説明

精製合成ガスを製造する方法

(a)供給合成ガスをシフトさせて、HSおよびCOが富化された、シフトした合成ガスを得るステップ;(b)シフトした合成ガスを吸収液と接触させて、半精製合成ガス、ならびにHSおよびCOに富む吸収液を得るステップ;(c)このHSおよびCOに富む吸収液を加熱および除圧して、これによりCOに富むフラッシュガス、およびHSに富む吸収液を得るステップ;(d)HSに富む吸収液をストリッピングに掛けて、再生した吸収液、およびHSに富むストリッピングガスを得るステップ;(e)ストリッピングガス中のHSを、元素硫黄に変換するステップ;(f)半精製合成ガスを、水性アルカリ性洗浄液と接触させて、HSが激減した合成ガス、および硫化物を含む水性流を得るステップ;(g)硫化物を含む水性流を、硫化物酸化性細菌と接触させて、硫黄スラリーおよび再生した水性アルカリ性洗浄液を得るステップを含む、供給合成ガスから、精製した合成ガスを製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚染物質を含む供給合成ガス流から精製した合成ガス流を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
合成ガス流は、主として、一酸化炭素および水素を含むガス状の流れである。合成ガス流は、一般に、天然ガス、炭層メタン、留出油および残油を含む炭化水素の部分酸化もしくは水蒸気改質により、またバイオマスまたは石炭もしくはコークスなどの固体化石燃料のガス化によって製造される。
【0003】
バイオマス、無煙炭、褐炭、歴青炭、亜歴青炭、亜炭、石油コークス、泥炭などの固体燃料および重質残渣、例えば、タールサンドから抽出した炭化水素、原油から直接由来する、360℃を超える沸点の残油留分などの製油所からの残渣、または熱分解、接触分解、水素化分解などの油変換工程からの残渣を含む、合成ガスを発生させる供給原料として使用できる、多くの固体もしくは非常に重質の(粘稠な)化石燃料が存在する。全てのこのような型の燃料は、種々の炭素および水素の比率、ならびに汚染物質とみなされる種々の物質を有する。
【0004】
合成ガスを発生させるのに使用される供給原料に応じて、合成ガスは、二酸化炭素、硫化水素、硫化カルボニルおよび二硫化カルボニルなどの汚染物質を含有し、一方、窒素、窒素含有成分(例えばHCNおよびNH)、金属、金属カルボニル(特にニッケルカルボニルおよび鉄カルボニル)および、場合によってメルカプタンも含有する。
【0005】
精製した合成ガスは、触媒的化学変換に、または発電に使用することができる。世界のエネルギー供給の実質的な部分は、発電所における燃料、特に天然ガスまたは合成ガスの燃焼によって供給される。合成ガスは、1基または複数のガスタービンで空気により燃焼され、得られたガスは、水蒸気を生成させるのに使用される。次いでこの水蒸気が、発電に使用される。
【0006】
発電において合成ガスを使用する特に適したシステムは、統合ガス化複合サイクル(IGCC)システムである。IGCCシステムは、ガスタービン設備において燃料の供給源として石炭を使用する方法として考え出された。IGCCは、2つのシステムの組合せである。第1のシステムは、石炭液化であり、石炭を使用して合成ガスを作り出す。次いでこの合成ガスは精製されて、汚染物質が除去される。精製した合成ガスは、燃焼タービン中に使用されて、発電することができる。IGCCにおける第2のシステムは、複合サイクルまたは電力サイクルであり、効率的な商業的発電方法である。複合サイクルには、燃焼タービン/発電機、排熱回収ボイラー(HRSG)および蒸気タービン/発電機が含まれる。燃焼タービンからの排ガスがHRSG中に回収されて、水蒸気を生成させる。次いで、この水蒸気は、蒸気タービンを通過して他の発電機に動力を供給し、それにより、より多く発電される。複合サイクルは、廃熱を再使用してより多く発電するので、一般に、従来の発電システムよりも効率的である。IGCCシステムはクリーンであり、一般に、従来の石炭発電所よりも効率的である。
【0007】
本明細書において上述したように、合成ガスが発電に使用される場合、ガスタービン部品上への汚染物質の堆積を避けるために、汚染物質の除去がしばしば必要とされる。
【0008】
合成ガスが触媒的化学変換に使用される場合、触媒の被毒現象を避けるために、低レベルまでの汚染物質の除去が必要とされる。
【0009】
精製した合成ガス流を製造する方法は、一般に、高価なラインナップの使用を伴う。例えば、冷メタノールは、物理的吸収により、硫化水素および二酸化炭素を除去するのに使用できる。精製した合成ガス中のこれらの汚染物質の濃度は、依然として比較的高い。合成ガスを触媒的に変換しようとする用途について、より低い汚染物質濃度が必要とされるであろう。メタノール系方法を使用して、より高度に合成ガス流を精製することは、メタノールを冷却しその後再生させるのに不釣り合いなほど大量のエネルギーが必要とされるため、不経済であろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
精製した合成ガスが、さらなる使用、特に発電向けに適しているような、ある範囲の炭素質燃料から由来する合成ガス流の最適化された精製方法を提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のために、本発明は、(a)供給合成ガス流を、水および/もしくは水蒸気の存在下においてシフト反応器内の水性ガスシフト触媒と接触させて、少なくとも一部の一酸化炭素を二酸化炭素および水素へと、少なくとも一部のシアン化水素をアンモニアへと、および/または少なくとも一部の硫化カルボニルを硫化水素へと反応させて、HSおよびCOが富化された、場合によってアンモニアを含むシフトした合成ガス流を得るステップ;(b)シフトした合成ガス流を吸収液と接触させることにより、このシフトした合成ガス流からHSおよびCOを除去して、半精製合成ガス、ならびにHSおよびCOに富む吸収液を得るステップ;(c)少なくとも一部の、このHSおよびCOに富む吸収液を加熱装置内で加熱して、HSおよびCOに富む加熱された吸収液を得るステップ;(d)このHSおよびCOに富む加熱された吸収液をフラッシュ室内で除圧して、これによりCOに富むフラッシュガス、およびHSに富む吸収液を得るステップ;(e)HSに富む吸収液を、高温でストリッピングガスと接触させて、これによりHSをストリッピングガスに移動させて、再生した吸収液、およびHSに富むストリッピングガスを得るステップ;(f)HSに富むストリッピングガス中のHSを、元素硫黄に変換するステップ;(g)半精製合成ガス流を、HS−除去帯域において、水性アルカリ性洗浄液と接触させることにより、半精製合成ガスからHSを除去して、HSが激減した合成ガス流、および硫化物を含む水性流を得るステップ;(h)硫化物を含む水性流を、バイオリアクター内で、酸素の存在下において硫化物酸化性細菌と接触させて、硫黄スラリーおよび再生した水性アルカリ性洗浄液を得るステップを含む、主成分である一酸化炭素および水素以外に、硫化水素、硫化カルボニルおよび/またはシアン化水素ならびに場合によってアンモニアも含む供給合成ガス流から精製した合成ガス流を製造する方法を提供する。
【0012】
本方法は、ppmvもしくはさらにppbv範囲にあることが適切な低レベルの汚染物質を有する、精製した合成ガスの製造を可能にする。この精製した合成ガスは、特にHCNおよび/またはCOSに関して低レベルの汚染物質であるため、多くの用途に、とりわけ発電用供給原料としての使用、または接触化学反応における使用向けに適している。この精製した合成ガスは、統合ガス化複合サイクル(IGCC)における使用に特に適している。
【0013】
本方法の重要な利点は、ステップ(d)において、COに富む流れが、5から10バールの範囲にあることが適切な、比較的高圧で得られる点である。これにより、このCOに富む流れをさらに圧縮するのに必要とされる設備は、より小さいものとなり、油の回収性を高めるための、または地中の累層(formation)もしくは帯水層(aquifer)に再注入するためのこのCOに富む流れの利用が促進される。
【0014】
本方法の他の利点は、ステップ(e)において、実質的な量のCOを含む供給合成ガス流を処理する場合でも、HSに富む、またCOをほとんど含まないストリッピングガスが得られる点である。HSに富むストリッピングガス中のHS濃度は、30体積%を超えることが適切である。このようなストリッピングガスは、HSが元素硫黄に変換される硫黄回収ユニットに適した供給物である。硫黄回収ユニットへの供給物においてHSが高濃度であることは、より小さい硫黄回収ユニットの使用、したがってより低い資本および運転支出を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の工程の概略を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
典型的には、供給合成ガスは、高温改質装置、オートサーマル改質装置またはガス化装置などの合成発生ユニット内の供給原料から発生される。例えば、「The Shell Middle Distillate Synthesis Process、Petroleum Review Apr.1990 204−209頁」における、Maarten van der Burgtらを参照されたい。
【0017】
石炭および重油残渣のほかに、無煙炭、褐炭、歴青炭、亜歴青炭、亜炭、石油コークス、泥炭などの固体燃料、ならびに重質残渣、例えば、タールサンドから抽出した炭化水素、原油から直接由来する、360℃を超える沸点の残油留分などの製油所からの残渣、または熱分解、接触分解、水素化分解などの油変換工程からの残渣を含む、合成ガスを発生させる供給原料として使用できる、多くの固体もしくは非常に重質の(粘稠な)化石燃料が存在する。全てのこのような型の燃料は、種々の比率の炭素および水素、ならびに汚染物質とみなされている種々の物質を有している。
【0018】
改質装置内で発生される合成ガスは、通常、主成分である一酸化炭素および水素のほかに、二酸化炭素、水蒸気、種々の不活性化合物および不純物、例えばHCNおよび硫黄化合物なども含む。ガス化装置内で発生された合成ガスは、従来、より低レベルの二酸化炭素を含んでいる。
【0019】
合成ガス発生ユニットを出る合成ガスは、粒子状物質、例えばすす(soot)粒子を含む恐れがある。これらのすす粒子は、例えば、合成ガス発生ユニットを出る合成ガスを、粒子状物質、特にすすを除去するすす用スクラバー内のスクラビング液に接触させることによって除去され、これにより主成分COおよびHのほかにHS、ならびに場合によってCO、HCNおよび/またはCOSも含む供給合成ガスを得ることが好ましい。
【0020】
供給合成ガス中のHSの量は、合成ガスに対して1ppmvから20体積%、典型的には1ppmvから10体積%の範囲にあるのが、適切である。
【0021】
あてはまる場合、供給合成ガス中のCOの量は、合成ガスに対して約0.5から10体積%、好ましくは約1から10体積%である。
【0022】
HCNが存在する場合、供給合成ガス中のHCNの量は、一般に、約1ppbvから約500ppmvの範囲にある。
【0023】
COSが存在する場合、供給合成ガス中のCOSの量は、一般に、約1ppbvから約100ppmvの範囲にある。
【0024】
ステップ(a)において、供給合成ガス流は、水性ガスシフト触媒と接触して、少なくとも一部の一酸化炭素が水と反応する。水シフト変換反応は、当技術分野でよく知られている。一般に、通常、水蒸気の形態にある水は、供給合成ガス流と混合されて、二酸化炭素および水素を形成する。使用される触媒は、鉄、クロム、銅および亜鉛を含む、このような反応向けに知られている任意の触媒とすることができる。酸化亜鉛上の銅は、特に適切なシフト触媒である。
【0025】
ステップ(a)の好ましい実施形態において、供給合成ガス流中の一酸化炭素は、1基もしくは複数の固定床反応器内に存在するものとしての触媒が存在する状態で、少量の水蒸気により変換される。一連のシフト反応器を使用することができ、この場合それぞれの反応器内で水性ガスシフト変換ステップが行われている。第1のもしくは唯一の水性ガスシフト反応器に供給される、供給合成ガス流中の乾燥基準における一酸化炭素の含量は、少なくとも50体積%、より好ましくは55と70体積%の間であることが好ましい。供給合成ガス流は、触媒を硫化物として、また活性に保持する程度の硫化水素を含有することが好ましい。硫化水素の最小含量は、シフト反応器の操作温度によって、供給合成ガス流の空間速度(GHSV)によって、また供給合成ガス流中に存在する硫黄化学種によって決まる。供給合成ガス流中に、少なくとも300ppmのHSが存在することが好ましい。触媒活性の観点からHSの最大量についての限界は存在しない。
【0026】
ステップ(a)の好ましい実施形態において、第1のもしくは唯一の水性ガスシフト反応器に入るときの、供給合成ガス流中の水蒸気と一酸化炭素のモル比は、0.2:1と0.9:1の間にあることが好ましい。シフト反応器に入るときの供給合成ガス流の温度は、190と230℃の間にあることが好ましい。さらに、この入口温度は、それぞれの水性ガスシフト変換ステップへの供給物の露点を超える10と60℃の間にあることが好ましい。反応器内の空間速度は、6000−9000h−1の間にあることが好ましい。圧力は、2と5MPaの間が好ましく、3と4.5MPaの間がより好ましい。
【0027】
一酸化炭素の変換は、反応器の供給物中に存在している水蒸気が準化学量論的量未満であるので、一般に100%とはならない。好ましい実施形態において、シフト反応器流出物中の一酸化炭素の含量は、固定床反応器を使用して、乾燥基準で一酸化炭素55と70体積%の間を含み、水蒸気/CO比率0.2から0.3(モル比)である供給合成ガス流から出発する場合、乾燥基準で35と50体積%の間にある。一酸化炭素のさらなる変換が所望される場合、シフト反応器流出物を、次の水性ガスシフト変換ステップに掛けることが好ましい。
【0028】
このようなその後の水性ガスシフト変換ステップについての、好ましい水蒸気/水と一酸化炭素のモル比、入口温度および空間速度は、第1の水性ガスシフト変換ステップについて記述した通りである。上述のように、供給合成ガス流は、ガス化方法から適切に得られ、水によるガス洗浄ステップに適切に掛けられる。このようなステップにおいて、水は蒸発し、最後に合成ガス混合物中に入る。このようなガス洗浄した合成ガス中で得られた水蒸気とCOのモル比は、適切に上述の好ましい範囲内となる。このことにより、第1の水性ガスシフト変換ステップに合成ガスを供給するとき、水蒸気もしくは水が、合成ガスに添加される必要がないということになる。その後のステップについては、所望の水蒸気対COのモル範囲を達成するために、水蒸気もしくはボイラー供給水が、それぞれの前ステップの流出物に添加されなければならない。
【0029】
水性ガスシフトステップを繰り返して、CO含量に対するそれぞれの次のシフト反応器のシフト反応器流出物における一酸化炭素含量を、乾燥基準で5体積%未満まで、段階的に低下させることができる。4から5回のステップで、または言い換えると反応器4から5基でこのようなCO変換を達成することができることが見出されている。
【0030】
それぞれのシフト反応器内の温度上昇を制御することが重要である点が、見出されている。単一反応器内の触媒床内の最高温度が、440℃を超えないように、より好ましくは400℃を超えないように、それぞれのシフト反応器を操作することが好ましい。より高温では、メタン化発熱反応が起こり、制御できない温度上昇を招く恐れがある。
【0031】
シフト反応器内で使用される触媒は、好ましい水蒸気とCOの低モル比で活性であり、メタン化などの副反応に有利とならない比較的低い入口温度で活性である水性ガスシフト触媒であることが好ましい。触媒は、担体、ならびにモリブデン(Mo)の酸化物もしくは硫化物、より好ましくはモリブデン(Mo)およびコバルト(Co)の酸化物もしくは硫化物の混合物、より一層好ましくは銅(Cu)、タングステン(W)および/またはニッケル(Ni)も含むことが適切である。触媒はまた、カリウム(K)、ランタン(La)、マンガン(Mn)、セリウム(Ce)および/またはジルコニウム(Zr)などの1種または複数の増進剤/抑制剤も含むことが適切である。担体は、例えばアルミナ、MgAlまたはMgO−Al−TiOなどの耐火物材料とすることができる。
【0032】
適切な触媒の一例は、活性γ−Al担体、ならびに1−8重量%の間のCoOおよび6−10重量%の間のMoOを含む。この触媒は、押出物として存在するのが好ましい。
【0033】
ステップ(a)の好ましい実施形態において、供給合成ガス流は少なくとも50体積%の一酸化炭素を含み、1基もしくは複数のシフト反応器に入るときの供給合成ガス流中の水蒸気と一酸化炭素のモル比は0.2:1と0.9:1の間であることが好ましく、1基もしくは複数のシフト反応器に入るときの供給合成ガス流の温度は、190と230℃の間である。
【0034】
ステップ(a)において行われるさらなる反応は、HCNからアンモニアへの変換、および/またはCOSからHSへの変換である。したがって、ステップ(a)において得られるシフトガス流は、HCNおよび/またはCOSが激減している。
【0035】
場合によって、ステップ(a)において得られるシフトガス流は冷却されて、水分および、あてはまる場合アンモニアを除去する。好ましくはシフトガス流に対して少なくとも50%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%の水分および、あてはまる場合アンモニアが除去される。
【0036】
ステップ(b)において、シフト合成ガスは、吸収装置内で吸収液と接触して、HSおよびCOを除去し、これにより半精製合成ガス、ならびにHSおよびCOに富む吸収液を得ている。
【0037】
適切な吸収液は、物理的溶媒および/または化学的溶媒を含むことができる。物理的溶媒は、HSおよび/またはCOと化学的相互作用をほとんどもしくは全く示さない溶媒であると理解される。適切な物理的溶媒には、スルホラン(シクロ−テトラメチレンスルホンおよびこの誘導体)、脂肪酸アミド、N−メチル−ピロリドン、N−アルキル化ピロリドンおよび対応するピペリドン、メタノール、エタノールならびにポリエチレングリコールについてのジアルキルエーテルの混合物が含まれる。化学的溶媒は、HSおよび/またはCOと化学的相互作用を示すことができる溶媒であると理解される。適切な化学的溶媒には、アミン型溶媒、例えば、第一級、第二級および/もしくは第三級アミン、特に、エタノールアミンに由来するアミン、とりわけモノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、ジイソプロパノールアミン(DIPA)およびメチルジエタノールアミン(MDEA)、またはこれらの混合物が含まれる。
【0038】
好ましい吸収液は、物理的および化学的溶媒を含む。
【0039】
化学的および物理的溶媒の両方を含む吸収液を使用する利点は、これらが、適度の投資コストおよび運転コストに対して、HSおよび/またはCOについての良好な吸収能ならびに良好な選択性を示す点である。
【0040】
特に好ましい吸収液は、第二級もしくは第三級アミン、好ましくは、エタノールアミンに由来するアミン化合物、より特別にはDIPA、DEA、MMEA(モノメチル−エタノールアミン)、MDEAまたはDEMEA(ジエチル−モノエタノールアミン)を含み、好ましくはDIPAまたはMDEAを含む。
【0041】
ステップ(b)は、15から90℃の範囲にある温度で、より好ましくは少なくとも20℃の温度で、より一層好ましくは25から80℃で、さらにより好ましくは40から65℃で、最も好ましくは約55℃で行われることが好ましい。好ましい温度で、より良好なHSおよびCOの除去が達成される。ステップ(b)は、15から90バール、好ましくは20から80バール、より好ましくは30から70バールの範囲にある圧力で適切に行われる。
【0042】
ステップ(b)は、バルブトレー、バブルキャップトレー、バッフルなどの接触層5−80段を有する吸収装置内で適切に行われる。構造的充填を適用することもできる。適切な溶媒/供給ガス比率は、1.0から10(重量/重量)、好ましくは2と6(重量/重量)の間である。
【0043】
ステップ(c)において、少なくとも一部の、HSおよびCOに富む吸収液が加熱される。HSおよびCOに富む吸収液は、90から120℃の範囲にある温度まで加熱される。
【0044】
ステップ(d)において、加熱された吸収液は、フラッシュ室内で除圧され、それによりCOが富化されたフラッシュガス、およびHSが富化された吸収液を得ている。ステップ(d)は、ステップ(b)における圧力と比較してより低い圧力で、しかし好ましくは大気圧を超える圧力で行われる。除圧は、できる限り多量のCOが、加熱された吸収液から放出されるように行われるのが、適切である。ステップ(d)は、2から10バール、より好ましくは5から10バールの範囲にある圧力で行われるのが好ましい。これらの好ましい圧力で、COの大部分が、HSおよびCOに富む吸収液から分離され、COに富むフラッシュガスをもたらすことが見出されている。
【0045】
ステップ(d)において、少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%のCOが、HSおよびCOに富む吸収液から分離されるのが適切である。ステップ(d)は、COに富むフラッシュガス、およびHSに富む吸収液をもたらす。ステップ(d)において得られたフラッシュガスは、10から100体積%、好ましくは50から100%の範囲にあるCOを含むことが好ましい。
【0046】
COに富むフラッシュガスは、さらなる使用に適している。COに富むガスが高圧の状態にあることが必要な用途、例えば、地中の累層への注入用に使用される場合、COに富むフラッシュガスが既に高圧にあることは、このことが、さらなる加圧に必要とされる設備およびエネルギー要求条件を引き下げるので、1つの利点である。
【0047】
好ましい実施形態において、COに富むフラッシュガスは、適切には、このCOに富むフラッシュガスを油貯留層に注入し、そこでは、フラッシュガスがその場で油中に溶解し易く、これにより油の粘度を低下させ、したがって油が採取井に向かう動きについて、より動き易くすることによって油の回収性を高めるために使用される。
【0048】
他の実施形態において、COに富むガス流はさらに加圧されて、貯蔵のために、帯水層もしくは空になった油貯留層中にポンプ送りされる。
【0049】
全ての上記の選択肢について、COに富むフラッシュガスは、圧縮される必要がある。COに富むフラッシュガスは、60から300バール、より好ましくは80から300バールの範囲にある圧力まで圧縮されるのが適切である。所望の高圧まで、COが富化されたガス流を加圧するには、一連の圧縮機が必要とされるのが普通である。COに富むガス流を、大気圧から約10バールの圧力まで加圧するには、大型の高価な圧縮機を必要とする。本方法は、既に高圧の状態にあるCOに富むガスを生成させるので、圧縮機設備の節減を実現することができる。
【0050】
ステップ(e)において、HSを含む吸収液が高温でストリッピングガスと接触されて、それによりHSをストリッピングガスに移動させて、再生した吸収液、およびHSに富むストリッピングガスを得る。ステップ(e)は、再生装置内で適切に行われる。ステップ(e)における高温とは、70から150℃の範囲にある温度であることが好ましい。この加熱は、水蒸気または熱油で行われることが好ましい。この温度上昇は、段階方式で行われることが好ましい。ステップ(e)は、1から3バール、好ましくは1から2.5バールの範囲にある圧力で行われることが適切である。
【0051】
ステップ(f)において、硫化水素は、触媒の存在下において、二酸化硫黄と反応されて、元素硫黄を生成する。この反応は、当技術分野においてクラウス(Claus)反応として知られている。HSに富むストリッピングガス、およびSOを含むガス流が、1段もしくは複数のクラウス触媒段階を直列に備える硫黄回収システムに供給される。それぞれのクラウス触媒段階は、硫黄凝縮器に連結されたクラウス触媒反応器を備える。クラウス触媒反応器において、元素硫黄を生成させるHSとSOの間のクラウス反応が行われる。元素硫黄を含む生成物ガス流出物ならびに未反応のHSおよび/またはSOが、クラウス触媒反応器を出て、クラウス触媒反応器に連結された硫黄凝縮器内で硫黄の露点未満に冷却されて、クラウス反応器流出物から元素硫黄の大部分を凝縮および分離する。元素硫黄を生成させるHSとSOの間の反応は発熱性であり、通常、クラウス触媒反応器全体にわたる温度上昇の原因となり、これと共にHSに富む流入ストリッピングガス中におけるHS濃度の増加をもたらす。HSに富むストリッピングガス中の、30%を超える、もしくは15%を超えるものもあるHSの濃度では、クラウス触媒反応器内で発生した熱が、クラウス反応によって反応するのに十分なSOが存在する場合、クラウス触媒反応器内の温度が所望の操作範囲を超えるようになる熱になるものと考えられる。クラウス触媒反応器の操作温度は、約200から約500℃、より好ましくは約250から350℃の範囲に保持されていることが好ましい。
【0052】
ステップ(b)は、半精製合成ガス、ならびにHSおよびCOに富む吸収液をもたらす。
【0053】
ステップ(b)において得られる、半精製合成ガスは、主として水素および一酸化炭素、ならびにCOおよび低レベルのHS、場合によって他の汚染物質を含む。
【0054】
ステップ(g)において、半精製合成ガス流は、HS−除去帯域において、水性アルカリ性洗浄液と接触されて、HSが激減した合成ガス流、および硫化物を含む水性流を得ている。
【0055】
適切な水性アルカリ性洗浄液には、水酸化物水溶液、例えば水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムの水中溶液および(重)炭酸塩水溶液が含まれる。
【0056】
ステップ(g)は、5から70℃、より好ましくは10から50℃の範囲にある温度で行われるのが適切である。ステップ(c)は、1から100バール(g)、より好ましくは1.5から80バール(g)の範囲にある圧力で行われるのが好ましい。
【0057】
場合によって、この洗浄液は緩衝される。好ましい緩衝化合物は、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩およびこれらの混合物、特に炭酸ナトリウムおよび/または重炭酸ナトリウムである。
【0058】
緩衝化合物の濃度は、なかんずく、ガス流の組成によって決まり、一般に、洗浄液が好ましいpH範囲内に保持されるような形で調節される。
【0059】
洗浄液のpHは、4.5から10、より好ましくは5.5から9.0の範囲にあることが好ましい。
【0060】
ステップ(h)において、このスクラビング媒質内の硫化水素は、バイオリアクター内で、酸素の存在下において硫化物酸化性細菌を使用し、元素硫黄に変換される。
【0061】
本明細書において硫化物酸化性細菌への参照とは、硫化物を元素硫黄に酸化することができる細菌への参照である。適切な硫化物酸化性細菌は、例えば、チオバチルス(Thiobacillus)属およびチオミクロスピラ(Thiomicrospira)属の、知られている独立栄養好気性培養物から選択することができる。
【0062】
バイオリアクター内で行われる可能性のある主反応は、硫黄および硫酸塩の微生物学的形成である:
(1a)硫黄生成 HS + 1/2O →1/8S + OH
(1b)硫黄生成 HS + 1/2O →5/8S + OH
(2)硫酸塩生成 HS + 2O +OH →SO2− + H
【0063】
硫黄スラリーは、元素硫黄および硫酸塩を含む、1種または複数の主反応生成物を含むことができる。
【0064】
再生した水性アルカリ性洗浄液は、硫黄粒子を含む可能性がある。
【0065】
本明細書において硫化物酸化性細菌への参照とは、硫化物を元素硫黄に酸化することができる細菌への参照である。適切な硫化物酸化性細菌は、例えば、チオバチルス属およびチオミクロスピラ属の、知られている独立栄養好気性培養物から選択することができる。
【0066】
バイオリアクターにおける反応媒質は、緩衝されることが好ましい。緩衝化合物は、それらが酸化反応器内に存在する細菌によって許容されるものであるような形で、選択される。好ましい緩衝化合物は、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩およびこれらの混合物、特に炭酸ナトリウムおよび/または重炭酸ナトリウムである。緩衝化合物の濃度は、なかんずく、ガス流の組成によって決まり、一般に、酸化反応器内の反応媒質のpHが、6.0と12.0の間、好ましくは7.0と11.0の間、より好ましくは8.0と10.0の間にあるような形で調節される。
【0067】
バイオリアクター内における典型的な圧力は、0.5と2バール(g)の間である。
【0068】
ステップ(h)において得られた水性硫黄スラリーの少なくとも一部が、再生した水性アルカリ性洗浄液から分離されることが好ましい。この分離するステップは、固液分離装置内で行われるのが適切である。適切な固液分離装置は、Perry’s Chemical Engineers’Handbook、第7版、第22節(1997)中に記載されている。
【0069】
分離した水性硫黄スラリー中の硫黄含量は、適切には、スラリーに対して5重量/重量%と50重量/重量%の間である。典型的には、硫黄スラリーの水分は、55と70%の間の乾燥固形分含量を有する硫黄ケーキが得られる程度まで除去される。この硫黄ケーキの硫黄純度は、硫黄ケーキの乾燥重量に対して90と98重量/重量%の間であることが適切である。場合によって、硫黄スラリーは再スラリー化、濾過および乾燥されて、少なくとも硫黄95重量%、好ましくは少なくとも硫黄99重量%の純度を有する硫黄ペーストを得ることができる。こうして得られた硫黄ペーストは、場合によって乾燥されて、少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%の乾燥重量含量を有する粉末を生成させることができる。この粉末は、殺真菌剤、肥料として、またはダニ駆除剤として適切に適用することができる。
【0070】
ステップ(h)は、精製した合成ガスをもたらす。精製した合成ガス中のHSの量は、精製した合成ガスに対して、1ppmv以下、より好ましくは100ppbv以下、より一層好ましくは10ppbv以下、最も好ましくは5ppbv以下であることが好ましい。
【0071】
本方法により得ることができる精製した合成ガスは、発電、または化学過程における変換を含む、多くの用途に適している。したがって、本発明には、本方法により得ることができる精製した合成ガスも含まれる。
【0072】
好ましい実施形態において、精製した合成ガスは、フィッシャー−トロプシュ合成、メタノール合成、ジ−メチルエーテル合成、酢酸合成、アンモニア合成、代替天然ガス(SNG)を製造するメタン化、ならびにカルボニル化もしくはヒドロホルミル化反応を伴う工程からなる群から選択されることが好ましい触媒工程において使用される。
【0073】
他の好ましい実施形態において、精製した合成ガスは、発電用に、とりわけIGCCシステムにおいて使用される。
【0074】
IGCCシステムにおいて、通例、燃料および酸素含有ガスは、ガスタービンの燃焼区分に導入される。ガスタービンの燃焼区分において、燃料は燃焼されて、熱い燃焼ガスを発生させる。熱い燃焼ガスは、通常、列をなして配列されるエキスパンダーブレードのシーケンスを経て、ガスタービン内で膨張し、発電機による発電に使用される。ガスタービンにおいて燃焼される適切な燃料には、天然ガスおよび合成ガスが含まれる。ガスタービンから出る熱排ガスは、排熱回収ボイラーユニットに導入され、ここで熱排ガス中に含まれる熱を使用して、第1の量の水蒸気を生成させる。
【0075】
熱排ガスは、350から700℃、より好ましくは400から650℃の範囲にある温度を有するのが適切である。熱排ガスの組成は、ガスタービン内で燃焼される燃料、およびガスタービン内の状態に応じて、変動することができる。
【0076】
排熱回収ボイラーユニットは、熱排ガスから熱を回収し、この熱を水蒸気に変換する手段を提供する任意のユニットである。例えば、排熱回収ボイラーユニットは、スタック状に取り付けられた複数の管を備えることができる。これらの管を通って水がポンプ送りおよび循環され、水は高温で高圧下に保持することができる。熱排ガスがこれらの管を加熱し、水蒸気を発生させるのに使用される。
【0077】
排熱回収ボイラーユニットは、3つの型の水蒸気:高圧蒸気、中間圧蒸気および低圧蒸気を発生させるように設計することができる。
【0078】
高圧蒸気は、発電に使用することができるので、このボイラーは、少なくともある量の高圧蒸気を発生するように設計されることが好ましい。高圧蒸気は、90から150バール、好ましくは90から125バール、より好ましくは100から115バールの範囲にある圧力を有することが適切である。低圧蒸気も適切に発生され、低圧蒸気は、2から10バール、より好ましくは8バールまで、より一層好ましくは4から6バールの範囲にある圧力を有することが好ましい。
【0079】
排熱回収ボイラーユニットにおいて、蒸気タービン内で高圧蒸気が生成され、この高圧蒸気が、例えば、蒸気タービンに連結された発電機により、電力に変換されることが好ましい。
【0080】
特に好ましい実施形態において、シフト合成ガス流の一部は、場合によって汚染物質を除去した後、圧力スウィング吸着(PSA)ステップにおいてなど、水素の製造に使用される。水素の製造に使用されるシフト合成ガス流の比率は、一般に、15体積%未満、好ましくはおよそ1−10体積%である。次いで、この方法で製造した水素は、炭化水素合成反応の生成物の水素化分解における水素源として使用することができる。この配置は、例えば、そうでない場合利用可能ならば一般に用いられている外部供給源からの、別個の水素源の必要性を減じ、もしくは無くしてさえもいる。したがって、本炭素質燃料による供給原料は、液体製品変換に向けてのバイオマスまたは石炭による全体プロセスで必要とされる、さらなる反応物を提供することができ、全体プロセスにおける自己充足性を高めている。
【0081】
本発明は、ここで、概略図を参照した下記の非限定的実施形態を使用して、例示される。
【0082】
図において、主成分のCOおよびHのほかにHS、HCNおよびCOSも含む合成ガスは、ライン1を経由してシフト反応器2に導かれ、ここで、水分の存在下においてCOがCOへ触媒的に変換される。また、HCNおよびCOSの、それぞれNHおよびHSへの変換も行われる。得られている、HCNおよびCOSが激減したシフト合成ガスは、場合によってスクラバー4内で洗浄されて、生成したいずれのNHも除去され、ライン5を経由して吸収装置6に導かれる。吸収装置6において、HCNおよびCOSが激減した合成ガスは、吸収液と接触し、これにより、HSおよびCOが、合成ガスから吸収液に移動して、HSおよびCOに富む吸収液、および半精製合成ガスを得ている。この半精製合成ガスは、ライン7を経由して吸収装置6から離れる。HSおよびCOに富む吸収液は、ライン8を経由して加熱装置9に導かれ、ここで加熱される。得られている、加熱された吸収液は、フラッシュ室10内で除圧され、これによりCOに富むフラッシュガス、およびHSに富む吸収液を得ている。このCOに富むフラッシュガスは、室10からライン11を経由し、他所で使用されるように導かれる。HSに富む吸収液はライン12を経由して再生装置13に導かれ、ここで、高温においてストリッピングガスと接触し、これによりHSをストリッピングガスに移動させて、再生した吸収液、およびHSに富むストリッピングガスを得ている。このHSに富むストリッピングガスは、再生装置13からライン14を経由してクラウス反応器15に導かれる。再生した吸収液は、ライン16を経由して吸収装置6に導かれて戻る。SOが、ライン17を経由してクラウス反応器に供給される。クラウス反応器においてHSおよびSOの、元素硫黄への触媒変換が行われる。元素硫黄は、クラウス反応器からライン18を経由して導かれる。半精製合成ガスは、吸収装置6からライン7を経由して仕上げユニット19に導かれ、ここで残留HSが、この半精製合成ガスを水性アルカリ性洗浄液と接触させることにより除去されて、HSが激減した合成ガス流、および硫化物含有水性流を得ており、続いて硫化物化合物は元素硫黄に、生物学的に変換されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)供給合成ガス流を、水/水蒸気の存在下においてシフト反応器内の水性ガスシフト触媒と接触させて、少なくとも一部の一酸化炭素を二酸化炭素および水素へと、少なくとも一部のシアン化水素をアンモニアへと、および/または少なくとも一部の硫化カルボニルを硫化水素へと反応させて、HSおよびCOが富化された、場合によってアンモニアを含む、シフトした合成ガス流を得るステップ;
(b)シフトした合成ガス流を吸収液と接触させることにより、前記シフトした合成ガス流からHSおよびCOを除去して、半精製合成ガス、ならびにHSおよびCOに富む吸収液を得るステップ;
(c)少なくとも一部の前記HSおよびCOに富む吸収液を加熱装置内で加熱して、HSおよびCOに富む加熱された吸収液を得るステップ;
(d)前記HSおよびCOに富む加熱された吸収液をフラッシュ室内で除圧して、これによりCOに富むフラッシュガス、およびHSに富む吸収液を得るステップ;
(e)前記HSに富む吸収液を、高温でストリッピングガスと接触させて、これによりHSを前記ストリッピングガスに移動させて、再生した吸収液、およびHSに富むストリッピングガスを得るステップ;
(f)HSに富むストリッピングガス中のHSを、元素硫黄に変換するステップ;
(g)前記半精製合成ガス流を、HS−除去帯域において、水性アルカリ性洗浄液と接触させることにより、前記半精製合成ガスからHSを除去して、HSが激減した合成ガス流、および硫化物を含む水性流を得るステップ;
(h)前記硫化物を含む水性流を、バイオリアクター内で、酸素の存在下において硫化物酸化性細菌と接触させて、硫黄スラリーおよび再生した水性アルカリ性洗浄液を得るステップ
を含む、主成分である一酸化炭素および水素以外に、硫化水素、硫化カルボニルおよび/またはシアン化水素ならびに場合によってアンモニアも含む供給合成ガス流から精製した合成ガス流を製造する方法。
【請求項2】
ステップ(a)において得られた、HSおよびCOが富化され、場合によってアンモニアを含む、シフトした合成ガス流が、冷却されて、水分および場合によってアンモニアが除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
供給合成ガス流中の水/水蒸気と一酸化炭素のモル比が、シフト反応器に入るとき、0.2:1と0.9:1の間にあることが好ましく、前記供給合成ガス流の温度が、シフト反応器に入るとき、190から230℃の範囲にあり、前記供給合成ガス流が、乾燥基準で少なくとも50体積%の一酸化炭素を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(f)において、HSが、触媒、好ましくは助触媒のない球状活性アルミナもしくはチタニアの存在下において、二酸化硫黄と反応して、元素硫黄を生成させる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
Sに富むストリッピングガスが、30から90体積%の範囲にあるHS、好ましくは40から90体積%のHS、より好ましくは60から90体積%のHSを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(c)が、90から120℃の範囲にある温度で行われる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(d)が、2から10バール、好ましくは5から3バールの範囲にある圧力で行われる、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(d)において得られるフラッシュガスが、10から100体積%の範囲にある、好ましくは50から100体積%のCOを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記硫化物酸化性細菌が、チオバチルス(Thiobacillus)属およびチオミクロスピラ(Thiomicrospira)属の独立栄養好気性培養物の群から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(b)が、10から80℃、好ましくは20から80℃の範囲にある温度で行われる、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(e)が、1.5から50バール、好ましくは3から40バール、より好ましくは5から30バールの範囲にあることが好ましい高圧で行われる、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
COガスに富むフラッシュガス流が、60から300バール、より好ましくは80から300バールの範囲にある圧力まで圧縮され、好ましくは油の回収性を高める使用のため、または帯水貯留層中に貯蔵するためもしくは空になった油貯留層中に貯蔵するため、地中の累層に注入される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
精製した合成ガスが、発電のために燃焼タービンにおいて使用される、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
精製した合成ガスが、フィッシャー−トロプシュ合成、メタノール合成、ジ−メチルエーテル合成、酢酸合成、アンモニア合成、代替天然ガス(SNG)を製造するメタン化、およびカルボニル化もしくはヒドロホルミル化反応を伴う工程の群から選択されることが好ましい触媒工程において使用される、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2012−522090(P2012−522090A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502641(P2012−502641)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【国際出願番号】PCT/EP2010/054218
【国際公開番号】WO2010/121895
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(590002105)シエル・インターナシヨナル・リサーチ・マートスハツペイ・ベー・ヴエー (301)
【Fターム(参考)】