説明

糸処理装置の作業台車の制御方法、および糸処理装置

【課題】糸処理装置における作業台車の制御方法であって、相互干渉位置に存する二台のユニットからサービス処理が出された場合でも、作業台車を無駄なく走行移動させて、作業効率良くユニットに対するサービス処理を実行できるようにする。
【解決手段】ユニット2および作業台車4a・4bの幅寸法に基づいて、両作業台車4a・4bが近付いたときに相互に干渉し合い、同時的な作業処理が不可能となる領域を、「干渉エリア」として規定する。そして、二台のユニット2からサービス処理要求が出されると、作業台車4a・4bの走行移動に先立って、かかる干渉エリアを基準として、相互干渉状態に至っているか否かを判定し、相互干渉状態に至っていると判定した場合には、各作業台車4a・4bの現在位置から、処理要求ユニット2・2までの距離を測定し、処理要求ユニット2までの距離が短い一方の作業台車4a・4bによるサービス処理を優先的に実行させる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸処理用のユニットの並び方向に沿って設けられた一本の走行路上に、複数台の作業台車が走行自在に案内支持されている糸処理装置における作業台車の制御方法、および糸処理装置において、両作業台車どうしの相互干渉に起因する動作遅延を解消して、作業効率の向上を図る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の作業台車の制御方法の公知例に特許文献1がある。かかる特許文献1に記載の紡績機においては、一本の走行路上に、糸継台車と粗糸継台車の二台の作業台車が走行自在に案内支持されている。作業台車どうしの対向距離を測ることを目的として、両作業台車には障害物センサが装着されており、両作業台車が近付いたときには、常に粗糸継台車を優先的に走行させるようになっている。この制御方法は、両作業台車の衝突に起因する動作不良の発生を確実に防ぐことができる点で優れている。
【特許文献1】特開平6−108331号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記制御方法では、近接位置する二台のユニットからサービス処理要求が出された場合に、作業台車が無駄な走行動作をするおそれがあり、作業台車による作業効率が著しく低下することが避けられず、その点に改良の余地があった。
すなわち、上記特許文献1に係る制御方法においては、両作業台車が接近して障害物センサがオンとなるまで、作業台車間で相互干渉が生じていて、両作業台車による同時作業が不可能な状態に陥っていることは検知できない。このため、相互干渉を生じさせる領域に存する二台のユニットからサービス処理要求が出された場合には、二台の作業台車による同時作業が不可能であるにもかかわらず、作業台車が処理要求ユニットに向かって走行したり、他の作業台車に近付いてから停止したり、反転走行したりすることがあり、作業台車の走行動作に無駄があった。最悪の場合には、二台の作業台車の双方が、相手の作業台車と接触しないように回避して、どちらの作業台車も処理要求ユニットにたどり着けないこともあった。
【0004】
本発明は、以上のような問題点を解決することを目的としてなされたものであり、相互干渉位置に存する二台のユニットからサービス処理が出された場合でも、作業台車を無駄なく走行移動させて、作業効率良くサービス処理を実行できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の本発明は、並列配置された複数台の糸処理用のユニットと、これらユニットの並び方向に沿って形成された走行路と、該走行路に沿って走行可能に構成されて、ユニットに対するサービス処理を担う複数台の作業台車とを備える糸処理装置における、作業台車の制御方法であって、各作業台車には、連続する複数台のユニットで構成される作業領域が予め割り当てられており、各作業台車は、ユニットからサービス処理要求が出されたときに、走行路内を走行移動して、担当する作業領域に属する各ユニットに対するサービス処理を行うようになっており、走行路の伸び方向における前記ユニットの幅寸法と作業台車の幅寸法に基づいて、両作業台車が近付いたときに相互に干渉し合う領域の大きさが、干渉エリアとして予め規定されている。
そして、隣り合う異なる作業領域にそれぞれ属する二以上のユニットからサービス処理要求が出されて、当該サービス処理要求を出したユニットである処理要求ユニットが複数台生じたとき、各作業台車の現在位置から各処理要求ユニットまでの距離を測定する測距工程と、測距工程に前後して、二台の処理要求ユニットに対する二台の作業台車によるサービス処理によって、両作業台車の間で相互干渉が生じるか否かを、各処理要求ユニットを基準とした前記干渉エリアに基づいて判定する判定工程とを含み、判定工程において、二台の作業台車の間で相互干渉が生じると判定されたとき、測距工程による測定結果に基づいて、処理要求ユニットまでの距離が短い一方の作業台車を決定し、この作業台車によるサービス処理が、優先的に実行されるようになっていることを特徴とする。
【0006】
糸処理装置の具体例としては、空気紡績装機や自動ワインダーなどを挙げることができる。作業台車が担うサービス処理の具体例としては、糸継ぎ処理や玉揚げ処理などを挙げることができる。
【0007】
請求項2記載の本発明のように、測距工程による測定結果に基づいて、処理要求ユニットまでの距離が短い一方の作業台車を優先台車とし、処理要求ユニットまでの距離が長い他方の作業台車を従動台車として決定し、優先台車のサービスを受ける処理要求ユニットを基準とした干渉エリアに属するユニットを決定したうえで、かかる干渉エリアに属するユニットからの従動台車に対するサービス要求をマスクする、マスク処理工程とを含むものとすることができる。
【0008】
請求項3記載の本発明のように、マスク処理工程において、優先台車が処理要求ユニットに対するサービス処理を実行しているときは、前記従動台車は、優先台車のサービスを受ける処理要求ユニットを基準とした干渉エリアを避けて、しかし該干渉エリアの可及的近傍に待機するようにすることが望ましい。
【0009】
請求項4記載の本発明のように、優先台車による処理要求ユニットに対するサービス処理が終了すると、該優先台車は、前記従属台車によるサービス処理を希望している処理要求ユニットを基準とした干渉エリアから速やかに退避するようになっていることが望ましい。
【0010】
請求項5記載の本発明は、並列配置された複数台の糸処理用のユニットと、これらユニットの並び方向に沿って形成された走行路と、該走行路に沿って走行可能に構成されて、ユニットに対するサービス処理を担う複数台の作業台車と、各作業台車の現在位置から、処理要求が出されたユニットまでの距離を測定する測距手段と、これら作業台車の制御を担う制御手段とを備える糸処理装置を対象とする。
そこでは、走行路の伸び方向におけるユニットの幅寸法と作業台車の幅寸法に基づいて、両作業台車が近付いたときに相互に干渉し合う領域の大きさが、干渉エリアとして予め規定されている。
そして、制御手段は、隣り合う異なる作業領域の境界部分を挟んで近接位置する二台のユニットからサービス処理要求が出され、当該サービス処理要求を出したユニットである処理要求ユニットが複数台生じると、両作業台車によるサービス処理によって相互干渉が生じるか否かを干渉エリアに基づいて判定し、かかる判定結果において、相互干渉が生じると判定されると、前記測距手段により各作業台車の現在位置から、処理要求ユニットまでの距離を測定し、この測定結果に基づいて、処理要求ユニットまでの距離が短い一方の作業台車によるサービス処理を優先的に実行させることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の本発明のように、各作業台車は、自身の走行移動を制御するための制御装置を備えており、前記制御手段は、これら制御装置により構成された形態を取ることができる。そして、これら制御装置が、前記測距手段による測定結果に基づいて、処理要求ユニットまでの距離が短い一方の作業台車を優先台車と、処理要求ユニットまでの距離が長い他方の作業台車を従属台車として決定したうえで、前記優先台車のサービスを受ける処理要求ユニットの存在位置に基づいて、前記従属台車が該優先台車との相互干渉によって処理不能となるユニットを決定し、かかる処理不能となるユニットからのサービス要求をマスクして、従属台車によるサービス処理可能なユニットを限定するようにすることができる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の本発明の制御方法においては、二台のユニットからサービス処理要求が出されると、これらユニットに対して二台の作業台車でサービス処理を実行したとき、両作業台車の間で相互干渉が生じるか否かを、ユニットと作業台車の幅寸法に基づいて予め規定された干渉エリアを基準として判定するようにした。これによれば、作業台車を走行移動させることなく、干渉エリアに基づいて両作業台車が相互干渉状態となるか否かを判定することができるので、特許文献1に記載の制御方法のように、同時作業が不可能な相互干渉状態に陥っているにもかかわらず、作業台車が処理要求ユニットに向かって走行したり、或いは他の作業台車に近付いてから停止・反転走行したりするように、作業台車が無駄に走行することがない。これにて、作業台車を効率的に走行させて、サービス処理を作業効率良く進めることができるので、糸処理用のユニットの稼働率の向上を図り、糸処理装置の処理能力の向上に貢献できる。
【0013】
加えて、処理要求ユニットまでの距離が短い一方の作業台車によるサービス処理を優先的に実行させるようにしたので、作業台車の待機位置から処理要求ユニットまでの移動時間の短縮化を図ることができる。このことは、作業台車を効率的に走行させて、サービス処理を迅速に開始できることを意味し、したがって、作業台車による作業効率の向上を図って、糸処理装置の糸処理能力の向上に貢献できる。
【0014】
請求項2記載の本発明のように、優先台車のサービスを受ける処理要求ユニットを基準として干渉エリアに属することとなるユニットを決定したうえで、当該ユニットからのサービス要求をマスクするようにしてあると、優先台車が処理要求ユニットに対してサービス処理を行っている間は、マスクされているユニットを避けて、従動台車を他のユニットへのサービス処理に効率的に割り当てることができる。これにより、従動台車によるサービス処理作業を円滑且つ効率的に行わせることができるので、糸処理装置の糸処理能力の向上に貢献できる。
【0015】
請求項3記載の本発明のように、優先台車が処理要求ユニットに対するサービス処理を実行しているときは、従動台車が前記処理要求ユニットの干渉エリアを避けて、しかし処理対象であるユニットの可及的近傍に待機するようになっていると、優先台車の処理要求ユニットに対するサービス処理が終了してマスク処理が解除されたときに、従動台車を処理要求ユニットの作業位置に速やかに移動させることができる。これにて、従動台車による処理要求ユニットに対するサービス処理を速やかに開始させることができるので、作業台車による作業効率の向上を図って、糸処理装置の糸処理能力の向上に貢献できる。
【0016】
請求項4記載の本発明のように、優先台車による処理要求ユニットに対するサービス処理が終了すると、該優先台車が、従属台車によるサービス処理を希望している処理要求ユニットを基準とした干渉エリアから退避するようになっていると、従動台車を処理要求ユニットの作業位置に速やかに移動させることができる。これによっても、作業台車による作業効率の向上を図って、糸処理装置の糸処理能力の向上に貢献できる。
【0017】
請求項5記載の本発明の糸処理装置によれば、本発明の請求項1に係る制御方法と同様の作用効果を得ることができる。すなわち、二台のユニットからサービス処理要求が出されると、これらユニットに対して二台の作業台車でサービス処理を実行したとき、両作業台車の間で相互干渉が生じるか否かを、ユニットと作業台車の幅寸法に基づいて予め規定された干渉エリアを基準として判定するようにしたので、作業台車を走行移動させることなく、干渉エリアに基づいて両作業台車が相互干渉状態となるか否かを判定することができる。これにより、特許文献1に記載の制御方法のように、同時作業が不可能な相互干渉状態に陥っているにもかかわらず、作業台車が処理要求ユニットに向かって走行したり、或いは他の作業台車に近付いてから停止・反転走行したりするように、作業台車が無駄に走行することがなくなり、作業台車を効率的に走行させて、サービス処理を作業効率良く進めることができるので、糸処理用のユニットの稼働率の向上を図り、処理能力の向上に貢献できる。
【0018】
加えて、処理要求ユニットまでの距離が短い一方の作業台車によるサービス処理を優先的に実行させるようにしたので、作業台車の待機位置から処理要求ユニットまでの移動時間の短縮化を図ることができる。このことは、作業台車を効率的に走行させて、サービス処理を迅速に開始できることを意味し、したがって、作業台車による作業効率の向上を図って、糸処理能力の向上に貢献できる。
【0019】
請求項6記載の本発明のように、優先台車のサービスを受ける処理要求ユニットを基準として干渉エリアに属することとなるユニットを決定したうえで、当該ユニットからのサービス要求をマスクするようにしてあると、優先台車が処理要求ユニットに対してサービス処理を行っている間は、マスクされているユニットを避けて、従動台車を他のユニットへのサービス処理に効率的に割り当てることができる。これにより、従動台車によるサービス処理作業を円滑且つ効率的に行わせることができるので、糸処理能力の向上に貢献できる。
そのうえで、請求項6記載の本発明のように、各作業台車に備えられた制御装置により、自身の走行移動が制御されるようにしてあると、糸処理装置の本体側に設けられた一台の制御装置で作業台車の全体を制御させる形態に比べて、制御装置に要求される処理能力は小さくて済むため、動作能力に優れた高価な制御装置を採用する必要がなくなり、糸処理装置の製造コストの低減化に貢献できる。また、一台の制御装置で複数台の作業台車の制御を行う形態に比べて、迅速に処理を行うことができるので、処理能力の向上を図ることができる点でも優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明に係る糸処理装置の作業台車の制御方法、および糸処理装置を空気紡績機に適用した実施形態について、図面を参照して説明する。
【0021】
図1に空気紡績機の正面図を、図2に空気紡績機の全体的な構成を示した模式平面図を、図3に空気紡績機の電気的構成を示すブロック図を示す。
この空気紡績機1は、機台6の長手方向に並列配置された80錘の紡績ユニット(糸処理用のユニット)2と、これらユニット2の並び方向に沿って形成された上下一対の走行路3・3と、これら走行路3・3に沿って走行可能に案内支持されて、ユニット2に対するサービス処理を行う二台の作業台車4a・4bなどで構成される。本実施形態においては、ユニット2の並び方向を左右方向と規定し、ユニット2側から見た走行路3・3の配設位置を前方位置と規定する。
【0022】
ユニット2は、図示しない紡績部材から紡出された糸10を、巻取装置13で巻き取ってパッケージ化する装置である。機台6の左右方向の一端側には、中央制御装置7を内蔵する原動ボックス11が設けられており、他端側にはブロワボックス12が設けられている。
【0023】
機台6は糸10の走行路側を開放した断面C字状に構成されており、その内部に細長い走行空間15が形成されている。そして、この走行空間15の内部に、左右方向に伸びるように、上下一対の走行路3・3が平行状に設けられている。この走行路3・3に沿って左右方向に往復移動可能に、2台の自走式の作業台車4a・4bが備えられている。作業台車4a・4bのそれぞれは、スプライサやノッタなどの糸継装置21を備える筐体18と、該筐体18を走行駆動するための走行駆動輪19とを有する。筐体18には、先の糸継装置21のほか、前記紡績部材及び巻取装置13側から糸端を引き出して糸継装置21に受け渡すための可動式の吸引パイプ等を備える。
【0024】
ユニット2の何れかにおいて糸切れが発生したときには、作業台車4a・4bの何れかが、中央制御装置7からの制御信号に基づいて、モータ27(図3参照)により走行駆動輪19を駆動してユニット2まで自走して停止し、吸引パイプや糸継装置21を駆動して糸継作業を行うことができる。
【0025】
図2に示すように、各作業台車4a・4bの左右両端には衝突防止センサ28が設けられており、両センサ28によって測定された作業台車4a・4bの対向間隔距離が所定値よりも小さくなった場合などに、両作業台車4a・4bは緊急停止される。図3において、符号29は、ユニット2ごとに設けられた図略のドグを検知するためのドグセンサを、符号30は、作業台車4a・4bの制御を担う制御装置を示す。
【0026】
図2に示すように、左右方向に並列配置された80錘の各ユニット2には、紡績機1の機台の一端(左端)から順に、1番、2番、・・・79番、80番のユニット番号が割り当てられている。
走行路3の左寄りに位置する第1の作業台車(以下適宜に、第1台車と記す)4aは、1番から40番のユニット番号が振られたユニット2に対するサービス処理を担当する。右寄りに位置する第2の作業台車(以下適宜に、第2台車と記す)4bは、41番から80番のユニット番号が振られたユニット2に対するサービス処理を担当する。
換言すれば、第1台車4aには、1〜40番の40台のユニット2で構成される作業領域Aが予め割り当てられており、第2台車4bには、41〜80番の40台のユニット2で構成される作業領域Bが予め割り当てられている。そして、各作業台車4a・4bは、走行路3内を走行移動して、自身が担当する作業領域A、Bに属する各ユニット2に対するサービス処理を行う。
なお以下においては適宜に、作業領域Aに属して第1台車4aによるサービス処理を受けるユニット番号1〜40のユニット2をユニット(A−1)〜(A−40)と記し、作業領域Bに属して第2台車4bによるサービス処理を受けるユニット番号41〜80のユニット2を、ユニット(B−41)〜(B−80)と記す。
【0027】
各ユニット2のユニット番号は、制御装置23(図3参照)内に記憶されており、当該番号はユニット2から中央制御装置7に向かって送信されるサービス処理を求める信号(サービス要求信号)に含められる。そして、このユニット番号の情報に基づいて、中央制御装置7は、何れのユニット2からサービス処理要求が出されているかを認識することができる。
【0028】
作業台車4a・4bとユニット2との間には、作業台車4a・4bの現在位置を検知するための位置検出機能部が具備されている。本実施形態に係る位置検出機能部は、作業台車4a・4bの下方面に配置されて、ユニット2に向けて磁力信号を出力するコイルを備える信号出力部32と、ユニット2の前方側に設けられて、信号出力部32からの信号を受ける受信素子を備える信号受信部33とで構成される。
【0029】
作業台車4a・4bが目的のユニット2の正面に到着して停止したとき、作業台車4a・4bの制御装置30は、信号出力部32を駆動させて、ユニット2に向けてユニット番号返答させる旨の指示信号を出力する。指示信号を受けた信号受信部33のユニット2は、自身のユニット番号を含む応答信号を、中央制御装置7を介して作業台車4a・4bの制御装置30に送信する。かかる応答信号に基づいて、停止中の作業台車4a・4bは、何れのユニット2の正面に停止しているかを知ることができる。つまり、自己の現在位置情報を得ることができる。そして、作業台車4a・4bが走行を開始するときは、この現在位置情報を基準として、前記ドグをドグセンサ29が検知した数をカウントすることにより、走行中に通過したユニット2の数を算出して、停止時の位置からの離間距離を特定し、走行中における現在位置を認識する。目的のユニット2の正面に到着したと判断して、モータ27の駆動を止めて停止すると、作業台車4a・4bは、再びユニット2の信号受信部33に向けて信号を送信し、当該信号に応じてユニット2から返信されてきた応答信号に基づいて、自身の現在位置を確認する。以上のような一連の位置確認動作を行うことにより、作業台車4a・4bは、自身の現在位置を正確に認識することができる。
【0030】
図1および図3に示すように、これらユニット2は、距離を置くことなく連続的に並設されている。また、各台車4a・4bの左右幅寸法は、各ユニット2の左右幅寸法よりも大きなものとなっている。このため、作業領域の境界部を挟んで近接位置する二つのユニット2・2に対して、二つの作業台車4a・4bが同時的にサービス処理を実行しようとしても、これら作業台車4a・4bが相互に干渉し合い、サービス処理を実行することが不可能となる状態(以下、相互干渉状態と記す)に至る場合がある。
一例を挙げると、図4に示すように、作業領域Aの右端に存するA−40のユニット2と、作業領域Bの左端に存するB−41のユニット2からサービス処理要求が出されても、これら二つのユニット(A−40、B−41)の正面に作業台車4a・4bを並べることは、作業台車4a・4bどうしが相互に干渉し合うために物理的に不可能であり、ユニット(A−40、B−41)に対して、両作業台車4a・4bにより同時的にサービス処理を行うことはできない。
【0031】
以上のような相互干渉が生じるか否かを判断するために、この空気紡績装置1においては、ユニット2の左右幅寸法、および作業台車4a・4bの左右幅寸法に基づいて、両者4a・4bが相互に干渉し合う領域の大きさを、ユニット単位で「干渉エリア」として予め規定している。本実施形態では、処理要求ユニットを基準とする三つの範囲内のユニットを干渉エリアと規定している。
【0032】
具体例を挙げると、図5(a)に示すごとく、ユニット(B−41)の正面に第2台車4bが位置しているときには、第1台車4aは、ユニット(A−38)、ユニット(A−39)およびユニット(A−40)の正面位置に位置することはできない。したがって、ユニット(B−41)からサービス処理要求が出されたときには、中央処理装置7は、ユニット(A−38)、ユニット(A−39)およびユニット(A−40)を干渉エリアとして規定する。
同様に、図5(b)に示すように、ユニット(B−43)からサービス処理要求が出された場合には、中央制御装置7は、ユニット(A−40)、ユニット(B−41)、ユニット(B−42)を干渉エリアとする。尤も、第1台車4aがサービス処理担当する作業領域Aを鑑みると、実質的にはユニット(A−40)のみが干渉エリアとなる。
図5(c)に示すように、ユニット(A−39)からサービス処理要求が出された場合には、中央制御装置7は、ユニット(A−40)、ユニット(B−41)、ユニット(B−42)干渉エリアとして規定する。尤も、第2台車4bの作業領域Bを鑑みると、実質的にユニット(B−41)とユニット(B−42)が干渉エリアとなる。
【0033】
次に、以上のような構成からなる空気紡績機1における作業台車4a・4bの具体的な制御方法を、図6を使って説明する。
【0034】
いま、図6に示すように、第1台車4aがユニット(A−30)に対するサービス処理を実行しており、第2台車4bがユニット(B−48)に対するサービス処理を実行していたとする。この状態から、各台車4a・4bのサービス処理が終了する前に、A−39、A−15、およびB−41、B−60の四台のユニット2からサービス処理要求が出されたと仮定する。
【0035】
サービス処理要求を受けると、作業台車4a・4bの制御装置30は、位置検出機能部を作動させて、現在位置から、何れの処理要求ユニットまでの距離が短いかを判断する(測距工程)。
【0036】
具体的には、第1台車4aの現在位置(A−30)からユニット(A−39)までの距離と、現在位置(A−30)からユニット(A−15)までの距離を算出し、いずれのユニットが近いかを判断する。ここでは、A−30からA−39までの距離は9ユニット分、A−30からA−15までの距離は15ユニット分であるから、ユニット(A−39)のほうが現在位置(A−30)から近いと判断する。同様の手順で、第2台車4bの現在位置(B−48)からユニット(B−41)までの距離(7ユニット分)と、現在位置(B−48)の位置から(B−60)までの距離(12ユニット分)を算出・比較し、ユニット(B−41)のほうが、現在位置(B−48)から近いと判断する。
つまり、この状況は、相互干渉状態を招く状況である。第1台車4aの処理要求ユニット(A−39)を基準とする干渉エリア内に、第2台車4bの処理要求ユニット(B−41)が位置する状況である。同時に、第2台車4bの処理要求ユニット(B−41)を基準とする干渉エリア内に、第1台車4aの処理要求ユニット(A−39)が位置する状況である。
【0037】
しかしながら、以上のような各作業台車4a・4bごとに算出された独立別個の測距結果のみに基づいて、両作業台車4a・4bを走行移動させた場合には、選択されたユニット2・2が近接位置していて、相互干渉状態に至っていると、作業台車4a・4bのいずれか一方の待避動作が必要となってその一方の走行移動が無駄となり、サービス処理の作業効率が低下することが避けられない。すなわち、先のような独立別個の測距結果のみに基づいて、作業台車4aをユニット(A−39)に、作業台車4bをユニット(B−41)に移動させても、両ユニット(A−39)(B−41)に対して同時的にサービス処理を実行することは物理的に不可能である(図5(a)(c)参照)。
【0038】
そこで、作業台車4a・4bの制御装置30は、先に述べたような「干渉エリア」を基準として、相互干渉状態に至っているか否かを判定したうえで(判定工程)、相互干渉状態に至っていると判定した場合には、両作業台車4a・4bの現在位置から処理要求ユニットまでの距離を比較し、距離の短い一方の作業台車を認定を優先台車、他方の作業台車を従動台車と認定する。そして、優先台車によるサービス処理を優先的に実行させることで、作業台車4a・4bどうしが干渉し合うことを未然に防いでいる。
【0039】
すなわち図6に示す態様では、第1台車4aの現在位置(A−30)から処理要求ユニット(A−39)までの距離は9ユニット分、第2台車4bの現在位置(B−48)から処理要求ユニット(B−41)までの距離は7ユニット分であるから、第2台車4bを優先台車、第1台車4aを従動台車と認定する。そして、優先台車である第2台車4bの処理要求ユニット(B−41)の正面位置までの走行移動を許可して、当該ユニット(B−41)に対するサービス処理を優先的に実行させる。
【0040】
このように、優先台車が決定されて、優先的にサービスを受ける処理要求ユニット2が決定されると、干渉エリアに基づいて処理不能となるユニットを決定し、該当するユニットからのサービス要求をマスクする(マスク処理工程)。つまり、図6の形態においては、ユニット(B−41)を基準として、干渉エリアに属することとなるユニット(A−38)、(A−39)、(A−40)を認定したうえで(図5(a)参照)、これら3つのユニットからのサービス要求をマスクして、第1台車4aによるサービス処理可能なユニットを、これら3つのユニットを除いて限定的に判断する。
【0041】
従動台車である第1台車4aは、処理要求ユニット(A−39)がマスクされているユニットの一つであるため、この処理要求ユニット(A−39)に対するサービス処理を後回しにして、先にユニット(A−15)の正面位置に移動して、サービス処理を実行する。つまり、現在位置であるユニット(A−30)の正面位置から、処理対象ユニットであるユニット(A−15)の正面に移動して、サービス処理を実行する。
【0042】
第1台車4aによるユニット(A−15)に対するサービス処理が終了したときに、未だにマスク処理工程におけるマスク処理が解除されていない場合において、マスク処理により限定されているユニット(A−38〜40)を除く、他のユニット(A−1〜37)からサービス処理要求が出されたときには、第1台車4aは、これら他のユニット(A−1〜37)に対するサービス処理を実行する。
【0043】
また、第1台車4aによるユニット(A−15)に対するサービス処理が終了したときに、未だにマスク処理工程におけるマスク処理が解除されていない場合において、他のユニット(A−1〜37)からサービス処理要求が出されていないときには、第1台車4aは、処理対象ユニット(A−39)に向かって走行移動し、第2台車4bと相互干渉し得る領域を避けて、しかしユニット(A−39)の可及的近傍に待機する。本実施形態では、ユニット(B−41)を基準とする干渉エリアは、ユニット(A−38)〜(A−40)の正面位置であるため、第1台車4aは、ユニット(A−37)の正面位置で待機する(図5(a)参照)。そして、第2台車4bによるユニット(B−41)に対するサービス処理が終了すると、第2台車4bは、処理要求ユニットであるユニット(A−39)に対する干渉エリア(図5(c)参照)から速やかに退避して、ユニット(B−60)に対するサービス処理に向かい、かかる退避行動に伴い、第1台車4aがユニット(A−39)の正面位置に移動して、サービス処理を実行する。
【0044】
尤も、ユニット(A−15)に対するサービス処理が終了して、第1ユニット4aがユニット(A−39)の近傍に到着したときに、既に第2ユニット4bによるユニット(B−41)に対するサービス処理が終了していたときには、第1ユニット4aは待機することなく、ユニット(A−39)の正面に移動して、サービス処理を実行することは言うまでもない。
【0045】
以上のように、本実施形態に係る作業台車の制御方法においては、ユニット2および作業台車4a・4bの幅寸法に基づいて、両作業台車4a・4bが近付いたときに相互に干渉し合い、同時的な作業処理が不可能となる領域の大きさを、「干渉エリア」として規定した。そして、二台のユニット2から同時にサービス処理要求が出されると、作業台車4a・4bの走行移動に先立って、かかる干渉エリアを基準として、相互干渉状態に至っているか否かを判定し、相互干渉状態に至っていると判定した場合には、各作業台車4a・4bの現在位置から、処理要求ユニット2・2までの距離を測定し、処理要求ユニット2までの距離が短い一方の作業台車4a・4bによるサービス処理を優先的に実行させるようにした。
【0046】
したがって、この制御方法によれば、相互干渉状態に陥っているにもかかわらず、両作業台車4a・4bが処理要求ユニット2に向かって走行したり、或いは他の作業台車4a・4bに近付いてから停止・反転走行したりするように、作業台車4a・4bが無駄に走行することがなく、作業台車4a・4bを効率的に走行移動させることができる。これにて、作業台車4a・4bを的確且つ迅速に処理要求ユニット2の正面位置に移動させて、サービス処理を円滑に進めることができるので、ユニット2の稼働率の向上を図り、糸処理装置の処理能力の向上に貢献できる。
また、処理要求ユニット2までの距離が短い一方の作業台車4a・4bによるサービス処理を優先的に実行させるようにしたので、作業台車4a・4bの待機位置から処理要求ユニット2までの走行移動時間の短縮化を図ることができる。このことは、作業台車4a・4bを効率的に走行させて、サービス処理を迅速に開始できることを意味し、したがって、この点においても、作業台車4a・4bによる作業効率の向上を図って、空気紡績機の糸処理能力の向上に貢献できる。
【0047】
干渉エリアの規定方法としては、処理要求ユニットからの所定の左右方向の長さ寸法(メートル単位)を干渉エリアとすることも考えられる。しかしその場合には、作業台車4a・4bの移動距離を実測したうえで、当該距離を常に捉えておく必要があり、作業台車4a・4bが干渉エリアに至ったか否かの判定処理が複雑化・煩雑化することが避けられない。距離を実測するための特別の装置が別途必要となり、糸処理装置の全体コストが増加する不利もある。
これに対して、本実施形態のように干渉エリアをユニット単位で規定していると、作業台車4a・4bが干渉エリアの待避位置に至ったことを簡単確実に検知することができる。上述の信号出力部32と信号受信部33とで構成される位置検出機能部を使って作業台車4a・4bが干渉エリアの待避位置に至ったことを検知できるので、糸処理装置の製造コストの上昇を抑えて、安価に糸処理装置を提供できる点でも優れている。
【0048】
干渉エリアに属することとなるユニット2からのサービス要求をマスクするようにしてあると、優先台車が処理要求ユニット2に対してサービス処理を行っている間は、マスクされているユニット2を避けて、従動台車を他のユニット2へのサービス処理に割り当てることができる。これにより、従動台車の作業効率の向上を図ることができるので、結果として、糸処理装置の糸処理能力が向上する。
【0049】
優先台車が処理要求ユニットに対するサービス処理を実行しているときは、従動台車が前記処理要求ユニット2の干渉エリアを避けて、しかし処理対象であるユニットの可及的近傍に待機するようになっていると、優先台車の処理要求ユニット2に対するサービス処理が終了してマスク処理が解除されたときに、従動台車の処理対象であるユニット2に対する作業位置に、従動台車を速やかに移動させることができる。これにて、従動台車による処理要求ユニット2に対するサービス処理を速やかに開始させることができるので、作業台車4a・4bによる作業効率の向上を図って、糸処理装置の糸処理能力の向上に貢献できる。
【0050】
優先台車による処理要求ユニット2に対するサービス処理が終了すると、該優先台車が、従属台車によるサービス処理を希望している処理要求ユニットを基準とした干渉エリアから速やかに退避するようになっていると、従動台車を処理要求ユニットの作業位置に速やかに移動させることができる。これによっても、作業台車による作業効率の向上を図って、糸処理装置の糸処理能力の向上に貢献できる。
【0051】
上記の実施形態においては、第1台車4aおよび第2台車4bによる(A−30)と(B−48)に対するサービス処理が終了する前に、A−39、A−15、およびB−41、B−60の四台のユニット2からサービス処理要求が出されたケースを例にして説明したが、本発明はこれに限られない。すなわち、本発明に係る測距工程が実行されるのは、相手の作業領域に干渉エリアが及び得るような場合であれば足り、台車4a・4bが作業処理状態にあるか、走行状態にあるかを問わない。
図6の形態を例にすると、(A−39)、(B−41)のような相互干渉状態にある二台のユニットから「同時」にサービス処理要求が出された時点で測距工程が実行されるようにすることができる。ここで「同時」とは、ある時点で、(A−39)よりサービス処理要求が出された後、(B−41)からもサービス処理要求が出て、(A−39)および(B−41)の双方からのサービス処理要求が出揃った時点を意味する。具体例をあげると、例えば第1台車4aが、ユニット(A−39)に対するサービス処理を行うために、左方向から走行して(A−30)の位置に至ったときに、(B−41)からサービス処理が出されたときにも、当該(A−30)の位置にある第1台車4aから(A−39)までの距離と、(B−48)の位置にある第2台車4bから(B−41)までの距離を測定するとともに、両距離を比較して、第2台車4bを優先台車とすることができる。
【0052】
上記実施形態においては、処理要求ユニット2から前後三つの範囲内のユニット2を干渉エリアと規定していたが、本発明はこれに限られず、処理要求ユニット2から前後4以上の範囲内のユニットを干渉エリアとしたり、処理要求ユニット2から前後一つの範囲内のユニットを干渉エリアとしてもよい。干渉エリアは、ユニット2および作業台車4a・4bの左右の幅寸法に応じて規定されるものだからである。
【0053】
糸処理装置が備える糸処理用のユニットの個数は、80錘に限られず、それ以上であってもそれ以下であってもよい。同様に、走行路に走行自在に支持される作業台車の台数は、2台以上であれば、その台数に限定はない。
【0054】
作業台車4a・4bの現在位置を検知するための位置検出機能部は、上記のような磁力素子と受信素子とからなるものに限られず、例えば無線通信により信号の送受信を行う形態であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る制御方法が適用される空気紡績機の正面図。
【図2】空気紡績機の全体的な構成を示した模式平面図。
【図3】空気式紡績機の電気的構成を示すブロック図。
【図4】相互干渉状態を説明するための図。
【図5】干渉エリアを説明するための図。
【図6】制御方法を説明するための図。
【符号の説明】
【0056】
1 糸処理装置(空気紡績機)
2 糸処理用のユニット(ユニット)
3 走行路
4a 作業台車(第1台車)
4b 作業台車(第2台車)
A 作業領域
B 作業領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列配置された複数台の糸処理用のユニットと、これらユニットの並び方向に沿って形成された走行路と、該走行路に沿って走行可能に構成されて、ユニットに対するサービス処理を担う複数台の作業台車とを備える糸処理装置における、作業台車の制御方法であって、
各作業台車には、連続する複数台のユニットで構成される作業領域が予め割り当てられており、各作業台車は、ユニットからサービス処理要求が出されたときに、走行路内を走行移動して、担当する作業領域に属する各ユニットに対するサービス処理を行うようになっており、
走行路の伸び方向におけるユニットの幅寸法と作業台車の幅寸法に基づいて、両作業台車が近付いたときに相互に干渉し合う領域の大きさが、干渉エリアとして予め規定されており、
隣り合う異なる作業領域にそれぞれ属する二以上のユニットからサービス処理要求が出されて、当該サービス処理要求を出したユニットである処理要求ユニットが複数台生じたとき、各作業台車の現在位置から各処理要求ユニットまでの距離を測定する測距工程と、
測距工程に前後して、二台の処理要求ユニットに対する二台の作業台車によるサービス処理によって、両作業台車の間で相互干渉が生じるか否かを、干渉エリアに基づいて判定する判定工程とを含み、
判定工程において、二台の作業台車の間で相互干渉が生じると判定されたとき、測距工程による測定結果に基づいて、処理要求ユニットまでの距離が短い一方の作業台車を決定し、この作業台車によるサービス処理が、優先的に実行されるようになっていることを特徴とする糸処理装置の作業台車の制御方法。
【請求項2】
測距工程による測定結果に基づいて、処理要求ユニットまでの距離が短い一方の作業台車を優先台車とし、処理要求ユニットまでの距離が長い他方の作業台車を従動台車として決定し、
優先台車のサービスを受ける処理要求ユニットを基準とした干渉エリアに属するユニットを決定したうえで、かかる干渉エリアに属するユニットからの従動台車に対するサービス要求をマスクする、マスク処理工程を含む請求項1記載の糸処理装置の作業台車の制御方法。
【請求項3】
マスク処理工程において、前記優先台車が処理要求ユニットに対するサービス処理を実行しているときは、従動台車は優先台車のサービスを受ける処理要求ユニットを基準とした干渉エリアを避けて、しかし該干渉エリアの可及的近傍に待機するようになっている請求項2記載の糸処理装置の作業台車の制御方法。
【請求項4】
優先台車による処理要求ユニットに対するサービス処理が終了すると、該優先台車は、前記従属台車によるサービス処理を希望している処理要求ユニットを基準とした干渉エリアから速やかに退避するようになっている請求項1乃至3のいずれかに記載の糸処理装置の作業台車の制御方法。
【請求項5】
並列配置された複数台の糸処理用のユニットと、これらユニットの並び方向に沿って形成された走行路と、該走行路に沿って走行可能に構成されて、ユニットに対するサービス処理を担う複数台の作業台車と、各作業台車の現在位置から、処理要求が出されたユニットまでの距離を測定する測距手段と、これら作業台車の制御を担う制御手段とを備える糸処理装置であって、
走行路の伸び方向におけるユニットの幅寸法と作業台車の幅寸法に基づいて、両作業台車が近付いたときに相互に干渉し合う領域の大きさが、干渉エリアとして予め規定されており、
制御手段は、隣り合う異なる作業領域の境界部分を挟んで近接位置する二台のユニットからサービス処理要求が出され、当該サービス処理要求を出したユニットである処理要求ユニットが複数台生じると、両作業台車によるサービス処理によって相互干渉が生じるか否かを干渉エリアに基づいて判定し、かかる判定結果において、相互干渉が生じると判定されると、前記測距手段により各作業台車の現在位置から、処理要求ユニットまでの距離を測定し、この測定結果に基づいて、処理要求ユニットまでの距離が短い一方の作業台車によるサービス処理を優先的に実行させることを特徴とする糸処理装置。
【請求項6】
各作業台車は、自身の走行移動を制御するための制御装置を備えており、前記制御手段は、これら制御装置により構成されており、
これら制御装置が、前記測距手段による測定結果に基づいて、処理要求ユニットまでの距離が短い一方の作業台車を優先台車と、処理要求ユニットまでの距離が長い他方の作業台車を従属台車として決定したうえで、
前記優先台車のサービスを受ける処理要求ユニットの存在位置に基づいて、前記従属台車が該優先台車との相互干渉によって処理不能となるユニットを決定し、かかる処理不能となるユニットからのサービス要求をマスクして、従属台車によるサービス処理可能なユニットを限定するようにしている請求項5記載の糸処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−262607(P2007−262607A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−88081(P2006−88081)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】