートが前記第一の接合シートと前記第二の接合シートの間に配されるように位置決めされ、そして、前記第二の接合シートがもう1枚のグレージング要素の主表面に接合するのに適している、請求項4に記載の積層物。
【請求項6】
前記積層物が2枚のグレージング要素をさらに含むグレージング積層物であり、前記グレージング要素のそれぞれが主表面と周辺端を有し、ここで、前記第一の接合シートおよび前記第二の接合シートのそれぞれが、前記グレージング要素の一方または他方の主表面に面するもう一つの主表面を有し、前記光学シートが前記第一の接合シートと第二の接合シートの間に配され、前記第一および第二の接合シートが前記グレージング要素の間に配され、そして前記光学フィルムの周辺端の少なくとも前記実質的な部分が、前記グレージング要素の少なくとも一つの周辺端の対応する部分と実質的に同延にあるように位置決めされている、請求項5に記載の積層物。
【請求項7】
前記光学フィルムの周辺端の実質的に全部が、前記グレージング要素の少なくとも一つの周辺端と実質的に同延にあるように位置決めされている、請求項6に記載の積層物。
【請求項8】
前記第一および第二の接合シートのそれぞれが、前記光学シートに対して、およびそのそれぞれのグレージング要素に対して、完全に接合されている、請求項6に記載の積層物。
【請求項9】
前記光学フィルムの周辺端の少なくとも前記実質的な部分が、前記グレージング要素の周辺端の対応する部分と実質的に同延にあるように、位置決めされている、請求項6または8に記載の積層物。
【請求項10】
前記光学フィルムの周辺端の少なくとも前記実質的な部分が、前記グレージング要素の少なくとも一つの周辺端の対応する部分と実質的に同延にあるように、位置決めされている、請求項6または8に記載の積層物。
【請求項11】
前記光学フィルムの周辺端の少なくとも残りの部分が、両方の前記接合シートの周辺端を実質的に超えて延在するように位置決めされ、そして前記接合シートのそれぞれの周辺端が、両方の前記グレージング要素の周辺端と実質的に同延にあるかまたはそれより実質的に内側に入っている、請求項6または8に記載の積層物。
【請求項12】
前記光学フィルムの周辺端の少なくともかなりの部分が、両方の前記接合シートの周辺端を実質的に超えて延在するように位置決めされ、そして前記接合シートのそれぞれの周辺端が、両方の前記グレージング要素の周辺端と実質的に同延にあるかまたはそれより実質的に内側に入っている、請求項6または8に記載の積層物。
【請求項13】
前記光学フィルムの周辺端の少なくとも前記実質的な部分が、接合シート材料の内部に封入されていない、請求項8に記載の積層物。
【請求項14】
前記積層物が、車両の窓に使用するのに適したグレージングである、請求項8に記載の積層物。
【請求項15】
前記光学フィルムの周辺端の実質的に全部に沿った前記多層が融合されている、請求項13に記載の積層物。
【請求項16】
前記光学フィルムの周辺端の実質的に全部が、両方の前記グレージング要素の周辺端と実質的に同延にあるように位置決めされている、請求項9に記載の積層物。
【請求項17】
前記光学フィルムの周辺端の実質的に全部が、接合シート材料の内部に封入されていない、請求項15に記載の積層物。
【請求項18】
窓構造において使用するためのグレージング積層物を製造する方法であって、前記グレージング積層物が2枚の接合シートの間に挟み込まれた光学シートを含み、接合シートは2枚のグレージング要素の間に挟み込まれており、前記方法が、
多層を有する非金属多層光学フィルムを含む光学シートを提供すること;
前記光学フィルムの周辺端の少なくともかなりの部分が、前記グレージング要素の少なくとも一つの周辺端の対応する部分と実質的に同延にあるように位置決め可能であるように、前記光学シートを寸法決めすること;および
光学フィルムの周辺端の少なくとも実質的な部分に沿って前記多層を共に融解させ、それにより、光学フィルムの周辺端の実質的な部分に沿っての前記多層の層分離を少なくとも実質的に抑制すること;
を含む方法。
【請求項19】
2枚の、それぞれが前記光学シートおよび前記グレージング要素に対する接合に適した接合シートおよび2枚のグレージング要素をさらに提供すること;
光学シートを接合シートの間に、そして接合シートをグレージング要素の間に挟み込むこと;
前記光学フィルムの周辺端の少なくとも実質的な部分が、グレージング要素の少なくとも一つの周辺端の対応する部分と実質的に同延にあるように位置決めされるように、前記光学シートを位置決めすること;および
前記光学シート、接合シートおよびグレージング要素を互いに完全に接合させること;
をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記光学シートの前記寸法決めを、前記挟み込みの前または後に実施する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記融解工程を、前記光学シートの前記寸法決めの後に実施する、請求項18または19に記載の方法。
【請求項22】
前記光学シートの前記寸法決めと前記融解とを、同時に実施する、請求項18または19に記載の方法。
【請求項23】
前記融解工程を、前記完全接合の後に実施する、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記光学シートの前記寸法決めを、前記完全接合の前に実施する、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記完全接合工程の後で、光学フィルムの周辺端の少なくとも実質的な部分が接合シート材料の中に封入されないように、前記接合シートを寸法決めすることをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記融解工程、前記光学シートの前記寸法決め工程、および前記接合シートの前記寸法決め工程を、同時に実施する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記光学シートの前記寸法決め工程に、前記光学フィルムの周辺端の少なくとも残りの部分が、グレージング要素の少なくとも一つの周辺端を実質的に超えて延在するように、位置決めされるように光学シートを寸法決めすることをさらに含み、そして、前記方法が、接合シートのそれぞれの周辺端が、両方の前記グレージング要素の周辺端と実質的に同延にあるか、またはそれより実質的に内側に入っているように前記接合シートを寸法決めすることをさらに含む、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−524864(P2007−524864A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520147(P2006−520147)
【出願日】平成16年2月23日(2004.2.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/005273
【国際公開番号】WO2005/017580
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】