説明

積層配線基板

【課題】スルーホールを介することなく、積層された2つの基板の間にて、それぞれの基板の導電部を安定に接続することができる積層配線基板を提供する。
【解決手段】本発明の積層配線基板10は、第一基板11と第二基板21が積層されてなり、これら2つの基板はそれぞれ、2つのスリットを境界とする3つの領域を有し、2つのスリットは互いに間隔を置いて設けられ、第一基板11に設けられた2つのスリットのそれぞれに、第二基板21に設けられた2つのスリットのそれぞれが挿入され、これらのスリットを境界として、第一基板11と第二基板21が交差されて重ね合わせられ、第一基板11の第二基板21に対向する面に設けられた少なくとも1つの導電部と、第二基板21の第一基板11に対向する面に設けられた少なくとも1つの導電部とが接続されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電部を有する基板を2つ積層してなる積層配線基板に関し、さらに詳しくは、積層しても、薄型で可撓性に優れた積層配線基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の配線基板を積層してなる積層配線基板では、基板を貫通するスルーホールを設け、このスルーホールを介して配線基板同士を接続していた。
【0003】
また、RFID(Radio Frequency Identification)と称される非接触型データ受送信体(非接触型ICカードなど)は、基材にアンテナをパターン形成して、ICチップを搭載したインレットと称されるものを他の基材に貼着して作製される。
このような非接触型データ受送信体では、例えば、紙材やフィルムなどをベース基材としたインレットにおいて通信のためにアンテナパターンを複数巻き回してループ状あるいはスパイラル状に形成するのが一般的であり、アンテナパターンの両端の接点間に、アンテナパターンを跨いで設けられた絶縁層を介してジャンパ配線を交差させてICチップを搭載することが知られている(例えば、特許文献1参照)。ここで、絶縁層は、アンテナパターンとジャンパ配線との短絡を防止するために設けられる。
【0004】
また、非接触型データ受送信体において、アンテナパターンとジャンパ配線との短絡を防止するために、アンテナパターンを跨いで絶縁層を設けるのではなく、基材に設けられたスルーホールを経由して、基材のアンテナパターンが形成されている面とは反対側の面に、スルーホールに接続したジャンパ配線を設けることが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
さらに、連接する3つの領域を有する基材と、その第一領域に配置されたアンテナパターン、および、第三領域に配置されたジャンパ配線とを備えた通信用回路保持体であり、基材を折り曲げることにより、3つの領域を重ね合わせた際に、アンテナパターンの両端部とジャンパ配線の両端部とが電気的に接続するように配設されてなるものが開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2002−074310号公報
【特許文献2】特開2003−006589号公報
【特許文献3】特開2005−241011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の積層配線基板は、スルーホールを介して、複数の配線基板が積層されているため、配線基板同士の導通の確保が難しいという問題があった。また、積層配線基板を製造するには、スルーホールを形成する必要があるため、製造工程が多く、製造コストが高いという問題があった。
【0007】
また、特許文献1に開示されている非接触型データ受送信体は、アンテナパターンを跨いで絶縁層が設けられ、さらに、この絶縁層上にジャンパ配線が設けられているため、製造工程が多く、製造コストが高いという問題があった。
また、特許文献2に開示されている非接触型データ受送信体は、スルーホールを介して、アンテナパターンとジャンパ配線が接続されているため、アンテナパターンとジャンパ配線の導通の確保が難しいという問題があった。また、この非接触型データ受送信体を製造するにも、スルーホールを形成する必要があるため、製造工程が多く、製造コストが高いという問題があった。
【0008】
さらに、特許文献3に開示されている通信用回路保持体は、基材を折り曲げた後、第一領域のアンテナパターンと、第三領域のジャンパ配線との導通を確保するために、重ね合わせた基材を圧着する必要があり、圧着時の力の加減によっては、前記の導通を十分に確保できないことがあった。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、スルーホールを介することなく、積層された2つの基板の間にて、それぞれの基板の導電部を安定に接続することができる積層配線基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の積層配線基板は、2つの基板が、少なくともそれぞれの一部で積層されてなる積層配線基板であって、前記2つの基板はそれぞれ、一端から内側に向かって延在する2つ以上のスリットを境界とする3つ以上の領域を有し、前記2つ以上のスリットは互いに間隔を置いて設けられ、前記2つの基板のうちの一方に設けられた前記2つ以上のスリットのそれぞれに、前記2つの基板のうちの他方に設けられた前記2つ以上のスリットのそれぞれが挿入され、前記2つ以上のスリットを境界として、前記2つの基板が交差されて重ね合わせられ、前記2つの基板のうちの一方において、前記2つの基板のうちの他方に対向する面に設けられた少なくとも1つの導電部と、前記2つの基板のうちの他方において、前記2つの基板のうちの一方に対向する面に設けられた少なくとも1つの導電部とが接続されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の積層配線基板によれば、2つの基板が、少なくともそれぞれの一部で積層されてなる積層配線基板であって、前記2つの基板はそれぞれ、一端から内側に向かって延在する2つ以上のスリットを境界とする3つ以上の領域を有し、前記2つ以上のスリットは互いに間隔を置いて設けられ、前記2つの基板のうちの一方に設けられた前記2つ以上のスリットのそれぞれに、前記2つの基板のうちの他方に設けられた前記2つ以上のスリットのそれぞれが挿入され、前記2つ以上のスリットを境界として、前記2つの基板が交差されて重ね合わせられ、前記2つの基板のうちの一方において、前記2つの基板のうちの他方に対向する面に設けられた少なくとも1つの導電部と、前記2つの基板のうちの他方において、前記2つの基板のうちの一方に対向する面に設けられた少なくとも1つの導電部とが接続されたので、従来の積層配線基板のようにスルーホールを介することなく、積層された第一基板の一端部と第二基板の一端部の間にて、第一基板の一方の面に設けられた導電部の接続部と、第二基板の他方の面に設けられた導電部の接続部が同一面上で当接するとともに、第一基板の他方の面に設けられた導電部の接続部と、第二基板の一方の面に設けられた導電部の接続部が同一面上で当接するから、第一基板の導電部と第二基板の導電部を電気的に接続することができる。また、スリットを境界として、第一基板の一端部と第二基板の一端部が交差し、第一領域において第一基板の一方の面と第二基板の他方の面が重なり合うとともに、第二領域において第一基板の他方の面と第二基板の一方の面が重なり合っているので、第一基板の導電部の接続部と第二基板の導電部の接続部の間にて、接続が安定して、位置ずれを防止できる。
また、スルーホールを形成する必要がないので、製造工程を簡略化し、製造コストを低減することができる。
さらに、本発明の積層配線基板は、スルーホールが設けられていないので、2つの基板を積層しても、薄型で可撓性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の積層配線基板の最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0013】
(1)第一の実施形態
図1は、本発明の積層配線基板の第一の実施形態を示す概略分解斜視図である。図2は、本発明の積層配線基板の第一の実施形態を示す概略図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
この実施形態の積層配線基板10は、第一導電部12、第二導電部13および第三導電部14を有する第一基板11と、第一導電部22、第二導電部23および第三導電部24を有する第二基板21とから概略構成されている。
【0014】
第一基板11には、長手方向に沿って、第一基板11の一端11cを基端とし、内側(第一基板11の中央部近傍)まで延在する2つのスリット15,16がほぼ等間隔に設けられている。
そして、この2つのスリット15,16は、第一基板11に設けられた線状の切り込みであり、第一基板11は、この2つのスリット15,16を境界とし、順に設けられた第一領域α、第二領域βおよび第三領域γを有し、第一領域αと第二領域βはスリット15にて接し、第二領域βと第三領域γはスリット16にて接している。
また、これら第一領域α、第二領域βおよび第三領域γは、2つのスリット15,16を境界として、第一基板11の長手方向に撓むようになっている。
【0015】
また、第一基板11の一方の面11aには、長手方向に沿って、第一基板11の他端11dを基端とし、第一領域αまで延在する第一導電部12が設けられている。また、この第一導電部12の接続部12aが、第一領域αの中央部に配設されている。
また、第一基板11の他方の面11bには、長手方向に沿って、第一基板11の他端11dを基端とし、第二領域βまで延在する第二導電部13が設けられている。また、この第二導電部13の接続部13aが、第二領域βの中央部に配設されている。
さらに、第一基板11の一方の面11aには、長手方向に沿って、第一基板11の他端11dを基端とし、第三領域γまで延在する第三導電部14が設けられている。また、この第三導電部14の接続部14aが、第三領域γの中央部に配設されている。
すなわち、第一基板11では、第一導電部12と第二導電部13と第三導電部14が互いに重なり合わない位置に設けられている。
【0016】
一方、第二基板21には、長手方向に沿って、第二基板21の一端21cを基端とし、内側(第一基板21の中央部近傍)まで延在する2つのスリット25,26がほぼ等間隔に設けられている。
そして、この2つのスリット25,26は、第二基板21に設けられた線状の切り込みであり、第二基板21は、この2つのスリット25,26を境界とし、順に設けられた第一領域δ、第二領域εおよび第三領域ζを有し、第一領域δと第二領域εはスリット25にて接し、第二領域εと第三領域ζはスリット26にて接している。
また、これら第一領域δ、第二領域εおよび第三領域ζは、2つのスリット25,26を境界として、第二基板21の長手方向に撓むようになっている。
【0017】
また、第二基板21の他方の面21bには、長手方向に沿って、第二基板21の他端21dを基端とし、第一領域δまで延在する第一導電部22が設けられている。また、この第一導電部22の接続部22aが、第一領域δの中央部に配設されている。
また、第二基板21の一方の面21aには、長手方向に沿って、第二基板21の他端21dを基端とし、第二領域εまで延在する第二導電部23が設けられている。また、この第二導電部23の接続部23aが、第二領域εの中央部に配設されている。
さらに、第二基板21の他方の面21bには、長手方向に沿って、第二基板21の他端21dを基端とし、第三領域ζまで延在する第三導電部24が設けられている。また、この第三導電部24の接続部24aが、第三領域ζの中央部に配設されている。
すなわち、第二基板21では、第一導電部22と第二導電部23と第三導電部24が互いに重なり合わない位置に設けられている。
【0018】
このような第一基板11と第二基板21を構成部材とし、第一基板11のスリット15,16のそれぞれに、第二基板21のスリット25,26のそれぞれが挿入され、スリット35,36のそれぞれの末端とスリット35,36のそれぞれの末端が当接され、第一基板11における第一領域αの一方の面11aと、第二基板21における第三領域ζの他方の面21bが重ね合わせられて、第一基板11の第一導電部12の接続部12aと、第二基板21の第三導電部24の接続部24aが接続される。
また、第一基板11のスリット15,16のそれぞれに、第二基板21のスリット25,26のそれぞれが挿入され、スリット35,36のそれぞれの末端とスリット35,36のそれぞれの末端が当接されることにより、第一基板11における第二領域βの他方の面11bと、第二基板21における第二領域εの一方の面21aが重ね合わせられて、第一基板11の第二導電部13の接続部13aと、第二基板21の第二導電部23の接続部23aが接続される。
さらに、第一基板11のスリット15,16のそれぞれに、第二基板21のスリット25,26のそれぞれが挿入され、スリット35,36のそれぞれの末端とスリット35,36のそれぞれの末端が当接されることにより、第一基板11における第三領域γの一方の面11aと、第二基板21における第一領域δの他方の面21bが重ね合わせられて、第一基板11の第三導電部14の接続部14aと、第二基板21の第一導電部22の接続部22aが接続される。
これにより、第一基板11と第二基板21が、それぞれの一端部で積層されてなる積層配線基板10が構成される。
【0019】
また、図2に示すように、第一基板11と第二基板21が重なり合っている第一領域α(ζ)内において、第一基板11の第一導電部12の接続部12aと、第二基板21の第三導電部24の接続部24aが接続されている。また、第一基板11と第二基板21が重なり合っている第二領域β(ε)内において、第一基板11の第二導電部13の接続部13aと、第二基板21の第二導電部23の接続部23aが接続されている。さらに、第一基板11と第二基板21が重なり合っている第三領域γ(δ)内において、第一基板11の第三導電部14の接続部14aと、第二基板21の第一導電部22の接続部22aが接続されている。
【0020】
また、第一基板11の第一導電部12の接続部12aと、第二基板21の第三導電部24の接続部24aは、接着剤を介して接続されている。また、第一基板11の第二導電部13の接続部13aと、第二基板21の第二導電部23の接続部23aは、接着剤を介して接続されている。さらに、第一基板11の第三導電部14の接続部14aと、第二基板21の第一導電部22の接続部22aは、接着剤を介して接続されている。
その接着剤としては、一般に配線基板などの接着に用いられる接着剤であれば特に限定されないが、異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film、ACF)、非導電性フィルム(Non−conductive Film、NCF)、異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste、ACP)、無導電粒子ペースト(Non Conductive ResinPaste、NCP)などが用いられる。
【0021】
また、第一基板11と第二基板21を積層、固定する手段(以下、「固定手段」と略す。)としては、特に限定されないが、第一基板11と第二基板21を一緒に挟み込むような機械的手段、第一基板11と第二基板21を接着する接着剤、第一基板11および/または第二基板21の表面に設けられた樹脂層などが挙げられる。
【0022】
固定手段として接着剤を用いる場合、第一基板11における第一領域αの一方の面11a、および/または、第二基板21における第三領域ζの他方の面21bに、接着剤が設けられ、第一基板11における第二領域βの他方の面11b、および/または、第二基板21における第二領域εの一方の面21aに、接着剤が設けられるともに、第一基板11における第三領域γの一方の面11a、および/または、第二基板21における第一領域δの他方の面21bに、接着剤が設けられる。
【0023】
このような接着剤としては、特に限定されないが、貼着後は剥離困難または剥離不可な非剥離性感圧接着剤が好適に用いられる。
このような非剥離性感圧接着剤としては、従来の感圧接着剤として慣用されているものが用いられ、これらの中でも220gf/25mm以上の剥離力を有する接着剤が挙げられる。このような非剥離性感圧接着剤としては、例えば、天然ゴムに、スチレンとメタクリル酸メチルとをグラフト共重合させて得られた天然ゴムラテックスが挙げられる。この天然ゴムラテックスは、耐ブロッキング性、耐熱性、耐磨耗性などの点で、積層配線基板10に好適な接着剤である。
【0024】
固定手段として樹脂層を用いる場合、第一基板11における第一領域αの一方の面11a、および/または、第二基板21における第三領域ζの他方の面21bに、樹脂層が設けられ、第一基板11における第二領域βの他方の面11b、および/または、第二基板21における第二領域εの一方の面21aに、樹脂層が設けられるともに、第一基板11における第三領域γの一方の面11a、および/または、第二基板21における第一領域δの他方の面21bに、樹脂層が設けられる。そして、加熱により樹脂層を溶融して、第一基板11と第二基板21を融着する。
このような樹脂層を形成する樹脂としては、熱可塑性樹脂が用いられるが、これらの中でも、比較的融点の低い熱可塑性樹脂が好ましい。
【0025】
第一基材11および第二基材21としては、少なくとも表層部には、ガラス繊維、アルミナ繊維などの無機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などまたはこれらを組み合わせたもの、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などまたはこれらを組み合わせたものや、あるいはこれらに樹脂ワニスを含浸させて成形した被覆部材や、ポリアミド系樹脂基材、ポリエステル系樹脂基材、ポリオレフィン系樹脂基材、ポリイミド系樹脂基材、エチレン−ビニルアルコール共重合体基材、ポリビニルアルコール系樹脂基材、ポリ塩化ビニル系樹脂基材、ポリ塩化ビニリデン系樹脂基材、ポリスチレン系樹脂基材、ポリカーボネート系樹脂基材、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合系樹脂基材、ポリエーテルスルホン系樹脂基材、(ガラス)エポキシ樹脂基材などのプラスチック基材や、あるいはこれらにマット処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、フレームプラズマ処理、オゾン処理、または各種易接着処理などの表面処理を施したものなどの公知のものから選択して用いられる。
【0026】
第一導電部12および第三導電部14は、第一基材11の一方の面11aに、ポリマー型導電インクを用いて所定のパターンにスクリーン印刷により形成してなるもの、溶剤揮発型導電インクを用いてインクジェット印刷により所定のパターンを形成した後、焼成してなるもの、もしくは、導電性箔を所定のパターンにエッチングしてなるもの、金属メッキにより所定のパターンを形成してなるものである。
また、第二導電部13は、第一基材11の他方の面11bに、第一導電部12と同様に形成されたものである。
また、第一導電部22および第三導電部24は、第二基材21の他方の面21bに、第一導電部12と同様に形成されたものである。
さらに、第二導電部23は、第二基材21の一方の面21aに、第一導電部12と同様に形成されたものである。
【0027】
ポリマー型導電インクとしては、例えば、銀粉末、金粉末、白金粉末、アルミニウム粉末、パラジウム粉末、ロジウム粉末、カーボン粉末(カーボンブラック、カーボンナノチューブなど)などの導電微粒子が樹脂組成物に配合されたものが用いられる。
【0028】
樹脂組成物として熱硬化型樹脂を用いれば、ポリマー型導電インクは、200℃以下、例えば、100〜150℃程度で第一導電部12、第二導電部13、第三導電部14、第一導電部22、第二導電部23および第三導電部24をなす塗膜を形成することができる熱硬化型となる。第一導電部12、第二導電部13、第三導電部14、第一導電部22、第二導電部23および第三導電部24をなす塗膜の電気の流れる経路は、塗膜をなす導電微粒子が互いに接触することによる形成され、この塗膜の抵抗値は10-5Ω・cmオーダーである。
また、本発明におけるポリマー型導電インクとしては、熱硬化型の他にも、光硬化型、浸透乾燥型、溶剤揮発型といった公知のものが用いられる。
【0029】
光硬化型のポリマー型導電インクは、光硬化性樹脂を樹脂組成物に含むものであり、硬化時間が短いので、製造効率を向上させることができる。光硬化型のポリマー型導電インクとしては、例えば、熱可塑性樹脂のみ、あるいは、熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特にポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、導電微粒子が60質量%以上配合され、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、溶剤揮発型かあるいは架橋/熱可塑併用型(ただし熱可塑型が50質量%以上である)のものや、熱可塑性樹脂のみ、あるいは熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特にポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、架橋型かあるいは架橋/熱可塑併用型のものなどが好適に用いられる。
【0030】
溶剤揮発型導電インクとしては、例えば、揮発溶剤に平均粒子径1〜10nmの金属ナノ粒子を50〜80質量%配合されたものや熱分解型金属塩が10〜50質量%配合されたものなどが用いられる。
【0031】
また、第一導電部12、第二導電部13、第三導電部14、第一導電部22、第二導電部23および第三導電部24をなす導電性箔としては、銅箔、銀箔、金箔、白金箔、アルミニウム箔などが挙げられる。
さらに、第一導電部12、第二導電部13、第三導電部14、第一導電部22、第二導電部23および第三導電部24をなす金属メッキとしては、銅メッキ、銀メッキ、金メッキ、白金メッキなどが挙げられる。
【0032】
この積層配線基板10によれば、第一基板11のスリット15,16のそれぞれに、第二基板21のスリット25,26のそれぞれが挿入されて、スリット15,16のそれぞれの末端とスリット25,26のそれぞれの末端が当接され、スリット15,16,25,26を境界として、第一基板11の一端部(一端11c側の端部)と第二基板21の一端部が交差して重ね合わせられており、第一基板11における第一領域αの一方の面11aに設けられた第一導電部12の接続部12aと、第二基板21における第三領域ζの他方の面21bに設けられた第三導電部24の接続部24aとが同一面上で当接され、第一基板11における第二領域βの他方の面11bに設けられた第二導電部13の接続部13aと、第二基板21における第二領域εの一方の面21aに設けられた第二導電部23の接続部23aが同一面上で当接され、さらに、第一基板11における第三領域γの一方の面11aに設けられた第三導電部14の接続部14aと、第二基板21における第一領域δの他方の面21bに設けられた第一導電部22の接続部22aが同一面上で当接されたので、従来の積層配線基板のようにスルーホールを介することなく、積層された第一基板11の一端部と第二基板21の一端部の間にて、第一基板11の第一導電部12と第二基板21の第三導電部24を電気的に接続し、第一基板11の第二導電部13と第二基板21の第二導電部23を電気的に接続し、さらに、第一基板11の第三導電部14と第二基板21の第一導電部22を電気的に接続することができる。また、スリット15,16,25,26を境界として、第一基板11の一端部と第二基板21の一端部が交差し、第一領域α(ζ)において第一基板11の一方の面11aと第二基板21の他方の面21bが重なり合い、第二領域β(ε)において第一基板11の他方の面11bと第二基板21の一方の面21aが重なり合い、さらに、第三領域γ(δ)において第一基板11の一方の面11aと第二基板21の他方の面21bが重なり合っているので、単に、例えば、第一基板11の一方の面11aと第二基板21の一方の面21aが重ね合わせられた場合よりも、第一基板11の第一導電部12の接続部12aと第二基板21の第三導電部24の接続部24aの間、第一基板11の第二導電部13の接続部13aと第二基板21の第二導電部23の接続部23aの間、および、第一基板11の第三導電部14の接続部14aと第二基板21の第一導電部22の接続部22aの間にて、接続が安定して、位置ずれを防止できる。
【0033】
また、スルーホールを形成する必要がないので、製造工程を簡略化し、製造コストを低減することができる。さらに、積層配線基板10は、スルーホールが設けられていないので、2つの基板を積層しても、薄型で可撓性に優れている。
また、第一基板11と第二基板21が重なり合っている第一領域α(ζ)内において、第一基板11の第一導電部12の接続部12aと、第二基板21の第三導電部24の接続部24aが接続され、第一基板11と第二基板21が重なり合っている第二領域β(ε)内において、第一基板11の第二導電部13の接続部13aと、第二基板21の第二導電部23の接続部23aが接続され、さらに、第一基板11と第二基板21が重なり合っている第三領域γ(δ)内において、第一基板11の第三導電部14の接続部14aと、第二基板21の第一導電部22の接続部22aが接続されているので、積層配線基板10を撓ませても、これらの接続部において剥離するのを防止することができる。
【0034】
なお、この実施形態では、第一基板11は、一方の面11aに第一導電部12および第三導電部14が設けられ、他方の面11bに第二導電部13が設けられた積層配線基板10を例示したが、本発明の積層配線基板はこれに限定されない。本発明の積層配線基板にあっては、第一基板における第一領域の一方の面に2つ以上の導電部が設けられるか、または、第一基板における第二領域の他方の面に2つ以上の導電部が設けられるか、または、第一基板における第三領域の一方の面に2つ以上の導電部が設けられていてもよい。また、これに対応して、第二基板の一方の面に2つ以上の導電部が設けられるか、または、第二基板の他方の面に4つ以上の導電部が設けられていてもよい。
【0035】
また、この実施形態では、第一基板11の長手方向に沿って、第一導電部12、第二導電部13および第三導電部14が設けられた積層配線基板10を例示したが、本発明の積層配線基板はこれに限定されない。本発明の積層配線基板にあっては、第一基板の一方の面および他方の面に設けられた導電部は、第一基板の長手方向に沿って延在していなくてもよい。
また、この実施形態では、第二基板21の長手方向に沿って、第一導電部22、第二導電部23および第三導電部24が設けられた積層配線基板10を例示したが、本発明の積層配線基板はこれに限定されない。本発明の積層配線基板にあっては、第二基板の一方の面および他方の面に設けられた導電部は、第二基板の長手方向に沿って延在していなくてもよい。
【0036】
また、この実施形態では、第一基板11の一端11cを基端とし、第一基板11の中央部近傍まで延在するスリット15,16がほぼ等間隔に設けられた積層配線基板10を例示したが、本発明の積層配線基板はこれに限定されない。また、この実施形態では、第二基板21の一端21cを基端とし、第二基板21の中央部近傍まで延在するスリット25,26がほぼ等間隔に設けられた積層配線基板10を例示したが、本発明の積層配線基板はこれに限定されない。本発明の積層配線基板にあっては、スリットの長さや間隔は、それぞれの基板に設けられた導電部の接続部の位置などに応じて、適宜調整される。
【0037】
さらに、この実施形態では、第一導電部12、第二導電部13および第三導電部14のみを有する第一基板11と、第一導電部22、第二導電部23および第三導電部24のみを有する第二基板21と、を備えた積層配線基板10を例示したが、本発明の積層配線基板はこれに限定されない。本発明の積層配線基板にあっては、第一基板および/または第二基板は、ICチップなどの電子部品、各種表示素子、各種受光素子などを備えたものであってもよい。
【0038】
(2)第二の実施形態
図3は、本発明の積層配線基板の第二の実施形態を示す概略分解斜視図である。
この実施形態の積層配線基板30は、第一導電部32、第二導電部33および第三導電部34を有する第一基板31と、第一導電部42、第二導電部43および第三導電部44を有する第二基板41とから概略構成されている。
第一基板31は、長手方向に沿って、第一基板31の一端31cを基端とし、内側(第一基板31の中央部近傍)まで延在する2つのスリット35,36がほぼ等間隔に設けられている。
そして、このスリット35,36は、平面視長方形状をなす溝状の切れ込みであり、第一基板31は、このスリット35,36を境界とし、順に設けられた第一領域α、第二領域βおよび第三領域γを有し、第一領域αと第二領域βはスリット35にて離隔し、第二領域βと第三領域γはスリット36にて離隔している。
また、これら第一領域α、第二領域βおよび第三領域γは、2つのスリット35,36を境界として、第一基板31の長手方向に撓むようになっている。
【0039】
また、第一基板31の一方の面31aには、長手方向に沿って、第一基板31の他端31dを基端とし、第一領域αまで延在する第一導電部32が設けられている。また、この第一導電部32の接続部32aが、第一領域αの中央部に配設されている。
また、第一基板31の他方の面には、長手方向に沿って、第一基板31の他端31dを基端とし、第二領域βまで延在する第二導電部33が設けられている。また、この第二導電部33の接続部33aが、第二領域βの中央部に配設されている。
さらに、第一基板31の一方の面31aには、長手方向に沿って、第一基板31の他端31dを基端とし、第三領域γまで延在する第三導電部34が設けられている。また、この第三導電部34の接続部34aが、第三領域γの中央部に配設されている。
【0040】
第二基板41は、長手方向に沿って、第二基板41の一端41cを基端とし、内側(第二基板41の中央部近傍)まで延在する2つのスリット45,46がほぼ等間隔に設けられている。
そして、このスリット45,46は、平面視長方形状をなす溝状の切れ込みであり、第二基板41は、このスリット45,46を境界とし、順に設けられた第一領域δ、第二領域εおよび第三領域ζを有し、第一領域δと第二領域εはスリット45にて離隔し、第二領域εと第三領域ζはスリット46にて離隔している。
また、これら第一領域δ、第二領域εおよび第三領域ζは、2つのスリット45,46を境界として、第二基板41の長手方向に撓むようになっている。
【0041】
また、第二基板41の他方の面には、長手方向に沿って、第二基板41の他端41dを基端とし、第一領域δまで延在する第一導電部42が設けられている。また、この第一導電部42の接続部42aが、第一領域δの中央部に配設されている。
また、第二基板41の一方の面41aには、長手方向に沿って、第二基板41の他端41dを基端とし、第二領域εまで延在する第二導電部43が設けられている。また、この第二導電部43の接続部43aが、第二領域εの中央部に配設されている。
さらに、第二基板41の他方の面には、長手方向に沿って、第二基板41の他端41dを基端とし、第三領域ζまで延在する第三導電部44が設けられている。また、この第三導電部44の接続部44aが、第三領域ζの中央部に配設されている。
【0042】
このような第一基板31と第二基板41を構成部材とし、第一基板31のスリット35,36のそれぞれに、第二基板41のスリット45,46のそれぞれが挿入され、スリット35,36の末端とスリット45,46の末端が当接されることにより、第一基板31における第一領域αの一方の面31aと、第二基板41における第三領域ζの他方の面が重ね合わせられて、第一基板31の第一導電部32の接続部32aと、第二基板41の第三導電部44の接続部44aが接続される。
また、第一基板31のスリット35,36のそれぞれに、第二基板41のスリット45,46のそれぞれが挿入され、スリット35,36の末端とスリット45,46の末端が当接されることにより、第一基板31における第二領域βの他方の面と、第二基板41における第二領域εの一方の面41aが重ね合わせられて、第一基板31の第二導電部33の接続部33aと、第二基板41の第二導電部43の接続部43aが接続される。
さらに、第一基板31のスリット35,36のそれぞれに、第二基板41のスリット45,46のそれぞれが挿入され、スリット35,36の末端とスリット45,46の末端が当接されることにより、第一基板31における第三領域γの一方の面31aと、第二基板41における第三領域δの他方の面が重ね合わせられて、第一基板31の第三導電部34の接続部34aと、第二基板41の第一導電部42の接続部42aが接続される。
これにより、第一基板31と第二基板41が、それぞれの一部で積層されてなる積層配線基板30が構成される。
【0043】
第一基板31および第二基板41としては、上述の第一の実施形態と同様のものが用いられる。
第一導電部32、第二導電部33、第三導電部34、第一導電部42、第二導電部43および第三導電部44としては、上述の第一の実施形態と同様のものが用いられる。
【0044】
この積層配線基板30によれば、第一基板31のスリット35,36は平面視長方形状をなす溝状であり、第二基板41のスリット45,46は平面視長方形状をなす溝状であるから、第一基板31のスリット35,36のそれぞれに、第二基板41のスリット45,46のそれぞれが挿入されて、スリット35,36のそれぞれの末端とスリット35,36のそれぞれの末端が当接され、積層配線基板10よりもさらに、スリット35,36,45,46において、第一基板31および第二基板41の屈曲度合いが少なく、第一基板31の第一導電部32の接続部32aと第二基板41の第三導電部44の接続部44aの間、第一基板31の第二導電部33の接続部33aと第二基板41の第二導電部43の接続部43aの間、および、第一基板31の第三導電部34の接続部34aと第二基板41の第一導電部42の接続部42aの間にて、両者の接触を離隔する方向に力が作用し難くなり、接続が安定して、位置ずれを防止できる。
また、この積層配線基板30は、上述の積層配線基板10と同様の効果を奏する。
【0045】
(3)第三の実施形態
図4は、本発明の積層配線基板の第三の実施形態を示す概略分解斜視図である。
この実施形態の積層配線基板50は、第一導電部52、第二導電部53および第三導電部54を有する第一基板51と、第一導電部62、第二導電部63および第三導電部64を有する第二基板61とから概略構成されている。
第一基板51は、長手方向に沿って、第一基板51の一端51cを基端とし、内側(第一基板51の中央部近傍)まで延在する2つのスリット55,56がほぼ等間隔に設けられている。
そして、このスリット55,56は、平面視三角形状をなす溝状の切れ込みであり、第一基板51は、このスリット55,56を境界とし、順に設けられた第一領域α、第二領域βおよび第三領域γを有し、第一領域αと第二領域βはスリット55にて離隔し、第二領域βと第三領域γはスリット56にて離隔している。なお、スリット55,56は、第一基板51の一端51cに三角形の底面を配置し、第一基板51の内側に三角形の頂点を配置する形状をなしている。
また、これら第一領域α、第二領域βおよび第三領域γは、2つのスリット55,56を境界として、第一基板51の長手方向に撓むようになっている。
【0046】
また、第一基板51の一方の面51aには、長手方向に沿って、第一基板51の他端51dを基端とし、第一領域αまで延在する第一導電部52が設けられている。また、この第一導電部52の接続部52aが、第一領域αの中央部に配設されている。
また、第一基板51の他方の面には、長手方向に沿って、第一基板51の他端51dを基端とし、第二領域βまで延在する第二導電部53が設けられている。また、この第二導電部53の接続部53aが、第二領域βの中央部に配設されている。
さらに、第一基板51の一方の面51aには、長手方向に沿って、第一基板51の他端51dを基端とし、第三領域γまで延在する第三導電部54が設けられている。また、この第三導電部54の接続部54aが、第三領域γの中央部に配設されている。
【0047】
第二基板61は、長手方向に沿って、第二基板61の一端61cを基端とし、内側(第二基板61の中央部近傍)まで延在する2つのスリット65,66がほぼ等間隔に設けられている。
そして、このスリット65,66は、平面視長方形状をなす溝状の切れ込みであり、第二基板61は、このスリット65,66を境界とし、順に設けられた第一領域δ、第二領域εおよび第三領域ζを有し、第一領域δと第二領域εはスリット65にて離隔し、第二領域εと第三領域ζはスリット66にて離隔している。
また、これら第一領域δ、第二領域εおよび第三領域ζは、2つのスリット65,66を境界として、第二基板61の長手方向に撓むようになっている。
【0048】
また、第二基板61の他方の面には、長手方向に沿って、第二基板61の他端61dを基端とし、第一領域δまで延在する第一導電部62が設けられている。また、この第一導電部62の接続部62aが、第一領域δの中央部に配設されている。
また、第二基板61の一方の面61aには、長手方向に沿って、第二基板61の他端61dを基端とし、第二領域εまで延在する第二導電部63が設けられている。また、この第二導電部63の接続部63aが、第二領域εの中央部に配設されている。
さらに、第二基板61の他方の面には、長手方向に沿って、第二基板61の他端61dを基端とし、第三領域ζまで延在する第三導電部64が設けられている。また、この第三導電部64の接続部64aが、第三領域ζの中央部に配設されている。
【0049】
このような第一基板51と第二基板61を構成部材とし、第一基板51のスリット55,56のそれぞれに、第二基板61のスリット65,66のそれぞれが挿入され、スリット55,56の末端とスリット65,66の末端が当接されることにより、第一基板51における第一領域αの一方の面51aと、第二基板61における第三領域ζの他方の面が重ね合わせられて、第一基板51の第一導電部52の接続部52aと、第二基板61の第三導電部64の接続部64aが接続される。
また、第一基板51のスリット55,56のそれぞれに、第二基板61のスリット65,66のそれぞれが挿入され、スリット55,56の末端とスリット65,66の末端が当接されることにより、第一基板51における第二領域βの他方の面と、第二基板61における第二領域εの一方の面61aが重ね合わせられて、第一基板51の第二導電部53の接続部53aと、第二基板61の第二導電部63の接続部63aが接続される。
さらに、第一基板51のスリット55,56のそれぞれに、第二基板61のスリット65,66のそれぞれが挿入され、スリット55,56の末端とスリット65,66の末端が当接されることにより、第一基板51における第三領域γの一方の面51aと、第二基板61における第三領域δの他方の面が重ね合わせられて、第一基板51の第三導電部54の接続部54aと、第二基板61の第一導電部62の接続部62aが接続される。
これにより、第一基板51と第二基板61が、それぞれの一部で積層されてなる積層配線基板50が構成される。
【0050】
第一基板51および第二基板61としては、上述の第一の実施形態と同様のものが用いられる。
第一導電部52、第二導電部53、第三導電部54、第一導電部62、第二導電部63および第三導電部64としては、上述の第一の実施形態と同様のものが用いられる。
【0051】
この積層配線基板50によれば、第一基板51のスリット55,56は平面視三角形状をなす溝状であり、第二基板61のスリット65,66は平面視三角形状をなす溝状であるから、第一基板51のスリット55,56のそれぞれに、第二基板61のスリット65,66のそれぞれが挿入され、スリット55,56のそれぞれの末端とスリット65,66のそれぞれの末端が当接され、積層配線基板10よりもさらに、スリット55,56,65,66において、第一基板51および第二基板61の屈曲度合いが少なく、第一基板51の第一導電部52の接続部52aと第二基板61の第三導電部64の接続部64aの間、第一基板51の第二導電部53の接続部53aと第二基板61の第二導電部63の接続部63aの間、および、第一基板51の第三導電部54の接続部54aと第二基板61の第一導電部62の接続部62aの間にて、両者の接触を離隔する方向に力が作用し難くなり、接続が安定して、位置ずれを防止できる。
また、この積層配線基板50は、上述の積層配線基板10と同様の効果を奏する。
【0052】
(4)第四の実施形態
図5は、本発明の積層配線基板の第四の実施形態を示す概略分解斜視図である。図6は、本発明の積層配線基板の第四の実施形態を示す概略図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
この実施形態の積層配線基板70は、第一導電部72、第二導電部73、第三導電部74および第四導電部75を有する第一基板71と、第一導電部82、第二導電部83、第三導電部84および第四導電部85を有する第二基板81とから概略構成されている。
【0053】
第一基板71には、長手方向に沿って、第一基板71の一端71cを基端とし、内側(第一基板71の中央部近傍)まで延在する3つのスリット76,77,78がほぼ等間隔に設けられている。
そして、この3つのスリット76,77,78は、第一基板71に設けられた線状の切り込みであり、第一基板71は、この3つのスリット76,77,78を境界とし、順に設けられた第一領域α、第二領域β、第三領域γおよび第四領域δを有し、第一領域αと第二領域βはスリット76にて接し、第二領域βと第三領域γはスリット77にて接し、第三領域γと第四領域δはスリット78にて接している。
また、これら第一領域α、第二領域β、第三領域γおよび第四領域δは、3つのスリット76,77,78を境界として、第一基板71の長手方向に撓むようになっている。
【0054】
また、第一基板71の他方の面71bには、長手方向に沿って、第一基板71の他端71dを基端とし、第一領域αまで延在する第一導電部72が設けられている。また、この第一導電部72の接続部72aが、第一領域αにおける第一基板71の他端71d側に配設されている。
また、第一基板71の一方の面71aには、長手方向に沿って、第一基板71の他端71dを基端とし、第二領域βまで延在する第二導電部73が設けられている。また、この第二導電部73の接続部53aが、第二領域βにおける第一基板71の他端71d側に配設されている。
また、第一基板71の他方の面71bには、長手方向に沿って、第一基板71の他端71dを基端とし、第三領域γまで延在する第三導電部74が設けられている。また、この第三導電部74の接続部74aが、第三領域γにおける第一基板71の他端71d側に配設されている。
さらに、第一基板71の一方の面71aには、長手方向に沿って、第一基板71の他端71dを基端とし、第四領域δまで延在する第四導電部75が設けられている。また、この第四導電部75の接続部75aが、第四領域δにおける第一基板71の他端71d側に配設されている。
すなわち、第一基板71では、第一導電部72と第二導電部73と第三導電部74と第四導電部75が互いに重なり合わない位置に設けられている。
【0055】
第二基板81には、長手方向に沿って、第二基板81の一端81cを基端とし、内側(第二基板81の中央部近傍)まで延在する3つのスリット86,87,88がほぼ等間隔に設けられている。
そして、この3つのスリット86,87,88は、第二基板81に設けられた線状の切り込みであり、第二基板81は、この3つのスリット86,87,88を境界とし、順に設けられた第一領域ε、第二領域ζ、第三領域ηおよび第四領域θを有し、第一領域εと第二領域ζはスリット86にて接し、第二領域ζと第三領域ηはスリット87にて接し、第三領域ηと第四領域θはスリット88にて接している。
また、これら第一領域ε、第二領域ζ、第三領域ηおよび第四領域θは、3つのスリット86,87,88を境界として、第二基板81の長手方向に撓むようになっている。
【0056】
また、第二基板81の他方の面81bには、長手方向に沿って、第二基板81の他端81dを基端とし、第一領域εまで延在する第一導電部82が設けられている。また、この第一導電部82の接続部82aが、第一領域εにおける第一基板81の他端81d側に配設されている。
また、第二基板81の一方の面81aには、長手方向に沿って、第二基板81の他端81dを基端とし、第二領域ζまで延在する第二導電部83が設けられている。また、この第二導電部83の接続部83aが、第二領域ζにおける第二基板81の他端81d側に配設されている。
また、第二基板81の他方の面81bには、長手方向に沿って、第二基板81の他端81dを基端とし、第三領域ηまで延在する第三導電部84が設けられている。また、この第三導電部84の接続部84aが、第三領域ηにおける第二基板81の他端81d側に配設されている。
さらに、第二基板81の一方の面81aには、長手方向に沿って、第二基板81の他端81dを基端とし、第四領域θまで延在する第四導電部85が設けられている。また、この第四導電部85の接続部85aが、第四領域θにおける第二基板81の他端81d側に配設されている。
すなわち、第二基板81では、第一導電部82と第二導電部83と第三導電部84と第四導電部85が互いに重なり合わない位置に設けられている。
【0057】
このような第一基板71と第二基板81を構成部材とし、第一基板71のスリット76,77,78のそれぞれに、第二基板81のスリット86,87,88のそれぞれが挿入され、スリット76,77,78のそれぞれの末端とスリット86,87,88のそれぞれの末端が当接され、第一基板71における第一領域αの他方の面71bと、第二基板81の一方の面81aが重ね合わせられて、第一基板71の第一導電部72の接続部72aと、第二基板81の第四導電部85の接続部85aが接続される。
また、第一基板71のスリット76,77,78のそれぞれに、第二基板81のスリット86,87,88のそれぞれが挿入され、スリット76,77,78のそれぞれの末端とスリット86,87,88のそれぞれの末端が当接されることにより、第一基板71における第二領域βの一方の面71aと、第二基板81の他方の面81bが重ね合わせられて、第一基板71の第二導電部73の接続部73aと、第二基板81の第三導電部84の接続部84aが接続される。
また、第一基板71のスリット76,77,78のそれぞれに、第二基板81のスリット86,87,88のそれぞれが挿入され、スリット76,77,78のそれぞれの末端とスリット86,87,88のそれぞれの末端が当接されることにより、第一基板71における第三領域γの他方の面71bと、第二基板81の一方の面81aが重ね合わせられて、第一基板71の第三導電部74の接続部74aと、第二基板81の第二導電部83の接続部83aが接続される。
さらに、第一基板71のスリット76,77,78のそれぞれに、第二基板81のスリット86,87,88のそれぞれが挿入され、スリット76,77,78のそれぞれの末端とスリット86,87,88のそれぞれの末端が当接されることにより、第一基板71における第四領域δの一方の面71aと、第二基板81の他方の面81bが重ね合わせられて、第一基板71の第四導電部75の接続部75aと、第二基板81の第一導電部82の接続部82aが接続される。
これにより、第一基板71と第二基板81が、それぞれの一端部で積層されてなる積層配線基板70が構成される。
【0058】
また、図6に示すように、第一基板71と第二基板81が重なり合っている第一領域α(θ)内において、第一基板71の第一導電部72の接続部72aと、第二基板81の第四導電部85の接続部85aが接続されている。また、第一基板71と第二基板81が重なり合っている第二領域β(η)内において、第一基板71の第二導電部73の接続部73aと、第二基板81の第三導電部84の接続部84aが接続されている。また、第一基板71と第二基板81が重なり合っている第三領域γ(γ)内において、第一基板71の第三導電部74の接続部74aと、第二基板81の第二導電部83の接続部83aが接続されている。さらに、第一基板71と第二基板81が重なり合っている第一領域δ(ε)内において、第一基板71の第四導電部75の接続部75aと、第二基板81の第一導電部82の接続部82aが接続されている。
【0059】
また、第一基板71の導電部72の接続部72aと、第二基板81の第四導電部85の接続部85aは、接着剤を介して接続されている。また、第一基板71の第二導電部73の接続部73aと、第二基板81の第三導電部84の接続部84aは、接着剤を介して接続されている。また、第一基板71の第三導電部74の接続部74aと、第二基板81の第二導電部83の接続部83aは、接着剤を介して接続されている。さらに、第一基板71の第四導電部75の接続部75aと、第二基板81の第一導電部82の接続部82aは、接着剤を介して接続されている。
その接着剤としては、上述の第一の実施形態と同様のものが用いられる。
【0060】
また、第一基板71と第二基板81を積層、固定する手段としては、特に限定されないが、第一基板71と第二基板81を一緒に挟み込むような機械的手段、第一基板71と第二基板81を接着する接着剤、第一基板71および/または第二基板81の表面に設けられた樹脂層などが挙げられる。
その接着剤や樹脂層としては、上述の第一の実施形態と同様のものが用いられる。
【0061】
第一基板71および第二基板81としては、上述の第一の実施形態と同様のものが用いられる。
第一導電部72、第二導電部73、第三導電部74、第四導電部75、第一導電部82、第二導電部83、第三導電部84および第四導電部85としては、上述の第一の実施形態と同様のものが用いられる。
【0062】
この積層配線基板70によれば、第一基板71のスリット76,77,78のそれぞれに、第二基板61のスリット86,87,88のそれぞれが挿入され、スリット76,77,78のそれぞれの末端とスリット86,87,88のそれぞれの末端が当接され、スリット76,77,78,86,87,88を境界として、第一基板71の一端部(一端71c側の端部)と第二基板81の一端部(一端81c側の端部)が交差して重ね合わせられており、第一基板81における第一領域αの他方の面71bに設けられた第一導電部72の接続部72aと、第二基板81の一方の面81aに設けられた第四導電部85の接続部85aとが同一面上で当接され、第一基板71における第二領域βの一方の面71aに設けられた第二導電部73の接続部73aと、第二基板81の他方の面81bに設けられた第三導電部84の接続部84aが同一面上で当接され、第一基板71における第三領域γの他方の面71bに設けられた第三導電部74の接続部74aと、第二基板81の一方の面81aに設けられた第二導電部83の接続部83aが同一面上で当接され、さらに、第一基板71における第四領域δの一方の面71aに設けられた第四導電部75の接続部75aと、第二基板81の他方の面81bに設けられた第一導電部82の接続部82aが同一面上で当接されたので、従来の積層配線基板のようにスルーホールを介することなく、積層された第一基板71の一端部と第二基板81の一端部の間にて、第一基板71の第一導電部72と第二基板81の第四導電部85を電気的に接続し、第一基板71の第二導電部73と第二基板81の第三導電部84を電気的に接続し、第一基板71の第三導電部74と第二基板81の第二導電部83を電気的に接続し、さらに、第一基板71の第四導電部75と第二基板81の第一導電部82を電気的に接続することができる。また、スリット76,77,78,86,87,88を境界として、第一基板71の一端部と第二基板81の一端部が交差し、第一領域α(θ)において第一基板71の他方の面71bと第二基板81の一方の面81aが重なり合い、第二領域β(η)において第一基板71の一方の面71aと第二基板81の他方の面81bが重なり合い、第三領域γ(γ)において第一基板71の他方の面71bと第二基板81の一方の面81aが重なり合い、さらに、第四領域δ(ε)において第一基板71の一方の面71aと第二基板81の他方の面81bが重なり合っているので、単に、例えば、第一基板71の一方の面71aと第二基板81の一方の面81aが重ね合わせられた場合よりも、第一基板71の第一導電部72の接続部72aと第二基板81の第四導電部85の接続部85aの間、第一基板71の第二導電部73の接続部73aと第二基板81の第三導電部84の接続部84aの間、第一基板71の第三導電部74の接続部74aと第二基板81の第二導電部83の接続部83aの間、および、第一基板71の第四導電部75の接続部75aと第二基板81の第一導電部82の接続部82aの間にて、接続が安定して、位置ずれを防止できる。
【0063】
また、スルーホールを形成する必要がないので、製造工程を簡略化し、製造コストを低減することができる。さらに、積層配線基板70は、スルーホールが設けられていないので、2つの基板を積層しても、薄型で可撓性に優れている。
また、第一基板71と第二基板81が重なり合っている第一領域α(θ)内において、第一基板71の第一導電部72の接続部72aと、第二基板81の第四導電部85の接続部85aが接続され、第一基板71と第二基板81が重なり合っている第二領域β(η)内において、第一基板71の第二導電部73の接続部73aと、第二基板81の第三導電部84の接続部84aが接続され、第一基板71と第二基板81が重なり合っている第三領域γ(γ)内において、第一基板71の第三導電部74の接続部74aと、第二基板81の第二導電部83の接続部83aが接続され、さらに、第一基板71と第二基板81が重なり合っている第四領域δ(ε)内において、第一基板71の第四導電部75の接続部75aと、第二基板81の第一導電部82の接続部82aが接続されているので、積層配線基板70を撓ませても、これらの接続部において剥離するのを防止することができる。
【0064】
なお、この実施形態では、第一基板71は、一方の面71aに第二導電部73および第四導電部75が設けられ、他方の面71bに第一導電部72および第三導電部74が設けられた積層配線基板70を例示したが、本発明の積層配線基板はこれに限定されない。本発明の積層配線基板にあっては、第一基板における第一領域の一方の面に2つ以上の導電部が設けられるか、または、第一基板における第二領域の他方の面に2つ以上の導電部が設けられるか、または、第一基板における第三領域の一方の面に2つ以上の導電部が設けられるか、または、第一基板における第四領域の一方の面に2つ以上の導電部が設けられていてもよい。また、これに対応して、第二基板の一方の面に4つ以上の導電部が設けられるか、または、第二基板の他方の面に4つ以上の導電部が設けられていてもよい。
【0065】
また、この実施形態では、第一基板71の長手方向に沿って、第一導電部72、第二導電部73、第三導電部74および第四導電部75が設けられた積層配線基板70を例示したが、本発明の積層配線基板はこれに限定されない。本発明の積層配線基板にあっては、第一基板の一方の面および他方の面に設けられた導電部は、第一基板の長手方向に沿って延在していなくてもよい。
また、この実施形態では、第二基板81の長手方向に沿って、第一導電部82、第二導電部83、第三導電部84および第四導電部85が設けられた積層配線基板70を例示したが、本発明の積層配線基板はこれに限定されない。本発明の積層配線基板にあっては、第二基板の一方の面および他方の面に設けられた導電部は、第二板の長手方向に沿って延在していなくてもよい。
【0066】
また、この実施形態では、第一基板71の一端71cを基端とし、第一基板71の中央部近傍まで延在するスリット76,77,78がほぼ等間隔に設けられた積層配線基板70を例示したが、本発明の積層配線基板はこれに限定されない。また、この実施形態では、第二基板81の一端81cを基端とし、第二基板81の中央部近傍まで延在するスリット86,87,88がほぼ等間隔に設けられた積層配線基板70を例示したが、本発明の積層配線基板はこれに限定されない。本発明の積層配線基板にあっては、スリットの長さや間隔は、それぞれの基板に設けられた導電部の接続部の位置などに応じて、適宜調整される。
【0067】
さらに、この実施形態では、第一導電部72、第二導電部73、第三導電部74および第四導電部75のみを有する第一基板71と、第一導電部82、第二導電部83、第三導電部84および第四導電部85のみを有する第二基板81と、を備えた積層配線基板70を例示したが、本発明の積層配線基板はこれに限定されない。本発明の積層配線基板にあっては、第一基板および/または第二基板は、ICチップなどの電子部品、各種表示素子、各種受光素子などを備えたものであってもよい。
【0068】
また、第一〜第三の実施形態では、第一基材および第二基材が2つのスリットを境界とする3つの領域を有する場合を例示し、第四の実施形態では、第一基材および第二基材が3つのスリットを境界とする4つの領域を有する場合を例示したが、本発明の積層配線基板はこれに限定されない。本発明の積層配線基板にあっては、第一基板および第二基材は、4つ以上のスリットを境界とする5つ以上の領域を有していてもよい。
【0069】
(5)第五の実施形態
図7は、本発明の積層配線基板の第五の実施形態を示す概略分解斜視図である。
この実施形態の積層配線基板90は、第一導電部92、第二導電部93および第三導電部94を有する第一基板91と、第一導電部102、第二導電部103および第三導電部104を有する第二基板101とから概略構成されている。
第一基板91は、第一基板91の中央部に、長手方向に沿って、第一基板91の一端91cを基端とし、内側(第一基板91の中央部近傍)まで延在する2つのスリット95,96がほぼ等間隔に設けられている。
そして、この2つのスリット95,96は、第一基板91に設けられた線状の切り込みであり、第一基板91は、この2つのスリット95,96を境界とし、順に設けられた第一領域α、第二領域βおよび第三領域γを有し、第一領域αと第二領域βはスリット95にて接し、第二領域βと第三領域γはスリット96にて接している。
また、これら第一領域α、第二領域βおよび第三領域γは、2つのスリット95,96を境界として、第一基板91の長手方向に撓むようになっている。
【0070】
また、第一基板91の一方の面91aには、長手方向に沿って、第一基板91の他端91dを基端とし、第一領域αまで延在する第一導電部92が設けられている。また、この第一導電部92の接続部92aが、第一領域αにおける第一基板91の一端91c近傍(第一基板91の一端部)に配設されている。
また、第一基板91の他方の面には、長手方向に沿って、第一基板91の他端91dを基端とし、第二領域βまで延在する第二導電部93が設けられている。また、この第二導電部93の接続部93aが、第二領域βにおける第一基板91の一端91c近傍(第一基板91の一端部)に配設されている。
さらに、第一基板91の一方の面91aには、長手方向に沿って、第一基板91の他端91dを基端とし、第三領域γまで延在する第三導電部94が設けられている。また、この第三導電部94の接続部94aが、第三領域γにおける第一基板91の一端91c近傍(第一基板91の一端部)に配設されている。
すなわち、第一基板91では、第一導電部92と第二導電部93と第三導電部94が互いに重なり合わない位置に設けられている。
【0071】
一方、第二基板101には、長手方向に沿って、第二基板101の一端101cを基端とし、内側(第一基板101の中央部近傍)まで延在する2つのスリット105,106がほぼ等間隔に設けられている。
そして、この2つのスリット105,106は、第二基板101に設けられた線状の切り込みであり、第二基板101は、この2つのスリット105,106を境界とし、順に設けられた第一領域δ、第二領域εおよび第三領域ζを有し、第一領域δと第二領域εはスリット105にて接し、第二領域εと第三領域ζはスリット106にて接している。
また、これら第一領域δ、第二領域εおよび第三領域ζは、2つのスリット105,106を境界として、第二基板101の長手方向に撓むようになっている。
【0072】
また、第二基板101の他方の面には、長手方向に沿って、第二基板101の他端101dを基端とし、第一領域δまで延在する第一導電部102が設けられている。また、この第一導電部102の接続部102aが、第一領域δにおける第二基板101の一端101c近傍(第二基板101の一端部)に配設されている。
また、第二基板101の一方の面101aには、長手方向に沿って、第二基板101の他端101dを基端とし、第二領域εまで延在する第二導電部103が設けられている。また、この第二導電部103の接続部103aが、第二領域εにおける第二基板101の一端101c近傍(第二基板101の一端部)に配設されている。
さらに、第二基板101の他方の面には、長手方向に沿って、第二基板101の他端101dを基端とし、第三領域ζまで延在する第三導電部104が設けられている。また、この第三導電部104の接続部104aが、第三領域ζにおける第二基板101の一端101c近傍(第二基板101の一端部)に配設されている。
すなわち、第二基板101では、第一導電部102と第二導電部103と第三導電部104が互いに重なり合わない位置に設けられている。
【0073】
このような第一基板91と第二基板101を構成部材とし、第一基板91のスリット95,96のそれぞれに、第二基板101のスリット105,106のそれぞれが挿入され、第一基板91の一端部と第二基板101の一端部にて、第一基板91における第一領域αの一方の面91aと、第二基板101における第三領域ζの他方の面が重ね合わせられて、第一基板91の第一導電部92の接続部92aと、第二基板101の第三導電部104の接続部104aが接続される。
また、第一基板91のスリット95,96のそれぞれに、第二基板101のスリット105,106のそれぞれが挿入されることにより、第一基板91の一端部と第二基板101の一端部にて、第一基板91における第二領域βの他方の面と、第二基板101における第二領域εの一方の面101aが重ね合わせられて、第一基板91の第二導電部93の接続部93aと、第二基板101の第二導電部103の接続部103aが接続される。
さらに、第一基板91のスリット95,96のそれぞれに、第二基板101のスリット105,106のそれぞれが挿入されることにより、第一基板91の一端部と第二基板101の一端部にて、第一基板91における第三領域γの一方の面91aと、第二基板101における第一領域δの他方の面が重ね合わせられて、第一基板91の第三導電部94の接続部94aと、第二基板101の第一導電部102の接続部102aが接続される。
なお、この実施形態では、スリット95,96のそれぞれの末端とスリット105,106のそれぞれの末端が当接されておらず、スリット95,96のそれぞれに対してスリット105,106のそれぞれが途中まで挿入されている。
これにより、第一基板91と第二基板101が、それぞれの一端部で積層されてなる積層配線基板90が構成される。
【0074】
第一基板91および第二基板101としては、上述の第一の実施形態と同様のものが用いられる。
第一導電部92、第二導電部93、第三導電部94、第一導電部102、第二導電部103および第三導電部104としては、上述の第一の実施形態と同様のものが用いられる。
【0075】
この積層配線基板90では、上述の第一〜第三の実施形態と異なり、第一基板91の第一導電部92、第二導電部93および第三導電部94が、第一基板91の一端部に配設され、第二基板101の第一導電部102、第二導電部103および第三導電部104が、第二基板101の一端部に配設されており、第一基板91のスリット95,96の末端と第二基板101のスリット105,106の末端が当接されておらず、スリット95,96に対してスリット105,106が途中までしか挿入されていないものの、スリット95,96,105,106を介して、少なくとも第一基板91の一端部と第二基板101の一端部が交差されて重ね合わせられているので、上述の固定手段を用いて、第一基板91と第二基板101を積層、固定するまでの間に、第一基板91と第二基板101を仮固定することができる。
【0076】
なお、この実施形態では、第一基板91の第一導電部92、第二導電部93および第三導電部94が、第一基板91の一端部に配設され、かつ、第二基板101の第一導電部102、第二導電部103および第三導電部104が、第二基板101の一端部に配設された積層配線基板90を例示したが、本発明の積層配線基板はこれに限定されない。本発明の積層配線基板にあっては、第一基板の第一導電部、第二導電部または第三導電部のいずれか1つまたは2つ以上が、第一基板の一端部に配設されているか、あるいは、第二基板の第一導電部、第二導電部または第三導電部のいずれか1つまたは2つ以上が、第二基板の一端部に配設されていてもよい。
【0077】
なお、第一〜第五の実施形態では、スリットの形状を、線状、平面視長方形状あるいは平面視三角形状としたが、本発明の積層配線基板はこれに限定されない。本発明の積層配線基板にあっては、スリットの形状が平面視円形状、平面視半円形状、平面視楕円形状などであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の積層配線基板の第一の実施形態を示す概略分解斜視図である。
【図2】本発明の積層配線基板の第一の実施形態を示す概略図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
【図3】本発明の積層配線基板の第二の実施形態を示す概略分解斜視図である。
【図4】本発明の積層配線基板の第三の実施形態を示す概略分解斜視図である。
【図5】本発明の積層配線基板の第四の実施形態を示す概略分解斜視図である。
【図6】本発明の積層配線基板の第四の実施形態を示す概略図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
【図7】本発明の積層配線基板の第五の実施形態を示す概略分解斜視図である。
【符号の説明】
【0079】
10,30,50,70,90・・・積層配線基板、11,31,51,71,91・・・第一基板、21,41,61,81,101・・・第二基板、12,22,32,42,52,62,72,82,92,102・・・第一導電部、12a,13a,14a,22a,23a,24a,32a,33a,34a,42a,43a,44a,52a,53a,54a,55a,62a,63a,64a,65a,92a,93a,94a,102a,103a,104a,・・・接続部、13,23,33,43,53,63,73,83,93,103・・・第二導電部、14,24,34,44,54,64,74,84,94,104・・・第三導電部、75,85・・・第四導電部、15,16,35,36,45,46,55,56,76,77,78,86,87,88,95,96,105,106・・・スリット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの基板が、少なくともそれぞれの一部で積層されてなる積層配線基板であって、
前記2つの基板はそれぞれ、一端から内側に向かって延在する2つ以上のスリットを境界とする3つ以上の領域を有し、
前記2つ以上のスリットは互いに間隔を置いて設けられ、
前記2つの基板のうちの一方に設けられた前記2つ以上のスリットのそれぞれに、前記2つの基板のうちの他方に設けられた前記2つ以上のスリットのそれぞれが挿入され、前記2つ以上のスリットを境界として、前記2つの基板が交差されて重ね合わせられ、
前記2つの基板のうちの一方において、前記2つの基板のうちの他方に対向する面に設けられた少なくとも1つの導電部と、前記2つの基板のうちの他方において、前記2つの基板のうちの一方に対向する面に設けられた少なくとも1つの導電部とが接続されたことを特徴とする積層配線基板。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−153574(P2010−153574A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−329787(P2008−329787)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】