説明

管内走行装置

【課題】曲管においても滞留することなく、効率良く推進力を伝達させて走行することが可能な管内走行装置を提供する。
【解決手段】管内走行装置1は、進行方向Aと略直交する側方Sに当接部材53、63を張り出して管路の壁面に当接させることで、壁面から進行方向Aに推進力を発生させることが可能な推進手段50、60を有した複数の駆動ユニット3と、駆動ユニット3間を連結するとともに、可撓性を有して管路の軸方向の形状に応じて変形可能な連結部7と、各連結部7の変形状態を検出可能な連結状態監視部と、連結状態監視部の検出結果に基づいて、各駆動ユニット3の推進手段50、60を制御する制御部10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路内を自走し、管路内の観察、管路内おける目的物の搬送などを行うことが可能な管内走行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、作業者が直接侵入することができない小径の管路、例えば下水管やガス管などの内部において、所定箇所の観察を行う、あるいは、所定箇所に目的物を搬送することなどを可能とするために、管路内を自走することが可能な管内走行装置が走行手段を異にして様々提案されている。例えば、伸縮走行するものとしては、長さを変化させることが可能なベースと、ベースの両端に結合されて、ベースの長さの変化とともに半径方向に運動することが可能な複数の締付け要素とをそれぞれ備えた2つの締め付けユニットが、伸縮可能な送り空気シリンダで連結されている管内走行装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような管内走行装置によれば、後方の締め付けユニットのベースが縮むことでその締付けユニットの締付け要素が半径方向外側に湾曲して管路内に締付け固定される。また、前方の締付けユニットのベースは伸びて、管路内に締付け固定されていない状態となる。この状態で送り空気シリンダが伸びることで、締付け固定されていない前方の締付けユニットは進行方向に進出する。次に、後方の締付けユニットのベースが伸びることで管路内の締付けが解除されるとともに、前方の締付けユニットのベースが縮むことで管路内に締付け固定される。そして、この状態で送り空気シリンダが縮むことで後方の締付けユニットが進行方向に進出する。これを繰り返すことによって、障害物等に関係無く、管内走行装置の全体が管路内を走行することができるとされている。
【0003】
また、タイヤ走行によるものとしては、駆動力を伝達するモータ車と、モータ車からの動力伝達によって駆動され、管内突っ張り機構を有して推進力を発生させる少なくとも3台の駆動車と、駆動車を誘導する誘導車とが、フレキシブルジョイントによって連結して構成された管内走行装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。このような管内走行装置では、各駆動車の突っ張り機構が管路内を常時突っ張ることで駆動輪によって推進力を発生させて走行可能であるとされている。また、突っ張り機構によって突っ張ることができなくなる曲管においては、少なくとも3台で構成された駆動車のいずれかによって推進力を発生させて押し込みまたは牽引させるとともに、駆動車の先頭で誘導車が誘導することで曲管などの通過も可能であるとされている。
【特許文献1】特表平8−501752号公報
【特許文献2】特公平6−8105号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の管内走行装置は、進行方向に2つの締付けユニット及び送り空気シリンダが組立てられて伸縮することで、進行方向に装置スペースを必要とする。このため、曲管においては自由に走行することができなくなってしまう問題があった。
【0005】
一方、特許文献2の管内走行装置では、上記のように少なくとも3台の駆動車と誘導車とがフレキシブルジョイントで連結されていることで、曲管に位置する駆動車は、駆動輪が常に回転し、また、突っ張り機構が常に管路を突っ張ろうとする状態のまま、他の駆動車によって押し込み、または、牽引されて姿勢を変化させながら曲管を通過していく。
しかしながら、曲管の形状によっては、曲管に位置する駆動車において、対をなす駆動輪の一方だけが壁面に当接し、他方が壁面から離間した状態となり、偏った推進力が発生してしまう。このため、駆動車の姿勢が変化してしまい、曲管の内部で滞留してしまう場合があった。また、曲管に位置する駆動車において、駆動輪が壁面から離間した状態となり駆動力が発生しない一方、突っ張り機構が壁面に当接して壁面との間に抵抗が生じてしまい、曲管内部で滞留してしまう場合があった。これらのように、曲管の内部で駆動車が滞留してしまった場合には、その前後の駆動車で押し込み、または、牽引したとしても、連結するフレキシブルジョイントが曲がって推進力を伝達することができなくなり、走行することができなくなってしまう問題があった。
【0006】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、曲管においても滞留することなく、効率良く推進力を伝達させて走行することが可能な管内走行装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の管内走行装置は、進行方向と略直交する側方に当接部材を張り出して管路の壁面に当接させることで、該壁面から前記進行方向に推進力を発生させることが可能な推進手段を有した複数の駆動ユニットと、該駆動ユニット間を連結するとともに、可撓性を有して前記管路の軸方向の形状に応じて変形可能な連結部と、各該連結部の変形状態を検出可能な連結状態監視部と、該連結状態監視部の検出結果に基づいて、各前記駆動ユニットの前記推進手段を制御する制御部とを備えることを特徴としている。
【0008】
この発明に係る管内走行装置によれば、連結部で連結された各駆動ユニットの推進手段が、当接部材を管路の壁面に当接させることで、管路の壁面から推進力を発生させて進行方向に走行することが可能である。また、連結部が変形可能であることで、複数の駆動ユニットは、管路の軸方向の形状に応じて連結部を変形させて円滑に走行することができる。この際、連結状態監視部が各連結部の変形状態を検出し、制御部は、この検出結果に基づいて各駆動ユニットの推進手段を制御している。このため、曲管を有する管路などにおいても管路の軸方向の形状に応じて好適に推進力を発生させて走行することが可能である。
【0009】
また、上記の管内走行装置において、前記駆動ユニットの前記推進手段は、前記当接部材を側方に張り出して前記管路の前記壁面に当接させた走行状態と、前記当接部材を前記管路の前記壁面と離間させて、内部に格納した格納状態とを切替可能であり、前記制御部は、前記連結状態監視部の検出結果に基づいて、隣接する前記駆動ユニットの前記推進手段を前記走行状態と前記格納状態とに切り替えることがより好ましいとされている。
【0010】
この発明に係る管内走行装置によれば、常時においては、各駆動ユニットは、推進手段を走行状態として、推進力を発生させて走行することが可能である。また、曲管を走行する場合には、制御部は、連結部の変形状態に基づいて、曲管を通過している駆動ユニットの推進手段を格納状態として、抵抗無く曲管を通過させる一方、その前後の駆動ユニットを走行状態とすることで、推進力を発生させて走行することができる。
【0011】
さらに、上記の管内走行装置において、前記制御部は、前記連結状態監視部の検出結果に基づいて前記連結部の変形によって生じた撓み角を算定し、該撓み角が予め設定された許容角度よりも大きい値を示した場合に、対応する前記駆動ユニットの前記推進手段を前記走行状態から前記格納状態に切り替えることがより好ましいとされている。
【0012】
この発明に係る管内走行装置によれば、制御部が連結状態監視部の検出結果から撓み角を算定することで、撓み角に基づいて、各連結部と対応する駆動ユニットが走行している管路の曲率半径を定量的に確認することができる。そして、制御部によって、連結部の撓み角が許容撓み角よりも大きい値を示す場合に、対応する駆動ユニットの推進手段を走行状態から格納状態に切り替えることで、許容撓み角と対応した一定の曲率半径以下の曲管においては、推進手段を格納状態として駆動ユニットを通過させることができる。
【0013】
また、上記の管内走行装置において、前記連結部は、両端が隣り合う前記駆動ユニットのそれぞれに接続された弾性部材であることがより好ましいとされている。
この発明に係る管内走行装置によれば、連結部が弾性部材であることで、管路の軸方向の形状に応じて弾性的に変形可能である。このため、曲管などを円滑に通過することが可能であるとともに、復元力が働いて直線状態に戻ろうとするので、良好な直進走行性を得ることができる。
【0014】
さらに、上記の管内走行装置において、前記連結部は、コイルパイプであることがより好ましいとされている。
この発明に係る管内走行装置によれば、連結部がコイルパイプであることで、管路の軸方向の形状に応じて弾性的に変形するが、一定の撓み角以上に変形すると、その復元力は略一定の値で変化しなくなる。このため、良好な直進走行性を得ることができるとともに、一定の曲率半径以下の曲管では、復元力を抑えて、管路の軸方向の形状に応じて連結部を変形させて、より円滑に通過することができる。
【0015】
また、上記の管内走行装置において、前記連結状態監視部は、両端が隣り合う前記駆動ユニットのいずれか一方に設けられて、前記駆動ユニットの他方に向って検査光を照射可能な光源と、前記駆動ユニットの他方に設けられて、前記光源によって照射された前記検査光の照射位置を検出可能な光検出部とを備えることがより好ましいとされている。
【0016】
この発明に係る管内走行装置によれば、連結部が管路の軸方向の形状に応じて変形する際に、隣り合う駆動ユニット同士の位置関係も変化するので、駆動ユニットの一方に設けられた光源から他方に照射された検査光の照射位置が変化する。このため、この照射位置の変化を光検出部で検出することで、連結部の変形状態を検出することができる。
【0017】
また、上記の管内走行装置において、前記連結状態監視部は、隣り合う前記駆動ユニットのそれぞれに固定された複数の検出ワイヤと、各該検出ワイヤに生じる応力または歪みを検出可能なワイヤ状態検出部とを備えるものとしても良い。
【0018】
この発明に係る管内走行装置によれば、連結部が管路の軸方向の形状に応じて変形する際に、隣り合う駆動ユニット同士の位置関係も変化する。例えば、曲管を通過する際には、駆動ユニット間の距離は、曲管の外側で広がり、内側で縮まる。このため、曲管の外側に位置する検出ワイヤは、引っ張り力が作用して緊張した状態になるとともに、曲管の内側に位置する検出ワイヤは、弛緩した状態となる。すなわち、ワイヤ状態検出部によって検出ワイヤに生じる応力または歪みを検出することで、連結部の変形状態を検出することができる。
【0019】
また、上記の管内走行装置において、前記連結状態監視部は、隣り合う前記駆動ユニットのいずれか一方に設けられた複数の第1電極と、付勢手段によって前記駆動ユニットの一方に、前記第1電極と前記進行方向に間隔を有して配置された支持板と、前記支持板の前記第1電極と相対する位置に複数設けられた第2電極と、対応する前記第1電極と前記第2電極との間の各静電容量を検出する静電容量検出器と、両端が前記支持板と前記駆動ユニットの他方とのそれぞれに固定された複数の検出ワイヤとを備えるものとしても良い。
【0020】
この発明に係る管内走行装置によれば、連結部が管路の軸方向の形状に応じて変形する際に、隣り合う駆動ユニット同士の位置関係も変化する。例えば、曲管を通過する際には、駆動ユニット間の距離は、曲管の外側で広がり、内側で縮まる。このため、曲管の外側においては、支持板が検出ワイヤに引っ張られることで、第1電極と第2電極との距離が縮まって静電容量が大きくなる。一方、曲管の内側においては、検出ワイヤが弛緩することで、付勢手段によって第1電極と第2電極との距離が広がって静電容量は小さくなる。すなわち、静電容量検出器によって、対応する複数の第1電極と第2電極との間の静電容量を検出することで、連結部の変形状態を検出することができる。
【0021】
また、上記の管内走行装置において、前記連結部の変形を規制可能な規制手段を備えることがより好ましいとされている。
この発明に係る管内走行装置によれば、規制手段によって連結部の変形を規制することで、連結部の剛性を高めて走行性の向上を図ることができる。
【0022】
さらに、上記の管内走行装置において、前記規制手段は、隣り合う前記駆動ユニットのいずれか一方に固定された規制ワイヤと、前記駆動ユニットの他方に設けられ、前記規制ワイヤを緊張状態と弛緩状態に切り替え可能な牽引機構とを備えることがより好ましいとされている。
【0023】
この発明に係る管内走行装置によれば、牽引機構によって規制ワイヤを弛緩状態とすることで、連結部は自己の有する可撓性により変形可能であり、管路の軸方向の形状に応じて連結部を変形させて円滑に走行することができる。また、規制ワイヤを緊張状態とすることで、連結部は規制ワイヤによって圧縮されて剛性が高められた状態となり、直進走行性を向上させることができる。
【0024】
さらに、上記の管内走行装置において、前記規制手段は、隣り合う前記駆動ユニットのそれぞれに接続された可撓性を有するシースと、該シースの内部で所定の間隔を有して配列している複数の磁性体と、該磁性体が配列する方向に磁界を形成可能な電磁石とを備えるものとしても良い。
【0025】
この発明に係る管内走行装置によれば、電磁石が磁界を形成しない状態では、磁性体が間隔を有して配列していることで、シースは自由に変形することが可能である。このため、連結部は自己の有する可撓性により変形可能であり、管路の軸方向の形状に応じて連結部を変形させて円滑に走行することができる。また、電磁石によって磁界を形成することで、磁性体は互いに引き付け合ってシースの内部で一体となるので、駆動ユニット同士は、直線状に配列した磁性体によって拘束された状態となる。このため、連結部の変形は規制され、直進走行性を向上させることができる。
【0026】
さらに、上記の管内走行装置において、前記規制手段は、隣り合う前記駆動ユニットのいずれか一方に設けられ、前記駆動ユニットの他方に向って配設されたストッパと、該ストッパを、前記駆動ユニットの他方と当接した状態から隙間を有した状態までの範囲で進退させることが可能なスライド機構とを備えるものとしても良い。
【0027】
この発明に係る管内走行装置によれば、駆動ユニットの一方に設けられたストッパは、他方との間に隙間を有していることで、連結部は駆動ユニットの他方がストッパに当接するまで自由に変形可能である一方、ストッパに当接した状態からさらに変形することを規制することができる。このため、隙間に応じて一定の曲率半径の曲管までは自在に変形して走行可能であるとともに、隙間と対応した曲率半径では、連結部の剛性を高めることができ、曲管における走行性を向上させることができる。さらに、スライド機構によってストッパを駆動ユニットに当接した状態にすれば、連結部の変形を規制して、直進安定性を向上させることもできる。
【0028】
また、上記の管内走行装置において、前記駆動ユニットは、前記推進手段の前記当接部材が前記管路の前記壁面を当接した際に生じる壁反力を検出する壁反力検出センサを備え、前記制御部は、該壁反力検出センサの検出結果に基づいて、各前記駆動ユニットにおける前記走行状態での前記当接部材の側方へ張り出す量を設定することがより好ましいとされている。
【0029】
この発明に係る管内走行装置によれば、壁反力検出センサの検出結果に基づいて、制御部によって、各駆動ユニットにおける前記走行状態での前記当接部材の側方へ張り出す量を設定することが可能である。このため、例えば、管路の管径が変化したとしても、壁反力が一定となるように当接部材の張り出す量を変化させることができ、好適に推進力を発生させて走行することができる。
【0030】
さらに、上記の管内走行装置において、前記制御部は、前記壁反力検出センサの検出結果に基づいて、前記駆動ユニットの前記推進手段を前記走行状態と前記格納状態とに切り替えることがより好ましいとされている。
【0031】
この発明に係る管内走行装置によれば、壁反力検出センサの検出結果に基づいて、制御部によって、各駆動ユニットの推進手段を走行状態と、格納状態に切り替えることができる。このため、例えば、推進手段によって好適に推進力を発生させることができない狭隘部においては、検出される壁反力に基づいて推進手段を格納状態とし、他の駆動ユニットによって推進力を発生させることで、狭隘部を通過させることができる。
【0032】
また、上記の管内走行装置において、前記進行方向に対して最も前方に位置する前記駆動ユニットのさらに前方には、前記管路内を撮影可能な撮影手段を有した先頭ユニットが連結されていることがより好ましいとされている。
この発明に係る管内走行装置によれば、駆動ユニットによって管路内を走行するとともに、先頭ユニットの撮影手段によって管路内の進行方向前方を観察することができる。
【0033】
さらに、上記の管内走行装置において、前記先頭ユニットと前記駆動ユニットとは、能動的に湾曲可能な湾曲部によって連結されていることがより好ましいとされている。
この発明に係る管内走行装置によれば、先頭ユニットが湾曲部によって接続されていることで、自在に先頭ユニットの向きを調整して、管路内を観察することができる。また、曲管、あるいは、分岐などにおいては、湾曲部を湾曲させて、先頭ユニットの向きを調整することで、先頭ユニットをガイドとして所望の進行方向に走行することができる。
【0034】
また、上記の管内走行装置において、前記進行方向に対して最も後方に位置する前記駆動ユニットのさらに後方には、前記管路内を撮影可能な撮影手段を有した後尾ユニットが連結されていることがより好ましいとされている。
この発明に係る管内走行装置によれば、後尾ユニットの撮影手段によって管路内の進行方向後方の観察も可能となる。
【0035】
また、上記の管内走行装置において、前記駆動ユニットは、前記進行方向に沿って配設されたフレームを備え、前記推進手段は、該フレームに設けられ、側方に前記当接部材を張り出して前記管路の前記壁面を押圧した状態で、前記当接部材を前記フレームに対して相対的に前記進行方向の前方から後方へ移動させる推進運動、及び、前記当接部材が内部に格納されて前記壁面と離間した状態で、前記当接部材を前記フレームに対して相対的に前記進行方向の後方から前方へ移動させる復帰運動を繰り返すことが可能であることがより好ましいとされている。
【0036】
この発明に係る管内走行装置によれば、各駆動ユニットのフレームに設けられた推進手段は、推進運動として、当接部材を、フレームから側方に張り出して管路の壁面を押圧するとともに、フレームに対して相対的に前方から後方へ移動させる。推進手段の当接部材と管路との間には摩擦力が生じて互いを拘束するため、結果として、フレームが進行方向の前方に推進される。次に、推進手段は、復帰運動として、当接部材を進行方向の後方から前方へ移動させて、推進運動を開始する直前の状態に復帰する。この際、推進手段の当接部材が管路の壁面と離間した状態を保つことで、フレームに外力が働かず、フレームは静止した状態を保つ。すなわち、推進手段が、走行状態として、推進運動と復帰運動とのサイクルを繰り返すことで、1サイクルごとに、推進運動時における推進手段の進行方向前方から後方へのストローク量に応じて、駆動ユニット全体を進行方向前方に走行させることができる。一方、推進手段が、復帰運動の状態で停止することで、格納状態として当接部材を内部に格納した状態にすることができる。
【0037】
さらに、上記の管内走行装置において、前記推進手段の前記当接部材は、前記推進運動時に、当接した前記壁面に応じて弾性変形可能であることがより好ましいとされている。
【0038】
この発明に係る管内走行装置によれば、推進運動時において、推進手段の当接部材は、壁面に応じて弾性変形可能である。このため、管路の壁面が変形している場合、段差が生じている場合、あるいは壁面に障害物などが付着している場合などでも、当接部材が対応する位置で弾性変形して吸収することで、容易に乗り越えることができる。また、推進運動時における推進手段の当接部材の側方へ張り出す量を増大させることで、当接部材の弾性変形量を増大させて、壁面と推進手段の当接部材との間に生じる摩擦力を増大させることができる。このため、壁面が平滑に形成されている場合でも、壁面上で当接部材が滑動してしまうことなく、推進運動時における推進手段の推進力を効率良くフレームに伝達させて走行することができる。
【0039】
さらに、上記の管内走行装置において、前記推進手段は、基端が前記フレームの前端部に軸着され、先端が該フレームに対して前方へ配設された状態から側方へ配設された状態まで、所定角度だけ往復回転可能な前部アームと、基端が前記フレームの後端部に軸着され、先端が該フレームに対して後方へ配設された状態から側方へ配設された状態まで、所定角度だけ往復回転可能な後部アームとを備え、前記当接部材は、前端が前記前部アームの前記先端に取り付けられるとともに、後端が前記後部アームの前記先端に取り付けられており、前記前部アームの前記先端と前記後部アームの前記先端との距離に応じて、側方へ弾性的に湾曲可能であることがより好ましいとされている。
【0040】
この発明に係る管内走行装置によれば、推進手段の当接部材は、前部アームの先端と後部アームの先端との距離を狭めることで、弾性的に湾曲して側方に張り出すことが可能である。また、前部アームを、先端がフレームに対して前方へ配設された状態から側方へ配設された状態まで回転させるとともに、後部アームを、先端がフレームから側方へ配設された状態から後方へ配設された状態まで回転させることで、当接部材をフレームに対して相対的に前方から後方へ移動させることが可能である。このため、推進運動時には、前部アームの先端と後部アームの先端との距離を狭めた状態で、前部アームを先端が前方へ配設された状態から側方へ配設された状態へ、後部アームを先端が側方へ配設された状態から後方へ配設された状態へ回転させることで、当接部材が壁面を押圧した状態で、前方から後方へ移動させて、フレームに推進力を与えて、駆動ユニット全体を走行させることができる。
【0041】
また、復帰運動時には、前部アームの先端と後部アームの先端との距離を広げて、当接部材を壁面から離間させて、逆に後方から前方に移動させることで、推進運動の開始の状態に戻すことができる。すなわち、前部アームと後部アームとが、当接部材が取り付けられた先端間の距離を変化させて協働して往復回転することで、走行状態として、推進運動と復帰運動とを繰り返すことができるとともに、また、先端間の距離を広げた状態で静止することで格納状態とすることができる。
【0042】
また、上記の管内走行装置において、前記駆動ユニットは、フレームと、該フレームに設けられた前記推進手段とを備え、該推進手段は、前記当接部材として前記管路の前記壁面に当接して回転する駆動輪と、該駆動輪を回転可能に軸支するとともに、前記フレームに対して前記駆動輪の側方へ張り出す量を設定することが可能な駆動輪位置調整機構とを有するものとしても良い。
【0043】
この発明に係る管内走行装置によれば、駆動ユニットの推進手段は、走行状態として、駆動輪位置調整機構によって駆動輪を側方へ張り出して管路の壁面に当接した状態とする。そして、この状態で駆動輪を回転させることで、管路の壁面から推進力を発生させることができ、フレームに伝達させて走行することができる。一方、駆動輪位置調整機構によって駆動輪を管路の壁面から離間させて内部に格納することによって、格納状態とすることができる。
【発明の効果】
【0044】
本発明の管内走行装置によれば、連結部の変形状態を検出可能な連結状態監視部と、その検出結果に応じて各駆動ユニットの推進手段を制御する制御部とを備えることで、各駆動ユニットの推進手段によって管路の軸方向の形状に応じて好適に推進力を発生させることができる。このため、曲管においても滞留することなく、好適に推進力を伝達させて走行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
(第1の実施形態)
図1から図19は、この発明に係る第1の実施形態を示している。図1は管内走行装置1の全体図、図2及び図3はブロック図を示している。図1及び図2に示すように、管内走行装置1は、管路内に挿入されて自走する走行装置本体2と、走行装置本体2と接続ケーブル10aによって接続されて、外部から走行装置本体2に電力を供給し、制御することが可能な制御部である制御装置10とを備える。走行装置本体2は、管路の壁面から推進力を発生させて走行可能な四基の駆動ユニット3(第1駆動ユニット31、第2駆動ユニット32、第3駆動ユニット33、及び、第4駆動ユニット34)と、撮影手段4を有する先頭ユニット5と、同様の撮影手段4を有する後尾ユニット6とを備える。駆動ユニット3は、進行方向Aに縦列状に配列し、可撓性を有する連結部7によって連結されている。後尾ユニット6は、駆動ユニット3の内、最後方に位置する第4駆動ユニット34と上記同様の連結部7によって連結されている。また、先頭ユニット5は、駆動ユニット3の内、最前方に位置する第1駆動ユニット31と能動的に湾曲可能な湾曲部8によって連結されている。このため、先頭ユニット5の向きを自在に調整して、管路内を撮影手段4によって観察することができる。また、走行装置本体2において、接続ケーブル10aは後尾ユニット6と接続されている。先頭ユニット5、各駆動ユニット3、及び、後尾ユニット6のそれぞれは、各連結部7及び湾曲部8に挿通された連結ケーブル7a、8a(図6及び図9)によって電気的に接続されており、これにより接続ケーブル10aを介して制御装置10と電気的に接続されている。
【0046】
図3に示すように、制御装置10は、走行装置本体2の各駆動ユニット3、先頭ユニット5及び後尾ユニット6と、接続ケーブル10aを介して送受信可能な通信回路11を備えている。通信回路11は、バス12を介してCPU13、ROM14、及びRAM15と接続されており、CPU13、及び、ROM14に記憶されたプログラムに基づいて、後述の各駆動ユニット3のモータ制御回路42に駆動ユニット3を動作させるための各種信号を送信することが可能である。また、通信回路11は、駆動ユニット3における各検出結果を受信することが可能であり、その検出結果をCPU13で解析し、また、RAM15に記憶することが可能である。なお、ROM14に書き込まれているプログラムなどのデータ及びRAM15に書き込み可能なデータは限定されるもので無く、使用態様により各種設定可能である。
【0047】
また、制御装置10は、受信した映像信号を画像化する映像信号処理回路16を備える。映像信号処理回路16は、接続ケーブル10a及び通信回路11を介して、先頭ユニット5及び後尾ユニット6の各撮影手段4と接続されている。映像信号処理回路16は、モニタ17と接続されている。このため、モニタ17に先頭ユニット5及び後尾ユニット6の各撮影手段4で撮影された画像を映し出すことが可能である。また、映像信号処理回路16は、画像切替スイッチ17aと接続されており、モニタ17に映し出される画像を、先頭ユニット5の撮影手段4によって前方Fを撮影した画像と、後尾ユニット6の撮影手段4によって後方Bを撮影した画像とで切り替えることが可能である。さらに、映像信号処理回路16に入力された画像は、通信回路11、バス12を介してRAM15に画像データとして記録する、あるいは、RAM15に記憶された画像データをバス12、通信回路11、及び映像信号処理回路16を介してモニタ17に映し出すことも可能である。
【0048】
さらに、制御装置10において、走行装置本体2を前進及び後退させる移動用ジョイスティック18と、湾曲部8を上下左右に湾曲させる先端湾曲用ジョイスティック19とがコネクタ20を介してバス12に接続されている。このため、作業者は、モニタ17を確認するとともに移動用ジョイスティック18を操作することで、走行装置本体2を走行させることが可能であるとともに、先端湾曲用ジョイスティック19を操作することで、湾曲部8を湾曲させて、先頭ユニット5の撮影手段4によって所望の方向を観察することが可能である。また、制御装置10は、スイッチ21aによってON/OFF切替可能な電源21を備えており、制御装置10の各構成要素に電力を供給可能であるとともに、接続ケーブル10aを介して走行装置本体2の各電気系に電力を供給することが可能である。次に、走行装置本体2の各構成の詳細について説明する。
【0049】
図1に示すように、駆動ユニット3の各内部機構は、上部カバー40a及び下部カバー40bで構成される本体カバー40によって覆われている。上部カバー40aと下部カバー40bとが組み付けられた状態において、側部には、進行方向Aに沿って開口部40cが形成されており、推進手段50、60が進行方向Aと直交する側方Sに張り出すことを可能としている。
【0050】
図4は、駆動ユニット3の本体カバー40を取り外した状態を示している。図4に示すように、駆動ユニット3は、前端部41aから後端部41bへ進行方向Aに沿って配設されたフレーム41と、フレーム41に設けられ、フレーム41に進行方向Aに推進力を与える推進手段50、60と、推進手段50、60のそれぞれを駆動する駆動機構70、80とを備える。なお、上述の本体カバー40は、図示しない冶具によってフレーム41に固定されている。
【0051】
推進手段50は、フレーム41の前端部41aに設けられた前部アーム51と、後端部41bに設けられた後部アーム52とを備えている。また、同様に、推進手段60は、フレーム41の前端部41aに設けられた前部アーム61と、後端部41bに設けられた後部アーム62とを備えている。
【0052】
図4及び図5に示すように、推進手段50、60の前部アーム51、61は、フレーム41の一面41cにおいて、共通する回転中心O1で回転可能に軸着されている。前部アーム51、61の先端51a、61aは、フレーム41から突出し、一面41cと対向する他面41d側へ延びている。また、前部アーム51、61は、回転中心O1よりも基端側へ略等しい長さだけ延出されたリンク部51b、61bを有している。同様に、推進手段50、60の後部アーム52、62は、フレーム41の他面41dにおいて、共通する回転中心O2で回転可能に軸着されている。後部アーム52、62の先端52a、62aは、フレーム41から突出し、一面41c側へ延びている。また、後部アーム52、62は、回転中心O2よりも基端側へ略等しい長さだけ延出されたリンク部52b、62bを有している。
【0053】
また、推進手段50、60は、それぞれ、当接部材である弾性的に湾曲可能な板バネ53、63を備えている。板バネ53、63は、前端53a、63aがそれぞれ前部アーム51、61の先端51a、61aにピン51c、61cによって回転可能に取り付けられている。また、後端53b、63bが、それぞれ後部アーム52、62の先端52a、62aにピン52c、62cによって回転可能に取り付けられている。すなわち、推進手段50において、板バネ53は、対応する前部アーム51と後部アーム52とが、先端51a、52aの間の距離を狭めるように互いに側方Sへ回転することで、弾性的に略円弧状に湾曲して側方Sに張り出される。また、前部アーム51が、先端51aがフレーム41に対して前方Fへ配設された状態から側方Sへ配設された状態になるまで回転するとともに、後部アーム52が前部アーム51と協働して、先端52aがフレーム41に対して側方Sへ配設された状態から後方Bへ配設された状態になるまで回転することで、板バネ53を全体的にフレーム41に対して前方Fから後方Bへ移動させることが可能である。
【0054】
推進手段60においても同様に、板バネ63を、前部アーム61と後部アーム62の互いの回転方向によって、弾性的に略円弧状に湾曲して側方Sに張り出させる、あるいは、全体的にフレーム41に対して前方Fから後方Bへ移動させることが可能である。なお、図5に示すように、推進手段50、60は、各構成要素が中心軸Lに対して正面視略対称となるように設けられており、各板バネ53、63が側方Sへ張り出す方向も中心軸Lに対して正面視略対称となるように設定されている。また、板バネ53、63の管路の壁面と相対して当接する面には、ゴムで形成された当接部53c、63cが設けられている。なお、図1に示すように、前述の本体カバー40の開口部40cは、各推進手段50、60の板バネ53、63と対応して、進行方向Aに沿って形成されており、各板バネ53、63は、対応する前部アーム51、63及び後部アーム52、62の回転によって前述したように弾性的に湾曲することで側方Sへの張り出し量を変化させて、本体カバー40の開口部40cから突没可能に設定されている。
【0055】
また、図4に示すように、駆動機構70は、回転駆動部であり、往復回転可能な駆動ギア71aを有するサーボモータ71と、中心軸Lと略平行に延設された直動軸72とを備える。直動軸72には、送りネジ72aが形成されており、サーボモータ71の駆動ギア71aと噛み合わされている。また、駆動機構70は、一端73a、74aが推進手段50、60の各前部アーム51、61の基端51d、61dにそれぞれ回転可能に取り付けられた二つの揺動部材73、74を備える。揺動部材73、74は、他端73b、74bにおいて、互いに回転可能に取り付けられている。揺動部材73、74の部材長は、前部アーム51、61のリンク部51b、61bと略等しく設定されており、揺動部材73、74と、リンク部51b、61bとで、パンタグラフが構成されている。すなわち、サーボモータ71を駆動することによって、駆動ギア71aが往復回転するのに伴って、直動軸72は進行方向Aに進退することが可能であり、直動軸72が前進することによって、揺動部材73、74の他端73b、74bを押圧し、前部アーム51、61をそれぞれ側方Sへ回転させることが可能である。また、直動軸72を後退させることによって、前部アーム51、61は、対応する板バネ53、63の復元力が作用して、先端51a、61aがフレーム41に対して前方Fへ配設された状態まで回転することが可能である。
【0056】
同様に駆動機構80も、駆動ギアを有するサーボモータ81と、中心軸L上に延設され、送りネジが形成されるとともに、サーボモータ81の駆動ギアに噛み合わされた直動軸82とを備える。また、後部アーム52、62の基端52d、62dには、略等しい部材長を有する揺動部材83、84の一端83a、84aがそれぞれ回転可能に取り付けられており、揺動部材83、84同士も他端83b、84bで回転可能に取り付けられている。すなわち、サーボモータ81を駆動することによって、直動軸82は進行方向Aに進退することが可能であり、これによって後部アーム52、62を先端がフレーム41に対して後方Bへ配設された状態から側方Sへ配設された状態まで往復回転させることが可能である。このため、駆動機構70、80のサーボモータ71、81を駆動させることにより、各推進手段50、60の前部アーム51、61及び後部アーム52、62を協働して往復回転させることができる。
【0057】
なお、本実施形態においては、サーボモータ71、81を駆動して直動軸72、82を前進させることによって、前部アーム51、61及び後部アーム52、62は、中心軸Lを基準として回転角度θF、θBが最大で60度となるまで側方Sへ回転可能であり、直動軸72、82を後退させることによって、各板バネ53、63の復元力によって連結部7または湾曲部8と近接する位置まで回転可能に設定されている。なお、これらの回転角度及び回転範囲は、適時変更可能なものである。また、図示しないが、各駆動機構70、80のサーボモータ71、81には、電磁クラッチが設けられており、サーボモータ71、81に電力が供給されている場合には、電磁クラッチが作動して動力を駆動ギア71a、81aに伝達させて、直動軸72、82を進退させることができる。また、サーボモータ71、81に電力が供給されていない場合には、電磁クラッチは解除されて、直動軸72、82は板バネ53、63の復元力によって後退してしまう。
【0058】
また、図2及び図4に示すように、各駆動機構70、80のサーボモータ71、81には、それぞれ回転角度を検出可能なエンコーダ71b、81bが設けられており、これによって前部アーム51、61及び後部アーム52、62の回転角度θF、θBを適時検出可能である。また、フレーム41にはモータ制御回路42が設けられており、サーボモータ71、81及びエンコーダ71b、81bと接続されている。さらに、モータ制御回路42は、モータ制御回路42に内蔵された図示しない通信回路(図2に示す符号43)を介して、連結部7に挿通された連結ケーブル7a及び後尾ユニット6と接続される接続ケーブル10aを経由して制御装置10と接続されている。すなわち、各駆動ユニット3は、制御装置10の操作による入力信号に基づいて、モータ制御回路42によってサーボモータ71、81を駆動させること可能である。なお、駆動ユニット3のサーボモータ71、81を駆動するための電力も同様に、連結ケーブル7a及び接続ケーブル10aを介して供給されている。
【0059】
図4に示すように、推進手段50、60及び駆動機構70、80の構成部材には、各構成部材に生じる歪みを検出可能な壁反力検出センサ44が設けられている。より詳しくは、壁反力検出センサ44は、推進手段50、60において、前部アーム51、61の各先端51a、61a、並びに、後部アーム52、62の各先端52a、62aにそれぞれ設けられたアーム部センサ45と、駆動機構70、80の直動軸72、82に設けられた軸部センサ46とで構成されている。図2に示すように、これらの壁反力検出センサ44での検出結果は、センサ信号処理回路47で信号化され、通信回路43から連結ケーブル7a及び接続ケーブル10aを経由して制御装置10へ送信することが可能である。制御装置10へ送信された壁反力検出センサ44の検出結果は、バス12を介してCPU13に入力され、CPU13は、この検出結果から壁反力を算出する。そして、制御装置10のCPU13は、算出されたこの壁反力に基づいて、モータ制御回路42を介してサーボモータ71、81を制御し、各駆動ユニット3における推進手段50、60の板バネ53、63の側方Sへ張り出す量を、最適となるように調整することが可能である。
【0060】
次に、連結部7の詳細について説明する。なお、連結部7は、各駆動ユニット3間及び最後方の第4駆動ユニット34と後尾ユニット6を連結するものであるが、ここでは、第1駆動ユニット31と第2駆動ユニット32とを連結している場合を例として説明し、他の連結部7については同様であるので、その説明を省略する。図6に示すように、連結部7は、略管状の弾性部材であるゴム管で形成され、両端が第1駆動ユニット31及び第2駆動ユニット32の各本体カバー40に固定されている。また、各本体カバー40には、連結部7と連通する開口部40d、40eが形成されている。そして、対をなす第1駆動ユニット31及び第2駆動ユニット32の間には、対応する連結部7の変形状態を検出する連結状態監視部90が設けられている。連結状態監視部90は、後方に位置する第2駆動ユニット32において、フレーム41の前端部41aに設けられた検査光91aを照射する光源91と、前方に位置する第1駆動ユニット31の本体カバー40の開口部40eに設けられて、検査光91aの照射位置を検出する光検出部92とを備える。
【0061】
光源91は、例えばLEDであり、その光軸を第1駆動ユニット31及び第2駆動ユニット32の中心軸Lと一致させるように配置されている。このため、連結部7が変形していない状態では、検査光91aは連結部7の内部を通って光検出部92の中心を照射している。また、第2駆動ユニット32の本体カバー40の開口部40dには、ピンホール93が設けられていて、検査光91aの照射範囲を絞っている。なお、ピンホール93に代えて、レンズを設けるものとしても良い。また、光源91は、図示しないケーブルでモータ制御回路42と接続されていて、電力が供給されている。図8(a)に示すように、光検出部92は、より詳しくは、中心軸Lを中心として4箇所に配置されたフォトダイオード92UL、92UR、92DL、92DRであり、照射された検査光91aの光量に基づいて電圧を検出することが可能である。そして、図2に示すように、光検出部92で検出された電圧は、信号処理回路93で信号化されて、通信回路94を経由して制御装置10に送信される。
【0062】
例えば、図8(a)に示すように、連結部7が変形せずに第1駆動ユニット31と第2駆動ユニット32とが直線状に配列しているとき、光検出部92の各フォトダイオード92UL、92UR、92DL、92DRの検査光91aの照射範囲は略一定であり、すなわち検出される電圧も略一定である。このため、制御装置10は、この検出結果に基づいて、第1駆動ユニット31と第2駆動ユニット32との間の連結部7が変形していないと判断することができる。
【0063】
一方、例えば、図7及び図8(b)に示すように、連結部7が進行方向Aに向って右側に凸に湾曲すると、第1駆動ユニット31及び第2駆動ユニット32同士の位置関係も変化するので、検査光91aの照射範囲は楕円状に変形しながら右側へ移動していく。このため、右側のフォトダイオード92UR、92DRで検出される電圧がしだいに大きくなるとともに、左側のフォトダイオード92UL、92DLで検出される電圧はしだいに小さくなって検出されなくなる。そして、図8(c)に示すように、さらに湾曲することで、検査光91aの照射範囲が光検出部92の範囲外へ移動するので、右側のフォトダイオード92UR、92DRで検出される電圧もしだいに小さくなり、最後に検出されなくなる。すなわち、光検出部92の各フォトダイオード92UL、92UR、92DL、92DRで検出される電圧を比較することによってどの方向に変形しているかが確認できる。さらに、図7に示すように、検出される電圧の大きさに基づいて連結部7の変形状態を表す撓み角φを算定することで、連結部7の変形状態を定量的に確認することができる。ここで、撓み角φは、対象となる駆動ユニット3の中心軸Lと、隣接する駆動ユニット3同士の端部中心を結んだ線L1とのなす角である。なお、上記において、光検出部92としてフォトダイオードを使用したが、PSDセンサを使用してもその検出結果から連結部7の撓み角φを算定することが可能である。また、連結状態監視部90において、光源91が第2駆動ユニット32に設けられ、光検出部92が第1駆動ユニット31に設けられるものとしたが、これに限るものでは無い。いずれか一方に光源91が設けられて、他方で光検出部92で検査光91aを検出可能であれば良い。
【0064】
次に、先頭ユニット5及び湾曲部8の詳細について説明する。図9及び図10に示すように先頭ユニット5の前端部には、観察窓5aが形成されており、前述の撮影手段4が設けられている。撮影手段4は、より詳しくは、前方Fを撮影可能なCCDなどの撮像素子4aを備えている。そして、図2に示すように、撮像素子4aで撮影された画像は、映像信号処理回路4bによって信号化され、通信回路4cによって連結ケーブル7a及び接続ケーブル10aを介して制御装置10に出力可能である。また、図9及び図10に示すように、先頭ユニット5の前端部には、照明装置5bが設けられていて、管路内を照明した状態で撮影手段4によって撮影することが可能である。
【0065】
湾曲部8は、環状に形成された複数の節輪100が連接して構成されていて、その外側をゴムチューブ101で覆っている。隣り合う節輪100同士はピン100aによって回転可能に固定されている。ピン100aによって節輪100同士を固定する向きは、上下方向及び左右方向とで交互に構成されており、これにより湾曲部8は、全体として、上下左右あらゆる方向に湾曲することが可能である。図11に示すように、各節輪100の内部には、上下2箇所の切欠き102a及び左右2箇所の切欠き102bの計4箇所に切欠きが形成された支持板102が嵌め込まれていて、切欠き102aに上下操作ワイヤ103が挿通され、切欠き102bに左右操作ワイヤ104が挿通されている。また、支持板102の中心部には、貫通孔102cが形成されていて、先頭ユニット5と第1駆動ユニット31とを電気的に接続する連結ケーブル8aが挿通されている。
【0066】
図9及び図10に示すように、先頭ユニット5の内部には、減速器105aを有する上下湾曲用モータ105によって回転可能な上下湾曲用プーリ106が設けられている。上下操作ワイヤ103は、この上下湾曲用プーリ106に巻回されている。巻回された上下操作ワイヤ103は、各節輪100の支持板102において、支持部材110に固定された2本の上下用ガイドパイプ109aから上下2箇所の切欠き102aのそれぞれに挿通されている。そして、上下操作ワイヤ103の両端は、第1駆動ユニット31側において、湾曲部8の基端に設けられた固定板8bにワイヤ止め103aによって固定されている。すなわち、上下湾曲用モータ105を駆動させて、上下湾曲用プーリ106をいずれかの方向に回転させることで、上下2箇所の切欠き102aに挿通された上下操作ワイヤ103のいずれか一方が引っ張られた状態に、また他方が弛緩した状態となり、湾曲部8は引っ張られた側に湾曲することができる。
【0067】
同様に、先頭ユニット5の内部には、減速器107aを有する左右湾曲用モータ107と、左右湾曲用モータ107によって回転可能な左右湾曲用プーリ108とが設けられている。左右湾曲用プーリ108には、左右操作ワイヤ104が巻回されている。巻回された左右操作ワイヤ104は、支持部材110に固定された2本の左右用ガイドパイプ109bから各節輪100における支持板102の左右2箇所の切欠き102bのそれぞれに挿通されている。そして、左右操作ワイヤ104の両端は、固定板8bにワイヤ止め104aによって固定されている。このため、左右湾曲用モータ107を駆動させて、左右湾曲用プーリ108をいずれかの方向に回転させることで、左右2箇所の切欠き102bに挿通された左右操作ワイヤ104のいずれか一方が引っ張られた状態に、また他方が弛緩した状態となり、湾曲部8は引っ張られた側に湾曲することができる。
【0068】
図2に示すように、上下湾曲用モータ105及び左右湾曲用モータ107には、それぞれ、回転角度を検出可能なエンコーダ105b、107bが設けられており、それぞれモータ制御回路111と接続されている。モータ制御回路111は、通信回路112を介して連結ケーブル8aと接続されている。このため、制御装置10においては、エンコーダ105b、107bの出力結果から湾曲部8の湾曲状態を定量的に表す湾曲角ψを確認することが可能であるとともに、制御装置10からの入力によって上下湾曲用モータ105及び左右湾曲用モータ107を駆動させて、自在に湾曲させることが可能である。ここで、図1に示すように、湾曲角ψは、第1駆動ユニット31の中心軸Lと、第1駆動ユニット3の端部中心と先端ユニット5の端部中心とを結んだ線L2とのなす角である。なお、図2に示すように、後尾ユニット6も撮影手段4を備えているが、先頭ユニット5と同様であるのでその説明を省略する。
【0069】
次に、走行装置本体2の各構成要素の作用、及び、制御装置10による制御の詳細について説明する。まず、図12から図15に基づいて、走行装置本体2が各駆動ユニット3によって推進力を発生させて管路P内を走行する詳細について説明する。図12に示すように、管路Pの内部に配置された管内走行装置1の走行装置本体2において、各駆動ユニット3は、各推進手段50、60の前部アーム51、61及び後部アーム52、62のそれぞれで、回転角θF、θBが最小、すなわち、各連結部7と最も近接した位置となっている。この状態において、移動用ジョイスティック18を前進するように入力すれば、この入力信号が制御装置10から各駆動ユニット3のモータ制御回路42に伝送されて、モータ制御回路42は、走行状態として、サーボモータ71、81を駆動させる。まず、推進運動として、後部アーム52、62と対応したサーボモータ81(図示せず)のみを所定の回転角度だけ回転させることで、図13に示すように、後部アーム52、62を側方Sへ、回転角度θBが最大値60度となる位置まで回転させる。
【0070】
この状態においては、推進手段50の前部アーム51の先端51aと後部アーム52の先端52aとの間が狭まって、板バネ53は、弾性的に湾曲して、側方Sに張り出して壁面P1を押圧する。この際、板バネ53は、前部アーム51及び後部アーム52に、それぞれ回転可能に取り付けられていることで、柔軟に、かつ、略円弧状に湾曲することが可能であり、壁面P1の形状に応じて弾性的に変形して壁面P1を押圧する。また、推進手段60においても同様に、前部アーム61の先端61aと後部アーム62の先端62aとの間が狭まって、板バネ63は、弾性的に略円弧状に湾曲して、側方Sに張り出すとともに、壁面P1の形状に応じて弾性的に変形して壁面P1を押圧する。このように、推進手段50、60の板バネ53、63が壁面P1を押圧することで、壁面P1と板バネ53、63との間には、摩擦による拘束力が発生する。この際、板バネ53、63の当接している面には、ゴムで形成された当接部53c、63cが設けられているので、摩擦による拘束力をさらに効果的に発生させることができる。なお、当接部としては、ゴムで形成されたものに限らず、例えば、表面が粗面処理されているなど、少なくとも摩擦係数を増大させるような処理が施されていれば、同様の効果を期待することができる。
【0071】
次に、図14及び図15に示すように、サーボモータ71、81の両方を駆動して、直動軸72を前進させる一方、直動軸82(図示せず)を後退させることで、前部アーム51、61を先端51a、61aが側方Sへ回転角度θFが最大(60度)となる位置まで、後部アーム52、62を後方Bへ回転角度θBが最小となる位置(連結部7と最も近接した位置)まで、略等しい回転速度で回転させる。このようにすることで、板バネ53、63は、壁面P1を押圧した状態で、フレーム41に対して相対的に前方Fから後方Bへ移動しようとする。この際、推進手段50、60の板バネ53、63は、壁面P1に摩擦によって拘束を受けているので、結果として、反力によってフレーム41は、前方Fへ推進力を受け、駆動ユニット3全体を進行方向Aの前方Fへ走行させることができる。次に、復帰運動として、サーボモータ71のみを駆動して、前部アーム51、61を前方Fへ回転角度θFが最小となる位置(連結部7と最も近接する位置)まで回転させることで、図12に示す初期状態に戻って、再度推進運動を行って、駆動ユニット3を走行させることができる。
【0072】
すなわち、各駆動ユニット3において、推進手段50、60が、走行状態として、推進運動と復帰運動とのサイクルを繰り返すことで、1サイクルごとに、推進運動時における推進手段50、60の進行方向A前方Fから後方Bへのストローク量に応じて、駆動ユニット3全体を進行方向Aの前方Fに走行させることができる。また、推進手段50、60の各板バネ53、63は、壁面に応じて弾性変形可能である。このため、管路Pの壁面P1が局所的に変形している場合、段差が生じている場合、あるいは壁面P1に障害物などが付着している場合などでも、板バネ53、63が対応する位置で弾性変形して吸収することで、容易に乗り越えることができる。また、推進運動時における推進手段50、60の板バネ53、63の側方Sへ張り出す量を一定量増大させることで、板バネ53、63の弾性変形量を増大させて、壁面P1と板バネ53、63との間に生じる摩擦力を増大させることもできる。このようにすることで、壁面P1が平滑に形成されている場合でも、壁面P1上で板バネ53、63が滑動してしまうことなく、推進運動時における推進手段50、60の推進力を効率良くフレーム41に伝達させて走行することもできる。
【0073】
また、走行装置本体2は、このような駆動ユニット3を4基備えていることで、駆動ユニット3毎に推進力を発生させることができる。このため、局所的に管路Pの壁面P1が滑りやすい状態にあったとしてもいずれかの駆動ユニット3が好適に推進力を発生させることができるため、効率的に走行することができる。また、各駆動ユニット3を連結する連結部7が弾性変形可能なゴム管で形成されていることで、障害物等によっていずれかの駆動ユニット3に側方Sに向って外力が作用しても、連結部7は、自己の復元力によって直線状態に戻ろうとするので、直進安定性を良好なものとすることができる。なお、上記のように走行している間、制御装置10のCPU13は、各駆動ユニット3において、エンコーダ71b、81aによるサーボモータ71、81の回転角度の検出結果、及び、壁反力検出センサ44によって検出される各構成部材に作用する壁反力を監視し、また、各連結部7において、連結状態監視部90による検出結果から各連結部7の撓み角φを算定し、その変形状態の監視を行っている。
【0074】
図16から図19は、走行装置本体2が曲管Rを走行する場合を示している。図16に示すように、走行装置本体2を走行させて曲管Rに進入する場合、作業者は、先頭ユニット5の撮影手段4で撮影された画像を元に先端湾曲用ジョイスティック19を操作することで、湾曲部8を曲管Rに合せて湾曲させて走行装置本体2を走行させる。そして、さらに前進することによって、第1駆動ユニット31と第2駆動ユニット32との間の連結部7は、曲管Rの軸方向の形状に従って弾性的に湾曲していく。このため、各駆動ユニット3は曲管Rの軸方向の形状に応じて推進力を発生させて円滑に走行することができる。この際、制御装置10のCPU13は、湾曲部8の湾曲角ψが予め設定された許容湾曲角ψmaxより大きい値を示しているかどうか、また、各連結部7の撓み角φnが予め設定された許容撓み角φmaxより大きい値を示しているかどうかの監視を行い、対応する駆動ユニット3の制御を行う。以下に、制御装置10による制御の詳細を示す。なお、撓み角φnに付された符号nは、各連結部7を通し番号で表わしたものであり、第1駆動ユニット31と第2駆動ユニット32との間の連結部7の撓み角を符号φ1(n=1)として以下順に付し、第4駆動ユニット34と後尾ユニット6との間の連結部7の撓み角を符号φ4としたものである。
【0075】
まず、前側に湾曲部8を有する第1駆動ユニット31の場合について説明する。図16に示すように、制御装置10のCPU13は、第1駆動ユニット31の前後に隣接して連結している湾曲部8及び連結部7の監視を行う。すなわち、図17に示すように、湾曲部8のエンコーダ105b、107b(図2、図10))の検出結果から湾曲角ψを算定し、湾曲角ψと予め設定されている許容湾曲角ψmaxとの比較を行う(STEP1)。また、後方に接続する連結部7において、連結状態監視部90の光検出部92(図2、図6)の検出結果から撓み角φ1を算定し、撓み角φ1と予め設定されている許容撓み角φmaxとの比較を行う(STEP2)。ここで、許容湾曲角ψmax及び許容撓み角φmaxは曲管Rの曲率半径と対応するもので、湾曲角ψ及び撓み角φnのそれぞれが許容湾曲角ψmax及び許容撓み角φmaxより大きい値を示すことで、一定の曲率半径以下の曲管に位置して変形していることを示している。すなわち、湾曲部8の湾曲角ψが許容湾曲角ψmax以下である場合、制御装置10のCPU13は、第1駆動ユニット31が直線状に形成された管路を走行している、若しくは、曲率半径の大きい曲管を走行しているものと判断して引き続き第1駆動ユニット31を走行状態に保ち走行させる(STEP3)。さらに、湾曲部8の湾曲角ψが許容湾曲角ψmaxより大きくなったとしても、その後方の連結部7の撓み角φ1が許容撓み角φmax以下であるならば、第1駆動ユニット31自体は依然曲管Rに達していないとして、走行状態を保たせる(STEP3)。
【0076】
そして、湾曲部8の湾曲角ψが許容湾曲角ψmaxより大きく、かつ、連結部7の撓み角φ1が許容撓み角φmaxより大きくなった場合には、制御装置10のCPU13は、第1駆動ユニット31が一定の曲率半径以下の曲管Rに位置していると判断して、第1駆動ユニット31のサーボモータ71、81への電力の供給を停止させる(STEP4)。このため、サーボモータ71、81に内蔵された電磁クラッチが解除される。電磁クラッチが解除されることで、前述のように、駆動機構70、80からの駆動力が伝達されなくなるので、図16に示すように、板バネ53、63の復元力によって前部アーム51、61は前方Fへ回転し、後部アーム52、62は後方Bへ回転し、これにより各板バネ53、63は本体カバー40の内部に格納された状態となる(格納状態)。このため、第1駆動ユニット31は、自己の推進手段50、60によって走行を阻害するような力を発生させること無く、抵抗を小さくして曲管R内を通過可能とすることができる。一方、後方に位置する他の駆動ユニット3は走行状態にあるので、推進力を発生させて、第1駆動ユニット31を曲管Rに押し込むようにして走行することができる。
【0077】
次に、両側を連結部7で連結された他の駆動ユニット3(第2駆動ユニット32、第3駆動ユニット33、及び、第4駆動ユニット34)について説明する。図18及び図19に示すように、制御装置10のCPU13は、第1駆動ユニット31同様に、両側の連結部7の変形状態、すなわち、撓み角φが許容撓み角φmaxよりも大きいかどうかについて監視を行う(STEP5、STEP6)。そして、前側の連結部7の撓み角φn−1、及び、後側の連結部7の撓み角φnが、ともに許容撓み角φmaxよりも大きい場合に、制御装置10のCPU13は、対象となる駆動ユニット3が一定の曲率半径以下の曲管Rに位置していると判断して駆動ユニット3の推進手段50、60を格納状態にする(STEP7)。このため、曲管Rに位置している駆動ユニット3は、前側に位置する駆動ユニット3によって牽引されるとともに、後側に位置する駆動ユニット3によって押し込まれることで、抵抗を小さくして曲管Rを通過することができる。なお、連結部7が弾性変形可能なゴム管で形成されていることで、曲管Rに位置する場合には曲管Rの軸方向の形状に応じて弾性的に湾曲することができ、円滑に走行することができる。一方、直線部分に達した際は、自己の弾性によって復元するので、良好な直進走行性を得ることができる。
【0078】
なお、上記において、許容撓み角φmax及び許容湾曲角ψmaxは、最適な値を選択可能なものであるが、対象となる駆動ユニット3の前後の連結部7及び湾曲部8において、許容撓み角φmax及び許容湾曲角ψmaxを異なるものとしても良い。また、各推進手段50、60において、図示しない電磁クラッチを解除して格納状態にするものとしたが、サーボモータ71、81の回転角度を復帰運動の状態で強制的に停止させて格納状態にしても良い。さらには、撓み角φn及び湾曲角ψに変化に応じて推進手段50、60を格納状態にするものとしたが、走行状態のまま推進手段50、60の張出し量を小さくするだけでも抵抗を小さくして通過させることは可能である。
【0079】
図20及び図21は、狭隘部Q1を有する管路Qを走行する場合を示している。図20に示すように、管路Qを走行する際には、走行状態にある各駆動ユニット3は、前述のように、各推進手段50、60の板バネ53、63を側方Sに張り出して、壁面Q2を押圧することで推進力を発生させて走行する。このため、板バネ53、63を側方Sへ張り出す量を一定にして走行すれば、狭隘部Q1においては、板バネ53、63はより大きく弾性変形して、壁面Q2からより大きな壁反力Nが作用することになる。そして、走行装置本体2が走行している間、制御装置10のCPU13は、各駆動ユニット3の壁反力検出センサ44から出力される検出結果に基づいて壁反力Nを算出し、この壁反力Nの監視を行う。この際、壁反力検出センサ44は、一部材に生じる歪みのみから算出するのではなく、推進手段50、60の各前部アーム51、61及び後部アーム52、62に生じる歪み、及び、駆動機構70、80の直動軸72、82に生じる歪みから算出することができる。このため、より正確に壁反力Nを算出することができる。
【0080】
そして、制御装置10のCPU13は、駆動ユニット3毎に、算出された壁反力Nと、予め設定された上限値Nmax及び下限値Nminとの比較を行う。ここで、上限値Nmax及び下限値Nminは、駆動ユニット3の推進手段50、60が走行状態において推進運動を行う際に、好適に推進力を発生させることが可能な場合に生じる壁反力Nの範囲を示すものである。駆動ユニット3の推進手段50、60は、壁反力Nが上限値Nmaxよりも大きくなることで、負荷が大きくなってしまい、推進運動を好適に行えなくなってしまう。一方、壁反力Nが下限値Nminよりも小さくなることで、推進手段50、60と壁面Q2との間に生じる摩擦力が低下し、壁面Q2から好適に推進力を発生させることができなくなってしまう。すなわち、図21に示すように、算出される壁反力Nが上限値Nmaxより大きい場合(STEP8)には、対応する駆動ユニット3の駆動機構70、80のサーボモータ71、81の往復回転する回転範囲を小さくする。このため、推進手段50、60の前部アーム51、61の回転角度θF及び後部アーム52、62の回転角度θBは小さくなり、板バネ53、63の側方Sへ張り出す量を小さくして好適な推進力を発生させることができるようになる(STEP9)。一方、壁反力が下限値Nminよりも小さい場合(STEP10)には、対応する駆動ユニット3の駆動機構70、80のサーボモータ71、81の往復回転する回転範囲を大きくすることで、推進手段50、60の板バネ53、63の側方Sへ張り出す量を大きくして好適な推進力を発生させることができるようになる(STEP11)。
【0081】
なお、各駆動ユニット3で算出される壁反力Nに基づく、各駆動ユニット3の推進手段50、60の側方Sへ張り出す量の制御方法は、上記に限られるものでは無い。例えば、狭隘部Q1を通過する際には、通過中の駆動ユニット3の推進手段50、60を走行状態から格納状態とするとともに、狭隘部Q1の前後に位置する他の駆動ユニット3によって推進力を発生させて、格納状態にある駆動ユニット3を牽引、または、押し込んで通過させるものとしても良い。このような場合には、図22に示すように、同様に、壁反力Nと、上限値Nmax及び下限値Nminとの比較を行う(STEP8、STEP10)。そして、壁反力Nが上限値Nmaxよりも大きい場合には、さらに、上限値Nmaxよりも大きい値を示した状態で予め設定された時間を経過したどうかの監視を行う(STEP12)。そして、一定時間経過する前に上限値Nmaxよりも小さい値を示した場合には、狭隘部Q1が局所的で、通過したものとして走行状態を保つ。また、一定時間経過した場合には、駆動ユニット3が狭隘部Q1に位置しているものとして、対応する駆動ユニット3を格納状態にさせる(STEP13)。そして、STEP14に示すように、一定時間格納状態を保った後に、再度走行状態にして、再び壁反力Nの監視を行う。制御装置10による制御をこのような制御方法にすれば、管路の局所的変化に対しては影響を受けずに安定した走行状態を保つとともに、一定の延長を有する狭隘部Q1に対しては、対応する駆動ユニット3を格納状態として、抵抗を小さくして狭隘部Q1を通過させることができる。
【0082】
図23は、分岐路M1を有する管路Mにおいて、分岐路M1へ進路を変更する場合を示している。図23(a)に示すように、先頭ユニット5が分岐点M2に達した場合、作業者は、先頭ユニット5の撮影手段4で撮影された画像を元に先端湾曲用ジョイスティック19を操作することで、湾曲部8を湾曲させて先頭ユニット5を分岐路M1側へ向けることができる。そして、図23(b)に示すように、先頭ユニット5は、後方に位置する駆動ユニット3の推進力によって分岐路M1へ押し込められる。さらに走行することで、図23(c)に示すように、第1駆動ユニット3が分岐点M2に達する。この際、第1駆動ユニット31は、先頭ユニット5及び湾曲部8によってガイドされることによって、自身の向きを分岐路M1側に向け、後方に位置する連結部7も対応して変形する。そして、前述のように湾曲部8の湾曲角ψが許容湾曲角ψmaxより大きくなり、さらに連結部7の撓み角φ1が許容撓み角φmaxよりも大きくなった場合、制御装置10のCPU13は、第1駆動ユニット31を格納状態として、後方の他の駆動ユニット3の推進力によって分岐点M2を通過させることができる。図23(d)に示すように、第2駆動ユニット32においても同様に、制御装置10のCPU13は、前後の各連結部7の撓み角φ1、φ2が許容撓み角φmaxよりも大きい場合には、第2駆動ユニット32を格納状態として、前後の他の駆動ユニット3の推進力によって分岐点M2を通過させることができる。
【0083】
以上のように、管内走行装置1においては、走行装置本体2を複数の駆動ユニット3を、管路の軸方向の形状に応じて変形可能な連結部7で連結し、その変形状態を連結状態監視部90で監視して制御装置10によって各駆動ユニット3の推進手段50、60を制御することで、管路の軸方向の形状に応じて好適に推進力を発生させることができる。このため、曲管などにおいても滞留することなく、好適に推進力を伝達させて走行することができる。特に、先頭ユニット5を有して、駆動ユニット3の内、最も前方に位置する第1駆動ユニット31と湾曲部8で連結することで、分岐路を有する管路でも自在に走行することができる。
【0084】
なお、本実施形態において、管内走行装置1の走行装置本体2は、4基の駆動ユニット3を有するものとしたが、駆動ユニット3の基数は適時変更可能なものである。少なくとも複数基の駆動ユニット3を有することで、いずれかが格納状態であったとしても、他の駆動ユニット3によって推進力を発生することができる。また、各駆動ユニット3の制御は、各検出結果に基づいて制御装置10によって一括して制御するものとしたが、これに限るものでは無い。各駆動ユニット3のモータ制御回路42において、それぞれ独立して、各々の検出結果に基づいて推進手段50、60を制御するものとしても良い。
【0085】
また、各駆動ユニット3の推進手段50、60は、走行状態において、駆動ユニット3毎に、所定の位相差を有して推進運動と復帰運動を繰り返ものとしても良い。すなわち、図24(a)に示すように、制御装置10によって、第1駆動ユニット31及び第3駆動ユニットが同期して推進運動を行っている際に、第2駆動ユニット32及び第4駆動ユニット34は、第1駆動ユニット31及び第3駆動ユニットと180度の位相差をもって復帰運動を行わせるようにする。このため、図24(b)に示すように、第1駆動ユニット31及び第3駆動ユニット33が推進運動から復帰運動に移行しようとする際に、第2駆動ユニット32及び第4駆動ユニット34は復帰運動から推進運動に移行する。そして、図24(c)に示すように、第1駆動ユニット31及び第3駆動ユニット33が復帰運動を行っている間に、第2駆動ユニット32及び第4駆動ユニット34が推進運動を行って推進力発生させる。次に、図24(d)に示すように、第2駆動ユニット32及び第4駆動ユニット34が推進運動から復帰運動へ移行しようとする際に、第1駆動ユニット31及び第3駆動ユニット33を復帰運動から推進運動に移行する。以上のように、複数の駆動ユニット3を位相差をもって推進運動と復帰運動を繰り返させることで、いずれかの駆動ユニット3で推進力を発生させて走行することができる。このため、図24に示すように垂直な管路、あるいは傾斜を有する管路においても、重力に対抗して走行することができる。
【0086】
また、図25に示すように、管路の周方向に対して各駆動ユニット3の向きを異なるものとしても良い。このようにすることで、走行状態において、駆動ユニット3毎に管路の周方向に異なる位置の壁面から推進力を発生させて走行することができる。このため、断面が略円形で無い管路、例えば断面が楕円形の管路においては、いずれかの駆動ユニット3の推進手段50、60の張り出す方向が楕円形の長径に方向に一致して好適に壁面を押圧することができなかったとしても、他の駆動ユニット3が楕円形の短径の方向に一致して好適に壁面を押圧して推進力を発生させることができる。
【0087】
図26は、先頭ユニット、及び、先頭ユニットと第1駆動ユニット31との連結部分の変形例を示している。図26に示すように、先頭ユニット120と第1駆動ユニット31とは、各駆動ユニット3同士を連結するのと同様に、ゴム管で形成された連結部7で連結され、連結状態監視部90が設けられている。このように、先頭ユニット120と第1駆動ユニット31との連結部分が、能動的に変形する前述の湾曲部8では無く、受動的に変形する連結部7であっても良い。この場合でも、先頭ユニット120は曲管に応じて連結部7が変形することで、向きを変えて曲管を通過することができる。また、第1駆動ユニット31は、先頭ユニット120及び第2駆動ユニット32のそれぞれと連結する各連結部7の変形状態を各連結状態監視部90で監視することによって、走行状態から格納状態にして曲管を通過させることができる。
【0088】
(第2の実施形態)
図27及び図28は、この発明に係る第2の実施形態を示している。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0089】
図27に示すように、この実施形態の管内走行装置において、走行装置本体130の各駆動ユニット3同士は、コイルパイプである連結部131で連結されている。連結部131のコイルパイプは、外力が作用しない状態において、金属線131aが隙間131bを有して螺旋状に巻き回されて形成されている。また、各駆動ユニット3間には、連結部131の変形を規制する規制手段132が設けられている。規制手段132は、連結部7に挿通された規制ワイヤ133と、規制ワイヤ133を巻回可能な牽引機構134とを備える。規制ワイヤ133は、光検出部92及びピンホール93に形成された各貫通孔92a、93aから、連結状態監視部90の光源91による検査光91aと干渉しない位置で、連結部131に挿通されている。規制ワイヤ133の一端133aは、後側に位置する駆動ユニット3のフレーム41の前端部41aに固定されている。また、牽引機構134は、略円筒状で、前側に位置する駆動ユニット3のフレーム41の後端部41bに回転可能に設けられたドラム135と、ドラム135を回転駆動する図示しないモータとで構成されている。ドラム135には、規制ワイヤ133の他端133bが巻きつけられている。また、牽引機構134のモータは、連結ケーブル7a及び接続ケーブル10aを介して制御装置10と接続されていて、制御装置10のCPU13による制御のもと、所定角度だけ正反回転することが可能である。なお、牽引機構134を後側の駆動ユニット3に設けて牽引する構成としても良い。
【0090】
このような連結部131及び規制手段132を有する走行装置本体130では、規制手段132の牽引機構134によって規制ワイヤ133を巻き取って規制ワイヤ133を緊張状態にすることで、連結部131は圧縮されて剛性が高められた状態となる。このため、直線状に形成された管路を走行する際には、規制ワイヤ133を緊張状態にすることで、連結部131を容易に変形しないようにすることができ、直進走行性を向上させることができる。また、図28に示すように、曲管Rにおいては、連結部131に挿通された規制ワイヤ133を弛緩状態にすることで、曲管Rの軸方向の形状に応じて連結部131を変形させて走行することができる。ここで、連結部131を形成するコイルパイプは、弾性的に変形可能であるとともに、一定の撓み角以上で変形した場合には、一定の大きさ以上、復元力が大きくならなくなる特性を有する。このため、直線状の管路においては良好な直進安定性を有し、また、一定の曲率半径以上の曲管においては、曲管の曲率半径に略比例した復元力を有して変形し、管路の軸方向の形状に応じて、走行性を良好なものとして円滑に通過することができる。一方、一定の曲率半径以下の曲管においては、復元力を略一定として変形できるので、復元力を抑えて管路の軸方向の形状に応じて柔軟に変形して、円滑に通過することが可能となる。
【0091】
(第3の実施形態)
図29から図32は、この発明に係る第3の実施形態を示している。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0092】
図29に示すように、この実施形態の管内走行装置において、走行装置本体140の各駆動ユニット3同士は、ゴム管で形成された連結部7で連結されているとともに、その間には、連結部7の変形状態を検出する連結状態監視部141が設けられている。連結状態監視部141は、前側に位置する駆動ユニット3の本体カバー40に設けられた第1電極142と、本体カバー40の内部で第1電極142と進行方向Aに間隔を有して配置された支持板143と、支持板143に第1電極142と対応して設けられた第2電極144とを備える。第1電極142は、前側の駆動ユニット3の本体カバー40の後端部40fにおいて、接続された連結部7の外周上で上下左右4箇所に配列して設けられている。また、支持板143と本体カバー40の後端部40fとの間には、付勢手段である複数のバネ145が設けられ、これにより支持板143は、第1電極142との間に間隔を有した状態で配置されている。
【0093】
図30は、支持板143の正面図を示している。図30に示すように、第2電極144は、第1電極142と相対する位置で上下左右に計4箇所設けられている。また、連結部7には、4本の可撓性を有するワイヤ用シース146が挿通されていて、各ワイヤ用シース146は、上下左右、第1電極142と対応する位置で連結部7の内周面に固定されていて、検出ワイヤ147が挿通されている。後側の駆動ユニット3において、本体カバー40の前端部40gには固定板148が固定されていて、ワイヤ止め147aによって検出ワイヤ147の一端が固定されている。また、支持板143には、ワイヤ止め147bによって検出ワイヤ147の他端が固定されている。外力が作用せずに、連結部7が直線状である状態で、検出ワイヤ147は緊張した状態であり、支持板143はバネ145によって進行方向Aに付勢された状態にある。そして、対をなす第1電極142及び第2電極144の各々は、前側の駆動ユニット3のフレーム41に設けられた静電容量検出器149と接続されていて、この静電容量検出器149によって対をなす第1電極142と第2電極144との間の各静電容量を検出することが可能である。
【0094】
また、駆動ユニット3の間には、規制手段150が設けられている。規制手段150は、可撓性を有し、連結部7に挿通されて、両端が支持板143及び固定板148に固定されたシース151と、シース151の内部に所定の間隔153を有して配列している複数の磁性体152とを備える。支持板143には貫通孔143aが形成されていて、シース151と連通している。磁性体152の内、最も後方に位置する磁性体152aは、固定板148に固定されている。また、最も前方に位置する磁性体152bは、支持板143の貫通孔143aから突出し、前方に位置する駆動ユニット3のフレーム41の後端部41bに固定されている。また、規制手段150は、磁性体152bに巻かれたコイル154aと、コイル154aに電流を供給可能な電源154bとで構成された電磁石154を備える。電源154bは、図示しない連結ケーブル及び接続ケーブル10aを介して制御装置10と接続されていて、制御装置10のCPU13の制御のもと、コイル154aに電流を供給することが可能である。
【0095】
走行装置本体140において、管路の軸方向の形状に応じて連結部7が変形することで、隣り合う駆動ユニット3同士の位置関係も変化する。例えば、図31に示すように、曲管を通過する場合、連結部7は湾曲し、駆動ユニット3間の距離は、曲管の外側S1で広がり、内側S2で縮まる。このため、曲管の外側S1においては、支持板143が検出ワイヤ147に引っ張られることで、第1電極142と第2電極144との距離が縮まって静電容量が大きくなる。一方、曲管の内側S2においては、検出ワイヤ147が弛緩しようとすることで、バネ145の付勢によって第1電極142と第2電極144との距離が広がって静電容量は小さくなる。すなわち、静電容量検出器149によって、複数の対をなす第1電極142と第2電極144との間の静電容量を検出することで、連結部7の変形状態を検出することができる。なお、電磁石154が磁界を形成しない状態では、磁性体152が間隔153を有して配列しているので、シース151は自由に変形することが可能である。このため、曲管を通過する場合、連結部7は自己の有する可撓性により変形可能であり、管路の軸方向の形状に応じて連結部7を変形させて円滑に走行することを可能としている。
【0096】
一方、図32に示すように、規制手段150の電源154bによってコイル154aに電流を供給することで、磁性体152の配列する方向に磁界が形成される。このため、複数の磁性体152同士は互いに引き付けあってシース151の内部で一体となる。すなわち、駆動ユニット3同士は、直線状に配列した磁性体152によって拘束された状態となるので、連結部7の変形は規制される。このため、直線状に形成された管路を走行する際には、電磁石154で磁界を形成することで、連結部131の変形は規制され、直進走行性を向上させることができる。
【0097】
なお、連結状態監視部141の第1電極142及び第2電極144、並びに、規制手段150の検出ワイヤ147は、各々4つずつ設けられるものとしたが、これに限ることは無い。少なくとも、それぞれ複数設けることで、連結部7の変形に応じて、その変形状態を検出することが可能である。また、連結状態監視部141の第1電極142及び第2電極144、並びに、規制手段150の電磁石154は、前側の駆動ユニット3に設けられるものとしたが、それぞれ、前後いずれかの駆動ユニット3に設けられていれば良い。
【0098】
(第4の実施形態)
図33及び図34は、この発明に係る第4の実施形態を示している。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0099】
図33に示すように、この実施形態の管内走行装置において、走行装置本体160の駆動ユニット3同士は、ゴム管で形成された連結部7で連結されているとともに、その間には、連結部7の変形状態を検出する連結状態監視部161が設けられている。連結状態監視部161は、連結部7に挿通された複数の検出ワイヤ162と、各検出ワイヤ162に生じる歪みを検出可能なワイヤ状態検出部である歪みゲージ163を備える。検出ワイヤ162は、図示しないが、連結部7の内部において、連結部7の周方向に略等しい間隔となるように4本設けられている。各検出ワイヤ162の一端は、後側の駆動ユニット3の本体カバー40の前端部40gに固定された固定板148に、ワイヤ止め162aによって固定されている。また、各検出ワイヤ162の他端に歪みゲージ163が取り付けられていて、歪みゲージ163は、固定部材164によって、前側の駆動ユニット3の本体カバー40の後端部40fに固定されている。各歪みゲージ163は、図示しない連結ケーブル及び接続ケーブル10aを介して制御装置10と接続されていて、各検出結果を制御装置10に入力可能である。
【0100】
また、駆動ユニット3の間には、規制手段165が設けられている。規制手段165は、前側の駆動ユニット3に設けられて、後側の駆動ユニット3に向って配設されたストッパ166と、ストッパ166を進行方向Aに進退させることが可能なスライド機構167とを備える。ストッパ166は、進行方向Aに沿って配設された複数の当接部材168と、複数の当接部材168を基端168aで固定する支持部材169とを備える。当接部材168は、図示しないが、連結部7の外周側において、周方向に略等しい間隔で4本配設されている。また、各当接部材168において、支持部材169と本体カバー40との間にはバネ170が設けられている。スライド機構167は、ストッパ166の支持部材169に当接するとともに、前側の駆動ユニット3のフレーム41の後端部41bに回転可能に固定されたカム171と、カム171を回転駆動させる図示しないモータとを備える。そして、ストッパ166は、連結部7が直線状に形成された状態において、カム171の回転によって、当接部材168の先端168bが後側の駆動ユニット3の本体カバー40と、所定の隙間を有した状態から当接した状態までの範囲で進退することが可能である。また、スライド機構167のモータは、図示しない連結ケーブル及び接続ケーブル10aを介して制御装置10と接続されていて、制御装置10のCPU13による制御のもと、所定角度だけ正反回転することが可能である。このため、規制手段165のストッパ166は、制御装置10のCPU13の制御のもと、進行方向Aに自在に進退することができる。
【0101】
すなわち、図33に示すように、制御装置10の制御のもと、連結部7が直線状に形成された状態で、当接部材168の先端168bが本体カバー40に当接する位置まで、ストッパ166を進出させることで、連結部7は変形を規制された状態となる。このため、直線状に形成された管路においては、直進安定性を良好なものとすることができる。
【0102】
また、図34に示すように、後側の駆動ユニット3の本体カバー40と当接部材168の先端168bとが隙間を有した状態とすることで、当接部材168の先端168bが本体カバー40に当接するまで連結部7を変形させることが可能であるとともに、それ以上変形しないように規制することができる。さらに、当接部材168の先端168bと本体カバー40との隙間を調整すれば、変形可能な量を調整することも可能である。このため、隙間に応じて一定の曲率半径の曲管までは自在に変形して走行可能であるとともに、隙間と対応した曲率半径では、連結部7の剛性を高めることができ、曲管における走行性を向上させることができる。
【0103】
また、管路の軸方向の形状に従って連結部7が変形すると、その変形に応じて、隣り合う駆動ユニット3同士の位置関係も変化する。例えば、曲管を通過する際には、曲管の外側S1に位置する検出ワイヤ162bは、引っ張り力が作用して緊張した状態になるとともに、曲管の内側S2に位置する検出ワイヤ162cは、弛緩した状態となる。このため、検出ワイヤ162に生じている歪みを、歪みゲージ163によって検出することで、連結部7の変形状態を検出することができる。
【0104】
なお、連結状態監視部161の検出ワイヤ162及び歪みゲージ163は、4つ設けられるものとしたが、これに限ることは無く、少なくとも複数設けることで、各歪みゲージ163で検出された結果をもとに連結部7の変形状態を検出することが可能である。規制手段165において、ストッパ166の当接部材168についても4つ設けられるものとしたが、少なくとも複数設けられることで連結部7の変形を規制することができる。なお、当接部材168を単一のものとして筒状に形成したとしても同様の効果が得られる。さらに、連結状態監視部161の歪みゲージ163、及び、規制手段165は、前側の駆動ユニット3に設けられるものとしたが、後側に設けられるものとしても良い。また、連結状態監視部161において、ワイヤ状態検出部として、歪みゲージ163に代えて応力を検出可能なセンサ、例えばピエゾ抵抗素子などを設けても良い。この場合も検出される応力によって連結部の変形状態を検出することが可能である。さらには、駆動機構70、80のサーボモータ71、81の電流値を検出する電流検出手段を設けるものとしても良い。壁反力が増大する場合には、各サーボモータ71、81の電流値も増大するので、これによっても壁反力を算出することが可能である。
【0105】
(第5の実施形態)
図35は、この発明に係る第5の実施形態を示している。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0106】
図35は、この実施形態の管内走行装置における、走行装置本体の各駆動ユニット180の内部構造を示している。図35に示すように駆動ユニット180は、フレーム41と、推進手段181、191と、推進手段181、191を駆動する駆動機構200、210とを備える。なお、第一の実施形態同様に、駆動ユニット180は、本体カバー40を備えるが、省略している。推進手段181の前部アーム51は、フレーム41の前端部41aにおいて、一面41cで回転可能に軸着されている。また、後部アーム52は、フレーム41の後端部41bにおいて、一面41cと対向する他面で回転可能に軸着されている。推進手段191の前部アーム61は、フレーム41の前端部41aにおいて、一面41cで推進手段181の前部アーム51と並列した位置で回転可能に軸着されている。また、後部アーム62は、フレーム41の後端部41bにおいて、他面で推進手段181の後部アーム52と並列した位置で回転可能に軸着されている。そして、推進手段181、191の前部アーム51、61の基端51d、61dには、互いに噛合するアームギア51e、61eが設けられていて、協働して回転可能である。同様に後部アーム52、52の基端52d、62dにも、互いに噛合するアームギア52e、62eが設けられていて、協働して回転可能である。
【0107】
また、駆動機構200は、フレーム41の一面41cに設けられたサーボモータ201と、サーボモータ201によって回転可能な回転リンク部材202とを備える。サーボモータ201は、モータ制御回路42に接続されている。また、駆動機構200は、前部アーム61の基端61eにおいて前部アーム61とともに回転可能に同軸に固定された揺動リンク部材203と、一端204aが揺動リンク部材203の先端203aに回転可能に取り付けられているとともに、他端204bが回転リンク部材202の先端202aに回転可能に取り付けられた連接リンク部材204とを備える。すなわち、駆動機構200は、フレーム41と、回転リンク部材202と、連接リンク部材204と、揺動リンク部材203とで四リンク列を構成し、サーボモータ201の往復回転によって推進手段181、191の前部アーム51、61を所定の回転速度、回転角度、回転範囲で往復回転させることが可能である。
【0108】
同様に、駆動機構210は、フレーム41に設けられ、モータ制御回路42に接続されたサーボモータ211と、サーボモータ211によって回転可能な回転リンク部材212とを備える。そして、駆動機構210は、フレーム41と、回転リンク部材212と、後部アーム52の基端52dとともに回転可能に固定された揺動リンク部材213と、一端214a及び他端214bのそれぞれで回転リンク部材212及び揺動リンク部材213の先端212a、213aに回転可能に取り付けられた連接リンク部材214とで四リンク列を構成している。すなわち、サーボモータ211の往復回転によって推進手段181、191の後部アーム52、62を所定の回転速度、回転角度、回転範囲で往復回転させることが可能である。
【0109】
このような駆動ユニット180を備えた管内走行装置においても同様に、制御装置10のCPU13から駆動ユニット180のモータ制御回路42に伝送された入力信号に基づいて、駆動機構200、210の各サーボモータ201、211を駆動させることで、走行状態として、推進手段181、191に推進運動と復帰運動を繰り返させて、進行方向Aに走行することが可能である。また、制御装置10のCPU13による制御のもと、復帰運動の状態でサーボモータ201、211の駆動を停止させることで、推進手段181、191の各板バネ53、63は、図示しない本体カバーの内部に格納されて、格納状態として曲管などの通過を容易なものとすることができる。
【0110】
また、駆動機構200、210が四リンク列を構成していることで、第1の実施形態同様に、省スペースで、効率良く前部アーム51、61及び後部アーム52、62を往復回転させて、推進手段181、191に推進運動及び復帰運動させることが可能である。このため、駆動ユニット180全体の小型化を図って、より小径の管路や、曲率半径のより小さい曲管を走行することが可能となり、また、駆動ユニット180を備えた走行装置本体全体の軽量化を図ることもできる。
【0111】
なお、推進手段181、191において、前部アーム51、61は駆動機構200のサーボモータ201によって、後部アーム52、62は駆動機構210のサーボモータ211によって各々独立して往復回転して、推進運動及び復帰運動を繰り返すものとしたが、これに限るものでは無い。単一の駆動源によって前部アーム51、61及び後部アーム52、62を回転させるものとしても良い。この場合には、前部アーム51、61の往復回転と、対応する後部アーム52、62の往復回転との間に位相差を設けることによって、前部アーム51、61の各先端51a、61aと、後部アーム52、62の各先端52a、62aとの間の距離が狭まるタイミングと、広がるタイミングとを各々設定することができ、これにより推進運動及び復帰運動を繰り返すことができる。
【0112】
(第6の実施形態)
図36から図39は、この発明に係る第6の実施形態を示している。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0113】
図36及び図37は、この実施形態の管内走行装置において、走行装置本体の各駆動ユニット220の内部構造を示している。図36及び図37に示すように、駆動ユニット220は、管路Pの壁面P1から推進力を発生させることが可能な推進手段230、240と、推進手段230、240を駆動させる駆動機構250と、推進手段230、240及び駆動機構250などの内部機構を格納して外周を覆う本体カバー221とを備える。本体カバー221の内部には、本体カバー221の前端部221aに固定された前部フレーム222と、後端部221bに固定された後部フレーム223が設けられている。駆動機構250は、後部フレーム223に設けられたサーボモータ251と、サーボモータ251によって回転可能な回転軸252と、回転軸252の先端部252aに設けられたウォームギア253とを備える。サーボモータ251には回転角度を検出可能なエンコーダ251aが設けられていて、サーボモータ251及びエンコーダ251aのそれぞれは、後部フレーム223に設けられたモータ制御回路42と接続されている。モータ制御回路42は、第1の実施形態で述べたとおり、連結ケーブル7a及び接続ケーブル10aによって制御装置10と接続されている。このため、制御装置10のCPU13による制御のもと、サーボモータ251を回転駆動させることが可能であり、自在に回転角度を調整可能である。また、回転軸252は、駆動ユニット220の中心軸Lに沿って後部フレーム223から前部フレーム222まで延設されていて、サーボモータ251の回転駆動によってウォームギア253を前部フレーム222上で回転させることが可能である。
【0114】
推進手段230、240のそれぞれは、管路Pの壁面P1に当接して回転することで、進行方向Aに推進力を発生させることが可能な駆動輪231、241と、管路Pの壁面P1に当接した状態から本体カバー221の内部に格納された状態まで各駆動輪231、241の側方Sへ張り出す量を設定することが可能な駆動輪位置調整機構232、242とを備える。図37に示すように、推進手段230、240の各駆動輪231、241は、駆動輪位置調整機構232、242によって、本体カバー221の側面に正面視略対称となる2箇所に形成された開口部221cから突没可能である。駆動輪位置調整機構232、242は、それぞれ、前部フレーム222に回転可能に軸着されたアームギア233、243と、各基端部234a、244aでアームギア233、243と同軸上に独立して回転可能に軸着されるとともに、各先端部234b、244bに駆動輪231、241が回転可能に軸着されたアーム234、244と備える。アームギア233、243は、駆動機構250のウォームギア253にそれぞれ噛み合っていて、サーボモータ251の回転駆動によって回転可能である。
【0115】
図38に示すように、アームギア233、243と同軸上には、各アームギア233、243とともに回転可能に、第1のプーリ233a、243aが設けられている。また、駆動輪231、241と同軸上には、各駆動輪231、241とともに回転可能に、第2のプーリ231a、241aが設けられている。そして、駆動輪位置調整機構232において、第1のプーリ233aと第2のプーリ231aとの間には、ベルト235が巻回されている。同様に、駆動輪位置調整機構242において、第1のプーリ243aと第2のプーリ241aとの間には、ベルト245が巻回されている。このため、駆動機構250によって、駆動輪位置調整機構232、242の各アームギア233、243を回転させることで、第1のプーリ233a、243a、ベルト235、245、及び、第2のプーリ231a、241aを介して、各駆動輪231、241を回転させることが可能である。
【0116】
また、図38に示すように、駆動輪位置調整機構232、242は、アーム234、244にそれぞれ固定されたソレノイド236、246と、ソレノイド236、246によって進退可能なバー237、247とを備える。ソレノイド236、246は、図示しないケーブルによってモータ制御回路42と接続されていて、連結ケーブル7a及び接続ケーブル10aを介して制御装置10のCPU13による制御のもと駆動させることが可能である。バー237、247は、それぞれアーム234、244に沿って延設されていて、アームギア233、243側の先端部には、アームギア233、243と対応して略円弧状に形成されたツメ238、248が固定されている。そして、制御装置10のCPU13による制御のもとソレノイド236、246によってバー237、247を進退させることで、ツメ238、248をアームギア233、243に当接した状態から離間した状態までの範囲で進退させることが可能である。
【0117】
アームギア233、243にツメ238、248が当接した状態では、アーム234、244のそれぞれに対してアームギア233、243の回転が規制された状態となる。このため、図36に示すように、この状態では、駆動機構250のウォームギア253を回転させれば、駆動輪231、241が回転することなく、アームギア233、243とともにアーム234、244を回転させることができ、これにより駆動輪231、241を本体カバー221の開口部221cから突没させることができる。また、アーム234、244の先端部234b、244bとの間にはバネ224が設けられている。このため、アームギア233、243とツメ238、248とが離間した状態では、駆動輪231、241は、バネ224の付勢によって管路Pの壁面P1を押圧した状態となっている。
【0118】
すなわち、制御装置10は、管路P内で、走行装置本体の各駆動ユニット220を走行状態とする場合には、アームギア233、243とツメ238、248とを離間した状態にして、駆動機構250を駆動させる。このため、駆動輪231、241は、管路Pの壁面P1を押圧した状態で回転するので、壁面P1から推進力を発生させ、その推進力をアーム234、244から前部フレーム222に伝達させて走行することができる。また、前述のように、曲管などに位置して格納状態とする場合には、アームギア233、243にツメ238、248が当接した状態にして、駆動機構250のサーボモータ251を所定の回転角度だけ回転させる。このようにすることで、図39に示すように、駆動輪231、241は、回転しない状態で本体カバー221の内部に格納することができる。
【0119】
図40は、駆動輪位置調整機構の変形例を示したものである。図40の示すように、ソレノイド236、246によって進退するバー237、247の基端部にツメ239、249を設けるものとしても良い。この場合、ツメ239、249が駆動輪231、241に当接して駆動輪231、241を拘束することで、アームギア233、243とアーム234、244とを一体として回転させて、格納状態とすることができる。
【0120】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】この発明の第1の実施形態の管内走行装置の全体図である。
【図2】この発明の第1の実施形態の管内走行装置のブロック図である。
【図3】この発明の第1の実施形態の管内走行装置のブロック図である。
【図4】この発明の第1の実施形態の各駆動ユニットの内部機構の詳細を示す上面図である。
【図5】この発明の第1の実施形態の管内走行装置の各駆動ユニットの内部機構の詳細を示す正面図である。
【図6】この発明の第1の実施形態の管内走行装置の連結部の詳細を示す断面図である。
【図7】この発明の第1の実施形態の管内走行装置の連結部の詳細を示す断面図である。
【図8】この発明の第1の実施形態の管内走行装置の連結状態監視部の光検出部の説明図である。
【図9】この発明の第1の実施形態の管内走行装置の先頭ユニット及び湾曲部の一部を破断した上面図である。
【図10】この発明の第1の実施形態の管内走行装置の先頭ユニット及び湾曲部の一部を破断した側面図である。
【図11】この発明の第1の実施形態の管内走行装置の湾曲部の断面図である。
【図12】この発明の第1の実施形態の管内走行装置が管路を走行する説明図である。
【図13】この発明の第1の実施形態の管内走行装置が管路を走行する説明図である。
【図14】この発明の第1の実施形態の管内走行装置が管路を走行する説明図である。
【図15】この発明の第1の実施形態の管内走行装置が管路を走行する説明図である。
【図16】この発明の第1の実施形態の管内走行装置が曲管を走行する説明図である。
【図17】この発明の第1の実施形態の管内走行装置が曲管を走行する場合の制御方法を示すフロー図である。
【図18】この発明の第1の実施形態の管内走行装置が曲管を走行する説明図である。
【図19】この発明の第1の実施形態の管内走行装置が曲管を走行する場合の制御方法を示すフロー図である。
【図20】この発明の第1の実施形態の管内走行装置が狭隘部を有する管路を走行する説明図である。
【図21】この発明の第1の実施形態の管内走行装置が狭隘部を有する管路を走行する場合の制御方法を示すフロー図である。
【図22】この発明の第1の実施形態の管内走行装置が狭隘部を有する管路を走行する場合の制御方法の他の例を示すフロー図である。
【図23】この発明の第1の実施形態の管内走行装置が分岐路を有する管路を走行する説明図である。
【図24】この発明の第1の実施形態の管内走行装置が垂直な管路を走行する説明図である。
【図25】この発明の第1の実施形態の第1の変形例の管内走行装置の走行装置本体の全体図である。
【図26】この発明の第1の実施形態の第2の変形例の管内走行装置の先頭ユニットと第1駆動ユニットとの連結部の詳細図である。
【図27】この発明の第2の実施形態の管内走行装置の連結部の断面図である。
【図28】この発明の第2の実施形態の管内走行装置が曲管を走行する説明図である。
【図29】この発明の第3の実施形態の管内走行装置の連結部の断面図である。
【図30】この発明の第3の実施形態の連結状態監視部の支持板の詳細図である。
【図31】この発明の第3の実施形態の管内走行装置が曲管を走行する説明図である。
【図32】この発明の第3の実施形態の管内走行装置が直線状の管路を走行する説明図である。
【図33】この発明の第4の実施形態の管内走行装置の連結部の断面図である。
【図34】この発明の第4の実施形態の管内走行装置が曲管を走行する説明図である。
【図35】この発明の第5の実施形態の管内走行装置の各駆動ユニットの内部機構の詳細を示す上面図である。
【図36】この発明の第6の実施形態の管内走行装置の各駆動ユニットの内部機構の詳細を示す一部を破断した上面図である。
【図37】この発明の第6の実施形態の管内走行装置の各駆動ユニットの内部機構の詳細を示す正面図である。
【図38】この発明の第6の実施形態の駆動輪位置調整機構の内部機構の詳細を示す一部を破断した上面図である。
【図39】この発明の第6の実施形態の管内走行装置の各駆動ユニットを格納状態にした場合の説明図である。
【図40】この発明の第6の実施形態の変形例の駆動輪位置調整機構の内部機構の詳細を示す一部を破断した上面図である。
【符号の説明】
【0122】
1 管内走行装置
3、180、220 駆動ユニット
4 撮影手段
5、120 先頭ユニット
6 後尾ユニット
7、131 連結部
8 湾曲部
10 制御装置(制御部)
41 フレーム
44 壁反力検出センサ
50、60、181、191、230、240 推進手段
51、61 前部アーム
52、62 後部アーム
53、63 板バネ(当接部材)
90、141、161 連結状態監視部
91 光源
91a 検査光
92 光検出部
132、150、165 規制手段
133 規制ワイヤ
134 牽引機構
142 第1電極
143 支持板
144 第2電極
145 バネ(付勢手段)
147 検出ワイヤ
149 静電容量検出器
151 シース
152 磁性体
153 間隔
154 電磁石
162 検出ワイヤ
163 歪みゲージ(ワイヤ状態検出部)
166 ストッパ
167 スライド機構
222 前部フレーム(フレーム)
231、241 駆動輪(当接部材)
232、242 駆動輪位置調整機構
A 進行方向
F 前方
B 後方
P、Q、M 管路
P1、Q2 壁面
R 曲管(管路)
R1 壁面
S 側方
φ 撓み角
φmax 許容撓み角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
進行方向と略直交する側方に当接部材を張り出して管路の壁面に当接させることで、該壁面から前記進行方向に推進力を発生させることが可能な推進手段を有した複数の駆動ユニットと、
該駆動ユニット間を連結するとともに、可撓性を有して前記管路の軸方向の形状に応じて変形可能な連結部と、
各該連結部の変形状態を検出可能な連結状態監視部と、
該連結状態監視部の検出結果に基づいて、各前記駆動ユニットの前記推進手段を制御する制御部とを備えることを特徴とする管内走行装置。
【請求項2】
請求項1に記載の管内走行装置において、
前記駆動ユニットの前記推進手段は、前記当接部材を側方に張り出して前記管路の前記壁面に当接させた走行状態と、前記当接部材を前記管路の前記壁面と離間させて、内部に格納した格納状態とを切替可能であり、
前記制御部は、前記連結状態監視部の検出結果に基づいて、隣接する前記駆動ユニットの前記推進手段を前記走行状態と前記格納状態とに切り替えることを特徴とする管内走行装置。
【請求項3】
請求項2に記載の管内走行装置において、
前記制御部は、前記連結状態監視部の検出結果に基づいて前記連結部の変形によって生じた撓み角を算定し、該撓み角が予め設定された許容撓み角よりも大きい値を示した場合に、対応する前記駆動ユニットの前記推進手段を前記走行状態から前記格納状態に切り替えることを特徴とする管内走行装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の管内走行装置において、
前記連結部は、両端が隣り合う前記駆動ユニットのそれぞれに接続された弾性部材であることを特徴とする管内走行装置。
【請求項5】
請求項4に記載の管内走行装置において、
前記連結部は、コイルパイプであることを特徴とする管内走行装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の管内走行装置において、
前記連結状態監視部は、隣り合う前記駆動ユニットのいずれか一方に設けられて、前記駆動ユニットの他方に向って検査光を照射可能な光源と、
前記駆動ユニットの他方に設けられて、前記光源によって照射された前記検査光の照射位置を検出可能な光検出部とを備えることを特徴とする管内走行装置。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の管内走行装置において、
前記連結状態監視部は、両端が隣り合う前記駆動ユニットのそれぞれに固定された複数の検出ワイヤと、
各該検出ワイヤに生じる応力または歪みを検出可能なワイヤ状態検出部とを備えることを特徴とする管内走行装置。
【請求項8】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の管内走行装置において、
前記連結状態監視部は、隣り合う前記駆動ユニットのいずれか一方に設けられた複数の第1電極と、
付勢手段によって前記駆動ユニットの一方に、前記第1電極と前記進行方向に間隔を有して配置された支持板と、
前記支持板の前記第1電極と相対する位置に複数設けられた第2電極と、
対応する前記第1電極と前記第2電極との間の各静電容量を検出する静電容量検出器と、
両端が前記支持板と前記駆動ユニットの他方とのそれぞれに固定された複数の検出ワイヤとを備えることを特徴とする管内走行装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の管内走行装置において、
前記連結部の変形を規制可能な規制手段を備えることを特徴とする管内走行装置。
【請求項10】
請求項9に記載の管内走行装置において、
前記規制手段は、隣り合う前記駆動ユニットのいずれか一方に固定された規制ワイヤと、
前記駆動ユニットの他方に設けられ、前記規制ワイヤを緊張状態と弛緩状態に切り替え可能な牽引機構とを備えることを特徴とする管内走行装置。
【請求項11】
請求項9に記載の管内走行装置において、
前記規制手段は、隣り合う前記駆動ユニットのそれぞれに接続された可撓性を有するシースと、
該シースの内部で所定の間隔を有して配列している複数の磁性体と、
該磁性体が配列する方向に磁界を形成可能な電磁石とを備えることを特徴とする管内走行装置。
【請求項12】
請求項9に記載の管内走行装置において、
前記規制手段は、隣り合う前記駆動ユニットのいずれか一方に設けられ、前記駆動ユニットの他方に向って配設されたストッパと、
該ストッパを、前記駆動ユニットの他方と当接した状態から隙間を有した状態までの範囲で進退させることが可能なスライド機構とを備えることを特徴とする管内走行装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれかに記載の管内走行装置において、
前記駆動ユニットは、前記推進手段の前記当接部材が前記管路の前記壁面を当接した際に生じる壁反力を検出する壁反力検出センサを備え、
前記制御部は、該壁反力検出センサの検出結果に基づいて、各前記駆動ユニットにおける前記走行状態での前記当接部材の側方へ張り出す量を設定することを特徴とする管内走行装置。
【請求項14】
請求項13に記載の管内走行装置において、
前記制御部は、前記壁反力検出センサの検出結果に基づいて、前記駆動ユニットの前記推進手段を前記走行状態と前記格納状態とに切り替えることを特徴とする管内走行装置。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれかに記載の管内走行装置において、
前記進行方向に対して最も前方に位置する前記駆動ユニットのさらに前方には、前記管路内を撮影可能な撮影手段を有した先頭ユニットが連結されていることを特徴とする管内走行装置。
【請求項16】
請求項15に記載の管内走行装置において、
前記先頭ユニットと前記駆動ユニットとは、能動的に湾曲可能な湾曲部によって連結されていることを特徴とする管内走行装置。
【請求項17】
請求項15または請求項16に記載の管内走行装置において、
前記進行方向に対して最も後方に位置する前記駆動ユニットのさらに後方には、前記管路内を撮影可能な撮影手段を有した後尾ユニットが連結されていることを特徴とする管内走行装置。
【請求項18】
請求項1から請求項17のいずれかに記載の管内走行装置において、
前記駆動ユニットは、前記進行方向に沿って配設されたフレームを備え、
前記推進手段は、該フレームに設けられ、側方に前記当接部材を張り出して前記管路の前記壁面を押圧した状態で、前記当接部材を前記フレームに対して相対的に前記進行方向の前方から後方へ移動させる推進運動、及び、前記当接部材が内部に格納されて前記壁面と離間した状態で、前記当接部材を前記フレームに対して相対的に前記進行方向の後方から前方へ移動させる復帰運動を繰り返すことが可能であることを特徴とする管内走行装置。
【請求項19】
請求項18に記載の管内走行装置において、
前記推進手段の前記当接部材は、前記推進運動時に、当接した前記壁面に応じて弾性変形可能であることを特徴とする管内走行装置。
【請求項20】
請求項19に記載の管内走行装置において、
前記推進手段は、基端が前記フレームの前端部に軸着され、先端が該フレームに対して前方へ配設された状態から側方へ配設された状態まで、所定角度だけ往復回転可能な前部アームと、
基端が前記フレームの後端部に軸着され、先端が該フレームに対して後方へ配設された状態から側方へ配設された状態まで、所定角度だけ往復回転可能な後部アームとを備え、
前記当接部材は、前端が前記前部アームの前記先端に取り付けられるとともに、後端が前記後部アームの前記先端に取り付けられており、前記前部アームの前記先端と前記後部アームの前記先端との距離に応じて、側方へ弾性的に湾曲可能であることを特徴とする管内走行装置。
【請求項21】
請求項1から請求項17のいずれかに記載の管内走行装置において、
前記駆動ユニットは、フレームと、該フレームに設けられた前記推進手段とを備え、
該推進手段は、前記当接部材として前記管路の前記壁面に当接して回転する駆動輪と、
該駆動輪を回転可能に軸支するとともに、前記フレームに対して前記駆動輪の側方へ張り出す量を設定することが可能な駆動輪位置調整機構とを有することを特徴とする管内走行装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公開番号】特開2007−320534(P2007−320534A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−156405(P2006−156405)
【出願日】平成18年6月5日(2006.6.5)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】